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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20231220BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231220BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20231220BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20231220BHJP
【FI】
A61B1/04 520
A61B1/00 683
A61B1/00 681
G02B23/24 A
H02J50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019208887
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021078745
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅弘
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0332884(US,A1)
【文献】特開2012-200032(JP,A)
【文献】特開2016-171667(JP,A)
【文献】特表2018-535640(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145849(WO,A1)
【文献】特開2016-083308(JP,A)
【文献】特開2019-77372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
H02J 50/10 - 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ部を備える内視鏡と、前記コネクタ部を挿入するスロットを備え前記内視鏡と接続されるプロセッサとを備え、
前記スロットは、前記コネクタ部が挿入される挿入方向と交差する幅方向において第1の長さを有し、前記挿入方向において前記第1の長さよりも大きい第2の長さを有し、
前記コネクタ部の底面には、前記挿入方向に沿ってレール又は溝部が設けられ、
前記スロットの前記コネクタ部の前記底面に対向する対向面には、前記レール又は前記溝部に対応する溝部又はレールが設けられ、
前記スロットは、前記対向面において電力を送信するための送信コイルを備え、
前記コネクタ部は、前記底面において前記送信コイルから電力を受信する受信コイルを備える
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記送信コイルは、前記受信コイルよりも大きな面積を有する、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記送信コイルは、前記挿入方向に沿って配列された複数個のコイルを含む、請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は一般に、被検者の体内(消化器官など)に挿入される挿入部を有する内視鏡と、内視鏡に接続されるプロセッサとから構成される。プロセッサは、内視鏡に対し電力や光を供給すると共に、内視鏡との間で各種信号のやり取りを行うことが可能に構成される。
【0003】
旧来の内視鏡装置では、内視鏡とプロセッサとは、電気的接点を有する接触式のコネクタにより接続されることが通常であった。しかし近年、内視鏡とプロセッサとの間で非接触で電力や各種電気信号を送受信可能に構成された内視鏡装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。電力は例えば内視鏡とプロセッサに設けられた送受信コイルにより送受信される。また、各種電気信号は、例えば内視鏡又はプロセッサで一旦光信号に変換されて光通信ポートを介して送受信された後、内視鏡又はプロセッサにおいて再度電気信号に変換される。
【0004】
しかし、このような非接触式のコネクタで光信号の送受信を行う場合、コネクタとプロセッサとの接触面において多数の送受信ポートが設けられる。このため、コネクタとプロセッサとの接触面の面積が大きくなり、コネクタの小型化が困難である。また、コネクタとプロセッサの接触面の面積が大きくなることで、内視鏡の上下左右への移動によりコネクタがアオられ、コネクタとプロセッサとの間の接続状態が不安定となる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5978238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、非接触式のコネクタ部を有する内視鏡装置において、コネクタ部を小型化すると共に、安定的な接続状態の維持が可能な内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の内視鏡装置は、コネクタ部を備える内視鏡と、前記コネクタ部を挿入するスロットを備え前記内視鏡と接続されるプロセッサとを備える。前記スロットは、前記コネクタ部が挿入される挿入方向と交差する幅方向において第1の長さを有し、前記挿入方向において前記第1の長さよりも大きい第2の長さを有する。前記スロットは、その側面において電力を送信するための送信コイルを備える。前記コネクタ部は、その側面において前記送信コイルから電力を受信する受信コイルを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の内視鏡によれば、非接触式のコネクタ部を有する内視鏡装置において、コネクタ部を小型化すると共に、安定的な接続状態の維持が可能な内視鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態の内視鏡装置1の外観図である。
