(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】リバースソータコンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20231220BHJP
B65G 17/10 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B65G47/46 H
B65G17/10 A
(21)【出願番号】P 2020048843
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 信也
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-204220(JP,A)
【文献】特開平07-112813(JP,A)
【文献】特開2002-160628(JP,A)
【文献】特公昭53-010338(JP,B2)
【文献】特開昭51-087279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
B65G 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置全体の機枠をなす上フレーム及び下フレームの各々に沿って配置された2つの直線路を含むループ状の搬送路を反転せずに循環する複数の搬送台車と、
上下に配置された複数の溝部と、前記複数の溝部の少なくとも一部に各々配置される導体とを有し、前記2つの直線路の各々に対応して配置されるトロリー線と、
前記搬送台車に配置され、前記搬送台車の移動方向に交差する方向に走行可能なクロスソータコンベヤと、
前記複数の溝部の間隔と同一間隔で上下に配置された少なくとも2つの集電子を有し、前記トロリー線が有する複数の溝部に挿入されて、前記導体に摺接したときに、前記クロスソータコンベヤに給電を行うことが可能な集電装置と、
前記トロリー線の前記導体に接続される給電装置と、
前記給電装置による給電制御を行う制御装置と、
駆動モータと、前記2つの直線路の一端側に設けられる駆動側スプロケットと、前記2つの直線路の他端側に設けられる従動側スプロケットと、前記駆動モータの駆動力を前記駆動側スプロケットに伝達する伝達機構と、前記駆動側スプロケット及び前記従動側スプロケットに巻き掛けられる駆動タイミングベルトと、を含む駆動装置と、
前記搬送路を循環する複数の搬送台車のうち、基準となる搬送台車を検出する検出センサと、
前記駆動側スプロケットの歯先を検出する駆動監視センサと、
を有
し、前記制御装置は、前記検出センサによる検出結果及び駆動監視センサによる検出結果に基づいて前記搬送台車の位置を特定し、前記給電装置による給電を実行することを特徴とするリバースソータコンベヤ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリバースソータコンベヤ装置において、
前記導体は、搬送物の投入を行う投入コンベヤ装置から前記搬送台車に搬送物を載せ込む位置の前後に所定長さ分延長した位置までの距離、前記搬送台車に載置された搬送物を搬送台車から払出しコンベヤ装置又は払い出しシュートへと払い出す位置の前後に所定長さ分延長した位置までの距離に配置されることを特徴とするリバースソータコンベヤ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のリバースソータコンベヤ装置において、
前記導体の長さは、前記クロスソータコンベヤに搬送物を載せ込む動作を行う際に搬送台車が走行する距離、又は前記クロスソータコンベヤに載置された搬送物を払い出す動作を行う際に搬送台車が走行する距離のいずれかであることを特徴とするリバースソータコンベヤ装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に配置された2つの直線路を含むループ状の搬送路内で複数の搬送体を循環させながら、複数の搬送体のいずれかの搬送体に物品(搬送物)を載せ込むとともに、搬送体に載置された物品を目的の払出し部に払い出すリバースソータコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仕分けコンベヤ装置として、配置形状による分類では、ライン形仕分けコンベヤと、ループ形仕分けコンベヤとがあり、分岐形式では、水平押出し形、コンベヤ送出し形、傾斜滑降形などがある。このうち、ループ形仕分けでコンベヤ送出し形の中にベルトキャリア式仕分けコンベヤ装置がある(JIS B 8825参照)。
【0003】
ベルトキャリア式仕分けコンベヤ装置は、無端状に配置した多数の搬送台車(搬送体)を搬送路に沿って移動させるものである。この仕分けコンベヤ装置の各搬送台車は、搬送台車の移動方向に直交する方向に走行するコンベヤ(クロスソータコンベヤ)を有する。クロスソータコンベヤを搬送台車が有することで、搬送台車は、移動過程で搬送物を載せ込む又は搬送物を払い出すことが可能となる。
【0004】
このような仕分けコンベヤ装置には、例えば上下に配置した2つの直線路と、2つの直線路の両端部を接続する曲線路とを含むループ状の搬送路内で、搬送台車を循環させるリバースソータコンベヤ装置が提供される。以下、2つの直線路のうち、一方の直線路を往路、他方の直線路を復路と称する。リバースソータコンベヤ装置として、例えば往路では搬送台車の搬送面が上方に向いた状態で移動し、復路では搬送台車の搬送面が下方に向いた状態に反転して移動するリバースソータコンベヤ装置がある。このリバースソータコンベヤ装置では、搬送台車は、往路から復路へと移動する間に180°反転され、復路から往路へと移動する間にさらに180°反転される。したがって、搬送台車は、復路から往路まで移動したときには、搬送物の載せ込みを可能としている。その一方で、搬送台車が復路を移動する過程では、搬送面が下方に向いた状態となるので、搬送物の載せ込みや搬送物の搬送を行うことは不可能である。したがって、復路において搬送台車が反転されるリバースソータコンベヤ装置では、搬送物を搬送台車に載せ込む投入コンベヤ装置、搬送台車に載せ込まれた搬送物を払い出す払出しコンベヤ装置や払出しシュートは、往路に配置するしかなく、また、払出しコンベヤ装置や払出しシュートは、投入コンベヤ装置に対して往路内の下流側に配置するしかない。したがって、復路において搬送台車が反転されるリバースソータコンベヤ装置では、払出しコンベヤ装置や払出しシュートの設置数が制限されてしまう。その結果、搬送物を細かく仕分けることができないという問題を有している。
