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特許7406533被雷位置特定システム、被雷位置特定装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】被雷位置特定システム、被雷位置特定装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20231220BHJP
   F03D 80/30 20160101ALI20231220BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D80/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021197107
(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公開番号】P2023083021
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2021-12-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】馬場 好孝
(72)【発明者】
【氏名】鴻野 太郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 蓉子
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】窪田 治彦
【審判官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-098214(JP,A)
【文献】特開平10-185980(JP,A)
【文献】特開平9-218100(JP,A)
【文献】特開2011-67371(JP,A)
【文献】特開平11-120458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D17/00,80/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された、風力発電装置を構成する複数のブレードの各々の温度分布を示す第1の画像と、当該複数のブレードの各々の表面の特徴量を示す第2の画像とを取得する取得手段と、
前記複数のブレードのうち1以上のブレードが被雷した際に、前記第1の画像または前記第2の画像により示される雷光の有無から落雷を検知し当該第1の画像により示される前記温度分布と、当該第2の画像により示される当該複数のブレードの各々の表面の特徴量とに基づいて、雷撃を受けた当該1以上のブレードと、当該1以上のブレードの各々の雷撃を受けた位置である被雷位置とを特定する特定手段と、
取得された前記第2の画像のうち、特定された前記1以上のブレードの画像と、前記被雷位置の画像とを表示する表示手段と、
を有することを特徴とする、被雷位置特定システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記撮影手段としての赤外線カメラにより撮影された、前記第1の画像としての熱画像を取得し、
前記特定手段は、前記熱画像により示される前記温度分布と、前記第2の画像により示される前記複数のブレードの各々の表面の特徴量とに基づいて、前記雷撃を受けた1以上のブレードと、当該1以上のブレードの各々の前記被雷位置を特定することを特徴とする、
請求項1に記載の被雷位置特定システム。
【請求項3】
前記特定手段は、前記雷撃を受けた1以上の前記ブレードの各々における他の領域に比べ温度が高い領域を前記被雷位置として特定することを特徴とする、
請求項1に記載の被雷位置特定システム。
【請求項4】
前記特定手段は、前記他の領域に比べ温度が高い領域のうち最も温度が高い部分を前記被雷位置として特定することを特徴とする、
請求項に記載の被雷位置特定システム。
【請求項5】
前記特定手段は、前記特徴量として、前記複数のブレードの各々の表面に視認可能な態様で形成された識別情報に基づいて、前記被雷したブレード一意に特定することを特徴とする、
請求項に記載の被雷位置特定システム。
【請求項6】
風力発電装置の各々を構成する複数のブレードの各々の温度分布を示す第1の画像と、当該複数のブレードの各々の表面の特徴量を示す第2の画像とを取得する機能と、
前記複数のブレードのうち1以上のブレードが被雷した際に、前記第1の画像または前記第2の画像により示される雷光の有無から落雷を検知し当該第1の画像により示される前記温度分布と、当該第2の画像により示される当該複数のブレードの各々の表面の特徴量とに基づいて、雷撃を受けた当該1以上のブレードと、当該1以上のブレードの各々の雷撃を受けた位置である被雷位置とを特定する機能と、
取得された前記第2の画像のうち、特定された前記1以上のブレードの画像と、前記被雷位置の画像とを表示する機能と、
を有することを特徴とする、被雷位置特定装置。
【請求項7】
プロセッサを有する装置に、
風力発電装置を構成する複数のブレードの各々の温度分布を示す第1の画像と、当該複数のブレードの各々の表面の特徴量を示す第2の画像とを取得する機能と、
前記複数のブレードのうち1以上のブレードが被雷した際に、前記第1の画像または前記第2の画像により示される雷光の有無から落雷を検知し当該第1の画像により示される前記温度分布と、前記第2の画像により示される当該複数のブレードの各々の表面の特徴量とに基づいて、雷撃を受けた当該1以上のブレードと、当該1以上のブレードの各々の雷撃を受けた位置である被雷位置とを特定する機能と、
