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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】熱融通システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20220101AFI20231220BHJP
   F24D 3/08 20060101ALI20231220BHJP
   F24D 10/00 20220101ALI20231220BHJP
   F24D 18/00 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/152 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20231220BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20231220BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20231220BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20231220BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20231220BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20231220BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231220BHJP
   F24D 101/30 20220101ALN20231220BHJP
【FI】
F24H1/00 631A
F24D3/08 K
F24D3/08 Z
F24D10/00
F24D18/00
F24H1/00 631H
F24H1/18 B
F24H15/152
F24H15/355
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/04858
H01M8/10 101
H01M8/12 101
H02J3/38 170
F24D101:30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020065291
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162255
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-159243(JP,A)
【文献】特開2012-225543(JP,A)
【文献】特開2007-101004(JP,A)
【文献】特開2018-152961(JP,A)
【文献】特開2006-172770(JP,A)
【文献】特開2006-038326(JP,A)
【文献】特開2017-175859(JP,A)
【文献】特開2014-155269(JP,A)
【文献】特許第7312661(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
F24D 3/08
F24D 10/00
F24D 18/00
F24D 101/30
H01M 8/00 - 8/2945
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住戸に設けられ、系統電源に連系して前記住戸の電力負荷に応じた電力を出力する連系運転と、系統電源と連系せずに一定の電力を出力する自立運転と、を切り替え可能な複数の燃料電池の発電時の熱を融通する熱融通システムであって、
前記複数の燃料電池に設けられ、当該燃料電池の発電時の熱を利用して生成される湯水を貯める複数の貯湯タンクと、
前記複数の住戸とは異なる他の施設の熱負荷と前記複数の貯湯タンクとの間に設けられ、前記複数の貯湯タンクからの湯水を貯める共用タンクと、
各住戸の熱負荷の必要以上の余剰熱が前記燃料電池の発電により発生した場合に、当該余剰熱を前記共用タンクへ移動させる制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
所定期間ごとの前記他の施設の熱負荷の必要熱量を予測し、
前記必要熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記複数の燃料電池の発電を制御し、
前記必要熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記共用タンクに前記燃料電池の発電時の熱を受け入れる容量があると判断した場合には、
当該容量に対応する台数の前記燃料電池を系統電源から切り離し、前記自立運転により発電させ、
前記台数以外の前記燃料電池を系統電源に連系させ、前記連系運転により発電させる、
熱融通システム。
【請求項2】
複数の住戸に設けられ、系統電源に連系して前記住戸の電力負荷に応じた電力を出力する連系運転と、系統電源と連系せずに一定の電力を出力する自立運転と、を選択的に実行可能な複数の燃料電池の発電時の熱を融通する熱融通システムであって、
前記複数の燃料電池に設けられ、当該燃料電池の発電時の熱を利用して生成される湯水を貯める複数の貯湯タンクと、
前記複数の住戸とは異なる他の施設の熱負荷と前記複数の貯湯タンクとの間に設けられ、前記複数の貯湯タンクからの湯水を貯める共用タンクと、
各住戸の熱負荷の必要以上の余剰熱が前記燃料電池の発電により発生した場合に、当該余剰熱を前記共用タンクへ移動させる制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
所定期間ごとの前記複数の住戸から余剰する余剰熱量を予測し、
前記余剰熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記複数の燃料電池の発電を制御し、
前記余剰熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記共用タンクに、予測した前記余剰熱量と前記燃料電池の発電時の熱を受け入れる容量があると判断した場合には、
当該容量に対応する台数の前記燃料電池を系統電源から切り離し、前記自立運転により発電させ、
前記共用タンクにこれ以上前記燃料電池の発電時の熱を受け入れる容量がないと判断した場合には、
前記自立運転を実行する全ての前記燃料電池を系統電源に連系させ、前記連系運転に切り替える、
融通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の燃料電池の発電時の熱を融通する熱融通システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の燃料電池の発電時の熱を融通する熱融通システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、複数の住戸間で燃料電池の発電時に発生する熱(排熱)を融通するシステムが記載されている。特許文献1に記載のシステムにおいては、温水として回収した燃料電池の排熱を、各住戸に設けられた貯湯タンク(貯湯ユニット)に配管を介して供給可能に構成されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の記載のシステムにおいては、貯湯タンクが満蓄になると燃料電池が発電を行うことができない。また、燃料電池が発電を停止すると、熱を融通することもできなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-225543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、各住戸の貯湯タンクが仮に満蓄になっても燃料電池の発電を行うことができ、さらに熱を融通させることもできる熱融通システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、複数の住戸に設けられ、系統電源に連系して前記住戸の電力負荷に応じた電力を出力する連系運転と、系統電源と連系せずに一定の電力を出力する自立運転と、を切り替え可能な複数の燃料電池の発電時の熱を融通する熱融通システムであって、前記複数の燃料電池に設けられ、当該燃料電池の発電時の熱を利用して生成される湯水を貯める複数の貯湯タンクと、前記複数の住戸とは異なる他の施設の熱負荷と前記複数の貯湯タンクとの間に設けられ、前記複数の貯湯タンクからの湯水を貯める共用タンクと、各住戸の熱負荷の必要以上の余剰熱が前記燃料電池の発電により発生した場合に、当該余剰熱を前記共用タンクへ移動させる制御部と、を具備し、前記制御部は、所定期間ごとの前記他の施設の熱負荷の必要熱量を予測し、前記必要熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記複数の燃料電池の発電を制御し、前記必要熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記共用タンクに前記燃料電池の発電時の熱を受け入れる容量があると判断した場合には、当該容量に対応する台数の前記燃料電池を系統電源から切り離し、前記自立運転により発電させ、前記台数以外の前記燃料電池を系統電源に連系させ、前記連系運転により発電させるものである。
【0009】
請求項2においては、複数の住戸に設けられ、系統電源に連系して前記住戸の電力負荷に応じた電力を出力する連系運転と、系統電源と連系せずに一定の電力を出力する自立運転と、を選択的に実行可能な複数の燃料電池の発電時の熱を融通する熱融通システムであって、前記複数の燃料電池に設けられ、当該燃料電池の発電時の熱を利用して生成される湯水を貯める複数の貯湯タンクと、前記複数の住戸とは異なる他の施設の熱負荷と前記複数の貯湯タンクとの間に設けられ、前記複数の貯湯タンクからの湯水を貯める共用タンクと、各住戸の熱負荷の必要以上の余剰熱が前記燃料電池の発電により発生した場合に、当該余剰熱を前記共用タンクへ移動させる制御部と、を具備し、前記制御部は、所定期間ごとの前記複数の住戸から余剰する余剰熱量を予測し、前記余剰熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記複数の燃料電池の発電を制御し、前記余剰熱量に関する予測結果と現時点の前記共用タンクに貯められた熱量とに基づいて、前記共用タンクに、予測した前記余剰熱量と前記燃料電池の発電時の熱を受け入れる容量があると判断した場合には、当該容量に対応する台数の前記燃料電池を系統電源から切り離し、前記自立運転により発電させ、前記共用タンクにこれ以上前記燃料電池の発電時の熱を受け入れる容量がないと判断した場合には、前記自立運転を実行する全ての前記燃料電池を系統電源に連系させ、前記連系運転に切り替えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
本発明においては、各住戸の貯湯タンクが仮に満蓄になっても燃料電池の発電を行うことができ、さらに熱を融通させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る熱融通システムが適用される、電力融通システムの構成を示したブロック図。
図2】電力融通システムの制御部の接続関係を示した図。
図3】電力融通システムの燃料電池が連系状態である場合の電力の供給態様の一例を示した図。
図4】電力融通システムの燃料電池が疑似連系状態である場合の電力の供給態様の一例を示した図。
図5】熱融通システムの構成を示したブロック図。
図6】熱融通システムの制御部の接続関係を示した図。
図7】短期用第一制御のうち短期用第一住宅制御を示したフローチャート。
図8】短期用第一制御のうち短期用第一タンク制御を示したフローチャート。
図9】短期用第二制御のうち短期用第二住宅制御を示したフローチャート。
図10】短期用第二制御のうち短期用第二タンク制御を示したフローチャート。
図11】長期用第一制御のうち長期用第一住宅制御を示したフローチャート。
図12】長期用第一制御のうち長期用第一タンク制御を示したフローチャート。
図13】長期用第二制御のうち長期用第二タンク制御を示したフローチャート。
図14図13の続きを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、まず本発明の一実施形態に係る熱融通システム200が適用される、電力融通システム1について説明する。
【0017】
図1に示す電力融通システム1は、所定の事業者(アグリゲータ)によりエネルギー管理が行われる所定の地域(エリア)に適用される。アグリゲータは、高圧一括受電を行って、受けた電力を前記所定の地域における種々の需要家に供給することで、一括したエネルギー管理を行っている。
【0018】
一括受電エリアAには、前記需要家の一例として、複数の住宅Hの集合体であって、かつ、当該複数の住宅H間で互いにエネルギー(例えば電力や熱)を融通可能な住宅群A1が設けられる。住宅群A1においては、使用される電力がアグリゲータから各住宅Hへ売却される。また、住宅群A1で余剰した電力をアグリゲータへ売却することもできる。なお、後述するように、本実施形態においては、住宅群A1に4つの住宅Hが設けられるものとする。
