IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電力融通システム 図1
  • 特許-電力融通システム 図2
  • 特許-電力融通システム 図3
  • 特許-電力融通システム 図4
  • 特許-電力融通システム 図5
  • 特許-電力融通システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電力融通システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20231220BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231220BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20231220BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20231220BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20231220BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20231220BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231220BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20231220BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20231220BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02J3/32
H02J3/46
H01M8/04858
H01M8/043
H01M8/00 Z
H01M8/00 A
H01M10/44 P
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020065289
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021164318
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046662(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043639(WO,A1)
【文献】特開2017-022919(JP,A)
【文献】特開2018-057152(JP,A)
【文献】特開2015-177574(JP,A)
【文献】特開2015-226336(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083373(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 3/46
H01M 8/04858
H01M 8/043
H01M 8/00
H01M 10/44
H01M 8/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源と接続されると共に第一負荷に接続される第一分電盤と、
系統電源と前記第一分電盤との間に設けられると共に第二負荷に接続される第二分電盤と、
燃料を用いて発電した電力を前記第一分電盤に供給可能であると共に、前記第一負荷に応じた発電を行う第一運転と、前記第一負荷にかかわらず所定の電力の発電を行う第二運転と、を切り替え可能な燃料電池と、
系統電源から前記第二分電盤側に電力が流れてくる場合に、前記燃料電池を前記第一運転から前記第二運転に切り替え可能な切替手段と、
前記第二運転を行う前記燃料電池の出力を制御可能な制御手段と、
を具備する電力融通システム。
【請求項2】
自然エネルギーを用いて発電した発電電力を前記第一分電盤に供給可能な発電部を具備し、
前記制御手段は、
前記発電部の発電電力及び前記第二運転を行う前記燃料電池の出力電力が第一負荷の消費電力よりも大きい場合、前記第二運転を行う前記燃料電池の出力を抑制する、
請求項1に記載の電力融通システム。
【請求項3】
前記制御手段には、前記第二運転を行う前記燃料電池の発電電力を充電可能な蓄電池が含まれる、
請求項2に記載の電力融通システム。
【請求項4】
前記蓄電池は、
前記発電部の発電電力及び前記第二運転を行う前記燃料電池の出力電力が第一負荷の消費電力よりも大きい場合に、前記第二運転を行う前記燃料電池の発電電力を充電する、
請求項3に記載の電力融通システム。
【請求項5】
前記蓄電池は、
前記発電部の発電電力及び前記第二運転を行う前記燃料電池の出力電力が第一負荷の消費電力以下である場合に、放電を行う、
請求項3または請求項4に記載の電力融通システム。
【請求項6】
前記蓄電池は、
前記系統電源と前記第二分電盤との間を流れる電力に応じて充放電可能である、
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の電力融通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の負荷へ電力を融通可能な電力融通システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の負荷へ電力を融通可能な電力融通システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、複数の住宅それぞれに蓄電池を備えて、蓄電池の充電量に余裕がある住宅から、電力が不足する住宅に電力を融通する。電力を融通する際には、各住宅の日々の電力使用量を予測して、当該電力使用量と蓄電池の充電量に基づいて電力の融通量を決定する。こうして、特許文献1に記載の技術では、蓄電池の電力を複数の住宅間で融通することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-220428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、住宅等の建物の負荷に供給する電力の供給源として、水素等のガス燃料を用いて発電を行う燃料電池の普及が進んでいる。そこで、特許文献1に記載の技術のように蓄電池の電力を融通するだけでなく、燃料電池の発電電力を複数の負荷へ好適に融通させることができる技術が望まれている。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、燃料電池の発電電力を複数の負荷へ好適に融通させることができる電力融通システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、系統電源と接続されると共に第一負荷に接続される第一分電盤と、系統電源と前記第一分電盤との間に設けられると共に第二負荷に接続される第二分電盤と、燃料を用いて発電した電力を前記第一分電盤に供給可能であると共に、前記第一負荷に応じた発電を行う第一運転と、前記第一負荷にかかわらず所定の電力の発電を行う第二運転と、を切り替え可能な燃料電池と、系統電源から前記第二分電盤側に電力が流れてくる場合に、前記燃料電池を前記第一運転から前記第二運転に切り替え可能な切替手段と、前記第二運転を行う前記燃料電池の出力を制御可能な制御手段と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、自然エネルギーを用いて発電した発電電力を前記第一分電盤に供給可能な発電部を具備し、前記制御手段は、前記発電部の発電電力及び前記第二運転を行う前記燃料電池の出力電力が第一負荷の消費電力よりも大きい場合、前記第二運転を行う前記燃料電池の出力を抑制するものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御手段には、前記第二運転を行う前記燃料電池の発電電力を充電可能な蓄電池が含まれるものである。
