(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】認証装置、コンピュータプログラム、および認証システム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20231220BHJP
E05F 15/73 20150101ALI20231220BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20231220BHJP
【FI】
E05B49/00 Z
E05F15/73
G06T7/20 300A
(21)【出願番号】P 2020051256
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 詞音
(72)【発明者】
【氏名】梶田 基貴
(72)【発明者】
【氏名】塚原 靖典
(72)【発明者】
【氏名】原田 久光
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-227573(JP,A)
【文献】特開2013-136299(JP,A)
【文献】特開2019-098786(JP,A)
【文献】特開2017-150151(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041955(WO,A1)
【文献】特開2017-186010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 1/00-17/00
B60R 25/00-99/00
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を受け付ける受付部と、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記一致度が前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を前記被認証者が携帯可能なモバイル装置に搭載された報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を前記受付部に受け付けさせ、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する、
認証装置。
【請求項2】
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を受け付ける受付部と、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記一致度が前記第一閾値よりも低
い第二閾値以上かつ前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合に、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を前記受付部に受け付けさせ、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する、
認証装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記報知装置に前記報知を行なわせた場合、前記第一閾値を低くする、請求項2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記受付部は、被認証者が写り込んだ画像に対応する画像情報を受け付け可能であり、
前記処理部は、
前記画像情報に基づいて前記被認証者を前記対象物のユーザとして認証する第二認証処理を実行し、
前記第二認証処理が成立した場合に、前記第一認証処理の実行を許可する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記画像情報に基づいて前記動作情報を取得する、
請求項4に記載の認証装置。
【請求項6】
前記対象物に搭載されるように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項7】
前記対象物は、移動体である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項8】
認証装置の処理部によって実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を受け付け、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行し、
前記一致度が前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を前記被認証者が携帯可能なモバイル装置に搭載された報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を受け付け、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する、
コンピュータプログラム。
【請求項9】
認証装置の処理部によって実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を受け付け、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行し、
前記一致度が前記第一閾値よりも低
い第二閾値以上かつ前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合に、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を受け付け、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する、
