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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/30 20160101AFI20231220BHJP
   B60K 6/543 20071001ALI20231220BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20231220BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20231220BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20231220BHJP
   F16H 59/18 20060101ALI20231220BHJP
   F16H 59/44 20060101ALI20231220BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20231220BHJP
   F16H 61/66 20060101ALI20231220BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20231220BHJP
【FI】
B60W20/30
B60K6/543 ZHV
B60W10/10 900
B60L15/20 K
B60L50/16
F16H59/18
F16H59/44
F16H61/02
F16H61/66
B60K6/48
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019193226
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021066326
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 諭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】町田 拓也
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-097773(JP,A)
【文献】特開2010-076680(JP,A)
【文献】特開2012-176713(JP,A)
【文献】特開2013-018375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0134173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
F16H 59/00 - 61/12
F16H 61/16 - 61/24
F16H 61/66 - 61/70
F16H 63/40 ー 63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに接続され、前記エンジンの駆動力を車輪に伝達する無段変速機と、
前記無段変速機と前記車輪との間に配される出力クラッチと、
前記出力クラッチと前記車輪との間に接続される駆動モータと、
前記出力クラッチを解放した状態で前記駆動モータの駆動力を前記車輪に伝達させる第1走行モードと、前記出力クラッチを締結した状態で前記エンジンおよび前記駆動モータの駆動力を前記車輪に伝達させる第2走行モードとに、走行モードを切替可能な走行モード制御部と、
前記無段変速機の変速比を制御する変速比制御部と、
前記エンジンと前記無段変速機との間に接続される補助モータと、
前記エンジンと前記補助モータとの間に配されるエンジン遮断クラッチと、
を備え、
前記走行モード制御部は、アクセル開度によって決定される要求駆動力および車速が第1変動閾値に前記補助モータの駆動力を加算した値に相当する第3変動閾値未満であるとき、前記走行モードを前記第1走行モードに切り替え、前記要求駆動力および前記車速が前記第変動閾値以上であるとき、前記走行モードを前記第2走行モードに切り替え、
前記変速比制御部は、前記車速が所定車速未満であって、前記要求駆動力および前記車速が前記第3変動閾値未満、かつ、前記第1変動閾値以上であるとき、前記出力クラッチを締結し前記エンジン遮断クラッチを解放した状態で、前記駆動モータおよび前記補助モータの駆動力を前記車輪に伝達させ、前記要求駆動力および前記車速が前記第変動閾値未満、かつ、前記第1変動閾値より小さい第2変動閾値以上であるとき、前記変速比を前記アクセル開度および前記車速に応じて変化する変速比に制御し、前記要求駆動力および前記車速が前記第2変動閾値未満であるとき、前記変速比の制御を停止する
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、HEV走行モードからEV走行モードへの切り替えに際し、無段変速機と車輪との間に介装されたクラッチを締結状態から解放状態に切り替え、無段変速機の変速比を最小変速比または最大変速比に変速させるハイブリッド車両について開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-97773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、EV走行モードからHEV走行モードへ切り替える際の最適な変速比は、走行状態に応じて異なる。EV走行モードからHEV走行モードへ切り替える際に、変速比が目標とすべき変速比となっていない場合、変速比を目標変速比まで変速させる必要があり、EV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間が長くなる。
