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  • 特許-曲面部材のための隔壁用シム 図1
  • 特許-曲面部材のための隔壁用シム 図2A
  • 特許-曲面部材のための隔壁用シム 図2B
  • 特許-曲面部材のための隔壁用シム 図2C
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  • 特許-曲面部材のための隔壁用シム 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】曲面部材のための隔壁用シム
(51)【国際特許分類】
   B64D 29/06 20060101AFI20231220BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20231220BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B64D29/06
B64C1/00 A
F01D25/00 X
F01D25/00 V
F01D25/00 L
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020021514
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2020164150
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】16/285,798
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】リッチ エル.スターク
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ ラキッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジャレド マービン パシク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ディー.ウィリアムズ
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0129045(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0168852(US,A1)
【文献】特表2009-508755(JP,A)
【文献】米国特許第6328258(US,B1)
【文献】特開2017-36033(JP,A)
【文献】特開2018-41439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 29/06,33/02,
B64C 1/00,
F01D 25/00,
B23P 19/10,
B64F 5/10, 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記第1曲面部材及び前記第2曲面部材は、薄肉部材である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1曲面部材と前記第2曲面部材は、共通の軸を有し、前記隔壁は、前記共通の軸を共有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1曲面部材は複合材料製であり、前記隔壁は金属製であり、前記第2曲面部材は金属製である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1曲面部材の前記対向エッジと前記第2曲面部材の前記対向エッジとは、軸方向に互いに1,000分の30インチから1,000分の150インチ離間している、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1曲面部材は、ターボファンジェットエンジンの内側バレルであり、前記第2曲面部材は、ターボファンジェットエンジンのナセルリップスキンである、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記内側バレルは、前記対向エッジに面取りを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記特定の厚みの前記複数のシムが選択される前記予め作製された複数組のシムは、各組の厚みが0.005インチから0.010インチの刻みで増分されている、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
軸を有する支持構造に航空機の1薄肉曲面部材と第2薄肉曲面部材を組み付けて、各薄肉曲面部材が規定する対向エッジが、軸方向に互いに離間し、且つ、径方向に整列するように固定する方法であって、
前記第1薄肉曲面部材を前記支持構造に予め組み付けることと、
前記対向エッジが前記支持構造において軸方向に互いに離間した状態で、前記第2薄肉曲面部材を前記支持構造にクランプすることと、