取得された前記第2の画像のうち、特定された前記1以上のブレードの画像と、前記被雷位置の画像とを表示する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被雷位置特定システム、被雷位置特定装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物への落雷が生じると、雷撃を受けた部位が損傷して事故につながる可能性がある。例えば、ウインドファーム等の風力発電施設に設置された風力発電装置のような構造物は、風力を受ける羽根(以下、「ブレード」と呼ぶ。)が高所に設けられるため被雷しやすい。このため、雷撃による損傷部位の飛散や落下等による重大な事故の発生が懸念される。これに対して、関連する技術は開発されている。例えば、特許文献1には、風力発電のブレードにおける雷電流や内圧、歪み、温度、振動、音響等を雷撃パラメータとして取得して、この雷撃パラメータに基づき損傷状態を推定する技術が記載されている。また、例えば、特許文献2には、風車翼のレセプタにて雷電流を補足し、この雷電流を基に落雷を検知して、風車翼を特定のアジマス角で停止するように制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】再公表WO2014/024303号公報
【文献】特開2019-173580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術は、被雷した構造物を特定するに留まり、被雷した構造物のどの位置に雷撃を受けたかを特定するものではない。このため、構造物が被雷すると、その構造物のどの位置に雷撃を受けたかを特定するために、目視等の点検作業を実施する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、被雷した構造物の特定のみを行う従来技術に対し、被雷した構造物のどの位置に雷撃を受けたかを特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、複数の構造物の各々の温度分布を示す第1の画像と、当該複数の構造物の各々の外観の態様を示す第2の画像とを取得する取得手段と、前記複数の構造物のうち1以上の構造物が被雷した際に、前記第2の画像により示される雷光の有無と、前記第1の画像により示される前記温度分布に基づいて、雷撃を受けた当該1以上の構造物と、当該1以上の構造物の各々の雷撃を受けた位置である被雷位置と特定する特定手段と、取得された前記第2の画像のうち、特定された前記1以上の構造物の画像と、前記被雷位置の画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする、被雷位置特定システムである。
請求項2に記載された発明は、前記取得手段は、前記撮影手段としての赤外線カメラにより撮影された、前記第1の画像としての熱画像を取得し、前記特定手段は、前記熱画像により示される前記温度分布に基づいて、前記雷撃を受けた1以上の構造物と、当該1以上の構造物の各々の前記被雷位置を特定することを特徴とする、請求項1に記載の被雷位置特定システムである。
請求項3に記載された発明は、前記取得手段は、前記複数の構造物としての複数の風力発電装置の各々の前記熱画像を取得し、前記特定手段は、前記熱画像により示される前記温度分布に基づいて、雷撃を受けた1以上の前記風力発電装置の各々のブレード上の前記被雷位置を特定することを特徴とする、請求項2に記載の被雷位置特定システムである。
請求項4に記載された発明は、前記特定手段は、前記雷撃を受けた1以上の構造物と、当該1以上の構造物の各々における他の領域に比べ温度が高い領域を前記被雷位置として特定することを特徴とする、請求項1に記載の被雷位置特定システムである。
請求項5に記載された発明は、前記特定手段は、前記他の領域に比べ温度が高い領域のうち最も温度が高い部分を前記被雷位置として特定することを特徴とする、請求項4に記載の被雷位置特定システムである。
請求項6に記載された発明は、前記撮影手段により前記複数の構造物の各々を構成する複数の要素が撮影され、撮影された当該複数の要素のうち少なくとも1つが被雷した場合に、前記第1の画像により示される前記温度分布に基づいて、被雷した要素を識別する識別手段をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の被雷位置特定システムである。
請求項7に記載された発明は、前記識別手段は、前記要素として、ブレード、ハブ、ナセル、およびタワーのうち被雷した要素を識別することを特徴とする、請求項6に記載の被雷位置特定システムである。
請求項8に記載された発明は、前記識別手段は、形状が互いに同一または類似する関係にある前記複数の要素のうち少なくとも1つが被雷した場合に、前記被雷した要素を識別することを特徴とする、請求項6に記載の被雷位置特定システムである。
請求項9に記載された発明は、前記識別手段は、前記複数の要素としての風力発電装置の複数のブレードのうち、少なくとも1つが被雷した場合に、被雷したブレードを識別することを特徴とする、請求項8に記載の被雷位置特定システムである。
