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特許7406492鮮度維持機能を有するリコピン着色剤、その製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】鮮度維持機能を有するリコピン着色剤、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/44 20160101AFI20231220BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20231220BHJP
【FI】
A23L5/44
A23L17/00 101D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020536612
(86)(22)【出願日】2017-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2017120198
(87)【国際公開番号】W WO2019127485
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-07-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】520203367
【氏名又は名称】チェングアン バイオテック グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100201606
【弁理士】
【氏名又は名称】田岡 洋
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ジェンチョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャ,シンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ホンシャ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,リージュエン
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】中村 和正
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-63476(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106344510(CN,A)
【文献】特開2016-119898(JP,A)
【文献】特開2016-98365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C09B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リコピン食品着色剤の製造方法であって、
前記食品着色剤は、重量部で、リコピン結晶1~3部、乳化剤5~20部、抗酸化剤0.5~5部、グリセリン60~70部、水10~20部を含む乳化物からな
前記乳化剤は、油溶性乳化剤と水溶性乳化剤とを混合してなるものであり、
前記水溶性乳化剤はツイーン、モノステアリン酸ショ糖エステル、モノパルミチン酸ショ糖エステルから選ばれる一種または多種であり、及び/又は、前記油溶性乳化剤としてリン脂質を用い、
前記食品着色剤のD50は0.55~0.65μmであり、及び/又は
前記食品着色剤の色調値はL*25~35、a*30~35、b*20~25であり、
前記食品着色剤は、鮮度維持機能を有し、
前記製造方法は、原料を混合してから乳化させ、さらに粉砕する
ことを特徴とする、食品着色剤の製造方法
【請求項2】
前記乳化剤は、前記油溶性乳化剤と前記水溶性乳化剤とを1~5:5~15の質量比で混合してなるものであることを特徴とする、請求項に記載の製造方法
【請求項3】
前記抗酸化剤は、L-アスコルビン酸、茶ポリフェノール、ビタミンEから選ばれる一種または多種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法
【請求項4】
前記原料は質量百分率で、リコピン結晶1~3%、油溶性乳化剤1~5%、水溶性乳化剤5~15%、抗酸化剤0.5~5%、グリセリン60~70%、残量の水からなるものであることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法
【請求項5】
前記食品着色剤の温度25℃、相対湿度60%条件下の粘度は20000~40000mPa・sであることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法
【請求項6】
前記乳化は45~75℃で行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記乳化は、6000~8000rpm/minの条件下で15~45minせん断乳化を行うことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記粉砕は40~60℃の条件下で行うことを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記粉砕は、線速度8~15m/sで120~150min粉砕することを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