【0019】
また、一括受電エリアAには、前記需要家の一例として、スーパーマーケットやドラッグストア等がテナントとして入居する商業施設Sが設けられる。商業施設Sにおいては、使用される電力がアグリゲータからスーパーマーケット等へ供給される。
【0020】
図1及び図2に示すように、電力融通システム1は、キュービクル10、売買電メータ20、商業施設Sに設けられた各種機器、引込分電盤40、住宅群A1(住宅H)に設けられた各種機器及びEMS100を具備する。なお以下の説明において「上流側」及び「下流側」とは、系統電源Kからの電力の供給方向を基準とする。
【0021】
キュービクル10は、系統電源Kからの電力を一括して受電する高圧受電設備である。キュービクル10は、所定の配電線L1により系統電源Kと接続される。キュービクル10は、系統電源Kからの電力を降圧して下流側に配電することができる。また、キュービクル10は、下流側からの電力を系統電源Kへ供給することができる。
【0022】
売買電メータ20は、電力を検出するものである。売買電メータ20は、配電線L1の中途部に設けられる。こうして、売買電メータ20は、一括受電エリアAの購入電力及び売却電力を取得することができる。
【0023】
商業施設Sは、商業を目的とした施設である。商業施設Sには、上述の如くスーパーマーケットやドラッグストア等がテナントとして入居している。商業施設Sは、所定の配電線L2によりキュービクル10と接続される。商業施設Sには、キュービクル10や後述する引込分電盤40からの電力が供給される。また、商業施設Sには、電気に関する各種機器が設けられる。なお、商業施設Sに設けられた各種機器についての説明は後述する。
【0024】
引込分電盤40は、商業施設Sと後述する住宅群A1との間に設けられる。引込分電盤40は、所定の配電線L3により商業施設Sと接続される。また、引込分電盤40は、電力を供給するための所定の配電線L4により住宅群A1と接続される。なお、配電線L4は、上流側端部が引込分電盤40に接続される。また、配電線L4は、下流側が4つに分岐しており、それぞれの下流側端部が住宅群A1を構成する4つの住宅Hに接続される。また、引込分電盤40は、電力が供給されてくる所定の配電線L5により住宅群A1に接続される。なお、配電線L5は、上流側が4つに分岐しており、それぞれの上流側端部が前記4つの住宅Hに接続される。また、配電線L5は、下流側端部が引込分電盤40に接続される。
【0025】
住宅群A1は、上述の如く複数の(4つの)住宅Hの集合体である。4つの住宅Hには、それぞれ引込分電盤40から電力が供給される。なお以下では、4つの住宅Hのうち、引込分電盤40に遠い方から順番(すなわち、下流側に設けられたものから順番)に、第一住宅H1、第二住宅H2、第三住宅H3、第四住宅H4とそれぞれ称する場合がある。4つの住宅Hには、それぞれ電気に関する各種機器が設けられる。なお、住宅Hに設けられた各種機器についての説明は後述する。
【0026】
図2に示すEMS100は、電力融通システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS100は、4つの住宅H(より詳細には、後述する蓄電システム60のパワコン63)とそれぞれ接続される。なお、EMS100の構成についての詳細な説明は後述する。
【0027】
以下では、商業施設Sに設けられた各種機器について説明する。
【0028】
商業施設Sの前記各種機器としては、商業施設分電盤31、スーパー分電盤32、スーパーメータ33、ドラッグストア分電盤34及びドラッグストアメータ35等が設けられる。
【0029】
商業施設分電盤31は、商業施設S内で最も上流側に設けられる。商業施設分電盤31は、配電線L2によりキュービクル10と接続される。また、商業施設分電盤31は、配電線L3により引込分電盤40と接続される。商業施設分電盤31は、キュービクル10や引込分電盤40からの電力を下流側(具体的には、商業施設S内において後述するスーパー分電盤32及びドラッグストア分電盤34や、商業施設S外において引込分電盤40)へ分電することができる。
【0030】
スーパー分電盤32は、前記スーパーマーケットに設けられる。スーパー分電盤32は、所定の配電線L6により商業施設分電盤31と接続される。スーパー分電盤32は、商業施設分電盤31からの電力をスーパーマーケットの電化製品(負荷)へと分電することができる。
【0031】
スーパーメータ33は、電力を検出するものである。スーパーメータ33は、配電線L6の中途部に設けられる。こうして、スーパーメータ33は、スーパーマーケットの購入電力を取得することができる。
【0032】
ドラッグストア分電盤34は、前記ドラッグストアに設けられる。ドラッグストア分電盤34は、所定の配電線L7により商業施設分電盤31と接続される。ドラッグストア分電盤34は、商業施設分電盤31からの電力をドラッグストアの電化製品(負荷)へと分電することができる。
【0033】
ドラッグストアメータ35は、電力を検出するものである。ドラッグストアメータ35は、配電線L7の中途部に設けられる。こうして、ドラッグストアメータ35は、ドラッグストアの購入電力を取得することができる。
【0034】
なお、本実施形態において、商業施設Sにおいて消費される電力、すなわちスーパー分電盤32及びドラッグストア分電盤34に接続された負荷(以下では「商業施設負荷」と称する)の消費電力は、例えば住宅Hの負荷の消費電力と比べて、非常に大きな電力である。具体的には、商業施設負荷の消費電力は、例えば住宅群A1から所定の場合に電力が融通された場合であっても全てを賄えない程度の大きさであるものとする。
【0035】
以下では、住宅群A1の住宅Hに設けられた各種機器について説明する。
【0036】
なお、上述の如く住宅群A1には4つの住宅Hが設けられるが、各住宅Hに設けられた各種機器の構成は同一である。したがって、以下では4つの住宅Hのうち不特定の一の住宅Hを取り上げて、その各種機器について説明する。
【0037】
住宅Hの前記電気機器としては、戸建分電盤51、買電メータ52、蓄電システム60、専用回路54、売電メータ55及び燃料電池70等が設けられる。
【0038】
戸建分電盤51は、配電線L4により引込分電盤40と接続される。また、戸建分電盤51は、後述する燃料電池70と接続される。戸建分電盤51は、引込分電盤40や燃料電池70からの電力を住宅H内の電化製品(より詳細には、戸建分電盤51に直接接続された電化製品等)や、後述する蓄電システム60を介して専用回路54に分配することができる。なお以下では、戸建分電盤51に直接接続された電化製品と、専用回路54に接続された電化製品等を合わせて「住宅負荷」と称する。
【0039】
買電メータ52は、電力を検出するものである。買電メータ52は、住宅H内で配電線L4の中途部に設けられる。買電メータ52は、住宅H内で最も上流側に設けられる。こうして、買電メータ52は、住宅Hの購入電力を取得することができる。なお以下では、全て(本実施形態では、4つ)の住宅Hの買電メータ52の検出結果の合計を、住宅群A1の総消費電力と称する。
【0040】
燃料電池70は、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池70は、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)や制御部等により構成される。また、燃料電池70には、後述する貯湯タンク、発電機及び給湯器等が設けられる。燃料電池70は、所定の配電線L8を介して戸建分電盤51に接続される。燃料電池70は、配電線L8にかかる電圧の状態に基づいて停電の発生を検知することができる。また、燃料電池70は、所定の配電線L9を介してパワコン63に接続される。
【0041】
また、燃料電池70には、燃料電池センサ71が設けられる。燃料電池センサ71は、住宅H内で配電線L4の中途部に設けられる。具体的には、燃料電池センサ71は、買電メータ52と戸建分電盤51との間に設けられる。こうして、燃料電池センサ71(すなわち、燃料電池70)は、住宅Hの購入電力(すなわち、引込分電盤40から戸建分電盤51に配電された電力)を取得することができる。
【0042】
また、燃料電池70は、発電時に発生する熱(排熱)を用いて湯を製造すると共に、当該製造した湯を貯湯タンクに貯める。燃料電池70は、貯湯タンクの貯湯量が最大容量に達した場合(貯湯タンクがこれ以上蓄熱ができない満蓄になった場合)、発電を停止させる(発電を行うことができない)。貯湯タンクに貯められた湯は、浴室等の給湯需要に応じて供給することができる。
【0043】
また、燃料電池70は、発電を行う場合、系統電源Kと連系した通常時(非停電時)の連系運転と、系統電源Kと連系しない停電時の自立運転と、を行うことができる。
【0044】
まず以下では、燃料電池70の連系運転について説明する。
【0045】
燃料電池70は、連系運転を行う場合、燃料電池センサ71の検出結果(すなわち、引込分電盤40から戸建分電盤51に配電された電力)に基づいて発電量を調整する負荷追従運転を行う。具体的には、燃料電池70は、最低出力電力(0W)から最大出力電力(700W)までの間で、燃料電池センサ71の検出結果に対応した発電電力を出力する。燃料電池70の発電電力は、配電線L8を介して戸建分電盤51に供給される。
【0046】
次に以下では、燃料電池70の自立運転について説明する。
【0047】
燃料電池70は、停電の発生を検知すると自立運転を開始する。燃料電池70は、自立運転において、連系運転のように負荷追従運転を行うのではなく、一定の電力を継続して出力する一定出力運転を行う。本実施形態において燃料電池70は、自立運転時に700Wの電力を継続して出力する。自立運転による燃料電池70の発電電力は、所定の配電線L9を介して後述する蓄電システム60(より詳細には、パワコン63)に出力される。
【0048】
また、本実施形態においては、実際に停電が発生していない場合に、燃料電池70に対して疑似的な停電を発生させることにより、当該燃料電池70に自立運転を行わせることができる。具体的には、戸建分電盤51との間の配電線L8のリレー(不図示)がオフになると、燃料電池70は、実際には停電が発生していないにもかかわらず、停電の発生を検知する。すなわち、住宅H内において、燃料電池70のみを疑似的な停電状態とすることができる。なお以下では、上述の如く燃料電池70に対して疑似的に停電を発生させた状態を「疑似停電状態」と称する。
【0049】
このように、燃料電池70は、疑似停電状態になると、実際に停電が発生した場合と同様に自立運転を開始する。すなわち、燃料電池70は、実際は停電が発生していないにもかかわらず、自立運転による発電電力を配電線L9を介してパワコン63に出力する。なお以下では、このような疑似停電状態における自立運転を「第二自立運転」と称する。すなわち、燃料電池70の自立運転には、第二自立運転が含まれる。
【0050】
蓄電システム60は、太陽光を利用して発電可能であると共に、電力を充放電可能なものである。蓄電システム60は、太陽光発電部61、蓄電池62、パワコン63及び蓄電センサ64を具備する。
【0051】
太陽光発電部61は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部61は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部61は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。なお以下では、全て(本実施形態では、4つ)の住宅Hの太陽光発電部61の発電電力の合計を、住宅群A1の総太陽光発電と称する。
【0052】
蓄電池62は、電力を充放電可能に構成されるものである。蓄電池62は、例えばリチウムイオン電池等により構成される。なお、本実施形態においては、蓄電池62の最大放電電力は2000Wである。また、蓄電池62の最大充電電力は2000Wである。蓄電池62は、稼動中における充放電等の動作の態様が設定された運転モードとして、放電モード、充電モード、待機モード及び充放電モードを有する。なお、これらのモードについての詳細な説明は後述する。
【0053】
なお、蓄電池62が放電を行う場合、当該蓄電池62の放電電力が系統電源Kに売却されるのを防止するため、所定の電力の購入が住宅Hに義務付けられている。本実施形態においては、蓄電池62が放電を行う場合、100Wの電力が購入される。
【0054】
パワコン63は、電力を適宜変換可能なハイブリッドパワーコンディショナである。パワコン63は、太陽光発電部61と蓄電池62との間に設けられる。すなわち、パワコン63は、太陽光発電部61に接続される。また、パワコン63は、蓄電池62に接続される。こうして、パワコン63は、太陽光発電部61の発電電力を出力することができる。また、パワコン63は、太陽光発電部61の発電電力を蓄電池62に充電することができる。また、パワコン63は、蓄電池62の放電電力を出力することができる。なお、パワコン63は、蓄電池62を放電させる場合、後述する蓄電センサ64の検出結果に基づいて蓄電池62の放電量を調整する負荷追従運転を行うことができる。
【0055】
