(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】無線電力充電用のシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/50 20160101AFI20231220BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20231220BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20231220BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20231220BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H02J50/50
H02J50/12
H02J50/80
H02J50/40
H01F38/14
(21)【出願番号】P 2019548372
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(86)【国際出願番号】 IL2018050256
(87)【国際公開番号】W WO2018163169
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-04
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509212421
【氏名又は名称】パワーマット テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】グルズマン,イリア
(72)【発明者】
【氏名】マッハ,エリザー
(72)【発明者】
【氏名】サルハブ,アミール
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-068507(JP,A)
【文献】国際公開第2013/011726(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/145403(WO,A1)
【文献】特開2012-244763(JP,A)
【文献】国際公開第2014/038148(WO,A1)
【文献】特開2016-101079(JP,A)
【文献】特開2015-173587(JP,A)
【文献】国際公開第2012/001959(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/157030(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/031988(WO,A1)
【文献】特開2008-207875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 -50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01F 38/14
H01F 38/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組込みコイルを有するデバイスに媒体を介して無線で充電するためのシステムであって、前記システムが、
前記デバイスの組込みコイルに電力を誘導的に伝送するように適合された少なくとも1つのリレーと、
前記デバイスに充電するために前記電力を前記少なくとも1つのリレーに誘導的に送信するように構成された送信器であって、前記送信器および前記少なくとも1つのリレーが、前記媒体によって隔てられており、前記少なくとも1つのリレーおよび前記送信器が、相互に向かい合っている、送信器と、
を備え、
前記送信器が、送信器コイルと、送信器共振回路を構成する送信器コンデンサとをさらに備え、前記少なくとも1つのリレーが、第1のリレーコイルと、リレー共振回路を構成するリレーコンデンサとをさらに備え、前記送信器共振回路および前記リレー共振回路の両方のジョイント共振周波数(JRF)が、主共振周波数(MRF)を有しており、
前記送信器が、ある範囲の動作周波数(OPF)の範囲から選択されたOPFで動作し、前記範囲のOPFが、前記MRFとは異なっており、
前記少なくとも1つのリレーが、前記第1のリレーコイルに直列に接続されている第2のリレーコイルを備え、前記第2のリレーコイルの第1の側が、前記デバイスに面しており、前記第2のリレーコイルの第2の側が、リレーフェライト層によって被覆されており、前記第1の側が、前記第2の側の反対側にあり、前記第2のリレーコイルが、前記組込みコイルより大き
く、
前記送信器が、送信器電子回路および送信器フェライト層をさらに備え、前記送信器フェライト層が、前記送信器コイルと前記送信器電子回路との間にバッファとして位置付けられ、前記送信器コイルが、前記媒体を介して前記少なくとも1つのリレーに面しており、
前記少なくとも1つのリレーが、開口を有する第2のリレーフェライト層をさらに備え、前記第2のリレーフェライト層が、前記デバイスに面する側にて前記第1のリレーコイル上にあり、前記開口の形状およびサイズが、前記組込みコイルのサイズに等しいかまたはより大きい、システム。
【請求項2】
前記送信器コイルおよび前記第1のリレーコイルが、相互に向かい合っており、前記送信器コイルおよび前記第1のリレーコイルが、サイズにおいて等しく、かつ前記組込みコイルより大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のリレーコイルおよび前記第2のリレーコイルが、2つの平面上に配置される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのリレーが、複数のデバイスを同時に充電するための複数の第2のリレーコイルをさらに備え、前記複数の第2のリレーコイルが、共振コンデンサをそれぞれ有し、それによって、前記リレー共振回路と全て並列に接続されている複数の負荷コイル共振回路を構成し、異なる共振周波数を有する各負荷コイルが、前記複数のデバイスのうちの1つのデバイスに充電するように適合されている、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記送信器電子回路が、前記OPFと、パルス幅変調(PWM)信号による電力送信を制御するためのOPFの範囲とを決定するように構成され、前記送信器電子回路が、前記デバイスと通信するように構成される、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記送信器が、交互的PWM信号によって各負荷コイルへの電力送信を制御し、前記交互的PWM信号が、タイムスロットで構成されており、前記タイムスロットのそれぞれが、特定の負荷コイルに専用に割り当てられており、各タイムスロットが、前記特定の負荷コイルのPWM信号で構成されている、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記タイムスロットが、所要時間を有し、前記所要時間が、各デバイスの電力の必要性に基づいて決定され、前記電力の必要性が、前記複数のデバイスの各デバイスによって前記送信器に通信される、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記送信器電子回路が、少なくとも2つのデバイスの間の通信が重複することを回避するために、前記複数のデバイスの通信を同期させるように構成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記送信器電子回路が、複数の組込みコイルの共振周波数の前後に調整されたフィルタを利用することによって、前記複数のデバイスの通信の間で同時に識別することができる、請求項
7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、無線電力充電システムに関する。より詳細には、本開示の主題は、媒体を介した多負荷誘導充電に関する。
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で同時係属の、2017年7月3日に出願された、Itay Sherman、Elieser Mach、Ilya Gluzman、Amir Salhuvによる「Large Range Inductive Tx」という名称の米国仮特許出願第62/467,903号からの優先権を請求する。
【背景技術】
【0003】
幅広い種類の場所において、劇的な配備増に導かれる、無線電力充電システムに対する需要が増えつつあることで、送信器と受信器との間の有効充電距離を増大させる必要性が増している。市販のシステムでは、そのようなシステムの送信器と受信器との間の最大距離が約10ミリメートルに制限されている。
【0004】
無線電力充電システムは、レストラン、コーヒーショップ、空港、バス発着所;駅、銀行、学校、図書館、ホテル、公用建築物等、などの公共施設に通常配備されている。典型的には、システムは、ユーザが接近可能である、テーブル、棒材等などの、表面の最上部上に据え付けられており、したがって、装飾的な外観、および危険のない設備が求められる。一方でこれらの要件、他方で距離制限を満たすには、配線が表面の最上部上に配索されること、ならびに距離制限のために表面をドリル加工することが必要となる。いくつかの事例では、そのような市販のシステムの送信器は、表面の切欠き穴の内部に据え付けられることができるが、これは、顧客の備品に損傷を与えることに加えて、設備を複雑にし、費用を上昇させる。
