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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス用の装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20231220BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20231220BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021577351
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 GB2020051542
(87)【国際公開番号】W WO2020260883
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】1909385.5
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、ヴィクトル クラベス
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/178114(WO,A2)
【文献】特開平06-325949(JP,A)
【文献】特開昭61-067983(JP,A)
【文献】特表2014-511175(JP,A)
【文献】特表2018-520505(JP,A)
【文献】国際公開第2019/002377(WO,A1)
【文献】実開昭57-148869(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0321423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これによりエアロゾルを発生させる1つ以上のインダクタ素子を含み、このインダクタ素子は、基板の第1の外面に装着された共振回路と、
電圧供給装置から交流電流を生成することができ、前記インダクタ素子の1つ以上を流れるようにしてサセプタ装置の誘導加熱を引き起こすことができ、基板の第2の外面に装着された複数のトランジスタを含む切り替え部と、
共振回路のインダクタ素子と切り替え部のトランジスタが熱的に接続されているヒートシンクとを含み、ヒートシンクは、少なくとも一部が基板の第2の外面に形成されているエアロゾル発生デバイス用の装置。
【請求項2】
切り替え部のトランジスタは1つ以上のフラットノーリードパッケージを使用して実装されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
フラットノーリードパッケージは、デュアルフラットノーリードパッケージまたはクアッドフラットノーリードパッケージであることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
ヒートシンクは、少なくとも一部が基板の第1の外面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
ヒートシンクは、銅製の熱だめであることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
ヒートシンクは、地板であることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
基板は、印刷回路板であることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
印刷回路板は、多層印刷回路板であることを特徴とする請求項記載の装置。
【請求項9】
ヒートシンクは、少なくとも一部が多層印刷回路板の内層に形成されていることを特徴とする請求項記載の装置。
【請求項10】
基板の第1の外面は、多層印刷回路板の頂面であり、基板の第2の外面は、多層印刷回路板の底面であることを特徴とする請求項または記載の装置。
【請求項11】
切り替え部はブリッジ回路を含むことを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記インダクタ素子は、誘導コイルであることを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載の装置。
【請求項13】
共振回路はコンデンサをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の装置。
【請求項14】
切り替え部は、共振回路にインパルスを印可するためのインパルス生成回路を供するように構成され、印可されたインパルスはインパルス応答を誘導することを特徴とする請求 項1乃至13いずれか1項記載の装置。
【請求項15】
電圧供給装置は、DC電圧供給装置であることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の装置。
【請求項16】
請求項1乃至15いずれか1項記載の装置を含む非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項17】
エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品を収容するように構成されていることを特徴とする請求項16記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項18】
前記エアロゾル発生材は、エアロゾル発生基材と、エアロゾル形成材とを含むことを特徴とする請求項17記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項19】
前記取り外し可能な物品は前記サセプタ装置を含むことを特徴とする請求項17または18記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項20】
前記装置は、タバコ加熱システムを含むことを特徴とする請求項16乃至19いずれか1項記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項21】
非燃焼系エアロゾル発生システムに使用するための物品を含む部品のキットであって、前記非燃焼系エアロゾル発生システムは、請求項1乃至15いずれか1項記載の装置または請求項16乃至20いずれか1項記載のエアロゾル発生デバイスを含む部品のキット。
【請求項22】
