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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/27 20180101AFI20231220BHJP
   F21S 45/50 20180101ALI20231220BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231220BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20231220BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20231220BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231220BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20231220BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231220BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231220BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20231220BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231220BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S45/50
F21V5/00 200
F21V17/00 200
F21W102:00
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21Y113:10
F21Y115:10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019149777
(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公開番号】P2021034136
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 知幸
(72)【発明者】
【氏名】吉原 知史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正樹
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-073805(JP,U)
【文献】実開平07-036311(JP,U)
【文献】特開平07-307102(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03415442(DE,A1)
【文献】特開2004-349136(JP,A)
【文献】実開昭60-013601(JP,U)
【文献】実開平02-092605(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/27
F21S 45/50
F21V 17/00
F21V 5/00
F21W 102/00
F21W 103/00
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21Y 113/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1閉塞端部と、その反対側の第1開口端部と、前記第1閉塞端部と前記第1開口端部との間の内部部材収容部と、を含むアウターレンズと、
第2閉塞端部と、その反対側の第2開口端部と、を含むハウジングと、
前記内部部材収容部に収容された状態で前記第1開口端部の内側面との間にシール溝を形成する内部部材と、
前記シール溝に充填された接着剤と、を備え、
前記ハウジングの開口端面には、前記シール溝に充填された前記接着剤に挿入された突出部が設けられており、
前記アウターレンズ、前記内部部材及び前記突出部は、前記シール溝に充填された前記接着剤により接着され、
前記内部部材は、第1部材と第2部材を備え、
前記第1部材には、少なくとも一つの凸部が設けられ、
前記第2部材には、少なくとも一つの貫通穴が形成され、
前記凸部は、前記貫通穴に挿入され、当該貫通穴から露出して前記シール溝の一部を構成する車両用灯具。
【請求項2】
前記ハウジングの前記開口端面の内周部には、前記突出部が設けられ、
前記ハウジングの前記開口端面の外周部には、第1段差部が設けられ、
前記接着剤が塗布された前記シール溝に前記突出部が挿入された状態で、前記アウターレンズの開口端面と前記ハウジングの前記第1段差部が対向している請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記内部部材は、前記シール溝が形成された状態で前記アウターレンズに溶着されている請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記アウターレンズの前記第1開口端部の内側面には、第2段差部が設けられ、
前記内部部材の一部は、前記シール溝が形成された状態で前記第2段差部に溶着されている請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記アウターレンズの開口端面に設けられた位置決めリブが前記ハウジングの前記第1段差部に当接することで、前記突出部と前記シール溝との間に前記接着剤が充填されたスペースが形成されている請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記接着剤が塗布された前記シール溝に前記突出部が挿入された状態で前記内部部材と前記ハウジングとをネジ止めするネジをさらに備える請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ネジは、前記ハウジングの前記第2閉塞端部に形成された貫通穴に挿入され、さらに前記内部部材に螺合している請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記アウターレンズの光軸方向長さは、前記ハウジングの光軸方向長さより長い請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