【0005】
ここで、EV走行モード時に無段変速機の変速比を走行状態に応じて常時変速させておけば、EV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間を短縮できる。しかし、この場合、EV走行モード時に無段変速機の変速比を常時変速させるため、エネルギーロスが増大するという問題がある。このように、従来は、モード遷移時間の短縮とエネルギーロスの低減との両立が困難であった。
【0006】
本発明は、モード遷移時間の短縮とエネルギーロスの低減とを両立させることが可能な車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両は、エンジンと、エンジンに接続され、エンジンの駆動力を車輪に伝達する無段変速機と、無段変速機と車輪との間に配される出力クラッチと、出力クラッチと車輪との間に接続される駆動モータと、出力クラッチを解放した状態で駆動モータの駆動力を車輪に伝達させる第1走行モードと、出力クラッチを締結した状態でエンジンおよび駆動モータの駆動力を車輪に伝達させる第2走行モードとに、走行モードを切替可能な走行モード制御部と、無段変速機の変速比を制御する変速比制御部と、エンジンと無段変速機との間に接続される補助モータと、エンジンと補助モータとの間に配されるエンジン遮断クラッチと、を備え、走行モード制御部は、アクセル開度によって決定される要求駆動力および車速が第1変動閾値に補助モータの駆動力を加算した値に相当する第3変動閾値未満であるとき、走行モードを第1走行モードに切り替え、要求駆動力および車速が第変動閾値以上であるとき、走行モードを第2走行モードに切り替え、変速比制御部は、車速が所定車速未満であって、要求駆動力および車速が第3変動閾値未満、かつ、第1変動閾値以上であるとき、出力クラッチを締結しエンジン遮断クラッチを解放した状態で、駆動モータおよび補助モータの駆動力を車輪に伝達させ、要求駆動力および車速が第変動閾値未満、かつ、第1変動閾値より小さい第2変動閾値以上であるとき、変速比をアクセル開度および車速に応じて変化する変速比に制御し、要求駆動力および車速が第2変動閾値未満であるとき、変速比の制御を停止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モード遷移時間の短縮とエネルギーロスの低減とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、車両の構成を示す図である。
図2図2は、車両の各走行モードの駆動力線図である。
図3図3は、変速マップの一例を示す図である。
図4図4は、変形例の車両の構成を示す図である。
図5図5は、変形例の車両の各走行モードの駆動力線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、車両1の構成を示す図である。図1に示すように、車両1は、エンジン3と、ISG(インテグレーテド・スタータ・ジェネレータ)5と、動力伝達装置7と、車輪9と、駆動モータ11と、車両制御装置100とを含む。
【0013】
エンジン3は、例えばレシプロエンジンであり、燃焼室における燃焼圧力でピストンを往復動させてクランクシャフト3aを回転させる。クランクシャフト3aは、動力伝達装置7に接続される。
【0014】
ISG5は、エンジン3のクランクシャフト3aにプーリベルトを介して接続される回転軸5aを備える。ISG5は、スタータとしての機能およびジェネレータとしての機能を備え、エンジン3の始動(再始動)や、エンジン3の駆動力を利用した電力の生成を行う。
【0015】
動力伝達装置7は、トルクコンバータ13と、機械式オイルポンプ15と、電動式オイルポンプ17と、前後進切換装置19と、無段変速機21と、出力クラッチ23と、ギヤ機構25とを備える。動力伝達装置7は、エンジン3および駆動モータ11の駆動力を車輪9に伝達する。
【0016】
トルクコンバータ13は、フロントカバー27と、ポンプインペラ29と、タービンライナ31と、タービンシャフト33と、ポンプシャフト35と、ステータ37と、クラッチプレート39とを含む。トルクコンバータ13の内部には、オイルが封入される。
【0017】
フロントカバー27は、クランクシャフト3aに接続され、クランクシャフト3aと一体的に回転する。ポンプインペラ29は、フロントカバー27の内側に固定される。タービンライナ31は、フロントカバー27内において、ポンプインペラ29と対向して配される。
【0018】
ポンプインペラ29およびタービンライナ31には、多数のブレードが設けられる。タービンライナ31には、タービンシャフト33が接続され、タービンシャフト33と一体的に回転する。
【0019】
