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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電動調理器用の収容容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/046 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
A47J43/046
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021505069
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2020010134
(87)【国際公開番号】W WO2020184529
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019046823
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】下田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】北山 博樹
(72)【発明者】
【氏名】荻須 啓太
(72)【発明者】
【氏名】赤木 和江
(72)【発明者】
【氏名】片山 洋子
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206303794(CN,U)
【文献】特表2017-524387(JP,A)
【文献】特開2000-153881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容容器の底部を載置する載置部と、前記収容容器を上方から押さえることが可能な回動アームと、を含む電動調理器用の収容容器であって、
一端に開口部を有し、食材を収容する容器本体と、
前記開口部を塞ぐ蓋体と、を備え、
前記蓋体は、
前記容器本体の内部に連通する連通孔と、
前記連通孔を外側から覆うとともに、前記容器本体の内部側の圧力が外部側の圧力より低い場合に、前記連通孔を閉じる弾性弁と、
前記連通孔を介して前記容器本体の内部の空気を排出する電動調理器に設けられた吸引部と接続する接続部と、を有し、
前記弾性弁は、前記連通孔を閉じた状態を解除するための解除部を有し、
前記解除部は、前記蓋体から前記容器本体の方向に見て、少なくとも一部が前記連通孔と重なり、前記弾性弁から前記容器本体の外側に突出し、
前記蓋体は、前記接続部として、前記電動調理器の前記回動アームと接続する壁部を有し、
前記壁部は、前記弾性弁を取り囲むように前記蓋体から前記容器本体の外側に突出して形成され、
前記壁部の上端は、前記容器本体が前記電動調理器の前記載置部に載置され、前記蓋体が前記電動調理器の前記回動アームに上方から押さえられた状態において、前記回動アームに当接する電動調理器用の収容容器。
【請求項2】
前記壁部の高さは、前記解除部の先端部と略同一又は前記解除部の先端部よりも高く設定される請求項1に記載の電動調理器用の収容容器。
【請求項3】
前記壁部は、前記回動アームに設けられた溝に挿入されることにより、前記電動調理器に接続される請求項1または請求項2に記載の電動調理器用の収容容器。
【請求項4】
前記蓋体は、前記容器本体の内部側の圧力と、外部側の圧力と、の圧力差に応じて外形が変化する外形変化部材を有する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電動調理器用の収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動調理器用の収容容器に関する。本願は、2019年3月14日に、日本に出願された特願2019-046823号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、野菜や果物等のような材料を調理するフードプロセッサが開示されている。フードプロセッサは、駆動モータを内蔵した本体及び材料を収容可能に形成された収容容器を備えており、収容容器を本体に載置して駆動モータからの動力を収容容器の内部に設けられる調理部材に伝達させることで材料の調理を可能としている。また、本体に内蔵される真空ポンプに配管を介して収容容器を接続して、収容容器の内部の気体を排気することで、食品成分の分解や酸化を防止することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-119867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような電動調理器において、本体に取り付けられる収容容器は、食材を出来得る限り調理することができるようにサイズが大きいものが多く、また、食材を調理するための調理部材が内部に収容されているため、保存に適していなかった。
