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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/00 20060101AFI20231220BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20231220BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20231220BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20231220BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C04B37/00 Z
B01J35/04 301E
B01J35/04 301J
B01J35/04 301F
B01D46/00 302
F01N3/28 301P
F01N3/28 301N
F01N3/022 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019220596
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021088489
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】石岡 知大
(72)【発明者】
【氏名】結城 一也
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-527482(JP,A)
【文献】特開2016-069234(JP,A)
【文献】特開2004-262669(JP,A)
【文献】特開2010-222150(JP,A)
【文献】特開2009-280493(JP,A)
【文献】特開2015-182020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00-37/04
B01J 21/00-38/74
B01D 46/00-46/90
B01D 39/00-41/04
F01N 3/01
F01N 3/02- 3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の角柱状のハニカムセグメントと、複数個の前記ハニカムセグメントの側面同士を互いに接合する接合層と、を有するハニカムセグメント接合体を備え、
前記ハニカムセグメントは、流体の入口側となる第一端面から流体の出口側となる第二端面まで延びる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁と、前記ハニカムセグメントの側面を構成するセグメント外壁と、を有し、
複数個の前記ハニカムセグメントのうちの一のハニカムセグメントは、当該一のハニカムセグメントの一の側面に、外方に向けて突出した少なくとも1つの凸部を有し、
少なくとも1つの前記凸部は、前記一のハニカムセグメントの前記第一端面から前記第二端面に向かう軸方向において、前記第一端面又は前記第二端面のいずれか一方を起点とし、前記軸方向に延びるように設けられ、
複数個の前記ハニカムセグメントのうちの他のハニカムセグメントは、当該他のハニカムセグメントの一の側面に、内方に向けて窪んだ少なくとも1つの凹部を有し、
少なくとも1つの前記凹部は、前記他のハニカムセグメントの前記第一端面から前記第二端面に向かう軸方向において、前記第一端面又は前記第二端面のいずれか一方を起点とし、前記軸方向に延びるように設けられ、
前記ハニカムセグメント接合体において、前記一のハニカムセグメントと前記他のハニカムセグメントは、互いの前記一の側面同士が対向するように隣り合って配置され、且つ、前記他のハニカムセグメントの前記凹部内に、前記一のハニカムセグメントの前記凸部が挿入された状態で前記接合層を介して相互に接合されており、
前記凸部の、前記軸方向及び当該凸部の突出高さ方向のそれぞれに直交する横幅方向の長さW2が、前記一のハニカムセグメントの前記一の側面の横幅方向の長さW1より小さく、
前記凹部の、前記軸方向及び当該凹部の窪み方向のそれぞれに直交する横幅方向の長さW4が、前記他のハニカムセグメントの前記一の側面の横幅方向の長さW3より小さく、
前記凸部の前記突出高さ方向の裾部は、前記一の側面の平坦部から屈曲した屈曲側面によって構成され、
前記一の側面の前記平坦部から仮想的に延長される平面によって構成される前記凸部の仮想底面と、当該凸部の前記屈曲側面とのなす角θ1が、60°以上である、ハニカム構造体であって、
前記凸部の前記横幅方向の長さW2が、前記一のハニカムセグメントの前記一の側面の前記横幅方向の長さW1の20~70%であり、
前記凹部の前記横幅方向の長さW4が、前記他のハニカムセグメントの前記一の側面の前記横幅方向の長さW3の20~70%である、ハニカム構造体
【請求項2】
前記一のハニカムセグメントの前記凸部の前記一の側面から突出する突出高さH2が、前記一のハニカムセグメントと前記他のハニカムセグメントの互いの前記一の側面相互間の前記接合層の最大厚さH1より大きい、請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記他のハニカムセグメントの前記凹部の窪み深さH4が、前記他のハニカムセグメントの側面を構成する前記セグメント外壁の厚さより小さく、前記凹部が前記セグメント外壁を貫通していない、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記凸部の前記軸方向の長さL2が、前記一のハニカムセグメントの前記軸方向の長さL1の5~50%の長さであり、
前記凹部の前記軸方向の長さL4が、前記他のハニカムセグメントの前記軸方向の長さL3の5~50%の長さである、請求項1~のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。更に詳しくは、排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルタや触媒を担持して排ガスを浄化するための触媒担体等に使用されるハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル車やトラックから排出される排ガス中には、粒子状物質が含まれている。以下、粒子状物質を、「PM」ということがある。PMは、「Particulate Matter」の略である。このPMは、主にスート(煤)等のカーボン微粒子からなるもので、大気中に放出されるのを防止する必要があり、厳しい排出規制が課せられている。
【0003】
このような厳しい排出規制に対応すべく、PM排出量を低減するための多くの研究が行われているが、PM排出量を燃焼技術の改善によって低減するには限界があり、排気系にフィルタを設置することが、有効なPM排出量の低減手段となっている。
【0004】
PMを捕集するためのフィルタとしては、圧力損失を許容範囲に抑えつつ、高いPM捕集効率を得られることから、ハニカム構造体を用いたウォールフロー型のものが、広く使用されている。ウォールフロー型フィルタに使用されるハニカム構造体は、排ガスの入口側となる流入端面から排ガスの出口側となる流出端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有している。このハニカム構造体に、所定のセルの流出端面側の開口端部及び残余のセルの流入端面側の開口端部を目封止する目封止部を設けることにより、高いPM捕集効率を持ったフィルタが得られる。
【0005】