請求項10に記載された発明は、前記識別手段は、前記第2の画像から得られる前記複数の要素の各々の特徴量に基づいて、前記被雷した要素を識別することを特徴とする、請求項6に記載の被雷位置特定システムである。
請求項11に記載された発明は、前記識別手段は、前記特徴量として、前記複数の要素の各々の表面に視認可能な態様で形成された識別情報に基づいて、前記被雷した要素を識別することを特徴とする、請求項10に記載の被雷位置特定システムである。
請求項12に記載された発明は、撮影手段により撮影された、複数の構造物の各々の温度分布を示す第1の画像と、当該複数の構造物の各々の外観の態様を示す第2の画像とを取得する機能と、前記複数の構造物のうち1以上の構造物が被雷した際に、前記第2の画像により示される雷光の有無と、前記第1の画像により示される前記温度分布に基づいて、雷撃を受けた当該1以上の構造物と、当該1以上の構造物の各々の雷撃を受けた位置である被雷位置と特定する機能と、取得された前記第2の画像のうち、特定された前記1以上の構造物の画像と、前記被雷位置の画像を表示する機能と、を有することを特徴とする、被雷位置特定装置である。
請求項13に記載された発明は、撮影手段により撮影された、複数の構造物の各々の温度分布を示す第1の画像と、当該複数の構造物の各々の外観の態様を示す第2の画像とを取得する機能と、前記複数の構造物のうち1以上の構造物が被雷した際に、前記第2の画像により示される雷光の有無と、前記第1の画像により示される前記温度分布に基づいて、雷撃を受けた当該1以上の構造物と、当該1以上の構造物の各々の雷撃を受けた位置である被雷位置と特定する機能と、取得された前記第2の画像のうち、特定された前記1以上の構造物の画像と、前記被雷位置の画像を表示する機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の本発明によれば、被雷した構造物の特定のみを行う従来技術に対し、被雷した構造物のどの位置に雷撃を受けたかを特定可能な被雷位置特定システムを提供できる。
請求項2の本発明によれば、赤外線カメラにより撮影された構造物の撮影画像に基づいて、構造物の被雷位置を特定できる。
請求項3の本発明によれば、赤外線カメラにより撮影された風力発電装置の撮影画像に基づいて、風力発電装置の被雷位置を特定できる。
請求項4の本発明によれば、構造物上の領域ごとの温度の違いに基づいて、被雷位置を特定できる。
請求項5の本発明によれば、構造物上の領域ごとの温度のうち一番温度が高い領域を特定することで、より精度よく被雷位置を特定できる。
請求項6の本発明によれば、構造物を構成する要素単位で被雷位置を特定できる。
請求項7の本発明によれば、構造物を構成する要素としてのブレード、ハブ、ナセル、およびタワーのうち被雷した要素を識別することができる。
請求項8の本発明によれば、構造物を構成する複数の要素の形状が、互いに同一または類似する関係にあっても、要素単位で被雷位置を特定できる。
請求項9の本発明によれば、風力発電装置を構成するブレード単位で被雷位置を特定できる。
請求項10の本発明によれば、構造物を構成する要素ごとの特徴量に基づいて、被雷した要素と被雷位置とを特定できる。
請求項11の本発明によれば、構造物を構成する要素の表面に形成された識別情報に基づいて、被雷した要素と被雷位置とを特定できる。
請求項12の本発明によれば、被雷した構造物の特定のみを行う従来技術に対し、被雷した構造物のどの位置に雷撃を受けたかを特定可能な落雷検知装置を提供できる。
請求項13の本発明によれば、被雷した構造物の特定のみを行う従来技術に対し、被雷した構造物のどの位置に雷撃を受けたかを特定可能なプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される被雷位置特定システムの全体構成を示す図である。
図2】被雷位置特定装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】風力発電装置の全体構成を示す図である。
図4】被雷位置特定装置の制御部の機能構成を示す図である。
図5】被雷位置特定システムの処理のうち、被雷位置特定装置が、被雷した風力発電装置を識別するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
図6】被雷位置特定システムの処理のうち、被雷位置特定装置が、被雷したブレードを一意に特定し、特定した被雷位置に関する情報を監視者端末の表示部に表示させるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
図7】監視者端末の表示部に表示される被雷位置に関する情報の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(被雷位置特定システムの構成)
図1は、本実施の形態が適用される被雷位置特定システム1の全体構成を示す図である。
被雷位置特定システム1は、被雷位置特定装置10と、落雷検知装置20と、カメラ装置30と、監視者端末50とがネットワーク90を介して接続されることにより構成されている。また、落雷検知装置20と、風力発電装置70とが有線または無線によって接続されている。ネットワーク90は特に限定されず、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット等である。
【0010】
