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特許7406323一体型複合構造体のロボットによる赤外線サーモグラフィ検査
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】一体型複合構造体のロボットによる赤外線サーモグラフィ検査
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20231220BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20231220BHJP
【FI】
G01N25/72 Y
G01J5/48 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019143576
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2020128972
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】16/104,419
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー ダブリュー.エンゲルバート
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジー.トンプソン
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054604(JP,A)
【文献】特開2015-187564(JP,A)
【文献】特開2018-031775(JP,A)
【文献】特開2017-129560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052070(US,A1)
【文献】特開2015-049194(JP,A)
【文献】特開2008-008705(JP,A)
【文献】特表2011-513719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/72
G01J 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型複合構造体を検査するための赤外線サーモグラフィ検査システムであって、
サーモグラフィカメラと、
1つ以上のライトと、
キャリッジと、を含んでなり、前記キャリッジは、
キャリッジ本体を含み、前記サーモグラフィカメラ及び前記1つ以上のライトは、前記キャリッジ本体に固定されており、前記キャリッジはさらに、
前記キャリッジ本体に配置された第1支持部材と、
前記キャリッジ本体に配置された第2支持部材と、を含み、前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、前記第1支持部材が前記一体型複合構造体の第1フレームのエッジの上に位置するし、かつ前記第2支持部材が前記一体型複合構造体の第2フレームのエッジの上に位置するように調整可能な距離をあけて互いに離間している、赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項2】
前記キャリッジを持ち上げて、前記一体型複合構造体の前記第1フレームの前記エッジ、及び、前記第2フレームの前記エッジに、載置するように構成されたロボットをさらに含む、請求項1に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項3】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、其々、前記第1フレームの前記エッジ、及び、前記第2フレームの前記エッジに接触する1つ以上のホイールを含む、請求項1又は2に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項4】
前記キャリッジは、前記第1フレーム及び前記第2フレームの長さ方向に沿って、前記キャリッジを推進させるように構成されたモータをさらに含む、請求項3に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項5】
前記ロボットは、前記第1フレーム及び前記第2フレームの長さ方向に沿って前記キャリッジを摺動させるように、又は、前記キャリッジを持ち上げて、前記第1フレーム及び前記第2フレームの前記長さ方向に沿って移動させた後に載置するように構成されている、請求項2に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項6】
伸縮及び/又は旋回することにより前記サーモグラフィカメラの配置を変えるマウントをさらに含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項7】
一体型複合構造体を検査するための赤外線サーモグラフィ検査システムであって、
サーモグラフィカメラと、
1つ以上のライトと、
キャリッジと、を含んでなり、前記キャリッジは、
キャリッジ本体を含み、前記サーモグラフィカメラ及び前記1つ以上のライトは、前記キャリッジ本体に固定されており、前記キャリッジはさらに、
前記キャリッジ本体に配置された第1支持部材と、
前記キャリッジ本体に配置された第2支持部材と、を含み、前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、前記第1支持部材が前記一体型複合構造体の第1フレームのエッジの上に位置するし、かつ前記第2支持部材が前記一体型複合構造体の第2フレームのエッジの上に位置するような距離をあけて互いに離間しており、
前記キャリッジは、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に配置された複数の補強材のうちの2つ以上を含む視野を前記サーモグラフィカメラに与えるように、前記一体型複合構造体から距離を置いて、前記サーモグラフィカメラを配置する、赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項8】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、真っ直ぐなフレームエッジ、L字形のフレームエッジ、又は、T字形のフレームエッジの上に、前記キャリッジを取り付ける形状とされている、請求項1~7のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査システム。
【請求項9】
一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法であって、
前記一体型複合構造体の第1フレームのエッジ及び前記一体型複合構造体の第2フレームのエッジの上に赤外線サーモグラフィ検査システムを載置し、
この際に、前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、キャリッジに取り付けられた第1キャリッジ支持部材及び第2キャリッジ支持部材を含み、前記第1キャリッジ支持部材及び前記第2キャリッジ支持部材は、其々が前記第1フレームのエッジ及び第2フレームのエッジに取り付けられるように調整可能な距離をあけて互いに離間配置されており、
前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、1つ以上の光源及びサーモグラフィカメラをさらに含み、
1つ以上の光源からの光を前記一体型複合構造体の第1検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第1検査領域の第1サーモグラフィ画像を取得し、
前記第1フレームのエッジ及び前記第2フレームのエッジに対して長さ方向に前記キャリッジを移動させ、
1つ以上の光源からの光を第2検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第2検査領域の第2サーモグラフィ画像を取得する、方法。
【請求項10】
前記キャリッジを前記第1フレームのエッジ及び前記第2フレームのエッジの上に載置することは、ロボットが前記キャリッジを前記第1フレームのエッジ及び前記第2フレームのエッジの上に載置することを含む、請求項9に記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【請求項11】
