(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G11C 29/50 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G11C29/50 150
(21)【出願番号】P 2020128971
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 信二
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】薮内 誠
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-084799(JP,A)
【文献】特開2006-331511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 29/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルと、
前記メモリセルに接続され、リードモードにおいて、前記メモリセルのデータに従って、第1電圧と前記第1電圧とは異なる第2電圧に向かって変化する一対のビット線と、
前記一対のビット線からビット線を指定する指定回路と、
を備え、
テストモードにおいて、前記指定回路によって指定されたビット線に、
前記一対のビット線の長さに依存する配線容量を備える容量素子を接続し、前記指定されたビット線の電圧を、前記第1電圧と前記第2電圧との間の電圧に設定する、半導体装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の半導体装置において、
ライトモードにおいて、前記一対のビット線に、書き込むべきデータに従った電位を供給する書き込み回路を、さらに備え、
前記書き込み回路は、前記指定回路を含み、前記ライトモードにおいて、前記指定回路によって指定されたビット線に、前記第1電圧および前記第2電圧とは異なる第3電圧を供給する、半導体装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の半導体装置において、
前記指定回路は、前記書き込むべきデータの値に従って、前記一対のビット線からビット線を指定する、半導体装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の半導体装置において、
前記第1電圧は、前記第2電圧を基準として、正の電圧であり、前記第3電圧は、前記第2電圧を基準として、負の電圧である、半導体装置。
【請求項5】
請求項
3に記載の半導体装置において、
前記容量素子は、前記指定回路によって指定されたビット線に接続されるべき一方の端子と、モードに応じた電圧が供給される他方の端子とを備え、
前記ライトモードにおいては、前記容量素子の前記他方の端子の電圧は、前記第1電圧から前記第2電圧へ変化し、
前記テストモードにおいては、前記容量素子の前記他方の端子の電圧は、前記第2電圧から前記第1電圧へ変化する、半導体装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の半導体装置において、
前記リードモードおよび前記テストモードにおいて、前記一対のビット線間の電位差を増幅するセンスアンプを、さらに備え、
前記センスアンプは、前記リードモードに比べ前記テストモードのとき、動作開始が遅れる、半導体装置。
【請求項7】
請求項
4に記載の半導体装置において、
前記容量素子は、前記一対のビット線の長さに依存した長さを備え、前記一対のビット線と同じ方に延在する配線対によって形成される前記配線容量と、前記配線対間に接続されたMOS容量とを備え、
前記配線対のうちの一方の配線が、前記指定回路によって指定されたビット線に接続され、
前記配線対のうちの他方の配線には、モードに応じた電圧を前記他方の配線に供給する中間電位制御回路が接続され、
前記テストモードにおいて、前記中間電位制御回路は、前記他方の配線に、前記第2電圧から前記第1電圧に変化する電圧を供給する、半導体装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の半導体装置において、
前記中間電位制御回路は、前記ライトモードにおいて、前記第1電圧から前記第2電圧へ変化する電圧を、前記他方の配線に供給する、半導体装置。
【請求項9】
請求項
2に記載の半導体装置において、
前記テストモードで用いられる信号を生成するDFT制御回路を、さらに備え、
前記DFT制御回路は、前記テストモードにおいて、前記ライトモードのときのデータとは反転論理のデータを前記一対のビット線に与える、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、スタティックランダムアクセスメモリを備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリを備えた半導体装置として、例えば半導体記憶装置が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、メモリセルの動作マージンのテストが行える半導体記憶装置が記載されている。すなわち、特許文献1には、テストモードにおける読み出しの際に、予め電荷を蓄積させたテスト用の固定容量をビット線に接続させ、電荷再分配によりビット線に生じる電位差を検出しにくくすることで、動作マージンの小さなメモリセル等を検出する技術が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている技術は、ダイナミック型メモリ(DRAM)に関するものである。本願発明者らは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAMまたはスタティック型メモリ)のメモリセルの動作マージンのテストを行うために、特許文献1に記載されている技術を、SRAMに転用することを検討した。
【0005】
SRAMにおいては、メモリセルからデータを読み出す場合、初期状態において、メモリセルが接続された一対のビット線対に、例えば電源電圧のプリチャージが行われる。メモリセルが選択されると、メモリセルに格納されているデータに従って、メモリセルを読み出し電流が流れ、ビット線対のうちの一方のビット線の電位が低下する。このとき、他方のビット線をリファレンスビット線とし、一方のビット線との間の電位差を増幅して、選択されたメモリセルのデータが読み出される。
【0006】
動作マージンの小さい、言い換えるならば所望の特性を満たさないメモリセルを検出するため、特許文献1に記載されている技術に従って、テスト用の固定容量を、リファレンスビット線に接続する。これにより、テスト用の固定容量とリファレンスビット線の容量との間で電荷再分配が行われ、リファレンスビット線の電位を低下させることが可能となる。その結果、選択されたメモリセルによって、一方のビット線の電位が低下するときのビット線対間の電位差を小さくすることが可能となり、選択されたメモリセルからのデータの読み取りを行いにくくすることが可能である。所望の特性を満たしていないメモリセルでは、選択されたときの読み出し電流が小さくなるため、例えばビット線対間の電位差が所定の値に到達するまでの時間が長くなり、動作マージンの小さなメモリセルを検出することが可能となる。
【0007】
このように、特許文献1に記載されている技術を、SRAMに転用しても、動作マージンの小さいメモリセルを検出することが可能である。
【0008】
しかしながら、本願発明者らが検討したところ、特許文献1の技術は、例えばコンパイルド(compiled)SRAM技術によって構成されるSRAM(コンパイルドSRAM)では、課題があることが判明した。
【0009】
すなわち、特許文献1の技術では、ビット線に固定容量を接続するため、DRAM等のように、常にビット線の長さが一定であれば、電荷再分配により低下するビット線の電位をほぼ一定にすることが可能であり、DRAM等では有効な技術である。
【0010】
これに対して、コンパイルドSRAM技術では、例えばビット線または/およびワード線の長さが可変である。そのため、例えばビット線長の異なる複数のSRAM間で、同じ固定容量を接続するようにした場合、SRAMによっては、固定容量に過剰の電荷が蓄積されたり、反対に所望量の電荷が蓄積されないことがある。その結果、電荷再分配により、ビット線の電位が大幅に低下したり、反対に所望量低下しないことが考えられる。これにより、例えば、メモリセルが所望の特性を有していても、動作マージンの小さなメモリセルとして検出されてしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施の形態に係る半導体装置は、次のとおりである。