【0005】
上記の問題点に鑑み、本発明の一態様は、一例として、保存に適した電動調理器用の収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電動調理器用の収容容器は、一端に開口部を有し、食材を収容する容器本体と、前記開口部を塞ぐ蓋体と、を備え、前記蓋体は、前記容器本体の内部に連通する連通孔と、前記連通孔を外側から覆うとともに、前記容器本体の内部側の圧力が外部側の圧力より低い場合に、前記連通孔を閉じる弾性弁と、前記連通孔を介して前記容器本体の内部の空気を排出する電動調理器に設けられた吸引部と接続する接続部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1に係る電動調理器の斜視図である。
図2図1に示した電動調理器の断面図である。
図3】(a)図1に示した電動調理器の装置本体の回動アームが接続位置にある状態を示す斜視図である(b)図1に示した電動調理器の装置本体の回動アームが解除位置にある状態を示す斜視図である。
図4図1に示した電動調理器の第1の接続部を示す一部拡大斜視図である。
図5図1に示した電動調理器の第2の接続部を示す一部拡大斜視図である。
図6図1に示した電動調理器の収容部の斜視図である。
図7図1に示した電動調理器の収容部を構成する調理部を示す一部拡大断面図である。
図8】(a)図1に示した電動調理器の収容部を構成する蓋体を示す一部拡大断面図である(b)図1に示した電動調理器の収容部を構成する蓋体に取り付けられる弾性弁を示す一部拡大断面図である。
図9】本発明の実施形態2に係る電動調理器の斜視図である。
図10図9に示した電動調理器の断面図である。
図11】本発明の実施形態3に係る電動調理器の斜視図である。
図12】(a)図11に示した電動調理器の収容部を構成するアタッチメントの斜視図である(b)図11に示した電動調理器の収容部を構成するアタッチメントの分解斜視図である。
図13】(a)図11に示した電動調理器の収容容器の平面図である(b)図11に示した電動調理器の収容容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付することにより重複する説明は省略し、また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。さらに、かかる実施の形態に示す構成要素の形態はあくまでも例示であって、これらの形態に限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1から図5を参照して、本発明の実施形態1に係る電動調理器100について説明する。図1は、電動調理器100の斜視図である。図2は、電動調理器100の断面図である。図2に示す断面図では、装置本体110の内部構造について省略している。図3(a)は、電動調理器100の装置本体110の回動アーム113が接続位置にある状態を示す斜視図である。図3(b)は、電動調理器100の装置本体110の回動アーム113が解除位置にある状態を示す斜視図である。図4は、電動調理器100の装置本体110の第1の接続部を示す一部拡大斜視図である。図5は、電動調理器100の装置本体110の第2の接続部を示す一部拡大斜視図である。以下の説明において、電動調理器100の収容部120が設けられる側を前側又は正面と称し、正面と対向している電動調理器100の側を後側又は背面と称する。
【0010】
図1に示すように、電動調理器100は、装置本体110と、内部に食材を収容し、装置本体110に着脱自在に取り付けられる収容部120と、を備える。図2に示すように、収容部120は、内部に収容される食材を調理するための調理部130を備えており、装置本体110は、収容部120の内部の空気を排出する吸引部140と、調理部130に動力を伝達するための駆動部150と、を備えている。電動調理器100は、装置本体110に収容部120が保持されたことを検知して、収容部120の内部の空気を排出して、食材を調理することを可能としている。ここでの調理とは、例えば、食材を切削したり、撹拌したり、粉砕したりするものを指す。