前記キャリッジを前記第1フレームのエッジ及び前記第2フレームのエッジに沿って長さ方向に移動させることは、ロボットが前記キャリッジを前記第1フレームのエッジ及び前記第2フレームのエッジに沿って長さ方向に移動させることを含む、請求項9又は10に記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【請求項12】
一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法であって、
前記一体型複合構造体の第1フレームエッジ及び第2フレームエッジの上に赤外線サーモグラフィ検査システムを載置し、
この際に、前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、キャリッジに取り付けられた第1キャリッジ支持部材及び第2キャリッジ支持部材を含み、前記第1キャリッジ支持部材及び前記第2キャリッジ支持部材は、其々が前記第1フレームエッジ及び第2フレームエッジに取り付けられるように調整可能な距離をあけて互いに離間配置されており、
前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、1つ以上の光源及びサーモグラフィカメラをさらに含み、
1つ以上の光源からの光を前記一体型複合構造体の第1検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第1検査領域の第1サーモグラフィ画像を取得し、
前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジに対して長さ方向に前記キャリッジを移動させ、
1つ以上の光源からの光を第2検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第2検査領域の第2サーモグラフィ画像を取得し、
第1サーモグラフィ画像を取得する前に、少なくとも2つ以上の補強材を含むように前記サーモグラフィカメラの視野を調節することをさらに含み、この際に、前記少なくとも2つ以上の補強材は、前記一体型複合構造体の2つのフレームの間に列状に配置された複数の補強材のうちの一部である、赤外線サーモグラフィ検査方法。
【請求項13】
一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法であって、
前記一体型複合構造体の第1フレームエッジ及び第2フレームエッジの上に赤外線サーモグラフィ検査システムを載置し、
この際に、前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、キャリッジに取り付けられた第1キャリッジ支持部材及び第2キャリッジ支持部材を含み、前記第1キャリッジ支持部材及び前記第2キャリッジ支持部材は、其々が前記第1フレームエッジ及び第2フレームエッジに取り付けられるように調整可能な距離をあけて互いに離間配置されており、
前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、1つ以上の光源及びサーモグラフィカメラをさらに含み、
1つ以上の光源からの光を前記一体型複合構造体の第1検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第1検査領域の第1サーモグラフィ画像を取得し、
前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジに対して長さ方向に前記キャリッジを移動させ、
1つ以上の光源からの光を第2検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第2検査領域の第2サーモグラフィ画像を取得し、
前記キャリッジを前記第1フレームのエッジ及び前記第2フレームのエッジに沿って長さ方向に移動させることにより、前記第1フレームと前記第2フレームとの間の補強材の列全体を検査すべく、更なるサーモグラフィ画像を取得することをさらに含む、赤外線サーモグラフィ検査方法。
【請求項14】
一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法であって、
前記一体型複合構造体の第1フレームエッジ及び第2フレームエッジの上に赤外線サーモグラフィ検査システムを載置し、
この際に、前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、キャリッジに取り付けられた第1キャリッジ支持部材及び第2キャリッジ支持部材を含み、前記第1キャリッジ支持部材及び前記第2キャリッジ支持部材は、其々が前記第1フレームエッジ及び第2フレームエッジに取り付けられるように調整可能な距離をあけて互いに離間配置されており、
前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、1つ以上の光源及びサーモグラフィカメラをさらに含み、
1つ以上の光源からの光を前記一体型複合構造体の第1検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第1検査領域の第1サーモグラフィ画像を取得し、
前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジに対して長さ方向に前記キャリッジを移動させ、
1つ以上の光源からの光を第2検査領域に照射し、
前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第2検査領域の第2サーモグラフィ画像を取得し、
前記一体型複合構造体の第3フレームと第4フレームとの間に配置された補強材を検査するために、前記キャリッジを、第3フレームのエッジ及び第4フレームのエッジの上に載置することをさらに含む、赤外線サーモグラフィ検査方法。
【請求項15】
前記キャリッジを前記第3フレームのエッジ及び前記第4フレームのエッジの上に載置することは、ロボットが前記キャリッジを前記第3フレームのエッジ及び前記第4フレームのエッジの上に載置することを含む、請求項14に記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合構造体の非破壊検査のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造体は、1つの一体型複合構造体として、あるいは、後に組み立てが必要な複数の部品として、製造することができる。例えば一体的に補強された外板パネルのように、一体型複合構造体として製造することは、いくつかの利点をもたらす。例えば、サイクルタイムがより短く、必要な作業量が少ないため、製造コストを削減することができる。加えて、一体化複合構造体の製造では、多くの様々なファスナを用いることに関連するコスト及び時間を省くことができる。
【0003】
しかしながら、一体型複合構造体は、検査上の問題をもたらす可能性がある。複合構造体は、通常、非破壊超音波法によって検査する必要がある。組み立ての前であれば、超音波トランスデューサが、複数の複合部品のすべての面にアクセスすることができる。一体型複合構造体の場合は、トランスデューサが、例えば角部付近の面など、すべての面にアクセスすることが難しい場合がある。このような部分を検査する従来のトランスデューサは、複雑で高価な場合がある。また、超音波検査では、超音波を送信及び検出するために、トランスデューサが一体型複合構造体の露出面にアクセスする必要がある。複合構造体のサイズ及び形状によっては、このプロセスに時間がかかる場合がある。
【0004】
一体型複合構造体の非破壊検査を行うための費用効果が高く効率的なシステム及び方法が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、一体型複合構造体を検査するための赤外線サーモグラフィ検査システムが提供される。当該システムは、サーモグラフィカメラと、1つ以上のライトと、キャリッジとを含むことができる。前記キャリッジは、キャリッジ本体を含むことができ、前記サーモグラフィカメラ及び前記1つ以上のライトは、前記キャリッジ本体に固定されている。前記キャリッジは、さらに、前記キャリッジ本体に配置された第1支持部材と、前記キャリッジ本体に配置された第2支持部材とを含むことができ、前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、前記第1支持部材が前記一体型複合構造体の第1フレームのエッジの上に位置し、かつ前記第2支持部材が前記一体型複合構造体の第2フレームのエッジの上に位置するような距離をあけて互いに離間している。
