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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】発泡手段を有するカプセル
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/73 20060101AFI20231220BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20231220BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20231220BHJP
   A47J 31/06 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
B65D85/73
A47J31/44 430
B65D85/72 200
A47J31/06 323
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021513437
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019073782
(87)【国際公開番号】W WO2020053076
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】18194492.7
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ドーガン, ニハン
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-507995(JP,A)
【文献】国際公開第2006/066622(WO,A1)
【文献】特表2005-525146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/72-85/804
A47J 31/06-31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡を含む飲料を調製するために飲料調製マシンにおいて使用するためのカプセル(30)であって、前記カプセルは、
前記飲料を調製するための原材料を収容するように構成された原材料チャンバ(72)を画定する側壁(71)と、
前記原材料チャンバの上部を閉鎖するように構成された上部膜(73)と、
前記原材料チャンバの下部を閉鎖するように構成された膜(31)又は脆いカプセル壁と、
前記膜又は前記脆いカプセル壁を開口するように構成された硬質プレート(10)と、
ガスを収容するように構成され、前記硬質プレート及び前記硬質プレートから軸方向に突出した壁(25、26)によって少なくとも部分的に画定された少なくとも1つのガスリザーバ(21、22)と
を備え、
前記少なくとも1つのガスリザーバ(21、22)は、前記カプセル内において、前記硬質プレートから軸方向に突出した前記壁に開口部(23、24)を有し、前記開口部は、前記カプセルを通る液体の流路に隣接しており、これにより、前記少なくとも1つのガスリザーバは前記流路と流体連通しており、前記少なくとも1つのガスリザーバは、前記開口部を通て流れる前記液体が前記ガスリザーバから前記ガスを取り込み、ガスと液体との泡状混合物を形成するように構成されている、カプセル(30)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガスリザーバは、前記カプセルの本体によって少なくとも部分的に画定されている、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガスリザーバは、前記硬質プレート及び前記カプセルの基部のみによって画定されている、請求項に記載のカプセル。
【請求項4】
前記少なくとも1つのガスリザーバは、前記カプセルの本体に又は前記カプセル内の前記硬質プレートに封止された前記又は前記脆いカプセル壁によって、少なくとも部分的に画定されている、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガスリザーバは、一連のガス部分リザーバを含み、各ガス部分リザーバは、ガスを収容し、前記少なくとも1つのガスリザーバの前記開口部と流体連通している、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項6】
