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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ガス検出システム及びガス検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20231220BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20231220BHJP
   G01N 27/16 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01N27/12 A
G01N27/04 E
G01N27/16 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022125837
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2021507432の分割
【原出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2022174045
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2019053322
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真一
(72)【発明者】
【氏名】上山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 悦朗
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/189785(WO,A1)
【文献】特表平05-504410(JP,A)
【文献】特開2008-128747(JP,A)
【文献】国際公開第2019/022081(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定ガスの濃度に応じた信号を出力するセンサ部と、
サンプルガス及びパージガスを前記センサ部に供給可能な供給部と、
前記供給部を制御して、前記サンプルガスと前記パージガスとを交互に前記センサ部に供給する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記センサ部が出力する電圧波形を取得し、前記電圧波形の特徴を説明変数とする重回帰分析に基づいて前記サンプルガスに含まれるガスの種類又は濃度を検出し、
前記電圧波形は、前記サンプルガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形、及び、前記パージガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形を含む、ガス検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載のガス検出システムであって、
前記センサ部は、直列接続された抵抗素子及びセンサ素子を含み、
前記制御部は、前記抵抗素子の抵抗値を前記センサ素子の抵抗値と同等にする、ガス検出システム。
【請求項3】
請求項2に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記センサ部の電圧波形から、前記センサ素子の抵抗値の最大値及び最小値を取得し、前記抵抗素子の抵抗値を、前記最大値及び前記最小値の相乗平均値に設定することにより、前記抵抗素子の抵抗値を前記センサ素子の抵抗値と同等にする、ガス検出システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記サンプルガスに含まれるガスの種類又は濃度を検出する前に、前記センサ素子の抵抗値を取得し、取得した前記センサ素子の抵抗値が所定値を下回るとき、アラームを示す信号を生成する、ガス検出システム。
【請求項5】
請求項4に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、取得した前記センサ素子の抵抗値が所定値以上であるとき、前記センサ素子の抵抗値に応じて前記抵抗素子の抵抗値を調整する、ガス検出システム。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記電圧波形の形状に基づいて前記サンプルガスに含まれるガスの種類又は濃度を検出する、ガス検出システム。
【請求項7】