また、パワコン63は、戸建分電盤51と後述する専用回路54とを接続する所定の配電線(不図示)の中途部に設けられる。こうして、パワコン63は、戸建分電盤51からの電力を専用回路54へ出力することができる。また、パワコン63は、停電時において、太陽光発電部61の発電電力及び蓄電池62の放電電力を専用回路54に直接(戸建分電盤51を介さずに)出力することができる。また、パワコン63は、戸建分電盤51からの電力を蓄電池62に充電することができる。
【0056】
また、パワコン63は、上述の如く配電線L9により燃料電池70と接続される。パワコン63には、停電時又は疑似停電時に、配電線L9を介して燃料電池70の自立運転による発電電力が供給される。パワコン63は、燃料電池70の自立運転による発電電力を後述する専用回路54に出力することができる。また、パワコン63は、燃料電池70の自立運転による発電電力を蓄電池62に充電させることができる。
【0057】
なお、パワコン63は、疑似停電時(すなわち、燃料電池70が第二自立運転を行っている場合)に、第二自立運転による発電電力の当該パワコン63への出力を制御することができる。すなわち、パワコン63は、燃料電池70の出力を650Wから任意の値にまで抑制する(絞る)ことができる。パワコン63による燃料電池70の出力の抑制は、後述するEMS100からの指示により行われる。
【0058】
また、パワコン63は、上述の如く配電線L5により引込分電盤40と接続される。こうして、パワコン63は、太陽光発電部61の発電電力や、蓄電池62の放電電力、燃料電池70の第二自立運転による発電電力を出力し、配電線L5を介して引込分電盤40に供給することができる。
【0059】
また、パワコン63は、太陽光発電部61と信号を送受信可能に構成され、当該信号に基づいて太陽光発電部61の発電電力等に関する情報を取得することができる。また、パワコン63は、蓄電池62と信号を送受信可能に構成され、当該信号に基づいて蓄電池62の残量等に関する情報を取得することできる。また、パワコン63は、蓄電池62の動作を制御することができる。
【0060】
また、パワコン63は、燃料電池70の運転状態を取得できる。具体的には、パワコン63は、配電線L9を介して燃料電池70と接続されるため、燃料電池70の運転状態(例えば、第二自立運転を行っているか否か)を取得することができる。また、パワコン63は、燃料電池70が第二自立運転を行う状況であるにもかかわらず、当該燃料電池70から発電電力が供給されない場合には、燃料電池70の貯湯タンクが満蓄であると判断することができる。なお、パワコン63が燃料電池70の運転状態を取得する方法は上述したものに限定されず、種々の方法を採用することができる。
【0061】
また、パワコン63は、出力抑制運転を行うことができる。出力抑制運転とは、第二自立運転による燃料電池70の発電電力の全てがパワコン63から出力されないように、当該パワコン63で出力を抑制する(絞る)運転である。パワコン63の出力抑制運転は、EMS100からの指示により実行される。
【0062】
蓄電センサ64は、電力を検出するものである。蓄電センサ64は、住宅H外で配電線L2の中途部に設けられる。より詳細には、蓄電センサ64は、配電線L2におけるキュービクル10と商業施設S(商業施設分電盤31)との間に設けられる。蓄電センサ64は、上述の如く蓄電システム60のパワコン63と接続される蓄電センサ64は、パワコン63へ検出結果を送信することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、上述の如く4つの住宅H(第一住宅H1、第二住宅H2、第三住宅H3及び第四住宅H4)が設けられる。4つの住宅Hの蓄電センサ64は、配電線L1上に互いに直列となるように設けられる。4つの住宅Hの蓄電センサ64は、下流側から上流側に、第一住宅H1の蓄電センサ64、第二住宅H2の蓄電センサ64、第三住宅H3の蓄電センサ64、第四住宅H4の蓄電センサ64という順番に設けられる。
【0064】
専用回路54は、上述の如き住宅負荷のうち、重要度の高い住宅負荷へと電力を供給するためのものである。専用回路54には、通常時だけではなく、停電時においても、パワコン63を介して電力が供給される。
【0065】
売電メータ55は、電力を検出するものである。売電メータ55は、住宅H内で最も下流側に設けられる。売電メータ55は、住宅H内で配電線L5の中途部に設けられる。こうして、売電メータ55は、住宅Hの売却電力を取得することができる。
【0066】
以下では、EMS100の構成について説明する。
【0067】
EMS100は、4つの住宅Hのパワコン63とそれぞれ接続される。EMS100は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。EMS100の記憶部には、電力融通システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS100の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力融通システム1を動作させることができる。
【0068】
EMS100は、パワコン63との間で信号を送受信可能に構成される。これにより、EMS100は、パワコン63に関する情報を取得することできる。例えば、EMS100は、パワコン63を介して太陽光発電部61に関する情報を取得することができる。また、EMS100は、パワコン63を介して蓄電池62に関する情報を取得することができる。また、EMS100は、パワコン63を介して蓄電池62の動作を制御することができる。
【0069】
また、EMS100は、燃料電池70及び当該燃料電池70に関連する種々の機器と接続され、互いに信号を送受信可能に構成される。こうして、EMS100は、燃料電池70に関する情報を取得することができる。例えば、EMS100は、燃料電池70の動作の状態(例えば発電電力や貯湯タンクの貯湯量の情報(満蓄であるか否か等))を取得することができる。
【0070】
また、EMS100は、燃料電池70の動作を間接的に制御することができる。具体的には、EMS100は、燃料電池70が有する配電線L8の前記リレー(不図示)のオンオフ制御を行うことができる。こうして、EMS100は、前記リレーをオフとすることにより、燃料電池70を疑似停電状態として第二自立運転を開始させることができる。また、EMS100は、前記リレーをオンとすることにより、燃料電池70の疑似停電状態を終了させ、第二自立運転を終了させることができる。なお以下では、EMS100による前記リレーをオフとする指示を、燃料電池70への疑似停電指示と称する。また、EMS100による前記リレーをオンとする指示を、燃料電池70への疑似停電解除指示と称する。
【0071】
以下では、蓄電池62の運転モード(放電モード、充電モード、待機モード及び充放電モード)について説明する。
【0072】
放電モードは、負荷追従運転により蓄電池62を放電させるモードである。放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64の検出結果に応じて放電可能な状態となる。具体的には、蓄電池62は、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を放電する。すなわち、蓄電池62は、住宅群A1(住宅H内)に設けられているにもかかわらず、住宅群A1の外(より詳細には、商業施設Sよりも上流側)に設けられている蓄電センサ64の検出結果に応じて放電を行う。
【0073】
なお、放電モードが実行された場合において、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合であっても、蓄電池62の電池残量が放電可能な残量でない場合(例えば、電池残量が残量下限値である場合や最低残量である場合)には、蓄電池62は放電することができずに待機状態となる。
【0074】
充電モードは、蓄電池62を充電させるモードである。充電モードが実行された場合、蓄電池62は、EMS100から指示された量の電力を充電してもよい。蓄電池62は、太陽光発電部61が発電している場合、当該太陽光発電部61の発電電力を充電する。また、蓄電池62は、太陽光発電部61が発電していない場合や、太陽光発電部61の発電電力が最大充電電力よりも小さい場合、戸建分電盤51を介して配電線L4から供給される電力(例えば系統電源Kからの電力)も充電する。また、太陽光発電部61の発電電力の一部が蓄電池62に充電された場合、当該発電電力の残りは配電線L5に出力される。
【0075】
なお、充電モードが実行された場合であっても、満充電である場合には蓄電池62は充電できずに待機状態となる。この場合、太陽光発電部61の発電電力の全部が配電線L5に出力される。
【0076】
待機モードは、蓄電池62を待機させるモードである。待機モードが実行された場合、蓄電池62は稼動したまま待機状態となる(充放電を行わない)。
【0077】
充放電モードは、負荷追従運転により蓄電池62を充放電させるモードである。充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64の検出結果に応じて充放電可能な状態となる。
【0078】
具体的には、蓄電池62は、放電モードと同様に、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を放電する。また、蓄電センサ64が下流側へ流れる電力を検出した場合であっても、蓄電池62の電池残量が放電可能な残量でない場合には、蓄電池62は放電することができずに待機状態となる。
【0079】
また、充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64が上流側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出した電力に対応する電力を充電する。このように、蓄電池62は、住宅群A1(住宅H内)に設けられているにもかかわらず、住宅群A1の外(より詳細には、商業施設Sよりも上流側)に設けられている蓄電センサ64の検出結果に応じて充電を行う。
【0080】
また、充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、満充電である場合には充電できない。また、充放電モードが実行された場合、蓄電池62は、蓄電センサ64が上流側及び下流側へ流れる電力を検出しなかった場合には待機状態となる。
【0081】
なお、蓄電池62の運転モードは、パワコン63を介して行われるEMS100からの指示により切り替えられる。以下では、EMS100による蓄電池62の運転モードを実行する(切り替える)ための指示を、それぞれ放電指示、充電指示、待機指示及び充放電指示という場合がある。
【0082】
以下では、図3を用いて、上述の如く構成された電力融通システム1における電力の供給態様について説明する。
【0083】
なお以下では、各住宅Hの蓄電池62に充放電指示が行われた場合(充放電モードが実行される場合)について説明する。また、燃料電池70は、連系運転が行われているものとする。
【0084】
各住宅Hにおいて、燃料電池70は、連系運転時に負荷追従運転を行う。すなわち、燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果(すなわち、住宅Hの住宅負荷)に対応した電力の発電を行う。燃料電池70の発電電力で住宅負荷が賄えた場合には、引込分電盤40から戸建分電盤51に電力は供給されなくなる。また、燃料電池70の発電電力で住宅負荷が賄えなかった場合には、引込分電盤40から戸建分電盤51に電力が供給されてくる。
【0085】
また、各住宅Hにおいて、パワコン63が蓄電池62の負荷追従運転を行う。蓄電池62は、蓄電センサ64の検出結果(すなわち、一括受電エリアAの購入電力)に対応した電力の放電を行う。ここで、売買電メータ20は、商業施設Sの上流側に設けられる。また、商業施設Sでは、商業施設負荷の消費電力が非常に大きいため、売買電メータ20が設けられた配電線L2には、下流側(商業施設S側)へ常に大きな電力が流れている。すなわち、蓄電池62は、売買電メータ20の検出結果に対応した電力として、常に最大放電電力での放電を行う。蓄電池62の放電電力は、パワコン63から出力される。また、太陽光発電部61の発電電力も、蓄電池62に充電されることなく、パワコン63から出力される。
【0086】
こうして、パワコン63から出力された電力は、配電線L5を介して引込分電盤40に供給される。引込分電盤40に供給された電力は、複数の住宅Hにおいて、住宅負荷の消費電力に対して燃料電池70の発電電力が不足している住宅があれば(引込分電盤40から戸建分電盤51に電力が供給されている住宅があれば)、当該住宅Hへと供給される。こうして、太陽光発電部61の発電電力及び蓄電池62の放電電力は、複数の住宅H間で融通することができる。
【0087】
一方、引込分電盤40に供給された電力が全ての住宅Hの住宅負荷に対して余剰する場合は、図3に示すように、余剰する電力が配電線L3を上流側へ流れて商業施設分電盤31へ供給される。商業施設分電盤31に供給された電力は、商業施設負荷に応じてスーパー分電盤32やドラッグストア分電盤34に適宜分電される。こうして、太陽光発電部61の発電電力及び蓄電池62の放電電力は、複数の住宅H間だけでなく、商業施設Sにも融通することができる。
【0088】