前記物品は、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品であることを特徴とする請求項21記載の部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書はエアロゾル発生デバイス用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やして煙を発生させる。これらの物品に代わるものとして燃焼させずに化合物を放出する製品を作成する試みがなされている。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル発生基材を加熱し、基材を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成する。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では本明細書は、サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これによりエアロゾルを発生させる1つ以上のインダクタ素子(例えば、1つ以上の誘導コイル)を含み、このインダクタ素子は、基板の第1の外面に装着された共振回路(LC共振回路などの)と、電圧供給装置(例えば、DC電圧供給装置)から交流電流を生成することができ、前記インダクタ素子の1つ以上を流れるようにしてサセプタ装置の誘導加熱を引き起こすことができ、基板の第2の外面に装着された複数のトランジスタを含む切り替え部(ブリッジ回路などの)と、共振回路のインダクタ素子と切り替え部のトランジスタが熱的に接続されているヒートシンクとを含むエアロゾル発生デバイス用の装置について記載している。
【0004】
切り替え部のトランジスタは、1つ以上のフラットノーリードパッケージ(デュアルフラットノーリードパッケージ、クアッドフラットノーリードパッケージまたは類似の技術)を使用して実装してもよい。
【0005】
ヒートシンクは、少なくとも一部が基板の第1の外面に形成されてもよい。これとは別にまたは加えてヒートシンクは、少なくとも一部が基板の第2の外面に形成されてもよい。
【0006】
ヒートシンクは、銅製の熱だめであってもよい。
【0007】
ヒートシンクは、地板であってもよい。
【0008】
基板は、多層印刷回路板などの印刷回路板であってもよい。ヒートシンクは、少なくとも一部が例えば多層印刷回路板の内層に形成されてもよい。
【0009】
基板の第1の外面は、多層印刷回路板の頂面であってもよく、基板の第2の外面は、多層印刷回路板の底面であってもよい。
【0010】
共振回路は、コンデンサをさらに含んでもよい。
【0011】
切り替え部は、共振回路にインパルスを印可するためのインパルス生成回路を供するように構成されてもよく、印可されたインパルスはインパルス応答を誘導する。
【0012】
第2の態様では本明細書は第1の態様を参照して上述した装置を含む非燃焼系エアロゾル発生システムについて記載している。前記装置は、タバコ加熱システムを含んでもよい。エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品を収容するように構成されてもよい。エアロゾル発生材は、例えばエアロゾル発生基材と、エアロゾル形成材を含んでもよい。取り外し可能な物品は、前記サセプタ装置を含んでもよい。
【0013】
第3の態様では本明細書は上記の第1の態様の構造のいずれかを含む装置または上記の第2の態様の構造のいずれかを含むエアロゾル発生デバイスを含む非燃焼系エアロゾル発生システムで使用する物品を含む部品のキットについて記載している。物品は、例えばエアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品を含んでもよい。
【0014】
例示的実施態様を以下の略図を参照して例示のみの目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図2】例示的な実施態様による非燃焼系エアロゾル供給装置を示す。
図3】例示的な実施態様による非燃焼系エアロゾル供給装置の図である。
図4】例示的な実施態様による、非燃焼系エアロゾル供給装置と共に使用する物品の図である。
図5】例示的な実施態様による回路のブロック図である。
図6】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図7】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図8】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図9】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図10】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図11】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図12】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図13】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図14】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図15】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
図16】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図17】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
図18】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
図19】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図20】例示的な実施態様による回路切り替え部のブロック図である。
図21】例示的な実施態様による回路切り替え部のブロック図である。および
図22】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
図23】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書中では「送出システム」なる用語はユーザーに物質を送出するシステムを包含することを意図し、
紙巻きタバコ、シガリロ、シガーおよびパイプまたは手巻きまたは自作紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係無く)などの燃焼性エアロゾル供給システム、
電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル化可能な材料を燃焼させずにエアロゾル化可能な材料から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システム、