【0011】
図2から図5を用いて、電動調理器100の装置本体110について具体的に説明する。装置本体110は、収容部120に接続され、収容部120を保持するための少なくとも2つの接続部を有している。装置本体110は、一例として、第1の接続部と、第2の接続部と、を有している。装置本体110では、第1の接続部として、例えば、収容部120の底部を載置する載置部114が挙げられ、第2の接続部として、例えば、収容部120を上方から押さえる回動アーム113が挙げられる。これにより、装置本体110は、収容部120を挟んで保持している。
【0012】
図2及び図3に示すように、装置本体110は、基部111と、基部111の後端から上方に立ち上がるように形成される立ち上がり部112と、立ち上がり部112の上端に接続される回動アーム113と、を備える。
【0013】
図4に示すように、基部111には、収容部120を載置する載置部114が形成される。載置部114は、基部111の上面に形成され、収容部120の底部を挿入可能な凹部114aと、凹部114aの側壁に設けられ、収容部120の底部を係止可能な4つの溝114bとからなる。
【0014】
溝114bは、凹部114aの側壁に、平面視において90度間隔に4つ設けられる。4つの溝114bには、収容部120の底部に形成される4つの突起部121c(図6及び図7参照)が係止されることで、収容部120は載置部114に載置(接続)される。すなわち、載置部114は、第1の接続部として機能している。
【0015】
載置部114の前方、具体的には、基部111の前部上面には、操作部115が設けられる。操作部115は、複数のボタンを有し、ユーザの操作によって電動調理器100の各種動作の設定を可能としている。電動調理器100の各種動作の設定とは、例えば、電動調理器100の運転開始及び運転停止や吸引部140のみによる運転モードや、駆動部150の回転数等の設定を指す。
【0016】
図2に示すように、基部111の後部(立ち上がり部112の下部)には、駆動部150が配置される。駆動部150は、一例として、モータからなり、基部111に設けられる各種の動力伝達部材を介して、調理部130へ動力を伝達している。載置部114上には、収容部120側の動力伝達部材135と連結可能な装置本体110側の動力伝達部材116が設けられている。載置部114に収容部120を載置(接続)することで、動力伝達部材135及び動力伝達部材116が連結(接触)し、収容部120(後述の調理部130)に動力を伝達可能としている。すなわち、駆動部150は、第1の接続部を通じて収容部120に動力を伝達している。
【0017】
図3に示すように、回動アーム113は、その基端部が立ち上がり部112の上端に回動可能に取り付けられている。回動アーム113は、その先端部が立ち上がり部112の上端を支点として上下に回動可能に構成される。回動アーム113は、収容部120の上部に接続される接続位置(図3(a)参照)と、接続位置から所定角度だけ上方に回動させた位置である解除位置(図3(b)参照)と、の間で姿勢を変更可能に構成される。回動アーム113は、ストッパ(図示せず)により、接続位置と、解除位置とで姿勢を停止可能に構成されている。
【0018】
図2及び図5を用いて、吸引部140について説明する。吸引部140は、回動アーム113に設けられている。回動アーム113の先端部は、収容部120の上部と接続され、収容部120の内部の空気を排出可能に構成される。
【0019】
吸引部140は、例えば、真空ポンプからなる本体部141と、本体部141に接続されるチューブ部材142と、チューブ部材142の先端側に設けられ、吸引口となる吸引ノズル143と、吸引ノズル143を支持する支持部材144と、を備える。
【0020】
本体部141は、回動アーム113の内部に配置されている。チューブ部材142は、一端が本体部141に接続され、他端が回動アーム113の先端部に配置される。チューブ部材142には、圧力を検知する圧力検知部(図示せず)が設けられている。
【0021】
吸引ノズル143は、吸引部140の吸引口として設けられる。吸引ノズル143は、ゴムなどの弾性材料からなる中空の筒状部材である。吸引ノズル143の基端部は、支持部材144によって支持されている。吸引ノズル143の先端部は、蛇腹状に形成されており、支持部材144から垂れ下げられている。
【0022】
