(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】巻き上げロープの監視方法、およびエレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/02 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
B66B5/02 C
(21)【出願番号】P 2019235637
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-13
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】村田 二郎
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-086027(JP,A)
【文献】特開2007-176627(JP,A)
【文献】特開2007-276889(JP,A)
【文献】国際公開第2011/147456(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステム内の巻き上げロープの監視方法であって、
各々の巻き上げロープのテンションを測定することと、
前記巻き上げロープにおける前記テンションの平均値を計算することと、
いずれかのロープにおける前記テンションが前記平均値よりも
所定の割合以上高いかどうかを判定することと、
いずれかのロープにおける前記テンションが前記平均値よりも
所定の割合以上高い場合、ロープのほつれが検出されたことの信号を提供することと、
エレベータかごが床に駐車されている間に各々の巻き上げロープのテンションを測定することと、
前記テンションの定期的な変動に基づいて、各々のロープの揺れのロープ周波数及びロープ振幅を計算することと、
前記ロープ振幅が予め定められたレベルよりも高い場合、エレベータかごを予め定められた避難階に移動させることと、
を備えた、方法。
【請求項2】
各々の巻き上げロープのテンションを測定することは、各々の巻き上げロープ上に設けられたテンションゲージによってテンションを測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ロープのほつれは、予め定められたレベルよりも高いロープ振幅を有するロープの揺れが検出されるときにチェックされる、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
ロープのほつれは、前記ロープの揺れが解消した後にチェックされる、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記エレベータかごを予め定められた避難階に移動させることは、前記ロープ振幅が予め定められた第1のレベルよりも高いとき、前記エレベータかごを前記予め定められた避難階に標準速度で移動させることを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記エレベータかごを予め定められた避難階に移動させることは、前記予め定められた第1のレベルよりも高い予め定められた第2のレベルよりも前記ロープ振幅が高いとき、前記エレベータかごを前記予め定められた避難階に低速で移動させ、エレベータ動作をシャットダウンすることを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
地震検出信号を受信することと、
エレベータ動作をシャットダウンすることと、
地震及びビルディングの揺れが停止したかどうかを判定することと、
前記地震及びビルディングの揺れが停止した後、ロープのほつれをチェックすることと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
昇降路内で垂直に移動可能なエレベータかごと、
複数の巻き上げロープを介して前記エレベータかごに接続され、前記昇降路内で垂直に移動可能なカウンタウエイトと、
少なくとも1つの巻き上げロープのほつれを監視する巻き上げロープ監視デバイスと、を含み、前記巻き上げロープ監視デバイスは、
各々の巻き上げロープ上に設けられたテンションゲージと、
各々のテンションゲージから各々の巻き上げロープのテンション測定値を受信し、前記巻き上げロープにおけるテンションの平均値を計算し、いずれかのロープにおける前記テンションが前記平均値よりも
所定の割合以上高いかどうかを判定し、いずれかのロープにおける前記テンションが前記平均値よりも
所定の割合以上高い場合、ロープのほつれが検出されたことの信号を提供する、コントローラと、
を含
み、
前記コントローラは更に、前記エレベータかごが床に駐車されている間に各々のテンションゲージから各々の巻き上げロープの前記テンション測定値を受信し、前記テンションの定期的な変動に基づいて、各々のロープの揺れのロープ周波数及びロープ振幅を計算し、前記ロープ振幅が予め定められたレベルよりも高い場合、前記エレベータかごを予め定められた避難階に移動させるように構成される、エレベータシステム。
【請求項9】
前記巻き上げロープ監視デバイスは、地震センサを更に含む、請求項
8に記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、エレベータコントローラである、請求項
8に記載のエレベータシステム。
【請求項11】
ロープのほつれは、予め定められたレベルよりも高いロープ振幅を有するロープの揺れが検出されるときにチェックされる、請求項
8に記載のエレベータシステム。
【請求項12】
前
記コントローラは更に、前記地震センサから地震検出信号を受信し、エレベータ動作をシャットダウンし、地震及びビルディングの揺れが停止したかどうかを判定し、前記地震及びビルディングの揺れが停止した後、ロープのほつれをチェックする、請求項