ポンプシャフト35は、中空の円筒形状に形成され、ポンプインペラ29に接続される。ポンプシャフト35は、ポンプインペラ29と一体的に回転する。ポンプシャフト35の内部には、タービンシャフト33が離隔した状態で挿通される。ステータ37は、ポンプインペラ29とタービンライナ31との間の内周面側に配される。
【0020】
クランクシャフト3aが回転すると、フロントカバー27およびポンプインペラ29は、クランクシャフト3aと一体的に回転する。ポンプインペラ29が回転すると、オイルは、ポンプインペラ29の外周側に送出され、フロントカバー27の内周面に沿ってタービンライナ31の外周側に移動する。
【0021】
タービンライナ31に流入したオイルは、タービンライナ31を回転させる。タービンライナ31が回転すると、タービンライナ31と一体的にタービンシャフト33が回転する。これにより、クランクシャフト3aからタービンシャフト33に駆動力が伝達される。
【0022】
ステータ37は、タービンライナ31からポンプインペラ29に向けてオイルを送出する。ステータ37は、オイルをポンプインペラ29に還流させ、ポンプインペラ29の回転を促進させる。これにより、トルクコンバータ13は、入力側(クランクシャフト3a側)から出力側(タービンシャフト33側)への伝達トルクを増幅できる。
【0023】
クラッチプレート39は、タービンシャフト33に固定される。クラッチプレート39は、フロントカバー27の内面に対向して配される。クラッチプレート39は、油圧によりフロントカバー27の内面に押し付けられると、クランクシャフト3aとタービンシャフト33とを直結させる。これにより、クランクシャフト3aからタービンシャフト33に伝達される駆動力の伝達効率を向上させることができる。
【0024】
クラッチプレート39は、油圧が制御されることで、フロントカバー27の内面に対する押圧力が制御される。押圧力が小さくなるにつれ、クラッチプレート39は、フロントカバー27の内面に対し滑りながら当接する。これにより、クラッチプレート39は、クランクシャフト3aからタービンシャフト33に伝達される駆動力を調整することができる。
【0025】
機械式オイルポンプ15は、ポンプシャフト35に接続される。機械式オイルポンプ15は、ポンプシャフト35を介して入力されるエンジン3の駆動力によって回転駆動され、油圧を発生させる。発生した油圧は、無段変速機21に供給される。
【0026】
電動式オイルポンプ17は、不図示のモータの駆動力によって回転駆動され、油圧を発生させる。発生した油圧は、無段変速機21に供給される。電動式オイルポンプ17は、主にエンジン3停止時、不図示のバッテリから不図示のモータに電力が供給されることにより油圧を発生させる。
【0027】
前後進切換装置19は、トルクコンバータ13のタービンシャフト33と無段変速機21のプライマリシャフト41との間に配置される。前後進切換装置19は、ダブルピニオン式の遊星歯車列19aと、入力クラッチ(前進クラッチ)19bと、後進ブレーキ19cとを備える。前後進切換装置19は、入力クラッチ19bと後進ブレーキ19cとが解放状態にあるとき、ニュートラル状態となり、タービンシャフト33とプライマリシャフト41との間を遮断する。また、前後進切換装置19は、入力クラッチ19bが締結状態にあり、後進ブレーキ19cが解放状態にあるとき、タービンシャフト33とプライマリシャフト41とを一体回転させ、タービンシャフト33からプライマリシャフト41に駆動力を伝達する。また、前後進切換装置19は、入力クラッチ19bが解放状態にあり、後進ブレーキ19cが締結状態にあるとき、タービンシャフト33に対しプライマリシャフト41を逆方向に回転させ、タービンシャフト33からプライマリシャフト41に駆動力を逆転させた状態で伝達する。
【0028】
無段変速機21は、プライマリシャフト41と、セカンダリシャフト43と、プライマリプーリ45と、セカンダリプーリ47と、ベルト49とを含む。プライマリシャフト41は、前後進切換装置19に接続され、セカンダリシャフト43は、出力クラッチ23に接続される。セカンダリシャフト43は、プライマリシャフト41に対し大凡平行に配置される。
【0029】
プライマリプーリ45は、プライマリシャフト41に接続され、プライマリシャフト41と一体的に回転する。セカンダリプーリ47は、セカンダリシャフト43に接続され、セカンダリシャフト43と一体的に回転する。
【0030】
ベルト49は、リンクプレートをピンで連結したチェーンベルトで構成される。ただし、ベルト49は、例えば、2つのリングで複数のコマ(エレメント)を挟持して構成される金属ベルトで構成されてもよい。ベルト49は、プライマリプーリ45とセカンダリプーリ47との間に掛け渡され、プライマリプーリ45とセカンダリプーリ47との間で駆動力を伝達する。
【0031】
プライマリプーリ45は、固定シーブ45aと、可動シーブ45bとを備える。固定シーブ45aは、可動シーブ45bとプライマリシャフト41の軸方向に対向して配される。固定シーブ45aおよび可動シーブ45bは、互いに対向する対向面45cを備える。対向面45cは、略円錐形状である。対向面45cによってベルト49が掛け渡される溝が形成される。可動シーブ45bは、機械式オイルポンプ15あるいは電動式オイルポンプ17から供給されるオイルの油圧により、プライマリシャフト41の軸方向の位置が可変に構成されている。