請求項1から5までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記制御部は、前記電圧波形が立ち上がるとき又は立ち下がるときの前記電圧波形の傾きに基づいて前記サンプルガスに含まれるガスの種類又は濃度を検出する、ガス検出システム。
【請求項8】
サンプルガスとパージガスとを交互に、特定ガスの濃度に応じた信号を出力するセンサ部に供給することと、
前記センサ部が出力する電圧波形を取得することと、
前記電圧波形の特徴を説明変数とする重回帰分析に基づいて前記サンプルガスに含まれるガスの種類又は濃度を検出することと、を含み、
前記電圧波形は、前記サンプルガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形、及び、前記パージガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形を含む、ガス検出方法。
【請求項9】
請求項1から7までの何れか一項に記載のガス検出システムであって、
前記電圧波形の特徴は、所定区間における前記電圧波形の、傾き、平均値、中央値、こられの数値同士の差、又は、異なる前記センサ部間におけるこれらの数値の比率を含む、ガス検出システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年3月20日に日本国に特許出願された特願2019-053322の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガス検出システム及びガス検出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、被検者が排出した便から発生する臭気性ガスを検出するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-142584号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態に係るガス検出システムは、
特定ガスの濃度に応じた信号を出力するセンサ部と、
サンプルガス及びパージガスを前記センサ部に供給可能な供給部と、
前記供給部を制御して、前記サンプルガスと前記パージガスとを交互に前記センサ部に供給する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記センサ部が出力する電圧波形を取得し、前記電圧波形の特徴を説明変数とする重回帰分析に基づいて前記サンプルガスに含まれるガスの種類又は濃度を検出し、
前記電圧波形は、前記サンプルガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形、及び、前記パージガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形を含む。
【0006】
本開示の一実施形態に係るガス検出方法は、
サンプルガスとパージガスとを交互に、特定ガスの濃度に応じた信号を出力するセンサ部に供給することと、
前記センサ部が出力する電圧波形を取得することと、
前記電圧波形の特徴を説明変数とする重回帰分析に基づいて前記サンプルガスに含まれるガスの種類又は濃度を検出することと、を含み、
前記電圧波形は、前記サンプルガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形、及び、前記パージガスが前記センサ部に供給されている期間に前記センサ部が出力する電圧波形を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るガス検出システムの外観図である。
図2図2は、図1に示すガス検出システムが備える筐体内の概略図である。
図3図3は、図1に示すガス検出システムの機能ブロック図である。
図4図4は、図2に示すセンサ部の回路図である。
図5図5は、図2に示すセンサ部の電圧波形の一例を示す図である。
図6図6は、図2に示すセンサ部の分解能調整前の電圧波形の一例を示す図である。
図7図7は、図2に示すセンサ部の分解能調整後の電圧波形の一例を示す図である。
図8図8は、図1に示すガス検出システムのガスの種類及び濃度の検出時の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、図1に示すガス検出システムの予測式の決定時の動作を示すフローチャートである(その1)。
図10図10は、図1に示すガス検出システムの予測式の決定時の動作を示すフローチャートである(その2)。
図11図11は、図1に示すガス検出システムの較正時の動作を示すフローチャートである。
図12図12は、図1に示すガス検出システムの分解能調整時の動作を示すフローチャートである。
図13図13は、図2に示すセンサ部の回路図の他の例を示す図である。
