(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04291 20160101AFI20231220BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20231220BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20231220BHJP
【FI】
H01M8/04291
H01M8/0612
H01M8/04014
H01M8/04313
H01M8/04694
H01M8/0438
H01M8/0432
H01M8/04746
(21)【出願番号】P 2019200107
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 道忠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩之
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-257644(JP,A)
【文献】特開2018-125072(JP,A)
【文献】特開2016-225103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04291
H01M 8/0612
H01M 8/04014
H01M 8/04313
H01M 8/04694
H01M 8/0438
H01M 8/0432
H01M 8/04746
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、
原燃料を水蒸気改質して前記燃料ガスを前記燃料電池に供給する改質器と、
前記燃料電池より排出される排ガスと熱媒とを熱交換させる熱交換器と、
前記熱交換器に熱媒を循環させる循環流路に配設された循環ポンプと、
制御装置と、を備え、
該制御装置は、前記排ガスより算出され
、燃料電池より排出される排ガスに含まれる水蒸気量である排ガス流体値に対応して前記循環ポンプの駆動を制御する、凝縮水回収制御を実行可能である燃料電池装置。
【請求項2】
前記改質器に供給される改質水の量を測定する改質水量測定部、を備え、
前記制御装置は、
前記
燃料電池に供給される燃料ガスの流量と前記改質水量測定部が測定する改質水の流量とを用いて前記排ガス流体値を算出し、
該排ガス流体値に基づいて、前記循環ポンプの駆動を制御する、請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記改質水を貯留する改質水タンクと、
前記改質水タンクに貯留された改質水の水位を検知する水位検知部と、を備え、
前記制御装置は、
前記排ガス温度と、
前記排ガス流体値と、
前記改質水タンク内の改質水の水位と、
に基づいて前記循環ポンプの駆動を制御する
、請求項2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
燃料電池の累積発電時間を記録可能な記憶装置を備え、
前記制御装置は、前記累積発電時間が所定の数値以上の場合、
前記循環ポンプの駆動を増加させる吐出量増量制御を実行する、請求項1~3のいずれか1つに記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素を含有する原燃料ガスと酸素含有ガス(空気)とを用いて発電を行ない、電気を外部に供給する。また、燃料電池は、原燃料ガスを、水素を含む燃料ガスに改質する改質反応や、発電や、余剰ガスの燃焼などにより生じた排ガス中の熱を回収して温水として貯留し、この温水を直接にまたは間接に外部に供給する、コジェネレーションシステムの一部を構成する。
【0003】
ところで、燃料電池は、改質反応において水が生成する。また、セルスタックにおける発電反応により、燃料電池セルにおいて水が生成する。したがって、燃料電池の排ガスには、多くの水分(水蒸気)が含まれている。
【0004】
そこで、燃料電池装置においては、燃料電池から排出された排ガスを熱交換器等に通して冷却するとともに、この熱交換時に、前記排ガスに含まれる水蒸気が凝縮して生成される凝縮水を回収して水タンク等に貯留する。そして、貯留された水を、天然ガス等の原燃料を水蒸気改質する改質器に改質水として供給する、いわゆる水自立運転が行われている。
