(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】物体検知センサの検査装置及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20231220BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231220BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20231220BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
G05B23/02 302T
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2020055783
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】龍口 司
(72)【発明者】
【氏名】中山 恵介
(72)【発明者】
【氏名】有岡 献
(72)【発明者】
【氏名】沢村 亮
(72)【発明者】
【氏名】石田 学
(72)【発明者】
【氏名】難波 政浩
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-247482(JP,A)
【文献】特開平04-054643(JP,A)
【文献】特開2017-111174(JP,A)
【文献】特開平08-067466(JP,A)
【文献】特開2018-096095(JP,A)
【文献】特開2017-198627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
G05B 23/00-23/02
G06F 11/00-11/10
G06Q 10/20,50/08,50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作部と前記動作部の動作を制御する制御部とを有する機械装置に備えられた物体検知センサであって、物体を検知しているときに検知信号を出力するとともに物体を検知していないときに非検知信号を出力する前記物体検知センサを検査対象とする物体検知センサの検査装置であって、
前記制御部の前記動作部を制御する情報に基づいて前記機械装置の状態を把握するとともに前記物体検知センサの出力を入力し、前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、前記物体検知センサの出力が検知信号と非検知信号との間で変化する回数を計数する計数手段と、
単一の前記物体検知センサについて前記計数手段によって計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかを判定する判定手段と
を備えた物体検知センサの検査装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が等しい場合に、前記計数手段によって計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定する、
請求項1に記載の物体検知センサの検査装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が異なる場合に、前記計数手段によって計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定する、
請求項1に記載の物体検知センサの検査装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
前記物体検知センサが正常時において前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に出力が変化する最低回数が予め決められて
おり、前記計数手段によって計数した回数が前記最低回数以上のときに、前記計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかの判定を行い、前記計数した回数が前記最低回数に満たないときには、前記物体検知センサは異常であると判定する、
請求項1~3のいずれかに記載の物体検知センサの検査装置。
【請求項5】
前記判定手段の結果、前記物体検知センサが異常である場合に、その旨を報知する第1の報知手段をさらに備えた、
請求項1~4のいずれかに記載の物体検知センサの検査装置。
【請求項6】
所定期間内において、前記物体検知センサの出力に変化がない場合には、その旨を報知する第2の報知手段をさらに備えた、
請求項1~3のいずれかに記載の物体検知センサの検査装置。
【請求項7】
前記機械装置は、機械式駐車装置である、
請求項1~6のいずれかに記載の物体検知センサの検査装置。
【請求項8】
動作部と前記動作部の動作を制御する制御部とを有する機械装置に備えられた物体検知センサであって、物体を検知しているときに検知信号を出力するとともに物体を検知していないときに非検知信号を出力する前記物体検知センサを検査対象とする物体検知センサの検査プログラムであって、
コンピュータを、
前記制御部の前記動作部を制御する情報に基づいて前記機械装置の状態を把握するとともに前記物体検知センサの出力を入力し、前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、前記物体検知センサの出力が検知信号と非検知信号との間で変化する回数を計数する計数手段と、