PMを捕集するためのフィルタに用いられるハニカム構造体は、近年、PMの捕集量を増大するため、高熱容量が見込まれる材料によって作製されることがある。但し、このような高熱容量が見込まれる材料は、概して熱膨張が高い特性であるが故に、高温の排ガスによる熱衝撃によって高い熱応力が発生し、ハニカム構造体が破損することがある。このようなことから、近年、フィルタを1つのハニカム構造体として製造するのではなく、複数個のハニカム形状のセグメント(ハニカムセグメント)を接合してハニカム構造体とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。以下、このようなハニカム構造体を「セグメント構造のハニカム構造体」ということがある。セグメント構造のハニカム構造体は、1つのハニカム構造体が、複数個のハニカムセグメントによって分割された構造を有しているため、ハニカム構造体に生じる熱応力を分散させることができる。また、セグメント構造のハニカム構造体では、複数個のハニカムセグメントを接合する接合層が、熱応力を緩和する緩衝部材の役割を果すこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-172212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セグメント構造のハニカム構造体は、ハニカムセグメント同士を接合層によって接合しているが、使用中において、ハニカムセグメント内の応力緩和のため、また、過大な熱応力が負荷されるなどの理由により、接合層自体にクラックが発生することがある。このような接合層のクラックが広範囲に及ぶと、クラックが流路方向全域まで貫通してしまい、ハニカムセグメント同士を保持できず、一部のハニカムセグメントが分離してしまうことがある。そして、分離したハニカムセグメントは、排ガスの風圧などによって下流側に押し出されて、ハニカム構造体から抜け落ちてしまうこともある。このような事象が発生すると、ハニカム構造体よりも下流側に設けられた排ガス浄化装置の後処理システムを物理的に損傷するなどの問題が発生する懸念がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、接合層にクラックが発生した際に、そのクラックがハニカム構造体の流路方向全域に貫通し難く、クラックによるハニカムセグメントの分離を有効に抑制することが可能なハニカム構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す、ハニカム構造体が提供される。
【0010】
[1] 複数個の角柱状のハニカムセグメントと、複数個の前記ハニカムセグメントの側面同士を互いに接合する接合層と、を有するハニカムセグメント接合体を備え、
前記ハニカムセグメントは、流体の入口側となる第一端面から流体の出口側となる第二端面まで延びる複数のセルを取り囲むように配置された多孔質の隔壁と、前記ハニカムセグメントの側面を構成するセグメント外壁と、を有し、
複数個の前記ハニカムセグメントのうちの一のハニカムセグメントは、当該一のハニカムセグメントの一の側面に、外方に向けて突出した少なくとも1つの凸部を有し、
少なくとも1つの前記凸部は、前記一のハニカムセグメントの前記第一端面から前記第二端面に向かう軸方向において、前記第一端面又は前記第二端面のいずれか一方を起点とし、前記軸方向に延びるように設けられ、
複数個の前記ハニカムセグメントのうちの他のハニカムセグメントは、当該他のハニカムセグメントの一の側面に、内方に向けて窪んだ少なくとも1つの凹部を有し、
少なくとも1つの前記凹部は、前記他のハニカムセグメントの前記第一端面から前記第二端面に向かう軸方向において、前記第一端面又は前記第二端面のいずれか一方を起点とし、前記軸方向に延びるように設けられ、
前記ハニカムセグメント接合体において、前記一のハニカムセグメントと前記他のハニカムセグメントは、互いの前記一の側面同士が対向するように隣り合って配置され、且つ、前記他のハニカムセグメントの前記凹部内に、前記一のハニカムセグメントの前記凸部が挿入された状態で前記接合層を介して相互に接合されており、
前記凸部の、前記軸方向及び当該凸部の突出高さ方向のそれぞれに直交する横幅方向の長さW2が、前記一のハニカムセグメントの前記一の側面の横幅方向の長さW1より小さく、
前記凹部の、前記軸方向及び当該凹部の窪み方向のそれぞれに直交する横幅方向の長さW4が、前記他のハニカムセグメントの前記一の側面の横幅方向の長さW3より小さく、
前記凸部の前記突出高さ方向の裾部は、前記一の側面の平坦部から屈曲した屈曲側面によって構成され、
前記一の側面の前記平坦部から仮想的に延長される平面によって構成される前記凸部の仮想底面と、当該凸部の前記屈曲側面とのなす角θ1が、60°以上である、ハニカム構造体であって、
前記凸部の前記横幅方向の長さW2が、前記一のハニカムセグメントの前記一の側面の前記横幅方向の長さW1の20~70%であり、
前記凹部の前記横幅方向の長さW4が、前記他のハニカムセグメントの前記一の側面の前記横幅方向の長さW3の20~70%である、ハニカム構造体
【0011】
[2] 前記一のハニカムセグメントの前記凸部の前記一の側面から突出する突出高さH2が、前記一のハニカムセグメントと前記他のハニカムセグメントの互いの前記一の側面相互間の前記接合層の最大厚さH1より大きい、前記[1]に記載のハニカム構造体。
【0012】
[3] 前記他のハニカムセグメントの前記凹部の窪み深さH4が、前記他のハニカムセグメントの側面を構成する前記セグメント外壁の厚さより小さく、前記凹部が前記セグメント外壁を貫通していない、前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
【0014】
] 前記凸部の前記軸方向の長さL2が、前記一のハニカムセグメントの前記軸方向の長さL1の5~50%の長さであり、
前記凹部の前記軸方向の長さL4が、前記他のハニカムセグメントの前記軸方向の長さL3の5~50%の長さである、前記[1]~[]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハニカム構造体は、従来のセグメント構造のハニカム構造体に比して、接合層にクラックが発生した際に、そのクラックがハニカム構造体の流路方向全域に貫通し難くなるため、クラックによるハニカムセグメントの分離を有効に抑制することができる。また、本発明のハニカム構造体は、接合層にクラックが発生して一部のハニカムセグメントが分離したとしても、分離したハニカムセグメントが下流側に抜け落ちてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すハニカム構造体の第一端面側を示す平面図である。
図3図1に示すハニカム構造体の第二端面側を示す平面図である。
図4図3のA-A’断面を模式的に示す断面図である。
図5図3のB-B’断面を模式的に示す断面図である。
図6】本発明のハニカム構造体の第一実施形態に用いられる一のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図7】本発明のハニカム構造体の第一実施形態に用いられる他のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図8図3に示す一のハニカムセグメントを拡大した拡大平面図である。
図9】本発明のハニカム構造体の第二実施形態の第二端面側を模式的に示す平面図である。
