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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20231220BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20231220BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231220BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/70 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021546493
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2020006322
(87)【国際公開番号】W WO2021053847
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019168658
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】古賀 英一
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061952(JP,A)
【文献】特開2018-206757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0156062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 10/0562
H01M 10/052
H01M 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極層と、
前記電極層と対向して配置された対極層と、
前記電極層と前記対極層との間に位置する固体電解質層と、
を備え、
前記電極層は、
集電体と、
前記集電体と前記固体電解質層との間に位置し、前記集電体及び前記固体電解質層よりも平面視における面積が小さい活物質層と、
を有し、
前記平面視において、前記活物質層が位置する領域を第1領域とし、前記第1領域の外側の領域を第2領域とした場合、
前記固体電解質層は、前記平面視における前記活物質層の外側を覆い、前記第2領域において前記集電体と接しており、
前記集電体又は前記固体電解質層は、前記第2領域において、前記平面視でライン状の少なくとも1つの構造欠陥部を有し、
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、ライン状の割れ目である、
電池。
【請求項2】
電極層と、
前記電極層と対向して配置された対極層と、
前記電極層と前記対極層との間に位置する固体電解質層と、
を備え、
前記電極層は、
集電体と、
前記集電体と前記固体電解質層との間に位置し、前記集電体及び前記固体電解質層よりも平面視における面積が小さい活物質層と、
を有し、
前記平面視において、前記活物質層が位置する領域を第1領域とし、前記第1領域の外側の領域を第2領域とした場合、
前記固体電解質層は、前記平面視における前記活物質層の外側を覆い、前記第2領域において前記集電体と接しており、
前記集電体又は前記固体電解質層は、前記第2領域において、前記平面視でライン状の少なくとも1つの構造欠陥部を有し、
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、ライン状に配列された複数の孔である、
池。
【請求項3】
電極層と、
前記電極層と対向して配置された対極層と、
前記電極層と前記対極層との間に位置する固体電解質層と、
を備え、
前記電極層は、
集電体と、
前記集電体と前記固体電解質層との間に位置し、前記集電体及び前記固体電解質層よりも平面視における面積が小さい活物質層と、
を有し、
前記平面視において、前記活物質層が位置する領域を第1領域とし、前記第1領域の外側の領域を第2領域とした場合、
前記固体電解質層は、前記平面視における前記活物質層の外側を覆い、前記第2領域において前記集電体と接しており、
前記集電体又は前記固体電解質層は、前記第2領域において、前記平面視でライン状の少なくとも1つの構造欠陥部を有し、
前記集電体は、
前記活物質層と接する集電体層と、
前記集電体層の前記活物質層と対向する面とは反対側の面と接する基板と、
を有し、
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記基板に形成されている、
池。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記基板の前記集電体層と対向する面とは反対側の面に形成されている、
請求項記載の電池。
【請求項5】
前記集電体は、さらに、
前記第1領域に位置し、前記基板の前記集電体層と対向する面とは反対側の面と接する補助基板を有する、
請求項3又は4記載の電池。
【請求項6】
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、ライン状の溝である、
請求項3から5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、複数の構造欠陥部を含み、
前記各構造欠陥部は、前記平面視において、前記第1領域の外周に沿って形成されている、
請求項1からのいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記平面視において、前記第1領域の外周を囲うように形成されている、
請求項1からのいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記少なくとも1つの構造欠陥部の端部の少なくとも一方は、前記平面視において、前記集電体又は前記固体電解質層の外周と一致する、
請求項1からのいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記固体電解質層に形成されている、
請求項1からのいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記固体電解質層の前記集電体と対向する面に形成されている、
請求項10記載の電池。
【請求項12】
前記固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質を含む、
請求項1から11のいずれか1項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、集電体に溝が設けられた全固体電池が開示されている。また、特許文献2には、集電体に切れ目が形成されている非水電解質電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-080214号公報
【文献】特開2001-266894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、信頼性の高い電池が求められている。
【0005】
そこで、本開示は、電池の信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る電池は、
電極層と、
前記電極層と対向して配置された対極層と、
前記電極層と前記対極層との間に位置する固体電解質層と、
を備え、
前記電極層は、
集電体と、
前記集電体と前記固体電解質層との間に位置し、前記集電体及び前記固体電解質層よりも平面視における面積が小さい活物質層と、
を有し、
前記平面視において、前記活物質層が位置する領域を第1領域とし、前記第1領域の外側の領域を第2領域とした場合、
前記固体電解質層は、前記平面視における前記活物質層の外側を覆い、前記第2領域において前記集電体と接しており、
前記集電体又は前記固体電解質層は、前記第2領域において、前記平面視でライン状の少なくとも1つの構造欠陥部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電池の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1に係る電池の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態1の変形例1に係る電池の概略構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態1の変形例2に係る電池の概略構成を示す図である。
図4図4は、実施の形態1の変形例3に係る電池の概略構成を示す図である。
図5図5は、実施の形態1の変形例4に係る電池の概略構成を示す図である。
図6図6は、実施の形態1の変形例5に係る電池の概略構成を示す図である。
図7図7は、実施の形態1のその他の変形例に係る構造欠陥部の例を示す断面図である。
図8図8は、実施の形態2に係る積層電池の例を示す断面図である。
図9図9は、実施の形態2に係る積層電池の別の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の概要)
本開示の一態様における電池は、
電極層と、
前記電極層と対向して配置された対極層と、
前記電極層と前記対極層との間に位置する固体電解質層と、
を備え、
前記電極層は、
集電体と、
前記集電体と前記固体電解質層との間に位置し、前記集電体及び前記固体電解質層よりも平面視における面積が小さい活物質層と、
を有し、
前記平面視において、前記活物質層が位置する領域を第1領域とし、前記第1領域の外側の領域を第2領域とした場合、
前記固体電解質層は、前記平面視における前記活物質層の外側を覆い、前記第2領域において前記集電体と接しており、
前記集電体又は前記固体電解質層は、前記第2領域において、前記平面視でライン状の少なくとも1つの構造欠陥部を有する。
【0010】
これにより、電池の集電体又は固体電解質層が、平面視における活物質層の外側の第2領域に構造欠陥部を有する。そのため、電池に外的な衝撃又は応力が加わった場合に、電池は、活物質層が位置する第1領域よりも先に、選択的に、第2領域に位置する構造欠陥部で破損し、折れ曲がりやすい。よって、外部からの応力が活物質層に及びにくくなるため、活物質層の破損が抑制される。その結果、活物質層を含む発電要素の部位は保護され、電極層の活物質層が対極層と接触することによる電池の短絡及び焼損が抑制される。よって、電池の信頼性が向上する。
