(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】放射線検出器
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20231220BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20231220BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20231220BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01T7/00 A
G01T1/24
G01T1/20 L
A61B6/00 300S
(21)【出願番号】P 2021121240
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】高須 勲
(72)【発明者】
【氏名】和田 淳
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩平
(72)【発明者】
【氏名】野村 裕子
(72)【発明者】
【氏名】相賀 史彦
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-052981(JP,A)
【文献】特開2021-034447(JP,A)
【文献】特開2005-102854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分領域と、第2部分領域と、前記第1部分領域と前記第2部分領域との間の第3部分領域と、を含む第1樹脂部材と、
第4部分領域及び第5部分領域を含む第2樹脂部材と、
第1方向において前記第1部分領域と前記第4部分領域との間に設けられた検出部であって、前記検出部は、第1導電層と、前記第1導電層と前記第4部分領域との間に設けられた第2導電層と、前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた有機半導体層と、を含み、前記第1方向は、前記第2部分領域から前記第1部分領域への第2方向と交差した、前記検出部と、
前記第1方向において前記第3部分領域と前記第5部分領域との間に設けられた配線部であって、前記配線部は、前記第1導電層と電気的に接続された第1配線層と、前記第2導電層と電気的に接続された第2配線層と、を含み、前記第1配線層から前記第2配線層への第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、前記配線部と、
前記第2部分領域に固定された制御部であって、前記制御部は、前記第1配線層及び前記第2配線層と電気的に接続され、前記制御部は、前記検出部に入射する放射線の強度に応じた検出信号を出力可能である、前記制御部と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
前記第1樹脂部材の一部、及び、前記第2樹脂部材の一部の少なくともいずれかは、前記第3方向において、前記第1配線層と前記第2配線層との間にある、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
シンチレータ層をさらに備え、
前記第1部分領域は、前記第1方向においてシンチレータ層と前記検出部との間にある、請求項1または2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記第3部分領域、前記配線部及び前記第5部分領域を含む積層体の厚さは、前記シンチレータ層、前記第1部分領域、前記検出部及び前記第4部分領域を含む積層体の前記第1方向に沿う厚さよりも薄い、請求項3に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記第1配線層は、第1導電領域と、前記第1導電領域と電気的に接続された第2導電領域と、を含み、
前記第1導電領域は、第1元素及び酸素を含む化合物を含み、前記第1元素は、In、Sn、Ti及びZnよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2導電領域は、Al、Ag及びMgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項6】
第1保持部をさらに備え、
前記第1保持部は、前記第2部分領域及び前記制御部の少なくともいずれかに固定され、
前記第1保持部は、対象者の体の第1部分と、前記第2部分領域及び前記制御部の前記少なくともいずれかと、の間の位置関係を規定可能である、請求項1~5のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第1部分は、前記対象者の前記体の腕、手及び手首の少なくともいずれかである、請求項6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
第2保持部をさらに備え、
前記第2保持部は、前記第1部分領域及び前記第4部分領域の少なくともいずれかに固定され、