【0005】
一方、往路から復路の間で搬送台車が反転されずに移動する搬送台車を有するリバースソータコンベヤ装置も提供されている(特許文献1参照)。このようなリバースソータコンベヤ装置は、往路だけでなく、復路においても搬送物を搬送することができることから、多くの搬送物を搬送することができ、また、多くの払出しコンベヤ装置や払出しシュートを設置できるという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、多くの搬送物を仕分ける仕分けシステムは、仕分けシステムを構成する各種コンベヤ装置を全体的に制御する制御装置を地上側に有している。また、リバースソータコンベヤ装置は、各搬送台車の初期位置を検出する原点センサだけではなく、投入コンベヤや払出コンベヤと搬送台車上のクロスソータコンベヤとの同期についても、投入/払出しの在荷センサやコンベヤ到達センサの計測による条件適用の計測センサを地上側に有しており、これらセンサからの信号を制御装置に送信している。したがって、制御装置は、原点センサからの信号に基づいて、各搬送台車の位置を特定し、到達センサにより確認後、目的の搬送台車に対して搬送物の投入や払い出しを示す信号を出力している。一方、各搬送台車は、制御装置から出力された信号を検出するセンサや、センサからの検出信号を受けてクロスソータコンベヤを駆動させるコントローラを有している。この他に、搬送台車は、クロスソータコンベヤやコントローラに対して電力を供給するための装置を有している。これらの電力供給の制御は、制御装置が受送信する弱電(DC24Vなど)である計装信号でリレーを動作させ、その計装信号を電磁接触器にてAC100VやAC200Vの強電回路の入り切りへ変換することとなる。したがって、電動機を搭載する場合にはリレーや電磁接触器も搭載しなくてはならず、センサの搭載を含め搬送台車の構成が複雑になることから、リバースソータコンベヤ装置に用いる搬送台車の数が多いほど、リバースソータコンベヤ装置全体のコストが高くなる。また、搬送台車に数多くの構成部品を搭載することで、1台あたりの搬送台車の重量が嵩み、リバースソータコンベヤ装置を駆動したときのエネルギー消費が大きい。
【0008】
本発明は、搬送台車の構成を簡素化するとともに、装置全体の省エネルギー化を図ったリバースソータコンベヤ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のリバースソータコンベヤ装置は、装置全体の機枠をなす上フレーム及び下フレームの各々に沿って配置された2つの直線路を含むループ状の搬送路を反転せずに循環する複数の搬送台車と、上下に配置された複数の溝部と、前記複数の溝部の少なくとも一部に各々配置される導体とを有し、前記2つの直線路の各々に対応して配置されるトロリー線と、前記搬送台車に配置され、前記搬送台車の移動方向に交差する方向に走行可能なクロスソータコンベヤと、前記複数の溝部の間隔と同一間隔で上下に配置された少なくとも2つの集電子を有し、前記トロリー線が有する複数の溝部に挿入されて、前記導体に摺接したときに、前記クロスソータコンベヤに給電を行うことが可能な集電装置と、前記トロリー線の前記導体に接続される給電装置と、前記給電装置による給電制御を行う制御装置と、駆動モータと、前記2つの直線路の一端側に設けられる駆動側スプロケットと、前記2つの直線路の他端側に設けられる従動側スプロケットと、前記駆動モータの駆動力を前記駆動側スプロケットに伝達する伝達機構と、前記駆動側スプロケット及び前記従動側スプロケットに巻き掛けられる駆動タイミングベルトと、を含む駆動装置と、前記搬送路を循環する複数の搬送台車のうち、基準となる搬送台車を検出する検出センサと、前記駆動側スプロケットの歯先を検出する駆動監視センサと、を有し、前記制御装置は、前記検出センサによる検出結果及び駆動監視センサによる検出結果に基づいて前記搬送台車の位置を特定し、前記給電装置による給電を実行することを特徴とする。
【0010】
また、前記導体は、搬送物の投入を行う投入コンベヤ装置から前記搬送台車に搬送物を載せ込む位置の前後に所定長さ分延長した位置までの距離、前記搬送台車に載置された搬送物を搬送台車から払出しコンベヤ装置又は払い出しシュートへと払い出す位置の前後に所定長さ分延長した位置までの距離に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、前記導体の長さは、前記クロスソータコンベヤに搬送物を載せ込む動作を行う際に搬送台車が走行する距離、又は前記クロスソータコンベヤに載置された搬送物を払い出す動作を行う際に搬送台車が走行する距離のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リバースソータコンベヤ装置で、無端状に連結した多数の搬送台車の各々に搭載される、搬送台車の移動方向に交差する方向へ走行するクロスソータコンベヤの動作のための電源供給と動作制御について、センサやリレー、電磁接触器などを用いず搬送台車の構成を単純化することで、リバースソータコンベヤ装置に用いる搬送台車の数が多いほど、リバースソータコンベヤ装置全体のコストが安価になる。また、搬送台車1台あたりの搬送台車の重量が軽減され、リバースソータコンベヤ装置を駆動したときのエネルギー消費を極小にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態のリバースソータコンベヤ装置の一例を示す上面図である。