前記第2薄肉曲面部材と前記支持構造との間に周方向に延在する径方向隙間を、前記第2薄肉曲面部材の前記対向エッジにおいて、組み立て前に測定することと、
前記径方向隙間の平均値を算出することと、
予め作製された複数組のシムのうち、前記算出した径方向隙間の平均値に対応するシム厚みに最も近い特定のシム厚みの組を選択することと、
前記第2薄肉曲面部材のクランプを解除して、前記第2薄肉曲面部材の前記対向エッジを前記支持構造から離間させることと、
前記径方向隙間の前記平均値に対応して選択された前記厚みを有する複数のシムを、前記支持構造の周方向に互いに離間するように、前記支持構造に配置することと、
前記第1薄肉曲面部材の前記対向エッジと前記第2薄肉曲面部材の前記対向エッジが径方向に互いに整列した状態で固定されるように、前記第2薄肉曲面部材を前記支持構造に恒久的に固定することと、を含む方法。
【請求項10】
前記第1薄肉曲面部材は、ターボファンジェットエンジンの内側バレルであ前記第2 薄肉 曲面 部材は、ターボファンジェットエンジンのナセルリップスキンである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記内側バレルは、前記対向エッジに面取りを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記特定の厚みの前記複数のシムが選択される前記予め作製された複数組のシムは、各組の厚みが約0.005インチから0.010インチの刻みで増分されている、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1薄肉曲面部材の前記対向エッジと前記第2薄肉曲面部材の前記対向エッジとは、軸方向に互いに1,000分の30インチから1,000分の150インチ離間している、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機の製造に関し、より具体的には、互いに隣接するように隔壁などの支持構造に取り付けられた薄肉曲面部材の間に空力的な段差(aerodynamic step)が生じることを回避するためのプロセスの最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の「濡れ(wetted)」面としても知られる空力的外表面は、部材の取り付け(component fit-up)に際して、製造公差のばらつきが大きい場合がある。対向エッジ(即ち、固定する接合部)における隙間を、特定の輪郭形状のフィラー又はシムを用いて所定の位置に固定及び/又はロックすると、その結果として生じるばらつきによって空気流に乱れが生じるので、後方の接合面が腐食する要因になりうる。複合材料製の部材であれば、そのような腐食は、実際に層間剥離を引き起こす可能性がある。このような腐食のリスクがあるので、航空機の濡れ面を構成する部材の対向エッジの作製に際しては、特に注意が必要である。
【0003】
例えば、エンジンナセルのリップスキン(lipskin)、翼の前縁、及び、胴体接合部の後方に位置する濡れ面などの薄肉の曲面航空機部材では、このようなリスクがやや高い。致命的な損傷を避けるために、上述のナセルリップスキンをはじめとする薄肉構造は、例えば、シムと一緒に取り付けられることで、土台となる隔壁などの支持構造に対して所望の位置に固定される。
【0004】
シムを設置する手法は、一般的に「シム調整(shimming)」と呼ばれ、従来から、所望の精度を保証するためには比較的手間のかかる作業であった。通常、輪郭を個々に調整したシムが用いられるが、そのようなシムの設置にはコストと時間を要することが多い。参考までに延べると、個々に厚みを調整する複数のシムを用いる航空機部品の取付け方法は、例えば特表2009-508755に開示されている。
【0005】
したがって、コストの低減と時間の節約が可能なシム調整の方法及びシステムの開発が、引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一態様によれば、第1曲面部材と第2曲面部材を隔壁に組み付けて、前記第1部材における対向エッジが、前記第2部材における対向エッジと軸方向に離間し、且つ、径方向に整列するように固定する方法が開示される。前記方法は、前記第1部材を前記隔壁に予め組み付けることを含み、次いで、前記隔壁と前記第2部材の対向エッジとの間のすべての径方向隙間を組み立て前に測定することを含む。前記隔組み立て前の測定は、予測分析を利用して、前記第2部材と前記隔壁との間に周方向に延在する径方向隙間の平均値を算出することで行われる。予め作製された複数組のシムのから、すべての径方向隙間から算出した前記平均値に対応するシム厚みに最も近い特定のシム厚みの組が選択される。次いで、前記選択された特定の厚みの複数のシムが、前記隔壁のうち、前記第2部材の前記エッジの内側に配置される予定の位置に、前記隔壁の周方向に互いに離間するように配置される。次いで、前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジが径方向に互いに整列した状態で固定されるように、前記第2部材が前記隔壁に恒久的に固定される。
