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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20231220BHJP
   F24F 11/42 20180101ALI20231220BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F24F11/41 220
F24F11/42
F25B47/02 550R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018117992
(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公開番号】P2019219129
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-03-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松浦 雄司
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-185960(JP,U)
【文献】実開昭60-016951(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/41
F24F 11/42
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方向及び逆方向に回転するファンと、
前記ファンの正回転状態における風上側に設けられた熱交換器と、
前記熱交換器に霜が付着した場合に、前記霜を融解させる除霜運転を開始させると共に、前記除霜運転終了前及び前記除霜運転終了後に、前記ファンを逆回転するように制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記除霜運転開始から第1所定時間が経過した時から、前記除霜運転終了から第2所定時間が経過するまでの間、前記ファンを逆回転するように制御する空気調和装置。
【請求項2】
正方向及び逆方向に回転するファンと、
前記ファンの正回転状態における風上側に設けられた熱交換器と、
前記熱交換器に霜が付着した場合に、前記霜を融解させる除霜運転を開始させると共に、前記除霜運転終了前及び前記除霜運転終了後に、前記ファンを逆回転するように制御する制御部と、
前記熱交換器の温度を検出する熱交換器温度センサと、を含み、
前記制御部は、前記熱交換器温度センサが検出した温度が第1所定温度以上になった時から、前記除霜運転終了から第2所定時間が経過するまでの間、前記ファンを逆回転するように制御する空気調和装置。
【請求項3】
前記第1所定温度が0℃~10℃である請求項2記載の空気調和装置。
【請求項4】
正方向及び逆方向に回転するファンと、
前記ファンの正回転状態における風上側に設けられた熱交換器と、
前記熱交換器に霜が付着した場合に、前記霜を融解させる除霜運転を開始させると共に、前記除霜運転終了前及び前記除霜運転終了後に、前記ファンを逆回転するように制御する制御部と、
外気温度を検出する外気温度センサと、を含み、
前記制御部は、前記除霜運転開始から第1所定時間が経過した時、又は前記熱交換器の温度を検出する熱交換器温度センサが検出した温度が第1所定温度以上になった時、かつ、前記外気温度センサが検出した温度が第2所定温度未満である時に、前記除霜運転終了から第2所定時間が経過するまでの間、前記ファンを逆回転するように制御する空気調和装置。
【請求項5】
前記第2所定温度が0℃である請求項記載の空気調和装置。
【請求項6】
正方向及び逆方向に回転するファンと、
前記ファンの正回転状態における風上側に設けられた熱交換器と、
前記熱交換器に霜が付着した場合に、前記霜を融解させる除霜運転を開始させると共に、前記除霜運転終了前及び前記除霜運転終了後に、前記ファンを逆回転するように制御する制御部と、を含み、
前記制御部が前記ファンを逆回転する時間が、前記除霜運転終了前の時間が前記除霜運転終了後の時間よりも長い空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置では、室外機に設けられた熱交換器の着霜が懸念される運転状態においては、一時的に冷房運転を行って除霜を行うのが一般的である(リバース除霜)。リバース除霜中、熱交換器に付着していた霜は高温の冷媒ガスの熱により溶かされて水(以下、ドレン水ともいう)となり、底板(以下、ドレンパンともいう)に設けられた孔部から室外機の外へ排出される。この除霜の際には、熱交換器に供給される高温の冷媒ガスの熱が外気に奪われないようにするため、ファンを停止させておく技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-183335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、除霜運転により発生したドレン水が底板に設けられた孔部からうまく排出されなかった場合、暖房運転の再開により動き出したファンの通常方向の風の流れにより、ドレンパンの上に溜まったドレン水が孔部の方向と反対方向に流されてしまい、室外機の内部に溜まってしまう場合があった。