エアロゾル化可能な材料を含み、これらの非燃焼性エアロゾル供給システムのうちの1つに使用するように構成された物品および、
トローチ、ガム、パッチ、パッチ吸入可能な粉を含む物品などのエアロゾルを含まない供給システムおよびエアロゾルを形成せずにユーザーにニコチンを含むまたは含まない材料を供給するスヌースおよび嗅ぎタバコなどの無煙タバコ製品を含む。
【0017】
本開示では「可燃性」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するシステムである。
【0018】
本開示では「非燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するまたは燃焼しないシステムである。
【0019】
本明細書で説明する実施態様において、送出システムは、非燃焼系エアロゾル供給システム、例えば電動非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0020】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、蒸気を吸う装置または電子ニコチン送出システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル化可能な材料中のニコチンの存在は要件ではない。
【0021】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、加熱式タバコシステムとしても知られているタバコ加熱システムである。
【0022】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、その1種以上の材料を加熱することができる。エアロゾル化可能な材料のそれぞれは、例えば、固体、液体、またはゲルの形体であり、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲルのエアロゾル化可能な材料および固体のエアロゾル化可能な材料を含む。固体のエアロゾル化可能な材料は、例えば、タバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0023】
通常、非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル供給装置および非燃焼系エアロゾル供給システムと共に使用する物品を含んでもよい。ただし、それ自体がエアロゾル発生成分に電力を供給する手段を含む物品は、それ自体が非燃焼系エアロゾル供給システムを形成してもよい。
【0024】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給装置は、電力源および制御装置を含んでもよい。電力源は、電源または発熱電源でよい。一実施態様では発熱電源は、発熱電源に近接するエアロゾル化可能な材料または熱伝達材料に熱の形で電力を分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施態様では発熱電源などの電源は、非燃焼系エアロゾル供給を形成するように物品に設けられる。
【0025】
1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル共有デバイスに使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料と、エアロゾル発生部材と、エアロゾル発生領域と、マウスピースおよび/またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域とを含んでもよい。
【0026】
1つの実施態様ではエアロゾル発生部材はエアロゾル化可能な材料と相互作用してエアロゾル化可能な材料から1つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成することができるヒーターである。1つの実施態様ではエアロゾルはエアロゾル化可能な材料から加熱せずにエアロゾルを発生させることができる。例えば、エアロゾル発生部材は、エアロゾル化可能な材料からそれに熱を加えずに例えば振動、機械、加圧または静電手段によってエアロゾルを発生させることができる。
【0027】
1つの実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、活性材、エアロゾル形成材および任意の1つ以上の機能材を含んでもよい。活性材は、ニコチン(任意にタバコまたはタバコ派生物に含まれる)と、1つ以上の他の無臭の生理的に活性な材料とを含んでもよい。無臭の生理的に活性な材料は、臭覚以外の生理的な反応を達成するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる材料である。
【0028】
エアロゾル形成材は、グリセリン、グリセリロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリトリトール、メソ-エリトリトール、バニリン酸エチル、エチルラウレート、ジエチル基材、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸およびプロピレンカーボネートのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0029】
1つ以上の機能材は、風味料、キャリアー、pHレギュレーター、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0030】
1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域を含んでもよい。1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。1つの実施態様ではエアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル発生領域から離れてもよい、あるいは組み合わされてもよい。
【0031】
本明細書ではエアロゾル発生材とも称するエアロゾル化可能な材料は、例えば加熱、照射または他の何らかの方法で活性化されると、エアロゾルを発生させることができる材料である。エアロゾル化可能な材料は、例えばニコチンおよび/または風味剤を含むまたは含まない固体、液体またはゲルの形体であってもよい。一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも言われる。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。
【0032】
