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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/30 20160101AFI20231220BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20231220BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20231220BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20231220BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H02K11/30
H05K1/02 B
B62D5/04
H02K11/215
H02K7/116
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018243938
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020108237
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】館山 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】吉永 久美子
(72)【発明者】
【氏名】市川 英司
(72)【発明者】
【氏名】渡部 紘文
(72)【発明者】
【氏名】高橋 資享
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-105640(JP,A)
【文献】特開2017-189033(JP,A)
【文献】実開平03-056166(JP,U)
【文献】国際公開第2016/063367(WO,A1)
【文献】特表2016-512948(JP,A)
【文献】特開2010-195219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
B62D 5/04
H02K 7/116
H02K 11/30
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの駆動部を有する電動アクチュエータを駆動制御する電子制御装置において、
複数の配線層とこれら配線層の間を絶縁する絶縁層とを有する1枚の多層配線基板を備え、
上記多層配線基板は、
電子部品が実装される第1,第2部品実装部と、
上記第1,第2部品実装部の間に位置し、これら部品実装部よりも上記配線層の数が少なく、基板厚さが相対的に薄いことで上記第1,第2部品実装部よりも高い可撓性を有するフレキシブル部と、
上記第1部品実装部に実装され、上記電動アクチュエータの作動状態を検出する検出素子と、
上記フレキシブル部の配線層に形成され、上記検出素子の信号を上記第1部品実装部から上記第2部品実装部へ伝達する検出信号線と、
を備え、
上記検出素子は、上記電動アクチュエータの各駆動部に対応した2つの制御系統で共用されており、
上記第1部品実装部において上記検出素子の検出信号を2系統に分岐した上で、これら2つの検出信号が上記フレキシブル部における上記検出信号線を介して上記第2部品実装部へ送られて各制御系統に入力されるように構成され、
上記電動アクチュエータの2つの制御系統をそれぞれ構成する上記第1部品実装部に実装された電子部品群および上記第2部品実装部に実装されたCPUが、上記検出信号線の配線方向に沿って配置されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記フレキシブル部は、上記第1面において溝状に窪んでいるとともに、上記第2面においては上記第1,第2部品実装部と連続した面を有しており、
上記検出素子は上記第1部品実装部の上記第2面に配置されており、
上記検出信号線は、上記フレキシブル部の上記第2面側の表層の配線層に形成されており、内層の配線層にはグラウンド線が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記フレキシブル部は、上記第1面において溝状に窪んでいるとともに、上記第2面においては上記第1,第2部品実装部と連続した面を有しており、
上記検出素子は上記第1部品実装部の上記第2面に配置されており、
上記検出信号線は、上記フレキシブル部の上記第2面側の表層の配線層に形成されており、同じ配線層には、上記第1部品実装部と上記第2部品実装部との間を接続する制御信号線が上記検出信号線に並んで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項4】
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記フレキシブル部は、上記第1面において溝状に窪んでいるとともに、上記第2面においては上記第1,第2部品実装部と連続した面を有しており、
上記検出素子は、第1検出素子と第2検出素子とを含み、上記第1検出素子が上記第1部品実装部の上記第2面に配置されているとともに上記第2検出素子が上記第1部品実装部の上記第1面に配置されており、
上記検出信号線は、上記フレキシブル部の上記第2面側の表層の配線層に形成されており、
上記第1検出素子および上記第2検出素子は、上記第1部品実装部において上記検出信号線に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項5】
上記フレキシブル部は、上記配線層として表層の配線層と内層の配線層との2層を有し、
上記表層の配線層には、上記検出信号線を含む複数の信号線が形成されており、
上記内層の配線層には、上記複数の信号線の幅の総和よりも大きい幅を有するグラウンド線が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項6】
上記第2部品実装部は、
上記検出素子の検出信号を1つのパラメータとして演算処理し、上記電動アクチュエータに対する指示信号を生成する上記CPUと、
当該電子制御装置の外部に位置するセンサからの信号が入力される外部センサ入力部と、
他の電子制御装置との間で通信を行う通信処理回路部と、
を備え、
上記第2部品実装部の中で、上記外部センサ入力部は上記フレキシブル部側に位置し、上記通信処理回路部は上記フレキシブル部とは反対側に位置し、上記CPUは上記外部センサ入力部と上記通信処理回路部との間の中間部に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項7】
上記第1部品実装部が第1電源端子を備え、この第1電源端子は、当該第1部品実装部の側縁部に位置し、かつ上記制御系統を構成する上記電子部品群よりも外側に位置し、
上記第2部品実装部は、当該第2部品実装部の側縁部に第2電源端子を備え、この第2電源端子に入力された端子電圧を上記第2部品実装部用の作動電圧に変圧する第2部品実装部用電源回路部が上記フレキシブル部とは反対側の端部領域に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項8】
上記第2部品実装部が当該第2部品実装部に電源を供給する第2電源端子を備え、この第2電源端子は、当該第2部品実装部の側縁部に位置し、
上記CPUは上記第2部品実装部の第1面に実装されており、
上記第2電源端子に入力された端子電圧を上記第2部品実装部用の作動電圧に変圧する第2部品実装部用電源回路部が、上記第2部品実装部の上記フレキシブル部とは反対側の端部領域でかつ当該第2部品実装部の第2面に実装されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項9】