【0032】
セカンダリプーリ47は、固定シーブ47aと、可動シーブ47bとを備える。固定シーブ47aは、可動シーブ47bとセカンダリシャフト43の軸方向に対向して配される。固定シーブ47aおよび可動シーブ47bは、互いに対向する対向面47cを備える。対向面47cは、略円錐形状である。対向面47cによってベルト49が掛け渡される溝が形成される。可動シーブ47bは、機械式オイルポンプ15あるいは電動式オイルポンプ17から供給されるオイルの油圧により、セカンダリシャフト43の軸方向の位置が可変に構成されている。
【0033】
このように、プライマリプーリ45は、固定シーブ45aおよび可動シーブ45bの対向間隔が可変に構成され、セカンダリプーリ47は、固定シーブ47aおよび可動シーブ47bの対向間隔が可変に構成される。対向面45cおよび対向面47cの対向間隔は、径方向内側ほど狭く、径方向外側ほど広くなる。そのため、可動シーブ45bおよび可動シーブ47bが軸方向に移動すると、ベルト49の掛け渡される位置が径方向に変化する。
【0034】
プライマリプーリ45は、対向面45cの対向間隔が広くなるほど、ベルト49の掛け渡される位置が径方向内側に移動し、ベルト49の巻き付け径が小さくなる。プライマリプーリ45は、対向面45cの対向間隔が狭くなるほど、ベルト49の掛け渡される位置が径方向外側に移動し、ベルト49の巻き付け径が大きくなる。
【0035】
同様に、セカンダリプーリ47は、対向面47cの対向間隔が広くなるほど、ベルト49の掛け渡される位置が径方向内側に移動し、ベルト49の巻き付け径が小さくなる。セカンダリプーリ47は、対向面47cの対向間隔が狭くなるほど、ベルト49の掛け渡される位置が径方向外側に移動し、ベルト49の巻き付け径が大きくなる。
【0036】
こうして、無段変速機21は、プライマリシャフト41とセカンダリシャフト43との間の変速比を連続的(無段階)に変化させる。無段変速機21は、前後進切換装置19およびトルクコンバータ13を介してエンジン3から伝達される駆動力を車輪9側に伝達する。
【0037】
出力クラッチ23は、無段変速機21のセカンダリシャフト43とギヤ機構25のギヤシャフト51との間に配置される。出力クラッチ23は、解放状態にあるとき、セカンダリシャフト43とギヤシャフト51との間を遮断する。つまり、出力クラッチ23は、解放状態にあるとき、車輪9側の駆動力が無段変速機21(エンジン3)側に伝達されることを防止する。出力クラッチ23は、締結状態にあるとき、セカンダリシャフト43とギヤシャフト51とを一体回転させ、セカンダリシャフト43からギヤシャフト51に駆動力を伝達する。つまり、出力クラッチ23は、締結状態にあるとき、無段変速機21(エンジン3)側の駆動力を車輪9側に伝達させる。
【0038】
ギヤ機構25は、ギヤシャフト51と、ドライブピニオンシャフト53と、第1減速ギヤ列25aと、第2減速ギヤ列25bとを備える。
【0039】
ギヤシャフト51は、出力クラッチ23に接続され、ドライブピニオンシャフト53は、ディファレンシャル55に接続される。第1減速ギヤ列25aは、ギヤシャフト51とドライブピニオンシャフト53とを連結させる。第1減速ギヤ列25aは、ギヤシャフト51の回転速度を減速してドライブピニオンシャフト53に伝達する。ドライブピニオンシャフト53は、ディファレンシャル55およびアクスルシャフト57を介して車輪9に接続される。ギヤシャフト51から伝達される駆動力は、第1減速ギヤ列25a、ドライブピニオンシャフト53、ディファレンシャル55、および、アクスルシャフト57を介して車輪9に伝達される。
【0040】
駆動モータ11は、モータシャフト11aを備え、不図示のバッテリから供給される電力によりモータシャフト11aに駆動力を出力する。なお、本実施形態では、駆動モータ11は、駆動機能および発電機能(回生機能)を備えるモータジェネレータとして構成される。モータシャフト11aは、第2減速ギヤ列25bに接続される。第2減速ギヤ列25bは、モータシャフト11aとドライブピニオンシャフト53とを連結させる。第2減速ギヤ列25bは、モータシャフト11aの回転速度を減速してドライブピニオンシャフト53に伝達する。モータシャフト11aから伝達される駆動力は、第2減速ギヤ列25b、ドライブピニオンシャフト53、ディファレンシャル55、および、アクスルシャフト57を介して車輪9に伝達される。
【0041】
車両制御装置100は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなり、車両1全体を統括制御する。本実施形態において、車両制御装置100は、信号取得部101と、導出部103と、駆動制御部105と、走行モード制御部107と、変速比制御部109として機能する。
【0042】
車両制御装置100には、アクセル開度センサ111と、クランク角センサ113と、車速センサ115とが接続される。アクセル開度センサ111は、アクセルペダル(不図示)の踏み込み量(アクセル開度)を検出し、アクセル開度を示す検出信号を車両制御装置100に出力する。クランク角センサ113は、クランクシャフト3aの回転角を検出し、クランク角を示す検出信号を車両制御装置100に出力する。車速センサ115は、車両1の速度(車速)を検出し、車速を示す検出信号を車両制御装置100に出力する。