【0012】
すなわち、半導体装置は、メモリセルと、メモリセルに接続され、リードモードにおいて、メモリセルのデータに従って、第1電圧と前記第1電圧とは異なる第2電圧に向かって変化する一対のビット線と、一対のビット線からビット線を指定する指定回路とを備える。ここで、半導体装置は、テストモードにおいて、指定回路によって指定されたビット線に、容量素子を接続し、指定されたビット線の電圧を、第1電圧と第2電圧との間の電位に設定する。
【0013】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0014】
一実施の形態によれば、所望の特性を有していない不良メモリセルを検出することが可能な、SRAMを備える半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係るSRAMの仕様の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るSRAMの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る単位メモリアレイ、単位列選択回路および単位IO制御回路の構成を示す回路図である。
【
図5】実施の形態1に係る中間電位発生回路の動作を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る制御回路の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態1に係る制御回路の構成を示すブロック図である。
【
図8】実施の形態1に係る行選択回路の構成を示すブロック図である。
【
図9】実施の形態1に係るSRAMの動作を示す波形図である。
【
図10】実施の形態1に係るSRAMの動作を示す波形図である。
【
図11】実施の形態1に係るSRAMの動作を示す波形図である。
【
図12】実施の形態1に係るメモリセルの構成を示す回路図である。
【
図13】テスト動作のときのメモリセルの動作を示す波形図である。
【
図14】実施の形態1に係るDFT制御ブロックの動作を示す波形図である。
【
図15】実施の形態2に係る単位メモリアレイ、単位列選択回路および単位IO制御回路の構成を示す回路図である。
【
図16】実施の形態2に係る中間電位発生回路の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、数、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0017】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0018】
以下では、複数のSRAMを備えた半導体装置を例にして、実施の形態を説明する。ここで、複数のSRAMは、コンパイルドSRAM技術によって構成されている。
【0019】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
図1において、1は半導体装置を示している。特に制限されないが、周知の半導体製造技術によって1個の半導体チップに複数の回路ブロックが形成されて、半導体装置1となっている。半導体装置1には、複数の回路ブロックが形成されているが、
図1では、図面が複雑になるのを避けるために、説明に必要な回路ブロックのみが描かれている。
【0020】
図1では、半導体装置1が備える回路ブロックとして、プロセッサ(CPU)ブロック2、画像処理ブロック3、外部インタフェース(I/F)ブロック4、システム制御ブロック5およびテスト(DFT:Design For Test)制御ブロック(DFT制御回路)6が描かれている。
【0021】
CPUブロック2は、CPUコア2Cと、SRAM2S1および2S2とを備えている。CPUコア2Cは、例えばプログラムを実行するとき、SRAM2S1を1次(L1)キャッシュとして使用し、SRAM2S2を2次(L2)キャッシュとして使用する。1次キャッシュとして用いられるSRAM2S1は小容量であるが高速なSRAMである。これに対して、2次キャッシュとして用いられるSRAM2S2は、中容量で中速度のSRAMである。すなわち、SRAM2S2は、SRAM2S1に比べると、記憶容量が大きく、速度が遅くなっている。
【0022】
画像処理ブロック3は、画像処理を行う機能ブロックであり、処理を行う際に使用するSRAM3S1を備えている。半導体装置1の外部と内部との間のインタフェースを提供する外部I/Fブロック4および半導体装置1によって構成されるシステムを制御するシステム制御ブロック5も、画像処理ブロック3と同様に、処理を行う際に使用するSRAM4S1、SRAM5S1を備えている。
【0023】
DFT制御ブロック6は、テスト容易化技術によって構成されたテスト制御ブロックである。DFT制御ブロック6は、後で図面を用いて説明するが、SRAM2S1~5S1をテストするときに、テスト用の信号およびデータを出力する。
【0024】
実施の形態1に係るSRAM2S1~5S1は、コンパイルドSRAMである。すなわち、SRAM2S1~5S1は、コンパイルドSRAM技術によって、各回路ブロック(CPUブロック2、画像処理ブロック3、外部I/Fブロック4、システム制御ブロック5)において実行される処理に対して最適となるように構成されている。特に制限されないが、実施の形態1に係るSRAM2S1~5S1の仕様の一例を、
図2に示す。コンパイルドメモリの構成を示す際、慣用的にwordは1IOに接続されるメモリセル数、bitはIO数、cpbは1IOに接続されるビット線対の数を示す。ワード線はwordをcpbで割った数、ビット線対はbitとcpbを掛けた数だけ存在する。
図2に示されているように、例えばSRAM2S1は、それぞれ512wordx64bitで構成され、動作速度が1GHzとなっており、SRAM2S2は、4096wordx32bitで構成され、動作速度が500MHzとなっている。
【0025】
SRAM2S1~5S1のそれぞれは、行列状に配置された複数のメモリセルと、各行に配置された複数のワード線と、各列に配置された複数のビット線対とを備えたメモリアレイを有している。後で図面を用いて詳しく述べるが、SRAM2S1および2S2を例にして、メモリアレイの一例の概要を述べると、SRAM2S1は512個のメモリセルを持つ64個のIO回路から成り、メモリアレイは128本のワード線と256対のビット線対を備え、各ビット線対に128個のメモリセルが接続されている。これに対して、SRAM2S2は4096個のメモリセルを持つ32個のIO回路から成り、メモリアレイは、512本のワード線と256対のビット線対を備え、各ビット線対に512個のメモリセルが接続されている。接続されているメモリセルの個数が異なるため、SRAM2S1と2S2との間では、ビット線対の長さおよびワード線の長さが異なっている。このように、コンパイルドSRAM技術を用いることにより、使用する部分の要求に合わせたSRAMが、実装されている。
【0026】
<SRAMの構成>
次に、
図1に示したSRAM2S1~5S1の構成を、図面を用いて説明する。前記した説明から理解されるように、ビット線対およびワード線の長さ等は、SRAM2S1~5S1間において異なっているが、基本的な構成は、SRAM2S1~5S1間において同様である。そのため、以下では、1個のSRAM(例えばSRAM2S1)を例にして説明する。
【0027】
図3は、実施の形態1に係るSRAMの構成を示すブロック図である。
【0028】
SRAMは、メモリアレイ10と、行選択回路11と、制御回路12と、列選択回路13と、入出力(IO)制御回路14とを備えている。
図3には、複数の入力データまたは複数の出力データが、実質的に同時に、半導体装置1(
図1)内の他の回路ブロックに対して入出力されるSRAMが示されている。
図3に示した例では、3ビットの入力データD[0]~D[2]または3ビットの出力データQ[0]~Q[2]が、実質的に同時に入力または出力される。
【0029】
SRAMには、半導体装置1(
図1)に形成された他の回路ブロックから、クロック信号CLK、アドレス信号AD[3:0]、イネーブル信号CEN、ライトイネーブル信号WENおよびテストイネーブル信号TEが、供給される。クロック信号CLKは、同期クロック信号であり、SRAMは、このクロック信号CLKに同期して動作する。また、イネーブル信号CENによって、SRAMが、イネーブル状態にされ、ライトイネーブル信号WENによってライトモードが、SRAMに設定された場合、他の回路ブロックから入力データD[0]~D[2]が供給され、書き込みが行われる。一方、ライトイネーブル信号WENによって、リードモードが、SRAMに設定された場合、SRAMからデータが読み出され、出力データQ[0]~Q[2]として、他の回路ブロックに供給される。