【0005】
前述の凝縮水の回収に関し、特許文献1には、顕熱/潜熱比が小さい場合であっても、熱回収効率を最適にする燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムの制御装置は、熱交換器入口の貯湯水温度に応じて、熱交換器出口の目標貯湯水温度を設定する目標温度設定部と、熱交換器出口の貯湯水温度が設定された目標温度となるように、貯湯水循環ポンプの送出量を制御する送出量制御部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、燃料電池の排ガス中に含まれる水分を効率よく回収することのできる燃料電池装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の燃料電池装置は、燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、原燃料を水蒸気改質して前記燃料ガスを前記燃料電池に供給する改質器と、前記燃料電池より排出される排ガスと熱媒とを熱交換させる熱交換器と、前記熱交換器に熱媒を循環させる循環流路に配設された循環ポンプと、制御装置と、を備える。
前記制御装置は、前記排ガスより算出され、燃料電池より排出される排ガスに含まれる水蒸気量である排ガス流体値に対応して前記循環ポンプの駆動を制御する、凝縮水回収制御を実行可能である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の燃料電池装置によれば、燃料電池の排ガス中に含まれる水分を、効率よく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の燃料電池装置の概略構成図である。
【
図2】外装ケース内の燃料電池装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参考にしながら、実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、燃料電池として固体酸化物形の燃料電池を例示するが、例えば固体高分子形の燃料電池等に適用することもでき、その場合、構成は適宜変更すればよい。
【0012】
図1は、実施形態の燃料電池装置の構成の概略を示すブロック図であり、
図2は、外装ケース内の燃料電池装置の構成を示す斜視図である。なお、燃料電池装置において汎用的な装置や機器等については、詳しい説明を行なわず、図中への符号の付与のみに留めているものもある。
【0013】
図1に示す燃料電池装置100は、燃料電池モジュール1と、燃料電池モジュール1に接続された熱交換器3と、燃料電池モジュール1から排出される高温度の排ガスの熱および熱エネルギーを、熱媒循環流路Qを介した熱交換により回収し、温水として貯留する蓄熱タンク4と、排ガス中に含まれる水分が熱交換により凝縮して生成した凝縮水を、凝縮水流路Cを介して改質水として貯留する改質水タンク6と、を備える。
【0014】
また、燃料電池装置100は、原燃料ポンプおよび原燃料流路等を含む原燃料供給装置13と、空気ブロアおよび酸素含有ガス流路等を含む酸素含有ガス供給装置14を備える。さらに、水自立運転を継続するための、前述の改質水タンク6と、これに接続された改質水供給ポンプP2および改質水流路Rを含む改質水供給装置を含む。
【0015】
そして、燃料電池装置100は、先に述べた熱交換器3、蓄熱タンク4、ラジエータ5、熱媒循環ポンプP1と、これらを環状に接続する熱媒循環流路Qとからなる熱媒循環系(ヒートサイクル)を備えている。なお、
図1では、熱交換器3入口側の、比較的低温の熱媒が流れる上流側の流路をQ1と表示し、熱交換器3出口側の、比較的高温の熱媒が流れる下流側の流路をQ2と表示している。なお、ラジエータ5は設けない構成としてもよい。
【0016】
熱媒循環系の熱源である燃料電池モジュール1は、収納容器10に収容されている。収納容器10の内部には、複数の燃料電池セルが積層されたセルスタック11と、水蒸気を用いて原燃料の水蒸気改質を行なう改質器12と、余剰の燃料ガスに点火するための着火ヒータ(図示省略)、および、触媒容器2に充填された排ガス触媒等を備える。