エアロゾル化可能な材料は、基材上に存在してもよい。基材は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材、セラミック材、複合材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。
【0033】
図1は、例示的な実施態様による、概ね参照番号10で示すシステムのブロック図である。システム10は、直流(DC)電圧供給部11、切り替え部13、共振回路14、サセプタ装置16、および制御回路18の形体の電源を含む。切り替え部13および共振回路14は、誘導加熱装置12内に結合されていてもよい。
【0034】
共振回路14は、サセプタ装置16を誘導的に加熱するコンデンサと1つ以上のインダクタ素子を備え、エアロゾル発生材料を加熱してもよい。エアロゾル発生材料を加熱すると、それによりエアロゾルが発生する。
【0035】
切り替え部13は、DC電圧供給装置11から交流電流を生成することができる。交流電流は1つ以上のインダクタ素子を流れ、サセプタ装置16の加熱を引き起こす。この切り替え部は複数のトランジスタを含んでもよい。DC-AC変換器には、例えば、Hブリッジまたはインバータ回路が含まれる。これらの例については、後に説明する。なお、疑似AC信号が生成されるDC電圧供給11の提供は、本質的な特徴ではない。例えば、制御可能なAC電源またはAC-ACコンバータが提供されてもよい。したがって、(主電源やインバータなどから)AC入力を提供することができる。
【0036】
切り替え部13および共振回路14の構成例を下記により詳細に図5~14に説明する。
【0037】
図2および3は、例示的な実施態様による、概ね参照番号20で示す非燃焼系エアロゾル発生装置を示す。図3は、外カバーを備えたエアロゾル供給デバイス20Aの斜視図である。エアロゾル供給デバイス20Aは、交換可能な物品21を備え、これは物品21内に含まれる(または他の場所に設けられる)。サセプタの加熱を可能にするためにエアロゾル供給デバイス20Aに挿入し得る。エアロゾル供給デバイス20Aは、エアロゾル供給デバイス20Aのスイッチを入れたり切ったりするために使用される起動スイッチ22をさらに備えてもよい。エアロゾル供給デバイス20の別の部材を図3に示す。
【0038】
図3は、外カバーが取り外されたエアロゾル供給デバイス20Bを示す。エアロゾル供給デバイス20Bは、物品21、起動スイッチ22、複数のインダクタ素子23a、23b、および23c、ならびに1つ以上の空気管延長部24および25を含む。1つ以上の空気管延長部24および25は必須ではない。
【0039】
複数のインダクタ素子23a、23bおよび23cは、それぞれ、共振回路14などの共振回路の一部を形成してもよい。インダクタ素子23aは、螺線インダクタコイルを含んでもよい。一例では螺線インダクタコイルは、螺線状に巻かれて螺線インダクタコイルを提供するリッツ線/ケーブルでできている。プリント回路基板内に形成されたインダクタなど、多くの代替インダクタの形成が可能である。インダクタ素子23bおよび23cは、インダクタ素子23aに類似していてもよい。3つのインダクタ素子23a、23bおよび23cの使用は、すべての例示的な実施態様に必須ではない。したがって、エアロゾル発生デバイス20は、1つ以上のインダクタ素子を含んでもよいことになる。
【0040】
物品21の一部としてサセプタを提供することができる。例示的な実施態様では物品21をエアロゾル発生デバイスに挿入することで、エアロゾル発生デバイス20を起動させてもよい。これは、適切なセンサー(例えば、光センサー)を用いてエアロゾル発生デバイス内の物品21の存在を検出すること、あるいはサセプタが物品21の一部を形成する場合、例えば、共振回路14を用いてサセプタの存在を検出することによって行われてもよい。エアロゾル発生デバイス20を起動すると、インダクタ素子23は、サセプタにより物品21を誘導的に加熱させることができる。別の実施態様ではサセプタを、エアロゾル発生デバイス20の一部として(例えば、物品21を受け入れるための保持部の一部として)設けてもよい。
【0041】
図4は、例示的な実施態様による、非燃焼系エアロゾル供給装置と共に使用するための、概ね参照番号30で示す物品の図である。物品30は、図2および図3を参照して上記で説明した交換可能な物品21の例である。
【0042】
物品30は、マウスピース31およびマウスピース31に接続されたエアロゾル発生材33、この場合はタバコ材料の円筒形ロッドを含む。エアロゾル発生材料33を、例えば、本明細書に記載されるように、エアロゾル発生デバイス20などの非燃焼系エアロゾル発生デバイス内で加熱すると、エアロゾルを発生する。エアロゾル発生材料33は、ラッパー32で包まれている。ラッパー32は、例えば、紙または紙で裏打ちされた金属箔ラッパーでもよい。ラッパー32は、空気に対して実質的に不浸透性である。
【0043】
一実施態様ではラッパー32はアルミ箔を含む。アルミ箔は、エアロゾル発生材料33内のエアロゾルの形成を促進するのに特に効果的であることが分かっている。本例ではアルミホイルは、約6μmの厚さを有する金属層を有する。アルミ箔には裏紙が付いている場合がある。しかしながら、別の配置ではアルミ箔は他の厚さ、例えば4μm~16μmの厚さであってもよい。アルミ箔にも紙の裏打ちが必須ではないが、例えばホイルに適切な引張強度を提供するために、他の材料の裏打ち材を形成してもしなくてもよい。アルミニウム以外の金属層や箔も使用できる。さらにそのような金属層が物品30の一部として提供されることは必須ではない。例えば、そのような金属層は、デバイス20の一部として提供されてもよい。
【0044】
本明細書でエアロゾル発生基材33とも呼ばれるエアロゾル発生材33は、少なくとも1種のエアロゾル形成材料を含む。この例ではエアロゾル形成材料はグリセリンである。別の例ではエアロゾル形成材料は、本明細書に記載されるような別の材料またはそれらの組み合わせであってもよい。エアロゾル形成材料は、香味化合物などの化合物のエアロゾル発生材から消費者への移動を助けることで、物品の感覚性能を改善することが分かっている。
【0045】
図4に示すように、物品30のマウスピース31は、エアロゾル発生基材33に隣接する上流端31aと、エアロゾル発生基板33から遠位の下流端31bとを含む。エアロゾル発生基材はタバコを含むが、代用品も可能である。
【0046】
マウスピース31は、中空の管状部材34の上流に、この例では中空の管状部材34に隣接し、当接関係にある材料36の本体を含む。材料36の本体および中空の管状部材34はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。材料36の本体は、第1のプラグラッパー37で包まれている。第1のプラグラッパー37は、約20gsm~40gsmなど、50gsm未満の坪量をもっていてもよい。