コンピュータプログラム。
【請求項10】
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を出力する出力装置と、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行する認証装置と、
報知装置と、
を備えており、
前記認証装置は、
前記一致度が前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を前記被認証者が携帯可能なモバイル装置に搭載された報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を受け付け、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する、
認証システム。
【請求項11】
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を出力する出力装置と、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行する認証装置と、
報知装置と、
を備えており、
前記認証装置は、
前記一致度が前記第一閾値よりも低
い第二閾値以上かつ前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合に、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を受け付け、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する、
認証システム。
【請求項12】
前記出力装置は、前記対象物に搭載されて前記被認証者が写り込んだ画像に対応する画像情報を出力する撮像装置である、
請求項10または11に記載の認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被認証者を対象物のユーザとして認証する認証処理を行なう認証装置に関連する。本発明は、当該認証装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。本発明は、当該認証装置を含む認証システムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に適用される認証システムを開示している。当該システムにおいては、被制御装置の一例としての施錠装置の動作を制御する制御装置と被認証者が所持するモバイル装置の一例としてのキーとの間で、電波による通信を通じて認証が行なわれる。認証に成功すると、当該車両のドアの施錠が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、認証システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、認証装置であって、
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を受け付ける受付部と、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、
前記一致度が前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を前記受付部に受け付けさせ、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、認証装置の処理部によって実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記認証装置は、
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を受け付け、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行し、
前記一致度が前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を受け付け、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、認証システムであって、
被認証者によりなされた動作に対応する動作情報を出力する出力装置と、
前記動作情報に対応する前記動作と規定された動作との一致度が第一閾値以上である場合に、当該動作を対象物に搭載された被制御装置の制御指示として認証する第一認証処理を実行する認証装置と、
報知装置と、
を備えており、
前記認証装置は、
前記一致度が前記第一閾値未満である前記動作情報が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合、前記動作情報に対応する動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置に行なわせ、
前記指示入力に対応する指示情報を受け付け、
有効な前記指示情報が受け付けられた場合、前記被制御装置の制御を許可する。
【0008】
被認証者により入力された動作と規定された動作との一致度に基づく認証処理においては、入力される動作に被認証者ごとの癖が反映される傾向がある。この癖に起因して、被認証者が規定された動作を入力しているつもりであっても、一致度が第一閾値以上とならない場合がありうる。他方、入力された動作と規定された動作の差異に係る許容範囲を広げるべく第一閾値を低く設定し過ぎると、被認証者が意図しない動作に基づいて認証処理が成立してしまう可能性が高まる。
【0009】