支持部材144は、例えば、樹脂材料によって形成される輪状の部材であり、回動アーム113の先端部の底面側に取り付けられている。支持部材144は、その内周面に吸引ノズル143の基端部を嵌め込んだ状態で、回動アーム113に取り付けられることで、吸引ノズル143の先端部を所望の位置(後述の弾性弁124を中心とした位置)に合わせることができる。
【0023】
吸引ノズル143の先端部は、回動アーム113が接続位置にある状態において、付勢力によって、収容部120の上面を押さえつけるように構成される。すなわち、吸引ノズル143の先端部の長さは、蓋体122の外表面までの長さよりも長く設定される。これにより、吸引ノズル143の先端部と、収容部120の上面とが密着するため、吸引部140の吸引力を低減させることなく、収容部120の空気を排出することができる。
【0024】
図5に示すように、回動アーム113の先端部には、下方に突出する突起部145が形成されている。突起部145は、支持部材144に形成される開口部144aを貫通している。突起部145は、その先端部(下端部)に、収容部120と係合可能な溝145aが形成されている。溝145aは、回動アーム113が接続位置にある状態において、収容部120、具体的には、後述の壁部125が挿入されるように形成されている。これにより、収容部120は、例えば、左右等にずれることなく、適切な位置において吸引部140との接続状態を保持することができる。すなわち、回動アーム113の先端部は、第2の接続部として機能している。以上の構成において、回動アーム113を接続位置に回動させると、収容部120の壁部125と、溝145aとが、係合されることで、吸引ノズル143の先端部が所望の位置に配置され、収容部120の内部の空気を排出可能としている。すなわち、吸引部140は、第2の接続部を通じて、収容部120の内部の空気を排出している。
【0025】
また、支持部材144の底面(収容部120と対向する面)には、予期しない外力によって後述の収容部120の壁部125へ支持部材144が押し当てられたときの衝撃を和らげるための緩衝部材146が設けられる。緩衝部材146は、ゴムなどの弾性材料によって、略円状に形成されている。
【0026】
以上の構成において、収容部120の底部を載置部114に載置(接続)した状態において、回動アーム113を接続位置に回動させて、収容部120の上部に回動アーム113の先端部を接続させることで、収容部120を挟んで保持している。これにより、収容部120を安定的に支持することができる。
【0027】
図2に示すように、装置本体110は、接続部毎の接続状態をそれぞれ検知可能な複数の検知部を備える。検知部は、一例として、第1の接続部の接続状態を検知する第1の検知部160と、第2の接続部の接続状態を検知する第2の検知部161と、を備える。
【0028】
第1の検知部160は、第1の接続部、すなわち、載置部114に収容部120が接続されたことを検知している。第1の検知部160は、例えば、リミットスイッチから構成される。第1の検知部160は、載置部114に取り付けられる。具体的には、載置部114を構成する溝114bに設けられ、収容部120の突起部121cが溝114bに係止されると、リミットスイッチがオンとなり、収容部120が載置部114に接続されたことを検知している。
【0029】
第2の検知部161は、第2の接続部、すなわち、回動アーム113の先端部に収容部120が接続されたことを検知している。第2の検知部161は、例えば、リミットスイッチから構成される。第2の検知部161は、吸引部140に取り付けられる。具体的には、溝145aに設けられ、収容部120の壁部125が溝145aに係合されると、リミットスイッチがオンとなり、収容部120が回動アーム113の先端部に接続されたことを検知している。
【0030】
なお、装置本体110は、収容部120を保持する構成として、第1の接続部及び第2の接続部からなるが、収容部120を保持するために少なくとも2つ以上の接続部からなればよく、これに限定されない。また、装置本体110は、2つの接続部として、収容部120が載置される載置部114及び収容部120を上方から押さえる回動アーム113の先端部が挙げられているが、収容部120を保持できる構成であればよく、これに限定されない。また、各検知部は、それぞれリミットスイッチから構成されているが、収容部120が装置本体110の接続部に接続されたことを検知できる構成であればよく、これに限定されない。同様に、第1の検知部160、第2の検知部161は、溝114bや溝145aに設けられているが、収容部120が装置本体110の接続部に接続されたことを検知できる構成であればよく、これに限定されない。
