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特許7406544張力測定システムにおいて使用される多寸法シーブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】張力測定システムにおいて使用される多寸法シーブ
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/107 20200101AFI20231220BHJP
【FI】
G01L5/107
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021505307
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019044291
(87)【国際公開番号】W WO2020028467
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】62/712,613
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/526,549
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェイムズ スカルスキ
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-66237(JP,A)
【文献】実開昭56-124853(JP,U)
【文献】米国特許第3494183(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて使用されるシーブにおいて、
前記シーブは、所定の軸線を中心として回転可能に設けられ、かつ、前記所定の軸線周りの該シーブの外周面に形成された第1の曲率半径の円弧状の溝と、第2の曲率半径の円弧状の溝とを有し、前記第1の曲率半径の円弧状の溝と第2の曲率半径の円弧状の溝の一方に係合する前記ケーブルと該シーブとの間の接触力を張力センサーによって測定するようになっており、
前記第1の曲率半径の円弧状の溝と前記所定の軸線との間の距離は、前記第2の曲率半径の円弧状の溝と前記所定の軸線との間の距離よりも長くなっているシーブ。
【請求項2】
前記第1の曲率半径の円弧状の溝と、前記第2の曲率半径の円弧状の溝は、該シーブの外周面において前記所定の軸線に関して互いに反対側に配置される請求項1に記載のシーブ。
【請求項3】
前記シーブの外周面において、前記第1と第2の曲率半径の円弧状の溝の間に形成された第3の曲率半径の円弧状の溝を更に有する請求項に記載のシーブ。
【請求項4】
前記第1と第2の曲率半径の円弧状の溝は、前記ケーブルに関連する複数の編組線に適合する複数の条痕を有する請求項1に記載のシーブ。
【請求項5】
ケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて、
所定の軸線を中心として回転可能に設けられたシーブであって、前記所定の軸線周りの該シーブの外周面に形成された第1の曲率半径の円弧状の溝と、第2の曲率半径の円弧状の溝とを有するシーブと、
前記ケーブルに対する前記シーブの位置を調整する調節可能支持体と、
前記第1の曲率半径の円弧状の溝と第2の曲率半径の円弧状の溝の一方に係合する前記ケーブルと、前記シーブとの間の接触力に基づいて前記ケーブル内の前記張力を測定する張力センサーとを備える張力測定システム。
【請求項6】
基部を更に備え、前記調節可能支持体は、前記基部上に位置する支点を中心に回転して前記シーブの前記位置を調節する請求項に記載の張力測定システム。
【請求項7】
前記ケーブルと係合し、前記ケーブルに隣接して前記シーブを前記調節可能支持体が位置決めする時に前記シーブと前記ケーブルとの間に前記接触力を与える複数のテンショナーを更に備える請求項に記載の張力測定システム。
【請求項8】
前記シーブは、前記ケーブルに沿って、前記複数のテンショナーのうちの2つのテンショナーの間に配置される請求項に記載の張力測定システム。
【請求項9】
前記シーブは、前記2つのテンショナーとは反対側の前記ケーブルの表面上に配置される請求項に記載の張力測定システム。
【請求項10】
1または複数のテンショナーの位置は前記基部に対して固定される請求項に記載の張力測定システム。
【請求項11】
前記シーブは、
第1の開口であって、該第1の開口を通じて前記軸線において締結具が前記シーブを調節可能アームに固定する第1の開口と、
前記第1の開口からオフセットするとともに、取り外し可能ピンを受け入れる第2の開口とを更に具備し、