【
図2】
図1に示すリバースソータコンベヤ装置の側面図である。
【
図5】集電装置及びトロリー線の構成を示す一部断面図である。
【
図6】(a)駆動側スプロケット近傍の説明図、(b)従動側スプロケット近傍の説明図である。
【
図7】仕分けシステムの電気的構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】搬送台車に搬送物を載せ込むときの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】搬送台車に載置された搬送物を払い出すときの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のリバースソータコンベヤ装置の一例を説明する。本発明のリバースソータコンベヤ装置10は、リバースソータコンベヤ装置10全体の機枠21をなす上フレーム71及び下フレーム72の各々に沿って上下方向に配置した2つの直線路を含むループ状の搬送路内で、複数の搬送台車20を反転させずに循環させる。リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20を搬送路内で循環させる過程で、投入コンベヤ装置15から搬送物100を目的の搬送台車20に載せ込む。また、リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20を搬送路内で循環させる過程で、搬送台車20に載せ込んだ搬送物100を払出しコンベヤ装置16や払出しシュート17に払い出す。なお、
図1における符号18は、投入コンベヤ装置15から載せ込まれた搬送物100が搬送台車20から落下することを防止する落下防止板である。
【0017】
ここで、
図1において、投入コンベヤ装置15は、上下方向に配置した2つの直線路のうち、上段側に設けた直線路(往路)を走行する搬送台車20に搬送物100を投入することを目的としている。また、払出しコンベヤ装置16は、下段側に設けた直線路(復路)を走行する搬送台車20から搬送物100を払い出すことを目的としている。さらに、払出しシュート17は、往路を走行する搬送台車20から搬送物100を払い出すことを目的としている。しかしながら、投入コンベヤ装置15、払出しコンベヤ装置16及び払出しシュート17を配置する位置や、配置する数は、適宜設定されるものである。
【0018】
以下、往路における搬送台車20の移動方向をX方向とした場合について説明する。
【0019】
図1から
図7に示すように、リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20、機枠21、駆動装置22を含む。
【0020】
搬送台車20は、側部フレーム31,32、懸架部材33,34及びクロスソータコンベヤ35を有する。側部フレーム31,32及び懸架部材33,34は、搬送台車20の骨格をなす部材である。
【0021】
側部フレーム31は、搬送台車20の移動方向における先端側に且つ搬送台車20の移動方向に直交するように配置される。また、側部フレーム32は、搬送台車20の移動方向における後端側に且つ搬送台車20の移動方向に直交するように配置される。
【0022】
懸架部材33は、搬送台車20の幅方向における一端側(
図3中右端側)に、側部フレーム31,32に跨って懸架される。懸架部材34は、搬送台車20の幅方向における他端側(
図3中左端側)に、側部フレーム31,32に跨って懸架される。つまり、懸架部材33,34は、長手方向が搬送台車20の移動方向に沿った方向となる。
【0023】
落下防止板36は、側部フレーム31に固定され、前段の搬送台車20との間に生じる空間の一部を遮蔽して、搬送物100が落下することを防止する。落下防止板37は、側部フレーム32に固定され、後段の搬送台車20との間に生じる空間の一部を遮蔽して、搬送物100が落下することを防止する。
【0024】
懸架部材33は、搬送台車20の移動方向における先端側となる端部に、ガイドローラ40を軸支する。また、懸架部材33は、搬送台車20の移動方向における後端側となる端部に、ガイドローラ対41を軸支する。ガイドローラ対41の軸部41aは、後述する駆動タイミングベルト107に軸支される。なお、ガイドローラ40の回転中心と、ガイドローラ対41の回転中心とは、同一の高さである。
【0025】
懸架部材34は、搬送台車20の移動方向における先端側となる端部に、ガイドローラ対42を軸支する。ここで、ガイドローラ対42の軸部42aは、後述する駆動タイミングベルト106に軸支される。また、懸架部材34は、搬送台車20の後端側となる端部に、ガイドローラ43を軸支する。なお、ガイドローラ対42の回転中心とガイドローラ43の回転中心とは、同一の高さである。ここで、懸架部材33に軸支されるガイドローラ40は、懸架部材34に軸支されるガイドローラ対42と同軸線上に軸支されている。同様にして、懸架部材33に軸支されるガイドローラ対41は、懸架部材34に軸支されるガイドローラ43と同軸線上に軸支されている。
【0026】
ガイドローラ40及びガイドローラ対41は、搬送台車20が往路を移動する過程では、フレーム71の内側に配置された支持部材75の上面を転動する。ガイドローラ40及びガイドローラ対41は、搬送台車20が復路を移動する過程では、フレーム72の内側に配置された支持部材87の上面を転動する。なお、搬送台車20が往路から復路へと移動する過程では、ガイドローラ40は機枠21に設けたガイドレール125(
図6(a)参照)に入りこみ、該ガイドレール125に沿って移動する。
【0027】
一方、ガイドローラ対42及びガイドローラ43は、搬送台車20が往路を移動する過程では、フレーム71の内側に配置された支持部材76の上面を転動する。ガイドローラ対42及びガイドローラ43は、搬送台車20が復路を移動する過程では、フレーム72の内側に配置された支持部材88の上面を転動する。なお、搬送台車20が復路から往路へと移動する過程では、ガイドローラ43は、機枠21に設けたガイドレール126(