前記第2保持部は、対象者の体の第2部分と、前記第1部分領域及び前記第4部分領域の前記少なくともいずれかと、の間の位置関係を規定可能である、請求項1~7のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記第2部分は、前記対象者の前記体の指である、請求項8に記載の放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線検出器において、用途の拡大が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、用途を拡大できる放射線検出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、放射線検出器は、第1樹脂部材、第2樹脂部材、検出部、配線部及び制御部を含む。前記第1樹脂部は、第1部分領域と、第2部分領域と、前記第1部分領域と前記第2部分領域との間の第3部分領域と、を含む。前記第2樹脂部材は、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記検出部は、第1方向において前記第1部分領域と前記第4部分領域との間に設けられる。前記検出部は、第1導電層と、前記第1導電層と前記第4部分領域との間に設けられた第2導電層と、前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた有機半導体層と、を含む。前記第1方向は、前記第2部分領域から前記第1部分領域への第2方向と交差する。前記配線部は、前記第1方向において前記第3部分領域と前記第5部分領域との間に設けられる。前記配線部は、前記第1導電層と電気的に接続された第1配線層と、前記第2導電層と電気的に接続された第2配線層と、を含む。前記第1配線層から前記第2配線層への第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する。前記制御部は、前記第2部分領域に固定される。前記制御部は、前記第1配線層及び前記第2配線層と電気的に接続される。前記制御部は、前記検出部に入射する放射線の強度に応じた検出信号を出力可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)~
図1(e)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る放射線検出器の使用状態を例示する模式図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(c)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る放射線検出器の使用状態を例示する模式図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的斜視図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る放射線検出器の使用状態を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~
図1(e)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式図である。
図1(a)は平面図である。
図1(b)~
図1(e)は、
図1(a)のA1-A2線、B1-B2線、C1-C2線、及び、D1-D2線にそれぞれ対応する断面図である。
【0009】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、実施形態に係る放射線検出器110は、第1樹脂部材61、第2樹脂部材62、検出部10、配線部20及び制御部70を含む。
【0010】
第1樹脂部材61は、第1部分領域61a、第2部分領域61b及び第3部分領域61cを含む。第3部分領域61cは、第1部分領域61aと第2部分領域61bとの間にある。第1樹脂部材61において、これらの部分領域は、互いに連続して良い。これらの部分領域の互いの境界は、不明確で良い。
【0011】
第2樹脂部材62は、第4部分領域62d及び第5部分領域62eを含む。第2樹脂部材62において、これらの部分領域は、互いに連続して良い。これらの部分領域の互いの境界は、不明確で良い。
【0012】
検出部10は、第1方向において第1部分領域61aと第4部分領域62dとの間に設けられる。
【0013】
第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。Z軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をX軸方向とする。
【0014】
検出部10は、第1導電層11、第2導電層12及び有機半導体層31を含む。第2導電層12は、第1導電層11と第4部分領域62dとの間に設けられる。有機半導体層31は、第1導電層11と第2導電層12との間に設けられる。第1導電層11から第2導電層12への方向は、第1方向(Z軸方向)に対応する。第1方向は、第2部分領域61bから第1部分領域61aへの第2方向と交差する。第2方向は、例えば、Y軸方向である。