【0031】
電動調理器100は、操作部115、吸引部140、駆動部150、第1の検知部160、第2の検知部161、制御部170、記憶部(図示せず)、圧力検知部(図示せず)等を備える。制御部170は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)で構成される。記憶部(図示せず)は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等であって、制御部170により実行されるプログラム及び制御部170にて使用する各種パラメータ等を記憶する。
【0032】
制御部170は、電動調理器100の各部の動作を制御する。具体的には、操作部115、吸引部140、駆動部150、第1の検知部160、第2の検知部161、制御部170、記憶部(図示せず)、圧力検出部(図示せず)等のそれぞれに接続され、各部を制御することで、収容部120の内部の空気を排出して、収容部120の内部の食材を調理する。
【0033】
制御部170は、第1の検知部160及び第2の検知部161の検知結果に基づいて装置本体110の動作を制御している。以下では、上記動作制御の一例について説明する。制御部170は、操作部115からの操作入力信号に基づいて、吸引部140及び駆動部150の少なくとも一方に駆動指令が出力されているか否かを判定する。上記指令が出力されている場合に、制御部170は、第1の検知部160及び第2の検知部161がそれぞれ接続状態を検知しているか否かを判定する。制御部170は、第1の検知部160及び第2の検知部161がそれぞれ接続状態であると検知している場合にのみ、上記駆動指令を許可して、対応する駆動部150、吸引部140を駆動させる。以上のように、収容部120が装置本体110に保持されている状態(全ての接続部に接続されている状態)を検知した場合にのみ、装置本体110の動作を許可することで、装置本体110の各動作を安全に実施することができる。
【0034】
以下では、図6から図8までを用いて、収容部120について具体的に説明する。図6は、電動調理器100の収容部120の斜視図である。図7は、電動調理器100の収容部120を構成する調理部130を示す一部拡大断面図である。図8(a)は、電動調理器100の収容部120を構成する蓋体122を示す一部拡大断面図である。図8(b)は、収容部120を構成する蓋体122に取り付けられる弾性弁124を示す一部拡大断面図である。
【0035】
収容部120は、収容容器単体からなる。収容部120(収容容器)は、収容した食材を調理するとともに、吸引部140により内部の空気を排出可能としている。収容部120(収容容器)は、一例として、一端(上端)に開口部121a(図8(a)参照)を有し、食材を収容する容器本体121と、容器本体121の底部に支持される調理部130と、開口部121aを密閉する蓋体122と、を備える。
【0036】
図6を用いて、容器本体121について説明する。容器本体121は、内部を視認できるように、例えば、透明な樹脂材料やガラス部材等からなる。容器本体121は、上方に進むにつれて広がるように形成される筒状部材からなる。容器本体121の外周面には、上下に沿って把手121bが形成されている。容器本体121の上端には、蓋体122が着脱自在に取り付けられる。容器本体121の外周面の下部には、第1の接続部(溝114b)に接続(係止)するための4つの突起部121cが設けられる。4つの突起部121cは、平面視において、90度間隔に設けられている。
【0037】
図7を用いて、調理部130について説明する。調理部130は、駆動部150からの動力によって回転して食材を調理している。調理部130は、回転軸131と、回転軸131に固定される調理部材132と、回転軸131を回転自在に支持する軸受部133と、軸受部133を保持する軸受ホルダ134と、装置本体110側の動力伝達部材116と連結するための動力伝達部材135と、を備える。
【0038】
回転軸131は、容器本体121の底部(軸受ホルダ134)を貫通して設けられる。回転軸131の上端には、調理部材132が固定される。調理部材132は、一例として、食材を切削するカッター部材からなる。調理部材132は、例えば、外周へ進むにつれて、上方へ湾曲する一対の湾曲刃と、外周へ進むにつれて下方へ湾曲する一対の湾曲刃と、から構成される。調理部材132は、材料を切削する部材に限らず、例えば、材料を撹拌したり、粉砕したりする部材であってもよい。