【0011】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、ライン状の溝であってもよい。
【0012】
これにより、溝の深さ、ライン状に形成された溝の長さ、及び本数などによって、構造欠陥部において破損する際の、強度、形状及び方向などが容易に調整される。
【0013】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、ライン状に配列された複数の孔であってもよい。
【0014】
これにより、複数の孔の、形状、深さ及び数などによって、構造欠陥部において破損する際の、強度、形状及び方向などが容易に調整される。
【0015】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、ライン状の割れ目であってもよい。
【0016】
これにより、構造欠陥部の形成のために、割れ目を入れるだけでよいことから、材料を削り出す必要がなく、容易に構造欠陥部を形成することができる。
【0017】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記平面視において、前記第1領域の外周に沿って複数形成されていてもよい。
【0018】
これにより、構造欠陥部が複数形成されているため、電池に外的な衝撃又は応力が加わった場合に、電池は、より選択的に構造欠陥部で折れ曲がりやすくなる。
【0019】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記平面視において、前記第1領域の外周を囲うように形成されていてもよい。
【0020】
これにより、平面視において活物質層が構造欠陥部に囲まれるため、電池への広範囲の外部応力方向に対して、電池は、選択的に構造欠陥部において折れ曲がりやすくなる。
【0021】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部の端部の少なくとも一方は、前記平面視において、前記集電体又は前記固体電解質層の外周と一致していてもよい。
【0022】
これにより、構造欠陥部が、集電体又は固体電解質層の外周まで延びるように形成されているため、電池に外的な衝撃又は応力が加わった場合に、電池は、構造欠陥部の端部を起点として、破損しやすくなり、より選択的に構造欠陥部で折れ曲がりやすくなる。
【0023】
また、例えば、前記集電体は、前記活物質層と接する集電体層と、前記集電体層の前記活物質層と対向する面とは反対側の面と接する基板と、を有し、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記基板に形成されていてもよい。
【0024】
これにより、集電体が基板を有しているため、基板により電池が構造面で強固になる。よって、電池の信頼性がより向上する。
【0025】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記基板の前記集電体層と対向する面とは反対側の面に形成されていてもよい。
【0026】
これにより、外部からの応力等により、構造欠陥部において基板が折れ曲がった場合に、基板の折れ曲がり部の先端が電池の外部方向側に向きやすい。そのため、基板が折れ曲がって割れた場合の、基板破片の電池内部への侵入が抑制される。よって、さらに電池の短絡が抑制され、電池の信頼性がより向上する。
【0027】
また、例えば、前記集電体は、さらに、前記第1領域に位置し、前記基板の前記集電体層と対向する面とは反対側の面と接する補助基板を有してもよい。
【0028】
これにより、第1領域に位置する活物質層が、補助基板によってより確実に保護される。そのため、電池に外的な衝撃又は応力が加わった場合に、構造欠陥部でより選択的に折れ曲がりやすくなる。よって、電池の信頼性がより向上する。
【0029】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記固体電解質層に形成されていてもよい。
【0030】
これにより、電池が基板を有さない場合であっても、電池に外的な衝撃又は応力が加わった場合に、電池は、活物質層が位置する第1領域よりも先に、選択的に、第2領域における固体電解質に形成された構造欠陥部で破損し、折れ曲がる。よって、外部からの応力が活物質層に及びにくくなるため、活物質層の破損が抑制される。その結果、活物質層を含む発電要素の部位は保護され、電極層の活物質層が対極層と接触することによる電池の短絡及び焼損が抑制される。よって、電池の信頼性を向上できる。また、電池が構造欠陥部を形成容易な基板を有する必要がなくなる。よって、発電に寄与しない基板を有していなくてよいため、電池のエネルギー密度を高めることができる。
【0031】
また、例えば、前記少なくとも1つの構造欠陥部は、前記固体電解質層の前記集電体と対向する面に形成されていてもよい。
【0032】
これにより、電池に外的な衝撃又は応力が加わった場合に、固体電解質層の集電体と対向する面に形成された構造欠陥部を起点にして破損されやすくなるため、電池は、より選択的に、構造欠陥部で折れ曲がりやすくなる。よって、電池の信頼性がより向上する。
【0033】
また、例えば、前記固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質を含んでもよい。
【0034】
これにより、固体電解質を含むリチウムイオン電池において、電池の信頼性を向上させることができる。
【0035】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0036】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0037】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0038】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0039】
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、z軸方向を電池の厚み方向としている。また、z軸の正の方向をz軸方向上側とし、z軸の負の方向をz軸方向下側としている。また、本明細書において、「厚み方向」とは、各層が積層された面に垂直な方向のことである。
【0040】
また、本明細書において「平面視」とは、電池における積層方向に沿って電池を見た場合を意味し、本明細書における「厚み」とは、電池及び各層の積層方向の長さである。
【0041】
また、本明細書において「内側」及び「外側」などにおける「内」及び「外」とは、電池における積層方向に沿って電池を見た場合における内、外のことである。
【0042】
また、本明細書において、電池の構成における「上」及び「下」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0043】
(実施の形態1)
[積層電池の概要]
まず、本実施の形態に係る電池について説明する。
【0044】
図1は、本実施の形態に係る電池の概略構成を示す図である。具体的には、図1の(a)は、本実施の形態に係る電池1000の断面図であり、図1の(b)は、電池1000をz軸方向下側から見た平面視図である。図1の(a)には、図1の(b)のI-I線で示される位置での断面が示されている。
【0045】
図1に示されるように、電池1000は、電極層100と、電極層100と対向して平行に配置された対極層200と、電極層100と対極層200との間に位置する固体電解質層300と、を備える。電池1000は、例えば、全固体電池である。
【0046】
電極層100は、電極集電体120と、電極集電体120と固体電解質層300との間に位置し、電極集電体120及び固体電解質層300よりも平面視における面積が小さい電極活物質層110と、を有する。電極集電体120は、電極活物質層110と接する電極集電体層150と、電極集電体層150の電極活物質層110と対向する面とは反対側の面と接する基板160と、を有する。なお、本明細書において、電極集電体120及び以下で説明する本開示に係る各種電極集電体は集電体の一例であり、電極活物質層110及び以下で説明する本開示に係る各種電極活物質層は活物質層の一例であり、電極集電体層150及び以下で説明する本開示に係る各種電極集電体層は集電体層の一例である。
【0047】
対極層200は、固体電解質層300を介して、電極層100に対向して配置され、電極層100の対極となる層である。対極層200は、対極集電体220と、対極集電体220と固体電解質層300との間に位置し、対極集電体220及び固体電解質層300よりも平面視における面積が小さい対極活物質層210と、を有する。対極集電体220は、対極活物質層210と接する対極集電体層250を有する。
【0048】
つまり、電池1000は、基板160、電極集電体層150、電極活物質層110、固体電解質層300、対極活物質層210及び対極集電体層250が、この順で積層された構造を有する。基板160、電極集電体層150、電極活物質層110、固体電解質層300、対極活物質層210及び対極集電体層250は、平面視で矩形状である。
【0049】
以下では、平面視において、電極活物質層110が位置する領域を第1領域10とし、第1領域10の外側の領域を第2領域20とした場合について説明する。つまり、平面視において、電極活物質層110が位置する領域が第1領域10であり、第1領域10の外側の領域が第2領域20である。
【0050】
本実施の形態において、電極層100及び対極層200のうち、例えば、一方が正極活物質層と正極集電体層を有する正極集電体とを有する正極層であり、他方が負極活物質層と負極集電体層を有する負極集電体とを有する負極層である。よって、(a)電極層100、電極活物質層110、電極集電体120及び電極集電体層150、並びに、(b)対極層200、対極活物質層210、対極集電体220及び対極集電体層250のうち、一方が正極層、正極活物質層、正極集電体及び正極集電体層であり、他方が負極層、負極活物質層、負極集電体及び負極集電体層である。以下では、正極活物質層及び負極活物質層を、単に、「活物質層」と称する場合がある。また、正極集電体及び負極集電体を、単に、「集電体」と称する場合がある。また、正極集電体層及び負極集電体層を、単に、「集電体層」と称する場合がある。
【0051】