【0015】
配線部20は、第1方向(Z軸方向)において、第3部分領域61cと第5部分領域62eとの間に設けられる。配線部20は、第1配線層21及び第2配線層22を含む。第1配線層21は、第1導電層11と電気的に接続される。第2配線層22は、第2導電層12と電気的に接続される。第1配線層21から第2配線層22への第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(Z-Y平面)と交差する。第3方向は、例えば、X軸方向である。
【0016】
制御部70は、第2部分領域61bに固定される。制御部70は、第1配線層21及び第2配線層22と電気的に接続される。制御部70は、検出部10に入射する放射線の強度に応じた検出信号を出力可能である。
【0017】
図1(d)に示すように、放射線81が、検出部10に入射する。検出部10の有機半導体層31において、放射線81に応じた電荷が生じる。この電荷を第1導電層11及び第2導電層12を介して取り出すことで、放射線81の強度に応じた信号が得られる。
【0018】
この例では、シンチレータ層41が設けられている。この例では、第1部分領域61aは、第1方向(Z軸方向)において、シンチレータ層41と検出部10との間にある。例えば、放射線81が、シンチレータ層41に入射する。シンチレータ層41において、放射線81に応じた光が生じる。光は、第1部分領域61aを通過して検出部10に入射する。検出部10の有機半導体層31において、光に応じて電荷が生じる。この電荷を第1導電層11及び第2導電層12を介して取り出すことで、放射線81の強度に応じた信号が得られる。
【0019】
実施形態においては、検出部10及び配線部20が第1樹脂部材61と第2樹脂部材62との間に設けられる。樹脂部材の剛性は低い。配線部20に対応する部分は、フレキシブルである。配線部20は変形し易い。
【0020】
後述するように、放射線検出器110は、対象者の体(例えば手)に固定して使用できる。例えば、対象者が医療従事者である場合がある。例えば作業しているときの対象者の手が、医療または診断のための放射線81が照射される領域にある場合がある。このとき、放射線81は、例えば、対象者の手に入射し、手が被爆される。このような場合に、被爆の程度を検出することが期待される。
【0021】
このような用途においては、医療または診断のための放射線81が検出部10及び配線部20で実質的に減衰しないことが望まれる。減衰が抑制されることで、適切な医療または適切な診断が実施できる。さらに、検出部10及び配線部20は、作業の邪魔にならないことが望まれる。
【0022】
実施形態においては、樹脂部材及び有機半導体層31が用いられることで、放射線81を減衰させることが抑制される。これにより、適切な医療または適切な診断が実施できる。さらに、上記のように、樹脂部材、及び、上記の配線部20が用いられることで、配線部20に対応する部分において、変形が容易である。これにより、作業の邪魔になることが抑制できる。実施形態によれば、このような用途に適用できる放射線検出器を提供できおる。実施形態によれば、用途を拡大できる放射線検出器を提供できる。
【0023】
実施形態において、第1配線層21及び第2配線層22は、Z軸方向で重ならない。これにより、これらの配線層を含む配線部20において、変形が容易である。
【0024】
図1(e)に示すように、この例では、第2樹脂部材62の一部は、第3方向(X軸方向)において、第1配線層21と第2配線層22との間にある。これにより、第1配線層21及び第2配線層22の位置が固定され易い。実施形態において、第1樹脂部材61の一部、及び、第2樹脂部材62の一部の少なくともいずれかは、第3方向(X軸方向)において、第1配線層21と第2配線層22との間にあっても良い。第1配線層21及び第2配線層22の位置が固定され易い。
【0025】
図1(b)に示すように、第1配線層21の第2方向(Y軸方向)に沿う長さを第1配線層長さL21とする。
図1(e)に示すように、第1配線層21の第3方向(X軸方向)に沿う長さ(幅)を第1配線層幅W21とする。第1配線層長さL21は、第1配線層幅W21よりも大きい。
【0026】
図1(c)に示すように、第2配線層22の第2方向(Y軸方向)に沿う長さを第2配線層長さL22とする。
図1(e)に示すように、第2配線層22の第3方向(X軸方向)に沿う長さ(幅)を第2配線層幅W22とする。第2配線層長さL22は、第2配線層幅W22よりも大きい。
【0027】
例えば、第1配線層長さL21は、5cm以上30cm以下である。例えば、第2配線層長さL22は、5cm以上30cm以下である。このような長さにより、対象者が作業しているときに検出部10に入射する放射線81が、制御部70に入射することが抑制できる。制御部70では、放射線81の減衰が大きい。このような長さにより、制御部70は、放射線81が入射される領域から適切に離れることができる。制御部70による放射線81の減衰が抑制できる。このような長さにより、配線部20に対応する部分の変形が容易になる。
【0028】
