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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】サイドエアバッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20231220BHJP
   B60R 21/233 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/233
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020563467
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019030200
(87)【国際公開番号】W WO2019231604
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】15/996,036
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505236506
【氏名又は名称】オートリヴ エイエスピー インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】デレク ジョン ウィスコム
(72)【発明者】
【氏名】ドン ラリー パーカー
(72)【発明者】
【氏名】テリー アラン ウィルライト
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ローレンス ホリデイ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ポール ディンズデール
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント エス ホイットカム
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ アレン マルクシク
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-022473(JP,A)
【文献】特開2011-116285(JP,A)
【文献】特開2005-138665(JP,A)
【文献】特開2005-238890(JP,A)
【文献】特開2011-005908(JP,A)
【文献】特開2005-082068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0097359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/207
B60R 21/233
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能なエアバッグアセンブリであって、
車両のシートのシートバックに装着される筐体と、
第1のインフレータと、
前記インフレータから膨張ガスを受容し、前記筐体内のパッケージ状態から、前記シートバックの側面から前方に延在する展開状態へと展開する膨張可能なエアバッグクッションと、を備え、
前記展開状態の前記膨張可能なエアバッグクッションが、車両着座位置に横方向に隣接して位置決めされており、前記膨張可能なエアバッグクッションが、
第1の圧力まで前記膨張ガスによって膨張される第1のチャンバであって、前記車両の縦軸に対して横方向に移動する乗員の胴体を受容するように位置決めされた第1のチャンバと、
前記第1の圧力よりも大きい第2の圧力まで前記膨張ガスによって膨張される第2のチャンバであって、前記車両の縦軸に対して横方向に移動する乗員の肩部及び骨盤のうちの1つ以上を受容するように位置決めされた第2のチャンバと、を備え、
前記第2のチャンバは、前記第1のチャンバ内に配置されており、前記第1のチャンバの後方部分、上方部分、及び下部と同一の広がりを持ち、
前記第2のチャンバは、インフレータポートを介して前記膨張ガスを供給することによって膨張可能であり、
前記第2のチャンバは、当該第2のチャンバから前記第1のチャンバへの前記膨張ガスの連通を可能にする弁を含んでおり、
前記弁は、前記第2のチャンバ内で前記第2の圧力が達成されるまで閉じたままであり、前記第2のチャンバ内で前記第2の圧力が達成された時点で前記第1のチャンバへの前記膨張ガスの供給を許容し、前記第1のチャンバ内の前記膨張ガスの圧力が前記第2のチャンバ内の前記膨張ガスの圧力の所望の分数比に達したときに再び閉じるように、構成されている、膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項2】
前記第1のチャンバが概ね長円形状を有し、前記第1のチャンバの垂直寸法が水平寸法よりも大きく、
前記第1のチャンバが、前記車両の前記縦軸に対して横方向に移動する前記乗員の胸腹領域(胸郭)を受容し、支持するように位置決めされている、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項3】
前記第2のチャンバが、概ね垂直な領域、上部領域、及び下部領域を含む形状を有し、
前記上部領域が、前記展開状態において、前記第2のチャンバの前記概ね垂直な領域の上部から前方に延在し、前記車両の前記縦軸に対して横方向に移動する前記乗員の前記肩部を受容するように位置決めされており、
前記下部領域が、前記展開状態において、前記第2のチャンバの前記概ね垂直な領域の下部から前方に延在し、前記車両の前記縦軸に対して横方向に移動する前記乗員の前記骨盤を受容するように位置決めされている、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項4】
前記第2のチャンバがC形状を有し、前記第2のチャンバの前記概ね垂直な領域が、前記第2のチャンバの前記上部領域及び前記下部領域と流体連通している、請求項3に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項5】