単一の前記物体検知センサについて前記計数手段によって計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかを判定する判定手段と
して機能させるための物体検知センサの検査プログラム。
【請求項9】
前記判定手段は、
前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が等しい場合に、前記計数手段によって計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定する、
請求項8に記載の物体検知センサの検査プログラム。
【請求項10】
前記判定手段は、
前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が異なる場合に、前記計数手段によって計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定する、
請求項8に記載の物体検知センサの検査プログラム。
【請求項11】
前記判定手段は、
前記物体検知センサが正常時において前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に出力が変化する最低回数が予め決められて
おり、前記計数手段によって計数した回数が前記最低回数以上のときに、前記計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかの判定を行い、前記計数した回数が前記最低回数に満たないときには、前記物体検知センサは異常であると判定する、
請求項8~10のいずれかに記載の物体検知センサの検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置等の機械装置に備えられている物体検知センサの検査装置及び検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置では、通常、車両を入出庫する乗降部の出入口に入出庫扉が設けられている。そして、入出庫扉を開いた状態で、車両の入出庫が行われ、入出庫が完了した後、入出庫扉が閉じられる。また、例えば、車両をパレットに載せて格納する場合には、入庫する際に、乗降部のパレット上に車両を停車させ、出庫する際には、パレット上の車両を乗降部から外へ出して停車させる。
【0003】
このような機械式駐車装置には、多数の物体検知センサが備えられている。例えば、乗降部には、車両や人を検知するための複数の物体検知センサが備えられている。また、パレットを搬送する搬器等にも物体検知センサが備えられている。
【0004】
特許文献1には、半導体処理装置に配置されているセンサの状況が変化したときに、異常パターンに該当するか否かを判別し、センサの故障を検知する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の機械式駐車装置では、従来、定期的に検査員が多数の物体検知センサの検査を行っていた。この検査は、例えば、検査員が個々の物体検知センサに対して手などをかざして、このときの物体検知センサの出力を確認することによって行っていた。そのため、検査に長時間を要していた。このような物体検知センサは機械式駐車装置以外の機械装置にも広く利用されている。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、物体検知センサの検査の省力化を図ることができる物体検知センサの検査装置及び検査プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る物体検知センサの検査装置は、動作部と前記動作部の動作を制御する制御部とを有する機械装置に備えられた物体検知センサであって、物体を検知しているときに検知信号を出力するとともに物体を検知していないときに非検知信号を出力する前記物体検知センサを検査対象とする物体検知センサの検査装置であって、前記制御部の前記動作部を制御する情報に基づいて前記機械装置の状態を把握するとともに前記物体検知センサの出力を入力し、前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、前記物体検知センサの出力が検知信号と非検知信号との間で変化する回数を計数する計数手段と、前記計数手段によって計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかを判定する判定手段とを備えている。
【0009】
この構成によれば、検査対象の物体検知センサについては、正常であるか異常であるかの判定を行うことができるので、検査員による検査を省略することができる。よって、物体検知センサの検査の省力化を図ることができる。また、物体検知センサの出力が変化する回数が偶数または奇数であるかに基づいて物体検知センサが正常であるか異常であるかの判定を行うようにしているので、この判定を容易に行うことができる。
【0010】
また、前記判定手段は、前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が等しい場合に、前記計数手段によって計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定するようにしてもよい。この場合、機械装置の第1状態と第2状態とは同じ状態であってもよいし、異なる状態であってもよい。
【0011】
また、前記判定手段は、前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が異なる場合に、前記計数手段によって計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定するようにしてもよい。この場合、機械装置の第1状態と第2状態とは異なる状態である。