【0011】
請求項4においては、前記蓄電池は、前記発電部の発電電力及び前記第二運転を行う前記燃料電池の出力電力が第一負荷の消費電力よりも大きい場合に、前記第二運転を行う前記燃料電池の発電電力を充電するものである。
【0012】
請求項5においては、前記蓄電池は、前記発電部の発電電力及び前記第二運転を行う前記燃料電池の出力電力が第一負荷の消費電力以下である場合に、放電を行うものである。
【0013】
請求項6においては、前記蓄電池は、前記系統電源と前記第二分電盤との間を流れる電力に応じて充放電可能であるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本発明においては、燃料電池の発電電力を複数の負荷へ好適に融通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る電力融通システムの構成を示したブロック図。
図2】制御部の接続関係を示した図。
図3】燃料電池が連系状態である場合の電力の供給態様の一例を示した図。
図4】燃料電池が疑似連系状態である場合の電力の供給態様の一例を示した図。
図5】第一特定制御を示したフローチャート。
図6】第二特定制御を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の一実施形態に係る電力融通システム1について説明する。
【0018】
図1に示す電力融通システム1は、所定の事業者(アグリゲータ)によりエネルギー管理が行われる所定の地域(エリア)に適用される。アグリゲータは、高圧一括受電を行って、受けた電力を前記所定の地域における種々の需要家に供給することで、一括したエネルギー管理を行っている。
【0019】
一括受電エリアAには、前記需要家の一例として、複数の住宅Hの集合体であって、かつ、当該複数の住宅H間で互いにエネルギー(例えば電力や熱)を融通可能な住宅群A1が設けられる。住宅群A1においては、使用される電力がアグリゲータから各住宅Hへ売却される。また、住宅群A1で余剰した電力をアグリゲータへ売却することもできる。なお、後述するように、本実施形態においては、住宅群A1に4つの住宅Hが設けられるものとする。
【0020】
また、一括受電エリアAには、前記需要家の一例として、スーパーマーケットやドラッグストア等がテナントとして入居する商業施設Sが設けられる。商業施設Sにおいては、使用される電力がアグリゲータからスーパーマーケット等へ供給される。
【0021】
図1及び図2に示すように、電力融通システム1は、キュービクル10、売買電メータ20、商業施設Sに設けられた各種機器、引込分電盤40、住宅群A1(住宅H)に設けられた各種機器及びEMS100を具備する。なお以下の説明において「上流側」及び「下流側」とは、系統電源Kからの電力の供給方向を基準とする。
【0022】
キュービクル10は、系統電源Kからの電力を一括して受電する高圧受電設備である。キュービクル10は、所定の配電線L1により系統電源Kと接続される。キュービクル10は、系統電源Kからの電力を降圧して下流側に配電することができる。また、キュービクル10は、下流側からの電力を系統電源Kへ供給することができる。
【0023】
売買電メータ20は、電力を検出するものである。売買電メータ20は、配電線L1の中途部に設けられる。こうして、売買電メータ20は、一括受電エリアAの購入電力及び売却電力を取得することができる。
【0024】
商業施設Sは、商業を目的とした施設である。商業施設Sには、上述の如くスーパーマーケットやドラッグストア等がテナントとして入居している。商業施設Sは、所定の配電線L2によりキュービクル10と接続される。商業施設Sには、キュービクル10や後述する引込分電盤40からの電力が供給される。また、商業施設Sには、電気に関する各種機器が設けられる。なお、商業施設Sに設けられた各種機器についての説明は後述する。
【0025】
引込分電盤40は、商業施設Sと後述する住宅群A1との間に設けられる。引込分電盤40は、所定の配電線L3により商業施設Sと接続される。また、引込分電盤40は、電力を供給するための所定の配電線L4により住宅群A1と接続される。なお、配電線L4は、上流側端部が引込分電盤40に接続される。また、配電線L4は、下流側が4つに分岐しており、それぞれの下流側端部が住宅群A1を構成する4つの住宅Hに接続される。また、引込分電盤40は、電力が供給されてくる所定の配電線L5により住宅群A1に接続される。なお、配電線L5は、上流側が4つに分岐しており、それぞれの上流側端部が前記4つの住宅Hに接続される。また、配電線L5は、下流側端部が引込分電盤40に接続される。
【0026】
住宅群A1は、上述の如く複数の(4つの)住宅Hの集合体である。4つの住宅Hには、それぞれ引込分電盤40から電力が供給される。なお以下では、4つの住宅Hのうち、引込分電盤40に遠い方から順番(すなわち、下流側に設けられたものから順番)に、第一住宅H1、第二住宅H2、第三住宅H3、第四住宅H4とそれぞれ称する場合がある。4つの住宅Hには、それぞれ電気に関する各種機器が設けられる。なお、住宅Hに設けられた各種機器についての説明は後述する。
【0027】
図2に示すEMS100は、電力融通システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS100は、4つの住宅H(より詳細には、後述する蓄電システム60のパワコン63)とそれぞれ接続される。なお、EMS100の構成についての詳細な説明は後述する。
【0028】
以下では、商業施設Sに設けられた各種機器について説明する。
【0029】
商業施設Sの前記各種機器としては、商業施設分電盤31、スーパー分電盤32、スーパーメータ33、ドラッグストア分電盤34及びドラッグストアメータ35等が設けられる。
【0030】
商業施設分電盤31は、商業施設S内で最も上流側に設けられる。商業施設分電盤31は、配電線L2によりキュービクル10と接続される。また、商業施設分電盤31は、配電線L3により引込分電盤40と接続される。商業施設分電盤31は、キュービクル10や引込分電盤40からの電力を下流側(具体的には、商業施設S内において後述するスーパー分電盤32及びドラッグストア分電盤34や、商業施設S外において引込分電盤40)へ分電することができる。
【0031】
スーパー分電盤32は、前記スーパーマーケットに設けられる。スーパー分電盤32は、所定の配電線L6により商業施設分電盤31と接続される。スーパー分電盤32は、商業施設分電盤31からの電力をスーパーマーケットの電化製品(負荷)へと分電することができる。
【0032】
スーパーメータ33は、電力を検出するものである。スーパーメータ33は、配電線L6の中途部に設けられる。こうして、スーパーメータ33は、スーパーマーケットの購入電力を取得することができる。
【0033】
ドラッグストア分電盤34は、前記ドラッグストアに設けられる。ドラッグストア分電盤34は、所定の配電線L7により商業施設分電盤31と接続される。ドラッグストア分電盤34は、商業施設分電盤31からの電力をドラッグストアの電化製品(負荷)へと分電することができる。
【0034】
ドラッグストアメータ35は、電力を検出するものである。ドラッグストアメータ35は、配電線L7の中途部に設けられる。こうして、ドラッグストアメータ35は、ドラッグストアの購入電力を取得することができる。
【0035】
なお、本実施形態において、商業施設Sにおいて消費される電力、すなわちスーパー分電盤32及びドラッグストア分電盤34に接続された負荷(以下では「商業施設負荷」と称する)の消費電力は、例えば住宅Hの負荷の消費電力と比べて、非常に大きな電力である。具体的には、商業施設負荷の消費電力は、例えば住宅群A1から所定の場合に電力が融通された場合であっても全てを賄えない程度の大きさであるものとする。
【0036】
以下では、住宅群A1の住宅Hに設けられた各種機器について説明する。
【0037】
なお、上述の如く住宅群A1には4つの住宅Hが設けられるが、各住宅Hに設けられた各種機器の構成は同一である。したがって、以下では4つの住宅Hのうち不特定の一の住宅Hを取り上げて、その各種機器について説明する。
