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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】面状照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231220BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231220BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20231220BHJP
   F21V 13/04 20060101ALI20231220BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20231220BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231220BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20231220BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231220BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V5/04 650
F21V5/02 100
F21V5/04 600
F21V13/04 300
F21V7/09 510
F21S2/00 340
F21S2/00 330
G02F1/13357
G02B27/01
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022022222
(22)【出願日】2022-02-16
(65)【公開番号】P2023119358
(43)【公開日】2023-08-28
【審査請求日】2023-06-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】椋本 英
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祥吾
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-118935(JP,A)
【文献】特開2017-151404(JP,A)
【文献】国際公開第2022/004036(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/04
F21V 5/02
F21V 13/04
F21V 7/09
G02F 1/13357
G02B 27/01
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に2次元に配置され、個々発光が個別に制御されてローカルディミングが可能な複数の光源と、
前記基板の出射側に配置され、前記複数の光源の個々を囲む反射面を有するリフレクタと、
前記光源の出射側に、前記基板に対して平行に配置され、前記光源から出射する光を略平行光に収束させるコンデンサレンズと、
前記コンデンサレンズの出射側に配置され、前記基板に平行な面内の直交する少なくとも一方の方向に傾斜して配置され、前記コンデンサレンズから入射する光を外側に広げる複数のリニアプリズムが平板のいずれかの主平面に形成され、外付けされる液晶パネルとの間に均一の光学距離が確保されるフィールドレンズと
備える面状照明装置。
【請求項2】
前記フィールドレンズは、前記液晶パネルと近接して設けられる、
請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
前記コンデンサレンズは、入射側と出射側とに凹凸を形成する溝の方向が直交するリニアフレネルレンズが形成され、
前記フィールドレンズは、入射側と出射側とに凹凸を形成する溝の方向が直交するリニアプリズムが形成される、
請求項1または2に記載の面状照明装置。
【請求項4】
前記コンデンサレンズと前記フィールドレンズとの間に、前記基板に平行に設けられる、他のフィールドレンズを備え、
前記他のフィールドレンズは、入射側と出射側とに凹凸を形成する溝の方向が直交するレンチキュラーレンズが形成される、
請求項1~3のいずれか一つに記載の面状照明装置。
【請求項5】
前記傾斜して配置されたフィールドレンズの出射側に配置される、偏光反射シートまたは拡散シートによる光学シートを備える、