被雷位置特定システム1は、風力発電施設に設置された複数の風力発電装置70のうち、落雷Tを被雷した風力発電装置70を識別する。そして、被雷位置特定システム1は、被雷したと識別した風力発電装置70について、被雷したブレードと、その被雷位置とを特定する。これらの情報は、被雷位置特定システム1が、特定した被雷位置に関する情報として監視者Uに提示する。「被雷位置」とは、雷撃を受けた位置のことをいう。
【0011】
被雷位置特定装置10は、被雷位置特定システム1の全体の管理をするサーバとしての情報処理装置である。また、被雷位置特定装置10は、後述するカメラ装置30により撮影され、送信されてきた熱画像に基づいて、被雷したブレードと、被雷したブレード上の位置とを特定する。「熱画像」とは、構造物としての風力発電装置70の温度分布を示す撮影画像のデータである。なお、熱画像の具体例については、図7を参照して後述する。
【0012】
また、被雷位置特定装置10は、カメラ装置30から送信されてくる情報に基づいて、被雷したブレードと、ブレード上の被雷位置とを特定する。なお、被雷位置特定装置10が、被雷したブレードを特定する手法、および被雷位置を特定する手法の詳細については後述する。
【0013】
落雷検知装置20は、風力発電装置70への落雷Tを検知し、その旨を示す情報を被雷位置特定装置10に向けて送信する装置である。落雷検知装置20は、例えば、風力発電装置70の接地面付近等に設置される。落雷検知装置20は、風力発電装置70の一機能とすることもできるし、独立した存在とすることもできる。
【0014】
落雷検知装置20は、風力発電装置70またはその周辺に設置された各種のセンサによるセンシングの結果に基づいて落雷Tを検知する。落雷検知装置20は、落雷Tを検知すると、被雷した風力発電装置70を一意に特定可能な情報を被雷位置特定装置10に向けて送信する。落雷検知装置20に設置されるセンサとしては、例えば、落雷Tの音を検知するセンサ、雷撃時の電流、帯電、コロナ放電を検出するセンサ、雷放電によって放射された電磁波を検出するセンサ等が挙げられる。電磁波を検出するセンサは、落雷位置標定システム(Lightning Location System)に用いられるセンサである。
【0015】
カメラ装置30は、赤外領域の光を感受して、風力発電施設に設置された複数の風力発電装置70を被写体とする撮影を行う。カメラ装置30は、風力発電装置70の全体または一部(特に被雷することとなる上部)または全部を対象とする熱画像を生成可能とする赤外線カメラ等で構成される。
【0016】
カメラ装置30は、落雷Tによる風力発電装置70への被雷が、落雷検知装置20によって検知されると、これをトリガとして、例えば遠赤外領域(4~1000μm)の波長領域の光を感受した熱画像を撮影し、その熱画像を被雷位置特定装置10に向けて送信する。具体的には、例えば、カメラ装置30は、4~1000μmの波長領域を選択的に透過させるフィルタを備え、このフィルタを透過した光を感受して撮影を行い、その熱画像を予め定められたタイミング(例えば、リアルタイム)で被雷位置特定装置10に向けて送信する。
【0017】
カメラ装置30の設置台数については特に限定されない。例えば、風力発電装置70の数とカメラ装置30の設置台数とが1対1になるようにしてもよいし、複数の風力発電装置70を撮影可能なカメラ装置30を設置してもよい。また、撮影機能が異なる複数種類のカメラ装置30の組み合わせを設置してもよい。例えば、赤外線カメラと可視光線カメラとの組み合わせを設置し、赤外線カメラにより撮影された画像から被雷位置を特定し、可視光線カメラにより撮影された画像から雷撃による損傷箇所を特定できるようにしてもよい。
【0018】
カメラ装置30を設置する手法は特に限定されない。被写体となる風力発電装置70を構成するすべてのブレードを撮影できればよいので、例えば、広角レンズ付きのカメラ装置30を地面に設置してもよい。また、例えば、風力発電装置70と同程度の高さの構造物等の一部にカメラ装置30を固定して、高所から撮影してもよい。また、例えば、洋上や山間部等に設置された風力発電装置70を撮影するカメラ装置30は、ドローン等の小型飛行体に搭載させてもよい。
【0019】
また、カメラ装置30は、撮影した風力発電装置70の撮影画像のデータから、落雷の雷光を検出することで落雷Tを検知することもできる。カメラ装置30が風力発電装置70への落雷Tを検知する場合には、被雷位置特定システム1の構成から落雷検知装置20を外すこともできる。また、落雷検知装置20による落雷Tの検知を補助する目的で、落雷検知装置20による落雷Tの検知と並行してカメラ装置30に落雷Tの検知を行わせてもよい。これにより、落雷Tの検知漏れを抑制することができる。
【0020】
監視者端末50は、監視者Uが操作するパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置である。監視者端末50は、被雷位置特定装置10から送信されてくる、特定した被雷位置に関する情報を受信して表示する。特定した被雷位置に関する情報には、被雷した風力発電装置70を一意に特定可能な情報と、被雷したブレードを一意に特定可能な情報と、ブレード上の被雷位置を示す情報とが含まれる。なお、監視者端末50に表示される画面の具体例については、図7を参照して後述する。
【0021】