【0038】
住宅Hの前記電気機器としては、戸建分電盤51、買電メータ52、蓄電システム60、専用回路54、売電メータ55及び燃料電池70等が設けられる。
【0039】
戸建分電盤51は、配電線L4により引込分電盤40と接続される。また、戸建分電盤51は、後述する燃料電池70と接続される。戸建分電盤51は、引込分電盤40や燃料電池70からの電力を住宅H内の電化製品(より詳細には、戸建分電盤51に直接接続された電化製品等)や、後述する蓄電システム60を介して専用回路54に分配することができる。なお以下では、戸建分電盤51に直接接続された電化製品と、専用回路54に接続された電化製品等を合わせて「住宅負荷」と称する。
【0040】
買電メータ52は、電力を検出するものである。買電メータ52は、住宅H内で配電線L4の中途部に設けられる。買電メータ52は、住宅H内で最も上流側に設けられる。こうして、買電メータ52は、住宅Hの購入電力を取得することができる。なお以下では、全て(本実施形態では、4つ)の住宅Hの買電メータ52の検出結果の合計を、住宅群A1の総消費電力と称する。
【0041】
燃料電池70は、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池70は、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)や制御部等により構成される。また、燃料電池70には、貯湯タンク、発電機及び給湯器等(不図示)が設けられる。燃料電池70は、所定の配電線L8を介して戸建分電盤51に接続される。燃料電池70は、配電線L8にかかる電圧の状態に基づいて停電の発生を検知することができる。また、燃料電池70は、所定の配電線L9を介してパワコン63に接続される。
【0042】
また、燃料電池70には、燃料電池センサ71が設けられる。燃料電池センサ71は、住宅H内で配電線L4の中途部に設けられる。具体的には、燃料電池センサ71は、買電メータ52と戸建分電盤51との間に設けられる。こうして、燃料電池センサ71(すなわち、燃料電池70)は、住宅Hの購入電力(すなわち、引込分電盤40から戸建分電盤51に配電された電力)を取得することができる。
【0043】
また、燃料電池70は、発電時に発生する熱(排熱)を用いて湯を製造すると共に、当該製造した湯を貯湯タンクに貯める。燃料電池70は、貯湯タンクの貯湯量が最大容量に達した場合(貯湯タンクがこれ以上蓄熱ができない満蓄になった場合)、発電を停止させる(発電を行うことができない)。貯湯タンクに貯められた湯は、浴室等の給湯需要に応じて供給することができる。
【0044】
また、燃料電池70は、発電を行う場合、系統電源Kと連系した通常時(非停電時)の連系運転と、系統電源Kと連系しない停電時の自立運転と、を行うことができる。
【0045】
まず以下では、燃料電池70の連系運転について説明する。
【0046】
燃料電池70は、連系運転を行う場合、燃料電池センサ71の検出結果(すなわち、引込分電盤40から戸建分電盤51に配電された電力)に基づいて発電量を調整する負荷追従運転を行う。具体的には、燃料電池70は、最低出力電力(0W)から最大出力電力(700W)までの間で、燃料電池センサ71の検出結果に対応した発電電力を出力する。燃料電池70の発電電力は、配電線L8を介して戸建分電盤51に供給される。
【0047】
次に以下では、燃料電池70の自立運転について説明する。
【0048】
燃料電池70は、停電の発生を検知すると自立運転を開始する。燃料電池70は、自立運転において、連系運転のように負荷追従運転を行うのではなく、一定の電力を継続して出力する一定出力運転を行う。本実施形態において燃料電池70は、自立運転時に700Wの電力を継続して出力する。自立運転による燃料電池70の発電電力は、所定の配電線L9を介して後述する蓄電システム60(より詳細には、パワコン63)に出力される。
【0049】
また、本実施形態においては、実際に停電が発生していない場合に、燃料電池70に対して疑似的な停電を発生させることにより、当該燃料電池70に自立運転を行わせることができる。具体的には、戸建分電盤51との間の配電線L8のリレー(不図示)がオフになると、燃料電池70は、実際には停電が発生していないにもかかわらず、停電の発生を検知する。すなわち、住宅H内において、燃料電池70のみを疑似的な停電状態とすることができる。なお以下では、上述の如く燃料電池70に対して疑似的に停電を発生させた状態を「疑似停電状態」と称する。
【0050】
このように、燃料電池70は、疑似停電状態になると、実際に停電が発生した場合と同様に自立運転を開始する。すなわち、燃料電池70は、実際は停電が発生していないにもかかわらず、自立運転による発電電力を配電線L9を介してパワコン63に出力する。なお以下では、このような疑似停電状態における自立運転を「第二自立運転」と称する。すなわち、燃料電池70の自立運転には、第二自立運転が含まれる。
【0051】
蓄電システム60は、太陽光を利用して発電可能であると共に、電力を充放電可能なものである。蓄電システム60は、太陽光発電部61、蓄電池62、パワコン63及び蓄電センサ64を具備する。
【0052】
太陽光発電部61は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部61は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部61は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。なお以下では、全て(本実施形態では、4つ)の住宅Hの太陽光発電部61の発電電力の合計を、住宅群A1の総太陽光発電と称する。
【0053】
蓄電池62は、電力を充放電可能に構成されるものである。蓄電池62は、例えばリチウムイオン電池等により構成される。なお、本実施形態においては、蓄電池62の最大放電電力は2000Wである。また、蓄電池62の最大充電電力は2000Wである。蓄電池62は、稼動中における充放電等の動作の態様が設定された運転モードとして、放電モード、充電モード、待機モード及び充放電モードを有する。なお、これらのモードについての詳細な説明は後述する。
【0054】
なお、蓄電池62が放電を行う場合、当該蓄電池62の放電電力が系統電源Kに売却されるのを防止するため、所定の電力の購入が住宅Hに義務付けられている。本実施形態においては、蓄電池62が放電を行う場合、100Wの電力が購入される。
【0055】
パワコン63は、電力を適宜変換可能なハイブリッドパワーコンディショナである。パワコン63は、太陽光発電部61と蓄電池62との間に設けられる。すなわち、パワコン63は、太陽光発電部61に接続される。また、パワコン63は、蓄電池62に接続される。こうして、パワコン63は、太陽光発電部61の発電電力を出力することができる。また、パワコン63は、太陽光発電部61の発電電力を蓄電池62に充電することができる。また、パワコン63は、蓄電池62の放電電力を出力することができる。なお、パワコン63は、蓄電池62を放電させる場合、後述する蓄電センサ64の検出結果に基づいて蓄電池62の放電量を調整する負荷追従運転を行うことができる。
【0056】
また、パワコン63は、戸建分電盤51と後述する専用回路54とを接続する所定の配電線(不図示)の中途部に設けられる。こうして、パワコン63は、戸建分電盤51からの電力を専用回路54へ出力することができる。また、パワコン63は、停電時において、太陽光発電部61の発電電力及び蓄電池62の放電電力を専用回路54に直接(戸建分電盤51を介さずに)出力することができる。また、パワコン63は、戸建分電盤51からの電力を蓄電池62に充電することができる。
【0057】