上記第1部品実装部は、正極および負極を含む第1電源端子を備え、
上記第1電源端子は、当該第1部品実装部の側縁部に位置し、かつ上記制御系統を構成する上記電子部品群よりも外側に位置し、
上記正極と上記負極とが上記検出信号線の方向に沿って並んで配置されているとともに、上記正極が上記負極に対して上記フレキシブル部寄りに位置しており、
上記第1電源端子から上記電子部品群へ供給される電力を遮断可能なスイッチング素子が、上記電子部品群と上記フレキシブル部との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項10】
上記第2部品実装部は、
上記検出素子の検出信号を1つのパラメータとして演算処理し、上記電動アクチュエータに対する指示信号を生成する上記CPUと、
上記指示信号を上記電動アクチュエータを駆動する駆動回路の制御信号に変換するプリドライバ回路素子と、
を備え、
上記CPUおよび上記プリドライバ回路素子と、上記第1部品実装部における上記電子部品群に含まれるフィルタ部品およびサブ電源コンデンサと、が多層配線基板の同一の面に実装されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項11】
2つの駆動部を有する電動アクチュエータを駆動制御する電子制御装置において、
複数の配線層とこれら配線層の間を絶縁する絶縁層とを有する1枚の多層配線基板を備え、
上記多層配線基板は、
電子部品が実装される第1,第2部品実装部と、
上記第1,第2部品実装部の間に位置し、これら部品実装部よりも上記配線層の数が少なく、基板厚さが相対的に薄いことで上記第1,第2部品実装部よりも高い可撓性を有するフレキシブル部と、
上記第1部品実装部に実装され、上記電動アクチュエータの作動状態を検出する検出素子と、
上記フレキシブル部の配線層に形成され、上記検出素子の信号を上記第1部品実装部から上記第2部品実装部へ伝達する検出信号線と、
を備え、
上記電動アクチュエータの2つの駆動部に個々に対応する2つの制御系統がそれぞれ上記第1部品実装部に実装された電子部品群および上記第2部品実装部に実装されたCPUによって構成されており、
上記検出素子は、上記第1部品実装部において、2つの制御系統にそれぞれ対応する2つの電子部品群の列に挟まれるように配置されており、
上記検出素子は、2つの制御系統で共用されており、
上記第1部品実装部において上記検出素子の検出信号を2系統に分岐した上で、これら2つの検出信号が上記フレキシブル部における上記検出信号線を介して上記第2部品実装部へ送られて各制御系統に入力されるように構成されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項12】
上記第2部品実装部は、2つの制御系統の各々について、
上記検出素子の検出信号を1つのパラメータとして演算処理し、上記電動アクチュエータに対する指示信号を生成する上記CPUと、
上記指示信号を上記電動アクチュエータを駆動する駆動回路の作動信号に変換するプリドライバ回路素子と、
を備え、
各々の制御系統の上記CPUと上記プリドライバ回路素子と上記第1部品実装部における電子部品群とが、上記フレキシブル部の中央と上記検出素子とを通る仮想線の方向に沿って配置されており、
上記プリドライバ回路素子の出力信号が上記フレキシブル部における配線を介して第1部品実装部側へ伝達される、
ことを特徴とする請求項11に記載の電子制御装置。
【請求項13】
上記フレキシブル部の1つの配線層に上記検出信号線が形成されているとともに、同じ配線層に、各々の制御系統毎に上記第2部品実装部から上記第1部品実装部へ制御信号を供給する制御信号線が形成されており、
2つの制御系統の上記制御信号線は、上記検出信号線を挟んで両側にそれぞれ配置されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の電子制御装置。
【請求項14】
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記第1部品実装部において、上記検出素子は上記第2面に実装され、各制御系統を構成する上記電子部品群は上記第1面に実装されており、
上記第1部品実装部を投影して見たときに、上記検出素子は、1つの制御系統における1つの電子部品と他の制御系統における同一の機能を有する1つの電子部品との間に挟まれて位置し、かつこれら2つの電子部品と重ならない位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の電子制御装置。
【請求項15】
上記第1部品実装部において上記検出素子の検出信号を2系統に分岐した上で、上記フレキシブル部における上記検出信号線を介して各制御系統に入力される、
ことを特徴とする請求項11に記載の電子制御装置。
【請求項16】
上記第2部品実装部の側縁部には、当該多層配線基板を折り曲げた状態において上記第1電源端子に対向する位置に切欠部が形成されており、上記切欠部に沿った位置に上記第2電源端子が配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撓めた状態でハウジングに組み付けることができる折り曲げ可能な多層配線基板を用いた電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パワーステアリング装置のモータユニット内に組み込む回路基板として、複数のリジッド基板部を該リジッド基板部よりも薄く可撓性を有する折曲部で連結することにより、略U字形に折り曲げた形で使用することができるようにした回路基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-105640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような折曲部を有する回路基板にあっては、部分的に薄肉化してなる折曲部がリジッド基板部の間に介在するので、回路基板全体として電子部品の実装レイアウトや配線レイアウトが制限されるおそれがある。すなわち、電動アクチュエータの作動状態を検出する回転センサ等の検出素子を含む電動アクチュエータの制御系統における電子部品のレイアウトや配線レイアウトをどのようにすべきか、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、その一つの態様において、2つの駆動部を有する電動アクチュエータを駆動制御する電子制御装置は、複数の配線層とこれら配線層の間を絶縁する絶縁層とを有する1枚の多層配線基板を備えている。上記多層配線基板は、電子部品が実装される第1,第2部品実装部と、上記第1,第2部品実装部の間に位置し、これら部品実装部よりも上記配線層の数が少なく、基板厚さが相対的に薄いことで上記第1,第2部品実装部よりも高い可撓性を有するフレキシブル部と、上記第1部品実装部に実装され、上記電動アクチュエータの作動状態を検出する検出素子と、上記フレキシブル部の配線層に形成され、上記検出素子の信号を上記第1部品実装部から上記第2部品実装部へ伝達する検出信号線と、を備えており、上記検出素子は、上記電動アクチュエータの各駆動部に対応した2つの制御系統で共用されており、上記第1部品実装部において上記検出素子の検出信号を2系統に分岐した上で、これら2つの検出信号が上記フレキシブル部における上記検出信号線を介して上記第2部品実装部へ送られて各制御系統に入力されるように構成され、上記電動アクチュエータの2つの制御系統をそれぞれ構成する上記第1部品実装部に実装された電子部品群および上記第2部品実装部に実装されたCPUが、上記検出信号線の配線方向に沿って配置されている。
【発明の効果】