風力発電装置70は、いわゆるウインドファーム等の風力発電施設に複数台設置される発電装置であり、風力発電装置70には、陸上に設置されるものや洋上に設置されるもの等がある。風力発電装置70の基本的な機能は、風の運動エネルギーを風車(風力タービン)により回転エネルギーに変換し、その回転を直接、または増速機を経た後に発電機に伝送し、電気エネルギーへ変換する。なお、風力発電装置70は、自機の機能の一部として落雷検知装置20を含むこともできるし、風力発電装置70と落雷検知装置20との各々を独立した装置とすることもできる。
【0022】
なお、上述した被雷位置特定システム1を構成する装置や端末の機能は一例であり、被雷位置特定システム1全体として上述の機能を備えていればよい。このため、上述の機能のうち一部または全部を被雷位置特定システム1内で分担してもよいし協働してもよい。例えば、被雷位置特定装置10の機能の一部または全部を、落雷検知装置20、カメラ装置30、監視者端末50、風力発電装置70の各々の機能として分担させてもよい。これにより、被雷位置特定システム1全体としての処理を促進し、また、処理を補完し合うことが可能となる。
【0023】
(被雷位置特定装置のハードウェア構成)
図2は、被雷位置特定装置10のハードウェア構成を示す図である。
被雷位置特定装置10は、制御部11と、メモリ12と、記憶部13と、通信部14と、操作部15と、表示部16とを有している。これらの各部は、データバス、アドレスバス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等で接続されている。
【0024】
制御部11は、OS(基本ソフトウェア)やアプリケーションソフトウェア(応用ソフトウェア)等の各種ソフトウェアの実行を通じて自機の動作を制御するプロセッサである。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成される。メモリ12は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、演算に際して作業エリアとして用いられる。メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0025】
記憶部13は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域であり、各種情報を記憶するデータベースが格納されている。例えば、データベースの一例として、装置DB801が格納されている。装置DB801には、風力発電施設に設置された風力発電装置70に関する情報が記憶されている。風力発電装置70に関する情報には、個々の風力発電装置70を一意に特定可能な情報(例えばID等)と、風力発電装置70を構成する要素である複数のブレードの各々を一意に特定可能な情報(例えばID等)とが記憶されている。
【0026】
記憶部13は、例えばプログラムや各種設定データなどの記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、半導体メモリ等で構成される。通信部14は、ネットワーク90を介して、または赤外線通信等の通信方式によるデータの送受信を行う。通信部14は、落雷検知装置20、カメラ装置30、監視者端末50、および外部との間でデータの送受信を行う。
【0027】
操作部15は、例えばキーボード、マウス、機械式のボタン、スイッチで構成され、入力操作を受け付ける。操作部15には、表示部16と一体的にタッチパネルを構成するタッチセンサも含まれる。表示部16は、画像やテキスト情報などを表示する。表示部16は、例えば情報の表示に用いられる液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。
【0028】
(監視者端末のハードウェア構成)
監視者端末50のハードウェア構成は、図2に示す被雷位置特定装置10のハードウェア構成と同様の構成を備えている。このため、監視者端末50のハードウェア構成の図示および説明は省略する。
【0029】
(風力発電装置の構成)
図3は、風力発電装置70の全体構成を示す図である。
図3に示すように、風力発電装置70は複数の要素で構成されており、例えば、ロータ700と、ブレード701と、ハブ702と、ナセル703と、タワー704とを含む要素によって構成されている。
【0030】
ロータ700は、ブレード701と、ハブ702とにより構成される風車の回転部分である。このうち、ブレード701は、風車の羽の部分であり、風力によってブレード701に揚力が発生し、ロータ700を回転させる。これにより、電力が生み出される。ハブ702は、ブレード701を連結させる回転軸である。ナセル703は、図示はしないが、ロータ700の軸、増速機、発電機、ヨー制御装置、電力変換制御装置等の各種装置を格納する筐体である。
【0031】
本実施の形態において、ブレード701の枚数は3枚であるが、特に限定されず、例えば、2枚や4枚であってもよい。ただし、空気抵抗、バランス、重量、騒音、発電効率性、コスト、回転力等の観点から3枚のブレード701が一般的に用いられている。ブレード701の表面には、ブレード701を一意に特定可能な特徴量としての識別情報が、視認可能な態様で形成されている。なお、ブレード701の表面に形成された識別情報の具体例については、図7を参照して後述する。
【0032】