前記第2の開口は、前記調節可能支持体の第1のスロットと整列して前記第1の曲率半径の円弧状の溝を前記ケーブルに向けて方向付けするとともに、前記調節可能支持体の第2のスロットと整列して前記第2の曲率半径の円弧状の溝を前記ケーブルに向けて方向付けするように配置される請求項に記載の張力測定システム。
【請求項12】
前記シーブは、
第1の開口であって、該第1の開口を通じて前記軸線において締結具が前記シーブを調節可能アームに固定する第1の開口と、
前記第1の開口からオフセットするとともに、取り外し可能ピンを受け入れる第2の開口とを更に具備する請求項に記載の張力測定システム。
【請求項13】
前記取り外し可能ピンは、前記調節可能支持体上の第1のスロットまたは第2のスロットと係合して前記ケーブルに対する前記シーブの向きを固定する請求項12に記載の張力測定システム。
【請求項14】
プロセッサを更に備え、該プロセッサは、
前記測定された張力に関連する前記張力センサーから信号を受信し、
ユーザーへの提示のための張力アラートを生成する請求項に記載の張力測定システム。
【請求項15】
ケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて、
所定の軸線を中心として回転可能に設けられたシーブであって、前記所定の軸線周りの該シーブの外周面に形成された第1の曲率半径の円弧状の溝と、第2の曲率半径の円弧状の溝とを有するシーブと、
前記シーブを取り付ける第1の端部と、前記ケーブルに対する前記第1の端部の移動を制御する第2の端部とを有する、調節可能支持体と、
前記ケーブルと係合し、前記ケーブルに隣接して前記シーブを前記調節可能支持体が位置決めする時に前記シーブと前記ケーブルとの間に接触力を与える複数のテンショナーとを具備する張力測定システム。
【請求項16】
前記張力測定システムは基部を更に備え、
前記調節可能支持体は、前記ケーブル、前記基部または前記複数のテンショナーに対する前記シーブの位置を移動、調節する可動アームを備える請求項15に記載の張力測定システム。
【請求項17】
前記調節可能支持体は、前記ケーブルに対して前記シーブを位置決めするてこ作用を与える伸縮式ポールを備える請求項15に記載の張力測定システム。
【請求項18】
前記調節可能支持体は、前記ケーブルに対する所望の位置に前記調節可能支持体の位置を固定するクランプを更に備える請求項17に記載の張力測定システム。
【請求項19】
前記シーブは非導電材料を備える請求項15に記載の張力測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「Multi-Dimensional Sheave for Use in Tension Measurement Systems」と題され2018年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/712,613号および「Multi-Dimensional Sheave for Use in Tension Measurement Systems」と題され2019年7月30日に出願された米国特許出願第16/526,549号の利益を主張する。上述の出願は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
張力測定システムは、ケーブル内の張力を測定するために採用される。従来のシステムには、様々なサイズの複数のシーブが備えられ、これら複数のシーブは、異なるサイズのケーブル内の張力を測定するためにサイズを変更しなければならない。
【0003】
例えば、測定システムを小さい直径のケーブルから大きい直径のケーブル(またはその逆)へ変換する際に、大きいシーブのうちの3つを取り外し、3つの小さいシーブと交換しなければならない。このようなプロセスは時間がかかるとともに、複数のシーブを扱うことでシーブの誤設置が起こりやすくなり、選択されたケーブル用にサイズ設定されていないシーブを作業者が使用してしまうことになりかねない。結果として、示度が誤ったもの若しくは不正確なものとなったり、或いは、測定システムおよび/またはケーブルが破損する可能性がある。
【0004】
したがって、様々な直径の複数のケーブルを正確に読み取る柔軟性をもたらしながらも複数のシーブを必要としない張力測定システムが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、概して、複数の直径を有するシーブに関する。特に、シーブは、異なる直径のケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて使用されるように構成される。
【0006】
