(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電子モジュール及び機器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20231220BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01L23/02 B
H01L23/34 A
H01L23/02 F
(21)【出願番号】P 2019116631
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 悠
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/080441(WO,A1)
【文献】特表2010-500754(JP,A)
【文献】特開2005-353867(JP,A)
【文献】特開2002-359327(JP,A)
【文献】特開2020-35925(JP,A)
【文献】特開2013-77701(JP,A)
【文献】特開2007-12706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
H01L 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側にある第2面とを有する基板であって、前記第2面は、第1領域と、前記第1領域の周囲にある第2領域とを有する、基板と、
前記第1面に取り付けられた電子デバイスと、
前記第2面の前記第1領域に取り付けられた部品と、
前記電子デバイスに対向するように配置された蓋体と、
前記基板に取り付けられ、前記蓋体を支持する枠体と、
を備える電子モジュールであって、
前記枠体の、少なくとも前記第2面
と平面視で重なる領域に、第1部材と、前記第1部材よりも熱伝導率が高い第2部材と、が配置されており、
前記第2部材の少なくとも一部は、前記第2領域に対向する位置にあり、
前記第2部材と前記部品との間に、前記第1部材の少なくとも一部が位置する、ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】
前記枠体は、前記第1部材の前記一部と同じ材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記第1面に対する平面視において、前記第2部材は、前記電子デバイスに重なる部分を有することを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項4】
前記第2面に直交する方向における前記第2部材の前記少なくとも一部と前記第2面との最短距離は、当該方向における前記第2部材の前記少なくとも一部の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項5】
前記第2面に直交する方向における前記第2部材の前記少なくとも一部と前記第2面との最短距離は、前記第2部材のうち前記部品に対向する面の法線方向における前記第1部材の前記一部の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項6】
前記第2部材の前記少なくとも一部は、前記第2面の前記第2領域に接していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項7】
前記第2部材の前記少なくとも一部は、前記電子モジュールの外形の一部を構成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項8】
前記枠体のうち前記第2領域に対向する部分の、前記第2面に直交する方向における厚さは、前記部品の高さよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項9】
前記基板の前記第2面に取り付けられた放熱部材を更に備え、
前記部品は、前記枠体と前記放熱部材との間に位置する
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項10】
前記第1面に対する平面視において、前記放熱部材は前記電子デバイスに重なる部分を有することを特徴とする請求項9に記載の電子モジュール。
【請求項11】
前記放熱部材は、第3部材と、前記第3部材よりも熱伝導率が高い第4部材とを含み、
前記第4部材と前記部品との間に、前記第3部材の一部が位置する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の電子モジュール。
【請求項12】
前記第2面に直交する方向における前記第4部材と前記第2面との最短距離は、当該方向における前記第4部材の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項11に記載の電子モジュール。
【請求項13】
前記第2面に直交する方向における前記第4部材と前記第2面との最短距離は、前記第4部材のうち前記部品に対向する面の法線方向における前記第3部材の前記一部の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項11又は12に記載の電子モジュール。
【請求項14】
前記第4部材は、前記第2面に接していることを特徴とする請求項11乃至13の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項15】
前記第4部材は、前記電子モジュールの外形の一部を構成することを特徴とする請求項11乃至14の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項16】
前記第2部材は、前記放熱部材の前記第4部材と同じ材料であることを特徴とする請求項11乃至15の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項17】
前記放熱部材の、前記第2面に直交する方向における厚さは、前記部品の高さよりも大きいことを特徴とする請求項9乃至16の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項18】