また、パワコン63は、上述の如く配電線L9により燃料電池70と接続される。パワコン63には、停電時又は疑似停電時に、配電線L9を介して燃料電池70の自立運転による発電電力が供給される。パワコン63は、燃料電池70の自立運転による発電電力を後述する専用回路54に出力することができる。また、パワコン63は、燃料電池70の自立運転による発電電力を蓄電池62に充電させることができる。
【0058】
なお、パワコン63は、疑似停電時(すなわち、燃料電池70が第二自立運転を行っている場合)に、第二自立運転による発電電力の当該パワコン63への出力を制御することができる。すなわち、パワコン63は、燃料電池70の出力を650Wから任意の値にまで抑制する(絞る)ことができる。パワコン63による燃料電池70の出力の抑制は、後述するEMS100からの指示により行われる。
【0059】
また、パワコン63は、上述の如く配電線L5により引込分電盤40と接続される。こうして、パワコン63は、太陽光発電部61の発電電力や、蓄電池62の放電電力、燃料電池70の第二自立運転による発電電力を出力し、配電線L5を介して引込分電盤40に供給することができる。
【0060】
また、パワコン63は、太陽光発電部61と信号を送受信可能に構成され、当該信号に基づいて太陽光発電部61の発電電力等に関する情報を取得することができる。また、パワコン63は、蓄電池62と信号を送受信可能に構成され、当該信号に基づいて蓄電池62の残量等に関する情報を取得することできる。また、パワコン63は、蓄電池62の動作を制御することができる。
【0061】
また、パワコン63は、燃料電池70の運転状態を取得できる。具体的には、パワコン63は、配電線L9を介して燃料電池70と接続されるため、燃料電池70の運転状態(例えば、第二自立運転を行っているか否か)を取得することができる。また、パワコン63は、燃料電池70が第二自立運転を行う状況であるにもかかわらず、当該燃料電池70から発電電力が供給されない場合には、燃料電池70の貯湯タンクが満蓄であると判断することができる。なお、パワコン63が燃料電池70の運転状態を取得する方法は上述したものに限定されず、種々の方法を採用することができる。
【0062】
また、パワコン63は、出力抑制運転を行うことができる。出力抑制運転とは、第二自立運転による燃料電池70の発電電力の全てがパワコン63から出力されないように、当該パワコン63で出力を抑制する(絞る)運転である。パワコン63の出力抑制運転は、EMS100からの指示により実行される。
【0063】
蓄電センサ64は、電力を検出するものである。蓄電センサ64は、住宅H外で配電線L2の中途部に設けられる。より詳細には、蓄電センサ64は、配電線L2におけるキュービクル10と商業施設S(商業施設分電盤31)との間に設けられる。蓄電センサ64は、上述の如く蓄電システム60のパワコン63と接続される蓄電センサ64は、パワコン63へ検出結果を送信することができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、上述の如く4つの住宅H(第一住宅H1、第二住宅H2、第三住宅H3及び第四住宅H4)が設けられる。4つの住宅Hの蓄電センサ64は、配電線L1上に互いに直列となるように設けられる。4つの住宅Hの蓄電センサ64は、下流側から上流側に、第一住宅H1の蓄電センサ64、第二住宅H2の蓄電センサ64、第三住宅H3の蓄電センサ64、第四住宅H4の蓄電センサ64という順番に設けられる。
【0065】
専用回路54は、上述の如き住宅負荷のうち、重要度の高い住宅負荷へと電力を供給するためのものである。専用回路54には、通常時だけではなく、停電時においても、パワコン63を介して電力が供給される。
【0066】
売電メータ55は、電力を検出するものである。売電メータ55は、住宅H内で最も下流側に設けられる。売電メータ55は、住宅H内で配電線L5の中途部に設けられる。こうして、売電メータ55は、住宅Hの売却電力を取得することができる。
【0067】
以下では、EMS100の構成について説明する。
【0068】
EMS100は、4つの住宅Hのパワコン63とそれぞれ接続される。EMS100は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。EMS100の記憶部には、電力融通システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS100の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力融通システム1を動作させることができる。
【0069】
EMS100は、パワコン63との間で信号を送受信可能に構成される。これにより、EMS100は、パワコン63に関する情報を取得することできる。例えば、EMS100は、パワコン63を介して太陽光発電部61に関する情報を取得することができる。また、EMS100は、パワコン63を介して蓄電池62に関する情報を取得することができる。また、EMS100は、パワコン63を介して蓄電池62の動作を制御することができる。
【0070】
また、EMS100は、燃料電池70及び当該燃料電池70に関連する種々の機器と接続され、互いに信号を送受信可能に構成される。こうして、EMS100は、燃料電池70に関する情報を取得することができる。例えば、EMS100は、燃料電池70の動作の状態(例えば発電電力や貯湯タンクの貯湯量の情報(満蓄であるか否か等))を取得することができる。
【0071】
また、EMS100は、燃料電池70の動作を間接的に制御することができる。具体的には、EMS100は、燃料電池70が有する配電線L8の前記リレー(不図示)のオンオフ制御を行うことができる。こうして、EMS100は、前記リレーをオフとすることにより、燃料電池70を疑似停電状態として第二自立運転を開始させることができる。また、EMS100は、前記リレーをオンとすることにより、燃料電池70の疑似停電状態を終了させ、第二自立運転を終了させることができる。なお以下では、EMS100による前記リレーをオフとする指示を、燃料電池70への疑似停電指示と称する。また、EMS100による前記リレーをオンとする指示を、燃料電池70への疑似停電解除指示と称する。
【0072】
以下では、蓄電池62の運転モード(放電モード、充電モード、待機モード及び充放電モード)について説明する。
【0073】
放電モードは、負荷追従運転により蓄電池62を放電させるモードである。放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64の検出結果に応じて放電可能な状態となる。具体的には、蓄電池62は、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を放電する。すなわち、蓄電池62は、住宅群A1(住宅H内)に設けられているにもかかわらず、住宅群A1の外(より詳細には、商業施設Sよりも上流側)に設けられている蓄電センサ64の検出結果に応じて放電を行う。
【0074】
なお、放電モードが実行された場合において、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合であっても、蓄電池62の電池残量が放電可能な残量でない場合(例えば、電池残量が残量下限値である場合や最低残量である場合)には、蓄電池62は放電することができずに待機状態となる。
【0075】
充電モードは、蓄電池62を充電させるモードである。充電モードが実行された場合、蓄電池62は、EMS100から指示された量の電力を充電してもよい。蓄電池62は、太陽光発電部61が発電している場合、当該太陽光発電部61の発電電力を充電する。また、蓄電池62は、太陽光発電部61が発電していない場合や、太陽光発電部61の発電電力が最大充電電力よりも小さい場合、戸建分電盤51を介して配電線L4から供給される電力(例えば系統電源Kからの電力)も充電する。また、太陽光発電部61の発電電力の一部が蓄電池62に充電された場合、当該発電電力の残りは配電線L5に出力される。
【0076】
なお、充電モードが実行された場合であっても、満充電である場合には蓄電池62は充電できずに待機状態となる。この場合、太陽光発電部61の発電電力の全部が配電線L5に出力される。
