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特許7406423認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム
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  • 特許-認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム 図1
  • 特許-認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20231220BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20231220BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20231220BHJP
【FI】
E05B49/00 Z
B60R25/24
G01S5/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020051253
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021147953
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 久光
(72)【発明者】
【氏名】梶田 基貴
(72)【発明者】
【氏名】藤野 詞音
(72)【発明者】
【氏名】塚原 靖典
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-108252(JP,A)
【文献】特開2010-180619(JP,A)
【文献】特開2015-33897(JP,A)
【文献】特開2015-151708(JP,A)
【文献】特開2016-205001(JP,A)
【文献】特開2017-125307(JP,A)
【文献】特開平8-268228(JP,A)
【文献】特開2019-120078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
B60R 25/33,25/24
G01S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置から当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付ける受付部と、
前記モバイル装置を認証する処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記位置情報に対応する前記現在地が規定された領域内にあるとき、前記被制御装置の起動を禁止
前記位置情報に基づいて前記領域内における前記現在地の変化を検出し、
前記現在地の変化に基づいて前記被制御装置を起動待機状態に遷移させる、
認証装置。
【請求項2】
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置から当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付ける受付部と、
前記モバイル装置を認証する処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記位置情報に基づいて規定された領域内における前記現在地の変化を検出し、
前記現在地の変化に基づいて前記モバイル装置を携帯した前記被認証者が前記領域の外に出ようとしている可能性が高いと判断すると、前記被制御装置の起動を許可する、
認証装置。
【請求項3】
前記被制御装置は、前記被認証者が写り込んだ画像を取得する撮像装置である、
請求項1または2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記移動体に搭載されるように構成されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項5】
認証装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置から当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付け、
前記位置情報に対応する前記現在地が規定された領域内にあるとき、前記モバイル装置を認証する処理に基づく移動体に搭載された被制御装置の起動を禁止
前記位置情報に基づいて前記領域内における前記現在地の変化を検出し、
前記現在地の変化に基づいて前記被制御装置を起動待機状態に遷移させる、
コンピュータプログラム。
【請求項6】
認証装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置から当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付け、
前記位置情報に基づいて規定された領域内における前記現在地の変化を検出し、
前記現在地の変化に基づいて前記モバイル装置を携帯した前記被認証者が前記領域の外に出ようとしている可能性が高いと判断すると、前記モバイル装置を認証する処理に基づく移動体に搭載された被制御装置の起動を許可する、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置を認証する処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する認証装置と、