【0005】
明らかに、そのような市販の解決策は、消費者市場では所望されていない。さらに、これらの利用可能な解決策の無線電力充電水準は、15ワット未満を要求する手持ち型デバイスを充電することに限定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の主題の第1の態様によれば、組込みコイルを有するデバイスに媒体を介して無線で充電するためのシステムは、デバイスに充電するための電力を誘導的に伝送するように作られた少なくとも1つのリレーと、デバイスに充電するための電力を少なくとも1つのリレーに誘導的に送信するように構成された送信器であって、送信器およびリレーが、媒体によって隔てられていて、リレーおよび送信器が、実質的に相互に向かい合っている送信器とを備え、送信器が、送信器コイルと、送信器共振回路を構成する送信器コンデンサとをさらに備えて、リレーが、リレーコイルと、リレー共振回路を構成するリレーコンデンサとをさらに備えて、両方の共振回路のジョイント共振周波数(JRF:joint resonance frequencies)が、主共振周波数(MRF:main resonance frequency)を有しており、送信器が、OPF(動作周波数:operational frequencies)の範囲から選択された動作周波数(OPF)で動作し、OPFの範囲が、MRFとは実質的には異なっている。
【0007】
いくつかの例示的実施形態では、送信器コイルおよびリレーコイルが、実質的に相互に向かい合っており、送信器コイルおよびリレーコイルが、実質的に等しいサイズであり、標準組込みコイルより実質的に大きい。
【0008】
いくつかの例示的実施形態では、送信器が、送信器電子回路およびフェライト層をさらに備え、フェライト層が、送信器コイルと送信器電子回路との間にバッファとして位置付けられ、送信器コイルが、媒体を介してリレーに面している。
【0009】
いくつかの例示的実施形態では、リレーが、開口を有するリレーフェライト層をさらに備え、リレーフェライト層が、デバイスに面する側のリレーコイル上にあり、開口の形状およびサイズが、組込みコイルのサイズに持続的に合致している、またはそれよりわずかに大きい。
【0010】
いくつかの例示的実施形態では、リレーが、リレーコイルに直列に接続されている第2のリレーコイルを備え、第2のリレーコイルの一方の側が、デバイスに面しており、他方の側が、第2のリレーフェライト層によって被覆されており、第2のリレーコイルの形状およびサイズが、組込みコイルのサイズに持続的に合致している、またはそれよりわずかに大きく、第1のリレーコイルより実質的に小さい。
【0011】
いくつかの例示的実施形態では、リレーコイルおよび第2のリレーコイルが、2つの平面上に配置される。
【0012】
いくつかの例示的実施形態では、リレーが、複数のデバイスを同時に充電するための複数の第2のリレーコイルをさらに備え、複数の第2のリレーコイルが、それぞれが、共振コンデンサを有し、それによって、全てがリレー共振回路と並列に接続されている複数の負荷コイル共振回路を構成する、複数の負荷コイルであり、異なる共振周波数を有する各負荷コイルが、複数のデバイスのうちの1つのデバイスに充電するように作られている。
【0013】
いくつかの例示的実施形態では、送信器電子回路が、OPFと、パルス幅変調(PWM:pulse width modulation )信号によって電力送信を制御するためのOPFの範囲とを決定するように構成され、送信器電子回路が、デバイスと通信するようにさらに構成される。
【0014】
いくつかの例示的実施形態では、送信器が、交互的PWM信号によって、各負荷コイルへの電力送信を制御し、交互的PWM信号が、タイムスロットを含んでいて、それぞれのタイムスロットが、特定の負荷コイルに専用に割り当てられており、各タイムスロットが、特定の負荷コイルのPWM信号を含んでいる。
【0015】
いくつかの例示的実施形態では、タイムスロットが、所要時間を有し、所要時間が、各デバイスの電力の必要性に基づいて決定され、電力の必要性が、複数のデバイスの各デバイスによって送信器に通信される。
【0016】
いくつかの例示的実施形態では、送信器電子回路が、少なくとも2つのデバイスの間の通信が重複することを回避するために、複数のデバイス通信を同期させるように構成される。
【0017】
いくつかの例示的実施形態では、送信器電子回路が、少なくとも2つの重なり合うデバイスのうちの1つに送給される電力を変更することによって複数のデバイス通信を同期させるように構成される。
【0018】
いくつかの例示的実施形態では、送信器電子回路が、組込みコイルの共振周波数の前後に調整されたフィルタを利用することによって、複数のデバイス通信の間で同時に識別することができる。
【0019】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示の主題が属する技術の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似または同等の方法および材料は、本開示の主題の実践または試験で使用されることができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を含む明細書が制御する。さらに、材料、方法、および例は、説明するためのものにすぎず、制限的であるようには意図されていない。
【0020】
記載される開示の主題のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照しながら、ほんの一例として記載される。これより特に図面を詳細に参照するにあたり、示される詳細は、一例として、本開示の主題の好適な実施形態の例証的な考察を目的とするものにすぎず、開示の主題の原理および概念上の態様についての最も有用な、かつ容易に理解される記述であると信じられるものを提供するために提示されていることを強調しておく。この点に関して、開示の主題の構造細部を、開示の主題の基本的な理解に必要なものより詳細に示そうとは試みられてはなく、記述を図面と合わせて読むことで、開示の主題のいくつかの形態が、実際に具現化される方法が、当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、無線電力充電システムの設備の断面図を示す。
【
図2】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、別の無線電力充電システムの設備の断面図を示す。
【
図3】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムのブロック線図を示す。
【
図4A】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムの多負荷リレーレイアウトの上面図図解を示す。
【
図4B】開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムの多負荷リレーの原理概略図を示す。
【
図5】
図5A-
図5C。開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、PWMおよび交互的PWMタイミング図の例を示す。
【
図6】
図6A-
図6C。開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、PWMおよび交互的PWMタイミング図の別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
開示の主題の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、開示の主題は、その適用において、以下の記述で説明されるまたは図面に図示される構造の詳細、および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。開示の主題は、他の実施形態でも可能である、またはさまざまな方法で実践される、もしくは遂行されることが可能である。さらに、本明細書において使用される言い回しおよび専門用語は、説明を目的としており、制限的とみなされてはならないことを理解されたい。図面は、概括的には正確な縮尺ではない。明暸性のために、非必須要素が省略された図面もある。
【0023】
用語「備える」、「備えること」、「含む」、「含むこと」、および「有すること」は、それらの同根語とともに、「含むこと、しかしこれに限定されるわけではない」ことを意味する。用語「で構成されること」は、「含み、かつこれに限定されること」と同じ意味を有する。
【0024】
用語「で本質的に構成されること」は、付加的な成分、段階、および/または部分が、請求される組成物、方法、または構造の基本的および新規な特性を実質的に変更しない場合に限り、組成物、方法、または構造は、付加的な成分、段階、および/または部分を含む可能性があることを意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、コンテクストが特に明確に指図しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の言及を含む。例えば、用語「合成物」または「少なくとも1つの合成物」は、それらの混合物を含む複数の合成物を含む可能性がある。
【0026】