【0012】
また、前記判定手段は、前記物体検知センサが正常時において前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に出力が変化する最低回数が予め決められている場合に、前記計数手段によって計数した回数が前記最低回数以上のときに、前記計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかの判定を行い、前記計数した回数が前記最低回数に満たないときには、前記物体検知センサは異常であると判定するようにしてもよい。これにより、異常な物体検知センサをより確実に検出することができる。
【0013】
また、前記判定手段の結果、前記物体検知センサが異常である場合に、その旨を報知する第1の報知手段をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、所定期間内において、前記物体検知センサの出力に変化がない場合には、その旨を報知する第2の報知手段をさらに備えていてもよい。
【0015】
また、前記機械装置は、機械式駐車装置であってもよい。
【0016】
本発明のある態様に係る物体検知センサの検査プログラムは、動作部と前記動作部の動作を制御する制御部とを有する機械装置に備えられた物体検知センサであって、物体を検知しているときに検知信号を出力するとともに物体を検知していないときに非検知信号を出力する前記物体検知センサを検査対象とする物体検知センサの検査プログラムであって、コンピュータを、前記制御部の前記動作部を制御する情報に基づいて前記機械装置の状態を把握するとともに前記物体検知センサの出力を入力し、前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、前記物体検知センサの出力が検知信号と非検知信号との間で変化する回数を計数する計数手段と、前記計数手段によって計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかを判定する判定手段として機能させるための物体検知センサの検査プログラムである。
【0017】
この構成によれば、検査対象の物体検知センサについては、正常であるか異常であるかの判定を行うことができるので、検査員による検査を省略することができる。よって、物体検知センサの検査の省力化を図ることができる。また、物体検知センサの出力が変化する回数が偶数または奇数であるかに基づいて物体検知センサが正常であるか異常であるかの判定を行うようにしているので、この判定を容易に行うことができる。
【0018】
また、前記判定手段は、前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が等しい場合に、前記計数手段によって計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定するようにしてもよい。この場合、機械装置の第1状態と第2状態とは同じ状態であってもよいし、異なる状態であってもよい。
【0019】
また、前記判定手段は、前記物体検知センサが正常時において前記機械装置が第1状態のときと第2状態のときとで出力が異なる場合に、前記計数手段によって計数した回数が奇数であるときに前記物体検知センサは正常であると判定し、前記計数した回数が偶数であるときに前記物体検知センサは異常であると判定するようにしてもよい。この場合、機械装置の第1状態と第2状態とは異なる状態である。
【0020】
また、前記判定手段は、前記物体検知センサが正常時において前記機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に出力が変化する最低回数が予め決められている場合に、前記計数手段によって計数した回数が前記最低回数以上のときに、前記計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて前記物体検知センサが正常であるか異常であるかの判定を行い、前記計数した回数が前記最低回数に満たないときには、前記物体検知センサは異常であると判定するようにしてもよい。これにより、異常な物体検知センサをより確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上に説明した構成を有し、物体検知センサの検査の省力化を図ることができる物体検知センサの検査装置及び検査プログラムを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本実施形態における機械装置の一例である機械式駐車装置の内部を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す機械式駐車装置の乗降部の概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す機械式駐車装置の概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の物体検知センサの検査装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、2つの物体検知センサの正常時の出力信号の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0024】
(実施形態)
本実施形態では、物体検知センサが備えられた機械装置の一例として機械式駐車装置について説明する。