【0017】
上述のような構成の燃料電池装置100において、燃料電池モジュール1内で生じた、水分を含む排ガスは、触媒容器2内の排ガス触媒を介して排ガス流路Eに導出された後、燃料電池モジュール1に隣接する熱交換器3に導入される。
【0018】
熱交換器3は、高温の排ガスが図示上側から下方に向かって流下し、低温の熱媒(水)が図示下側から上方に向かって流過する、向流式となっている。また、熱交換器3の最下部は、熱交換により液化した水(凝縮水)と、水分の取り除かれた排ガスとを分離する、気水分離器になっている。
【0019】
気水分離器で水を取り除かれた排ガスは、排気流路Vを経由して機外に排出される。一方、気水分離器で分離された凝縮水は、凝縮水流路Cを経由して改質水タンク6に回収され貯留される。
【0020】
なお、燃料電池装置100は、
図2に示すような、各フレーム31と各外装パネル32とからなるケース30の中に配設されている。このケース30の中の、燃料電池モジュール1および各補機の周りや、流路、配管等には、以下のような制御手段20や、複数の計測機器やセンサ、または他の補機等が設けられている。
【0021】
燃料電池装置100は、前述の燃料電池モジュール1および各補機の動作を制御する手段として、電力調整装置(図示省略)と、この電力調整装置と連係して、燃料電池の発電運転を補助する各補機の動作を制御する制御装置20と、この制御装置20に付属または内蔵される記憶装置等を備える。
【0022】
制御装置20は、記憶装置および表示装置(ともに図示省略)と、燃料電池装置100を構成する各種構成部品および各種センサと接続され、これらの各機能部をはじめとして、燃料電池装置100の全体を制御および管理する。制御装置20は、それに付属する記憶装置(図示省略)に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、燃料電池装置100の各部にかかる、種々の機能を実現する。
【0023】
また、燃料電池装置100は、筐体内外の各部の温度を計測するための、温度センサ、サーミスタ等の温度計測器または温度計を、複数備える。
【0024】
たとえば、
図1に示すように、燃料電池モジュール1(燃焼部)から排出された排ガスを、燃焼処理する触媒容器2内の排ガス触媒の温度の測定を行なうサーミスタTM1が配置されている。なお、サーミスタTM1は、熱交換器3内を流過する熱媒の温度を測定してもよい。なお、従来設けられていた熱交換器3の熱媒出口側(高温側)にあたる熱媒循環流路Qの下流側には、サーミスタは配置しなくてもよい。また、触媒容器2と熱交換器3の間の排ガス流路E上にサーミスタを配設して、排ガス温度を測定してもよい。
【0025】
さらに、改質水タンク6においては、タンクの底部(低部)に近い、所定の低水位位置には、貯留された改質水の水位の低下または渇水を示すための水検知器WL1が配設され、タンクの所定の満水位に近い、高水位位置には、改質水の水位である上水面が上昇して貯水量が増えたことを検出する水検知器WL2が配設されている。
【0026】
前述の制御装置20から、上述のセンサ類、または他の機能部または装置に制御信号または各種の情報などを送信する場合、制御装置20と他の機能部とは、有線または無線により接続されていればよい。各図では、制御装置20と、燃料電池を構成する各装置および各センサとを結ぶ接続線の図示を、省略している場合がある。また、制御装置20が行なう本実施形態に特徴的な制御については、後記で説明する。
【0027】
なお、後記の実施形態において、熱媒循環流路Q(ヒートサイクル)に配設された熱媒循環ポンプP1は、その回転駆動モータがパルス駆動方式のものであり、制御装置20は、パルス駆動のオン/オフデューティ比を増減させて、ポンプP1の回転駆動力およびその吐出量を制御している。
【0028】
以上の構成の燃料電池装置100において、燃料電池が運転を行なっている場合、制御装置20は、燃料電池モジュール1の排出する排ガスに関連する所定の項目を用いて算出される「排ガス流体値」に対応して、熱媒循環ポンプP1の駆動および吐出と、熱媒循環流路Qの流量(循環量)とを制御する。