【0039】
軸受ホルダ134は、上方に隆起するように形成され、容器本体121の底部の一部を形成している。軸受ホルダ134の中央部には、回転軸131が貫通して設けられている。回転軸131の中途部(容器本体121の外部側)には、ベアリング等からなる軸受部133が軸受ホルダ134に収容されて取り付けられている。回転軸131の下端には、動力伝達部材135が固定されている。
【0040】
以上の構成において、収容部120が第1の接続部に接続されると、装置本体110側の動力伝達部材116と収容部120側の動力伝達部材135が連結することにより、駆動部150からの動力が回転軸131に伝達可能となり、調理部材132を回転させて食材を調理することができる。
【0041】
図8を用いて、蓋体122について説明する。蓋体122は、第2の接続部に接続され、吸引部140の吸引力によって収容容器の内部の空気を排出可能に構成される。
【0042】
図8(a)に示すように、蓋体122は、パッキン123を介して容器本体121の開口部121aに取り付けられる。蓋体122は、容器本体121の内部に連通する連通孔122aと、連通孔122aを外側から覆うとともに、容器本体121の内部側の圧力が外部側の圧力より所定の値以上低い場合に、連通孔122aを閉じる弾性弁124と、弾性弁124の周囲を囲むように、蓋体122から容器本体121の外側(上方)に突出して形成される壁部125と、連通孔122aを内側から覆う逆流防止キャップ126と、を有する。
【0043】
図8(b)を用いて、弾性弁124について説明する。蓋体122の中心部には、弾性弁124を蓋体122に取り付けるための取付孔122bが形成されている。弾性弁124は、ゴムなどの弾性材料からなり、断面形状が略円形となるように成形されている。弾性弁124は、容器本体121の外表面に接する大径部124aと、容器本体121の内表面に接する小径部124bと、取付孔122bの内部に位置し、大径部124aと小径部124bとを連結する連結部124cと、から構成される。
【0044】
連通孔122aは、蓋体122の中心部(取付孔122b)から偏心した位置に形成されている。大径部124aは、連通孔122aを外側から覆うことができるように取付孔122bの径よりも大きくなるように形成されている。小径部124bは、取付孔122bから弾性弁124が外れないように取付孔122bの径よりも大きくなるように形成されるとともに、連通孔122aを内側から塞がないように大径部124aの径よりも小さくなるように形成されている。連結部124cは、大径部124aと小径部124bとを連結しており、取付孔122bの径と略同一の径となるように形成されている。これにより、弾性弁124は、小径部124b側から取付孔122bに嵌め込むことで、蓋体122に取り付けることができる。
【0045】
大径部124aは、収容部120(収容容器)の内部側の圧力が外部側の圧力より所定の値以上低くなると、連通孔122aの周辺の外表面と密着することで、収容部120の内部の圧力を維持するように構成される。所定の値とは、実験等により予め定められた値である。
【0046】
大径部124aには、収容部120(収容容器)の内部側の圧力が維持された状態において、連通孔122aを閉じた状態を解除する解除部124dが形成されている。解除部124dは、取付孔122b(中心)から偏心した位置において、容器本体121の外側(上方)に突出して形成される。解除部124dは、取付孔122bから偏心した位置に設けられることが好ましい。より具体的には、解除部124dは、蓋体122から容器本体121の方向に見て、少なくとも一部が連通孔122aと重なるように設けられることが好ましい。以上の構成において、解除部124dを指等により押すことで、弾性弁124(大径部124a)の蓋体122(連通孔122aの周辺)への密着状態を容易に解除することができる。
【0047】
以下では、吸引部140の動作に応じた弾性弁124の動きについて説明する。図8(b)に示すように、吸引部140が作動すると、吸引部140の吸引力により、弾性弁124の一部が上方に持ち上げられ、大径部124aと連通孔122a周辺の外表面との間に隙間が生じる。この隙間から、連通孔122aを介して収容部120(容器本体121)の内部の空気を排出している。制御部170は、収容部120の内部側の圧力が所定の圧力を下回ると、吸引部140の作動を停止する。吸引部140の作動が停止すると、収容部120の内部側の圧力は、外部側の圧力よりも所定の値以上低くなっている。ゆえに、連通孔122a周辺の外表面に大径部124aが密着して連通孔122aを閉じて収容部120の内部側の圧力を維持することができる。