【0007】
本開示の別の態様によれば、軸を有する支持構造に第1の薄肉曲面部材と第2の薄肉曲面部材を組み付けて、各部材が規定する対向エッジが、軸方向に互いに離間し、且つ、径方向に整列するように固定する方法が開示される。当該方法は、前記第1部材を前記支持構造に予め組み付けることを含む。次いで、前記第2部材の前記対向エッジが前記第1部材の前記対向エッジから軸方向に離間した状態で、前記第2部材が前記支持構造にクランプされ、前記第2部材と前記支持構造との間に周方向に延在する径方向隙間が、前記第2部材の前記対向エッジにおいて、組み立て前に測定される。前記径方向隙間の平均値が算出され、また、前記算出された隙間の平均値に対応するシム厚みが特定される。次に、前記第2部材のクランプが解除されて、前記第2部材の前記エッジが前記支持構造から離間し、前記径方向隙間について算出された平均値に対応して選択された厚みを有する複数のシムが、前記支持構造の周方向に互いに離間するように、前記支持構造に配置される。最後に、前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジが径方向に互いに整列した状態で固定されるように、前記第2部材を前記支持構造に恒久的に固定される。
【0008】
本開示のさらに別の側面によれば、プロダクトバイプロセスとして形成された組み立て品は、隔壁に組み付けられた第1及び第2の航空機曲面部材を含み、前記両部材の対向エッジが軸方向に離間し、且つ、径方向に整列した状態で固定された組み立て品である。前記第1部材は、前記隔壁に予め組み付けられ、次いで、前記第2部材の前記対向エッジと前記隔壁との間の隙間を組み立て間に測定したのちに、前記第2部材は、別個に前記隔壁に組み付けられる。この目的のため、予測分析モデルを適用することで、すべての径方向隙間の平均値が算出される。また、予め作製された複数組のシムのうち、前記算出された隙間の平均値に対応するシム厚みに最も近い特定のシム厚みの組が選択される。前記組に含まれる複数のシムが、前記隔壁の周方向に配置される。前記組に含まれるシムは、すべて、前記隙間の平均値に対応する同一の厚みを有する。次いで、前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジが径方向に互いに整列した状態で固定されるように、前記第2部材が前記隔壁に恒久的に固定される。
【0009】
本開示の特徴、機能、及び、利点は、様々な実施形態において個別に達成することも可能であるし、さらにほかの実施形態と組み合わせることも可能である。詳細については、下記の説明及び図面を参照すれば、さらに明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ナセルリップスキン部材と内側バレル部材とが組み立てられた航空機ターボファンジェットエンジンの透視概略図であって、本開示に従って組み立てられた両部材のエッジが示されている。
図2A】隔壁に固定されたナセルリップスキンの横断面図であり、リップスキンの対向エッジと内側バレルの対向エッジの間にある一種の径方向のずれによって、両対向エッジ間に望ましくない空力段差がある状態を示している。
図2B】隔壁に固定されたナセルリップスキンの横断面図であり、リップスキンの対向エッジと内側バレルの対向エッジとの間に径方向のずれがない状態を示している。
図2C】隔壁に固定されたナセルリップスキンの横断面図であり、リップスキンの対向エッジと内側バレルの対向エッジとの間にある別の種類の径方向のずれによって、両対向エッジ間に望ましくない空力段差がある状態を示している。
図3】ナセルリップスキン対向エッジと隔壁の対向エッジの間に生じうる、図2A図2B及び図2Cに示した径方向隙間の種類を例示的に示す概略図である。
図4】ナセルリップスキンと内側バレルの一部を示す、図1の線4-4に沿った断面図である。
図5図4の挿入図として切り出された、ナセルリップスキンと内側バレルの拡大断面図であって、両部材が本開示に従って隔壁に取り付けられた状態であって、ナセルリップスキンと内側バレルとの間にシムが配置された状態を示している。
図6】ナセルリップスキン、内側バレル、及び、隔壁の透視分解概略図であって、これらの部材が、本開示の一方法に従って、部分組立ツールに支持された状態を示している。
図7】先行技術の方法による隔壁の正面断面図であり、輪郭を個々に調整した従来のシムを示している。
図8】輪郭を個々に調整した先行技術によるシムの代替として作製及び使用可能な、本開示による一定の厚みのシムを示す断面図である。
図9】本開示による、予め作製されたシムの複数の組を概略的に示す図であり、各組のシムは、すべて同じ厚みを有し、各組のシムの厚みは、他の組のシムの厚みとは異なり、この中から特定のシム厚みが選択される。
図10】内側バレル及びリップスキンを隔壁に装着する本開示の第1の方法を示すフローチャートである。
