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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20231220BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019053567
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020155629
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史朗
(72)【発明者】
【氏名】荒井 正
(72)【発明者】
【氏名】倉田 茂
(72)【発明者】
【氏名】小松 多津次
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-088235(JP,A)
【文献】特表2010-541201(JP,A)
【文献】特開2015-170688(JP,A)
【文献】特開平11-214284(JP,A)
【文献】特開平11-251398(JP,A)
【文献】特開2018-120156(JP,A)
【文献】国際公開第2009/072199(WO,A1)
【文献】特開2006-088295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する基板搬送装置において、
前記基板が載置される複数本の支持ピンと、複数本の前記支持ピンを保持するピン保持部材と、水平方向のうちの所定の方向である第1方向に前記ピン保持部材を移動させて前記基板を搬送する第1移動機構と、上下方向と第1方向とに直交する第2方向に前記ピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向として前記ピン保持部材を回動させる回動機構とを備え、
前記第2移動機構は、前記ピン保持部材と一緒に前記回動機構を第2方向に移動させ、
前記第1移動機構は、前記ピン保持部材と一緒に前記回動機構および前記第2移動機構を第1方向に移動させることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
基板を搬送する基板搬送装置において、
前記基板が載置される複数本の支持ピンと、複数本の前記支持ピンを保持するピン保持部材と、水平方向のうちの所定の方向である第1方向に前記ピン保持部材を移動させて前記基板を搬送する第1移動機構と、上下方向と第1方向とに直交する第2方向に前記ピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向として前記ピン保持部材を回動させる回動機構とを備え、
前記第1移動機構は、前記ピン保持部材と一緒に前記回動機構を第1方向に移動させ、
前記第1移動機構が前記基板を第1方向の一方に搬送しながら、前記回動機構が前記ピン保持部材を回動させることを特徴とする基板搬送装置
【請求項3】
基板を搬送する基板搬送装置において、
前記基板が載置される複数本の支持ピンと、複数本の前記支持ピンを保持するピン保持部材と、水平方向のうちの所定の方向である第1方向に前記ピン保持部材を移動させて前記基板を搬送する第1移動機構と、上下方向と第1方向とに直交する第2方向に前記ピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向として前記ピン保持部材を回動させる回動機構と、前記支持ピンよりも上側に配置されるカメラおよび照明を備えるとともに前記基板の端部の割れの有無を検知するための割れ検知機構と、前記カメラの下側であってかつ前記基板よりも下側に配置されるとともに、上側から見たときに少なくとも一部が前記基板の第2方向の端面よりも第2方向の外側に配置される低反射部材とを備え、
前記第1移動機構は、前記ピン保持部材と一緒に前記回動機構を第1方向に移動させ、
前記第1移動機構が前記基板を第1方向の一方に搬送しながら、前記割れ検知機構が前記基板の端部の割れの有無を検知し、
前記低反射部材の上面は、黒色であり、かつ、第2方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項4】
複数本の前記支持ピンには、前記基板の下面を吸着して前記基板を把持する吸着支持ピンが含まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記第1移動機構が前記基板を第1方向の一方に搬送しながら、前記第2移動機構が前記ピン保持部材および前記回動機構を第2方向に移動させるとともに、前記回動機構が前記ピン保持部材を回動させることを特徴とする請求項記載の基板搬送装置。
【請求項6】
複数本の前記支持ピンに載置される前記基板の、第1方向の位置と第2方向の位置と第1方向または第2方向に対する傾きとを検知するための検知機構を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記基板に記録されたデータを読み取るデータ読取機構を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記カメラの下側であってかつ前記基板よりも下側に配置される部材の上面が黒色となっていることを特徴とする請求項記載の基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の基板を搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等で使用されるガラス基板を処理するための基板処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の基板処理装置は、複数枚のガラス基板が収容されるカセットからガラス基板を取り出す搬送ロボットと、基板に対して処理を行う処理部と、搬送ロボットと処理部との間でガラス基板を搬送する搬送コンベヤとを備えている。