前記第2のチャンバがI形状を有し、前記第2のチャンバの前記概ね垂直な領域が、前記第2のチャンバの前記上部領域及び前記下部領域と流体連通している、請求項3に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項6】
前記第2のチャンバの前記上部領域の下部と、前記第2のチャンバの前記下部領域の上部と、前記第2のチャンバの前記概ね垂直な領域の前方部分とが、前記第2のチャンバの連続的な前方周囲を形成している、請求項3に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項7】
前記第2のチャンバの後方部分が、前記第1のチャンバの後方部分に隣接して連結されており、
前記第2のチャンバの前記上部領域の上部が、前記膨張可能なエアバッグクッションの上縁部において前記第1のチャンバの上部と連結されており、
前記第2のチャンバの前記下部領域の下部が、前記膨張可能なエアバッグクッションの下縁部において前記第1のチャンバの下部と連結されている、請求項3に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項8】
前記第2のチャンバのサイドパネルの外部は、前記第2のチャンバが前記第1のチャンバの外部にあるように、前記第1のチャンバのサイドパネルの直接隣接する外部に連結している、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項9】
前記膨張可能なエアバッグクッションが、車両着座位置と車両側壁との間に配置されるように前記筐体から展開するように構成されている、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項10】
前記膨張可能なエアバッグクッションの前記第1のチャンバは、前記第1のインフレータからの膨張ガスの供給によって膨張可能であり、前記膨張可能なエアバッグクッションの前記第2のチャンバは、第2のインフレータからの膨張ガスの供給によって膨張可能である、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項11】
前記膨張可能なエアバッグクッションの前記第2のチャンバの前記概ね垂直な領域が、前記第1のインフレータから前記第2のチャンバの前記上部領域及び前記下部領域への膨張ガスの流体連通のための充填チューブを備える、請求項に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項12】
膨張可能なエアバッグアセンブリであって、
インフレータから膨張ガスを受容し、車両のシートのシートバック内でパッケージ状態から、前記シートバックの側面から前方に延在する展開状態へと展開する膨張可能なエアバッグクッションを備え、前記膨張可能なエアバッグクッションが、前記展開状態で、車両着座位置に横方向に隣接して位置決めされており、前記膨張可能なエアバッグクッションが、
前記膨張ガスによって第1の圧力まで膨張され、前記展開状態で、前記車両の縦軸に対して横方向に移動する乗員の胴体を受容するように位置決めされている低圧チャンバと、
前記膨張ガスによって前記第1の圧力よりも大きい第2の圧力まで膨張される高圧チャンバであって、前記展開状態で、前記高圧チャンバの上部で乗員の肩部を受容し、前記乗員が前記車両の縦軸に対して横方向に移動する際に前記高圧チャンバの下部で乗員の骨盤を受容するように位置決めされている高圧チャンバと、を備え、
前記高圧チャンバが前記低圧チャンバ内に配置されており、前記低圧チャンバの後方部分、上方部分、及び下部と同一の広がりを持ち、
前記高圧チャンバは、インフレータポートを介して前記膨張ガスを供給することによって膨張可能であり、
前記高圧チャンバは、当該高圧チャンバから前記低圧チャンバへの前記膨張ガスの連通を可能にする弁を含んでおり、
前記弁は、前記高圧チャンバ内で前記第2の圧力が達成されるまで閉じたままであり、前記高圧チャンバ内で前記第2の圧力が達成された時点で前記低圧チャンバへの前記膨張ガスの供給を許容し、前記低圧チャンバ内の前記膨張ガスの圧力が前記高圧チャンバ内の前記膨張ガスの圧力の所望の分数比に達したときに再び閉じるように、構成されている、膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項13】
前記低圧チャンバが、水平寸法よりも大きい垂直寸法を有する、請求項12に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項14】
前記高圧チャンバが、概ね垂直な領域、上部領域、及び下部領域を備え、
前記上部領域は、前記展開状態で、前記高圧チャンバの前記概ね垂直な領域の上部から前方に延在しており、前記車両の前記縦軸に対して横方向に移動する前記乗員の前記肩部を受容するように位置決めされており、
前記下部領域は、前記展開状態で、前記高圧チャンバの前記概ね垂直な領域の下部から前方に延在しており、前記車両の前記縦軸に対して横方向に移動する前記乗員の前記骨盤を受容するように位置決めされている、請求項12に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項15】
前記高圧チャンバの前記概ね垂直な領域が、前記高圧チャンバの前記上部領域及び前記下部領域と流体連通している、請求項14に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項16】
前記高圧チャンバの前記上部領域の上部が、前記低圧チャンバの上部と連結されており、前記高圧チャンバの前記下部領域の下部が、前記低圧チャンバの下部と連結されている、請求項14に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項17】
前記高圧チャンバの前記上部領域の下部と、前記高圧チャンバの前記下部領域の上部と、前記高圧チャンバの前記概ね垂直な領域の前方部分とが、前記高圧チャンバの連続的な前方周囲を形成している、請求項14に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項18】