【0005】
かかる課題に鑑みて、従来技術に比較して本発明は、例えば、除霜終了前及び除霜終了後にドレン水に逆方向の風を与えることにより、室外機の内部に溜まったドレン水が孔部やドレンパン背面(風上側)から排出することを促進し、室外機の内部にドレン水がより溜まらないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気調和装置は、正方向及び逆方向に回転するファンと、前記ファンの正回転状態における風上側に設けられた熱交換器と、前記熱交換器に霜が付着した場合に、前記霜を融解させる除霜運転を開始させると共に、前記除霜運転終了前及び前記除霜運転終了後に、前記ファンを逆回転するように制御する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の空気調和装置の制御方法は、正方向及び逆方向に回転するファンと、前記ファンの正回転状態における風上側に設けられた熱交換器と、を含む空気調和装置の制御方法において、前記熱交換器に霜が付着した場合に、前記霜を融解させる除霜運転を開始させると共に、前記除霜運転終了前及び前記除霜運転終了後に、前記ファンを逆回転させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の構成図である。
図2図1の空気調和装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図3図1の空気調和装置の室外機の内部を示す斜視図である。
図4図1の空気調和装置の室外機の底板を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1のフローの一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1のタイムチャートの一例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態2のフローの一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態2のタイムチャートの一例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態3のフローの一例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態3のタイムチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置の構成図である。空気調和装置1は、室外機2と室内機3とを含み、配管4を通じて冷媒の流出入が可能なように互いに接続されている。室外機2側の配管4と室内機3側の配管4とは、二方弁4a及び三方弁4bを介して互いに接続されている。室外機2は、圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、膨張弁14、室外ファン15を含み、室内機3は、室内熱交換器16、室内ファン17を含む。室外ファン15は、室外ファン15を正回転方向及び逆回転方向に駆動させるファンモータ15a(図3)を備える。
【0011】
図1において、点線矢印は暖房運転時に冷媒が流れる方向を示し、実線矢印は除霜運転時に冷媒が流れる方向を示している。暖房運転時において、冷媒は、圧縮機11、四方弁12、室内熱交換器16、膨張弁14、室外熱交換器13、四方弁12の順に流れ、再び圧縮機11に戻る。除霜運転時において、冷媒は、圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、膨張弁14、室内熱交換器16、四方弁12の順に流れ、再び圧縮機11に戻る。
【0012】
以上の構成の他に、室外機2は、室外熱交換器13の温度を検出する熱交換器温度センサ18、外気温度を検出する外気温度センサ19を含む。両センサは、例えばサーミスタで構成される。また、室外機2は、両センサによって検出された温度等に基づいてファンモータ15a等を制御する制御部100を含む。
【0013】
