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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】光干渉断層撮影受信器
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G01N21/17 630
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021529059
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 IB2019060068
(87)【国際公開番号】W WO2020109949
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】62/772,325
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド ケー.アル-カイシ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス セドラセック
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ティー.トレイナー
(72)【発明者】
【氏名】アントニジェ エム.ラドジェビック
(72)【発明者】
【氏名】トッド シェリング
(72)【発明者】
【氏名】サハル ホセインザデ カサーニ
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-002381(JP,A)
【文献】国際公開第2012/053198(WO,A1)
【文献】特開2018-102757(JP,A)
【文献】特開2015-068775(JP,A)
【文献】特開2013-148482(JP,A)
【文献】特開2018-072111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0170111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
A61B 3/00 - A61B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルビーム及び参照ビームを受け取り、前記サンプルビーム及び前記参照ビームを合成して干渉ビームにする光干渉断層撮影(OCT)受信器であって、前記OCT受信器は、
互いに整列された第1及び第2のプリズムであって、前記第1のプリズムの第1の面は前記第2のプリズムの第1の面に隣接し、前記第1のプリズムは前記サンプルビーム又は前記参照ビームのうちの一方を受け取るように配置され、且つ前記第2のプリズムは前記サンプルビーム又は前記参照ビームのうちの他方を受け取るように配置され、前記干渉ビームは前記第1のプリズムの前記第1の面と前記第2のプリズムの前記第1の面が接するところで作成されて第1の干渉ビームと第2の干渉ビームに分割される、第1及び第2のプリズムと、
互いに整列された第1及び第2の偏光ビームスプリッタであって、前記第1及び第2の偏光ビームスプリッタは前記第1のプリズムに隣接して配置され、前記第1及び第2の偏光ビームスプリッタは前記第1の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される、第1及び第2の偏光ビームスプリッタと、
前記第2の偏光ビームスプリッタに隣接して配置された遅延経路であって、前記遅延経路は前記第2の干渉ビームを受け取るように構成される、遅延経路と、
互いに隣接して配置された第3及び第4の偏光ビームスプリッタであって、前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタは前記遅延経路に隣接して配置され、前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタは前記第2の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される、第3及び第4の偏光ビームスプリッタと、
前記第1の干渉ビームの前記第1の偏光状態、前記第1の干渉ビームの前記第2の偏光状態、前記第2の干渉ビームの前記第1の偏光状態、及び前記第2の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取るように構成された光検出器アレイと、
を備え
前記第1及び第2のプリズムの隣接面から、前記第1の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第1の光検出器までの第1の光路長は、前記第1及び第2のプリズムの前記隣接面から、前記第2の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第2の光検出器までの第2の光路長と等しいか又はほぼ等しく、
前記第1及び第2のプリズムの前記隣接面から、前記第1の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第3の光検出器までの第3の光路長は、前記第1及び第2のプリズムの前記隣接面から、前記第2の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第4の光検出器までの第4の光路長と等しいか又はほぼ等しい、光干渉断層撮影(OCT)受信器。
【請求項2】
前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方を受け取り、前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの前記一方を前記第1のプリズムに向けるように配置された第1のコリメーティングレンズと、
前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を受け取り、前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの前記他方を前記第2のプリズムに向けるように配置された第2のコリメーティングレンズと、
をさらに備える、請求項1に記載のOCT受信器。
【請求項3】
4つのレンズ、すなわち、
前記第1の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取るように配置された第1のレンズと、
前記第1の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取るように配置された第2のレンズと、