【0077】
待機モードは、蓄電池62を待機させるモードである。待機モードが実行された場合、蓄電池62は稼動したまま待機状態となる(充放電を行わない)。
【0078】
充放電モードは、負荷追従運転により蓄電池62を充放電させるモードである。充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64の検出結果に応じて充放電可能な状態となる。
【0079】
具体的には、蓄電池62は、放電モードと同様に、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を放電する。また、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合であっても、蓄電池62の電池残量が放電可能な残量でない場合には、蓄電池62は放電することができずに待機状態となる。
【0080】
また、充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64が上流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を充電する。このように、蓄電池62は、住宅群A1(住宅H内)に設けられているにもかかわらず、住宅群A1の外(より詳細には、商業施設Sよりも上流側)に設けられている蓄電センサ64の検出結果に応じて充電を行う。
【0081】
また、充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、満充電である場合には充電できない。また、充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64が上流側及び下流側へ流れる電力を検出しなかった場合には待機状態となる。
【0082】
なお、蓄電池62の運転モードは、パワコン63を介して行われるEMS100からの指示により切り替えられる。以下では、EMS100による蓄電池62の運転モードを実行する(切り替える)ための指示を、それぞれ放電指示、充電指示、待機指示及び充放電指示という場合がある。
【0083】
以下では、図3を用いて、上述の如く構成された電力融通システム1における電力の供給態様について説明する。
【0084】
なお以下では、各住宅Hの蓄電池62に充放電指示が行われた場合(充放電モードが実行される場合)について説明する。また、燃料電池70は、連系運転が行われているものとする。
【0085】
各住宅Hにおいて、燃料電池70は、連系運転時に負荷追従運転を行う。すなわち、燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果(すなわち、住宅Hの住宅負荷)に対応した電力の発電を行う。燃料電池70の発電電力で住宅負荷が賄えた場合には、引込分電盤40から戸建分電盤51に電力は供給されなくなる。また、燃料電池70の発電電力で住宅負荷が賄えなかった場合には、引込分電盤40から戸建分電盤51に電力が供給されてくる。
【0086】
また、各住宅Hにおいて、パワコン63が蓄電池62の負荷追従運転を行う。蓄電池62は、蓄電センサ64の検出結果(すなわち、一括受電エリアAの購入電力)に対応した電力の放電を行う。ここで、売買電メータ20は、商業施設Sの上流側に設けられる。また、商業施設Sでは、商業施設負荷の消費電力が非常に大きいため、売買電メータ20が設けられた配電線L2には、下流側(商業施設S側)へ常に大きな電力が流れている。すなわち、蓄電池62は、売買電メータ20の検出結果に対応した電力として、常に最大放電電力での放電を行う。蓄電池62の放電電力は、パワコン63から出力される。また、太陽光発電部61の発電電力も、蓄電池62に充電されることなく、パワコン63から出力される。
【0087】
こうして、パワコン63から出力された電力は、配電線L5を介して引込分電盤40に供給される。引込分電盤40に供給された電力は、複数の住宅Hにおいて、住宅負荷の消費電力に対して燃料電池70の発電電力が不足している住宅があれば(引込分電盤40から戸建分電盤51に電力が供給されている住宅があれば)、当該住宅Hへと供給される。こうして、太陽光発電部61の発電電力及び蓄電池62の放電電力は、複数の住宅H間で融通することができる。
【0088】
一方、引込分電盤40に供給された電力が全ての住宅Hの住宅負荷に対して余剰する場合は、図3に示すように、余剰する電力が配電線L3を上流側へ流れて商業施設分電盤31へ供給される。商業施設分電盤31に供給された電力は、商業施設負荷に応じてスーパー分電盤32やドラッグストア分電盤34に適宜分電される。こうして、太陽光発電部61の発電電力及び蓄電池62の放電電力は、複数の住宅H間だけでなく、商業施設Sにも融通することができる。
【0089】
なお、上述の如き電力の供給態様において、燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果に対応した電力、すなわち住宅Hの住宅負荷に対応した電力を発電するものである。そのため、燃料電池70は、住宅Hの住宅負荷よりも大きな電力の発電を行うことができない。このような場合、燃料電池70は、その発電能力を十分に生かしていないとも思われる。さらに、パワコン63から出力された電力のうち、全ての住宅Hの住宅負荷に対して余剰する電力は、引込分電盤40から商業施設S側へと供給された後、商業施設Sの商業施設負荷に対しても余剰した場合に配電線L2等を介して系統電源Kへと売却される。このように燃料電池70の発電電力や蓄電池62の放電電力が、パワコン63から出力されて系統電源Kへ売却されるのは電力会社との契約上等の問題で望ましくない。
【0090】
そこで、本実施形態に係る電力融通システム1においては、上述の如き燃料電池70の発電能力を十分に生かすべく、さらにパワコン63から出力された電力が系統電源Kへと売却されるのを抑制すべく、特定の制御(以下では「特定制御」と称する)を行うことができる。特定制御においては、疑似停電状態の燃料電池70の第二自立運転を活用している。また、特定制御は、所定の期間ごとに、EMS100により繰り返し実行される。なお、電力融通システム1においては、2種類の特定制御を実行することができる。以下では、2種類の特定制御を「第一特定制御」と「第二特定制御」とそれぞれ称する。
【0091】
まず以下では、図4及び図5のフローチャートを用いて、第一特定制御について説明する。
【0092】
第一特定制御とは、特定制御のうち、蓄電池62の制御(運転モードの切り替えの換制御)が含まれない制御である。すなわち、第一特定制御の実行中、住宅群A1の全ての蓄電池62は例えば常時待機状態とされるか、もしくは稼動を停止させることもできる。
【0093】
ステップS101において、EMS100は、第四住宅H4の蓄電センサ64(複数の蓄電センサ64のうち、最も上流側に設けられた蓄電センサ64)の検出結果を取得し、一括受電エリアAとして購入電力が発生しているか否かを判定する。EMS100は、購入電力が発生していると判定した場合(ステップS101:YES)、ステップS102の処理を実行する。一方、EMS100は、購入電力が発生していないと判定した場合(ステップS101:NO)、第一特定制御を一旦終了する。なお以下では、EMS100が取得した購入電力の値を「購入電力A(W)」と称する。
【0094】
ここで、一括受電エリアAとして購入電力が発生していない場合(ステップS101:NO)、住宅群A1において現時点以上に発電電力を大きくする必要はない。そこで、購入電力が発生していない場合には、新たに疑似停電状態とする蓄電池62を増やすことなく、第一特定制御を一旦終了させる。
【0095】
ステップS102において、EMS100は、後述する(繰り返し実行される第一特定制御において、以前行われた)ステップS106の処理によって燃料電池70(パワコン63)の出力を抑制する制御が行われている場合には、当該制御の解除を行う。これにより、パワコン63は、燃料電池70の発電電力を抑制することなく出力可能となる。