図11】内側バレル及びリップスキンを隔壁に装着する本開示の第2の方法を示す第2のフローチャートである。
図12】胴体セクションの透視図であり、本開示に従って組付け可能な、互いに対向する接合部が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
参照図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本開示の実施形態を模式的に示しているに過ぎない。本開示の実施形態の態様は、本開示に図示や説明されていない様々なシステム及び環境において互いに組み合わせたり、置き換えたりすることが可能である。したがって、後述の詳細な説明は、あくまでも説明を目的とするものであり、その用途や使用を限定することを意図するものではない。
【0012】
後述の詳細な説明は、本開示を実施するための方法の態様に加えて、プロダクトバイプロセスの態様も含む。本開示の範囲は、請求の範囲の記載によって定義される。
【0013】
先ず、図1を参照すると、航空機ターボファンジェットエンジン10は、民間のジェット機(図示せず)に用いられる種類のものであり、ジェットエンジン隔壁14(図1では、隠れて見えないが、図3に示されている)に直に取り付けられたナセルリップスキン12を含む。隔壁14は、軸「a-a」(図3)を規定する。リップスキン12、及び、当該リップスキン12に隣接して配置された内側バレル16は、いずれも曲面部材であって、本開示の方法を用いて隔壁14の軸方向及び径方向に固定可能な種類の部材である。隔壁14は、重要な支持構造であって、例えば、チタン又はアルミニウムなどの金属で構成されている。通常は、リップスキン12も比較的薄肉の金属部材であって、アルミニウム合金で構成されている。よって、フライト中に既知の着氷条件においてリップスキンの前縁17から除氷のために排出される高温のエンジン抽気に耐えることができる。これに対し、内側バレル16は、本開示の実施例では、比較的軽量で剛性の高い複合材料で構成されている。内側バレルは、本開示には記載していないが、当業界で公知の事前組み立てプロセスによって隔壁14に取り付けられている。
【0014】
リップスキン12と内側バレル16とは、主には膨脹係数が異なることにより、軸方向に互いに少し距離をあけて配置することが望ましい。この結果、理想的には、リップスキン12のエッジ19は、内側バレル16のエッジ21から軸方向に1,000分の30インチから1,000分の150インチ離して配置することが望ましい。このように配置すれば、リップスキン12の金属エッジ19が内側バレル16の複合材エッジ21に対して軸方向に膨張しても、これを吸収することができる。矢印Aは、軸方向に離間した上述のエッジ19及び21を含む、いわゆる濡れ面における接合部(faying joint)18を越えて流れる空気の相対的な動きを表している。空力接合部、即ち「濡れ面接合部」の製造に際しては、いわゆる空力段差の形成を避けるべく、特別な注意を払う必要がある。空力段差があると、接合部18などの接合部の後方の領域に腐食の可能性が生じ、そのような可能性は、影響を受ける側である下流側に位置する構造が複合材料で構成されている場合に顕著である。そのような腐食は、複合材料の層間剥離をはじめとする深刻な損傷を実際に引き起こす可能性がある。
【0015】
次に、図2A図2B及び図2Cを参照すると、周方向に延びる接合部18を示す3つの典型的な断面図が示されており、図2Aでは、正段差(positive step)である空力段差34'が示されている。図2Bは、実質的に空力段差のない状態を示している。これに対し、図2Cは、負段差(negative step)である空力段差34’’を示している。空力段差は、ナセルリップスキン12の径規定外面27と内側バレル16の径規定外面29で測定した場合に、軸方向に離間した対向エッジ19と21との間に径方向のずれ(radial offset)がある場合に発生する。ナセルリップスキン12の径規定外面27を通過した空気流(矢印Aで示す)が、内側バレル16のエッジ21に直接当たる場合は、段差が正であるという。なお、エッジ21は、上述した接合部における腐食の影響を最小限に抑えるために面取り28を有する。反対に、ナセルリップスキン12の径規定外面27を通過した空気流が、図2Cに示すように内側バレル16のエッジ21の径方向上方を通過する場合は、段差が負であるという。なお、正段差であっても、負段差であっても、特定の構造的制限の範囲外の空力段差が許容されないことは当業者には理解されよう。
【0016】
図2A図2B及び図2Cにそれぞれ示すように、径方向隙間(radial gap)26a、26b及び26cは、隔壁14の径規定外面20とナセルリップスキン12の径規定内面24とによって規定されるとともに、周方向に延びており、この径方向隙間を調整することで空力段差34'又は34''の大きさを制御することができる。なお、各隙間26a、26b及び26cは、正又は負の空力段差34'及び34''と混同すべきものではなく、また、直接的な相関関係にあるものでもない。例えば、図2Aに示した隙間26aは、実際には、ほとんど隙間がない状態であるにもかかわらず、上述したように、正段差34'に対応している。これに対し、図2Bでは、空力段差なしの状態が認識可能な大きさの隙間26bに対応しており、また、負段差である空力段差34''は、さらに大きな隙間26cに対応している。