前記第2面は矩形であり、
前記第2部材は、前記第2面の1つの辺に沿って延在した部分を含むことを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載の電子モジュール。
【請求項19】
前記第2部材の前記延在した部分の長さは、前記1つの辺の長さの半分よりも大きいことを特徴とする請求項18に記載の電子モジュール。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか1項に記載された電子モジュールと、
前記第2面の前記第1領域に取り付けられたコネクタに接続された配線部材と、
前記電子モジュールに前記配線部材を介して接続された電気モジュールと、
を備えることを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュール及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像デバイスなどの電子デバイスは、その多機能化・高機能化等に伴い、発熱量が増加している。したがって、電子デバイスを収容する電子モジュールは高い放熱性を有することが求められる。特許文献1には、放熱性に優れる材料を基板の枠体に用いた電子モジュールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多機能化・高機能化のために、電子デバイス以外の部品が電子モジュールに搭載されることがある。特許文献1は、電子モジュールに搭載された部品への断熱性を考慮していない。高熱にさらされた部品に、性能劣化、寿命短縮、破損などが生じる可能性がある。その結果、電子モジュールの性能が低下する可能性がある。本発明の1つの側面は、電子モジュールの放熱性を保ちつつ、電子モジュールの部品への伝熱を抑制するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、第1面と、前記第1面の反対側にある第2面とを有する基板であって、前記第2面は、第1領域と、前記第1領域の周囲にある第2領域とを有する、基板と、前記第1面に取り付けられた電子デバイスと、前記第2面の前記第1領域に取り付けられた部品と、前記電子デバイスに対向するように配置された蓋体と、前記基板に取り付けられ、前記蓋体を支持する枠体と、を備える電子モジュールであって、前記枠体の、少なくとも前記第2面と平面視で重なる領域に、第1部材と、前記第1部材よりも熱伝導率が高い第2部材と、が配置されており、前記第2部材の少なくとも一部は、前記第2領域に対向する位置にあり、前記第2部材と前記部品との間に、前記第1部材の少なくとも一部が位置する、ことを特徴とする電子モジュールが提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、電子モジュールの放熱性を保ちつつ、電子モジュールの部品への伝熱を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図2】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図3】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図4】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図5】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図6】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図7】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図8】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図9】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図10】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図11】一部の実施形態に係る電子モジュールの構成例を説明する図。
【
図12】一部の実施形態に係るカメラの構成例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
<第1実施形態>
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態として、電子モジュール100の構成例について説明する。
図1(a)は電子モジュール100を表側から見た場合の平面模式図である。
図1(b)は電子モジュール100を裏側から見た場合の平面模式図である。
図2(a)は
図1のA-A’線における電子モジュール100の断面模式図である。
図2(b)は
図1のB-B’線における電子モジュール100の断面模式図である。各図にX方向、Y方向及びZ方向を示している。
【0010】
電子モジュール100は、基板10と、電子デバイス20と、1つ以上の部品30と、枠体40と、蓋体70とによって構成される。以下では、電子モジュール100が複数の部品30を有する場合について説明する。枠体40は、低伝導率部材50と、高伝導率部材60とを含む。高伝導率部材60の熱伝導率は、低伝導率部材50の熱伝導率よりも高い。低伝導率部材50及び高伝導率部材60の名称は両者の熱伝導率の比較に基づくものであり、他の基準に対して熱伝導率が低い又は高いことを示すものでなくてもよい。
【0011】
