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  • 特許-部品実装機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231220BHJP
   H01L 21/52 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H01L21/52 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020041190
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021144990
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 寛之
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-023192(JP,A)
【文献】特開平10-335391(JP,A)
【文献】特開2002-158496(JP,A)
【文献】特開2010-123771(JP,A)
【文献】特表2019-520698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記電子部品を吸着するノズルと、前記ノズルを着脱可能に装着するヘッドと、を備える部品実装部と、
前記ヘッドとは別体で設けられ、前記ノズルを収容するノズル収容部と、
前記ノズル収容部に収容される前記ノズルを加熱する第1の加熱機構と、
制御装置と、を備え、
前記第1の加熱機構は、前記ノズル収容部に収容される複数のノズルを加熱可能であり、
前記制御装置は、前記ノズル収容部で加熱された前記ノズルを前記ヘッドに装着させ、当該ノズルで前記電子部品を吸着して前記基板に当該電子部品を熱圧着し、当該ノズルが前記ヘッドに装着されてから所定時間が経過したら当該ノズルを前記ノズル収容部に戻し、前記ノズル収容部で加熱されている別のノズルを前記ヘッドに装着させる、部品実装機。
【請求項2】
前記ノズル収容部に収容される前記ノズルの温度を検出する温度検出器をさらに備えている、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記ノズルによって前記電子部品を前記基板に熱圧着するときに、前記基板を支持する基板支持機構をさらに備え、
前記基板支持機構は、支持する前記基板を加熱する第2の加熱機構を有する、請求項1又は2に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子部品を基板に実装する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装機では、電子部品を基板に熱圧着することがある。電子部品を基板に熱圧着する際には、基板の下面から加熱して熱圧着する方法だけでなく、基板の上面から加熱して熱圧着する方法や、基板の両面から加熱して熱圧着する方法が用いられることがある。例えば、特許文献1の部品実装機では、電子部品を吸着するノズルを装着するヘッドが、加熱機構を備えている。ヘッドは、加熱機構を介してノズルを装着するため、加熱機構によりノズルが加熱される。加熱機構で加熱されたノズルを用いることにより、電子部品は基板の上面から熱圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-78156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の部品実装機では、ヘッドに加熱機構が搭載されており、加熱機構を介してヘッドに装着されたノズルを加熱する。しかしながら、ヘッドは基板の上方に配置され、基板の上方で水平方向に移動するように構成されている。このため、ヘッドに加熱機構を搭載すると、ヘッドの重量が変更されることにより制御パラメータの設定を変更したり、加熱機構のための追加の配線等を設置したりする等、ヘッドの仕様を大幅に変更する必要が生じるという問題があった。
【0005】
本明細書は、部品実装機において、ヘッドに加熱機構を搭載することなく、基板に電子部品を好適に熱圧着する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を吸着するノズルとノズルを着脱可能に装着するヘッドとを備える部品実装部と、ヘッドとは別体で設けられ、ノズルを収容するノズル収容部と、ノズル収容部に収容されるノズルを加熱する第1の加熱機構と、を備える。
【0007】
