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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0203 20230101AFI20231220BHJP
【FI】
G06Q30/0203
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023067172
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2022198620の分割
【原出願日】2022-05-26
(65)【公開番号】P2023174531
(43)【公開日】2023-12-07
【審査請求日】2023-04-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517231515
【氏名又は名称】株式会社mov
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 誠
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6984938(JP,B1)
【文献】特開2011-198271(JP,A)
【文献】羽室 行信 ,「フカシギの数え方」から広がるアルゴリズムの理工学 -二分決定グラフによる離散構造処理と広がる応用分野-,電子情報通信学会誌,日本,一般社団法人電子情報通信学会 ,2014年12月01日,第97巻 第12号,p.1103~1109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の店舗を利用した利用者による当該店舗に対する評価の度合いを表す評価値と評価の内容を表す文章情報とを含む評価情報に基づいて、前記店舗毎に前記評価値を集計する集計手段と、
複数の前記店舗に対する前記評価情報に含まれる前記評価値の集計結果に基づいて、前記店舗を複数のグループに分類し、前記グループ毎に、当該グループに属する前記店舗に対する前記評価情報に含まれる前記文章情報から特定のキーワードを抽出して、前記グループ毎かつ前記キーワード毎に当該キーワードを含む前記評価情報の前記評価値を分析する分析手段と、
を備えた情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記分析手段は、前記グループ毎かつ前記キーワード毎に、当該キーワードを含む前記評価情報の前記評価値の値に基づいて当該評価情報を分類する、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムであって、
前記分析手段は、前記グループ毎かつ前記キーワード毎に、当該キーワードを含む前記評価情報の前記評価値に基づく当該評価情報の分類毎の割合を算出する、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記分析手段は、前記グループ毎かつ前記キーワード毎に、当該キーワードを含む前記評価情報の前記評価値の値が予め設定された閾値に対して高いか低いかを判定し、前記閾値に対して高い前記評価値の前記評価情報と前記閾値に対して低い前記評価値の前記評価情報とのそれぞれの割合を算出する、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記集計手段は、前記評価情報と、前記店舗の売上額を含む売上情報と、に基づいて、前記店舗毎に、前記評価情報に含まれる前記評価値から1つの評価集計値を算出し、前記売上情報に含まれる前記売上額から1つの売上集計値を算出し、
前記分析手段は、前記店舗毎の前記評価集計値と前記売上集計値とをそれぞれ座標軸とする座標空間における複数の前記店舗の分布に基づいて、前記店舗を複数のグループに分類する、
情報処理システム。
【請求項6】
情報処理装置が、
所定の店舗を利用した利用者による当該店舗に対する評価の度合いを表す評価値と評価の内容を表す文章情報とを含む評価情報に基づいて、前記店舗毎に前記評価値を集計し、
複数の前記店舗に対する前記評価情報に含まれる前記評価値の集計結果に基づいて、前記店舗を複数のグループに分類し、前記グループ毎に、当該グループに属する前記店舗に対する前記評価情報に含まれる前記文章情報から特定のキーワードを抽出して、前記グループ毎かつ前記キーワード毎に当該キーワードを含む前記評価情報の前記評価値を分析する、
情報処理方法。
【請求項7】
所定の店舗を利用した利用者による当該店舗に対する評価の度合いを表す評価値と評価の内容を表す文章情報とを含む評価情報に基づいて、前記店舗毎に前記評価値を集計し、