基板10及び枠体40は、電子モジュール100を機械的に固定するとともに電気的にも接続可能な実装部材として機能し得る。蓋体70は光学部材として機能し得る。電子デバイス20は基板10の一方の面に取り付けられている(例えば、固定されている)。基板10の面のうち電子デバイス20が取り付けられた面を搭載面101と呼ぶ。搭載面101は、上面、表(おもて)面、内面などと呼ばれてもよい。基板10の面のうち搭載面101とは反対側の面を背面104と呼ぶ。背面104は、下面、裏面、外面などと呼ばれてもよい。本実施形態では、搭載面101と背面104とは互いに平行である。本明細書において、2つの物体が互いに平行であるとは、実質的に平行であることも含む。実質的に平行であるとは、2つの物体のなす角が例えば-5°以上5°以下であることを意味する。同様に、本明細書において、2つの物体が互いに直交するとは、実質的に直交することも含む。実質的に直交するとは、2つの物体のなす角が例えば85°以上95°以下であることを意味する。
【0012】
部品30は、基板10の背面104に取り付けられている(例えば、固定されている)。枠体40は、電子デバイス20及び部品30を囲むように基板10の外周に取り付けられている(例えば、固定されている)。ここで、枠体40が電子デバイス20及び部品30を囲むとは、搭載面101に平行な平面において、電子デバイス20又は部品30の周囲を枠体40が囲むことを意味する。基板10の外周とは、基板10のうち、基板10の外縁107と、搭載面101及び/又は背面104との境界をなす辺に近接した部分のことである。
【0013】
蓋体70は、枠体40に取り付けられている(例えば、固定されている)。蓋体70は、電子デバイス20に対向するように配置されている。蓋体70は、枠体40によって支持されている。基板10と、枠体40と、蓋体70とによって形成される内部空間80に電子デバイス20が封止される。蓋体70は、基板10とは反対側にある外面701と、基板10と同じ側にある内面702とを有する。外面701は、上面や表(おもて)面などと呼ばれてもよい。内面702は、下面や裏面などと呼ばれてもよい。
【0014】
X方向及びY方向は、基板10の搭載面101及び背面104や、蓋体70の外面701及び内面702に平行な方向である。また、Z方向はこれらの面に直交する方向である。典型的な電子デバイス20及び電子モジュール100はXY平面において矩形である。また、電子デバイス20及び電子モジュール100のZ方向における寸法はX方向、Y方向における寸法よりも小さい。そのため、電子デバイス20及び電子モジュール100はおおむね平板形状である。
【0015】
基板10は、平板形状を有している。基板10は、搭載面101に内部端子1を有し、背面104に外部端子3を有する。内部端子1と外部端子3とは、基板10の内部に内部配線として埋設された埋設部2を介して互いに電気的に接続されている。基板10の搭載面101は、電子デバイス20が取り付けられた中央領域102と、枠体40が取り付けられた周辺領域103とを含む。周辺領域103は、中央領域102の周囲に位置する。基板10の搭載面101は、中央領域102と周辺領域103との間に中間領域を含んでもよい。基板10の背面104は、部品30が取り付けられた中央領域105と、枠体40が取り付けられた周辺領域106とを有する。周辺領域106は、中央領域105の周囲に位置する。
【0016】
基板10は、金型成型や切削加工、板材の積層等により形成できる。基板10は、内部端子1及び外部端子3の絶縁を確保するために絶縁体であってもよい。基板10は、ポリイミド基板などのフレキシブル基板や、ガラスエポキシ基板、コンポジット基板、ガラスコンポジット基板、ベークライト基板、セラミック基板などのリジット基板などであってもよい。とりわけ、基板10としてガラスエポキシ基板を用いてもよい。フレキシブル基板に比べてガラスエポキシ基板は適度な強度を有するため、ガラスエポキシ基板を使用することによって、枠体40の固定や蓋体70の固定が容易になり、結果として電子モジュール100の製作が容易になる。また、ガラスエポキシ基板を使用することによって、セラミック基板を使用した場合に比べて、電子モジュール100を軽量化できる。基板10がガラスエポキシ基板等の場合に、基板10の搭載面101及び背面104に、埋設部2の内層配線パターンを保護するための絶縁膜(ソルダーレジスト)が形成されてもよい。絶縁膜が形成されている場合に、この絶縁膜の表面が搭載面101及び背面104となる。絶縁膜の厚さは例えば40μm以下であってもよい。
【0017】
電子デバイス20は、どのような種類の電子デバイスであってもよい。例えば、電子デバイス20は、光デバイスであってもよい。本実施形態の電子デバイス20は、主領域4と副領域5とを有する。典型的に、主領域4は電子デバイス20の中央に位置し、副領域5はその周辺に位置する。電子デバイス20がCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像デバイスである場合に、主領域4は撮像領域である。電子デバイス20が液晶ディスプレイやELディスプレイなどの表示デバイスである場合に、主領域4は表示領域である。電子デバイス20が撮像デバイスである場合に、電子デバイス20の面のうち蓋体70に対向する表面201が光入射面となる。この光入射面は、受光面を有する半導体基板の上に設けられた多層膜の最表層によって構成されてもよい。多層膜は、カラーフィルタ層やマイクロレンズ層、反射防止層、遮光層などの光学的な機能を有する層、平坦化層等の機械的な機能を有する層、パッシベーション層などの化学的な機能を有する層などを含んでもよい。副領域5には、主領域4を駆動するための駆動回路や主領域4からの信号(あるいは主領域4への信号)を処理する信号処理回路が設けられる。電子デバイス20が半導体デバイスである場合に、このような回路をモノリシックに形成することが容易である。副領域5には、電子デバイス20と外部との信号の通信を行うための電極6(電極パッド)が設けられる。電子デバイス20が2つ以上の電子デバイスを積層した電子デバイスである場合に、電子デバイス20は、主領域4を担う電子デバイスの下に副領域5を担う電子デバイスが積層した構成であってもよい。電子デバイス20は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、基板10の中央領域102と電子デバイス20の裏面202との間に塗布された接着剤(不図示)によって固定される。
【0018】