電極活物質層110の下面は電極集電体120の電極集電体層150と接しており、電極活物質層110の上面は固体電解質層300と接している。電極活物質層110は、固体電解質層300を挟んで、対極活物質層210と対向し、電極活物質層110、対極活物質層210及び固体電解質層300は電池1000における発電要素部となる。また、電極活物質層110は、側面も固体電解質層300と接している。電極活物質層110は、平面視において、対極活物質層210と同じ位置である。また、電極活物質層110は、平面視において、固体電解質層300、電極集電体層150、基板160及び対極集電体層250よりも面積が小さい。電極活物質層110は、平面視において、固体電解質層300、電極集電体層150、基板160及び対極集電体層250の内側に位置する。
【0052】
対極活物質層210の上面は対極集電体220の対極集電体層250と接しており、対極活物質層210の下面は固体電解質層300と接している。また、対極活物質層210は、側面も固体電解質層300と接している。対極活物質層210は、平面視において、電極活物質層110と同じ位置である。また、対極活物質層210は、平面視において、固体電解質層300、電極集電体層150、基板160及び対極集電体層250よりも面積が小さい。対極活物質層210は、平面視において、固体電解質層300、電極集電体層150、基板160及び対極集電体層250の内側に位置する。
【0053】
上述のように、電池1000において、電極活物質層110及び対極活物質層210のうち、例えば、一方が正極活物質層であり、他方が負極活物質層である。
【0054】
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含む。つまり、正極活物質層は、主に、正極活物質などの正極材料から構成される層である。正極活物質は、負極よりも高い電位で結晶構造内にリチウム(Li)又はマグネシウム(Mg)などの金属イオンが挿入又は離脱され、それに伴って酸化又は還元が行われる物質である。正極活物質の種類は、電池の種類に応じて適宜選択することができ、公知の正極活物質が用いられうる。正極活物質は、リチウムと遷移金属元素とを含む化合物が挙げられ、例えば、リチウムと遷移金属元素を含む酸化物、及び、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。リチウムと遷移金属元素を含む酸化物としては、例えば、LiNi1-x(ここで、Mは、Co、Al、Mn、V、Cr、Mg、Ca、Ti、Zr、Nb、Mo及びWのうち少なくとも1つの元素であり、xは、0<x≦1である)などのリチウムニッケル複合酸化物、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等の層状酸化物及びスピネル構造を持つマンガン酸リチウム(LiMn、LiMnO、LiMO)などが用いられる。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、オリビン構造を持つリン酸鉄リチウム(LiFePO)などが用いられる。また、正極活物質には、硫黄(S)、硫化リチウム(LiS)などの硫化物を用いることもでき、その場合、正極活物質粒子に、ニオブ酸リチウム(LiNbO)などをコーティング、又は、添加したものを正極活物質として用いることができる。なお、正極活物質には、これらの材料の1種のみが用いられてもよいし、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0055】
上述のとおり、正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含んでいればよい。正極活物質層は、正極活物質と他の添加材料との合剤から構成される合剤層であってもよい。添加材料としては、例えば、無機系固体電解質又は硫化物系固体電解質などの固体電解質、アセチレンブラックなどの導電助材、ポリエチレンオキシド又はポリフッ化ビニリデンなどの結着用バインダーなどが用いられうる。正極活物質層は、正極活物質と固体電解質などの他の添加材料とを所定の割合で混合することにより、正極活物質層内でのイオン導電性を向上させることができるとともに、電子伝導性をも向上させることができる。
【0056】
正極活物質層の厚みは、例えば、5μm以上300μm以下である。
【0057】
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含む。つまり、負極活物質層は、主に、負極活物質などの負極材料から構成される層である。負極活物質は、正極よりも低い電位で結晶構造内にリチウム(Li)又はマグネシウム(Mg)などの金属イオンが挿入又は離脱され、それに伴って酸化又は還元が行われる物質をいう。負極活物質の種類は、電池の種類に応じて適宜選択することができ、公知の負極活物質が用いられうる。負極活物質は、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維又は樹脂焼成炭素などの炭素材料、及び、固体電解質と合剤化される合金系材料などが用いられうる。合金系材料としては、例えば、LiAl、LiZn、LiBi、LiCd、LiSb、LiSi、Li4.4Pb、Li4.4Sn、Li0.17C、LiCなどのリチウム合金、チタン酸リチウム(LiTi12)などのリチウムと遷移金属元素との酸化物、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化ケイ素(SiO)などの金属酸化物などが用いられうる。なお、負極活物質には、これらの材料の1種のみが用いられてもよいし、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0058】
上述のとおり、負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含んでいればよい。負極活物質層は、負極活物質と他の添加材料との合剤から構成される合剤層であってもよい。添加材料としては、例えば、無機系固体電解質又は硫化物系固体電解質などの固体電解質、アセチレンブラックなどの導電助材、及び、ポリエチレンオキシド又はポリフッ化ビニリデンなどの結着用バインダーなどが用いられうる。負極活物質層は、負極活物質と固体電解質などの他の添加材料とを所定の割合で混合することにより、負極活物質層内でのイオン導電性を向上させることができるとともに、電子伝導性をも向上させることできる。
【0059】
負極活物質層の厚みは、例えば、5μm以上300μm以下である。
【0060】
電極集電体120は、電極活物質層110から電流を取り出すために用いられる集電体であり、対極集電体220は、対極活物質層210からの電流を取り出すために用いられる集電体である。
【0061】
電極集電体120は、導電性を有する電極集電体層150及び電極集電体層150を支持する基板160で構成されている。外部と接続するためのリード線等は、電極集電体層150に取り付けられてもよく、基板160に取り付けられてもよい。詳細は後述するが、電極集電体120は、第2領域20において、平面視でライン状の構造欠陥部700を有する。具体的には、構造欠陥部700は、基板160に形成されている。
【0062】
対極集電体220は、導電性を有する対極集電体層250のみから構成されている。
【0063】
電極集電体層150と基板160と対極集電体層250とは、平面視において同じ位置である。
【0064】
上述のように、電池1000において、電極集電体層150及び対極集電体層250のうち、例えば、一方が正極集電体層であり、他方が負極集電体層である。正極集電体層及び負極集電体層は、導電性を有する材料で形成されていればよく、特に限定されない。集電体層は、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、銅、パラジウム、金及び白金、又は、これらの2種以上の合金などからなる箔状体、板状体若しくは網目状体などが用いられてもよい。集電体層の材料は、製造プロセス、使用温度、及び使用圧力で溶融及び分解しないこと、並びに、集電体層にかかる電池動作電位及び導電性を考慮して適宜選択されればよい。また、集電体層の材料は、要求される引張強度及び耐熱性に応じても選択されうる。集電体層は、高強度電解銅箔、又は、異種金属箔を積層したクラッド材であってもよい。集電体層の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下である。
【0065】
基板160は、板状の基板である。基板160の材料は、例えば、アルミナなどのセラミックス、又は、樹脂などである。基板160の主材料がセラミックスであるセラミックス基板である場合、セラミックス基板の材料としては、アルミナを主成分とした材料、ムライト、ジルコニア、窒化物系セラミックス及び酸化亜鉛(ZnO)などが使用されうる。また、基板160には、主材料が樹脂である樹脂基板、又は、樹脂基板にセラミックス基板を貼り合わせた基板を使用することも出来る。
【0066】
基板160は、一般的な基板とは異なり、外部の応力によって、破損して折れ曲がりやすく、その結果、分割されやすい機構を有する基板である。基板160には、破損しやすい箇所である構造欠陥部700としてライン状の溝が形成されている。つまり、基板160は、選択的に構造欠陥部700で折れ曲がりやすい。構造欠陥部700は、平面視において、ライン状の溝である。構造欠陥部700は、平面視において、ミシン目状の孔などのライン状の複数の孔であってもよい。
【0067】
基板160の上面及び下面は導電性を有していてもよい。基板160の上面と下面とが、例えば、ビアホール又はスルーホールを基板に形成した導体を介して電気的に接続することにより、基板160は端子電極として機能する。また、基板160の側面も導電性を有していてもよい。また、基板160は、導体で形成されていてもよい。
【0068】
電池1000においては、基板160の電極集電体層150と対向する面は、電極集電体層150と接合されている。言い換えると、基板160の上面が、電極集電体層150のz軸方向の下面と接合されている。なお、図1において、電極集電体120が基板160を有しているが、対極集電体220が基板160を有していてもよい。また、電極集電体120及び対極集電体220がいずれも基板160を有していてもよい。
【0069】