図1は、本実施形態における機械装置の一例である機械式駐車装置の内部を示す概略図である。また、
図2は、
図1に示す機械式駐車装置の乗降部の概略構成を示す平面図である。以下では、便宜上、車両Vが乗降部3に乗り入れたときに車両Vから視た方向を前後左右(
図1、
図2参照)として説明する。なお、ここでは、機械式駐車装置1として、エレベータ式駐車装置を例示しているが、エレベータ式に限らず、垂直循環式、水平多層式、箱型循環式、平面往復式等の駐車装置であってもよい。
【0025】
図1に示すように、機械式駐車装置1は、車両搭載手段であるパレット6が複数収容されている駐車塔2を備えている。この駐車塔2は、地上1階が乗降部3となっており、乗降部3の乗入れ床31にはピット32が形成されている。また、乗降部3には、車両Vの出入口となる入出庫口4が設けられ、この入出庫口4に上下にスライドして開閉する入出庫扉5が設けられている。
【0026】
この機械式駐車装置1では、駐車塔2の中央部に鉛直方向に延びる昇降路25が設けられている。昇降路25は平面視が矩形状であり、この昇降路25を挟んで両側に、パレット6を格納するための複数段の格納部26が鉛直方向に並んで設けられている。各格納部26には、前後方向に延びる棚レール29が設けられている。棚レール29は、主柱27と、この主柱27と平行に鉛直方向に設けられた棚柱28とに固定されている。この棚レール29に沿って、パレット6が払出し/引込みされる。パレット6は、両側にガイド6aが設けられている。
【0027】
また、昇降路25には、パレット6を載せる搬器23が配設されている。搬器23には、パレット移載機構24が設けられており、このパレット移載機構24によってパレット6を搬器23と各格納部26の棚レール29との間で払出し/引込みがなされる。さらに、ピット32内には、パレット6を持上げて旋回させるパレット持上旋回装置30が備えられており、このパレット持上旋回装置30により、パレット6が乗降部3で90°旋回させられる。これらのパレット移載機構24及びパレット持上旋回装置30は、公知の手段を採用できる。なお、パレット持上旋回装置30を設けない構成も可能である。この場合、機械式駐車装置1は、車両Vの進入方向と格納部に格納される車両の向きが同じになるように構成されており、乗降部3の後方となる駐車塔2の外部にターンテーブルが設けられてあってもよい。
【0028】
さらに、この機械式駐車装置1では、駐車塔2の上部に、搬器23を昇降路25に沿って昇降させる昇降駆動装置20が設けられている。搬器23は、昇降路25に垂下されたワイヤロープ21の一端に吊り下げられ、昇降駆動装置20を介して反対側となるワイヤロープ21の他端側は、格納部26の左方部分で垂下され、昇降駆動装置20による巻上げ力を軽減するカウンタウェイト22に連結されている。昇降駆動装置20を駆動することにより、ワイヤロープ21で吊下げられた搬器23が昇降路25で昇降させられる。このような搬器23を昇降させる機構も公知の手段を採用できる。
【0029】
また、搬器23には、その四隅のうちの1か所にセンサ(物体検知センサ)17が設けられている。そして、1つの棚柱28には、1階の乗降部3および2階以上の各階の格納部26に対応してセンサ17によって検知される被検知部(物体)28Sが設けられている。センサ17としては、リミットスイッチなどの接触式センサや、光電センサおよび近接センサ等の非接触式センサを例示できる。
【0030】
また、乗降部3の外部で入出庫口4の近傍には、機械式駐車装置1の入庫運転及び出庫運転の運転操作等を行うための操作盤7が設けられている。
【0031】
図2では、車両Vを簡略化して矩形状に示している。
図2に示すように、乗降部3には、物体(車両や人)を検知する複数のセンサ(物体検知センサ)11~16が設けられている。車両Vを入出庫させる車両配置部であるパレット6の左側方に左部センサ11が設けられ、右側方に右部センサ12が設けられている。また、パレット6の前方には、前部センサ13が設けられ、パレット6の前後方向の中間部分には、車両Vの有無を検知するための車両検知センサ16が設けられている。さらに、パレット6の後方には、後部センサ14が設けられ、入出庫口4の部分には、入出庫扉5の外側で物体を検知する扉外センサ15が設けられている。ここで、センサ11,12は、乗降部3内の利用者等の人を検知するために設けられている。また、センサ13,14は、車両Vの一部がパレット6から前後方向にはみ出していることを検知するために設けられている。なお、模式的に一点鎖線とその両端の黒丸とで示された各センサ11~16は、例えば、両端の黒丸部分に投光器と受光器とが対向配置された光電センサで構成され、一点鎖線は物体が検知される光の通路を示している。
【0032】
図3は、機械式駐車装置1の概略ブロック図である。
図3に示すように、機械式駐車装置1は、操作盤7と、制御装置71、通信部74、パレット6を搬送するパレット搬送装置8と、入出庫扉5を開閉する入出庫扉開閉装置9と、センサ11~17等を有している。パレット搬送装置8は、パレット移載機構24を有する搬器23、昇降駆動装置20、及びパレット持上旋回装置30等によって構成されている。このパレット搬送装置8によって、各パレット6は、所定の格納部26と乗降部3との間で搬送される。
【0033】