実施形態において、例えば、第1配線層幅W21は、0.5mm以上5mm以下である。例えば、第2配線層幅W22は、0.5mm以上5mm以下である。このような幅により、実用的に低い電気抵抗により信号を伝送できる。ノイズを抑制できる。
【0029】
図1(b)に示すように、第1配線層21の第1方向(Z軸方向)に沿う長さ(厚さ)を第1配線層厚さt21とする。第1配線層幅W21は、第1配線層厚さt21よりも大きいことが好ましい。
図1(c)に示すように、第2配線層22の第1方向(Z軸方向)に沿う長さ(厚さ)を第2配線層厚さt22とする。第2配線層幅W22は、第2配線層厚さt22よりも大きいことが好ましい。このような構成により、例えば、低い電気抵抗と、高いフレキシビリティが得やすい。
【0030】
実施形態において、第1配線層厚さt21は、例えば、50nm以上500nm以下である。第2配線層厚さt22は、例えば、50nm以上1000nm以下である。このような厚さにより、放射線81の減衰を抑制しつつ、放射線81を効率的に検出できる。
【0031】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、第3部分領域61cの第1方向(Z軸方向)に沿う厚さを厚さt61とする。実施形態において、厚さt61は、10μm以上100μm以下であることが好ましい。
図1(b)及び
図1(c)に示すように、第5部分領域62eの第1方向(Z軸方向)に沿う厚さを厚さt62とする。実施形態において、厚さt62は、10μm以上100μm以下であることが好ましい。このような厚さt61及び厚さt62により、良好なフレキシビリティが得やすい。このような厚さにより、例えば、第3部分領域61c及び第5部分領域62eにより、配線部20が安定して保持される。
【0032】
図1(d)に示すように、シンチレータ層41、第1部分領域61a、検出部10及び第4部分領域62dを含む積層体の第1方向(Z軸方向)に沿う厚さを厚さt1とする。
図1(e)に示すように、第3部分領域61c、配線部20及び第5部分領域62eを含む積層体の厚さを厚さt2とする。厚さt2は、厚さt1よりも薄いことが好ましい。これにより、配線部20に対応する部分において、高いフレキシビリティが得られる。
【0033】
厚さt2と厚さt1との差は、例えば、シンチレータ層41の厚さに実質的に対応しても良い。シンチレータ層41の厚さ(第1方向に沿う長さ)は、例えば、0.1μm以上5000μm以下である。放射線81を効率的に光に変換できる。高い感度が得られる。
【0034】
シンチレータ層41の第2方向(Y軸方向)の長さL41(
図1(b)参照)は、第1配線層長さL21よりも短く、第2配線層長さL22よりも短い。シンチレータ層41を含む部分が短いことで、良好なフレキシビリティが得られる。実施形態において、長さL41は、例えば、1mm以上10mm以下である。シンチレータ層41のX軸方向に沿う幅(
図1(d)参照)は、例えば、1mm以上10mm以下である。このような長さにより、高い感度で放射線81を検出できる。
【0035】
実施形態において、例えば、第1導電層11は、第1元素及び酸素を含む化合物を含むことが好ましい。第1元素は、In、Sn、Ti及びZnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1導電層11の少なくとも一部は、例えば、酸化インジウム、または、ITO(Indium Tin Oxide)などを含んで良い。第1導電層11の少なくとも一部は、例えば、光透過性を有する。第1シンチレータ層41で発生した光が、効率良く第1有機半導体層31に入射できる。高い感度が得やすい。
【0036】
第2導電層12は、例えば、Al、Ag及びMgよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。このような材料により、第2導電層12で放射線81が減衰することが抑制できる。
【0037】
図1(b)~
図1(e)に示すように、放射線検出器110は、中間樹脂層63を含んでも良い。中間樹脂層63により、第1樹脂部材61と第2樹脂部材62とが互いに接着されても良い。中間樹脂層63は、例えば、紫外線硬化樹脂などを含んでも良い。
【0038】
図1(a)に示すように、制御部70は送信回路71を含んでも良い。送信回路71は、検出信号を無線で送信可能である。
【0039】
図1(a)に示すように、制御部70は、電源部72を含んでも良い。電源部72は、第1配線層21及び第2配線層22との間の電位(例えばバイアス電圧)を制御可能である。電源部72は電池を含んでも良い。
【0040】
図1(a)に示すように、制御部70は、検出回路73を含んでも良い。検出回路73は、第1導電層11及び第2導電層12の間に生じる放射線81の強度に応じた信号を検出可能である。検出回路73は、第1導電層11及び第2導電層12の間に生じる信号に基づいて、検出信号を生成可能である。
【0041】
図2は、第1実施形態に係る放射線検出器の使用状態を例示する模式図である。