複数の液体流路及び複数のガスリザーバを備え、前記複数のガスリザーバはそれぞれ、前記複数の液体流路のうちの1つの液体流路に隣接した開口部を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項7】
前記複数の液体流路は、2つの液体流路を備え、前記複数のガスリザーバは、2つのガスリザーバを備えガスリザーバは、前記2つの液体流路のうちの一方に隣接したそれぞれの開口部を含む、請求項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記少なくとも1つのガスリザーバは、単一の開口部を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項9】
前記カプセルは、前記原材料チャンバの壁、前記原材料チャンバの前記上部、及び前記カプセルの基部によって区切られた内容積を有し、前記少なくとも1つのガスリザーバは、前記カプセルの前記内容積の少なくとも5%である全容積を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
前記カプセルは、前記開口部が前記少なくとも1つのガスリザーバと連続的に連通するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項11】
前記開口部の断面積は、前記開口部に隣接した前記流路の断面積の半分未満である、請求項1~10のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記ガスは、大気、不活性ガス、若しくは窒素、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の、泡を含む飲料の調製に使用するためのカプセル。
【請求項13】
前記開口部に隣接した前記流路の高さが0.1mm~1.5mmであり、前記開口部に隣接した前記流路の幅が0.1mm~1.5mmであり、前記開口部の幅及び高さはそれぞれ、0.5mm未満である、請求項1~12のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項14】
軸方向に突出した前記壁は、前記流路の一部を部分的に画定するチャネル(27、28)を画定する、請求項1~13のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項15】
前記原材料チャンバに収容される前記原材料は、ミルクを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料の調製に使用するためのカプセルに関し、詳細には、泡を含む飲料を調製することができるマシンに関する。詳細には、限定するものではないが、マシンは、飲料への泡内容物を消費者に提供する、ミルク又はコーヒーベースの飲料を調製することができる。
【背景技術】
【0002】
飲料は、飲料原材料を収容する特別に設計されたカプセルから作り出すことができる。飲料に空気を混和させるための様々なアプローチが、満足のいくドリンクを消費者に提供するために用いられている。例えば、典型的な従来の構成では、原材料カプセルが飲料調製マシンに挿入され、マシンは、水源(概して、水リザーバ)と、カプセル受容器(いわゆる、淹出チャンバ)と、コーヒー又は同様のものなどのドリンクを作り出すために、水を水源からカプセルに向けて流通させ、カプセルを通過させるように構成されたポンプとを備える。
【0003】
水がカプセルに到達すると、それは原材料と混合し、飲料製品を形成する。マシンは、概して、水がカプセル内へ、及びカプセルを通じて投入される前に、水を所定の温度に加熱するための水加熱器を備える。概して、液体(例えば、水)はカプセルに導入され、そこで、液体は、飲料としてカプセルを出ていく前に飲料原材料(例えば、乳粉末)と混合する。1つのカプセル仕様は大気を液体と混合し、飲料に空気を混和させる。
【0004】
このような構成の一例はベンチュリシステムである。ベンチュリを介して液体に空気を混和させることができるカプセルは、従来、液体がカプセルを通って流れる際に空気が外部の大気から引き込まれるカプセルの外壁のアパーチャ又は孔を含む。空気はカプセルの外部の周囲大気から都合良く供給され、カプセル内部の液体流通の速度によって、即ち、ベンチュリ原理を利用して、カプセル内に引き込まれる。
【0005】
別の仕様は、分子ふるいなどの、ガス源材料を含む。適切な条件下において、材料は、それを通って流れる液体中へガスを放出し、空気が混和した液体を作り出す。
【0006】