図14図14は、図2に示す構成の他の例1を示す図である。
図15図15は、図2に示す構成の他の例2を示す図である。
図16図16は、図2に示す構成の他の例3を示す図である。
図17図17は、本開示の他の実施形態に係るガス検出システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来のシステムには、改善の余地がある。
【0009】
本開示は、改善された、ガス検出システム及びガス検出方法を提供することに関する。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、改善された、ガス検出システム及びガス検出方法が提供され得る。
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。各図は模式的に示したものである。
【0012】
[ガス検出システムの構成例]
図1に示すようなガス検出システム1は、「ガス検出装置」ともいう。ガス検出システム1は、図1に示すように、便器2に設置されている。例えば、便器2は、水洗便器であってよい。ガス検出システム1は、便器2の任意の箇所に設置されていてよい。一例として、ガス検出システム1は、図1に示すように、便器ボウル2Aと便座2Bとの間から便器2の外部にわたって配置されていてよい。ガス検出システム1の一部は、便座2Bの内部に埋め込まれていてよい。便器2の便器ボウル2Aには、被検者の便が排出され得る。ガス検出システム1は、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスを、サンプルガスとして取得し得る。ガス検出システム1は、サンプルガスに含まれるガスの種類及びガスの濃度等を検出し得る。ガス検出システム1は、検出結果等を電子機器3に送信し得る。
【0013】
ガス検出システム1の用途は、上述の用途に限定されない。例えば、ガス検出システム1は、冷蔵庫に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム1は、食品から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。その他の用途としては、例えば、ガス検出システム1は、工場又は実験室に設置されていてよい。この場合、ガス検出システム1は、薬品等から発生するガスをサンプルガスとして取得し得る。
【0014】
便器2は、住宅又は病院等のトイレ室に設置され得る。便器2は、被検者によって使用され得る。便器2は、便器ボウル2Aと、便座2Bとを備える。便器ボウル2Aには、被検者の便が排出され得る。
【0015】
電子機器3は、例えば、被検者が利用するスマートフォンである。ただし、電子機器3は、スマートフォンに限定されず、任意の電子機器であってよい。電子機器3は、被検者によってトイレ室に持ち込まれる場合、図1に示すようにトイレ室の内部に存在し得る。ただし、電子機器3は、例えば被検者がトイレ室に電子機器3を持ち込まない場合、トイレ室の外部に存在してよい。電子機器3は、ガス検出システム1から検出結果を、無線通信又は有線通信によって、受信し得る。電子機器3は、受信した検出結果を、表示部3Aに表示し得る。表示部3Aは、文字等を表示可能なディスプレイと、ユーザ(被検者)の指等の接触を検出可能なタッチスクリーンとを含んで構成されていてよい。当該ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro‐Luminescence Display)又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro‐Luminescence Display)等の表示デバイスを含んで構成されていてよい。当該タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式又は荷重検出方式等の任意の方式でよい。
【0016】
図2に示すように、ガス検出システム1は、筐体10と、第1吸引孔20と、第2吸引孔21と、排出路22と、流路23,24と、チャンバ30と、第1貯留槽40と、第2貯留槽41と、第1供給部50と、第2供給部51と、回路基板60とを備える。流路23は、流路23-1と、流路23-2とを含む。流路24は、流路24-1と、流路24-2とを含む。ガス検出システム1は、弁20Bと、弁21Bとを備えてよい。ガス検出システム1は、弁25,26と、流路27と、流路28と、第3供給部52とを備えてよい。流路27は、流路27-1と、流路27-2と、流路27-3とを含む。図3に示すように、ガス検出システム1は、回路基板60内に、記憶部61と、通信部62と、制御部64とを備える。ガス検出システム1は、センサ部63を備えてよい。さらに、ガス検出システム1は、バッテリ及びスピーカ等を備えてよい。