請求項1~4のいずれか一つに記載の面状照明装置。
【請求項6】
光軸に対して傾斜して配置される液晶パネルを照明する面状照明装置であって、
基板上に2次元に配置され、個々発光が個別に制御されてローカルディミングが可能な複数の光源と、
前記基板の出射側に配置され、前記複数の光源の個々を囲む反射面を有するリフレクタと、
前記光源の出射側に、前記光源から出射する光を略平行光に収束させるコンデンサレンズと、
前記コンデンサレンズの出射側に配置され、前記コンデンサレンズから入射する光を外側に広げる複数のリニアプリズムが平板のいずれかの主平面に形成されるフィールドレンズと
備え、
前記フィールドレンズは、外付けされる前記液晶パネルに平行かつ近接して配置される、
面状照明装置。
【請求項7】
光軸に対して傾斜して配置される液晶パネルを照明する面状照明装置であって、
基板上に2次元に配置され、個々発光が個別に制御されてローカルディミングが可能な複数の光源と、
前記基板の出射側に配置され、前記複数の光源の個々を囲む反射面を有するリフレクタと、
前記光源の出射側に、前記光源から出射する光を略平行光に収束させるコンデンサレンズと、
前記コンデンサレンズの出射側に配置され、前記コンデンサレンズから入射する光を外側に広げる複数のリニアプリズムが平板のいずれかの主平面に形成されるフィールドレンズと
備え、
前記フィールドレンズは、外付けされる前記液晶パネルに近接して配置される、
面状照明装置。
【請求項8】
前記フィールドレンズは、前記液晶パネルとの間隔が3mm以下に近接する、
請求項6または7に記載の面状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウインドウシールド等を利用したヘッドアップディスプレイ(HUD)が知られている(例えば、特許文献1、2等を参照)。このようなヘッドアップディスプレイの光源ユニットは、太陽光に晒されるウインドウシールドの近くに設置されるものであるため、太陽光による熱や迷光への対策がなされる場合が多い。
【0003】
例えば、ヘッドアップディスプレイのバックライトとして用いられる面状照明装置には、その出射面側に液晶パネルが配置され、その後段には1または複数のミラーが設けられ、ウインドウシールドに投影が行われる。そのため、自動車の外部からウインドウシールドおよびミラーを通して侵入した太陽光の熱により液晶パネルや面状照明装置が劣化したり、迷光が表示に悪影響を与えたりする。
【0004】
そのための対策として、面状照明装置から初段のミラーに向かう主たる光軸に対し、液晶パネルが初段のミラーと同方向に傾斜するように配置されることが多い。液晶パネルが傾斜した状態で配置されることで、投影時とは逆方向に侵入してきた太陽光が液晶パネルの表面で反射しやすくなり、液晶パネルや面状照明装置の内部への太陽光の侵入が阻止されることで、熱や迷光による問題が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-83593号公報
【文献】特開2019-61128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の液晶パネルの傾斜は、ローカルディミングに対応していない面状照明装置については特に問題がなかったが、ローカルディミングに対応した面状照明装置にあっては、コントラストや輝度均一性を低下させる新たな問題の原因となる。ローカルディミングは、LED(Light Emitting Diode)等の光源を2次元に配置した直下型の面状照明装置において、個々の光源の光量を制御することで、同一画面内の異なるエリアのコントラスト比を大幅に高める技術である。
【0007】
すなわち、この種の面状照明装置では、後段の一部のミラーとして用いられる凹面鏡により光が収束されても周縁の視認性が低下しないよう、外側に開いた配光特性が与えられることが多い。そのため、面状照明装置の主たる光軸に対して液晶パネルが傾斜して配置されることで、外側に開いた配光特性を与えるためのフィールドレンズと液晶パネルとの間に光学距離の差が生じてしまう。この光学距離の差により、ローカルディミングのゾーンエリア(ディミングゾーン)をはみだす光が発生してしまい、コントラストや輝度均一性を低下させてしまう。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コントラストや輝度均一性を向上させることのできる面状照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る面状照明装置は、複数の光源と、コンデンサレンズと、フィールドレンズと、リフレクタとを備える。