搬送コンベヤは、ガラス基板を搬送する複数の搬送ローラと、搬送ロボットからガラス基板を受け取るために昇降する複数本のプッシャピンとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の基板処理装置では、複数本のプッシャピンの上端が搬送ローラの上端よりも上側に上昇した状態で、複数本のプッシャピンの上にガラス基板を載置することで、搬送ロボットは、搬送コンベヤにガラス基板を引き渡す。複数本のプッシャピンの上にガラス基板が載置されると、プッシャピンが下降して、搬送ローラにガラス基板が載置される。搬送ローラにガラス基板が載置されると、搬送ローラが回転して、処理部にガラス基板が搬入される。特許文献1に記載の基板処理装置では、昇降可能な複数本のプッシャピンを搬送コンベヤが備えているため、搬送ロボットのハンドフォークと搬送ローラとの干渉を防止しつつ、搬送ロボットから搬送コンベヤにガラス基板を引き渡すことが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-310240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の基板処理装置では、たとえば、搬送ローラに載置されたガラス基板の向きを変えてからガラス基板を処理部に搬入しなければならない場合や、搬送ローラに載置されたガラス基板の位置補正(アライメント)を行ってからガラス基板を処理部に搬入しなければならない場合に、搬送ローラに載置された状態でガラス基板を回動させたり、ガラス基板の位置補正を行ったりすると、ガラス基板が傷つくおそれがある。そのため、特許文献1に記載の基板処理装置では、ガラス基板を回動させてガラス基板の向きを変えたり、ガラス基板の位置補正を行ったりする際に、プッシャピンでガラス基板を搬送ローラから持ち上げてから、ガラス基板を回動させたり、ガラス基板の位置補正を行ったりする必要がある。
【0006】
しかしながら、搬送コンベヤにおいて、ガラス基板を回動させてガラス基板の向きを変えたり、ガラス基板の位置補正を行ったりする際に、プッシャピンでガラス基板を搬送ローラから持ち上げてから、ガラス基板を回動させたり、ガラス基板の位置補正を行ったりすると、搬送ロボットから受け取ったガラス基板を処理部に引き渡すまでの時間が長くなって、基板処理装置のサイクルタイムが長くなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、基板を搬送する基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能な基板搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の基板搬送装置は、基板を搬送する基板搬送装置において、基板が載置される複数本の支持ピンと、複数本の支持ピンを保持するピン保持部材と、水平方向のうちの所定の方向である第1方向にピン保持部材を移動させて基板を搬送する第1移動機構と、上下方向と第1方向とに直交する第2方向にピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材を回動させる回動機構とを備え、第2移動機構は、ピン保持部材と一緒に回動機構を第2方向に移動させ、第1移動機構は、ピン保持部材と一緒に回動機構および第2移動機構を第1方向に移動させることを特徴とする。
【0009】
本発明の基板搬送装置は、第1方向にピン保持部材を移動させて基板を搬送する第1移動機構と、第2方向にピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材を回動させる回動機構とを備えている。そのため、本発明では、基板を持ち上げなくても、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させて基板の向きを変えることが可能になる。また、本発明では、基板を持ち上げなくても、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させ、第2移動機構によって第2方向に移動させるとともに第1移動機構によって第1方向に移動させて基板の位置補正を行うことが可能になる。
【0010】
すなわち、本発明では、基板を持ち上げなくても、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりすることが可能になる。したがって、本発明では、基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能になる。
また、本発明では、第1移動機構は、ピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させているため、第1移動機構によって第1方向の一方に基板を搬送しながら、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させて基板の向きを変えることが可能になる。また、第1移動機構がピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させているため、第1移動機構によって第1方向の一方に基板を搬送しながら、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させるとともに第2移動機構によって第2方向に移動させて基板の位置補正を行うことが可能になる。
すなわち、本発明では、第1方向の一方に基板を搬送しながら、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりすることが可能になる。したがって、本発明では、基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムをより短縮することが可能になる。
【0011】