第1閉塞端部と、その反対側の第1開口端部と、を含むアウターレンズと、
第2閉塞端部と、その反対側の第2開口端部と、前記第2閉塞端部と前記第2開口端部との間の内部部材収容部と、を含むハウジングと、
前記内部部材収容部に収容された状態で前記第2開口端部の内側面との間にシール溝を形成する内部部材と、
前記シール溝に塗布された接着剤と、を備え、
前記アウターレンズの開口端面には、前記接着剤が塗布された前記シール溝に挿入された突出部が設けられ、
前記内部部材は、第1部材と第2部材を備え、
前記第1部材には、少なくとも一つの凸部が設けられ、
前記第2部材には、少なくとも一つの貫通穴が形成され、
前記凸部は、前記貫通穴に挿入され、当該貫通穴から露出して前記シール溝の一部を構成する車両用灯具。
【請求項10】
前記アウターレンズの前記開口端面の内周部には、前記突出部が設けられ、
前記アウターレンズの前記開口端面の外周部には、第3段差部が設けられ、
前記接着剤が塗布された前記シール溝に前記突出部が挿入された状態で、前記ハウジン
グの開口端面と前記アウターレンズの前記第3段差部が対向している請求項9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記内部部材は、前記シール溝が形成された状態で前記ハウジングに溶着されている請求項9又は10に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記ハウジングの前記第2開口端部の内側面は、第4段差部を含み、
前記第4段差部と前記内部部材の一部は、前記シール溝が形成された状態で互いに溶着されている請求項11に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記ハウジングの開口端面に設けられた位置決めリブが前記アウターレンズの前記第3段差部に当接することで、前記突出部と前記シール溝との間に前記接着剤が充填されたスペースが形成されている請求項10に記載の車両用灯具。
【請求項14】
前記アウターレンズの前記第1開口端部の外側面と前記ハウジングの前記第2開口端部の外側面は、面一である請求項1から13のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項15】
前記内部部材は、エクステンション、インナーレンズ、導光棒、及び、リフレクタのうち少なくとも1つである請求項1から14のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項16】
前記第1部材は、エクステンションであり、
前記第2部材は、インナーレンズである請求項1又は9に記載の車両用灯具。
【請求項17】
前記接着剤が塗布された前記シール溝に挿入された前記突出部に設けられた位置決めリブが前記シール溝に当接することで、前記突出部と前記シール溝との間に前記接着剤が充填されたスペースが形成されている請求項1から16のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に、アウターレンズとハウジングの間に段差部が形成されるのを抑制することができる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングに設けられたシール溝にアウターレンズの開口端部を挿入することで形成される灯室内にエクステンションやインナーレンズを収容した車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】仏国特許出願公開第2544839号明細書
【文献】国際公開第2014/157354号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の車両用灯具においては、ハウジングに設けられたシール溝にアウターレンズの開口端部を挿入することで灯室を形成すると、アウターレンズとハウジングの間に段差部が形成されるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アウターレンズとハウジングの間に段差部が形成されるのを抑制することができる(つまり、アウターレンズとハウジングの繋がり部分を平坦にすることができる)車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一つの側面は、第1閉塞端部と、その反対側の第1開口端部と、前記第1閉塞端部と前記第1開口端部との間の内部部材収容部と、を含むアウターレンズと、第2閉塞端部と、その反対側の第2開口端部と、を含むハウジングと、前記内部部材収容部に収容された状態で前記第1開口端部の内側面との間にシール溝を形成する内部部材と、前記シール溝に塗布された接着剤と、を備え、前記ハウジングの開口端面には、前記接着剤が塗布された前記シール溝に挿入された突出部が設けられている車両用灯具であることを特徴とする。
【0007】
この側面によれば、アウターレンズとハウジングの間に段差部が形成されるのを抑制することができる車両用灯具を提供することができる。つまり、アウターレンズとハウジングの繋がり部分を平坦にすることができる。
【0008】
また、上記発明において好ましい態様は、前記ハウジングの前記開口端面の内周部には、前記突出部が設けられ、前記ハウジングの前記開口端面の外周部には、第1段差部が設けられ、前記接着剤が塗布された前記シール溝に前記突出部が挿入された状態で、前記アウターレンズの開口端面と前記ハウジングの前記第1段差部が対向していることを特徴とする。
【0009】
また、上記発明において好ましい態様は、前記内部部材は、前記シール溝が形成された状態で前記アウターレンズに溶着されていることを特徴とする。
【0010】
また、上記発明において好ましい態様は、前記アウターレンズの前記第1開口端部の内側面には、第2段差部が設けられ、前記内部部材の一部は、前記シール溝が形成された状態で前記第2段差部に溶着されていることを特徴とする。