【0029】
このように、排ガス流体値に基づいて、熱媒循環ポンプP1を駆動させることで、効率よく凝縮水を回収することが可能になる。以下に、具体的な実施形態について説明する。
【0030】
たとえば、前述の構成の燃料電池装置100が発電運転を行なっている場合、制御装置20は、燃料電池モジュール1が排出する熱および凝縮水を効率よく回収する制御として、セルスタック11に供給される燃料ガスの流量と改質水量測定部が測定する、改質器12に供給される改質水の流量と、に関連して算出される排ガス流体値に基づいて、熱媒循環流路Qの熱媒循環ポンプP1の駆動と吐出とを制御することができる。
【0031】
ここで、熱媒循環ポンプP1を駆動させることで回収される凝縮水量について、詳述する。凝縮水量とは、燃料電池モジュール1より排出される排ガスに含まれる水蒸気量から、熱交換後の排ガスが含むことができる飽和水蒸気量を引くことで算出できる。
【0032】
燃料電池モジュール1より排出される排ガスに含まれる水蒸気量は、前述の構成の燃料電池装置100が発電運転を行なっている場合、燃料電池モジュール1に投入される燃料ガス由来の水分量と、改質器12に投入される水分量とが主体となる。また、排ガスに含まれる水蒸気量をより正確に算出する場合には、燃料電池モジュール1に投入される空気に含まれる水分量を加えてもよい。
【0033】
燃料電池モジュール1に投入される燃料ガス由来の水分量とは、燃料ガス流量に含まれる水素の量を算出して換算する。すなわち、例えば燃料ガスに含まれるメタン等の水素を含む成分の成分割合から、水素の割合を算出し、それを水分量に換算する。また改質器12に投入される水分量とは、改質水供給ポンプP2より供給される改質水量とすればよい。言い換えれば、改質水量測定部が測定する計測値(水量)とすればよい。燃料電池モジュール1に投入される空気に含まれる水分量とは、相対湿度、空気温度、空気供給量とから算出することができる。
【0034】
なお、改質水量測定部が測定する改質水の量に関し、改質水の流量は、改質水流路Rに配設した水流量計等により直接測定してもよく、改質水供給ポンプP2が、吐出量や回転数等の諸元を出力可能なものであれば、その諸元を利用して、演算により求めてもよい。たとえば、吐出量がフィン回転数で表される水ポンプの場合であれば、予め検量線を用意しておくことにより、回転数〔回転/分〕と回転駆動継続時間〔分〕の積で、ポンプの吐出水量を求めることができる。また、改質水供給ポンプP2がパルスモータ駆動のものであれば、その駆動のデューティ比から、ポンプの吐出水量等を推計することもできる。
【0035】
以上より、燃料電池モジュール1より排出される排ガス量に含まれる水蒸気量を算出することができ、本明細書において、上記排ガス量に含まれる水蒸気量を、排ガス流体値と呼ぶ。すなわち、排ガス流体値とは、燃料電池モジュール1より排出される排ガス量に関連して求められる水蒸気量のことを意味する。
【0036】
なお、通常、燃料電池モジュール1より排出されて熱交換器3に入る排ガスの温度は高く、また燃料電池モジュール1より排出される排ガスに含まれる水分量はさほど多くない。それゆえ、熱交換器3の入口時点では、排ガスに含まれる水分は飽和水蒸気量には達していない。それゆえ、上記の算出式において、排ガスの熱交換器3への入口温度をあえて考慮していない。しかしながら、排ガスの飽和水蒸気量を考慮する場合には、排ガス流体値の算出において、サーミスタTM1にて測定された排ガスの温度を用いて飽和水蒸気量を算出し、上記で算出した排ガス量に関連して求められる水蒸気量と、飽和水蒸気量とを比較すればよい。排ガスに含まれる水蒸気量が多い場合には、その値と排ガス流体値とし、飽和水蒸気量が多い場合には、その値を排ガス流体値とすればよい。
【0037】
続いて、熱交換後の排ガスが含む飽和水蒸気量は、熱交換器3より排出される排ガス流量(すなわち燃料電池モジュール1より排出される排ガス流量)、排ガス温度、ガス圧力等を掛け合わせて算出する。なお算出にあたっては、1999年発刊の日本機械学会蒸気表より算出した蒸気状態量計算関数を用いて算出することができる。
【0038】