図2】第1の実施の形態の内視鏡100の先端部104の部分の構造を説明する概略斜視図である。
図3】第1の実施の形態のスロットSL及びコネクタ部106の構成を説明する概略断面図である。
図4】第2の実施の形態に係る内視鏡装置の外観図である。
図5】第2の実施の形態のスロットSL及びコネクタ部106の構成を説明する概略断面図である。
図6】第3の実施の形態のスロットSL及びコネクタ部106の構成を説明する概略断面図である。
図7】第3の実施の形態に係る内視鏡装置の動作を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態の内視鏡装置について詳細に説明する。図1は、第1の実施形態の内視鏡装置1の外観図であり、図2は、内視鏡100の先端部104の構造を示す斜視図である。内視鏡装置1は、内視鏡100、プロセッサ200、光源装置300、送水送気部400、吸引部500、ディスプレイ600、及び入力部700から大略構成される。
【0013】
内視鏡100は、被検体の体内に挿入可能に構成されて被写体を撮像し、その撮像された画像の画像信号をプロセッサ200に伝送する機能を有する。プロセッサ200は、内視鏡100からの画像信号を受信して所定の信号処理を実行する。
【0014】
光源装置300は、プロセッサ200と接続可能に構成され、その内部に被写体を照射するための照射光を発する光源を備えている。光源からの光は、後述するライトガイドを介して被検体に向けて照射される。光源装置300は、プロセッサ200とは別体として構成されてプロセッサ200と接続可能に構成されてもよいし、プロセッサ200の内部に組み込まれていてもよい。
【0015】
送水送気部400は、被検体に対して供給される水流、又は空気流を放出するためのエアポンプ(図示せず)を備えている。吸引部500は、内視鏡100を介して被検者の体内から吸引された体液や切除物を吸引するためのポンプ及びタンク(図示せず)を備えている。
【0016】
ディスプレイ600は、例えばプロセッサ200でのデータ処理結果等に基づく表示を行うための表示装置である。また、入力部700は、各種測定動作におけるオペレータからの指示を入力するための装置である。
【0017】
内視鏡100は、挿入部10と、手元操作部102と、ユニバーサルケーブル105と、コネクタ部106とを備えている。挿入部10は更に、可撓管部101と、湾曲部103と、先端部104とを備えている。
【0018】
内視鏡100の挿入部10は、図1に示すように、可撓性を有し、被検体の体内に挿入するための可撓管部101を備えている。可撓管部101は、その一端において手元操作部102と接続されている。手元操作部102は、例えば湾曲操作ノブ102A、その他ユーザによって操作可能な操作部を備えており、内視鏡装置1による撮像のための各種操作をオペレータに行わせるための部分である。なお、手元操作部102には、処置具を挿入させるための処置具挿入口102Bが設けられている。
【0019】
可撓管部101のうち、湾曲部103に近い部分は、第1可撓管部101Aであり、手元操作部102に近い部分は、第2可撓管部101Bである。湾曲部103が、湾曲操作ノブ102Aのオペレータによる操作により能動的にその形状が変化可能にされているのに対し、この第1可撓管部101Aは、湾曲操作ノブ102Aの操作とは無関係な外力、例えば先端部104や湾曲部103が消化器官の壁面に当たることによる外力により、受動的にその形状が変化する部分である。第2可撓管部101Bも同様であるが、形状の変化の度合が第1可撓管部101Aに比べ小さい(最大曲率半径が大きい)。なお、図1の例では、可撓管部101が2種類の可撓管部を有しているが、これに限定されるものではなく、3種類以上の可撓管部が備えられていても良いし、1種類でも構わない。
【0020】
可撓管部101の先端には、湾曲可能に構成された湾曲部103(能動湾曲部)が設けられている。前述のように、手元操作部102に設けられた湾曲操作ノブ102Aの回転操作に連動した操作ワイヤ(図1では図示せず)の牽引によって湾曲部103は湾曲する。なお、湾曲部103と第1可撓管部101Aとの間には、湾曲用ワイヤWや外力により変形しない接続部が設けられていてもよい。
【0021】
更に、湾曲部103の先端には、撮像素子(撮像部)を備えた先端部104が連結されている。湾曲操作ノブ102Aの回転操作による湾曲部103の湾曲動作に応じて先端部104の向きが変わることにより、内視鏡100による撮影領域を変化させることができる。
【0022】
手元操作部102の反対側からは、コネクタ部106に向けてユニバーサルケーブル105が延びている。ユニバーサルケーブル105は、挿入部10と同様に、その内部にライトガイド、各種配線、各種チューブを含んでいる。
【0023】
コネクタ部106は、内視鏡100をプロセッサ200に接続させるための接続部材である。コネクタ部106は、プロセッサ200に設けられたスロットSLに挿入され、所定位置まで挿入された後、ラッチLTによりプロセッサ200に対し固定され得る。コネクタ部106は、水流及び空気流を挿入部10に向けて送るための経路としての送水送気用チューブ108、及び吸引のための吸引用チューブ109を含む。
【0024】