より具体的には、本開示のシーブは、複数のケーブルに対する測定動作時にシーブを交換する必要を無くすことができる。代わりに、シーブを再方向付けして様々なケーブル直径に適合する直径を向けるためには、作業者は、ピンを引っ張り、単一のシーブを回転させ、異なる位置にピンを再挿入するだけで済む。したがって、本開示の多直径シーブは、小さいケーブル直径用のシーブから大きいケーブル直径用のシーブへの移行、および、その逆の移行のための手順を簡素化、高速化する。
【0007】
本開示のこれらの特徴、態様および利点並びに他の特徴、態様および利点は、以下の詳細な説明が添付図面を参照して読まれるとより良好に理解され、図面を通して同様の参照符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の態様に係る例示的な多直径シーブを示す図である。
図2】本開示の態様に係る例示的な多直径シーブを示す図である。
図3】本開示の態様に係る例示的な多直径シーブを示す図である。
図4】本開示の態様に係る、図1図3に示される多直径シーブを採用した張力測定システムを示す図である。
図5A】本開示の態様に係る、図4の張力測定システムを作動させた状態を示す例示的な図である。
図5B】本開示の態様に係る、図4の張力測定システムを作動させた状態を示す例示的な図である。
図5C】本開示の態様に係る、図4の張力測定システムを作動させた状態を示す例示的な図である。
図6】本開示の態様に係る、ケーブルをシーブの第1の直径と係合させた例示的な張力測定システムを示す図である。
図7】本開示の態様に係る、ケーブルをシーブの第2の直径と係合させた例示的な張力測定システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。適切な場合は、同様のまたは同一の参照符号を使用して、同様のまたは同一の構成要素を指す。
【0010】
本開示は、複数の直径を有するシーブを提供する。特に、シーブは、異なる直径のケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて使用される。例えば、ケーブルをシーブの対応する直径と適合させるために、シーブは、測定プロセス時に軸線を中心に回転して第1の直径または第2の直径のうちの一方をケーブルに向けて方向付けするように構成される。張力測定システムがシーブとケーブルとの間に接触力を加えると(調節可能な支持部材またはアームを操作する等によって)、張力センサーがケーブル内の張力を測定する。
【0011】
第1の弧長が第1の径方向位置(シーブの本体内から測定)にわたるように複数の直径がシーブの周りに配置されるとともに、第2の弧長にわたる第2の径方向位置に第2の直径が配置される。したがって、シーブの周りの中央チャネルが複数の直径を有し得て、これらの複数の直径は、特定の直径を有するケーブルのテストに適合するように調節および再方向付けすることができる。ひとたび適切に方向付けされると、測定プロセス時にシーブをケーブルに対して固定することができる(例えば、締結具、ピン等を介して)。このため、ケーブルは、測定プロセス時に荷重を受けるシーブと連結し、結果として、ケーブルに対する張力が直接的または間接的に測定される。
【0012】
さらに、シーブは2つの直径に限られず、3つ以上の直径をシーブの周りに有してもよい。
【0013】
張力測定システムは、いくつかの構成部品を備えて測定プロセスを容易にすることができる。例えば、調節可能支持体は、基部上に位置する支点を中心に回転してシーブの位置を調節するように構成することができる。加えて、複数のテンショナーは、ケーブルと係合し、ケーブルに隣接してシーブを調節可能支持体が位置決めする時にシーブとケーブルとの間に接触力を与えるように構成される。
【0014】
したがって、シーブがケーブルに沿った2つのテンショナーの間に配置されることから、そこにかかる接触力が測定される(例えば、センサーを介して測定され、測定ユニットによって判定される)。
【0015】
向きを固定するために、シーブは、第1の開口であって、第1の開口を通じてその軸線において締結具がシーブを調節可能アームに固定する、第1の開口を有することができる。第1の開口からオフセットした第2の開口は、取り外し可能ピンを受け入れるように設計され、これにより、第2の開口が調節可能支持体の第1のスロットまたは第2のスロットと整列して第1の直径または第2の直径をそれぞれケーブルに向けて方向付ける。
【0016】
張力測定システムは、ほんの数例を挙げると、タワー用支線、スタック用支線、予め張力を加えたケーブルバリア、橋、エレベーター、ウインチロープ、架空送電線、落下防止システム、航空機用ケーブルおよびユーティリティケーブルガイドレールにおける張力を測定するために幅広く使用される。システムは、ケーブル上に設置し、張力を測定し、素早く取り外せるように設計される。デジタルロードセルを含む感度の高い測定機器を使用することにより、ルックアップテーブルまたは補正テーブルを参照する必要なしに高精度の示度(例えば、誤差閾値が3パーセント以内)が得られる。