【0047】
この例では中空の管状部材34は第1の中空の管状部材34であり、マウスピースは、第1の中空の管状部材34の上流に、冷却部材とも呼ばれる第2の中空の管状部材38を含む。この例では第2の中空の管状部材38は、材料36の本体の上流と当接している。材料の本体36および第2の中空の管状部材38はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。第2の中空の管状部材38は、平行に巻かれた複数の紙の層から形成され、継ぎ目が突き合わされて、管状部材38を形成する。この例では第1および第2の紙層が2プライ管で提供されるが、他の例では3層、4層またはそれ以上の紙層で、3プライ、4プライまたはそれ以上のプライ管を形成することができる。紙のらせん状に巻かれた層、ボール紙の管、張り子管のプロセスを使用して形成された管、成形または押し出しプラスチック管などの他の構造を使用することができる。第2の中空の管状部材38はまた、本明細書に記載の第2のプラグラッパー39および/またはチッピング紙35として堅いプラグラッパーおよび/またはチッピング紙を使用して形成することができ、これは、別個の管状部材が必要ないことを意味する。
【0048】
第2の中空の管状部材38は、冷却部として機能するマウスピース31の周囲に配置され、マウスピース31内の空隙を画定する。空隙は、エアロゾル発生材料33によって生成された加熱揮発成分が流れることができるチェンバーを提供する。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル蓄積室を提供するために中空であるが、剛性が十分にあり、製造中および物品21の使用中に発生する可能性のある軸方向圧縮力および曲げモーメントに耐えることができる。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル発生材33と材料本体36の間に物理的変位を提供する。第2の中空の管状部材38によって提供される物理的変位は、第2の中空の管状部材38の長さ全体にわたって温度勾配を提供する。
【0049】
もちろん、物品30は、単なる例として提供されている。当業者は、本明細書に記載のシステムで使用することができるそのような物品の多くの代替配置を知っている。
【0050】
図5は、例示的な実施態様による、概ね参照番号40で示す回路のブロック図である。回路40は、正の端子47および負の(接地)端子48(これらは、上記のシステム10のDC電圧供給11の実装例である)を含む。回路40は、切り替え部44(上記の切り替え部13を実施する)を含み、ここで、切り替え部44は、ブリッジ回路(例えば、FET Hブリッジ回路などのHブリッジ回路)を含む。切り替え部44は、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bを含み、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bは、共振回路49(上記の共振回路14を実装する)によって結合される。第1の回路分岐44aは、スイッチ45aおよび45bを含み、第2の回路分岐44bは、スイッチ45cおよび45dを含む。スイッチ45a、45b、45cおよび45dは、電界効果トランジスタ(FET)などのトランジスタであり、システム10の制御回路18などの制御装置からの入力を受け取ることができる。共振回路49は、共振回路49がLC共振回路であるように、コンデンサ46およびインダクタ素子43を含む。回路40はさらにサセプタ等価回路42を示す(それにより、サセプタ装置16を実施している)。サセプタ等価回路42は、例示的なサセプタ装置16の電気的効果を示す抵抗器とインダクタ素子含む。サセプタが存在する場合、サセプタ装置42およびサセプタ素子43は、変圧器41として機能することができる。変圧器41は、回路40が電力を受け取るとサセプタが加熱されるように、変動磁場を生成することができる。サセプタ装置16が誘導装置によって加熱される加熱操作中、切り替え部44は、第1および第2の分岐部のそれぞれが交互に接続されて交流電流が共振回路14を流れるように(例えば、制御回路18で)駆動される。共振回路14は部分的にサセプタ装置16に基づく共振周波数を有し、制御回路18は、共振周波数または共振周波数に近い周波数で切り替わるように切り替え部44を制御するように構成される。スイッチ回路を共振またはその近くで駆動すると、効率が向上し、スイッチ素子で失われるエネルギー(これにより、スイッチ素子が不必要に加熱される)が減少する。アルミ箔を含む物品21が加熱される例では切り替え部44は約2.5MHzの周波数で駆動される。しかしながら、他の実装形体では周波数は、例えば、500kHz~4MHzの間のいずれかにある。
【0051】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場を貫通することによって加熱可能な材料である。加熱材料は導電性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は磁性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。加熱材料は、導電性および磁性のどちらでもよいので、加熱材料は、両方の加熱機構で加熱可能である。
【0052】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0053】
一実施態様ではサセプタは、閉回路の形体である。実施態様によっては、サセプタが閉回路の形体の場合、使用中のサセプタと電磁石の間の磁気結合が強化され、その結果、ジュール加熱がより大きく即ち改善されることが見出された。
【0054】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場、例えば、電磁石によって生じたものなどの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0055】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0056】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0057】
図6は、例示的な実施態様による、概ね参照番号50で示すシステムのブロック図である。システム50は、共振回路51(共振回路14に類似の)と、切り替え部52(切り替え部13に類似の)と、基板53とを含む。図5に関し上で考察したように共振回路51は、1つ以上のインダクタ素子を含み、切り替え部52は、複数のトランジスタを含む。1つ以上のインダクタ素子は、基板53の第1の外面54に装着してもよい。複数のトランジスタは、基板53の第2の外面55に装着してもよい。基板53は印刷回路板(PCB)であってもよい。共振回路51は、コンデンサを含んでもよいが、下に示すようにコンデンサはシステム50の他の箇所に設けてもよい。