図10】本発明のハニカム構造体の第二実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図11】本発明のハニカム構造体の第三実施形態に用いられる一のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図12】本発明のハニカム構造体の第三実施形態に用いられる他のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図13】本発明のハニカム構造体の第四実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図14】本発明のハニカム構造体の第五実施形態に用いられる一のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図15】本発明のハニカム構造体の第五実施形態に用いられる他のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図16】本発明のハニカム構造体の第六実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
図17】本発明のハニカム構造体の第六実施形態の第二端面側を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0018】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の第一実施形態は、図1図5に示すようなハニカム構造体100である。ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すハニカム構造体の第一端面側を示す平面図である。図3は、図1に示すハニカム構造体の第二端面側を示す平面図である。図4は、図3のA-A’断面を模式的に示す断面図である。図5は、図3のB-B’断面を模式的に示す断面図である。
【0019】
図1図5に示すハニカム構造体100は、ハニカムセグメント接合体10、及びハニカムセグメント接合体10の外周を囲繞するように配置された外周壁13を備えた、セグメント構造のハニカム構造体100である。
【0020】
ハニカムセグメント接合体10は、複数個の柱状のハニカムセグメント4と、複数個のハニカムセグメント4の側面同士を格子状に接合する接合層14と、を有している。ハニカムセグメント4は、流体の入口側となる第一端面11から流体の出口側となる第二端面12まで延びる複数のセル2を取り囲むように配置された多孔質の隔壁1と、ハニカムセグメント4の側面を構成するセグメント外壁3と、を有している。ハニカムセグメント4は、第一端面11及び第二端面12が四角形の四角柱状のものである。
【0021】
ハニカム構造体100は、複数個のハニカムセグメント4において、図6に示すような一のハニカムセグメント4aと、図7に示すような他のハニカムセグメント4bと、を有している。図6は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態に用いられる一のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図7は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態に用いられる他のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。
【0022】
図6に示すように、一のハニカムセグメント4aは、一のハニカムセグメント4aの一の側面であるセグメント外壁3に、外方に向けて突出した少なくとも1つの凸部7を有している。そして、一のハニカムセグメント4aの少なくとも1つの凸部7は、一のハニカムセグメント4aの第一端面11から第二端面12に向かう軸方向において、第一端面11又は第二端面12のいずれか一方を起点とし、上記軸方向に延びるように設けられている。図6に示す一のハニカムセグメント4aにおいて、4つの側面を構成する各セグメント外壁3には、第二端面12を起点とし、一のハニカムセグメント4aの軸方向に延びるような凸部7がそれぞれ設けられている。以下、本明細書において、特に断りのない限り、「軸方向」とは、ハニカムセグメント4の第一端面11から第二端面12に向かう方向を意味する。
【0023】
図7に示すように、他のハニカムセグメント4bは、他のハニカムセグメント4bの一の側面であるセグメント外壁3に、内方に向けて窪んだ少なくとも1つの凹部8を有している。そして、他のハニカムセグメント4bの少なくとも1つの凹部8は、他のハニカムセグメント4bの第一端面11から第二端面12に向かう軸方向において、第一端面11又は第二端面12のいずれか一方を起点とし、上記軸方向に延びるように設けられている。図7に示す他のハニカムセグメント4bにおいて、4つの側面を構成する各セグメント外壁3には、第二端面12を起点とし、他のハニカムセグメント4bの軸方向に延びるような凹部8がそれぞれ設けられている。
【0024】
図1図5に示すハニカムセグメント接合体10において、図6に示す一のハニカムセグメント4aと図7に示す他のハニカムセグメント4bは、互いの一の側面同士が対向するように隣り合って配置されている。そして、他のハニカムセグメント4bの凹部8内に、一のハニカムセグメント4aの凸部7が挿入された状態で接合層14を介して相互に接合されている。そして、ハニカム構造体100は、一のハニカムセグメント4aの凸部7及び他のハニカムセグメント4bの凹部8の構成について特に主要な特徴を有している。以下、一のハニカムセグメント4aの凸部7及び他のハニカムセグメント4bの凹部8の構成についてより詳細に説明する。
【0025】
図6に示す一のハニカムセグメント4aにおいて、凸部7の横幅方向の長さW2が、一のハニカムセグメント4aの一の側面の横幅方向の長さW1より小さい。ここで、「横幅方向」とは、一のハニカムセグメント4aの軸方向及び凸部7の突出高さ方向のそれぞれに直交する方向を意味する。なお、「凸部7の突出高さ方向」は、一のハニカムセグメント4aの一の側面に対する法線方向のことである。
【0026】
また、一のハニカムセグメント4aの凸部7は、軸方向に直交する面において、例えば、図8に示す「なす角θ1」が、60°以上であるものとする。図8は、図3に示す一のハニカムセグメントを拡大した拡大平面図である。図8に示すように、凸部7の突出高さ方向の裾部16は、一の側面であるセグメント外壁3の平坦部から屈曲した屈曲側面15によって構成されている。そして、凸部7の底面部分を仮想底面17とした際に、凸部7の仮想底面17と、凸部7の屈曲側面15とのなす角θ1が、60°以上である。なお、凸部7の仮想底面17とは、凸部7の仮想的な底面部分のことであり、一のハニカムセグメント4aの一の側面の平坦部から仮想的に延長される平面によって構成される。凸部7の屈曲側面15は、平坦部から鋭く山形に曲がるものに限定されず、平坦部から円弧を描くように折れ曲がっていてもよい。例えば、屈曲側面15が、一のハニカムセグメント4aの側面の平坦部から円弧を描くように折れ曲がっている場合には、以下のようにして、上述したなす角θ1を求めることとする。まず、凸部の屈曲側面15が曲面によって構成される場合には、凸部の屈曲側面15の「凸部7の根元から突出高さ方向の20%の位置」における接線方向を、凸部7の屈曲側面15の延びる方向とする。そして、凸部7の仮想底面17と、凸部7の屈曲側面15の延びる方向と、によって形成される角の大きさを、上述したなす角θ1とする。
【0027】
一のハニカムセグメント4aの凸部7の横幅方向の長さW2は、突出高さ方向において一定でなくともよい。例えば、図6に示す一のハニカムセグメント4aの凸部7は、軸方向に直交する面において、その形状が略長方形となり、その突出高さ方向において、横幅方向の長さW2が一定となっている。しかしながら、一のハニカムセグメント4aの凸部7は、軸方向に直交する面において、例えば、三角形や台形などの多角形、或いは、凸部7の屈曲側面15が湾曲した半円状や半楕円などの形状であってよい。他のハニカムセグメント4bの凹部8の形状については、一のハニカムセグメント4aの凸部7の形状に応じて適宜変更することができる。
【0028】