前記複数の光源は、基板上に2次元に配置され、個々発光が個別に制御されてローカルディミングが可能である。前記リフレクタは、前記基板の出射側に配置され、前記複数の光源の個々を囲む反射面を有する。前記コンデンサレンズは、前記光源の出射側に、前記基板に対して平行に配置され、前記光源から出射する光を略平行光に収束させる。前記フィールドレンズは、前記コンデンサレンズの出射側に配置され、前記基板に平行な面内の直交する少なくとも一方の方向に傾斜して配置され、前記コンデンサレンズから入射する光を外側に広げる複数のリニアプリズムが平板のいずれかの主平面に形成され、外付けされる液晶パネルとの間に均一の光学距離が確保される
【0010】
本発明の一態様に係る面状照明装置は、コントラストや輝度均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、ヘッドアップディスプレイシステムの構成例を示す図である。
図2図2は、液晶パネルが装着された面状照明装置の平面図である。
図3図3は、図2のA-A断面図である。
図4図4は、図2のB-B断面図である。
図5図5は、水平方向(X軸方向)の配光の例を示す図である。
図6図6は、垂直方向(Y軸方向)の配光の例を示す図である。
図7図7は、比較例#1の面状照明装置および液晶パネルの構成例および垂直方向(Y軸方向)の配光の例を示す図である。
図8図8は、比較例#2の面状照明装置および液晶パネルの構成例および垂直方向(Y軸方向)の配光の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る面状照明装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0013】
図1は、ヘッドアップディスプレイシステム100の構成例を示す図である。図1において、自動車に搭載されるヘッドアップディスプレイシステム100の場合、自動車の進行方向は図における左方向(Y軸の正方向)である。
【0014】
図1において、面状照明装置1の出射光は液晶パネル101を通過した後(L1)、ミラー102により反射され(L2)、凹面鏡103に導かれる。凹面鏡103から反射された光(L3)は、自動車のウインドウシールド104に照射され、その反射光(L4)が運転者等のアイボックス(視野)EBに入り、液晶パネル101において表示された画像が虚像として認識される。なお、X軸方向に併記されている「H(水平方向)」と、Y軸方向に併記されている「V(垂直方向)」は、アイボックスEBから見た虚像の水平方向と垂直方向である。
【0015】
また、面状照明装置1から初段のミラー102に向かう主たる光軸(L1)に対し、液晶パネル101はミラー102と同方向に傾斜するように配置されている。液晶パネル101が傾斜した状態で配置されることで、ウインドウシールド104の上方から照射される太陽光がウインドウシールド104、凹面鏡103およびミラー102を通して液晶パネル101に侵入してきた場合に、太陽光が液晶パネル101の表面で反射しやすくなる。これにより、液晶パネル101や面状照明装置1の内部への太陽光の侵入が阻止されることで、熱や迷光による問題が軽減される。
【0016】
なお、図1におけるヘッドアップディスプレイシステム100の構成要素や配置は一例であり、面状照明装置1の光軸が水平方向に設定される場合もあるし、枚数を含めてミラーの構成が異なる場合もある。
【0017】
図2は、液晶パネル101が装着された面状照明装置1の平面図である。便宜上、面状照明装置1の底面がX-Y平面内にあり、面状照明装置1の厚み方向をZ方向としている。また、ウインドウシールド104に反射されて利用者から見える使用状態においては、既に図1において示されたように、X軸方向が水平方向(H)に対応し、Y軸方向が垂直方向(V)に対応する。なお、以下では、ウインドウシールド104に反射されて利用者から見える使用状態における水平方向と垂直方向を単に「水平方向」と「垂直方向」と記載する場合がある。
【0018】
図2において、面状照明装置1は、平面形状が略長方形状の外形を有しており、出射面には液晶パネル101が配置されている。液晶パネル101の周囲は額縁部101bとなっており、その内側が表示エリア101aとなっている。
【0019】