別の仕様は、空気をポケット内での液体との混合のためにポケット内に引き込むことができる弾性変形可能な膜を含む。この仕様では、ポケット内に導入された液体は膜を変形させ、これにより、液体は出口を通して排出される。この排出はポケット内の圧力を低下させ、これにより、膜は初期位置に戻り、その際に液体出口を通して空気をポケット内へ引き込む。
【0007】
発明者らは、消費者にとってより魅力的である、優れた確実な泡が短期間で達成され得る代替的な方式を考案した。
【発明の概要】
【0008】
本明細書において説明される発明の第1の態様によれば、泡を含む飲料を調製するために飲料調製マシンにおいて使用するためのカプセルであって、カプセルが、飲料を調製するための原材料を収容するための原材料チャンバと、ガスを収容する少なくとも1つのガスリザーバとを備え、少なくとも1つのガスリザーバが、カプセル内の開口部を有し、開口部が、カプセルを通る液体のための流路に隣接しており、これにより、ガスリザーバが流路と流体連通しており、少なくとも1つのガスリザーバが、使用時に、開口部を通過して流れる液体がガスリザーバからガスを取り込み、ガスと液体との泡状混合物を形成するように構成されている、カプセルが提供される。
【0009】
従来とは異なり、本明細書において説明される発明にかかるカプセルはカプセル自体の内部にガスリザーバを組み込んでいる。ガスをカプセル内に収容することは、それが、ガスチャンバ及び関連チャネルを有するより複雑なカプセル、並びに製造の困難を必要とするため、直観的には考えにくい。
【0010】
しかし、発明者らは、このように泡を作り出すことは多数の有利な効果を有することを証明した。例えば、カプセル内への周囲空気の入口が必要ない。更に、淹出又は調製プロセスを最適化するようガスを選択することができ、消費者製品の品質管理を非常に高い水準に維持することができる。
【0011】
飲料に空気を混和させるように構成された従来のカプセルは同じ性能を達成しない。
【0012】
用語「泡(foam)」は、本明細書において、例えば、ミルクなどの、液体中に閉じ込められた気泡の効果を指すために使用される。泡は多くの気泡を液体中に閉じ込め、液体容積を増大させ、異なる飲用体験をもたらす。時として「あぶく(froth)」と称され、泡は口蓋上で滑らかな食感を有し、飲むのに快い。したがって、それは消費者に人気がある。多くの消費者は、上部の泡の層、又はドリンク自体に組み込まれた、若しくはそれとブレンドされた泡を含むドリンクを好む。
【0013】
本開示のカプセルは、所定の量のガス、並びにまた、ガス種及び特性が調製時に液体飲料とブレンドされることを可能にする。それゆえ、本明細書において説明される発明及び方法によれば、一貫した高品質の飲料を確実に調製することができる。
【0014】
従来の空気混和デバイスを参照すると、それゆえ、空気をカプセル自体の外部の大気から供給する従来のベンチュリシステムとは対照的に、本開示のカプセルは、カプセルが、ガス及び液体の流通が結合し、ベンチュリ効果が泡を作り出すことを可能にすることを確実にするようカプセル内で合流する、空気のため、及び液体のための複雑な流通チャネルを備える必要がないため、あまり複雑なカプセル構造を必要としなくてよい。
【0015】
更に、大気によって供給される空気を用いて機能する従来のベンチュリシステムとは対照的に、カプセル壁を貫く専用の孔又はアパーチャが必要ない。それゆえ、酸素及び湿気に対するバリアの問題を低減することができる(これは、孔が存在するときには、封止を保証することができないためである)。それゆえ、これは製品の保存可能期間を増大させることができる。更に、(ベンチュリシステムでは、適切に機能するために十分に小さくなければならない)カプセル壁を貫く孔が必要ないため、この孔が詰まり得るリスクがなく、これにより、カプセルを使用した泡の生成がより確実になることができる。
【0016】
分子ふるいなどのガス源材料を含むカプセル仕様とは対照的に、本カプセルでは、ガス源材料を含むことを不要とすることができるため、より少数の異なる材料を用いることができる。したがって、本カプセルの恩恵は、従来のカプセル、即ち、泡を含む飲料を調製するのに適していないものにおいて用いられるであろう材料を用いて実現することができる。
【0017】
弾性変形可能な膜を有する仕様とは対照的に、より少数の構成要素及びより少数の異なる材料を、本開示のカプセルを形成するために用いることができる。なお更に、本カプセルの恩恵は、本開示の「背景技術」のセクションにおいて上述された弾性変形可能な膜を含むことなく実現することができるため、可動部を有することなく実現することができる。
【0018】