上記の部品実装機では、ノズルは、ノズル収容部に収容されているときに加熱機構により加熱される。このため、ヘッドに加熱機構を設けることなく、ノズルを加熱することができる。このため、ヘッドの仕様を大幅に変更することなく、基板の上方から電子部品を熱圧着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る部品実装機の概略構成を示す図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3図2のIII-III線におけるノズル収容部の一部断面図。
図4】実施例に係る部品実装機の制御装置の機能を示すブロック図。
図5】電子部品を回路基板に実装する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1)本明細書に開示する部品実装機では、第1の加熱機構は、ノズル収容部に収容される複数のノズルを加熱可能であってもよい。このような構成によると、複数のノズルを加熱機構により加熱することができる。ノズルはヘッドに装着されると、ノズル収容部から取り出されるため、時間と共に冷却される。複数のノズルを加熱することにより、ノズル収容部から取り出されたノズルが再加熱されるまで待機することなく、加熱されている別のノズルを用いて熱圧着することができる。
【0011】
(特徴2)本明細書に開示する部品実装機では、ノズル収容部に収容されるノズルの温度を検出する温度検出器をさらに備えていてもよい。このような構成によると、ノズル収容部で加熱されるノズルの温度を好適に制御することができる。
【0012】
(特徴3)本明細書に開示する部品実装機は、ノズルによって電子部品を基板に熱圧着するときに、基板を支持する基板支持機構をさらに備えていてもよい。基板支持機構は、支持する基板を加熱する第2の加熱機構を有していてもよい。このような構成によると、基板の下方から電子部品を加熱して熱圧着することができる。すなわち、基板の下方から電子部品を熱圧着できると共に、基板の上方から電子部品を熱圧着できる。このため、電子部品を基板に熱圧着する際に、電子部品を基板の上面から加熱して熱圧着することと、電子部品を基板の下面から加熱して熱圧着することと、電子部品を基板の両面から加熱して熱圧着することのいずれかを適宜選択することができる。
【実施例
【0013】
以下、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0014】
図1及び図2に示すように、部品実装機10は、部品実装部22と、ノズル収容部30と、ノズルホルダ32と、基板支持部40と、タッチパネル24と、制御装置26を備えている。
【0015】
部品実装部22は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20を備える。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0016】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。装着ヘッド16は、複数のノズル6を着脱可能に保持し、ノズル6を用いて部品フィーダ12が供給する電子部品4を取り上げ、当該電子部品4を回路基板2上へ装着する。このとき、ヘッド移動装置18が、部品フィーダ12及び回路基板2に対して、装着ヘッド16を移動させる。これによって、複数の部品フィーダ12のうち特定の部品フィーダ12から電子部品4が取り上げられ、回路基板2の予め定められた位置に電子部品4が装着される。基板コンベア20は、回路基板2の搬入、支持及び搬出を行う。
【0017】
ノズル収容部30は、部品フィーダ12と基板コンベア20(詳細には、一対の基板コンベア20のうち部品フィーダ12側に設置される基板コンベア20)との間に配置されている。ノズル収容部30は、複数のノズル6を収容可能であり、装着ヘッド16との間でノズル6の受け渡しを行う。複数のノズル6は、ノズル収容部30に取り付けられたノズルホルダ32に収容されている。
【0018】
図3に示すように、ノズルホルダ32には、複数の貫通孔34が設けられている。なお、図3では、ノズル収容部30の図示が省略されている。各貫通孔34内には、ノズル6が収容される。詳細には、ノズル6は、電子部品4を吸着する先端部7と、装着ヘッド16に装着される上端部8と、先端部7と上端部8の間に配置される鍔部9を備えている。鍔部9の径は、先端部7の径より大きくされていると共に、上端部8の径より大きくされている。貫通孔34の径は、ノズル6の先端部7の径より大きくされていると共に、鍔部9の径より小さくされている。したがって、ノズル6の先端部7を貫通孔34内に収容すると、鍔部9がノズルホルダ32の上面に当接し、ノズル6は鍔部9によりノズルホルダ32に支持される。ノズルホルダ32は、ノズル収容部30に対して着脱可能であり、例えば作業者がノズルホルダ32に収容されるノズル6を交換するときに、ノズル収容部30から取り外される。