【0006】
このような構成では、フレキシブル部における検出素子用の検出信号線の配線方向に沿って第1部品実装部における電子部品群および第2部品実装部におけるCPUが配置されることから、配線レイアウトの複雑化を抑制しつつ制御系統を構成する電子部品を効率よく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る回路基板を組み込んだパワーステアリング装置用電動アクチュエータ装置の分解斜視図。
図2】電動アクチュエータ装置の断面図。
図3】折り曲げた状態の回路基板の斜視図。
図4】折り曲げた状態の回路基板の側面図。
図5】展開した状態の回路基板の断面図。
図6】展開した状態の回路基板の第1面を示す平面図。
図7】展開した状態の回路基板の第2面を示す平面図。
図8】フレキシブル部の第2面側の表層における配線パターンを示す平面図。
図9】フレキシブル部の第2面側の内層における配線パターンを示す平面図。
図10】インバータ回路の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を例えば自動車の電動パワーステアリング装置の制御装置に適用した一実施例について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、電動パワーステアリング装置において図示せぬステアリング機構に操舵補助力を与える電動アクチュエータ装置の分解斜視図である。また、図2は、電動アクチュエータ装置の断面図である。この電動アクチュエータ装置は、円筒形状のモータ部1と、インバータ・パワーモジュール2と、本発明の一実施例となる折り曲げ可能な多層配線基板からなる回路基板3と、複数のコネクタを一体に集合させたコネクタ部材4と、これらのインバータ・パワーモジュール2、回路基板3、コネクタ部材4を覆うように、上記モータ部1の一端部に取り付けられるモータカバー5と、を備えている。
【0010】
モータ部1は、ステータ1Bおよびロータ1Cからなる電動アクチュエータに相当するモータ1A(図2)が円筒状のハウジング7の内部に収容されたものであり、ハウジング7の先端面から突出した回転軸6の先端にギヤないしスプライン等の連結部6aを有し、この連結部6aを介して図外のステアリング機構に連結される。モータ1Aは、三相の永久磁石型ブラシレスモータであり、ステータ1Bが三相のコイルを備え、ロータ1Cの外周面に永久磁石が配置されている。ここで、モータ1Aは、冗長性を与えるために、2系統のコイルおよび対応する永久磁石を備えている。
【0011】
連結部6aとは反対側となるハウジング7の一端部は、外周縁の一部が半径方向へ延びた馬蹄型の輪郭を有する底壁部7aとして構成されており、この底壁部7aを覆うように、該底壁部7aに対応した馬蹄型の輪郭を有するモータカバー5が取り付けられる。そして、底壁部7aとモータカバー5との間に構成される空間内に、インバータ・パワーモジュール2と回路基板3とコネクタ部材4とが回転軸6の軸方向に重ねて収容されている。
【0012】
インバータ・パワーモジュール2は、モータ1Aを駆動する2つのインバータモジュール2Aと、コイルの中性点リレーとなるリレーモジュール2Bと、を含み、これら三者が回転軸6を囲む略U字形をなすように配置されている。そして、これらのインバータモジュール2Aおよびリレーモジュール2Bが、押さえ部材2Cを介してモータ部1の端面に固定されている。
【0013】
コネクタ部材4は、回転軸6の軸方向に沿った同じ方向を指向する3つのコネクタを備えている。詳しくは、中央に位置する電源用コネクタ4aと、ステアリング機構側に配置されるセンサ類(例えば舵角センサやトルクセンサなど)からの信号が入力されるセンサ入力用コネクタ4bと、車内の他の制御機器との間で通信(例えばCAN通信)を行うための通信用コネクタ4cと、を備えている。これらのコネクタ4a,4b,4cは、モータカバー5の開口部8を通して外部へ突出している。
【0014】
この実施例の電動アクチュエータ装置においては、インバータ・パワーモジュール2と回路基板3とコネクタ部材4とモータカバー5とによって、請求項における「制御装置」が構成される。そして、この制御装置とモータ部1とが一体化されており、これにより、装置全体の小型化が図られている。
【0015】
図3は、略U字形に折り曲げた状態における回路基板3の概略を示す斜視図であり、図4は側面図である。回路基板3は、前述したように、これらの図3図4に示すように、略U字形に折り曲げた形でもって電動アクチュエータ装置に組み込まれている。
【0016】
すなわち、回路基板3は、インバータ・パワーモジュール2を介したモータ1Aの駆動のために相対的に大きな電流が流れる電子部品群を実装したパワー系基板となる第1リジッド部11と、相対的に小さな電流が流れる制御系電子部品を実装した制御系基板となる第2リジッド部12と、両者間のフレキシブル部13と、を備えている。第1リジッド部11は「第1部品実装部」に相当し、第2リジッド部12は「第2部品実装部」に相当する。そして、回路基板3は、これらの第1リジッド部11と第2リジッド部12とが回転軸6の軸方向に互いに重なり合った形となるようにフレキシブル部13が撓み変形した状態でもって、ケースとなるハウジング7とモータカバー5との間に収容されている。具体的な実施例においては、折り曲げ状態となった第1リジッド部11と第2リジッド部12とは、各々に実装された電子部品が互いに接触しない程度の距離だけ離れているとともに、各々平面状態を保ちつつ互いに平行となった状態でもって電動アクチュエータ装置に固定支持されている。
【0017】
図5は、回路基板3を展開した状態つまり折り曲げる前の状態でもって示した断面図である(基板部分のハッチングは省略してある)。1枚の多層配線基板からなる回路基板3は、第1面3Aと第2面3Bとを備えている。図6は、回路基板3を展開した状態における第1面3Aの構成を示す平面図、図7は、第2面3Bの構成を示す平面図、である。回路基板3は、これらの図5図7に示すような展開した状態で、第1リジッド部11および第2リジッド部12とフレキシブル部13とが一つの平面に沿った1枚の回路基板として形成されたものであり、部品実装後に最終的に略U字形に折り曲げられる。
【0018】
第1リジッド部11および第2リジッド部12は、それぞれ四隅に取付孔15を備えた四角形に近似した形状をなしている。そして、互いに隣接した第1リジッド部11の1辺の中央部と第2リジッド部12の1辺の中央部とが、一定幅の帯状をなすフレキシブル部13でもって互いに連結されている。つまり、フレキシブル部13は、第1リジッド部11および第2リジッド部12の幅(曲げ方向に直交する方向の寸法)に比較して、その幅が狭くなっている。従って、回路基板3は、全体としてI字状ないし8の字状をなしている。このように第1,第2リジッド部11,12の幅が相対的に広くかつフレキシブル部13の幅が相対的に狭い構成とすることで、部品実装面積を大きく確保できる一方で、フレキシブル部13における撓み変形が容易となる。
【0019】
回路基板3は、多層のプリント配線基板、具体的には6層の金属箔層を備えたいわゆる6層構造のプリント配線基板から構成されている。この多層プリント配線基板は、片面もしくは両面に金属箔層を備えた例えばガラスエポキシからなる何層かの基材をプリプレグ(接着剤層)を介して積層し、かつ加熱加圧して一体化することにより構成されている。従って、第1面3Aおよび第2面3Bのそれぞれの表層の金属箔層と、4つの内層の金属箔層と、によって配線層となる6層の金属箔層が構成されている。金属箔層の間には、これら金属箔層の間を絶縁する絶縁層としての基材が介在する。そして、第1リジッド部11および第2リジッド部12においては、これらの6層の金属箔層のエッチングならびに積層方向に延びるビアの形成によって、所望の回路パターンが形成されている。