図6(b)参照)に入りこみ、該ガイドレール126に沿って移動する。
【0028】
クロスソータコンベヤ35は、駆動プーリ46、従動プーリ47、複数のプーリ48及び無端ベルト49を含む。駆動プーリ46は、搬送台車20の幅方向における一端側で、側部フレーム31,32に跨って軸支される。駆動プーリ46は、例えば駆動モータが内蔵されたモータプーリである。
【0029】
従動プーリ47は、搬送台車20の幅方向において、駆動プーリ46が軸支される一端とは反対側となる端部側で、側部フレーム31,32に跨って軸支される。複数のプーリ48は、駆動プーリ46及び従動プーリ47との間に配置される。ここで、駆動プーリ46、従動プーリ47及び複数のプーリ48は、各プーリの回転軸方向が、搬送台車20の移動方向に平行となるように配置される。また、駆動プーリ46、従動プーリ47及び複数のプーリ48は、各プーリの頂点が同一の水平面上に位置するように各々配置される。
【0030】
無端ベルト49は、駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられる。無端ベルト49が駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられた状態では、駆動プーリ46及び従動プーリ47間に配置された複数のプーリ48は、無端ベルト49の上部(搬送物が載置される部分)を下方から支持する。無端ベルト49が駆動プーリ46及び従動プーリ47に跨って巻き掛けられることで、無端ベルト49は、搬送台車20の幅方向に沿った方向に走行する。
【0031】
集電装置51は、搬送台車20の下部に設けられる。集電装置51は、側部フレーム31,32に跨って固定される保持部材52に固定される。集電装置51は、トロリー線79又はトロリー線89(
図3参照)に沿って移動するときに、地上側からの電力を駆動プーリ46に供給する。集電装置51は、クロスソータコンベヤ35を動作させるべき投入コンベヤ15、払出しコンベヤ16、払出シュート17などの前後に所定長さ加えてトロリー線79又はトロリー線89を延長敷設している(
図1参照)。
【0032】
集電装置51は、集電子53,54の他、回転支持機構55,56、ベース板57を含む。
【0033】
集電子53は、搬送台車20がトロリー線79に沿って移動するときに、トロリー線79のガイド溝80a内に入り込み、ガイド溝80aに沿って移動する。その際に、ガイド溝80a内に設けられた導体81又は絶縁体82のいずれか一方と摺接する。また、集電子53は、搬送台車20がトロリー線89に沿って移動するときに、トロリー線89のガイド溝90aに入り込み、該ガイド溝90aに沿って移動する。その際に、ガイド溝90a内に設けられた導体91又は絶縁体92(
図7参照)のいずれか一方と摺接する。
【0034】
集電子54は、搬送台車20がトロリー線79に沿って移動するときに、トロリー線79のガイド溝80b内に入り込み、ガイド溝80bに沿って移動する。その際に、ガイド溝80b内に設けられた導体83又は絶縁体84のいずれか一方と摺接する。また、集電子54は、搬送台車20がトロリー線89に沿って移動するときに、トロリー線89のガイド溝89bに入り込み、該ガイド溝89bに沿って移動する。その際に、ガイド溝89b内に設けられた導体93又は絶縁体94(
図7参照)のいずれか一方と摺接する。
【0035】
これら集電子53,54はケーブル58,59に接続されている。ケーブル58,59は、駆動プーリ46に内蔵されたモータのケーブル(図示省略)に接続される。したがって、トロリー線79の導体81,83又はトロリー線89の導体91,93に給電が各々行われているときに、集電子53、54がトロリー線79の導体81,83又はトロリー線89の導体91,93に摺接されると、駆動プーリ46に給電が行われる。その結果、駆動プーリ46が回転する。
【0036】
なお、この場合アース線なしの単相電源とモータケーブルとのトロリー線79,89を介した給電を示すが、集電子53,54のほかにアース線のトロリー線79,89の全長にわたる導体との接続や、三相電源でのもう一つの集電子の並行設置する場合があることはもちろんである。
【0037】
詳細は図示を省略するが、回転支持機構55は、ベース板57の垂直方向を回動軸として回転する回転座、回転座の回転軸に直交する方向を回動軸として回動する支持アーム、及び集電子53を突出する方向に付勢する付勢手段を有する。なお、回転支持機構55の支持アームは集電子53を回動自在に保持する。したがって、集電子53は、トロリー線79のガイド溝80aに設けた導体81又は絶縁体82に向けて、又はトロリー線89のガイド溝89aに設けた導体91又は絶縁体92に向けて付勢される。その結果、集電子53とトロリー線79又はトロリー線89の接触状態が、良好に保持される。
【0038】
同様に、回転支持機構56は、ベース板57の垂直方向を回動軸として回転する回転座、回転座の回転軸に直交する方向を回動軸として回動する支持アーム、及び集電子54を突出する方向に付勢する付勢手段を有する。なお、回転支持機構56の支持アームは集電子54を回動自在に保持する。したがって、集電子54は、トロリー線79のガイド溝80bに設けた導体83又は絶縁体84に向けて、又はトロリー線89のガイド溝90b(
図5参照)に設けた導体93又は絶縁体94に向けて付勢される。その結果、集電子54とトロリー線79又はトロリー線89の接触状態が、良好に保持される。
【0039】
機枠21は、リバースソータコンベヤ装置10の骨格をなす部材である。機枠21は、2つの梯子枠状のフレーム71,72と、これらフレーム71,72を上下方向に所定の間隔を開けて保持する支持材73とを有する。
【0040】