【0017】
張力測定システムは、従来、例えば約2000ポンド/10kN/1000kg、10000ポンド/45kN/4500kgの限度まで引張を測定することができる。これは、様々なサイズに定格されたケーブルに適合するように構成されたシーブを採用することによって、3/16インチ~1インチ超え(すなわち、4.75mm~25.4mm)等の様々な直径のケーブルに対して行うことができる。
【0018】
既存の張力測定装置が多く使用されているにも関わらず、測定システムを小さい直径のケーブルから大きい直径のケーブルへ変換する際に、小さいシーブのうちの3つを取り外し、3つの大きいシーブと交換しなければならない。このようなプロセスは時間がかかるとともに、複数のシーブが誤設置されやすくなり、選択されたケーブル用にサイズ設定されていないシーブを作業者が使用してしまうことになりかねない。結果として、示度が誤ったもの若しくは不正確なものとなったり、或いは、測定システムおよび/またはケーブルが破損する可能性がある。
【0019】
溝直径並びに有効シーブ高さを変更することにより(例えば、標準的な円形から細長い形態へ)、測定プロセス時に性能の損失がなくなる。また、シーブを鉛直方向に調節することでテンショナーに対するシーブの高さが変わることになるが、直径の変化に関連する精度を加えなければ、特に粗いケーブルの場合、測定時に誤差が残る可能性がある。
【0020】
このため、本明細書に開示のように張力測定システムにシーブを採用することにより、より堅牢で、汎用性があり、感度の高いシステムが提供される。有利な点として、シーブは、様々なケーブル幅に適用することができ、製造される部品がより少なく、構成の変更がより少なく容易であり、測定がより正確である。
【0021】
図1図3は、第1の直径12と第2の直径14とを有する例示的なシーブ10を示す。シーブは第1の開口16を有し、第1の開口16を中心にシーブが回転するように構成される。第2の開口18は、調節可能支持体(例えば、図4図6を参照)と係合することができるピンまたはボルトを受け入れる。ピンは、第1の直径または第2の直径がケーブルに向けて方向付けされるようにシーブ10の位置を固定することができる。
【0022】
図2に示すように、第1の直径12は、半径R1によって規定される。例えば、半径R1は、第1の開口16を通る回転軸線26に対して垂直な中央平面24から測定される、第1の弧長を有する円弧20を描く。同様に、第2の直径14は、中央平面24から測定される、第2の弧長を有する円弧22を描く。
【0023】
こうして、第1の直径および第2の直径は、シーブ10上を周回するチャネルを構成し、テスト時にケーブルを着座させることができる複数の円弧状の溝を提供する。
【0024】
第1の直径12および第2の直径14を有するものとして示されているが、単一のシーブに3つ以上の直径を組み込んでもよい。また、シーブ10は、外側面が湾曲した略長円形状を有するものとして示されている。しかし、任意の形状および/または輪郭を採用し、開示のシーブの利益を得てもよい。例えば、複数の直径を機械加工して略円形のシーブとしてもよい。三角形状のシーブが3つの異なる直径を呈してもよい。略正方形状のシーブが4つの直径を有してもよい。または、測定プロセス時に軸線を中心に回転するとともにケーブルと十分に係合するのに適した任意の幾何学形状であってもよい。
【0025】
シーブ10は、ケーブルとの係合に適した強度を有する任意の材料から形成することができる。例えば、金属、炭素化合物、ポリマーまたはこれらの組み合わせを用いて、シーブ10を形成してもよい。電力を伝達し得るケーブル内の張力を測定するために、非導電材料を使用してもよい。
【0026】
第1の開口16が第2の開口18よりも大きいものとして示されているが、開口は同じサイズまたは互いに逆のサイズ設定としてもよい。また、略円形状のものとして示されているが、開口は、作業者がシーブを再方向付けしてケーブルに対して所望の直径を呈することができる任意の幾何学形状としてもよい。さらにまた、第2の開口18は、取り外し可能ピンを収容するようにシーブ10を通って延在するものとして示されている。しかし、開示のシーブの向きを固定する追加的または代替的な方法が利用可能であり、解決法の中でもとりわけ、1つ以上の溝をシーブの縁部の周りに設け、溝内にスロットを設けて、このスロット内にピンその他の締結具を延在させることで向きを固定するというものがある。
【0027】
更に他の例において、調節可能支持体はフレームを遠位端部に備え、フレームは、ケーブルに向かって延在し、開示のシーブを様々な向きで受け入れるように構成される。例えば、略正方形状のシーブは、略正方形状のフレームに嵌合することができる。4つの側面のうちのどの側面がケーブルに向かって方向付けされているかに応じて、シーブの4つの直径が測定プロセスに利用可能となる。