電子デバイス20の電極6と基板10の内部端子1とは、接続導体7を介して互いに電気的に接続されている。本実施形態では、電極6と内部端子1との接続はワイヤボンディング接続であり、接続導体7は金属ワイヤ(ボンディングワイヤ)である。これに代えて、電極6と内部端子1との接続をフリップチップ接続としてもよい。ワイヤボンディング接続の場合に、内部端子1は中央領域102と周辺領域103との間の中間領域に位置する。フリップチップ接続の場合に、電極6は電子デバイス20の裏面202に設けられ、内部端子1や接続導体7は電子デバイス20の裏面202の正射影領域上に位置する。
【0019】
部品30は、不図示の導電性材料を介して外部端子3に固定される。外部端子3は、基板10の背面104の中央領域105に位置する。部品30はどのような種類の部品であってもよい。部品30は、電子部品であってもよく、例えばコネクタ、抵抗、キャパシタ、ダイオードなどの受動部品、トランジスタなどの能動部品、集積回路であってもよい。本実施形態で、部品30は背面104の中央領域105のみに取り付けられている。これに加えて、部品30は周辺領域106に取り付けられてもよい。部品30として表面実装用の部品が用いられてもよい。表面実装用の部品の種類として、セラミックコンデンサ、タンタル等の有機コンデンサ、チップ抵抗、BtoBコネクタ、電源用のレギュレーターIC、コモンモードフィルタコイル、温度計測IC、EPROM等が挙げられる。これら部品30によって、電子モジュール100の機能・性能が向上する。また、部品30としてコネクタがある場合に、電子機器の筐体等に電子モジュール100を容易に組み込むことができる。本実施形態では、これら複数種類の部品が基板10の背面104の中央領域105に取り付けられる。このようにして構成された電子モジュール100は、筐体に組み込まれることによって、電子機器を構成する。
【0020】
部品30は、基板10に電子デバイス20、枠体40及び蓋体70が固定されるよりも前、途中、後の、いずれの時点で基板10に取り付けられてもよい。基板10を準備する段階、すなわち、基板10に電子デバイス20、枠体40及び蓋体70が取り付けられる前に基板10に部品30が取り付けられてもよい。これにより、部品30を取り付ける環境(例えば、リフローはんだ付け環境)における異物混入などを抑制できる。
【0021】
枠体40は、電子デバイス20及び部品30を囲むように基板10の外周に取り付けられる。具体的に、枠体40は、搭載面101の周辺領域103及び背面104の周辺領域106のそれぞれに固定される。その結果、枠体40は、搭載面101の周辺領域103及び背面104の周辺領域106のそれぞれに接している。搭載面101の周辺領域103に形成される部分と、背面104の周辺領域106に形成される部分を別々に形成するよりも、これらを一体で形成する方が容易である。そのため、枠体40は、搭載面101の周辺領域103と、背面104の周辺領域106と、基板10の外縁107に固定された一体の枠体であってもよい。また、一体の枠体である場合でも、枠体40は、背面104の周辺領域106のみに固定され(すなわち、接しており)、搭載面101の周辺領域103及び/又は外縁107に固定されていなくても(すなわち、接していなくても)よい。また、枠体40は、背面104の周辺領域106及び外縁107のみに固定され(すなわち、接しており)、搭載面101の周辺領域103に固定されていなくても(すなわち、接していなくても)よい。枠体40が基板10の一部(例えば、周辺領域106)に接する代わりに、枠体40は、基板10の一部(例えば、周辺領域106)に接着剤を介して取り付けられてもよい。
【0022】
枠体40の上面401は搭載面101側に位置する。枠体40の上面401に蓋体70が固定される。枠体40の下面404は背面104側に位置する。枠体40は、基板10の搭載面101の周辺領域103に固定される面402と、背面104の周辺領域106に固定される面403とを有する。
【0023】
枠体40は、セラミックや金属、樹脂材料を用いて形成されてもよい。金属材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄合金などが挙げられる。ステンレスを始めとして、クロムやニッケル、コバルトを含む鉄合金が用いられてもよい。例えば、フェライト系ステンレスであるSUS430やオーステナイト系ステンレスであるSUS304、42アロイ、コバールなどが用いられてもよい。樹脂材料として、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。有機材料として、溶媒の蒸発による乾燥固化型、光や熱による分子の重合などによって硬化する化学反応型、融解した材料の凝固によって固化する熱溶融(ホットメルト)型などが挙げられる。枠体40の材料として、紫外線や可視光で硬化する光硬化型樹脂や、熱で硬化する熱硬化型樹脂が用いられてもよい。
【0024】
蓋体70は、電子デバイス20を保護する機能を有する。電子デバイス20が光を扱うような撮像デバイスや表示デバイスである場合に、それらの光(典型的には可視光)に対して透明であることが求められる。そのような蓋体70の材料として、プラスチックやガラス、水晶などが挙げられる。蓋体70の表面に反射防止コーティングや赤外カットコーティングが設けられてもよい。蓋体70の内面702が枠体40の上面401と不図示の接着剤によって固定される。基板10と枠体40と蓋体70とで内部空間80が形成される。内部空間80に電子デバイス20が封止されている。
【0025】
以下、枠体40の詳細な構成について説明する。枠体40は、低伝導率部材50と、高伝導率部材60とを含む。高伝導率部材60の熱伝導率は、低伝導率部材50の熱伝導率よりも高い。高伝導率部材60の熱伝導率は、例えば1.0W/m・K以上であってもよく、さらには10W/m・K以上であってもよい。高伝導率部材60は、熱伝導率及び加工精度などを鑑みて、金属であってもよい。高伝導率部材60が金属である場合に、高伝導率部材60は、絶縁性の基板10によって、電子デバイス20から電気的に分離されている。低伝導率部材50の熱伝導率は、例えば1.0W/m・K以下であってもよい。低伝導率部材50は、熱伝導率、加工精度及び形成のし易さなどを鑑みて、樹脂であってもよい。低伝導率部材50が樹脂である場合に、トランスファーモールド法などの樹脂モールド法によって低伝導率部材50が基板10及び高伝導率部材60に密着するように形成されてもよい。これに代えて、接着剤を用いて低伝導率部材50を基板10及び高伝導率部材60に固定してもよい。接着剤で固定する方法と比較して、樹脂モールド法による固定の方が容易である。