前記第2の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取るように配置された第3のレンズと、
前記第2の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取るように配置された第4のレンズと、
をさらに備える、請求項1に記載のOCT受信器。
【請求項4】
前記第1、第2、第3、及び第4のレンズはそれぞれボールレンズである、請求項3に記載のOCT受信器。
【請求項5】
前記遅延経路はプリズムを備え、前記プリズムは第1及び第2の面を有し、前記プリズムの前記第1の面は前記第2のプリズムに隣接しており、前記プリズムの前記第2の面は前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタに隣接している、請求項1に記載のOCT受信器。
【請求項6】
前記遅延経路は、前記第2のプリズムと前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタとの間に位置する一対の反射器を備える、請求項1に記載のOCT受信器。
【請求項7】
前記第1及び第2のプリズム、前記遅延経路、並びに前記第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、単一アセンブリを構成し、前記単一アセンブリは、前記サンプルビーム及び前記参照ビームが含まれている水平面から1~5度の間の角度だけ傾斜される、請求項1に記載のOCT受信器。
【請求項8】
前記第1のプリズムの前記第1の面及び前記第2のプリズムの前記第1の面への前記サンプルビームと前記参照ビームの両方の入射角は、1~5度の間である、請求項1に記載のOCT受信器。
【請求項9】
前記第1及び第2のプリズム、前記遅延経路、並びに前記第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、体積が23ミリメートル×37ミリメートル×10ミリメートル未満の小型パッケージを形成する単一アセンブリを構成する、請求項1に記載のOCT受信器。
【請求項10】
サンプルビーム及び参照ビームを受け取り、前記サンプルビーム及び参照ビームを合成して干渉ビームにする光干渉断層撮影(OCT)受信器であって、前記OCT受信器は、
プリズム、第1の反射器、及び第2の反射器を備えたアセンブリであって、前記第1及び第2の反射器は前記プリズムの反対側に配置され、前記プリズムは前記サンプルビーム又は前記参照ビームのうちの一方を受け取るように配置され、且つ前記第1の反射器は前記サンプルビーム又は前記参照ビームのうちの他方を受け取るように配置され、前記干渉ビームは前記プリズムで作成されて第1の干渉ビームと第2の干渉ビームに分割される、アセンブリと、
互いに整列された第1及び第2の偏光ビームスプリッタであって、前記第1及び第2の偏光ビームスプリッタは前記第1の反射器に隣接して配置され、前記第1及び第2の偏光ビームスプリッタは前記第1の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される、第1及び第2の偏光ビームスプリッタと、
非偏光ビームスプリッタ及び第2の反射器に隣接して配置された遅延経路であって、前記遅延経路は前記第2の干渉ビームを受け取るように構成される、遅延経路と、
互いに隣接して配置された第3及び第4の偏光ビームスプリッタであって、前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタは前記遅延経路に隣接して配置され、前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタは前記第2の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される、第3及び第4の偏光ビームスプリッタと、
前記第1の干渉ビームの前記第1の偏光状態、前記第1の干渉ビームの前記第2の偏光状態、前記第2の干渉ビームの前記第1の偏光状態、及び前記第2の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取るように構成された光検出器アレイと、
を備え
プリズムとし得る第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面から、前記第1の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第1の光検出器までの第1の光路長は、プリズムとし得る第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面から、前記第2の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第2の光検出器までの第2の光路長と等しいか又はほぼ等しく、
プリズムとし得る第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面から、前記第1の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第3の光検出器までの第3の光路長は、プリズムとし得る第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面から、前記第2の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取る前記光検出器アレイの第4の光検出器までの第4の光路長と等しいか又はほぼ等しい、光干渉断層撮影(OCT)受信器。
【請求項11】
前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方を受け取り、前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの前記一方を前記プリズムに向けるように配置された第1のコリメーティングレンズと、
前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を受け取り、前記サンプルビーム又は参照ビームのうちの前記他方を前記第2の反射器に向けるように配置された第2のコリメーティングレンズと、
をさらに備える、請求項10に記載のOCT受信器。
【請求項12】
前記第1の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取るように配置された第1のレンズと、