被認証者により入力された動作と規定された動作の一致度が第一閾値未満であっても、当該動作が繰り返されれば、被認証者が被制御装置の動作制御を求める意思を有している蓋然性が高い。上記のような構成によれば、当該動作が繰り返されることにより、被制御装置の動作制御が許可される可能性を提供できる。例えば被認証者に固有の癖などに起因して入力される動作と規定された動作の一致度が第一閾値未満となるような場合においても、一律に認証処理が不成立とされることがないので、認証システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る認証システムの機能構成を例示している。
【
図2】
図1の認証システムが適用される車両を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る認証システム10の機能構成を例示している。認証システム10は、
図2に例示される被認証者20の動作を、車両30に搭載された被制御装置の制御指示として認証する認証処理を実行するためのシステムである。車両30は、対象物の一例である。
【0012】
図1に例示されるように、認証システム10は、撮像装置11を含んでいる。撮像装置11は、車両30における適宜の位置に搭載される。撮像装置11は、被認証者20が写り込んだ画像を取得し、当該画像に対応する画像情報I1を出力するように構成されている。画像情報I1は、アナログデータの形態でもよいし、デジタルデータの形態でもよい。撮像装置11は、出力装置の一例である。
【0013】
認証システム10は、認証装置12を含んでいる。認証装置12は、受付部121と処理部122を備えている。受付部121は、撮像装置11から画像情報I1を受け付けるように構成されている。画像情報I1がアナログデータの形態である場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。処理部122は、デジタルデータの形態である画像情報I1を処理の対象とする。
【0014】
処理部122は、被認証者20の動作が写り込んだ画像に対応する画像情報I1に基づいてジェスチャ認証処理を実行するように構成されている。ジェスチャ認証処理は、被認証者20の動作を、車両30に搭載された被制御装置40の制御指示として認証する処理である。画像情報I1は、動作情報の一例である。ジェスチャ認証処理は、第一認証処理の一例である。
【0015】
具体的には、処理部122は、撮像装置11より受け付けた画像情報I1に対して骨格モデルを適用する処理を行なう。骨格モデルを適用する処理においては、当該骨格モデルにおいて規定された複数の特徴点が撮像装置11により取得された画像に写り込んだ被認証者20において検出され、当該複数の特徴点同士が当該骨格モデルにおいて規定された複数の骨格線で接続される。
【0016】
処理部122は、画像情報I1より得られる骨格モデルの動きと、不図示の記憶部に予め保存されている規定された動作に対応する骨格モデルの動きとを比較し、両者の一致度を取得する。
図3に例示されるように、一致度が規定された第一閾値Th1以上である場合、処理部122は、画像情報I1に基づくジェスチャ認証処理を成立させる。すなわち、画像情報I1に対応する被認証者20の動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1以上である場合、処理部122は、被認証者20の動作を、被制御装置40の制御指示として認証する。
【0017】
図1に例示されるように、認証装置12は、出力部123を備えている。処理部122は、画像情報I1に基づくジェスチャ認証処理が成立すると、出力部123を通じて制御情報C1を出力するように構成されている。制御情報C1は、デジタルデータの形態でもよいし、アナログデータの形態でもよい。制御情報C1がアナログデータの形態である場合、出力部123は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。
【0018】
認証システム10は、制御装置13を含んでいる。制御装置13は、車両30に搭載されている。制御装置13は、認証装置12から出力された制御情報C1に基づいて、車両30に搭載された被制御装置40の動作を制御するように構成されている。被制御装置40の例としては、ドアや窓などの開閉体の施錠装置、当該開閉体の開閉装置、エンジン、空調装置、照明装置、音響映像装置、座席位置の調節装置などが挙げられる。
【0019】
図3に示される例においては、黒い丸印が、被認証者20により入力された動作を表している。時点t1において入力された動作と規定された動作との一致度は第一閾値Th1以上であるので、ジェスチャ認証処理が成立する。
【0020】
処理部122は、規定された動作の一致度が第一閾値Th1未満である動作に対応する画像情報I1が規定された回数だけ繰り返し受け付けられた場合、出力部123から制御情報C2を出力するように構成されている。制御情報C2は、デジタルデータの形態でもよいし、アナログデータの形態でもよい。制御情報C2がアナログデータの形態である場合、出力部123は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を含みうる。
【0021】
図1に例示されるように、認証システム10は、報知装置14を含んでいる。報知装置14は、制御情報C2に基づいて、当該繰り返された動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を行なうように構成されている。
【0022】
本明細書で用いられる「異なる態様の指示入力」という語は、画像情報I1に基づかない指示入力、および画像情報I1に基づくものの先の動作とは異なる動作を用いた指示入力を含む意味である。