本出願を通して、本開示の主題のさまざまな実施形態は、適用範囲フォーマットの中で提示され得る。適用範囲フォーマット内の説明は、単に便宜上、および簡潔にするためのものであることを理解されるべきであり、開示の主題の範囲上の柔軟性のない制限として解釈されてはならない。したがって、適用範囲の説明は、明確に開示される全ての可能な部分範囲、ならびにその適用範囲の中の個別的な数値を有すると考えられなければならない。
【0027】
明暸性のために、別の実施形態との関連で記載される、開示の主題の特定の特徴は、単一の実施形態の中に組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。これとは逆に、簡潔さのために、単一の実施形態との関連で記載される、開示の主題のさまざまな特徴は、さらに、別々に、もしくは何らかの適切な下位組合せで、または開示の主題の何らかの他の実施形態において適切であるように提供されてもよい。さまざまな実施形態との関連で記載される特定の特徴は、実施形態が、そうした要素がなければ動作不能になるのでない限り、そうした実施形態の必須の特徴と考えられるべきではない。
【0028】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、無線電力充電システムの設備の断面図を示す
図1を参照する。無線電力充電システムは、送信器(Tx)100および少なくとも1つのリレー200を備えることができる。
【0029】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、媒体10の一方の側に取り付けられることができ、他方で、リレー200は、媒体10の反対側に取り付けられることができる。媒体10は、例えば木、可塑性花崗岩、大理石、それらの組合せ等などの、電気を導通しないどのような材料で作られてもよい。本開示では、媒体10は、公共の場所でユーザが接近することができるテーブル、机、棒材等などの、表面を指していることに留意されよう。例えば:レストラン、コーヒーショップ、空港、バス発着所;駅、銀行、学校、図書館、ホテル、公用建築物等。
【0030】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器コイル(Lt)110、送信器コンデンサ(Ct)130、送信器フェライト(Tx-ferrite)119、および送信器電子回路(Tx-elec.)150を備え、全て、ファスナ102によって媒体10に固定され得る送信器エンクロージャ(Tx enclosure)101の内部に組み込まれている。
【0031】
いくつかの例示的実施形態では、リレー200は、リレーコイル(Lr)210、リレーフェライト219、およびリレーコンデンサ(Cr)230を備えることができ、全て、媒体10の反対側に固定され得るリレーエンクロージャ201の中に組み込まれている。エンクロージャ201は、マット、パッド、ソーサ、コースタ、それらの組合せ等の形状および形状因子を有していてもよい。リレー200のエンクロージャ201は、接着剤または何らかの他の方法で媒体10に固定されることができ、これは、リレー200およびTx100が、媒体10の両側から相互に重なることを保証する。リレー200およびTx100は、Lt110およびLr210が、
図1に図示されるように、2つの間のインダクタンスを最適化するために、向かい合うように実質的に位置合わせされるべきであるように、相互に重なり合うことに留意されよう。
【0032】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、電源(PS:power supply)160(図示せず)によって電力を供給されていて、リレー200上に置かれる誘導的(無線)充電デバイス20のためにリレー200を利用するように構成されることができる。デバイス20は、タブレット、ラップトップ、多機能電話、または何らかの充電可能な可搬式ハンドセットなどのユーザのデバイスであってもよく、誘導電力を受容して、デバイス20の電池を充電するように構成された組込みコイル22を備える。組込みコイル22は、上で列挙されたデバイスの標準的受信器のコイルを指し、典型的には、この標準的受信器のコイルは、およそ40ミリメートルの直径を有することに留意されたい。
【0033】
本開示の中の構成要素Lt110、Lr210/Lr310、およびコイル22の専門用語は、関連仮特許出願の第1のTxコイル、第2のTxコイル、およびRxコイルにそれぞれ対応していることに留意されたい。
【0034】
Lr210およびLt110と同様の、コイル22およびLr210は、有効な充電判定基準の1つを満たすために、実質的に相互に向かい合って重なることができる、すなわち、コイル22およびLr210の中心は、位置合せされることができる。位置合せを確実にするために、リレー200のエンクロージャ201は、有効な充電を得るように、リレー200の最上部上にデバイス20を配置するのに最適な場所をユーザに指示するレイアウトに印を付けられることができる。しかしながら、
図1に図示されるように、デバイス20が、リレー200の最上部上に正確に配置されていない場合であっても、無線電力充電システムは、電力充電を提供するように適合されることができる。
【0035】
いくつかの例示的実施形態では、Lr210およびLt100は両方とも、100mmより大きい直径を有する平坦な螺旋空心コイルであってもよい。そのような大きいコイルを利用することで、媒体10の30ミリメートル以上の厚さにもかかわらず、Lr210とLt100との間の比較的高度な結合が可能になる。
図1に描写される実施形態では、Lr210とLt100との間の結合係数は、0.25より大きくなり得る。典型的なコイル22とLr210との間の結合は、
図1に描写される実施形態では、0.15より大きくなり得る。
【0036】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器フェライト(Tx-ferrite)119を備える。Tx-ferrite119は、透磁性及び磁心損失の適切な磁気的特性を備えたフェライト材でできた層であることができる。Tx-ferrite119を利用する1つの技術的理由は、Tx-electronics150を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供することである。Tx-ferrite119を利用する別の技術的理由は、リレー200に面する磁場、したがって、Lt110のインダクタンスを増大させるためであり得る。厚さ、可撓性、脆性、その組合せ等などのTx-ferrite119の特性は、本開示のシステムが提供される用途によって決められ得る。例えば、厚さおよび媒体10が作られている材料。Lt110が、円の形状を有する場合があるので、Tx-ferrite119の形状は、同様に、Lt110の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lt110の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、Tx-ferrite119は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有する場合がある。
【0037】
いくつかの例示的実施形態では、リレー200は、リレーフェライト219を備えていてもよい。リレーフェライト219は、Tx-ferrite119と同様のフェライト材で作られた層であってもよい。リレーフェライト219を利用する1つの技術的理由は、デバイス20の電子回路構成を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供するためである。リレーフェライト219を利用する別の技術的理由は、Tx100に面する磁場、したがって、Lr210のインダクタンスを増大させるためであり得る。リレーフェライト219は、Tx-ferrite119の特性に類似した特性を持っている。Lr210が、円の形状を有する場合があるので、リレーフェライト219の形状は、同様に、Lr210の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lr210の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、リレーフェライト219は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有する場合がある。
【0038】
リレーフェライト219は、中心に位置している切欠きを必要とすることに留意されたい。切欠きのサイズは、デバイス20のコイル22などの、充電可能なデバイスの典型的な受信器コイルの外径と等しくても、またはそれよりわずかに大きくてもよい。切欠きの形状は、Lr210とコイル22との間で磁束の通過を可能にするために、コイル22形状を取り囲む、円または何らかの幾何学的表面であってもよい。
【0039】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、少なくとも1つの共振コンデンサ(Ct)130は、Lt110に直列で接続されることができ、少なくとも1つの共振コンデンサ(Cr)230は、Lr210に直列で接続されることができる。したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの内径空間の中に置かれる。あるいは、したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの外径空間の隣に、または関係するエンクロージャ内の他の場所に置かれることができる。