【0017】
筐体10には、ガス検出システム1の各種部品が収容されている。筐体10は、任意の材料で構成されていてよい。例えば、筐体10は、金属又は樹脂等の材料で構成されていてよい。
【0018】
第1吸引孔20は、図1に示すように、便器ボウル2Aの内側へ露出し得る。第1吸引孔20の一部は、便座2Bに埋め込まれていてよい。第1吸引孔20は、便器ボウル2Aに排出された便から発生するガスを、サンプルガスとして吸引する。第1吸引孔20が吸引したサンプルガスは、図2に示すような弁20Bを介して第1貯留槽40に供給されて貯留される。図1に示すように、第1吸引孔20の一端は、便器ボウル2Aの内部に向けられてよい。図2に示すように、第1吸引孔20の他端は、第1貯留槽40に接続されていてよい。第1吸引孔20は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0019】
第1吸引孔20は、図2に示すように、その外側に、送風機20Aを有してよい。送風機20Aは、ファン及びモータを含んで構成されていてよい。送風機20Aは、制御部64の制御に基づいて、モータを駆動させることにより、ファンを回転させ得る。送風機20Aは、ファンを回転させることにより、便から発生するガスを、第1吸引孔20の近傍へ引き込み得る。送風機20Aが便から発生するガスを第1吸引孔20の近傍へ引き込み、さらに弁25が流路23-1と流路23-2とを接続させた状態にし、且つ、第1供給部50が駆動することにより、第1吸引孔20は、便器ボウル2A内の便から発生するガスを吸引し得る。
【0020】
弁20Bは、第1吸引孔20と第1貯留槽40と流路28との間に位置する。弁20Bは、第1吸引孔20に接続される接続口と、第1貯留槽40の入口部に接続される接続口と、流路28に接続される接続口とを含む。弁20Bは、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0021】
弁20Bは、制御部64の制御に基づいて、第1吸引孔20と第1貯留槽40と流路28との間の接続状態を切替える。例えば、弁20Bは、これらの間の接続状態を、第1吸引孔20と第1貯留槽40とを接続させた状態、第1貯留槽40と流路28とを接続させた状態、又は、第1吸引孔20と第1貯留槽40と流路28とを接続させない状態に切替える。
【0022】
弁20Bは、第1吸引孔20がサンプルガスを吸引する際、制御部64の制御に基づいて、第1吸引孔20と第1貯留槽40とを接続させた状態にする。また、弁20Bは、第1貯留槽40にサンプルガスが貯留されると、制御部64の制御に基づいて、第1吸引孔20と第1貯留槽40と流路28とを接続させない状態にする。弁20Bが第1貯留槽40と第1吸引孔20とを接続させない状態にすることにより、第1貯留槽40内のサンプルガスが外気に接触する蓋然性が低減され得る。
【0023】
第2吸引孔21は、図1に示すように、便器ボウル2Aの外側へ露出し得る。第2吸引孔21の一部は、便座2Bに埋め込まれていてよい。第2吸引孔21は、例えば、便器ボウル2Aの外側にあるトイレ室の空気(環境ガス)を、パージガスとして吸引する。第2吸引孔21が吸引したパージガスは、図2に示すような弁21Bを介して第2貯留槽41に供給されて貯留される。図1に示すように、第2吸引孔21の一端は、便器2の外側に向けられてよい。図2に示すように、第2吸引孔21の他端は、第2貯留槽41に接続されていてよい。第2吸引孔21は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0024】
第2吸引孔21は、図2に示すように、その外側に、送風機21Aを有してよい。送風機21Aは、ファン及びモータを含んで構成されていてよい。送風機21Aは、制御部64の制御に基づいて、モータを駆動させることにより、ファンを回転させ得る。送風機21Aは、ファンを回転させることにより、トイレ室内の空気を第2吸引孔21の近傍へ引き込み得る。送風機21Aがトイレ室内の空気を第2吸引孔21の近傍へ引き込み、さらに弁26が流路24-1と流路24-2とを接続させた状態にし、且つ、第2供給部51が駆動することにより、第2吸引孔21は、トイレ室内の空気をパージガスとして吸引し得る。
【0025】
弁21Bは、第2吸引孔21と第2貯留槽41との間に位置する。弁21Bは、第2吸引孔21に接続される接続口と、第2貯留槽41の入口部に接続される接続口とを含む。弁21Bは、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0026】
