(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
A61G 7/015 20060101AFI20231220BHJP
A61G 7/018 20060101ALI20231220BHJP
A47C 20/12 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61G7/015
A61G7/018
A47C20/12
(21)【出願番号】P 2020131084
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】舟越 敬介
(72)【発明者】
【氏名】下村 晃生
(72)【発明者】
【氏名】神戸 元樹
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-058354(JP,A)
【文献】特開2004-016635(JP,A)
【文献】特開2000-060907(JP,A)
【文献】特開2019-010238(JP,A)
【文献】特開平08-191864(JP,A)
【文献】特開平09-285363(JP,A)
【文献】登録実用新案第3063617(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/015,7/018
A47C 20/08-20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起倒可能な背ボトムと、連結杆を介して前記背ボトムと連結している起倒可能な膝ボトムと、前記背ボトムと前記膝ボトムとを起倒させる起倒装置と、ガイド部材を備える足側フレームと、を備えたベッド装置において、
前
記背ボトムは、前記起倒装置により前記ガイド部材に沿って起立し、
前
記膝ボトムは、前記背ボトムが起立を始めると、起立した後倒伏して水平の状態になる、
ことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
前記起倒装置は、動作中は常に前記背ボトムと前記膝ボトムとの下方に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載のベッド装置。
【請求項3】
前記起倒装置は、
駆動部と、
前記駆動部により回転されることで前記背ボトムを起倒させる第1部材と、
前記第1部材とともに作動することで前記膝ボトムを起倒させる第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結する連結杆と、を有し、
前記背ボトムは、
水平である初期状態から所定の角度まで起立した傾斜状態と、
前記傾斜状態からさらに起立した起立状態と、を有し、
前記連結杆は、
前記初期状態から前記傾斜状態までは前記第1部材の回転により前記第2部材を押動することで、前記第2部材を上方に回転移動させて前記膝ボトムを起立させ、
前記傾斜状態から前記起立状態までは前記第1部材の回転により前記第2部材を引動することで、前記第2部材を下方に回転移動させて前記膝ボトムを倒伏させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記第1部材および前記第2部材よりも下方に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記駆動部は、モータと、前記モータに設けられた筒体と、前記筒体から突出して先端側に前記第1部材が連結され前記モータにより伸縮されるロッドと、を有し、
前記モータは、前記膝ボトムの下方に配置され、
前記筒体は、前記第2部材の下方に配置されている、
ことを特徴とする請求項3または4に記載のベッド装置。
【請求項6】
前記第1部材は、
前記ロッドに連結されるとともに前記連結杆の一側が連結される回転部材と、
前記回転部材に固着され前記背ボトムを起倒させる第1支持部材と、を有し、
前記第2部材は、
前記連結杆の他側に連結されて前記連結杆の往復移動により揺動する揺動部材と、
前記揺動部材に固着され前記膝ボトムを起倒させる第2支持部材と、を有している、
ことを特徴とする請求
項5に記載のベッド装置。
【請求項7】
頭側に位置する頭側フレームと、足側に位置する前記足側フレームと、を有する本体フレームを有し、
前記本体フレームを昇降させるモータを有する昇降装置をさらに備え、
前記起倒装置の前記駆動部は、モータを有し、