フレーム71は、長さの異なる2種類のフレーム構成部材(例えばチャンネルなど)を用いた長尺の梯子状枠部材である。フレーム71の長手方向における複数箇所には、梯子の踏面にあたる補強材74が水平に渡した長尺側のフレーム2辺の下端で、搬送台車20の移動に邪魔にならない位置にて2辺に直交して固定される。補強材74は、例えばチャンネルやアングルなどである。フレーム71は、短手方向(又は幅方向)の両端部で、且つフレーム71の内側に、支持部材75,76を有する。支持部材75は、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ40及びガイドローラ対41が転動する。支持部材76は、搬送台車20が移動する際に、ガイドローラ対42及びガイドローラ43が転動する。
【0041】
フレーム71は、その補強材74の中央近辺にトロリー線79を固定する。トロリー線79は、側方に開口するガイド溝80a,80b,80cを有する絶縁枠体80を有する。ガイド溝80aは、溝内の所定の範囲に導体81を、それ以外の範囲に絶縁体82を各々配置する。また、ガイド溝80bは、溝内の所定の範囲に導体83を、それ以外の範囲に絶縁体84を各々配置する。さらに、ガイド溝80cは、溝内に絶縁体85を配置する。ここで、導体81,83の長さは、例えば搬送物100を搬送台車20に載せ込む場合には、クロスソータコンベヤ35による搬送物100の載せ込みを行った際に、搬送台車20上のクロスソータコンベヤ35が駆動し続ける場合に搬送台車20が移動する距離である。また、導体81,83の長さは、例えば搬送物100を搬送台車20から払い出す場合には、クロスソータコンベヤ35による搬送物100の払い出しを行った際に、搬送台車20上のクロスソータコンベヤ35が駆動し続ける場合に搬送台車20が移動する距離である。上述したトロリー線79の両端部には、ピックアップガイドが取り付けられる。
【0042】
フレーム72は、長さの異なる2種類のフレーム構成部材(例えばチャンネルなど)を用いた長尺の梯子状部材である。フレーム72の長手方向における複数箇所には、梯子の踏面にあたる補強材86が水平に渡した長尺側のフレーム2辺の下端で、搬送台車20の移動に邪魔にならない位置にて邪魔にならない位置にて2辺に直交して固定される。補強材86は、例えばチャンネルやアングルなどである。フレーム72は、短手方向(又は幅方向)の両端部で、且つフレーム72の内側に、支持部材87,88を有する。支持部材87は、搬送台車20が走行する際に、ガイドローラ40及びガイドローラ対41が転動する。支持部材88は、搬送台車20が走行する際に、ガイドローラ対42及びガイドローラ43が転動する。
【0043】
フレーム72は、その補強材86の中央近辺にトロリー線89を固定する。トロリー線89は、側方に開口する3つのガイド溝90a,90b,90cを有する絶縁枠体90を有する。ガイド溝90aは、溝内の所定の範囲に導体91を、それ以外の範囲に絶縁体92を各々配置する。また、ガイド溝90bは、溝内の所定の範囲に導体93を、それ以外の範囲に絶縁体94を各々配置する。さらに、ガイド溝90cは、溝内に絶縁体95を配置する。ここで、導体91,93の長さは、導体81,83の長さと同一である。図示は省略するが、上述したトロリー線79、89の両端部には、ピックアップガイドが取り付けられる。
【0044】
駆動装置22は、駆動モータ101、駆動側スプロケット102,103、従動側スプロケット104,105、駆動タイミングベルト106,107を含む。
【0045】
駆動モータ101は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における右側縁に配置される。駆動モータ101は、例えばホローシャフト(中空軸)を回転軸としたホローシャフト型のモータである。ホローシャフトの内部には、両端部に駆動プーリ111,112を固着した回転軸113が嵌入される。なお、回転軸113は、両端部を保持する軸受け部材(図示省略)を介して機枠21に軸支される。
【0046】
駆動側スプロケット102は、従動プーリ115を一端に保持した回転軸116に固定される。なお、回転軸116は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における右側縁に軸支される。なお、符号117は、駆動プーリ111及び従動プーリ115に巻き掛けられるタイミングベルトである。
【0047】
駆動側スプロケット103は、従動プーリ118を一端に保持した回転軸119に固定される。なお、回転軸119は、機枠21の長手方向における一端側で、且つ機枠21の幅方向における左側縁に軸支される。なお、符号120は、駆動プーリ112及び従動プーリ118に巻き掛けられるタイミングベルトである。
【0048】
なお、駆動側スプロケット103は、駆動側スプロケット102に対して、機枠21の長手方向における中心側に、所定量ずれて配置される。なお、所定量とは、搬送台車20のガイドローラ対42の回転中心からガイドローラ対41の回転中心までの往路の移動方向Xにおける距離である。
【0049】
従動側スプロケット104は、機枠21の長手方向において、駆動側スプロケット102が配置される一端とは反対側の端部で、且つ機枠21の幅方向における右側縁で軸支される。従動側スプロケット105は、機枠21の長手方向において、駆動側スプロケット103が配置される一端とは反対側の端部で、且つ機枠21の幅方向における左側縁で軸支される。なお、従動側スプロケット104は、従動側スプロケット105に対して機枠21の長手方向における中心側に、所定量ずれて配置される。なお、所定量とは、搬送台車20のガイドローラ対41の回転中心からガイドローラ対42の回転中心までの往路の移動方向Xにおける距離である。
【0050】
駆動タイミングベルト106は、駆動側スプロケット102及び従動側スプロケット104に巻き掛けられる。駆動タイミングベルト106は、複数の位置の隣り合う歯と歯の間に銜える形で、搬送台車20のガイドローラ対42の軸部42aを軸支する。
【0051】