【0006】
一体型複合構造体を検査するための赤外線サーモグラフィ検査システムの様々な任意の特徴は、前記キャリッジを持ち上げて、前記一体型複合構造体の前記第1フレームの前記エッジ、及び、前記第2フレームの前記エッジに、載置するように構成されたロボットを含むことができる。更なる任意の特徴は、前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、其々、前記第1フレームの前記エッジ、及び、前記第2フレームの前記エッジに接触する1つ以上のホイールを含むこと、前記第1フレーム及び前記第2フレームの長さ方向に沿って、前記キャリッジを推進させるように構成されたモータ、前記第1フレーム及び前記第2フレームの長さ方向に沿って前記キャリッジを摺動させるように構成されたロボット、前記モータに命令を与えるように構成されたプロセッサ、及び、伸縮及び/又は旋回することにより前記サーモグラフィカメラの配置を変えるマウントを含む。更なる任意の特徴は、前記キャリッジが、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に配置された複数の補強材のうちの2つ以上を含む視野を前記サーモグラフィカメラに与えるように、前記一体型複合構造体から距離を置いて、前記サーモグラフィカメラを配置することができること、前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、真っ直ぐなフレームエッジ、L字形のフレームエッジ、又は、T字形のフレームエッジの上に、前記キャリッジを取り付ける形状とされていること、及び、前記プロセッサが前記サーモグラフィカメラに命令を与えて、前記キャリッジの移動を、前記カメラによる赤外線サーモグラフィ画像の取得と同期させるように構成されていること、をさらに含むことができる。
【0007】
本開示によれば、一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法が提供される。当該方法は、前記一体型複合構造体の第1フレームエッジ及び第2フレームエッジの上に赤外線サーモグラフィ検査システムを載置することを含むことができ、この際に、前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、キャリッジに取り付けられた第1キャリッジ支持部材及び第2キャリッジ支持部材を含み、前記第1キャリッジ支持部材及び前記第2キャリッジ支持部材は、其々が前記第1フレームエッジ及び第2フレームエッジに取り外し可能に取り付けられる距離を互いにあけて配置されており、前記赤外線サーモグラフィ検査システムは、1つ以上の光源及びサーモグラフィカメラをさらに含む。当該方法は、1つ以上の光源からの光を前記一体型複合構造体の第1検査領域に照射すること、前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第1検査領域の第1サーモグラフィ画像を取得すること、及び、前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジに対して長さ方向(lengthwise direction)に前記キャリッジを移動させることをさらに含む。1つ以上の光源からの光を第2検査領域に照射することができ、前記キャリッジに取り付けられた前記サーモグラフィカメラによって、前記第2検査領域の第2サーモグラフィ画像を取得することができる。
【0008】
一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法の様々な任意の特徴は、ロボットによって、前記キャリッジを前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジの上に載置すること、及び、ロボットによって、前記キャリッジを前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジに沿って長さ方向に移動させることを含むことができる。他の任意の特徴は、前記キャリッジを転動させることによって、前記キャリッジを前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジに沿って長さ方向に移動させること、モータを組み込むことにより前記キャリッジを転動させること、少なくとも2つ以上の補強材を含むように前記サーモグラフィカメラの視野を調節することであって、この際に、前記少なくとも2つ以上の補強材は、前記一体型複合構造体の2つのフレームの間に列状に配置された複数の補強材のうちの一部であること、前記キャリッジを前記第1フレームエッジ及び前記第2フレームエッジに沿って長さ方向に移動させることにより、前記第1フレームと前記第2フレームとの間の補強材の列全体を検査すべく、更なるサーモグラフィ画像を取得すること、及び、前記一体型複合構造体の第3フレームと第4フレームとの間に配置された補強材を検査するために、前記キャリッジを、第3フレームエッジ及び第4フレームエッジの上に載置すること、を含むことができる。更なる任意の特徴は、ロボットを用いて前記キャリッジを第3フレームエッジ及び第4フレームエッジの上に載置すること、及び、二次的な熱源を用いて前記一体型複合構造体の角部を局所的に加熱することを含むことができる。
【0009】
なお、上述した概括的な説明、及び、以下の詳細な説明は、いずれも、例示的且つ説明的なものに過ぎず、請求の範囲に記載する本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面は、本明細書に盛り込まれてその一部を構成しており、本開示を図示するとともに、明細書と合わせて本開示の原理を説明するための役割を果たす。
【0011】
図1A】本開示による例示的な一体型複合構造体の斜視図である。
図1B】本開示による例示的な一体型複合構造体の側面図である。
図2】本開示による例示的な赤外線サーモグラフィ検査システムを示す図である。
図3A-C】本開示による他の例示的な赤外線サーモグラフィ検査システムを示す図である。
図4】本開示による一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法のフローチャートである。
図5】本開示による一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査方法を示す図である。
図6】本開示による別の例示的な赤外線サーモグラフィ検査システム及び方法の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の例示的な実施態様について、詳細に説明する。実施態様の例は、添付図面に図示されている。同じ又は類似の部材については、可能な限り、図面全体を通して同じ参照数字を用いる。以下の記載では、記載の一部を構成する添付図面を参照する。添付図面には、例として、本開示を実施することができる特定の例示的な実施態様が示されている。これらの実施態様は、当業者が本開示を実施することができるよう、十分に詳しく説明されている。なお、他の実施態様を用いることもでき、本開示の範囲を逸脱することなく、変更を行うことができる。従って、以下の記載は、単に例示的なものである。
【0013】