【0048】
壁部125は、第2の接続部(回動アーム113の先端部)と接続するためのものである。すなわち、電動調理器100に設けられた吸引部140に接続するための接続部として機能している。
【0049】
壁部125は、蓋体122から容器本体121の外側(上方)に突出して形成され、蓋体122と一体的に成形されている。壁部125は、回動アーム113が接続位置まで回動されると、電動調理器100(回動アーム113の先端)に設けられた溝145aに挿入(係合)されることにより、電動調理器100に接続される。
【0050】
また、壁部125は、弾性弁124を取り囲むように、蓋体122から容器本体121の外側(上方)に突出して形成されている。壁部125は、一例として、平面視において環状に形成されている。壁部125の高さは、解除部124dの先端部(上端部)と略同一又は解除部124dの先端部よりも高く設定される。これにより、ユーザが収容部120(収容容器)を持ち運んだり、保存したりする際に、あやまって解除部124dに指や手が触れて、収容部120の圧力が外圧に戻ることを防止することができる。以上のように、壁部125は、電動調理器100に設けられた吸引部140に接続するためのものであり、かつ、弾性弁124の解除部124dの誤操作を防ぐためのものである。
【0051】
逆流防止キャップ126は、ゴムなどの弾性材料からなり、連通孔122aを内側から覆うように蓋体122に取り付けられている。逆流防止キャップ126には、収容部120の内部から連通孔122aに空気を吸い込む迂回流路が形成されている。これにより、食材(液体等を含む)が吸引部140へ流入することを防ぐことができ、吸引部140の故障や機能の低下を防止している。
【0052】
(第2の実施形態)
図9及び図10を用いて、第1の実施形態と異なる構成の収容部220について説明する。図9は、第2の実施形態の電動調理器200の斜視図である。図10は、電動調理器200の断面図である。
【0053】
収容部220は、収容容器221と、収容容器221を支持するアタッチメント223と、からなる。収容容器221と、アタッチメント223とは、別体である。収容容器221は、第1の実施形態の収容容器とは異なり、調理部を有さず、内部の空気を排出して食材を保存(真空保存)するための保存容器である。
【0054】
図9及び図10に示すように、収容容器221は、一例として、一端に開口部221aを有し、食材を収容する容器本体221bと、開口部221aを密閉する蓋体222と、を備える。容器本体221bは、上端に開口部221aを有する有底状の筒状部材である。収容容器221の径は、上下にわたって略同一となるように形成されている。蓋体222は、第1の実施形態の蓋体と同様の構成であり、第2の接続部に接続され、吸引部140の吸引力によって収容容器221の内部の空気を排出可能に構成される。
【0055】
アタッチメント223は、第1の接続部に接続され、装置本体110側の動力伝達部材116と接触しないように収容容器221を支持している。アタッチメント223は、例えば、樹脂材料によって形成される中空の筒状部材からなる。アタッチメント223の内径は、収容容器221の外形よりも大きくなるように形成される。アタッチメント223の外周面の下部には、載置部114を構成する溝114bに係止するための4つの突起部121cが設けられている。
【0056】
アタッチメント223は、その内部に収容容器221を支持する支持部223aが形成される。支持部223aは、例えば、収容容器221の底面を支持する中空の板状部材からなる。支持部223aは、装置本体110側の動力伝達部材116と接触しないように、例えば、動力伝達部材116よりも上側で収容容器221を支持している。以上のように、動力伝達部材116と収容容器221の底面との間に空間を設けることで、仮に動力伝達部材116が回転したとしても、動力伝達部材116が収容容器221に干渉することを回避することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図11から図13までを用いて、第1の実施形態と異なる構成の収容部320について説明する。図11は、第3の実施形態の電動調理器300の斜視図である。図12(a)は、電動調理器300の収容部320を構成するアタッチメント323の斜視図である。図12(b)は、電動調理器300の収容部320を構成するアタッチメント323の分解斜視図である。図13(a)は、電動調理器300の収容容器321の平面図である。図13(b)は、電動調理器300の収容容器321の断面図である。