また、駆動タイミングベルト107は、駆動側スプロケット103及び従動側スプロケット105に巻き掛けられる。駆動タイミングベルト107は、複数の位置の隣り合う歯と歯の間に銜える形で、搬送台車20のガイドローラ対41の軸部41aを軸支する。
【0052】
つまり、駆動モータ101が駆動すると、駆動プーリ111,112が回転する。駆動プーリ111及び従動プーリ115には、タイミングベルト117が巻き掛けられ、駆動プーリ112及び従動プーリ118には、タイミングベルト120が巻き掛けられている。その結果、従動プーリ115,118が各々回転する。また、従動プーリ115と駆動側スプロケット102は回転軸116に固定されている。また、従動プーリ118と、駆動側スプロケット103は回転軸119に固定されている。したがって、従動プーリ115の回転により、駆動側スプロケット102が回転する。また、従動プーリ118の回転により駆動側スプロケット103が回転する。なお、駆動側スプロケット102の回転方向と、駆動側スプロケット103の回転方向とは同一方向である。したがって、駆動タイミングベルト106,107は、同一方向に移動する。その結果、搬送台車20が、駆動タイミングベルト106,107の走行方向と同一方向に移動する。
【0053】
機枠21は、機枠21の幅方向において、上述した駆動側スプロケット102が配置される端部とは反対側の端部に、ガイドローラ40をガイドするガイドレール125を有する。また、機枠21は、機枠21の幅方向において、上述した従動側スプロケット105が配置される端部とは反対側の端部に、ガイドローラ43をガイドするガイドレール126を有する。
【0054】
したがって、搬送台車20が往路から復路に移動するときには、搬送台車20は駆動タイミングベルト106,107に軸支されるガイドローラ対41,42及びガイドレール125によってガイドされるガイドローラ40の3点にて姿勢が水平に保持されて移動する。その結果、往路から復路に移動する搬送台車20は反転せずに、円弧状の移動軌跡にて移動する。
【0055】
同様に、搬送台車20が復路から往路に移動するときには、搬送台車20は駆動タイミングベルト106,107に軸支されるガイドローラ対41,42及びガイドレール126によってガイドされるガイドローラ43の3点にて姿勢が水平に保持されて移動する。その結果、往路から復路に移動する搬送台車20は反転せずに、円弧状の移動軌跡にて移動する。
【0056】
次に、リバースソータコンベヤ装置10を備えた仕分けシステムにおける電気的構成の一例について、
図7を用いて説明する。リバースソータコンベヤ装置10は、複数の搬送台車20、トロリー線79,89、駆動モータ101の他、原点センサ131、駆動監視センサ132、制御装置133、給電装置134を有する。
【0057】
原点センサ131は、複数の搬送台車20のうち、原点となる搬送台車20を検出するセンサである。なお、原点センサ131は、機枠21の駆動側スプロケット102の近傍となる位置に配置される。原点センサ131の検出信号は、制御装置133に出力される。
【0058】
駆動監視センサ132は、駆動側スプロケット102の歯先を検出するセンサである。駆動監視センサ132の検出信号は、制御装置133に出力される。
【0059】
制御装置(PLC)133は、リバースソータコンベヤ装置10、投入コンベヤ装置15、払出しコンベヤ装置16を含む仕分けシステムの全体を制御する。
【0060】
制御装置133は、記憶装置136に記憶された制御プログラムを実行することで、周波数特性決定部151、位置情報算出部152、在荷情報生成部153及び給電指示部154の機能を有する。
【0061】
周波数特性決定部151は、搬送台車20の移動速度が予め設定された速度となるように、駆動タイミングベルト106,107を駆動する駆動モータ101に供給する電圧の周波数特性を決定する。また、周波数特性決定部151は、駆動監視センサ132からの駆動側スプロケット102の所定の歯先が通過する頻度を表す信号に基づいて、駆動モータ101に供給する電圧の周波数特性を調整する。
【0062】
位置情報算出部152は、原点センサ131からの信号、駆動モータ101に供給する電圧の周波数特性、駆動監視センサ132からの信号等に基づいて、リバースソータコンベヤ装置10が有する複数の搬送台車20の各々の位置を算出する。
【0063】
在荷情報生成部153は、投入コンベヤ装置15や払出しコンベヤ装置16からの応答信号に基づいて、各搬送台車20の在荷の有無を示す在荷情報を作成する。なお、在荷情報は、記憶装置136に記憶される。ここで、在荷情報としては、搬送台車の在荷の有無を示す情報だけでなく、例えば搬送物100を払い出す位置などの情報もまとめられている。
【0064】
給電指示部154は、各搬送台車20の各々の位置情報を示す信号を受けると、記憶装置136から、投入コンベヤ装置15上の在荷信号と、投入コンベヤ装置15、払出しコンベヤ装置16及び払出しソータの位置情報を読み出す。また、この他に、給電指示部154は、記憶装置136に記憶された在荷情報を読み出す。位置情報算出部152により算出された各搬送台車20の位置情報と、読み出した情報とから、搬送物100が載置されていない搬送台車20を特定する。例えば、搬送台車20に対して搬送物の載せ込みを行う場合には、搬送物100が載置されていない搬送台車20のうち、投入コンベヤ装置15から上流側で且つ最も近い位置にある搬送台車20を特定する。そして、搬送物100が載置されていない搬送台車20が投入コンベヤ装置15の直前まで移動したときに、給電開始を示す信号を給電装置134に出力する。そして、給電指示部154は、所定時間が経過した後、給電停止を示す信号を給電装置134に出力する。
【0065】
また、給電指示部154は、位置情報算出部152により算出された複数の搬送台車20の位置の情報と、読み出した情報とを用いて、対象となる搬送物100を載置した搬送台車20が払出しコンベヤ装置16又は払出しシュート17の直前まで移動したときに、給電を開始する信号を給電装置134に出力する。そして、給電指示部154は、所定時間が経過した後、給電停止を示す信号を給電装置134に出力する。