ナセル703に格納された各種装置のうち、増速機は、ロータ700の回転数を発電機に必要な回転数に変換(増速)させる。また、各種装置のうち、発電機は、ブレード701が風力を受けることで発生させたロータ700の回転エネルギーを、電気エネルギーに変換する。また、各種装置のうち、ヨー制御装置は、風力を効率よく回転エネルギーに変換するために、ロータ700の向きを風向きに追従させる。すなわち、風を効率よく正面で受けることができるように、ロータ700の向きを風向きの変化に追従させる。また、各種装置のうち、電力変換制御装置は、発電機の出力電圧や周波数を調整して、系統電圧や周波数に変換する。タワー704は、ロータ700およびナセル703を支える支柱である。また、図示はしないが、タワー704の下には、ロータ700、ナセル703、およびタワー704を支える基礎構造の部分となる基礎が配置されている。
【0033】
風力発電装置70では、ブレード701が風力を受けると、ロータ700がハブ702を中心に回転し、この回転エネルギーがナセル703内の発電機により電気エネルギーに変換されることで風力発電が行われる。風力発電装置70による風力発電では、得られる発電量や発電効率が風車の大きさに比例するため、風車の大型化により高効率化を図ることができるが、それに伴い被雷のリスクは高くなる。
【0034】
(被雷位置特定装置の制御部の機能構成)
図4は、被雷位置特定装置10の制御部11の機能構成を示す図である。
被雷位置特定装置10の制御部11では、画像取得部101と、装置識別部102と、要素識別部103と、ブレード識別部104と、位置特定部105と、ブレード特定部106と、表示制御部107とが機能する。
【0035】
画像取得部101は、撮影手段としてのカメラ装置30により撮影され、被雷位置特定装置10に向けて送信されてきた、被雷した風力発電装置70の熱画像を取得する。カメラ装置30から送信されてくる熱画像には、被雷した風力発電装置70の各々のすべてのブレード701が被写体として含まれている。
【0036】
具体的には、落雷検知装置20によって風力発電装置70への落雷が検知されると、それをトリガとしてカメラ装置30による撮影が開始され、撮影した熱画像が被雷位置特定装置10に向けて送信される。そこで、画像取得部101は、送信されてきた熱画像を取得する。なお、カメラ装置30から送信されてくる熱画像は、静止画像として撮影されたものであってもよいし、動画像として撮影されたものであってもよい。
【0037】
装置識別部102は、落雷検知装置20から送信されてくる情報に基づいて、風力発電施設に設置された複数の風力発電装置70のうち、被雷した風力発電装置70を識別する。落雷検知装置20から送信されてくる情報には、被雷した風力発電装置70を一意に特定可能な情報が含まれる。また、装置識別部102は、カメラ装置30により撮影され、送信されてきた画像のデータに基づいて、被雷した風力発電装置70を識別することもできる。
【0038】
要素識別部103は、落雷検知装置20から送信されてくる情報に基づいて、装置識別部102により被雷したと識別された風力発電装置70のうち、被雷した要素を識別する。落雷検知装置20から送信されてくる情報には、被雷した要素を一意に特定可能な情報が含まれる。具体的には、要素識別部103は、被雷した要素を一意に特定可能な情報を取得することで、ブレード701、ハブ702、ナセル703、タワー704、およびそれ以外の要素のうち被雷した要素を識別する。また、装置識別部102は、カメラ装置30により撮影され、送信されてきた画像のデータに基づいて、被雷した上述の要素を識別することもできる。
【0039】
ブレード識別部104は、風力発電装置70が被雷した際に、画像取得部101により取得された熱画像により示される温度分布に基づいて、被雷したブレード701を識別する。具体的には、ブレード識別部104は、風力発電装置70を構成するすべてのブレード701を被写体として包含する1の熱画像により示される温度分布に基づいて、他の領域に比べ温度が高い領域を有するブレード701を、被雷したブレード701として識別する。
【0040】
なお、ブレード識別部104による被雷したブレード701の識別は、被雷したブレード701を一意に特定するものではなく、風力発電装置70を構成する3枚のブレードのうち、被雷したブレード701を識別するものである。このため、例えば、3枚のブレードの各々がID等で個々に管理されている場合には、被雷したブレード701のIDを特定するものではない。
【0041】
位置特定部105は、ブレード識別部104により被雷したと識別されたブレード701の熱画像により示される温度分布に基づいて、被雷したブレード701上の雷撃を受けた位置を被雷位置として特定する。具体的には、位置特定部105は、被雷したと識別されたブレード701の熱画像により示される温度分布に基づいて、被雷したブレード701上の他の領域に比べ温度が高い領域のうち、最も温度が高い部分を被雷位置として特定する。なお、ブレード701の熱画像により示される温度分布の具体例については、図7を参照して後述する。
【0042】
ブレード特定部106は、被雷したブレード701を一意に特定する。具体的には、ブレード特定部106は、風力発電装置70を構成する3枚のブレード701のうち少なくとも1つが被雷した場合に、被雷したブレード701を一意に特定する。風力発電装置70を構成する3枚のブレード701は、風車の羽という構造上、互いに形状が同一の関係にあるため、何らの措置が講じられることなく、熱画像のみから被雷したブレード701を一意に特定することは困難である。そこで、ブレード特定部106は、熱画像から得られる複数のブレード701の各々に予め形成された特徴量に基づいて、被雷したブレード701を一意に特定する。