9に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、エレベータシステムに関する。より具体的には、本発明は、巻き上げロープのほつれを監視する巻き上げロープ監視デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのエレベータシステムは、1つ以上の巻き上げロープを含むローピングによって昇降路内に吊るされたエレベータかご及びカウンタウエイトを含む。典型的には、エレベータかご及びカウンタウエイトの重量を支持するため、並びにエレベータかごを昇降路内の所望の位置に移動させるための巻き上げロープとしてワイヤロープ、ケーブル、またはベルトが使用される。巻き上げロープは、典型的には、所望のローピング機構に従って、いくつかのシーブの周りに経路指定される。
【0003】
巻き上げロープのうちの1つ以上が昇降路内で揺れ始めることがあるという状況が存在する。ビルディングが地震または強風に反応して動くことを理由に、ロープの揺れは、例えば、地震または非常に強い風の状態の間に発生することがある。ビルディングが動くにつれて、エレベータかご及びカウンタウエイトと関連付けられた長いロープは、側面から側面に揺れる傾向がある。これは、ビルディングの揺れの量がより低いビルディングと比較して典型的には大きい高層ビルディングにおいて、及び昇降路内のロープの自然周波数がビルディングの揺れの周波数の整数倍であるときに最も顕著である。
【0004】
巻き上げロープの過度なロープの揺れは、2つの主要な理由、それらが昇降路内のロープまたは他の機器に損傷を与えることがあること、及びそれらの動きがエレベータかご内で不快な振動レベルを生じさせることがあること、により好ましくない。巻き上げロープはまた、ロープの揺れに起因して、ほつれることがあり、またはレールブラケットまたは昇降路ドアなど、昇降路内の機器に引っかかることがある。これは、エレベータがそのような状況で動き続ける場合に危険なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
巻き上げロープの揺れまたはほつれを防止または検出する多くのアイデアが存在する。しかしながら、それらのアイデアのほとんど全ては、追加のまたは新たなデバイスを必要とし、それは、コスト及び技術的困難性に起因して実現可能性を減少させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によると、エレベータシステム内の巻き上げロープを監視する方法は、各々の巻き上げロープのテンションを測定することと、巻き上げロープにおけるテンションの平均値を計算することと、いずれかのロープにおけるテンションが平均値よりも著しく高いかどうかを判定することと、いずれかのロープにおけるテンションが平均値よりも著しく高い場合、ロープのほつれが検出されたことの信号を提供することと、を含む。
【0007】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、各々の巻き上げロープのテンションを測定することは、各々の巻き上げロープ上に設けられたテンションゲージによってテンションを測定することを含む、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0008】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、エレベータかごが床に駐車されている間に各々の巻き上げロープのテンションを測定することと、テンションの定期的な変動に基づいて、各々のロープの揺れのロープ周波数及びロープ振幅を計算することと、ロープ振幅が予め定められたレベルよりも高い場合、エレベータかごを予め定められた避難階に移動させることと、を更に含む、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0009】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、ロープのほつれは、予め定められたレベルよりも高いロープ振幅を有するロープの揺れが検出されるときにチェックされる、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0010】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、ロープのほつれは、ロープの揺れが解消した後にチェックされる、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0011】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、エレベータかごを予め定められた避難階に移動させることは、ロープ振幅が予め定められた第1のレベルよりも高いとき、エレベータかごを予め定められた避難階に標準速度で移動させることを含む、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0012】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、エレベータかごを予め定められた避難階に移動させることは、予め定められた第1のレベルよりも高い予め定められた第2のレベルよりもロープ振幅が高いとき、エレベータかごを予め定められた避難階に低速で移動させ、エレベータ動作をシャットダウンすることを含む、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0013】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、地震検出信号を受信することと、エレベータ動作をシャットダウンすることと、地震及びビルディングの揺れが停止したかどうかを判定することと、地震及びビルディングの揺れが停止した後、ロープのほつれをチェックすることと、を更に含む、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0014】
別の実施形態によると、エレベータシステムは、昇降路内で垂直に移動可能なエレベータかごと、複数の巻き上げロープを介してエレベータかごに接続され、昇降路内で垂直に移動可能なカウンタウエイトと、少なくとも1つの巻き上げロープのほつれを監視する巻き上げロープ監視デバイスと、を含み、巻き上げロープ監視デバイスは、各々の巻き上げロープ上に設けられたテンションゲージと、各々のテンションゲージから各々の巻き上げロープのテンション測定値を受信し、巻き上げロープにおけるテンションの平均値を計算し、いずれかのロープにおけるテンションが平均値よりも著しく高いかどうかを判定し、いずれかのロープにおけるテンションが平均値よりも著しく高い場合、ロープのほつれが検出されたことの信号を提供する、コントローラと、を含む。