前記第1の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取るように配置された第2のレンズと、
前記第2の干渉ビームの前記第1の偏光状態を受け取るように配置された第3のレンズと、
前記第2の干渉ビームの前記第2の偏光状態を受け取るように配置された第4のレンズと、
をさらに備える、請求項10に記載のOCT受信器。
【請求項13】
前記第1、第2、第3、及び第4のレンズはそれぞれボールレンズである、請求項12に記載のOCT受信器。
【請求項14】
前記遅延経路はプリズムを備え、前記プリズムは第1及び第2の面を有し、前記プリズムの前記第1の面は前記プリズムに隣接しており、前記プリズムの前記第2の面は前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタに隣接している、請求項10に記載のOCT受信器。
【請求項15】
前記遅延経路は、前記プリズムと前記第3及び第4の偏光ビームスプリッタとの間に位置する一対の反射器を備える、請求項10に記載のOCT受信器。
【請求項16】
前記第1及び第2の反射器、前記プリズム、前記遅延経路、並びに前記第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、前記サンプルビーム及び前記参照ビームが含まれている平面に対して1~5度の間の角度だけ傾斜された単一アセンブリを構成する、請求項10に記載のOCT受信器。
【請求項17】
第1及び第2のプリズムが互いに整列され、前記第1のプリズムの第1の面及び前記第2のプリズムの第1の面への前記サンプルビームと前記参照ビームの両方の入射角は、1~5度の間である、請求項10に記載のOCT受信器。
【請求項18】
前記第1及び第2の反射器、前記プリズム、前記遅延経路、並びに前記第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、体積が23ミリメートル×37ミリメートル×10ミリメートル未満の小型パッケージを形成する単一アセンブリを構成する、請求項10に記載のOCT受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される実施形態は、光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography、OCT)のためのデバイス、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障手術、角膜内インレー、レーザ角膜切削形成術(laser-assisted in situ keratomileusis、LASIK)、及びレーザ屈折矯正角膜切除術(photorefractive keratectomy、PRK)などの現在の眼科屈折矯正手術法は、最良の屈折補正を処方するために眼球生体計測データに依拠している。歴史的に、眼科外科的処置は、目の一部分を撮像するために超音波生体計測機器を使用した。ある場合には、これらの生体計測機器は、いわゆる目のA走査、すなわち、通常は目の光軸と整列された、すなわち、それと平行であるか又はそれとほんの小さい角度をなすかのいずれかの撮像軸に沿ったすべての界面からの音響エコー信号を生成した。他の機器は、本質的には、生体計測機器のヘッド又は先端が走査線に沿って走査されるにつれて連続的に取得されるA走査のコレクションを組み立てる、いわゆるB走査を生成した。この走査線は、通常、目の光軸に対して横方向であった。これらの超音波A走査又はB走査は、それから、眼軸長、目の前方深度、又は角膜の曲率半径などの生体計測データを測定及び決定するために使用された。
【0003】
いくつかの外科的処置で、第2の別個の角膜測定器が、角膜の屈折特性及び屈折データを測定するために使用された。超音波測定及び屈折データは、それから、その後の白内障手術中に処方され挿入される最適な眼内レンズ(intra-ocular lens、IOL)の特性を計算するために半経験的式に組み込まれた。
【0004】
もっと最近では、超音波生体計測デバイスは、光干渉断層撮影(OCT)の原理に基づいて構築される光学的撮像及び生体計測機器に急速に取って代わられてきた。OCTは、人間の網膜、角膜、水晶体又は他の眼構造のミクロンスケールの高解像度断面撮像を可能にする技術である。光波が物体又はサンプルから反射され、コンピュータが、反射時に波がどのように変化するかについての情報を使用することによってサンプルの断面の画像又は3次元ボリュームレンダリングを生成する。
【0005】
OCTは、時間領域処理又はフーリエ領域処理に基づいて行われ得る。後者の手法は、サンプルを照射するために使用される光信号のスペクトル成分が時間的に符号化される波長掃引光源型OCTとして知られた技術を含む。換言すれば、光源は、光帯域幅全体にわたって掃引され(又は階段状にされ)、この光帯域幅全体にわたるいくつかの点で、光源信号と反射信号との合成によって生成される干渉信号がサンプリングされる。受信器が、光源信号(参照信号又は参照アームをトラバースする信号とも呼ばれる)及びサンプル信号(サンプルから反射される信号)を受け取って干渉信号を生成する。(参照信号及びサンプル信号が合成されるか又は互いに干渉するときの干渉パターンである)干渉信号は、それから、検出器に向けられる。
【0006】
OCT技術は、今や臨床診療で一般的に使用され、このようなOCT機器は、今やすべてのIOL処方事例の80~90%で使用される。他にも理由があるが、それらの成功は、撮像の非接触性と、超音波生体計測器よりも高い精度とによるものである。
【0007】
しかしながら、これらの最近の進歩にもかかわらず、生体計測機器及び撮像機器の機能性及び性能のために実質的なさらなる成長及び発展が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例で、光干渉断層撮影(OCT)受信器が、サンプルビーム及び参照ビームを受け取り、サンプルビーム及び参照ビームを合成して干渉ビームにする。OCT受信器は、2つの面が接触し、間にビーム分割非偏光界面を有する、互いに整列された第1及び第2のプリズムを備える。第1のプリズムは、サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方を受け取るように配置され、第2のプリズムは、サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を受け取るように配置される。干渉ビームは、第1及び第2のプリズムの間の非偏光接触界面で作成されて第1の干渉ビームと第2の干渉ビームに分割される。第1及び第2の偏光ビームスプリッタが、互いに整列される。第1及び第2の偏光ビームスプリッタは、第1のプリズムに隣接して配置される。第1及び第2の偏光ビームスプリッタは、第1の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される。遅延経路が、第2のプリズムに隣接して配置される。遅延経路は、第2の干渉ビームを受け取るように構成される。第3及び第4の偏光ビームスプリッタが、互いに隣接して配置される。第3及び第4の偏光ビームスプリッタは、遅延経路に隣接して配置される。第3及び第4の偏光ビームスプリッタは、第2の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される。光検出器アレイが、第1の干渉ビームの第1の偏光状態、第1の干渉ビームの第2の偏光状態、第2の干渉ビームの第1の偏光状態、及び第2の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取るように構成される。