制御装置71は、各センサ11~17等からの出力信号を入力するとともに操作入力部73からの操作信号を入力し、表示部72、パレット搬送装置8及び入出庫扉開閉装置9を制御する。また、制御装置71は、通信部74を用いて、管理センタの外部端末へ情報を送信する。この制御装置71は、CPU等の演算処理部と、ROMおよびRAM等を含みCPUが実行する制御プログラム及び種々のデータ等を記憶する記憶部71mとを有しており、CPUが制御プログラムを実行することにより機械式駐車装置1全体を制御する。なお、制御装置71は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。例えば、パレット搬送装置8を制御する制御装置と、入出庫扉開閉装置9を制御する制御装置とが、制御装置71から別個に分離されていてもよい。通信部74は、例えば、インターネット等を介して、機械式駐車装置1等を管理している管理センタに設置された外部端末と通信可能に構成されている。
【0034】
操作盤7は、画面に文字及び画像等を表示する表示装置である表示部72、及び、操作入力部73等を備えている。操作入力部73は、例えば、入出庫扉5を閉じるために操作する閉扉ボタン、パレット6を呼び出すために操作するスタートボタン等を有していてもよく、操作者(駐車装置の管理人や利用者等)の操作による操作信号を制御装置71へ出力する。操作入力部73は、表示部72と一体化されてタッチパネル付きディスプレイとして構成されていてもよいし、表示部72とは別の操作ボタン等によって構成されていてもよい。
【0035】
この機械式駐車装置1の動作の一例についてその概略を説明する。
この機械式駐車装置1では、入庫時には、制御装置71の制御によって、空のパレット6を搭載した搬器23を1階の乗降部3に下降させ、パレット持上旋回装置30によりパレット6を持ち上げて90度旋回させた後、入出庫扉5が開かれる。ここで、利用者は車両Vをパレット6上に乗入れる。そして、利用者が降車して乗降部3から外に出てから入出庫扉5を閉じた後、パレット持上旋回装置30によりパレット6を90度旋回させた後、搬器23を所定階に上昇させ、この状態で、パレット移載機構24によって車両Vを所定階の格納部26にパレット6ごと移載する。
【0036】
そして、出庫時には、制御装置71の制御によって、搬器23を所定階に移動させて、パレット移載機構24によって所定階の格納部26に格納された車両Vをパレット6ごと搬器23に移載した後、搬器23を1階の乗降部3に下降させ、パレット持上旋回装置30によりパレット6を持ち上げて90度旋回させた後、入出庫扉5が開かれる。ここで、利用者は乗降部3に入って乗車し車両Vを乗降部3から外に出して停車し、入出庫扉5を閉じる。この入出庫扉5を閉じた後、パレット搬送装置8によって空のパレット6を元の格納部26に戻す。なお、機械式駐車装置1の設定によっては、入出庫扉5を閉じた後、空のパレット6を乗降部3に置いたまま待機していてもよい。これらの入出庫動作自体は、周知であるのでここでは詳細な説明を省略する。
【0037】
前述のセンサ11~17は、物体を検知しているときに検知(ON)信号を出力し、物体を検知していないときに非検知(OFF)信号を出力する二値出力のセンサである。
【0038】
上記の入出庫動作において、制御装置71は、搬器23を任意の階に停止させる際に、搬器23に設けられたセンサ17の検知信号を用いて正確な位置に停止させることができる。つまり、搬器23を停止させる階に対応して設けられた被検知部28Sをセンサ17によって検知すると、搬器23を減速して停止させる。
【0039】
また、制御装置71は、センサ11~16の出力信号に基づいて車両の入出庫が完了したか否かを判定することができる。例えば、入庫の際には、車両検知センサ16が検知信号の出力状態となり、かつ、センサ11~14が非検知信号の出力状態となったときに、降車した運転手(利用者)が入出庫口4を通過することにより扉外センサ15が非検知信号から検知信号を経て非検知信号に変化した場合に、入庫が完了したと判定してもよい。また、出庫の際には、車両検知センサ16及びセンサ11~14が非検知信号の状態となったときに、車両が入出庫口4を通過することにより扉外センサ15が非検知信号から検知信号を経て非検知信号に変化した場合に、出庫が完了したと判定してもよい。
【0040】
この機械式駐車装置1(以下、単に「駐車装置1」ともいう)は、上記のような車両の入出庫処理の他に、物体検知センサの検査機能を有している。以下に、本実施形態の物体検知センサの検査装置及び検査プログラムについて説明する。
【0041】
ここでの検査対象となる物体検知センサとしては、例えば、乗降部3に配置されたセンサ14~16及び搬器23に配置されたセンサ17等を例示できる。これらのセンサ14~17は、制御装置71がパレット搬送装置8を制御してパレット6を移送したり、入出庫扉開閉装置9を制御して入出庫扉5を開閉することによって、駐車装置1の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、検知信号と非検知信号との間で出力が変化するように設けられたセンサである。なお、第1状態および第2状態は予め定められた所定の状態であり、これらの例については、後述の具体例で説明する。
【0042】
図4は、本実施形態の物体検知センサの検査装置(制御装置71)の処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、物体検知センサの検査装置は、制御装置71によって構成されている。すなわち、記憶部71mに記憶された制御プログラムには、物体検知センサの検査プログラムが含まれており、制御装置71は、動作部(パレット搬送装置8及び入出庫扉開閉装置9)を制御する制御部として機能するとともに、ステップS2の計数処理等を行う計数手段及びステップS4の判定処理を行う判定手段としても機能する。なお、計数手段は、制御部の動作部を制御する情報に基づいて機械装置(駐車装置1)の状態を把握するとともに物体検知センサの出力を入力し、機械装置の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、物体検知センサの出力が検知信号と非検知信号との間で変化する回数を計数するよう構成されている。