【0023】
報知は、視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを用いてなされる。例えば、処理部122は、車両30に搭載された報知装置14としての不図示のスピーカに「認証に失敗しました。再認証のためにXXXしてください。」という案内メッセージを出力させうる。あるいは、処理部122は、
図2に例示される報知装置14としてのモバイル装置50の表示部51に同様のメッセージを表示させるデータを、モバイル装置50へ無線送信しうる。
【0024】
上記メッセージにおける「XXX」の部分には、異なる態様の指示入力を行なうために被認証者20がとるべき行動が示される。
図1に例示されるように、被認証者20が要求された指示入力を行なうと、当該指示入力に対応する指示情報I2が認証装置12に入力される。認証装置12の受付部121は、指示情報I2を受け付ける。
【0025】
例えば、「次の質問に答えてください」という要求がなされうる。この場合、処理部122は、予め登録された特別な質問を不図示の記憶部から読み出し、車両30に搭載された報知装置14としてのスピーカに当該質問を出力させる。あるいは、処理部122は、
図2に例示されるモバイル装置50の表示部51に当該質問を表示させるデータを、モバイル装置50へ無線送信しうる。
【0026】
例えば、処理部122が音声認識処理を実行可能に構成されている場合、指示情報I2は、被認証者20による当該質問に対する回答の音声入力でありうる。あるいは、被認証者20は、当該質問に対する回答をモバイル装置50へテキスト入力または音声入力し、当該回答に対応するデータを指示情報I2として無線送信しうる。処理部122は、指示情報I2に対応する回答と予め不図示の記憶部に保存されている回答を照合する。両者が一致している場合、処理部122は、有効な指示情報I2が受け付けられたと判断する。
【0027】
別例として、報知装置14を通じて別のジェスチャが要求されうる。この場合、処理部122は、予め登録された別のジェスチャに係る情報を不図示の記憶部から読み出し、車両30に搭載された報知装置14としてのスピーカに当該ジェスチャを通知させる。あるいは、処理部122は、
図2に例示されるモバイル装置50に搭載された表示部51に当該ジェスチャを表示させるデータを、モバイル装置50へ無線送信しうる。表示部51は、報知装置14として機能しうる。
【0028】
被認証者20は、要求されたジェスチャを行なう。撮像装置11は、要求されたジェスチャを行なう被認証者20が写り込んだ画像を取得し、当該画像に対応する画像情報を指示情報I2として出力する。処理部122は、指示情報I2に対応するジェスチャと要求したジェスチャを照合する。両者の一致度が閾値以上である場合、処理部122は、有効な指示情報I2が受け付けられたと判断する。
【0029】
有効な指示情報I2が受け付けられたと判断されると、処理部122は、出力部123を通じて制御情報C1を出力する。すなわち、有効な指示情報I2が受け付けられたと判断されると、処理部122は、制御装置13による被制御装置40の制御を許可する。
【0030】
次に、
図3と
図4を参照しつつ、上記のように構成された処理部122により実行される処理の一例について説明する。本例においては、処理部122は、規定された動作の一致度が第一閾値Th1未満である動作に対応する画像情報I1が三回繰り返し受け付けられた場合、繰り返された動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置14に行なわせるように構成されている。なお、繰り返しの回数は適宜に変更可能である。
【0031】
図4に例示されるように、処理部122は、被認証者20により入力された動作に対応する画像情報I1を受け付けると(STEP1)、不図示の内部カウンタの値に1をセットする(STEP2)。
【0032】
続いて、処理部122は、前述したジェスチャ認証処理を実行し、画像情報I1に対応する動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1以上であるかを判断する(STEP3)。前述の通り、当該一致度が第一閾値Th1以上である場合(STEP3においてYES)、制御装置13による被制御装置40の動作制御が許可される(STEP4)。
【0033】
図3に示される例においては、時点t1において被認証者20により入力された動作と規定された動作との一致度が第一閾値Th1以上であるので、被制御装置40の動作制御が許可される。
【0034】
画像情報I1に対応する動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1未満である場合(
図4のSTEP3においてNO)、処理部122は、続いて被認証者20からの動作入力が受け付けられたかを判断する(STEP5)。
【0035】
動作入力が受け付けられていない場合(STEP5においてNO)、処理部122は、規定された時間Tが経過したかを判断する(STEP6)。時間Tの長さは、被認証者20が動作入力を繰り返す場合に想定される平均的な周期の時間長さに基づいて規定されうる。時間Tが経過していないと判断されると(STEP6においてNO)、処理部122は、再び被認証者20による次の動作入力を待つ(STEP5)。
【0036】
時間Tが経過したと判断されると(STEP6においてYES)、処理部122は、STEP1で受け付けた動作に基づくジェスチャ認証の不成立を確定させる。すなわち、制御装置13による被制御装置40の動作制御が禁止される(STEP7)。
【0037】