また、上記の課題を解決するため、本発明の基板搬送装置は、基板を搬送する基板搬送装置において、基板が載置される複数本の支持ピンと、複数本の支持ピンを保持するピン保持部材と、水平方向のうちの所定の方向である第1方向にピン保持部材を移動させて基板を搬送する第1移動機構と、上下方向と第1方向とに直交する第2方向にピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材を回動させる回動機構とを備え、第1移動機構は、ピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させ、第1移動機構が基板を第1方向の一方に搬送しながら、回動機構がピン保持部材を回動させることを特徴とする。
本発明の基板搬送装置は、第1方向にピン保持部材を移動させて基板を搬送する第1移動機構と、第2方向にピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材を回動させる回動機構とを備えている。そのため、本発明では、基板を持ち上げなくても、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させて基板の向きを変えることが可能になる。また、本発明では、基板を持ち上げなくても、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させ、第2移動機構によって第2方向に移動させるとともに第1移動機構によって第1方向に移動させて基板の位置補正を行うことが可能になる。
すなわち、本発明では、基板を持ち上げなくても、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりすることが可能になる。したがって、本発明では、基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能になる。
また、本発明では、第1移動機構は、ピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させているため、第1移動機構によって第1方向の一方に基板を搬送しながら、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させて基板の向きを変えることが可能になる。また、第1移動機構がピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させているため、第1移動機構によって第1方向の一方に基板を搬送しながら、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させるとともに第2移動機構によって第2方向に移動させて基板の位置補正を行うことが可能になる。
すなわち、本発明では、第1方向の一方に基板を搬送しながら、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりすることが可能になる。したがって、本発明では、基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムをより短縮することが可能になる。
【0012】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明の基板搬送装置は、基板を搬送する基板搬送装置において、基板が載置される複数本の支持ピンと、複数本の支持ピンを保持するピン保持部材と、水平方向のうちの所定の方向である第1方向にピン保持部材を移動させて基板を搬送する第1移動機構と、上下方向と第1方向とに直交する第2方向にピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材を回動させる回動機構と、支持ピンよりも上側に配置されるカメラおよび照明を備えるとともに基板の端部の割れの有無を検知するための割れ検知機構と、カメラの下側であってかつ基板よりも下側に配置されるとともに、上側から見たときに少なくとも一部が基板の第2方向の端面よりも第2方向の外側に配置される低反射部材とを備え、第1移動機構は、ピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させ、第1移動機構が基板を第1方向の一方に搬送しながら、割れ検知機構が基板の端部の割れの有無を検知し、低反射部材の上面は、黒色であり、かつ、第2方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする。
本発明の基板搬送装置は、第1方向にピン保持部材を移動させて基板を搬送する第1移動機構と、第2方向にピン保持部材を移動させる第2移動機構と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材を回動させる回動機構とを備えている。そのため、本発明では、基板を持ち上げなくても、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させて基板の向きを変えることが可能になる。また、本発明では、基板を持ち上げなくても、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させ、第2移動機構によって第2方向に移動させるとともに第1移動機構によって第1方向に移動させて基板の位置補正を行うことが可能になる。
すなわち、本発明では、基板を持ち上げなくても、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりすることが可能になる。したがって、本発明では、基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能になる。