【0020】
フレキシブル部13は、図4に明らかなように、6層構造を有する第1リジッド部11および第2リジッド部12の基板の厚さ(積層方向の寸法)に比較して相対的に薄く形成することによって、第1リジッド部11および第2リジッド部12よりも高い可撓性を有するように構成されている。一実施例においては、第1リジッド部11,第2リジッド部12およびフレキシブル部13を包含する例えば矩形状に6層構造の回路基板3を形成した後に、二次的な機械加工によって、フレキシブル部13における折り曲げ時に内側となる4層分を削り取り、薄肉化してある。従って、第1,第2リジッド部11,12の基材とフレキシブル部13の基材とは同じ材質であり、かつフレキシブル部13として残存する2層の金属箔層は、第1,第2リジッド部11,12およびフレキシブル部13の三者に亘って連続している。
【0021】
なお、図示例では、バーコード等の印刷面を確保するためにフレキシブル部13の中央部に中間リジッド部14を6層構造のまま残してあり、この中間リジッド部14の両側に一対の凹溝16として薄肉部分が形成されている。この中間リジッド部14は、必須のものではなく、フレキシブル部13の全体を薄肉化してもよい。本実施例では、中間リジッド部14を含めて、第1リジッド部11と第2リジッド部12との間の全体をフレキシブル部13と呼ぶ。
【0022】
凹溝16は、図5および図6から明らかなように、回路基板3の第1面3Aにおいて溝状に窪んでいる。第2面3Bにおいては、フレキシブル部13は、第1,第2リジッド部11,12と連続した面を有している。
【0023】
フレキシブル部13に必要な可撓性を与える一対の凹溝16は、第1リジッド部11および第2リジッド部12の一つの辺に沿って形成されており、これにより、第1,第2リジッド部11,12とフレキシブル部13との境界18が画定される。換言すれば、薄肉化した凹溝16の外側の縁によって一対の境界18が画定され、図4のように折り曲げると、この一対の境界18の間で薄肉のフレキシブル部13が撓み変形する。回路基板3の幅(曲げ方向に直交する方向の寸法)は、第1,第2リジッド部11,12からフレキシブル部13へと移行する境界18において減少する。そして、フレキシブル部13は、容易に撓み変形するように一定幅の帯状に形成されている。なお、境界18での幅寸法の減少に伴う応力集中を抑制するために、第1,第2リジッド部11,12とフレキシブル部13とが接続される境界18の両端のコーナ部では、フレキシブル部13が適宜な半径の円弧形に丸められている(図5図6参照)。
【0024】
フレキシブル部13(凹溝16の部分)においては、6層の金属箔層の中で、折り曲げ時に外側面となる第2面3B側の表層の金属箔層とこれに隣接する内層(つまり第2面3B側から見て2層目)の金属箔層とが残存している。なお、中間リジッド部14は、6層の金属箔層を有するが、第2面3B側から見て3層目~6層目に相当する金属箔層は配線パターンの形成には使用されていない。
【0025】
図8は、第2面3B側の表層となる1層目の金属箔層にエッチングにより形成された配線パターンを示しており、図9は、2層目の金属箔層にエッチングにより形成された配線パターンを示している。いずれも要部であるフレキシブル部13における配線パターンのみを示している。フレキシブル部13においては、これら2つの金属箔層のみが配線パターンの形成に利用される。第1,第2リジッド部11,12においては、さらに4つの金属箔層が配線パターンの形成に利用されている。
【0026】
次に、本発明の要部である種々の部品のレイアウトについて説明する。なお、以下では、理解を容易にするために、展開状態での回路基板3の長手方向を図6図7に示すようにL方向とし、これに直交する幅方向をW方向とする。前述したフレキシブル部13の一対の境界18は、W方向に延びた直線となる。仮にL方向に沿った直線を展開状態の回路基板3上に描いたとすると、回路基板3を略U字形に折り曲げた状態では、第1リジッド部11上の直線と第2リジッド部12上の直線とによって一つの平面(境界18に直交する平面)が規定される。さらに、説明の便宜のために、図6図7に示すように、組立時にモータ1Aの回転中心軸と交差しかつL方向と平行に延びる線を基板中心線Mとする。
【0027】
この実施例の回路基板3は、モータ1Aの2系統のコイルに対応して互いに独立した2つの制御系統を具備している。基本的に個々の1つの制御系統は、回路基板3にその長手方向であるL方向に沿って部品を配列して構成されており、2つの制御系統は、基本的に回路基板3の幅方向であるW方向に並んで構成されている。細部の差異を除くと、2つの制御系統は、基板中心線Mを中心として対称に構成されている。
【0028】
図6に示すように、第1リジッド部11の第1面3Aにおいては、該第1リジッド部11のL方向の中央部付近に、ノイズ除去のための2つのフィルタ部31が配置されており、これらフィルタ部31よりもフレキシブル部13とは反対側となる位置に、2つの電源コンデンサ部34が配置されている。すなわち、1つの制御系統に1つのフィルタ部31と1つの電源コンデンサ部34とが含まれている。フィルタ部31は、矩形状のケースを備えたコイル32と、このコイル32よりもフレキシブル部13寄りに位置する同じく矩形状のケースを備えたコンデンサ33と、から構成される。また、電源コンデンサ部34は複数例えば3つの矩形状のケースを備えたコンデンサ34A,34B,34Cを含んで構成される。1つの制御系統を構成する電子部品群つまりコンデンサ33、コイル32およびコンデンサ34A,34B,34Cは、完全な一直線上ではないもののL方向に順に並んで概ね一列に配列されている。そして、1つの制御系統を構成するコンデンサ33、コイル32、コンデンサ34A,34B,34Cと、他の1つの制御系統を構成するコンデンサ33、コイル32、コンデンサ34A,34B,34Cとは、基板中心線Mを中心としてそれぞれ対称に配置されている。
【0029】
また、フィルタ部31のコンデンサ33とフレキシブル部13との間には、各制御系統に2つずつ計4つの電源遮断用スイッチング素子35が実装されている。各制御系統の2つの電源遮断用スイッチング素子35はコンデンサ33に隣接して配置されている。また、計4つの電源遮断用スイッチング素子35は、W方向に沿ってほぼ一直線上に並んでいる。
【0030】
第1リジッド部11の第1面3Aにおいて、2つの制御系統の電子部品群の間、具体的には2つのフィルタ部31の間には、モータ1Aの作動状態を検出する検出素子として第2回転センサ38が実装されている。この第2回転センサ38は、モータ1Aの回転軸6の端部に設けられた磁極と組み合わされて該回転軸6の回転を検出するアナログ式の回転センサであり、組立時に回転軸6の中心軸線上となる位置に配置されている。この第2回転センサ38は、2つの制御系統に共用されるものであり、第1リジッド部11上で2つの信号回路に分岐されて、各々の制御系統で利用される。
【0031】
第1リジッド部11のW方向に向かう一対の側縁部11aには、それぞれ第1電源端子40が取り付けられている。各々の第1電源端子40は、正極端子40Aと負極端子40Bとを含んでおり、正極端子40Aと負極端子40Bとからなる1組の第1電源端子40が1つの制御系統にそれぞれ対応している。これらの電源端子40は、回路基板3のW方向について、各々の制御系統を構成する電子部品群(つまりコンデンサ33、コイル32、コンデンサ34A,34B,34C)よりも外側に位置する。
【0032】