複数の前記店舗に対する前記評価情報に含まれる前記評価値の集計結果に基づいて、前記店舗を複数のグループに分類し、前記グループ毎に、当該グループに属する前記店舗に対する前記評価情報に含まれる前記文章情報から特定のキーワードを抽出して、前記グループ毎かつ前記キーワード毎に当該キーワードを含む前記評価情報の前記評価値を分析する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上のウェブサイトでは、事業者によって提供される商品・サービスの紹介情報が掲載されると共に、商品・サービスを利用した利用者によって投稿された意見や評価値を含む評価情報も掲載されている。例えば、検索サイト、予約サイト、口コミサイト、アンケートサイト、ウェブログ、SNS(Social Networking Service)などのウェブサイトで、評価情報が公開されている。
【0003】
このような評価情報は、商品・サービスの利用を検討している一般ユーザ側が参考にできる一方で、商品・サービスを提供する事業者側にとっても、今後の商品開発やサービス改善に向けて極めて重要な情報となる。このため、事業者側は、利用者の評価情報を収集して分析することを行っている。例えば、特許文献1では、ポジティブ評価情報及びネガティブ評価情報の数又は比率に基づいて評価スコアを算出し、かかる評価スコアを時系列の折れ線グラフで表すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-12615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の方法では、一店舗の評価情報を対象としており、複数の店舗の評価情報をまとめて分析することが困難である。また、店舗の評価情報に限らず、あらゆる商品・サービスの評価情報をまとめて分析することが困難である。その結果、利用者による評価情報のさらなる有効利用を図ることができない、という問題が生じる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、商品・サービスの評価情報のさらなる有効利用を図ることができない、ということを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である情報処理システムは、
所定の対象を利用した利用者による当該対象に対する評価の度合いを表す評価値を含む評価情報と、前記対象の売上額を含む売上情報と、を取得する取得手段と、
取得した前記評価情報及び前記売上情報に基づいて、前記対象毎に、前記評価値及び前記売上額を集計する集計手段と、
複数の前記対象に対する前記評価情報及び前記売上情報の集計結果を出力する出力手段と、
を備えた、
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の一形態である情報処理方法は、
所定の対象を利用した利用者による当該対象に対する評価の度合いを表す評価値を含む評価情報と、前記対象の売上額を含む売上情報と、を取得し、
取得した前記評価情報及び前記売上情報に基づいて、前記対象毎に、前記評価値及び前記売上額を集計し、
複数の前記対象に対する前記評価情報及び前記売上情報の集計結果を出力する、
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
所定の対象を利用した利用者による当該対象に対する評価の度合いを表す評価値を含む評価情報と、前記対象の売上額を含む売上情報と、を取得し、
取得した前記評価情報及び前記売上情報に基づいて、前記対象毎に、前記評価値及び前記売上額を集計し、
複数の前記対象に対する前記評価情報及び前記売上情報の集計結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のように構成されることにより、商品・サービスの評価情報をさらに有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1における情報処理システムの全体構成を示す図である。
図2図1に開示した管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図3図1に開示した管理サーバによる処理の様子を示す図である。
図4図1に開示した管理サーバによる処理の様子を示す図である。
図5図1に開示した管理サーバによる処理の様子を示す図である。
図6図1に開示した管理サーバによる処理の様子を示す図である。
図7図1に開示した管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図2は、情報処理システムの構成を説明するための図であり、図3乃至図7は、情報処理システムの処理動作を説明するための図である。
【0013】
[構成]