魚肉練り類食品の製造方法であって、
請求項のいずれか一項に記載の製造方法でリコピン着色剤を製造し、得られたリコピン着色剤を使用する、
魚肉練り類食品の製造方法。
【請求項11】
前記リコピン着色剤を希釈してから魚肉練り類食品の表面にスプレーする、請求項10に記載の魚肉練り類食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品工業の分野に関するものであり、具体的には、鮮度維持機能を有するリコピン着色剤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リコピンはカロテノイドの一種であり、分子内に二重結合を多く有し、抗酸化活性が強く、細胞の抗酸化損害を回避でき、がんの発生を予防できる。また、リコピンは心臓・脳血管病の発生も予防でき、老衰遅延などの機能を有する。
【0003】
リコピンは脂溶性の赤色色素であり、肉製品などの食品の表面に使用すると、生肉の色合いが鮮やかになるだけではなく、保湿、鮮度維持の機能も果たし、製品のシェルフライフが延長される。一方、リコピンの難水溶性のため、リコピンは食品への使用において大きな制限がある。
【0004】
カニ蒲などの魚肉練り類製品は加工過程において、色塗りして膜で包む必要がある。エビやカニの色に近い赤色色素を用いてロールの表面に塗布することで、カニ蒲の色合いが改善される。現在では、カニ蒲に使用される天然な赤色色素として、コチニール色素、紅麹色素などがあるが、これらの赤色色素は、一般的に、色保持の作用のみを有し、鮮度維持において効果が劣っている。
【0005】
中国特許文献CN104621230Aにおいて、鶏手羽、豚肉、牛肉などのような生鮮食料品に用いられる鮮度維持・色保持用噴霧剤が開示され、その主成分はキトサン、グリセリン、及びリコピンであり、グリセリンのリコピンに対する乳化作用により、リコピンを水に溶解させ、噴霧剤を形成し、生肉の表面に保護膜を形成することで、水分の蒸発を低減できるが、色保持における効果が乏しい。中国特許文献CN1053949Aにおいて、水溶性乳化リコピン食用着色剤及びその製造方法が開示され、該案で得られた製品を魚肉練り類製品に用いる際に、呈色効果が乏しい。
【0006】
現在では、粒子が緻密且つ均一で、呈色が鮮やかで、水分を保持でき、浸透防止が可能である鮮度維持機能を有するリコピン食品着色剤の開発が急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、従来技術に存在する欠陥を克服し、鮮度維持機能を有するリコピン食品着色剤を提供することである。本発明が提供する着色剤は、緻密且つ均一で、呈色が鮮やかで、水分保持効果が良好で、浸透防止が可能である、などの特徴を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、本発明が提供する食品着色剤は、リコピン結晶、乳化剤、抗酸化剤、グリセリン、及び水を含む原料で製造されるものである。そのうち、核となる物質はリコピン結晶である。
【0009】
リコピンは脂溶性色素であり、人体に直接吸収されることが困難である。現在、市販されるリコピンは、主に、含量が15%程度のリコピン含油樹脂である。そのままでリコピン含油樹脂により着色剤を製造すると、製造される着色剤の色調が黄色になる傾向がある。本発明では、原料としてリコピン結晶を用いることで、赤色の色調を有する着色剤を製造でき、さらに、粒子が緻密且つ均一で、呈色が鮮やかで、水分を保持でき、浸透防止が可能である鮮度維持機能を有するリコピン食品着色剤が得られる。本発明で用いられるリコピン結晶は、原料としてリコピン含油樹脂を用い、有機溶剤を入れ、再結晶することで製造されてもよいが、直接に市販から入手してもよい。
【0010】
本発明は、各原料の組成を全面的に最適化し、特に原料におけるグリセリンの相対使用量及び水の相対使用量を制御することで、前記原料から製造される着色剤が良好な色調、粒度及び粘度を有することを確保できる。具体的には、本発明では、前記原料が重量部で、リコピン結晶1~3部、乳化剤5~20部、抗酸化剤0.5~5部、グリセリン60~70部、水10~20部を含むことが好ましい。
【0011】
本発明では、前記乳化剤は、油溶性乳化剤と水溶性乳化剤とを混合してなるものであることが好ましく、油溶性乳化剤と水溶性乳化剤とを1~5:5~15の質量比で混合してなるものであることが好ましい。これにより、前記乳化剤が特定の割合のグリセリン及び水と協同作用してリコピンに良好な媒質を形成することを確保でき、着色剤製品に優れた機能を付与できる。ここで、前記水溶性乳化剤として、当分野の汎用の食品用水溶性乳化剤を選択でき、例えば、ツイーン、モノステアリン酸ショ糖エステル、モノパルミチン酸ショ糖エステルの一種または多種が挙げられる;前記油溶性乳化剤として、当分野の汎用の食品用油溶性乳化剤を用いることができ、例えば、リン脂質が挙げられる。
【0012】
本発明では、配合に抗酸化剤を添加することで、前記着色剤に抗酸化機能を付与できる。前記特定の割合の抗酸化剤はリコピン結晶と協同作用でき、着色剤に良好な鮮度維持効果を付与できる。前記抗酸化剤として、当分野の汎用の食用可能な抗酸化剤を用いることができる。例えば、L-アスコルビン酸、茶ポリフェノール、ビタミンEの一種または多種が挙げられる。
【0013】