図7に示す他のハニカムセグメント4bにおいて、凹部8の横幅方向の長さW4が、他のハニカムセグメント4bの一の側面の横幅方向の長さW3より小さい。ここで、「横幅方向」とは、他のハニカムセグメント4bの軸方向及び凹部8の窪み方向のそれぞれに直交する方向を意味する。なお、「凹部8の窪み方向」は、他のハニカムセグメント4bの一の側面に対する法線方向のことである。
【0029】
図1図5に示すようなハニカム構造体100は、従来のセグメント構造のハニカム構造体に比して、接合層14に発生したクラックが、ハニカム構造体100の流路方向(別言すれば、軸方向)全域に貫通し難くなる。したがって、ハニカム構造体100は、ハニカムセグメント4の分離を有効に抑制することができる。また、ハニカム構造体100は、各ハニカムセグメント4の互いの一の側面同士が対向するようなハニカムセグメント接合体10であっても、ハニカムセグメント4同士の分離を極めて有効に抑制することができる。即ち、ハニカムセグメント接合体10において、各ハニカムセグメント4が碁盤の目状に配置されていても、各ハニカムセグメント4の分離を有効に抑制することができる。更に、ハニカム構造体100は、仮に、接合層14にクラックが発生して一部のハニカムセグメント4が分離したとしても、分離したハニカムセグメント4が下流側に抜け落ちてしまうことを防止することができる。
【0030】
一のハニカムセグメント4aの凸部7の一の側面から突出する突出高さH2(図3及び図6参照)が、一のハニカムセグメント4aと他のハニカムセグメントの互いの一の側面相互間の接合層14の最大厚さH1(図3参照)より大きいことが好ましい。このように構成することによって、接合層14にクラックが発生して一部のハニカムセグメント4が分離したとしても、分離したハニカムセグメント4が下流側に抜け落ちてしまうことをより防止することができる。
【0031】
ハニカム構造体100は、凸部7の横幅方向の長さW2が、一のハニカムセグメント4aの一の側面の横幅方向の長さW1より小さく、また、凹部8の横幅方向の長さW4が、他のハニカムセグメント4bの一の側面の横幅方向の長さW3より小さい。ここで、凸部7の横幅方向の長さW2が、一のハニカムセグメント4aの一の側面の横幅方向の長さW1の20~70%であ、20~50%であることが好ましい。また、凹部8の横幅方向の長さW4が、他のハニカムセグメント4bの一の側面の横幅方向の長さW3の20~70%であ、20~50%であることが好ましい。このように構成することによって、ハニカム構造体100の軸方向に直交する面におけるセル2の流路面積の減少を有効に抑制することができ、ハニカム構造体100の圧力損失の上昇を抑制することができる。
【0032】
凸部7の軸方向の長さL2については特に制限はない。例えば、凸部7の軸方向の長さL2が、一のハニカムセグメント4aの軸方向の長さL1の5~50%の長さであると、流路面積減少を有効に抑制する点で好ましい。また、凹部8の軸方向の長さL4は、対向するように隣り合って配置される一のハニカムセグメント4aの凸部7が挿入され得る長さを有していれば特に制限はない。具体的には、凹部8の軸方向の長さL4は、対向するように隣り合って配置される一のハニカムセグメント4aの凸部7の軸方向の長さL2よりも若干長いものでればよい。例えば、凸部7の軸方向の長さL2が、一のハニカムセグメント4aの軸方向の長さL1の5~50%の長さである場合には、凹部8の軸方向の長さL4が、他のハニカムセグメント4bの軸方向の長さL3の5~50%の長さであることが好ましい。なお、1つのハニカム構造体100において、一のハニカムセグメント4aの軸方向の長さL1と、他のハニカムセグメント4bの軸方向の長さL3とは同じ長さであることが好ましい。
【0033】
凸部7の仮想底面17と、凸部7の屈曲側面15とのなす角θ1は、60°以上であるが、60~90°であることが好ましく、80~90°であることが更に好ましい。なす角θ1が60°未満であると、凹部8内に凸部7が挿入される際に、凹部8内での凸部7の位置が安定しないことがある。一方で、なす角θ1が90°を超えると、凸部7の先端側が広がり過ぎてしまい、凸部7の挿入が困難になってしまうことがある。
【0034】
凹部8の窪み深さH4は、対向するように隣り合って配置される一のハニカムセグメント4aの凸部7の突出高さH2に対応し、この凸部7が挿入され得る窪み深さを有していれば特に制限はない。具体的には、凹部8の窪み深さH4は、対向するように隣り合って配置される一のハニカムセグメント4aの凸部7の突出高さH2と同じであることが好ましい。凹部8の窪み深さH4は、他のハニカムセグメント4bのセグメント外壁3の厚さよりも小さくもよいし、セグメント外壁3の厚さよりも大きくてもよい。ハニカム構造体100において、凹部8の窪み深さH4は、他のハニカムセグメント4bのセグメント外壁3の厚さよりも小さく、凹部8がセグメント外壁3を貫通しないように形成されていることが好ましい。例えば、凹部8の窪み深さH4が、セグメント外壁3の厚さよりも大きくなる形態としては、図15に示す他のハニカムセグメント84bを挙げることができる。図15に示す他のハニカムセグメント84bの詳細については後述するが、図15に示すハニカムセグメント84bにおいては、凹部88が、他のハニカムセグメント84bのセグメント外壁83を貫通するように形成され、凹部88の一部が、ハニカムセグメント84内に形成された一部のセル2内まで到達している。
【0035】
ハニカムセグメント4に形成されているセル2の形状については特に制限はない。例えば、セル2の延びる方向に直交する断面における、セル2の形状としては、多角形、円形、楕円形等を挙げることができる。多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等を挙げることができる。なお、セル2の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形であることが好ましい。また、セル2の形状については、全てのセル2の形状が同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、図示は省略するが、四角形のセルと、八角形のセルと混在したものであってもよい。また、セル2の大きさについては、全てのセル2の大きさが同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、図示は省略するが、複数のセルのうち、一部のセルの大きさを大きくし、他のセルの大きさを相対的に小さくしてもよい。
【0036】
隔壁1によって区画されるセル2のセル密度が、15~62個/cmであることが好ましく、31~54個/cmであることが更に好ましい。このように構成することによって、本実施形態のハニカム構造体100を、自動車のエンジンから排出される排ガスを浄化するための浄化部材(例えば、フィルタや触媒担体)として好適に利用することができる。
【0037】
隔壁1の気孔率が、30~75%であることが好ましく、35~70%であることが更に好ましく、40~65%であることが特に好ましい。隔壁1の気孔率は、水銀圧入法によって測定された値である。隔壁1の気孔率の測定は、例えば、Micromeritics社製のオートポア9500(商品名)を用いて行うことができる。気孔率の測定は、各ハニカムセグメント4の隔壁1の一部を切り出して試験片とし、その試験片を用いて行うことができる。隔壁1の気孔率が、30%未満であると、ハニカム構造体100自体の圧力損失が増大することや、触媒の担持後における圧力損失のばらつきが大きくなることがある。隔壁1の気孔率が、75%を超えると、ハニカム構造体100の強度が低下してしまうことがある。
【0038】