【0009】
OCT受信器は、同様に、サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方を受け取り、サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方を平行にして第1のプリズムに向けるように配置された第1のコリメーティングレンズと、サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を受け取り、サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を第2のプリズムに向けるように配置された第2のコリメーティングレンズとを備え得る。
【0010】
OCT受信器は、同様に、4つのレンズ、すなわち、第1の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取るように配置された第1のレンズと、第1の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取るように配置された第2のレンズと、第2の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取るように配置された第3のレンズと、第2の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取るように配置された第4のレンズとを備え得る。ある場合には、これらのレンズはボールレンズとすることができる。
【0011】
ある場合には、遅延経路はプリズムとすることができ、プリズムは第1及び第2の面を有し、プリズムの第1の面は第2のプリズムに隣接しており、プリズムの第2の面は第3及び第4の偏光ビームスプリッタに隣接している。他の場合には、遅延経路は、第2のプリズムと第3及び第4の偏光ビームスプリッタとの間に位置する一対の反射器とすることができる。
【0012】
(プリズムとし得る)第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面(又は非偏光接触界面)から、第1の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第1の光検出器までの第1の光路長は、(プリズムとし得る)第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面(又は非偏光接触界面)から、第2の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第2の光検出器までの第2の光路長と等しいか又はほぼ等しい。
【0013】
(プリズムとし得る)第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面(又は非偏光接触界面)から、第1の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第3の光検出器までの第3の光路長は、(プリズムとし得る)第1及び第2の非偏光スプリッタの隣接面(又は非偏光界面)から、第2の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第4の光検出器までの第4の光路長と等しいか又はほぼ等しい。
【0014】
ある場合には、第1及び第2のプリズム、遅延経路、並びに第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、単一アセンブリを構成し、第1及び第2のプリズム、遅延経路、並びに第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、単一アセンブリを構成する。単一アセンブリは、サンプルビーム及び参照ビームが含まれている水平面から1~5度の間の角度だけ傾斜される。第1のプリズムの第1の面及び第2のプリズムの第1の面へのサンプルビームと参照ビームの両方の入射角は、1~5度の間である。
【0015】
ある場合には、2つのビームコリメーティングレンズ、第1及び第2のプリズム、遅延経路、第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタ、検出器アレイの前の4つのレンズ、並びに検出器アレイは、体積が23ミリメートル×37ミリメートル×10ミリメートル未満の小型パッケージを形成する単一アセンブリを構成する。
【0016】
別の実施例で、光干渉断層撮影(OCT)受信器が、サンプルビーム及び参照ビームを受け取り、サンプルビーム及び参照ビームを合成して干渉ビームにする。OCT受信器は、非偏光ビームスプリッタプリズム、第1の反射器、及び第2の反射器を備えたアセンブリを備える。第1及び第2の反射器はプリズムの反対側に配置される。プリズムは、サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方を受け取るように配置され、第2の反射器は、サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を受け取るように配置される。干渉ビームは、プリズムで作成されて第1の干渉ビームと第2の干渉ビームに分割される。第1及び第2の偏光ビームスプリッタが、互いに整列される。第1及び第2の偏光ビームスプリッタは、第1の反射器に隣接して配置される。第1及び第2の偏光ビームスプリッタは、第1の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される。遅延経路が、非偏光ビームスプリッタプリズム及び第2の反射器に隣接して配置される。遅延経路は、第2の干渉ビームを受け取るように構成される。第3及び第4の偏光ビームスプリッタが、互いに隣接して配置される。第3及び第4の偏光ビームスプリッタは、遅延経路に隣接して配置される。第3及び第4の偏光ビームスプリッタは、第2の干渉ビームを第1及び第2の偏光状態に分割するように配置される。光検出器アレイが、第1の干渉ビームの第1の偏光状態、第1の干渉ビームの第2の偏光状態、第2の干渉ビームの第1の偏光状態、及び第2の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取るように構成される。