【0040】
本開示のリレーフェライト219は、市販の標準規格伝達コイルを用いてコイル22の挙動をよりよくシミュレートするために、コイル22およびLr210の結合係数を増大させ、さらに、本開示のシステムでは所望されない、Lt110からコイル22へのいくらかの直接結合を低減させる。さらに、Tx100およびリレー200両方の共振コンデンサは、システム動作点、コイル22装荷の依存度を安定させ、電力伝送の高効率を可能にすることを目的とする。いくつかの例示的実施形態では、Lt110およびCt130(すなわちTx100LC回路)の共振周波数は、コイル22などの典型的なコイルの共振周波数(およそ100kHz)よりかなり低く、Lr210およびCr230(すなわちリレー200LC回路)の共振周波数より大幅に低くなるように設定されることができる。
【0041】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100とリレー200LC回路の組合せは、負荷が存在していないとき、2つの異なる共振周波数、以下ジョイント共振周波数(JRF:joint resonance frequencies)を形成することができる。JRFの第1の共振周波数は、Tx100LC回路の共振周波数に近接していてもよいが、いずれの場合でも、それより低い。JRFの第2の共振周波数は、リレー200LC回路の共振周波数に近接していてもよいが、いずれの場合でも、それより高い。「Tx100およびリレー200LC回路の組合せ」という語句は、本開示では、
図1に描写されたような、Tx100およびリレー200が相互に向かい合っており、電力がTx100に加えられている状態を指していることに留意される必要がある。第2の共振周波数、すなわちより高い共振周波数は、本開示システムでは主共振周波数(MRF:main resonance frequency)としてみなされるべきであることにさらに留意される必要がある。
【0042】
Tx100LC回路およびリレー200LC回路の共振周波数は、JRFが、上にCoil22がない状態で、Tx100の所望される最大動作周波数より低い特定の範囲(標準的には20~50kHz)であるように調整され、コイル22共振周波数より高くなるような方法で設計される。
【0043】
一例として、Lt110のインダクタンスは、およそ30μHであってもよく、Ct130のキャパシタンスは、およそ54kHzのTx100LC回路の共振周波数を提供する、およそ290μFであってもよい。他方で、Lr210のインダクタンスは、およそ60μHであってもよく、Ct130のキャパシタンスは、およそ106kHzのリレー200LC回路の共振周波数を提供するおよそ37.5nFであってもよい。そのような好ましい例示的実施形態では、システムMRFは、117kHz(すなわちリレー200LC回路の共振周波数の106kHzより高い)であってもよく、その場合、据え付けられたリレー200とTx110との間の間隙は、およそ30ミリメートルであり得る。さらに、Lt110およびLr210の外径は、およそ125ミリメートルであってもよく、他方で、フェライト219の切欠き直径は、およそ55ミリメートルであってもよい。
【0044】
いくつかの例示的実施形態では、動作周波数(OPF:operating frequency)は、121kHz~140kHzの範囲であってもよく、範囲の低い方のOPFは、MRF、すなわち117kHzより4kHz高くなり得、最大周波数は、規制限度、すなわち145kHzより5kHz低くなり得る。あるいは、最大OPFは、MRFおよび規制最大周波数限度を下回って設定されてもよい。上記例のように類似のコイルを有する設備では、0.5”の媒体10の厚さを備えていて、MRFは、140kHzであってもよい。したがって、動作範囲は、115kHz~136kHzに設定されてもよく、最大周波数は、MRFより4kHz低く、規制限度より低い。
【0045】
本開示のシステムは、共振周波数での動作を回避することを理解されたい。本開示システムの好適なOPFは、主共振周波数(MRF)より低いまたは高い周波数にシフトされる周波数の範囲にあることができる。
【0046】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、別の無線電力充電システムの設備の断面図を示す
図2を参照する。
【0047】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、媒体10の一方の側に取り付けられることができ、他方で、リレー300は、表面10の反対側に取り付けられることができる。媒体10は、例えば木、可塑性花崗岩、大理石、それらの組合せ等などの、電気を導通しないどのような材料ででも作られることができる。本開示では、媒体10は、公共の場所でユーザが接近することができるテーブル、机、棒材等などの、表面を指していることに留意されよう。例えば:レストラン、コーヒーショップ、空港、バス発着所;駅、銀行、学校、図書館、ホテル、公用建築物等。
【0048】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器コイル(Lt)110、送信器コンデンサ(Ct)130、送信器フェライト(Tx-ferrite)119、および送信器電子回路(Tx-elec.)150を備え、全て、ファスナ102によって媒体10に固定され得る送信器エンクロージャ(Tx enclosure)101の内部に組み込まれている。
【0049】
いくつかの例示的実施形態では、リレー300は、リレーコイル(Lr)310、第2のリレーコイル(sLr)320、リレーフェライト319、第2のリレーフェライト329、およびリレーコンデンサ(Cr)330を備え、全て、媒体10の反対側に固定され得るリレーエンクロージャ301の中に組み込まれている。エンクロージャ301は、マット、パッド、ソーサ、コースタ、それらの組合せ等の形状および形状因子を有することができる。リレー300のエンクロージャ301は、リレー300およびTx100が、媒体10の両側から相互に重なることを保証する、接着剤または何らかの他の方法で媒体10に固定されることができる。リレー300およびTx100は、Lt110およびLr310が、
図2に図示されるように、2つの間のインダクタンスを最適化するため向かい合うように実質的に位置合せされるべきであるように、相互に重なり合うことに留意されよう。
【0050】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、電源(PS)160(
図2には図示されず、
図3に図示される)によって電力を供給されていて、リレー300上に置かれる誘導的(無線)充電デバイス20のためにリレー300を利用するように構成されてもよい。デバイス20は、タブレット、ラップトップ、多機能電話、または何らかの充電可能な可搬式ハンドセットなどのユーザのデバイスであってもよく、誘導電力を受容して、デバイス20の電池を充電するように構成された組込みコイル22を備える。
【0051】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、リレー300は、Lr310と直列で電気的に接続されることができる二次リレーコイルsLr320をさらに含んでいてもよい。代わりに、Lr310は、2つのより平らな高さに位置している2つの部分に配置されることができ、内側コイル(すなわちsLr320)または代わりにLr310の部分は、Lt110に面するLr310の外側部分と比べて高くなっている。
【0052】
コイル22およびsLr320は、実質的に相互に向かい合って重なることができる、すなわちコイル22およびsLr320の中心は、有効な充電判定基準の一方を満たすために、位置合せされる。位置合せのために、リレー300のエンクロージャ301は、有効な充電を得るためにリレー300の最上部上にデバイス20を配置するのに最適な場所をユーザに指示するレイアウトに印を付けられてもよい。しかしながら、
図2に図示されるように、デバイス20が、リレー300の最上部上に正確に配置されていない場合であっても、無線電力充電システムは、電力充電を提供するように適合され得る。
【0053】
いくつかの例示的実施形態では、Lr310およびLt100は両方とも、100mmより大きい直径を有する平坦な螺旋空心コイルであってもよく、一方で、sLr320は、同様に平坦な螺旋空心コイルを有していて、コイル22などの典型的な受信器コイルに適するより小さい直径を有していてもよい。そのような大きいコイルを利用することで、媒体10の30mm以上の厚さを克服するために、Lr310とLt100との間の比較的高度な結合が可能になる。
図2に描写される実施形態では、Lr310とLt100との間の結合係数は、最大30ミリメートルの媒体厚さでは、0.25より大きくなり得る。典型的なコイル22とsLr320との間の結合は、
図2に描写される実施形態では0.15より大きくなり得る。
【0054】
第2のリレーフェライト329が、磁場を遮断する(下文でさらに詳細に記述される)ので、sLr320は、Lt110によって直接影響を及ぼされることはあり得ないが、Lr310およびsLr320が、直列に接続されているので、Lr310に誘導される同じ電流が、sLr320を流れることに留意されたい。