【0019】
また、ノズルホルダ32の下方には、ノズルヒータ36が配置されている。具体的には、ノズルヒータ36は、ノズルホルダ32の複数の貫通孔34のうちのいくつかの下方に配置されており、本実施例では、図3において左端に位置する2つの貫通孔34の下方に配置されている。ノズルヒータ36は、ノズルホルダ32の貫通孔34内に収容されたノズル6の先端(すなわち、先端部7の鍔部9に接続していない端部)7aに当接し、ノズル6の先端7aを加熱する。したがって、ノズルホルダ32には、ノズルヒータ36によって加熱されるノズル6(以下、ノズル6aともいう)と、ノズルヒータ36によって加熱されないノズル6(以下、ノズル6bともいう)が収容される。なお、本実施例では、ノズルヒータ36は、ノズルホルダ32に収容されるノズル6のうち、2つのノズル6aを加熱するように構成されているが、このような構成に限定されない。ノズルヒータによって加熱されるノズル6aの数は特に限定されるものではなく、ノズルヒータは、3つ以上のノズル6aを加熱するように構成されていてもよい。
【0020】
また、ノズルヒータ36のノズル6との当接面には、温度検出器38が配置されている。本実施例では、温度検出器38は熱電対であるが、温度検出器38の種類は特に限定されない。温度検出器38は、ノズルヒータ36で加熱されるノズル6の先端7aの温度を検出する。
【0021】
図1に示すように、基板支持部40は、基板コンベア20上の回路基板2を下方から支持する装置である。基板支持部40は、バックアッププレート42上に配置される複数の支持ピン44を備え、それらの支持ピン44を上昇させることによって、回路基板2を下方から支持する。複数の支持ピン44の配置位置は、実装処理を行う回路基板2の回路パターンに応じて変更可能となっている。
【0022】
また、複数の支持ピン44は、支持ピンヒータ46(図4参照)によって選択的に加熱することができる。支持ピンヒータ46によって加熱された支持ピン44(以下、支持ピン44aともいう)は、熱圧着する電子部品4を実装する位置の下方に配置される。支持ピンヒータ46は、バックアッププレート42上に配置する前の支持ピン44を加熱するように構成されていてもよいし、バックアッププレート42上に配置された支持ピン44を加熱するように構成されていてもよい。支持ピンヒータ46がバックアッププレート42上に配置する前の支持ピン44を加熱するように構成されている場合には、支持ピンヒータ46によって支持ピン44が加熱された後、加熱された支持ピン44aは、バックアッププレート42上の所定の位置に配置される。また、支持ピンヒータ46がバックアッププレート42上に配置された支持ピン44を加熱するように構成されている場合には、加熱される前の支持ピン44がバックアッププレート42上の所定の位置に配置された後、熱圧着に用いられる支持ピン44(すなわち、熱圧着される電子部品4の下方に配置された支持ピン44)が支持ピンヒータ46によって加熱される。
【0023】
タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。制御装置26は、メモリとCPUを含むコンピュータを用いて構成されている。図1に示すように、制御装置26は、管理装置50と通信可能に接続されており、管理装置50から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。具体的には、図4に示すように、制御装置26は、部品実装部22、タッチパネル24、ノズルヒータ36及び支持ピンヒータ46と接続しており、部品実装部22、タッチパネル24、ノズルヒータ36及び支持ピンヒータ46を制御している。また、制御装置26は、温度検出器38と接続しており、温度検出器38で検出されたノズル6の温度を取得する。制御装置26は、取得したノズル6aの温度に基づき、ノズル6aが所定の温度を維持するようにノズルヒータ36を制御する。
【0024】
また、制御装置26は、計時部28を備えている。計時部28は、加熱されたノズル6aが、ノズルヒータ36で加熱されていない状態となったときから経過した時間を計測する。本実施例では、計時部28は、ノズルホルダ32に収容されているノズル6aが装着ヘッド16に装着されたタイミングで計測を開始する。なお、計時部28が計測を開始するタイミングは、ノズル6aがノズルホルダ32から取り出されたタイミングであってもよい。