【0043】
信号取得部101は、各種センサから出力される検出信号を取得する。具体的に、信号取得部101は、アクセル開度センサ111、クランク角センサ113、車速センサ115から出力される検出信号を取得する。
【0044】
導出部103は、クランク角センサ113から出力される検出信号に基づいて、エンジン回転数を導出する。また、導出部103は、車速センサ115から出力される検出信号に基づいて、車両1の車速を導出する。また、導出部103は、アクセル開度センサ111から出力される検出信号に基づき、アクセル開度を導出する。また、導出部103は、導出したアクセル開度に基づき、車両1に搭乗するドライバが要求する要求駆動力を導出する。換言すれば、要求駆動力は、アクセル開度によって決定される。
【0045】
駆動制御部105は、導出部103により導出された要求駆動力に基づいて、エンジン3および駆動モータ11の駆動(駆動力)を制御する。
【0046】
走行モード制御部107は、車両1の走行モードを切り替える。本実施形態では、走行モード制御部107は、車両1の走行モードを、EV走行モード(第1走行モード)と、HEV走行モード(第2走行モード)とに切り替える。EV走行モードは、エンジン3よりも駆動モータ11を優先して、駆動モータ11のみで車両1を走行させる走行モードである。HEV走行モードは、エンジン3と駆動モータ11を併用して、エンジン3および駆動モータ11で車両1を走行させる走行モードである。
【0047】
走行モード制御部107は、導出部103により導出された要求駆動力に応じて、車両1の走行モードを、EV走行モードと、HEV走行モードとに切り替える。例えば、走行モード制御部107は、ドライバにより要求された要求駆動力が、車速に応じて変動する変動閾値以上である場合、車両1の走行モードをHEV走行モードに切り替え、変動閾値未満である場合、車両1の走行モードをEV走行モードに切り替える。
【0048】
図2は、車両1の各走行モードの駆動力線図である。図2中、縦軸は駆動力(要求駆動力)を示し、横軸は車速を示す。また、図2中、TH1は、車速に応じて変動する第1変動閾値であり、R1は、HEV走行領域であり、R2は、EV走行領域である。HEV走行領域R1は、車両1の走行領域のうち第1変動閾値TH1以上となる領域であり、EV走行領域R2は、第1変動閾値TH1未満となる領域である。
【0049】
図2に示すように、走行モード制御部107は、要求駆動力および車速が、第1変動閾値TH1以上となるHEV走行領域R1にあるとき、車両1の走行モードをHEV走行モードに設定する。また、走行モード制御部107は、要求駆動力および車速が、第1変動閾値TH1未満となるEV走行領域R2にあるとき、車両1の走行モードをEV走行モードに設定する。
【0050】
EV走行モード時、走行モード制御部107は、エンジン3の駆動を停止させ、入力クラッチ19bおよび出力クラッチ23を解放させ、駆動モータ11を駆動させる。これにより、走行モード制御部107は、EV走行モード時、出力クラッチ23を解放した状態で駆動モータ11の駆動力を車輪9に伝達させる。
【0051】
出力クラッチ23が解放状態に制御されることで、駆動モータ11の駆動力は、無段変速機21、前後進切換装置19、トルクコンバータ13、および、停止状態のエンジン3に伝達されなくなる。これにより、駆動モータ11は、出力クラッチ23が締結状態に制御される場合よりも小さな駆動力で車両1を走行させることができ、電費を向上させることができる。
【0052】
HEV走行モード時、走行モード制御部107は、エンジン3を駆動させ、入力クラッチ19bおよび出力クラッチ23を締結させ、駆動モータ11を駆動させる。これにより、走行モード制御部107は、出力クラッチ23を締結した状態でエンジン3および駆動モータ11の駆動力を車輪9に伝達させることができる。
【0053】
出力クラッチ23が締結状態に制御されることで、車輪9には、駆動モータ11の駆動力に加え、エンジン3の駆動力が伝達される。これにより、駆動モータ11の駆動力では、ドライバの要求駆動力を満たさない場合に、エンジン3の駆動力を加えることでドライバの要求駆動力を満たすことができる。
【0054】
変速比制御部109は、無段変速機21の変速比(プーリ比)を制御する。変速比制御部109は、車両1の走行モードがHEV走行モードであって無段変速機21の変速比を変速させる場合、機械式オイルポンプ15により供給される油圧を用いて、無段変速機21の変速比を変速させる。
【0055】
一方、変速比制御部109は、走行モードがEV走行モードであって無段変速機21の変速比を変速させる場合、出力クラッチ23を一時的に締結状態にして無段変速機21を回転駆動させる。このとき、入力クラッチ19bは、走行モード制御部107により解放状態に制御されており、無段変速機21の回転駆動は、エンジン3に伝達されることが防止される。変速比制御部109は、無段変速機21が回転駆動された状態で、電動式オイルポンプ17により供給される油圧を用いて、無段変速機21の変速比を変速させる。変速比の変速後、変速比制御部109は、出力クラッチ23の締結を解除し、解放状態に制御する。