弁21Bは、制御部64の制御に基づいて、第2吸引孔21と第2貯留槽41との間の接続状態を切替える。例えば、弁21Bは、これらの間の接続状態を、第2吸引孔21と第2貯留槽41とを接続させた状態、又は、第2吸引孔21と第2貯留槽41とを接続させない状態に切替える。
【0027】
弁21Bは、第2吸引孔21がパージガスを吸引する際、制御部64の制御に基づいて、第2吸引孔21と第2貯留槽41とを接続させた状態にする。また、弁21Bは、第2貯留槽42にパージガスが貯留されると、制御部64の制御に基づいて、第2吸引孔21と第2貯留槽41とを接続させない状態にする。弁20Bが第1貯留槽40と第1吸引孔20とを接続しない状態にすることにより、第2貯留槽41内のパージガスが外気に接触する蓋然性が低減され得る。
【0028】
排出路22の一部は、図1に示すように、便器ボウル2Aの外側へ露出し得る。排出路22は、図2に示すようなチャンバ30からの排気を外部に排出する。この排気には、検出処理後のサンプルガス及びパージガスが含まれ得る。また、排出路22は、第1貯留槽40内の残留ガス等を、流路23-1、弁25、流路27-1,27-3及び第3供給部52を介して、外部に排出し得る。また、排出路22は、第2貯留槽41内の残留ガス等を、流路24-1、弁26、流路27-2,27-3及び第3供給部52を介して、外部に排出し得る。排出路22は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0029】
図2に示すような流路23は、弁25が流路23-1と流路23-2とを接続させた状態にする場合、第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスを、第1供給部50を介してチャンバ30に供給する。流路23-1の一端は、第1貯留槽40の出口部に接続されている。流路23-1の他端は、弁25に接続されている。流路23-2の一端は、弁25に接続されている。流路23-2の他端は、チャンバ30に接続されている。流路23は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0030】
図2に示すような流路24は、弁26が流路24-1と流路24-2とを接続させた状態にする場合、第2貯留槽41に貯留されたパージガスを、第2供給部51を介してチャンバ30に供給する。流路24-1の一端は、第2貯留槽41の出口部に接続されている。流路24-1の他端は、弁26に接続されている。流路24-2の一端は、弁26に接続されている。流路24-2の他端は、チャンバ30に接続されている。流路24は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0031】
図2に示すような弁25は、流路23-1と流路23-2と流路27-1との間に位置する。弁25は、流路23-1に接続される接続口と、流路23-2に接続される接続口と、流路27-1に接続される接続口とを含む。弁25は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0032】
弁25は、制御部64の制御に基づいて、流路23-1と流路23-2と流路27-1との間の接続状態を切替える。例えば、弁25は、これらの間の接続状態を、流路23-1と流路23-2とを接続させた状態、又は、流路23-1と流路27-1とを接続させた状態に切替える。
【0033】
図2に示すような弁26は、流路24-1と流路24-2と流路27-2との間に位置する。弁26は、流路24-1に接続される接続口と、流路24-2に接続される接続口と、流路27-2に接続される接続口とを含む。弁26は、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。
【0034】
弁26は、制御部64の制御に基づいて、流路24-1と流路24-2と流路27-2と流路28との間の接続状態を切替える。例えば、弁26は、これらの間の接続状態を、流路24-1と流路24-2とを接続させた状態、流路24-1と流路27-2とを接続させた状態、又は、流路24-1と流路28とを接続させた状態に切替える。
【0035】
図2に示すような流路27は、弁25が流路23-1と流路27-1とを接続させた状態する場合、第1貯留槽40内の残留ガス等を、第3供給部52を介して排出路22に供給する。流路27は、弁26が流路24-1と流路27-2とを接続させた状態にする場合、第2貯留槽41内の残留ガス等を、第3供給部52を介して排出路22に供給する。流路27-1の一端は、弁25に接続されている。流路27-1の他端は、流路27-3の一端に接続されている。流路27-2の一端は、弁26に接続されている。流路27-2の他端は、流路27-3の一端に接続されている。流路27-3の一端は、流路27-1の他端及び流路27-2の他端に接続されている。流路27-3の他端は、排出路22に接続されている。流路27は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0036】