【0011】
また、上記発明において好ましい態様は、前記アウターレンズの開口端面に設けられた位置決めリブが前記ハウジングの前記第1段差部に当接することで、前記突出部と前記シール溝との間に前記接着剤が充填されたスペースが形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、上記発明において好ましい態様は、前記接着剤が塗布された前記シール溝に前記突出部が挿入された状態で前記内部部材と前記ハウジングとをネジ止めするネジをさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、上記発明において好ましい態様は、前記ネジは、前記ハウジングの前記第2閉塞端部に形成された貫通穴に挿入され、さらに前記内部部材に螺合していることを特徴とする。
【0014】
また、上記発明において好ましい態様は、前記アウターレンズの光軸方向長さは、前記ハウジングの光軸方向長さより長いことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の別の一つの側面は、第1閉塞端部と、その反対側の第1開口端部と、を含むアウターレンズと、第2閉塞端部と、その反対側の第2開口端部と、前記第2閉塞端部と前記第2開口端部との間の内部部材収容部と、を含むハウジングと、前記内部部材収容部に収容された状態で前記第2開口端部の内側面との間にシール溝を形成する内部部材と、前記シール溝に塗布された接着剤と、を備え、前記アウターレンズの開口端面には、前記接着剤が塗布された前記シール溝に挿入された突出部が設けられている車両用灯具であることを特徴とする。
【0016】
この側面によれば、アウターレンズとハウジングの間に段差部が形成されるのを抑制することができる車両用灯具を提供することができる。つまり、アウターレンズとハウジングの繋がり部分を平坦にすることができる。
【0017】
また、上記発明において好ましい態様は、前記アウターレンズの前記開口端面の内周部には、前記突出部が設けられ、前記アウターレンズの前記開口端面の外周部には、第3段差部が設けられ、前記接着剤が塗布された前記シール溝に前記突出部が挿入された状態で、前記ハウジングの開口端面と前記アウターレンズの前記第3段差部が対向していることを特徴とする。
【0018】
また、上記発明において好ましい態様は、前記内部部材は、前記シール溝が形成された状態で前記ハウジングに溶着されていることを特徴とする。
【0019】
また、上記発明において好ましい態様は、前記ハウジングの前記第2開口端部の内側面は、第4段差部を含み、前記第4段差部と前記内部部材の一部は、前記シール溝が形成された状態で互いに溶着されていることを特徴とする。
【0020】
また、上記発明において好ましい態様は、前記ハウジングの開口端面に設けられた位置決めリブが前記アウターレンズの前記第3段差部に当接することで、前記突出部と前記シール溝との間に前記接着剤が充填されたスペースが形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、上記発明において好ましい態様は、前記アウターレンズの前記第1開口端部の外側面と前記ハウジングの前記第2開口端部の外側面は、面一であることを特徴とする。
【0022】
また、上記発明において好ましい態様は、前記内部部材は、エクステンション、インナーレンズ、導光棒、及び、リフレクタのうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0023】
また、上記発明において好ましい態様は、前記内部部材は、第1部材と第2部材を備えることを特徴とする。
【0024】
また、上記発明において好ましい態様は、前記第1部材には、少なくとも一つの凸部が設けられ、前記第2部材には、少なくとも一つの貫通穴が形成され、前記凸部は、前記貫通穴に挿入され、当該貫通穴から露出して前記シール溝の一部を構成することを特徴とする。
【0025】
また、上記発明において好ましい態様は、前記第1部材は、エクステンションであり、前記第2部材は、インナーレンズであることを特徴とする。
【0026】
また、上記発明において好ましい態様は、前記接着剤が塗布された前記シール溝に挿入された前記突出部に設けられた位置決めリブが前記シール溝に当接することで、前記突出部と前記シール溝との間に前記接着剤が充填されたスペースが形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】車両用灯具10の正面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】アウターレンズ20の背面側から見た斜視図である。
図4図3のB-B断面図である。
図5】内部部材70の斜視図である。
図6】内部部材70の分解斜視図である。
図7】(a)図6に示すエクステンション40のC-C断面図、(b)図6に示すインナーレンズ50のD-D断面図である。
図8図5のE-E断面図である。
図9図5中の一つの凸部43周辺の拡大斜視図である。
図10】インナーレンズ50の正面図である。
図11】内部部材70が収容されたアウターレンズ20の断面図である。
図12】ハウジング30の斜視図である。
図13図12のF-F断面図である。
図14図2中の上側の突出部34近傍の部分拡大図である。
図15】車両用灯具10の製造方法の一例を表す工程図である。
図16】車両用灯具10の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態である車両用灯具について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0029】
図1は車両用灯具10の正面図、図2図1のA-A断面図である。
【0030】
図1図2に示す車両用灯具10は、例えば、ポジションランプ及びターンランプとして機能する車両用灯具であり、自動車等の車両(図示せず)の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。以下、説明の便宜のため、XYZ軸を定義する。X軸は車両前後方向に延びており、Y軸は車幅方向に延びており、Z軸は鉛直方向に延びている。