カプセルは、カプセルに完全に内蔵された1つ以上のガスリザーバ又はチャンバを備え得る。それゆえ、上述されたように、空気又はガスをカプセルの外部から供給するための外部孔又は通路が必要とされない。有利に、少なくとも1つのガスリザーバは、脆いカプセル壁を開口するように構成されたカプセル内の硬質のプレートによって少なくとも部分的に画定され得る。これはコンパクトなカプセルをもたらす。
【0019】
このような硬質のプレートは、脆いカプセル壁を穿孔する、穿刺する、裂く、又はそれに機械てこ効果を及ぼすことができる開口手段を含み得る。それゆえ、壁は前記壁の少なくとも部分的な破壊によってカプセルの使用中に開口され得る。このような構成の一例を、本明細書において参照により組み込まれる、欧州特許出願第1472156(B1)号において見出すことができる。
【0020】
更に、少なくとも1つのガスリザーバはカプセルの本体の部分によって少なくとも部分的に画定され得る。これは、この場合も先と同様に、最小限の材料内のコンパクトなカプセルサイズ及び単純な仕様をもたらす。
【0021】
リザーバの反対部分も同様にカプセルの基部によって少なくとも部分的に画定され得、この場合も先と同様に、コンパクトで単純なカプセル仕様をもたらす。
【0022】
代替的に、少なくとも1つのガスリザーバは、プレート、及びカプセルの基部のみによって画定され得、またもやこの場合も先と同様に、コンパクトで単純なカプセル仕様をもたらす。これは、結果として、ガスリザーバが、それを画定するために他の要素を必要とするカプセルよりも設計及び製造が容易であるカプセルをもたらすことができ、低コストのカプセルを可能にする。
【0023】
カプセルはまた、有利に膜を備え得る。具体的には、少なくとも1つのガスリザーバは、カプセルの本体に封止された膜又はカプセル内の膜開口プレートに封止された膜によって、少なくとも部分的に画定され得る。これは、少なくとも1つのガスリザーバが、膜よりも重い重量の要素によって画定されているカプセルよりも軽量のカプセルを可能にすることができる。
【0024】
膜自体は、流体がそこを通って流れることを可能にするために貫通され得る任意の好適な表面であり得る。膜はまた、それが飲料に溶け込み、消費者によって消費され得るよう、可溶性又は可食性であるフィルムであり得る。それゆえ、膜は飲料原材料とガスとの分離をもたらし、ガスが飲料中に組み込まれた後に溶解することができる。
【0025】
カプセル内のガスリザーバ又はチャンバは、ガスをそれぞれ収容する一連のガス部分リザーバを含み得る。各ガス部分リザーバは、ガスがカプセルを通過する流体の流れに入り、それと相互作用することを可能にするために、有利に、少なくとも1つのガスリザーバの開口部と流体連通し得る。ガス部分リザーバへのガスリザーバの分割は、このような部分リザーバを有するカプセルを、分割されていないガスリザーバを有するカプセルよりも構造的に強くすることを助けることができる。
【0026】
カプセルは、1つ以上のガスリザーバと組み合わせて単一の流体流路を収容し得る。代替的に、カプセルは、複数の液体流路と複数のガスリザーバとを備え得、複数のガスリザーバはそれぞれ、液体流路に隣接した開口部を有する。このような構成では、流体とガスとの間のより高度の接触及び相互作用をより短期間で達成することができる。実質上、流体の流れは複数の経路に分けられ、各経路は、ガスリザーバを通って流れるように構成されている。例えば、流体流路の対、及び流体流路のうちの一方に隣接したそれぞれの開口部をそれぞれ有する、ガスリザーバの対応する対が存在してもよい。
【0027】
ガスリザーバは、それぞれの流体流路と連通した単一の開口部を有し得る。それゆえ、リザーバ内のガスの全ては単一の出口からリザーバを出て、流体流路に入る。それゆえ、たとえ、流体が1つの流れチャネルに別のものより先に到達する場合でも、平衡化した空気混和を確実にすることができる。更に、単一の開口部をそれぞれの流体流路と連通するように構成することによって、一部がガスリザーバを出ていくと、流体をリザーバ内に引き込むことができ、これは流体の均質化を助けることができる。
【0028】
カプセルは、有利に、原材料チャンバの壁、原材料チャンバの上部、及びカプセルの基部によって区切られた容積である内部容積を有し得る。より具体的には、少なくとも1つのガスリザーバは、カプセルの内容積の少なくとも5%である全容積を有し得る。代替的に、少なくとも1つのガスリザーバは、カプセルの内容積の少なくとも10%である全容積を有し得る。これらの空気容積は、消費者に快い泡を提供するために、液体中の十分なガス閉じ込めをもたらす。
【0029】
カプセルは、好ましくは、使用時には、開口部がガスリザーバと連続的に連通しているように構成されている。
【0030】