前記高圧チャンバの後方部分が、前記低圧チャンバの後方部分に隣接して連結されており、
前記高圧チャンバの前記上部領域の上部が、前記膨張可能なエアバッグクッションの上縁部において前記低圧チャンバの上部と連結されており、
前記高圧チャンバの前記下部領域の下部が、前記膨張可能なエアバッグクッションの下縁部において前記低圧チャンバの下部と連結されている、請求項14に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項19】
前記高圧チャンバのサイドパネルの外部は、前記高圧チャンバが前記低圧チャンバの外部にあるように、前記低圧チャンバのサイドパネルの直接隣接する外部に連結している、請求項12に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項20】
前記膨張可能なエアバッグクッションが、前記シートバックから展開し、車両着座位置と車両側壁との間に配置されるように構成されている、請求項12に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項21】
前記膨張可能なエアバッグクッションの前記低圧チャンバが、第1のインフレータポートを介して膨張ガスを供給することによって膨張可能である、請求項12に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項22】
前記膨張可能なエアバッグクッションの前記高圧チャンバの前記概ね垂直な領域が、前記第1のインフレータから前記高圧チャンバの前記上部及び下部領域への膨張ガスの流体連通のための充填チューブを備える、請求項14に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「SIDE AIR BAG ASSEMBLY」と題された、2018年6月1日出願の米国特許出願第15/996,036号に対する優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般に、自動車保護システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、衝突事象に応じて展開するように構成されたエアバッグシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本実施形態は、添付の図面と併用して、以下の記載及び添付の特許請求の範囲からより完全に明白となるであろう。添付の図面は、典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではないことが理解され、実施形態は、添付の図面を参照して、特異性及び詳細と共に記載及び説明される。
図1A】本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグアセンブリを有する車両の内部の一部分の正面図である。
図1B】展開され、少なくとも部分的に膨張された図1Aの膨張可能なエアバッグアセンブリを有する車両の内部の一部分の正面図である。
図1C】乗員が膨張可能なエアバッグクッションと係合しており、展開され、少なくとも部分的に膨張した状態の図1A図1Bの膨張可能なエアバッグアセンブリを有する車両の内部の一部分の正面図である。
図2A】非膨張状態の図1A図1Cの膨張可能なエアバッグクッションの側面の側面図である。
図2B図2Aの膨張可能なエアバッグクッションの第2の側面の側面図である。
図3A】非膨張状態の本開示の別の実施形態による膨張可能なエアバッグクッションの側面の側面図である。
図3B図3Aの膨張可能なエアバッグクッションの第2の側面の側面図である。
図4A】本開示の実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリの膨張可能なエアバッグクッションの部分分解斜視図である。
図4B】本開示の別の実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリの膨張可能なエアバッグクッションの部分分解図である。
図5】本開示の別の実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリを有する車両の内部の一部分の正面図である。
図6】本開示の別の実施形態による、2つの膨張可能なエアバッグアセンブリを有する車両の内部の一部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書において一般に記載され、図において図示される本実施形態の構成要素は、多種多様の異なる構成で配置され設計され得ることが容易に理解される。したがって、図で表されているように、以下の様々な実施形態のより詳細な説明は、特許請求されるような本開示の範囲を制限することを意図するものではなく、ただ単に様々な実施形態を表すにすぎない。実施形態の様々な態様が図面で提示されているが、図面は、具体的に示されない限り、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。
【0005】
膨張可能なエアバッグアセンブリは、衝突事象中の乗員の怪我を低減又は最小化するために広く使用されている。エアバッグモジュールは、限定されるものではないが、ステアリングホイール内、ダッシュボード及び/又は計器盤内、サイドドア又はサイドシート内、車両のルーフレールに隣接、オーバーヘッド位置、あるいは膝又は脚位置を含む、車両内の様々な場所に設置されている。本開示は、骨が、年齢に付随する健康問題の結果としていくつかの怪我タイプ及びモードの影響をより受けやすい場合があり、及びサイドの衝突又は乗員(複数可)の横方向移動(例えば、車両の縦軸を横断する)を生じさせる他の事象に関与するときによりそうである場合がある、高齢乗員(複数可)に対して特に有益な保護をもたらすことができる。以下の開示において、「エアバッグ」は、一般に、衝突事象中に乗員を保護するために、側面位置に(又は車両乗員位置に概ね横方向に隣接する位置に)展開する膨張可能なエアバッグを指す。