【0030】
制御回路12には、クロック信号CLK、アドレス信号AD[3:0]、イネーブル信号CEN、ライトイネーブル信号WENおよびテストイネーブル信号TEが供給され、これらの信号に基づいて、制御回路12は、複数の信号を形成する。なお、アドレス信号ADにおける符号[3:0]は、アドレス信号ADが4ビット(アドレス信号AD[0]~AD[3])で構成されていることを示している。
【0031】
制御回路12が形成する信号のうち、行アドレス信号RA[0]~RA[3]および制御信号RGA[0]、RGA[1]は、行選択回路11に供給される。また、制御回路12により形成された列アドレス信号CA[0]~CA[1]は、列選択回路13に供給される。さらに、制御回路12により形成されたライト制御信号WTE、リード制御信号RDE、センスアンプ制御信号SAE、ブースト制御信号BOOSTおよびバイアスモード制御信号BIASMODEは、IO制御回路14に供給される。制御回路12の詳しい構成の一例を、後で図面を用いて説明するので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0032】
行選択回路11は、メモリアレイ10に配置されたワード線WL[0]~WL[7]に接続されている。行選択回路11も後で、図面を用いて一例を示すが、行選択回路11は、行アドレス信号RA[0]~RA[3]および制御信号RGA[0]~RGA[1]に基づいて、メモリアレイ10に配置されたワード線WL[0]~WL[7]から、行アドレス信号RA[0]~RA[3]によって指定されたワード線を選択する。
【0033】
列選択回路13は、メモリアレイ10に配置された複数のビット線対に接続され、列アドレス信号CA[0]~CA[1]によって指定されたビット線対を選択する。
【0034】
IO制御回路14は、列選択回路13によって選択されたビット線対が接続される。このIO制御回路14には、ライト制御信号WTE、リード制御信号RDE、センスアンプ制御信号SAE、ブースト制御信号BOOSTおよびバイアスモード制御信号BIASMODEが供給され、入力データD[0]~D[2]の入力および出力データQ[0]~Q[2]の出力を行う。
【0035】
メモリアレイ10は、マトリクス(行列)状に配置された複数のメモリセルMCと、マトリクスの各行に配置された複数のワード線WL[0]~WL[7]と、マトリクスの各列に配置された複数のビット線対BL[0]、/BL[0]~BL[1]、/BL[1]とを備えている。
【0036】
メモリセルMCは、ラッチ回路を構成するように交差接続された2個のインバータと、ラッチ回路の入出力部とデータ入出力端子/ni、niとの間に接続せれた転送用トランジスタNTT1、NTT2とを備えている。実施の形態1では、トランジスタとして、電界効果型トランジスタ(MOSFET)が用いられている。転送用トランジスタNTT1、NTT2のゲート電極は、メモリセル選択端子ns1、ns2を介して、当該メモリセルが配置された行に配置されているワード線に接続され、当該メモリセルのデータ入出力端子/ni、niは、当該メモリセルが配置された列に配置されているビット線対に接続されている。
【0037】
実施の形態1においては、メモリアレイ10に配線対TL、/TLが配置されている。配線対TL、/TLは、メモリアレイ10において、ビット線対BL、/BLと平行で、ビット線対BL、/BLと同じ方向に延在するように配置されている。また、配線対TL、/TLの長さは、ビット線対BL、/BLと実質的に同じになっている。また、配線対TL、/TLの一方の端部は、IO制御回路14に接続されている。実施の形態1においては、配線対TL、/TLは、絶縁物を介して半導体チップ上に形成され、さらに配線(他方の配線)TLと配線(一方の配線)/TLとが電気的に分離されるように、配線TLと配線/TLとの間にも絶縁物が介在している。特に制限されないが、配線対TL、/TLは、絶縁物を介して半導体チップ上に形成された金属配線によって構成されている。
【0038】
実施の形態1においては、メモリアレイ10、列選択回路13およびIO制御回路14は、入力データおよび出力データに対応した複数の単位メモリアレイ、複数の単位列選択回路および複数の単位IO制御回路によって構成されている。
図3に示した例では、3個の単位メモリアレイ10[0]~10[2]によって、メモリアレイ10が構成され、3個の単位列選択回路13[0]~13[2]によって、列選択回路13が構成され、3個の単位IO制御回路14[0]~14[2]によって、IO制御回路14が構成されている。また、前記した配線対TL、/TLは、それぞれの単位メモリアレイに配置され、対応する単位IO制御回路に接続されている。
【0039】
単位メモリアレイ、単位列選択回路および単位IO制御回路のそれぞれは、互いに同様な構成であるため、以下では、入力データD[0]および出力データQ[0]に対応する単位メモリアレイ10[0]、単位列選択回路13[0]および単位IO制御回路14[0]を代表として、説明する。
【0040】
<<回路構成>>
次に、単位メモリアレイ10[0]、単位列選択回路13[0]および単位IO制御回路14[0]の構成を、図面を用いて説明する。
図4は、実施の形態1に係る単位メモリアレイ、単位列選択回路および単位IO制御回路の構成を示す回路図である。
【0041】
<<<単位メモリアレイおよび単位列選択回路>>>
図3では、ワード線として、WL[0]~WL[7]が示されていたが、
図4では、1本のワード線WL[n]が代表として示されている。また、
図3では、メモリセルMC内のラッチ回路が交差接続のインバータによって示されていたが、
図4では、インバータを構成するPチャンネル型MOSFET(以下、P型FET)MP1、MP2とNチャンネル型MOSFET(以下、N型FET)MN1、MN2が明示されている。すなわち、P型FETMP1(MP2)とN型FETMN1(MN2)とが、電源電圧(第1電圧)Vddと接地電圧(第2電圧)Vssとの間で直列的に接続されることによって、インバータが構成されている。
【0042】
メモリセルMCを選択するとき、ワード線WL[n]はハイレベル(電源電圧Vdd)となり、非選択とするとき、ワード線WL[n]はロウレベル(接地電圧Vss)となる。同様に、ビット線対を選択するとき、列アドレス信号CA[0]またはCA[1]はハイレベルとなり、ビット線対を非選択とするとき、列アドレス信号CA[0]または/およびCA[1]はロウレベルとなる。
【0043】
相補関係にあるビット線対BL[0]、/BL[0]には、プリチャージ回路PCH1が接続されている。
図4では、プリチャージ回路PCH1は、ビット線対BL[0]、/BL[0]と電源電圧Vddとの間に接続されたP型FETMP3、MP4と、ビット線対BL[0]、/BL[0]間に接続されたP型FETMP5とを備えている。実施の形態1に係るSRAMにおいては、ビット線対が非選択のとき、ビット線対はプリチャージされる。
【0044】
ビット線対BL[0]、/BL[0]が非選択のとき、列アドレス信号CA[0]はロウレベルとなるため、P型FETMP3、MP4がオン状態となり、ビット線対BL[0]、/BL[0]は、電源電圧Vddにプリチャージされる。また、このとき、P型FETMP5によって、ビット線BL[0]とビット線/BL[0]との間が短絡され、ビット線対BL[0]、/BL[0]間の電位差が低減される。なお、
図4では、プリチャージ回路PCH1は、単位メモリアレイ10[0]に配置されているように、描かれているが、これに限定されず、例えば単位列選択回路13[0]に配置されるようにしてもよい。
【0045】
単位列選択回路13[0]は、複数のビット線対に対して共通のコモンビット線対CBL、/CBLと、ビット線対BL[0]、/BL[0]、BL[1]、/BL[1]との間に接続されたN型FETMN3、MN4およびP型FETMP6、MP7と、インバータIV1とを備えている。ビット線対BL[0]、/BL[0]を例にして述べると、N型FETMN3とP型FETMP6のソース・ドレインパスが、ビット線/BL[0]とコモンビット線/CBLとの間で並列的に接続されている。同様に、N型FETMN4とP型FETMP7のソース・ドレインパスが、ビット線BL[0]とコモンビット線CBLとの間で並列的に接続されている。ビット線対BL[0]、/BL[0]を選択するために、列アドレス信号CA[0]が、ハイレベルとなることにより、N型FETMN3、MN4およびP型FETMP6、MP7がオン状態となり、ビット線対BL[0]、/BL[0]とコモンビット線対CBL[0]、/CBL[0]とが電気的に接続される。なお、ビット線対BL[0]、/BL[0]が非選択の場合には、N型FETMN3、MN4およびP型FETMP6、MP7がオフ状態となり、ビット線対BL[0]、/BL[0]とコモンビット線対CBL[0]、/CBL[0]との間は電気的に分離される。