図2に示すような流路28は、弁26が流路24-1と流路28とを接続させた状態にし、且つ、弁20Bが流路28と第1貯留槽40とを接続させた状態にする場合、第2貯留槽41内のパージガスを第1貯留槽40に供給する。流路28を介してパージガスが第1貯留槽40に供給されることにより、第1貯留槽40内のサンプルガスは、流路23-1に押し出され得る。流路28の一端は、弁20Bに接続されている。流路28の他端は、弁26に接続されている。流路28は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。
【0037】
図2に示すように、チャンバ30は、その内部に、センサ部31を有する。チャンバ30は、複数のセンサ部31を有してよい。センサ部31-1,31-2,31-3は、複数のセンサ部31のうちの一部である。チャンバ30は、複数に分かれていてよい。各センサ部31は、複数に分かれた各チャンバ30に配されていてよい。複数に分かれた各チャンバ30同士は、接続されていてよい。チャンバ30には、流路23-2が接続されている。チャンバ30には、流路23-2からサンプルガスが供給される。また、チャンバ30には、流路24-2が接続されている。チャンバ30には、流路24-2からパージガスが供給される。さらに、チャンバ30には、排出路22が接続されている。チャンバ30は、検出処理後のサンプルガス及びパージガスを排出路22から排出する。
【0038】
センサ部31は、チャンバ30内に配置されている。センサ部31は、特定ガスの濃度に応じた電圧を、制御部64に出力する。特定ガスには、検出対象の特定ガスと、検出対象外の特定ガスとが含まれる。サンプルガスが便から発生するガスである場合には、検出対象の特定ガスの一例として、メタン、水素、二酸化炭素、メチルメルカプタン、硫化水素、酢酸及びトリメチルアミン等が挙げられる。また、サンプルガスが便から発生するガスである場合には、検出対象外の特定ガスの一例として、アンモニア及び水等が挙げられる。複数のセンサ部31の各々は、これらのガスの少なくとも何れかの濃度に応じた電圧を、制御部64に出力し得る。ここで、パージガスに上記の検出対象の特定ガスが含まれる場合には、その特定ガスの量は、サンプルガスに含まれる検出対象の特定ガスの量と同等であるか又は少なくなり得る。
【0039】
図4に示すように、センサ部31は、センサ素子31S及び抵抗素子31Rを有する。センサ素子31Sと抵抗素子31Rは、電源端子P1と接地端子P2との間において、直列接続されている。電源端子P1と接地端子P2との間に印加される電圧値Vは、一定となり得る。センサ素子31Sと抵抗素子31Rとが直列接続されるため、センサ素子31S及び抵抗素子31Rの各々には、同じ電流値Iが流れる。電流値Iは、センサ素子31Sの抵抗値R及び抵抗素子31Rの抵抗値RRLに応じて決まり得る。また、センサ素子31Sにかかる電圧値Vと、抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLとを合わせた値は、一定(例えば、電圧値V)となり得る。センサ部31は、特定ガスの濃度に応じた電圧として、センサ素子31Sにかかる電圧値Vを出力してもよいし、抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLを出力してもよい。
【0040】
図4に示すような電源端子P1は、ガス検出システム1が備えるバッテリ等の電源に接続されている。接地端子P2は、ガス検出システム1のグラウンドに接続されている。
【0041】
図4に示すように、センサ素子31Sの一端は、電源端子P1に接続されている。センサ素子31Sの他端は、抵抗素子31Rの一端に接続されている。センサ素子31Sは、半導体式センサである。ただし、センサ素子31Sは、半導体式センサに限定されない。例えば、センサ素子31Sは、接触燃焼式センサ又は固体電解質センサ等であってよい。
【0042】
センサ素子31Sは、感ガス部を含む。感ガス部は、センサ部31の種類に応じた金属酸化物半導体材料を含む。金属酸化物半導体材料の一例として、酸化シリコン(SnO等)、酸化インジウム(In等)、酸化亜鉛(ZnO等)、酸化タングステン(WO等)及び酸化鉄(Fe等)等から選択される1種以上を含むものが挙げられる。感ガス部の金属酸化物半導体材料に適宜不純物を添加することにより、センサ素子31Sによって検出する特定ガスを適宜選択することができる。センサ素子31Sは、感ガス部を加熱するヒータをさらに含んでよい。