なお、上述の如き電力の供給態様において、燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果に対応した電力、すなわち住宅Hの住宅負荷に対応した電力を発電するものである。そのため、燃料電池70は、住宅Hの住宅負荷よりも大きな電力の発電を行うことができない。このような場合、燃料電池70は、その発電能力を十分に生かしていないとも思われる。
【0089】
そこで、本実施形態に係る電力融通システム1において、燃料電池70は、原則として、疑似停電状態とされ、第二自立運転による発電が行われる。すなわち、燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果にかかわらず、一定の電力(本実施形態においては、700W)の発電を行うものとする。
【0090】
このような構成によれば、燃料電池70の発電電力はパワコン63を介して住宅H外へと出力され、配電線L5を介して引込分電盤40に供給される。こうして、引込分電盤40に供給された燃料電池70の発電電力は、住宅群A1の住宅負荷に応じて複数の住宅H間に融通したり、さらには商業施設Sに融通したりすることができる。
【0091】
ここで、上述の如く、燃料電池70は、貯湯タンク73が満蓄になると発電を行うことができない。すなわち、第二自立運転により燃料電池70の発電(一定の電力の発電)を継続した場合、貯湯タンク73が常に満蓄(又は、満蓄に近いレベル)に維持されることとなり、当該燃料電池70の発電が安定して行われない可能性がある。また、第二自立運転により燃料電池70の発電を継続した場合、当該燃料電池70を有する住宅Hにおいて、必要以上の熱量が発生する可能性がある。このような場合、前記住宅Hにおいて熱が余剰することとなり、当該住宅Hの住居者に不要な光熱費が発生してしまう。
【0092】
そこで、一括受電エリアAでは、住宅群A1の住宅Hで発生した熱を、商業施設Sと当該住宅群A1の複数の住宅H間と、の間で融通可能とするシステム(以下では「熱融通システム200」と称する)を有している。
【0093】
以下では、熱融通システム200の構成について説明する。
【0094】
図5及び図6に示すように、熱融通システム200は、上水供給部210、住宅給湯システム220、施設給湯システム230、共用貯湯タンク240、上水配管250、湯配管260及びEMS100を具備する。
【0095】
上水供給部210は、一括受電エリアAの外部から内部(熱融通システム200)内に上水を供給するものである。上水供給部210には、例えば水道局(不図示)から上水が供給されてくる。
【0096】
住宅給湯システム220は、住宅群A1の各住宅H内にそれぞれ設けられる。各住宅給湯システム220は、燃料電池70、住宅需要部221及び住宅メータ222を有する。
【0097】
燃料電池70は、上述の如く水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池70は、発電機72、貯湯タンク73及び給湯機74を有する。
【0098】
発電機72は、発電を行うものである。発電機72が発電を行うと、排熱が発生する。貯湯タンク73は、発電時に発生する排熱を用いて湯を製造すると共に、当該製造した湯を貯める(排熱を蓄える)ものである。給湯機74は、貯湯タンク73に貯められた湯を需要に応じて後述する住宅需要部221(熱負荷)に給湯するものである。なお上述の如く、燃料電池70(発電機72)は、貯湯タンク73が満蓄になると発電を行うことができない。
【0099】
住宅需要部221は、上水及び湯が供給されるものである。住宅需要部221には、燃料電池70の給湯機74から湯が供給される。また、住宅需要部221には、住宅H外の上水供給部210から上水が供給される。住宅需要部221では、供給された上水と湯とが混合され、住宅Hの居住者に供給される。
【0100】
住宅メータ222は、住宅H内において、流通する水(上水又は湯)の流量を検出するものである。住宅メータ222は、住宅上水メータ224及び住宅湯メータ225を有する。
【0101】
住宅上水メータ224は、住宅需要部221へと流通する上水供給部210からの上水の流量を検出するものである。住宅上水メータ224は、住宅Hが購入する上水の流量を検出することができる。
【0102】
住宅湯メータ225は、燃料電池70の貯湯タンク73へと流通する後述の共用貯湯タンク240からの湯の流量を検出するものである。住宅湯メータ225は、住宅Hが購入する湯の流量を検出することができる。
【0103】
施設給湯システム230は、商業施設S内に設けられる。施設給湯システム230は、施設給湯機231、施設需要部232及び施設メータ233を有する。
【0104】
施設給湯機231は、後述する共用貯湯タンク240に貯められた湯を需要に応じて後述する施設需要部232に給湯するものである。
【0105】
施設需要部232は、上水及び湯が供給されるものである。施設需要部232には、施設給湯機231から湯が供給される。また、施設需要部232には、商業施設S外の上水供給部210から上水が供給される。施設需要部232では、供給された上水と湯とが混合され、商業施設Sの従業員や利用者等に供給される。
【0106】
施設メータ233は、商業施設S内において、流通する水(上水又は湯)の流量を検出するものである。施設メータ233は、施設上水メータ234及び施設湯メータ235を有する。
【0107】
施設上水メータ234は、施設需要部232へと流通する上水供給部210からの上水の流量を検出するものである。施設上水メータ234は、商業施設Sが購入する上水の流量を検出することができる。
【0108】
施設湯メータ235は、施設給湯機231(ひいては施設需要部232)へと流通する後述の共用貯湯タンク240からの湯の流量を検出するものである。施設湯メータ235は、商業施設Sが購入する湯の流量を検出することができる。
【0109】
共用貯湯タンク240は、熱融通システム200内で需要者(住宅群A1の各住宅H及び商業施設S)に共用されるものである。共用貯湯タンク240は、供給されてきた湯を貯める(熱を蓄える)ことができる。共用貯湯タンク240に貯められた湯は、各住宅H(各貯湯タンク73)へ供給することができる。また、共用貯湯タンク240に貯められた湯は、(施設給湯機231を介して)商業施設Sの施設需要部232へ供給することができる。また、共用貯湯タンク240には、上水供給部210から上水が供給されることができる。
【0110】
上水配管250は、上水を流通させるものである。上水配管250は、第一上水配管251及び第二上水配管252を有する。
【0111】
第一上水配管251は、上水供給部210と住宅Hの住宅需要部221とを連通する。すなわち、第一上水配管251の一端部は、上水供給部210と接続される。また、第一上水配管251の他端部は、住宅Hの住宅需要部221と接続される。
【0112】
第二上水配管252は、上水供給部210と、商業施設Sの施設需要部232及び共用貯湯タンク240と、を連通する。すなわち、第二上水配管252の一端部は、上水供給部210と接続される。また、第二上水配管252の他端部は、2つに分岐し、それぞれ商業施設Sの施設需要部232及び共用貯湯タンク240に接続される。
【0113】
湯配管260は、湯を流通させるものである。湯配管260は、第一湯配管261、第二湯配管262及び第三湯配管263を有する。
【0114】
第一湯配管261は、共用貯湯タンク240と商業施設Sの施設需要部232とを連通する。すなわち、第一湯配管261の一端部は、共用貯湯タンク240と接続される。また、第一湯配管261の他端部は、施設給湯機231を介して商業施設Sの施設需要部232と接続される。
【0115】
第二湯配管262は、共用貯湯タンク240と各住宅Hの貯湯タンク73とを連通する。すなわち、第二湯配管262の一端部は、共用貯湯タンク240と接続される。また、第二湯配管262の他端部は、住宅Hの数だけ分岐し、各住宅Hの貯湯タンク73とそれぞれ接続される。
【0116】
第三湯配管263は、各住宅Hの給湯機74と、住宅需要部221及び共用貯湯タンク240と、を連通する。すなわち、各住宅Hにおいて第三湯配管263の一端部は当該住宅Hの給湯機74に接続されると共に、他端部が住宅需要部221に接続される。また、当該給湯機74と住宅需要部221との間からバイパスされた端部が、共用貯湯タンク240に接続される。
【0117】
EMS100は、上述の如く電力融通システム1の動作を管理すると共に、熱融通システム200の動作を管理することができる。すなわち、EMS100は、熱融通システム200の動作を制御するための種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS100は、図示せぬポンプ等と接続されることにより、上水や湯の流通を制御することができる。例えば、EMS100は、各住宅H(住戸)の住宅需要部221で必要とする以上の熱(熱負荷の必要以上の余剰熱)が燃料電池70の発電により発生した場合に、当該余剰熱を共用貯湯タンク240へ移動させることができる。
【0118】
また、EMS100は、商業施設Sから過去の所定期間における熱使用量を学習し、当該学習した熱使用量の傾向から、当該商業施設Sにおける今後の熱使用量の傾向を予測することができる。本実施形態においては、EMS100は、商業施設Sにおける今後24時間の間の、1時間ごとの熱使用量(すなわち、商業施設Sで必要とする熱量)を予測することができる。
【0119】
また、EMS100は、各住宅Hから過去の所定期間における熱使用量を学習し、当該学習した熱使用量の傾向から、当該住宅Hにおける今後の熱使用量の傾向を予測することができる。本実施形態においては、EMS100は、当該住宅Hにおける今後24時間の間の、1時間ごとの熱使用量(すなわち、住宅Hで必要とする熱量)を予測することができる。また、EMS100は、当該住宅Hにおける今後24時間の(すなわち、1日の)熱使用量を予測することができる。
【0120】
また、EMS100は、各住宅Hの燃料電池70と接続され、当該燃料電池70の貯湯タンク73の現時点の熱量を取得することができる。
【0121】
また、EMS100は、共用貯湯タンク240に関する情報が予め記憶される。当該情報には、共用貯湯タンク240が満蓄である場合の熱容量に関する情報が含まれる。
【0122】
また、EMS100は、各住宅Hの燃料電池70に関する情報が予め記憶される。当該情報には、疑似停電状態となり第二自立運転で燃料電池70(発電機72)が発電を行った場合に、1時間あたりに発生する熱容量に関する情報が含まれる。また、EMS100は、各住宅Hの燃料電池70の運転状況(例えば、現時点で疑似停電状態である燃料電池70の台数)を取得することができる。
【0123】
上述の如く構成された熱融通システム200においては、所定の条件の下(すなわち、湯を受ける側のタンクが満蓄でなければ)、EMS100の制御により、任意のタイミングで所望の量の湯を、各住宅Hの貯湯タンク73から共用貯湯タンク240へと供給することが可能である。また同様に、任意のタイミングで所望の量の湯を、共用貯湯タンク240から各住宅Hの貯湯タンク73へと供給することが可能である。すなわち、前記所定の条件の下、共用貯湯タンク240と各住宅Hの貯湯タンク73との間で、任意のタイミングで所望の量の熱を移動させることができる。
【0124】
そこで、本実施形態に係る熱融通システム200において、EMS100は、共用貯湯タンク240と各住宅Hの貯湯タンク73との間の熱の移動を適切なものとするため、予め設定された所定の制御を行うことができる。なお、本実施形態において、前記所定の制御は、大きく2種類設けられる。具体的には、前記所定の制御には、短期用特定制御と、長期用特定制御と、が含まれる。
【0125】
まず、短期用特定制御について説明する。
【0126】
短期用特定制御とは、比較的短い時間ごとに繰り返し所定の判定を行って、その判定結果に応じた制御を行うものである。本実施形態においては、比較的短い時間として1時間が採用されている。短期用特定制御には、互いの処理の内容が異なる2つの制御が含まれる。具体的には、前記2つの制御には、短期用第一制御と、短期用第二制御と、が含まれる。短期用第一制御と短期用第二制御とは、各住宅Hの熱に関する予測結果を共用貯湯タンク240に関する制御に反映させるか否かの点で、互いに異なっている。
【0127】
まず、短期用第一制御について説明する。
【0128】
短期用第一制御には、短期用第一住宅制御と、短期用第一タンク制御と、が含まれる。
【0129】
まず、図7を用いて、EMS100による短期用第一住宅制御について説明する。
【0130】
短期用第一住宅制御は、各住宅Hの燃料電池70に対してそれぞれ行われる制御である。以下では複数の住宅Hのうち一の住宅Hを取りあげて説明するものとする。短期用第一住宅制御は、例えば0時から1時間ごとに23時まで行われる。短期用第一住宅制御は、判定している時点から1時間の間に、燃料電池70の貯湯タンク73の熱を共用貯湯タンク240へ移動させるかを判定すると共に、その判定結果を実行するものである。
【0131】
なお、短期用第一住宅制御の説明においては、予測された1時間ごとの住宅Hで必要な熱量を「熱量A」、現時点の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量を「熱量B」と、それぞれ称する。