【0017】
次に、図3を参照すると、本開示の方法によれば、図示した隙間26a、26b及び26cだけでなく、ナセルリップスキン12と隔壁14との間に周方向に延在するその他のすべての隙間も効率的に制御することができ、従来の方法に比べて、コスト効率が高く、所要時間も大幅に短い。加えて、総じて「平均厚みに基づくシム調整(average thickness shimming)」とも呼ぶ本開示の方法は、軸方向に互いに離間する部材のうちの一方(即ち、内側バレル16)が剛性であり、他方(即ち、薄肉リップスキン12)が可撓性及び/又は柔軟性を有する場合に、特に有利である。
【0018】
次に、図4を併せて参照すると、図1の線4-4に沿って、ナセルリップスキン12、及び、隣接する内側バレル16の断面を示している。同図に示すように、周方向の接合部18がナセルリップスキン12の吸気口直径36の位置に配置されている。なお、ナセルリップスキンの吸気口は、本開示の方法を説明するために、代表的な一実施例として示しているに過ぎない。例えば、ジェットエンジン10の外側カウリング38に配置された同様の接合部にも、同様の説明が可能である。
【0019】
次に、特に図5を参照すると、接合部18の周方向に沿って形成される負又は正の空力段差34'及び34''を最小化する/低減することを目的として、隔壁14とナセルリップスキン12の間に、詳細を後述するシム30が配置されている。また、図5に示すように、隔壁14と内側バレル16は、ファスナ32を用いて固定されており、隔壁14とナセルリップスキン12は、両者の間にスペーサとして機能するシム30を挟んだ状態で、ファスナ32'を用いて固定されている。図示のように、ファスナ32及び32'は、ナセルリップスキン12の径規定外面27及び内側バレル16の径規定外面29に対しては面一に設定されているが、隔壁14の径規定内面22によって画成される空間内に物理的に突入していてもよい。
【0020】
図6を参照すると、部分組立ツール40によれば、隔壁14に先に取り付けられた複合材製の内側バレル16に隣接する位置において、ナセルリップスキン12を隔壁14に対して垂直に装着することを可能にする。図6に示す軸a-aは、ナセルリップスキン12、隔壁14、及び、複合材製の内側バレル16に共通する軸である。リップスキン部材及び内側バレル部材は、いずれも隔壁に固定されるので、隔壁、内側バレル、及び、リップスキンは、組み立てが完了した状態においても軸a-aを共有する。
【0021】
本開示で提示する方法は、金属製の隔壁14に複合材製の内側バレル16が予め組み付けられた状態を前提としている。この手法は、隔壁14が、予め内側バレル16と一体的に組み立て可能である場合に特に有利である。
【0022】
図7を参照すると、先行技術による輪郭調整されたシム44a~44hを配列した状態が示されている。各シムは、先行技術の隙間制御に従ってそれぞれ異なる外側輪郭46a~46hを有しており、図示のように隔壁14に配置されている。シム44a~44hは、各々が固有の厚みと、個々に成形された外側輪郭(即ち、輪郭46a~46hのいずれか)を有しており、このような多様性が、先行技術に望ましくない複雑性をもたらしている。従来の航空宇宙構造物は、組み立てツールを用いて組み立てられ、その組み立て工程において、1リニアフィート当たり(per linear foot)5ポンド以下のクランプ荷重(clamp-up load)が加えられる。リップスキンなど、複雑な輪郭形状の部材において、例えば、対向エッジの間に斜めの隙間がある場合、従来のプロセスでは、隙間を埋めるために個別仕様のシムを使用するので、作製のサイクルタイムが非効率的になり、面倒な手間がかかり、高価な機器が必要である。より新しい技術として、シム形状の予測を用いることで労力の最小化する技術はあるものの、このようなプロセスは、熟練を要する高コストの測定技術に加えて、CNC機器の専門的な使用を必要とする。したがって、従来の手法は、高い生産率を維持するためには、コストがかかりすぎると言える。
【0023】
図8を参照すると、本開示は、先行技術による個々に輪郭調整されたシム44a~44h(図7)に代えて、例えば図8のシム50a~50hのように、在庫として保管される、厚みが均一でフラットな複数の標準シムを用いる手段を提供する。よって、本開示が提供する方法によれば、翼の外板、前縁部分の外板、胴体部、及び、ナセルリップスキンなどの薄肉部材を隔壁に取り付けることを必要とする用途において、予め作製された厚みが同一厚みの単純なシム50a~50h(図5に示す1つのシム30と同様のもの)を容易に利用することができる。薄肉の金属構造は、形状適合性(compliance)を有するので、隔壁などの硬い取付点にエアフォイル面を「覆い被せる(drape)」ことが可能である。輪郭を個々に調整したシムに換えて、在庫品であるフラットなシムを使用すれば、上述したようなCNC機器、時間及び労力をはじめとするシムの作製技術は不要である。加えて、フラットなシム50a-hは、使用現場にストックしておけるので、緩衝在庫も不要になる。シムの材料は、金属であってもよいし、ガラス繊維などの複合材料であってもよい。