【0017】
OCT受信器は、同様に、サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方を受け取り、サンプルビーム又は参照ビームのうちの一方をプリズムに向けるように配置された第1のコリメーティングレンズと、サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を受け取り、サンプルビーム又は参照ビームのうちの他方を第2の反射器に向けるように配置された第2のコリメーティングレンズとを備え得る。
【0018】
OCT受信器は、同様に、4つのレンズ、すなわち、第1の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取るように配置された第1のレンズと、第1の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取るように配置された第2のレンズと、第2の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取るように配置された第3のレンズと、第2の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取るように配置された第4のレンズとを備え得る。これらのレンズは、すべてボールレンズとすることができる。
【0019】
ある場合には、遅延経路は、第1及び第2の面を有するプリズムを備える。プリズムの第1の面は、非偏光ビームスプリッタプリズムに隣接しており、プリズムの第2の面は、第3及び第4の偏光ビームスプリッタに隣接している。他の場合には、遅延経路は、プリズムと第3及び第4の偏光ビームスプリッタとの間に位置する一対の反射器とすることができる。
【0020】
非偏光スプリッタ界面から、第1の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第1の光検出器までの第1の光路長は、非偏光スプリッタ界面から、第2の干渉ビームの第1の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第2の光検出器までの第2の光路長と等しいか又はほぼ等しい。
【0021】
非偏光スプリッタから、第1の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第3の光検出器までの第3の光路長は、非偏光スプリッタから、第2の干渉ビームの第2の偏光状態を受け取る光検出器アレイの第4の光検出器までの第4の光路長と等しいか又はほぼ等しい。
【0022】
第1及び第2の反射器、非偏光ビームスプリッタプリズム、遅延経路、並びに第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、平面内に位置する単一アセンブリを構成する。平面は、サンプルビーム及び参照ビームが含まれている水平面から1~5度の間の角度だけ傾斜される。
【0023】
第1及び第2の反射器、非偏光ビームスプリッタプリズム、遅延経路、並びに第1、第2、第3、及び第4の偏光ビームスプリッタは、体積が23ミリメートル×37ミリメートル×10ミリメートル未満の小型パッケージを形成する単一アセンブリを構成する。
【0024】
本明細書に説明された実施形態は、いくつかの異なるアプリケーションモードのそれぞれに対して最適化されたOCT性能を達成するためのオールインワンデバイスを提供し、及び/又は動作させるために使用され得る。上に概要を述べた実施形態の他の利点及び変形形態について以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、例示的な波長掃引光源型光干渉断層撮影(OCT)システムの構成要素を例示する。
図2図2は、OCT受信器の一実施例を平面図で例示する。
図3図3は、図2の例示的なOCT受信器の光路長を描写する。
図4A図4Aは、図2のOCT受信器の側面図である。
図4B図4Bは、図2のOCT受信器の側面図である。
図5図5は、OCT受信器の一実施例を例示する。
図6図6は、OCT受信器の一実施例を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明で、ある特定の実施形態を説明して具体的詳細が明らかにされる。しかしながら、これらの具体的詳細の一部又は全部がなくても開示された実施形態が実践され得ることは、当業者には明らかであろう。提示された具体的な実施形態は、限定的でなく、例示的であるように意図される。当業者は、本明細書に具体的に説明されないが、本開示の範囲及び精神の範囲内にある他の材料を実現することができる。
【0027】
図1は、掃引光源100、干渉計サブシステム200、及び検出器受信器150を備える、例示的なSSOCTシステム10を例示する。本明細書に示される詳細が実施例にすぎず、他のシステムが周知の方法で変化し得ることは、認識されたい。
【0028】
掃引光源100は、通常、波長同調用に設計されており、所定の光学同調範囲にわたって、例えば、100nm以上の光学波長範囲にわたって、1キロヘルツ(kHz)以上の走査繰り返し率で繰り返して走査する掃引光信号を生成する。光学発光の帯域幅、すなわち、全幅半値(FWHM)帯域幅は、通常、10GHz未満である。この特定の実施例では、例えば、約1060nmの中心波長で動作するように設計されたマッハ・ツェンダ型干渉計として実装される干渉計サブシステム200、及び受信器150は、撮像物体5から反射された光信号を分析するために使用され、撮像物体5は人間の目であってもよい。干渉計サブシステム200が、異なる波長用に設計されるとき異なる設計に基づいてもよいことは、認識されたい。他の中心波長は、約1310nm又は850nmの中心波長を含み得る。
【0029】
図1に見られるように、掃引光源100からの掃引光出力は、光ファイバ110を介して、干渉計サブシステム内の光ファイバカプラ210に結合される。光ファイバカプラ210は、例えば、90/10光ファイバカプラとすることができる。掃引光信号は、カプラ210によって参照アーム220とサンプルアーム212との間で分けられる。