本発明における情報処理システムは、いわゆる口コミサイトと呼ばれる投稿サイトや検索サイトなどのウェブサイトに投稿された評価情報を集計して利用するためのものである。情報処理システムは、図1に示すように、ネットワークNを介して接続された、管理サーバ10と、投稿サイトサーバ20と、事業者端末30と、により構成される。以下、各構成について詳述する。
【0014】
投稿サイトサーバ20は、評価情報を公開するサービスを提供する事業者によって管理される情報処理装置であり、インターネット上で投稿サイトといったウェブサイトを開設している。本実施形態では、投稿サイトサーバ20が提供する投稿サイトでは、例えば、薬局や飲食店、美容院や宿泊施設などの店舗の情報を掲載すると共に、店舗を利用した利用者から投稿された評価情報を公開している。例えば、利用者から投稿され公開される評価情報は、利用者が店舗(対象)で受けたサービスや提供物に対する感想などの店舗に対する評価の内容を表す文章情報に加え、店舗に対する評価の度合いを表す数値化された評価値が含まれることとする。一例として、文章情報は、店舗が提供するサービスや提供物に関連するキーワードを含むことがあり、例えば、店舗が「薬局」である場合には、「処方箋」、「調剤」、「薬剤師」などがある。また、一例として、評価値は、「0~5」の値に設定されており、数値が大きくなるほど、評価の度合いが高いこととする。但し、評価値は、いかなる範囲の値で表されていてもよく、また、数値に限らず、いかなる情報で表されてもよい。
【0015】
また、評価情報は、時間情報を含む。例えば、時間情報は、利用者が店舗を利用した年月日や、利用者によって評価情報が投稿された年月日などの時間を表す情報である。そして、時間情報は、例えば、利用者によって投稿時に評価情報と共に入力されたり、投稿サイトサーバ20によって評価情報が投稿されたときに付与されるなどすることで、評価情報に含まれることとなる。
【0016】
なお、投稿サイトサーバ20が提供する投稿サイトで扱う評価情報は、薬局や飲食店、美容院や宿泊施設などの店舗に関する情報であることに限定されず、いかなる業種の店舗に関する情報であってもよく、商品やサービス(対象)に対する評価情報であってもよい。さらに、評価情報は、店舗や商品に関する情報であることにも限定されず、いかなる対象に対する情報であってもよい。
【0017】
また、投稿サイトサーバ20は1つであることに限定されず、複数の投稿サイトサーバ20が存在しており、それぞれが異なる投稿サイトを開設していてもよい。このため、同一の店舗に対する評価情報が、各投稿サイトサーバ20が開設するそれぞれの投稿サイトに投稿され公開されていてもよい。
【0018】
また、投稿サイトサーバ20は、必ずしも評価情報をウェブサイトなどで公開していることに限定されない。例えば、投稿サイトサーバ20は、アンケートサイトや決済サイトを開設し、利用者から評価情報を取得するだけであってもよい。
【0019】
事業者端末30は、店舗を運営する事業者において店舗の評価情報を分析する人物が操作する情報処理端末である。そして、事業者端末30は、管理サーバ10にアクセスして、後述するように管理サーバ10による店舗の評価情報の集計結果を表示して分析したり、管理サーバ10によって分析された情報を取得する。
【0020】
ここで、本実施形態では、店舗を運営する事業者は、複数の店舗を運営していることとする。例えば、事業者は、50店舗の店舗を運営していることとし、これらの店舗の評価情報の集計結果を分析する。但し、店舗を運営する事業者は、1店舗を運営しているだけであってもよく、自己の店舗と、他事業者の店舗と、を含む複数の店舗の評価情報の集計結果を分析してもよい。
【0021】
管理サーバ10は、演算装置と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。そして、管理サーバ10は、図2に示すように、取得部11、集計部12、出力部13、分析部14、を備える。取得部11、集計部12、出力部13、分析部14の各機能は、演算装置が記憶装置に格納された各機能を実現するためのプログラムを実行することにより実現することができる。また、管理サーバ10は、評価情報記憶部16、売上情報記憶部17を備える。評価情報記憶部16及び売上情報記憶部17は、記憶装置により構成される。以下、各構成について詳述する。
【0022】
取得部11(取得手段)は、投稿サイトサーバ20にアクセスして、各投稿サイトでそれぞれ公開されている評価情報を取得して、評価情報記憶部16に記憶する。このとき、取得部11は、店舗ごとに区別して、かかる店舗に対する評価情報を投稿サイトサーバ20から取得して評価情報記憶部16に記憶する。また、このとき、店舗ごとの評価情報の数は、通常は複数の数となるが、投稿数が少ない場合には、0や1の数となる場合もある。なお、投稿サイトサーバ20が複数存在している場合には、各投稿サイトサーバ20からそれぞれ店舗ごとに評価情報を取得する。
【0023】