【0024】
一態様において、あくまでも例としてではあるが、ターボファンジェットエンジン10のナセルリップスキン12の厚みが0.060インチと0.120インチの間であり、吸気口直径36が約72インチであると仮定する。この場合、シム50a~50hは、ガラス繊維で作製し、図9に示すように、各シム50a~50hを、長さ2フィート、及び、幅1インチとすることができる。図9に、様々な厚みの複数組のシムをシム1~8として模式的に示している。様々な厚みのシムがあるが、各組におけるシムは、同じ特定の厚みを有する。これらは、予め作製されたシムのストックとして保管しておき、この中から必要に応じて特定の厚みのシムを選択することができる。この選択肢の中から、0.010インチと0.060インチの範囲で組ごとに異なる様々なシム厚みを選択可能である。複数の複数組のシムにおける各組のシム厚みは、約0.005インチから0.010インチの刻みで増分されている。また、図9は、それぞれ独自の厚みを有する複数組のシム1~8は、「接合部A」に合わせて予め作製されたものであることを示している。この接合部は、図1図2図4図5に示すナセルリップスキン12と内側バレル16との間の接合部18を表している。
【0025】
次に、図10を参照すると、フラットシム50a~50hを用いて、上述のようにナセルリップスキン12を隔壁14に取り付ける第1の方法のいくつかのステップを記載した第1のフローチャートが示されている。ステップ100において、先ず、内側バレル16を隔壁14に予め組み付ける。ステップ102は、隔壁14とナセルリップスキン12の対向エッジ19との間の径方向隙間26(例えば、図2及び図3の隙間26a、26b及び26cなど)を組み立て前に測定することを含む。これは、予測分析を適用して、ナセルリップスキン12と隔壁14との間に延在する径方向隙間26の平均値を算出することで実行される。ここで採用する予測分析モデルは、すべての径方向隙間から算出された平均値が、基準値からのずれの部位ごとの許容値範囲内に収まっているか、すなわち構造的な許容制限の範囲内にあるか評価することを含んでもよい。
【0026】
より具体的には、採用する予測分析モデルは、いずれも、リップスキン12を隔壁14に取り付ける前に、この隔壁に関連づけた当該リップスキンの組み立て前測定を行うことを含んでもよく、この測定は、作製後のリップスキン面の点データを取得し、当該リップスキンを表す点群面を生成することで実行可能である。なお、この技術は、当業者には理解されるであろう。次いで、作製後の状態を表す点群面を使用することで、作製後のリップスキン12の対向エッジ19に局所的なうねり(即ち、表面のばらつき)がある場合、組み立てたて時に、所定の制限を超えるようなたわみが発生する可能性があるか判定することができる。この判定は、作製後の実表面を平均的なシムの(あるいは、シム調整後の)表面位置を表す値と直接比較するコンピュータアルゴリズムによって補助することができ、よって、作製後の位置とシム調整後の位置の間の相対的なずれの大きさの予測を補助することができる。なお、リップスキンの特定の設計的特徴に基づく構造的な分析を適用して、作製後の状態で表面にうねりがある対向面19の任意の局所領域について、最大ずれ量の制限値を設定してもよい(つまり、対向面とシム調整後の表面位置との差分がずれ量として算出される)。シム調整後の表面位置は、リップスキンの表面を内側バレル16の対向面21と整列させるために必要な移動又はシフトの量を算出することにより特定できる。作製後の内側バレル16と作製後のリップスキン12とは、それぞれ別個に測定され、また、それぞれの点群面は、組み立て前に生成されるので、剛性たわみ限界を設定する任意の構造分析とともに、両測定値の差分の算出は、必ず実際の組み立ての前に行われる。
【0027】
引き続き図10のフローチャートについて説明すると、ステップ104において、シム50a~シム50hを含む、予め作製された複数組のシム1~8(図9)のうち、例示した隙間26a、26b及び26cをはじめとするすべての径方向隙間26から算出した平均値に対応するシム厚みに最も近い特定のシム厚みの組を選択する。
【0028】
ステップ106において、選択された同一の特定厚みを有する複数のシム50a~50hを、隔壁14における周方向の位置であって、ナセルリップスキン12のエッジ19の内側に配置される予定の位置に配置する。
【0029】
最後に、ステップ108において、ナセルリップスキン12を隔壁14に永続的に固定し、この際に、両構造の間に配置されたシムも一緒に一体化して、ナセルリップスキンのエッジ19と隔壁のエッジ21が径方向に互いに整列した状態で固定されるようにする。
【0030】