正極端子40Aおよび負極端子40Bは、それぞれ略L字形に折り曲げられた金属片からなり、第1リジッド部11の側縁に沿って第1面3Aから該第1面3Aに直交するように立ち上がっている。正極端子40Aと負極端子40Bは、L方向に沿って並んで配置されており、正極端子40Aの方が負極端子40Bよりもフレキシブル部13寄りに位置している。詳しくは、正極端子40Aはフィルタ部31のコンデンサ33の側方に位置し、負極端子40Bはコイル32の側方に位置する。電動アクチュエータ装置として最終的に組み立てられた状態では、第1電源端子40は、上述したコネクタ部材4の電源用コネクタ4aの端子片に接続される。なお、2組の第1電源端子40は、基板中心線Mを中心として互いに対称に構成されている。
【0033】
第1リジッド部11は、さらに、インバータ・パワーモジュール2の各アームのスイッチング素子に接続されるゲート信号ポート41と、インバータ・パワーモジュール2に電源電圧を供給するためのインバータ電源ポート42と、を備えている。これらは、いずれもスルーホール状の端子として形成されている。ゲート信号ポート41は、第1電源端子40の近傍に配置されており、インバータ電源ポート42は電源コンデンサ部34の側方(W方向で外側)に配置されている。電動アクチュエータ装置として最終的に組み立てられた状態では、これらのポート41,42に、インバータ・パワーモジュール2のピン状の端子片が挿入され、かつ電気的に接続される。
【0034】
第2リジッド部12の第1面3Aにおいては、該第2リジッド部12のL方向の中央部付近に、2つの制御系統にそれぞれ対応する2つのCPU21が実装されている。CPU21は、略正方形の偏平なパッケージを有する集積回路からなる。2つのCPU21は、基板中心線Mを中心として対称に配置されている。2つのCPU21よりもフレキシブル部13寄りの位置には、プリドライバ回路素子22がそれぞれ実装されている。プリドライバ回路素子は、CPU21よりも小さな略正方形の偏平なパッケージを有する集積回路からなる。2つのプリドライバ回路素子22は、2つの制御系統にそれぞれ対応し、基板中心線Mを中心として対称に配置されている。個々のプリドライバ回路素子22は、対応する制御系統のCPU21とL方向に沿って並んで配置されている。
【0035】
第2リジッド部12のW方向に向かう一対の側縁部12aには、折り曲げた状態における前述した第1リジッド部11の第1電源端子40との干渉を避けるための切欠部24がそれぞれ形成されている。これらの切欠部24は、概ねCPU21とプリドライバ回路素子22の側方に位置している。また、各々の切欠部24に沿った位置に、正負2つのスルーホールからなる第2電源端子25が設けられている。これら2組の第2電源端子25は、それぞれの制御系統に対応している。電動アクチュエータ装置として最終的に組み立てられた状態では、スルーホール状の第2電源端子25に、上述したコネクタ部材4の電源用コネクタ4aのピン状の端子片が挿入され、電気的に接続される。
【0036】
第2リジッド部12のフレキシブル部13寄りの端部領域には、複数のスルーホール状の端子からなる外部センサ入力部27が設けられている。複数のスルーホール状の端子は、W方向に沿った一直線上に並んで配置されている。電動アクチュエータ装置として最終的に組み立てられた状態では、コネクタ部材4のセンサ入力用コネクタ4bのピン状の端子片が外部センサ入力部27に挿入され、舵角センサやトルクセンサ等の外部センサの信号が外部センサ入力部27を介して各制御系統に入力される。
【0037】
また、第2リジッド部12のフレキシブル部13とは反対側となる端部領域には、複数のスルーホール状の端子からなる通信用ポート28が設けられている。複数のスルーホール状の端子は、W方向に沿った一直線上に並んで配置されている。電動アクチュエータ装置として最終的に組み立てられた状態では、コネクタ部材4の通信用コネクタ4cのピン状の端子片が通信用ポート28に挿入され、外部の他の制御機器との間で通信が行われる。
【0038】
図7に示すように、第1リジッド部11の第2面3Bにおいては、中央部に、モータ1Aの作動状態を検出する検出素子として第1回転センサ37が実装されている。この第1回転センサ37は、モータ1Aの回転軸6の端部に設けられた磁極と組み合わされて該回転軸6の回転を検出するデジタル式の回転センサであり、組立時に回転軸6の中心軸線上となる位置に配置されている。この第1回転センサ37は、第2回転センサ38と同様に2つの制御系統に共用されるものであり、第1リジッド部11上で2つの信号回路に分岐されて、各々の制御系統で利用される。
【0039】
第2面3Bに配置された第1回転センサ37と第1面3Aに配置された第2回転センサ38は、回路基板3を投影して見たときに、互いに重なる位置にある。電動アクチュエータ装置として最終的に組み立てられた状態では、略U字形をなす回路基板3の外側面に第1回転センサ37があり、回転軸6の端面に対向する。第2回転センサ38は、略U字形をなす回路基板3の内側となる。一実施例においては、第1回転センサ37が主たる回転センサであり、第2回転センサ38は例えば第1回転センサ37の異常時に利用される予備的な回転センサである。
【0040】
なお、第1面3Aと第2面3Bにそれぞれ配置される回転センサの一方を一方の制御系統用とし、他方を他方の制御系統用として、互いに独立して用いるようにしてもよい。
【0041】
第2リジッド部12の第2面3Bにおいては、第2リジッド部12用の電源回路と通信用ポート28用の通信回路とを含む集積回路からなる2つの電源/通信IC29が実装されている。電源/通信IC29は、CPU21よりも小さな略正方形の偏平なパッケージを有する。2つの電源/通信IC29は、2つの制御系統にそれぞれ対応しており、基板中心線Mを中心として略対称となる位置に配置されている。L方向については、電源/通信IC29は、第2リジッド部12の中でフレキシブル部13とは反対側となる端部領域に配置されており、第2電源端子25と通信用ポート28との間に位置する。また第2リジッド部12を投影して見たときに、電源/通信IC29は、CPU21と通信用ポート28との間に位置し、CPU21は電源/通信IC29よりもフレキシブル部13寄りに位置する。従って、CPU21は、電源/通信IC29と外部センサ入力部27との間の中間部に位置する。
【0042】
電源/通信IC29は、通信用ポート28を介して外部の他の制御機器との間で通信を行う「通信処理回路部」に相当する。さらに電源/通信IC29は、第2電源端子25に入力された端子電圧を第2リジッド部12用の作動電圧に変換する「第2部品実装部用電源回路部」に相当する。なお、本発明においては、電源回路と通信回路とをそれぞれ個別の集積回路で構成してもよい。
【0043】
以上、主要な電子部品の配置について説明したが、第1リジッド部11および第2リジッド部12には、上記の電子部品のほかにも、図示を省略した比較的小型の多数の電子部品が表面実装されている。
【0044】
第1リジッド部11に配置された第1回転センサ37および第2回転センサ38の検出信号は、フレキシブル部13に設けられた検出信号線を介して、CPU21を具備した第2リジッド部12側へ送られる。図8は、前述したように、第2面3B側の表層となる1層目の金属箔層にエッチングにより形成された配線パターンを示しているが、この第2面3B側の表層における金属箔層のW方向の中央部に、第1,第2回転センサ37,38用の複数の検出信号線51が配線されている。これらの検出信号線51は、フレキシブル部13においてはL方向に直線状に延びており、かつ複数の検出信号線51が互いに平行に設けられている。なお、第1面3A側に位置する第2回転センサ38の検出信号は、第1面3A側で2系統に分岐した後、スルーホール(ビア)を介して第2面3B側へ送られた上で、検出信号線51に接続されている。
【0045】