カプセルを通る液体の流路に隣接した開口部は、開口部の断面積が、開口部に隣接した流路の断面積未満であるように構成され得る。カプセルを通る液体の流路に隣接した開口部は、開口部の断面積が、開口部に隣接した流路の断面積の半分未満であるように構成され得る。発明者らは、このような比がカプセル内における有利な泡形成効果をもたらすことを証明した。
【0031】
カプセルは、開口部に隣接した流体流路の高さが0.1mm~1.5mmであり、開口部に隣接した流体流路の幅が0.1mm~1.5mmであるように構成され得る。カプセルは、開口部に隣接した流体流路の高さが1.0mm未満であり、開口部に隣接した流体流路の幅が1.0mm未満であるように構成され得る。カプセルを通る液体の流路に隣接した開口部は、開口部の幅及び高さがそれぞれ、0.5mm未満であるように構成され得る。
【0032】
カプセルは、開口部に隣接した流体流路の高さが0.4mmであり、開口部に隣接した流体流路の幅が0.4mmであるように構成され得る。
【0033】
カプセルは、少なくとも1つのガスリザーバを液体流路から流体的に封止する可食性可溶性シールを備え得、カプセルは、シールが溶解すると、その後、ガスリザーバが流路と流体連通するように構成されている。それゆえ、リザーバは、カプセルが使用され、流体がカプセルを通って流れ始めるまで封止することができる。
【0034】
チャンバのリザーバ内に収容されたガスは任意の好適なガスであり得る。例えば、ガスは、大気、又は窒素などの不活性ガスのうちの1つ又はこれらの組み合わせから選択され得る。原材料によっては、製造段階では供給がより容易ではあるが、ガスの混合物を収容する大気ガスとは対照的に、純粋な不活性ガスを用いることが好ましくなり得る。
【0035】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【0036】
本発明の1つ(又は複数)の実施形態によれば、図は以下のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】カプセル内のガスリザーバを部分的に画定するプレートの上面の斜視図を示す。
図2】プレートの下面の斜視図を示す。
図3】カプセルの部分内のプレートの断面図を示す。
図4】軸方向における、流体流路上へのガスリザーバの開口部の拡大図を示す。
図5】半径方向における、開口部の拡大図を示す。
図6】カプセルを通る液体のための流路の部分も示す、カプセル内のプレートの部分断面図を示す。
図7】カプセル内のプレートの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書における先行技術文献のいかなる参照も、係る先行技術が周知であること、又は当分野で共通の一般的な認識の一部を形成していることを認めるものとみなされるべきではない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「含むが、これらに限定されない」ことを意味することを目的としている。
【0040】
以下の実施例を参照して本発明を更に説明する。特許請求される本発明は、これらの実施例によって限定されることを決して意図するものではないことが理解されよう。
【0041】
図1は、カプセル30(図3にある程度示される)内のガスリザーバ21、22(図2に示される)を部分的に画定するプレート10の上面の斜視図を示す。
【0042】
カプセル30は、泡を含む飲料を調製するために、飲料調製マシンにおいて使用するためのものである。本例では、カプセル30は、それが、「背景技術」セクションにおいて説明されたとおりの飲料調製マシンに挿入され、液体(例えば、水)を、飲料としてカプセル30を出ていく前に飲料原材料(例えば、乳粉末)と混合するために、カプセル内に導入させることを可能にする従来のカプセル仕様の要素を有する。
【0043】
カプセル30は、飲料を調製するための原材料を収容するための原材料チャンバを有する。原材料チャンバは図示されていない。使用時、それは、図3に示されるカプセル30の部分の上方に配置されている。
【0044】
図1に戻ると、本例では、プレート10は、カプセルの使用中にカプセルの膜31を穿孔することができる突起11(図3に示される)の形態の開口手段を含む硬質のプレート10である。(ガスリザーバを有しない)このような構成の一例を、本明細書において参照により組み込まれる、欧州特許出願第1472156(B1)号において見出すことができる。
【0045】