また、本発明では、第1移動機構は、ピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させているため、第1移動機構によって第1方向の一方に基板を搬送しながら、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させて基板の向きを変えることが可能になる。また、第1移動機構がピン保持部材と一緒に回動機構を第1方向に移動させているため、第1移動機構によって第1方向の一方に基板を搬送しながら、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させるとともに第2移動機構によって第2方向に移動させて基板の位置補正を行うことが可能になる。
すなわち、本発明では、第1方向の一方に基板を搬送しながら、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりすることが可能になる。したがって、本発明では、基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムをより短縮することが可能になる。
また、本発明では、基板搬送装置は、基板の端部の割れの有無を検知するための割れ検知機構を備え、割れ検知機構は、支持ピンよりも上側に配置されるカメラおよび照明を備え、第1移動機構が基板を第1方向の一方に搬送しながら、割れ検知機構が基板の端部の割れの有無を検知している。そのため、基板の端部の割れの有無を割れ検知機構によって検知する場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能になる。
また、本発明では、基板搬送装置は、カメラの下側であってかつ基板よりも下側に配置されるとともに、上側から見たときに少なくとも一部が基板の第2方向の端面よりも第2方向の外側に配置される低反射部材を備え、低反射部材の上面は、黒色であり、かつ、第2方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。そのため、割れ検知機構によって基板の端部の割れの有無を検知する際に、基板の第2方向の端面の外側で照明光がカメラに向かって反射されにくくなる。したがって、基板の第2方向の端部の割れの有無を精度良く検知することが可能になる。
【0013】
本発明において、複数本の支持ピンには、基板の下面を吸着して基板を把持する吸着支持ピンが含まれていることが好ましい。このように構成すると、複数本の支持ピンに載置される基板のずれを確実に防止することが可能になる。
【0016】
また、本発明において、たとえば、第1移動機構が基板を第1方向の一方に搬送しながら、第2移動機構がピン保持部材および回動機構を第2方向に移動させるとともに、回動機構がピン保持部材を回動させる。この場合には、第1移動機構によって第1方向の一方に基板を搬送しながら、複数本の支持ピンに載置される基板を回動機構によって回動させるとともに第2移動機構によって第2方向に移動させて基板の位置補正を行うことができる。
【0017】
本発明において、基板搬送装置は、たとえば、複数本の支持ピンに載置される基板の、第1方向の位置と第2方向の位置と第1方向または第2方向に対する傾きとを検知するための検知機構を備えている。この場合には、検知機構の検知結果に基づいて基板の位置補正が行われる。また、本発明において、基板搬送装置は、たとえば、基板に記録されたデータを読み取るデータ読取機構を備えている。
【0020】
本発明において、カメラの下側であってかつ基板よりも下側に配置される部材の上面が黒色となっていることが好ましい。このように構成すると、割れ検知機構によって基板の端部の割れの有無を検知する際に、基板の端面の外側で照明光がカメラに向かって反射されにくくなる。したがって、基板の端部の割れの有無を精度良く検知することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明では、基板を搬送する基板搬送装置において、基板を回動させて基板の向きを変えたり、基板の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置が組み込まれて使用される製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態にかかる基板搬送装置の側面図である。
図2図1に示す基板搬送装置の構成を説明するための平面図である。
図3図1のE-E方向から基板搬送装置の構成を説明するための図である。
図4図1のF部の構成を説明するための図である。
図5図1のG-G方向から基板搬送装置の構成を説明するための図である。
図6図2のH部の構成を説明するための図である。
図7図2のJ部の構成を説明するための図である。
図8図1に示す基板搬送装置での基板の位置補正方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
(基板搬送装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる基板搬送装置1の側面図である。図2は、図1に示す基板搬送装置1の構成を説明するための平面図である。図3は、図1のE-E方向から基板搬送装置1の構成を説明するための図である。図4は、図1のF部の構成を説明するための図である。図5は、図1のG-G方向から基板搬送装置1の構成を説明するための図である。
【0025】
本形態の基板搬送装置1は、基板2を水平方向へ搬送するための装置である。基板2は、液晶表示装置で使用される大型のガラス基板であり、長方形の平板状に形成されている。基板搬送装置1は、液晶表示装置の製造ラインに組み込まれて使用される。液晶表示装置の製造ラインは、基板搬送装置1に基板2を1枚ずつ供給する上流側のロボットと、基板搬送装置1から基板2を1枚ずつ排出する下流側のロボットとを備えている。ロボットは、水平多関節型のロボットであり、ハンド3と、ハンド3が先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。ハンド3は、基板2が搭載される複数本のハンドフォーク4を備えている。
【0026】