フレキシブル部13における第2面3B側の表層となる1層目の金属箔層には、上記の検出信号線51に加えて、第1リジッド部11と第2リジッド部12との間を接続する複数の制御信号線52が検出信号線51に並んで形成されている。これらの制御信号線52は、W方向について検出信号線51の外側(両側)に位置している。これらの制御信号線52もフレキシブル部13においてはL方向に直線状に延びており、かつ複数の制御信号線52が互いに平行に設けられている。検出信号線51を中心としてW方向の一方の側に位置する複数の制御信号線52が一方の制御系統用の制御信号線52であり、W方向の他方の側に位置する複数の制御信号線52が他方の制御系統用の制御信号線52である。
【0046】
フレキシブル部13における内層となる2層目の金属箔層には、図9に示すように、グラウンド線54が形成されている。このグラウンド線54は、検出信号線51や制御信号線52よりも幅の広い帯状に形成されている。一つの好ましい実施例では、フレキシブル部13の幅(W方向の寸法)のほぼ全体に亘る幅を有する一つの連続した帯状に形成されている。このグラウンド線54は、詳細には図示しない経路を介してハウジング7等のグラウンド電位となる箇所に導通している。
【0047】
図10は、モータ1Aを駆動するインバータ回路の回路構成を示している。図示するように、モータ1Aのステータ1Bは、U,V,Wの三相のコイル61を備え、それぞれに中性点リレー62が設けられている。中性点リレー62は、前述したリレーモジュール2Bによって構成されている。インバータモジュール2Aは、U,V,Wの三相の上アームおよび下アームをそれぞれ構成する計6個のスイッチング素子63を含んでおり、これによってインバータ回路を構成している。インバータ回路の直流電源部は、図示するように、電源コンデンサ部34およびフィルタ部31(コイル32およびコンデンサ33)を含んでおり、さらに、正極側に、2つの電源遮断用スイッチング素子35が直列に配置されている。なお、図10は、1系統のみを示しており、前述したように、本実施例では、2系統のコイル61およびインバータ回路を備えている。本実施例では、2系統のコイル61が請求項における「駆動部」に相当し、2系統のインバータ回路が請求項における「駆動回路」に相当する。
【0048】
上記のように、一実施例の回路基板3においては、モータ1Aの2系統のコイルにそれぞれ対応した2系統の制御系統が互いに独立して構成されており、これら2つの制御系統が第1,第2回転センサ37,38を横切る基板中心線Mを中心として実質的に対称に配置されている。1つの制御系統について説明すると、モータ1Aの回転に応答した第1,第2回転センサ37,38の検出信号が、フレキシブル部13における検出信号線51を介して第1リジッド部11から第2リジッド部12へと送られる。第2リジッド部12のCPU21は、この検出信号を1つのパラメータとして演算処理を行い、モータ1Aに対する指示信号を生成する。この指示信号は、プリドライバ回路素子22により増幅されてインバータ回路用の作動信号に変換される。この作動信号は、フレキシブル部13における制御信号線52を介して第2リジッド部12から第1リジッド部11へ送られ、最終的に第1リジッド部11のゲート信号ポート41からインバータ・パワーモジュール2へゲート信号として出力される。インバータ・パワーモジュール2には、第1リジッド部11の第1電源端子40から、電源遮断用スイッチング素子35、フィルタ部31および電源コンデンサ部34さらにはインバータ電源ポート42を介して、電源電圧が与えられており、ゲート信号に基づくインバータ作用によりモータ1Aを駆動することとなる。
【0049】
ここで、1つの制御系統を構成する第1リジッド部11の電子部品群(コンデンサ33、コイル32およびコンデンサ34A,34B,34C)および第2リジッド部12のCPU21が、フレキシブル部13における検出信号線51の配線方向(つまりL方向)に沿って配列されているので、レイアウト上の電子部品同士の干渉や部品間の配線パターンの複雑化(例えば多数の迂回回路の発生)を抑制でき、限られた面積を有しかつフレキシブル部13で分断された形となる回路基板3の中で各制御系統を効率良く配置することができる。特に上記実施例では、2つの制御系統が基板中心線Mを挟んで対称に配置されるので、各制御系統を検出信号線51の配線方向に沿って配置したことと相俟って、2つの制御系統を効率良く配置することができる。また、個々の制御系統が検出信号線51の配線方向(つまりL方向)に沿って細長く構成されることで、制御系統内の配線経路が全体としてL方向に沿って直線化する傾向となり、配線経路の複雑化に伴う配線距離の増加が少なくなる。そして、これに伴い、耐ノイズ性の上で有利となる。
【0050】
また、回転センサ37,38は、第1リジッド部11において2つの制御系統の電子部品群(コンデンサ33、コイル32およびコンデンサ34A,34B,34C)の列に挟まれるように配置されており、回転センサ37,38からは基板中心線Mに沿うようにしてフレキシブル部13側へ検出信号線が延びていくので、各々の信号線の交錯が少なくなる。
【0051】
フレキシブル部13においては、表層となる金属箔層に検出信号線51と制御信号線52とが並んで配置され、かつ互いに平行に延びているので、限られた幅のフレキシブル部13に多数の配線を単純化した形で配線できる。つまり、高密度化した配線が可能である。そして、内層となる2層目の金属箔層に相対的に幅の広いグラウンド線54を設けることが可能となる。これによって、フレキシブル部13の板厚(凹溝16での板厚)を薄くでき、十分な可撓性を与えることができる。
【0052】
幅の広いグラウンド線54がフレキシブル部13に存在することで、フレキシブル部13における折り曲げ強度が向上する。好ましくは、グラウンド線54の幅は、検出信号線51および制御信号線52を含む表層での複数の信号線の幅の総和よりも大きく設定されている。これにより、グラウンド線54が一種の補強部材として機能し、十分に高い折り曲げ強度が得られる。
【0053】
第1リジッド部11には、第1面3Aと第2面3Bの双方に回転センサ38,37が実装されているが、第2回転センサ38の検出信号を第2面3B側へ伝達した上で第1回転センサ37の検出信号とともにフレキシブル部13の検出信号線51に接続されるように構成しているので、フレキシブル部13において1つの金属箔層に検出信号線51をすべて配線することができる。従って、フレキシブル部13における配線の高密度化が図れるとともに、第2リジッド部12での入力部を集中して配置することができる。
【0054】
また、2つの制御系統に共用される各回転センサ37,38の検出信号を第1リジッド部11において2系統に分割した上でフレキシブル部13の検出信号線51に接続するようにしているので、フレキシブル部13の検出信号線51の断線に対する耐性が高くなる。
【0055】
同様に、フレキシブル部13においては、W方向の中央部に検出信号線51が位置し、その両側に各制御系統の制御信号線52が位置する。薄肉であるフレキシブル部13は、一般にその側縁を起点としてクラックが生じやすい。例えば、リジッド部11,12との間の境界18に沿ってクラックが生じやすい。このようなクラックが発生したときに、W方向の中央部に位置する検出信号線51は相対的に断線しにくい。仮にW方向の両側に位置する制御信号線52のいずれか一方の側の制御信号線52が断線したとしても、他方の制御系統でもってモータ1Aの駆動制御を継続することが可能である。
【0056】
第2リジッド部12においては、L方向に沿った配置として、CPU21の一方の側に外部センサ入力部27を備え、他方の側に通信用ポート28および電源/通信IC29を備えている。そして、外部センサ入力部27は、回転センサ37,38からの検出信号線51を備えるフレキシブル部13の側に位置する。そのため、CPU21に回転センサ37,38の検出信号と外部センサからの検出信号とを集約して入力することができ、信号配線の複雑化が抑制される。また、これらの信号配線とは反対側にCPU21から電源/通信IC29および通信用ポート28へと至る信号線が配線されるので、回転センサ37,38や外部センサからの検出信号線との交錯が生じにくくなり、配線距離の増大や回路基板の大型化を抑制できる。