ハニカムセグメント4を構成する材料に特に制限はないが、強度、耐熱性、耐久性等の観点から、下記材料群から選択される少なくとも1種の材質が好ましい。材料群とは、炭化珪素、珪素-炭化珪素系複合材料、窒化珪素、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素-コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、及びFe-Cr-Al系金属の材料群である。これらの中でも、炭化珪素、又は珪素-炭化珪素系複合材料が更に好ましい。珪素-炭化珪素系複合材料は、炭化珪素(SiC)を骨材とし、且つ珪素(Si)を結合材とする複合材料である。
【0039】
ハニカムセグメント4の形状については、特に制限はない。なお、ハニカムセグメント4のうち、最外周に配置されたハニカムセグメント4は、ハニカム構造体100の全体形状に応じて、その一部が研削等により加工されていることが好ましい。また、最外周に配置されたハニカムセグメント4以外のハニカムセグメント4は、例えば、軸方向に直交する断面形状が四角形の角柱状であることが好ましい。
【0040】
接合層14の材料については、特に制限はなく、従来公知のセグメント構造のハニカム構造体における接合層の材料を用いることができる。接合層14の最大厚さH1については特に制限はないが、例えば、0.5~3.0mmであることが好ましく、0.5~2.0mmであることが更に好ましく、0.5~1.5mmであることが特に好ましい。
【0041】
ハニカム構造体100の全体形状については、特に制限はない。例えば、図1に示すハニカム構造体100の全体形状は、第一端面11及び第二端面12が円形の円柱状である。その他、図示は省略するが、ハニカム構造体の全体形状としては、第一端面及び第二端面が、楕円形やレーストラック(Racetrack)形や長円形等の略円形の柱状であってもよい。また、ハニカム構造体の全体形状としては、第一端面及び第二端面が、四角形や六角形等の多角形の角柱状であってもよい。
【0042】
ハニカム構造体100の大きさ、例えば、第一端面から第二端面までの長さや、ハニカム構造体100のセル2の延びる方向に直交する断面の大きさについては、特に制限はない。ハニカム構造体100を、排ガス浄化用のフィルタとして用いた際に、最適な浄化性能を得るように、各大きさを適宜選択すればよい。例えば、ハニカム構造体100の第一端面から第二端面までの長さは、100~300mmであることが好ましく、100~200mmであることが特に好ましい。また、ハニカム構造体100のセル2の延びる方向に直交する断面の面積は、15000~90000mmであることが好ましく、20000~70000mmであることが特に好ましい。
【0043】
ハニカム構造体100は、それぞれのハニカムセグメント4におけるセル2の第一端面11側又は第二端面12側のいずれか一方の端部が、目封止部5によって目封止されていてもよい。このように構成することによって、ハニカム構造体100を、排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集除去するためにフィルタとして良好に利用することができる。目封止部5の材料については特に制限はない。目封止部5の材料は、例えば、ハニカムセグメント4を構成する材料として例示した材料と同様な材料が好ましい。
【0044】
次に、本発明のハニカム構造体の第二実施形態について、図9及び図10を参照しつつ説明する。図9は、本発明のハニカム構造体の第二実施形態の第二端面側を模式的に示す平面図である。図10は、本発明のハニカム構造体の第二実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図9及び図10において、図1図5に示すハニカム構造体100並びに図6及び図7に示すハニカムセグメント4と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0045】
図9に示すように、第二実施形態のハニカム構造体200は、ハニカムセグメント接合体30、及びハニカムセグメント接合体30の外周を囲繞するように配置された外周壁13を備えた、セグメント構造のハニカム構造体200である。
【0046】
ハニカムセグメント接合体30は、複数個の柱状のハニカムセグメント24と、複数個のハニカムセグメント24の側面同士を格子状に接合する接合層14と、を有している。ハニカムセグメント24は、第一端面11から第二端面12まで延びる複数のセル2を取り囲むように配置された多孔質の隔壁1と、ハニカムセグメント24の側面を構成するセグメント外壁23と、を有している。
【0047】
第二実施形態のハニカム構造体200は、ハニカムセグメント接合体30が、図10に示すようなハニカムセグメント24によって構成されている。ハニカムセグメント24は、四角柱状の1つの側面において、外方に向けて突出した凸部27を有し、また、四角柱状の別の側面において、内方に向けて窪んだ凹部28を有している。このため、ハニカムセグメント24は、1つのハニカムセグメント24が、図6に示すような一のハニカムセグメント4aの機能を有しつつ、図7に示すような他のハニカムセグメント4bの機能も有している。第二実施形態のハニカム構造体200は、複数個のハニカムセグメント24が互いの側面同士が対向するように隣り合って配置された状態において、一のハニカムセグメント24の凸部27が、他のハニカムセグメント24の凹部28に挿入されている。このように構成されたハニカム構造体200も、これまでに説明した第一実施形態のハニカム構造体100(図1図5参照)と同様の効果を奏するものとなる。
【0048】
ハニカムセグメント24のように、1つのハニカムセグメント24において凸部27と凹部28の双方を有する場合には、例えば、角柱状の側面のうちの半数の側面に凸部27を有し、もう半数の側面に凹部28を有することが好ましい。例えば、ハニカムセグメント24が四角柱状の場合には、2つの側面に凸部27を有し、残りの2つの側面に凹部28を有することが好ましい。このように構成することによって、1種類のハニカムセグメント24の組み合わせによって、他のハニカムセグメント24の凹部28内に、一のハニカムセグメント24の凸部27が挿入されたハニカムセグメント接合体30を簡便に得ることができる。なお、第一実施形態のハニカム構造体100(図1図5参照)においては、一のハニカムセグメント4aと他のハニカムセグメント4bとが、それぞれ異なる構成のハニカムセグメント4となっている。但し、一のハニカムセグメント4aは、少なくとも1つの凸部7を有するハニカムセグメント4であればよく、また、他のハニカムセグメント4bは、少なくとも1つの凹部8を有するハニカムセグメント4であればよい。したがって、本発明のハニカム構造体において、互いの一の側面同士が対向するように隣り合って配置された2つのハニカムセグメント(即ち、一のハニカムセグメントと他のハニカムセグメント)は、異なるものであってもよいし、同じものであってもよい。
【0049】
図10に示すハニカムセグメント24の凸部27及び凹部28のそれぞれは、例えば、図6に示すハニカムセグメント4の凸部7及び図7に示すハニカムセグメント4の凹部8と同様に構成されていることが好ましい。例えば、図10に示すハニカムセグメント24の凸部27において、横幅方向の長さW2、突出高さH2、及び軸方向の長さL2に関しては、図6に示すハニカムセグメント4の凸部7と同様に構成されていることが好ましい。また、図10に示すハニカムセグメント24の凹部28において、横幅方向の長さW4、及び軸方向の長さL4等に関しても、図に示すハニカムセグメント4の凹部8と同様に構成されていることが好ましい。
【0050】