【0030】
参照アーム220の光ファイバは、ファイバ端面224で終端する。例示された実装で、参照アームファイバ端面224から出射する光102Rは、レンズ226によって平行にされ、ミラー228によって反射される。一実施例で、ミラー228は、ファイバからミラーまでの距離が調整可能である。この距離は、撮像される深度範囲における基準点、すなわち、参照アーム220とサンプルアーム212との間のゼロ経路長差のサンプル5における位置を決定する。この距離は、いくつかの実施形態で、異なるサンプリングプローブ及び/又は撮像サンプルのために調整され得る。参照ミラー228から戻る光が、参照アームサーキュレータ222に戻され、受信器150に向けられる。
【0031】
サンプルアーム212上のファイバは、サンプルアームプローブ216で終端する。出射掃引光信号102Sは、サンプル5上へプローブ216によって集束される。サンプル5から戻る光は、サンプルアームサーキュレータ214に戻され、受信器150に向けられる。以下により明確に説明するように、参照アーム信号及びサンプルアーム信号は、光干渉信号を生成するために受信器150内で合成される。
【0032】
これに関連して、サンプルビームは、サンプルから反射された光ビームであり、参照ビームは、参照アーム内のミラーから反射された光ビームである。サンプルビームは、サンプルアームと関連付けられており、参照ビームは、参照アームと関連付けられている。例示的な干渉計で、光源(ある場合には掃引光源又は掃引源レーザ)は、中心波長(ある場合には1060nmの中心波長)において光のビームを生成する。光のビームは、それから、2つのビームに分割される-それらの一方はサンプル(サンプルアーム)に向けられ、他方は参照経路(参照アーム)に向けられる。参照アーム及びサンプルアームの光路は、一般に同じような長さである。サンプルビーム及び参照ビームは、干渉ビームを生成するために合成される。
【0033】
図2は、OCT検出器(又は平面図でのOCT受信器)の一実施例を示す。図2で、サンプルビーム305がサンプル5から反射される。参照ビーム310が参照アームから戻る。サンプルビーム305は、コリメーティングレンズ315を通過する。参照ビーム310は、コリメーティングレンズ320及び偏光子316を通過する。平行サンプルビーム305は、それから、プリズム325に入射し、平行参照ビーム310は、プリズム330に入射する。図2に示されるように、平行サンプルビーム305は、プリズム325及び330の表面(又は非偏光ビーム分割接触界面)から反射され、平行参照ビーム310は、プリズム330の表面から反射される。サンプルビーム305と参照ビーム310との間の干渉が、プリズム325とプリズム330が接する点Aで生じる。干渉ビームは、プリズム325及びプリズム330によって、2つのビーム、B及びCに分割される。ビームBは、偏光ビームスプリッタ(polarizing beam splitter、PBS)335に入射し、そこでそれは2つのビームBP及びBSに分割される。ビームBPは、PBS 335を出射してレンズ355に入射し、そこでそれは光検出器375上へと集束される。ビームBSは、PBS 335を出射し、反射器345によって反射されて、レンズ365に入射し、そこでそれは光検出器385上へと集束される。同じような方式で、ビームCは、同様にビームCP及びCSに分割される。ビームCは、プリズム330を出射して遅延経路337に入射する。本実施例で、遅延経路337は、ビームCをPBS 350に向けるように整列された反射器として作用する一対の対向するファセットを有するプリズムを備える。ビームCは、偏光ビームスプリッタ(PBS)350に入射し、そこでそれは2つのビームCP及びCSに分割される。ビームCPは、PBS 350を出射してレンズ370に入射し、そこでそれは光検出器390上へと集束される。ビームCSは、PBS 350を出射し、反射器340によって反射されて、レンズ360に入射し、そこでそれは光検出器380上へと集束される。
【0034】
構造上、図2の例示的なOCT受信器は、点Aでサンプルビーム305と参照ビーム310の干渉を生成するように、一対のプリズム325及び330と整列された一対のコリメーティングレンズ315及び320を備える。偏光子316が、コリメーティングレンズ320とNPBS/プリズム330との間で参照アームの光路内にある。干渉ビームは、2つのビームB及びCに分割される。プリズム325は、干渉ビームBを2つの偏光状態(ビームBP及びBS)に分割するように、PBS 335と整列される。反射器345が、ビームBSをレンズ365に向けるようにPBS 335と整列される。レンズ365は、光検出器385と整列される。PBS 335は、ビームBPを光検出器375上に向けるようにレンズ355と整列される。同じような方式で、プリズム330は、遅延経路337と整列される。遅延経路337は、干渉ビームCを2つの偏光状態(ビームCP及びCS)に分割するように、PBS 350と整列される。反射器340が、ビームCSをレンズ360に向けるようにPBS 350と整列される。レンズ360は、光検出器380と整列される。PBS 350は、ビームCPを光検出器390上に向けるようにレンズ370と整列される。
【0035】
機能上、図2の例示的なOCT受信器は、サンプルビーム305及び参照ビーム310を受け取り、干渉パターンを生成するように2つのビームを互いに干渉させ、干渉ビームを2つのビームB及びCに分割する。2つのビームB及びCは、2つの平行な光路をとり、2つの偏光状態にさらに分割される。2つのビーム(B及びC)のそれぞれに対する2つの偏光状態(BP、BS及びCP、CS)のそれぞれが、それから、光検出器のアレイ(375、、385、390、及び380)に向けられる。非偏光界面Aからその検出器375までの第1の偏光状態BPの光路長は、非偏光界面Aからその検出器390までの第1の偏光状態CPの光路にほぼ等しい。非偏光界面Aからその検出器385までの第2の偏光状態BSの光路長は、非偏光界面Aからその検出器380までの第2の偏光状態CSの光路にほぼ等しい。
【0036】