【0132】
ステップS201において、EMS100は、現時点(現在)の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量(タンク熱量)Bを取得する。EMS100は、ステップS201の処理の後、ステップS202の処理を実行する。
【0133】
ステップS202において、EMS100は、「A≦B?」を満たすか否かを判定する。なお、「A」とは、上述の如く、予測した1時間ごとの住宅Hで必要な熱量である。すなわち、熱量Aは、現時点が仮に0時であれば0時から1時までの間(現時点から1時間が経過するまでの間)で住宅Hで必要な熱量を示している。また、「B」とは、上述の如く、現時点の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量である。
【0134】
EMS100は、「A≦B?」を満たすと判定した場合(ステップS202:YES)、ステップS203の処理を実行する。一方、EMS100は、「A≦B?」を満たさないと判定した場合(ステップS202:NO)、短期用第一住宅制御を一旦終了する。
【0135】
ステップS203において、EMS100は、「B-A」の熱量を燃料電池70の貯湯タンク73から共用貯湯タンク240へ移動させる。EMS100は、ステップS203の処理の後、短期用第一住宅制御を一旦終了する。
【0136】
このように、短期用第一住宅制御においては、現時点の貯湯タンク73の熱量Bが、住宅Hで現時点から1時間が経過するまでの間に必要な熱量A以上であれば(ステップS202:YES)、その差分となる熱量を共用貯湯タンク240へと移動させる(ステップS203)。こうして、住宅Hにおいて、必要な熱量が不足することなく、余剰する熱量を共用貯湯タンク240へ移動させることができる。このように、短期用第一住宅制御においては、住宅Hの貯湯タンク73は、例えば満蓄でなくとも、当該住宅Hで必要のない熱を共用貯湯タンク240へ移動させることができる。
【0137】
次に、図8を用いて、EMS100による短期用第一タンク制御について説明する。
【0138】
短期用第一タンク制御は、共用貯湯タンク240の状態に基づいて行われる制御である。短期用第一タンク制御は、例えば0時から1時間ごとに23時まで行われる。短期用第一住宅制御は、共用貯湯タンク240に蓄えられた熱量に応じて、各住宅Hの燃料電池70の動作を制御するものである。なお本実施形態において、短期用第一タンク制御の内容は、短期用第一住宅制御の内容と直接的に関連していない。そのため、短期用第一タンク制御を実行するタイミングは、短期用第一住宅制御のタイミングにかかわらず、任意のタイミングを採用することができる。
【0139】
なお、短期用第一タンク制御の説明においては、予測された1時間ごとの商業施設Sで必要な熱量を「熱量A」、共用貯湯タンク240の熱容量を「熱容量B」、疑似停電状態で第二自立運転による燃料電池70(発電機72)の発電の1時間あたりに発生する熱容量を「熱容量C」、現時点の共用貯湯タンク240の熱量を「熱量D」、現時点で疑似停電状態である燃料電池70の台数を「台数E」と、それぞれ称する。
【0140】
ステップS211において、EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄か否かを判定する。EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄であると判定した場合(ステップS211:YES)、ステップS212の処理を実行する。一方、EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄ではないと判定した場合(ステップS211:NO)、ステップS213の処理を実行する。
【0141】
ステップS212において、EMS100は、全ての燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。これにより、全ての燃料電池70は、疑似停電状態を解除し、運転モードを第二自立運転から連系運転へと切り替える。このように、共用貯湯タンク240が満蓄であればそれ以降熱を蓄えることができないため、燃料電池70の疑似停電状態を全て解除して各住宅Hで熱が余剰するのを抑制する。
【0142】
なお、第二自立運転から切り替えられ、連系運転を行う燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果に基づいて発電量を調整する負荷追従運転を行う。EMS100は、ステップS212の処理の後、短期用第一タンク制御を一旦終了する。
【0143】
ステップS213において、EMS100は、現時点の共用貯湯タンク240の熱量Dを取得する。EMS100は、ステップS213の処理の後、ステップS214の処理を実行する。
【0144】
ステップS214において、EMS100は、現時点で疑似停電状態である燃料電池70の「台数E」を取得する。EMS100は、ステップS214の処理の後、ステップS215の処理を実行する。
【0145】
ステップS215において、EMS100は、「(D-A+(E×C))/C≧1?」(以下では「条件1」と称する)を満たすか否かを判定する。EMS100は、条件1を満たすと判定した場合(ステップS215:YES)、短期用第一タンク制御を一旦終了する。一方、EMS100は、条件1を満たさないと判定した場合(ステップS215:NO)、ステップS216の処理を実行する。
【0146】
なお、条件1を満たす場合(ステップS215:YES)とは、疑似停電状態となる燃料電池70を少なくとも1台増やすと、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が高いことを示している。そのため、条件1を満たす場合には、疑似停電状態となる燃料電池70を増やすことなく短期用第一タンク制御を一旦終了する。
【0147】
一方、条件1を満たさない場合(ステップS215:NO)とは、疑似停電状態となる燃料電池70を少なくとも1台増やしても、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が低いことを示している。そのため、条件1を満たさない場合には、疑似停電状態となる燃料電池70を増やすべく、ステップS216以降の処理を実行する。
【0148】
ステップS216において、EMS100は、疑似停電状態ではない燃料電池70の総発電量を取得する。なお、総発電量とは、疑似停電状態ではない燃料電池70ごとの、直近の24時間の間に発電された電力の総和を示している。EMS100は、ステップS216の処理の後、ステップS217の処理を実行する。
【0149】
ステップS217において、EMS100は、取得した総発電量に基づいて、前記疑似停電状態ではない燃料電池70に対して、疑似停電状態とするための優先順位を設定する。すなわち、EMS100は、疑似停電状態ではない燃料電池70に対して、総発電量の少ない順番に高い優先順位(他の燃料電池70に優先して疑似停電状態とする順位)を設定する。EMS100は、ステップS217の処理の後、ステップS218の処理を実行する。
【0150】
ステップS218において、EMS100は、所定の燃料電池70に疑似停電指示を行う。具体的には、EMS100は、まず「(B-(D-A)-(E×C))/C=F」の式を用いて、運転可能台数Fを算出する。そして、EMS100は、運転可能台数F分だけ燃料電池70に疑似停電指示を行う。なお、算出された数に小数点が含まれる場合、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制すべく、小数点以下が切り捨てられる。ステップS218の処理の後、短期用第一タンク制御を一旦終了する。
【0151】
このように、短期用第一タンク制御においては、共用貯湯タンク240が満蓄となるのを抑制しつつ、できるだけ多くの燃料電池70を疑似停電状態とし、共用貯湯タンク240が燃料電池70からの多くの熱を蓄え易くすることができる。
【0152】
次に、短期用第二制御について説明する。
【0153】
短期用第二制御には、短期用第二住宅制御と、短期用第二タンク制御と、が含まれる。
【0154】
まず、図9を用いて、EMS100による短期用第二住宅制御について説明する。
【0155】
短期用第二住宅制御は、各住宅Hの燃料電池70に対してそれぞれ行われる制御である。以下では複数の住宅Hのうち一の住宅Hを取りあげて説明するものとする。短期用第二住宅制御は、例えば0時から1時間ごとに23時まで行われる。短期用第二住宅制御は、当該短期用第二住宅制御を行っている時点から1時間の間に、燃料電池70の貯湯タンク73の熱を共用貯湯タンク240へ移動させるかを判定すると共に、その判定結果を実行するものである。
【0156】
なお、短期用第二住宅制御の説明においては、予測された1時間ごとの住宅Hで必要な熱量を「熱量A」、疑似停電状態で第二自立運転による燃料電池70(発電機72)の発電の1時間あたりに発生する熱容量を「熱容量B」、現時点の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量を「熱量C」と、それぞれ称する。
【0157】
ステップS301において、EMS100は、現時点の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量Cを取得する。EMS100は、ステップS301の処理の後、ステップS302の処理を実行する。
【0158】
ステップS302において、EMS100は、「A<(B+C)?」を満たすか否かを判定する。なお、「A」とは、上述の如く、予測した1時間ごとの住宅Hで必要な熱量である。すなわち、熱量Aは、現時点が仮に0時であれば0時から1時までの間(現時点から1時間が経過するまでの間)で住宅Hに必要な熱量を示している。また、「B」とは、上述の如く、疑似停電状態で第二自立運転による燃料電池70(発電機72)の発電の1時間あたりに発生する熱容量である。また、「C」とは、上述の如く、現時点の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量である。
【0159】
EMS100は、「A<(B+C)?」を満たすと判定した場合(ステップS302:YES)、ステップS303の処理を実行する。一方、EMS100は、「A<(B+C)?」を満たさないと判定した場合(ステップS302:NO)、短期用第二住宅制御を一旦終了する。
【0160】
ステップS303において、EMS100は、「B+C-A=D」の式により算出される熱量Dを燃料電池70の貯湯タンク73から共用貯湯タンク240へ移動させる。EMS100は、ステップS303の処理の後、短期用第二住宅制御を一旦終了する。
【0161】
このように、短期用第二住宅制御においては、今後1時間が経過するまでの間に貯湯タンク73に蓄えられる熱量(熱量B+熱量C)が、住宅Hで現時点から1時間が経過するまでの間に必要な熱量A以上であれば(ステップS302:YES)、その差分となる熱量を共用貯湯タンク240へと移動させる(ステップS303)。こうして、住宅Hにおいて、必要な熱量が不足することなく、余剰する熱量を共用貯湯タンク240へ移動させることができる。このように、短期用第二住宅制御において、住宅Hの貯湯タンク73は、例えば満蓄でなくとも、当該住宅Hで必要のない熱を共用貯湯タンク240へ移動させることができる。
【0162】
次に、図10を用いて、EMS100による短期用第二タンク制御について説明する。
【0163】
短期用第二タンク制御は、共用貯湯タンク240の状態に基づいて行われる制御である。短期用第二タンク制御は、例えば0時から1時間ごとに23時まで行われる。短期用第二タンク制御は、共用貯湯タンク240に蓄えられた熱量に応じて、各住宅Hの燃料電池70の動作を制御するものである。短期用第二タンク制御の内容は短期用第二住宅制御の内容と関連しているため、当該短期用第二タンク制御は、1時間ごとに短期用第二住宅制御が実行されたタイミングで実行される。
【0164】
なお、短期用第二タンク制御の説明においては、予測された1時間ごとの商業施設Sで必要な熱量を「熱量F」、共用貯湯タンク240の熱容量を「熱容量G」、現時点の共用貯湯タンク240の熱量を「熱量H」と、それぞれ称する。
【0165】
ステップS311において、EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄か否かを判定する。EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄であると判定した場合(ステップS311:YES)、ステップS312の処理を実行する。一方、EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄ではないと判定した場合(ステップS311:NO)、ステップS313の処理を実行する。
【0166】
ステップS312において、EMS100は、全ての燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。これにより、全ての燃料電池70は、疑似停電状態を解除し、運転モードを第二自立運転から連系運転へと切り替える。このように、共用貯湯タンク240が満蓄であればそれ以降熱を蓄えることができないため、燃料電池70の疑似停電状態を全て解除して各住宅Hで熱が余剰するのを抑制する。