ここで、本実施形態では、同一の事業者によって複数の店舗が運営されていることとなるが、この場合、取得部11は、複数の店舗が関連付けられた店舗グループを予め記憶している。このため、取得部11は、店舗グループを形成する複数の店舗それぞれに対応する評価情報を投稿サイトサーバ20から取得して、取得した評価情報を、複数の店舗の店舗グループでまとめて評価情報記憶部16に記憶する。
【0024】
また、取得部11は、事業者端末30からアクセスを受けて、当該事業者端末30から入力された各店舗の売上額を含む売上情報を取得して、売上情報記憶部17に記憶する。このとき、取得部11は、店舗ごとに区別して、かかる店舗における売上情報を取得して売上情報記憶部17に記憶する。売上情報は、各店舗において売上額の金額を売り上げた期間を表す時間情報を含む。例えば、時間情報は、1日単位、月単位、四半期単位、年単位など、いかなる期間であってもよい。本実施形態では、取得部11は、店舗グループを形成する複数の店舗の売上情報を1つの事業者端末30から取得してもよく、複数の異なる事業者端末30から取得してもよい。但し、取得部11は、いかなる方法にて店舗の売上情報を取得してもよい。
【0025】
集計部12(集計手段)は、評価情報記憶部16に記憶されている評価情報を集計する。例えば、集計部12は、所定の店舗グループを構成している複数の店舗の評価情報に対して、期間ごと、かつ、店舗ごとに、評価情報に含まれる評価値を集計する。具体的に、集計部12は、まず、評価情報内の時間情報に基づいて、集計対象となる予め設定された期間(第1期間)、例えば、直近の1年間である対象期間(ここでは、一例として、「2021年1月1日から2021年12月31日」とする。)における評価情報を抽出する。そして、集計部12は、対象期間の評価情報のみを対象として、店舗ごとに、数値で表されている評価値の平均値を算出し、評価集計値として算出する。これにより、対象期間において、1店舗につき1つの評価集計値が生成されることとなる。但し、評価集計値は、店舗ごとの評価値の平均値であることに限定されず、店舗ごとの評価値の最頻出値や、店舗ごとの評価値からランダムに抽出した評価値の平均値など、いかなる方法で集計した値であってもよい。
【0026】
また、集計部12は、売上情報記憶部17に記憶されている売上情報を集計する。例えば、集計部12は、所定の店舗グループを構成している複数の店舗の売上情報に対して、期間ごと、かつ、店舗ごとに、売上情報に含まれる売上額を集計し、期間の変化による売上額の変化を集計する。具体的に、集計部12は、まず、売上情報内の時間情報に基づいて、集計対象となる予め設定された期間(第1期間)、例えば、直近の1年間である対象期間(ここでは、一例として、「2021年1月1日から2021年12月31日」とする。)における売上情報を抽出する。そして、集計部12は、対象期間の売上情報のみを対象として、店舗ごとに、売上額の合計値を算出し、対象期間の売上額として算出する。さらに、集計部12は、売上情報内の時間情報に基づいて、上述した集計対象とした対象期間(第1期間)に対して比較対象となる予め設定された期間(第2期間)、例えば、直近の1年間である対象期間よりもさらに過去1年前の期間であり、対象期間に月日が対応する1年間である比較期間(ここでは、一例として、「2020年1月1日から2020年12月31日」とする。)における売上情報を抽出する。そして、集計部12は、比較期間の売上情報のみを対象として、店舗ごとに、売上額の合計値を算出し、比較期間の売上額として算出する。
【0027】
さらに、集計部12は、対象期間の売上額と、比較期間の売上額と、を比較する。ここでは、比較期間の売上額に対する対象期間の売上額の割合、つまり、対象期間の売上額を比較期間の売上額で割った値を算出し、かかる割合の値を売上集計値として算出する。例えば、対象期間と比較期間との売上額が同一である場合には、売上集計値は1.00倍(100%)と算出し、対象期間の売上額が140万円であり、対象期間の売上額が100万円であった場合には、売上集計値は1.40倍(140%)と算出する。このように、集計部12は、店舗毎に、設定された期間において、昨対売上比を算出することで、1店舗につき1つの売上集計値が生成されることとなる。なお、上記の例では、年単位の昨対売上比を算出しているが、例えば、対象期間が四半期に設定されている場合には、四半期単位で昨対売上比を算出してもよく、対象期間が月に設定されている場合には、月単位で昨対売上比を算出してもよく、いかなる期間で算出してもよい。また、売上集計値の値は、上記のように倍数や%で表してもよく、他の単位で表してもよい。
【0028】