前記昇降装置のモータもしくは前記起倒装置のモータがベッド足側に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のベッド装置。
【請求項8】
前記昇降装置のモータもしくは
前記起倒装置のモータが前記膝ボトムの下方に配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背上げや膝上げなどのリクライニング機能を行うことができるベッド装置が知られている。このようなベッド装置は、使用者の身体がずれるのを抑制するために、背上げと膝上げとが連動して行われるのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、快適に背上げを行うことができるベッド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るベッド装置は、起倒可能な背ボトムと、連結杆を介して前記背ボトムと連結している起倒可能な膝ボトムと、前記背ボトムと前記膝ボトムとを起倒させる起倒装置と、ガイド部材を備える足側フレームと、を備えたベッド装置において、前記背ボトムは、前記起倒装置により前記ガイド部材に沿って起立し、前記膝ボトムは、前記背ボトムが起立を始めると、起立した後倒伏して水平の状態になる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、快適に背上げを行うことができるベッド装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るベッド装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1中のベッド装置からボトムを取外して上方からみた平面図である。
【
図3】ベッド装置の内部に設けられる起倒装置を斜め上方からみた斜視図である。
【
図4】ベッド装置を
図2中の矢示A-A方向からみた断面図である。
【
図5】起倒装置を作動させて背上げと膝上げとを行った第1傾斜状態を示す
図4と同様の断面図である。
【
図6】第1傾斜状態から起倒装置をさらに作動させた第2傾斜状態を示す
図4と同様の断面図である。
【
図7】第2傾斜状態から起倒装置をさらに作動させた起立状態を示す
図4と同様の断面図である。
【
図8】
図4中に示す初期状態での起倒装置を示す説明図である。
【
図9】
図5中に示す第1傾斜状態での起倒装置を示す説明図である。
【
図10】
図6中に示す第2傾斜状態での起倒装置を示す説明図である。
【
図11】
図7中に示す起立状態での起倒装置を示す説明図である。
【
図12】背ボトムおよび膝ボトムの起倒状態を説明する説明図である。
【
図13】変形例に係るベッド装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に係るベッド装置について、
図1~
図12を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るベッド装置を示す斜視図である。
図2は、
図1中のベッド装置からボトムを取外して上方からみた平面図である。
【0009】
図1に示すベッド装置10は、例えば介護施設、病院、および個人宅に用いられ、背もたれや高さなどを電動で作動可能な電動ベッドである。ベッド装置10は、起倒可能な背ボトム26と、背ボトム26と一緒に起倒する脚ボトム28と、背ボトム26と脚ボトム28との下方に位置して背ボトム26と脚ボトム28とを起倒させる起倒装置50と、を備えている。
図1に示すベッド装置10は、
図1中の左斜め上側が頭側であり、
図1中の右斜め下側が足側となっている。本実施形態では、頭側と足側との方向を前後方向としている。
【0010】
脚部12の上方には、全体的に枠状に形成されたフレーム14が設けられている。フレーム14は、例えば前後方向で複数の板部材が連結された本体フレーム15と、本体フレーム15の内側に設けられボトム25を支持するボトムフレーム16と、を有している。本体フレーム15は、前後方向の前側(頭側)に位置する頭側フレーム15aと、後側(足側)に位置する足側フレーム15bと、を有している。頭側フレーム15aと足側フレーム15bとは、分割可能に連結されている。これにより、ベッド装置10は、例えば複数のユニットに分割して、ベッド装置10を配設する部屋の中に運搬することができるようになっている。また、フレーム14は、フレーム14内に設けられた第1駆動部32により、脚部12に対して上下方向に移動可能となっている。