次に、本発明のハニカム構造体の第三実施形態及び第四実施形態について、図11図13を参照しつつ説明する。図11は、本発明のハニカム構造体の第三実施形態に用いられる一のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図12は、本発明のハニカム構造体の第三実施形態に用いられる他のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図13は、本発明のハニカム構造体の第四実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図1113において、図6及び図7に示すハニカムセグメント4と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0051】
第三実施形態のハニカム構造体(図示せず)においては、図11及び図12に示される2種類のハニカムセグメント44によってハニカムセグメント接合体(図示せず)が形成されている。第三実施形態のハニカム構造体(図示せず)は、図11及び図12に示されるハニカムセグメント44が用いられること以外は、これまでに説明した第一実施形態のハニカム構造体100(図1図5参照)と同様に構成されていることが好ましい。
【0052】
図11に示すハニカムセグメント44aは、四角柱状の各側面を構成するセグメント外壁43に、外方に向けて突出した凸部47を有している。ハニカムセグメント44aの凸部47は、第一端面11を起点とし、第二端面12を終点とし、ハニカムセグメント44aの軸方向に延びるように設けられている。また、図12に示すハニカムセグメント44bは、四角柱状の各側面を構成するセグメント外壁43に、内方に向けて窪んだ凹部48を有している。ハニカムセグメント44bの凹部48は、第一端面11を起点とし、第二端面12を終点とし、ハニカムセグメント44bの軸方向に延びるように設けられている。
【0053】
第三実施形態のハニカム構造体は、図11に示すハニカムセグメント44aと、図12に示すハニカムセグメント44bとが、互いの側面同士が対向するように隣り合って配置されることによってハニカムセグメント接合体(図示せず)が形成されている。このように構成されたハニカム構造体も、これまでに説明した第一実施形態のハニカム構造体100(図1図5参照)と同様の効果を奏するものとなる。
【0054】
図11に示すハニカムセグメント44aは、凸部47の軸方向の長さ以外については、図6に示す一のハニカムセグメント4aと同様に構成されていることが好ましい。図12に示すハニカムセグメント44bは、凹部48の軸方向の長さ以外については、図7に示す他のハニカムセグメント4bと同様に構成されていることが好ましい。
【0055】
次に、第四実施形態のハニカム構造体(図示せず)について説明する。第四実施形態のハニカム構造体(図示せず)は、図13に示されるハニカムセグメント64によってハニカムセグメント接合体(図示せず)が形成されている。第四実施形態のハニカム構造体(図示せず)は、図13に示されるハニカムセグメント64が用いられること以外は、これまでに説明した第二実施形態のハニカム構造体200(図9参照)と同様に構成されていることが好ましい。
【0056】
図13に示すハニカムセグメント64は、四角柱状の各側面を構成するセグメント外壁63に、外方に向けて突出した凸部67と、内方に向けて窪んだ凹部68と、を有している。ハニカムセグメント64の凸部67及び凹部68は、第一端面11を起点とし、第二端面12を終点とし、ハニカムセグメント64の軸方向に延びるように設けられている。このように構成されたハニカム構造体も、これまでに説明した第二実施形態のハニカム構造体200(図9参照)と同様の効果を奏するものとなる。
【0057】
図13に示すハニカムセグメント64は、凸部67及び凹部68の軸方向の長さ以外については、図10に示すハニカムセグメント24と同様に構成されていることが好ましい。
【0058】
次に、本発明のハニカム構造体の第五実施形態及び第六実施形態について、図14図17を参照しつつ説明する。図14は、本発明のハニカム構造体の第五実施形態に用いられる一のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図15は、本発明のハニカム構造体の第五実施形態に用いられる他のハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図16は、本発明のハニカム構造体の第六実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す斜視図である。図17は、本発明のハニカム構造体の第六実施形態の第二端面側を模式的に示す平面図である。図1416において、図6及び図7に示すハニカムセグメント4と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。図17において、図9に示すハニカム構造体200と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0059】
第五実施形態のハニカム構造体(図示せず)においては、図14及び図15に示される2種類のハニカムセグメント84によってハニカムセグメント接合体(図示せず)が形成されている。第五実施形態のハニカム構造体(図示せず)は、図14及び図15に示されるハニカムセグメント84が用いられること以外は、これまでに説明した第一実施形態のハニカム構造体100(図1図5参照)と同様に構成されていることが好ましい。
【0060】
図14に示すハニカムセグメント84aは、四角柱状の各側面を構成するセグメント外壁83に、外方に向けて突出した凸部87を有している。ハニカムセグメント84aの凸部87は、第二端面12を起点とし、ハニカムセグメント84aの軸方向に延びるように設けられている。また、図15に示すハニカムセグメント84bは、四角柱状の各側面を構成するセグメント外壁83に、内方に向けて窪んだ凹部88を有している。ハニカムセグメント84bの凹部88は、第二端面12を起点とし、ハニカムセグメント84bの軸方向に延びるように設けられている。
【0061】
図15に示すハニカムセグメント84bは、図7に示す他のハニカムセグメント4bに対応するものであるが、内方に向けて窪んだ凹部88の構成が、図7に示す他のハニカムセグメント4bの凹部8と相違している。即ち、図15に示すハニカムセグメント84bの凹部88は、ハニカムセグメント84bのセグメント外壁83を貫通し、ハニカムセグメント84bの最外周のセル2まで到達するような窪み深さを有している。なお、例えば、凹部88の窪み深さは、図15に示すものよりも更に深いものであってもよい。例えば、図示は省略するが、ハニカムセグメント84bの凹部88は、最外周のセル2を区画する外周側の隔壁1よりも内側まで窪んでいるものであってもよい。
【0062】
図14に示すハニカムセグメント84aの凸部87の突出高さは、図15に示すハニカムセグメント84bの凹部88の窪み深さに対応するものとなっている。第五実施形態のハニカム構造体は、図14に示すハニカムセグメント84aと、図15に示すハニカムセグメント84bとが、互いの側面同士が対向するように隣り合って配置されることによってハニカムセグメント接合体(図示せず)が形成されている。このように構成されたハニカム構造体も、これまでに説明した第一実施形態のハニカム構造体100(図1図5参照)と同様の効果を奏するものとなる。特に、本実施形態のハニカム構造体は、ハニカムセグメントの抜け落ちをより有効に抑制することができる。
【0063】
図14に示すハニカムセグメント84aは、凸部87の突出高さ以外については、図6に示す一のハニカムセグメント4aと同様に構成されていることが好ましい。図15に示すハニカムセグメント84bは、凹部48の窪み深さ以外については、図7に示す他のハニカムセグメント4bと同様に構成されていることが好ましい。
【0064】