図2に示すように、放射線検出器110は、対象者85の手などに設けることができる。検出部10は、例えば、手の甲の位置に対応する。制御部70は、例えば、手首または腕の位置に対応する。作業中の対象者85の手に入射する放射線81を検出部10で検出できる。配線部20に対応する部分は変形し易い。これにより、作業の邪魔が抑制できる。
【0042】
図3(a)~
図3(c)は、第1実施形態に係る放射線検出器を例示する模式図である。
図3(a)は平面図である。
図3(b)及び
図3(c)は、
図3(a)のA1-A2線、及び、B1-B2線にそれぞれ対応する断面図である。
【0043】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、放射線検出器111においては、第1配線層21は、第1導電領域21a及び第2導電領域21bを含む。放射線検出器111におけるこれ以外の構成は、放射線検出器110の構成と同様で良い。
【0044】
放射線検出器111において、第2導電領域21bは、第1導電領域21aと電気的に接続される。第1導電領域21aは、第1元素及び酸素を含む化合物を含む。第1元素は、In、Sn、Ti及びZnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1導電領域21aは、例えば、酸化インジウム、または、ITOなどを含んで良い。第1導電領域21aは、例えば、光透過性を有する。第2導電領域21bは、Al、Ag及びMgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。このように、材料が異なる部材を適用することで、放射線81の減衰を抑制しつつ、低い電気抵抗が得やすい。
【0045】
制御部70と第2導電領域21bとの間の距離は、制御部70と第1導電領域21aとの間の距離よりも短い。第1導電領域21aが検出部10の近くに設けられる。第2導電領域21bが制御部70の近くに設けられる。
【0046】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的斜視図である。
図5は、第2実施形態に係る放射線検出器の使用状態を例示する模式図である。
図4に示すように、実施形態に係る放射線検出器112は、第1保持部75を含む。放射線検出器112におけるこれ以外の構成は、放射線検出器110または放射線検出器111の構成と同様で良い。
【0047】
第1保持部75は、第1樹脂部材61の第2部分領域61b、及び、制御部70の少なくともいずれかに固定される。この例では、第1保持部75は、湾曲した2つの部分を含む。
【0048】
図5に示すように、第1保持部75は、対象者85の体の1つの部分(第1部分85a)と、第2部分領域61b及び制御部70の上記の少なくともいずれかと、の間の位置関係を規定可能である。この例では、第1保持部75の湾曲した2つの部分の間に、第1部分85aが挟まれる。第2部分領域61b及び制御部70の上記の少なくともいずれかが、第1部分85aに固定される。第1保持部75が設けられることで、使い易い放射線検出器が提供できる。用途がより広がる。
【0049】
この例において、第1部分85aは、例えば、対象者85の体の腕、手及び手首の少なくともいずれかで良い。第1保持部75は、例えばベルト状など任意の形状を有して良い。放射線検出器112において、検出部10は、対象者85の手袋などに固定されても良い。例えば、2重の手袋などの間に検出部10が位置しても良い。
【0050】
図6は、第2実施形態に係る放射線検出器を例示する模式的斜視図である。
図7は、第2実施形態に係る放射線検出器の使用状態を例示する模式図である。
図6に示すように、実施形態に係る放射線検出器113は、第2保持部76を含む。放射線検出器113におけるこれ以外の構成は、放射線検出器110~112の構成と同様で良い。
【0051】
第2保持部76は、第1部分領域61a及び第4部分領域62dの少なくともいずれかに固定される。この例では、第2保持部76は、湾曲した2つの部分を含む。
【0052】
図7に示すように、第2保持部76は、対象者85の体の第2部分85bと、第1部分領域61a及び第4部分領域62dの上記の少なくともいずれかと、の間の位置関係を規定可能である。この例では、第2保持部76の湾曲した2つの部分の間に、第2部分85bが挟まれる。第1部分領域61a及び第4部分領域62dの上記の少なくともいずれかが、第2部分85bに固定される。第2保持部76が設けられることで、使い易い放射線検出器が提供できる。用途がより広がる。
【0053】
実施形態において、有機半導体層31は、例えば、p形領域及びn形領域を含む。p形領域は、例えば、ポリチオフェン、ポリチオフェンの誘導体、フタロシアニン誘導体、及び、サブフタロシアニン誘導体よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。n形領域は、例えば、フラーレン誘導体を含む。1つの例において、第1有機半導体層31は、例えば、Poly(3-hexylthiophene)と、[6,6]-phenyl C61 butyric acid methyl esterと、を含む。
【0054】