図示されていないが、基板160と電極集電体層150との接合部には、低抵抗の導体が用いられてもよい。例えば、基板160と電極集電体層150との接合に用いられる導体としては、銀などの導電性金属粒子を含む導電性樹脂(導体ペースト)を硬化したものが用いられる。導電性樹脂としては、電池1000の使用温度範囲及び製造プロセスにおいて、導電性及び接合性が確保できる材料であればよい。また、基板160と電極集電体層150とは、半田又は導電性のテープで接合されていてもよい。また、基板160と電極集電体層150とは、電極集電体層150に用いられる材料により接合されていてもよい。また、基板160と電極集電体層150とは、熱溶着又は圧着などにより直接接合されてもよい。基板160と電極層100との接合部は、使用環境下で要求される、最大レートで電流を流したときに、寿命特性及び電池特性に影響を与えない耐久性を有する構成(厚み)及び材料であればよい。
【0070】
基板160には、電極集電体層150と比較して、両者の接合時の加圧で変形しにくい材料が用いられてもよい。つまり、基板160は、電極集電体層150よりも硬くてもよい。この構成により、接合圧力を加えたときに、基板平面に沿って電極集電体層150が変形されて密着し、電池1000に外部応力が加わった場合に、剥離することなく、接合した状態が維持されやすいため、電池1000は、基板160の構造欠陥部700で選択的に折れ曲がりやすくなる。
【0071】
また、電池1000において、基板160の材料は、電極集電体層150と同じ材料を含んでいてもよい。また、基板160の電極集電体層150と対向する面には、電極集電体層150と同じ材料のパターンが形成されていてもよい。これにより、基板160と電極集電体層150との熱膨張係数差の調整ができるため、冷熱サイクルによる基板160と電極集電体層150と接合界面の剥離等が抑制され、接合信頼性をより高めることができる。これにより、冷熱サイクルを経ても、基板160と電極集電体層150とが剥離することなく、接合した状態を維持されやすく、電池1000に外部応力が加わった場合に、基板160の構造欠陥部700で選択的に折れ曲がりやすくなる。
【0072】
さらに、基板160の機能及び構造欠陥部700について、より詳細に説明する。基板160は、通常は、電池1000を保護し、電池1000を構造的に強化している。また、基板160には、外部からの応力で破損しやすい構造欠陥部700として平面視でライン状に溝が形成されている。より詳細には、基板160の電極集電体層150と対向する面とは反対側の面には、溝加工された折り曲げ及び分割用の構造欠陥部700が、第1領域10の外周に沿って、ライン状に複数形成されている。そのため、基板160は、外部からの応力により、構造欠陥部700で破損し、折れ曲がりやすい。
【0073】
このように、基板160の電極集電体層150と対向する面とは反対側の面に構造欠陥部700が形成されていることにより、電池1000に外的な応力が加わった場合、基板160は、電池1000の電極活物質層110及び対極活物質層210が破損するよりも先に、第2領域20に形成された構造欠陥部700で、電池1000の内部に入り込まない方向に、選択的に折れ曲がり、分割されやすい。これにより、外部からの応力が電極活物質層110及び対極活物質層210に及びにくくなるため、電極活物質層110及び対極活物質層210の破損が抑制される。その結果、電極活物質層110と対極活物質層210とが接触することによる短絡が抑制されることとなる。
【0074】
構造欠陥部700は、平面視における基板160の外周まで、両方の端部が延びるように形成されている。言い換えると、構造欠陥部700の端部は、いずれも、平面視において、電極集電体層150、基板160及び固体電解質層300の外周と一致している。これにより、外部から応力が加えられた場合に、構造欠陥部700の端部を起点として、基板160が破損しやすくなる。なお、構造欠陥部700は、平面視における基板160の外周まで、一方の端部が延びるように形成されていてもよい。
【0075】
構造欠陥部700は、例えば、第1領域10における電池1000の抗折強度よりも、第2領域20における基板160の抗折強度が小さくなるように形成されている。また、構造欠陥部700は、第1領域10における電池1000の抗折強度よりも、第2領域20における電池1000の抗折強度が小さくなるように形成されていてもよい。また、構造欠陥部700は、電池1000の電極活物質層110、対極活物質層210及び固体電解質層300からなる発電要素部の抗折強度よりも、第2領域20における基板160の抗折強度が小さくなるように形成されていてもよい。
【0076】
抗折強度の値は、セラミックスの一般的な3点曲げ等の抗折強度測定を行うことにより測定され、それぞれの箇所の抗折強度は、値の相対関係に基づいて設定される。したがって、例えば、個別に基板160と電池1000の発電要素部との抗折強度を測定して、抗折強度を設定する。このように、電池1000に外的な応力が加わった場合に、選択的に折り曲げたい箇所と、保護したい箇所は設定される。
【0077】
また、構造欠陥部700は、図1に示されるように、複数形成されてもよい。これにより、構造欠陥部700での破損の位置、及び、基板160の構造欠陥部700における抗折強度の調整が可能である。図1では、構造欠陥部700は、平面視において、第1領域10の矩形を構成する各辺に沿って、2つずつ形成されているが、これに限らず、1つずつ形成されてもよく、2つ以上形成されてもよい。また、構造欠陥部700は、第1領域10の矩形を構成する全ての辺に沿って形成されていなくてもよく、少なくとも1つの辺に沿って形成されていてもよい。
【0078】
また、構造欠陥部700は、図1に示されるように、平面視において、第1領域10の外周に沿って形成されていてもよい。これにより、構造欠陥部が第1領域10の外周に沿っているため、電池が構造欠陥部700で折れ曲がった際の影響が、電極活物質層110及び対極活物質層210に及びにくい。また、構造欠陥部700は、図1に示されるように、平面視において、第1領域10の外周を囲うように形成されていてもよい。これにより、発電要素部の電極活物質層110及び対極活物質層210が構造欠陥部700に囲まれるため、電池1000への広範囲の外部応力方向に対して、電池1000は、構造欠陥部700で折れ曲がりやすくなり、発電要素部を保護することができる。
【0079】
構造欠陥部700である溝の断面の形状は、V字状、U字状、半円状又は凹形状(角ばったU字形状)等に加工されうる。溝の断面形状、溝の深さ、ライン状に形成された溝の長さ、及び本数などによって、構造欠陥部700において破損する際の、強度、形状及び方向などが容易に調整される。
【0080】
構造欠陥部700である溝は、基板160の平坦面が局所的に凹んだ箇所である。溝の幅は、例えば、5μm以上100μm以下である。また、溝の深さは、例えば、基板160の厚みに対して5%以上50%以下である。溝の幅及び深さが、当該範囲にあることで、電池1000は、構造欠陥部700で、選択的に折れ曲がりやすい。
【0081】
構造欠陥部700は、平面視でライン状の溝に限られず、例えば、ライン状に孔加工されたライン状に配列された複数の孔であってもよい。また、構造欠陥部700は、ライン状の割れ目であってもよい。構造欠陥部700は、基板160を構成する材料の不連続な場所が列状に並でいる箇所である。列状に並んだ不連続な場所は、連続的に列状に並んでいてもよく、連続していない箇所があってもよい。
【0082】
なお、構造欠陥部700を構成する溝は、基板160の電極活物質層110と対向する面とは反対側の面、すなわち基板160の下面以外にも、基板160の電極活物質層110と対向する面、すなわち基板160の上面にも形成されていてもよい。その場合、基板160の下面に形成される溝が、基板160の上面に形成される溝よりも深くてもよい。また、例えば、基板160の下面の溝が断面V字状で形成され、基板160の上面の溝が断面凹形状で形成されるなど、基板160の上下面で異なる形状で溝が形成されてもよい。
【0083】
構造欠陥部700の形成方法としては、例えば、ダイシングカッター又はダイヤモンドカッターによって形成する方法が挙げられる。また、構造欠陥部700の形成方法は、レーザー加工によって溝又は孔を形成する方法であってもよい。
【0084】
以上のように、基板160に構造欠陥部700が形成されることにより、電池1000に強い外的な衝撃又は応力が加わった場合に、電池1000は、選択的に、第2領域20において基板160に形成された構造欠陥部700で破損し、折れ曲がりやすい。つまり、平面視における電極活物質層110及び対極活物質層210などを含む発電要素部の外側で、電池1000が折れ曲がりやすい。これにより、電極活物質層110及び対極活物質層210の破損が抑制され、電極活物質層110と対極活物質層210との接触による電池1000の短絡及び焼損が抑制される。よって、高い安全性の電池1000を実現できる。特に、電池の破損の生じやすい大面積及び薄層化した電池であっても高い安全性が実現できる。
【0085】
固体電解質層300は、平面視における電極活物質層110及び対極活物質層210の外側を覆い、第2領域20において、電極集電体120及び対極集電体220と接している。具体的には、固体電解質層300は、第1領域10に位置する第1固体電解質層400と、第2領域20に位置する第2固体電解質層500と、を有する。固体電解質層300は、リチウムイオン等のイオンを伝導する層である。
【0086】
第1固体電解質層400は、電極活物質層110及び対極活物質層210の間に位置し、電極活物質層110及び対極活物質層210と接している。第1固体電解質層400は、平面視において、電極活物質層110及び対極活物質層210と同じ位置である。
【0087】
第2固体電解質層500は、平面視における電極活物質層110及び対極活物質層210の外側を覆い、第2領域20において、電極集電体120及び対極集電体220と接している。
【0088】
なお、第1固体電解質層400と第2固体電解質層500とは、分離して形成されていてもよく、一体となって固体電解質層300を形成していてもよい。また、第1固体電解質層400と第2固体電解質層500とは、同じ材料で構成されていてもよく、異なる材料で構成されていてもよい。
【0089】
固体電解質層300は、少なくとも固体電解質を含む。固体電解質層300は、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質を含んでいてもよい。具体的には、第1固体電解質層400及び第2固体電解質層500は、いずれも固体電解質を含んでいてもよい。なお、固体電解質層300のうち、第1固体電解質層400は固体電解質を含む層であり、第2固体電解質層500は固体電解質を含まない層であてもよい。その場合、例えば、第2固体電解質層500は、樹脂等の封止部材で構成されていてもよい。封止部材としては、例えば、公知の電池用の封止部材が用いられる。