【0056】
変速比制御部109は、車両1の車速およびアクセル開度に基づいて、無段変速機21の変速比を変速させる。例えば、変速比制御部109は、不図示のメモリに予め記憶された変速マップを参照して、無段変速機21の変速比を導出する。
【0057】
図3は、変速マップの一例を示す図である。図3中、縦軸は変速比を示し、横軸は車速を示す。図3に示すように、車速が速くなるほど、変速比は小さくなる。また、アクセル開度が大きくなるほど、変速比は大きくなる。
【0058】
ところで、上述したようにEV走行モードでは、走行モード制御部107は、出力クラッチ23を解放状態に制御し、エンジン3の駆動を停止させる。そのため、無段変速機21は、出力クラッチ23の解放後、回転が停止する。ここで、従来(例えば、特許文献1)では、回転停止後の無段変速機の変速比を把握できるように、無段変速機の変速比を最小変速比または最大変速比に維持させていた。
【0059】
一方、EV走行モードからHEV走行モードに切り替わる際、走行モード制御部107は、出力クラッチ23を締結させる前に、セカンダリシャフト43とギヤシャフト51の回転数を同期制御する必要がある。また、変速比制御部109は、無段変速機21の変速比を、図3に示す車速およびアクセル開度に応じて変化する変速比(以下、目標変速比ともいう)に制御する必要がある。
【0060】
このとき、EV走行モード時に無段変速機の変速比を最小変速比または最大変速比に維持させていると、目標変速比が最小変速比または最大変速比と異なる場合、無段変速機の変速比を最小変速比または最大変速比から目標変速比まで変速させる必要がある。そのため、EV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間が長くなり、ドライバの要求駆動力を発生させるまでのタイムラグが長くなる問題があった。
【0061】
これに対し、EV走行モード時に無段変速機の変速比を目標変速比となるように常時変速させれば、EV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間を短縮できる。しかし、この場合、無段変速機の変速比を常時変速させるために、出力クラッチを締結して無段変速機を常時回転駆動させるとともに、電動式オイルポンプを駆動して無段変速機に常時油圧を供給する必要がある。そのため、無段変速機の変速比を目標変速比に常時変速させる場合、エネルギーロスが増大するという問題があった。このように、従来は、モード遷移時間の短縮とエネルギーロスの低減との両立が課題であった。
【0062】
そこで、本実施形態の走行モード制御部107は、図2に示すように、第1変動閾値TH1に対しEV走行領域R2側に第2変動閾値TH2を設けている。図2中、第2変動閾値TH2は、第1変動閾値TH1と同様に車速に応じて変動する値であり、本実施形態では、第1変動閾値TH1より所定値だけ小さい値に設定される。第2変動閾値TH2は、予め実験等により得られた値であって、車種により異なる値であってもよい。本実施形態では、第1変動閾値TH1と第2変動閾値TH2との差は一定であるが、第1変動閾値TH1と第2変動閾値TH2との差は車速に応じて異なる値であってもよい。R3は、HEV走行準備領域であり、第2変動閾値TH2以上、かつ、第1変動閾値TH1未満となる領域である。HEV走行準備領域R3は、EV走行領域R2の一部である。したがって、HEV走行準備領域R3において、エンジン3は停止状態に制御(維持)される。
【0063】
変速比制御部109は、EV走行モード時、要求駆動力および車速がHEV走行準備領域R3にあるとき、無段変速機21の変速比を、図3に示す目標変速比となるように常時変速させる。
【0064】
具体的に、変速比制御部109は、EV走行モード時、入力クラッチ19bを解放状態に制御し、出力クラッチ23を解放状態から締結状態に制御し、無段変速機21を回転駆動させる。また、変速比制御部109は、電動式オイルポンプ17を駆動させ、プライマリプーリ45およびセカンダリプーリ47に油圧を供給することで、無段変速機21の変速比を図3に示す目標変速比に変速させる。
【0065】
これにより、要求駆動力および車速がHEV走行準備領域R3からHEV走行領域R1に移行した際、入力クラッチ19bが解放状態から締結状態となる前に、無段変速機21の変速比が目標変速比に変速されることとなる。そのため、EV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間を極力短くすることができる。
【0066】
また、変速比制御部109は、EV走行モード時、要求駆動力および車速が第2変動閾値TH2未満となるEV走行領域R2にあるとき、無段変速機21の変速比の制御を停止する。具体的に、変速比制御部109は、入力クラッチ19bおよび出力クラッチ23を解放状態に制御し、無段変速機21の回転を停止させ、電動式オイルポンプ17の駆動を停止させる。
【0067】