また、コネクタ部106は、プロセッサ200との間で、電力、光、及び各種信号を非接触で送受信可能に構成されている。具体的にコネクタ部106は、その側面に受信コイル111を備えている。この受信コイル111は、コネクタ部106がスロットSLに挿入された場合に、プロセッサ200の側面に設けられた送信コイル211と対向する位置に配置される。コネクタ部106は、受信コイル111を介して送信コイル211に供給された電力を受信する。
【0025】
また、コネクタ部106は、光通信のための光送受信ポート112を備えている。光送受信ポート112は、図示しない発光素子及び受光素子と連携している。この光送受信ポート112は、コネクタ部106がスロットSLに挿入されることにより、スロットSLの奥に配置された光送受信ポート212と対向する位置に配置される。光送受信ポート212も同様に、図示しない発光素子及び受光素子と連携している。なお、図示は省略するが、コネクタ部106は、光源装置300からの光を挿入部10に伝送するための光ファイバと、光ファイバへの光入射のための光コネクタも設けられている。
【0026】
図2を参照して、内視鏡100の先端部104の構造を説明する。内視鏡100の先端部104には、配光レンズLa、Lbが配置され、先端部104からコネクタ部106に亘って、ライトガイドLGa、LGbが延びている。光源装置300からの光が、このライトガイドLGa、LGbにより導光され、先端部104に配置された配光レンズLa、Lbにより、被検体に向けて照射される。
【0027】
また、内視鏡100は、図2に示すように、先端部104において対物レンズ113と撮像素子133を備えている。先端部104に設けられる対物レンズ113は、被検体からの散乱光や反射光を集光して、撮像素子133の受光面上に被検体の像を結像させる。
【0028】
撮像素子133は、一例としてCCD(Charge Coupled Device)、又はCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Sensor)により構成され得る。撮像素子133は、プロセッサ200から電気配線138を介して供給される信号(ゲインコントロール信号、露出制御信号、シャッタ速度制御信号など)により制御されるとともに、プロセッサ200に対し、撮像された画像の画像信号を電気配線138及びA/D変換回路(図示せず)を介して供給するようにされている。電気配線138を介して送受信される電気信号は、光信号に変換された後、前述の光透過部W1、W2を介して内視鏡100とプロセッサ200との間で送受信される。
【0029】
また、先端部104の端面には、各種チューブの端部又は開口として、送気送水口114、副送水口115、及び処置具口116が設けられている。送気送水口114(ノズル)は、先端部104の洗浄等のための水流、又は空気流を導入するため、送気送水チューブ121に接続されている。
【0030】
また、副送水口115は、視野内の汚物除去のための副送水を導入するため、副送水チューブ122に接続されている。チューブ121~122は、先端部104、湾曲部103、可撓管部101、手元操作部102、及びユニバーサルケーブル105の内部に沿って延びるように配置されている。
【0031】
このようなチューブ121~122に加え、内視鏡100の内部には、処置具チューブ141が設けられている。処置具チューブ141は、鉗子等の処置具をその内部に進退自在に配置されている。処置具チューブ141の先端は、先端部104において処置具口116を構成している。
【0032】
図3を参照して、スロットSL及びコネクタ部106の構成を説明する。前述のように、コネクタ部106の側面には、電力を受信するための受信コイル111が配置される。受信コイル111は、図3(a)に示すような巻線コイルL1から構成することができる。一方、スロットSLの側面には、巻線コイルL1に電力を送信するための送信コイル211が配置される。送信コイル211は、図3に示すような巻線コイルL2から構成することができる。送信コイル211に与えられた電力が、電磁誘導により受信コイル111に伝送され得る。
【0033】
図3(b)に示すように、コネクタ部106は、その下面に、コネクタ部106の挿入方向に沿って延びる直線状の摺動レール1061を有している。また、スロットSLの下面には、摺動レール1061が挿入される摺動溝2001が形成されている。摺動レール1061が摺動溝2001に挿入された状態で、コネクタ部106がスロットSLの内部を摺動することにより、コネクタ部106はスロットSL内を直線状に移動することができる。
【0034】
ここで、スロットSLの寸法は、奥行き方向(コネクタ部106の挿入方向)において長さDを有し、奥行き方向と直交する高さ方向では長さH、奥行き方向と交差する幅方向では長さWを有する。長さDは、H、Wよりも大きく、好ましくは、DはH、Wの1.5倍以上とされる。スロットSLに挿入されるコネクタ部106も、挿入部分においてこのスロットSLに対応した形状を有する。
【0035】
このように、第1の実施の形態の内視鏡装置は、スロットSL及びコネクタ部106の挿入部分が、奥行き方向に長い縦長の形状を有している。縦長の形状を有していることにより、例えば内視鏡100が上下左右に振られ、これによりコネクタ部106に力が加わった場合であっても、コネクタ部106が左右に振られてその位置に変動が生じる可能性が少なくされている。
【0036】
また、この第1の実施の形態では、電力の送受信用のコイル111、211が、コネクタ部106及びスロットSLの側面に配置されている。受信コイル111、及び送信コイル211が側面に配置されていることで、その分コネクタ部106の前端に他の送受信ポートを配置する面積を増やすことができる。また、受信コイル111、及び送信コイル211がコネクタ部106及びスロットSLの側面に形成されていることにより、両者の間の電力の送受信は、コネクタ部106の挿入・固定が完了した段階だけでなく、挿入動作の途中からでも可能になる。このため、従来に比べ、プロセッサ200から内視鏡100への電力供給の開始のタイミングを早めることができる。