【0011】
ボトムフレーム16は、背ボトム26を支持する背部フレーム17と、腰ボトム27を支持する腰部フレーム18と、脚ボトム28を構成する膝ボトム28aを支持する膝部フレーム19と、脚ボトム28を構成する足ボトム28bを支持する足部フレーム20と、を有している。背部フレーム17、腰部フレーム18と、膝部フレーム19、および足部フレーム20は、ベッド装置10の左右方向(短手方向)に離間してそれぞれ2個設けられている。
【0012】
背部フレーム17は、背ボトム26を裏側から支持している。背部フレーム17は、腰部フレーム18に対して起倒可能(屈曲可能)となっている。背部フレーム17の左右方向の両端は、足側フレーム15bの内側に取付けられたガイド部材15cに嵌め込まれるローラを有している。ガイド部材15cは、例えばコの字の形状である。ガイド部材15cにガイド部材15cは、ベッド装置10の前後方向の頭側にいくにつれて、上下方向の上側に向けて斜めに取付けられている。このガイド部材15cに沿って、ローラが移動する。後述の第2駆動部52が背ボトム26を起立させる場合に、背ボトム26が起立を始めた当初から、ガイド部材15cに沿って、ローラも移動を始めるので、背ボトム26がベッド装置10の頭側および上方にスライドしつつ起立する。ガイド部材15cの形状によっては、この限りではない。例えば、ガイド部材15cの足側がベッド装置10の水平方向と平行に取付けられ、途中から前後方向の頭側にいくにつれて、上下方向の上側に向けて斜めに取付けられれば、背ボトム26は、起立を始めた当初は上方にはスライドしない。
【0013】
腰部フレーム18は、腰ボトム27を裏側から支持している。腰部フレーム18は、本体フレーム15に固定されている。膝部フレーム19は、腰部フレーム18に対して回動可能に連結されるとともに、足部フレーム20に対して回動可能に連結されている。足部フレーム20は、足ボトム28bを裏側から支持している。
【0014】
ボトム25は、フレーム14上に前後方向に並んで複数個設けられている。ボトム25は、上方に図示しないマットレスが載置され、マットレスおよびマットレス上の人体を支持する。ボトム25は、頭側に位置して背中を支持する背ボトム26と、背ボトム26の後側に位置して腰を支持する腰ボトム27と、腰ボトム27の後側に位置して脚を支持する脚ボトム28と、を有する。脚ボトム28は、膝を支持する膝ボトム28aと、膝ボトム28aの後側に位置して足を支持する足ボトム28bと、を有する。
【0015】
昇降装置30は、本体フレーム15の内側に設けられている。この昇降装置30は、フレーム14を上下方向に昇降させるためのもので、図示しないリモコンにより作動される。
図2に示すように、昇降装置30は、第1駆動部32と、第1駆動部32の駆動によりボトム25を昇降させる昇降部材36と、を有している。
【0016】
第1駆動部32は、例えばモータ33により駆動される電動シリンダからなり、膝ボトム28aの下方に配置されている。第1駆動部32は、モータ33と、モータ33に設けられる筒体34と、筒体34から突出するロッド35と、を有しており、足ボトム28b側に位置して前後方向に延びている。ロッド35は、モータ33の駆動により筒体34から伸縮する。
【0017】
モータ33は、例えば足ボトム28bの下方に配置された制御部40に図示しない電線(ハーネス)により接続されている。制御部40は、電源に接続されるとともに、有線または無線によりリモコンに接続されている。制御部40は、リモコンの操作に基づき、モータ33に電力を供給する。
図2に示すように、モータ33は、脚ボトム28の下方に配置されることで、制御部40との距離が短くなっている。これにより、ボトム25の下方で複数の電線が錯綜するのを抑制できる。
【0018】
昇降部材36は、ボトム25の下方に位置して、ベッド装置10の前側に設けられた前昇降部材36aと、ベッド装置10の後側に設けられた後昇降部材36bと、を有している。前昇降部材36aは、第1駆動部32のロッド35に連結されている。後昇降部材36bは、前後方向に延びる接続杆37により前昇降部材36aに連結されている。これにより、前昇降部材36aと後昇降部材36bとは、1つの第1駆動部32の駆動により一緒に作動する。なお、昇降部材36は、電動シリンダに限らず、例えばモータなどの他のアクチュエータで昇降されてもよい。