【0046】
<<<単位IO制御回路>>>
単位IO制御回路13[0]は、プリチャージ回路PCH2、センスアンプSA、書き込み回路WCKおよび中間電位発生回路IVG1を備えている。
【0047】
プリチャージ回路PCH2は、P型FETMP12~MP14によって構成され、コモンビット線対CBL、/CBLと電源電圧Vddとの間に接続されている。ここで、P型FETMP12およびMP13は、電源電圧Vddとコモンビット線対/CBL、CBLとの間に接続され、P型FETMP14は、コモンビット線対/CBL、CBL間に接続されている。P型FETMP12~MP14は、オア(OR)回路LG3の出力によって制御される。オア回路LG3には、ライト制御信号WTE、センスアンプ制御信号SAEおよびリード制御信号RDEが供給される。これにより、選択されたメモリセルからデータを読み出すリードモード、選択されたメモリセルにデータを書き込むライトモードおよびメモリセルのテストを行うテストモードでは、P型FETMP12~MP14はオフ状態となり、それ以外のときに、P型FETMP12~MP14がオン状態となり、コモンビット線対/CBL、CBLは電源電圧Vddにプリチャージされるとともに、コモンビット線対間の電位差が減少される。
【0048】
センスアンプSAは、P型FETMP15、MP16と、N型FETMN9~MN11と、ラッチ回路LTHと、インバータIV8とを備えている。P型FETMP15とN型FETMN9とによってインバータSIV1が構成され、P型FETMP16とN型FETMN10とによってインバータSIV2が構成されている。インバータSIV1とSIV2とは交差接続されている。すなわち、インバータSIV1の入力は、インバータSIV2の出力に接続され、インバータSIV2の入力は、インバータSIV1の出力に接続されている。
【0049】
また、インバータSIV1の入力は、コモンビット線CBLに接続され、インバータSIV2の入力は、コモンビット線/CBLに接続されている。さらに、P型FETMP15、MP16のソースは、電源電圧Vddに接続され、N型FETMN9、MN10のソースは、センスアンプ制御信号SAEによって制御されるN型FETMN11を介して接地電圧Vssに接続されている。ラッチ回路LTHは、コモンビット線CBLに接続され、センスアンプ制御信号SAEによって制御される。また、ラッチ回路LTHの出力が、インバータIV8を介して、出力データQ[0]として出力される。
【0050】
センスアンプ制御信号SAEがハイレベルとなることにより、交差接続されたインバータSIV1、SIV2は、コモンビット線対CBL、/CBL間の電位差を増幅するように動作する。ラッチ回路LTHは、増幅されたコモンビット線CBLの電圧を論理値としてラッチする。これにより、ラッチ回路LTHにラッチされた論理値が、インバータIV8により論理反転され、出力データQ[0]として出力される。
【0051】
書き込み回路WCKは、入力データD[0]とライト制御信号WTEが供給されるアンド(AND)回路LG2と、インバータIV3によって反転された入力データD[0]とライト制御信号WTEが供給されるアンド(AND)回路LG1と、インバータIV2と、N型FETMN5~MN8と、P型FETMP8~MP11、MP17とを備えている。
【0052】
N型FETMN7とP型FETMP10とは、バイアスノードBIAS_NodeとP型FETMP17を介して電源電圧Vddとの間で直列的に接続されている。N型FETMN7とP型FETMP10との間の接続ノードn7_10は、N型FETMN5とP型FETMP8を介して、コモンビット線/CBLに接続されている。同様に、N型FETMN8とP型FETMP11も、バイアスノードBIAS_NodeとP型FETMP17を介して電源電圧Vddとの間で直列的に接続されている。N型FETMN8とP型FETMP11との間の接続ノードn8_11は、N型FETMN6とP型FETMP9を介して、コモンビット線CBLに接続されている。
【0053】
N型FETMN5、MN6のゲートにはライト制御信号WTEが供給され、インバータIV2によってライト制御信号WTEが論理反転され、反転されたライト制御信号WTEが、P型FETMN8、MN9のゲートに供給されている。N型FETMN5(MN6)とP型FETMN10(MP11)は、ソース・ドレインパスが、並列となるように接続されている。そのため、N型FETMN5(MN6)とP型FETMN10(MP11)は、ライト制御信号WTEに従って、コモンビット線対/CBL、CBLを接続ノードn7_10、n8_11に選択的に接続する転送ゲート回路として機能する。すなわち、当該転送ゲートは、ライト制御信号WTEがハイレベルとなることにより、コモンビット線対/CBL、CBLを接続ノードn7_10、n8_11に電気的に接続する。
【0054】
N型FETMN7およびP型FETMP10のゲートには、アンド回路LG1からの出力信号CBWが供給され、N型FETMN8およびP型FETMP11のゲートには、アンド回路LG2からの出力信号CTWが供給される。これにより、ライト制御信号WTEが、ハイレベルのとき、入力データD[0]の論理値に従って、N型FETMN7またはP型FETMP10がオン状態となり、コモンビット線/CBLは、バイアスノードBIAS_NodeまたはP型FETMP17を介して電源電圧Vddに、電気的に接続されることになる。同様に、入力データD[0]の論理値に従って、N型FETMN8またはP型FETMP11がオン状態となり、コモンビット線CBLも、バイアスノードBIAS_NodeまたはP型FETMP17を介して電源電圧Vddに、電気的に接続されることになる。
【0055】
ライトモードおよびテストモードにおいては、出力信号CTWは、入力データD[0]と同じ論理値になり、出力信号CBWは、入力データD[0]に対して反転した論理値となる。また、P型FETMP17は、バイアスノードBIAS_Nodeの電位によってオン状態またはオフ状態に制御される。後で説明するが、ライトモードにおいては、バイアスノードBIAS_Nodeの電位は、接地電圧Vssまたは接地電圧Vssよりも低い負の電位となる。これに対して、テストモードでは、バイアスノードBIAS_Nodeの電位は、電源電圧Vddに近い電位となる。これにより、ライトモードにおいては、P型FETMP17はオン状態となり、P型FETMP17を介して電源電圧VddがP型FETMP10、MP11に供給される。これに対して、テストモードでは、P型FETMP17はオフ状態となるため、P型FETMP10、MP11およびMP17が接続されたノードはハイインピーダンス状態となる。
【0056】
そのため、ライトモードにおいては、入力データD[0]の論理値に従って、例えばコモンビット線CBLが、電源電圧Vddに接続された場合、コモンビット線/CBLは、バイアスノードBIAS_Nodeに接続されることになる。これにより、例えばライトモードにおいて、書き込み回路WCKは、入力データD[0]の論理値に従って、選択されたビット線対(例えばBL[0]、/BL[0])におけるビット線間に異なる電位を供給することが可能となり、入力データD[0]をメモリセルに書き込むことが可能となる。
【0057】
中間電位発生回路IVG1は、N型FETMN13、MN14と、前記した配線対TL、/TLと、インバータIV4~IV7と、ハイインピーダンス出力可能なインバータCIV1、CIV2とを備えている。インバータCIV1、CIV2は、制御ノードnc、/ncを備えており、制御ノードnc(/nc)にロウレベル(ハイレベル)が供給されることにより、入力とは無関係に、出力をハイインピーダンス状態にし、制御ノードnc(/nc)にハイレベル(ロウレベル)が供給されることにより、入力を反転して出力するインバータである。このようなインバータCIV1、CIV2としては、例えばクロックドインバータを用いることができる。
【0058】
図4において、MTCは、配線TLと配線/TLとの間に形成される容量(配線容量)を示している。また、N型FETMN12は、そのソースとドレインが配線/TLに接続され、そのゲートが配線TLに接続されている。これにより、N型FETMN12によってMOS容量が構成され、MOS容量は、配線TLと配線/TLとの間に接続されることになる。すなわち。実施の形態1では、配線TLと配線/TLとの間に、等価的に2個の容量素子が接続されている。容量素子は、一対の端子を備えているが、配線/TLに接続されている端子を、容量素子の一方の端部と見なし、配線TLに接続されている端子を容量素子の他方の端子と見なすことができる。