本開示の実施態様は、一体型複合構造体の非破壊検査を行うための費用効果が高く且つ効率的なシステム及び方法の需要に応えるものである。本開示の赤外線サーモグラフィ検査システムは、2つのフレームの上に取り付けられ、長さ方向に移動して、フレーム、外板、及び、2つのフレームの間の補強材の列全体を検査することができる。当該システムは、次に、一体型複合構造体の別の2つのフレームに取り付けることができる。このようにして、一体型複合構造体全体の検査を完了することができる。本開示の赤外線サーモグラフィ検査システムは、検査時間を減らすとともに、カスタマイズされた超音波トランスデューサを用いなくても、すべての面の検査を実現することができる。さらに、本開示の方法は、有利に自動化することができ、これにより技術者による助けをほとんど又は一切必要とせずに、一対のフレームの最上部に沿って長さ方向に移動するとともに、別の対のフレームに移動することができる。以下の例は、一体型の複合航空宇宙構造体に関連させて赤外線サーモグラフィのシステム及び方法を開示しているが、当業者であればわかるように、例示的なシステム及び方法は、任意の一体型複合構造体に用いることができる。その例として、限定するものではないが、複合材船体及び筒状容器がある。
【0014】
図1Aは、例示的な一体型複合構造体100の斜視図である。例えば、一体型複合構造体100は、航空機10の一部を形成することができる。複合構造体は、例えば、大きさが、10フィート×15フィートから40フィート×60フィート、又はそれ以上の範囲にある。図1Bは、一体型複合構造体100の側面図である。一体型複合構造体100は、外板101、及び、外板101に対して略垂直に配向された複数のフレーム120を含む。複数の補強材103(「連続補強材」又は「ストリンガー」とも称される)が、隣接するフレーム120どうしの間に、列状に配置されている。複数の補強材103は、ブレード又は逆「T」字形に示されているが、当業者であればわかるように、本開示の実施態様は、他の形状も包含し、これには、限定するものではないが、「I」字形又は逆「J」字形などの開放形状、あるいは、「ハット状」、台形、丸みを帯びたハット又は矩形の断面のものなどの閉鎖形状が含まれる。製造の際には、外板101、フレーム120及び補強材103の繊維プリフォームが接合されて1つのプリフォームを形成し、これに樹脂が注入されて、硬化される。あるいは、フレーム120、外板101、及び、補強材103を、事前含浸された炭素又はその他の繊維で個別に形成し、これらを組み立てた後に硬化することにより、一体型複合構造体を形成することもできる。硬化後には、一体型複合構造体100のすべての面を検査しなければならない。当然ながら、角部、例えば、フレームと補強材とで形成された角部あるいはフレームと外板とで形成された角部の内側や内部は、超音波で検査することが難しい。また、一体型複合構造体100の大きさのために、超音波検査に時間がかかることがある。
【0015】
図2は、例示的な赤外線サーモグラフィ検査システム250を示している。赤外線サーモグラフィ検査システム250は、キャリッジ260、サーモグラフィカメラ270(本明細書では「赤外線サーモグラフィカメラ」とも称する)、及び、1つ以上のライト280を含む。サーモグラフィカメラ270の例には、限定するものではないが、FLIR X8000scシリーズ(FLIR Systems、オレゴン州ウィルソンヴィル)、及び、Indigo Merlin Mid(Indigo Systems、カリフォルニア州ゴレタ)が含まれる。サーモグラフィカメラ270は、検査中に撮影されたサーモグラフィ画像の取り込み、保存、操作、及び/又は表示を行うためのソフトウェア及びハードウェアを含んでもよい。熱を与えるライト280の例には、限定するものではないが、キセノンフラッシュチューブ、クォーツフラッシュランプ、及び、写真フラッシュランプが含まれる。実施態様において、赤外線サーモグラフィ検査システム250は、キャリッジ260、カメラ270、及び、ライト280のうちの1つ又はすべての動きを制御するためのプロセッサ(図示せず)を含むことができる。プロセッサは、検査中に取得されたサーモグラフィ画像を、保存、操作、及び表示することもできる。プロセッサは、赤外線サーモグラフィ検査システムに接続されたコンピュータの一部であってもよいし、赤外線サーモグラフィカメラに内蔵してもよい。
【0016】
キャリッジ260は、例えば、キャリッジ本体262、サーモグラフィカメラ270及び/又はライト280用のマウント264、第1支持部材265、及び、第2支持部材267を含むことができる。キャリッジ本体262は、当該キャリッジ本体から第1支持部材265及び第2支持部材267を延出させることができるものであれば、任意の形状又は構成のものであってよい。また、キャリッジ本体262は、マウント264、サーモグラフィカメラ270、及び/又はライト280を、固定支持している。マウント264は、サーモグラフィカメラ270をキャリッジ本体262に取り付けるためのものであり、例えば、ポール、ジンバル、ターンテーブル、又は、スクリューであってよい。マウントは、検査される一体型複合構造体から十分に離れた位置にサーモグラフィカメラ270を取り付けることができるように、サイズ設定することができる。換言すれば、マウント264は、サーモグラフィカメラ270をキャリッジ本体262に固定するとともに、一体型複合構造体を検査するための所望の視野をサーモグラフィカメラ270に与えるものであれば、どのような形状又はサイズのものであってもよい。例えば、ジンバルは、サーモグラフィカメラ270をキャリッジ本体262に取り付けるとともに、サーモグラフィカメラ270を一体型複合構造体に対して近接又は離間するよう鉛直(vertical)方向に移動させたり、サーモグラフィカメラ270の視野を変更するために回転させたりすることができる。
【0017】
第1支持部材265及び第2支持部材267は、検査される一体型複合構造体のフレーム上に載置された際に、赤外線サーモグラフィ検査システム250を支持するとともに安定させるためのものである。第1支持部材265及び第2支持部材267は、アルミニウム、または、例えば繊維ガラス/エポキシもしくは炭素/エポキシなどの複合材料であってよい。これらの支持体は、例えばフレームエッジの幅、フレーム間の距離、ならびに、サーモグラフィカメラ及びライトのサイズ及び重量を含む複数の要素に応じて、サイズ及び形状を変更することができる。キャリッジ本体262から延出する状態を図示しているが、第1支持部材265及び第2支持部材267は、例えば、フレーム間の距離に一致する距離を互いにあけてキャリッジ本体262に設けられた溝であってもよい。参照のために、図2には、外板201、複数の補強材203、第1フレーム220、及び、第2フレーム222を含む、一体型複合構造体200も示している。図示のように、赤外線サーモグラフィ検査システム250は、第1フレーム220の最上部及び第2フレーム222の最上部に位置する。隣接するフレーム220及び222の上に位置する状態が図示されているが、当業者であればわかるように、赤外線サーモグラフィ検査システム250は、所望の場合には、隣接しないフレーム同士の上に位置することもできる。第1支持部材265及び第2支持部材267は、第1フレーム220及び第2フレーム222の最上部に沿った第1支持部材265及び第2支持部材267の摺動を容易にするための、低摩擦機能を含んでいてもよい。低摩擦機能は、例えば、限定するものではないが、第1支持部材及び第2支持部材に塗布されたコーティング、第1支持部材及び第2支持部材に取り付けられた低摩擦材、及び、エアベアリング(air bearing)を含む。
【0018】
赤外線サーモグラフィ検査システムは、本明細書で「ローラ」とも称される1つ以上のホイールをさらに含むことができる。図3Aに示すように、第1ホイール296及び第2ホイール298は、第1フレーム220及び第2フレーム222の最上部に沿って、フレームの長さ方向にキャリッジ本体262が転動できるように、取り付けることができる。一体型複合構造体200及びキャリッジ360の部分図も示している。例えば、第1ホイール296及び第2ホイール298を、キャリッジ本体262、第1支持部材265及び第2支持部材267、又は任意の他の位置に固定することにより、キャリッジ360を2つのフレームの最上部に沿って転動させることができる。ホイールは、対で取り付けることができ、二対以上を用いることにより、転動の際の安定性をキャリッジ360に与えることができる。様々な実施態様において、ホイールは、フレームの損傷を防ぐため、例えば柔らかいゴムで作製される。
【0019】