これにより、要求駆動力および車速が第2変動閾値TH2未満となるEV走行領域R2では、無段変速機21の変速比を所定の値に維持する場合や常時変速させる場合と比べて、エネルギーロスを低減することができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の変速比制御部109は、要求駆動力および車速が第1変動閾値TH1未満、かつ、第2変動閾値TH2以上であるとき、無段変速機21の変速比を目標変速比に制御する。これにより、変速比制御部109は、EV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間の短縮とエネルギーロスの低減との両立を達成することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、要求駆動力および車速がHEV走行準備領域R3にあるとき、変速比制御部109が無段変速機21の変速比を目標変速比に制御する例について説明した。しかし、これに限定されず、変速比制御部109は、要求駆動力および車速が第2変動閾値TH2未満となるEV走行領域R2にあるとき、車両1の周囲環境が所定の条件を満たした場合、無段変速機21の変速比を目標変速比に制御するようにしてもよい。例えば、車両1の位置情報と地図情報から車両1前方の環境が所定の環境(登坂路や高速道路合流地点)にあるとき、変速比制御部109は、無段変速機21の変速比を目標変速比に制御するようにしてもよい。これにより、車両1が登坂路や高速道路合流地点に位置するとき、ドライバの要求駆動力を発生させるまでの時間を短縮することができる。
【0070】
(変形例)
図4は、変形例の車両1の構成を示す図である。上記実施形態と実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。図4に示すように、本変形例の車両1は、上記実施形態で説明したトルクコンバータ13を設けずに、トルクコンバータ13の位置にISG(補助モータ)5を配置している。本変形例の動力伝達装置7は、ダンパ機構201と、エンジン遮断クラッチ203と、ポンプ駆動ギヤ205とを含む。
【0071】
ダンパ機構201は、エンジン3のクランクシャフト3aとISG5の回転軸5aとの間に配置される。ダンパ機構201は、エンジン3からクランクシャフト3aを介して伝達される振動を吸収し、回転軸5aにエンジン3の振動が伝達することを抑制する。
【0072】
エンジン遮断クラッチ203は、ダンパ機構201とISG5との間に配置される。エンジン遮断クラッチ203は、解放状態にあるとき、クランクシャフト3aと回転軸5aとの間を遮断する。これにより、エンジン遮断クラッチ203は、ISG5の駆動力がエンジン3に伝達されることを防止する。エンジン遮断クラッチ203は、締結状態にあるとき、クランクシャフト3aと回転軸5aとを一体回転させ、回転軸5aからクランクシャフト3aに駆動力を伝達する。これにより、ISG5は、エンジン3を始動(再始動)させることができる。
【0073】
ポンプ駆動ギヤ205は、回転軸5aに設けられ、ISG5と前後進切換装置19との間に配置される。ポンプ駆動ギヤ205は、機械式オイルポンプ15と接続する。これにより、機械式オイルポンプ15は、回転軸5a(ポンプ駆動ギヤ205)が回転した際に、油圧を発生させることができる。
【0074】
図5は、変形例の車両1の各走行モードの駆動力線図である。図5中、縦軸は駆動力(要求駆動力)を示し、横軸は車速を示す。また、図5中、TH3は、第1変動閾値TH1および第2変動閾値TH2と同様に、車速に応じて変動する第3変動閾値である。第3変動閾値TH3は、第1変動閾値TH1にISG5の駆動力を加算した値に相当する。R4は、EV走行領域R2の一部であり、第1変動閾値TH1以上、かつ、第3変動閾値TH3未満となるHEV走行準備領域R4である。このように、本変形例では、上記実施形態で説明したHEV走行準備領域R3に加え、HEV走行準備領域R4が設けられている。
【0075】
図5に示すように、走行モード制御部107は、要求駆動力および車速が、第3変動閾値TH3以上となるHEV走行領域R1にあるとき、車両1の走行モードをHEV走行モードに設定する。また、走行モード制御部107は、要求駆動力および車速が、第3変動閾値TH3未満となるEV走行領域R2にあるとき、車両1の走行モードをEV走行モードに設定する。このように、本変形例では、走行モード制御部107は、図5に示す第1変動閾値TH1に対しHEV走行領域R1側に第3変動閾値TH3を設けている。
【0076】
本変形例では、変速比制御部109は、EV走行モード時、要求駆動力および車速がHEV走行準備領域R3にあるとき、無段変速機21の変速比を、車速に応じて最小変速比または最大変速比に変速させる。例えば、変速比制御部109は、車両1の車速が所定車速V(例えば、45km/h)未満であるとき、無段変速機21の変速比を最大変速比に変速させ、最大変速比に維持させる。また、変速比制御部109は、車両1の車速が所定車速V以上であるとき、無段変速機21の変速比を最小変速比に変速させ、最小変速比に維持させる。
【0077】
より具体的に、変速比制御部109は、EV走行モード時、要求駆動力および車速が、HEV走行準備領域R3にあり、車速が所定車速V未満であるとき、エンジン遮断クラッチ203および入力クラッチ19bを解放状態に制御する。そして、変速比制御部109は、出力クラッチ23を解放状態から締結状態に制御し、無段変速機21を回転駆動させ、電動式オイルポンプ17を駆動し、プライマリプーリ45およびセカンダリプーリ47に油圧を供給する。変速比制御部109は、無段変速機21の変速比を、最大変速比に変速および維持させる。