図3に示される例においては、時点t2において被認証者20により入力された動作と規定された動作との一致度が第一閾値Th1未満であるので、処理部122は、被認証者20による次の動作入力を待機する。しかしながら、時点t3において規定された時間Tが経過しているので、被制御装置40の動作制御が禁止される。
【0038】
時間Tの経過前に被認証者20による次の動作入力が受け付けられると(
図4のSTEP5においてYES)、処理部122は、再びジェスチャ認証処理を実行し、画像情報I1に対応する動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1以上であるかを判断する(STEP8)。
【0039】
当該一致度が第一閾値Th1以上である場合(STEP8においてYES)、制御装置13による被制御装置40の動作制御が許可される(STEP4)。当該一致度が第一閾値Th1未満である場合、処理部122は、内部カウンタの値に1を加える(STEP9)。
【0040】
続いて、処理部122は、内部カウンタの値が規定された繰り返し回数に達しているかを判断する(STEP10)。本例においては、内部カウンタの値が3であるかが判断される。内部カウンタの値が3に達していないと判断されると(STEP10においてNO)、処理はSTEP5に戻り、被認証者20による次の動作入力を待つ。
【0041】
内部カウンタの値が3に達していると判断されると(STEP10においてYES)、処理部122は、出力部123から制御情報C2を出力する。すなわち、繰り返された動作とは異なる態様の指示入力を求める報知を報知装置14に行なわせる報知処理が実行される(STEP11)。
【0042】
図3に示される例においては、時点t4において被認証者20から入力された動作と規定された動作との一致度が第一閾値Th1未満である。時間Tの経過前である時点t5において被認証者20から入力された動作と規定された動作との一致度が第一閾値Th1未満であるので、内部カウンタの値は2となる。同様に、時間Tの経過前である時点t6において被認証者20から入力された動作と規定された動作との一致度が第一閾値Th1未満であるので、内部カウンタの値は3となる。したがって、時点t6において被認証者20から入力された動作に基づいて、報知処理が実行される。
【0043】
被認証者20により入力された動作と規定された動作との一致度に基づく認証処理においては、入力される動作に被認証者20ごとの癖が反映される傾向がある。この癖に起因して、被認証者20が規定された動作を入力しているつもりであっても、一致度が第一閾値Th1以上とならない場合がありうる。他方、入力された動作と規定された動作の差異に係る許容範囲を広げるべく第一閾値Th1を低く設定し過ぎると、被認証者20が意図しない動作に基づいて認証処理が成立してしまう可能性が高まる。
【0044】
被認証者20により入力された動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1未満であっても、当該動作が繰り返されれば、被認証者20が被制御装置40の動作制御を求める意思を有している蓋然性が高い。上記のような構成によれば、当該動作が繰り返されることにより、被制御装置40の動作制御が許可される可能性を提供できる。例えば被認証者20に固有の癖などに起因して入力される動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1未満となるような場合においても、一律に認証処理が不成立とされることがないので、認証システム10の利便性を高めることができる。
【0045】
図示を省略するが、繰り返し入力された被認証者20による動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1未満であると判断された場合(
図4のSTEP8においてNO)、処理部122は、当該一致度が第二閾値Th2以上であるかを判断してもよい。第二閾値Th2は、第一閾値Th1よりも低い。例えば、第二閾値Th2は、被認証者20に入力された動作が規定された動作と明らかに一致しないと判断しうる程度の一致度として定められる。
【0046】
一致度が第二閾値Th2以上である場合、処理はSTEP9に進み、内部カウンタの値に1が加えられる。一致度が第二閾値Th2未満である場合、処理はSTEP7に進み、被制御装置40の動作制御が禁止される。
【0047】
図3に示される例においては、時点t5において被認証者20から入力された動作と規定された動作との一致度が第二閾値Th2未満である。したがって、時点t4において被認証者20から入力された動作に基づいて開始された繰り返し回数に係る条件が不成立となり、被制御装置40の動作制御が禁止される。
【0048】
他方、時点t6から時点t7の間に被認証者20から入力された動作と規定された動作の一致度は、第一閾値Th1未満かつ第二閾値Th2以上であり、かつ三回の繰り返し条件が満足されている。したがって、時点t7において被認証者20から入力された動作に基づいて、報知処理が実行される。
【0049】
このような構成によれば、規定された動作との一致度が低い動作を、報知処理を行なうかの判断候補から除外できる。規定された動作との一致度が比較的高い動作が繰り返された場合に報知処理がなされるように構成できるので、認証システム10のセキュリティレベルが高まる。
【0050】
図3に例示されるように、処理部122は、報知装置14に報知を行なわせた場合、第一閾値Th1を低くしてもよい。変更後の第一閾値Th1’は、繰り返し入力された動作と規定された動作の一致度に基づいて定められうる。例えば、繰り返し入力された動作より取得された複数の一致度の代表値に基づいて定められうる。代表値の例としては、平均値、最高値、最低値、中間値、最頻値などが挙げられる。