【0019】
次に、背ボトム26と脚ボトム28とを一緒に起倒させる起倒装置50について説明する。
【0020】
図3は、ベッド装置の内部に設けられる起倒装置を斜め上方からみた斜視図である。
図4は、ベッド装置を
図2中の矢示A-A方向からみた断面図である。
図5は、起倒装置を作動させて背上げと膝上げとを行った第1傾斜状態を示す
図4と同様の断面図である。
図6は、第1傾斜状態から起倒装置をさらに作動させた第2傾斜状態を示す
図4と同様の断面図である。
図7は、第2傾斜状態から起倒装置をさらに作動させた起立状態を示す
図4と同様の断面図である。
図8は、
図4中に示す初期状態での起倒装置を示す説明図である。
図9は、
図5中に示す第1傾斜状態での起倒装置を示す説明図である。
図10は、
図6中に示す第2傾斜状態での起倒装置を示す説明図である。
図11は、
図7中に示す起立状態での起倒装置を示す説明図である。
【0021】
起倒装置50は、本体フレーム15の内側に設けられている。この起倒装置50は、例えば図示しないリモコンにより作動され、ベッド装置10に横たわる使用者の背上げを行う。起倒装置50は、第2駆動部52と、第2駆動部52により回転されることで背ボトム26を起倒させる第1部材60と、第1部材60とともに作動することで脚ボトム28を起倒させる第2部材70と、第1部材60と第2部材70とを連結する連結杆80と、を有している。
【0022】
第2駆動部52は、第1駆動部32と左右方向で並んで設けられている。第2駆動部52は、本発明の駆動部を構成するもので、第1部材60および第2部材70よりも下方に配置されている。そして、第2駆動部52は、モータ53と、モータ53に設けられた筒体54と、筒体54から突出してモータ53により伸縮されるロッド55と、を有している。すなわち、第2駆動部52は、電力によりロッド55が伸縮する電動シリンダとなっている。
【0023】
モータ53は、制御部40の前側(頭側)に位置して、脚ボトム28の下方に配置されている。モータ53は、制御部40に図示しない電線(ハーネス)により接続され、制御部40から供給される電力により駆動する。
図2、
図3に示すように、モータ53は、脚ボトム28の下方に配置されることで、制御部40との距離が短くなっている。これにより、ボトム25の下方で複数の電線が錯綜するのを抑制できる。また、モータ53は、人体の膝下付近にあることが望ましい。すなわち、脚ボトム28の下方、具体的には膝ボトム28aと足ボトム28bの屈曲部29の真下付近にあることが望ましい。これにより、例えば使用者がモータ53の作動音により不快に感じるのを抑制することができる。
【0024】
筒体54は、第2部材70の下方に配置されている。筒体54は、内部にモータ53の回転力を直線運動に変換する直動機構(図示せず)が設けられている。ロッド55は、基端側が筒体54の内部で直動機構に接続され、先端側が筒体54から突出して第1部材60に連結している。
【0025】
第1部材60は、背ボトム26の下方に位置して、ロッド55の先端側に連結されている。第1部材60は、ロッド55が伸長したときに、背部フレーム17を下方から上方に向けて押圧することで背ボトム26を起立させる。そして、第1部材60は、ロッド55に連結されるとともに連結杆80の一側が連結される回転部材62と、回転部材62に固着され背ボトム26を起倒させる第1支持部材64と、を有している。
【0026】
回転部材62は、左右の本体フレーム15間に延びている。回転部材62は、左右方向に延びる回転体62aと、回転体62aに設けられロッド55の先端側が取付けられるロッド取付部62bと、回転体62aに設けられ連結杆80の一側が取付けられる一側取付部62cと、を有している。回転体62aは、例えば円筒状に形成され、第1部材60の回転中心となっている。
【0027】
図3、
図8に示すように、ロッド取付部62bは、背ボトム26が水平である初期状態(
図1、
図4の状態)にある場合に、回転体62aから後斜め下方に向けて延びている。ロッド取付部62bは、先端でロッド55とピン結合されている。これにより、ロッド55が伸長すると、回転体62aは
図8に示す矢示B方向に回転する。
【0028】
一側取付部62cは、背ボトム26が初期状態にある場合に、回転体62aから後斜め上方に向けて延びている。一側取付部62cは、先端に連結杆80とピン結合されるピン結合部62c1を有している。ピン結合部62c1は、
図8~