【0066】
給電装置134は、トロリー線79に設けた導体81,83、又はトロリー線89に設けた導体91,93のいずれかに対して給電を行う。なお、
図7においては、投入コンベヤ装置15の近傍に位置する導体81,83に対して記号aを、払出しシュート17の近傍に位置する導体81,83に対して記号bを、それぞれ付し、導体81,83の中でも導体81a,83a又は導体81b、83bに分けて何れかに対して給電を行っている。
【0067】
記憶装置136は、上述した在荷情報の他、投入コンベヤ装置15、払出しコンベヤ装置16及び払出しシュート17の位置情報が記憶される。
【0068】
次に、リバースソータコンベヤ装置10の搬送台車20に搬送物を載せ込むときの流れについて、
図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0069】
ステップS101は、投入要請があるか否かを判定する処理である。投入コンベヤ装置15から投入すべき搬送物100を検知すると、その検知信号を制御装置133に出力する。例えば検知信号の入力があれば、制御装置133は、投入要請があると判定する。この場合、ステップS101の判定結果がYesとなり、ステップS102に進む。一方、検知信号の入力がなければ、制御装置133は、投入要請がないと判定する。この場合、ステップS101の処理を再度行う。
【0070】
ステップS102は、載せ込み可能な搬送台車の位置を確認する処理である。制御装置133は、原点センサ131や駆動監視センサ132からの信号に基づいて、各搬送台車20の位置情報を取得する。また、制御装置133は、記憶装置136から読み出した在荷情報から複数の搬送台車20の在荷状態を確認する。これにより、制御装置133は、搬送物100が載置されていない搬送台車20の位置を確認することができる。
【0071】
ステップS103は、目的の搬送台車が所定位置まで移動したか否かを判定する処理である。制御装置133は、記憶装置136から投入コンベヤ装置15の位置情報を読み出す。また、制御装置133は、搬送物100が載置されていない搬送台車20のうち、投入コンベヤ装置15の直前まで移動している搬送台車20があるか否かを判定する。搬送物100が載置されていない搬送台車20のうち、投入コンベヤ装置15の直前まで移動している搬送台車20があると判定された場合、制御装置133は、ステップS103の判定結果をYesとする。一方、搬送物100が載置されていない搬送台車20のうち、投入コンベヤ装置15の直前まで移動している搬送台車20がないと判定された場合、制御装置133は、ステップS103の判定結果をNoとする。この場合、ステップS103の判定が繰り返し実行される。
【0072】
ステップS104は、給電を開始する処理である。制御装置133は、トロリー線79の導体81a,83aに給電を開始する信号を給電装置134に出力する。これを受けて、給電装置134は、トロリー線79の導体81a,83aに給電を開始する。
【0073】
したがって、走行する搬送台車20が投入コンベヤ装置15の直前に到達すると、集電装置51の集電子53がトロリー線79の導体81aに、集電装置51の集電子54がトロリー線の導体83aに摺接される。これにより、搬送台車20の駆動プーリ46に給電が開始され、搬送台車20のクロスソータコンベヤ35が駆動する。搬送台車20のクロスソータコンベヤ35が駆動することで、搬送物100が投入コンベヤ装置15からクロスソータコンベヤ35上に載せ込まれる。
【0074】
ステップS105は、載せ込みを行った搬送台車が所定距離移動したか否かを判定する処理である。制御装置133は、載せ込みを行った搬送台車20が所定距離移動したか否かを判定する処理を行う。なお、所定距離とは、クロスソータコンベヤ35による搬送物100の載せ込みを行った際に、搬送台車20が移動する距離であり、載せ込みを行う投入コンベヤ15のベルト速度とクロスソータコンベヤ35のベルト速度を所定範囲まで近づける起動状態から、実際の搬送物100の受け渡し状態を経て、載せ込み状態での給電が集電子の接触切れで切れるまでの距離であり、その後の別な距離でクロスソータコンベヤ35の無端ベルト49が制動状態になる。載せ込みを行った搬送台車20が所定距離移動したと判定した場合、制御装置133は、ステップS105の判定結果をYesとする。この場合、ステップS106に進む。一方、載せ込みを行った搬送台車20が所定距離移動していないと判定した場合、制御装置133は、ステップS105の判定結果をNoとする。この場合、ステップS105の判定結果がYesとなるまで、ステップS105の判定を行う。
【0075】
ステップS106は、給電を停止する処理である。制御装置133は、所定の搬送台車20が所定距離移動した後は、他の搬送台車20への誤った給電を行わないため、給電装置134に対して給電を停止する信号を出力する。これを受けて、給電装置134は、トロリー線79の導体81a,83aへの給電を停止する。同時に、制御装置133は、記憶装置136に記憶された在荷情報を更新する。
【0076】
最後に、リバースソータコンベヤ装置10の搬送台車20に載せ込まれた搬送物100を払出しコンベヤ装置に払い出すときの流れについて、
図9のフローチャートに基づいて説明する。なお、搬送物100を払出しシュート17に払い出す場合も、搬送物100を払出しコンベヤ装置16に払い出す場合と同様であるので、ここでは省略する。
【0077】
ステップS201は、搬送物を載せ込んだ搬送台車の位置を確認する処理である。制御装置133は、原点センサ131や駆動監視センサ132からの信号に基づいて、各搬送台車20の位置情報を取得する。また、制御装置133は、記憶装置136から読み出した在荷情報から搬送台車20に載置された搬送物100を払い出す位置を確認する。
【0078】