制御装置20は、上述の排ガスより算出される排ガス流体値に対応して、循環ポンプP1の駆動および吐出量(以下、駆動としてまとめて表現する)を制御することで、効率よく凝縮水回収を行うことができる。すなわち、制御装置20は、予め調査された、熱媒循環ポンプの駆動と、排ガスの熱交換前の温度と、熱交換後の温度との関係のテーブルを記憶しておく。そして、制御装置20は、排ガスより算出される排ガス流体値に含まれる水蒸気量から、必要とする凝縮水が得られるための、熱媒循環ポンプP1の所定の駆動を、記憶したテーブルから導き出し、熱媒循環ポンプP1に対して、所定の駆動となるように制御する。
【0039】
それにより、従前のように、熱交換器出口の貯湯水温度が目標となるように熱媒循環ポンプの駆動を制御することに比べて、効率よく必要となる凝縮水量を回収することができる。
【0040】
上記の熱媒循環ポンプP1の駆動において、必要とする凝縮水を算出するにあたり、改質水タンク6内の改質水の水位に基づいて、熱媒循環ポンプP1の駆動を制御してもよい。
【0041】
すなわち、前述の凝縮水回収制御の実行中に、改質水の水位を検知する水位検知部である、低水位の水検知器WL1または高水位の水検知器WL2による水位検知もしくは水位未検知が発報された場合、制御装置20は、改質水タンク6内の改質水の水位を優先項目として熱媒循環ポンプP1の駆動を補正する制御を実行する、
【0042】
具体的には、たとえば改質水タンク6内の改質水(水面)の高水位を検知する水検知器WL2が水を検出した場合、制御装置20は、改質水タンク6内に貯留された改質水の水量が、オーバーフローの発生する満水に近いと判断して、凝縮水回収制御実行中の熱媒循環ポンプP1の駆動(デューティ比)を、それ以前より減少させる駆動の〔マイナス(-)補正〕を実行してもよい。それにより、凝縮水の回収量を低減し、オーバーフローの発生を抑制することができる。
【0043】
他方、たとえば改質水タンク6内の改質水(水面)の改質水(水面)の高水位を検知するWL2が水を検出しない場合や、低水位を検知する水検知器WL1が水を検出しない場合は、制御装置20は、改質水タンク6内に貯留された改質水の水量が、不足するもしくは渇水の発生する水位に近いと判断して、凝縮水回収制御実行中の熱媒循環ポンプP1の駆動(デューティ比)を、それ以前より増加させる駆動の〔プラス(+)補正〕を実行する。それにより、凝集水の回収量を増大させ、改質水の水量が、不足するおそれや、渇水が発生するおそれを低減することができる。
【0044】
このようにして、燃料電池の排ガス中に含まれる水分を効率よく回収しつつ、改質水タンク6内に貯留される改質水の水量を、自立運転を継続するのに適当な範囲に保つことができる。
【0045】
なお、凝縮水回収制御中に、例えば改質水(水面)の高水位を検知するWL2が水を検出するようになった場合には、熱媒循環ポンプP1の駆動(デューティ比)を、それ以前より減少させる駆動の〔マイナス(-)補正〕を実行して、凝縮水の回収量を低減し、オーバーフローの発生を抑制してもよい。
【0046】
ところで、燃料電池装置の熱交換器3は、その内部の配管等に、経年により汚れ等が付着して、熱交換効率が低下する場合がある。本開示の燃料電池装置においては、これに対応するため、以下のような制御を実行する。
【0047】
すなわち、燃料電池装置100の制御装置20が、燃料電池の累積発電時間を記録可能な記憶装置(図示省略)を備えており、この記憶装置が計数またはカウントする累積発電時間が、予め定められた第1時間以上に達した場合、制御装置20は、前述の凝縮水回収制御の実行中に、前記循環ポンプの駆動を所定時間補正して増加させる、吐出量増量制御を実行する。
【0048】
なお、前述のポンプの駆動を所定時間補正して増加させるとは、先に述べた熱媒循環ポンプの〔プラス(+)補正〕と同様の操作のことである。すなわち、制御装置20は、凝縮水回収制御実行中の熱媒循環ポンプP1の駆動(デューティ比)を、所定の時間の間、それ以前より増加させる駆動の〔プラス(+)補正〕を実行する。
【0049】
これにより、経年の汚れ付着等に起因する熱交換効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 燃料電池モジュール
3 熱交換器
12 改質器
20 制御装置
100 燃料電池装置
Q 熱媒循環流路
P1 熱媒循環ポンプ