【0058】
収容部320は、収容容器321と、収容容器321を支持するアタッチメント323と、からなる。収容容器321と、アタッチメント323とは、別体である。収容容器321は、第1の実施形態の収容容器とは異なり、調理部を有さず、内部の空気を排出して食材を保存(真空保存)するための保存容器である。アタッチメント323は、第2の実施形態のアタッチメント223とは異なり、収容容器321(保存容器)の高さに応じて、支持する高さを変更可能に構成される。
【0059】
図11から図13までに示すように、収容容器321は、一例として、一端に開口部321a(図13(b)参照)を有し、食材を収容する容器本体321bと、開口部321aを密閉する蓋体322と、を備える。容器本体321bは、上端に開口部321aを有する有底状の筒状部材である。収容容器321は、第1の実施形態の蓋体と同様に、第2の接続部に接続可能に構成される。また、収容容器321は、第2の実施形態の収容容器221と比べて、径が大きくなるように形成されている。蓋体322は、パッキンを介して開口部321aを塞ぐように取り付けられている。
【0060】
アタッチメント323は、第1の接続部に接続される外筒324と、外筒324に挿入され、外筒324に対する高さを変更可能に構成される内筒325と、から構成される。外筒324及び内筒325は、例えば、樹脂材料からなる筒状部材である。外筒324の内径は、内筒325の外径と略同一又は内筒325の外径よりもやや大きくなるように構成され、外筒324に内筒325を挿入可能に構成される。内筒325の上端は、径が大きくなっており、外筒324の上端に係止可能に構成されている。収容容器321の底面には、内筒325の上端部に係止可能な凹部321c(図13(b)参照)が形成されている。
【0061】
また、内筒325の外周面には、外側へ突出する突起部325aが対向するように設けられている。外筒324の周面には、内筒325に形成された一対の突起部325aを係止する一対の係止溝324aが形成されている。係止溝324aは、開口からなり、段状に形成されることで、一対の突起部325aを3位置に係止することができる。すなわち、外筒324に対する内筒325の高さを3段階に変更することができる。これにより、高さの異なる収容容器321であっても、載置部114及び吸引部140に接続することができ、収容容器321を安定的に支持することができる。
【0062】
図13に示すように、蓋体322は、収容容器321の内部側の圧力と、外部側の圧力と、の圧力差に応じて外形が変化する外形変化部材326をさらに有する。外形変化部材326は、例えば、ゴムなどの弾性材料からなり、蓋体322の外縁部寄りに設けられる開口部322aに、外側から嵌め込んで取り付けられている。外形変化部材326は、開口部322aよりも外側に、膨出部326aを備える。膨出部326aの内部には、収容容器321の内部と連通する空隙326bを有している。空隙326b、膨出部326aの大きさや厚み等は、収容容器321の内外の圧力差に応じて設定される。これにより、収容容器321の内部側の圧力が外部側の圧力よりも所定の値以上低くなった場合に、膨出部326aが凹むように構成される。ゆえに、収容容器321を吸引部140により吸引した状態(例えば、真空状態)であると、膨出部326aが凹むため、ユーザが収容容器321の内部が真空状態であるか否かを容易に判別することができる。
【0063】
図13(b)に示すように、蓋体322は、弾性弁124を取り囲むように、蓋体322から突出して形成される壁部を複数設けてもよい。この場合、弾性弁124を取り囲むように形成される壁部125aと、壁部125aの周囲を取り囲むように形成される壁部125bと、蓋体322の外縁部に形成される壁部125cと、から構成される。これにより、ユーザが収容容器321を持ち運んだりする際に、誤って解除部124dに指や手等が触れて、収容容器321の内部側の圧力が外圧に戻ることを効果的に防止することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
図1
図2
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図11
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図13