【0028】
図4は、図1図3のシーブ10を採用した、ケーブル内の張力を測定する例示的な張力測定システムを示す。システムは基部32を備え、この基部32上には、1つ以上のテンショナー30および/または調節可能支持体若しくはアーム36が取り付けられる。調節可能支持体36は、支点38を中心に回転するとともに、システムの動作時に作業者にてこ作用を与えるハンドル40を備えることができる。いくつかの例において、ハンドル40は、伸縮式ポールを含み、測定プロセス時のてこ作用を向上させる。
【0029】
測定ユニット34は、1つ以上のセンサーと通信するとともに、測定値に関連する信号を生成するように構成される(例えば、ディスプレイ35用、可聴アラートの提供、リモートコンピューティングプラットフォームへの送信等)。測定ユニット34は、信号を生成するために1つ以上のセンサーからのアナログ信号またはデジタル信号を解析するプロセッサを含んでもよい。
【0030】
測定ユニットのプロセッサは、センサーデータの分析および/または較正等を提供するために、1つ以上のタイプの永久データ記憶装置および一時データ記憶装置からなり得るメモリ回路にも関連付けられる。いくつかの例において、較正プロセスが行われ得る。例えば、それぞれが同じ直径を有する2つのケーブルが測定される場合、各ケーブルは、正確性が重要である場合には個別に較正され得る。
【0031】
メモリは、様々な固有のケーブルサイズおよび/またはタイプについての較正パラメーター(例えば、ケーブルの材料タイプ、張力閾値、測定値の記憶、誤差ログ等)を記憶するように構成することができる。履歴測定データは、例えば、動作パラメーター、センサーデータ、ユーザー入力、並びに傾向分析に関連するデータ、張力閾値、特定の測定プロセスに関連するプロファイル、および/またはケーブルタイプ等に対応し得て、プロセッサがアクセス可能な比較チャート、リスト、ライブラリ等に記憶することができる。プロセッサからの出力は、例えば現在の張力測定値、履歴比較、所望の張力値等についてグラフィックにより表示させることができる。
【0032】
図4に示すように、シーブ10は、第1の開口16並びに調節可能支持体36の1つ以上の対応するスロットを通って延在するボルト26によって調節可能支持体36に固定される。シーブ10は、取り外し可能ピン27を調節可能支持体36の第1のスロット28または第2のスロット29に挿入することができるように、ボルト26を中心に回転するように構成される。例えば、取り外し可能ピン27が第1のスロット28および第2の開口18を通って延在する場合、第1の直径12が外方に(すなわち、ケーブルに向けて)方向付けされる。代替的に、取り外し可能ピン27が第2のスロット29および第2の開口18を通って延在する場合、第2の直径14がケーブルに向けて方向付けされる。
【0033】
テンショナー30は、測定プロセス時に調節可能アーム36が支点38を中心に回転するとケーブルがシーブ10およびテンショナーの両方と係合して接触力を生じるように、立ち上げ部またはアーム31に取り付けられ、基部32に対して配置される。接触力は、張力センサーによって測定することができ、測定ユニット34を介して、ケーブル内の張力を判定することができる。テンショナー30は滑車とすることができ、滑車は、測定プロセス時に自在に回転し、ケーブルとの係合を容易にしながら摩擦を無くすまたは低減させる。いくつかの例において、テンショナー30は、シーブ10の選択された直径(例えば、第1の直径または第2の直径)と一致する溝直径を有するテンショナーがケーブルと接触するように、取り外し可能とすることができる。
【0034】
測定プロセスは、3つの段階で図5A図5Cに示される。図5A図5Cは、シーブ10をケーブル42と係合させている張力システムを示す。図5Aに示すように、調節可能アーム36は開いている。これにより、作業者は、ケーブル42をテンショナーと30とシーブ10との間に配置することができる。図5Bは、シーブ10とケーブル42との間の隙間がこれら2つの接触に伴って狭められることを示す。調節可能支持体36が支点38を中心に回転するにつれ、シーブ10が摺動してケーブル42に対して配置され、図5cに示すように、閉位置にあるシーブ10に接触力が生じる。
【0035】
したがって、図5Cに示すように、シーブ10によって生じた接触力により、ケーブル42が基部32から離れるように押され、一方、テンショナー30はケーブル42を基部32に向けて押す。この力のバランスは、1つ以上のセンサー(例えば、機械、ねじれ、光学、磁気等)によって測定可能であるとともに、作業者への提示のために測定ユニット34によって分析、演算される。
【0036】