【0006】
「反対」という用語は、別の関連する特徴又は構成要素に対応する位置における特定の特徴又は構成要素の配置を指すために本明細書で使用される関係用語であり、対応する特徴又は構成要素は、互いに位置的に並置される。例として、人の右手は人の左手と反対である。
【0007】
設置中、エアバッグは、典型的には、パッケージ状態又はコンパクトな構成で筐体の内部に配置され(例えば、巻かれ、折り畳まれ、及び/又はさもなければ圧縮され)ており、カバーの背後にパッケージ状態で保持されてもよい。衝突事象の間、インフレータがトリガされ、エアバッグを膨張ガスで急速に充填する。エアバッグは、パッケージ状態(例えば、コンパクト構成)から展開状態又は拡張構成に急速に移行することができる。例えば、拡張しているエアバッグは、(例えば、バーストシームを介して引き裂かれることによって又はドーム状構造を開くことによって)エアバッグカバーを開いて筐体から出ることができる。インフレータは、任意の好適なデバイス又はシステムによってトリガされてもよく、トリガは、1つ以上の車両センサに応答し得、及び/又はそれによって影響され得る。
【0008】
本明細書に開示されるエアバッグアセンブリのいくつかの実施形態は、前方シートの乗客をクッションするのにより好適であり得るが、他の実施形態は、より後方シートなどの前方シート以外のシートの乗客により著しく好適であり得る。エアバッグアセンブリは、車両(例えば、ドア柱、車両側壁、中央コンソール)内の構造に対する乗員の衝撃(構体の衝撃)の影響を低減することによって、衝突事象中の車両の乗員への怪我を軽減することができる。
【0009】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、特定のタイプの衝突に関与する乗員に対する改善された位置決め、クッション性、及び/又は安全性を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態は、乗客側ドアに隣接して着座した車両ドライバ及び/又は前方シート乗員をクッションするように構成することができる。特定の実施形態が有利であることを実証し得る衝突の種類の例としては、(1)打撃物体が乗員の車両の構造的な縦構成要素及び/又はエンジンブロックに係合できない衝突、(2)衝撃力が、乗員の車両の左右の縦梁のいずれかの主に外側に作用する衝突、(3)FLEE又はFREEのような衝突変形分類スキームに分類される衝突、(4)乗員の車両が車両幅の25%以下に当たる前衝撃衝突、(5)米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety、IIHS)のスモールオーバーラップ正面クラッシュ試験に指定されたような衝突、又は(6)米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration、NHTSA)の傾め衝撃試験について指定されたような衝突のうちの1つ以上が挙げられる。IIHSのスモールオーバーラップ前突試験及びNHTSAの傾め衝撃試験の条件は、米国道路安全保険協会のSmall Overlap Frontal Crashworthiness Evaluation Crash Test Protocol(第II版)(2012年12月)、及びSaunders,J.、Craig,M.、及びParent,D.、Moving Deformable Barrier Test Procedure for Evaluating Small Overlap/Oblique Crashes、SAE Int.J.Commer.Veh.5(1):172-195(2012)に開示されている。本明細書で使用するとき、衝突(クラッシュ、衝撃など)を記載するために使用される場合、「傾め」という用語は、前述の衝突のいずれか、及び衝撃の結果として乗員の移動方向が前方方向又は成分及び横方向又は成分の両方を含む任意の他の衝突を包含することが意図される。本開示において、斜め衝突の間又は後の乗員の衝突後の軌道の縦成分は、車両の前方方向に配向されてもよい。
【0010】
図1Aは、本開示の実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリ100を有する車両10の内部の一部分の正面図である。ドア又は側壁16及び窓18が参照のために示されている。車両10は、少なくとも1つの車両着座位置30を含む。図1Aの車両着座位置30は、シートアセンブリ40を含む。シートアセンブリ40は、シート42、シートバック44、及び制止装具46を備える。乗員50は、シートアセンブリ40に示されている。乗員50の頭部51、肩部(複数可)52、胸郭54、胸部中心55、胸腹領域56、及び骨盤58が参照のために示されている。膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、シートバック44に連結されてもよい。
【0011】
膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、筐体102と、インフレータ104と、を備える。一実施形態では、筐体102は、シートバック44の内部に装着されてもよい。インフレータ104は、筐体102に連結されてもよく、また、筐体102内に部分的又は完全に配置されてもよい。
【0012】
図1A及び他の図は、制止装具46を使用した乗員50を図示し得るが、膨張可能なエアバッグアセンブリ100の動作は、制止装具46に決して依存しない。
【0013】
図1Bは、展開され、少なくとも部分的に膨張された図1Aの膨張可能なエアバッグアセンブリ100を有する車両10の内部の一部分の正面図である。車両10のドア/側壁16及び窓18が参照のために示されている。車両着座位置30及びシートアセンブリ40、並びにシート42、シートバック44、及び制止装具46が参照のために示されている。乗員50は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100と係合する前に、シートアセンブリ40内に着座されて示されている。肩部52、胸郭54、胸部中心55、胸腹領域56、及び骨盤58が参照のために示される。