図2及び3Aは、真っ直ぐなエッジを有するフレームを示しているが、赤外線サーモグラフィ検査システム250は、他のフレームエッジ形状を有する一体型複合構造体の検査に用いることもできる。本明細書において、「フレームエッジ」とは、外板に隣接するフレームの端部とは反対側のフレームの端部のことをいう。例えば、図3Bは、L字形のフレームエッジ223を有する第1フレーム220及び第2フレーム222を示している。一体型複合構造体200及びキャリッジ361の部分図も示している。図3Cは、T字形のフレームエッジ225を有する第1フレーム220及び第2フレーム222を示している。一体型複合構造体200及びキャリッジ362の部分図も示している。当業者であればわかるように、本開示の赤外線サーモグラフィ検査システムは、他のフレームエッジ形状を有する一体型複合構造体の検査にも用いることができ、他のフレームエッジに赤外線検査システムを固定取り付けするために、支持部材の形状、サイズ、及び数を変更する場合もある。
【0020】
一実施態様において、赤外線サーモグラフィ検査システムは、さらにロボットを含むことができる。図2に示した赤外線サーモグラフィ検査システム250を参照すると、ロボット290は、同じ補強材列にある他の補強材を検査するために、キャリッジ260、装着された赤外線サーモグラフィカメラ270、及び、ライト280を、第1フレーム220及び第2フレーム222の長さに沿って別の位置に移動させることができる。例えば、2つ以上の補強材のサーモグラフィ画像を取得した後に、ロボット290は、赤外線サーモグラフィ検査システム250を持ちあげるか、あるいはフレームの最上部に沿って長さ方向に摺動させるかによって、赤外線サーモグラフィ検査システム250をフレーム上の別の位置に取り付けることができる。また、別の列の補強材を検査するために、ロボット290は、キャリッジ260、赤外線サーモグラフィカメラ270、及び、ライト280を、例えば第1フレーム220及び第2フレーム222に隣接するフレームなどの別の組のフレームに取り付けることもできる。
【0021】
図3A~Cを参照すると、同じ補強材列にある別の補強材を検査するために、ロボット290を用いて、キャリッジ360、361、又は362及びこれらに関連付けられた赤外線サーモグラフィカメラ及びライトを、第1フレーム220及び第2フレーム222の長さに沿って別の位置に転動させることができる。また、ロボット290を用いて、キャリッジ360、361又は362、及びこれらに関連付けられた赤外線サーモグラフィカメラ及びライトを持ち上げて、当該キャリッジを別の対のフレームに取り付けることもできる。
【0022】
別の実施態様において、赤外線サーモグラフィ検査システム250は、モータを含むことができる。図3A~Cに示すモータ295を、第1ホイール296及び第2ホイール298に関連付けて用いることにより、キャリッジ360、361、又は362及びこれらに関連付けられた赤外線サーモグラフィカメラ及びライトを、第1フレーム220及び第2フレーム222の最上部に沿って転動させることができる。モータ295は、例えば、ElectroCraft TorquePowerモータ(ElectroCraft, Inc. オハイオ州ガリポリス)などの、装置の配置に通常用いられる小型のステッパモータであってよい。
【0023】
赤外線サーモグラフィ検査システム250は、モータ295に命令を与えるプロセッサも含むことができる。命令は、例えば、一対のフレームの最上部に沿った別の位置にキャリッジ360、361、又は362をいつ移動させるか、あるいは、キャリッジをどこまで移動させるか、を含む。例えば、プロセッサは、画像の取得及び分析のために、モータ及びカメラに命令を与えることができる。プロセッサは、データの取得及び分析のためのソフトウェアパッケージを含むシステムに組み込むことができ、画像を順にアーカイブするとともに、エリア全体を網羅していることを示すために表示する。そのような画像の順次の取得及び表示を維持するために、ロボット及びプラットフォームの動きの制御を、画像の取得及び分析に関して、カメラと統合させ、連動させるとよい。例えば、プロセッサは、サーモグラフィカメラが画像の検査及び収集を行っている間、キャリッジを連続的に移動させる命令を与えてもよい。あるいは、プロセッサは、キャリッジを固定位置に移動させる命令を与えてもよく、これにより、プロセッサが、検査対象である別の固定位置にキャリッジを移動させる命令を与える前に、サーモグラフィカメラが画像の検査及び収集を行うことができる。
【0024】
図4は、一体型複合構造体の赤外線サーモグラフィ検査の例示的な方法400を示す。この例示的な方法を、例えばビークルの製造中における一体型複合構造体の検査に関して説明するが、当業者であればわかるように、開示の方法は、使用中の検査に用いることもできる。
【0025】
410において、赤外線サーモグラフィ検査システムが、一体型複合構造体の第1フレームエッジ及び第2フレームエッジに取り付けられる。一体型複合構造体は、例えば、図1A~B及び図2に示したような外板、フレーム、及び補強材を含むことができる。図2を参照すると、例示的な赤外線サーモグラフィ検査システム250は、サーモグラフィカメラ270及び1つ以上のライト280を含むキャリッジ260を含むことができる。キャリッジ260は、例えば、キャリッジ本体262、サーモグラフィカメラ270及び/又はライト280用のマウント264、第1支持部材265、及び、第2支持部材267を含むことができる。第1支持部材265及び第2支持部材267は、第1フレーム220と第2フレーム222との距離に一致する距離を互いにあけて、キャリッジ本体262に取り付けることができる。一実施態様において、第1支持部材265と第2支持部材267との距離は、調節可能であってもよい。従って、第1支持部材265が第1フレーム220の上に取り外し可能に取り付けられるとともに、第2支持部材267が第2フレームエッジ222の上に取り外し可能に取り付けられるように、赤外線サーモグラフィ検査システム250を、一体型複合構造体200の第1フレーム220のエッジ及び第2フレーム222のエッジ上に載置することができる。
【0026】
420において、1つ以上の光源からの光を、一体型複合構造体の第1検査領域に照射することができる。例えば、第1検査領域571は、囲まれた領域として図5に表されており、例えば2つ以上の補強材を含んでいる。この例では、第1検査領域571は、補強材503の列における補強材503a、503b、及び503c、フレーム520及び522の内面の一部、及び、外板501の一部を含んでいる。当業者であればわかるように、図示の検査領域は、これより大きくても小さくてもよく、一体型複合構造体500の他の部分を含んでいても除いていてもよい。表面において光及びこれに伴う熱パルスが不適切な態様となるような狭い角部を一体型複合構造体が含む実施形態では、ヒートガンのような二次的な熱源からの局所的な熱照射を用いてもよい。二次熱源は、キャリッジ260に収縮可能に取り付けて、検査者によって手動で操作してもよい。また、二次熱源は、ヒートガンを自動的に出し入れする機構を用いて、キャリッジ260に取り付けてもよい。
【0027】
430において、キャリッジに取り付けられた赤外線カメラによって、第1検査領域の第1サーモグラフィ画像を取得することができる。例えば、図5を再び参照すると、キャリッジ及びそのマウントによって、第1検査領域571を包含する視野が得られる一体型複合構造体500からの距離及び/又は角度に、赤外線サーモグラフィカメラ570を配置することができる。具体的には、第1検査領域571は、補強材503a、503b、及び503c、これらの補強材の近傍に位置するフレーム520及び522の内面の一部、及び、外板501の一部を含んでいる。フレームと補強材とで形成される角部、及び、フレーム/補強材と外板とで形成される角部も、第1検査領域571に含まれている。ただし、視野は、所望に応じて、これより大きくても小さくてもよく、一体型複合構造体のより多くの部分又はより少ない部分を含んでいてもよい。
【0028】