【0015】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、巻き上げロープ監視デバイスは、地震センサを更に含む、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0016】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、コントローラは、エレベータコントローラである、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0017】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、コントローラは更に、エレベータかごが床に駐車されている間に各々のテンションゲージから各々の巻き上げロープのテンション測定値を受信し、テンションの定期的な変動に基づいて、各々のロープの揺れのロープ周波数及びロープ振幅を計算し、ロープ振幅が予め定められたレベルよりも高い場合、エレベータかごを予め定められた避難階に移動させる、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0018】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、ロープのほつれは、予め定められたレベルよりも高いロープ振幅を有するロープの揺れが検出されるときにチェックされる、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0019】
上記説明された特徴のうちの1つ以上に加え、または代替として、エレベータコントローラは更に、地震センサから地震検出信号を受信し、エレベータ動作をシャットダウンし、地震及びビルディングの揺れが停止したかどうかを判定し、地震及びビルディングの揺れが停止した後、ロープのほつれをチェックする、更なる実施形態が含まれてもよい。
【0020】
他に明確に示されない限り、排他性なく上述した特徴及び要素が様々な組み合わせで組み合わされてもよい。それらの特徴及び要素と共にそれらの動作は、以下の説明及び添付図面を参照して更に明らかになるであろう。しかしながら、以下の説明及び図面は、本質的に例示的且つ説明的であり、非限定的であることを意図していることを理解されるべきである。
【0021】
開示の上述した特徴及び他の特徴、並びに利点は、添付図面を併用して以下の詳細な説明から明らかになり、添付図面では、いくつかの図において同一の要素が同様に番号付けされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の巻き上げロープ監視デバイスを含むエレベータシステムの概略図を例示する。
【
図2】巻き上げロープの揺れを有する
図1のエレベータシステムの概略図を例示する。
【
図3】昇降路内の構造上で捕捉される巻き上げロープのうちの1つを有する
図1のエレベータシステムの概略図を例示する。
【
図4】
図1のエレベータコントローラによって実行されてもよい標準動作の処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図1のエレベータコントローラによって実行されてもよい地震動作の処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図1のエレベータコントローラによって実行されてもよいロープの揺れ動作の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明のエレベータシステム1の選択された部分を概略的に示す。エレベータかご2及びカウンタウエイト3は両方、昇降路4で垂直に移動可能である。複数の巻き上げロープ5は、エレベータかご2をカウンタウエイト3に結合する。この実施形態では、巻き上げロープ5は、丸鋼ロープを含むが、巻き上げロープ5は、複数の縦に延在するワイヤコード及びワイヤコードを覆う被膜を含むベルトを含んでもよい。本発明の実施形態に従って設計された特徴を含む様々なローピング構成がエレベータシステムにおいて有用であってもよい。
【0024】
巻き上げロープ5は、機械室7または昇降路4の上部内に位置する機械(図示せず)によって駆動されるトラクションシーブ6にわたって延在する。シーブ6と巻き上げロープ5との間のトラクションは、昇降路4を通じてかご2及びカウンタウエイト3を駆動する。機械の動作は、機械室7内に位置してもよいエレベータコントローラ8によって制御される。地震を検出する地震センサ9も、機械室7内またはエレベータシステム1を含むビルディングに近接して設けられる。地震センサ9は、地震検出信号をエレベータコントローラ8に提供する。エレベータかご2の上で各々のロープ5上にテンションゲージ10が設けられる。各々のテンションゲージ10は、有線または無線通信を介して、測定されたテンション値をエレベータコントローラ8に提供する。エレベータコントローラ8は、従来のように、かご2内の負荷を計算するために測定されたテンション値を使用する。
【0025】
本発明の巻き上げロープ監視デバイスは、全てが従来のエレベータシステムの既存の構成要素であってもよい、エレベータコントローラ8、地震センサ9、及び巻き上げロープ5上に設けられたテンションゲージ10から構成される。
【0026】
図2は、地震または非常に強い風の状態に起因して揺れる巻き上げロープ5を示す。揺れ、すなわち、巻き上げロープ5の横方向に振れる動きは、ロープ5におけるロープテンションを定期的に変動させる。本発明のエレベータコントローラ8は、テンションゲージ10から入力された測定されたロープテンション値の定期的な変動から巻き上げロープ5のロープの揺れの周波数F及び振幅Aを計算する。
【0027】
図3は、レールブラケットまたは昇降路ドアなど、昇降路内の構造12上でほつれまたは捕捉される、巻き上げロープ5のうちの1つ、最も右の巻き上げロープ5を示す。この状態では、ほつれたロープ5におけるテンションは、他のロープ5と比較して、著しく高くなる。