【0031】
まず、車両用灯具10を構成する主要光学部材の概要について説明する。
【0032】
図2に示すように、本実施形態の車両用灯具10は、アウターレンズ20、ハウジング30を備える。アウターレンズ20とハウジング30は、後述のように組み合わされて灯室S1を構成する。灯室S1内には、エクステンション40が取り付けられたインナーレンズ50、上導光棒60A、下導光棒60B、リフレクタ61、第1光源62A及び第2光源62B、第3光源63A及び第4光源63Bが配置されている。
【0033】
第1光源62A及び第2光源62Bは、例えば、白色の光を発光するLED等の半導体発光素子である。第3光源63A及び第4光源63Bは、例えば、アンバー色の光を発光するLED等の半導体発光素子である。
【0034】
第1光源62Aは、上導光棒60Aの一端面に対向した状態で配置される。第3光源63Aも同様である。
【0035】
上導光棒60Aは、Y軸方向(図2中紙面に直交する方向)に延びた長尺棒状の導光棒である。上導光棒60Aの外周面(側面)は、正面側(車両前方側)に配置される出射面60A1とその反対側の背面側(車両後方側)に配置される反射面60A2とを含む。上導光棒60Aの長手方向に直交する平面による断面は、概ね丸棒形状である。反射面60A2は、上導光棒60A内を導光される第1光源62Aからの光(又は第3光源63Aからの光)を拡散させて出射面60A1から出射させるための複数の構造物を含む。構造物は、例えば、V溝等のレンズカットである。
【0036】
第2光源62Bは、下導光棒60Bの一端面に対向した状態で配置される。第4光源63Bも同様である。
【0037】
下導光棒60Bは、Y軸方向(図2中紙面に直交する方向)に延びた長尺棒状の導光棒である。下導光棒60Bの外周面(側面)は、正面側(車両前方側)に配置される出射面60B1とその反対側の背面側(車両後方側)に配置される反射面60B2とを含む。下導光棒60Bの長手方向に直交する平面による断面は、概ね丸棒形状である。反射面60B2は、下導光棒60B内を導光される第2光源62Bからの光(又は第4光源63Bからの光)を拡散させて出射面60B1から出射させるための複数の構造物を含む。構造物は、例えば、V溝等のレンズカットである。
【0038】
インナーレンズ50は、上導光棒60Aの前方に配置された上レンズ部50A、下導光棒60Bの前方に配置された下レンズ部50Bを含む。
【0039】
上レンズ部50Aは、X軸方向に圧肉で出射面50A2(先端面)に向かうに従ってZ軸方向の厚みが薄くなる楔形のレンズ部である。上レンズ部50Aは、上導光棒60Aの出射面60A1が対向する入光面50A1及びその反対側の出射面50A2を含む。
【0040】
同様に、下レンズ部50Bは、X軸方向に圧肉で出射面50B2(先端面)に向かうに従ってZ軸方向の厚みが薄くなる楔形のレンズ部である。下レンズ部50Bは、下導光棒60Bの出射面60B1が対向する入光面50B1及びその反対側の出射面50B2を含む。
【0041】
リフレクタ61は、上導光棒60A及び下導光棒60Bの後方に配置されている。リフレクタ61は、例えば、白樹脂製で、上導光棒60Aの反射面60A2及び下導光棒60Bの反射面60B2が対向した状態で配置されている。
【0042】
ポジションランプは、第1光源62A及び第2光源62Bを点灯することで実現される。
【0043】
第1光源62Aからの光は、上導光棒60Aの一端面から上導光棒60Aに入光し、上導光棒60A内を他端面に向けて導光され、反射面60A2(レンズカット)で拡散反射され、出射面60A1から出射する。その際、反射面60A2から漏れ出す光はリフレクタ61で反射されて上導光棒60A内に戻される。
【0044】
そして、上導光棒60Aの出射面60A1から出射した光は、上レンズ部50Aの入光面50A1から上レンズ部50Aに入光し、上レンズ部50A内を出射面50A2に向けて導光され、上レンズ部50Aの出射面50A2から出射する。その際、一部の光が上レンズ部50Aの上面50A3から出光することで、当該上面50A3が発光する。
【0045】
一方、第2光源62Bからの光は、下導光棒60Bの一端面から下導光棒60Bに入光し、下導光棒60B内を他端面に向けて導光され、反射面60B2(レンズカット)で拡散反射され、出射面60B1から出射する。その際、反射面60B2から漏れ出す光はリフレクタ61で反射されて下導光棒60B内に戻される。
【0046】
そして、下導光棒60Bの出射面60B1から出射した光は、下レンズ部50Bの入光面50B1から下レンズ部50Bに入光し、下レンズ部50B内を出射面50B2に向けて導光され、下レンズ部50Bの出射面50B2から出射する。
【0047】
以上のように、上レンズ部50Aの出射面50A2から出射する第1光源62Aからの光及び下レンズ部50Bの出射面50B2から出射する第2光源62Bからの光により、ポジションランプが実現される。
【0048】
一方、ターンランプは、第3光源63A及び第4光源63Bを点灯することで実現される。
【0049】
第3光源63Aからの光は、上導光棒60Aの一端面から上導光棒60Aに入光し、第1光源62Aからの光と同様の光路を辿って上レンズ部50Aの出射面50A2から出射する。
【0050】
また、第4光源63Bからの光は、下導光棒60Bの一端面から下導光棒60Bに入光し、第2光源62Bからの光と同様の光路を辿って下レンズ部50Bの出射面50B2から出射する。
【0051】
以上のように、上レンズ部50Aの出射面50A2から出射する第3光源63Aからの光及び下レンズ部50Bの出射面50B2から出射する第4光源63Bからの光により、ターンランプが実現される。
【0052】
次に、車両用灯具10を構成する主要光学部材の詳細について説明する。
【0053】
まず、アウターレンズ20について説明する。
【0054】
図3はアウターレンズ20の背面側から見た斜視図、図4図3のB-B断面図である。
【0055】
図3図4に示すように、アウターレンズ20は、正面側(車両前方側)に配置される第1閉塞端部21と、その反対側の背面側(車両後方側)に配置される第1開口端部22と、第1閉塞端部21と第1開口端部22との間の内部部材収容部23と、を含む。アウターレンズ20の材料は、例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂である。