次に、図11を参照すると、フラットシム50a~50hを用いて、上述のようにナセルリップスキン12を隔壁14に取り付ける第2の方法のいくつかのステップを記載した第2のフローチャートが示されている。本方法においても、ステップ200において、先ず、内側バレル16を隔壁14に予め組み付ける。ただし、第2の方法においては、径方向隙間26の組み立て前測定を行う際に、予測分析は利用しない。代わりに、径方向隙間26(図2A図2C及び図3に例示した隙間26a、26b及び26c)を物理的に測定して、ナセルリップスキン12と隔壁14の間に周方向に延在するすべての径方向隙間26の平均値を算出する。
【0031】
この目的で、ステップ200において内側バレル16を隔壁に組み付けた後、ステップ202において、ナセルリップスキン12の対向エッジ19を所定の位置に配置した状態で、ナセルリップスキン12を隔壁14に対して物理的にクランプする。ナセルリップスキン12と隔壁14との間に周方向に延在するすべての径方向隙間26(例えば、隙間26a、26b及び26c)を物理的に測定する。
【0032】
ステップ204において、径方向隙間26の平均値を算出し、ここで算出した平均値は、暫定の値であり、受け入れ前に、構造的に許容される所定の制限の範囲に収まっているか評価する。したがって、図11に示す組み立てプロセスにおいては、ナセルリップスキン12が隔壁14に対して物理的にクランプされた状態であるが、作製後の状態におけるうねりについて上述した局所的なたわみ限界は、同様に適用可能である。そのようなたわみ限界は、設計部品の構造的分析に基づいて「所定のたわみ限界」を設定することを含むが、図10の組み立てプロセスで説明した、点群面のモデル生成を含む「予測分析」プロセスは行わない。したがって、図11の組み立てプロセスには、組み立て前に構造測定を行って設定された任意の所定のたわみ限界が適用される。
【0033】
引き続き、図11のフローチャートについて説明すると、次に、複数のシム50a~50hを含む、予め作製された複数組のシム1~8(図9)から特定の厚みのシムを選択する。この特定のシム厚みは、複数の組のうち、すべての径方向隙間26から算出した平均値に対応するシム厚みに最も近いシム厚みの組が選択される。平均値の算出の対象とされた、周方向に延在するすべての隙間26には、リップスキンと隔壁との間のすべての隙間が含まれ、例として上述した隙間26a、26b及び26cも含まれる。
【0034】
ステップ206において、ナセルリップスキン12を隔壁14から離脱させ、すべて同じ厚みを有する選択された複数のシム(例えば、シム50a~50h)を隔壁14における周方向の位置であって、ナセルリップスキン12のエッジ19の内側に配置される予定の位置に配置する。
【0035】
最後に、ステップ208において、ナセルリップスキン12を隔壁14に永続的に固定し、この際に、両構造の間に配置されたシムも一緒に一体化して、ナセルリップスキンのエッジ19と隔壁のエッジ21が径方向に互いに整列した状態で固定されるようにする。
【0036】
図12を参照すると、胴体58の分解図において、胴体セクション60a~60dが示されている。本開示は、突合せ接合される胴体セクション60bのエッジ62と胴体セクション60cのエッジ64にも適用可能であり、例えば、内部フレームの隔壁構造(図示せず)にも適用可能であることは、当業者には理解されよう。
【0037】
さらに、本開示は、下記の付記による実施形態も包含する。
【0038】
付記1.軸を有する隔壁に第1曲面部材と第2曲面部材を組み付けて、前記第1部材における対向エッジが、前記第2部材における対向エッジと軸方向に離間し、且つ、径方向に整列するように固定する方法であって、
前記第1部材を前記隔壁に予め組み付けることと、
予測分析を利用して、前記隔壁と前記第2部材の前記対向エッジとの間の径方向隙間を組み立て前に測定して、前記第2部材と前記隔壁との間に周方向に延在する径方向隙間の平均値を算出することと、
予め作製された複数組のシムのうち、前記算出した径方向隙間の平均値に対応するシム厚みに最も近い特定のシム厚みの組を選択することと、
前記選択された特定のシム厚みの複数のシムを、前記隔壁のうち前記第2部材の前記エッジの内側に配置される予定の位置に、前記隔壁の周方向に互いに離間させて配置することと、
前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジが径方向に互いに整列した状態で固定されるように、前記第2部材を前記隔壁に恒久的に固定することと、を含む方法。
【0039】
付記2.前記第1部材及び前記第2部材は、薄肉部材である、付記1に記載の方法。
【0040】
付記3.前記第1部材と前記第2部材は、共通の軸を有し、前記隔壁は、前記同じ軸を共有する、付記1~2のいずれかに記載の方法。
【0041】
付記4.前記第1部材は複合材料製であり、前記隔壁は金属製であり、前記第2部材は金属製である、付記1~3のいずれかに記載の方法。
【0042】
付記5.前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジとは、軸方向に互いに1,000分の30インチから1,000分の150インチ離間している、付記1~4のいずれかに記載の方法。