プリズム325及び300は、表面に沿って結合されて、非偏光ビームスプリッタ(NPBS)を形成する。本実施例で、プリズム325及び330は、それらの界面に非偏光ビーム分割コーティングが施された、貼り付けられた菱形プリズムである。プリズム325及び330の隣接面は、NPBSを形成する。サンプルビーム305及び参照ビーム310は、それらがそれぞれ50/50にパワー分割され、同時にNPBS非偏光界面によって合成されるように、NPBSに入射するように整列される。2つの空間的に分離された直交干渉ビームが作成され、それぞれがサンプルビームの50%と参照ビームの50%を運ぶ。プリズム325の第1の面がプリズム330の第1の面に隣接している。干渉ビームは、第1のプリズムの第1の面と第2のプリズムの第1の面が接するところで作成されて第1の干渉ビームと第2の干渉ビームに分割される。
【0037】
図2の実施例で、コリメーティングレンズ315及び320は、光ビームを平行にする任意のタイプのレンズ又は光学要素とすることができる。コリメーティングレンズ315及び320の代わりに他のタイプのレンズを同様に使用してもよい。OCT受信器の別の実施例で、コリメーティングレンズ315及び320が存在しなくてもよい。サンプルビーム301及び参照ビーム310は、OCT受信器内部のコリメーティングレンズ又は他の光学要素を通過することなく、それぞれプリズム325及びプリズム330に向けられてもよい。図2の実施例で、コリメーティングレンズ315及び320は、整合対のレンズ又は同じタイプのレンズである。一実施例で、コリメーティングレンズ315及び320は、1.8mmの有効焦点距離(EFL)を有し、300マイクロメートル~700マイクロメートルの間の直径のビームを平行にする。
【0038】
図2の例示的なOCT受信器で、プリズム325及び330は、菱形プリズム、立方体プリズム、直角プリズム、又は他の形状のプリズムによって実装され得る。プリズムの代わりに、図2の例示的なOCT受信器に適した他のタイプの光学要素は、平板ビームスプリッタ、立方体ビームスプリッタなどを含む。機能上、プリズム325及びプリズム330は、一緒になって、サンプルビームと参照ビームの干渉も、干渉ビームを2つの干渉ビームに分割することも容易にする。図2の実施例で、プリズム325及び330の隣接面間の界面は、(点Aで)非偏光ビームスプリッタとして作用する。
【0039】
図2の例示的なOCT受信器で、PBS 335及び350は、ビームスプリッタであり、立方体プリズム、直角プリズム、又は他の形状のプリズムを含む、プリズムによって実装され得る。図2の例示的なOCT受信器に適した他のタイプのPBSは、平板ビームスプリッタ、立方体ビームスプリッタなどを含む。機能上、PBS 335及びPBS 350は両方とも、干渉ビームを(一般に偏光状態P及びSとされる)異なる偏光状態を有する2つの干渉ビームに分割する。この場合、偏光状態は、互いに直交している。図2の実施例で、PBS 335及びPBS 350は、整合対のビームスプリッタ又は同じタイプのビームスプリッタである。
【0040】
図2の例示的なOCT受信器で、反射器340及び345は、ある特定の波長の光を反射するように設計されたミラーを含む、ミラーによって実装され得る。他の実施例で、反射器340及び345は、さまざまなタイプのプリズム又はビームスプリッタで実装され得る。例えば、反射器340及び345は、プリズム又はビームスプリッタの表面で実装され得る。図2で、反射器40及び345は、PBS 335及びPBS 350と同じフォームファクタを有する。このフォームファクタは、受信器150の小型設計を可能にする。
【0041】
図2の例示的なOCT受信器で、レンズ355、360、365、及び370は、光ビームを平行にし、集束させ、又は別の方法でその光路を変更するために、レンズ要素で実装され得る。光ビームを光検出器375、380、385、及び390に向けるために非常に多くのタイプのレンズが使用され得る。一実施例で、光ビームを約75マイクロメートルのスポットサイズに集束させるために、2.0mmのBK7ボールレンズがレンズ355、360、365、及び370のそれぞれに使用される。
【0042】
図2の例示的なOCT受信器で、遅延経路337は、干渉ビームBのより長い光路を補償するために干渉ビームCの経路に遅延を導入する。換言すれば、遅延経路337は、コリメーティングレンズ315又は点(界面)Aから光検出器375までの光路が、コリメーティングレンズ320又は点(界面)Aから光検出器390までの光路と等しいか又はほぼ等しいように、光路長を導入する。同じく、遅延経路337は、コリメーティングレンズ315又は点(界面)Aから光検出器385までの光路が、コリメーティングレンズ320又は点(界面)Aから光検出器380までの光路と等しいか又はほぼ等しいように、光路長を導入する。遅延経路337は、一対のミラー、ビームスプリッタ、プリズム、又は光路に遅延若しくは余長を導入するように設計された他の光学要素を使用して実装され得る。
【0043】
図2の例示的なOCT受信器で、光検出器375、380、385、及び390は、偏光された光ビームBP、CS、BS、及びCPを受け取る。通常、光検出器375、380、385、及び390は、光子を電流に変換する半導体デバイスである。この場合、光検出器375、380、385、及び390は、偏光を感知する要素とすることができる。
【0044】
図3は、図2の例示的なOCT受信器の光路長を描写する。図3の実施例で、AからBまでの光路長は、AからCまでの光路長に等しいか又はほぼ等しく、AからDまでの光路長は、AからEまでの光路長に等しいか又はほぼ等しい。この実施例で、図3に示される光路で使用される光学ガラスは、1060nmにおいて約1.5067の屈折率を有するBK7ガラスである。光路長を示す目的で、図3で、c=c*=c’であり、他の経路長は次のとおりである。
【0045】
【表1】
【0046】
そして、経路AからCについては、
【0047】
【表2】
【0048】
この場合、等しい経路長を保証するために、NPBS及びPBSなどの光学部品は、光学部品のばらつきによってもたらされる経路長差を最小化するために、同じ製造ロットから選択されるか、又は事前に分類され整合される。
【0049】
図2及び図3に示される例示的なOCT受信器は、干渉計で使用され得る小型で安定したパッケージを提供する。上に与えられた寸法で、要素のすべてを収容する小型パッケージが、23mm×37mm×10mm未満の体積を占める。加えて、説明され図に示された幾何学的形状を持つ、レンズ要素、NPBS要素、及びPBS要素の使用により、小型のアセンブリが可能になる。この小型のアセンブリは、携帯用OCT機器に組み入れることができる物理的に小さいパッケージと同様に、光学的安定性を提供する。図2の実施例で、プリズム325及びプリズム330は、それぞれ、菱形プリズムで実装することができ、PBS 335、PBS 340、PBS 345、及びPBS 350は、それぞれ、立方体ビームスプリッタで実装することができ、遅延経路337は、プリズムで実装することができる。これらの幾何学的構成要素は、小さくて安定したパッケージに組み立てて整列させることができる。図2及び図3に示されるように、プリズム325及び330、PBS 340、345、350、355、並びに遅延経路337は、互いに隣接して配置され得る。プリズム、PBS、及び遅延経路は、本実施例ではそれぞれ幾何学的要素(例えば、プリズム)であるため、これらの要素の面は、安定したアセンブリを形成するために示されているように互いに隣接して設置され得る。そのうえ、レンズ355、360、365、370及び光検出器375、380、385、390の場所は、単一の小型パッケージ内で他の要素との関連で固定され得る。