【0056】
第1開口端部22は、上面部22a、下面部22b、左側面部22c、及び、右側面部22dを含む。
【0057】
上面部22aの内側面24には、アウターレンズ20(内部部材収容部23)に収容された内部部材70(図11参照)を溶着するため、段差部25aが設けられる(図4参照)。同様に、下面部22bの内側面24には、アウターレンズ20(内部部材収容部23)に収容された内部部材70を溶着するため、段差部25bが設けられる(図3図4参照)。段差部25a、25bは、例えば、YZ面に平行な面である。
【0058】
アウターレンズ20の開口端面26には、ハウジング30の開口端面33の外周部に設けられた段差部36(図14参照)に当接する位置決めリブ26aが設けられる(図3図4参照)。位置決めリブ26aは、アウターレンズ20の開口端面26の周方向に複数設けられる。
【0059】
次に、エクステンション40が取り付けられたインナーレンズ50について説明する。以下、エクステンション40が取り付けられたインナーレンズ50のことを内部部材70という場合がある。
【0060】
図5は内部部材70の斜視図、図6は内部部材70の分解斜視図である。
【0061】
図5図6に示すように、内部部材70は、エクステンション40と、インナーレンズ50と、を備える。エクステンション40が本発明の第1部材の一例である。インナーレンズ50が本発明の第2部材の一例である。
【0062】
内部部材70は、アウターレンズ20(内部部材収容部23)に収容された状態(図11参照)でアウターレンズ20の第1開口端部22の内側面24との間にシール溝M(U字シール溝)を形成する。
【0063】
まず、エクステンション40について説明する。
【0064】
図7(a)は、図6に示すエクステンション40のC-C断面図である。
【0065】
図6図7(a)に示すように、エクステンション40は、矩形フレーム部41を含む。矩形フレーム部41は、Y軸方向に延びる上下アーム部41a、41b、Z軸方向に延びる左右アーム部41c、41dによって構成される。エクステンション40の材料は、例えば、アクリルやポリカーボネイト等の不透明樹脂である。
【0066】
上アーム部41aの正面側には、インナーレンズ50の上レンズ部50Aの上面を覆う上装飾部42が設けられる。上アーム部41aの背面側には、インナーレンズ50の貫通穴53に挿入される凸部43が設けられる。凸部43は、例えば、Y軸方向に複数設けられる。
【0067】
下アーム部41bの正面側には、インナーレンズ50の下レンズ部50Bの上面を覆う下装飾部44が設けられる。下アーム部41bの背面側には、インナーレンズ50の係合部(例えば、貫通穴。図示せず)に係合するフック部45が設けられる。フック部45は、例えば、Y軸方向に複数設けられる。
【0068】
上記構成のエクステンション40は、矩形フレーム部41で囲まれた空間S2(図6図7(a)参照)にインナーレンズ50の上レンズ部50Aが挿入され、凸部43がインナーレンズ50の貫通穴53に挿入され、かつ、フック部45がインナーレンズ50の係合部(図示せず)に係合した状態でインナーレンズ50に取り付けられる(例えば、図8参照)。
【0069】
次に、インナーレンズ50について説明する。
【0070】
図7(b)は、図6に示すインナーレンズ50のD-D断面図である。
【0071】
図6図7(b)に示すように、インナーレンズ50は、矩形フレーム部51を含む。矩形フレーム部51は、Y軸方向に延びる上下アーム部51a、51b、Z軸方向に延びる左右アーム部51c、51dによって構成される。インナーレンズ50の材料は、例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂である。
【0072】
矩形フレーム部51の背面側の内周部には、突出部52が設けられる。突出部52は、矩形フレーム部51の背面側の内周部の全周に設けられる。
【0073】
上アーム部51aには、貫通穴53が形成されている。貫通穴53は、エクステンション40の複数の凸部43に対応して複数形成されている。貫通穴53は、上アーム部51aの正面側(内周部)と背面側(内周部)とを貫通している。
【0074】
エクステンション40の凸部43は、上アーム部51aの正面側から貫通穴53に挿入され、上アーム部51aの背面側から露出する(図8図9参照)。図8図5のE-E断面図、図9図5中の一つの凸部43周辺の拡大斜視図である。
【0075】
矩形フレーム部51、突出部52、及び、上アーム部51aの貫通穴53から露出した凸部43がシール溝Mの一部(断面L字状部A)を構成する(図8参照)。
【0076】
図10は、インナーレンズ50の正面図である。
【0077】
図10に示すように、上アーム部51aの正面側の外周部には、アウターレンズ20の段差部25a(図11参照)に当接する溶着リブ54aが設けられる。溶着リブ54aは、例えば、Y軸方向に複数設けられる。同様に、下アーム部51bの正面側の外周部には、アウターレンズ20の段差部25b(図11参照)に当接する溶着リブ54bが設けられる。溶着リブ54bは、例えば、Y軸方向に複数設けられる。
【0078】
図11に示すように、内部部材70は、アウターレンズ20(内部部材収容部23)に収容され、アウターレンズ20の第1開口端部22の内側面24と断面L字状部Aとの間にシール溝Mが形成された状態でアウターレンズ20に溶着される。具体的には、段差部25a、25bに当接した溶着リブ54a、54bに向けてインナーレンズ50側から超音波又はレーザー光を照射することで溶着される。
【0079】
図10に示すように、矩形フレーム部51の外周面には、アウターレンズ20の内側面24に当接する位置決めリブ55が設けられる。位置決めリブ55は、矩形フレーム部51の外周面の周方向に複数設けられる。なお、説明を分かりやすくするため、図10中、位置決めリブ55は、実際のサイズより大きく描いてある。
【0080】