次に図2を参照すると、上述されたように、プレート10は、ガスを収容するガスリザーバ21、22を部分的に画定する。本例では、ガスは大気である。他の例では、それは不活性ガス、例えば、窒素であることができる。ガスリザーバ21、22は、プレート10の、突起11とは反対の側に配置されている。ガスリザーバ21、22はそれぞれの壁24、25によって軸方向に画定されている。壁は、リザーバ21、22を軸方向において部分的に画定するために、プレート10から軸方向に突出している。ガスリザーバ21、22はそれぞれ、カプセル30内の開口部23、24を有する。開口部23、24もまた、それぞれの壁25、26によって軸方向に画定されている。開口部23、24はそれぞれ、壁25、26の残りの部分よりも高さが低い壁25、26の部分の形態をとっている。壁25、26はまた、それぞれのチャネル27、28を画定することによって、カプセル30を通る液体のための流路の部分も部分的に画定している。この流路は以下において図6を参照してより詳細に説明される。開口部23、24はチャネル27、28に隣接している。これはガスリザーバ21、22を流路と流体連通させる。ガスリザーバ21、22は、使用時には、開口部を通過して流れる液体がガスリザーバからガスを取り込み、空気及び液体の泡状混合物を形成するように構成されている。
【0046】
本例では、2つの液体流路、及び液体流路のうちの一方に隣接した単一のそれぞれの開口部23、24をそれぞれ有する、2つのガスリザーバ21、22が存在する。軸方向に見たとき、プレート10は、従来の寸法のカプセル20内にぴったり収まるよう、円形である。第1のガスリザーバ21は、壁25によって軸方向に画定された、プレート10の円周の部分の周りに延びている。この壁25は、第1の半径方向距離においてプレート10を回るよう接線方向に、2つの端部において半径方向内方に、及び第2の半径方向距離においてプレート10を回るように接線方向に延びている。第2のガスリザーバ22は第1のガスリザーバ21と同じ形状を有し、プレート10の円周の別の部分の周りに延びている。円周方向において、2つのリザーバ21、22の間に2つのチャネル27、28がある。これらのチャネル27、28はプレート10の縁部からその中心に向かって半径方向に延びている。チャネル27、28は、半径方向内方に延びた壁25、26の部分によって部分的に画定されている。
【0047】
本例では、各ガスリザーバ21、22は、ガスを収容する、一連のガス部分リザーバ21a~d、22a~dを含む。これらのガス部分リザーバ21a~d、22a~dは壁25、26によって軸方向に画定されている。換言すれば、壁25、26はガスリザーバ21、22を半径方向に一連の区画に細分している。ガス部分リザーバ21a~d、22a~dのそれぞれの間の壁25、26の部分は、ガス部分リザーバ21a~d、22a~dの間の壁の残りの部分よりも軸方向に高さが低い。これはガスリザーバ21、22のガス部分リザーバ21a~d、22a~dのそれぞれの間の開口部を作り出す。それゆえ、各ガス部分リザーバ21a~d、22a~dはガスリザーバ21、22の開口部23、24と流体連通している。
【0048】
代替例では、ガスリザーバ又はリザーバは、カプセル30の本体に封止された膜によって少なくとも部分的に画定され得る。このような例では、膜は可溶性及び可食性であることができる。
【0049】
プレート10は、図3において、カプセル30内に原位置で示されている。プレート10は、(カプセル30が飲料製造マシンにおける使用のために配向されたときに)突起11によって穿孔されるように構成された膜31の下方に配置されている。上述の壁25、26はカプセル20の基部32に当接している。したがって、カプセル20の基部32は、ガスリザーバ21、22、部分リザーバ21a~d、22a~d、開口部23、24、及びカプセル30を通る液体のための流路も部分的に画定している。基部32は、半径方向又は略半径方向面内でこれらの特徴を画定している。基部32はカプセル30からの液体のための出口33を更に画定している。出口33は、基部32の軸に配置された開口部の形態をとる。
【0050】
図4は、軸方向における、第1のチャネル27の形態の流体流路上への第1のガスリザーバ21の開口部23の拡大図を示す。上述されたように、チャネル27は、半径方向内方に延びた壁25、26の部分によってカプセル30の軸方向に画定されている。チャネル27は、開口部23の近傍では、その端部での場合よりも狭くなっている。換言すれば、本例では、壁25、26は、半径方向面内において-即ち、壁25、26の間において-チャネル27をその長さに沿って半径方向内方にたどると、チャネル27が、プレート10の縁部の付近では比較的広く、開口部23の近傍では比較的狭く、プレート10の中心に最も近い端部では比較的広くなるように構成されている。それゆえ、以下において図6を参照して更に説明されるように、チャネル27に沿って半径方向内方に流れる液体は、それが開口部23を通過する際に、チャネル27のこの区分が、流体がチャネル27に入る区分よりも狭いため、圧力が低下する。