【0043】
制御装置71は、駐車装置1が第1状態になってから(ステップS1でYes)、第2状態へ変化(ステップS3でYes)したときまでの間に、計数処理を行う(ステップS2)。この計数処理では、検査対象のセンサについて、その出力が検知信号と非検知信号との間で変化する回数を計数する。
【0044】
そして、制御装置71は、駐車装置1が第2状態になると(ステップS3でYes)、判定処理を行う(ステップS4)。この判定処理では、ステップS2で計数した回数が偶数または奇数であるかに基づいて検査対象のセンサが正常であるか異常であるかを判定する。ここで、検査対象のセンサが正常時において、駐車装置1が第1状態のときと第2状態のときとで検査対象のセンサの出力が等しい場合には、ステップS2で計数した回数が偶数であるときには検査対象のセンサは正常であると判定し、ステップS2で計数した回数が奇数であるときには検査対象のセンサは異常であると判定する。一方、検査対象のセンサが正常時において、駐車装置1が第1状態のときと第2状態のときとで検査対象のセンサの出力が異なる場合には、ステップS2で計数した回数が奇数であるときには検査対象のセンサは正常であると判定し、ステップS2で計数した回数が偶数であるときには検査対象のセンサは異常であると判定する。
【0045】
次に、制御装置71は、ステップS4の判定処理の結果が正常である場合には(ステップS5でNo)、ステップS1へ戻って同様の処理を繰り返す。また、ステップS4の判定処理の結果が異常である場合には(ステップS5でYes)、報知処理を行う(ステップS6)。この報知処理では、制御装置71は、通信部74(第1の報知手段)に、検査対象のセンサが異常であるという情報を管理センタの外部端末へ送信させる。これにより、管理センタの人間にセンサの異常情報を報知することができる。制御装置71は、ステップS6の報知処理を行った後、その検査対象のセンサについての処理を終了するようにしてもよいし、ステップS1へ戻って同様の処理を繰り返すようにしてもよい。また、異常を発見したセンサの重要度に応じて、駐車装置1の動作を停止させてもよい。
【0046】
なお、制御装置71は、ステップS4の判定処理の結果をその判定した時刻とともに検査結果として記憶部71mに順次記憶するようにしてもよい。また、この記憶部71mに記憶した検査結果を、管理センタの外部端末からの要求に基づいて通信部74から上記外部端末へ送信するようにしてもよい。
【0047】
次に、具体例について、さらに
図5も参照して説明する。
図5は、2つのセンサ15,17の正常時の出力信号の一例を示すタイミングチャートである。
【0048】
ここでは、駐車装置1の第1状態を、出庫時において、車両が入出庫口4を通過して出庫が完了し、入出庫扉5が閉じられたときの状態とする。この第1状態では、駐車装置1は、パレット6は乗降部3内のパレット持上旋回装置30上にあり、搬器23が乗降部3にある状態である。また、ここでは、駐車装置1の第2状態を、第1状態よりもあとの状態(第1状態から駐車装置1の何らかの動作が行われたあとの状態)で第1状態と同じ状態とする。なお、制御装置71の記憶部71mには、駐車装置1が第1状態及び第2状態になるときのタイミングを把握するための条件が予め記憶されており、制御装置71は駐車装置1が第1状態及び第2状態になるときのタイミングを把握することができる。
【0049】
まず、扉外センサ15を検査対象とする場合について説明する。この場合、
図5に示すように、センサ15は、正常時には、駐車装置1が第1状態のとき(時刻t1)と第2状態のとき(時刻t2)の出力が等しく、いずれの状態のときも非検知(OFF)信号を出力する状態となる。
【0050】
駐車装置1が出庫完了後の第1状態のあと、続いて別の車両の出庫が行われて第2状態となる場合には、別の車両を出庫するために、運転手が車両へ乗り込むために乗降部3へ入る際に、センサ15の出力は、OFFからON(人検知)、OFFの順に2回変化する。さらに、車両が乗降部3から出庫する際に、センサ15の出力は、OFFからON(車両検知)、OFFの順に2回変化する。よって、センサ15の出力は少なくとも4回変化する。
【0051】
また、駐車装置1が出庫完了後の第1状態のあと、次の出庫完了後の第2状態となるまでの間に、入庫が行われる場合もある。入庫が行われる場合には、車両が乗降部3へ入庫する際に、センサ15の出力は、OFFからON(車両検知)、OFFの順に2回変化する。さらに、車両をパレット6上へ載せた後、運転手が降車して乗降部3から外へ出る際に、センサ15の出力は、OFFからON(人検知)、OFFの順に2回変化する。このように1回の入庫が行われるとセンサ15の出力は通常4回変化する。
【0052】
よって、制御装置71は、駐車装置1が第1状態から第2状態へと変化したときまでの間に、センサ15の出力が検知(ON)信号と非検知(OFF)信号との間で変化する回数を計数し、この回数が偶数であるときには、センサ15は正常であると判定し、上記回数が奇数であるときには、センサ15は異常であると判定する。
【0053】