【0078】
変速比制御部109は、EV走行モード時、要求駆動力および車速が、HEV走行準備領域R3にあり、車速が所定車速V以上であるとき、エンジン遮断クラッチ203および入力クラッチ19bを解放状態に制御する。そして、変速比制御部109は、出力クラッチ23を解放状態から締結状態に制御し、無段変速機21を回転駆動させ、電動式オイルポンプ17を駆動し、プライマリプーリ45およびセカンダリプーリ47に油圧を供給する。変速比制御部109は、無段変速機21の変速比を、最小変速比に変速および維持させる。
【0079】
図3で説明したように、HEV走行モード時に設定される目標変速比は、車速が遅くなるほど最大変速比に近づくように設定され、車速が速くなるほど最小変速比に近づくように設定される。したがって、変速比制御部109は、車速が所定車速V未満となる場合に最大変速比に設定することで、最小変速比に設定する場合よりも目標変速比まで変速させる変速時間を短くすることができる。また、変速比制御部109は、車速が所定車速V以上となる場合に最小変速比に設定することで、最大変速比に設定する場合よりも目標変速比まで変速させる変速時間を短くすることができる。
【0080】
これにより、要求駆動力および車速がHEV走行準備領域R3からHEV走行領域R1に移行した際のEV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間を短縮することができる。
【0081】
また、変速比制御部109は、EV走行モード時、要求駆動力および車速が第2変動閾値TH2未満となるEV走行領域R2にあるとき、無段変速機21の変速比の制御を停止する。具体的に、変速比制御部109は、エンジン遮断クラッチ203、入力クラッチ19bおよび出力クラッチ23を解放状態に制御し、無段変速機21の回転を停止させる。
【0082】
これにより、要求駆動力および車速が第2変動閾値TH2未満となるEV走行領域R2では、無段変速機21の変速比を所定の値に維持する場合や常時変速させる場合と比べて、エネルギーロスを低減することができる。
【0083】
さらに、変速比制御部109は、EV走行モード時、要求駆動力および車速が、HEV走行準備領域R4にあり、車速が所定車速V未満であるとき、エンジン遮断クラッチ203を解放状態に制御する。そして、変速比制御部109は、入力クラッチ19bおよび出力クラッチ23を解放状態から締結状態に制御し、ISG5を駆動させる。これにより、変速比制御部109は、駆動モータ11の駆動力に加え、ISG5の駆動力を車輪9に伝達させることができる。変速比制御部109は、駆動モータ11およびISG5により無段変速機21を回転駆動させ、機械式オイルポンプ15(または電動式オイルポンプ17)を駆動させ、プライマリプーリ45およびセカンダリプーリ47に油圧を供給する。変速比制御部109は、無段変速機21の変速比を、最大変速比に変速および維持させる。
【0084】
これにより、要求駆動力および車速がHEV走行準備領域R4からHEV走行領域R1に移行した際のEV走行モードからHEV走行モードへのモード遷移時間を短縮することができる。
【0085】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。これに加え、本変形例では、変速比制御部109は、車速が所定車速V未満であって、要求駆動力および車速が第3変動閾値TH3未満、かつ、第1変動閾値TH1以上であるとき、入力クラッチ19bおよび出力クラッチ23を締結させる。そして、変速比制御部109は、ISG5を駆動させることで、駆動モータ11およびISG5の駆動力を車輪9に伝達させる。これにより、変速比制御部109は、ISG5の駆動力に応じてEV走行領域R2を拡大することができ、燃費を向上させることができる。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
上記実施形態では、変速比制御部109がHEV走行準備領域R3において無段変速機21の変速比を目標変速比に制御する例について説明した。しかし、これに限定されず、変速比制御部109は、HEV走行準備領域R3において上記変形例と同様に、無段変速機21の変速比を最小変速比または最大変速比に制御してもよい。
【0088】
上記変形例では、変速比制御部109がHEV走行準備領域R3、R4において無段変速機21の変速比を最小変速比または最大変速比に制御する例について説明した。しかし、これに限定されず、変速比制御部109は、HEV走行準備領域R3、R4において無段変速機21の変速比を目標変速比に制御するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、車両に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
3 エンジン
5 ISG(補助モータ)
9 車輪
11 駆動モータ
21 無段変速機
23 出力クラッチ
107 走行モード制御部
109 変速比制御部
203 エンジン遮断クラッチ
図1
図2
図3
図4
図5