図6図7(b)に示すように、矩形フレーム部51の正面側には、上レンズ部50A、下レンズ部50Bが設けられる。上レンズ部50Aと下レンズ部50Bとを連結する連結部56には、ハウジング30の第2閉塞端部31に形成された貫通穴31aに挿入されたネジN(図2参照)が螺合するネジ穴56aが形成されている。
【0081】
次に、ハウジング30について説明する。
【0082】
図12はハウジング30の斜視図、図13図12のF-F断面図である。
【0083】
図12図13に示すように、ハウジング30は、背面側(車両後方側)に配置される第2閉塞端部31と、その反対側の正面側(車両前方側)に配置される第2開口端部32と、を含む。ハウジング30の材料は、例えば、ABS樹脂やポリカーボネイト等の不透明樹脂である。
【0084】
ハウジング30の開口端面33の内周部には、接着剤65が塗布(又は充填)されたシール溝M(図14参照)に挿入される突出部34が設けられる。図14は、図2中の上側の突出部34近傍の部分拡大図である。突出部34は、ハウジング30の開口端面33の内周部の全周に設けられる。
【0085】
突出部34の外側面34aには、第1位置決めリブ35aが設けられる。第1位置決めリブ35aは、突出部34の外側面34aの周方向に複数設けられる。また、突出部34の内側面34bには、第2位置決めリブ35bが設けられる。第2位置決めリブ35bは、突出部34の内側面34bの周方向に複数設けられる。
【0086】
また、ハウジング30の開口端面33の外周部には、段差部36が設けられる。段差部36は、ハウジング30の開口端面33の外周部の全周に設けられる。
【0087】
次に、車両用灯具10の製造方法の一例について説明する。
【0088】
図15は、車両用灯具10の製造方法の一例を表す工程図である。
【0089】
図15に示すように、車両用灯具10は、例えば、工程S10~S20を経て製造される。
【0090】
(1)内部部材組立工程(S10)。
【0091】
この工程では、インナーレンズ50にエクステンション40を取り付ける。
【0092】
具体的には、エクステンション40の矩形フレーム部41で囲まれた空間S2(図6図7(a)参照)にインナーレンズ50の上レンズ部50Aを挿入し、エクステンション40の凸部43をインナーレンズ50の貫通穴53に挿入し(図5図8参照)、かつ、エクステンション40のフック部45をインナーレンズ50の係合部(図示せず)に係合させる。
【0093】
(2)溝形成工程(溶着工程)(S12)。
【0094】
この工程では、図11に示すように、アウターレンズ20(内部部材収容部23)に内部部材70を挿入(収容)することで、アウターレンズ20の第1開口端部22(内側面24)と内部部材70(断面L字状部A)との間にシール溝Mを形成する。シール溝Mは、3つの部材、すなわち、アウターレンズ20(第1開口端部22の内側面24)、インナーレンズ50(矩形フレーム部51、突出部52)、及び、エクステンション40(インナーレンズ50の貫通穴53から露出した凸部43)によって形成される。
【0095】
その際、内部部材70(インナーレンズ50)に設けられた溶着リブ54a、54bがアウターレンズ20の段差部25a、25bに当接する。また、矩形フレーム部51の外周面に設けられた位置決めリブ55がアウターレンズ20の内側面24に当接する。これにより、内部部材70は、アウターレンズ20に対してXYZ方向に関し位置決めされる。
【0096】
次に、上記のようにシール溝Mが形成された状態で収容された内部部材70とアウターレンズ20を溶着する。具体的には、段差部25a、25bに当接した溶着リブ54a、54bに向けてインナーレンズ50側から超音波又はレーザー光を照射することで溶着する。これにより、アウターレンズ20と内部部材70が一体化されるため、その後の組立工程が簡素化される。
【0097】
(3)光学部品取付工程(S14)。
【0098】
この工程では、図2に示すように、光学部品(上導光棒60A、下導光棒60B、リフレクタ61等)を嵌合等の公知の手段を用いてインナーレンズ50に取り付ける。
【0099】
(4)接着剤塗布工程(S16)。
【0100】
この工程では、シール溝Mに接着剤65を塗布する。接着剤65としては、例えば、熱硬化性の接着剤が用いられる。
【0101】
(5)接着工程(S18)。
【0102】
この工程では、接着剤65が塗布されたシール溝Mにハウジング30の突出部34を挿入する。その際、図14に示すように、アウターレンズ20の開口端面26に設けられた位置決めリブ26aがハウジング30の段差部36に当接することで、ハウジング30の突出部34の先端部とシール溝Mの底部(インナーレンズ50の矩形フレーム部51)との間に接着剤65が充填されたスペースS3(図14参照)が形成される。
【0103】
また、接着剤65が塗布されたシール溝Mに挿入されたハウジング30の突出部34(外側面34a)に設けられた第1位置決めリブ35aがシール溝M(アウターレンズ20の第1開口端部22の内側面24)に当接することで、ハウジング30の突出部34(外側面34a)とシール溝M(アウターレンズ20の第1開口端部22の内側面24)との間に接着剤65が充填されたスペースS4(図14参照)が形成される。
【0104】
同様に、接着剤65が塗布されたシール溝Mに挿入されたハウジング30の突出部34(内側面34b)に設けられた第2位置決めリブ35bがシール溝M(インナーレンズ50の突出部52)に当接することで、ハウジング30の突出部34(内側面34b)とシール溝M(インナーレンズ50の突出部52)との間に接着剤65が充填されたスペースS5(図14参照)が形成される。
【0105】
上記のように多部材でシール溝Mを形成し、さらに、接着剤65が充填されたスペースS3~S5を形成することで、4つの部材、すなわち、アウターレンズ20、内部部材70(エクステンション40、インナーレンズ50)及びハウジング30を一気に接着することができる。
【0106】
具体的には、シール溝Mに挿入されたハウジング30の突出部34と当該シール溝Mを構成する3つの部材、すなわち、アウターレンズ20(第1開口端部22の内側面24)、インナーレンズ50(矩形フレーム部51、突出部52)、及び、エクステンション40(インナーレンズ50の貫通穴53から露出した凸部43)とが接着される。
【0107】