を備えており、
前記モバイル装置は、当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を無線送信する送信部を備えており、
前記認証装置は、前記位置情報に対応する前記現在地が規定された領域内にあるとき、前記被制御装置の起動を禁止し、前記位置情報に基づいて前記領域内における前記現在地の変化を検出し、かつ前記現在地の変化に基づいて前記被制御装置を起動待機状態に遷移させる処理部を備えている、
認証システム。
【請求項8】
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する認証装置と、
を備えており、
前記モバイル装置は、当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を無線送信する送信部を備えており、
前記認証装置は、前記位置情報に基づいて規定された領域内における前記現在地の変化を検出し、当該現在地の変化に基づいて前記モバイル装置を携帯した前記被認証者が前記領域の外に出ようとしている可能性が高いと判断すると、前記被制御装置の起動を許可する処理部を備えている、
認証システム。
【請求項9】
前記モバイル装置は、当該モバイル装置の動きを検出する検出部を備えており、
前記送信部は、前記動きが規定された条件を満足した場合に前記位置情報の無線送信を開始する、
請求項またはに記載の認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被認証者を移動体のユーザとして認証する認証処理を行なう認証装置に関連する。本発明は、当該認証装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。本発明は、当該認証装置を含む認証システムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例としての車両に適用される認証システムを開示している。当該システムにおいては、被制御装置の一例としての施錠装置の動作を制御する制御装置と被認証者が所持するモバイル装置の一例としてのキーとの間で、電波による通信を通じて認証が行なわれる。認証に成功すると、当該車両のドアの施錠が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-211334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、認証システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための第一態様は、認証装置であって、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付ける受付部と、
前記モバイル装置を認証する処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、前記位置情報に対応する前記現在地が規定された領域内にあるとき、前記被制御装置の起動を禁止する。
【0006】
上記の目的を達成するための第二態様は、認証装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付けさせ、
前記位置情報に対応する前記現在地が規定された領域内にあるとき、前記モバイル装置を認証する処理に基づく移動体に搭載された被制御装置の起動を禁止させる。
【0007】
上記の目的を達成するための第三態様は、認証システムであって、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置を認証する処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する認証装置と、
を備えており、
前記モバイル装置は、当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を無線送信する送信部を備えており、
前記認証装置は、前記位置情報に対応する前記現在地が規定された領域内にあるとき、前記被制御装置の起動を禁止する処理部を備えている。
【0008】
被認証者の生活空間と移動体の常駐位置の関係によっては、被認証者に移動体を使用する意思がないにも関わらず、モバイル装置の認証が成立した結果として被制御装置が起動されてしまう場合がありうる。上記の第一態様から第三態様の各々に係る構成によれば、被認証者が、自身の生活空間と移動体の常駐位置の関係に鑑みて、被制御装置の起動を望まない領域を規定できる。モバイル装置が領域内にあるときは被制御装置の起動が禁止されるので、被制御装置による無用の電力消費が抑制できる。また、被制御装置の種別によっては、移動体のセキュリティレベルの低下を抑制できる。したがって、認証システムの利便性を高めることができる。
【0009】
上記の目的を達成するための第四態様は、認証装置であって、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付ける受付部と、
前記モバイル装置を認証する処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記位置情報に基づいて規定された領域内における前記現在地の変化を検出し、