また、駐車装置1が第1状態から第2状態へと変化したときまでの間には、センサ15の出力は少なくとも4回変化するので、4回を最低回数として予め制御装置71に設定しておき、第1状態から第2状態へと変化したときまでの間に、ステップS2で計数した回数が4回(最低回数)以上のときに、計数した回数が偶数であるか否かに基づいて、センサ15が正常であるか否か(異常であるか)を判定し、ステップS2で計数した回数が4回未満のときには、センサ15が異常であると判定するようにしてもよい。これにより、異常であるセンサをより確実に検出することができる。また、例えば、出庫のために入出庫扉5を開いたときを第1状態とし、出庫を終えて入出庫扉5を閉じたときを第2状態とした場合には、センサ15の出力は少なくとも4回変化し、出庫後に運転者が乗降部3に落とし物を取りに入ったりするとセンサ15の出力は8回以上変化することになる。なお、出庫のために入出庫扉5が開いた後で、運転盤7の操作により出庫が取りやめられ入出庫扉5が閉じられた時は、制御装置71は出庫が取りやめられたことを受けて、センサ15の出力の変化を計数するのを停止したり、異常判定を行わないようにすることができる。
【0054】
次に、センサ14を検査対象とする場合も、上記のセンサ15を検査対象とする場合と同様に考えることができる。
【0055】
次に、車両検知センサ16を検査対象とする場合について説明する。この場合、駐車装置1が出庫完了後の第1状態のあと、続いて別の車両の出庫が行われて第2状態(第1状態と同じ状態)となる場合には、別の車両が格納部26から乗降部3へ移送されてから出庫が行われるので、センサ16の出力は、OFFからON(車両検知)、OFFの順に2回変化する。この場合、搬器23が乗降部3から出庫車両の格納された階に移動を開始してから、格納部26から乗降部3に出庫車両の搬送を完了するまでの間、センサ16の出力の変化の計数を停止しても良いし、搬器23が昇降時にセンサ16に検知されてセンサ16の出力を変化させる回数も計数して異常判定を行ってもよい。
【0056】
また、駐車装置1が出庫完了後の第1状態のあと、次の出庫完了後の第2状態となるまでの間に、入庫が行われる場合もある。入庫が行われる場合には、入庫車両が乗降部3へ入庫されてから格納部26へ移送される。ここで、搬器23の昇降時のセンサ16の出力の変化を計数しない場合には、入庫車両の格納を終えた搬器23が乗降部3に戻ることなく続けて出庫動作を行い出庫が完了すると、その間でセンサ16の出力が変化する回数は2回となる。乗降部3に入庫車両が侵入したときにOFFからON(車両検知)に1回変化し、搬器23が上昇し入庫車両を格納した後、出庫車両を載せて乗降部3に戻った時点でセンサ16の出力はON(車両検知)状態で変わらず、その後、入出庫扉5が開いて出庫車両が乗降部3から退出することでセンサ16の出力がONからOFFに1回変化するからである。
【0057】
よって、制御装置71は、駐車装置1が第1状態から第2状態へと変化したときまでの間に、センサ16の出力が検知(ON)信号と非検知(OFF)信号との間で変化する回数を計数し、この回数が偶数であるときには、センサ16は正常であると判定し、上記回数が奇数であるときには、センサ16は異常であると判定する。
【0058】
また、駐車装置1が第1状態から第2状態へと変化したときまでの間には、センサ16の出力は少なくとも2回変化するので、2回を最低回数として予め制御装置71に設定しておき、第1状態から第2状態へと変化したときまでの間に、ステップS2で計数した回数が2回(最低回数)以上のときに、計数した回数が偶数であるか否かに基づいて、センサ16が正常であるか否か(異常であるか)を判定し、ステップS2で計数した回数が2回未満のときには、センサ16が異常であると判定するようにしてもよい。
【0059】
次に、搬器23に設けられたセンサ17を検査対象とする場合について説明する。この場合、
図5に示すように、センサ17は、正常時には、駐車装置1が第1状態のとき(時刻t1)と第2状態のとき(時刻t2)の出力が等しく、いずれの状態のときも1階の乗降部3に対応する被検知部28Sを検知しており、検知(ON)信号を出力する状態となる。
【0060】
センサ17は、搬器23が昇降して各階の被検知部28Sを検知したときにのみONし、それ以外はOFFとなる。例えば、搬器23が1階から2階へ上昇する場合には、センサ17の出力は、ONからOFF、ONの順に2回変化し、さらに3階へ上昇する場合にも、センサ17の出力は、ONからOFF、ONの順に2回変化する。搬器23が下降する場合も同様である。よって、搬器23がn階上昇または下降すると、センサ17の出力は2n回変化する。
【0061】
駐車装置1が出庫完了後の第1状態のあと、入庫車両の有無にかかわらず、車両の出庫が行われて第2状態となる場合、センサ17の出力は正常時には偶数回変化する。
【0062】
よって、制御装置71は、駐車装置1が第1状態から第2状態へと変化したときまでの間に、ステップS2で計数したセンサ17の出力が変化する回数が偶数であるときには、センサ17は正常であると判定し、上記回数が奇数であるときには、センサ17は異常であると判定する。
【0063】
また、駐車装置1が第1状態から第2状態へと変化したときまでの間には、センサ17の出力は少なくとも4回変化するので、4回を最低回数として予め制御装置71に設定しておき、第1状態から第2状態へと変化したときまでの間に、ステップS2で計数した回数が4回(最低回数)以上のときに、計数した回数が偶数であるか否かに基づいて、センサ17が正常であるか否か(異常であるか)を判定し、ステップS2で計数した回数が4回未満のときには、センサ17が異常であると判定するようにしてもよい。さらに、センサ17の出力が変化する回数は昇降の階数によって変化するため、前記最低回数も昇降の階数によって変化させてもよい。なお、センサ17の出力が変化する回数は、搬器23の昇降に応じて決まる回数以外を異常としてもよいが、搬器23が目標階床の被検知部28Sを通り越してから戻ることが考えられる場合は、最低回数として設定することで誤判定を防止することもできる。同様に最大回数を設定し、これを超えた場合に異常と判定することもできる。