図2は、図1の空気調和装置の制御部の構成を示すブロック図である。制御部100は、例えばマイコンによって構成され、演算部101、記憶部102、通信部103、センサ入力部104、タイマー105を含む。演算部101は、例えばMPUやCPUで構成される。
【0014】
記憶部102は、ROMやRAMで構成され、室外機2の制御プログラム、熱交換器温度センサ18及び外気温度センサ18を含む各種センサからの検出信号に対応した検出値、空調運転に関する設定情報等を記憶する。通信部103は、演算部101からの指令を受け、圧縮機11、四方弁12、膨張弁14、室外ファン15等の外部機器を駆動制御するための信号を送受信する。この通信は有線であっても無線であってもよい。センサ入力部104は、熱交換器温度センサ18及び外気温度センサ18を含む各種センサからの検出信号を取り込み、デジタルデータに変換して検出値として演算部101に出力する。タイマー105は、計測機能を有しており、除霜運転を開始してからの経過時間、除霜運転を終了してからの経過時間等を計測する。なお、上記構成は一例であって、これに限定されるものではない。制御部100は、室外熱交換器13に霜が付着した場合に、この霜を融解させる除霜運転を行わせると共に、この除霜運転終了前及び除霜運転終了後に、室外ファン15を逆回転するように制御する。なお、制御部100の詳細については、図5を用いて説明する。
【0015】
図3は、図1の空気調和装置の室外機の内部を示す斜視図である。なお、本明細書中の説明では、図3に示す座標軸に従って、室外機2の左右、前後、上下の各方向を指示する。各部品の方向も図3に示す座標軸に従って説明する。
【0016】
図3に示すように、室外機2は、圧縮機11等が設けられている機械室21と、室外熱交換器13、室外ファン15、ファンモータ15a等が設けられているファン室22とから構成されている。機械室21とファン室22とは、セパレータ23によって隔てられている。
【0017】
室外熱交換器13は、室外機2の左側面から背面にかけて、室外機2の周縁に沿って設けられている。室外ファン15は、室外熱交換器13よりも前方に設けられており、正逆回転可能なモータ15aを備える。室外ファン15は、正回転時においては、室外機2の背面側から室外機2の内部に外気を取り込み、室外機2の正面側から外気を放出する。したがって、室外ファン15による外気の流れ方向において、正回転時では、室外機2の背面側が風上側となり、正面側が風下側となる。これに対し、逆回転時ではこの逆となり、室外機2の正面側が風上側となり、背面側が風下側となる。なお、本明細書中の説明で、風上又は風下の語を用いることがあるが、この場合の風上又は風下は、正回転時における意味で用いる。
【0018】
図4は、図1の空気調和装置の室外機の底板を示す斜視図である。室外機2の底板は、室外熱交換器13から滴下したドレン水を受けるドレンパン24を構成する。ドレンパン24には、複数の孔部25が、室外機2の左側面から背面にかけて、室外機2の周縁に沿って設けられている。すなわち、各孔部25は、室外熱交換器13の下方に設けられている。室外熱交換器13からドレンパン24上に滴下したドレン水は、この孔部25を通じて室外機2の外部へ排出される。
【0019】
次に、本発明の実施の形態1の処理の流れについて説明する。
【0020】
図5は、本発明の実施の形態1のフローの一例を示す図である。図5は、暖房運転中に室外熱交換器13の着霜が検出されたため除霜運転に切り替えられ、その後、暖房運転が再開されるまでの手順を示している。図6は、本発明の実施の形態1のタイムチャートの一例を示す図である。図6は、横軸に空気調和装置1の運転時間を示し、縦軸に、上段は圧縮機11の回転数を示し、下段は室外ファン15の回転数を示している。なお、以下の説明中で、例えば、(t1)の記載は図6の横軸上のt1の時点を示し、(t1-t2)の記載は図6の横軸上のt1からt2までの時間を示している。
【0021】
ステップS101において、制御部100は、室外熱交換器13が着霜したか否かを判定する。具体的には、熱交換器温度センサ18の検出値が、外気温度センサ19の検出値に基づいて予め設定された基準値以下である状態が、所定時間(例えば2分間)持続したか否かを判定する。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が基準値以下である状態が所定時間持続したと判定したときはステップS102に進み、熱交換器温度センサ18の検出値が基準値以下である状態が所定時間持続していないと判定したときはステップS101の判定処理を再度行う。なお、上記判定方法は、室外熱交換器13が着霜したか否かを判定する方法の一例であって、これに限定されるものではない。