図3は、図2のA-A断面図である。図4は、図2のB-B断面図である。図3および図4において、面状照明装置1は底のある箱状のフレーム2を有している。フレーム2の底部には、放熱性に優れたアルミニウム等により形成される基板3が配置されている。基板3の上には、適宜に絶縁が施された上で、LED(Light Emitting Diode)等による複数の光源4が格子状に2次元に配置されている。個々の光源4は個別に駆動が行われ、個別に発光が制御されて、いわゆるローカルディミングに対応している。
【0020】
基板3の光源4が配置される出射側には、複数の光源4の個々を囲む4つの反射面5a、5bを有するリフレクタ5が配置されている。リフレクタ5は、樹脂等により形成されている。リフレクタ5は光源4から浮いた状態に配置される場合もある。リフレクタ5は省略される場合もある。
【0021】
リフレクタ5の出射側には、集光を行うためのコンデンサレンズ6が基板3に平行に配置されている。コンデンサレンズ6の図における下側の入射側の面には、図3に示されるように、レンズの凹凸面を構成する溝が一の方向(図の奥行方向(Y軸方向))に延びるリニアフレネルレンズ6aが形成されている。また、コンデンサレンズ6の図における上側の出射側の面には、図4に示されるように、レンズの凹凸面を構成する溝が下側の面の一の方向と直交する方向(図の左右方向(X軸方向))に延びるリニアフレネルレンズ6bが形成されている。リニアフレネルレンズ6a、6bは、それぞれシリンダ状の凸レンズをフレネルレンズとしたプリズム構造を有しており、直下に配置される光源4のピッチに合わせて溝が周期的に形成されており、隣り合うセグメント間のセグメント境界において、プリズムの角度が反転している。円環状のフレネルレンズに比して製造が容易となる。
【0022】
コンデンサレンズ6の出射側には、配光を広げるためのフィールドレンズ7が配置されている。フィールドレンズ7の図における下側の面には、図3に示されるように、レンズの凹凸面を構成する溝が一の方向(図の奥行方向(Y軸方向))に延びるレンチキュラーレンズ7aが形成されている。フィールドレンズ7の図における上側の面には、図4に示されるように、レンズの凹凸面を構成する溝が下側の面の一の方向と直交する方向(図の左右方向(X軸方向))に延びるレンチキュラーレンズ7bが形成されている。レンチキュラーレンズ7a、7bは、かまぼこ状の断面のプリズム形状を有しており、入射した光を広げる。拡散板は光を全方向に広げてしまい、効率の低下を招くが、レンチキュラーレンズ7a、7bは配光の広がりを断面形状により必要な範囲内に調整することが可能であり、光効率の低下を招かないため有利である。
【0023】
フィールドレンズ7の出射側には、配光を外側に広げるためのフィールドレンズ8が配置されている。配光を広げるのは、ヘッドアップディスプレイシステム100(図1)に含まれる凹面鏡103により光が収束されても、周縁の視認性が低下しないよう、外側に開いた配光特性を与えるためである。フィールドレンズ8は、図3に示されるように、X軸方向(水平方向)については傾斜しておらず、基板3、コンデンサレンズ6およびフィールドレンズ7と平行に配置されている。また、フィールドレンズ8は、図4に示されるように、Y軸方向(垂直方向)については、基板3、コンデンサレンズ6およびフィールドレンズ7に対して傾斜して配置されている。
【0024】
フィールドレンズ8の図における下側の面には、図3に示されるように、レンズの凹凸面を構成する溝が一の方向(図の奥行方向(Y軸方向))に延びるリニアプリズム8aが形成されている。フィールドレンズ8の図における上側の面には、図4に示されるように、レンズの凹凸面を構成する溝が下側の面の一の方向と直交する方向(図の左右方向(X軸方向))に延びるリニアプリズム8bが形成されている。リニアプリズム8a、8bは、全幅の中央部分を通過する光はZ軸方向に直進させ、外側に行くにつれて場所ごとの光軸を外側に向けるものである。なお、全幅の中央部分を通過する光についても、Z軸方向から傾斜するものとしてもよい。
【0025】
フィールドレンズ8の出射側には、装着される液晶パネル101の特性に合わせた光学シート9が、フィールドレンズ8に平行に配置されている。光学シート9としては、偏光反射シートや拡散シートが用いられる。光学シート9の厚さは、例えば、0.4mm程度である。
【0026】