【0090】
固体電解質は、イオン導電性を有する公知の電池用の固体電解質であればよく、例えば、リチウムイオン及びマグネシウムイオンなどの金属イオンを伝導する固体電解質が用いられうる。固体電解質は、伝導イオン種に応じて適宜選択すればよく、例えば、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、またはハロゲン化物固体電解質などの無機系固体電解質が用いられうる。硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS-P系、LiS-SiS系、LiS-B系、LiS-GeS系、LiS-SiS-LiI系、LiS-SiS-LiPO系、LiS-Ge系、LiS-GeS-P系、LiS-GeS-ZnS系などのリチウム含有硫化物が用いられうる。これらの硫化物系固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する。酸化物系固体電解質としては、例えば、LiO-SiO、LiO-SiO-Pなどのリチウム含有金属酸化物、Li1-zなどのリチウム含有金属窒化物、リン酸リチウム(LiPO)、及び、リチウムチタン酸化物などのリチウム含有遷移金属酸化物などが用いられうる。これらの酸化物系固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する。固体電解質としては、これらの材料の1種のみが用いられてもよいし、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0091】
固体電解質層300は、上記固体電解質に加えて、ポリエチレンオキシド又はポリフッ化ビニリデンなどの結着用バインダーなどを含んでもよい。
【0092】
固体電解質層300の厚みは、例えば、5μm~150μmである。
【0093】
固体電解質層300は、固体電解質の粒子の凝集体として構成されていてもよい。また、固体電解質層300は、固体電解質の焼結組織で構成されていてもよい。
【0094】
以上の構成によれば、電池1000は、第2領域20において、平面視でライン状の構造欠陥部700を有する電極集電体120を備える。具体的には、構造欠陥部700は、第2領域20において、電極集電体120が有する基板160に形成されている。これにより、外的な応力が電池1000に加わった場合でも、電池1000は、選択的に、電極活物質層110及び対極活物質層210の外側に位置する第2領域20において基板160に形成された構造欠陥部700で折れ曲がりやすくなる。そのため、外的な応力が電極活物質層110及び対極活物質層210に及びにくくなり、電極活物質層110及び対極活物質層210の破損が抑制される。その結果、電極活物質層110と対極活物質層210との接触による電池の短絡及び焼損が抑制される。よって、電池1000の信頼性が向上する。特に、電池の破損の生じやすい大面積及び薄層化した電池の信頼性を向上することができるため、高エネルギー密度、かつ、高い信頼性の大容量電池を実現できる。
【0095】
すなわち、以上の構成によれば、大面積及び薄層化した電池が、外部から大きな応力が加わって破損してしまう場合、発電要素部の外側の第2領域20で選択的に折れ曲がって、分割されやすい。これにより、電池の短絡を抑制することができる。これにより、高い安全性を有し、大型かつ薄型の電池が実現できる。
【0096】
上記では、電極集電体層150と基板160とが接して配置される場合について、説明したが、対極集電体層250と基板160とが接して配置される場合でも同様の機構により、上述の効果が得られる。つまり、図1においては、電極集電体120が構造欠陥部700を有していたが、対極集電体220が構造欠陥部700を有していてもよい。
【0097】
本実施の形態に係る電池1000の構成と、特許文献1及び特許文献2に記載の電池の構成と、を比較すると、下記の差異がある。
【0098】
特許文献1には、上記集電体層に対応する集電体に溝が設けられている。しかしながら、基板を有しておらず、金属からなる集電体に設けられた溝では、固体電解質及び活物質層よりも薄く、さらに、集電体が塑性変形性を有するため、溝部分が、他の部分と比べて顕著に折れ曲がりやすくならず、電池は、選択的に溝部分で折れ曲がることができない。また、溝は、平面視において、発電要素部と重なる位置に形成されている。このため、強い外部応力が印加された場合に、溝部分で折れ曲がったとしても、発電要素部が破損してしまう。その結果、活物質層同士が接触し、電池が短絡及び焼損する危険性がある。
【0099】
特許文献2には、上記集電体層に対応する集電体に切れ目が形成されている非水電解質電池が開示されている。この切れ目は、その部位で任意に屈曲性を与えるためのものである。つまり、この切れ目は、屈曲性を有さない全固体電池における、発電要素部を保護するための構造欠陥部700とは本質的に異なるものである。このため、全固体電池の集電体に切れ目を設けても、発電要素部を破損させる危険性があり、応力に対する信頼性にやはり課題がある。
【0100】
これらに対して、本実施の形態に係る電池1000によれば、上述のような問題が生じることはない。また、特許文献1及び特許文献2には、本実施の形態に記載の、構造欠陥部700によって、電池1000の電極活物質層110及び対極活物質層210を含む発電要素部を保護するような構成は、開示も示唆もされていない。
【0101】
[変形例1]
以下では、実施の形態1の変形例1について説明する。なお、以下の変形例1の説明において、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0102】
図2は、実施の形態1の変形例1に係る電池の概略構成を示す図である。具体的には、図2の(a)は、本変形例に係る電池1100の断面図であり、図2の(b)は、電池1100をz軸方向下側から見た平面視図である。図2の(a)には、図2の(b)のII-II線で示される位置での断面が示されている。
【0103】
図2に示されるように、実施の形態1の変形例1に係る電池1100は、実施の形態1における電池1000と比較して、対極集電体220の代わりに対極集電体221を備え、対極集電体221にも構造欠陥部701が形成されている点が異なる。対極集電体221は、構造欠陥部701が形成された基板260を有する。
【0104】
電池1100は、電極層100と、電極層100と対向して平行に配置された対極層201と、電極層100と対極層201との間に位置する固体電解質層300とを備える。対極層201は、対極活物質層210と、対極集電体221とを有する。対極集電体221は、対極活物質層210と接する対極集電体層250と、対極集電体層250の対極活物質層210と対向する面とは反対側の面と接する基板260とを有する。つまり、電池1100は、基板160、電極集電体層150、電極活物質層110、固体電解質層300、対極活物質層210、対極集電体層250及び基板260が、この順で積層された構造を有する。
【0105】
対極活物質層210の上面は対極集電体221の対極集電体層250と接しており、対極活物質層210の下側面が固体電解質層300と接している。
【0106】
対極集電体221は、導電性を有する対極集電体層250及び対極集電体層250を支持する基板260で構成されている。電極集電体120は、第2領域20において、ライン状の構造欠陥部701を有する。具体的には、構造欠陥部701は、基板260に形成されている。構造欠陥部701は、平面視において、構造欠陥部700と同じ位置に形成されている。
【0107】
なお、基板260の材料、基板260と対極集電体層250との接合、及び、構造欠陥部701等の対極集電体221の詳細については、実施の形態1における電極集電体120の電極集電体層150及び基板160についての説明と同様であることから、説明を省略する。
【0108】
以上のように、電池1100においては、電極集電体120が基板160を有し、対極集電体221が基板260を有する。これにより、電池1100における上下面が基板160及び基板260によって保護されるため、電池1100の信頼性がより高まる。また、基板260にも構造欠陥部701が形成されていることから、外的な応力が対極集電体211側から電池1100に加わった場合でも、電池1100は、電極活物質層110及び対極活物質層210の外側に位置する第2領域20において、選択的に折れ曲がりやすくなる。そのため、外的な応力が電極活物質層110及び対極活物質層210に及びにくくなり、電極活物質層110及び対極活物質層210の破損が抑制される。その結果、電極活物質層110及び対極活物質層210の接触による電池1100の短絡及び焼損が抑制される。よって、電池1100の信頼性が向上する。
【0109】
[変形例2]
以下では、実施の形態1の変形例2について説明する。なお、以下の変形例2の説明において、実施の形態1及び実施の形態1の変形例1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0110】
図3は、実施の形態1の変形例2に係る電池の概略構成を示す図である。具体的には、図3の(a)は、本変形例に係る電池1200の断面図であり、図3の(b)は、電池1200をz軸方向下側から見た平面視図である。図3の(a)には、図3の(b)のIII-III線で示される位置での断面が示されている。
【0111】
図3に示されるように、実施の形態1の変形例2に係る電池1200は、実施の形態1の変形例1における電池1100と比較して、電極集電体120の代わりに電極集電体122を備え、電極集電体122が補助基板170を有する点が異なる。すなわち、第1領域10における基板が厚くなっている。
【0112】
電池1200は、電極層102と、電極層102と対向して平行に配置された対極層201と、電極層102と対極層201との間に位置する固体電解質層300と、を備える。
【0113】
電極層102は、電極活物質層110と電極集電体122とを有する。電極集電体122は、電極活物質層110と接する電極集電体層150と、電極集電体層150の電極活物質層110と対向する面とは反対側の面と接する基板160と、第1領域10に位置し、基板160の電極集電体層150と対向する面とは反対側の面と接する補助基板170と、を有する。つまり、電池1200は、補助基板170、基板160、電極集電体層150、電極活物質層110、固体電解質層300、対極活物質層210、対極集電体層250及び基板260が、この順で積層された構造を有する。