440において、キャリッジが移動させられる。図2を参照すると、キャリッジ260は、フレーム220及び222の長さ方向に(図2の紙面に向かう、又は紙面から離れる方向に)移動させることができる。キャリッジ260の移動は、連続的であってもよいし、間欠的であってもよい。キャリッジ260に取り付けられているマウント264、カメラ270、及び1つ以上のライト280も、キャリッジ260と共に移動させられる。キャリッジ260は、例えば、ロボット290によって移動させることができる。ロボット290は、キャリッジを持ち上げてから載置してもよいし、2つのフレームの最上部に沿って長さ方向にキャリッジを摺動させてもよい。キャリッジがホイール又はローラを含む実施態様では、ロボット290によって又はモータを用いて、キャリッジを2つのフレームの最上部に沿って動かすことによって、移動させることができる。図3A~Cに示すように、キャリッジ360、361及び362は、モータ295を組み込むことにより、フレーム220及び222の最上部の上でホイール296及び298を長さ方向に転動させることにより、移動させることができる。モータ及びホイールの制御は、手動であってもよいし、コンピュータ及び/又はプロセッサを用いてもよい。
【0029】
450において、1つ以上の光源からの光を、第2検査領域に照射する。図5に示すように、フレーム520及び522の長さ方向にキャリッジを移動させた後は、第2検査領域572がカメラ570の視野に入っている。第2検査領域572は、囲まれた領域として図5に表されている。この例では、第2検査領域572は、補強材503の列における補強材503d、503e、及び503f、これらの補強材に隣接するフレーム520及び522の一部、及び、外板の一部を含んでいる。フレームと補強材とで形成される角部、及び、フレーム/補強材と外板とで形成される角部も、第2検査領域572に含まれている。第2検査領域572の視野は、カメラを移動させること、及び/又は、サーモグラフィカメラのレンズの焦点を変更することによって、変更することもできる。
【0030】
実施態様において、1つ以上の光源からの光は、連続的であってもよいし、パルス光もしくは点滅(flashed)光であってもよい。点滅光を用いる場合は、キャリッジの移動、光の点滅、及び、赤外線サーモグラフィカメラによる画像の取得を、同期させてもよい。
【0031】
460において、キャリッジに取り付けられた赤外線カメラによって、第2検査領域のサーモグラフィ画像を取得することができる。図5を参照すると、キャリッジを移動させることによって、赤外線サーモグラフィカメラ570が、視野572で表される第2サーモグラフィ画像を取得することができる。
【0032】
この対のフレームの長さ方向に沿ってキャリッジが移動させられて、この列全体の補強材の赤外線サーモグラフィ画像が取得されると、キャリッジを別の対のフレームに移動させて、別の列の補強材を検査することができる。キャリッジを別の対のフレームに移動させることは、例えば、ロボット290を用いて、あるいは技術者により手動で、行うことができる。図5を参照すると、第1フレーム520と第2フレーム522との間の補強材の検査が完了すると、キャリッジ、カメラ、及び、ライトを移動させて、第2フレーム522及び第3フレーム524の上に位置させることにより、第2フレーム522と第3フレーム524との間に配置された補強材を検査することができる。このプロセスが、第3フレーム524及び第4フレーム525等において、一体型複合構造体の検査が完了するまで繰り替えされる。
【0033】
開示の方法の一部又はすべては、有利に自動化することができる。図6に示すように、例示的な赤外線サーモグラフィ検査システム650は、キャリッジ660、サーモグラフィカメラ670、ライト680、及び、第1ロボット690を含むことができる。例えば、第1ロボット690は、赤外線サーモグラフィ検査システム650を、一体型複合構造体600の第1フレーム620及び第2フレーム622の上に取り付けることができる。キャリッジ660は、第1フレーム620及び第2フレーム622の最上部に沿ってキャリッジ660を移動させるためのモータ及びホイールを含むことができる。例えば、第1視野のサーモグラフィ画像が取得された後、モータの誘導により、キャリッジ660、サーモグラフィカメラ670、及びライト680がフレーム620及び622の最上部に沿って転動して、サーモグラフィカメラ670に第2視野を与えることができる。これは、フレーム620及び622の内側、外板601、及び、補強材603の列の検査が完了するまで、続けることができる。次に、第1ロボット690が、赤外線サーモグラフィ検査システム650を移動させて、別の対のフレーム622及び624の上に位置させる。これは、ロボット690が移動して赤外線サーモグラフィ検査システム650を回収するか、あるいは、赤外線サーモグラフィ検査システム650がフレーム620及び622の最上部に沿ってロボット690まで戻ることによって、実現することができる。
【0034】
別の実施態様において、赤外線サーモグラフィ検査システム650は、更なるロボットを含むことができ、例えば、赤外線サーモグラフィ検査システム650を移動させてフレーム622及び624の上に位置させるため第2ロボット695を含むことができる。例えば、第1ロボット690が、赤外線サーモグラフィ検査システム650を、フレーム620及び622に取り付ける。赤外線サーモグラフィ検査システム650が、矢印で示すように右から左に移動して、補強材603の列の検査を完了した後、例えば、第2ロボット695が、赤外線サーモグラフィ検査システム650を移動させて、フレーム622及び624上に位置させる。次に、赤外線サーモグラフィ検査システム650は、図6に示す左から右に移動することにより、検査を続けることができる。フレーム622と624との間の補強材の検査が完了すると、例えば、第1ロボット690が赤外線サーモグラフィ検査システム650を別の対のフレームに移動させ、第2ロボット695に向かって戻る方向に検査が継続される。一体型複合構造体600が完全に検査されるまで、このようにして検査を継続することができる。2つ以上のロボットを含む例示的な赤外線サーモグラフィ検査システムによれば、ロボットの走行距離を最小限に抑えるとともに、検査時間を減らすことができる。
【0035】
一体型複合構造体600の幅が、ロボット690及びロボット695の到達距離より大きい実施態様では、一体型複合構造体600の横に複数のロボットを設置することにより、一体型複合構造体600の全体を検査するように赤外線サーモグラフィ検査システム650を移動させることができる。
【0036】
他の実施態様では、赤外線サーモグラフィカメラのマウントは、旋回及び/又は伸張が可能である。図6を参照すると、マウント664は、関節式にすることにより、伸縮自在とすることができる。また、マウント664が旋回することにより、キャリッジ660の下方にある補強材の列に隣接する補強材の列を検査するように、カメラを位置させることができる。例えば、赤外線サーモグラフィ検査システム650は、フレーム620及びフレーム622の上を移動して、補強材603の列、ならびに、外板及びフレーム620、622を検査する。これが完了すると、マウント664が伸張及び旋回することにより、隣接する補強材の列、例えば補強材604の列、ならびに、補強材604の列に関連付けられた外板及びフレームを検査するよう、サーモグラフィカメラ670を配置することができる。
【0037】
また、本開示は、以下に列記の項に記載の例を含む。
【0038】
A1. 一体型複合構造体(100、200、500、600)を検査するための赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)であって、サーモグラフィカメラ(270、570、670)と、1つ以上のライト(280、680)と、キャリッジ(260、360、361、362、660)とを含んでなり、前記キャリッジは、キャリッジ本体(262)を含み、前記サーモグラフィカメラ(270、570)及び前記1つ以上のライト(280、680)は、前記キャリッジ本体(262)に固定されており、前記キャリッジはさらに、前記キャリッジ本体(262)に配置された第1支持部材(265)と、前記キャリッジ本体(262)に配置された第2支持部材(267)とを含み、前記第1支持部材(265)と前記第2支持部材(267)とは、前記第1支持部材(265)が前記一体型複合構造体(100、200、500、600)の第1フレーム(220、520、620)のエッジの上に位置し、かつ前記第2支持部材(267)が前記一体型複合構造体の第2フレーム(222、522、622)のエッジの上に位置するような距離をあけて互いに離間している、赤外線サーモグラフィ検査システム。
【0039】