シンチレータ層41は、例えば、PVT(Polyvinyl toluene)、PVK(Polyvinylcarbazole)、及び、PMMA(Polymethyl methacrylate)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。シンチレータ層41は、例えば、GAGG(ガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット)、及び、CsI(ヨウ化セシウム)よりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。
【0055】
第1樹脂部材61及び第2樹脂部材62の少なくともいずれかは、例えば、樹脂を含む。樹脂は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(polyethylene naphthalate)、Polyimide、及び、PC(polycarbonate)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0056】
実施形態において、放射線81は、X線などを含む。
【0057】
実施形態は、以下の構成(技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1部分領域と、第2部分領域と、前記第1部分領域と前記第2部分領域との間の第3部分領域と、を含む第1樹脂部材と、
第4部分領域及び第5部分領域を含む第2樹脂部材と、
第1方向において前記第1部分領域と前記第4部分領域との間に設けられた検出部であって、前記検出部は、第1導電層と、前記第1導電層と前記第4部分領域との間に設けられた第2導電層と、前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた有機半導体層と、を含み、前記第1方向は、前記第2部分領域から前記第1部分領域への第2方向と交差した、前記検出部と、
前記第1方向において前記第3部分領域と前記第5部分領域との間に設けられた配線部であって、前記配線部は、前記第1導電層と電気的に接続された第1配線層と、前記第2導電層と電気的に接続された第2配線層と、を含み、前記第1配線層から前記第2配線層への第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、前記配線部と、
前記第2部分領域に固定された制御部であって、前記制御部は、前記第1配線層及び前記第2配線層と電気的に接続され、前記制御部は、前記検出部に入射する放射線の強度に応じた検出信号を出力可能である、前記制御部と、
を備えた放射線検出器。
【0058】
(構成2)
前記第1樹脂部材の一部、及び、前記第2樹脂部材の一部の少なくともいずれかは、前記第3方向において、前記第1配線層と前記第2配線層との間にある、構成1に記載の放射線検出器。
【0059】
(構成3)
前記第1配線層の前記第2方向に沿う第1配線層長さは、前記第1配線層の前記第3方向に沿う第1配線層幅よりも大きく、
前記第2配線層の前記第2方向に沿う第2配線層長さは、前記第2配線層の前記第3方向に沿う第2配線層幅よりも大きい、構成1または2に記載の放射線検出器。
【0060】
(構成4)
前記第1配線層幅は、前記第1配線層の前記第1方向に沿う第1配線層厚さよりも大きく、
前記第2配線層幅は、前記第2配線層の前記第1方向に沿う第2配線層厚さよりも大きい、構成3に記載の放射線検出器。
【0061】
(構成5)
前記第1配線層厚さは、50nm以上500nm以下であり、
前記第2配線層厚さは、50nm以上1000nm以下である、構成4に記載の放射線検出器。
【0062】
(構成6)
前記第1配線層長さは、5cm以上30cm以下であり、
前記第2配線層長さは、5cm以上30cm以下である、構成3~5のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0063】
(構成7)
前記第1配線層幅は、0.5mm以上5mm以下であり、
前記第2配線層幅は、0.5mm以上5mm以下である、構成3~6のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0064】
(構成8)
前記第3部分領域の前記第1方向に沿う厚さは、10μm以上100μm以下である、構成1~7のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0065】
(構成9)
前記第5部分領域の前記第1方向に沿う厚さは、10μm以上100μm以下である、構成1~8のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0066】
(構成10)
シンチレータ層をさらに備え、
前記第1部分領域は、前記第1方向においてシンチレータ層と前記検出部との間にある、構成1~9のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0067】
(構成11)