【0022】
ステップS102において、制御部100は、除霜運転を開始する。具体的には、制御部100は、一旦圧縮機11を停止させて四方弁12を切り替える(t1)。このとき、制御部100は、正回転していた室外ファン15の回転を停止させる(t1)。そして、制御部100は、四方弁12に切り替え指示を与えた後、圧縮機11を再起動させる(t2)。除霜運転を開始すると、制御部100は、除霜運転開始時点(t2)からの経過時間をカウントする。
【0023】
ステップS103において、制御部100は、除霜運転開始時点(t2)から第1所定時間を経過したか否かを判定する。第1所定時間は、室外熱交換器13に付着した霜が融解して水に変化する時間として、予め実験を行うなどして設定された時間であり、例えば1分である。制御部100は、除霜運転を開始してから第1所定時間を経過したと判定したときはステップS104に進み、経過していないと判定したときはステップS103の判定処理を再度行う。
【0024】
ステップS104において、制御部100は、回転を停止していた室外ファン15を、逆回転させる(t3)。
【0025】
ステップS105において、制御部100は、室外熱交換器13に付着した霜が除去された否かを判定する。具体的には、熱交換器温度センサ18の検出値が、予め設定された除霜終了温度以上であるか否かを判定する。この除霜終了温度は、室外熱交換器13に付着した霜が融解して除去される温度として、予め実験を行うなどして設定された温度であり、例えば10℃である。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度以上であると判定したときはステップS106に進み、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度未満であると判定したときはステップS105の判定処理を再度行う。
【0026】
ステップS106において、制御部100は、除霜運転を終了させる。具体的には、制御部100は、一旦圧縮機11を停止させて四方弁12を切り替える(t4)。このとき、逆回転している室外ファン15は、そのまま逆回転を継続する。除霜運転を終了すると、制御部100は、除霜運転終了時点(t4)からの経過時間をカウントする。
【0027】
ステップS107において、制御部100は、除霜運転終了時点(t4)から第2所定時間を経過したか否かを判定する。第2所定時間は、除霜運転中に室外機2の外部へ排出されずに除霜終了後まで室外機2の内部に残存するドレン水に対して、室外機2の外部へ排出すべく、室外ファン15の逆方向の送風を与え続けるのに適した時間として、予め実験を行うなどして設定された時間であり、例えば1分である。制御部100は、除霜運転を終了してから第2所定時間を経過したと判定したときはステップS108に進み、経過していないと判定したときはステップS107の判定処理を再度行う。
【0028】
ステップS108において、制御部100は、逆回転していた室外ファン15の回転を停止させる(t5)。その後、制御部100は、四方弁12に切り替え指示を与えた後、圧縮機11を再起動させると共に室外ファン15を正回転させて(t6)、ステップS101に戻る。
【0029】
本実施形態は、室外ファン15を逆回転させる時点を、除霜運転開始時からの経過時間に基づいて設定するものである。これにより、除霜による融解開始当初に発生したドレン水から除霜終了後に発生したドレン水に至るまで、室外ファン15の逆方向の風を与えることができるので、室外機2の内部にドレン水が溜まらないようにすることができる。
【0030】
次に、本発明の実施の形態2の処理の流れについて説明する。
【0031】
図7は、本発明の実施の形態2のフローの一例を示す図である。図7は、暖房運転中に室外熱交換器13の着霜が検出されたため除霜運転に切り替えられ、その後、暖房運転が再開されるまでの手順を示している。図8は、本発明の実施の形態2のタイムチャートの一例を示す図である。図8は、横軸に空気調和装置1の運転時間を示し、縦軸に、上段は圧縮機11の回転数を示し、中段は室外ファン15の回転数を示し、下段は熱交換器温度センサ18の検出値を示している。なお、以下の説明中で、例えば、(t1)の記載は図8の横軸上のt1の時点を示し、(t1-t2)の記載は図8の横軸上のt1からt2までの時間を示している。
【0032】