図11に二点鎖線で示す回転体62aを回転中心とした円弧Cに沿って移動する。
図8に示すように、ピン結合部62c1は、初期状態で、円弧Cと円弧Cの中心から上方に延びる垂直線との交点である上点C1と、円弧Cと円弧Cの中心から後方に延びる水平線との交点である後点C2と、の間の円弧C上に位置している。
【0029】
第1支持部材64は、回転体62aの左右両端側にそれぞれ設けられている。第1支持部材64は、背部フレーム17に対応する位置に設けられている。第1支持部材64は、基端側が回転体62aに固着された固定端となり、先端側が背部フレーム17の裏面に向けて延びる自由端となっている。
【0030】
第1支持部材64は、先端側に背部フレーム17の裏面に当接するローラ64aを有している。第1支持部材64は、回転体62aが矢示B方向に回転すると、ローラ64aが背部フレーム17を上方に押圧しながら背部フレーム17の裏面を後方に向けて摺動する。
【0031】
第2部材70は、脚ボトム28の下方に配置されている。第2部材70は、ロッド55が伸長したときに、膝部フレーム19を下方から上方に向けて押圧することで脚ボトム28を起立させ、その後で脚ボトム28を倒伏させる。そして、第2部材60は、連結杆80の他側が連結される揺動部材72と、揺動部材72に固着され脚ボトム28を起倒させる第2支持部材74と、を有している。
【0032】
揺動部材72は、左右の本体フレーム15間に延びている。揺動部材72は、左右方向に延びる揺動体72aと、揺動体72aに設けられ連結杆80の他側が取付けられる他側取付部72bと、を有している。揺動体72aは、第2駆動部52の筒体54の上方に位置している。揺動体72aは、例えば円筒状に形成されている。
【0033】
他側取付部72bは、背ボトム26が水平である初期状態にある場合に、揺動体72aから前斜め下方に向けて延びている。他側取付部72bは、先端で連結杆80とピン結合されている。
【0034】
第2支持部材74は、揺動体72aの左右両端側にそれぞれ設けられている。第2支持部材74は、膝部フレーム19に対応する位置に設けられている。第2支持部材74は、基端側が揺動体72aに固着された固定端となり、先端側が膝部フレーム19の裏面に向けて延びる自由端となっている。
【0035】
第2支持部材74は、先端側に膝部フレーム19の裏面に当接するローラ74aを有している。また、第2支持部材74は、揺動体72aよりも前側(背ボトム26側)に突出して本体フレーム15に回転可能に結合された回転軸部74bを有する。
図8、
図9に示すように、第2支持部材74は、回転軸部74bを回転中心として揺動体72aが矢示E1方向に回転すると、ローラ74aが膝部フレーム19を上方に押圧しながら膝部フレーム19の裏面を前方に向けて摺動する。
【0036】
連結杆80は、第1部材60の回転体62aと第2部材70の揺動体72aとを連結する。連結杆80は、第2駆動部52の筒体54およびロッド55よりも上方で筒体54およびロッド55と左右方向に並列している。
【0037】
図8、
図9に示すように、連結杆80は、一側取付部62cのピン結合部62c1が初期状態である始点C3から後点C2に向けて移動する間は矢示D1方向に移動する。すなわち、連結杆80は、ピン結合部62c1が始点C3から後点C2まで移動する間は、第2部材70を押動する。これにより、連結杆80は、回転軸部74bを回転軸として、揺動体72aおよび第2支持部材74を矢示E1方向に回転させる。
【0038】
そして、
図10、
図11に示すように、連結杆80は、一側取付部62cのピン結合部62c1が後点C2から起立状態(
図7、
図11の状態)である終点C4に移動する間は矢示D2方向に移動する。すなわち、連結杆80は、ピン結合部62c1が後点C2から終点C4まで移動する間は、第2部材70を引動する。これにより、連結杆80は、回転軸部74bを回転軸として、揺動体72aおよび第2支持部材74を矢示E2方向に回転させる。
【0039】
すなわち、ピン結合部62c1の移動軌跡上の後点C2は、後方(第2部材70側)に向けて移動している連結杆80を前方(第1部材60側)に向けて移動させる変換点となっている。換言すると、連結杆80は、ピン結合部62c1が始点C3から終点C4まで移動する間で往復動する。これにより、脚ボトム28は、背ボトム26が水平である初期状態(
図4、
図8の状態)から所定の角度まで起立した第1傾斜状態(
図5、