軸線を中心に回転することでシーブ10とワイヤー42とを強制的に接触させるものとして示されているが、調節可能支持体は、鉛直ガイド上の可動アームとして構成されてもよい。例えば、調節可能支持体は、締結具(例えば、ねじ、クリップ、テンショナー等)によって調節可能な位置で基部に固定されてもよい。締結具は、調節可能支持体の位置変更を可能とするためにおよび/またはシーブを再方向付けするために取り外す或いは緩めることができる。ひとたびケーブル42と接触する位置に置かれると、締結具は、測定プロセス時に調節可能支持体の位置を固定するために使用することができる。
【0037】
図6は、図5Cに示すようにシーブ10の第1の直径12がケーブル42と係合している張力測定システムを示す。例えば、取り外し可能ピン27が第1のスロット28に挿入され、これにより、第1の直径12がケーブル42に向けて方向付けされる。対照的に、図7の張力測定システムは、取り外し可能ピン27が第2のスロット29に挿入され、第2の直径14がケーブル44に向けて方向付けされていることを示す。この例において、ケーブル44はケーブル42よりも大きい直径を有する。このため、第2の直径14をケーブル44に向けて張力測定システムを動作させると、より正確なケーブル張力測定がもたらされる。
【0038】
いくつかの例において、シーブは、円弧状の面(例えば、円弧20、22)上に溝パターンを設けることができる。例えば、円弧は、編み込まれた編組線を表す条痕を含んでもよい。この例において、ケーブルは、シーブの直径内によりしっかりと嵌合し、より正確な示度を測定プロセス時に得ることができる。拡大図46において、ケーブル42はケーブル44よりも少ない編組線から作製される。したがって、拡大図48に示すように、ケーブル42の編組線の輪郭は、ケーブル42とは異なる特徴を有することとなる。
【0039】
本明細書で使用する「および/または」は、「および/または」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「xおよび/またはy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「xおよび/またはy」は、「xとyの一方または双方」を意味する。別の例として、「x、yおよび/またはz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、yおよび/またはz」は、「x、y、zのうちの1つ以上」を意味する。本明細書で使用する「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例または例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書で使用する「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例または例証のリストを開始する。
【0040】
本方法および/またはシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法および/またはシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更や、均等物による置換が可能であることは理解されよう。例えば、開示した例のブロックおよび/または構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、および/または他の方法で変更することができる。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況または材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法および/またはシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法および/またはシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
本発明の態様の一部を以下記載する。
[態様1]
ケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて使用されるシーブにおいて、該シーブは第1の直径と第2の直径とを有し、該シーブは、軸線を中心に回転して前記第1の直径または前記第2の直径をケーブルに向けて方向付け、前記ケーブル内の張力を測定するために、該シーブと前記ケーブルとの間の接触力が張力センサーによって測定されるシーブ。
[態様2]
前記第1の直径は第1の弧長にわたる第1の径方向位置に配置され、前記第2の直径は第2の弧長にわたる第2の径方向位置に配置される態様1に記載のシーブ。
[態様3]
第3の弧長にわたる第3の径方向位置に配置される第3の直径を更に有する態様2に記載のシーブ。
[態様4]