【0114】
補助基板170は、第1領域10において、基板160の下面と接合されている。補助基板170は、構造欠陥部を有していない。補助基板170は、平面視で矩形状である。補助基板170は、平面視において、電極活物質層110及び対極活物質層210と同じ位置である。構造欠陥部700及び構造欠陥部701は、平面視において、補助基板170の外側に位置している。なお、補助基板170は、平面視において、補助基板170の外側に構造欠陥部700が形成されていれば、第1領域10の外側に広がるように位置していてもよい。
【0115】
これにより、第1領域10に位置する電極活物質層110及び対極活物質層210がより確実に保護され、電池1200は、より選択的に第2領域20に位置する構造欠陥部700又は701で折れ曲がりやすくなる。
【0116】
補助基板170と基板160とは接着剤等によって接合されてよいし、両者の界面にかみあわさるような凹凸を設けて、ずれが生じないようにしてもよい。また、補助基板170と基板160とが一体形成されていてもよい。
【0117】
補助基板170の材料は、実施の形態1における基板160についての説明と同様であることから、説明を省略する。
【0118】
このような構成により、厚みの異なるコーナー箇所に応力が集中し、段差ラインが破損しやすくなる。その結果、外部からの電池1200への応力に対して、電極活物質層110、対極活物質層210及び第1固体電解質層400を含む領域である発電要素領域は保護されることなる。
【0119】
[変形例3]
以下では、実施の形態1の変形例3について説明する。なお、以下の変形例3の説明において、実施の形態1及び実施の形態1の各変形例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0120】
図4は、実施の形態1の変形例3に係る電池の概略構成を示す図である。具体的には、図4の(a)は、本実施の形態に係る電池1300の断面図であり、図4の(b)は、電池1300をz軸方向下側から見た平面視図である。図4の(a)には、図4の(b)のIV-IV線で示される位置での断面が示されている。
【0121】
図4に示されるように、実施の形態1の変形例3に係る電池1300は、実施の形態1における電池1000と比較して、電極集電体120及びの代わりに基板を有さない電極集電体123を備え、第2固体電解質層500の代わりに構造欠陥部703が形成された第2固体電解質層530を備える点が異なる。
【0122】
電池1300は、電極層103と、電極層103と対向して平行に配置された対極層200と、電極層103と対極層200との間に位置する固体電解質層330と、を備える。
【0123】
電極層103は、電極活物質層110と電極集電体123とを有する。電極集電体123は、電極活物質層110と接する電極集電体層150を有する。電極集電体123は、基板を有さず、電極集電体層150で構成される。つまり、電池1300は、電極集電体層150、電極活物質層110、固体電解質層330、対極活物質層210及び対極集電体層250が、この順で積層された構造を有する。
【0124】
固体電解質層330は、平面視における電極活物質層110及び対極活物質層210の外側を覆い、第2領域20において、電極集電体123及び対極集電体220と接している。固体電解質層330は、ライン状の構造欠陥部703を有する。具体的には、固体電解質層330は、第1領域10に位置する第1固体電解質層400と、第2領域20に位置する第2固体電解質層530と、を有し、構造欠陥部703は、第2固体電解質層530に形成されている。
【0125】
第2固体電解質層530は、平面視における電極活物質層110及び対極活物質層210の外側を覆い、第2領域20において、電極集電体123及び対極集電体220と接している。第2固体電解質層530は、第2領域20において、ライン状の構造欠陥部703を有する。
【0126】
構造欠陥部703は、第2固体電解質層530の電極集電体123(つまり、電極集電体層150)及び対極集電体220(つまり、対極集電体層250)と対向する面に、複数形成されている。言い換えると、構造欠陥部703は、第2固体電解質層530と電極集電体層150との界面及び第2固体電解質層530と対極集電体層250との界面に接して形成されている。第2固体電解質層530における、電極集電体123側の構造欠陥部703と対極集電体220側の構造欠陥部703とは、平面視において、同じ位置に形成されている。構造欠陥部703は、実施の形態1における構造欠陥部700と同様に、ライン状の溝に限られず、例えば、ライン状に配列された複数の孔、又は、ライン状の割れ目であってもよい。構造欠陥部703は、第2固体電解質層530を構成する材料の不連続な場所がライン状に並でいる箇所である。これにより、電極集電体123が、実施の形態1における基板160を有さない場合でも、電池1300に外部からの応力が加えられた場合に、電池1300は、選択的に、第2領域20に位置する構造欠陥部703で折れ曲がりやすい。よって、第1領域10に位置する電極活物質層110及び対極活物質層210が保護される。その結果、電極活物質層110と対極活物質層210とが接触することによる短絡が抑制される。
【0127】
なお、電池1300では、第2固体電解質層530の内部に、構造欠陥部703として溝、孔又は割れ目が形成されていてもよい。
【0128】
構造欠陥部703は、第1領域10における電池1300の抗折強度よりも、第2領域における電池1300の抗折強度が低くなるように形成されている。
【0129】
構造欠陥部703は、例えば、印刷塗工した固体電解質の膜に、トムソン刃などで表面から溝を形成することにより形成される。また、構造欠陥部703は、第2領域20に位置する第2固体電解質層530を選択的に、予め応力を加えることにより、構造欠陥を形成し、第1領域10に位置する第1固体電解質層400よりも構造欠陥密度を高めることにより、形成されてもよい。これにより、構造欠陥部703は、第1領域10における電池1300よりも、第2領域20における電池1300の抗折強度が低くなるように形成される。構造欠陥は、例えば、溝状のクラック、層状のデラミネーション又はボイド等である。例えば、クラック及びデラミネーションは、固体電解質を印刷塗工後、選択的に第1領域10よりも第2領域20を高温度で急速に乾燥すること、乾燥過程で折れ曲がりを加えること、又は、凹凸のある金型若しくはゴムで加圧することによっても形成される。このように、構造欠陥の形状を制御することによって、構造欠陥部703の抗折強度をコントロールしてもよい。
【0130】
また、集電体層にも、第2領域20において孔、溝又は割れ目が形成されていてもよい。第2領域20において、集電体層と第2固体電解質層530との界面に、剥離又は接合不良等の構造欠陥が形成されてもよい。このような構成により、外部からの電池1300への応力に対して、電極活物質層110、対極活物質層210及び第1固体電解質層400を含む領域である発電要素領域は保護されることなる。
【0131】
[変形例4]
以下では、実施の形態1の変形例4について説明する。なお、以下の変形例4の説明において、実施の形態1及び実施の形態1の各変形例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0132】
図5は、実施の形態1の変形例4に係る電池の概略構成を示す図である。具体的には、図5の(a)は、本実施の形態に係る電池1400の断面図であり、図5の(b)は、電池1400をz軸方向下側から見た平面視図である。図5の(a)には、図5の(b)のV-V線で示される位置での断面が示されている。
【0133】
図5に示されるように、実施の形態1の変形例4に係る電池1400は、実施の形態1における電池1000と比較して、電極集電体120の代わりに電極集電体124を備える点が異なる。電極集電体124は、基板160ではなく、構造欠陥部704を有する基板164を有する。
【0134】
電池1400は、電極層104と、電極層104と対向して平行に配置された対極層200と、電極層104と対極層200との間に位置する固体電解質層300と、を備える。
【0135】
電極層104は、電極活物質層110と電極集電体124とを有する。電極集電体124は、電極活物質層110と接する電極集電体層150と、電極集電体層150の電極活物質層110と対向する面とは反対側の面と接する基板164と、を有する。
【0136】
基板164は、第2領域20において、複数の孔がライン状に並んだ構造欠陥部704を有する。なお、基板164の材料、基板164と電極集電体層150との接合等の詳細については、実施の形態1における基板160についての説明と同様であることから、説明を省略する。
【0137】
構造欠陥部704は、基板164の第2領域20において、ライン状に配列された複数の孔である。構造欠陥部704を構成する孔は、例えば、図5に示されるような基板164の上面から下面に貫通する貫通孔である。構造欠陥部704を構成する孔は、貫通していない有底穴形態であってもよい。また、構造欠陥部704を構成する孔の形状は、例えば、図5の(b)に示されるような平面視で円形である。構造欠陥部704を構成する孔の平面視形状は、矩形、正方形、多角形、星形又は十字架形などの形状であってもよい。また、複数の孔は、平面視で破線状の、短い線が並んだ形状であってもよい。また、複数の孔は、基板164に均等にライン状に配置されてもよく、配置の偏りがあってもよい。複数の孔の形状、深さ及び数などによって、基板164が構造欠陥部704において破損する際の、強度、形状及び方向などが容易に調整される。
【0138】
構造欠陥部704の形成方法としては、例えば、レーザー又はドリル等によって形成する方法が挙げられる。
【0139】
以上のように、基板164に構造欠陥部704が形成されていることから、外的な応力が電池1400に加わった場合でも、電池1400は、選択的に、電極活物質層110及び対極活物質層210の外側に位置する第2領域20において折れ曲がり、分割されやすくなる。よって、実施の形態1に係る電池1000と同様に、電池1400の短絡及び焼損が抑制される。よって、電池1400の信頼性が向上する。また、構造欠陥部704が複数の孔であることにより、基板164と電極集電体層150との接合部において、例えば、導体ペースト又は半田等の接合剤を用いる場合には、接合剤が複数の孔に侵入し、複数の孔を囲む基板164の内側面と電極集電体層150とも接合され、接合が強固になる。よって、基板164と電極集電体層150との剥離が抑制され、より電池1400の信頼性が向上する。