【0064】
なお、上記では、主に、第1状態と第2状態とを駐車装置1が同じ状態としたが、異なる状態で、検査対象のセンサの出力が正常時において等しくなる状態としてもよい。例えば、センサ14,15,17を検査対象のセンサとし、第1状態を、前述の場合同様、出庫時において、車両が入出庫口4を通過して外へ出て出庫が完了し、入出庫扉5が閉じられたときの状態とし、第2状態を、入庫時において、車両が入出庫口4を通過して乗降部3に入って入庫が完了し、入出庫扉5が閉じられたときの状態としてもよい。また、検査対象のセンサごとに第1状態、第2状態をそれぞれ設定しておいてもよい。例えば、搬器23に設けられたセンサ17を検査対象とする場合に、搬器23が例えば1階(乗降部3)に停止したときの駐車装置1の状態を第1状態とし、搬器23が例えば最上階に停止したときの駐車装置1の状態を第2状態としてもよい。
【0065】
以上のように、駐車装置1が第1状態のときと第2状態のときとで検査対象のセンサの出力が正常時において等しくなる場合には、前述のように、制御装置71は、ステップS2で計数した検査対象のセンサの出力が変化する回数が偶数であるときには、センサは正常であると判定し、上記回数が奇数であるときには、センサは異常であると判定する。
【0066】
また、駐車装置1が第1状態のときと第2状態のときとで検査対象のセンサの出力が正常時において異なる場合には、制御装置71は、ステップS2で計数した検査対象のセンサの出力が変化する回数が奇数であるときには、センサは正常であると判定し、上記回数が偶数であるときには、センサは異常であると判定するようにすればよい。この場合、例えば、車両検知センサ16を検査対象のセンサとし、第1状態を、出庫が完了して入出庫扉5が閉じられたときの状態とし、第2状態を、入庫が完了して入出庫扉5が閉じられたときの状態としてもよい。この場合においても、前述の場合のように最低回数(奇数回)を設定するようにしてもよい。
【0067】
本実施形態では、駐車装置1の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に出力が変化するように設けられた検査対象の物体検知センサについては、正常であるか異常であるかの判定を行うことができるので、検査員による検査を省略することができる。よって、物体検知センサの検査の省力化を図ることができる。また、物体検知センサの出力が変化する回数が偶数または奇数であるかに基づいて物体検知センサが正常であるか異常であるかの判定を行うようにしているので、この判定を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、動作部(パレット搬送装置8及び入出庫扉開閉装置9)が動作することによって機械装置(駐車装置1)の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、検知信号と非検知信号との間で出力が変化するように設けられたセンサ(例えば、センサ14~17)について正常であるか異常であるかを判定しているが、駐車装置1の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、出力が変化するとは限らないセンサ(例えば、センサ11~13)も検査対象とし、このセンサの出力が変化した回数が1以上の場合のみ、その回数が偶数であるか奇数であるかによって、正常であるか異常であるかを判定するようにしてもよい。例えば、駐車装置1の第1状態及びそのあとの第2状態を、出庫が完了して入出庫扉5が閉じられたときの状態とした場合において、駐車装置1の状態が第1状態から第2状態へ変化したときまでの間に、センサ11~13の出力が1回以上変化した場合に、出力が変化した回数が偶数であるときにセンサ11~13は正常であると判定し、出力が変化した回数が奇数であるときにセンサ11~13は異常であると判定するようにしてもよい。なお、この場合、各センサ11~13は、正常時において駐車装置1の状態が第1状態のときと第2状態のときとで出力は非検知信号を出力する状態で等しい。
【0069】
また、本実施形態において、制御装置71は、各センサ11,12,13について、各所定期間(例えば、1週間または1か月等)内において出力に変化がない場合には、その旨あるいは検査が必要な旨の情報を、通信部74(第2の報知手段)から管理センタの外部端末へ送信させるようにしてもよい。これにより、所定期間内において出力に変化がないセンサを管理センタの人間に報知することができ、同センサについては、検査が必要な旨を検査員に伝達することができる。
【0070】
また、本実施形態では、機械装置として、機械式駐車装置1を例示したが、他の機械式駐車装置であってもよいし、また、機械式駐車装置に限られるものではない。
【0071】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、物体検知センサの検査の省力化を図ることができる物体検知センサの検査装置及び検査プログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 機械式駐車装置
8 パレット搬送装置
9 入出庫扉開閉装置
11~17 センサ
71 制御装置
74 通信部