【0043】
センサ素子31Sをパージガスに曝すと、パージガスに含まれる酸素が、センサ素子31Sの感ガス部の表面に吸着し得る。感ガス部の表面に吸着した酸素は、感ガス部の表面上の自由電子を捕捉し得る。感ガス部の表面に吸着した酸素によって自由電子が捕捉されると、センサ素子31Sの抵抗値Rが増加し、センサ素子31Sにかかる電圧値Vが増加し得る。つまり、センサ部31にパージガスを供給すると、センサ素子31Sにかかる電圧値Vが増加し得る。
【0044】
センサ素子31Sをサンプルガスに曝すと、サンプルガスに含まれる特定ガスと、センサ素子31Sの感ガス部の表面に吸着した酸素とが置き換わり、還元反応が生じ得る。当該還元反応が生じることにより、感ガス部の表面に吸着していた酸素が除去され得る。感ガス部の表面に吸着していた酸素が除去されると、センサ素子31Sの抵抗値Rが低下し、センサ素子31Sにかかる電圧値Vが低下し得る。つまり、センサ部31にサンプルガスを供給すると、サンプルガスに含まれる特定ガスの濃度に応じて、センサ素子31Sにかかる電圧値Vが低下し得る。
【0045】
抵抗素子31Rは、可変抵抗素子である。抵抗素子31Rの抵抗値Rは、制御部64からの制御信号によって変化し得る。抵抗素子31Rの一端は、センサ素子31Sの他端に接続されている。抵抗素子31Rの他端は、接地端子P2に接続されている。
【0046】
上述のように、センサ部31にサンプルガスを供給すると、サンプルガスに含まれる特定ガスの濃度に応じて、センサ素子31Sにかかる電圧値Vが低下し得る。また、上述のようにセンサ素子31Sにかかる電圧値Vと抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLとを合わせた値が一定となる。このため、電圧値Vが低下すると、電圧値VRLは増加する。従って、センサ部31にサンプルガスを供給すると、サンプルガスに含まれる特定ガスの濃度に応じて、抵抗素子31Rの電圧値VRLは、増加し得る。
【0047】
上述のように、センサ部31にパージガスを供給すると、センサ素子31Sにかかる電圧値Vが増加し得る。また、上述のようにセンサ素子31Sにかかる電圧値Vと抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLとを合わせた値が一定となる。このため、電圧値Vが増加すると、電圧値VRLは低下する。従って、センサ部31にパージガスを供給すると、抵抗素子31Rの電圧値VRLは低下し得る。
【0048】
抵抗素子31Rの抵抗値Rを調整することにより、センサ素子31Sにかかる電圧値Vが調整され得る。例えば、抵抗値Rをセンサ素子31Sの抵抗値Rと同等にすると、センサ素子31Sにかかる電圧値Vの振れ幅は、最大値に近くなり得る。
【0049】
図2に示すように、第1貯留槽40は、第1吸引孔20に接続されている。第1貯留槽40は、サンプルガスを貯留可能である。第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスは、流路23-1,23-2及び第1供給部50を介して、チャンバ30に供給される。また、第1貯留槽40内の残留ガス等は、流路23-1、弁25、流路27-1,27-3及び第3供給部52を介して、排出路22から外部に排出され得る。
【0050】
第1貯留槽40の内部には、吸着剤40aが配されていてよい。また、第1貯留槽40において、サンプルガスの濃縮が行われてよい。この場合、第1貯留槽40の内部には、吸着剤40bが配されていてよい。吸着剤40a及び吸着剤40bの各々は、用途に応じた任意の材料を各々含んでよい。吸着剤40a及び吸着剤40bの各々は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れを含んでよい。吸着剤40a及び吸着剤40bは、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
【0051】
吸着剤40aは、サンプルガスに含まれる検出対象外のガスを吸着するものであってよい。検出対象外のガスを吸着する吸着剤40aの例としては、シリカゲル及びゼオライト等が挙げられる。
【0052】
吸着剤40bは、サンプルガスに含まれる検出対象のガスを吸着するであってよい。検出対象のガスを吸着する吸着剤40bの例としては、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更されてよい。
【0053】