次に、第六実施形態のハニカム構造体について、図16及び図17を参照して説明する。図17に示すように、第六実施形態のハニカム構造体300は、ハニカムセグメント94によってハニカムセグメント接合体90が形成されている。第六実施形態のハニカム構造体300は、ハニカムセグメント94が用いられること以外は、これまでに説明した第二実施形態のハニカム構造体200(図9参照)と同様に構成されていることが好ましい。図16は、第六実施形態に用いられるハニカムセグメントを模式的に示す斜視図であり、図17に示すハニカムセグメント94の変形例を示している。
【0065】
図16に示すハニカムセグメント94は、四角柱状の各側面を構成するセグメント外壁93に、外方に向けて突出した凸部97と、内方に向けて窪んだ凹部98と、を有している。ハニカムセグメント94の凸部97及び凹部98は、第二端面12を起点とし、ハニカムセグメント94の軸方向に延びるように設けられている。ハニカムセグメント94の凹部98は、ハニカムセグメント94のセグメント外壁93を貫通し、ハニカムセグメント94の最外周のセル2まで到達するような窪み深さを有している。ハニカムセグメント94の凸部87の突出高さは、上記した凹部98の窪み深さに対応するものとなっている。このように構成されたハニカム構造体も、これまでに説明した第二実施形態のハニカム構造体200(図9参照)と同様の効果を奏するものとなる。特に、本実施形態のハニカム構造体300は、ハニカムセグメントの抜け落ちをより有効に抑制することができる。
【0066】
図16に示すハニカムセグメント94は、凸部97の突出高さ及び凹部98の窪み深さが異なること以外は、図10に示すハニカムセグメント24と同様に構成されていることが好ましい。
【0067】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。ハニカム構造体の製造方法としては、「ハニカムセグメント作製工程」と、「組立体作製工程」と、「接合体作製工程」と、を備えた方法を挙げることができる。
【0068】
ハニカムセグメント作製工程は、図6及び図7に示すような、複数のセル2を取り囲むように配置された多孔質の隔壁1、及び隔壁1を囲繞するように配置されたセグメント外壁3を有する角柱状のハニカムセグメント4を複数個作製する工程である。ハニカムセグメント作製工程は、従来公知のセグメント構造のハニカム構造体を製造する際における、ハニカムセグメントの作製方法に準じて行うことができる。
【0069】
ハニカムセグメント作製工程において、図6に示すような凸部7を有するハニカムセグメント4を作製する場合には、以下の方法によって、セグメント外壁3の表面に、所望の突出高さH2の凸部7を形成する。具体的には、まず、ハニカムセグメント4を作製するための成形体を押出成形等によって作製する。この際、ハニカムセグメント4の成形体におけるセグメント外壁の厚さを、凸部7の突出高さH2を含んだ厚さとなるように成形を行う。そして、作製したハニカムセグメント4の成形体を焼成して、ハニカムセグメント4の前駆体を作製する。そして、ハニカムセグメント4の前駆体について、切削加工などにより、不要なセグメント外壁を切削することにより所望の凸部を形成する。
【0070】
また、ハニカムセグメント作製工程において、図7に示すような凹部8を有するハニカムセグメント4を作製する場合には、以下の方法によって、セグメント外壁3の表面に、所望の窪み深さH4の凹部8を形成する。具体的には、従来公知の方法で、セグメント外壁3の表面に凹部8が形成されていないハニカムセグメント4の前駆体を作製する。作製したハニカムセグメント4の前駆体について、セグメント外壁3の一部を切削加工して、所望の凹部を形成する。
【0071】
組立体作製工程は、複数個のハニカムセグメントを格子状に組み合わせて、ハニカムセグメントの組立体を作製する工程である。より具体的には、組立体作製工程では、まず、ハニカムセグメントの側面(別言すれば、「セグメント外壁」)に接合用ペーストを塗工する。次に、複数個のハニカムセグメントを、互いの側面相互間に接合用ペーストを介在させた状態で格子状に組み合わせて、ハニカムセグメントの組立体を作製する。この際、一のハニカムセグメントの凸部と他のハニカムセグメントの凹部とが嵌り合うように、複数個のハニカムセグメントを格子状に組み合わせる。
【0072】
接合体作製工程は、ハニカムセグメントの組立体を乾燥させて、複数個のハニカムセグメントの側面同士を接合用ペーストによって接合して、ハニカムセグメントの接合体を作製する工程である。接合体作製工程は、主に、ハニカムセグメントの側面同士を接合する接合用ペーストを乾燥・固化させるための工程であり、乾燥・固化した接合用ペーストは、ハニカム構造体における接合層となり、この乾燥・固化により、接合層に所望の接合力が発現する。
【0073】
乾燥の方法は特に制限はなく、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。
【0074】
接合体作製工程によって、ハニカムセグメントの接合体を作製した後、得られた接合体の外周部分を所望の形状となるように研削加工してもよい。例えば、このような研削加工を行うことにより、図1図5に示すような、円柱状のハニカムセグメント接合体10を作製することができる。また、接合体の外周部分を研削加工した後、その外周面に外周コート層を配設して、ハニカム構造体100(図1参照)の外周壁13(図1参照)を作製してもよい。このような接合体作製工程以降の各製造工程については、例えば、従来公知のセグメント構造のハニカム構造体を製造する方法に準じて行うことができる。
【実施例
【0075】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)
まず、ハニカムセグメントを作製するための坏土を調製するための原料粉末として、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを混合した混合原料を準備した。そして、準備した混合原料に、バインダ、造孔材、及び水を適量加えて、可塑性の坏土を調製した。
【0077】
次に、得られた坏土を、押出成形機を用いて成形し、四角柱状のハニカム成形体を49個作製した。そして、ハニカム成形体の22個について、ハニカム成形体の各側面に凸部を形成し、ハニカム成形体の21個について、ハニカム成形体の各側面に凹部を形成した。
【0078】
次に、得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて更に乾燥した。次に、乾燥後のハニカムセグメント成形体のセルの端部に、セルの開口部が第一端面側と第二端面側とで交互に目封止されるように目封止部を配設した。
【0079】
次に、各ハニカムセグメント成形体を、脱脂し、焼成して、ハニカムセグメントを作製した。各ハニカムセグメントの端面の大きさは、1辺が39.4mmの正方形であった。ハニカムセグメントの端面の大きさは、ハニカムセグメントの横幅方向の長さW1,W3に対応する。また、各ハニカムセグメントの第一端面から第二端面までの軸方向の長さL1,L3は、304.8mmであった。ハニカムセグメントのセグメント外壁の厚さは1.5mmであった。表1に、ハニカムセグメントの構成を示す。
【0080】
凸部を有するハニカムセグメントは、四角柱状のハニカムセグメントの4つの側面に、第二端面を起点として、軸方向に延びるように設けられていた。凸部の軸方向の長さL2は76.2mmで、突出高さH2は1.2mmで、横幅方向の長さW2は20mmであった。また、凹部を有するハニカムセグメントは、四角柱状のハニカムセグメントの4つの側面に、第二端面を起点として、軸方向に延びるように設けられていた。凹部の軸方向の長さL4は77.2mmで、窪み深さH4は1.2mmで、横幅方向の長さW4は22mmであった。表2に、ハニカムセグメントの凸部及び凹部の構成を示す。
【0081】