【0026】
高伝導率部材60は、背面104の周辺領域106に対向する位置にある。本明細書において、物体が面に対向する位置にあるとは、面の一部から出る法線ベクトルが物体を通ることを意味してもよい。本実施形態では、高伝導率部材60の全体が、背面104の周辺領域106に対向する位置にある。このような位置に枠体40が高伝導率部材60を有することによって、枠体40のうち背面104の周辺領域106に対向する部分は、枠体40の他の部分よりも高い熱伝導率を有する。そのため、電子モジュール100のうち部品30に近い部分における放熱性が向上する。
【0027】
高伝導率部材60と部品30との間に低伝導率部材50の一部が位置する。言い換えると、高伝導率部材60の面のうち、部品30側の面603は、低伝導率部材50によって覆われている。本実施形態では、高伝導率部材60の面のうち、部品30とは反対側の面604及び基板10側の面601も低伝導率部材50によって覆われている。高伝導率部材60の面のうち、基板10とは反対側の面602は外部に露出しており、電子モジュール100の外形の一部を構成する。このように高伝導率部材60が外部に露出することによって、露出していない場合と比較して、電子モジュール100の外部の放熱体等に高伝導率部材60が直接接触できるため、熱伝導効果が向上する。高伝導率部材60と部品30との間に低伝導率部材50の一部が位置するため、高伝導率部材60を通じて電子モジュール100の外部に放出される熱が部品30に伝わることを抑制できる。
【0028】
図1(b)に示されるように、高伝導率部材60は、2つのL字型の部分を含む。この2つの部分のそれぞれは、基板10の背面104の1つの辺に沿って延在した部分が、背面104の角の付近で結合した形状を有する。基板10の背面104の1つの辺に沿って延在した部分の長さは、この1つの辺の長さの半分よりも大きくてもよく、80%よりも多くてもよく、90%よりも大きくてもよい。このように、高伝導率部材60を、背面104の辺に沿って延在するように配置することによって、高伝導率部材60による放熱効果が向上する。高伝導率部材60は、2つのL字型の部分を含むかわりに、1つのO字型(環状)の部分を含んでもよいし、4つのI字型(棒状)の部分を含んでもよい。
【0029】
枠体40は、基板10の搭載面101の周辺領域103に対向する部分に高伝導率部材60を有していない。そのため、枠体40のこの部分の断熱性が向上する。その結果、電子デバイス20で発生した熱が枠体40を通じて蓋体70に伝わることを抑制できる。それにより、蓋体70の温度の向上による蓋体70の熱膨張を抑制できる。
【0030】
電子デバイス20の電極6と内部端子1とを接続導体7で接続するワイヤボンディング工程において電子デバイス20を加熱する場合に、高伝導率部材60の直下に配置した金属製のステージなどを介してヒーター等で加熱してもよい。これによって、電子デバイス20に効率的に伝熱できる。
【0031】
図3及び
図4を参照して、上述の電子モジュール100の変形例である電子モジュール100aについて説明する。
図3は電子モジュール100aを裏から見た場合の平面模式図である。
図4(a)は
図2(a)と同様の箇所での電子モジュール100aの断面模式図である。
図4(b)は
図2(b)と同様の箇所での電子モジュール100aの断面模式図である。電子モジュール100aを表から見た場合の平面模式図は、
図1(a)と同様であるため省略する。
【0032】
電子モジュール100aは、枠体40の高伝導率部材60が形成されている領域が電子モジュール100とは異なる。具体的に、電子モジュール100aの高伝導率部材60の方が、背面104の中心に向かう方向に幅広く形成されている。その結果として、電子モジュール100aの高伝導率部材60は、搭載面101に対する平面視において、電子デバイス20に重なる部分を有する。このように、高伝導率部材60を幅広く形成することによって、電子デバイス20で発生する熱を一層効率的に放出できる。一方、電子モジュール100では、部品30を搭載可能な領域の面積を広く取れる。
【0033】
さらに、電子モジュール100aは、枠体40のうち背面104の周辺領域106に対向する部分の、Z方向における厚さが電子モジュール100とは異なる。電子モジュール100aでは、枠体40のうち周辺領域106に対向する部分の、Z方向における厚さは、部品30の高さよりも大きい。部品30の高さは、背面104を基準とした高さである。上述のように、Z方向は、背面104に直交する方向である。枠体40のこの部分の厚さが部品30の高さよりも大きいことによって、電子モジュール100aの外部から部品30に接触しにくい構造となる。これによって、部品30の接触等による破損を抑制することができるため、電子モジュール100aの歩留りが向上する。
【0034】
電子モジュール100及び電子モジュール100aの枠体40の下面404において、低伝導率部材50と高伝導率部材60とが同一平面上にある。このような構造を有する枠体40は容易に形成できる。また、電子モジュール100aの外部の放熱体等の構造を複雑化することないため、容易に熱伝導することもできる。このことからも、電子モジュール100及び電子モジュール100aの歩留まりが向上する。
【0035】
図5を参照して、低伝導率部材50と高伝導率部材60との寸法の関係についてさらに詳細に説明する。
図5は、