ステップS101と同様に、ステップS201において、制御部100は、室外熱交換器13が着霜したか否かを判定する。具体的には、熱交換器温度センサ18の検出値が、外気温度センサ19の検出値に基づいて予め設定された基準値以下である状態が、所定時間(例えば2分間)持続したか否かを判定する。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が基準値以下である状態が所定時間持続したと判定したときはステップS202に進み、熱交換器温度センサ18の検出値が基準値以下である状態が所定時間持続していないと判定したときはステップS201の判定処理を再度行う。なお、上記判定方法は、室外熱交換器13が着霜したか否かを判定する方法の一例であって、これに限定されるものではない。
【0033】
ステップS102と同様に、ステップS202において、制御部100は、除霜運転を開始する。具体的には、制御部100は、一旦圧縮機11を停止させて四方弁12を切り替える(t1)。このとき、制御部100は、正回転していた室外ファン15の回転を停止させる(t1)。そして、制御部100は、四方弁12に切り替え指示を与えた後、圧縮機11を再起動させる(t2)。除霜運転を開始すると、制御部100は、除霜運転開始時点(t2)からの経過時間をカウントする。
【0034】
ステップS103と異なり、ステップS203において、制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が、第1所定温度以上であるか否かを判定する。第1所定温度は、室外熱交換器13に付着した霜がドレン水に変化する温度として、予め実験を行うなどして設定された温度であり、0℃~10℃の範囲内で例えば5℃である。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が第1所定温度以上であると判定したときはステップS204に進み、第1所定温度未満であると判定したときはステップS203の判定処理を再度行う。
【0035】
ステップS104と同様に、ステップS204において、制御部100は、回転を停止していた室外ファン15を、逆回転させる(t3)。
【0036】
ステップS105と同様に、ステップS205において、制御部100は、室外熱交換器13に付着した霜が除去された否かを判定する。具体的には、熱交換器温度センサ18の検出値が、予め設定された除霜終了温度以上であるか否かを判定する。この除霜終了温度は、室外熱交換器13に付着した霜が融解して除去される温度として、予め実験を行うなどして設定された温度であり、例えば10℃である。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度以上であると判定したときはステップS206に進み、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度未満であると判定したときはステップS205の判定処理を再度行う。
【0037】
ステップS106と同様に、ステップS206において、制御部100は、除霜運転を終了させる。具体的には、制御部100は、一旦圧縮機11を停止させて四方弁12を切り替える(t4)。このとき、逆回転している室外ファン15は、そのまま逆回転を継続する。除霜運転を終了すると、制御部100は、除霜運転終了時点(t4)からの経過時間をカウントする。
【0038】
ステップS107と同様に、ステップS207において、制御部100は、除霜運転終了時点(t4)から第2所定時間を経過したか否かを判定する。第2所定時間は、除霜運転中に室外機2の外部へ排出されずに除霜終了後まで室外機2の内部に残存するドレン水に対して、室外機2の外部へ排出すべく、室外ファン15の逆方向の送風を与え続けるのに適した時間として、予め実験を行うなどして設定された時間であり、例えば1分である。制御部100は、除霜運転を終了してから第2所定時間を経過したと判定したときはステップS208に進み、経過していないと判定したときはステップS207の判定処理を再度行う。
【0039】
ステップS108と同様に、ステップS208において、制御部100は、逆回転していた室外ファン15の回転を停止させる(t5)。その後、制御部100は、四方弁12に切り替え指示を与えた後、圧縮機11を再起動させると共に室外ファン15を正回転させて(t6)、ステップS201に戻る。
【0040】
本実施形態は、室外ファン15を逆回転させる時点を、熱交換器温度センサ18の検出値に基づいて設定するものである。これにより、除霜による融解開始当初に発生したドレン水から除霜終了後に発生したドレン水に至るまで、室外ファン15の逆方向の風を与えることができるので、室外機2の内部にドレン水が溜まらないようにすることができる。
【0041】
次に、本発明の実施の形態3の処理の流れについて説明する。
【0042】