【0055】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、送信器フェライト(Tx-ferrite)119を備えていてもよい。Tx-ferrite119は、透磁性及び磁心損失の適切な磁気的な特性を備えたフェライト材でできた層であってもよい。Tx-ferrite119を利用する1つの技術的理由は、Tx-elec.150を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供するためであり得る。Tx-ferrite119を利用する別の技術的理由は、リレー300に面する磁場、したがって、Lt110のインダクタンスを増大させるためであり得る。厚さ、可撓性、脆性、その組合せ等などのTx-ferrite119特性は、本開示のシステムが提供され得る用途によって決められ得る。例えば、厚さおよび媒体10が作られる材料。Lt110が、円の形状を有する場合があるので、Tx-ferrite119の形状は、同様に、Lt110の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lt110の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、Tx-ferrite119は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有する場合がある。
【0056】
いくつかの例示的実施形態では、リレー300は、リレーフェライト319を備えていてもよい。リレーフェライト319は、Tx-ferrite119に類似したフェライト材で作られた層であってもよい。リレーフェライト319を利用する1つの技術的理由は、デバイス20の電子回路構成を誘導エネルギーから防護するためのバッファを提供するためであり得る。リレーフェライト319を利用する別の技術的理由は、Tx100に面する磁場、したがって、Lr310のインダクタンスを増大させるためである。リレーフェライト319は、Tx-ferrite119の特性に類似した特性を持つことができる。Lr310が、円の形状を有する場合があるので、リレーフェライト319の形状は、同様に、Lr310の外径以上の直径を有する円であり得る。あるいは、Lr310の外径が、幾何学的平面図形内の内接円であるのであれば、リレーフェライト319は、何らかの幾何学的平面図形の形状を有することができる。
【0057】
リレーフェライト319は、中心に位置している切欠きを必要とし得ることに留意されたい。切欠きのサイズは、デバイス20のコイル22などの、充電可能なデバイスの典型的な受信器コイルの外径と等しくても、またはわずかに大きくてもよい。切欠きの形状は、Lr310とコイル22との間で磁束の通過を可能にするために、コイル22形状を取り囲む、円または何らかの幾何学的平面であってもよい。
【0058】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、リレー300は、Lt110によってsLr320に誘導される磁場を遮断し、コイル22に向かうsLr320インダクタンスを強化するように構成された第2のリレーフェライト329をさらに備える。第2のリレーフェライト329は、Tx-ferrite119およびリレーフェライト319の特性に類似した特性を持っている。形状フェライト329は、リレーフェライト319の切欠き形状と等しくても、またはわずかに大きくてもよい。実際的には、リレーフェライト319の切欠きは、Lr310の内径の内部に、そして同じ平面に位置しているフェライト329として使用されることができ、一方でsLr320は、フェライト229の最上部上に位置していてもよい。
【0059】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、少なくとも1つの共振コンデンサ(Ct)130は、Lt110に直列で接続されることができ、少なくとも1つの共振コンデンサ(Cr)330は、Lt310に直列で接続されてもよい。したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの内径空間の内部に置かれてもよい。あるいは、したがって、共振コンデンサは、それぞれのコイルの外径空間の隣に、または関係するエンクロージャ内の他の場所に置かれることができる。
【0060】
本開示のリレーフェライト319は、市販の標準規格伝達コイルを用いてコイル22の挙動をよりよくシミュレートするために、コイル22およびLr310の結合係数を増大させ、さらに、本開示のシステムでは所望されない、Lt110からコイル22へのいくらかの直接結合を低減させる。さらに、Tx100およびリレー300両方の共振コンデンサは、システム動作点、コイル22装荷の依存度を安定させ、電力伝送の高効率を可能にすることを目的とする。いくつかの例示的実施形態では、Lt110およびCt130(すなわちTx100LC回路)の共振周波数は、典型的なコイル22の共振周波数(およそ100kHz)よりかなり低く、Lr310およびCr330(すなわちリレー300LC回路)の共振周波数より大幅に低くなるように設定されてもよい。
【0061】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100とリレー300LC回路の組合せは、負荷が存在していないとき、2つの異なる共振周波数、以下共振周波数(JRF)を形成することができる。JRFの第1の共振周波数は、Tx100LC回路の共振周波数に近接している場合があるが、いずれの場合でも、それより低いようになる。JRFの第2の共振周波数は、リレー300LC回路の共振周波数に近接している場合があるが、それより高いようになる。「Tx100およびリレー300LC回路の組合せ」という語句は、本開示では、
図2に描写されたような、Tx100およびリレー300が相互に向かい合っており、電力がTx100に加えられている状態を指していることに留意される必要がある。第2の共振周波数、すなわちより高い共振周波数は、本開示システムでは主共振周波数(MRF)としてみなされるべきであることにさらに留意される必要がある。
【0062】
Tx100LC回路およびリレー300LC回路の共振周波数は、JRFが、上にCoil22がない状態で、Tx100の所望される最大OPFより低い特定の範囲(標準的には20~50kHz)であるように調整され、コイル22共振周波数より高くなるような方法で設計される。
【0063】
1つの好適な例示的実施形態では、Lt110のインダクタンスは、およそ30μHであることができ、Ct130のキャパシタンスは、およそ54kHzのTx100LC回路の共振周波数を提供するおよそ290μFであることができる。他方で、Lr310のインダクタンスは、およそ60μHであることができ、Ct130のキャパシタンスは、およそ106kHzのリレー300LC回路の共振周波数を提供するおよそ37.5nFであることができる。そのような好適な例示的実施形態では、システムMRFは、117kHz(すなわちリレー300LC回路の共振周波数の106kHzより高い)であることができ、その場合、据え付けられたリレー300とTx110との間の間隙が、およそ30ミリメートルであることができる。さらに、Lt110およびLr310の外径は、およそ125ミリメートルであってもよく、他方で、Lr320の外径は、およそ55ミリメートルであってもよい。
【0064】
いくつかの例示的実施形態では、OPFは、121kHz~140kHzの間の範囲であり、範囲の低い方のOPFは、MRF、すなわち117kHzより4kHz高くなることができ、最大周波数は、規制限度、すなわち145kHzより5kHz低くなることができる。あるいは、最大OPFは、MRFおよび規制最大周波数限度を下回って設定されることができる。本明細書で上記した例のように類似したコイルを有する設備では、0.5”媒体厚さを備えていて、MRFは、140kHzであることができる。したがって、動作範囲は、115kHz~136kHzに設定されることができ、最大周波数は、MRFより4kHz低く、規制限度より低い。
【0065】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムのブロック線図を示す
図3を参照する。媒体を介した無線電力充電用のシステムは、PS160、Tx100送信器、およびリレー200もしくはリレー300のどちらかを備える。
【0066】
いくつかの例示的実施形態では、システムは、
図1および
図2のデバイス20などの、ユーザの充電可能なデバイスにリレー200またはリレー300を介して充電するためにTx100を利用するように適合されることができる。リレー200およびリレー300の両方とも、充電エネルギーをデバイス20等に無線で送信するための中継器として作用する受動的な電子回路であることができる。リレー200は、
図1に描写されるような、LC共振回路を形成する、少なくとも1つのコイル(誘導子)および1つのコンデンサを備えることができる。インダクタンスおよびデバイス20のコイル22との結合を強化するために、代替リレー、すなわちリレー300が、提供されることができる。リレー300は、
図2に描写される回路などのLC共振回路を形成する、少なくとも2つのコイルおよび1つのコンデンサを備える。
【0067】
いくつかの例示的実施形態では、Tx100は、
図1および
図2にそれぞれ描写されるように、リレー200またはリレー300のどちらかのコイルに電流を誘導するために構成される送信器電子回路(Txelect)150、少なくとも1つのLx110コイル、およびコンデンサCt130を備えることができる。
【0068】