図4(a)の一部を拡大した図である。Z方向における高伝導率部材60と背面104との最短距離をT1とおく。T1は、高伝導率部材60の面601と背面104との最短距離に等しい。Z方向における高伝導率部材60の厚さをT2とおく。T2は、高伝導率部材60の面601と面602との最短距離に等しい。高伝導率部材60の面603の法線方向(Y方向の反対方向)における、低伝導率部材50のうち部品30と高伝導率部材60との間の部分の厚さをT3とおく。T3は、低伝導率部材50のうち部品30に対向する面501と、高伝導率部材60の面603との最短距離に等しい。
【0036】
電子モジュール100aの高伝導率部材60は、T2>T1を満たすように形成されている。T1を小さくすることによって、高伝導率部材60を基板10に近づけることができる。これによって、T2<T1の場合と比較して、熱伝導効果が向上する。T1=0であってもよい。この場合に、
図5(b)に示すように、高伝導率部材60(具体的に、その面601)は、背面104の周辺領域106に接する。これによって、熱伝導効果がさらに向上する。
【0037】
背面104のうち高伝導率部材60が接触する部分と、搭載面101のうち電子デバイス20が接触する部分及び内部端子1が接触する部分の少なくとも一方との付近に、放熱ビア又は放熱パターンとなる埋設部2が配置されている。埋設部2同士が互いに接続されていてもよい。埋設部2が存在することによって、高伝導率部材60を介した熱伝導効果が向上する。
【0038】
電子モジュール100aの高伝導率部材60は、T3>T1を満たすように形成されている。高伝導率部材60と部品30との間に低伝導率部材50の一部が存在することによって、高伝導率部材60に伝わる熱が部品30に到達することを抑制できる。さらに、低伝導率部材50のこの部分を厚く形成することによって、部品30への伝熱の抑制効果が向上する。
【0039】
T1は、70μm以下であってもよい。T1を70μm以下とすることにより、基板10から高伝導率部材60への熱の伝導を効果的に向上できる。T2は、0.2mm以上であってもよい。T2を0.2mm以上とすることによって、十分な熱伝導性を確保できる。T2は、2mm以下であってもよい。T2を2mm以下とすることによって、電子モジュール100aの大型化を抑制できる。T3は、70μm以上であってもよい。T3を70μm以上とすることによって、高伝導率部材60から部品30への熱の伝導を効果的に抑制できる。T3は、1mm以下であってもよい。T3を1mm以下とすることによって、部品30を搭載する十分な大きさの領域を確保できる。
【0040】
<第2実施形態>
図6及び
図7を参照して、本発明の第1実施形態として、電子モジュール100bの構成例について説明する。
図6(a)は電子モジュール100bを表側から見た場合の平面模式図である。
図6(b)は電子モジュール100bを裏側から見た場合の平面模式図である。
図7(a)は
図6のA-A’線における電子モジュール100bの断面模式図である。
図7(b)は
図6のB-B’線における電子モジュール100bの断面模式図である。
【0041】
電子モジュール100bは、枠体40の形状が電子モジュール100aとは異なる。その他の点については電子モジュール100aと同様であってもよいため、重複する説明を省略する。
図6(b)及び
図7(b)に示すように、電子モジュール100bの高伝導率部材60は、搭載面101の平面視において、低伝導率部材50の外側の側面502を超えて延在する部分605を含む。そのため、電子モジュール100bでは、高伝導率部材60の一部のみが背面104の周辺領域106に対向する位置にある。高伝導率部材60は、この部分605に面601から面602まで延在する貫通孔8を有している。貫通孔8は、電子モジュール100bを電子機器の筐体等に固定するためのねじ止め用の孔として用いたり、位置決め用の孔として用いたりすることができる。高伝導率部材60が部分605を含むことによって、高伝導率部材60の熱容量が一層大きくなるため、熱伝導効果が向上する。
【0042】
図8を参照して、上述の電子モジュール100bの変形例である電子モジュール100cについて説明する。
図8(a)は電子モジュール100cを裏から見た場合の平面模式図である。
図8(b)は
図7(b)と同様の箇所での電子モジュール100cの断面模式図である。電子モジュール100cは、枠体40の高伝導率部材60の形状が電子モジュール100bとは異なる。
【0043】
電子モジュール100cの高伝導率部材60は、折れ曲がった形状を有する。高伝導率部材60は、基板10の背面104に近接又は接触している部分と、背面104から離れており枠体40の下面404に近接又は下面404の一部となる部分とを有している。電子モジュール100bと同様に、電子モジュール100cにおいても、高伝導率部材60は、搭載面101の平面視において、低伝導率部材50の外側の側面502を超えて延在する部分605を含み、この部分605に貫通孔8を有している。低伝導率部材50の外側の側面502を超えて延在する部分605は、低伝導率部材50の外側において、環状の形状を有する。熱伝導に必要な部分を選択的に基板10の背面104に近接させることができ、これによって熱伝導効果が向上する。
【0044】
図9を参照して、上述の電子モジュール100cの変形例である電子モジュール100dについて説明する。
図9(a)は電子モジュール100dを裏から見た場合の平面模式図である。
図9(b)は
図8(b)と同様の箇所での電子モジュール100dの断面模式図である。電子モジュール100dは、枠体40の高伝導率部材60の形状が電子モジュール100cとは異なる。具体的に、電子モジュール100dの高伝導率部材60は、搭載面101の平面視において、低伝導率部材50の外側の側面502を超えて延在する部分を含まない。これによって、電子モジュール100dは、電子モジュール100cと比べて、小型化可能である。
【0045】
<第3実施形態>
図10を参照して、本発明の第3実施形態として、電子モジュール100eの構成例について説明する。
図10(a)は電子モジュール100eを裏側から見た場合の平面模式図である。
図10(b)は
図10(a)のA-A’線における電子モジュール100eの断面模式図である
。電子モジュール100eを表側から見た場合の平面模式図及び