図9は、本発明の実施の形態3のフローの一例を示す図である。図9は、暖房運転中に室外熱交換器13の着霜が検出されたため除霜運転に切り替えられ、その後、暖房運転が再開されるまでの手順を示している。図10は、本発明の実施の形態3のタイムチャートの一例を示しており、(a)が外気温0℃未満の場合の図であり、(b)が外気温0℃以上の場合の図である。図10は、横軸に空気調和装置1の運転時間を示し、縦軸に、上段は圧縮機11の回転数を示し、中段は室外ファン15の回転数を示し、下段は外気温度センサ19の検出値を示している。なお、以下の説明中で、例えば、(t1)の記載は図10の横軸上のt1の時点を示し、(t1-t2)の記載は図8の横軸上のt1からt2までの時間を示している。
【0043】
ステップS101と同様に、ステップS301において、制御部100は、室外熱交換器13が着霜したか否かを判定する。具体的には、熱交換器温度センサ18の検出値が、外気温度センサ19の検出値に基づいて予め設定された基準値以下である状態が、所定時間(例えば2分間)持続したか否かを判定する。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が基準値以下である状態が所定時間持続したと判定したときはステップS302に進み、熱交換器温度センサ18の検出値が基準値以下である状態が所定時間持続していないと判定したときはステップS301の判定処理を再度行う。なお、上記判定方法は、室外熱交換器13が着霜したか否かを判定する方法の一例であって、これに限定されるものではない。
【0044】
ステップS102と同様に、ステップS302において、制御部100は、除霜運転を開始する。具体的には、制御部100は、一旦圧縮機11を停止させて四方弁12を切り替える(t1、t7)。このとき、制御部100は、正回転していた室外ファン15の回転を停止させる(t1、t7)。そして、制御部100は、四方弁12に切り替え指示を与えた後、圧縮機11を再起動させる(t2、t8)。除霜運転を開始すると、制御部100は、除霜運転開始時点(t2、t8)からの経過時間をカウントする。
【0045】
ステップS103と異なり、ステップS303において、制御部100は、除霜運転開始時点(t2、t8)から第1所定時間を経過したか否か、又は、熱交換器温度センサ18の検出値が、第1所定温度以上であるか否かを判定する。第1所定時間は、室外熱交換器13に付着した霜が融解して水に変化する時間として、予め実験を行うなどして設定された時間であり、例えば6分である。第1所定温度は、室外熱交換器13に付着した霜がドレン水に変化する温度として、予め実験を行うなどして設定された温度であり、0℃~10℃の範囲内で例えば5℃である。制御部100は、除霜運転を開始してから第1所定時間を経過した、又は熱交換器温度センサ18の検出値が第1所定温度以上である、と判定したときはステップS304に進み、除霜運転を開始してから第1所定時間を経過していない、かつ熱交換器温度センサ18の検出値が第1所定温度未満である、と判定したときはステップS303の判定処理を再度行う。
【0046】
ステップS304において、制御部100は、外気温度センサ19の検出値が、第2所定温度未満であるか否かを判定する。第2所定温度は、室外機2が据え付けられる場所の環境等に基づき、ドレン水が氷になる温度として、予め実験を行うなどして設定された温度であり、例えば0℃である。制御部100は、外気温度センサ19の検出値が第2所定温度未満であると判定したときはステップS305に進み、第2所定温度以上であると判定したときはステップS310に進む。
【0047】
以下S305~S309の説明は、外気温が0℃未満の場合のフローの説明である。
【0048】
ステップS104と同様に、ステップS305において、制御部100は、回転を停止していた室外ファン15を、逆回転させる(t3)。
【0049】
ステップS105と同様に、ステップS306において、制御部100は、室外熱交換器13に付着した霜が除去されたか否かを判定する。具体的には、熱交換器温度センサ18の検出値が、予め設定された除霜終了温度以上であるか否かを判定する。この除霜終了温度は、室外熱交換器13に付着した霜が融解して除去される温度として、予め実験を行うなどして設定された温度であり、例えば10℃である。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度以上であると判定したときはステップS307に進み、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度未満であると判定したときはステップS306の判定処理を再度行う。
【0050】