【0051】
図3に示される例においては、時点t8において第一閾値Th1の変更がなされている。変更後の第一閾値Th1’は、時点t6から時点t7の間に取得された三個の一致度の平均値とされている。あるいは、変更後の第一閾値Th1’は、変更前の第一閾値Th1から一定値だけ低くされた値として定められてもよい。
【0052】
図3に示される例においては、時点t9において被認証者20から入力された動作と規定された動作との一致度は、当初の第一閾値Th1未満であるが、変更後の第一閾値Th1’以上である。したがって、時点t9において被認証者20から入力された動作に基づいて、被制御装置40の動作制御が許可される。
【0053】
被認証者20により入力された動作と規定された動作の一致度が第一閾値Th1未満であっても、当該動作が繰り返されれば、第一閾値Th1との差異は被認証者20に固有の癖などに起因するものである蓋然性が高い。上記のような構成によれば、当該差異を小さくするように第一閾値Th1が変更されるので、被認証者20により入力された動作が規定された動作とみなされる可能性を高めることができる。換言すると、報知処理が行なわれる頻度を抑制できる。
【0054】
認証装置12は、上記のジェスチャ認証処理の実行に先立ち、顔認証処理を行なうように構成されうる。顔認証処理は、被認証者20の顔が写り込んだ画像に基づいて、被認証者20を車両30のユーザとして認証する処理である。顔認証処理は、第二認証処理の一例である。この場合、認証装置12は、顔認証処理が成立してからジェスチャ認証処理を実行するように構成される。
【0055】
具体的には、撮像装置11により取得された被認証者20の顔が写り込んだ画像に対応する画像情報I1と、不図示の記憶部に予め保存されている被認証者20の顔画像情報とを比較し、両者の一致度を取得する。一致度が規定された閾値を上回る場合、処理部122は、画像情報I1に基づく顔認証処理を成立させる。
【0056】
このような構成によれば、車両30のユーザとして認証された被認証者20に対してジェスチャ認証処理が適用されるので、認証システム10のセキュリティレベルを高めることができる。加えて、顔認証処理とジェスチャ認証処理に撮像装置11を共用できるので、認証システム10の複雑化を抑制できる。
【0057】
これまで説明した各機能を有する処理部122は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。プロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバからダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0058】
処理部122は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部122は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0059】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0060】
上記の実施形態においては、被認証者20による動作を被制御装置40の制御指示として認証するためにジェスチャ認証処理が用いられている。しかしながら、被認証者20に携帯されるモバイル装置50に搭載された加速度センサによって被認証者20の動作が検出されてもよい。この場合、モバイル装置50に加わる加速度に対応する加速度情報が、モバイル装置50から認証装置12へ無線送信される。この場合、モバイル装置50は出力装置の一例であり、加速度情報は動作情報の一例である。加速度情報に基づく認証処理は、第一認証処理の一例である。モバイル装置50から出力される加速度情報に基づいてモバイル装置50を携帯する者の動作を検出する手法は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0061】
この場合、加速度情報に基づく認証処理に先立ち行われる画像情報I1に基づく認証処理は、顔認証処理に限られない。ジェスチャ認証や歩容認証などが適宜に採用されうる。
【0062】
認証装置12は、車両30に搭載されてもよいし、適宜の規格に基づく無線通信ネットワークを介して車両30と通信可能な外部装置として提供されてもよい。認証装置12が車両30に搭載される場合、認証装置12による認証処理と制御装置13による制御処理は、共通の装置あるいは素子によって行なわれてもよい。認証装置12が無線通信ネットワークを介して車両30と通信可能な外部装置として提供される場合、撮像装置11から出力された画像情報I1が、無線通信ネットワークを介して認証装置12に送信される。処理部122による認証処理の結果として出力されうる制御情報C1は、当該無線通信ネットワークを介して制御装置13へ送信される。処理部122による認証処理の結果として出力されうる制御情報C2は、当該無線通信ネットワークを介して報知装置14へ送信される。
【0063】
認証システム10は、車両30以外の移動体にも適用されうる。他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0064】
認証システム10は、移動体以外の対象物にも適用されうる。他の対象物の例としては、住宅、商業施設、校舎、社屋、工場、研究施設などが挙げられる。
【符号の説明】
【0065】
10:認証システム、11:撮像装置、12:認証装置、121:受付部、122:処理部、13:制御装置、14:報知装置、20:被認証者、30:車両、40:被制御装置、50:モバイル装置、51:表示部、I1:画像情報、I2:指示情報、Th1、Th1’:第一閾値、Th2:第二閾値