【0058】
共振回路51と切り替え部52は、システム50の全体温度を上昇させる熱を発生させる。共振回路51(またはその少なくとも1つ以上のインダクタ素子)を第1の面54に、切り替え部52を第2の面55に装着して共振回路51と切り替え部52が少なくとも部分的に互いに基板53によって断熱されるようにすることは有益である。
【0059】
図7は、例示的な実施態様による、概ね参照番号60Aで示すシステムのブロック図である。システム60A(断面を示している)は、基板53、基板53の第1の外面54に装着された共振回路51の1つ以上のインダクタ素子と、基板53の第2の外面55に装着された切り替え部52の複数のトランジスタと、ヒートシンク61とを含む。共振回路51の1つ以上のインダクタ素子は、接続部62を介してヒートシンク61に熱接続され、切り替え部52の複数のトランジスタは、接続部63を介してヒートシンク61に熱接続されている。
【0060】
例示的実施態様では切り替え部52は、1つ以上の集積回路を使用して実装してもよい。集積回路は、集積回路の取り扱いなどによる損傷に対してある程度保護する保護材(プラスチックなどの)内に設けてもよい。そのような構成は、通常、パッケージ(または場合によっては電気パッケージ)として知られている。パッケージが保護材内に埋め込まれている(または覆われている)集積回路に保護を与えるので、熱放散が悪影響を受ける可能性がある。切り替え部52の複数のトランジスタは、1つ以上のフラットノーリードパッケージを使用して実装してもよい。フラットノーリードパッケージは、デュアルフラットノーリード(DFN)、クアッドフラットノーリード(QFN)パッケージまたは類似のパッケージであってもよい。
【0061】
DFNまたはQFNパッケージを使用することで切り替え部52からDFN/QFNパッケージが装着される基板53への熱放散を向上させることができる。DFNおよびQFNパッケージは、通常、熱放散を向上させることができる露出した熱パッド(即ち、保護材によって覆われていない少なくとも1つの露出面を有する金属部材などの部材であり)を含む。熱放散の向上によって切り替え部52がDFNまたはQFNパッケージを使用しない他の形状の集積回路を使用して達成可能な場合より多くの熱を発生させる負荷で動作させることができる。
【0062】
ヒートシンク61は、熱放散を増加させ、これにより印刷回路板の温度を閾値温度より低く維持することができる。ヒートシンク61は、基板53の第1の外面54に形成してもよい。ヒートシンク61(および本明細書に記載の他のヒートシンク)は、例えば銅の塊(例えば、銅プレーン)の形体で熱を吸収、発散および分散させてもよい。当業者は別の構成について認識しているはずである。
【0063】
ヒートシンク61は、共振回路51が接続部62を介してヒートシンク61に熱接続だけするように構成してもよい。したがって、ヒートシンク61の残りの面は、空気などの流体またはあらゆる他の冷却媒体で共振回路51の面から分離させてもよい。
【0064】
切り替え部52が1つ以上のフラットノーリードパッケージを使用して実装される実装例において、接続部63は熱パッドからヒートシンク61へと延びてもよい。接続部63は、例えばバイアの形体で基板53を通過してもよい。
【0065】
図8は、例示的な実施態様による、概ね参照番号60Bで示すシステム60Aの上面図である。上面図60Bに示すようにヒートシンク61と共振回路51(または少なくともその1つ以上のインダクタ素子)は、例えば短絡を妨げるために隙間64または他の電気絶縁材によって分離されてもよい。
【0066】
図9は、例示的な実施態様による、概ね参照番号70で示すシステムのブロック図である。システム70は、基板53、基板53の第1の外面54に装着された共振回路51の1つ以上のインダクタ素子、基板53の第2の外面55に装着された切り替え部52の複数のトランジスタと、ヒートシンク71とを含む。共振回路51の1つ以上のインダクタ素子は、接続部72を介してヒートシンク71に熱接続されており、切り替え部52の複数のトランジスタは、接続部73を介してヒートシンク71に熱接続されている。ヒートシンク71は、基板53の第2の外面55に形成されてもよい。
【0067】
ヒートシンク71は、切り替え部52が接続部73を介してヒートシンク71に熱接続だけするように構成してもよい。したがって、ヒートシンク71の残りの面は、空気などの流体またはあらゆる他の冷却媒体で共振回路51の面から分離させてもよい。
【0068】
切り替え部52が1つ以上のフラットノーリードパッケージを使用して実装される実装例において、熱パッドは、ヒートシンク71に直接接続されもよい。熱パッドは、集積回路から電気的に絶縁されている。
【0069】
図10は、例示的な実施態様による、概ね参照番号70Bで示すシステム70Aの底面図である。底面図70Bに示すようにヒートシンク71と切り替え部52は、例えば短絡を妨げるために隙間74または他の電気絶縁材によって分離されてもよい。
【0070】
例示的な実施態様ではヒートシンク61および/または72は、銅製の熱だめであってもよい。これとは別にヒートシンク61および/または71は、アルミニウム製熱だめであってもよい。例示的な実施態様ではヒートシンク61および/または71は、地板であってもよい。
【0071】
ヒートシンク61および71などのヒートシンクは、高温のデバイスから低温の流体媒体へ熱エネルギーを移動させる。流体媒体は、多くの場合、空気であるが、水、冷却剤または油であってもよい。流体媒体が水の場合、ヒートシンクは、コールドプレートで呼ばれる場合がある。ヒートシンクは、著しく温度を変えることなく任意量の熱を吸収できる熱だめであってもよい。
【0072】
図11は、例示的な実施態様による、概ね参照番号80で示すシステムのブロック図である。システム80は、共振回路51と、切り替え部52と、基板81とを含む。基板81は、印刷回路板であってもよい。印刷回路板は、複数の層82を含む多層印刷回路板であってもよい。
【0073】
図12は、例示的な実施態様による、概ね参照番号90で示すシステムのブロック図である。システム90は、共振回路51と、切り替え部52と、基板92と、ヒートシンク91とを含む。基板92は、多層印刷回路板であってもよい。ヒートシンク91は、多層印刷回路板である基板92の内層に少なくとも一部が形成されてもよい。共振回路51は、接続部93を介してヒートシンク91に熱接続されてもよく、切り替え部52は、接続部94を介してヒートシンク91に熱接続されてもよい。
【0074】