基板搬送装置1は、基板2が載置される複数本の支持ピン7と、複数本の支持ピン7を保持するピン保持部材8と、水平方向のうちの所定の方向へピン保持部材8を直線的に移動させる第1移動機構としての移動機構9(図5参照)と、移動機構9によって移動するピン保持部材8の移動方向と上下方向とに直交する方向へピン保持部材8を移動させる第2移動機構としての移動機構10(図4参照)と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材8を回動させる回動機構11とを備えている。
【0027】
以下の説明では、移動機構9によるピン保持部材8の移動方向(図1等のX方向)を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する図1等のY方向を「左右方向」とする。また、以下の説明では、前後方向の一方である図1等のX2方向を「後ろ」方向とし、その反対方向である図1等のX1方向を「前」方向とし、左右方向の一方である図2等のY1方向を「右」方向とし、その反対方向である図2等のY2方向を「左」方向とする。本形態の前後方向(X方向)は、第1方向であり、左右方向(Y方向)は、第2方向である。
【0028】
液晶表示装置の製造ラインにおいて、上流側のロボットの本体部は、基板搬送装置1の前側に配置され、下流側のロボットの本体部は、基板搬送装置1の後ろ側に配置されている。基板搬送装置1は、上流側のロボットから供給された基板2を後ろ側に向かって搬送する。すなわち、移動機構9は、ピン保持部材8を後ろ側へ移動させることで、基板2を後ろ側に向かって搬送する。基板搬送装置1による基板2の搬送量は、たとえば、8~9(m)である。
【0029】
また、基板搬送装置1は、移動機構9等が取り付けられる門型のフレーム12と、フレーム12を下側から支持する支持脚13とを備えている。さらに、基板搬送装置1は、基板2に記録されたデータを読み取るためのデータ読取機構14と、複数本の支持ピン7に載置される基板2の、前後方向の位置と左右方向の位置と前後方向または左右方向に対する傾きを検知するための検知機構15と、基板2の端部の割れの有無を検知するための割れ検知機構16とを備えている。なお、図2では、フレーム12および支持脚13の図示を省略している。
【0030】
(支持ピン、ピン保持部材、回動機構および移動機構の構成)
図6は、図2のH部の構成を説明するための図である。
【0031】
ピン保持部材8は、支持ピン7が固定される細長い四角筒状の複数本のピン固定部材19と、複数本のピン固定部材19を繋ぐ細長い四角筒状の2本の連結部材20と、2本の連結部材20を支持する平板状の支持板21とを備えている。ピン保持部材8の外形は、基板2の外形よりも小さくなっている。そのため、複数本の支持ピン7に基板2が載置された状態で上側からピン保持部材8を見ると、ピン保持部材8は、基板2の外形の中に収まっている。
【0032】
ピン固定部材19は、ピン固定部材19の長手方向と前後方向とが一致するように配置されている。複数本のピン固定部材19は、左右方向において所定の間隔をあけた状態で配置されている。本形態では、ピン保持部材8は、5本のピン固定部材19を備えている。連結部材20は、連結部材20の長手方向と左右方向とが一致するように配置されている。2本の連結部材20は、前後方向に間隔をあけた状態で配置されている。支持板21は、支持板21の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。ピン固定部材19は、2本の連結部材20の上面に固定されている。連結部材20は、支持板21の上面に固定されている。上下方向から見ると、支持板21の中心は、ピン保持部材8の中心と一致している。
【0033】
支持ピン7の下端は、ピン固定部材19に直接または所定のブラケットを介して固定されており、支持ピン7は、ピン固定部材19の上面から上側に突出している。複数本の支持ピン7は、複数本のピン固定部材19のそれぞれに前後方向に一定の間隔をあけた状態で固定されている。複数本の支持ピン7の中には、基板2の下面を吸着して基板2を把持する吸着支持ピン7Aが含まれている。本形態では、左右の両端に配置される2本のピン固定部材19のそれぞれの前後の両端側に固定される4本の支持ピン7が吸着支持ピン7Aとなっている。そのため、長方形状に形成される基板2の四隅の下面が吸着支持ピン7Aに吸着されて把持される。吸着支持ピン7Aは、吸着パッドを備えている。吸着支持ピン7Aには、吸引ポンプ等を有する吸引機構が接続されている。
【0034】
回動機構11は、ピン保持部材8の下側に配置されている。回動機構11は、モータ22を備えている。モータ22は、モータ22の出力軸が上側に突出するように配置されている。モータ22の出力軸には、支持板21が固定されている。上下方向から見たときに、モータ22の出力軸の中心は、ピン保持部材8の中心と一致している。
【0035】
移動機構10は、図4に示すように、モータ22が固定されるスライド部材24と、スライド部材24を左右方向に移動させるためのモータ(図示省略)と、このモータの動力をスライド部材24に伝達する動力伝達機構25と、スライド部材24を左右方向に案内するガイド機構26とを備えている。モータ22は、スライド部材24の上面側に固定されている。すなわち、モータ22の下端部がスライド部材24の上面側に固定されており、回動機構11は、スライド部材24に搭載されている。
【0036】
動力伝達機構25は、ネジ軸およびネジ軸に係合するナット部材を有するボールねじである。したがって、以下では、動力伝達機構25を「ボールねじ25」とする。ボールねじ25のネジ軸は、移動機構9の一部を構成する後述のスライド部材28に回転可能に取り付けられている。ネジ軸は、ネジ軸の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。また、ネジ軸は、スライド部材28の前端部に取り付けられている。ネジ軸は、移動機構10のモータの動力で回転する。このモータは、スライド部材28に固定されている。ボールねじ25のナット部材は、スライド部材24の前端部に取り付けられている。