いくつかの例示的実施形態では、Tx-elect150は、コントローラ151、フルまたはハーフブリッジドライバ152、直流電流センサ153、直流電圧センサ154、および交流電流センサ155を備える。
【0069】
コントローラ151は、中央処理ユニット(CPU:central processing unit)、マイクロプロセッサ、電子回路、集積回路(IC:integrated circuit)等であることができる。さらにまたは代替的に、コントローラ151は、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)またはマイクロコントローラなどの特定のプロセッサ用に書き込まれた、または移植されたファームウェアとして実装されることができる、または、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)または特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)などのハードウェアまたは設定可能ハードウェアとして実装されることができる。コントローラ151は、Tx110、またはその下位構成要素のいずれかによって要求される計算を行うために利用されることができる。
【0070】
開示の主題のいくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、以下のパラメータを決定するように構成される:
a. 直流電圧センサ154の結果を取得するおよび測定することによって、PS160にわたる直流電圧。
b. 直流電流センサ153の結果を取得するおよび測定することによって、PS160によって供給される直流電流。
c. 交流電流センサ155の結果を取得するおよび測定することによって、Lt110に供給される交流電流。あるいは、出力交流電流は、直流電流センサ153を用いて電源からドライバに流れる瞬時電流を感知することによって決定されることができる。
【0071】
交流電流用のパラメータを決定することは、ピーク電流、絶対電流の平均値、RMS電流、基本振動の振幅、およびそれらの何らかの組合せ等を含むことができることに留意されたい。
【0072】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、半導体メモリ構成要素(図示せず)を備える。メモリは、例えば、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM:random-access memory)、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM:programable read only memory)、リプログラマブルメモリ(FLASH)、およびそれらの何らかの組合せ等などの、永続的または揮発性メモリであってもよい。
【0073】
いくつかの例示的実施形態では、メモリは、フルまたはハーフブリッジドライバ152を制御するパルス幅変調(PWM:pulse width modulation)信号を決定することに関連付けられた作用を行うためにコントローラ151を起動するプログラムコードを保持する。ドライバ152は、Lt110を通って流れる電流のOPFおよび/またはデューティサイクルを調節することによって、Lt110を通って流れる出力電流、すなわちTx100によって提供された電力を調整することができる。いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151で生成されるPWM信号は、デバイス20などの電子機器を無線充電する必要性を満たすために、変調を調整する。代替実施形態では、直流電源の振幅が、制御されてもよい。
【0074】
PWM信号周波数およびデューティサイクルは、前述したように、OPF範囲の中でコントローラ151によって設定されることができることに留意されたい。さらに、コントローラ151は、デバイス20の電力要求に基づいて、OPF範囲の中でOPFを変更することができる。
【0075】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、接続性ソフトウェア、モニター情報、構成および制御情報、および本開示システムの充電管理に関連付けられる適用を保持するためにメモリを利用することができる。
【0076】
いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、以下の通信規格、パワーマターズアライアンス(PMA:power matters alliance);無線パワーコンソーシアム(WPC:wireless power consortium)、およびAirFuel Allianceに従うプロトコルに基づいて、デバイス20と通信するように構成されることができる。これらの通信方式によれば、これらに限定するわけではないが、コントローラ151は、充電サービスを許可して、調整することに関してユーザを認証するために、デバイス20からユーザの証明書を得るように構成されることができる。さらにまたは代替的に、コントローラ151は、デバイス20から所要電力を得るようにさらに構成されることができる。
【0077】
以下方法の説明を簡素化するために、リレー200およびリレー300は、「リレー」と呼ばれる場合があり、さらに、コイルLr210およびLr310は、「Lr」と呼ばれる場合がある。以下の方法は、リレー200およびリレー300の両方、およびそれらの関係する下位構成要素に適用されることに留意される必要がある。
【0078】
以下記述される解決策/手順は、同じ日付に本明細書に開示される主題の出願人によって提出された同時係属出願の中で開示された較正方法を利用してもよいことにさらに留意されよう。同時係属出願は、参考文献としてその全体が援用されている。いくつかの例示的実施形態では、較正方法は、Tx100とリレーとの間の結合係数(k)、Tx100のJRF、MRF、OPF、OPF範囲、デジタルピング、およびそれらの何らかの組合せ等を決定することをさらにもたらすことができる。いくつかの例示的実施形態では、結合係数(k)は、所定の値である。
【0079】
本開示の別の主目的は、より大きい充電区域を提供する、および/または複数デバイス20に同時に充電するために、リレー300などの複数のリレーを追加することによって
図1~
図3に描写されるシステムの能力を拡張することであり、複数のリレーは、単一のTx100によって支援され得る。
【0080】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムの多負荷リレー400レイアウトの上面図図解を示す
図4Aを参照する。多負荷リレー400は、
図3に示すようにリレー300の同じ主な構造に基づくことができる。
【0081】
いくつかの例示的実施形態では、媒体を介した無線電力充電用のシステムは、リレー300の代わりに多負荷リレー400を備えることができる。システムは、例示的な
図1、
図2、および
図3に図示するように同じ送信器Tx100(図示せず)に基づくことができる。Tx100は、媒体10の一方の側に取り付けられることができ、他方で、多負荷リレー400は、媒体10の反対側に取り付けられることができる。
【0082】
いくつかの例示的実施形態では、多負荷リレー400は、例示的な
図3の、Lr310および2次リレーコイルsLr320と同等の複数の負荷コイルを含むことができ、各負荷コイルは、例示的な
図1および
図2のデバイス20などの、1つのデバイスに充電するように構成されることができる。
【0083】
多負荷リレー400は、多負荷リレー400およびTx100が、媒体10の両側から相互に重なることを保証するために、媒体10に固定されることができる。多負荷リレー400およびTx100は、Lt110およびLr310が、
図2に図示されるように、2つの間のインダクタンスを最適化するために、互いに向かい合うべく実質的に位置が合わされるように、相互に重なることに留意されよう。
【0084】
開示の主題のいくつかの好適な実施形態では、多負荷リレー400は、1つの平面に配置され得る、3つの(これらに限定するわけではないが)負荷コイル1Lr321、2Lr322、およびNLr32Nを備えることができ、他方で、Lr310は、Tx100(媒体10)に面する平行平面に位置付けられ得る。いくつかの例示的実施形態では、Lr310の中心は、各負荷コイルの中心から、同じ距離離れて配置されることができ、負荷コイル1Lr321、2Lr322、およびNLr32Nは、インダクタンスの増大、ならびにLt110によって生成される磁場を負荷コイルに面しているデバイス20から隔離することを提供するフェライト層によってLr310から隔てられることができる。多負荷コイル400の側部に面しているデバイス20は、421、422、および42Nなどのスポットで指し示されることができる。スポットは、有効な充電を得るために、デバイス20を多負荷リレー400の最上部に配置するのに最適な場所をユーザに指示する。多負荷リレーのすべてのコイルは、リレー300と類似の特性を有する平坦螺旋空心コイルであってもよいことを留意される必要がある。
【0085】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、媒体を介した無線電力充電用のシステムの多負荷リレー400の原理概略図を示す
図4Bを参照する。多負荷リレー400は、デバイス20などの複数のデバイスに充電することを支援する電気回路であることができ、多負荷リレー400の複数のリレーは、媒体10を介してTx100によって誘導的に給電されることができる。