図9の状態)までの間で起立する。そして、脚ボトム28は、背ボトム26が第1傾斜状態から起立状態(
図7、
図11の状態)まで起立するまでの間で倒伏する。
【0040】
本実施形態に係るベッド装置10は、上述の如き構成を有するもので、次に起倒装置50の作動について説明する。
【0041】
ベッド装置は、例えば使用者によるリモコンの操作に基づき、背ボトムを起立させる背上げ作動を行うことができる。背上げ作動を行った場合には、ベッド装置に横たわる使用者の身体が脚側にずれてしまうので、ベッド装置の使い勝手が悪くなる虞がある。
【0042】
そこで、本実施形態によるベッド装置10は、背上げ作動中に膝上げ作動も一緒に行うことで、使用者の身体がずれるのを抑制している。また、背上げ作動を最後まで行ったときに膝上げもなされていた場合には、使用者がベッド装置から離床しづらくなる。そこで、本実施形態によるベッド装置10は、背上げ作動を最後まで行ったときには膝上げがなされないようになっている。これにより、ベッド装置10は、使い勝手を向上している。
【0043】
起倒装置50の具体的な作動について、
図4~
図11を参照して説明する。
【0044】
背ボトム26は、水平である初期状態(
図4の状態)と、初期状態から所定の角度まで起立した第1傾斜状態(
図5の状態)と、第1傾斜状態からさらに起立した起立状態(
図7の状態)と、を有している。なお、
図6に示す状態は、第1傾斜状態と起立状態との間を示す第2傾斜状態である。本実施形態では、第1傾斜状態が本発明の傾斜状態を構成している。
【0045】
まず、背ボトム26が初期状態にあるときに、リモコンにより背上げ操作を行った場合には、第2駆動部52のロッド55が伸長する。これにより、
図8に示すように、第1部材60は、矢示B方向に回転して第1支持部材64が背部フレーム17を介して背ボトム26を起立させる。
【0046】
ここで、一側取付部62cのピン結合部62c1は、初期状態で円弧Cの上点C1と後点C2との間に位置しているので、円弧Cに示す円軌道により後点C2までは連結杆80を押動方向である矢示D1方向に移動させる。一方、第2部材70の他側取付部72bは、揺動体72aから斜め下方に延びている。従って、連結杆80は、矢示D1方向への移動により第2部材70を矢示E1方向に回転させる。
【0047】
第2部材70が矢示E1方向に回転すると、第2支持部材74は、回転軸部74bを回転中心として矢示E1方向に回転する。これにより、第2支持部材74は、膝部フレーム19を介して脚ボトム28を起立(屈曲)させる。
【0048】
膝部フレーム19は、本体フレーム15に固定された腰部フレーム18に回動可能に取付けられており、足部フレーム20にも回動可能に取付けられている。従って、
図5に示すように、脚ボトム28は、膝ボトム28aが腰ボトム27から斜め上方に向けて延び、足ボトム28bが膝ボトム28aから斜め下方に向けて延びる。これにより、使用者は、背上げと同時に膝を屈曲させるので、身体がずれるのが抑制される。
【0049】
ここで、例えば先に膝上げ作動を行ってから背上げ作動がなされた場合には、使用者はリモコンで背上げ操作を行ったにもかかわらず、膝上げがなされたものとして慌ててしまう虞がある。しかし、本実施形態によるベッド装置10は、背上げ作動と同時に膝上げ作動が行われるので、背上げ作動を安心して行うことができる。
【0050】
ベッド装置10は、
図4に示す初期状態から
図5に示す第1傾斜状態までは、背上げと同時に膝上げを行う。第1傾斜状態は、背ボトム26と水平面とのなす角が所定の角度となっている状態である。この所定の角度は、背ボトム26の初期状態から最終の起立状態までの間の任意の角度であり、使用者の快適性などを考慮して、実験、シミュレーションにより設定される。所定の角度は、例えば20度~30度程度に設定することができる。
【0051】
図10に示すように、ロッド55がさらに伸長すると、第1部材60が矢示B方向に回転することにより、第1支持部材64が背部フレーム17を介して背ボトム26を第2傾斜状態とする(
図6参照)。この場合、ピン結合部62c1が後点C2を越えているので、円弧Cの円軌道により一側取付部62cは連結杆80を引動方向である矢示D2方向に移動させる。
【0052】
これにより、第2部材70は、初期状態から第1傾斜状態までとは逆転した矢示E2方向に回転する。第2部材70が矢示E2方向に回転すると、第2支持部材74は、回転軸部74bを回転中心として矢示E2方向に回転する。これにより、