【0037】
ガイド機構26は、スライド部材28に固定されるガイドレールと、ガイドレールに係合するガイドブロックとを備えている。ガイド機構26は、スライド部材24の前後の両端側のそれぞれに配置されている。ガイド機構26のガイドレールは、スライド部材28の上面側に固定されている。このガイドレールは、ガイドレールの長手方向と左右方向とが一致するように配置されている。ガイド機構26のガイドブロックは、スライド部材24の下面側に固定されている。このガイドブロックは、上側からガイドレールに係合している。
【0038】
移動機構10のモータが駆動して、ボールねじ25のネジ軸が回転すると、回動機構11が搭載されるスライド部材24がガイド機構26のガイドレールに案内されて左右方向に移動する。すなわち、移動機構10は、ピン保持部材8と一緒に回動機構11を左右方向に移動させる。移動機構10によって移動するスライド部材24の左右方向の移動可能量は、たとえば、100(mm)である。
【0039】
移動機構9は、図5に示すように、ボールねじ25のネジ軸およびガイド機構26のガイドレールが取り付けられるスライド部材28と、スライド部材28を前後方向に移動させるモータ29と、モータ29の動力をスライド部材28に伝達する動力伝達機構30と、スライド部材28を前後方向に案内するガイド機構31とを備えている。移動機構10のモータ、ボールねじ25のネジ軸およびガイド機構26のガイドレールは、スライド部材28の上面側に取り付けられており、移動機構10は、スライド部材28に搭載されている。
【0040】
モータ29および動力伝達機構30は、スライド部材28の右端側に配置されている。モータ29は、フレーム12に固定されている。動力伝達機構30は、たとえば、モータ29の動力で回転する駆動プーリ、従動プーリ、および、駆動プーリと従動プーリとに架け渡されるベルト等を備えている。駆動プーリおよび従動プーリは、フレーム12に回転可能に支持されている。ベルトの一部は、スライド部材28に固定されている。
【0041】
ガイド機構31は、フレーム12の底面部に固定されるガイドレールと、ガイドレールに係合するガイドブロックとを備えている。ガイド機構31は、スライド部材28の左右の両端側のそれぞれに配置されている。ガイド機構31のガイドレールは、フレーム12の底面部の上面側に固定されている。このガイドレールは、ガイドレールの長手方向と前後方向とが一致するように配置されている。ガイド機構31のガイドブロックは、スライド部材28の下面側に固定されている。このガイドブロックは、上側からガイドレールに係合している。
【0042】
モータ29が駆動して、動力伝達機構30の駆動プーリ等が回転すると、移動機構10が搭載されるスライド部材28がガイド機構31のガイドレールに案内されて前後方向に移動する。すなわち、移動機構9は、ピン保持部材8と一緒に回動機構11および移動機構10を前後方向に移動させる。また、移動機構9は、上述のように、ピン保持部材8に載置される基板2を後ろ側へ搬送する。上述のように、基板搬送装置1による基板2の搬送量は、たとえば、8~9(m)となっており、移動機構9によって移動するスライド部材28の前後方向の移動可能量は、8~9(m)となっている。
【0043】
(データ読取機構、検知機構および割れ検知機構の構成)
図7は、図2のJ部の構成を説明するための図である。図8は、図1に示す基板搬送装置1での基板2の位置補正方法を説明するための図である。
【0044】
データ読取機構14は、基板2の端部に記録された光学的に読取可能なデータを読み取るカメラ等を備えている。データ読取機構14のカメラは、複数本の支持ピン7に載置される基板2よりも上側に配置されている。また、データ読取機構14のカメラは、たとえば、基板搬送装置1の前端部に配置されており、基板2の前端部の上面に記録されたデータを読み取る。具体的には、データ読取機構14のカメラは、基板2の上面の二次元バーコードを読み取る。二次元バーコードには、基板2のIDコードが記録されている。
【0045】
検知機構15は、基板搬送装置1の後端部に配置されている。検知機構15は、基板2の左右方向の位置および前後方向に対する傾きを検知するための2個のセンサ33と、基板2の前後方向の位置を検知するための1個のセンサ34とを備えている。センサ33、34は、発光部35と受光部36とを有する透過型の光学式センサである。また、センサ33、34は、直線状に配列される複数の受光素子を備えるラインセンサである。センサ33、34の発光部35および受光部36は、複数本の支持ピン7に載置される基板2の端部を上下方向で挟むように配置されている。
【0046】
ラインセンサであるセンサ33は、センサ33の長手方向(受光素子の配列方向)と左右方向とが一致するように配置され、ラインセンサであるセンサ34は、センサ34の長手方向と前後方向とが一致するように配置されている。2個のセンサ33のうちの一方のセンサ33は、複数本の支持ピン7に載置される基板2の右端面の前端部を検知可能な位置に配置され、他方のセンサ33は、複数本の支持ピン7に載置される基板2の右端面の後端部を検知可能な位置に配置されている。センサ34は、複数本の支持ピン7に載置される基板2の後端面の左端部を検知可能な位置に配置されている。
【0047】
本形態では、2個のセンサ33による基板2の右端面の検知位置の差ΔY(図8(A)参照)に基づいて、回動機構11がピン保持部材8を回動させて基板2の前後方向に対する傾きを補正する。基板2の前後方向に対する傾きを補正するときには、たとえば、オペレータが、基板2の右端面の検知位置の差ΔYを確認しながら、回動機構11のジョグ操作を行って、基板2の前後方向に対する傾きを補正する(図8(B)参照)。あるいは、基板2の右端面の検知位置の差ΔYに基づいて、基板2の前後方向に対する傾きΔθを自動で算出するとともに、傾きΔθ分、回動機構11を駆動して、基板2の前後方向に対する傾きを補正する。
【0048】