【0057】
また、上記実施例の構成では、略U字形に折り曲げた状態において第1リジッド部11の第1電源端子40と第2リジッド部12の第2電源端子25とが隣接した配置となる。そのため、コネクタ部材4の電源用コネクタ4aを小型に構成でき、コネクタ設置面積の増大を抑制できる。第2リジッド部12においては、第2電源端子25から電源電圧が電源/通信IC29へ入力され、所定の作動電圧に変圧した上でCPU21を含む第2リジッド部12上の種々の電子部品に供給される。ここで、第2電源端子25を第2リジッド部12の切欠部24に沿った位置に配置するとともに、電源/通信IC29をフレキシブル部13とは反対側の端部領域に配置しているので、第2電源端子25から電源/通信IC29への入力配線を第2リジッド部12の外側縁寄りに配置できる一方、第2リジッド部12の内側寄りの領域に、電源/通信IC29から電源供給を行うための出力側の配線経路を確保することができる。
【0058】
なお、電源用コネクタ4aから第1電源端子40に供給される電源電圧と第2電源端子25に供給される電源電圧とは、互いに等しい電圧であってもよく、あるいは、互いに異なる電圧であってもよい。
【0059】
上述した多数の電子部品は、いわゆるリフローハンダ付けの手法によって回路基板3にハンダ付けされている。ここで、比較的重量の大きな大型部品であるCPU21、コンデンサ33、コイル32、コンデンサ34A,34B,34Cは、回路基板3の同じ面つまり第1面3Aに実装されている。従って、第1面3Aが重力方向に対して上方となる姿勢でもってリフローハンダ付けを行うことにより、これら大型部品の脱落を抑制しつつ効率のよいハンダ付け作業が可能となる。換言すれば、これら大型部品の接着剤による仮止めを省略もしくは低減でき、かつハンダ付け時の不良発生が少なくなる。
【0060】
一方、電源/通信IC29は、第2リジッド部12においてCPU21とは異なる面つまり第2面3Bに実装されている。これは、電源/通信IC29がコンデンサ33等に比較して一般に軽量であるとともに偏平なパッケージにより部品占有面積が比較的に大きいことを考慮したものである。それぞれ占有面積が大きな電源/通信IC29とCPU21とを異なる面に配置することで、第2リジッド部12の実装効率が高くなる。なお、電源/通信IC29は、リフローハンダ付け時には、接着剤により仮止めした上でハンダ付けされる。
【0061】
第1リジッド部11においては、フィルタ部31の側方に第1電源端子40が配置され、その正極端子40Aが負極端子40Bよりもフレキシブル部13寄りに位置している。従って、正極端子40Aから電源遮断用スイッチング素子35を経由してフィルタ部31へと至る正極側の電源経路が短くなる。そして、正極側の電源経路は、フィルタ部31から電源コンデンサ部34を介してインバータ電源ポート42へとL方向に沿って配線されることとなるので、同様に、その経路が短くなる。
【0062】
第2リジッド部12のCPU21で生成される指示信号は比較的に微弱であり、ノイズの影響を受けやすい。上記実施例では、このようにCPU21で生成された指示信号をプリドライバ回路素子22で増幅した上で、フレキシブル部13の検出信号線51を介して第1リジッド部11へ供給する。CPU21とプリドライバ回路素子22との間の配線経路長は、フレキシブル部13を通る検出信号線51に比較して短く構成することができる。つまり、微弱な信号が流れる経路長を増幅後の信号が流れる経路長よりも短くでき、耐ノイズ性の上で有利である。
【0063】
以上、この発明の一実施例を詳細に説明したが、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施例ではフレキシブル部13が一定幅の帯状の構成となっているが、フレキシブル部がこのような単純形状でない場合でも、本発明は適用可能である。また、上記実施例では、6層構造の回路基板のうちの4層分を除去することでフレキシブル部13を構成しているが、本発明はこのような構成に限られない。また、フレキシブル部13のW方向の幅がリジッド部11,12のW方向の幅よりも小さいことは必須ではない。
【0064】
また、本発明は、上記のパワーステアリング装置用電動アクチュエータの回路基板に限定されず、種々の用途の電子回路装置に適用が可能である。
【0065】
なお、第1リジッド部11と第2リジッド部12との間に存在する中間リジッド部14に、上述した電子部品以外の何らかの電子部品を搭載してもよく、本発明はこのような構成を排除するものではない。
【0066】
上記実施例のように、本来は剛性を有する1枚の多層配線基板の一部に薄肉化加工することで可撓性を有するフレキシブル部13を形成した構成では、剛性を有するリジッド部11,12とフレキシブル部13との位置関係が固定的なものとなり、フレキシブル部13の形成により電子部品の実装可能な面積の割合が少なくなることと相俟って、部品のレイアウトや配線レイアウトが困難となり易い。上記実施例では、上述したように、部品のレイアウトの効率や配線レイアウトの効率を高めることができ、1枚の多層配線基板の一部を薄肉化した場合の課題を解決することができる。
【0067】
以上のように、本発明は、
電動アクチュエータを駆動制御する電子制御装置において、
複数の配線層とこれら配線層の間を絶縁する絶縁層とを有する1枚の多層配線基板を備え、
上記多層配線基板は、
電子部品が実装される第1,第2部品実装部と、
上記第1,第2部品実装部の間に位置し、これら部品実装部よりも上記配線層の数が少なく、基板厚さが相対的に薄いことで上記第1,第2部品実装部よりも高い可撓性を有するフレキシブル部と、
上記第1部品実装部に実装され、上記電動アクチュエータの作動状態を検出する検出素子と、
上記フレキシブル部の配線層に形成され、上記検出素子の信号を上記第1部品実装部から上記第2部品実装部へ伝達する検出信号線と、
を備え、
上記電動アクチュエータの1つの制御系統を構成する上記第1部品実装部に実装された電子部品群および上記第2部品実装部に実装されたCPUが、上記検出信号線の配線方向に沿って配置されている。
【0068】
好ましい一つの態様では、
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記フレキシブル部は、上記第1面において溝状に窪んでいるとともに、上記第2面においては上記第1,第2部品実装部と連続した面を有しており、
上記検出素子は上記第1部品実装部の上記第2面に配置されており、
上記検出信号線は、上記フレキシブル部の上記第2面側の表層の配線層に形成されており、内層の配線層にはグラウンド線が形成されている。
【0069】
好ましい他の一つの態様では、
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記フレキシブル部は、上記第1面において溝状に窪んでいるとともに、上記第2面においては上記第1,第2部品実装部と連続した面を有しており、
上記検出素子は上記第1部品実装部の上記第2面に配置されており、
上記検出信号線は、上記フレキシブル部の上記第2面側の表層の配線層に形成されており、同じ配線層には、上記第1部品実装部と上記第2部品実装部との間を接続する制御信号線が上記検出信号線に並んで形成されている。
【0070】
好ましい他の一つの態様では、
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記フレキシブル部は、上記第1面において溝状に窪んでいるとともに、上記第2面においては上記第1,第2部品実装部と連続した面を有しており、