【0086】
開示の主題のいくつかの好適な実施形態では、多負荷リレー400電気回路は、リレーコイルLr310に基づく、Tx100に面する分岐部と、負荷コイルに基づく、3つのデバイスに面する分岐部とを備えることができ、すべての分岐部が、相互に並列になって電気的に接続されている。各負荷コイル分岐部は、分岐部ごとに独立共振回路を形成するために、コンデンサ、1Lr321用1Cr331、2Lr322用2Cr332、およびNLr32N用NCr33Nを備え、各負荷コイル分岐部はそれぞれ、充電スポット421、422、および42N専用であり得る。
【0087】
Tx100に面する(主)分岐部は、平行に接続された同調コンデンサCrr231および誘導子Lrr311と共に、共振回路を形成する、リレーコイルLr310コンデンサCr230を備える。いくつかの例示的実施形態では、主分岐部と共に、各負荷コイル分岐部は、異なる共振周波数に同調され、したがって、Lt110と共に、異なるJRFおよび異なるOPFを生成する。このアーキテクチャに基づいて、Tx100は、選ばれた負荷コイルのMRFに近いけれども実質的には異なるOPFで、選ばれた負荷コイルにエネルギーを送るために動作することができる。したがって、選ばれた負荷コイルに対して最大励起を作り出し、一方で、他の負荷コイルに対してはかなり低い励起を生成して、電力を伝送した。上記のアーキテクチャは、より大きい充電区域および多充電スポットを支援するための多負荷リレーをコスト効率良く実施することを可能にする。
【0088】
開示の主題のいくつかの例示的な実施形態では、Tx100は、少なくとも2つの負荷コイルの充電スポット上に位置付けられたデバイス20に充電するために、少なくとも2つの異なる負荷コイルに誘導的充電エネルギーを同時に提供することができる。そのような同時に充電する実施形態では、コントローラ151は、第1の負荷コイル用のPWM信号(1stPWM)および第2の負荷コイル用のPWM信号(2ndPWM)を含む交互的PWM信号(IPWM)を生成することができ、IPWMの各期間は、1stPWMおよび2ndPWMタイムスロットで構成され得る。したがって、各タイムスロットは、OPF、デューティサイクル、および振幅を各負荷コイルに関連付けながら、1度にドライバ152を遂行するので、IPWMは、ドライバ152に、第1および第2の負荷コイルの上に置かれるデバイス20の必要性に基づいて第1および第2の負荷コイルに電力を送給させることができる。
【0089】
いくつかの例示的実施形態では、タイムスロット期間は、すべての有効負荷コイルのすべての共振周波数が、それの整数除算である共通周波数に基づくことができ、他方で、割り当てられるスロットの幅は、特定の負荷コイルに伝送される相対電力に関連する。例示的な実施形態では、少なくとも2つの負荷コイルのOPFは、単一スロット周波数の整数除算であるように選択され得る。フルブリッジを使用する動作では、両方の整数が、単一スロット周波数の均等な除算であれば好ましい。
【0090】
次に開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、PWMおよび交互的PWMタイミング図の例を示す
図5A~
図5Cを参照する。「例」は、120khz(
図5A)、および150khz(
図5B)のOPFを有する2つの負荷コイルの実施形態を指し、交互的周波数は、1.2Mhz、したがって、それぞれ10および8の整数に設定されている。
【0091】
各期間は、負荷コイルごとに1つ、2つのスロットに分散され、スロット所要時間は、各デバイス20によって要請される相対的電力から導出され得る。第1のタイムスロットの間、コントローラ151で始まる第1のPWMは、ドライブ152に、電力を第1の負荷コイル分岐部、例えば充電スポット421に送給させる。第2のタイムスロットの間、コントローラ151で始まる第2のPWMは、ドライブ152に、電力を第2の負荷コイル分岐部、例えば充電スポット422に送給させる。第1のPWMおよび第2のPWMは、各負荷コイルの特定のMRFに近いけれども実質的には異なるOPFである。
【0092】
図5Cは、例示的なシナリオの交互的タイミング図を示し、120khzで動作している第1の負荷コイルは、150khzで動作している第2の負荷コイルの半分の電力を必要とし、それらの組み合わされた電力消費は、Tx100によってもたらされ得る全部の電力と等しい。
【0093】
次に、開示の主題のいくつかの例示的実施形態による、PWMおよび交互的PWMタイミング図の別の例を示す
図6A~
図6Cを参照する。この例は、さらに、120khz(
図6A)および150khz(
図6B)のOPFを有する2つの負荷コイルの実施形態を指し、交互的周波数は、1.2Mhz、したがって、それぞれ10および8の整数に設定されている。しかしながら、この例では、第1の(
図6A)と第2の(
図6B)との間の電力比は、2対1よりわずかに低く、組み合わされた電力は、Tx100の最大駆動電力より低い。したがって、第2の負荷コイル(150kHz)は、より高い電力を有しているので、そのデューティサイクルは、50%ではなく、37.5%に低減され、他方で、スロットタイム比率は、1/2に保たれる。
【0094】
いくつかの例示的実施形態では、負荷コイルを駆動するために使用されるOPFは、負荷切替えに対する安定性および許容差を改善するために、負荷コイルの共振周波数からわずかに外れているように選択されることができる。
【0095】
開示の主題によって扱われる1つの技術的問題は、デバイス20などの多重的デバイスとの通信を処理することである。問題は、デバイスが、負荷変調を通じて非同期通信を使用するので、そして多重的デバイスが、同時にTx100と通信しようと試みる可能性があるので、明示され得る。
【0096】
定常状態では、デバイス20などの市販のデバイスは、電力制御および一定の時間間隔の電力報告情報を含むパケットを送信器と交換することに留意されよう。一定の時間間隔は、定常の動作パラメータのいずれかの変更で中断される場合もある。立ち上がると、デバイスは、電力信号起動から一定の時間間隔で情報交換する。
【0097】
1つの技術的解決策は、多負荷リレー400が役目を果たしている複数のデバイス間での有意な通信重複を防止するために、コントローラ151によってデバイスの送信タイミングを制御することである。いくつかの例示的実施形態では、デバイスが、例えばスポット401上に置かれ、それが、Tx100を用いてすでに動作しているとき、コントローラ151は、その一定の時間間隔を分析して、他のデバイスからの予想される通信が、スポット401上に置かれたデバイスの一定の時間間隔と相互に重複しないように、他のデバイスへのデジタルピングを生成する。
【0098】
別の技術的解決策は、デバイス通信タイミングを段階的に実行することである。いくつかの例示的実施形態では、コントローラ151は、デバイスの1つに充電する負荷コイルのOPF用のデューティサイクルを変えることができ、結果的に、デバイスは、電力修正リクエストにすぐに反応し、このことは、他のデバイスとの通信が重複することを避けるように、その一定の時間間隔をシフトすることによる結果である。
【0099】
さらに別の技術的解決策は、Tx100に、OPFのうちのOPFごとに適用される負荷変調を分離するフィルタを追加することである。いくつかの例示的実施形態では、この手法は、TX100が、多重的な異なるデバイスから同時に来る通信を、同時に復号化することを可能にする。
【0100】
いくつかの例示的実施形態では、送信器からデバイスへの通信は、OPFに対する修正が、適用可能なタイムスロットで別々にデバイスごとに実行され得るように、周波数変調に基づくことができる。
【0101】
いくらかの通信パケット損失は、本開示システムの正常動作に取るに足らない影響を及ぼす可能性があることに留意されよう。
【0102】
上に描写される本開示システムの多負荷リレー概念は、必ずしも分離されたTx100およびリレーアーキテクチャに限定されるわけではなく、市販のアーキテクチャにおいても利用されることができる。多負荷リレー概念を市販のシステムと共に利用するために、送信器の駆動回路構成は、個別の共振コンデンサを備えた多重的負荷コイルと並列に接続されることができる。上で詳述された構成要素は、例えばコントローラ151によって、または別のプロセッサによって実行される、相互関係のあるコンピュータ命令の1つまたは複数のセットとして実施されてもよい。構成要素は、何らかのプログラミング言語で、そして何らかのコンピューティング環境下でプログラムされる、1つまたは複数の実行可能ファイル、ダイナミックライブラリ、スタティックライブラリ、方法、関数、サービス等として配置され得る。
【0103】
本開示の主題は、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本開示の主題の態様を遂行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をそこに有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。