A2. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を持ち上げて、前記一体型複合構造体(100、200、500、600)の前記第1フレーム(220、520、620)の前記エッジ、及び、前記第2フレーム(222、522、622)の前記エッジに、載置するように構成されたロボット(290、690)をさらに含む、付記A1に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0040】
A3. 前記第1支持部材(265)及び前記第2支持部材(267)は、其々、前記第1フレーム(220、520、620)の前記エッジ、及び、前記第2フレーム(222、522、622)の前記エッジに接触する1つ以上のホイール(296、298)を含む、付記A1又はA2に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0041】
A4. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)は、前記第1フレーム(220、520、620)及び前記第2フレーム(222、522、622)の長さ方向に沿って、前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を推進させるように構成されたモータ(295)をさらに含む、付記A3に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0042】
A5. 前記ロボット(290、690)は、前記第1フレーム(220、520、620)及び前記第2フレーム(222、522、622)の長さ方向に沿って前記キャリッジを摺動させるように、又は、前記第1フレーム(220、520、620)及び前記第2フレーム(222、522、622)の前記長さ方向に沿って前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を持ち上げて載置するように構成されている、付記A2、A3又はA4に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0043】
A6. 前記モータ(295)に命令を与えるように構成されたプロセッサをさらに含む、付記A4又はA5に記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0044】
A7. 伸縮及び/又は旋回することにより前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)の配置を変えるマウント(264)をさらに含む、付記A1~A6のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0045】
A8. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)は、前記第1フレーム(520)と前記第2フレーム(522)との間に配置された複数の補強材(503a、503b、503c、503d、503e、503f)のうちの2つ以上を含む視野(571、572)を前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)に与えるように、前記一体型複合構造体(100、200、500、600)から距離を置いて、前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)を配置する、付記A1~A7のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0046】
A9. 前記第1支持部材(265)及び前記第2支持部材(267)は、真っ直ぐなフレーム(220、222)エッジ、L字形のフレームエッジ(223)、又は、T字形のフレームエッジ(225)の上に、前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を取り付ける形状とされている、付記A1~A8のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0047】
A10. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)の移動を、前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)による赤外線サーモグラフィ画像の取得と同期させる命令を、前記モータ(295)及び前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)に与えるように構成されたプロセッサをさらに含む、付記A1~A9のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)。
【0048】
B1. 一体型複合構造体(100、200、500、600)の赤外線サーモグラフィ検査方法であって、前記一体型複合構造体(100、200、500、600)の第1フレーム(220、520、620)エッジ及び第2フレーム(222、522、622)エッジの上に赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)を載置し、この際に、前記赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)は、キャリッジ(260、360、361、362、660)に取り付けられた第1キャリッジ支持部材(265)及び第2キャリッジ支持部材(267)を含み、前記第1キャリッジ支持部材(265)及び前記第2キャリッジ支持部材(267)は、其々が前記第1フレーム(220、520、620)エッジ及び第2フレーム(222、522、622)エッジに取り外し可能に取り付けられる距離を互いにあけて配置されており、前記赤外線サーモグラフィ検査システム(250、650)は、1つ以上の光源(280、680)及びサーモグラフィカメラ(270、570、670)をさらに含み、1つ以上の光源(280、680)からの光を前記一体型複合構造体(100、200、500、600)の第1検査領域(571)に照射し、前記キャリッジ(260、360、361、362、660)に取り付けられた前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)によって、前記第1検査領域(571)の第1サーモグラフィ画像を取得し、前記第1フレーム(220、520、620)エッジ及び前記第2フレーム(222、522、622)エッジに対して長さ方向に前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を移動させ、1つ以上の光源(280、680)からの光を第2検査領域(572)に照射し、前記キャリッジ(260、360、361、362、660)に取り付けられた前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)によって、前記第2検査領域(572)の第2サーモグラフィ画像を取得する、方法。
【0049】
B2. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を前記第1フレーム(220、520、620)エッジ及び前記第2フレーム(222、522、622)エッジの上に載置することは、ロボット(290、690)が前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を前記第1フレーム(220、520、620)エッジ及び前記第2フレーム(222、522、622)エッジの上に載置することを含む、付記B1に記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0050】
B3. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を前記第1フレーム(220、520、620)エッジ及び前記第2フレーム(222、522、622)エッジに沿って長さ方向に移動させることは、ロボット(290、690)が前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を前記第1フレーム(220、520、620)エッジ及び前記第2フレーム(222、522、622)エッジに沿って長さ方向に移動させることを含む、付記B1又はB2に記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0051】