【0167】
なお、第二自立運転から切り替えられ、連系運転を行う燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果に基づいて発電量を調整する負荷追従運転を行う。EMS100は、ステップS312の処理の後、短期用第二タンク制御を一旦終了する。
【0168】
ステップS313において、EMS100は、現時点の共用貯湯タンク240の熱量Hを取得する。EMS100は、ステップS313の処理の後、ステップS314の処理を実行する。
【0169】
ステップS314において、EMS100は、住宅全戸から発生する余剰熱(以下では「余剰熱E」と称する)を取得する。具体的には、EMS100は、短期用第二住宅制御のステップS303にて算出された熱量D(すなわち、複数の住宅Hのうち一の住宅Hにおける、今後1時間が経過するまでの間に貯湯タンク73に蓄えられる熱量(熱量B+熱量C)と、住宅Hで現時点から1時間が経過するまでの間に必要な熱量Aと、の差分の熱量)を、住宅群A1の全ての住宅H分だけ合計することにより、余剰熱Eを取得する。こうして、余剰熱Eにより現時点から1時間経過するまでの間に住宅群A1(全ての住宅H)から共用貯湯タンク240へと供給される熱量を取得する。EMS100は、ステップS314の処理の後、ステップS315の処理を実行する。
【0170】
ステップS315において、EMS100は、「(H-F+E)/G≧1?」(以下では「条件2」と称する)を満たすか否かを判定する。EMS100は、条件2を満たすと判定した場合(ステップS315:YES)、短期用第二タンク制御を一旦終了する。一方、EMS100は、条件2を満たさないと判定した場合(ステップS315:NO)、ステップS316の処理を実行する。
【0171】
なお、条件2を満たす場合(ステップS315:YES)とは、疑似停電状態となる燃料電池70を少なくとも1台増やすと、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が高いことを示している。そのため、条件2を満たす場合には、疑似停電状態となる燃料電池70を増やすことなく短期用第二タンク制御を一旦終了する。
【0172】
一方、条件2を満たさない場合(ステップS315:NO)とは、疑似停電状態となる燃料電池70を少なくとも1台増やしても、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が低いことを示している。そのため、条件2を満たさない場合には、疑似停電状態となる燃料電池70を増やすべく、ステップS316以降の処理を実行する。
【0173】
ステップS316において、EMS100は、疑似停電状態ではない燃料電池70の総発電量を取得する。なお、総発電量とは、疑似停電状態ではない燃料電池70ごとの、直近の24時間の間に発電された電力の総和を示している。EMS100は、ステップS316の処理の後、ステップS317の処理を実行する。
【0174】
ステップS317において、EMS100は、取得した総発電量に基づいて、前記疑似停電状態ではない燃料電池70に対して、疑似停電状態とするための優先順位を設定する。すなわち、EMS100は、疑似停電状態ではない燃料電池70に対して、総発電量の少ない順番に高い優先順位(他の燃料電池70に優先して疑似停電状態とする順位)を設定する。EMS100は、ステップS317の処理の後、ステップS318の処理を実行する。
【0175】
ステップS318において、EMS100は、所定の燃料電池70に疑似停電指示を行う。具体的には、EMS100は、まず「(G-(H-F)-E)/B=I」の式を用いて、運転可能台数Iを算出する。そして、EMS100は、運転可能台数F分だけ燃料電池70に疑似停電指示を行う。なお、算出された数に小数点が含まれる場合、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制すべく、小数点以下が切り捨てられる。ステップS318の処理の後、短期用第二タンク制御を一旦終了する。
【0176】
このように、短期用第二タンク制御においては、短期用第二住宅制御で算出された結果を反映させることにより、共用貯湯タンク240が満蓄となるのを抑制しつつ、できるだけ多くの燃料電池70を疑似停電状態とし、共用貯湯タンク240が当該燃料電池70から多くの熱を蓄え易くすることができる。
【0177】
次に、長期用特定制御について説明する。
【0178】
長期用特定制御とは、比較的長い時間ごとに繰り返し所定の判定を行って、その判定結果に応じた制御を行うものである。本実施形態においては、比較的長い時間として1日が採用されている。長期用特定制御には、互いの処理の内容の異なる2つの制御が含まれる。具体的には、前記2つの制御には、長期用第一制御と、長期用第二制御と、が含まれる。
【0179】
まず、長期用第一制御について説明する。
【0180】
長期用第一制御には、長期用第一住宅制御と、長期用第一タンク制御と、が含まれる。
【0181】
まず、図11を用いて、EMS100による長期用第一住宅制御について説明する。
【0182】
長期用第一住宅制御は、各住宅Hの燃料電池70に対してそれぞれ行われる制御である。以下では複数の住宅Hのうち一の住宅Hを取りあげて説明するものとする。長期用第一住宅制御は、例えば1日1回、例えば0時に行われる。長期用第一住宅制御は、0時から24時までの間で、燃料電池70の貯湯タンク73の熱を共用貯湯タンク240へ移動させるタイミング(熱量が余剰になる時間)を判定するものである。
【0183】
なお、長期用第一住宅制御の説明においては、予測された1日の住宅Hで必要な熱量を「熱量A」、疑似停電状態で第二自立運転による燃料電池70(発電機72)の発電の1時間あたりに発生する熱容量を「熱容量B」と、現時点(0時)の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量を「熱量C」と、それぞれ称する。
【0184】
ステップS401において、EMS100は、現時点(0時)の燃料電池70の貯湯タンク73の熱量Cを取得する。EMS100は、ステップS401の処理の後、ステップS402の処理を実行する。
【0185】
ステップS402において、EMS100は、「(A-C)/B=D」の式により算出される数Dにより、当日、住宅Hで必要な熱量に対して燃料電池70の発電により蓄えられていく熱量が余剰となる時間を判定する。すなわち、例えば数Dが5.5の場合、0時から5.5時間後に熱量が余剰になると判定することができる。なお、本実施形態においては、算出された数に小数点が含まれる場合、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制すべく、また、住宅Hで必要な熱量に余裕を持たせるべく、小数点以下が切り上げられる。すなわち、上記一例の場合(数Dが5.5の場合)、蓄えられていく熱量が余剰となる時間として、6時間が判定される。EMS100は、ステップS402の処理の後、長期用第一住宅制御を一旦終了する。
【0186】
こうして、長期用第一住宅制御により、EMS100は、住宅群A1の全ての(本実施形態においては、4つの)住宅Hに対して、燃料電池70の発電により蓄えられていく熱量が住宅Hで必要な熱量に対して余剰となる時間(以下では単に「余剰発生時間」と称する)を取得する。
【0187】
上述の如き各ステップの処理は一例であり、適宜変更することができる。例えば、ステップS402では、当日、住宅Hで必要な熱量に対して燃料電池70の発電により蓄えられていく熱量が余剰となる時間を判定するものとしたが、これに限定されない。すなわち、熱量が余剰となる時間ではなく、燃料電池70の貯湯タンク73が満蓄となる時間を判定するものであってもよい。この場合、以降の長期用第一タンク制御においても、余剰となる時間(余剰発生時間)の代わりに、貯湯タンク73が満蓄となる時間が用いられることとなる。
【0188】
次に、図12を用いて、EMS100による長期用第一タンク制御について説明する。
【0189】
長期用第一タンク制御は、共用貯湯タンク240の状態に基づいて行われる制御である。長期用第一タンク制御は、例えば1日1回、例えば0時に行われる。長期用第一タンク制御は、共用貯湯タンク240に蓄えられた熱量や各住宅Hにおける余剰発生時間等に応じて、各住宅Hの燃料電池70の動作を制御するものである。
【0190】
具体的には、各燃料電池70の疑似停電状態を解除する時間を算出し、当該時間になると燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。なお、長期用第一タンク制御の内容は長期第一住宅制御の内容と関連しているため、当該長期用第一タンク制御は、長期用第一住宅制御が実行されたタイミングで実行される。
【0191】
なお、長期用第一タンク制御の説明においては、予測した商業施設Sにおける今後24時間の1時間ごとの熱量(すなわち、商業施設Sで必要とする熱量)を「熱量E1」~「熱量E24」、共用貯湯タンク240の熱容量を「熱容量F」、現時点の共用貯湯タンク240の熱量を「熱量G」と称する。また、燃料電池70について、長期用第一住宅制御にて取得された4つの住宅の余剰発生時間を、余剰熱が発生し始める時間が早い時間から順に「D1」、「D2」、「D3」、「D4」とそれぞれ称する。
【0192】
ステップS411において、EMS100は、全ての燃料電池70に疑似停電指示を行う。EMS100は、ステップS411の処理の後、ステップS412の処理を実行する。
【0193】
ステップS412において、EMS100は、現時点(0時)の共用貯湯タンク240の熱量Gを取得する。EMS100は、ステップS412の処理の後、ステップS413の処理を実行する。
【0194】
ステップS413において、EMS100は、「G-(D1までの熱使用量Eの合計値)≧F?」(以下では「条件3」と称する)を満たすか否かを判定する。EMS100は、条件3を満たすと判定した場合(ステップS413:YES)、ステップS414の処理を実行する。一方、EMS100は、条件3を満たさないと判定した場合(ステップS413:NO)、ステップS415の処理を実行する。
【0195】
ステップS414において、EMS100は、(余剰発生時間)D1で余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行う。すなわち、当該燃料電池70は、疑似停電状態を解除し、運転モードを第二自立運転から連系運転へと切り替える。
【0196】
ここで、上述の如くステップS413にて条件3を満たす場合(ステップS413:YES)は、余剰発生時間D1となったとき、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が高いと想定される。そこで、D1となった場合に燃料電池70の疑似停電状態を解除することにより、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制している。
【0197】
ステップS415において、EMS100は、「G+((D2-D1)×B)-(D2までの熱使用量Eの合計値)≧F?」(以下では「条件4」と称する)を満たすか否かを判定する。EMS100は、条件4を満たすと判定した場合(ステップS415:YES)、ステップS416の処理を実行する。一方、EMS100は、条件4を満たさないと判定した場合(ステップS415:NO)、ステップS417の処理を実行する。
【0198】
ステップS416において、EMS100は、(余剰発生時間)D2で余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行う。すなわち、当該燃料電池70は、疑似停電状態を解除し、運転モードを第二自立運転から連系運転へと切り替える。
【0199】
ここで、上述の如くステップS415にて条件4を満たす場合(ステップS415:YES)は、余剰発生時間D2となったとき、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が高いと想定される。そこで、D2となった場合に燃料電池70の疑似停電状態を解除することにより、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制している。
【0200】
ステップS417において、EMS100は、「G+((D3-D1)×B)+((D3-D2)×B)-(D3までの熱使用量Eの合計値)≧F?」(以下では「条件5」と称する)を満たすか否かを判定する。EMS100は、条件5を満たすと判定した場合(ステップS417:YES)、ステップS418の処理を実行する。一方、EMS100は、条件5を満たさないと判定した場合(ステップS417:NO)、ステップS419の処理を実行する。
【0201】
ステップS418において、EMS100は、(余剰発生時間)D3で余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行う。すなわち、当該燃料電池70は、疑似停電状態を解除し、運転モードを第二自立運転から連系運転へと切り替える。
【0202】