ステップS106と同様に、ステップS307において、制御部100は、除霜運転を終了させる。具体的には、制御部100は、一旦圧縮機11を停止させて四方弁12を切り替える(t4)。このとき、逆回転している室外ファン15は、そのまま逆回転を継続する。除霜運転を終了すると、制御部100は、除霜運転を終了した時点(t4)からの経過時間をカウントする。
【0051】
ステップS107と同様に、ステップS308において、制御部100は、除霜運転終了時点(t4)から第2所定時間を経過したか否かを判定する。第2所定時間は、除霜運転中に室外機2の外部へ排出されずに除霜終了後まで室外機2の内部に残存するドレン水に対して、室外機2の外部へ排出すべく、室外ファン15の逆方向の送風を与え続けるのに適した時間として、予め実験を行うなどして設定された時間であり、例えば1分である。制御部100は、除霜運転を終了してから第1所定時間を経過したと判定したときはステップS309に進み、経過していないと判定したときはステップS308の判定処理を再度行う。
【0052】
ステップS108と同様に、ステップS309において、制御部100は、逆回転していた室外ファン15の回転を停止させる(t5)。その後、制御部100は、四方弁12に切り替え指示を与えた後、圧縮機11を再起動させると共に室外ファン15を正回転させて(t6)、ステップS301に戻る。
【0053】
本実施形態によれば、外気温が0℃未満であり、室外機の内部で溜まり凍ったドレン水が蓄積を重ね、上昇した氷面が室外ファンの羽根と接触して室外ファンが破損するおそれがある場合において、除霜による融解開始当初に発生したドレン水から除霜終了後に発生したドレン水に至るまで、室外ファン15の逆方向の風を与えることができるので、室外機2の内部にドレン水が溜まらないようにすることができる。
【0054】
以下S310~S311の説明は、外気温が0℃以上の場合のフローの説明である。
【0055】
ステップS105と同様に、ステップS310において、制御部100は、室外熱交換器13に付着した霜が除去された否かを判定する。具体的には、熱交換器温度センサ18の検出値が、予め設定された除霜終了温度以上であるか否かを判定する。この除霜終了温度は、室外熱交換器13に付着した霜が融解して除去される温度として、予め実験を行うなどして設定された温度であり、例えば10℃である。制御部100は、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度以上であると判定したときはステップS311に進み、熱交換器温度センサ18の検出値が除霜終了温度未満であると判定したときはステップS310の判定処理を再度行う。
【0056】
ステップS106と異なり、ステップS311において、制御部100は、除霜運転を終了させる。具体的には、制御部100は、一旦圧縮機11を停止させて四方弁12を切り替える(t9)。その後、制御部100は、四方弁12に切り替え指示を与えた後、圧縮機11を再起動させると共に室外ファン15を正回転させて(t10)、ステップS301に戻る。
【0057】
本実施の形態によれば、外気温が0℃以上であり、室外機の内部に溜まったドレン水が凍らない場合において、室外ファンの運転による電力の消費を抑制することができる。
【0058】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達することができる構成で置き換えてもよい。例えば、室外機の背面側の側面に外部との隙間を設けてもよい。これにより、室外機の下面に有する孔部と側面に有する隙間の両方からドレン水が排出されるようになり、室外機の内部にドレン水が溜まりにくくなる。また、室外機の内部に下向きのルーバー(羽板)のような構造物を設けてもよい。これにより、室外ファンより下方に存するドレン水に対して室外ファンの風を直接向けることができるようになるので、ドレン水が排出されやすくなり、室外機の内部にドレン水が溜まりにくくなる。また、室外機の内部にドレン水を上記孔部又は隙間に導くためのガイド溝、傾斜面等の誘導手段を設けてもよい。これにより、ドレン水が上記孔部又は隙間から排出されやすくなり、室外機の内部にドレン水が溜まりにくくなる。
【符号の説明】
【0059】
1 空気調和装置、2 室外機、3 室内機、4 配管、4a 二方弁、4b 三方弁、11 圧縮機、12 四方弁、13 室外熱交換器、14 膨張弁、15 室外ファン、15a ファンモータ、16 室内熱交換器、17 室内ファン、18 熱交換器温度センサ、19 外気温度センサ、21 機械室、22 ファン室、23 セパレータ、24 ドレンパン、25 孔部、100 制御部、101 演算部、102 記憶部、103 通信、104 センサ入力部、105 タイマー。
図1
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