上記検出素子は、第1検出素子と第2検出素子とを含み、上記第1検出素子が上記第1部品実装部の上記第2面に配置されているとともに上記第2検出素子が上記第1部品実装部の上記第1面に配置されており、
上記検出信号線は、上記フレキシブル部の上記第2面側の表層の配線層に形成されており、
上記第1検出素子および上記第2検出素子は、上記第1部品実装部において上記検出信号線に接続されている。
【0071】
上記フレキシブル部は、上記配線層として表層の配線層と内層の配線層との2層を有し、
上記表層の配線層には、上記検出信号線を含む複数の信号線が形成されており、
上記内層の配線層には、上記複数の信号線の幅の総和よりも大きい幅を有するグラウンド線が形成されている。
【0072】
好ましい他の一つの態様では、
上記第2部品実装部は、
上記検出素子の検出信号を1つのパラメータとして演算処理し、上記電動アクチュエータに対する指示信号を生成する上記CPUと、
当該電子制御装置の外部に位置するセンサからの信号が入力される外部センサ入力部と、
他の電子制御装置との間で通信を行う通信処理回路部と、
を備え、
上記第2部品実装部の中で、上記外部センサ入力部は上記フレキシブル部側に位置し、上記通信処理回路部は上記フレキシブル部とは反対側に位置し、上記CPUは上記外部センサ入力部と上記通信処理回路部との間の中間部に位置する。
【0073】
好ましい他の一つの態様では、
上記第1部品実装部が第1電源端子を備え、この第1電源端子は、当該第1部品実装部の側縁部に位置し、かつ上記制御系統を構成する上記電子部品群よりも外側に位置し、
上記第2部品実装部は、当該第2部品実装部の側縁部に第2電源端子を備え、この第2電源端子に入力された端子電圧を上記第2部品実装部用の作動電圧に変圧する第2部品実装部用電源回路部が上記フレキシブル部とは反対側の端部領域に配置されている。
【0074】
好ましくは、上記第2部品実装部の側縁部には、当該多層配線基板を折り曲げた状態において上記第1電源端子に対向する位置に切欠部が形成されており、上記切欠部に沿った位置に上記第2電源端子が配置されている。
【0075】
好ましい他の一つの態様では、
上記第2部品実装部が当該第2部品実装部に電源を供給する第2電源端子を備え、この第2電源端子は、当該第2部品実装部の側縁部に位置し、
上記CPUは上記第2部品実装部の第1面に実装されており、
上記第2電源端子に入力された端子電圧を上記第2部品実装部用の作動電圧に変圧する第2部品実装部用電源回路部が、上記第2部品実装部の上記フレキシブル部とは反対側の端部領域でかつ当該第2部品実装部の第2面に実装されている。
【0076】
好ましい他の一つの態様では、
上記第1部品実装部は、正極および負極を含む第1電源端子を備え、
上記第1電源端子は、当該第1部品実装部の側縁部に位置し、かつ上記制御系統を構成する上記電子部品群よりも外側に位置し、
上記正極と上記負極とが上記検出信号線の方向に沿って並んで配置されているとともに、上記正極が上記負極に対して上記フレキシブル部寄りに位置しており、
上記第1電源端子から上記電子部品群へ供給される電力を遮断可能なスイッチング素子が、上記電子部品群と上記フレキシブル部との間に配置されている。
【0077】
好ましい他の一つの態様では、
上記第2部品実装部は、
上記検出素子の検出信号を1つのパラメータとして演算処理し、上記電動アクチュエータに対する指示信号を生成する上記CPUと、
上記指示信号を上記電動アクチュエータを駆動する駆動回路の制御信号に変換するプリドライバ回路素子と、
を備え、
上記CPUおよび上記プリドライバ回路素子と、上記第1部品実装部における上記電子部品群に含まれるフィルタ部品およびサブ電源コンデンサと、が多層配線基板の同一の面に実装されている。
【0078】
さらに、本発明は、
2つの駆動部を有する電動アクチュエータを駆動制御する電子制御装置において、
複数の配線層とこれら配線層の間を絶縁する絶縁層とを有する1枚の多層配線基板を備え
上記多層配線基板は、、
電子部品が実装される第1,第2部品実装部と、
上記第1,第2部品実装部の間に位置し、これら部品実装部よりも上記配線層の数が少なく、基板厚さが相対的に薄いことで上記第1,第2部品実装部よりも高い可撓性を有するフレキシブル部と、
上記第1部品実装部に実装され、上記電動アクチュエータの作動状態を検出する検出素子と、
上記フレキシブル部の配線層に形成され、上記検出素子の信号を上記第1部品実装部から上記第2部品実装部へ伝達する検出信号線と、
を備え、
上記電動アクチュエータの2つの駆動部に個々に対応する2つの制御系統がそれぞれ上記第1部品実装部に実装された電子部品群および上記第2部品実装部に実装されたCPUによって構成されており、
上記検出素子は、上記第1部品実装部において、2つの制御系統にそれぞれ対応する2つの電子部品群の列に挟まれるように配置されている。
【0079】
好ましい一つの態様では、
上記第2部品実装部は、2つの制御系統の各々について、
上記検出素子の検出信号を1つのパラメータとして演算処理し、上記電動アクチュエータに対する指示信号を生成する上記CPUと、
上記指示信号を上記電動アクチュエータを駆動する駆動回路の作動信号に変換するプリドライバ回路素子と、
を備え、
各々の制御系統の上記CPUと上記プリドライバ回路素子と上記第1部品実装部における電子部品群とが、上記フレキシブル部の中央と上記検出素子とを通る仮想線の方向に沿って配置されており、
上記プリドライバ回路素子の出力信号が上記フレキシブル部における配線を介して第1部品実装部側へ伝達される。
【0080】
好ましい他の一つの態様では、
上記フレキシブル部の1つの配線層に上記検出信号線が形成されているとともに、同じ配線層に、各々の制御系統毎に上記第2部品実装部から上記第1部品実装部へ制御信号を供給する制御信号線が形成されており、
2つの制御系統の上記制御信号線は、上記検出信号線を挟んで両側にそれぞれ配置されている。
【0081】
好ましい他の一つの態様では、
上記多層配線基板は、第1面と第2面とを有し、
上記第1部品実装部において、上記検出素子は上記第2面に実装され、各制御系統を構成する上記電子部品群は上記第1面に実装されており、
上記第1部品実装部を投影して見たときに、上記検出素子は、1つの制御系統における1つの電子部品と他の制御系統における同一の機能を有する1つの電子部品との間に挟まれて位置し、かつこれら2つの電子部品と重ならない位置に配置されている。
【0082】
好ましい他の一つの態様では、
上記検出素子は、2つの制御系統で共用されており、
上記第1部品実装部において上記検出素子の検出信号を2系統に分岐した上で、上記フレキシブル部における上記検出信号線を介して各制御系統に入力される。
【符号の説明】
【0083】
1…モータ部、2…インバータ・パワーモジュール、3…回路基板、3A…第1面、3B…第2面、4…コネクタ部材、5…モータカバー、7…ハウジング、11…第1リジッド部、12…第2リジッド部、13…フレキシブル部、16…凹溝、21…CPU、22…プリドライバ回路素子、24…切欠部、25…第2電源端子、27…外部センサ入力部、28…通信用ポート、29…電源/通信IC、31…フィルタ部、32…コイル、33…コンデンサ、34…電源コンデンサ部、35…電源遮断用スイッチング素子、37…第1回転センサ、38…第2回転センサ、40…第1電源端子、40A…正極端子、40B…負極端子、41…ゲート信号ポート、42…インバータ電源ポート、51…検出信号線、52…制御信号線、54…グラウンド線。
図1
図2
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図10