【0043】
具体的には、ブレード特定部106は、ブレード701の特徴量として、ブレード701の表面に視認可能な態様で形成された識別情報に基づいて、被雷したブレード701を一意に特定する。なお、どのような識別情報をブレード701の表面に形成させるかは特に限定されない。例えば、後述する図7の具体例のように、ブレード701を一意に特定可能とするマークをブレード701の表面に形成させてもよい。また、例えば、ブレード701ごとに色分けを施したり、数字を形成させたりしてもよい。また、例えば、黒体塗料など、赤外線カメラで識別可能な塗料を用いてマークや数字等をブレード701の表面に形成させてもよい。この場合、夜間であっても、被雷したブレード701を一意に特定することができるようになる。
【0044】
表示制御部107は、位置特定部105により特定された被雷位置に関する情報を監視者端末50の表示部に表示させる制御を行う。これにより、監視者Uは、監視者端末50の表示部に表示された被雷位置に関する情報を確認することで、被雷した風力発電装置70、および被雷したブレード701の識別と、被雷したブレード701上の被雷位置の特定とが可能となる。なお、監視者端末50の表示部に表示される、特定された被雷位置に関する情報の具体例については、図7を参照して後述する。
【0045】
(被雷位置特定システムの処理)
図5は、被雷位置特定システムの処理のうち、被雷位置特定装置10が、被雷した風力発電装置70を識別するまでの処理の流れを示すフローチャートである。なお、図5の例では、落雷検知装置20が風力発電装置70への落雷を検知するものとする。
被雷位置特定システム1では、落雷検知装置20が風力発電装置70への落雷を検知すると(ステップ401でYES)、落雷検知装置20から被雷位置特定装置10に向けて、風力発電装置70への落雷を検知した旨を示す情報を送信する(ステップ402)。落雷検知装置20から被雷位置特定装置10に向けて送信される情報には、被雷した風力発電装置70を一意に特定可能な情報が含まれる。これに対して、落雷検知装置20が風力発電装置70への落雷を検知していない場合には(ステップ401でNO)、落雷検知装置20が風力発電装置70への落雷を検知するまでステップ401の処理を繰り返す。
【0046】
落雷検知装置20から送信された情報を被雷位置特定装置10が受信すると(ステップ403でYES)、被雷位置特定装置10が、受信した情報を取得する(ステップ404)。そして、被雷位置特定装置10が、被雷した風力発電装置70を識別する(ステップ405)。具体的には、被雷位置特定装置10が、ステップ404で取得した情報に含まれる、被雷した風力発電装置70を一意に特定可能な情報に基づいて、被雷した風力発電装置70を識別する。これに対して、落雷検知装置20から被雷位置特定装置10に向けて、風力発電装置70への落雷を検知した旨を示す情報が送信されていない場合には(ステップ403でNO)、被雷位置特定装置10は、落雷検知装置20から被雷位置特定装置10に向けて、風力発電装置70への落雷を検知した旨を示す情報が送信されるまでステップ403の処理を繰り返す。
【0047】
(被雷位置特定システムの処理)
図6は、被雷位置特定システムの処理のうち、被雷位置特定装置10が、被雷したブレード701を一意に特定し、特定した被雷位置に関する情報を監視者端末50の表示部に表示させるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
被雷位置特定システム1では、落雷検知装置20が風力発電装置70への落雷を検知すると(ステップ601でYES)、カメラ装置30が、風力発電装置70を被写体とする撮影を行う(ステップ602)。そして、カメラ装置30から被雷位置特定装置10に向けて熱画像を送信する(ステップ603)。具体的には、カメラ装置30が被雷位置特定装置10に向けて、風力発電装置70の要素としてのすべてのブレード701を被写体として包含する1の熱画像を送信する。これに対して、落雷検知装置20が風力発電装置70への落雷を検知していない場合には(ステップ601でNO)、カメラ装置30は、落雷検知装置20が風力発電装置70への落雷を検知するまでステップ601の処理を繰り返す。
【0048】
カメラ装置30により送信された熱画像を被雷位置特定装置10が受信すると(ステップ604でYES)、被雷位置特定装置10が、受信した熱画像を取得する(ステップ605)。これに対して、カメラ装置30から熱画像が送信されてきていない場合(ステップ604でNO)、被雷位置特定装置10は、カメラ装置30から熱画像が送信されてくるまでステップ604の処理を繰り返す。
【0049】
ステップ605で取得した熱画像により示される温度分布に基づいて、風力発電装置70を構成するすべてのブレード701のうち、他の領域に比べて温度が高い領域を有するブレード701が存在する場合には(ステップ606でYES)、被雷位置特定装置10が、他の領域に比べて温度が高い領域を有するブレード701を、被雷したブレード701として特定する(ステップ607)。これに対して、他の領域に比べて温度が高い領域を有するブレード701が存在しない場合には(ステップ606でNO)、ステップ601の処理に戻る。
【0050】