前記第3部分領域、前記配線部及び前記第5部分領域を含む積層体の厚さは、前記シンチレータ層、前記第1部分領域、前記検出部及び前記第4部分領域を含む積層体の前記第1方向に沿う厚さよりも薄い、構成10に記載の放射線検出器。
【0068】
(構成12)
前記第1導電層は、第1元素及び酸素を含む化合物を含み、前記第1元素は、In、Sn、Ti及びZnよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2導電層は、Al、Ag及びMgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~11のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0069】
(構成13)
前記第1配線層は、第1導電領域と、前記第1導電領域と電気的に接続された第2導電領域と、を含み、
前記第1導電領域は、第1元素及び酸素を含む化合物を含み、前記第1元素は、In、Sn、Ti及びZnよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2導電領域は、Al、Ag及びMgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~12のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0070】
(構成14)
前記制御部と前記第2導電領域との間の距離は、前記制御部と前記第1導電領域との間の距離よりも短い、構成13に記載の放射線検出器。
【0071】
(構成15)
第1保持部をさらに備え、
前記第1保持部は、前記第2部分領域及び前記制御部の少なくともいずれかに固定され、
前記第1保持部は、対象者の体の第1部分と、前記第2部分領域及び前記制御部の前記少なくともいずれかと、の間の位置関係を規定可能である、構成1~14のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0072】
(構成16)
前記第1部分は、前記対象者の前記体の腕、手及び手首の少なくともいずれかである、構成15に記載の放射線検出器。
【0073】
(構成17)
第2保持部をさらに備え、
前記第2保持部は、前記第1部分領域及び前記第4部分領域の少なくともいずれかに固定され、
前記第2保持部は、対象者の体の第2部分と、前記第1部分領域及び前記第4部分領域の前記少なくともいずれかと、の間の位置関係を規定可能である、構成1~16のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0074】
(構成18)
前記第2部分は、前記対象者の前記体の指である、構成17に記載の放射線検出器。
【0075】
(構成19)
前記制御部は、前記検出信号を無線で送信可能な送信回路を含む、構成1~18に記載の放射線検出器。
【0076】
(構成20)
前記制御部は、前記第1配線層及び前記第2配線層との間の電位を制御可能な電源部を含む、構成1~19のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【0077】
実施形態によれば、用途を拡大できる放射線検出器が提供できる。
【0078】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0079】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0080】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、放射線検出器に含まれる樹脂部材、導電層、配線層、有機半導体層、シンチレータ層及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0081】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0082】
本発明の実施の形態として上述した放射線検出器を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての放射線検出器も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0083】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10…検出部、 11、12…第1、第2導電層、 20…配線部、 21、22…第1、第2配線層、 21a、21b…第1、第2導電領域、 31…有機半導体層、 41…シンチレータ層、 61、62…第1、第2樹脂部材、 61a~61c…第1~第3部分領域、 62d、62e…第4、第5部分領域、 63…中間樹脂層、 70…制御部、 71…送信回路、 72…電源部、 73…検出回路、 75…第1保持部、 76…第2保持部、 81…放射線、 85…対象者、 85a、85b…第1、第2部分、 110~113…放射線検出器、 L21、L22…第1、第2配線層長さ、 L41…長さ、 W21、W22…第1、第2配線層幅、 W41…幅、 t1、t2…厚さ、 t21、t22…第1、第2配線層厚さ、 t61、t62…厚さ