次に、ハニカムセグメントの側面に、SiC系モルタル接着材である接合用ペーストを塗工した。そして、49個のハニカムセグメントを、凸部を有するハニカムセグメントと凹部を有するハニカムセグメントとが交互に配置されるように接合用ペーストを介して格子状に組み合わせて、ハニカムセグメントの組立体を作製した。ハニカムセグメントの組立体を作製する際のハニカムセグメントの配置及び個数を、表1の「ハニカムセグメント」における「配置」及び「総数(個)」の欄に示す。なお、「配置」の欄には、例えば、上述したように、縦方向及び横方向にそれぞれ7個ずつハニカムセグメントが配置される場合には、「7×7」と示す。
【0082】
表1の「参照図」の欄には、各実施例におけるハニカムセグメントの形状及びその配置を参照するための図面の番号を示す。例えば、実施例1のハニカム構造体は、凸部を有するハニカムセグメントを一のハニカムセグメントとし、凹部を有するハニカムセグメントを他のハニカムセグメントとした際に、図3に示すようなハニカムセグメント4a,4bの配置を有している。即ち、図3に示すように、一のハニカムセグメント4aと他のハニカムセグメント4bとが接合層14を挟んで交互に配置されている。そして、一のハニカムセグメント4aの凸部7が、他のハニカムセグメント4bの凹部8内に挿入された状態で、接合層14を介して相互に接合されている。
【0083】
次に、ハニカムセグメントの組立体を、100℃の大気雰囲気で、1時間乾燥して、ハニカムセグメントの接合体を作製した。次に、作製したハニカムセグメントの接合体の外周を円柱状に研削加工し、その外周面に外周コート層を配設して、ハニカム構造体を製造した。実施例1のハニカム構造体において、ハニカムセグメントの互いの側面相互間の接合層の最大厚さH1は1.0mmであった。結果を表1に示す。
【0084】
ハニカムセグメントの軸方向の長さL1に対する、凸部の軸方向の長さL2の比の百分率を、表3の「L2/L1(%)」の欄に示す。ハニカムセグメントの軸方向の長さL3に対する、凹部の軸方向の長さL4の比の百分率を、表3の「L4/L3(%)」の欄に示す。ハニカムセグメントの横幅方向の長さW1に対する、凸部の横幅方向の長さW2の比の百分率を、表3の「W2/W1(%)」の欄に示す。ハニカムセグメントの横幅方向の長さWに対する、凹部の横幅方向の長さW4の比の百分率を、表3の「W4/W3(%)」の欄に示す。接合層の最大厚さH1に対する、凸部の突出高さH2の比の百分率を、表3の「H2/H1(%)」の欄に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
実施例1にて製造したハニカム構造体について、以下の方法で、「接合部のクラック進展有無評価」を行った。結果を表3に示す。
【0089】
[接合部のクラック進展有無評価]
ハニカム構造体に150℃~850℃の冷熱ガスを繰り返し負荷した。加えて同時に振動負荷装置により物理的な振動を付与して、試験後に、ハニカム構造体の接合層についてのクラックの進展の有無を確認した。振動負荷装置による振動条件は、加速度30G、振動数100Hzとした。クラックの進展の有無の確認は、以下の方法で行った。まず、本評価においては、各実施例及び比較例についてハニカム構造体を10個作製し、10個のハニカム構造体について、上記試験を行った。その後、10個のハニカム構造体について、第一端面からセルの延びる方向の10mmまでの範囲、及び第二端面からセルの延びる方向の10mmの各接合層について、クラックの発生及び進展を目視及びCT観察にて確認した。いずれか一方の端面(即ち、第一端面又は第二端面)から10mmまでの範囲の接合層において、クラックの発生及び進展が確認されなかった場合を、クラックの進展が見られないと判断した。
評価「優」:10個のハニカム構造体の全てにおいて、クラックの進展が見られない。
評価「良」:10個のハニカム構造体のうちの7個以上において、クラックの進展が見られない。
評価「不可」:10個のハニカム構造体のうちの4個以上において、クラックの進展が見られる。
【0090】
(実施例2~23)
実施例2~23については、ハニカムセグメントの構成及び配置を表1又は表4のようなものとし、且つ、ハニカムセグメントの凸部及び凹部の構成を表2又は表5のようなものとして、ハニカム構造体を作製した。表1、表2、表3及び表4に示す以外の構成については、実施例1と同様のものとした。実施例2~23のハニカム構造体についても、実施例1と同様の方法で、接合部のクラック進展有無評価を行った。結果を表3に示す。以下、実施例21,23を、参考例21,23と読み替える。
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
(比較例1~3)
比較例1~3については、ハニカムセグメントの構成及び配置を表4のようなものとしてハニカム構造体を作製した。比較例1においては、ハニカムセグメントの側面に凹部及び凸部を設けずに、四角柱状の各側面が平坦なハニカムセグメントを49個作製した。そして、この49個のハニカムセグメントを、接合用ペーストを介して格子状に組み合わせてハニカムセグメントの組立体を作製し、それ以降は、実施例1と同様の方法でハニカム構造体を作製した。比較例2及び3については、ハニカムセグメントの凸部及び凹部を、軸方向の起点が、第二端面から20mm又は50mmとなるようにしてハニカムセグメントを49個作製した。比較例2及び3における凸部及び凹部の構成は、表5に示すようなものとした。そして、この49個のハニカムセグメントを、接合用ペーストを介して格子状に組み合わせてハニカムセグメントの組立体を作製し、それ以降は、実施例1と同様の方法でハニカム構造体を作製した。比較例1~3のハニカム構造体についても、実施例1と同様の方法で、接合部のクラック進展有無評価を行った。結果を表3に示す。
【0094】
(結果)
実施例1~23のハニカム構造体は、接合部のクラック進展有無評価において、良好な結果を示すものであることが分かった。特に、実施例1~20のハニカム構造体は、10個のハニカム構造体の全てにおいて、クラックの進展が見られなかった。なお、接合部のクラック進展有無評価にて、クラックの進展が見られなかったのは、ハニカム構造体の第一端面及び第二端面のうち、凸部及び凹部の起点となる端面側であった。一方、比較例1~3のハニカム構造体は、接合部のクラック進展有無評価において、実施例1~23のハニカム構造体よりも評価結果が劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のハニカム構造体は、排気ガスを浄化するための浄化部材として利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1:隔壁、2:セル、3,23,43,83:セグメント外壁、4,24,44,64,84,94:ハニカムセグメント、4a,44a,84a:ハニカムセグメント(一のハニカムセグメント)、4b,44b,84b:ハニカムセグメント(他のハニカムセグメント)、5:目封止部、7,27,47,67,87,97:凸部、8,28,48,68,88,98:凹部、
10,30,90:ハニカムセグメント接合体、11:第一端面、12:第二端面、13:外周壁、14:接合層、15:屈曲側面、16:裾部(凸部の裾部)、17:仮想底面、100,200,300:ハニカム構造体、H1:接合層の最大厚さ、H2:凸部の突出高さ、H4:凹部の窪み深さ、L1:一のハニカムセグメントの軸方向の長さ、L2:凸部の軸方向の長さ、L3:他のハニカムセグメントの軸方向の長さ、L4:凹部の軸方向の長さ、W1:一のハニカムセグメントの横幅方向の長さ、W2:凸部の横幅方向の長さ、W3:他のハニカムセグメントの横幅方向の長さ、W4:凹部の横幅方向の長さ、θ1:凸部の仮想底面と屈曲側面とのなす角。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17