【0028】
図4~6は、巻き上げロープ5の揺れまたはほつれを監視する、本発明のエレベータコントローラ8によって実行される処理を示す。
図4は、標準動作の間に実行される処理を示す。ステップ101では、地震が地震センサ9によって検出されたかどうかがチェックされる。はいの場合、処理は地震動作に進む。いいえの場合、処理は、かご2がいずれかの乗り場階においてアイドルモードにあるかどうかをチェックする、ステップ102に進む。いいえの場合、かご2がアイドルモードに切り替わるまで処理は待機する。はいの場合、ステップ103において、各々の昇降路ロープ5のテンションが測定され、各々のロープの揺れの周波数及び振幅が計算される。
【0029】
ステップ104では、いずれかのロープ5の振幅が第2の基準レベルよりも高いかどうかがチェックされる。はいの場合、処理はロープの揺れ動作に進む。いいえの場合、いずれかのロープ5の振幅が第1の基準レベルよりも高いかどうかがチェックされる。第2の基準レベルは、第1の基準レベルよりも大きい(第2の基準レベル>第1の基準レベル)。はいの場合、かご2は、巻き上げロープ5がビルディングの自然周波数に共鳴しない予め定められた避難階に標準速度で移動され、処理が終了において終了する。避難階は、ビルディングの自然周波数及び各々の階に駐車されたエレベータかご2との巻き上げロープ5の自然周波数に基づいて事前に判定されてもよい。いいえの場合、処理が終了に直接進む。ステップ101~106の処理は、エレベータがアイドルモードにある間に繰り返される。エレベータコントローラ8がかご呼び出しを受信するとすぐに、呼び出しに応答して処理が中断される。
【0030】
図5は、地震動作の間に実行される処理を示す。ステップ111では、かご2が稼働しているかどうかがチェックされる。はいの場合、ステップ112において、最も近い階においてかご2が停止し、ドアが開き、ステップ113において、エレベータかご2を降りるという通知が乗客に提供される。かご2内部の負荷をチェックすることによってなど、全ての乗客がエレベータかご2を出たことを確かめた後、ドアが閉じ、ステップ114において、エレベータ動作がシャットダウンされる。
【0031】
ステップ115では、地震及びビルディングの揺れが停止したかどうかがチェックされる。いいえの場合、地震及びビルディングの揺れが停止するまで、処理はステップ114及び115を繰り返す。地震及びビルディングの揺れが停止すると、処理はステップ116に進み、各々の巻き上げロープ5のテンションを測定し、巻き上げロープ5におけるテンションの平均値を計算する。
【0032】
次に、平均値よりも高いテンション100%を有するいずれかのロープ5が存在するかどうかがチェックされる。100%は例にすぎず、エレベータ/ビルディング構成及び顧客要件に基づいて割合が判定されるべきであることが理解されよう。はいの場合、ロープのほつれを示す信号がオペレータまたはリモートセンタに送信され、ステップ118において、「ロープのほつれが検出された」ことの警告が提供されてもよい。ステップ119において、整備士がエレベータを復旧し、警告を手動でリセットするように現場に到着するまで、エレベータ動作はシャットダウンされたままである。いいえの場合、処理はステップ120に進み、全ての他の安全性チェックを通過するとエレベータが標準動作に戻る。
【0033】
図6は、ロープの揺れ動作の間に実行される処理を示す。ステップ121では、かご2は、ロープ5がビルディングの自然周波数により共鳴しない予め定められた避難階に低速で移動される。前に説明されたように、避難階は、ビルディングの自然周波数及び各々の階に駐車されたエレベータかご2との巻き上げロープ5の自然周波数に基づいて事前に判定されてもよい。次いで、ステップ122において、エレベータ動作はシャットダウンされる。ステップ123では、各々の巻き上げロープ5のテンションが測定され、各々のロープの揺れの周波数及び振幅が計算される。ステップ124では、全てのロープ5の振幅が第2の基準レベルよりも低いかどうかがチェックされる。いいえの場合、全てのロープ5の振幅が第2の基準レベルよりも低くなるまで、ステップ123及び124が繰り返される。はいの場合、ステップ125において、巻き上げロープ5におけるテンションの平均値が計算される。
【0034】
次に、ステップ126において、平均値よりも高いテンション100%を有するいずれかのロープ5が存在するかどうかがチェックされる。100%は例にすぎず、エレベータ/ビルディング構成及び顧客要件に基づいて割合が判定されるべきであることが理解されよう。はいの場合、ロープのほつれの検出を示す信号がオペレータまたはリモートセンタに送信され、ステップ127おいて、「ロープのほつれが検出された」ことの警告が提供されてもよい。ステップ128において、整備士がエレベータを復旧し、警告を手動でリセットするように現場に到着し、終了において処理が終了するまで、エレベータ動作はシャットダウンされたままである。いいえの場合、処理はステップ129に進み、エレベータの検査稼働が低速で実行される。
【0035】
ステップ130では、いずれかの障害が存在するかどうかがチェックされる。はいの場合、処理はステップ128に進み、整備士が復旧し、警告を手動でリセットするように現場に到着するまで、エレベータ動作をシャットダウンしたままにする。いいえの場合、処理は標準動作に戻る。
【0036】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。例示及び説明を目的に説明が提示されてきたが、網羅的であること、または実施形態を開示された形式に限定することを意図していない。開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されていない多くの修正、変形、変更、置き換え、または同等の配置が当業者にとって明らかである。加えて、様々な実施形態が説明されてきたが、態様が説明された実施形態のうちのいくつかのみを含んでもよいことが理解されよう。したがって、開示は、上述した説明によって限定されるものとは見なされないが、添付の請求項の範囲によってのみ限定される。