【0059】
また、配線/TLは、N型FETMN13のドレインに接続され、N型FETMN13のソースは、接地電圧Vssに接続されている。配線/TLとN型FETMN13との間の接続ノードに、前記したバイアスノードBIAS_Nodeが接続されている。
【0060】
インバータIV4~IV7とインバータCIV1、CIV2とによって、ブースト制御信号BOOSTを、論理値を反転せずに、配線TLに伝達するか、論理値を反転して、配線TLに伝達するかを切り替える切り替え回路が構成されている。この切り替えは、バイアスモード制御信号BIASMODEによって制御される。すなわち、ブースト制御信号BOOSTは、インバータIV7によって反転され、反転されたブースト制御信号BOOSTが、インバータCIV2の入力に供給されるとともに、インバータIV6を介してインバータCIV1の入力に供給される。これにより、インバータCIV2の入力には、反転されたブースト制御信号が供給され、インバータCIV1の入力には、ブースト制御信号BOOSTと同相の制御信号が供給されることになる。
【0061】
インバータCIV1の制御ノードncには、バイアスモード制御信号BIASMODEが供給され、インバータCIV2の制御ノードncには、インバータIV5によって反転されたバイアスモード制御信号BIASMODEが供給される。これにより、バイアスモード制御信号BIASMODEのレベル(論理値)に従って、インバータCIV1およびCIV2のいずれか一方の出力は、ハイインピーダンス状態となり、そのとき、他方のイバータは、入力を反転して出力することになる。
【0062】
インバータCIV1およびCIV2の出力は、インバータIV4を介して、配線TLに供給される。以下の説明では、配線TLにおいて、N型FETMN12のゲートが接続された部分を、ブーストノードBOOST_Nodeとして説明する。また、N型FETMN13のゲートには、インバータIV7によって反転されたブースト制御信号BOOSTが供給されている。
【0063】
後で詳しく説明するが、テストモードにおいては、N型FETMN13がオフ状態とされる。このとき、バイアスモード制御信号BIASMODEをハイレベルにしておくことにより、ブースト制御信号BOOSTの上昇に伴って、ブーストノードBOOST_Nodeも電源電圧Vddに向かって上昇する。配線TLと配線/TLとの間は、容量(配線容量MTCとMOS容量)で結合されているため、配線/TLおよび配線/TLに接続されたバイアスノードBIAS_Nodeも上昇し、電源電圧Vddよりもやや低めの電圧まで昇圧されることになる。このとき、バイアスノードBIAS_Nodeは、入力データD[0]に従って、N型FETMN8またはMN7および単位列選択回路内の転送ゲートを介して、ビット線CBLまたは/CBLに接続されている。
【0064】
そのため、電荷再分配によって、バイアスノードBIAS_Nodeが接続されているビット線の電位が、プリチャージされた電源電圧Vddよりも低下することになる。すなわち、ビット線の電位が、電源電圧Vddと接地電圧Vssとの間の中間電位となる。テストモードにおいては、この中間電位と、選択されたメモリセルを流れる読み出し電流によって変化するビット線の電位とが、センスアンプSAにより比較され、メモリセルの判定が行われる。
【0065】
実施の形態1においては、配線対TL、/TLの長さが、ビット線対の長さに依存している。これにより、コンパイルドSRAM技術によって、ビット線長を変化させた場合、それに合わせて電荷再分配に寄与する配線容量MTCの容量値が変化することになる。すなわち、配線容量MTCの容量値は、ビット線の配線長に依存して変化することになる。その結果、テストモードにおいて、メモリセルの特性を誤判定するのを低減することが可能である。
【0066】
また、中間電位発生回路IVG1は、ライトモードにおいて、書き込み回路WCKの一部として機能することになる。ライトモードにおいては、バイアスモード制御信号BIASMODEをロウレベルにする。ブースト制御信号BOOSTを接地電圧Vssから電源電圧Vddに変化させると、ブーストノードBOOST_Nodeの電位は、電源電圧Vddから接地電圧Vssに向かって変化する。配線TLと配線/TLとの間に容量があるため、ブーストノードBOOST_Nodeの電位変化により、バイアスノードBIAS_Nodeの電位は、接地電圧Vssよりも低い負の電位(第3電圧)に向かって変化することになる。これにより、ライトモードにおいては、書き込み回路WCKから選択されたビット線対に対して、接地電圧Vssを基準にして正の電圧である電源電圧Vddと、接地電圧Vssを基準にして負の電圧を供給することが可能となり、確実に入力データを選択メモリセルに書き込むことが可能となる。すなわち、実施の形態1によれば、専有面積の増加を抑制しながら、書き込みをアシストする機能を備えた書き込み回路を提供することが可能である。
【0067】
図5は、実施の形態1に係る中間電位発生回路IVG1の動作を示す図である。同図には、バイアスモード制御信号BIASMODEと、ブースト制御信号BOOSTと、ブーストノードBOOST_NodeおよびバイアスノードBIAS_Nodeの電位との関係が示されている。
【0068】
バイアスモード制御信号BIASMODEが論理値“1”で、ブースト制御信号BOOTが論理値“1”になれば、前記したように、ブーストノードBOOST_Nodeの電位は、接地電圧Vssに変化し、バイアスノードBIAS_Nodeの電位は、中間電位となる。また、バイアスモード制御信号BIASMODEが論理値“0”で、ブースト制御信号BOOTが論理値“1”になれば、前記したように、ブーストノードBOOST_Nodeの電位は、接地電圧Vssに変化し、バイアスノードBIAS_Nodeの電位は、負電位となる。
【0069】
これに対して、バイアスモード制御信号BIASMODEおよびブースト制御信号BOOTが、ともに論理値“0”であれば、ブーストノードBOOST_Nodeの電位は、電源電圧Vddに変化し、バイアスノードBIAS_Nodeの電位は、N型FETMN13のオン状態により、接地電圧Vssとなる。また、バイアスモード制御信号BIASMODEが、論理値“1”で、ブースト制御信号BOOTが、論理値“0”であれば、ブーストノードBOOST_NodeおよびバイアスノードBIAS_Nodeの電位は、接地電圧Vssとなる。
【0070】
<<制御回路および行選択回路の構成>>
次に、
図1に示した行選択回路11および制御回路12の構成例を説明する。
図6および
図7は、実施の形態1に係る制御回路の構成を示すブロック図である。また、
図8は、実施の形態1に係る行選択回路の構成を示すブロック図である。
【0071】
制御回路12は、
図6に示すように、フリップフロップ12F1~12F3と、バッファ群(直列接続された複数のバッファ)12BFG1~12BFG3と、論理ゲート12LG1~12LG10と、バッファ12BF1と、プリデコーダP_DECとを備えている。
【0072】
フリップフロップ12F1~12F3は、クロック信号CLKに同期して、入力を取り込み、保持するとともに出力する。すなわち、フリップフロップ12F1は、アドレス信号AD[3:0]を取り込み、内部アドレス信号ADL[3:0]を出力し、フリップフロップ12F2は、ライトイネーブル信号WENを取り込み、内部ライトイネーブル信号WENLを出力する。また、フリップフロップ12F3は、テストイネーブル信号TEを取り込み、内部テスト信号TELを出力する。
【0073】
論理ゲート(アンド)12LG1には、イネーブル信号CENとクロック信号CLKとが供給され、論理ゲート12LG1は、クロック信号CLKに同期した内部イネーブル信号CK1を出力する。内部イネーブル信号CK1は、論理ゲート(アンド)12LG2に供給され、論理ゲート12LG2から内部制御信号TDECが出力される。内部制御信号TDECと、内部テスト信号TELは、バッファ群12BFG1、12BFG2および論理ゲート12LG3、12LG4によって構成された組み合わせ論理回路に供給され、この組み合わせ論理回路の出力信号が内部制御信号BACKとして、論理ゲート12LG2に供給されている。前記したセンスアンプ制御信号SAEは、内部制御信号BACKと、内部テスト信号TELと、内部ライトイネーブル信号WENLに基づいて、論理ゲート12LG7および12LG8により構成された組み合わせ論理回路によって形成される。
【0074】
前記したリード制御信号RDEは、内部制御信号TDECと内部ライトイネーブル信号WENLとに基づいて、論理ゲート12LG5により形成され、前記したライト制御信号WTEは、内部制御信号TDECと内部ライトイネーブル信号WENLとに基づいて、論理ゲート12LG6により形成される。