【0104】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用される命令を保持および記憶することができる有形のデバイスであることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定するわけではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述のものの何らかの適切な組合せであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体のさらなる特定の例の網羅的ではない一覧は、以下を含む:可搬式コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memoryまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)、可搬式コンパクトディスクによる読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリスティック、フロッピディスク、穿孔カードまたはそこに記録される命令を有する溝の中の隆起構造物などの、機械的に符号化されたデバイス、および前述のものの何らかの適切な組合せ。本明細書で用いられるコンピュータ可読記憶媒体は、電波、または他の自由伝播電磁波、導波管または他の伝送媒体を通る電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通る光パルス)、またはワイヤを通って送信される電気信号などの、それ自体で一時的信号であると解釈されるべきではない。
【0105】
本明細書において記述されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理デバイスに、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、および/または無線ネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードされることができる。ネットワークは、銅製伝送ケーブル、光学伝送ファイバ、無線通信等、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを含むことができる。それぞれの計算/処理デバイスの中のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれの計算/処理デバイスの中のコンピュータ可読記憶媒体内の記憶装置にコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0106】
本開示の主題の動作を遂行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、C++等などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの従来型の手続きプログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の何れかを組み合わせて書き込まれたソースコードもしくはオブジェクトコードのどちらかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、一部分をユーザのコンピュータ上で、一部分をユーザのコンピュータ上、そして一部分を遠隔コンピュータ上で、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行してもよい。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)もしくは広域ネットワーク(WAN:wide area network)を含むどんな種類のネットワークを通してでも、ユーザのコンピュータに接続され得る、または外部コンピュータへの接続が、(例えばインターネットサービスプロバイダーを使用してインターネットを通して)作られてもよい。いくつかの実施形態では、例えばプログラマブルロジック回路構成、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはプログラマブルロジックアレイ(PLA:programmable logic arrays)を含む電子回路構成は、本開示の主題の態様を行うために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、電子回路構成を個人化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0107】
本開示の主題の態様は、本明細書において、開示の主題の実施形態による、方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品の流れ図説明および/またはブロック線図を参照しながら記載される。流れ図説明および/またはブロック線図のそれぞれのブロック、および流れ図説明、および/またはブロック線図の中のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施されることができることを理解されたい。
【0108】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを利用して行われる命令が、流れ図および/またはブロック線図の1つまたは複数のブロックの中に明記された機能/作用を実施するための手段を作成するように、機械を作り出すために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されることができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、その中に記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体が、流れ図および/またはブロック線図の1つまたは複数のブロックに明記された機能/作用の態様を実施する命令を含む製品を備えるように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他のデバイスに特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体の中にさらに記憶されていてもよい。
【0109】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令が、流れ図および/またはブロック線図の1つまたは複数のブロックの中に明記された機能/作用を実施するように、一連の動作段階を、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で行わせて、コンピュータ実施プロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイス上にさらにロードされてもよい。
【0110】
図中の流れ図およびブロック線図は、本開示の主題のさまざまな実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を図示する。この点に関して、流れ図またはブロック線図の中のそれぞれのブロックは、明記された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替的実装では、ブロックの中に書き留められた機能は、図中に書き留められた順序とは異なる順序で発生してもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時発生的に実行されてもよく、またはブロックは、関係している機能性によっては、逆順で実行されることもあり得る。ブロック図、および/または流れ図説明のそれぞれのブロック、およびブロック図および/または流れ図説明の中のブロックの組み合わせは、明記される機能または作用を行う、または特殊目的ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを遂行する特殊目的ハードウェアベースシステムによって実施されることができることにさらに留意されよう。
【0111】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示の主題を制限することを目的としていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、コンテクストが特に明確に指示しない限り、さらに複数形も含むように意図されている。用語「備える」および/または「備えること」は、本仕様で使用されるとき、表示された特徴、整数、段階、動作、要素、および/または構成要素の存在を明記するものであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、段階、動作、要素、構成要素、および/またはその群の存在または追加を排除していないことをさらに理解されたい。
【0112】
下記の特許請求の範囲の中の対応する構造物、材料、作用、および全ての手段または段階プラス機能素子の等価物は、明確に請求されるように、他の請求される要素と組み合わせて機能を行うためのどのような構造、材料、または作用でも含むように意図されている。本開示の主題の記載は、図解および説明のために提示されてきたが、網羅的であるようには、または開示された形態の開示の主題に限定されるようには意図されていない。開示の主題の範囲および精神から逸脱することのない、多くの修正および変更が、当業者には明らかとなろう。実施形態は、開示の主題の原理および実際の適用を最もうまく説明するために、そして、他の当業者が、想定される特定の用途に適しているようにさまざまな変更を加えたさまざまな実施形態に関する開示の主題を理解することを可能にするために、選択されて記載された。