図6に示すように、第2支持部材74は、膝部フレーム19を介して脚ボトム28を倒伏させる。
【0053】
そして、
図11に示すように、ロッド55がさらに伸長すると、第1部材60が矢示B方向に回転することにより、第1支持部材64が背部フレーム17を介して背ボトム26を起立状態とする(
図7参照)。この場合、脚ボトム28は、腰ボトム27から足ボトム28bまでが平坦となるように倒伏する。
【0054】
図12は、背ボトムおよび膝ボトムの起倒状態を説明する説明図である。
背上げ動作をまとめると、次の通りである。
図12にある通り、リモコンの背上げボタンを押すと、背ボトム26と膝ボトム28aが同時に上げ動作を始める。膝ボトム28aが上がりきると、膝ボトム28aの下げ動作が始まる。膝ボトム28aが上がりきるのは膝ボトム28aの角度が大体10度~20度程度のときである。この間、背ボトム26は上げ動作を続けている。膝ボトム28aの角度が0度程度になると、膝ボトム28aの下げ動作は終わる。このとき、背ボトム26の角度は大体65度~72度程度である。背ボトム26の角度が75度程度になると、背ボトムの上げ動作は終わる。
【0055】
これにより、背ボトム26が初期状態から起立状態まで上がるときに、使用者の身体がずれるのを抑制できる。また、背ボトム26の起立状態では、脚ボトムが平坦になっているので、使用者の腹部が圧迫されて息苦しくなるのを抑制できる。さらに、脚ボトム28が平坦になっているので、使用者がベッド装置10から離床しやすくなっている。
【0056】
図7、
図11に示す起立状態で、リモコンにより背下げ操作を行った場合には、第2駆動部52のロッド55が縮小する。これにより、第1部材60は、矢示Bとは逆方向に回転して、背ボトム26を倒伏させる。この場合、一側取付部62cのピン結合部62c1が円弧Cの始点C3から後点C2に向けて移動する。従って、連結杆80は、第2部材70を押動することにより、第2部材70を矢示E2とは逆方向に回転させる。これにより、第2部材70は、脚ボトム28を起立させる。
【0057】
そして、背ボトム26が第1傾斜状態を越えたら、連結杆80は、第2部材70を引動することにより、第2部材70を矢示E1とは逆方向に回転させて、脚ボトム28を倒伏させる。これにより、背ボトム26から脚ボトム28までが平坦となった初期状態に戻される。
【0058】
背下げ動作をまとめると、次の通りである。
図12にある通り、リモコンの背下げボタンを押すと、背ボトム26の下げ動作が始まる。その後、膝ボトム28aの下げ動作が始まる。このとき、背ボトム26の角度は大体65度~72度程度である。膝ボトム28aが上がりきると、膝ボトム28aの下げ動作が始まる。膝ボトム28aが上がりきるのは膝ボトム28aの角度が大体10度~20度程度のときである。この間、背ボトム26は下げ動作を続けている。膝ボトム28aの角度が0度程度になると、膝ボトム28aの下げ動作は終わる。背ボトムの角度が0度程度になると、背ボトム26の下げ動作は終わる。膝ボトム28aの下げ動作が終わるのと、背ボトム26の下げ動作は終わるのはほぼ同時である。
【0059】
かくして、本実施形態によるベッド装置10は、起倒可能な背ボトム26と、背ボトム26と一緒に起倒する脚ボトム28と、背ボトム26と脚ボトム28との下方に位置して背ボトム26と脚ボトム28とを起倒させる起倒装置50と、を備え、起倒装置50は、駆動部(第2駆動部52)と、駆動部により回転されることで背ボトム26を起倒させる第1部材60と、第1部材60とともに作動することで脚ボトム28を起倒させる第2部材70と、第1部材60と第2部材70とを連結する連結杆80と、を有し、背ボトム26は、水平である初期状態から所定の角度まで起立した傾斜状態と、傾斜状態からさらに起立した起立状態と、を有し、連結杆80は、初期状態から傾斜状態までは第1部材60の回転により第2部材70を押動することで、第2部材70を上方に回転移動させて脚ボトム28を起立させ、傾斜状態から起立状態までは第1部材60の回転により第2部材70を引動することで、第2部材70を下方に回転移動させて脚ボトム28を倒伏させる。
【0060】
これにより、背ボトム26が初期状態から傾斜状態まで起立するときに、脚ボトム28を起立させているので、使用者の身体がずれるのを抑制できる。また、背ボトムが起立状態となった場合には、脚ボトム28が倒伏しているので、使用者が離床しやすくなっている。従って、使い勝手のよいベッド装置10とすることができる。また、背ボトム26を起立させている間に、脚ボトム28の起倒を1つの駆動部で行うことができる。