【0075】
前記したバイアスモード制御信号BIASMODEは、内部テスト信号TELに基づいて、バッファ12BF1により形成される。また、前記したブースト制御信号BOOSTは、内部テスト信号TELと、内部制御信号TDECと、内部ライトイネーブル信号WENLとに基づいて、バッファ群12BFG3、論理ゲート12LG9~12LG11により構成された組み合わせ論理回路によって形成される。
【0076】
プリデコーダP_DECには、内部アドレス信号ADL[3:0]と内部制御信号TDECが供給される。このプリデコーダP_DECは、
図7に示すように、論理ゲートD_LG1~D_LG8を備えており、論理ゲートD_LG1~D_LG8によって、内部アドレス信号ADL[3:0]と内部制御信号TDECとに基づいて、行アドレス信号RA[3:0]と、列アドレス信号CA[1:0]と、制御信号RGA[1:0](RGA[0]、RGA[1])とが形成される。
【0077】
また、行選択回路11は、
図8に示すように、ワード線WL[0]~WL[7]に、その出力が接続された論理ゲート11LG1~11LG8によって構成され、行アドレス信号RA[0]~RA[3]と制御信号RGA[0]、RGA[1]とに基づいて、行アドレス信号RA[3:0]によって指定されるワード線にハイレベルを供給する。
【0078】
なお、
図6および
図7において、論理ゲートの入力側に付された〇印は、論理反転を表している。
【0079】
<SRAMの動作例>
次に、実施の形態1に係るSRAMの動作を、図面を用いて説明する。
図9~
図11は、実施の形態1に係るSRAMの動作を示す波形図である。なお、以下の説明では、SRAMの構成を示した
図3~
図6等も参照する。
【0080】
<<読み出し動作>>
図9を用いて、リードモードにおける読み出し(Read)動作を説明する。イネーブル信号CENがイネーブル状態を示すロウレベルで、ライトイネーブル信号WENが読み出しを示すハイレベルで、テストイネーブル信号TEがテスト状態でないことを示すロウレベルとなることで、読み出し動作が指示される。ここでは、アドレス信号AD[3:0]によって、ワード線WL[n]とビット線対BL[0]、/BL[0]とが選択されるものとする。
【0081】
図6に示した制御回路12の構成および
図5から理解されるように、イネーブル信号CENおよびテストイネーブル信号TEが、ロウレベルとなり、ライトイネーブル信号WENがハイレベルとなることにより、ブースト制御信号BOOSTおよびバイアスモード制御信号BIASMODEは、
図9に示すようにロウレベルとなる。また、センスアンプ制御信号SAEは、テストイネーブル信号TEがロウレベルとなっているため、
図6に示した内部テスト信号TELがロウレベルとなっているため、クロック信号CLKが変化した後、主にバッファ群12BFG1によって定まる時間だけ遅れて、ロウレベルからハイレベルに変化することなる。
【0082】
ライトイネーブル信号WENのハイレベルにより、ライト制御信号WTEはロウレベルとなる。その結果、転送ゲートを構成するN型FETMN5、MN6およびP型FETMP8、MP9はオフ状態となり、書き込み回路WCKは、コモンビット線対CBL、/CBLから電気的に分離される。
【0083】
ビット線対BL[0]、/BL[0]を選択するために、列アドレス信号CA[0]がハイレベルに変化することにより、ビット線対BL[0]、/BL[0]とコモンビット線対CBL、/CBLとの間に接続された転送ゲートを構成するN型FETMN3、MN4およびP型FETMP6、MP7がオン状態となる。このとき、同じくにビット線対BL[0]、/BL[0]に接続されたプリチャージ回路PCH1を構成するP型FETMP3~MP5はオフ状態となる。その結果、選択されたビット線対に対するプリチャージが終了し、選択されたビット線対は、コモンビット線対に接続されることになる。また、読み出し動作では、リード制御信号RDEがハイレベルとなるため、プリチャージ回路PCH2によるコモンビット線対CBL、/CBLへのプリチャージも終了する。
【0084】
選択されたワード線WL[n]と選択されたビット線対BL[0]、/BL[0]に接続されたメモリセル(選択されたメモリセル:選択メモリセル)における読み出し電流によって、ビット線BL[0]または/BL[0]の電位が、プリチャージされた電位から次第に低下することになる。この電位の低下によって、転送ゲートを介してビット線対BL[0]、/BL[0]に接続されたコモンビット線対CBL、/CBLのいずれか一方のコモンビット線もプリチャージされた電位から次第に低下する。
図9において、CBLは、コモンビット線CBLの電位を示し、/CBLは、コモンビット線/CBLの電位を示している。
【0085】
センスアンプ制御信号SAEがハイレベルになることにより、N型FETMN11がオン状態となり、センスアンプSAは、コモンビット線対CBL、/CBL間の電位差を広げるように、増幅する。ラッチ回路LTHは、センスアンプSAによって増幅されたコモンビット線CBLにおける電位を論理値として保持する。ラッチ回路LTHに保持された論理値は、インバータIV8から出力データQ[0]として読み出される。
【0086】
<<書き込み動作>>
図10を用いて、ライトモードにおける書き込み(Write)動作を説明する。イネーブル信号CENがロウレベルで、ライトイネーブル信号WENが書き込みを示すロウレベルで、テストイネーブル信号TEがロウレベルとなることで、書き込み動作が指示される。読み出し動作のときと同様に、アドレス信号AD[3:0]によって、ワード線WL[n]とビット線対BL[0]、/BL[0]とが選択されるものとする。
【0087】
ライトイネーブル信号WENとテストイネーブル信号TEがロウレベルであるため、
図6に示した制御回路12の構成から理解されるように、センスアンプ制御信号SAEは、
図10に示すようにロウレベルとなる。また、ライトイネーブル信号WENのロウレベルに応答して内部ライトイネーブル信号WENLがロウレベルとなることにより、リード制御信号RDEがハイレベルとなり、プリチャージ回路PCH2によるコモンビット線対CBL、/CBLへのプリチャージは終了する。このとき、選択されたビット線対BL[0]、/BL[0]に対するプリチャージ回路PCH1によるプリチャージも、読み出し動作のときと同様に終了している。また、選択されたビット線対BL[0]、/BL[0]は、読み出し動作のときと同様に、転送ゲートを介して、コモンビット線対CBL、/CBLと電気的に接続されている。
【0088】
書き込み動作においては、読み出し動作のときと同様に、内部制御信号TDECはハイレベルとなるが、内部ライトイネーブル信号WENLがロウレベルとなるため、
図6に示した構成から理解されるように、ライト制御信号WTEはハイレベルとなる。これにより、N型FETMN5、MN6およびP型FETMP8、MP9によって構成された転送ゲートがオン状態となり、コモンビット線対CBL、/CBLは転送ゲートを介して書き込み回路WCKに電気的に接続されることになる。
【0089】
書き込み回路WCKにおいては、入力データD[0]の論理値に従ってアンド回路LG1からの出力信号CBWおよびアンド回路LG2からの出力信号CTWのいずれか一方が、ハイレベルとなり、他方がロウレベルとなる。入力データD[0]が、例えば論理値“1”(ハイレベル)であれば、出力信号CTWはハイレベルとなり、N型FETMN8はオン状態、P型FETMP11はオフ状態となる。このとき、出力信号CBWは、ロウレベルとなるため、N型FETMN7はオフ状態、P型FETMP10はオン状態となる。
【0090】
これに対して、入力データD[0]が論理値“0”(ロウレベル)であれば、出力信号CTWはロウレベルとなり、P型FETMP11がオン状態、N型FETMN8がオフ状態となる。このとき、出力信号CBWは、ハイレベルとなるため、N型FETMN7はオン状態、P型FETMP10はオフ状態となる。
【0091】
これにより、出力信号CTWに対応するコモンビット線CBLおよび選択されたビット線BL[0]は、入力データD[0]が論理値“1”であれば、N型FETMN8を介して、バイアスノードBIAS_Nodeに接続され、入力データD[0]がロウレベル論理値“0”であれば、P型FETMP11を介して、電源電圧Vddに接続されることになる。
【0092】
同様に、N型FETMN7は、入力データD[0]が論理値“0”のとき、オン状態となり、コモンビット線/CBLおよび選択されたビット線/BLは、バイアスノードBIAS_Nodeに接続され、入力データD[0]が論理値“1”のときには、コモンビット線/CBLおよび選択されたビット線/BLは、電源電圧Vddに接続されることになる。