図10(a)のB-B’線における電子モジュール100eの断面模式図は、電子モジュール100aのものと同様であってもよいため、省略する。
【0046】
電子モジュール100eは、放熱部材90をさらに有する点で電子モジュール100aと異なり、その他の点は同様であってもよい。言い換えると、電子モジュール100eは、電子モジュール100aに放熱部材90を追加した構成を有する。これに代えて、電子モジュール100a以外の上述の実施形態又は変形例に放熱部材90が追加されてもよい。
【0047】
放熱部材90は、基板10の背面104の中央領域105に取り付けられている。放熱部材90は、電子デバイス20で発生した熱を電子モジュール100eの裏面側から放出する機能を有する。放熱部材90は、基板10を背面側から支持する機能を有する場合に、支持体とも呼ばれてもよい。放熱部材90をさらに有することによって、電子モジュール100eは、電子デバイス20の直下における熱伝導経路を増やすことができる。また、放熱部材90は、背面104側に形成された枠体40とともに、部品30への接触による破損等を抑制する効果を向上する。放熱部材90は、1つでもよいし、複数でもよい。放熱部材90の個数が多いほど熱伝導効果が向上する。一方、放熱部材90が少ないほど、部品30の搭載可能な領域の面積が広くなる。部品30は、いずれかの方向において、枠体40と放熱部材90との間に位置する。そのため、部品30の両側において電子デバイス20からの熱を電子モジュール100eの外部に排出できる。
【0048】
放熱部材90は、低伝導率部材900と、高伝導率部材950とを含む。高伝導率部材950の熱伝導率は、低伝導率部材900の熱伝導率よりも高い。高伝導率部材950の熱伝導率は、例えば1.0W/m・K以上であってもよく、さらには10W/m・K以上であってもよい。高伝導率部材950は、熱伝導率及び加工精度などを鑑みて、金属であってもよい。高伝導率部材950が金属である場合に、高伝導率部材950は、絶縁性の基板10によって、電子デバイス20から電気的に分離されている。低伝導率部材900の熱伝導率は、例えば1.0W/m・K以下であってもよい。低伝導率部材900は、熱伝導率、加工精度及び形成のし易さなどを鑑みて、樹脂であってもよい。低伝導率部材900が樹脂である場合に、トランスファーモールド法などの樹脂モールド法によって低伝導率部材900が基板10及び高伝導率部材950に密着するように形成されてもよい。これに代えて、接着剤を用いて低伝導率部材900を基板10及び高伝導率部材950に固定してもよい。接着剤で固定する方法と比較して、樹脂モールド法による固定の方が容易である。
【0049】
放熱部材90が、低伝導率部材900と、高伝導率部材950とを含む代わりに、放熱部材90は、低伝導率部材900のみで構成されてもよいし、高伝導率部材950のみで構成されてもよい。低伝導率部材900は、低伝導率部材50と同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。高伝導率部材950は、高伝導率部材60と同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。
【0050】
放熱部材90の下面901(すなわち、放熱部材90の面のうち基板10とは反対側の面)は、基板10の背面104からの高さが枠体40の下面404と同じであってもよい。この結果、放熱部材90の下面901と枠体40の下面404とは同一平面上になる。
【0051】
高伝導率部材950は、搭載面101に対する平面視において、電子デバイス20に重なる部分を有する。
図10の例では、高伝導率部材950の全体が電子デバイス20に重なる。これに代えて、高伝導率部材950の一部のみが電子デバイス20に重なってもよい。
【0052】
高伝導率部材950と部品30との間に低伝導率部材900の一部が位置する。言い換えると、高伝導率部材950の面のうち、部品30側の面は、低伝導率部材900によって覆われている。放熱部材90の周囲に複数の部品30が存在する場合に、部品30側の面は複数であってもよい。本実施形態では、高伝導率部材950の面のうち基板10側の面も低伝導率部材900によって覆われている。高伝導率部材950の面のうち、基板10とは反対側の面は外部に露出しており、電子モジュール100の外形の一部を構成する。このように高伝導率部材950が外部に露出することによって、露出していない場合と比較して、電子モジュール100eの外部の放熱体等に高伝導率部材950が直接接触できるため、熱伝導効果が向上する。高伝導率部材950と部品30との間に低伝導率部材900の一部が位置するため、高伝導率部材950を通じて電子モジュール100の外部に放出される熱が部品30に伝わることを抑制できる。
【0053】
電子モジュール100eにおいて、放熱部材90のZ方向における厚さは、部品30の高さよりも大きい。部品30の高さは、背面104を基準とした高さである。上述のように、Z方向は、背面104に直交する方向である。放熱部材90の厚さが部品30の高さよりも大きいことによって、電子モジュール100eの外部から部品30に接触しにくい構造となる。これによって、部品30の接触等による破損を抑制することができるため、電子モジュール100eの歩留りが向上する。
【0054】
電子モジュール100eの放熱部材90の下面901において、低伝導率部材900と高伝導率部材950とが同一平面上にある。このような構造を有する放熱部材90は容易に形成できる。また、電子モジュール100eの外部の放熱体等の構造を複雑化することないため、容易に熱伝導することもできる。このことからも、電子モジュール100eの歩留まりが向上する。
【0055】
図11を参照して、低伝導率部材900と高伝導率部材950との寸法の関係についてさらに詳細に説明する。
図11は、