【0050】
図4A及び図4Bは、図2の実施例のOCT受信器の側面図である。図4A及び図4Bで、サンプルビーム305、コリメーティングレンズ315、プリズム325、プリズム335、PBS 350、レンズ355及び光検出器375が描写されている。コリメーティングレンズ315の後ろには、コリメーティングレンズ320がある。プリズム325の後ろには、プリズム330がある。PBS 335の後ろには、遅延経路337がある。レンズ355の後ろには、レンズ365、360、及び370がある。光検出器375の後ろには、光検出器385、380、及び390がある。偏光子316が、同様に、コリメーティングレンズ320とプリズム330との間で参照経路内に位置し得る。
【0051】
偏光子316は、図3の実施例に示されるように、参照経路(又は参照アームの光路)において45度の角度で位置し得る。そのような場合、偏光子316は、P及びSチャネルの適切な信号整合と、P及びSチャネルが等しいか又はほぼ等しいパワーを有するようになることを保証することになる。P及びSチャネルの適切な信号整合が生じるように-又はP及びSチャネルが等しいか又はほぼ等しいパワーを有するように-、偏光子316を方向づけることができる。この場合、参照アームの光は、P及びS偏光に分割される前に偏光子を通過する。この方式で、参照アームの光は、2つの偏光状態(P及びS)にさらに分割される前に偏光又は整列される。
【0052】
図4A及び図4Bは、OCT受信器150の光学部品に導入された傾斜を示す。図2がOCT受信器150平面図の水平面を描写する場合、図4A及び図4Bは、OCT受信器150側面図の鉛直面を描写する。水平面402から約2度の傾斜が、プリズム325及び330、遅延経路337、並びに偏光ビームスプリッタ335、340、345、350を備えたアセンブリに導入される。傾斜角は、事実上、NPBSの入力表面/ファセット(すなわちプリズム325及び330の隣接側面)における水平に向けられたサンプルビーム305及び参照ビーム310の入射角になる。傾斜角は、平面401と402とのなす角度として図4A及び図4Bに示される。この実施例で、平面402は、サンプルビーム及び参照ビームが含まれている平面である。プリズム325及び330、遅延経路337、並びに偏光ビームスプリッタ335、340、345、350を備えたアセンブリは、平面402に対してある角度だけ傾斜される。OCT受信器150の鉛直面に導入される傾斜は、1度~5度の範囲とすることができ、図4A及び図4Bの実施例(平面401と402とのなす角度)で約2度の傾斜が示される。図4Aは、前方ビームを描写し、図4Bは、前方ビーム及び再帰反射ビームを描写する。システム内のゴーストを解消するために、再帰反射ビームは、コリメーティングレンズを逆向きに通過しないような角度で戻る。前方ビームからの幾何学的分離により二重再帰経路干渉を解消するには、2度の傾斜で十分であることが分かっている。
【0053】
図5は、OCT受信器の別の実施例を示す。図5で、PBS 335、ミラー345、遅延経路337、PBS 350、及びミラー340の代わりに、複屈折結晶505が使用される。レンズ355、360、365、及び370は、単純化するために省略されている。図5で、光検出器375、380、385、及び390の場所は、AからBまでの光路とAからDまでの光路が等しいか又はほぼ等しく、AからCまでの光路とAからEまでの光路が等しいか又はほぼ等しいように、調整され得る。
【0054】
図6は、OCT受信器の一実施例を示す。図6で、NPBS 328、反射器326、及び反射器327は、図2のプリズム325及びプリズム330の代わりとなる。図6で、サンプルビーム305がサンプル5から反射される。参照ビーム310が参照アームから戻る。サンプルビーム305は、コリメーティングレンズ315を通過する。参照ビーム310は、コリメーティングレンズ320及び偏光子316を通過する。平行サンプルビーム305は、反射器326から反射されるか、又はNPBS 328に向けられ、平行参照ビーム310は、NPBS 328に向かって反射器327から反射される。平行サンプルビーム305は、それから、NPBS 328に入射し、平行参照ビーム310は、NPBS 328に入射する。サンプルビーム305と参照ビーム310との間の干渉が、NPBS 328の点Aで生じる。干渉ビームは、NPBS 328によって、2つのビーム、B及びCに分割される。OCT受信器の残りの部分は、図2に描写され上に説明されたそれと同じである。
【0055】
機能上、図6の例示的なOCT受信器は、点A(すなわちプリズム325及び330の隣接面又はNPBS 328内部の非偏光界面)から光検出器375、及び390まで同じ又はほぼ同じ長さ(すなわち、整合された長さ)の光路を提供する。それは、同様に、点Aから光検出器385及び380まで同じ又はほぼ同じ長さ(すなわち、整合された長さ)の光路を提供する。図6の例示的なOCT受信器は、サンプルビーム305及び参照ビーム310を受け取り、干渉パターンを生成するように2つのビームを互いに干渉させ、干渉ビームを2つのビームB及びCに分割する。2つのビームB及びCは、2つの平行な光路をとり、2つの偏光状態にさらに分割される。2つのビーム(B及びC)のそれぞれに対する2つの偏光状態(BP、BS及びCP、CS)のそれぞれが、それから、光検出器のアレイ(375、380、385、390、及び380)に向けられる。
【0056】
説明された実施例が、小型で光学的に安定したパッケージでOCT受信器を提供することは、認識されたい。光学要素は、同じ又はほぼ同じ長さの整合された光路を生成するために組み立てられる。
【0057】
上述の具体的な実施形態は、本発明を例示するが限定しない。上述したように、及び下に特許請求するように、本発明の原理に従って、非常に多くの修正形態及び変形形態が可能であることは、同様に理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6