【0014】
膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、膨張可能なエアバッグクッション110を更に備える。膨張可能なエアバッグクッション110は、インフレータポート(図示しないが、例えば図2の106を参照)と、第1のチャンバ120と、第2のチャンバ130と、を備える。膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、例えば、衝突事象に関与する車両によって、作動され得るインフレータ104の動作によって展開されてもよい。インフレータ104は、インフレータポート106を介して膨張可能なエアバッグクッション110に膨張ガスを提供することができ、それによって膨張可能なエアバッグクッション110が筐体102から展開し、膨張を開始することができる。膨張可能なエアバッグクッション110は、シートバック44において筐体102から前方へ車両着座位置30に隣接する位置まで、より具体的には少なくとも1つの実施形態では、車両着座位置30と車両10のドア/側壁16との間に、配置されるように膨張することができる。
【0015】
展開され完全に膨張した状態にあるとき、第1のチャンバ120は、第1の圧力に膨張されてもよく、第2のチャンバ130は、第2の圧力に膨張されてもよく、第2のチャンバ130の第2の圧力は、第1のチャンバ120の第1の圧力よりも大きい。第1のチャンバ120はまた、低圧チャンバと称されてもよく、第2のチャンバ130はまた、高圧チャンバと称されてもよく、これは、第1の、又は低圧チャンバは、第2の(高圧)チャンバよりも低い圧力の膨張ガスで作動することを意図しているためである。
【0016】
一実施形態では、第2のチャンバ130は、第1のチャンバ120の内部に配置されてもよく、第2のチャンバ130は、第1のチャンバ120の一部分と同一の広がりを持っていてもよい。換言すれば、第2のチャンバ130は、第1のチャンバ120内にあり、第1のチャンバ120の一部分を占有してもよい。第2のチャンバ130は、概ね垂直な領域132と、上部領域134と、下部領域136と、を備える。概ね垂直な領域132は、上部領域134及び下部領域136の両方と流体連通していてもよい。第2のチャンバ130の概ね垂直な領域132は、第2のチャンバ130の概ね垂直な領域132から前方に延在する上部領域134及び下部領域136が、乗員50に隣接して配置された状態で、シートバック44に隣接して配置されてもよい。実施形態における膨張ポート106は、第2のチャンバ130に直接、膨張ガス160を供給してもよい。第2のチャンバ130は、弁150を含んでもよい。弁150は、第2のチャンバ130から第1のチャンバ120への膨張ガスの連通を可能にするように構成されてもよい。弁150は、第2の圧力が第2のチャンバ130内で達成されると、第1のチャンバ120に膨張ガス162を供給するように更に構成されてもよい。弁150は、第2のチャンバ130と第1のチャンバ120との間に所望の膨張ガス圧力比が存在しない限り、及び/又はそれが存在するまで、膨張ガスが第1のチャンバ120に入ることを防止するように更に構成されてもよい。換言すれば、弁150は、第2のチャンバ130内で第2の圧力が達成されるまで閉じたままであってもよく、この時点で、弁150は、第1のチャンバ120に膨張ガス162を入れ始めることができる。また、弁150は、第1のチャンバ120内の膨張ガスの圧力が第2のチャンバ130内の圧力の所望の分数比に達したときに再び閉じることができ、それにより、第2のチャンバ130内の第2の圧力は、第1のチャンバ120内の第1の圧力よりも高いままである。
【0017】
第1のチャンバ120は、膨張可能なエアバッグクッション110から膨張ガス166を排気する排気口164を備えてもよい。排気口164は、第1のチャンバ120内で所望の圧力が達成されると、最初に膨張ガス166を第1のチャンバ120から出すように構成されてもよい。換言すれば、排気口164は、第1のチャンバ120内で所望の圧力が達成されるまで膨張ガスが膨張可能なエアバッグクッション110から出ることを防止することができる。一実施形態では、排気口164は、第1のチャンバ120内の膨張ガスの圧力が所望の圧力を下回る場合に部分的に閉じるように構成されてもよい。別の実施形態では、排気口164は、第1のチャンバ120内の膨張ガスの所望の圧力が最初に達成されると、開いたままであるように構成されてもよい。
【0018】
図1Cは、乗員50が膨張可能なエアバッグクッション110と係合しており、展開され、少なくとも部分的に膨張した状態の図1A図1Bの膨張可能なエアバッグアセンブリ100を有する車両10の内部の一部分の正面図である。乗員50は、車両着座位置30においてシートアセンブリ40内に示される。乗員50の胸郭54、胸部中心55、胸腹領域56、及び骨盤58は、シートアセンブリ40のシート42、シートバック44、及び制止装具46と同様に、参照のために示される。乗員50は、横方向170に移動しており、膨張可能なエアバッグクッション110と係合172、174、176して、示されている。より具体的には、胸部中心55は、横方向170に(図1Bに対して)シフトされ、乗員50の肩部52は、第2のチャンバ130の上部領域134と係合172し、乗員50の胸腹領域56は、第1のチャンバ120と係合174し、乗員50の骨盤58は、第2のチャンバ130の下部領域136と係合176している。換言すれば、肩部52、胸郭54、及び骨盤58は、最初に、同時又はほぼ同時に第1のチャンバ120と係合172、174、176し得、事象が続くと、肩部52は、第2のチャンバ130の上部領域134を更に係合172し得、骨盤58は、第2のチャンバ130の下部領域136に更に係合176し得る。第2のチャンバ130の概ね垂直な領域132は、シートバック44に隣接して配置されてもよく、したがって、乗員の胸腹領域56は、乗車によって第1のチャンバ120の領域と係合174することができる。車両10のドア/側壁16は、膨張可能なエアバッグクッション110を支持178するための反応面として機能し得る。第1のチャンバ120は、乗車中に肩部52及び骨盤58をそれぞれ支持するために、上部領域134及び下部領域136が適切に配置されたままであることを確実にするのを支援し得る。