【0061】
また、駆動部(第2駆動部52)は、第1部材60および第2部材70よりも下方に配置されている。これにより、駆動部の先端である力点を第1部材60および第2部材70よりも下方にすることができる。従って、起倒装置50をコンパクトにして、ボトム25の下方のスペースを有効に利用することができる。
【0062】
また、駆動部(第2駆動部52)は、モータ53と、モータ53に設けられた筒体54と、筒体54から突出して先端側に第1部材60が連結されモータ53により伸縮されるロッド55と、を有し、モータ53は、脚ボトム28の下方に配置され、筒体34は、第2部材70の下方に配置されている。
【0063】
例えば、ベッド装置10に横たわっている使用者の頭側(背ボトム26)の下方にモータが配設されている場合には、使用者の頭とモータとの距離が近いので、モータの作動音が不快に感じる虞がある。しかし、モータ53は、背ボトム26とは反対側の足側に配設されている。従って、モータ53は、使用者の頭との距離が離れているのでモータ53の作動音による不快感を抑制できる。
【0064】
また、第1部材60は、ロッド55に連結されるとともに連結杆80の一側が連結される回転部材62と、回転部材62に固着され背ボトム26を起倒させる第1支持部材64と、を有し、第2部材70は、連結杆80の他側に連結されて連結杆80の往復移動により揺動する揺動部材72と、揺動部材72に固着され脚ボトム28を起倒させる第2支持部材74と、を有している。これにより、可及的に少ない部材で背上げ作動と膝上げ作動とを行うことができる。
【0065】
次に、
図13は、変形例に係るベッド装置を示す平面図である。
上述した実施形態では、ベッド装置10は、昇降用の第1駆動部32と、起倒装置50の第2駆動部52と、を有している場合を例に上げて説明した。しかし、これに加えて、
図13に示すように、第3駆動部90を有していてもよい。第3駆動部90は、例えば背ボトム26または脚ボトム28を単独で起倒させる電動シリンダである。
図13に示すように、第1駆動部32、第2駆動部52、および第3駆動部90は、制御部40の前方に位置して左右方向に並列している。これにより、制御部40との間で電線(ハーネス)などが錯綜するのを抑制でき、ベッド10を組立てるときの組立作業の作業性を向上できる。
【0066】
なお、上述した実施形態では、第2駆動部52を電動シリンダとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばモータなどの他のアクチュエータで第1部材60を回転させてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、第2駆動部52のロッド55が伸長したときに、背ボトム26が起立する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第2駆動部を背ボトム26の下方に配置して、ロッドが縮小するときに背ボトムを起立させてもよい。
【0068】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素を追加、削除または変更したものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 ベッド装置
12 脚部
14 フレーム
15 本体フレーム
15a 頭側フレーム
15b 足側フレーム
15c ガイド部材
16 ボトムフレーム
17 背部フレーム
18 腰部フレーム
19 膝部フレーム
20 足部フレーム
25 ボトム
26 背ボトム
27 腰ボトム
28 脚ボトム
28a 膝ボトム
28b 足ボトム
29 屈曲部
30 昇降装置
32 第1駆動部
33 モータ
34 筒体
35 ロッド
36 昇降部材
36a 前昇降部材
36b 後昇降部材
37 接続杆
40 制御部
50 起倒装置
52 第2駆動部
53 モータ
54 筒体
55 ロッド
60 第1部材
62 回転部材
62a 回転体
62b ロッド取付部
62c 一側取付部
62c1 ピン結合部
64 第1支持部材
64a ローラ
70 第2部材
72 揺動部材
72a 揺動体
72b 他側取付部
74 第2支持部材
74a ローラ
74b 回転軸部
80 連結杆
90 第3駆動部