測定プロセス時に前記シーブの向きが前記ケーブルに対して固定される態様1に記載のシーブ。
[態様5]
前記第1の直径と前記第2の直径の一方の内部は、前記ケーブルに関連する複数の編組線に適合する複数の溝を有する態様1に記載のシーブ。
[態様6]
ケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて、
第1の直径と第2の直径とを有するシーブであって、該シーブは、軸線を中心に回転して前記第1の直径または前記第2の直径を前記ケーブルに向けて方向付けるシーブと、
前記ケーブルに対する前記シーブの位置を調整する調節可能支持体と、
前記シーブと前記ケーブルとの間の接触力に基づいて前記ケーブル内の前記張力を測定する張力センサーとを備える張力測定システム。
[態様7]
基部を更に備え、前記調節可能支持体は、前記基部上に位置する支点を中心に回転して前記シーブの前記位置を調節する態様6に記載の張力測定システム。
[態様8]
前記ケーブルと係合し、前記ケーブルに隣接して前記シーブを前記調節可能支持体が位置決めする時に前記シーブと前記ケーブルとの間に前記接触力を与える複数のテンショナーを更に備える態様7に記載の張力測定システム。
[態様9]
前記シーブは、前記ケーブルに沿って、前記複数のテンショナーのうちの2つのテンショナーの間に配置される態様8に記載の張力測定システム。
[態様10]
前記シーブは、前記2つのテンショナーとは反対側の前記ケーブルの表面上に配置される態様9に記載の張力測定システム。
[態様11]
1または複数のテンショナーの位置は前記基部に対して固定される態様8に記載の張力測定システム。
[態様12]
前記シーブは、
第1の開口であって、該第1の開口を通じて前記軸線において締結具が前記シーブを前記調節可能アームに固定する第1の開口と、
前記第1の開口からオフセットするとともに、取り外し可能ピンを受け入れる第2の開口とを更に具備し、
前記第2の開口は、前記調節可能支持体の第1のスロットと整列して前記第1の直径を前記ケーブルに向けて方向付けするとともに、前記調節可能支持体の第2のスロットと整列して前記第2の直径を前記ケーブルに向けて方向付けするように配置される態様6に記載の張力測定システム。
[態様13]
前記シーブは、
第1の開口であって、該第1の開口を通じて前記軸線において締結具が前記シーブを前記調節可能アームに固定する第1の開口と、
前記第1の開口からオフセットするとともに、取り外し可能ピンを受け入れる第2の開口とを更に具備する態様6に記載の張力測定システム。
[態様14]
前記取り外し可能ピンは、前記調節可能支持体上の第1のスロットまたは第2のスロットと係合して前記ケーブルに対する前記シーブの向きを固定する態様13に記載の張力測定システム。
[態様15]
プロセッサを更に備え、該プロセッサは、
前記測定された張力に関連する前記張力センサーから信号を受信し、
ユーザーへの提示のための張力アラートを生成する態様6に記載の張力測定システム。
[態様16]
ケーブル内の張力を測定する張力測定システムにおいて、
第1の直径と第2の直径とを有するシーブであって、該シーブは、軸線を中心に回転して前記第1の直径または前記第2の直径を前記ケーブルに向けて方向付けするシーブと、
前記シーブを取り付ける第1の端部と、前記ケーブルに対する前記第1の端部の移動を制御する第2の端部とを有する、調節可能支持体と、
前記ケーブルと係合し、前記ケーブルに隣接して前記シーブを前記調節可能支持体が位置決めする時に前記シーブと前記ケーブルとの間に接触力を与える複数のテンショナーとを具備する張力測定システム。
[態様17]
前記調節可能支持体は、前記ケーブル、前記基部または前記複数のテンショナーに対する前記シーブの位置を移動、調節する可動アームを備える態様16に記載の張力測定システム。
[態様18]
前記調節可能支持体は、前記ケーブルに対して前記シーブを位置決めするてこ作用を与える伸縮式ポールを備える態様16に記載の張力測定システム。
[態様19]
前記調節可能支持体は、前記ケーブルに対する所望の位置に前記調節可能支持体の位置を固定するクランプを更に備える態様18に記載の張力測定システム。
[態様20]
前記シーブは非導電材料を備える態様16に記載の張力測定システム。
【符号の説明】
【0041】
10 シーブ
12 第1の直径
14 第2の直径
16 第1の開口
18 第2の開口
20 円弧
22 円弧
24 中央平面
26 ボルト
27 可能ピン
28 第1のスロット
29 第2のスロット
30 テンショナー
31 アーム
32 基部
34 測定ユニット
35 ディスプレイ
36 調節可能支持体
38 支点
40 ハンドル
42 ケーブル
44 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7