その際、アウターレンズ20の開口端面26とハウジング30の段差部36とが対向し、アウターレンズ20の第1開口端部22の外側面27とハウジング30の第2開口端部32の外側面37が面一(又は略面一)となる(図14参照)。
【0108】
(6)ネジ止め工程(S20)。
【0109】
この工程では、接着剤65が塗布されたシール溝Mにハウジング30の突出部34が挿入された状態(図14参照)で内部部材70とハウジング30とをネジ止めする。具体的には、図2に示すように、ハウジング30の第2閉塞端部31に形成された貫通穴31aに挿入されたネジNを、インナーレンズ50(ネジ穴56a)に螺合させる。これにより、上記スペースS3~S5に充填された接着剤65が硬化するまでの間(例えば、常温環境下で数時間)、内部部材70とハウジング30が仮固定される。なお、接着剤が硬化した後、ネジNは取り外してもよいし、そのまま残しておいてもよい。
【0110】
以上のようにして車両用灯具10が製造される。なお、上記各工程は、作業者が手作業(治具を用いる場合も含む)で行ってもよいし、作業ロボット等により自動的に行ってもよい。
【0111】
以上説明したように、本実施形態によれば、アウターレンズ20とハウジング30の間に段差部が形成されるのを抑制することができる。つまり、アウターレンズ20とハウジング30の繋がり部分を平坦にすることができる(図14参照)。これにより、車体カバー(図示せず)によってアウターレンズ20を覆う領域を減らせるため、アウターレンズ20や車両カバーの意匠の自由度が向上する。
【0112】
これは、第1に、アウターレンズ20の第1開口端部22(内側面24)とアウターレンズ20(内部部材収容部23)に収容された内部部材70(断面L字状部A)との間にシール溝Mを形成したこと(図11参照)、第2に、ハウジング30の開口端面33の内周部に、接着剤65が塗布されたシール溝Mに挿入される突出部34を設け、ハウジング30の開口端面33の外周部に段差部36を設けたこと(図14参照)、第3に、その結果、接着剤65が塗布されたシール溝Mにハウジング30の突出部34を挿入した場合、アウターレンズ20の開口端面26とハウジング30の段差部36とが対向し、アウターレンズ20の第1開口端部22の外側面27とハウジング30の第2開口端部32の外側面37が面一(又は略面一)となる(図14参照)こと、によるものである。
【0113】
また、本実施形態によれば、図2に示すように、アウターレンズ20のX軸方向(光軸方向)長さL1を、ハウジング30のX軸方向(光軸方向)長さL2より長くすることができる。
【0114】
また、本実施形態によれば、アウターレンズ20にシール溝Mを形成することで、図16(b)に示すように、アウターレンズ20の厚みT4をハウジング30の厚みT5の約半分にすることができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、アウターレンズ20にシール溝Mを形成することで、後述のようにハウジング30にシール溝Mを形成する場合と比べ、アウターレンズ20のX軸方向の長さを長くすることができる。これは、後述のようにハウジング30にシール溝Mを形成する場合、図16(a)に示すように、符号L3で示す範囲がハウジング30として構成されるのに対して、アウターレンズ20にシール溝Mを形成することで、図16(b)に示すように、符号L3で示す範囲がアウターレンズ20として構成されることによるものである。
【0116】
また、本実施形態によれば、図14に示すように、アウターレンズ20とインナーレンズ50の間の隙間(図14中の符号B1で示す一点鎖線で囲った矩形範囲参照)、及び、エクステンション40とインナーレンズ50の間の隙間(図14中の符号B2、B3で示す一点鎖線で囲った矩形範囲参照)がそれぞれ断面L字状に構成されているため、各々の隙間が直線状に構成されている場合と比べ、熱硬化性の接着剤65(低粘度)が各々の隙間を通って漏れるのが抑制される。
【0117】
次に、変形例について説明する。
【0118】
上記実施形態では、本発明をポジションランプ及びターンランプとして機能する車両用灯具に適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、ポジションランプ及びターンランプ以外のリアコンビネーションランプ、ヘッドランプ、ハイマウントストップランプやその他の車両用灯具にも本発明を適用してもよい。
【0119】
図16(a)は、車両用灯具10の変形例である。
【0120】
上記実施形態では、内部部材収容部23をアウターレンズ20に設け、段差部25a、25bをアウターレンズ20の第1開口端部22の内側面24に設け、突出部34をハウジング30の開口端面33の内周部に設け、段差部36をハウジング30の開口端面33の外周部に設け、位置決めリブ26aをアウターレンズ20の開口端面26に設けた例について説明したが、これに限らない。
【0121】
例えば、図16(a)に示すように、内部部材収容部23をハウジング30に設け、段差部25a(段差部25bも同様)をハウジング30の第2開口端部32の内側面に設け、突出部34をアウターレンズ20の開口端面26の内周部に設け、段差部36をアウターレンズの開口端面26の外周部に設け、位置決めリブ26aをハウジング30の開口端面33に設けてもよい。
【0122】
この場合、溝形成工程(溶着工程)及び接着工程は、次のように実施される。なお、他の工程は、上記実施形態と同様に実施される。
【0123】
溝形成工程(溶着工程)では、ハウジング30(内部部材収容部23)に内部部材70を挿入(収容)することで、ハウジング30の第2開口端部32(内側面)と内部部材70(断面L字状部A)との間にシール溝Mを形成する。シール溝Mは、3つの部材、すなわち、ハウジング30(第2開口端部32の内側面)、インナーレンズ50(矩形フレーム部51、突出部52)、及び、エクステンション40(インナーレンズ50の貫通穴53から露出した凸部43)によって形成される。
【0124】
その際、内部部材70(インナーレンズ50)に設けられた溶着リブ54a、54bがハウジング30の段差部25a、25bに当接する。また、矩形フレーム部51の外周面に設けられた位置決めリブ55がハウジング30の内側面に当接する(図示せず)。