被雷位置特定装置10は、被雷したブレード701の熱画像により示される温度分布に基づいて、被雷したブレード701上の雷撃を受けた位置を被雷位置として特定する(ステップ608)。具体的には、被雷位置特定装置10は、被雷したブレード701の熱画像により示される温度分布に基づいて、被雷したブレード701上の他の領域に比べ温度が高い領域のうち、最も温度が高い部分を被雷位置として特定する。
【0051】
次に、被雷位置特定装置10は、識別情報に基づいて、被雷したブレード701を一意に特定する(ステップ609)。具体的には、被雷位置特定装置10は、風力発電装置70を構成する3枚のブレード701の各々の表面に視認可能な態様で形成された識別情報に基づいて、被雷したブレード701を一意に特定する。被雷位置特定装置10は、ステップ609で特定した被雷位置に関する情報を、監視者端末50の表示部に表示させる制御を行う(ステップ610)。
【0052】
(具体例)
図7は、監視者端末50の表示部に表示される被雷位置に関する情報の具体例を示す図である。
上述のように、被雷位置特定装置10は、被雷したブレード701の熱画像により示される温度分布に基づいて、被雷したブレード701上の他の領域に比べ温度が高い領域のうち、最も温度が高い部分を被雷位置として特定する。そして、その結果を、特定した被雷位置に関する情報として、監視者端末50の表示部に表示させる制御を行う。監視者端末50の表示部に表示されるブレード701の熱画像は、カメラ装置30により撮影された風力発電装置70のすべてのブレード701を被写体として包含する1の熱画像である。このため、熱画像のうち被雷したブレード701の部分を拡大して、監視者端末50の表示部に表示させる制御を行う。
【0053】
図7には、被雷位置特定装置10が特定した被雷位置に関する情報の一例として、被雷したブレード701の熱画像に、被雷位置を示す情報を加えた画像の例が示されている。図7に示すように、ブレード701の表面には、温度分布を示す複数の温度領域L1乃至L4が示されている。温度は、温度領域L1乃至L4の順で高くなっており、温度領域L0は温度変化が見られなかった領域である。そして、「LP」は、最も温度が高い部分を示しており、矢印で示された部分が被雷位置として特定された部分である。「LP」の矢印は、監視者端末50の表示部に表示されるので、監視者Uは、一見して被雷位置を把握することができる。
【0054】
また、ブレード701の表面に形成された3本線からなるマークMは、ブレード701を識別するための特徴量としての識別情報である。例えば、風力発電装置70を構成する3つのブレード701の各々の表面に、それぞれ1本線のマークMと、2本線のマークMと、3本線のマークMとが予め形成されている場合には、マークMが何本線であるかによってブレード701を一意に特定することができる。
【0055】
また、図示はしないが、図7の熱画像を撮影したカメラ装置30が、赤外線カメラと可視光線カメラとの組み合わせとして設置されている場合には、ブレード701上の被雷位置と、雷撃による損傷箇所とが同時並行的に撮影される。これにより、監視者Uは、監視者端末50の表示部に表示される画像から、雷撃による損傷箇所を確認することも可能となる。
【0056】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上述した本実施の形態に限るものではない。また、本発明による効果も、上述した本実施の形態に記載されたものに限定されない。例えば、図1に示す被雷位置特定システム1のシステム構成、図2に示す被雷位置特定装置10のハードウェア構成、および図3に示す風力発電装置70の全体構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。また、図4に示す被雷位置特定装置10の制御部11の機能構成も例示に過ぎず、特に限定されない。上述した処理を全体として実行できる機能が図1の被雷位置特定システム1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能構成を用いるかは図4の機能構成の例に限定されない。
【0057】
また、図5および図6に示すフローチャートの処理のステップの順序も例示に過ぎず、特に限定されない。図示されたステップの順序に沿って時系列的に行われる処理だけではなく、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別的に行われてもよい。また、図7に示すブレード701の熱画像の具体例も一例に過ぎず、特に限定されない。
【0058】
また、上述の実施の形態では、撮影手段としてのカメラ装置30が、遠赤外領域(4~1000μm)の光を感受して風力発電装置70を被写体とする撮影を行う構成となっているが、これに限定されない。温度分布を示す画像のデータとしての熱画像を取得できればどのような撮影手段が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…被雷位置特定システム、10…被雷位置特定装置、11…制御部、20…落雷検知装置、30…カメラ装置、50…監視者端末、90…ネットワーク、101…画像取得部、102…装置識別部、103…要素識別部、104…ブレード識別部、105…位置特定部、106…ブレード特定部、107…表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7