B4. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を前記第1フレーム(220、520、620)エッジ及び前記第2フレーム(222、522、622)エッジに沿って長さ方向に移動させることは、前記キャリッジ(210、260、360、361、362、660)を転動させることを含む、付記B1、B2、又はB3に記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0052】
B5. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を転動させることは、モータ(295)を組み込むことにより前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を転動させることを含む、付記B4に記載の赤外線サーモグラフィ検査の方法。
【0053】
B6. 第1サーモグラフィ画像を取得する前に、少なくとも2つ以上の補強材(503a、503b、503c、503d、503e、503f、603)を含むように前記サーモグラフィカメラ(270、570、670)の視野(571、572)を調節することをさらに含み、この際に、前記少なくとも2つ以上の補強材(503a、503b、503c、503d、503e、503f、603)は、前記一体型複合構造体(100、200、500、600)の2つのフレーム(520、522)の間に列状に配置された複数の補強材(503a、503b、503c、503d、503e、503f、603)のうちの一部である、付記B1~B5のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0054】
B7. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を前記第1フレーム(520)エッジ及び前記第2フレーム(522)エッジに沿って長さ方向に移動させることにより、前記第1フレーム(520)と前記第2フレーム(522)との間の補強材(503)の列全体を検査すべく、更なるサーモグラフィ画像を取得することをさらに含む、付記B1~B6のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0055】
B8. 前記一体型複合構造体(100、200、500、600)の第3フレーム(524)と第4フレーム(525)との間に配置された補強材(503a、503b、503c、503d、503e、503f、603)を検査するために、前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を、第3フレーム(524)エッジ及び第4フレーム(525)エッジの上に載置することをさらに含む、付記B1~B7のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0056】
B9. 前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を第3フレーム(524)エッジ及び第4フレーム(525)エッジの上に載置することは、ロボット(290、690)が前記キャリッジ(260、360、361、362、660)を前記第3フレーム(524)エッジ及び前記第4フレーム(525)エッジの上に載置することを含む、付記B8に記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0057】
B10. 熱源を用いて前記一体型複合構造体(100、200、500、600)の角部を局所的に加熱することをさらに含む、付記B1~B9のいずれか1つに記載の赤外線サーモグラフィ検査方法。
【0058】
本開示を1つ以上の実施態様について説明したが、添付の請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、説明した例に変更及び/又は改変を加えることが可能である。例えば、プロセスは、一連の動作又は事象として説明しているが、本開示はそのような動作又は事象の順序によって限定されない。いくつかの動作は、本明細書に記載の順序とは異なり、別の順序で行ってもよいし、本明細書に記載の動作又は事象以外の動作又は事象と同時に行ってもよい。例えば、方法の工程を、第1、第2、第3などと記載している。本明細書において、これらの用語は、単に互いに対する相対的な順序、例えば第1工程は第2工程よりも前に行われることを述べているに過ぎない。また、本開示の1つ以上の側面又は実施態様による方法を実施するために、すべてのプロセス段階が必要であるとは限らない。構造部品及び/又はプロセス段階を追加してもよいし、すでにある構造部品及び/又はプロセス段階を省略又は改変してもよい。また、本明細書に記載した動作のうちの1つ以上を、1つ以上の別個の動作及び/又は段階で実行してもよい。また、「含んでいる(“including”)」、「含む(“includes”)」、「有している(“having”)」、「有する(“has”)」、「備える(“with”)」、あるいはこれらの変形が詳細な説明または請求の範囲で用いられている場合、これらの用語は、「含んでなる(“comprising”)
」と同様に包括的であることを意図している。「~のうちの少なくとも1つ」という用語は、リストアップされたアイテムのうちの1つ以上を選択可能であることを意味するために用いている。本明細書において、例えば「A及びB」のようなアイテムのリストに関して「~のうちの1つ以上」と言う用語が用いられている場合、これは、Aのみ、Bのみ、あるいは、AとB、を意味する。「~のうちの少なくとも1つ」という用語は、リストアップされたアイテムのうちの1つ以上を選択可能であることを意味するために用いている。また、明細書及び請求の範囲において、「上に(“on”)」という用語を2つの部材に用い、一方が他方の「上に」あるという場合は、これらの部材間の少なくともある程度の接触を意味する。一方、「上方に(“over”)」という用語は、これらの部材が互いに近接しているが、1つ以上の更なる部材が介在している可能性があり、従って接触はあり得るが必要ではないことを意味している。「上に(“on”)」又は「上方に(“over”)」のいずれも、本明細書における特定の方向を示唆しない。また、「コンフォーマル」という用語は、当該コンフォーマル材料によって、その下にある材料の角度が維持されるコーティング材のことをいう。「約」という用語は、説明された実施態様に対してプロセス又は構造上の不適合をもたらさない範囲で、リストされた値をある程度変更可能であることを示唆する。最後に、「例示的な」と言う用語は、その説明が例として用いられていることを示しており、それが理想的であると示唆しているわけではない。本開示の他の実施態様は、本明細書で開示の仕様及び実施を考慮することによって、当業者にはあきらかであろう。明細書及び実施例は、単に例示的なものであると理解されることを意図しており、本開示の真の範囲及び精神は、以下の請求の範囲によって示唆される。
【0059】
本願で用いられている相対位置を表す用語は、加工対象の向きに関わらず、加工対象において通例平面とみなされる面、または加工面に対して平行な平面に基づいて、定義されている。本願で用いられている「水平な」または「横方向の(lateral)」という用語は、加工対象の向きに関わらず、加工対象において通例平面とみなされる面、または加工面に平行な平面として定義されている。「鉛直」という用語は、水平面に対して垂直な方向を指す。また、「上(on)」、「側(side:「側壁(sidewall)」のような)」、「より高い」、「より低い」、「上方(over)」、「最上部(top)」、「下(under)」などの用語は、加工対象の向きに関わらず、加工対象の最上面において上記通例平面とみなされる面、又は加工面を基準として、定義している。
図1A-1B】
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6