図10(b)の一部を拡大した図である。Z方向における高伝導率部材950と背面104との最短距離をT4とおく。T4は、高伝導率部材950の面952(基板10側の面))と背面104との最短距離に等しい。Z方向における高伝導率部材950の厚さをT5とおく。T5は、高伝導率部材950の面952と面951(基板10とは反対側の面)との最短距離に等しい。高伝導率部材950の面953(部品30側の面)の法線方向(Y方向)における、低伝導率部材900のうち部品30と高伝導率部材950との間の部分の厚さをT6とおく。T6は、低伝導率部材900のうち部品30に対向する面902と、高伝導率部材950の面953との最短距離に等しい。
【0056】
電子モジュール100eの高伝導率部材950は、T5>T4を満たすように形成されている。T4を小さくすることによって、高伝導率部材950を基板10に近づけることができる。これによって、T5<T4の場合と比較して、熱伝導効果が向上する。T4=0であってもよい。この場合に、
図11(b)に示すように、高伝導率部材950(具体的に、その面952)は、背面104の周辺領域106に接する。これによって、熱伝導効果がさらに向上する。
【0057】
電子モジュール100eの高伝導率部材950は、T6>T4を満たすように形成されている。高伝導率部材950と部品30との間に低伝導率部材900の一部が存在することによって、高伝導率部材950に伝わる熱が部品30に到達することを抑制できる。さらに、低伝導率部材900のこの部分を厚く形成することによって、部品30への伝熱の抑制効果が向上する。
【0058】
T4は、70μm以下であってもよい。T4を70μm以下とすることにより、基板10から高伝導率部材950への熱の伝導を効果的に向上できる。T5は、0.2mm以上であってもよい。T5を0.2mm以上とすることによって、十分な熱伝導性を確保できる。T5は、2mm以下であってもよい。T5を2mm以下とすることによって、電子モジュール100eの大型化を抑制できる。T6は、70μm以上であってもよい。T6を70μm以上とすることによって、高伝導率部材950から部品30への熱の伝導を効果的に抑制できる。T6は、1mm以下であってもよい。T6を1mm以下とすることによって、部品30を搭載する十分な大きさの領域を確保できる。
【0059】
<その他の実施形態>
上述の電子モジュール100等は、種々の機器に適用可能である。適用可能な機器は、例えば、スマートフォンやカメラ、パーソナルコンピュータなどの電子情報機器(電子機器、情報機器)を含んでもよい。本発明を適用可能な機器は、例えば、無線通信などを行うための通信機器、複写機やスキャナーなどの事務機器、自動車や船舶、飛行機などの輸送機器を含んでもよい。本発明を適用可能な機器は、例えば、ロボット等の産業機器、エネルギー線(光、電子、電波)を用いた分析機器、内視鏡や放射線等の医療機器を含んでもよい。本発明が適用された機器において、上述した実施形態の電子モジュールの回路基板は、機器が備える他の部品に接続される。回路基板が接続される他の部品の機能は、電子モジュールの機能によって適宜設定でき、例えば電子モジュールを制御あるいは駆動するための部品、電子モジュールと通信する信号を処理するための部品である。本実施形態の電子モジュールを機器に採用することは、機器の耐久性や信頼性の向上、機器の小型化、軽量化に有利である。撮像モジュールを搭載する機器としては、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、医療用カメラなどの各種の機器が挙げられる。これらの機器は、光学系、電子デバイス、及び処理装置を含む。撮像デバイスである電子デバイスは、光学系によって結像された被写体像を光電変換して、画像信号や焦点検出信号として出力する。処理装置は、撮像デバイスから出力される信号に基づいて、画像処理や機器制御処理などを行う。機器制御として、車両や船舶、飛行機などの移動体の制御が一例としてあげられる。
【0060】
図12には電子モジュールを適用した機器の一例としてのカメラCMRを図示している。カメラCMRは、撮像モジュールISと、電気モジュールMBと、表示モジュールDPと、を備えうる。電気モジュールMBは、撮像モジュールIS及び/又は表示モジュールDPを制御あるいは電力供給するための部品、撮像モジュールIS及び/又は表示モジュールDPと通信する信号を処理するための部品である。電気モジュールMBは、フレキシブル配線を介して電子モジュールの回路基板に接続されうる。カメラCMRにおいて、表示モジュールDPは、電子ビューファインダ(EVF)を構成してもよいし、タッチパネルを構成してもよい。また、カメラCMRは、カメラボディから着脱可能なレンズLNSあるいはカメラボディに固定されたレンズLNSを備えうる。カメラCMRは、撮像モジュールISをカメラボディ内で移動させるための機械モジュールMCHNを備えうる。上述した実施形態のいずれかの電子モジュールは、撮像モジュールIS又は表示モジュールDPのいずれかでありうる。撮像モジュールISは撮像モジュールISに接続されたフレキシブルプリント配線板FPC1を介し電気モジュールMBに接続される。表示モジュールDPは表示モジュールDPに接続されたフレキシブルプリント配線板FPC2を介し電気モジュールMBに接続される。電気モジュールMBと撮像モジュールIS又は表示モジュールDPとを接続する配線部材は、フレキシブルプリント配線板に限らず、ケーブルであってもよい。フレキシブルプリント配線板などの配線部材は、電子部品群に含まれるコネクタに接続されてもよい。カメラCMRにおいて、電子モジュールに相当する撮像モジュールISを機械モジュールMCHNによって移動(変位)させることによって手振れ防止(防振)機能を実現できる。本実施形態の電子モジュールを適用した撮像モジュールISは軽量化が図られているため、撮像モジュールISの移動速度を高速化したり、移動のための機械装置MCHNの負荷低減を実現できたりする。本実施形態の電子モジュールは、パッケージユニットの信頼が高いため、このような電子モジュールの移動を伴う機器の耐久性を高めることができる。
【0061】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0062】
10 基板、100 電子モジュール、101 搭載面、104 背面、20 電子デバイス、30 部品、40 枠体、50 低伝導率部材、60 高伝導率部材、70 蓋体