【0037】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る内視鏡装置を、図4及び図5を参照して説明する。図4及び図5において、図1及び図3と同一の構成要素については図1と同一の参照符号を付しているので、重複する説明は省略する。
【0038】
第2の実施の形態の内視鏡装置は、図4及び図5に示すように、送信コイル211の面積が、受信コイル111の面積よりも大きくされている。これにより、第1の実施の形態に比べ、送信コイル211から電磁誘導を受けやすくなる。また、図5に示すように、コネクタ部106の固定が完了した状態において、受信コイル111はその前端、後端も含めて送信コイル211に完全に包含され、送信コイル211のスロットSLの入り口側の一端が、受信コイル111の一端よりも、スロットSLの入り口側に近くなるのが好ましい。これにより、コネクタ部106への電力の伝送が開始されるタイミングを早めることができ、内視鏡装置1の起動を早めることができる。
【0039】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る内視鏡装置を、図6を参照して説明する。図6において、図3と同一の構成要素については図1と同一の参照符号を付しているので、重複する説明は省略する。
【0040】
第3の実施の形態の内視鏡装置は、図6に示すように、送信コイル211が、複数個(例えば3個)のコイルL21~L23から構成されている。複数個のコイルL21~L23は、コネクタ部106の挿入方向に沿って配列されている。複数個のコイルL21~L23は、図6に示すように一部が重畳する形で配列されていてもよいし、所定の間隔を空けて配列されてもよい。
【0041】
加えて、第2の実施の形態と同様に、送信コイル211の総面積は、受信コイル111の総面積よりも大きくされている。これにより、第1の実施の形態に比べ、送信コイル211から電磁誘導を受けやすくなる。また、図6に示すように、コネクタ部106の固定が完了した状態において、受信コイル111はその前端、後端も含めて送信コイル211に完全に包含され、送信コイル211のスロットSLの入り口側の一端が、受信コイル111の一端よりも、スロットSLの入り口側に近くなるのが好ましい。これにより、コネクタ部106への電力の伝送が開始されるタイミングを早めることができ、内視鏡装置1の起動を早めることができる。
【0042】
なお、コイルL21~L23に供給される電力は、全て同一であってもよいし、互いに異なっていても良い。例えば、中央のコイルL22は、他のコイルL21、L23に比べ大きな電力を供給されてもよい。また、電力が供給されるタイミングも、コイルL21~L22の間で互いに異なってもよい。
【0043】
図7を参照して、第3の実施の形態の動作を説明する。図7(a)~(c)は、コネクタ部106がスロットSLに挿入され、徐々に奥行き方向に進行する状況を時系列で示している。図7(a)に示すように、コネクタ部106の前端がまだスロットSLの入り口付近にある場合でも、送信コイル211中のコイルL21と受信コイル111が重畳状態となり、プロセッサ200から内視鏡100へと電力の供給が開始され得る。内視鏡100は、この電力供給の開始により、例えば初期設定動作を開始することができる。
【0044】
更に、図7(b)に示すように、コネクタ部106が更にスロットSLの奥行き方向に進行すると、コイルL21だけでなく、更に奥側にあるコイルL22からも電磁誘導を受け、より多くの電力の内視鏡100への供給が開始され得る。そして、図7(c)に示すように、コネクタ部106の前端がスロットSLの奥まで達し、コネクタ部106がラッチLTにより固定されると、全てのコイルL21~23からの電力の供給が開始され得る。
【0045】
前述のように、コネクタ部106は、摺動レール1061及び溝2001に沿ってスロットSLの内部を直線状に移動する。このため、光送受信ポート112、212は、コネクタ部106が最終位置に固定される以前より通信可能な状態にされ得る。例えば、図7(a)、(b)のような状態においても、光送受信ポート112、212は、直線状に並んでいるので、光の送受信は可能である。図7(c)の状態となる以前から、受信された電力を用いて、光通信を行い、例えば内視鏡100の初期設定等を開始することができる。これによれば、コネクタ部106の接続準備をしている間において初期設定を完了することができるので、内視鏡装置のパフォーマンスを向上させることができる。
【0046】
[その他]
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…内視鏡装置、100…内視鏡、10…挿入部、101…可撓管部、101A…第1可撓管部、101B…第2可撓管部、102…手元操作部、102A…湾曲操作ノブ、103…湾曲部、104…先端部、105…ユニバーサルケーブル、106…コネクタ部、SL…スロット、108…送水送気用チューブ、109…吸引用チューブ、111…送信コイル、211…受信コイル、LGa、LGb…ライトガイド、La、Lb…配光レンズ、113…対物レンズ、114…送気送水口、115…副送水口、116…処置具口、121…送気送水チューブ、122…副送水チューブ、141…処置具チューブ、133…撮像素子、138…電気配線、200…プロセッサ、300…光源装置、400…送水送気部、500…吸引部、600…ディスプレイ、700…入力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7