前記現在地の変化に基づいて前記被制御装置を起動する。
【0010】
上記の目的を達成するための第五態様は、認証装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置の現在地に対応する位置情報を受け付けさせ、
前記位置情報に基づいて規定された領域内における前記現在地の変化を検出させ、
前記現在地の変化に基づいて、前記モバイル装置を認証する処理に基づく移動体に搭載された被制御装置の起動を許可させる。
【0011】
上記の目的を達成するための第六態様は、認証システムであって、
被認証者による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて、移動体に搭載された被制御装置を起動する認証装置と、
を備えており、
前記モバイル装置は、当該モバイル装置の現在地に対応する位置情報を無線送信する送信部を備えており、
前記認証装置は、前記位置情報に基づいて規定された領域内における前記現在地の変化を検出し、当該現在地の変化に基づいて前記被制御装置を起動する処理部を備えている。
【0012】
上記の第四態様から第六態様の各々に係る構成によれば、被認証者が、自身の生活空間と移動体の常駐位置の関係に鑑みて、被制御装置の起動を望まない領域を規定できる。他方、モバイル装置の現在地の変化に基づいて、被認証者がモバイル装置を携帯しつつ領域の外に出ようとしている可能性が高いことが判断されうる。このような場合において被制御装置が直ちに起動されることによって、被認証者が領域の外に出てから被制御装置の起動が完了するまでの待ち時間を短縮あるいは無しにできる。したがって、認証システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る認証システムの機能構成を例示している。
図2図1の認証システムが適用される車両を例示している。
図3図1の認証装置の動作を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る認証システム10の機能構成を例示している。認証システム10は、図2に例示される被認証者20を車両30のユーザとして認証する認証処理を実行するためのシステムである。車両30は、移動体の一例である。
【0015】
図1に例示されるように、認証システム10は、モバイル装置11と認証装置12を含んでいる。図2に例示されるように、モバイル装置11は、被認証者20による携帯が可能である。モバイル装置11の例としては、汎用のスマートフォンや、専用のスマートキーなどが挙げられる。
【0016】
図1に例示されるように、モバイル装置11は、送信部111を備えている。モバイル装置11は、車両30に搭載された不図示の送信装置から無線送信されるトリガ信号を受信すると、送信部111から識別情報Iを無線送信するように構成されている。識別情報Iは、認証装置12にモバイル装置11を識別させるための情報である。識別情報Iは、アナログデータの形態でもよいし、デジタルデータの形態でもよい。
【0017】
認証装置12は、受付部121と処理部122を備えている。受付部121は、モバイル装置11から識別情報Iを受け付けるように構成されている。識別情報Iがアナログデータの形態である場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。処理部122は、デジタルデータの形態である識別情報Iを処理の対象とする。
【0018】
認証装置12は、記憶部123を備えている。記憶部123には、予め登録されたモバイル装置11を識別する情報が保存されている。処理部122は、モバイル装置11から受信した識別情報Iに基づいてモバイル装置11を認証する処理を実行するように構成されている。具体的には、処理部122は、受付部121を通じて受け付けられた識別情報Iを、記憶部123に保存されている識別情報と照合する。両者が一致している場合、処理部122は、モバイル装置11の認証が成立する。
【0019】
モバイル装置11は、認証が成立すると、送信部111から位置情報Lを無線送信するように構成されている。位置情報Lは、モバイル装置11が現在位置している場所の地理的座標を含む。位置情報Lは、モバイル装置11に搭載された不図示のGPS受信機が複数のGPS衛星からの信号を受信することによって生成される。位置情報Lは、アナログデータの形態でもよいし、デジタルデータの形態でもよい。
【0020】
認証装置12の受付部121は、モバイル装置11から位置情報Lも受け付けるように構成されている。位置情報Lがアナログデータの形態である場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。処理部122は、デジタルデータの形態である位置情報Lを処理の対象とする。
【0021】
認証装置12は、出力部124を備えている。処理部122は、位置情報Lに対応するモバイル装置11の現在地が規定された領域内でない場合、出力部124を通じて制御情報Cを出力するように構成されている。制御情報Cは、デジタルデータの形態でもよいし、アナログデータの形態でもよい。制御情報Cがアナログデータの形態である場合、出力部124は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。
【0022】