出力部13(出力手段)は、上述したように集計部12にて集計した集計結果を、事業者端末30に表示するよう出力する。具体的に、出力部13は、図3に示すように、縦軸に評価集計値、横軸に売上集計値、が設定された座標空間(座標平面)上において、各店舗の評価集計値と売上集計値とに対応する座標に黒丸印をプロットすることで、座標平面上に各店舗の分布を表示する。なお、図3における縦軸の「平均値」は、全ての店舗に対する評価値の平均値を示しており、評価値が高い店舗ほど上側に位置してプロットされる。また、図3における横軸の「1.0」は、売上集計値である昨対売上比が「1.0」の値、つまり、対象期間と比較期間とで売上額が同一である場合を示しており、比較期間に対して対象期間の売上額が増加した店舗ほど、右側に位置してプロットされる。
【0029】
分析部14(分析手段)は、上述したように座標平面上にプロットした各店舗の分布、つまり、各店舗の評価集計値及び売上集計値に基づいて、各店舗を複数のグループに分類する。一例として、分析部14は、図4に示すように、評価集計値及び売上集計値に基づいて、評価集計値が平均値よりも高く、売上集計値が1.0よりも高いグループA、評価集計値が平均値よりも低く、売上集計値が1.0よりも低い店舗からなるグループB、といった2つのグループに各店舗を分類する。但し、分析部14は、いかなる基準でグループを設定して各店舗を分類してもよく、分類するグループの数は2つ以上であってもよい。このとき、分析部14は、図5に示すように、各店舗のプロットの近似直線を生成してもよく、評価集計値及び売上集計値に加え、近似直線に対する距離にも基づいて、グループを設定して店舗を分類してもよい。
【0030】
ここで、図5に示す近似直線を見ると、評価集計値の値が大きくなるほど、売上集計値の値が大きくなっている。このことから、図5の矢印に示すように、評価集計値及び売上集計値が高いグループAに属する店舗における評価情報を参照して、当該グループAの店舗の運営、接客、施策、ノウハウなどの情報をグループBの店舗に提供することで、グループBに属する店舗の売上額の増加を図ることができると考えられる。あるいは、評価情報を参照することで、グループAに属する店舗とグループBに属する店舗との相違点を特定できるとも考えられ、特定した相違点からグループBの店舗の改善を図り、売上額の増加を図ることができるとも考えられる。このような考え方から、分析部14は、以下のように、各グループに属する店舗に関する情報を抽出して分析する機能を有する。
【0031】
まず、一例として、分析部14は、グループAとグループBといった異なるグループ間で、各グループに属する店舗に対する評価情報を比較する。この場合、分析部14は、まず上述したように分類したグループA及びグループBを選定し、各グループに属する店舗に対する評価情報を抽出する。そして、分析部14は、各評価情報に含まれる文章情報と評価値とを抽出し、文章情報から予め設定されたキーワードを抽出する。本実施形態では、店舗が「薬局」であるため、例えば「処方箋」、「調剤」、「薬剤師」をキーワードとする。そして、分析部14は、グループ毎、及び、キーワード毎に、かかるキーワードを含む評価情報の評価値を分析する。例えば、評価値に対する閾値を予め設定しておき、閾値以上を評価が高い、閾値未満を評価が低い、と判定し、キーワード毎における高い評価値と低い評価値との割合を算出する。
【0032】
ここで、図5に、グループ間で評価情報を比較した例を示す。この図においては、まずグループAに属する店舗に対する評価情報が1271件抽出され、グループBに属する店舗に対する評価情報が1146件抽出されている。そして、グループA、グループBで区別して、各評価情報の文章情報から、「処方箋」、「調剤」、「薬剤師」のキーワードが含まれる評価情報を抽出し、キーワード毎に評価情報の評価値が閾値に対して高いか低いかを判定し、その割合を算出する。図5の例では、キーワード「処方箋」については、グループAに属する店舗に対する評価情報では、高い評価値が83%、低い評価値が17%であり、グループBに属する店舗に対する評価情報では、高い評価値が79%、低い評価値が21%である。そして、キーワード「処方箋」についてグループAとグループBとの評価を比較すると、高い評価値と低い評価値との割合が同程度であることがわかる。一方で、キーワード「薬剤師」については、グループAに属する店舗に対する評価情報では、高い評価値が75%、低い評価値が25%であり、グループBに属する店舗に対する評価情報では、高い評価値が29%、低い評価値が71%である。そして、キーワード「薬剤師」についてグループAとグループBとの評価を比較すると、高い評価値と低い評価値との割合が正反対であることがわかる。つまり、グループAの店舗に対してキーワード「薬剤師」が含まれる評価値は高い傾向にあるが、グループBの店舗に対してキーワード「薬剤師」が含まれる評価値は低い傾向にあることがわかる。このため、分析部14は、キーワード「薬剤師」を含む評価情報を抽出して、事業者端末30に出力する。これにより、事業者側は、グループAに属する店舗に対するキーワード「薬剤師」を含む評価情報と、グループBに属する店舗に対するキーワード「薬剤師」を含む評価情報と、を比較してその相違点を分析することで、グループBに属する店舗の運営の改善に利用することができる。