【0025】
図5は、部品実装機10を用いて電子部品4を回路基板2に実装する処理の一例を示すフローチャートである。部品実装機10を用いて回路基板2に電子部品4を実装するときに、電子部品4を回路基板2に熱圧着することがある。例えば、回路基板2がフレキシブル基板である場合に、フレキシブル基板に電子部品4を熱圧着することがある。一方で、同一の回路基板2上に実装される電子部品4のうち、熱圧着することなく実装されるものもある。以下に、回路基板2上に実装される電子部品4に熱圧着される電子部品4を含む場合における、電子部品4を回路基板2に実装する処理について説明する。
【0026】
図5に示すように、まず、制御装置26は、支持ピン44を上昇させ、回路基板2を支持する(S12)。上述したように、支持ピン44は、実装処理を行う回路基板2の回路パターンに応じて配置されている。熱圧着する電子部品4が実装される位置の下方には、加熱された(又は加熱可能な)支持ピン44aが配置されている。
【0027】
次に、制御装置26は、装着ヘッド16にノズル6を装着する(S14)。上述したように、装着ヘッド16は、複数のノズル6を装着することができる。制御装置26は、装着ヘッド16に、加熱されていないノズル6bと共に、加熱されたノズル6aを装着する。装着ヘッド16に加熱されたノズル6aが装着されると、計時部28は、経過時間の計測を開始する。これにより、ノズル6aが装着ヘッド16に装着されてからの経過時間が計測される。
【0028】
次に、制御装置26は、部品フィーダ12から供給される電子部品4をノズル6に吸着させる(S16)。装着ヘッド16には複数のノズル6が装着されているため、制御装置26は、各ノズル6に対して適切な電子部品4を吸着させる。すなわち、制御装置26は、ノズル6bには回路基板2に熱圧着しない電子部品4を吸着させ、ノズル6aには回路基板2に熱圧着する電子部品4を吸着させる。
【0029】
次に、制御装置26は、生産プログラムに従って回路基板2上に実装する電子部品4が、熱圧着する電子部品4であるか否かを判定する(S18)。回路基板2上に実装する電子部品4が熱圧着する電子部品4である場合(ステップS18でYES)、制御装置26は、ノズル6aに吸着させている電子部品4を回路基板2上の所定の位置に熱圧着する(S20)。ノズル6aは、ノズルヒータ36によって加熱されていたため、装着ヘッド16に装着された後も所定時間の間は加熱された状態を維持している。ノズル6aで回路基板2上に押圧しながら加熱することで、電子部品4を回路基板2の上面から加熱して熱圧着することができる。また、この電子部品4の実装位置の下方(回路基板2の実装面とは反対の面)には、加熱された支持ピン44aが配置されている。このため、電子部品4は、回路基板2の下方からも加熱されて熱圧着される。したがって、電子部品4を、回路基板2の両面から加熱して熱圧着することができる。
【0030】
一方、次に回路基板2上に実装する電子部品4が熱圧着する電子部品4ではない場合(ステップS18でNO)、制御装置26は、ノズル6bに吸着させている電子部品4を回路基板2上の所定の位置に実装する(S22)。ノズル6bは加熱されていないため、この電子部品4は熱圧着されることなく、回路基板2上に実装される。
【0031】
次に、制御装置26は、実装処理を終了するか否かを判定する(S24)。実装処理を終了するか否かは、生産プログラムに従って判断される。実装処理を終了すると判定された場合(ステップS24でYES)、実装処理を終了する。
【0032】
一方、実装処理を終了すると判定されなかった場合(ステップS24でNO)、制御装置26は、ノズル6aが装着ヘッド16に装着されてから所定時間が経過したか否かを判定する(S26)。すなわち、制御装置26は、計時部28による計測時間が所定時間を超えたか否かを判定する。ノズル6aがノズルホルダ32から取り出されると、ノズル6aはノズルヒータ36によって加熱されなくなり、ノズル6aの温度は徐々に低下する。例えば、ノズル6aがノズルホルダ32から取り出されてから時間Tまでの間は、ノズル6aは電子部品4を熱圧着することができる温度を維持しているとする。この時間Tは、予め計測しておく。この場合、所定時間は、時間Tよりも短い時間に設定する。所定時間を時間Tより短い時間に設定することによって、ノズル6aがノズルホルダ32から取り出されて加熱されていない状態になっていても、ノズル6aによって電子部品4を回路基板2に熱圧着することができる。ノズル6aが装着ヘッド16に装着されてから所定時間が経過していない場合(ステップS26でNO)、装着ヘッド16に装着されているノズル6aを引き続き使用できる。このため、ノズル6aを交換することなくステップS16に戻り、ステップS16~ステップS26の処理を繰り返す。