【0096】
また、EMS100は、各燃料電池70の貯湯タンクの貯湯量を取得する。EMS100は、満蓄ではない貯湯タンクを有する燃料電池70(以下では、単に「満蓄ではない燃料電池70」と称する場合がある)に疑似停電指示を行う。すなわち、満蓄ではない燃料電池70を疑似停電状態として、第二自立運転を開始させる(図4参照)。これにより、満蓄ではない燃料電池70のうち、仮に第二自立運転を行っていない燃料電池70があったならば、発電電力を増加させることが可能となる。なお、すでに疑似停電状態である燃料電池70は、疑似停電状態を維持する。
【0097】
また、EMS100は、満蓄である貯湯タンクを有する燃料電池70(以下では、単に「満蓄である燃料電池70」と称する場合がある)に疑似停電解除指示を行う。すなわち、満蓄である燃料電池70は、疑似停電状態であっても発電を行うことができないため、当該疑似停電状態を解除し、第二自立運転から連系運転に切り替える。
【0098】
こうして、EMS100は、ステップS102の処理の後、ステップS103の処理を実行する。
【0099】
ステップS103において、EMS100は、後述の処理(ステップS104等)を実行するために各種の情報を取得する。前記情報には、住宅群A1の総太陽光発電及び総消費電力と、満蓄ではない全ての燃料電池70の第二自立運転による出力の合計と、が含まれる。なお以下では、上述の如き、満蓄ではない全ての燃料電池70の第二自立運転による出力の合計を「疑似停電総出力」と称する。
【0100】
なお以下では、EMS100により取得された、総太陽光発電の値を「総太陽光発電B(W)」、総消費電力の値を「総消費電力C(W)」、疑似停電総出力の値を「疑似停電総出力D(W)」と、それぞれ称する。EMS100は、ステップS103の処理の後、ステップS104の処理を実行する。
【0101】
ステップS104において、EMS100は、「総太陽光発電B(W)+疑似停電総出力D(W)≦総消費電力C(W)」(以下では「条件1」と称する)を満たすか否かの判定を行う。EMS100は、条件1を満たす判定した場合(ステップS104:YES)、第一特定制御を一旦終了する。一方、EMS100は、条件1を満たさないと判定した場合(ステップS104:NO)、ステップS105の処理を実行する。
【0102】
ここで、条件1を満たす場合(ステップS104:YES)とは、満蓄ではない全ての燃料電池70を第二自立運転とした場合(すなわち、燃料電池70の発電電力が増加した場合)であっても、住宅群A1の発電電力(太陽光発電部61及び燃料電池70の発電電力)が住宅群A1内で全て消費されることを意味する。このような場合には、後述のステップS106の処理は必要ないため、第一特定制御を一旦終了させる。
【0103】
ステップS105において、EMS100は、「総太陽光発電B(W)+疑似停電総出力D(W)-総消費電力C(W)>購入電力A(W)-100(W)」(以下では「条件2」と称する)を満たすか否かを判定する。EMS100は、条件2を満たすと判定した場合(ステップS105:YES)、ステップS106の処理を実行する。一方、EMS100は、条件2を満たさないと判定した場合(ステップS105:NO)、第一特定制御を一旦終了する。
【0104】
ここで、条件2を満たす場合(ステップS105:YES)とは、満蓄ではない全ての燃料電池70を第二自立運転とした場合(すなわち、燃料電池70の発電電力が増加した場合)に、住宅群A1に対して余剰する電力が系統電源Kへと売却される可能性があることを意味する。このように、燃料電池70の発電電力を含む電力が系統電源Kへと売却されることは、電力会社との契約上等の問題で望ましくない場合がある。そこで、第一特定制御においては、このような場合に、次のステップS106の処理を実行することにより、燃料電池70の発電電力を含む電力が系統電源Kへと売却されないような制御を行う。
【0105】
なお、条件2を満たさない場合(ステップS105:NO)とは、住宅群A1に対して余剰する電力が発生した場合であっても、当該余剰する電力が商業施設Sの商業施設負荷に供給されているため、系統電源Kへと売却されないことを意味する。このような場合には、後述のステップS106の処理は必要ないため、第一特定制御を一旦終了させる。
【0106】
なお、本実施形態においては、パワコン63から出力された電力は、系統電源Kに売却されないように規定されている。したがって、疑似停電状態の燃料電池70の発電を行う場合には、パワコン63から出力された電力が系統電源Kに売却されないように、100Wの電力が購入されている。そのため、条件2においては、購入電力A(W)に対して100(W)除算した値が用いられている。
【0107】
ステップS106において、EMS100は、住宅群A1の全てのパワコン63の合計出力が「購入電力A(W)-100(W)」となるように、燃料電池70の出力を抑制するような制御を行う。具体的には、EMS100は、各住宅Hのパワコン63から各種の情報を取得し、全てのパワコン63の合計出力が「購入電力A(W)-100(W)」となるように、各パワコン63に出力抑制運転を実行させると共に出力可能な電力の指示を行っていく。EMS100は、ステップS106の処理の後、第一特定制御を一旦終了する。
【0108】
こうして、第一特定制御においては、従来、住宅Hの住宅負荷よりも大きな電力を発電できなかった燃料電池70を疑似停電状態とすることにより、当該燃料電池70の発電電力を含む電力が系統電源Kへ売却されない範囲で、当該燃料電池70の発電電力を増加させることができる。これにより、太陽光発電部61の発電電力に加えて、燃料電池70の発電能力を十分に生かして、当該発電電力を複数の住宅H間や商業施設Sに効果的に融通することができる。
【0109】
次に以下では、図4及び図6のフローチャートを用いて、第二特定制御について説明する。
【0110】
第二特定制御とは、特定制御のうち、蓄電池62の制御(運転モードの切り替えの換制御)が含まれる制御である。すなわち、第一特定制御の実行中、住宅群A1の全ての蓄電池62は、運転モードを適宜切り替えられる。なお、蓄電池62は、EMS100から特に指示がなければ、待機モードを実行するものとする。なお以下の説明において、第一特定制御と同様の処理については、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0111】
ステップS111において、EMS100は、第四住宅H4の蓄電センサ64(複数の蓄電センサ64のうち、最も上流側に設けられた蓄電センサ64)の検出結果を取得し、一括受電エリアAとして購入電力が発生しているか否かを判定する。EMS100は、購入電力が発生していると判定した場合(ステップS111:YES)、ステップS112の処理を実行する。一方、EMS100は、購入電力が発生していないと判定した場合(ステップS111:NO)、第二特定制御を一旦終了する。
【0112】
ステップS112において、EMS100は、各燃料電池70の貯湯タンクの貯湯量を取得し、満蓄ではない燃料電池70に疑似停電指示を行う。すなわち、満蓄ではない燃料電池70を疑似停電状態として、第二自立運転を開始させる。これにより、満蓄ではない燃料電池70のうち、仮に第二自立運転を行っていない燃料電池70があったならば、発電電力を増加させることが可能となる(図4参照)。なお、すでに疑似停電状態である燃料電池70は、疑似停電状態を維持する。
【0113】
また、EMS100は、満蓄である燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。すなわち、満蓄である燃料電池70は、疑似停電状態であっても発電を行うことができないため、当該疑似停電状態を解除し、第二自立運転から連系運転に切り替える。
【0114】
こうして、EMS100は、ステップS112の処理の後、ステップS113の処理を実行する。
【0115】
ステップS113において、EMS100は、後述の処理(ステップS114等)を実行するために各種の情報を取得する。前記情報には、住宅群A1の総太陽光発電及び総消費電力と、疑似停電総出力とが含まれる。EMS100は、ステップS113の処理の後、ステップS114の処理を実行する。