【0019】
図1Cに示されるような第1のチャンバ120は、第2のチャンバ130が第2の圧力に膨張されている間に、第1の圧力に膨張されている。第2のチャンバ130の第2の圧力は、第1のチャンバ120の第1の圧力よりも大きい。肩部52及び骨盤58は、それぞれ、第2のチャンバ130の上部領域134及び下部領域136に係合してもよい。胸腹領域56は、第1のチャンバ120と係合してもよい。換言すれば、膨張可能なエアバッグクッション110は、第2のチャンバ130の第2の(高い)圧力を有する上部領域134及び下部領域136において乗員50の肩部52及び骨盤58を受容して支持し、第1の(低い)膨張圧力を有する第1のチャンバ120において胸腹領域56を受容し支持するように構成されてもよい。乗員50の肩部52及び骨盤58の両方は、特に、骨が年齢に付随する健康問題の結果としていくつかの怪我タイプ及びモードの影響をより受けやすい場合がある高齢乗員において、胸腹領域56(名目上は、胸郭)よりも、骨構造からの一体強度が大きくなり得る。第2のチャンバ130の第2の(高い)圧力の上部領域134及び下部領域136において肩部52及び骨盤58を受容し、第1の(低い)圧力の第1のチャンバ120において胸腹領域56を受容するように構成された膨張可能なエアバッグクッション110を用いて、乗員50は、膨張可能なエアバッグクッション110によって受容され得、乗員50、特に、胸腹領域56の怪我を一般的に低減し得るように支持され得る。
【0020】
図2Aは、非膨張状態の図1A~1Cの膨張可能なエアバッグクッション110の側面の側面図である。図2Bは、図2Aの膨張可能なエアバッグクッション110の第2の側面の側面図である。図2A及び2Bに関連して、膨張可能なエアバッグクッション110は、内側パネル122及び外側パネル124を含み得る。一実施形態では、内側パネル122及び外側パネル124は、第1のチャンバ120を形成してもよい。内側パネル122及び外側パネル124は、単一の一体型布地パネルで形成されてもよく、布地パネルは、折り目126に沿って折り畳まれ、上部遠位連結部140、下部遠位連結部142、及び後部遠位連結部144に沿って連結されている。上部、下部、及び後部遠位連結部140、142、144は、連続シームで形成されてもよい。シームは、縫合、接着剤、高周波溶接、テーピング、若しくは任意の他の好適な方法、又はこれらの組み合わせによって形成されてもよい。第1のチャンバ120は、1つの断面寸法が垂直断面寸法よりも大きい、概ね長円形状を有してもよい。第1のチャンバ120の排気口164が、参照のために示される。第1のチャンバ120は、インフレータポート106を備えてもよい。膨張ポート106は、内側パネル122を通って第2のチャンバ130の内部に通過する開口部を備えてもよい。換言すれば、インフレータポート106は、膨張ガスを直接第2のチャンバ130に入れるように構成されてもよい。
【0021】
一実施形態では、第2のチャンバ130は、第1のチャンバ120の内部の一部分の内部であってもよく、また同一の広がりを持つことができる。一実施形態では、第2のチャンバ130は、「C」に概ね似た形状を有してもよい。別の実施形態では、第2のチャンバ130は、上部水平部材及び下部水平部材を有する、大文字の「I」に似た形状を有してもよい。第2のチャンバ130は、上部、下部、及び後部遠位連結部140、142、144に沿って第1のチャンバ120に連結することができる。より具体的には、第2のチャンバ130の上部領域134の上部は、上部遠位連結部140で第1のチャンバ120に連結されてもよい。下部領域136の下部は、下部遠位連結部142で第1のチャンバ120に連結されてもよい。概ね垂直な領域132の後部遠位部分は、後部遠位連結部144において第1のチャンバ120に連結されてもよい。第2のチャンバ130は、内側パネル122において、中間連結部146に沿って第1のチャンバ120に更に連結されてもよい。実施形態では、上部、下部、及び後部遠位連結部140、142、144のそれぞれは、第1のチャンバ120の内側パネル122及び外側パネル124を接合するシームを含んでもよい。
【0022】
第2のチャンバ130は、膨張ガスが第2のチャンバ130から第1のチャンバ120へと連通することを可能にする弁150を更に備えてもよい。より具体的には、一実施形態では、インフレータ104が作動すると、膨張ガスは第1のチャンバ120の内側パネル122を通過し、第2のチャンバ130に入り、それによって第2のチャンバ130を膨張させることができる。第2のチャンバ130の第2の圧力を達成すると、弁150は、膨張ガスが第1のチャンバ120に入り、膨張を開始することを可能にし得る。
【0023】
図3A図3Bは、特定の態様において上述の膨張可能なエアバックアセンブリ100に類似する、膨張可能なエアバックアセンブリ300の実施形態を示す。したがって、同様の特徴には、同様の参照番号が、先頭の桁を「3」に増分して割り当てられている。例えば、図3A及び図3Bに示される実施形態は、一部の態様では図1A図2Bの膨張可能なエアバッククッション110に類似し得る、膨張可能なエアバッククッション310を含む。したがって、類似のものとして識別される特徴に関して上述された、関連性のある開示事項は、これ以降では繰り返されない場合がある。更に、図1A図2Bに示される膨張可能なエアバックアセンブリ100及び関連構成要素の特有の特徴は、図面の参照番号で示されないか識別されない、又は具体的にそれ以降に記載される説明にて取り上げられない場合がある。しかしながら、このような特徴は、その他の実施形態で示される特徴、及び/又はこのような実施形態に関して説明される特徴と、明白に同じもの、あるいは実質的に同じものとすることができる。したがって、かかる特徴の関連する記載は、図3A及び図3Bに示す膨張可能なエアバックアセンブリ300及び関連構成要素の特徴に同等に適用できる。図1A図2Bに示される膨張可能なエアバックアセンブリ100及び関連構成要素に関して記載された特徴の、任意の好適な組み合わせ、並びにそれらの変形例は、図3A及び図3Bの膨張可能なエアバックアセンブリ300及び関連構成要素に採用することができ、逆もまた同様である。この開示のパターンは、後続の図に示され、かつ以降で説明される、更なる実施形態にも等しく適用されるものであり、先頭の桁を更に増分することができる。