基板2の前後方向に対する傾きが補正されると、センサ33による基板2の右端面の検知結果に基づいて、基準位置からの基板2の左右方向のずれ量ΔY1を自動で算出するともに、センサ34による基板2の後端面の検知結果に基づいて、基準位置からの基板2の前後方向のずれ量ΔX1を自動で算出する(図8(B)参照)。また、ずれ量ΔY1分、移動機構10を駆動するとともに、ずれ量ΔX1分、移動機構9を駆動して、基板2の前後左右方向の位置を補正する。
【0049】
割れ検知機構16は、基板搬送装置1の前端側に配置されている。割れ検知機構16は、支持ピン7よりも上側に配置される複数のカメラ38および照明39を備えている。複数のカメラ38は、左右方向に配列されている。照明39は、カメラ38よりも下側に配置されている。複数のカメラ38および照明39は、支持フレーム40に取り付けられている。支持フレーム40は、フレーム12の上端面に固定されている。照明39は、カメラ38の下側を通過する基板2の上面に光を照射する。カメラ38は、カメラ38の下側を通過する基板2の上面の画像を撮影する。割れ検知機構16は、カメラ38で撮影された画像に基づいて、基板2の前端部、後端部、右端部および左端部の割れ(欠け)の有無を検知する。
【0050】
図5に示すように、前後方向において割れ検知機構16が配置される箇所には、低反射部材41が配置されている。低反射部材41は、長方形の平板状に形成されている。低反射部材41は、カメラ38の下側に配置されている。また、低反射部材41は、複数本の支持ピン7に載置される基板2よりも下側に配置されている。低反射部材41は、左右の両端側の2箇所に配置されている。また、低反射部材41は、カメラ38の下側を通過するピン保持部材8の左右方向の外側に配置されている。
【0051】
上側から見たときに、低反射部材41の一部は、カメラ38の下側を通過する基板2の左右方向の端面よりも左右方向の外側に配置されている。すなわち、右側に配置される低反射部材41の右側部分は、基板2の右端面よりも右側に配置され、右側に配置される低反射部材41の左側部分は、上下方向において基板2の右端部と重なっている。また、左側に配置される低反射部材41の左側部分は、基板2の左端面よりも左側に配置され、左側に配置される低反射部材41の右側部分は、上下方向において基板2の左端部と重なっている。なお、上側から見たときに、低反射部材41の全体が基板2の左右方向の端面より左右方向の外側に配置されていても良い。
【0052】
低反射部材41の上面は、黒色となっている。また、低反射部材41の上面は、左右方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。すなわち、右側に配置される低反射部材41の上面は、右側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっており、左側に配置される低反射部材41の上面は、左側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。また、本形態では、カメラ38の下側であってかつ基板2よりも下側に配置される部材の上面は、黒色となっている。
【0053】
(基板搬送装置の動作)
基板搬送装置1では、スライド部材28が基板搬送装置1の前端部に配置された状態で、上流側のロボットが複数本の支持ピン7に基板2を載置する。このときには、上流側のロボットのハンドフォーク4が基板搬送装置1の前端部に入り込む(図1図2参照)。ハンドフォーク4は、支持ピン7およびピン固定部材19と干渉しない位置で、基板搬送装置1の前端部に入り込む。複数本の支持ピン7に基板2が載置されると、回動機構11が基板2を180°回動させる。
【0054】
基板2が180°回動すると、データ読取機構14が基板2に記録されたデータを読み取る。また、基板2に記録されたデータが読み取られると、移動機構9がスライド部材28を後ろ側へ移動させて基板2を後ろ側へ搬送する。割れ検知機構16は、搬送される基板2の端部の割れの有無を検知する。すなわち、移動機構9が基板2を後ろ側へ搬送しながら、割れ検知機構16が基板2の端部の割れの有無を検知する。割れ検知機構16が基板2の端部の割れの有無を検知するときには、移動機構9は、基板2の搬送速度を下げる。
【0055】
割れ検知機構16で基板2の端部の割れの有無が検知されると、移動機構9は、基板2の搬送速度を上げる。基板2が基板搬送装置1の後端部に到達して停止すると(すなわち、スライド部材28が基板搬送装置1の後端部に到達して停止すると)、検知機構15によって、基板2の前後方向の位置、左右方向の位置および前後方向に対する傾きが検知される。移動機構9、10および回動機構11は、検知機構15の検知結果に基づいて、上述のように、基板2の前後方向に対する傾きおよび前後左右方向の位置を補正する。
【0056】
基板2の位置が補正されると、複数本の支持ピン7に載置される基板2を下流側のロボットが取り出す。このときには、下流側のロボットのハンドフォーク4が基板搬送装置1の後端部に入り込む(図1図2参照)。ハンドフォーク4は、支持ピン7およびピン固定部材19と干渉しない位置で、基板搬送装置1の後端部に入り込む(図3参照)。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の基板搬送装置1は、前後方向にピン保持部材8を移動させる移動機構9と、左右方向にピン保持部材8を移動させる移動機構10と、上下方向を回動の軸方向としてピン保持部材8を回動させる回動機構11とを備えている。そのため、本形態では、基板2を持ち上げなくても、複数本の支持ピン7に載置される基板2を回動機構11によって回動させて基板2の向きを変えることができる。また、本形態では、基板2を持ち上げなくても、複数本の支持ピン7に載置される基板2を回動機構11によって回動させ、移動機構10によって左右方向に移動させるとともに移動機構9によって前後方向に移動させて基板2の位置補正を行うことができる。
【0058】