【0116】
ステップS114において、EMS100は、「総太陽光発電B(W)+疑似停電総出力D(W)<総消費電力C(W)」(以下では「条件3」と称する)を満たすか否かの判定を行う。EMS100は、条件3を満たす判定した場合(ステップS114:YES)、ステップS115の処理を実行する。一方、EMS100は、条件3を満たさないと判定した場合(ステップS114:NO)、ステップS118の処理を実行する。
【0117】
ここで、条件3を満たす場合(ステップS114:YES)とは、満蓄ではない全ての燃料電池70を第二自立運転とした場合(すなわち、燃料電池70の発電電力が増加した場合)であっても、住宅群A1の発電電力(太陽光発電部61及び燃料電池70の発電電力)が住宅群A1内で全て消費されることを意味する。換言すれば、条件3を満たす場合とは、住宅群A1の発電電力(太陽光発電部61及び燃料電池70の発電電力)が住宅群A1の総消費電力Cに不足している状態であることが想定される。そこで、以降のステップS115からステップS117において、必要な台数だけ蓄電池62を放電させる処理を実行する。
【0118】
ステップS115において、EMS100は、「総消費電力C(W)-総太陽光発電B(W)-疑似停電総出力D(W)/2000(W)(蓄電システム最大放電量)」により放電可能台数を算出する。なお、放電可能台数とは、住宅群A1で総消費電力Cに不足する電力を賄うために放電が必要な蓄電池62の台数を示す。なお、不足する電力全てを蓄電池62の放電電力で賄うため、算出された数に小数点が含まれる場合は、小数点以下が切り上げられる。なお、住宅群A1の購入電力を許容する場合には、小数点以下を切り捨てることもできる。EMS100は、ステップS115の処理の後、ステップS116の処理を実行する。
【0119】
ステップS116において、EMS100は、各蓄電システム60の蓄電池62の積算放電量を取得する。具体的には、EMS100は、蓄電池62ごとに、放電を開始してから現在に至るまでの間に放電された電力量の総和を取得する。そして、EMS100は、取得した積算放電量に基づいて、全ての蓄電池62に対して放電優先順位を設定する。すなわち、EMS100は、全ての蓄電池62に対して、積算放電量の少ない順番に高い放電優先順位(本実施形態においては、第1位、第2位、第3位)を設定する。なお、放電優先順位とは、複数の蓄電池62のうちどの蓄電池62を他の蓄電池62に対して優先的に放電させるのかの判断基準となるものである。EMS100は、ステップS116の処理の後、ステップS117の処理を実行する。
【0120】
ステップS117において、EMS100は、ステップS116にて設定された放電優先順位に従って、ステップS115にて設定された放電可能台数分だけ蓄電池62に放電指示を行う。すなわち、EMS100は、設定された放電優先順位の高い蓄電システム60の蓄電池62から順番に、放電可能台数分の蓄電池62に放電指示を行う。また、EMS100は、放電指示を行った蓄電池62以外の蓄電池62に待機指示を行う。
【0121】
こうして、放電指示が行われた蓄電池62は、蓄電センサ64の検出結果に対応した電力を放電する。ここで、上述の如く商業施設Sでは商業施設負荷の消費電力が非常に大きいため、蓄電池62は常に最大放電電力での放電を行う。こうして、住宅群A1から出力された電力(燃料電池70及び太陽光発電部61の発電電力、蓄電池62の放電電力)により住宅群A1の総消電電力を賄うことができるため、住宅群A1の購入電力を抑制することができる。
【0122】
なお、住宅群A1から出力された電力は、住宅群A1の総消電電力に対して余剰することが想定される。余剰する電力は、引込分電盤40から、配電線L3や商業施設分電盤31等を介して商業施設Sの商業施設負荷へと供給される。これにより、住宅群A1から出力した電力を、複数の住宅H間だけでなく、商業施設Sにも融通することができる。また、常に全ての蓄電池62を放電させるのではなく、放電可能台数だけ蓄電池62を放電させるため、過剰な電力が商業施設S側に供給されるのを抑制し、ひいては系統電源Kへ売却されるのを抑制することができる。
【0123】
また、上記ステップS104において、条件3を満たさない場合(ステップS104:NO)とは、満蓄ではない全ての燃料電池70を第二自立運転とした場合(すなわち、燃料電池70の発電電力が増加した場合)に、住宅群A1の発電電力(太陽光発電部61及び燃料電池70の発電電力)が住宅群A1内で全て消費されないことを意味する。換言すれば、条件3を満たさない場合とは、住宅群A1の発電電力(太陽光発電部61及び燃料電池70の発電電力)が住宅群A1の総消費電力Cに対して余剰している状態であることが想定される。そこで、以降のステップS118及びステップS119において、必要な台数だけ蓄電池62を充電させる処理を実行する。
【0124】
ステップS118において、EMS100は、「総太陽光発電B(W)+疑似停電総出力D(W)-総消費電力C(W)/2000(W)(蓄電システム最大充電量)」により充電可能台数を算出する。なお、充電可能台数とは、住宅群A1で総消費電力Cに余剰する電力を住宅群A1内で蓄電しておくために、充電が必要な蓄電池62の台数を示す。なお、余剰する電力全てを蓄電池62で充電するため、算出された数に小数点が含まれる場合は、小数点以下が切り上げられる。なお、商業施設Sへの電力の融通を許容する場合には、小数点以下を切り捨てることもできる。EMS100は、ステップS118の処理の後、ステップS119の処理を実行する。
【0125】
ステップS119において、EMS100は、各蓄電システム60の蓄電池62の現時点の電池残量を取得する。そして、EMS100は、取得した電池残量の少ない蓄電池62から順番に、ステップS118にて設定された充電可能台数分だけ蓄電池62に充電指示を行う。また、EMS100は、充電指示を行った蓄電池62以外の蓄電池62に待機指示を行う。EMS100は、ステップS119の処理の後、第二特定制御を一旦終了する。こうして、充電指示が行われた蓄電池62は、EMS100からの指示に基づいて充電を行う。これにより、住宅群A1の発電電力をできるだけ蓄電池62に充電させることにより、当該住宅群A1内における自己消費率の向上を図ることができる。
【0126】
このように、第二特定制御においては、従来、住宅Hの住宅負荷よりも大きな電力を発電できなかった燃料電池70を疑似停電状態とすると共に、蓄電池62の充放電を適宜制御する。これにより、住宅群A1から出力された電力(燃料電池70及び太陽光発電部61の発電電力、蓄電池62の放電電力)により当該住宅群A1の総消電電力を賄うことができるため、住宅群A1の購入電力を抑制することができる。また、住宅群A1の発電電力(燃料電池70及び太陽光発電部61の発電電力)をできるだけ蓄電池62に充電させることにより、当該住宅群A1内における自己消費率の向上を図ることができる。
【0127】
以上のように、本実施形態に係る電力融通システム1においては、
系統電源Kと接続されると共に住宅負荷(第一負荷)に接続される戸建分電盤51(第一分電盤)と、
系統電源Kと前記戸建分電盤51(第一分電盤)との間に設けられると共に商業施設負荷(第二負荷)に接続される商業施設分電盤31(第二分電盤)と、
燃料を用いて発電した電力を前記戸建分電盤51(第一分電盤)に供給可能であると共に、前記住宅負荷(第一負荷)に応じた発電を行う連系運転(第一運転)と、前記住宅負荷(第一負荷)にかかわらず所定の電力の発電を行う第二自立運転(第二運転)と、を切り替え可能な燃料電池70と、
系統電源Kから前記商業施設分電盤31(第二分電盤)側に電力が流れてくる場合に、前記燃料電池70を前記連系運転(第一運転)から前記第二自立運転(第二運転)に切り替え可能なEMS100(切替手段)と、
前記第二自立運転(第二運転)を行う前記燃料電池70の出力を制御可能な抑制手段(パワコン63・蓄電池62)と、
を具備するものである。