【0024】
図3Aは、非膨張状態の図1A~2Bの膨張可能なエアバッグクッション110と同様の本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグクッション310の側面の側面図である。図3Bは、図3Aの膨張可能なエアバッグクッション310の第2の側面の側面図である。図3A及び図3Bに関連して、内側パネル322、外側パネル324及び折り目326は、第1のチャンバ320及び第2のチャンバ330と、第2のチャンバ330の概ね垂直な領域332並びに上部領域334及び下部領域336と同様に、参照のために示される。第1のインフレータポート306及び第2のインフレータポート308は、膨張可能なエアバッグクッション310に膨張ガスを導入してもよい。より具体的には、インフレータポート306、308のうちの1つは、膨張ガスを直接第1のチャンバ320内に導入するように構成されてもよく、一方、残りのインフレータポート306、308は、膨張ガスを直接第2のチャンバ330内に導入するように構成されてもよい。例えば、実施形態では、各インフレータポート306、308は、別個のインフレータによって提供されてもよい。別の実施形態では、各インフレータポート306、308は、膨張ガスの異なる体積及び/又は圧力を第1及び第2のチャンバ320、330に供給するインフレータプラグブリングによって提供されてもよい。排気口364は、第1のチャンバ320内の膨張ガスの圧力が第1の圧力に達すると、第1のチャンバ320内の膨張ガスが第1のチャンバ320から出ることを可能にするように構成されてもよい。第2のチャンバ330の弁350は、第2のチャンバ330内の膨張ガスの圧力が第2の圧力に達するまで閉じたままであるように構成されてもよく、第2のチャンバ330の第2の圧力は、第1のチャンバ320の第1の圧力よりも大きい。第1のチャンバ320と第2のチャンバ330との間の膨張ガス圧力の差は、第2のチャンバ330の第2の圧力が第1のチャンバ320の第1の圧力よりも高い、好ましい比又は比範囲を有してもよい。第2のチャンバ330の弁350は、圧力比が好ましい比又は好ましい比範囲内にある間に、膨張ガスが第2のチャンバ330から第1のチャンバ320へと流れることを可能にするように構成されてもよく、圧力比が好ましい圧力比又は比範囲を下回る場合、第2のチャンバ330から第1のチャンバ320への膨張ガスの流れを制限するように構成されてもよい。第1のチャンバ320の排気口364は、好ましい圧力比又は比範囲を達成/維持するのを支援するように、第1のチャンバ320からの膨張ガスの適切な通気を可能にするように比例的に大きくてもよい。
【0025】
図4Aは、本開示の実施形態による、図3A図3Bのエアバッグクッション310と同様の膨張可能なエアバッグアセンブリ400の膨張可能なエアバッグクッション410の部分分解斜視図である。内側パネル422及び外側パネル424は、別個のパネルであってもよい。内側パネル422及び外側パネル424は、第1のチャンバ周辺シーム427に沿って互いに連結されて、膨張可能なエアバッグクッション410の第1のチャンバ(図示しないが、例えば、図3A、3B中の320を参照)を形成することができる。第1のチャンバ420の排気口464は、参照のために示される。
【0026】
第2のチャンバ430は、部分的に組み立てられた状態で示される。第2のチャンバ430は、第1のチャンバ420と同様の方法で、2つの別個のパネル(図示せず)で形成されてもよい。膨張可能なエアバッグクッション410の第2のチャンバ430は、第1のチャンバ420内に配置されてもよく、第1のチャンバ周辺シーム427及び第2のチャンバ周辺シーム437の一部分において第1のパネル422と第2のパネル424との間に連結されてもよい。第2のチャンバ430は、中間連結シーム428において外側パネル424に更に連結されてもよい。第2のチャンバ430の弁450は、参照のために示されている。内側パネル422を通って第2のチャンバ430内への膨張ポート406は、参照のために示される。
【0027】
別の実施形態では、第2のチャンバ430は、第2のチャンバ周辺シーム437及び中間連結シーム428に沿って外側パネル424に連結された単一の布地パネル(図示せず)を備えてもよい。別の実施形態では、第2のチャンバ430は、第2のチャンバ周辺シーム437及び代替の中間連結シーム(中間連結シーム428と同様)に沿って内側パネル422に連結された単一の布地パネルを備えてもよい。
【0028】
図4Bは、本開示の実施形態による、図3A図3Bの膨張可能なエアバッグクッション310と同様の膨張可能なエアバッグアセンブリ400の膨張可能なエアバッグクッション410の部分分解図である。膨張ポート406、弁450、及び排気口464は、参照のために示されている。内側パネル422及び外側パネル424は、連続布地パネル421で形成されてもよい。第2のチャンバ430は、部分的に組み立てられた状態で示される。第2のチャンバ430は、第1のチャンバ420と同様の方法で連続布地パネル(図示せず)で形成されてもよい。第2のチャンバ430は、連続布地パネル421に組み立てられてもよく、連続布地パネル421は、折り目426に沿って折り畳まれ、第1のチャンバ周辺シーム427に沿って連結されている。第2のチャンバ周辺シーム437の一部分は、第1のチャンバ周辺シーム427の対応する部分と同一の広がりを持つことができる。実施形態では、第2のチャンバ周辺シーム437及び第1のチャンバ周辺シーム427は、第1及び第2のチャンバ周辺シーム427、437が同一の広がりを持つ単一のシームから構成されてもよい。第2のチャンバ430は、中間連結シーム428に沿って外側パネル424に更に連結されてもよい。別の実施形態では、第2のチャンバ430は、代替の中間連結シーム(図示しないが、中間連結シーム428に類似)に沿って内側パネル422に更に連結されてもよい。