【0043】
付記6.前記第1部材は、ターボファンジェットエンジンの内側バレルである、付記1~5のいずれかに記載の方法。
【0044】
付記7.前記内側バレルは、前記対向エッジに面取りを含む、付記6に記載の方法。
【0045】
付記8.前記第2部材は、ターボファンジェットエンジンのナセルリップスキンである、付記1~7のいずれかに記載の方法。
【0046】
付記9.前記特定の厚みの前記複数のシムが選択される前記予め作製された複数組のシムは、各組の厚みが約0.005インチから0.010インチの刻みで増分されている、付記1~8のいずれかに記載の方法。
【0047】
付記10.軸を有する支持構造に第1の薄肉曲面部材と第2の薄肉曲面部材を組み付けて、各部材が規定する対向エッジが、軸方向に互いに離間し、且つ、径方向に整列するように固定する方法であって、
前記第1部材を前記支持構造に予め組み付けることと、
前記対向エッジが前記支持構造において軸方向に互いに離間した状態で、第2部材を前記支持構造にクランプすることと、
前記第2部材と前記支持構造との間に周方向に延在する径方向隙間を、前記第2部材の前記対向エッジにおいて、組み立て前に測定することと、
前記径方向隙間の平均値を算出することと、
予め作製された複数組のシムのうち、前記算出した径方向隙間の平均値に対応するシム厚みに最も近い特定のシム厚みの組を選択することと、
前記第2部材のクランプを解除して、前記第2部材の前記エッジを前記支持構造から離間させることと、
前記径方向隙間の前記平均値に対応して選択された前記厚みを有する複数のシムを、前記支持構造の周方向に互いに離間するように、前記支持構造に配置することと、
前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジが径方向に互いに整列した状態で固定されるように、前記第2部材を前記支持構造に恒久的に固定することと、を含む方法。
【0048】
付記11.前記支持構造は、隔壁である、付記10に記載の方法。
【0049】
付記12.前記第1部材と前記第2部材は、共通の軸を有し、前記隔壁は、前記同じ軸を共有する、付記11に記載の方法。
【0050】
付記13.前記第1部材は複合材料製であり、前記隔壁は金属製であり、前記第2部材は金属製である、付記11~12に記載の方法。
【0051】
付記14.前記第1部材は、ターボファンジェットエンジンの内側バレルである、付記10~13のいずれかに記載の方法。
【0052】
付記15.前記第2部材は、ターボファンジェットエンジンのナセルリップスキンである、付記10~14のいずれかに記載の方法。
【0053】
付記16.前記内側バレルは、前記対向エッジに面取りを含む、付記14に記載の方法。
【0054】
付記17.前記特定の厚みの前記複数のシムが選択される前記予め作製された複数組のシムは、各組の厚みが約0.005インチから0.010インチの刻みで増分されている、付記10~16のいずれかに記載の方法。
【0055】
付記18.前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジとは、軸方向に互いに1,000分の30インチから1,000分の150インチ離間している、付記10~17のいずれかに記載の方法。
【0056】
付記19.軸を有する隔壁に第1及び第2の航空機曲面部材が組み付けられており、前記両部材の対向エッジが軸方向に互いに離間し、且つ、径方向に整列した状態で固定された組み立て品であって、前記両部材が、
予測分析を利用して、前記隔壁と前記第2部材の前記対向エッジとの間の径方向隙間を組み立て前に測定して、前記第2部材と前記隔壁との径方向隙間の平均値を算出することと、
予め作製された複数組のシムのうち、前記算出した径方向隙間の平均値に対応するシム厚みに最も近い特定のシム厚みの組を選択することと、
前記選択された特定のシム厚みの複数のシムを、前記隔壁のうち前記第2部材の前記エッジの内側に配置される予定の位置に、前記隔壁の周方向に互いに離間させて配置することと、
前記第1部材の前記対向エッジと前記第2部材の前記対向エッジが径方向に互いに整列した状態で固定されるように、前記第2部材を前記隔壁に前記複数のシムと一緒に恒久的に固定することと、を含むプロセスにより組み立てられたものである、組み立て品。
【0057】
付記20.前記第1部材は複合材料製であり、前記隔壁及び前記第2部材は金属製である、付記19に記載の組み立て品。
【0058】
本明細書では、2つの方法についてのみ具体的に説明したが、本開示は、開示も示唆もしていない他の変形及び変更が可能である。例えば、上記の説明には含まれていないが、コンピュータロジックプログラムを実装して、本開示に記載の方法のすくなくとも1つを実行するのに必要な任意の予測分析を行ってもよい。このことは、当業者には理解されよう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12