図13は、例示的な実施態様による、概ね参照番号100で示すシステムのブロック図である。システム100は、共振回路51と、切り替え部52と、基板101と、複数の層102、103および104とを含む。これらの層は、基板101の第1の外面に形成された層103、基板101の内層に形成された層102および基板101の第2の外面に形成された層104を含む。前記層102~104のうちの1つ以上は、ヒートシンクとして使用可能である。さらに前記層のうちの1つ以上は、いくつかの他の目的(例えば、電気信号のルーティング)で使用可能である。
【0075】
例として、共振回路51は、これらの層102~104の1つ以上に熱的およびまたは電気的に接続されている(例えば、それぞれ接続部109、105および108を介して)。同様に切り替え部52は、層102~104の1つ以上に熱的およびまたは電気的に接続されている(例えば、それぞれ接続部110、107および108を介して)。
【0076】
上述の例示的構成のいくつかにおいて、共振回路は基板(例えば、印刷回路板)の第1の外面に、切り替え部は基板の第2の外面に設けられており、共振回路は1つ以上のインダクタ素子および少なくとも1つのコンデンサを含む。これは全ての実施態様に不可欠なことではない。例えば、図14は、例示的な実施態様による、概ね参照番号110で示すシステムのブロック図であり、1つ以上のインダクタ素子111と、切り替え部112と、少なくとも1つの容量性素子113を含む。これら1つ以上のインダクタ素子および1つ以上の容量性素子は、1つ以上の共振回路を形成する。1つ以上のインダクタ素子は、基板114の第1の外面115に装着されている。切り替え部(例えば、上述の複数のトランジスタ)は、基板114の第2の外面116に装着されている。この例示的システム110では1つ以上のコンデンサは、基板の第2の外面116にも装着されている。
【0077】
図15は、例示的な実施態様による、概ね参照番号200で示すシステムのブロック図である。このシステム200は、上記のシステム10の共振回路14およびサセプタ16を含む。このシステム200は、インパルス生成回路202およびインパルス応答プロセッサ204をさらに含む。インパルス生成回路202およびインパルス応答プロセッサ204を、システム10の制御回路18の一部として実装してもよい。
【0078】
インパルス生成回路202は、正と負の電圧源を切り替えてインパルスを生成するので、第1の切り替え部(Hブリッジ回路など)を用いて実装される。例えば、図5を参照して上記で説明した切り替え部44を使用してもよい。以下にさらに説明するように、インパルス生成回路202は、切り替え部44のFETの切り替え状態を、スイッチ45bおよび45dが両方とも(切り替え部が接地されるように)入っておりかつスイッチ45aおよび45bは切られているある状態から第1および第2の回路分岐44aおよび44bのうちの1つのスイッチの切り替え状態が逆になるように変化させてインパルスを生成することができる。あるいは、インパルス生成回路202は、パルス幅変調(PWM)回路を用いて提供される。他のインパルス生成の配置も可能である。
【0079】
インパルス応答プロセッサ204は、インパルス応答に基づいて、共振回路14およびサセプタ16の1つ以上の性能測定基準(または特性)を決定することができる。そのような性能測定基準には、物品(取り外し可能な物品21など)の特性、そのような物品の有無、物品の種類、操作温度などが含まれる。
【0080】
図16は、例示的な実施態様による、概ね参照番号210で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム210は、システム200の使用例を示す。
【0081】
アルゴリズム210は、(インパルス生成回路202で生成された)インパルスが共振回路14に印加される操作212で始まる。図17は、概ね参照番号220で示すプロットであり、操作212で印加される例示的なインパルスを示す。
【0082】
インパルスを共振回路14に印加してもよい。あるいは、複数のインダクタ素子を有するシステム(図2および3を参照して上で説明した非燃焼系エアロゾル装置20など)ではインパルス生成回路202は複数の共振回路のうちの1つを選択することができ、各共振回路はサセプタを誘導加熱するインダクタ素子とコンデンサを含み、ここで、印加されたインパルスは、コンデンサと選択された共振回路のインダクタ素子の間にインパルス応答を誘導する。
【0083】
操作214で、操作212で印加されたインパルスに応答して生成されるインパルス応答に基づいて(インパルス応答プロセッサ204によって)出力を生成する。図18は、概ね参照番号225で示すプロットであり、インパルス220に応答してインパルス応答プロセッサ204で受信される例示的なインパルス応答を示す。図18に示すように、インパルス応答は、リンギング共振の形をとるかもしれない。インパルス応答は、共振回路14のインダクタとコンデンサの間で跳ね返る電荷の結果である。1つの構成では結果として、サセプタの加熱は引き起こされない。即ち、サセプタの温度は実質的に一定である(例えば、インパルスを印加する前の温度の±1℃または±0.1℃以内)。
【0084】
インパルス応答の特性の少なくとも一部(インパルス応答の周波数や減衰率など)は、インパルスが印加されるシステムに関する情報を提供する。したがって、システム200を使用して、インパルスが印加されるシステムの1種以上の特性を決定することができる。例えば、故障状態、挿入された物品21の特性、そのような物品の有無、物品21が本物であるかどうか、操作温度などの1種以上の性能特性を、インパルス応答から導かれる出力信号に基づいて決定することができる。システム200は、システム10の決定された1種以上の特性を使用して、例えば、サセプタ装置16の加熱を行うために、システム200を使用してさらなる操作を実行する(または必要に応じてさらなる操作を防止する)ことができる。例えば、決定された操作温度に基づいて、システム200は、サセプタ装置のさらなる加熱を引き起こすために誘導装置に供給される電力水準、または電力を供給するべきかどうかを選択することができる。障害状態や物品21が本物であるかどうかの判断など、一部の性能特性ではシステムの測定された特性(インパルス応答を使用して測定)を、特性の期待値または値の範囲と比較し、その比較に基づいてシステムによって200によって取られる操作を実行できる。
【0085】
図19は、例示的な実施態様による、概ね参照番号230で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム230の操作232で、インパルス生成回路202によって共振回路14にインパルスを印加する。したがって、操作232は、上述の操作212と同じである。
【0086】