【0051】
本例では、開口部23に隣接したチャネル27の幅は0.4mmである。開口部23に隣接したチャネル27の高さも0.4mmである。他の例では、幅及び高さはそれぞれ、0.1mm~1.5mmであることができる。開口部23の幅及び高さはそれぞれ、0.2mmである。それゆえ、本例では、開口部23の断面積は、開口部に隣接した流路の断面積の半分未満である。これは、液体の流れを、開口部23内に入る代わりに、開口部23を通過して流れるよう促すことを助けることができる。
【0052】
図5は、開口部23、及びそれを部分的に画定する壁25の拡大図を示す。それは、壁25が、開口部23の領域内において、他所よりも小さい軸方向高さを有することによって、どのように開口部23を部分的に画定するのかを示す。
【0053】
2つのガスリザーバ21、22が互いに同じ形状を有するため、第1のチャネル27上への第1のリザーバ21の開口部23の上述の説明は第2のチャネル28上への第2のリザーバ22の開口部24にも等しく当てはまる。
【0054】
次に図6を参照して、プレート10を収容するカプセル30の部分を通る液体のための流路が説明される。膜31が突起11によって穿孔されると、液体はストリーム60a、60b、60cにおいて膜を通っておおよそ軸方向に流れる。これらのストリーム60a、60b、60cは、合流して、プレート10の縁部に向かって流れる半径方向ストリーム61を形成する。ここで、ストリーム61はプレート10のへりを越えて流れる。その後、ストリーム61の流路は、壁25、26、及びカプセル30の基部32によって画定される。ストリーム61は壁25、26の円周部分と会し、これにより、ストリーム61は、それがチャネル27、28と出会うまで円周方向に流れる。次に、それはチャネル27、28に沿って半径方向内方に流れ、開口部23、24を通過して流れる。図4に関して上述されたように、チャネル27、28は、それらの長さに沿って、開口部23、24の近傍では他所よりも狭くなっている。それゆえ、チャネル27に沿って半径方向内方に流れる液体は、それが開口部23を通過する際に、圧力が低下する。開口部23、24を通過する際に、液体はガスリザーバ21、22の内部からガスを取り込む。かくして形成された液体及びガスの混合物は引き続き半径方向内方に流れる。それは、混合を助けることができる乱流を生じさせる、チャネル27、28の比較的より広い区分を通って流れる。液体及びガスの混合物は、それが、基部32によって形成された出口33と会するまで半径方向内方に流れ、その後、それはおおよそ軸方向下方に流れ、カプセル30から出る。
【0055】
図7は、本開示にかかるカプセル30の典型的な構造を示す例示する。カプセルは、原材料チャンバ72(例えば、焙煎粉砕コーヒー粉末、又はミルク、チョコレート、水溶きコーヒー、若しくはスープなどの水溶き原材料)を画定する、側壁71を備える。原材料チャンバ72は、その上部において、使用時に、通例、飲料製造マシンの水注入ニードルによって穿孔される穿孔可能な膜73によって閉鎖されている。原材料チャンバの下部は、プレート10によって開口可能である膜31によって閉鎖されている。プレート10は、好ましくは、図7に示されるように、原材料チャンバ72の外部、ただし、原材料チャンバの本体の境界内に挿入される。
【0056】
カプセル30は、本例では、原材料チャンバ72の側壁71と、穿孔可能な膜73と、基部22とによって区切られた容積である内容積を有する。本例では、ガスリザーバは、カプセル30のこの内容積の少なくとも10%である全容積を有する。他の例では、全容積はより小さくてもよく、例えば、それはカプセル30の内容積の少なくとも10%であることができる。
【0057】
具体例として、本提案のカプセル30は、泡を含むミルクの調製のために使用され得る。代替的に、焙煎粉砕コーヒー、茶、インスタントコーヒー、焙煎粉砕コーヒーとインスタントコーヒーとの混合物、シロップ濃縮物、果実エキス濃縮物、チョコレート製品、又は乾燥スープ出汁などの、任意の他の乾燥食用物などの原材料を、泡を含む他の飲料を作り出すためにカプセル内で用いることができる。
【0058】
本発明を実施例によって説明してきたが、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び改変を加えることができることを理解されたい。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7