【0033】
なお、上述した図5の例では、分析部14が、グループ間において、文章情報に同一のキーワードが含まれる評価情報の評価値を比較しているが、キーワードが完全同一ではなく、同一の意味のキーワードが含まれる評価情報の評価値をグループ間で比較してもよい。また、文章情報内のキーワードが同一文字あるいは同一意味であるという基準を満たすことに限定されず、文章情報が予め設定された何らかの基準を満たす場合に、かかる文章情報を含む評価情報の評価値を、グループ間で比較してもよい。
【0034】
なお、分析部14は、3つ以上のグループそれぞれの評価情報を抽出し、3つ以上のグループ間の評価情報を比較してもよい。また、分析部14は、分類されたグループのうち、最も評価が高いグループや最も評価が低いグループなど、所定のグループに属する店舗の評価情報を抽出して、事業者側に提示するよう出力してもよい。また、分析部14は、分類されたグループのうち所定のグループに属する店舗に関する評価情報以外の情報を抽出してもよい。例えば、分析部14は、最も評価が高いグループに属する店舗に関連付けられて予め登録されている運営情報、例えば、接客方法、仕入方法、価格設定方法、ノウハウ、などの情報を抽出して、事業者側に提示してもよい。
【0035】
[動作]
次に、上述した情報処理システムの動作、特に管理サーバ10の動作を、主に図7フローチャートを参照して説明する。
【0036】
まず、投稿サイトサーバ20には、投稿サイトに店舗に関する評価情報が利用者から投稿されて公開されており、一般ユーザから閲覧可能となっている。
【0037】
管理サーバ10は、定期的に、あるいは、任意のタイミングで、投稿サイトサーバ20から各投稿サイトで公開されている評価情報を取得する(ステップS1)。そして、管理サーバ10は、投稿サイトサーバ20から取得した評価情報を、店舗グループごと、かつ、店舗ごとに記憶しておく。
【0038】
その後、管理サーバ10は、事業者端末30からの指示に応じて評価情報の集計を行う(ステップS2)。まず、管理サーバ10は、店舗ごとに、対象期間の評価値を集計し、例えば平均値を評価集計値として算出する。また、管理サーバ10は、店舗毎に、対象期間と比較期間との売上額を算出し、対象期間の比較期間に対する売上額の割合である売上集計値を算出する。
【0039】
そして、管理サーバ10は、事業者端末30からの指示に応じて、評価情報の集計結果を、事業者端末30に表示するよう出力する(ステップS3)。例えば、管理サーバ10は、事業者端末30に対して、図3に示すように、評価集計値と売上集計値とをそれぞれ座標軸とする座標平面上における各店舗の分布を表示する。
【0040】
その後、管理サーバ10は、事業者端末30からの指示に応じて、上述したように集計して座標平面上にプロットした各店舗の分布、つまり、各店舗の評価集計値及び売上集計値に基づいて、店舗を複数のグループに分類する(ステップS4)。例えば、図4に示すように、評価及び売上が高いグループAと、評価及び売上が低いグループBと、に各店舗を分類する。さらに、管理サーバ10は、グループ毎に区別して、グループに属する店舗に関連付けられた情報を抽出する(ステップS5)。例えば、店舗に予め関連付けられた運営情報を抽出したり、店舗に対する評価情報を抽出する。そして、管理サーバ10は、グループ毎に抽出した情報を事業者側に提示したり、さらにグループ間で抽出した情報を比較して分析し、分析結果を事業者側に提供する。
【0041】
以上のように、本発明では、複数の店舗(対象)に対する評価情報と売上情報から、評価値と売上額とを集計して、集計結果を出力している。このため、事業者としては、複数の店舗に対する評価と売上との相関関係の分布を得ることができ、今後の売上の改善の参考にすることができる。その結果、評価情報のさらなる有効利用を図ることができる。
【0042】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、上述した取得部11、集計部12、出力部13、分析部14、評価情報記憶部16、売上情報記憶部17の機能のうちの少なくとも一以上の機能は、ネットワーク上のいかなる場所に設置され接続された情報処理装置で実行されてもよく、つまり、いわゆるクラウドコンピューティングで実行されてもよい。
【0043】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0044】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における情報処理システム、情報処理方法、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