アルゴリズム230の操作234において、加えられたインパルスに応答して誘導されるインパルス応答の周期は、インパルス応答プロセッサ204によって特定される。最後に、操作236において、(インパルス応答の特定された周期に基づく)出力が生成される。
【0087】
図20は、例示的な実施態様による、概ね参照番号380で示す回路切り替え部のブロック図である。切り替え部380は、概ね参照番号382で示す第1の状態および概ね参照番号383で示す第2の状態における回路40のスイッチ位置を示す。
【0088】
第1の状態382では回路40のスイッチ45aおよび45cは切れて(即ち、開いて)おり、第2の状態383ではスイッチ45bおよび45dは繋がって(即ち、閉じて)いる。したがって、第1の状態382では共振回路49の両側が接地に接続されている。第2の状態383では電圧パルス(即ち、インパルス)が共振回路に印加される。
【0089】
図21は、例示的な実施態様による、概ね参照番号390で示す回路切り替え部のブロック図である。切り替え部390は、概ね参照番号392で示す第1の状態および一般に参照番号393で示す第2の状態における回路40のスイッチ位置を示す。
【0090】
第1の状態392ではスイッチ45bは繋がって(即ち、閉じて)おり、スイッチ45a、45c、および45dは切れて(即ち、開いて)いる。したがって、共振回路49の片側は接地されている。第2の状態393では電圧パルス(即ち、インパルス)が共振回路に印加される。
【0091】
切り替え部380の第2の状態382では電流は第1のスイッチ45a、共振回路49、およびスイッチ45dを流れることができる。この電流が流れると、電源(バッテリーなど)の発熱と放電が発生する可能性がある。切り替え部390の第2の状態393では電流はスイッチ45dを流れないので、発熱および電源放電を低減することができる。さらに各インパルスの生成時にノイズの発生を低減することができる。
【0092】
図22は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号400で示されるフローチャートである。アルゴリズム400は、本明細書で説明されるシステムの使用例を示す。
【0093】
アルゴリズム400は、測定操作401から始まる。測定操作401は、例えば、温度測定を含む。次に、操作402で、加熱操作が実行される。加熱操作402の実施は、測定操作401の出力に依存するかもしれない。加熱操作402が完了すると、アルゴリズム400は、操作401に戻り、そこで測定操作が繰り返される。
【0094】
操作401は、インパルスがインパルス生成回路202によって印加され、測定(例えば、温度測定)がインパルス応答プロセッサ204の出力に基づいて特定されるシステム200で実施される。上記のように、温度測定は、例えば、減衰率、インパルス応答時間、インパルス応答期間などに基づいてもよい。
【0095】
操作402は、システム10のサセプタ16を加熱するために誘導加熱装置12を制御することで実行することができる。誘導加熱装置12は共振回路の共振周波数またはその近くで駆動して効率的な加熱を引き起こしてもよい。共振周波数は、演算401の出力に基づいて決定してもよい。
【0096】
アルゴリズム400の1つの実装形体では測定操作が第1の期間に実行され、加熱操作402が第2の期間に実行され、その後、プロセスが繰り返される。例えば、第1の期間は10ミリ秒で、第2の期間は250ミリ秒であるが、他の時間間隔も可能である。換言すれば、測定操作は、連続する加熱操作の間に実行される。ただし、第2の期間に行われる加熱操作402は、第2の期間の全期間にわたって電力が誘導コイルに供給されることを必ずしも意味しない。例えば、電力は第2の期間のほんの一部しか供給されない場合がある。
【0097】
これに代わる実施態様ではアルゴリズム400は、必要な加熱水準に依存する持続時間を有する加熱操作402で実施される(より多くの加熱が必要な場合は加熱持続時間が増加し、より少ない加熱が必要な場合は加熱持続時間が減少する)。そのようなアルゴリズムでは測定操作401は、加熱が行われていないときに単純に実行され、その結果、測定操作401を実行するために加熱操作402を中断する必要はない。この交互的加熱部は、加熱制御へのパルス幅変調手法と呼ばれる場合がある。例えば、パルス幅変調方式は、100Hzの位の周波数で提供され、各周期は、(可変長の)加熱部分と測定部分とに分割される。
【0098】
図23は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号410で示すフローチャートである。アルゴリズム410は、上記のシステム200を用いて実装することができる。
【0099】
アルゴリズム410は操作411で始まり、スイッチ回路13(例えば、回路40)がインパルスを共振回路14に印加する。操作413で、インパルス応答(例えば、インパルス応答プロセッサ64で検出される)を用いて、加熱されるシステム内に物品(物品21など)が存在するかどうかを決定する。上で考察したように、物品21の存在は、検出可能な方法でインパルス応答に影響を与える。
【0100】
操作413で物品が検出された場合、アルゴリズム410は操作415に移動する。それ以外の場合、アルゴリズムは操作419で終わる。
【0101】
操作415で、測定および加熱操作が実施される。例えば、操作415は、上記のアルゴリズム400を用いて実施することができる。もちろん、それに代わる測定および加熱の配置を提供することができる。
【0102】
何回かの加熱測定および加熱サイクルが実行されると、アルゴリズム400は操作417に移り、そこで(例えば、加熱期間が満了した場合、またはユーザー入力に応答して)加熱を停止すべきかどうかが特定される。その場合、アルゴリズムは操作419で終わりし、そうでなければ、アルゴリズム400は操作411に戻る。
【0103】
当然のことだが、誘導性部またはサセプタ部の1種以上の特性を特定する上記の技術は、個々のインダクタ素子に応用できる。複数のインダクタ素子を含むシステム、たとえば3つのインダクタ素子23a、23b、および23cを含むシステム20の場合、インダクタ素子のそれぞれに対して上記の手法を用いて1種以上のパラメータ、たとえば温度を特定できるようにシステムを構成できる。一部の実装ではシステムが各インダクタ素子に対して個別の測定値を用いて操作することが有益な場合がある。他の実装ではシステムが複数のインダクタの単一の測定値のみを用いて操作することが有益である場合(例えば、物品21が存在するかどうかを特定する場合)がある。このような状況ではシステムは、各インダクタ素子から得られた測定値に対応する平均測定値を特定するように構成される。他の例では複数のインダクタ素子のうちの1つだけを用いて、1種以上の特性を特定することができる。
【0104】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23