認証システム10は、制御装置13を含んでいる。制御装置13は、車両30に搭載されている。制御装置13は、認証装置12から出力された制御情報Cに基づいて、車両30に搭載された被制御装置40を起動するように構成されている。被制御装置40の例としては、ドアや窓などの開閉体の施錠装置、当該開閉体の開閉装置、エンジン、空調装置、照明装置、音響映像装置、座席位置の調節装置などが挙げられる。
【0023】
被制御装置40は、車両30に搭載された撮像装置であってもよい。この場合、モバイル装置11を認証する処理に加えて、被認証者20を車両30のユーザとして認証する二段階の認証処理を実現できる。具体的には、撮像装置は、被認証者20が写り込んだ画像を取得する。認証装置12の受付部121は、当該画像に対応する画像情報を受け付ける。処理部122は、画像情報に対応する画像を、記憶部123に保存されている予め登録された被認証者20の画像と比較する。両者の一致度が閾値を上回る場合、処理部122は、被認証者20を車両30のユーザとして認証する。
【0024】
すなわち、処理部122は、位置情報Lに対応するモバイル装置11の現在地が規定された領域内にない場合、モバイル装置11を認証する処理に基づく被制御装置40の起動を許可する。換言すると、処理部122は、位置情報Lに対応するモバイル装置11の現在地が規定された領域内にある場合、モバイル装置11を認証する処理に基づく被制御装置40の起動を禁止する。
【0025】
図2に例示されるように、被制御装置40の起動の可否を判断するための領域Aは、基準位置Pを中心とする半径Rの球として規定されうる。半径Rの値は、一定であってもよいし、調節可能であってもよい。基準位置Pは、モバイル装置11のGPS機能を用いて予め指定されうる。すなわち、領域Aは、基準位置Pの地理的座標を中心とする半径Rの球体に含まれる地理的座標の集合として規定される。当該地理的座標の集合を含む領域設定情報Sは、送信部111から認証装置12へ無線送信される。処理部122は、受付部121を通じて受け付けられた領域設定情報Sを、記憶部123に保存する。
【0026】
図3は、上記のように構成された認証装置12において実行される処理の流れを例示している。
【0027】
前述のように、識別情報Iに基づくモバイル装置11の認証が成立すると、処理部122は、モバイル装置11から位置情報Lを受け付ける(STEP1)。
【0028】
続いて、処理部122は、位置情報Lに対応するモバイル装置11の現在地が規定された領域A内にあるかを判断する(STEP2)。具体的には、位置情報Lに対応する地理的座標が、記憶部123に保存されている領域設定情報Sに対応する地理的座標の集合に含まれているかが判断される。
【0029】
モバイル装置11の現在地が領域A内にないと判断されると(STEP2においてNO)、処理部122は、制御情報Cを出力部124から出力する。すなわち、制御装置13による被制御装置40の起動が許可される(STEP3)。
【0030】
モバイル装置11の現在地が領域A内にあると判断されると(STEP2においてYES)、処理部122は、制御情報Cを出力部124から出力しない。すなわち、制御装置13による被制御装置40の起動が禁止される(STEP4)。
【0031】
被認証者20の生活空間と車両30の常駐位置の関係によっては、被認証者20に車両30を使用する意思がないにも関わらず、モバイル装置11の認証が成立した結果として被制御装置40が起動されてしまう場合がありうる。例えば、玄関と敷地外を結ぶ通路の傍らに車両30が駐車されている場合、当該通路の歩行中に利用の有無によらずモバイル装置11と車両30が接近し、意図しないモバイル装置11の認証がなされうる。あるいは、居住空間の階下に駐車場がある場合、上下方向におけるモバイル装置11と車両30の間の距離が日常的に小さくなり、意図しないモバイル装置11の認証がなされうる。
【0032】
上記のような構成によれば、被認証者20が、自身の生活空間と車両30の常駐位置の関係に鑑みて、被制御装置40の起動を望まない領域Aを規定できる。モバイル装置11が領域A内にあるときは被制御装置40の起動が禁止されるので、被制御装置40による無用の電力消費が抑制できる。また、被制御装置40が施錠装置やエンジンである場合は、車両30のセキュリティレベルの低下を抑制できる。したがって、認証システム10の利便性を高めることができる。
【0033】
図3に例示されるように、認証装置12の処理部122は、受付部121を通じて受け付けられた位置情報Lに基づいて、モバイル装置11が領域A内で移動中であるかを判断しうる(STEP2においてYES、STEP5)。具体的には、位置情報Lに含まれるモバイル装置11の現在地に対応する地理的座標が変化しているかが判断される。モバイル装置11が移動していないと判断された場合(STEP5においてNO)、処理は前述のSTEP4に進み、被制御装置40の起動が禁止される。
【0034】
モバイル装置11が移動していると判断された場合(STEP5においてYES)、処理部122は、モバイル装置11が領域Aの外縁に向かって移動中であるかを判断する(STEP6)。具体的には、位置情報Lに含まれるモバイル装置11の現在地に対応する地理的座標が図2に例示される領域Aの外縁Eに対応する地理的座標に接近しているか、および当該接近が連続的であるかが判断される。連続的であるかは、接近の継続時間と接近速度の少なくとも一方を考慮して判断される。
【0035】