光学シート9の出射側には、投影する画像を形成するための液晶パネル101が光学シート9およびフィールドレンズ8に平行に配置されている。ここで重要なのは、フィールドレンズ8と液晶パネル101との間に均一の光学距離が確保されることである。また、フィールドレンズ8と液晶パネル101の両者が近接していることも重要である。フィールドレンズ8と液晶パネル101との距離が小さいほど隣のディミングゾーンに広がる光を少なくすることができ、光の損失が少なくなり、コントラストが向上する。フィールドレンズ8と液晶パネル101との距離はゼロ(実質的に隙間がない状態での近接)でもよいが、光学特性と、光学シート9が設けられる場合のその厚さ、各光学部材の位置決め機構の厚さ等を考慮すると、3mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下である。なお、フィールドレンズ8と液晶パネル101との距離が3mm以下に近接していれば、必ずしもフィールドレンズ8と液晶パネル101とが平行に配置されていなくてもよい。
【0027】
図5は、水平方向(X軸方向)の配光の例を示す図である。図5において、光源4から出射した光L11は、コンデンサレンズ6(下面のリニアフレネルレンズ6a)によって略平行光に収束されて光L12となる。光L12はフィールドレンズ7(下面のレンチキュラーレンズ7a)により光軸はそのままで配光が広げられ、光L13となる。光L13はフィールドレンズ8(下面のリニアプリズム8a)により場所ごとの光軸が外側に傾けられ、配光が外側に広げられ、光学シート9および液晶パネル101を通過する光L14となる。
【0028】
図6は、垂直方向(Y軸方向)の配光の例を示す図である。図6において、光源4から出射した光L21は、コンデンサレンズ6(上面のリニアフレネルレンズ6b)によって略平行光に収束されて光L22となる。光L22はフィールドレンズ7(上面のレンチキュラーレンズ7b)により光軸はそのままで配光が広げられ、光L23となる。光L23はフィールドレンズ8(上面のリニアプリズム8b)により場所ごとの光軸が外側に傾けられ、配光が外側に広げられ、光学シート9および液晶パネル101を通過する光L24となる。
【0029】
図7は、比較例#1の面状照明装置1’および液晶パネル101’の構成例および垂直方向(Y軸方向)の配光の例を示す図である。図7において、比較例#1の面状照明装置1’は、ローカルディミングに対応していない。すなわち、フレーム2’には底部側から基板3’、光源4’、リフレクタ5’、コンデンサレンズ6’、フィールドレンズ8’、光学シート9’および液晶パネル101’が順に配置されているが、少数の光源4’により全体がカバーされるようになっている。そのため、ローカルディミングにおけるゾーンエリアという概念はなく、フィールドレンズ8’と液晶パネル101’との間の光学距離が均一でなくても、ディミングゾーンについての問題はない。ただし、光学距離が最も大きい方の端部側(図7の左端)では、光線がフレーム2’に入射してしまうため、光の損失が生じる。
【0030】
図8は、比較例#2の面状照明装置1”および液晶パネル101”の構成例および垂直方向(Y軸方向)の配光の例を示す図である。図8において、比較例#2の面状照明装置1”は、ローカルディミングに対応している。フレーム2”には底部側から基板3”、光源4”、リフレクタ5”、コンデンサレンズ6”、フィールドレンズ7”、フィールドレンズ8”、光学シート9”および液晶パネル101”が順に配置されている。ただし、フィールドレンズ8”は基板3”、コンデンサレンズ6”およびフィールドレンズ7”に平行に配置されている。
【0031】
そのため、各光源4”に対応する、縦方向に延びる2点鎖線で囲まれたローカルディミングのゾーンエリアをはみだす光が発生してしまう。例えば、図8中の光L1”、L2”等が、ローカルディミングのゾーンエリアをはみだした光である。このような光によりコントラストや輝度均一性を低下させてしまう。すなわち、隣のゾーンエリアにはみ出した光により、その隣のゾーンエリアがオフ(光量ゼロ)であった場合には不要な光を与えてしまい、また、はみ出す元のゾーンエリアについても光量が不足し、全体としてコントラストや輝度均一性を低下させてしまう。
【0032】
この点、上記の実施形態にあっては、図6に示されるように、フィールドレンズ8と液晶パネル101との間に均一の光学距離が確保されているため、ローカルディミングのゾーンエリアをはみだす光の発生が抑制され、コントラストや輝度均一性の低下を防止し、コントラストや輝度均一性を向上させることができる。また、フィールドレンズ8と液晶パネル101とが近接していることにより、それらの効果がより有効に発揮される。なお、本実施形態は、ローカルディミング対応ではない通常のバックライトにも適用することができ、一定の効果を発揮する。すなわち、図7のローカルディミングに対応していない面状照明装置1’の場合、光学距離が最も大きい方の端部側(図7の左端)では、光線がフレーム2’に入射してしまうため、光の損失が生じるが、本実施形態の構成を適用することで、端部における光の損失を防止することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0034】