ステップS202は、目的の搬送台車が払出しコンベヤ装置の直前まで移動したか否かを判定する処理である。制御装置133は、記憶装置136から払出しコンベヤ装置16の位置情報を読み出す。また、制御装置133は、記憶装置136から在荷情報を読み出す。制御装置133は、搬送物100が載置された搬送台車のうち、払出しコンベヤ装置16に払い出す搬送物100が載置された搬送台車20の位置を特定する。そして、特定された搬送台車20の位置が払出しコンベヤ装置16の直前まで移動しているか否かを判定する。特定された搬送台車20の位置が払出しコンベヤ装置16の直前であると判定された場合、制御装置133は、ステップS202の判定結果をYesとする。一方、特定された搬送台車20の位置が払出しコンベヤ装置16の直前まで移動していないと判定された場合、制御装置133は、ステップS202の判定結果をNoとする。この場合、ステップS202の判定が繰り返し実行される。
【0079】
ステップS203は、給電を開始する処理である。制御装置133は、トロリー線89の導体91,93に給電を開始する信号を給電装置134に出力する。これを受けて、給電装置134は、トロリー線89の導体91,93に給電を開始する。ここで、トロリー線89の導体91,93に給電される電流の向きは、トロリー線79の導体81a,83aに給電される電流の向きと逆向きである。この給電の電流向きは、払出しコンベヤ16のリバースソータコンベヤ装置10の機側の位置により変更される。
【0080】
したがって、移動する搬送台車20が払出しコンベヤ装置16の直前に到達すると、集電装置51の集電子53がトロリー線89の導体91に、同時に集電装置51の集電子54がトロリー線89の導体93に摺接される。これにより、搬送台車20の駆動プーリ46に給電が開始され、搬送台車20のクロスソータコンベヤ35が駆動する。搬送台車20のクロスソータコンベヤ35が駆動することで、搬送物100が払出しコンベヤ装置16へと払い出される。
【0081】
ステップS204は、払い出しを行った搬送台車が所定距離移動したか否かを判定する処理である。制御装置133は、払い出しを行った搬送台車が所定距離移動したか否かを判定する処理である。なお、所定距離とは、クロスソータコンベヤ35による搬送物100の払い出しを行った際に搬送台車20が移動する距離である。払い出しを行った搬送台車20が所定距離移動したと判定した場合、制御装置133は、ステップS105の判定結果をYesとする。この場合、ステップS205に進む。一方、払い出しを行った搬送台車20が所定距離移動していないと判定した場合、制御装置133は、ステップS204の判定結果をNoとする。この場合、ステップS204の判定結果がYesとなるまで、ステップS204の判定を行う。
【0082】
ステップS205は、給電を停止する処理である。制御装置133は、給電装置134に対して給電を停止する信号を出力する。これを受けて、給電装置134は、トロリー線89の導体91,93への給電を停止する。したがって、クロスソータコンベヤ35の走行が停止される。同時に、制御装置133は、記憶装置136に記憶された在荷情報を更新する。
【0083】
このように、往路側に配置されるトロリー線79が有する3つのガイド溝80a,80b,80cのうち、集電子53,54が入り込むガイド溝80a,80bの内部の所定範囲に導体81,83を配置している。ここで、搬送台車20の集電装置51の集電子53,54は、搬送台車20の移動時に、導体81,83に摺接される。これにより、クロスソータコンベヤ35の駆動プーリ46への給電が行われる。搬送台車20を連成した台車列を駆動タイミングベルトにて駆動する駆動モータ101の駆動力により搬送台車が移動する動きを利用して、地上側から給電トロリー線への粗い電源投入切断を行いつつ、搬送台車20の集電子53の動きにてクロスソータコンベヤ35の駆動プーリ46を動作させるので駆動プーリ46の制御回路が不要となる。本実施形態では、このような構成とすることで、搬送台車20に駆動プーリ46に給電を行う電磁接触器やリレーを備えた給電装置(又は電源装置)を設ける必要がなくなる。
【0084】
また、導体81,83が設けられていない箇所には絶縁体82,84が設けられている。ここで、導体81,83の長さを、クロスソータコンベヤ35による搬送物100の載せ込みを行った際に搬送台車20が移動する距離とすると、搬送台車20が一定距離移動すると、搬送台車20の集電装置51の集電子53,54と導体81,83との摺接が解除され、搬送台車20の集電装置51の集電子53,54は絶縁体82,84と摺接される。したがって、クロスソータコンベヤ35が自動的に停止する。したがって、搬送台車20にクロスソータコンベヤ35の走行を制御するコントローラを設ける必要がない。そのため、搬送台車を簡素化することが可能となる。また、各搬送台車20を簡素化することで、搬送台車20の軽量化を図ることにもなるので、リバースソータコンベヤ装置を駆動したときの省エネルギー化に寄与することができる。
【0085】
本実施形態では、往路及び復路の各直線路に対して1本のトロリー線を配置し、各搬送台車のクロスソータコンベヤの走行の有無を制御しているが、往路及び復路の各直線路に対して2本のトロリー線を配置してもよい。この場合、一方のトロリー線に摺接する集電装置を備えた搬送台車と、他方のトロリー線に摺接する集電装置を備えた搬送台車とを交互に配置する。これによれば、各トロリー線のガイド溝に配置する導体の長さを確保することができる。
【符号の説明】
【0086】
10…リバースソータコンベヤ装置、15…投入コンベヤ装置、16…払出しコンベヤ装置、17…払出しシュート、20…搬送台車、35…クロスソータコンベヤ、79,89…トロリー線、81,83…導体、101…駆動モータ、102,103…駆動側スプロケット、104,105…従動側スプロケット、106,107…駆動タイミングベルト、131…原点センサ、132…駆動監視センサ、133…制御装置、134…給電装置