【0140】
[変形例5]
以下では、実施の形態1の変形例5について説明する。なお、以下の変形例5の説明において、実施の形態1及び実施の形態1の各変形例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0141】
図6は、実施の形態1の変形例6に係る電池の概略構成を示す図である。具体的には、図6の(a)は、本実施の形態に係る電池1500の断面図であり、図6の(b)は、電池1500をz軸方向下側から見た平面視図である。図6の(a)には、図6の(b)のVI-VI線で示される位置での断面が示されている。
【0142】
図6に示されるように、実施の形態1の変形例5に係る電池1500は、実施の形態1における電池1000と比較して、電極集電体120の代わりに電極集電体125を備える点が異なる。電極集電体125は、基板160ではなく、構造欠陥部705を有する基板165を有する。
【0143】
電池1500は、電極層105と、電極層105と対向して平行に配置された対極層200と、電極層105と対極層200との間に位置する固体電解質層300と、を備える。
【0144】
電極層105は、電極活物質層110と電極集電体125とを有する。電極集電体125は、電極活物質層110と接する電極集電体層150と、電極集電体層150の電極活物質層110と対向する面とは反対側の面と接する基板165と、を有する。
【0145】
基板165は、第2領域20において、構造欠陥部705を有する。なお、基板165の材料、基板165と電極集電体層150との接合等の詳細については、実施の形態1における基板160についての説明と同様であることから、説明を省略する。
【0146】
構造欠陥部705は、第2領域20において、基板165に形成されたライン状の割れ目である。構造欠陥部705は、基板165の電極集電体層150と対向する面とは反対側の面に形成されている。構造欠陥部705の割れ目は、基板165の電極集電体層150と対向する面までは到達していない。割れ目においては、基板165の表面が凹んだ空間は、形成されない。
【0147】
構造欠陥部705の形成方法としては、例えば、ダイシングカッター又はダイヤモンドカッター等によって形成する方法が挙げられる。また、構造欠陥部705は、第2領域20における基板165を選択的に、予め応力を加えることにより形成されてもよい。構造欠陥部705は、割れ目であることから、基板165の材料を削り出す必要がなく、容易に構造欠陥部705を形成できる。
【0148】
以上のように、基板165に構造欠陥部705が形成されていることから、外的な応力が電池1500に加わった場合でも、電池1500は、選択的に、電極活物質層110及び対極活物質層210の外側に位置する第2領域20において折れ曲がり、分割されやすくなる。よって、実施の形態1に係る電池1000と同様に、電池1500の短絡及び焼損が抑制される。よって、電池1500の信頼性が向上する。
【0149】
[その他の変形例]
以下では、実施の形態1に係るその他の変形例について説明する。
【0150】
図7は、実施の形態1のその他の変形例に係る構造欠陥部の例を示す断面図である。図7の(a)~(i)では、電池における構造欠陥部周辺の基板、電極集電体層、第2固体電解質層のみが示されており、その他の部分については省略されている。
【0151】
例えば、図7の(a)に示されるように、構造欠陥部700aは、基板160aの電極集電体層150と対向する面にライン状に形成された断面がV字状の溝である。
【0152】
また、例えば、図7の(b)に示されるように、構造欠陥部700bは、基板160bにライン状に形成されたU字状の溝である。
【0153】
また、例えば、図7の(c)に示されるように、構造欠陥部700cは、基板160cにライン状に形成された凹形状(角ばったU字状)の溝である。
【0154】
また、例えば、図7の(d)に示されるように、構造欠陥部705dは、基板160dにライン状に形成され、断面が折れ曲がった線状の割れ目である。
【0155】
また、例えば、図7の(e)に示されるように、構造欠陥部700eは、電極集電体層150eの基板160eと対向する面にライン状に形成された断面がV字状の溝である。
【0156】
また、例えば、図7の(f)に示されるように、構造欠陥部704fは、基板160fの電極集電体層150と対向する面とは反対側の面に形成された、ライン状に配列する複数の有底穴である。
【0157】
また、例えば、図7の(g)に示されるように、構造欠陥部704gは、基板160g及び電極集電体層150gにまたがって貫通するように形成された、ライン状に配列する複数の孔である。
【0158】
また、例えば、図7の(h)に示されるように、構造欠陥部704hは、基板160h、電極集電体層150h及び第2固体電解質層500hにまたがって貫通するように形成された、ライン状に配列する複数の孔である。なお、図7の(h)においては図示されていないが、構造欠陥部704hは、さらに対極集電体220にもまたがって貫通するように形成されていてもよい。
【0159】
[電池の製造方法]
次に、本実施の形態に係る電池の製造方法の一例を説明する。以下では、上述した実施の形態の変形例1に係る電池1100の製造方法を説明する。他の電池1000、1200、1300、1400及び1500についても同様である。
【0160】
また、以下の説明では、電極活物質層110が正極活物質層であり、電極集電体層150が正極集電体層であり、対極活物質層210が負極活物質層であり、対極集電体層250が負極集電体層である場合について説明する。そのため、電極集電体120は正極集電体であり、対極集電体220は負極集電体であり、電極層100は正極層であり、対極層200は負極層である。
【0161】
まず、正極活物質層と負極活物質層との印刷形成に用いる各ペーストを作製する。正極活物質層及び負極活物質層それぞれの合剤に用いる固体電解質原料として、例えば、平均粒子径が約10μmであり、三斜晶系結晶を主成分とするLiS-P系硫化物のガラス粉末が、準備される。このガラス粉末としては、高いイオン導電性(例えば、2~3×10-3S/cm)を有するものが、使用されうる。正極活物質として、例えば、平均粒子径が約5μmであり、層状構造のLi・Ni・Co・Al複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)の粉末が、用いられる。上述の正極活物質と上述のガラス粉末とを含有させた合剤を有機溶剤等に分散させた正極活物質層用ペーストが、作製される。また、負極活物質として、例えば、平均粒子径が約10μmである天然黒鉛の粉末が、用いられる。上述の負極活物質と上述のガラス粉末とを含有させた合剤を有機溶剤等に分散させた負極活物質層用ペーストが、同様に作製される。
【0162】
次いで、正極集電体層及び負極集電体層として用いられる材質として、例えば、約30μmの厚みの銅箔が、準備される。スクリーン印刷法により、正極活物質層用ペースト及び負極活物質層用ペーストが、それぞれの銅箔の片方の表面上に、それぞれ所定形状、及び、約50μm~100μmの厚みで、印刷される。この際、正極活物質層用ペースト及び負極活物質層用ペーストは、それぞれ、平面視において集電体層よりも面積が小さくなるように印刷される。正極活物質層用ペースト及び負極活物質層用ペーストは、80℃~130℃で乾燥され、30μm~60μmの厚みになる。これにより、正極活物質層と負極活物質層とがそれぞれ形成された集電体層(銅箔)が得られる。
【0163】
次いで、上述のガラス粉末を含有させた合剤を有機溶剤等に分散させた固体電解質層用ペーストが、作製される。正極集電体層上及び負極集電体層上に形成された活物質層のそれぞれの面上に、メタルマスクを用いて、上述の固体電解質層用ペーストが、例えば、約100μmの厚みで、印刷される。この際、固体電解質層用ペーストは、活物質層上だけでなく、集電体層上にも印刷される。これにより、固体電解質層300として、第1固体電解質層400及び第2固体電解質層500が形成されることになる。その後、それぞれ固体電解質層用ペーストが印刷された、正極活物質層が形成された正極集電体層及び負極活物質層が形成された負極集電体層は、80℃~130℃で、乾燥される。
【0164】
次いで、正極集電体層上に形成された正極活物質層上に印刷された固体電解質と負極集電体層上に形成された負極活物質層上に印刷された固体電解質とが、互いに接して対向するようにして、積層され、積層された積層体が矩形外形のダイス型に収められる。
【0165】
次いで、加圧金型パンチと積層体との間に、厚み70μm、弾性率5×10Pa程度の弾性体シートが挿入される。この構成により、積層体は、弾性体シートを介して圧力が印加される。その後、加圧金型を圧力300MPaにて50℃に加温しながら、90秒間加圧することで、正極集電体層と正極活物質層と固体電解質層300と負極活物質層と負極集電体層との積層体が得られる。
【0166】
次いで、真空蒸着により金で被覆された厚み100μmのアルミナを含む基板160及び260(表裏はニッケル下地(2μm)の金メッキ(2μm)処理がされたアルミナ基板)が準備される。次いで、ダイヤモンドカッターで、ライン状に、深さが約30μmであり、表面側の幅が10μmである断面V字状の溝を第2領域20となる予定の領域に形成する。これにより、基板160に構造欠陥部700が形成され、基板260に構造欠陥部701が形成される。次いで、銀粒子を含む熱硬化性の導体ペーストが、基板160及び260における溝を形成した面とは反対側の面に、約10μmの厚みでスクリーン印刷される。次いで、基板160及び260に印刷された導体ペーストが積層体と接するように、基板160と基板260とで積層体を挟み込み、所定の位置に配置して、基板160及び260と積層体とを圧着する。この後、基板160及び260と積層体とが動かないように、大気中で約100℃~300℃にて60分間の熱硬化処理を施し、室温まで冷却する。このようにすることで、電池1100が得られる。
【0167】
なお、電池の製造の方法及び順序は、上述の例に限られない。
【0168】
なお、上述の製造方法では、正極活物質層用ペースト、負極活物質層用ペースト、固体電解質層用ペースト及び導体ペーストを印刷により塗布する例を示したが、これに限られない。印刷方法としては、例えば、ドクターブレード法、カレンダー法、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、オフセット法、ダイコート法、スプレー法などを用いてもよい。