ここで、上述の如くステップS417にて条件5を満たす場合(ステップS417:YES)は、余剰発生時間D3となったとき、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が高いと想定される。そこで、D3となった場合に燃料電池70の疑似停電状態を解除することにより、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制している。
【0203】
ステップS419において、EMS100は、「G+((D4-D1)×B)+((D4-D2)×B)+((D4-D3)×B)-(D4までの熱使用量Eの合計値)≧F?」(以下では「条件6」と称する)を満たすか否かを判定する。EMS100は、条件6を満たすと判定した場合(ステップS419:YES)、ステップS420の処理を実行する。一方、EMS100は、条件6を満たさないと判定した場合(ステップS419:NO)、ステップS421の処理を実行する。
【0204】
ステップS420において、EMS100は、(余剰発生時間)D4で全ての燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行う。すなわち、当該燃料電池70は、疑似停電状態を解除し、運転モードを第二自立運転から連系運転へと切り替える。
【0205】
ここで、上述の如くステップS419にて条件6を満たす場合(ステップS419:YES)は、余剰発生時間D4となったとき、共用貯湯タンク240が満蓄になる可能性が高いと想定される。そこで、D4となった場合に全ての燃料電池70の疑似停電状態を解除することにより、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制している。
【0206】
ステップS421において、EMS100は、0時までに、共用貯湯タンク240に蓄えられた熱量が熱容量F以上になるか否かを判定する。EMS100は、0時までに、共用貯湯タンク240に蓄えられた熱量が熱容量F以上になると判定した場合(ステップS421:YES)、ステップS422の処理を実行する。一方、EMS100は、0時までに、共用貯湯タンク240に蓄えられた熱量が熱容量F以上にならないと判定した場合(ステップS421:NO)、長期用第一タンク制御を一旦終了する。
【0207】
ステップS422において、EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄になる時間(D5)を算出する。そして、EMS100は、D5になった場合、全ての燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行う。すなわち、当該燃料電池70は、疑似停電状態を解除し、運転モードを第二自立運転から連系運転へと切り替える。こうして、D5で全ての燃料電池70の疑似停電状態を解除することにより、共用貯湯タンク240が満蓄になるのを抑制している。EMS100は、ステップS422の処理の後、長期用第一タンク制御を一旦終了する。
【0208】
このような構成により、事前に予測した結果に基づいて、全ての燃料電池70の疑似停電状態の解除のタイミングを決定するため、共用貯湯タンク240が満蓄となるのを効果的に抑制することができる。また、このような制御は、1日1回行えばよいため、例えば1時間ごとに行う場合と比べてEMS100の処理が煩雑となるのを抑制することができる。
【0209】
上述の如き各ステップの処理は一例であり、適宜変更することができる。例えば、ステップS416では、EMS100は、D2で、余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行うものとしたが、例えばD2ではなくD1としてもよい。同様に、ステップS418では、EMS100は、D3で、余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行うものとしたが、例えばD3ではなくD2としてもよい。同様に、ステップS420では、EMS100は、D4で、余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行うものとしたが、例えばD4ではなくD3としてもよい。
【0210】
また、例えば、ステップS416では、EMS100は、D2で、余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行うものとしたが、例えばD2以降で、疑似停電状態の燃料電池70の余剰が発生するタイミングで疑似停電解除指示を行うものでもよい。また、ステップS418や、ステップS420でも同様である。また、例えば、ステップS416では、EMS100は、D2で、余剰熱が発生する燃料電池70に対して疑似停電解除指示を行うものとしたが、例えばD2の時点で、全ての疑似停電状態の燃料電池70に疑似停電解除指示を行うものでもよい。また、ステップS418や、ステップS420でも同様である。
【0211】
次に、図13及び図14を用いて、長期用第二制御について説明する。
【0212】
長期用第二制御には、長期用第一住宅制御と、長期用第二タンク制御と、が含まれる。なお、長期用第一住宅制御は上述にて説明を行っているため、以降での説明は省略するものとする。以下では、長期用第二タンク制御について説明する。
【0213】
長期用第二タンク制御は、共用貯湯タンク240の状態に基づいて行われる制御である。長期用第二タンク制御は、例えば1日1回、例えば0時に行われる。長期用第二タンク制御は、共用貯湯タンク240に蓄えられた熱量や各住宅Hにおける余剰発生時間等に応じて、各住宅Hの燃料電池70の動作を制御するものである。
【0214】
具体的には、余剰熱が発生可能な燃料電池70の台数に基づいて疑似停電状態とする燃料電池70の台数を算出し、該当時間になった場合に所定の優先順位に基づいて前記台数分だけ燃料電池70を余剰熱が発生可能な疑似停電状態とするものである。なお、長期用第二タンク制御の内容は長期第一住宅制御の内容と関連しているため、当該長期用第二タンク制御は、長期用第一住宅制御が実行されたタイミングで実行される。
【0215】
なお、疑似停電状態で第二自立運転による燃料電池70(発電機72)の発電の1時間あたりに発生する熱容量を「熱容量B」、長期用第二タンク制御の説明においては、予測した商業施設Sにおける今後24時間の1時間ごとの熱量(すなわち、商業施設Sで必要とする熱量)を「熱量E1」~「熱量E24」、共用貯湯タンク240の熱容量を「熱容量F」、現時点の共用貯湯タンク240の熱量を「熱量G」、余剰熱が発生する燃料電池70の台数を「台数I」と称する。また、燃料電池70について、長期用第一住宅制御にて取得された4つの住宅の余剰発生時間を、余剰熱が発生し始める時間が早い時間から順に「D1」、「D2」、「D3」、「D4」とそれぞれ称する。
【0216】
ステップS511において、EMS100は、全ての燃料電池70に疑似停電指示を行う。EMS100は、ステップS511の処理の後、ステップS512の処理を実行する。
【0217】
ステップS512において、EMS100は、現時点(0時)の共用貯湯タンク240の熱量Gを取得する。EMS100は、ステップS512の処理の後、ステップS513の処理を実行する。
【0218】
ステップS513において、EMS100は、「(F-(G-(D1までの熱使用量Eの合計値)))/B=H」(小数点以下は切り捨て)を算出する。なお、数Hとは、(余剰発生時間)D1の時点で、疑似停電状態の燃料電池70の発電により余剰熱が発生する場合に、共用貯湯タンク240が燃料電池70の何台分の余剰熱を受け入れ可能であるかを示すものである。EMS100は、ステップS513の処理の後、ステップS514の処理を実行する。
【0219】
ステップS514において、EMS100は、余剰熱が発生する燃料電池70の台数Iと、ステップS513で算出した数Hとを比較する。そして、EMS100は、「I>H」であると判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として数Hを設定する。一方、EMS100は、「I>H」ではないと判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として台数Iを設定する。
【0220】
そして、EMS100は、設定された燃料電池70の台数に基づき、当該台数を越える分の燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。なおその場合、EMS100は、取得した総発電量に基づいて疑似停電状態とするための優先順位を設定する。すなわち、EMS100は、現時点において総発電量の少ない順番に高い優先順位(他の燃料電池70に優先して疑似停電状態とする順位)を設定する。こうして、EMS100は、優先順位の低い燃料電池70から順番に疑似停電解除指示を行う。EMS100は、ステップS514の処理の後、ステップS515の処理を実行する。
【0221】
ステップS515において、EMS100は、D2までに発生する余剰熱量Jを算出する。EMS100は、ステップS515の処理の後、ステップS516の処理を実行する。
【0222】
ステップS516において、EMS100は、「(F-(G+J-(D2までの熱使用量Eの合計値)))/B=K」(小数点以下は切り捨て)を算出する。なお、数Kとは、(余剰発生時間)D2の時点で、疑似停電状態の燃料電池70の発電により余剰熱が発生する場合に、共用貯湯タンク240が燃料電池70の何台分の余剰熱を受け入れ可能であるかを示すものである。EMS100は、ステップS516の処理の後、ステップS517の処理を実行する。
【0223】
ステップS517において、EMS100は、余剰熱が発生する燃料電池70の台数Iと、ステップS516で算出した数Kとを比較する。そして、EMS100は、「I>K」であると判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として数Kを設定する。一方、EMS100は、「I>K」ではないと判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として台数Iを設定する。
【0224】
そして、EMS100は、設定された燃料電池70の台数に基づき、当該台数を越える分の燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。なおその場合、EMS100は、ステップS514の処理と同様に、優先順位の低い燃料電池70から順番に疑似停電解除指示を行う。EMS100は、ステップS517の処理の後、ステップS518の処理を実行する。
【0225】
ステップS518において、EMS100は、D3までに発生する余剰熱量Lを算出する。EMS100は、ステップS518の処理の後、ステップS519の処理を実行する。
【0226】
ステップS519において、EMS100は、「(F-(G+J+L-(D3までの熱使用量Eの合計値)))/B=M」(小数点以下は切り捨て)を算出する。なお、数Mとは、(余剰発生時間)D3の時点で、疑似停電状態の燃料電池70の発電により余剰熱が発生する場合に、共用貯湯タンク240が燃料電池70の何台分の余剰熱を受け入れ可能であるかを示すものである。EMS100は、ステップS519の処理の後、ステップS520の処理を実行する。
【0227】
ステップS520において、EMS100は、余剰熱が発生する燃料電池70の台数Iと、ステップS519で算出した数Mとを比較する。そして、EMS100は、「I>M」であると判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として数Mを設定する。一方、EMS100は、「I>M」ではないと判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として台数Iを設定する。
【0228】
そして、EMS100は、設定された燃料電池70の台数に基づき、当該台数を越える分の燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。なおその場合、EMS100は、ステップS514の処理と同様に、優先順位の低い燃料電池70から順番に疑似停電解除指示を行う。EMS100は、ステップS520の処理の後、ステップS521の処理を実行する。
【0229】
ステップS521において、EMS100は、D4までに発生する余剰熱量Nを算出する。EMS100は、ステップS521の処理の後、ステップS522の処理を実行する。
【0230】
ステップS522において、EMS100は、「(F-(G+J+L+N-(D4までの熱使用量Eの合計値)))/B=O」(小数点以下は切り捨て)を算出する。なお、数Oとは、(余剰発生時間)D4の時点で、疑似停電状態の燃料電池70の発電により余剰熱が発生する場合に、共用貯湯タンク240が燃料電池70の何台分の余剰熱を受け入れ可能であるかを示すものである。EMS100は、ステップS522の処理の後、ステップS523の処理を実行する。
【0231】
ステップS523において、EMS100は、余剰熱が発生する燃料電池70の台数Iと、ステップS522で算出した数Oとを比較する。そして、EMS100は、「I>O」であると判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として数Oを設定する。一方、EMS100は、「I>O」ではないと判定した場合には、余剰熱を発生する燃料電池70の台数として台数Iを設定する。