本発明の好ましい案として、前記原料は、質量百分率で、リコピン結晶1~3%、油溶性乳化剤1~5%、水溶性乳化剤5~15%、抗酸化剤0.5~5%、グリセリン60~70%、残量の水からなるものである。
【0014】
本発明で提供されるリコピン着色剤は、良好な粒度、色調及び粘度を有する。具体的には、本発明で提供される食品着色剤の中位粒径D50は0.55~0.65μmである。本発明で提供される食品着色剤の色調値はL*25~35、a*30~35、b*20~25である(ここで、L*は黒白を示し、その値が0である場合は黒色であり、100である場合は白色であり、0~100の間にある場合は灰色である;a*は赤緑を示し、その値がプラスである場合は赤色であり、マイナスである場合は緑色である;b*は黄青を示し、その値がプラスである場合は黄色であり、マイナスである場合は青色である)。本発明で提供される食品着色剤の温度25℃、相対湿度60%の条件下の粘度は20000~40000mPa・sである。
【0015】
本発明では、前記食品着色剤の製造方法も同時に提供されている。具体的には、前記食品着色剤は、原料を混合してから乳化させ、粉砕してなるものである。
【0016】
前記乳化において、当分野の慣用の乳化方法を用いて、原料を乳化させて乳化懸濁液を得ればよい。本発明の一つの具体的な形態として、6000~8000rpm/minの条件下でせん断乳化すればよい。本発明では、前記乳化が45~75℃で行われることが好ましい。乳化時間として、15~45minが好ましい。
【0017】
本発明では、乳化された乳化懸濁液を粉砕機に仕込んで粉砕することで、特定の粒度、色調及び粘度を有する製品の獲得を確保できる。本発明では、大量の実践を行った結果、本発明で提供される製品が良好な色調及び粒度を有するか否かについて、粉砕時の温度の制御が肝心な点であることを見出した。粉砕の温度が60℃を超えると、粉砕過程において、色調値がa*12~15、b*3~5に達した後、たとえ粉砕を続いても色調値がこれ以上増加することはなく、鮮やかな赤色を有する製品が得られない;一方、粉砕の温度が40℃以下であると、乳化懸濁液の粘度が向上し、粉砕の阻害が大きくなり、粉砕媒質が乳化懸濁液に懸濁し、粉砕による効果を達成できない。粉砕過程自体では、大量な熱が生じ、製品を昇温させるため、本発明の前記温度制御とは、温度を制御することで粉砕過程中の製品の温度を40~60℃という特定の範囲内に維持することである。本発明では、前記粉砕の線速度が8~15m/s、粉砕時間が120~150minであることがさらに好ましい。
【0018】
製造過程において、半時間ごとにサンプリングして粒度及び色調を検測してもよい。合格したものを取り出して包装することにより、本発明の鮮度維持機能を有する食品着色剤が得られる。
【0019】
上記の方法で製造された着色剤は、製品に良好な粒度、色調及び粘度を付与でき、製品が緻密且つ均一で、呈色が鮮やかで、水分保持効果が良好で、浸透防止が可能である、などの特徴を有することを確保できる。
【0020】
本発明では、前記リコピン着色剤の魚肉練り類食品の製造における使用も同時に保護される。前記魚肉練りとは、魚肉練りをチョッピングして攪拌した後に食塩、副原料などを添加して圧し潰し、黏稠な魚肉ペーストとしてから成形させ、その後に加熱して得られる弾性のあるゲル体であり、例えば、魚肉団子、蒲鉾、魚ソーセージ、魚巻きなどが挙げられる。ここで、「魚肉練り」は、魚を原料として製造された製品に限定されるものではなく、カニ、エビ、貝などの水産品を原料として製造された製品も含み、例えば、カニ蒲などが挙げられる。
【0021】
前記使用において、具体的には、前記リコピン着色剤を希釈してから、魚肉練り類食品の表面にスプレーする。前記希釈において、純水で前記リコピン着色剤の質量の8~12倍になるまでに希釈することが好ましい。前記魚肉練り類食品がカニ蒲である場合、本発明では、1kgあたりのカニ蒲に3~7gの前記リコピン着色剤を使用することが好ましい。
【0022】
本発明が提供するリコピン着色剤は、粒度が適宜で、色調が魚肉練り類製品の塗色に好適で、着色力が強く、色彩が鮮やかである。本発明が提供するリコピン着色剤は、ミオグロビンを促発する効果を有し、魚肉練り類製品の色合いを鮮やかにすることができ、より新鮮に見えるようにすることができ、さらに、鮮度維持機能を有し、一部の食品微生物を殺すことができるため、食品鮮度が維持され、シェルフライフが延長される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的な実施例を組み合わせて、本発明の具体的な実施形態についてさらに詳細に説明する。以下の実例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0024】
下記の各実施例で用いた原料はいずれも市販品である。そのうち、前記リコピン結晶におけるリコピンの含量は90~95%であり、Chenguang Biotech Group Co.,Ltd.から購入したものである。
【0025】
実施例1
本実施例では、リコピン結晶25g、モノステアリン酸ショ糖エステル100g、リン脂質50g、ビタミンE 5g、グリセリン620g、水200gを原料とするリコピン着色剤が提供される。
【0026】
本実施例では、さらに、前記リコピン着色剤の製造方法が提供される。具体的には、下記の通りである。
(1)各原料を混合してから乳化缶に仕込んで、45℃までに加熱し、6000rpm/minの条件下で30minせん断乳化を行い、乳化懸濁液を得た;