【0029】
図4Bの実施形態では、内側パネル422及び外側パネル424は互いに連結し、アセンブリのために折り目426で互いに向かって折り畳まれる。別の実施形態では、内側パネル422及び外側パネル424は、内側パネル422及び外側パネル424がアセンブリのために互いに向かって折り畳まれ得るように配置された折り目426と異なる側面に沿って連結してもよい。
【0030】
図5は、本開示の別の実施形態による、図1A~2Bの膨張可能なエアバッグアセンブリ100と同様の膨張可能なエアバッグアセンブリ500を有する車両10の内部の一部分の正面図である。車両10、ドア/側壁16、車両着座位置30、シートアセンブリ40、及び乗員50が参照のために示されている。膨張可能なエアバッグアセンブリ500は、筐体502、インフレータ504、及び膨張可能なエアバッグクッション510を備える。膨張可能なエアバッグクッション510の第1及び第2のチャンバ520、530は、参照のために示されている。膨張可能なエアバッグアセンブリ500は、車両10のドア/側壁16の内部に装着又は設置されてもよい。展開すると、膨張可能なエアバッグクッション510は、横加速度を生成する衝突事象において乗員50を受容し、支持するように、車両着座位置30に隣接して配置されてもよい。
【0031】
図6は、本開示の実施形態による、図1A図2Bの膨張可能なエアバッグアセンブリ100と同様の2つの膨張可能なエアバッグアセンブリ600a、600bを有する車両10の内部の一部分の正面図である。2つの膨張可能なエアバッグアセンブリ600a、600bは、車両着座位置30の両側面に配置される。膨張可能なエアバッグアセンブリ600aは、筐体602aと、インフレータ604aと、膨張可能なエアバッグクッション610aと、を備える。第1のチャンバ620a及び第2のチャンバ630aは、参照のために示される。膨張可能なエアバッグアセンブリ600aは、シートバック44の外側面に装着又は設置されてもよい。膨張可能なエアバッグアセンブリ600bは同様に、筐体602b、インフレータ604b、及び膨張可能なエアバッグクッション610bを備える。膨張可能なエアバッグクッション610bの第1及び第2のチャンバ620b、630bは、参照のために示される。膨張可能なエアバッグアセンブリ600bは、多くの点で、膨張可能なエアバッグアセンブリ600aを反映してもよく、また、シートバック44の内側面に装着又は設置されてもよい。
【0032】
膨張可能なエアバッグアセンブリ600aは、ドア/側壁16に対する衝撃からの怪我に対する乗員50の保護をもたらすことができるが、膨張可能なエアバッグアセンブリ600bは、別の車両構造、例えば、車両着座位置30の内側に配置され得る中央コンソール20に対する衝撃からの怪我に対する乗員50の同様の保護をもたらすことができる。
【0033】
本明細書全体を通して、「に連結される」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁気的、流体的、及び熱的相互作用を含む2つ以上の実体間の相互作用の任意の形態を指す。2つの構成要素は、それらが互いに直接接触していないとしても、互いに連結されていてよい。
【0034】
「a」及び「an」という用語は、1つとして記載され得るが、1つに限定されない。例えば、本開示は、「ステッチ線」を有するタブを列挙し得るが、本開示はまた、タブが2つ以上のステッチ線を有することができることも企図する。
【0035】
特に明記しない限り、全ての範囲は、両端点及び端点の間の全ての数を含む。
【0036】
「車両乗員位置」という語句は、車両のシートに着座したときに乗員が概ね位置決めされる位置を指す。「乗員」という用語は、車両内の人又はクラッシュ試験ダミーを指す。
【0037】
本明細書の全体にわたる、「ある実施形態」又は「その実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書の全体にわたって記載されているような、引用される語句又はその変更例は、必ずしも全てが、同じ実施形態に言及するものとは限らない。
【0038】
同様に、上の実施形態の記載において、様々な特徴は時々、開示を効率化する目的で、1つの実施形態、図面、又はその説明にまとめられるものとして認識されるべきである。しかしながら、この開示の方法は、任意の請求項が、その請求項において明示的に記載されている特徴以外の更なる特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の態様は、上記で開示された任意の単一の実施形態の全ての特徴よりも、少ない特徴の組み合わせにある。したがって、この「発明を実施するための形態」に続く請求項は、この「発明を実施するための形態」に明示的に組み込まれるものであり、各請求項は、それ自体が別個の実施形態として独立している。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求項の、あらゆる並べ替えを含む。
【0039】
ある特徴又は要素に関する、請求項における「第1の」という用語の記載は、必ずしも、第2の若しくは追加的な、そのような特徴又は要素の存在を示唆するものではない。ミーンズ・プラス・ファンクション形式で列挙される要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されることが意図される。本発明の根本的な原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加えてもよいことが、理にかなう当業者には明らかであろう。排他的な所有権又は特権が特許請求される本発明の実施形態は、以下のとおり定義される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6