【0128】
このような構成により、燃料電池70の発電電力を住宅負荷(第一負荷)及び商業施設負荷(第二負荷)の複数の負荷へ好適に融通させることができる。
すなわち、燃料電池70は、購入電力がある場合(系統電源Kから前記商業施設分電盤31(第二分電盤)側に電力が流れてくる場合)住宅負荷(第一負荷)に応じた発電を行う連系運転(第一運転)から、住宅負荷(第一負荷)にかかわらず所定の電力の発電を行う第二自立運転(第二運転)に切り替えられる。こうして、燃料電池70の発電電力が出力される場合、抑制手段(パワコン63・蓄電池62)により出力を制御することができるため、住宅負荷(第一負荷)へ供給したり、商業施設負荷(第二負荷)へ供給したりすることができる。また、パワコン63から出力された電力(すなわち、燃料電池70の発電電力や蓄電池62の放電電力が含まれる電力)が、住宅負荷及び商業施設負荷へ供給されてもまだ余剰して系統電源Kへ売却されるのを、効果的に抑制することができる。
【0129】
また、電力融通システム1においては、
自然エネルギーを用いて発電した発電電力を前記戸建分電盤51(第一分電盤)に供給可能な太陽光発電部(発電部)を具備し、
前記制御手段(パワコン63・蓄電池62)は、
前記太陽光発電部(発電部)の発電電力及び前記第二自立運転(第二運転)を行う前記燃料電池70の出力電力が住宅負荷(第一負荷)の消費電力よりも大きい場合、前記第二自立運転(第二運転)を行う前記燃料電池70の出力を抑制するものである(ステップS106、ステップS119)。
【0130】
このような構成により、住宅群A1の発電電力(燃料電池70及び太陽光発電部61の発電電力)が商業施設Sの商業施設負荷へと供給されるのを抑制できる。
【0131】
また、電力融通システム1においては、
前記制御手段には、前記第二自立運転(第二運転)を行う前記燃料電池70の発電電力を充電可能な蓄電池62が含まれるものである。
【0132】
このような構成により、蓄電池62を用いて、燃料電池70の発電電力を住宅負荷(第一負荷)及び商業施設負荷(第二負荷)複数の負荷へ好適に融通させることができる。
【0133】
また、電力融通システム1においては、
前記蓄電池62は、
前記太陽光発電部(発電部)の発電電力及び前記第二自立運転(第二運転)を行う前記燃料電池70の出力電力が住宅負荷(第一負荷)の消費電力よりも大きい場合に、前記第二自立運転(第二運転)を行う前記燃料電池70の発電電力を充電するものである。
【0134】
このような構成により、住宅群A1の発電電力(燃料電池70及び太陽光発電部61の発電電力)をできるだけ蓄電池62に充電させることにより、当該住宅群A1内における自己消費率の向上を図ることができる。
【0135】
また、電力融通システム1においては、
前記蓄電池62は、
前記太陽光発電部(発電部)の発電電力及び前記第二自立運転(第二運転)を行う前記燃料電池70の出力電力が住宅負荷(第一負荷)の消費電力以下である場合に、放電を行うものである。
【0136】
このような構成により、住宅群A1から出力された電力(燃料電池70及び太陽光発電部61の発電電力、蓄電池62の放電電力)により住宅群A1の総消電電力を賄うことができるため、住宅群A1の購入電力を抑制することができる。
【0137】
また、電力融通システム1においては、
前記蓄電池62は、
前記系統電源Kと前記商業施設分電盤31(第二分電盤)との間を流れる電力に応じて充放電可能であるものである。
【0138】
このような構成により、蓄電池62を常時に最大電力で充放電させることができるため、蓄電池62の動作効率の向上を図ることができる。
【0139】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0140】
例えば、本実施形態においては、 蓄電池62が放電を開始してから現在に至るまでの間に放電された電力量の総和を積算放電量としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば所定の一定期間(例えば、直近の24時間)の間に放電された電力量の総和を積算放電量とてもよい。また、本実施形態においては、積算放電量に基づいて放電優先順位を決定するものとしたが、放電優先順位を決定する基準はこれに限定されるものではなく、例えば蓄電システム60の充電状態(電力を蓄積可能な定格容量に対して蓄積されている電池残量の割合)や充電回数に基づいて決定するものであってもよい。
【0141】
また、放電優先順位を設定するタイミングは、本実施形態に係るタイミング(ステップS116)に限定するものではない。
【0142】
また、本実施形態においては、住宅Hや蓄電システム60は4つであるとしたが、これに限定するものではない。すなわち、住宅Hや蓄電システム60は4つ以上であってもよい。また同様に、住宅負荷や商業施設負荷等の数も本実施形態のものに限定されない。
【0143】
例えば、本実施形態において、発電部部は、太陽光を利用して発電するものとしたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
【0144】
また、各種のセンサの配置は、本実施形態に係るものに限定されない。すなわち、EMS100が所望の情報を取得できるならば、各種のセンサの配置は任意に設定することができる。
【0145】
また、本実施形態に係る第一特定制御において、燃料電池70の出力を抑制するような制御を行うものとしたが、燃料電池70の出力を抑制する手段は本実施形態に係るものに限定するものではない。例えば、他の電気機器で燃料電池70の発電電力の一部を消費させる等して、出力を抑制してもよい。
【0146】
また、本実施形態においては、燃料電池70とパワコン63とを配電線L9を介して接続するものとしたが、この構成に限定されない。例えば、太陽光発電部61のストリングとパワコン63とを接続する所定の配電線に切換盤を設けることもできる。すなわち、前記切換盤の切り換え動作により、燃料電池70とパワコン63とが接続される構成であってもよい。
【0147】
また、本実施形態においては、ステップS104の処理にて、「総太陽光発電B(W)+疑似停電総出力D(W)≦総消費電力C(W)」を条件1としたが、「総太陽光発電B(W)+疑似停電総出力D(W)<総消費電力C(W)」としてもよい。他の条件2及び3も同様であり、等号付きの不等号と、等号無しの不等号とは適宜選択することができる。
【0148】
また、本実施形態において、燃料電池70は、固体高分子形燃料電池(PEFC)であるとしたが、これに限定するものではなく、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)等、種々の方式のものを用いることができる。
【0149】
また、本実施形態においては、パワコン63の出力抑制運転はEMS100からの指示により実行されるものとしたが、これに限定するものではない。例えば、パワコン63はEMS100等に指示によらず、常に出力抑制運転を行うものであってもよい。また、パワコン63は、出力される電力が予め設定された所定の値の範囲内となるように、各種のセンサ等から取得した電力に基づいて自身の判断により燃料電池70の発電電力等を抑制する(絞る)ものであってもよい。
【0150】
また、本実施形態においては、パワコン63から出力された電力は、系統電源Kに売却されないように規定されているが、これに限定するものではない。例えば、パワコン63から出力された電力が、例えば燃料電池70が発電を行っておらず、また蓄電池62も放電を行っていない場合(すなわち、パワコン63から出力された電力が、太陽光発電部61の発電電力だけを含む場合)には、系統電源Kに売却可能としてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 電力融通システム
31 商業施設分電盤
51 戸建分電盤池
70 燃料電池
100 EMS
A 一括受電エリア
K 系統電源
S 商業施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6