【0033】
一方、ノズル6aが装着ヘッド16に装着されてから所定時間が経過した場合(ステップS26でYES)、ノズル6aの温度が低下し、熱圧着することができる温度を維持していないと判断される。このため、制御装置26は、装着ヘッド16に装着されているノズル6aを、ノズル収容部30に戻す(S28)。具体的には、制御装置26は、装着ヘッド16に装着されているノズル6aを、ノズルホルダ32の貫通孔34のうち、ノズルヒータ36によってノズル6を加熱可能な貫通孔34に戻す。このとき、計時部28は、経過時間の計測を停止すると共に、計測された経過時間をリセットする。
【0034】
次いで、制御装置26は、ノズルヒータ36によって加熱されている別のノズル6aを装着ヘッド16に装着させる(S30)。ノズルホルダ32には、ノズルヒータ36により、複数のノズル6aが加熱されている。このため、ノズルヒータ36によって加熱されている別のノズル6aに取り換えることによって、即時に熱圧着を含む実装処理に戻ることができる。このように複数のノズル6aを加熱することにより、温度が低下したノズル6を再加熱するまでの待機時間が不要となり、生産性を向上することができる。別のノズル6aが装着ヘッド16に装着されると、計時部28は、経過時間の計測を再び開始する。これにより、別のノズル6a(ステップS30で装着ヘッド16に装着されたノズル6a)が、装着ヘッド16に装着されてからの経過時間が計測される。そして、ステップS16に戻り、ステップS24で実装処理を終了すると判定されるまで、ステップS16~ステップS30の処理を繰り返す。
【0035】
本実施例では、回路基板2の両面から加熱して、電子部品4を回路基板2に熱圧着する。このとき、回路基板2の上面から加熱するために、加熱されたノズル6aを使用する。ノズル6aは、ノズル収容部30に設けられたノズルヒータ36により、ノズル収容部30に収容されている状態で加熱される。このため、装着ヘッド16に、ノズル6を加熱するための加熱機構を設ける必要がない。装着ヘッド16は回路基板2の上方で水平方向に移動する。このため、例えば、装着ヘッド16に加熱機構を設けると、装着ヘッド16の重量が変更されることにより制御パラメータの設定を変更したり、加熱機構のための追加の配線等を設置したりする等、装着ヘッド16の仕様を大幅に変更する必要が生じる。本実施例では、ノズル収容部30にノズルヒータ36を設けている。ノズル収容部30は、部品フィーダ12と基板コンベア20の間に固定されている。このため、部品実装機10の各部の仕様を大幅に変更することなく、ノズル収容部30にノズルヒータ36を設けることができる。
【0036】
なお、本実施例では、回路基板2の両面から加熱して電子部品4を熱圧着したが、このような構成に限定されない。部品実装機10は、ノズル6aを用いることによって、電子部品4を回路基板2の上面のみから加熱して熱圧着してもよい。
【0037】
また、本実施例では、装着ヘッド16は、複数のノズル6を着脱可能に保持していたが、このような構成に限定されない。装着ヘッドは、ノズル6を1つ着脱可能に保持してもよい。このような場合には、制御装置26は、装着ヘッドにノズル6を装着する処理(上記のステップS14)の前に、回路基板2に実装する電子部品4が熱圧着する電子部品4であるか否かを判定する処理(上記のステップS18)を実行し、装着ヘッドに装着するノズル6の種類(ノズル6aであるのか、ノズル6bであるのか)を選択すればよい。
【0038】
実施例で説明した部品実装機10に関する留意点を述べる。実施例のノズルヒータ36は、「第1の加熱機構」の一例であり、基板支持部40は、「基板支持機構」の一例であり、支持ピンヒータ46は、「第2の加熱機構」の一例である。
【0039】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0040】
2:回路基板
4:電子部品
6:ノズル
10:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
16:装着ヘッド
18:ヘッド移動装置
20:基板コンベア
22:部品実装部
24:タッチパネル
26:制御装置
30:ノズル収容部
32:ノズルホルダ
36:ノズルヒータ
38:温度検出器
40:基板支持部
46:支持ピンヒータ
図1
図2
図3
図4
図5