【0125】
次に、上記のようにシール溝Mが形成された状態で収容された内部部材70とハウジング30を溶着する。具体的には、段差部25a、25bに当接した溶着リブ54a、54bに向けてインナーレンズ50側から超音波又はレーザー光を照射することで溶着する。
【0126】
接着工程では、接着剤65が塗布されたシール溝Mにアウターレンズ20の突出部34を挿入する。その際、上記実施形態と同様、接着剤65が充填されたスペースS3~S5(図14参照)が形成される。
【0127】
上記のように多部材でシール溝Mを形成し、さらに、接着剤65が充填されたスペースS3~S5を形成することで、4つの部材、すなわち、アウターレンズ20、内部部材70(エクステンション40、インナーレンズ50)及びハウジング30を一気に接着することができる。
【0128】
具体的には、シール溝Mに挿入されたアウターレンズ20の突出部34と当該シール溝Mを構成する3つの部材、すなわち、ハウジング30(第2開口端部32の内側面)、インナーレンズ50(矩形フレーム部51、突出部52)、及び、エクステンション40(インナーレンズ50の貫通穴53から露出した凸部43)とが接着される。
【0129】
その際、ハウジング30の開口端面33とアウターレンズ20の段差部36とが対向し、アウターレンズ20の第1開口端部22の外側面27とハウジング30の第2開口端部32の外側面37が面一(又は略面一)となる(図16(a)参照)。
【0130】
本変形例によっても、アウターレンズ20とハウジング30の間に段差部が形成されるのを抑制することができる。つまり、アウターレンズ20とハウジング30の繋がり部分を平坦にすることができる。これにより、車体カバー(図示せず)によってアウターレンズ20を覆う領域を減らせるため、アウターレンズ20や車両カバーの意匠の自由度が向上する。
【0131】
なお、本変形例のようにハウジング30にシール溝Mを形成する場合、図16(a)に示すように、ハウジング30の厚みT1+シール溝Mの厚みT2+突出部34の厚みT3がアウターレンズ20の厚みとなるため、アウターレンズ20の厚み(特に、アウターレンズ20の第1開口端部22の厚み)が極端に厚くなる。
【0132】
これに対して、上記実施形態のようにアウターレンズ20にシール溝Mを形成することで、図16(b)に示すように、アウターレンズ20の厚みT4をハウジング30の厚みT5の約半分にすることができる。つまり、上記実施形態のようにアウターレンズ20にシール溝Mを形成することで、アウターレンズ20の厚み(特に、アウターレンズ20の第1開口端部22の厚み)が極端に厚くなるのを抑制することができる。
【0133】
また、本変形例のようにハウジング30にシール溝Mを形成する場合、アウターレンズ20のX軸方向の長さが短くなる。これは、本変形例のようにハウジング30にシール溝Mを形成する場合、図16(a)中の符号L3で示す範囲がハウジング30として構成されることによるものである。
【0134】
これに対して、上記実施形態のようにアウターレンズ20にシール溝Mを形成することで、アウターレンズ20のX軸方向の長さを長くすることができる。これは、上記実施形態のようにアウターレンズ20にシール溝Mを形成することで、図16(b)に示すように、符号L3で示す範囲がアウターレンズ20として構成されることによるものである。
【0135】
また、上記実施形態では、内部部材70として、エクステンション40が取り付けられたインナーレンズ50を用い、当該内部部材70をアウターレンズ20(内部部材収容部23)に収容しかつ溶着することで、シール溝Mを形成した例について説明したが、これに限らない。例えば、内部部材70として、エクステンション40、インナーレンズ50、上導光棒60A、下導光棒60B、及び、リフレクタ61のうち少なくとも1つ(又は2つ以上の組み合わせ)を用い、当該内部部材70をアウターレンズ20(内部部材収容部23)に収容しかつ溶着することで、シール溝Mを形成してもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、接着剤65として熱硬化性の接着剤を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、接着剤65として熱硬化性の接着剤以外の接着剤、例えば、ホットメルト接着剤のような熱可逆性の接着剤を用いてもよい。
【0137】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0138】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0139】
10…車両用灯具、20…アウターレンズ、21…第1閉塞端部、22…第1開口端部、22a…上面部、22b…下面部、22c…左側面部、22d…右側面部、23…内部部材収容部、24…内側面、25a…段差部、25b…段差部、26…開口端面、26a…位置決めリブ、27…外側面、30…ハウジング、31…第2閉塞端部、31a…貫通穴、32…第2開口端部、33…開口端面、34…突出部、34a…外側面、34b…内側面、35a…第1位置決めリブ、35b…第2位置決めリブ、36…段差部、37…外側面、40…エクステンション、41…矩形フレーム部、41a…上アーム部、41b…下アーム部、42…上装飾部、43…凸部、44…下装飾部、45…フック部、50…インナーレンズ、50A…上レンズ部、50A1…入光面、50A2…出射面、50A3…上面、50B…下レンズ部、50B1…入光面、50B2…出射面、51…矩形フレーム部、51a…上アーム部、51b…下アーム部、52…突出部、53…貫通穴、54a…溶着リブ、54b…溶着リブ、55…位置決めリブ、56…連結部、56a…ネジ穴、60A…上導光棒、60A1…出射面、60A2…反射面、60B…下導光棒、60B1…出射面、60B2…反射面、61…リフレクタ、62A…第1光源、62B…第2光源、63A…第3光源、63B…第4光源、65…接着剤、70…内部部材、A…断面L字状部、M…シール溝、N…ネジ、S1…灯室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16