以上のように、実施形態に係る面状照明装置は基板上に2次元に配置され、個々に発光が制御される複数の光源と、光源の出射側に、基板に対して平行に配置され、光源から出射する光を略平行光に収束させるコンデンサレンズと、コンデンサレンズの出射側に配置され、基板に平行な面内の直交する少なくとも一方の方向に傾斜して配置され、コンデンサレンズから入射する光を外側に広げ、外付けされる液晶パネルとの間に均一の光学距離が確保されるフィールドレンズと、を備える。これにより、コントラストや輝度均一性を向上させることができる。すなわち、フィールドレンズがコンデンサレンズから入射する光を外側に広げても、フィールドレンズと液晶パネルとの間に均一の光学距離が確保されるため、ローカルディミングのゾーンエリアをはみだす光の発生を抑制することができ、コントラストや輝度均一性の低下を防止することができる。なお、本実施形態は、ローカルディミング対応ではない通常のバックライトにも適用することができ、一定の効果を発揮する。
【0035】
また、フィールドレンズは、液晶パネルと近接して設けられる。これにより、フィールドレンズにより隣のディミングゾーンに広がる光を少なくすることができ、光の損失が少なくなり、コントラストが向上する。
【0036】
また、コンデンサレンズは、入射側と出射側とに凹凸を形成する溝の方向が直交するリニアフレネルレンズが形成され、フィールドレンズは、入射側と出射側とに凹凸を形成する溝の方向が直交するリニアプリズムが形成される。これにより、コンデンサレンズが容易に実現可能である。
【0037】
また、コンデンサレンズとフィールドレンズとの間に、基板に平行に設けられる、他のフィールドレンズを備え、他のフィールドレンズは、入射側と出射側とに凹凸を形成する溝の方向が直交するレンチキュラーレンズが形成される。これにより、拡散板による場合のような光効率の低下を招くことなく、輝度均一性を向上させることができる。
【0038】
また、基板の出射側に配置され、光源を囲む反射面を有するリフレクタを備える。これにより、光源から基板側へ漏れる光が無駄にならず、光効率が高められる。
【0039】
また、傾斜して配置されたフィールドレンズの出射側に配置される、偏光反射シートまたは拡散シートによる光学シートを備える。これにより、外付けされる液晶パネルに応じた光学特性の実現が容易となる。
【0040】
また、光軸に対して傾斜して配置される液晶パネルを照明する面状照明装置であって、基板上に2次元に配置され、個々に発光が制御される複数の光源と、光源の出射側に、光源から出射する光を略平行光に収束させるコンデンサレンズと、コンデンサレンズの出射側に配置され、コンデンサレンズから入射する光を外側に広げるフィールドレンズと、を備え、フィールドレンズは、外付けされる液晶パネルに平行かつ近接して配置される。これにより、コントラストや輝度均一性を向上させることができる。
【0041】
また、光軸に対して傾斜して配置される液晶パネルを照明する面状照明装置であって、基板上に2次元に配置され、個々に発光が制御される複数の光源と、光源の出射側に、光源から出射する光を略平行光に収束させるコンデンサレンズと、コンデンサレンズの出射側に配置され、コンデンサレンズから入射する光を外側に広げるフィールドレンズと、を備え、フィールドレンズは、外付けされる液晶パネルに近接して配置される。これにより、コントラストや輝度均一性を向上させることができる。
【0042】
また、フィールドレンズは、液晶パネルとの間隔が3mm以下に近接する。これにより、有効な効果を期待することができる。
【0043】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 面状照明装置,2 フレーム,3 基板,4 光源,5 リフレクタ,5a、5b 反射面,6 コンデンサレンズ,6a、6b リニアフレネルレンズ,7 フィールドレンズ,7a、7b レンチキュラーレンズ,8 フィールドレンズ,8a、8b リニアプリズム,9 光学シート,100 ヘッドアップディスプレイシステム,101 液晶パネル,101a 表示エリア,101b 額縁部,102 ミラー,103 凹面鏡,104 ウインドウシールド,EB アイボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8