(2)前記乳化懸濁液を粉砕機に仕込んで粉砕し、粉砕温度を40℃となるように制御し、粉砕の線速度を12m/sとし、120min粉砕した。
【0027】
検測したところ、本実施例で提供したリコピン食品着色剤のD50は0.58μmであり、色調値はそれぞれL*35、a*30、b*20であり、前記着色剤の25℃、相対湿度60%の条件下の粘度は40000mPa・sであった。
【0028】
実施例2
本実施例では、リコピン結晶300g、ツイーン80 1.1kg、リン脂質100g、茶ポリフェノール500g、グリセリン7kg、水1kgを原料とするリコピン着色剤が提供される。
【0029】
本実施例では、さらに、前記リコピン着色剤の製造方法が提供される。具体的には、下記の通りである。
(1)各原料を混合してから乳化缶に仕込んで、75℃までに加熱し、8000rpm/minの条件下で15minせん断乳化を行い、乳化懸濁液を得た;
(2)前記乳化懸濁液を粉砕機に仕込んで粉砕し、粉砕温度を50℃となるように制御し、粉砕の線速度を8m/sとし、150min粉砕した。
【0030】
検測したところ、本実施例で提供したリコピン食品着色剤のD50は0.65μmであり、色調値はそれぞれL*30、a*32、b*22であり、前記着色剤の25℃、相対湿度60%の条件下の粘度は35000mPa・sであった。
【0031】
実施例3
本実施例では、リコピン結晶1kg、モノパルミチン酸ショ糖エステル15kg、リン脂質2.5kg、アスコルビン酸3kg、グリセリン63.5kg、水15kgを原料とするリコピン着色剤が提供される。
【0032】
本実施例では、さらに、前記リコピン着色剤の製造方法が提供される。具体的には、下記の通りである。
(1)各原料を混合してから乳化缶に仕込んで、60℃までに加熱し、7000rpm/minの条件下で45minせん断乳化を行い、乳化懸濁液を得た;
(2)前記乳化懸濁液を粉砕機に仕込んで粉砕し、粉砕温度を60℃となるように制御し、粉砕の線速度を15m/sとし、120min粉砕した。
【0033】
検測したところ、本実施例で提供したリコピン食品着色剤のD50は0.55μmであり、色調値はそれぞれL*25、a*35、b*25であり、前記着色剤の25℃、相対湿度60%の条件下の粘度は20000mPa・sであった。
【0034】
比較例1
中国特許文献CN1053949Aの実施例1に開示された配合に従って、リコピン着色剤を製造した。具体的な配合において、含量が10%であるリコピン含油樹脂1kg、大豆リン脂質100g、グリセリン4.9kg、水3kgである。
具体的な製造方法は実施例1と同じである。
【0035】
検測したところ、本比較例で提供したリコピン食品着色剤のD50は1.3μmであり、色調値はそれぞれL*38、a*15、b*32であり、前記着色剤の25℃、相対湿度60%の条件下の粘度は8000mPa・sであった。
【0036】
比較例2
実施例1で提供した原料(抗酸化剤を除く)を用いて、中国特許文献CN1053949Aの実施例1に開示された方法により、リコピン着色剤を製造した。
【0037】
具体的な製造方法は下記の通りである。
(1)乳化剤(モノステアリン酸ショ糖エステル及びリン脂質)を水に入れて、40℃で攪拌して溶解させた後、リコピン結晶を入れ、1300rpm/minで高せん断混合乳化において、均一になるように30分攪拌して混合させた。
(2)グリセリンを50℃までに加熱し、20分攪拌してから、ステップ(1)の混合料を加入し、20MPaで材料を3回均質にした。
(3)均質になった材料を脱気タンクに移行し、-10kPa、45℃で6時間脱気・養生を行い、リコピン着色剤を得た。
【0038】
検測したところ、本比較例で提供したリコピン食品着色剤のD50は1.9μmであり、色調値はそれぞれL*49、a*20、b*8であり、前記着色剤の25℃、相対湿度60%の条件下の粘度は16000mPa・sであった。
【0039】
実施例4
本実施例では、実施例1で提供したリコピン着色剤により加工されたカニ蒲が提供される。具体な加工方法は下記の通りである。リコピン着色剤を5g取り、純水で10倍になるまで希釈した(即ち、50gになるまで希釈した)後、1kgのカニ蒲の表面に均一にスプレーした。
【0040】
実験例
本発明で提供されるリコピン着色剤により加工されたカニ蒲について、鮮度維持実験及び水分保持実験を行った。
実験群:実施例4で提供した実施例1のリコピン着色剤により加工されたカニ蒲;
対照群:純水を50g取り、1kgのカニ蒲の表面に均一にスプレーして得られたもの。
実験群及び対照群で提供したカニ蒲を安定性試験箱(温度25℃、相対湿度60%)に置き、鮮度維持実験及び水分保持実験を行い、異なる期間放置したカニ蒲の微生物及び水分を検測した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から分かるように、本発明のリコピン着色剤は良好な鮮度維持・水分保持効果を有している。また、実験群で提供したカニ蒲は、安定性試験箱に9日置いても、鮮やかな外観を維持した。
【0043】
上記において説明したのは、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の技術的思想および趣旨から逸脱しない範疇で行ったいかなる変形、等価置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。