すなわち、本形態では、基板2を持ち上げなくても、基板2を回動させて基板2の向きを変えたり、基板2の位置補正を行ったりすることができる。したがって、本形態では、基板搬送装置1において、基板2を回動させて基板2の向きを変えたり、基板2の位置補正を行ったりする場合であっても、基板搬送装置1が組み込まれて使用される液晶表示装置の製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能になる。
【0059】
本形態では、移動機構9が基板2を後ろ側へ搬送しながら、割れ検知機構16が基板2の端部の割れの有無を検知している。そのため、本形態では、割れ検知機構16によって基板2の端部の割れの有無を検知する場合であっても、基板搬送装置1が組み込まれて使用される液晶表示装置の製造ラインのサイクルタイムを短縮することが可能になる。また、本形態では、複数本の支持ピン7に吸着支持ピン7Aが含まれているため、複数本の支持ピン7に載置される基板2のずれを確実に防止することが可能になる。
【0060】
本形態では、基板2よりも下側に配置される低反射部材41の一部は、基板2の左右方向の端面よりも左右方向の外側に配置されている。また、本形態では、低反射部材41の上面は黒色になっているとともに、左右方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。そのため、本形態では、割れ検知機構16によって基板2の端部の割れの有無を検知する際に、基板2の左右方向の端面の外側でカメラ38に向かって照明光が反射されにくくなる。したがって、本形態では、基板2の左右の両端部の割れの有無を精度良く検知することが可能になる。
【0061】
また、本形態では、カメラ38の下側であってかつ基板2よりも下側に配置される部材の上面が黒色となっているため、割れ検知機構16によって基板2の端部の割れを検知する際に、基板2の端面の外側で照明光がカメラ38に向かって反射されにくくなる。したがって、本形態では、基板2の端部の割れの有無を精度良く検知することが可能になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態において、回動機構11は、基板2を90°回動させても良いし、基板2を270°回動させても良い。また、上述した形態において、移動機構10が、ピン保持部材8と一緒に回動機構11および移動機構9を左右方向に移動させても良い。この場合には、移動機構9は、ピン保持部材8と一緒に回動機構11を前後方向に移動させる。
【0064】
上述した形態において、移動機構9が基板2を後ろ側へ搬送しながら、回動機構11がピン保持部材8を180°回動させて、基板2を180°回動させても良い。この場合には、基板2を後ろ側へ搬送しながら基板2を回動させて基板2の向きを変えることができるため、基板搬送装置1において、基板2を回動させて基板2の向きを変える場合であっても、基板搬送装置1が組み込まれて使用される液晶表示装置の製造ラインのサイクルタイムをより短縮することが可能になる。なお、基板2を後ろ側へ搬送しながら、回動機構11が基板2を90°回動させても良いし、基板2を270°回動させても良い。
【0065】
上述した形態において、検知機構15は、基板搬送装置1の前端部に配置されていても良い。この場合には、たとえば、基板2を後ろ側へ搬送しながら、基板2の前後方向に対する傾きおよび前後左右方向の位置を補正する。すなわち、移動機構9が基板2を後ろ側へ搬送しながら、移動機構10がピン保持部材8および回動機構11を左右方向に移動させるとともに、回動機構11がピン保持部材8を回動させて、基板2の前後方向に対する傾きおよび前後左右方向の位置を補正する。
【0066】
この場合には、後ろ側に基板2を搬送しながら、基板2の位置補正を行うことができるため、基板搬送装置1において、基板2の位置補正を行う場合であっても、基板搬送装置1が組み込まれて使用される液晶表示装置の製造ラインのサイクルタイムをより短縮することが可能になる。この場合には、2個のセンサ33による基板2の右端面の検知位置の差ΔYに基づいて、基板2の前後方向に対する傾きΔθが自動で算出されて、傾きΔθ分、回動機構11が駆動する。なお、検知機構15が基板搬送装置1の前端部に配置されている場合に、基板搬送装置1の前端部において、上述した形態と同様に、基板2の前後方向に対する傾きおよび前後左右方向の位置を補正しても良い。
【0067】
上述した形態において、基板搬送装置1は、ピン固定部材19を左右方向に移動させる固定部材移動機構を備えていても良い。この場合には、ハンド3のハンドフォーク4の本数やピッチが変わっても、基板搬送装置1に基板2を受け渡す際の、支持ピン7およびピン固定部材19と、ハンドフォーク4との干渉を防止することが可能になる。また、上述した形態において、検知機構15は、基板2の前後方向の位置および左右方向に対する傾きを検知するための2個のセンサと、基板2の左右方向の位置を検知するための1個のセンサとを備えていても良い。
【0068】
上述した形態において、データ読取機構14は、基板搬送装置1の後端部に配置されていても良い。また、上述した形態において、基板搬送装置1は、割れ検知機構16を備えていなくても良い。また、上述した形態において、基板搬送装置1で搬送される基板2は、液晶表示装置以外の装置で使用されるガラス基板であっても良いし、ガラス基板以外の基板であっても良い。なお、基板搬送装置1は、ピン保持部材8を昇降させる昇降機構を備えていても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 基板搬送装置
2 基板
7 支持ピン
7A 吸着支持ピン
8 ピン保持部材
9 移動機構(第1移動機構)
10 移動機構(第2移動機構)
11 回動機構
14 データ読取機構
15 検知機構
16 割れ検知機構
38 カメラ
39 照明
41 低反射部材
X 第1方向
Y 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8