【0093】
バイアスモード制御信号BIASMODEは、テストイネーブル信号TEがロウレベルであるため、ロウレベルであり、ブースト制御信号BOOSTは、クロック信号CLKの変化により内部制御信号TDECがハイレベルに変化した後、主にバッファ群12BFG3で定められた時間後に、ロウレベルからハイレベルに変化する。
図5に示したように、バイアスモード制御信号BIASMODEがロウレベル(論理値“0”)で、ブースト制御信号BOOSTが、ハイレベル(論理値“1”)に変化すると、バイアスノードBIAS_Nodeの電位は、負電位へ昇圧される。
【0094】
従って、ビット線対BL[0]、/BL[0]には、入力データD[0]の論理値に従って電源電圧Vddと負電位とが供給されることになる。例えば、入力データD[0]が論理値“1”の場合、ビット線BL[0]には、負電位が供給され、ビット線/BL[0]には、電源電圧Vddが供給されることになる。これにより、入力データD[0]に従った大きな電位差が、選択されたメモリセルに与えられることになり、例えばメモリセルに対して、確実に入力データD[0]を書き込むことが可能である。
【0095】
<<テスト動作>>
図11を用いて、テストモードにおけるテスト動作を説明する。イネーブル信号CENがロウレベルで、ライトイネーブル信号WENがロウレベルで、テストイネーブル信号TEがハイレベルとなることで、テスト動作が指示される。
【0096】
ここでも、読み出し動作および書き込み動作の時と同様に、アドレス信号AD[3:0]によって、ワード線WL[n]とビット線対BL[0]、/BL[0]とが選択されるものとする。すなわち、ワード線WL[n]およびビット線対BL[0]、/BL[0]に接続された選択メモリセルのテストが実行される場合を、例として説明する。
【0097】
テストイネーブル信号TEが、ロウレベルからハイレベルへ変化することにより、バイアスモード制御信号BIASMODEも、ロウレベルからハイレベルへ変化する。これにより、
図6に示した制御回路12において、論理ゲート12LG10の出力が、ロウレベルからハイレベルに変化し、ブースト制御信号BOOSTもロウレベルからハイレベルに変化する。これにより、バイアスノードBIAS_Nodeには、
図5に示したように、中間電位が発生する。
【0098】
選択されたビット線対BL[0]、/BL[0]とコモンビット線対CBL、/CBLとの間の転送ゲートはオン状態である。そのため、ビット線対BL[0]、/BL[0]は、コモンビット線対CBL、/CBLに電気的に接続されている。
【0099】
図11に示した例では、入力データD[0]は、ハイレベル(論理値“1”)となっている。また、ライト制御信号WTEはハイレベルとなっているため、アンド回路LG2の出力信号CTWがハイレベルとなり、N型FETMN8がオン状態となる。その結果、バイアスノードBIAS_Nodeが、N型FETMN8を介してコモンビット線CBLと電気的に接続され、配線/TL、バイアスノードBIAS_Node、コモンビット線CBLおよびビット線BL[0]間で電荷再分配が行われ、ビット線BL[0]およびコモンビット線CBLの電位が、プリチャージされた電位(電圧Vdd)から、やや低下した値となる。
図11では、このときのコモンビット線CBLの電位の変化が、破線で示されている。
【0100】
図10で説明した書き込み動作において、入力データD[0]として論理値“0”が供給された場合、ビット線BL[0]をハイレベルにし、ビット線/BL[0]をロウレベルにするような論理値“0”のデータが、選択メモリセルに書き込まれることになる。このような論理値“0”の入力データD[0]が書き込まれていた場合、選択メモリセルが正常であれば、テスト動作のとき、ワード線WL[n]が選択されることにより、ビット線/BL[0]の電位は、プリチャージされた電位(Vdd)から徐々に低下する。センスアンプ制御信号SAEがハイレベルに変化するタイミングでは、ビット線BL/[0]の電位は、ビット線BL[0]の電位よりも低くなり、コモンビット線/CBLの電位もコモンビット線CBLの電位よりも低くなる。その結果、出力データQ[0]として、論理値“0”のロウレベルが出力され、選択メモリセルは、正常であり、テストをパスしたと判定することができる。
【0101】
これに対して、半導体装置1を製造する際のプロセスの問題等により、テスト対象のメモリセル、すなわち選択メモリセルの読み出し電流が例えば少ない場合には、ビット線/BL[0]の電位が、プリチャージされた電位から低下するのが遅くなる。センスアンプ制御信号SAEがハイレベルに変化するタイミングでは、ビット線BL/[0]の電位は十分に低下せず、ビット線BL[0]の電位よりも低くならない。その結果、コモンビット線/CBLの電位もコモンビット線CBLの電位よりも低くならず、出力データQ[0]として、論理値“1”のハイレベルが出力される。これにより、選択メモリセルは、期待値エラーが発生しており、対象メモリセルの問題を検出することが可能である。
【0102】
ここでは、対象のメモリセルに期待値として、論理値“0”が書き込まれている場合を説明したが、期待値“1”が対象のメモリセルに書き込まれている場合も同様である。すなわち、期待値“1”の場合には、ビット線BL[0]をロウレベルにし、ビット線/BL[0]をハイレベルにするような論理値“1”のデータが、選択メモリセルに書き込まれる。この場合、テスト動作のとき、入力データD[0]としてロウレベル(論理値“0”を供給する。これにより、論理ゲートLG1の出力信号CBWがハイレベルとなり、配線/TL、バイアスノードBIAS_Node、コモンビット線/CBLおよびビット線/BL[0]間で電荷再分配が行われ、ビット線/BL[0]およびコモンビット線/CBLの電位が、プリチャージされた電位Vddから徐々に低下することになる。対象のメモリセルが正常であれば、出力データQ[0]は、予め書き込んだ期待値“1”と同じ論理値“1”となり、メモリセルに問題がある場合、出力データQ[0]は、期待値“1”とは異なる論理値“0”となる。
【0103】
以上のように、実施の形態1においては、対象のメモリセルに書き込まれている論理値(期待値である論理値)とは、逆相(反転)の論理値が、テスト動作のときに、入力データとして供給される。
【0104】
さらに、実施の形態1に係るSRAMにおいては、テスト動作のとき、読み出し動作のときに比べて、センスアンプ制御信号SAEがロウレベルからハイレベルへ変化するタイミングが遅れるように設定されている。実施の形態1においては、センスアンプ制御信号SAEの遅延の設定は、
図6の制御回路12に示した論理ゲート12LG3とバッファ群12BFG2とによって主に実現されている。すなわち、内部テスト信号TELがハイレベルになった後、バッファ群12BFG2により遅延された内部制御信号TDECが、論理ゲート12LG3の反転入力に供給されることにより、センスアンプ制御信号SAEがハイレベルに変化する。従って、例えばバッファ群12BFG2を構成するバッファの個数を変更することにより、センスアンプ制御信号SAEの立ち上がるタイミングを変更することが可能である。後で
図12および
図13を用いて説明するが、センスアンプ制御信号SAEによってセンスアンプSAを活性化させるタイミングを遅らせることにより、対象のメモリセルを流れる読み出し電流が小さい場合の判定を、より確実にすることが可能である。
【0105】
なお、センスアンプ制御信号SAEがハイレベルへ変化することにより、センスアンプSAが活性化されるため、センスアンプSAによる増幅によって、
図11に示すように、コモンビット線対間の電位差が広がり、バイアスノードBIAS_Nodeの電位も上昇する。
【0106】
N型FETMN7、MN8およびP型FETMP10、MP11は、書き込み動作においては、メモリセルMCに書き込むべきデータに従った電圧を、選択されたビット線対に供給する回路を構成している。これに対して、テスト動作のとき、N型FETMN7、MN8およびP型FETMP10、MP11は、選択されたビット線対から、配線容量MTCを接続するビット線を指定し、指定されたビット線を配線容量MTCに接続する指定回路として動作することになる。
【0107】
<<メモリセル>>
図12は、実施の形態1に係るメモリセルの構成を示す回路図である。また、
図13は、テスト動作のときのメモリセルの動作を示す波形図である。
【0108】