例えば、被認証者20が領域A内においてモバイル装置11の位置を変更したり、モバイル装置11を携帯しながら領域Aから出ることなく歩き回ったりする場合、処理部122は、モバイル装置11が領域Aの外縁Eに向かって移動中ではないと判断する(図3のSTEP6においてNO)。この場合、処理は前述のSTEP4に進み、被制御装置40の起動が禁止される。
【0036】
モバイル装置11が領域Aの外縁Eに向かって移動中であると判断されると(STEP6においてYES)、処理部122は、被制御装置40を休止状態から起動待機状態へ遷移させる制御情報Cを、出力部124から出力する(STEP7)。
【0037】
その後、処理はSTEP2に戻り、モバイル装置11が領域A内にあるかが再び判断される。モバイル装置11が領域A内にないと判断されると(STEP2においてNO)、処理部122は、被制御装置40を起動待機状態から起動状態に遷移させる制御情報Cを、出力部124から出力する(STEP3)。
【0038】
モバイル装置11が領域A内にないと判断されると(STEP2においてYES)、処理はSTEP5に戻る。図示を省略するが、処理部122は、起動待機状態の継続時間が閾値に達したかを判断しうる。起動待機状態の継続時間が閾値に達したと判断されると、処理部122は、被制御装置40を起動待機状態から休止状態へ遷移させる制御情報Cを、出力部124から出力する。
【0039】
モバイル装置11が領域Aの外縁Eに向かって移動中と判断される場合、被認証者20がモバイル装置11を携帯しつつ領域Aの外に出ようとしている可能性が高い。上記のような構成によれば、このような場合において被制御装置40が起動待機状態に遷移されることによって、被認証者20が領域Aの外に出てから被制御装置40の起動が完了するまでの待ち時間を短縮あるいは無しにできる。例えば、被制御装置40が前述した撮像装置である場合、当該撮像装置を用いた二段階認証処理を円滑に遂行できる。
【0040】
なお、図3に例示されるように、モバイル装置11が領域Aの外縁Eに向かって移動中であると判断された場合(STEP6においてYES)、処理部122は、起動待機状態を経ることなく被制御装置40の起動を許可してもよい(STEP3)。
【0041】
図1に例示されるように、モバイル装置11は、検出部112を備えうる。検出部112は、モバイル装置11の動きを検出するように構成されている。検出部112は、例えば、加速度センサやジャイロセンサにより実現されうる。
【0042】
この場合、モバイル装置11は、検出部112により検出されたモバイル装置11の動きが規定された条件を満足した場合に位置情報Lの無線送信を開始するように構成される。他方、認証装置12は、位置情報Lを受け付けるまでは、モバイル装置11を認証する処理に基づいて被制御装置40を起動しないように構成される。規定された条件としては、モバイル装置11を携帯した被認証者20の歩行に対応しうる動きの継続時間が閾値を上回ることなどが例示されうる。
【0043】
領域A内で行なわれる被認証者20の日常的な動作に伴ってモバイル装置11の移動が生じる場合がある。上記のような構成によれば、このような場合に位置情報Lの送信や位置情報Lに基づく被制御装置40の起動の要否に係る判断が行なわれないようにできる。したがって、認証システム10における電力消費を抑制できる。
【0044】
これまで説明した各機能を有する処理部122は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。プロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバからダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0045】
処理部122は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部122は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0046】
記憶部123は、半導体メモリやハードディスク装置により実現されうる。記憶部123は、上記の汎用メモリや記憶素子により実現されてもよい。
【0047】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0048】
認証装置12は、車両30に搭載されてもよいし、適宜の規格に基づく無線通信ネットワークを介して車両30と通信可能な外部装置として提供されてもよい。認証装置12が車両30に搭載される場合、認証装置12による認証処理と制御装置13による制御処理は、共通の装置あるいは素子によって行なわれてもよい。認証装置12が無線通信ネットワークを介して車両30と通信可能な外部装置として提供される場合、モバイル装置11から出力された識別情報Iが、無線通信ネットワークを介して認証装置12に送信される。処理部122による認証処理の結果として出力されうる制御情報Cは、当該無線通信ネットワークを介して制御装置13へ送信される。
【0049】
認証システム10は、車両30以外の移動体にも適用されうる。他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10:認証システム、11:モバイル装置、111:送信部、112:検出部、12:認証装置、121:受付部、122:処理部、13:制御装置、20:被認証者、30:車両、40:被制御装置、A:規定された領域、L:位置情報
図1
図2
図3