【0169】
上述の製造方法では、導体ペーストとして、銀の金属粒子を含む熱硬化性の導体ペーストを例に示したが、これに限らない。導体ペーストとしては、高融点(例えば、400℃以上)の高導電性金属粒子、低融点(導体ペーストの硬化温度以下であってもよく、例えば、300℃以下)の金属粒子及び樹脂を含む熱硬化性の導体ペーストが用いられる。高融点の高導電性金属粒子の材料としては、例えば、銀、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、パラジウム、金、プラチナ又はこれらの金属を組み合わせた合金が挙げられる。融点が300℃以下の低融点の金属粒子の材料としては、例えば、スズ、スズ-亜鉛合金、スズ-銀合金、スズ-銅合金、スズ-アルミニウム合金、スズ-鉛合金、インジウム、インジウム-銀合金、インジウム-亜鉛合金、インジウム-スズ合金、ビスマス、ビスマス-銀合金、ビスマス-ニッケル合金、ビスマス-スズ合金、ビスマス-亜鉛合金又はビスマス-鉛合金などが挙げられる。このような低融点の金属粒子を含有する導体ペーストを使用することで、高融点の高導電性金属粒子の融点よりも低い熱硬化温度であっても、導体ペースト中の金属粒子と、集電体層を構成する金属及び/又は基板160若しくは260の表面の導体との接触部位において、固相及び液相反応が進行する。それにより、導体ペーストと集電体層及び/又は基板160若しくは260の表面との界面において、固相及び液相反応により合金化した拡散領域が上記接触部位周辺に形成される。形成される合金の例としては、導電性金属粒子に銀又は銀合金を使用し、集電体層に銅を使用した場合には、高導電性合金の銀-銅系合金が挙げられる。さらに、導電性金属粒子と集電体層との組み合わせにより、銀-ニッケル合金又は銀-パラジウム合金なども形成されうる。この構成により、より強固に基板160又は260と集電体層とが接合されるため、例えば、冷熱サイクル又は衝撃によって接合部が剥離してしまうことが抑制され、基板160の構造欠陥部700又は基板260の構造欠陥部701で選択的に折れ曲がりやすくなる。
【0170】
なお、高融点の高導電性金属粒子及び低融点の金属粒子の形状は、球状、りん片状、針状等、どのような形状のものであってもよい。また、高融点の高導電性金属粒子及び低融点の金属粒子の粒子サイズは、特に限定されない。例えば、粒子サイズの小さい方が、低温度で合金反応や拡散が進行するため、プロセス設計及び電池特性への熱履歴の影響を考慮し、粒子サイズ及び形状が適宜選択される。
【0171】
また、熱硬化性の導体ペーストに用いられる樹脂は、結着用バインダーとして機能するものであればよく、さらには印刷性及び塗布性など、採用する製造プロセスによって適当なものが選択される。熱硬化性の導体ペーストに用いられる樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、例えば、(i)尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等のアミノ樹脂、(ii)ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、脂環式等のエポキシ樹脂、(iii)オキセタン樹脂、(iv)レゾール型、ノボラック型等のフェノール樹脂、及び、(v)シリコーンエポキシ、シリコーンポリエステル等のシリコーン変性有機樹脂等が挙げられる。樹脂には、これらの材料の1種のみが用いられてもよいし、これらの材料のうちの2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0172】
(実施の形態2)
以下では、実施の形態2について説明する。なお、以下の説明において、上述の実施の形態1および各変形例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を適宜、省略または簡略化する。図8及び図9は、電池が複数接続された本実施の形態に係る積層電池の概略構成の各種例を示す断面図である。
【0173】
図8は実施の形態2に係る積層電池2000を示す断面図である。積層電池2000は、複数、具体的には2つの上述の実施の形態1に係る電池1000を、電極の向きが同方向になるように積層させた積層電池である。図8に示されるように、積層電池2000は、2つの電池1000を備える。積層電池2000は、積層方向に隣り合う電池1000のうち、上側の電池1000の電極層100と、下側の電池1000の対極層200とが接するように積層されている。上側の電池1000の電極集電体層150と下側の電池1000の対極集電体層250との間には、基板160が位置している。つまり、積層電池2000は、下側の電池1000の基板160が、上側の電池1000と接して積層されている。上述のように電池1000の基板160は、端子電極として機能させてもよく、上面から下面に電流を伝導させることにより、電池1000は、電気的に直列に接続される。また、基板160が導電性を有さない場合は、集電体層同士をリード線等で接続することにより、電池1000同士を電気的に接続することができる。この場合には、リード線等の接続形態によって、電気的に直列に接続してもよく、並列に接続してもよい。
【0174】
図9は実施の形態2に係る積層電池2100を示す断面図である。積層電池2100は、複数、具体的には2つの上述の実施の形態1に係る電池1000を、方向を反転させて積層させた積層電池である。図9に示されるように、積層電池2100は、2つの電池1000を備える。積層電池2100は、積層方向に隣り合う電池1000のうち、上側の電池1000の対極層200と、下側の電池1000の対極層200とが接するように積層されている。上側の電池1000の対極集電体層250と下側の電池1000の対極集電体層250との間には、基板160が位置しておらず、2つの電池1000は、対極集電体層250同士が接続されている。このように同極の集電体層同士が接続されることで、電池1000は、電気的に並列に接続される。積層電池2100は、最上部及び最下部に基板160が積層されている。このように、積層電池2100における上下面が基板160によって保護されるため、積層電池2100の信頼性がより高まる。
【0175】
なお、積層電池2000及び2100が備える電池1000の数は、3以上であってもよい。積層される電池の数を調整することで、所望の電池特性を得ることができる。また、積層電池2000及び2100が備える電池のうち、少なくとも1つが電池1000であればよく、他の電池は、集電体または固体電解質層に構造欠陥部が形成されていない電池であってもよい。また、積層電池2000及び2100において、電池1000の代わりに、実施の形態1の変形例1から変形例5における電池1100から電池1500の少なくとも1つが用いられてもよい。
【0176】
(他の実施の形態)
以上、本開示に係る電池について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
【0177】
例えば、上記実施の形態では、平面視において、電極活物質層と対極活物質層とが、同じ位置であり、平面視における電極活物質層の位置が第1領域であったが、これに限らない。電極活物質層と対極活物質層とが完全に重ならない場合には、平面視において、電極活物質層が位置する領域を第1領域としてもよい。また、平面視における電極活物質層と対極活物質層とが対向する領域を第1領域としてもよい。平面視における電極活物質層および対極活物質層のいずれか一方が位置する領域を第1領域としてもよい。平面視における電極活物質層および対極活物質層のいずれか一方が位置する領域を第1領域とした場合の第1領域に構造欠陥部が形成されることで、より信頼性が高められる。
【0178】
また、例えば、上記実施の形態では、電池には、構造欠陥部が複数形成されていたが、これに限らない。構造欠陥部は、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0179】
また、例えば、上記実施の形態では、構造欠陥部は、平面視でライン状の溝、配列された複数の孔又は割れ目であったが、これに限らない。構造欠陥部は、溝、配列された複数の孔及び割れ目のうち2つ以上が平面視でライン状に並んでいてもよい。
【0180】
また、例えば上記実施の形態では、集電体は集電体層を有していたが、これに限らない。基板が導電性を有し、活物質層から電流を取り出すことができる場合、集電体は、集電体層を有さず、基板のみで構成されていてもよい。その場合、基板と活物質層とが直接接合される。
【0181】
また、上記実施の形態では、構造欠陥部は、平面視で直線のライン状であったが、これに限らない。構造欠陥部は、例えば、ジグザグ状のラインで形成されてもよく、円弧又は波線等の曲線状のラインで形成されてもよい。
【0182】
また、例えば、構造欠陥部は、第2領域において、基板、電極集電体層、対極集電体層及び固体電解質層のうち、2つ以上に形成されていてもよい。
【0183】
また、例えば、構造欠陥部は、本開示の効果を損なわない範囲で第1領域に形成されていてもよい。
【0184】
また、上記の実施の形態は、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本開示に係る電池は、例えば、各種の電子機器又は自動車などに用いられる全固体リチウムイオン電池などの二次電池として利用されうる。
【符号の説明】
【0186】
10 第1領域
20 第2領域
100、102、103、104、105 電極層
110 電極活物質層
120、122、123、124、125 電極集電体
150、150e、150g、150h 電極集電体層
160、160a、160b、160c、160d、160e、160f、160g、160h、164、165、260 基板
170 補助基板
200、201 対極層
210 対極活物質層
220、221 対極集電体
250 対極集電体層
300、330 固体電解質層
400 第1固体電解質層
500、500h、530 第2固体電解質層
700、700a、700b、700c、700e、701、703、704、704f、704g、704h、705、705d 構造欠陥部
1000、1100、1200、1300、1400、1500 電池
2000、2100 積層電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9