図12には、論理値“0”が書き込まれているときのメモリセルMCの状態が示されている。すなわち、ワード線WL[n]が選択されたとき、ビット線/BL[0]をハイレベルにし、ビット線BL[0]をロウレベルにするようなデータを、メモリセルMCは保持している。この状態では、N型FETMN1およびP型FETMP2がオフ状態となり、N型FETMN2およびP型FETMP1がオン状態となっている。そのため、ノードMTは、ロウレベルとなり、Lowを記憶しており、ノードMBは、ハイレベルとなり、Highを記憶している。
【0109】
メモリセルMCが正常であれば、ワード線WL[n]がハイレベルとなり、ノードMTが、N型FETNTT2を介して、ビット線BL[0]に電気的に接続されても、メモリセルMCを流れる読み出し電流によって、ノードMTの電位は、
図13に実線MT1で示されているように変化する。すなわち、読み出し電流によって、ノードMTの電位が、接地電圧Vssから大きく浮き上がるのを防ぐことが可能である。これにより、ビット線BL[0]の電位は、実線BL[0]_1のように変化する。これに対して、プロセス等の問題により、メモリセルMCを流れる読み出し電流が小さいと、ノードMTの電位を抑制する能力が低くなり、破線MT2で示すように、ノードMTの電位は、接地電圧Vssから大きく浮き上がることになる。これにより、ビット線BL[0]の電位は、破線BL[0]_2のように変化する。
【0110】
図13において、/BL[0]_Vは、ビット線/BL[0]の電位を示している。
図13から理解されるように、ワード線WL[n]がハイレベルに変化した後、時間が十分経過すると、ビット線/BL[0]の電位/BL[0]_Vとビット線BL[0]の電位BL[0]_2との間の電位差を大きくすることが可能である。そのため、実施の形態1においては、テスト動作のとき、センスアンプSAを活性化するタイミングを、読み出し動作のときに比べて遅くするようにしている。
【0111】
<DFT制御ブロック>
図1に示したDFT制御ブロック6は、テストモードにおいて、SRAMに対してテスト用の信号およびデータ等を出力する。
図14は、実施の形態1に係るDFT制御ブロックの動作を示す波形図である。
【0112】
DFT制御ブロック6は、SRAMの全メモリセルに対して、例えば論理値“0”を期待値として書き込み、その後、入力データD[n]として、期待値とは反転論理値である論理値“1”をSRAMに与えながら、全メモリセルをテストする。その後、論理値“1”を期待値として、全メモリセルに書き込み、論理値“0”を入力データとして与えながら、全メモリセルをテストする。
【0113】
図14を参照して述べると、時刻t0から時刻t1までの間で、アドレス信号AD[n]を変えながら、アドレス0~Fの全メモリセルに、論理値“0”を入力データD[n]として書き込む。次の時刻t1からt2の間では、テストイネーブル信号TEをハイレベルにして、SRAMをテストモードに設定する。テストモードにおいて、DFT制御ブロック6は、アドレス信号AD[n]を変化させながら、入力データD[n]として論理値“1”をSRAMに与える。テストモードにおいて、出力データQ[n]が、論理値“0”であれば、DFT制御ブロック6は、対象のメモリセルはテストをパスしたものと判定する。これに対して、出力データQ[n]が、論理値“1”であれば、DFT制御ブロック6は、対象のメモリセルはテストにおいてフェイルしたものと判定する。
【0114】
次に、時刻t2から時刻t3の間でも、アドレス信号AD[n]を変えながら、アドレス0~Fの全メモリセルに、論理値“1”を入力データD[n]として書き込む。次の時刻t3からt4の間では、テストイネーブル信号TEをハイレベルにして、SRAMをテストモードに設定する。テストモードにおいて、DFT制御ブロック6は、アドレス信号AD[n]を変化させながら、入力データD[n]として論理値“0”をSRAMに与える。テストモードにおいて、出力データQ[n]が、論理値“1”であれば、DFT制御ブロック6は、対象のメモリセルはテストをパスしたものと判定する。これに対して、出力データQ[n]が、論理値“0”であれば、DFT制御ブロック6は、対象のメモリセルはテストにおいてフェイルしたものと判定する。
【0115】
実施の形態1においては、SRAM2S1~5S1(
図1)のそれぞれに対して、配線対TL、/TLが設けられる。SRAM2S1~5S1のそれぞれにおける配線対TL、/TLの配線長は、それが設けられたSRAM(対応するSRAM)のビット線対の配線長と等しくなっている。これにより、テストモードにおいて、ビット線に接続される配線容量の値を、SRAM毎に適切に設定することが可能であり、テストモードにおいて、不良のメモリセルを確実に検出することが可能となる。すなわち、コンパイルドSRAM技術によって、種々のSRAMが半導体装置に設けられるようにしても、不良のメモリセルを確実に検出することが可能となる。
【0116】
(実施の形態2)
図15は、実施の形態2に係る単位メモリアレイ、単位列選択回路および単位IO制御回路の構成を示す回路図である。
図15は、
図4と類似している。相違点は、中間電位発生回路が変更され、中間電位発生回路IVG2となっている点である。
【0117】
中間電位発生回路IVG2は、インバータIV21~IV24と、N型FETMN21と、P型FETMP21と、ナンド(NAND)回路LG21と、ノア(NOR)回路LG22と、配線対TL,/TLと、MOS容量を構成するN型FETMN12とを備えている。
【0118】
図16は、実施の形態2に係る中間電位発生回路IVG2の動作を示す図である。
【0119】
書き込み動作の際には、バイアスモード制御信号BIASMODEは、論理値“0”で、ブースト制御信号BOOSTは、論理値“0”の状態から、活性化により論理値“1”へ変化する。また、テスト動作においては、バイアスモード制御信号BIASMODEは、論理値“1”で、ブースト制御信号BOOSTは、論理値“0”の状態から、活性化により論理値“1”へ変化する。
【0120】
書き込み動作において、ブースト制御信号BOOSTが論理値“0”のときに、ブーストノードBOOST_Nodeは、電源電圧Vddとなり、バイアスノードBIAS_Nodeは、接地電圧Vssとなる。この状態から、ブースト制御信号BOOSTを、接地電圧Vssから電源電圧Vddへ変化(活性化)させると、ブーストノードBOOST_Nodeは、接地電圧Vssに変化し、バイアスノードBIAS_Nodeは、負電位となる。すなわち、実施の形態1と同様に、書き込み動作の際には、負電位をビット線に供給することが可能となる。
【0121】
また、テスト動作において、ブースト制御信号BOOSTが論理値“0”のときに、ブーストノードBOOST_Nodeは、電源電圧Vddとなり、バイアスノードBIAS_Nodeは、実施の形態1と異なり電源電圧Vddとなる。この状態から、ブースト制御信号BOOSTを、接地電圧Vssから電源電圧Vddへ変化(活性化)させると、ブーストノードBOOST_Nodeは、電源電圧Vddからやや低めの中間電位を発生させることが可能である、これにより、実施の形態1と同様に、テストモードにおいては、リファレンスビット線の電位を、プリチャージされた電源電圧Vddよりやや低めの電位に変化させることが可能となる。その結果、実施の形態1と同様に、不良のメモリセルを検出することが可能となる。
【0122】
図4および
図15において、中間電位発生回路IVG1、IVG2は、配線対TL、/TLと、配線対TL、/TLに接続され、モード(ライトモード、テストモード)に応じた電圧を配線対TL、/TLに供給する中間電位制御回路とを備えていると見なすことができる。このように見なした場合、中間電位制御回路は、
図5および
図16に示すように、バイアスモード制御信号BIASMODEによってモードが指定される。また、中間電位制御回路は、ブースト制御信号BOOSTの変化に応じて、配線TLの電圧(ブーストノードBOOST_Nodeの電圧)を、指定されたモードに応じて変化させる。
【0123】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、配線対TL、/TLの配線長は、ビット線対BL[0]、/BL[0]と実質的に同じでなくてもよく、ビット線対の長に依存しておればよい。
【符号の説明】
【0124】
1 半導体装置
2 CPUブロック
3 画像処理ブロック
4 外部I/Fブロック
5 システム制御ブロック
6 DFT制御ブロック
BL[0]、/BL[0]、BL[1]、/BL[1] ビット線対
CBL、/CBL コモンビット線対
D[0]~D[2]、D[n] 入力データ
IVG1、IVG2 中間電位発生回路
MC メモリセル
MTC 配線容量
PCH1、PCH2 プリチャージ回路
Q[0]~Q[2]、Q[n] 出力データ
SA センスアンプ
TL、/TL 配線対
WCK 書き込み回路
WL[0]~WL[7]、WL[n] ワード線