【0232】
そして、EMS100は、設定された燃料電池70の台数に基づき、当該台数を越える分の燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。なおその場合、EMS100は、ステップS514の処理と同様に、優先順位の低い燃料電池70から順番に疑似停電解除指示を行う。EMS100は、ステップS523の処理の後、ステップS524の処理を実行する。
【0233】
ステップS524において、EMS100は、ステップS523の設定により、共用貯湯タンク240が満蓄になるか否かを算出する。EMS100は、共用貯湯タンク240が満蓄になると判定した場合には、満蓄になる時間D5を算出する。EMS100は、ステップS524の処理の後、ステップS525の処理を実行する。
【0234】
ステップS525において、EMS100は、時間D5で、疑似停電状態である全ての燃料電池70に疑似停電解除指示を行う。こうして、第二自立運転から切り替えられて連系運転を行う全ての燃料電池70は、燃料電池センサ71の検出結果に基づいて発電量を調整する負荷追従運転を行う。EMS100は、ステップS525の処理の後、長期用第二タンク制御を一旦終了する。
【0235】
このような構成により、事前に予測した結果に基づいて、全ての燃料電池70の疑似停電状態の解除のタイミングを決定するため、共用貯湯タンク240が満蓄となるのを効果的に抑制することができる。また、このような制御は、1日1回行えばよいため、例えば1時間ごとに行う場合と比べてEMS100の処理が煩雑となるのを抑制することができる。
【0236】
以上の如く、本実施形態に係る熱融通システム200においては、
複数の住宅H(住戸)に設けられた複数の燃料電池70の発電時の熱を融通する熱融通システムであって、
前記複数の燃料電池70に設けられ、当該燃料電池70の発電時の熱を利用して生成される湯水を貯める複数の貯湯タンク73と、
前記複数の住宅H(住戸)とは異なる商業施設S(他の施設)の施設需要部232(熱負荷)と前記複数の貯湯タンク73との間に設けられ、前記複数の貯湯タンク73からの湯水を貯める共用貯湯タンク240(共用タンク)と、
各住宅H(住戸)の住宅需要部221(熱負荷)の必要以上の余剰熱が前記燃料電池70の発電により発生した場合に、当該余剰熱を前記共用貯湯タンク240(共用タンク)へ移動させるEMS100と、
を具備するものである(例えば、図7のステップS203参照)。
【0237】
このような構成により、各住宅Hの貯湯タンク73が仮に満蓄になって余剰熱が発生した場合であっても、余剰熱を共用貯湯タンク240(共用タンク)へ移動させることができる。こうして、各住宅Hの貯湯タンク73が仮に満蓄になっても燃料電池70の発電を行うことができ、さらに熱を融通させることもできる。
【0238】
また、第二自立運転により燃料電池70の発電を継続した場合には、当該燃料電池70を有する住宅Hにおいて必要以上の熱量(余剰した熱量)が発生する場合もあるが、余剰した熱量を融通することができるため、住宅Hの住居者に不要な光熱費が発生するのを抑制することができる。
【0239】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
所定期間ごとの前記商業施設S(他の施設)の熱負荷の必要熱量を予測し、
前記必要熱量に関する予測結果と現時点の前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に貯められた熱量とに基づいて(ステップS215参照)、前記複数の燃料電池70の発電を制御するものである(ステップS218参照)。
【0240】
このような構成により、所定期間ごとの予測結果により、住宅Hの貯湯タンク73が仮に満蓄になって余剰熱が発生した場合であっても、余剰熱を共用貯湯タンク240(共用タンク)へ移動させることができる。こうして、各住宅Hの貯湯タンク73が仮に満蓄になっても燃料電池70の発電を行うことができ、さらに熱を融通させることもできる。なお、「燃料電池70の発電」の制御には、疑似停電指示や疑似停電解除指示を行うことだけでなく、連系運転と自立運転との切り替え等、燃料電池70の発電に関する直接的又は間接的なあらゆる制御が含まれる。
【0241】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
前記必要熱量に関する予測結果と現時点の前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に貯められた熱量とに基づいて、前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に前記燃料電池70の発電時の熱を受け入れる容量があると判断した場合には、
当該容量に対応する台数の前記燃料電池70を発電させるものである。
【0242】
このような構成により、適切な台数の燃料電池70を発電させることができる。
【0243】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
所定期間ごとの前記複数の住宅H(住戸)から余剰する余剰熱量を予測し、
前記余剰熱量に関する予測結果と現時点の前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に貯められた熱量とに基づいて、前記複数の燃料電池70の発電を制御するものである。
【0244】
このような構成により、余剰熱量に関する予測結果と現時点の共用貯湯タンク240(共用タンク)に貯められた熱量とに基づいて、適切に複数の燃料電池70の発電を制御することができる。
【0245】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
前記余剰熱量に関する予測結果と現時点の前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に貯められた熱量とに基づいて、前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に、予測した前記余剰熱量と前記燃料電池70の発電時の熱を受け入れる容量があると判断した場合には、
当該容量に対応する台数の前記燃料電池70を発電させるものである。
【0246】
このような構成により、適切な台数の燃料電池70を発電させることができる。
【0247】
また、本実施形態に係る熱融通システム200においては、
複数の住宅H(住戸)に設けられた複数の燃料電池70の発電時の熱を融通する熱融通システムであって、
前記複数の燃料電池70に設けられ、当該燃料電池70の発電時の熱を利用して生成される湯水を貯める複数の貯湯タンク73と、
前記複数の住宅H(住戸)とは異なる商業施設S(他の施設)の熱負荷と前記複数の貯湯タンク73との間に設けられ、前記複数の貯湯タンク73からの湯水を貯める共用貯湯タンク240(共用タンク)と、
各住宅H(住戸)の熱負荷の必要以上の余剰熱が前記燃料電池70の発電により発生した場合に、当該余剰熱を前記共用貯湯タンク240(共用タンク)へ移動させるEMS100と、
を具備し、
前記EMS100は、
前記住宅H(住戸)ごとに前記余剰熱が発生する時間帯と前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に貯められた熱量を予測し、当該予測結果に基づいて前記複数の燃料電池70の発電を制御するものである。
【0248】
このような構成により、各住宅Hの貯湯タンク73が仮に満蓄になって余剰熱が発生した場合であっても、余剰熱を共用貯湯タンク240(共用タンク)へ移動させることができる。こうして、各住宅Hの貯湯タンク73が仮に満蓄になっても燃料電池70の発電を行うことができ、さらに熱を融通させることもできる。
【0249】
また、第二自立運転により燃料電池70の発電を継続した場合において、当該燃料電池70を有する住宅Hにおいて必要以上の熱量(余剰した熱量)が発生した場合であっても、余剰した熱量を融通することができるため、住宅Hの住居者に不要な光熱費が発生するのを抑制することができる。
【0250】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
所定期間ごとの前記商業施設S(他の施設)の熱負荷の必要熱量を予測することにより、前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に前記燃料電池70の発電時の熱を受け入れる容量がある時間帯を予測し、当該予測結果に基づいて前記複数の燃料電池70の発電を制御するものである。
【0251】
このような構成により、共用貯湯タンク240(共用タンク)に燃料電池70の発電時の熱を受け入れる容量がある時間帯を予測することにより、燃料電池70の発電を適切なタイミングで行うことができる。
【0252】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
前記共用貯湯タンク240(共用タンク)の前記燃料電池70の発電時の熱を受け入れる容量がある時間帯に関する予測結果に基づいて、前記複数の貯湯タンク73から移動してくる熱に対して前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に受け入れる容量が不足していると判断した場合には、
当該不足に対応する台数の前記燃料電池70の発電を停止させるものである。
【0253】
このような構成により、例えば1時間ごとの予測結果を用いることにより、共用貯湯タンク240(共用タンク)の状態に応じて、適切な台数の前記燃料電池70の発電を停止させることができる。
【0254】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
当該不足に対応する台数の前記燃料電池70の発電を段階的に停止させるものである。
【0255】
このような構成により、例えば一度に燃料電池70の発電を停止させるのに比べて、無駄なく共用貯湯タンク240(共用タンク)を活用することができる。
【0256】
また、熱融通システム200においては、
前記EMS100は、
前記共用貯湯タンク240(共用タンク)の前記燃料電池70の発電時の熱を受け入れる容量がある時間帯に関する予測結果に基づいて、前記複数の貯湯タンク73から移動してくる熱に対して前記共用貯湯タンク240(共用タンク)に受け入れる容量が余剰していると判断した場合には、
当該余剰に対応する台数の前記燃料電池70を発電させるものである。
【0257】
このような構成により、例えば1時間ごとの予測結果を用いることにより、共用貯湯タンク240(共用タンク)の状態に応じて、適切な台数の前記燃料電池70を発電させることができる。
【0258】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0259】
また、本実施形態においては、住宅Hや蓄電システム60は4つであるとしたが、これに限定するものではない。すなわち、住宅Hや蓄電システム60は4つ以上であってもよい。また同様に、住宅負荷や商業施設負荷等の数も本実施形態のものに限定されない。
【0260】
例えば、本実施形態において、発電部部は、太陽光を利用して発電するものとしたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
【0261】
また、各種のセンサの配置は、本実施形態に係るものに限定されない。すなわち、EMS100が所望の情報を取得できるならば、各種のセンサの配置は任意に設定することができる。
【0262】
また、本実施形態において、燃料電池70は、固体高分子形燃料電池(PEFC)であるとしたが、これに限定するものではなく、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)等、種々の方式のものを用いることができる。
【0263】
また、本実施形態においては、パワコン63の出力抑制運転はEMS100からの指示により実行されるものとしたが、これに限定するものではない。例えば、パワコン63はEMS100等に指示によらず、常に出力抑制運転を行うものであってもよい。また、パワコン63は、出力される電力が予め設定された所定の値の範囲内となるように、各種のセンサ等から取得した電力に基づいて自身の判断により燃料電池70の発電電力等を抑制する(絞る)ものであってもよい。
【0264】
また、本実施形態においては、パワコン63から出力された電力は、系統電源Kに売却されないように規定されているが、これに限定するものではない。例えば、パワコン63から出力された電力が、例えば燃料電池70が発電を行っておらず、また蓄電池62も放電を行っていない場合(すなわち、パワコン63から出力された電力が、太陽光発電部61の発電電力だけを含む場合)には、系統電源Kに売却可能としてもよい。
【符号の説明】
【0265】
70 燃料電池
73 貯湯タンク
100 EMS
200 熱融通システム
240 共用貯湯タンク
H 住宅
S 商業施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14