所定の対象を利用した利用者による当該対象に対する評価の度合いを表す評価値を含む評価情報と、前記対象の売上額を含む売上情報と、を取得する取得手段と、
取得した前記評価情報及び前記売上情報に基づいて、前記対象毎に、前記評価値及び前記売上額を集計する集計手段と、
複数の前記対象に対する前記評価情報及び前記売上情報の集計結果を出力する出力手段と、
を備えた情報処理システム。
(付記2)
付記1に記載の情報処理システムであって、
前記集計手段は、前記対象毎に、複数の前記評価情報に含まれる前記評価値に基づいて1つの評価集計値を算出し、複数の前記売上情報に含まれる前記売上額に基づいて1つの売上集計値を算出し、
前記出力手段は、前記対象毎の前記評価集計値と前記売上集計値とを表示するよう出力する、
情報処理システム。
(付記3)
付記2に記載の情報処理システムであって、
前記集計手段は、前記対象毎に、予め設定された期間である第1期間における前記評価情報に含まれる前記評価値に基づいて前記評価集計値を算出し、前記第1期間における前記売上情報に含まれる前記売上額と前記第1期間とは異なる期間である第2期間における前記売上情報に含まれる前記売上額とに基づいて前記売上集計値を算出する、
情報処理システム。
(付記4)
付記3に記載の情報処理システムであって、
前記集計手段は、前記対象毎に、前記第1期間における前記売上額の、当該第1期間に対して過去の期間であり予め設定された基準により当該第1期間に対応する前記第2期間における前記売上額に対する割合、を前記売上集計値として算出する、
情報処理システム。
(付記5)
付記2に記載の情報処理システムであって、
前記出力手段は、前記評価集計値と前記売上集計値とをそれぞれ座標軸とする座標空間に、複数の前記対象の分布を表示するよう出力する、
情報処理システム。
(付記6)
付記5に記載の情報処理システムであって、
前記分布に基づいて前記対象を複数のグループに分類し、所定の前記グループに属する前記対象に関する所定の情報を抽出する分析手段を備えた、
情報処理システム。
(付記7)
付記6に記載の情報処理システムであって、
前記分析手段は、分類した前記グループから少なくとも2つの前記グループを選定し、選定した前記グループに属する前記対象に対する前記評価情報を抽出し、異なる前記グループ間で抽出した前記評価情報を比較する、
情報処理システム。
(付記8)
付記7に記載の情報処理システムであって、
前記取得手段は、前記利用者による前記対象に対する評価の内容を表す文章情報を含む前記評価情報を取得し、
前記分析手段は、選定した前記グループに属する前記対象に対する前記評価情報に含まれる前記文章情報と前記評価値とを抽出し、異なる前記グループ間で、予め設定された基準を満たす前記文章情報を含む前記評価情報の前記評価値を比較する、
情報処理システム。
(付記9)
所定の対象を利用した利用者による当該対象に対する評価の度合いを表す評価値を含む評価情報と、前記対象の売上額を含む売上情報と、を取得し、
取得した前記評価情報及び前記売上情報に基づいて、前記対象毎に、前記評価値及び前記売上額を集計し、
複数の前記対象に対する前記評価情報及び前記売上情報の集計結果を出力する、
情報処理方法。
(付記9.1)
付記9に記載の情報処理方法であって、
前記対象毎に、複数の前記評価情報に含まれる前記評価値に基づいて1つの評価集計値を算出し、複数の前記売上情報に含まれる前記売上額に基づいて1つの売上集計値を算出し、
前記対象毎の前記評価集計値と前記売上集計値とを表示するよう出力する、
情報処理方法。
(付記9.2)
付記9.1に記載の情報処理方法であって、
前記評価集計値と前記売上集計値とをそれぞれ座標軸とする座標空間に、複数の前記対象の分布を表示するよう出力する、
情報処理方法。
(付記9.3)
付記9.2に記載の情報処理方法であって、
前記分布に基づいて前記対象を複数のグループに分類し、所定の前記グループに属する前記対象に関する所定の情報を抽出する、
情報処理方法。
(付記10)
所定の対象を利用した利用者による当該対象に対する評価の度合いを表す評価値を含む評価情報と、前記対象の売上額を含む売上情報と、を取得し、
取得した前記評価情報及び前記売上情報に基づいて、前記対象毎に、前記評価値及び前記売上額を集計し、
複数の前記対象に対する前記評価情報及び前記売上情報の集計結果を出力する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0045】
10 管理サーバ
11 取得部
12 集計部
13 出力部
14 分析部
16 評価情報記憶部
17 売上情報記憶部
20 投稿サイトサーバ
30 事業者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7