第1貯留槽40において、吸着剤40aは、壁等によって、区画されて配されていてよい。吸着剤40aを区画することにより、第1貯留槽40内におけるガスの流路が長くなり得る。第1貯留槽40内におけるガスの流路が長くなることにより、ガスと吸着剤40aとが接する時間が長くなり得る。同様に、第1貯留槽40において、吸着剤40bは、壁等によって、区画されて配されていてよい。吸着剤40bを区画することにより、第1貯留槽40において、ガスと吸着剤40bとが接する時間が長くなり得る。
【0054】
第1貯留槽40において、吸着剤40aは、第1貯留槽40が第1吸引孔20に接続される箇所の側に配されていてよい。第1貯留槽40において、吸着剤40bは、第1貯留槽40が流路23-1に接続される箇所の側に配されていてよい。
【0055】
第1貯留槽40は、直方体状、円筒状、袋状、又は、筐体10内部に収容される各種部品の隙間を埋めるような形状のタンク等で構成されていてよい。第1貯留槽40には、第1貯留槽40の内壁及び吸着剤40aの少なくとも一方を加熱するためのヒータが設けられていてよい。
【0056】
第1貯留槽40の全体が、壁等によって、区画されていてよい。第1貯留槽40の全体が区画されることにより、第1貯留槽40において、ガスの流路の断面積がガスの流路の体積に対して小さくなり得る。ガスの流路の断面積がガスの流路の体積に対して小さくなることで、第1貯留槽40からチャンバ30にサンプルガスが押し出される際に、弁20Bから第1貯留槽40へ流入するガスと第1貯留槽40内に貯留されたサンプルガスとの接触面積が小さくなり得る。弁20Bから第1貯留槽40へ流入するガスと第1貯留槽40内に貯留されたサンプルガスとの接触面積が小さくなることにより、弁20Bから第1貯留槽40へ流入するガスが、第1貯留槽40内のサンプルガスに混ざることが低減され得る。
【0057】
図2に示すように、第2貯留槽41は、第2吸引孔21に接続されている。第2貯留槽41は、パージガスを貯留可能である。第2貯留槽41に貯留されたパージガスは、流路24-1,24-2及び第2供給部51を介して、チャンバ30に供給される。また、第2貯留槽41内の残留ガス等は、流路24-1、弁26、流路27-2,27-3及び第3供給部52を介して、排出路22から外部に排出され得る。
【0058】
第2貯留槽41の内部には、吸着剤41a及び吸着剤41bが配されていてよい。吸着剤41a及び吸着剤41aの各々は、用途に応じた任意の材料を各々含んでよい。吸着剤41a及び吸着剤41bの各々は、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライト及びモレキュラーシーブの少なくとも何れかを含んでよい。吸着剤41a及び吸着剤41bは、複数種類のものであってよいし、多孔質材料を含んでよい。
【0059】
吸着剤41aは、パージガスに含まれ得る検出対象外のガスを吸着するものであってよい。検出対象外のガスを吸着する吸着剤41aの例としては、シリカゲル及びゼオライト等が挙げられる。また、吸着剤41bは、パージガスに含まれ得る検出対象のガスを吸着するであってよい。検出対象のガスを吸着する吸着剤41bの例としては、活性炭及びモレキュラーシーブ等が挙げられる。ただし、これらの組み合わせは、吸着するガス分子の極性によって適宜変更させてよい。
【0060】
第2貯留槽41において、吸着剤41aは、壁等によって、区画されて配されていてよい。吸着剤41aを区画することにより、第2貯留槽41内におけるガスの流路が長くなり得る。第2貯留槽41内におけるガスの流路が長くなることにより、ガスと吸着剤41aとが接する時間が長くなり得る。同様に、第2貯留槽41において、吸着剤41bは、壁等によって、区画されて配されていてよい。吸着剤41bを区画することにより、第2貯留槽41において、ガスと吸着剤41bとが接する時間が長くなり得る。
【0061】
第2貯留槽41において、吸着剤41aは、第2貯留槽41が第2吸引孔21に接続される箇所の側に配されていてよい。第2貯留槽41において、吸着剤41bは、第2貯留槽41が流路24-1に接続される箇所の側に配されていてよい。
【0062】
第2貯留槽41は、直方体状、円筒状、袋状、又は、筐体10内部に収容される各種部品の隙間を埋めるような形状のタンク等で構成されていてよい。第2貯留槽41には、第2貯留槽41の内壁、吸着剤41a及び吸着剤41bの少なくとも1つを加熱するためのヒータが設けられていてよい。
【0063】
第2貯留槽41の全体が、壁等によって、区画されていてよい。第2貯留槽41の全体が区画されることにより、第2貯留槽41において、ガスの流路の断面積がガスの流路の体積に対して小さくなり得る。ガスの流路の断面積がガスの流路の体積に対して小さくなることで、第2貯留槽41からチャンバ30にパージガスが押し出される際に、弁21Bから第2貯留槽41へ流入するガスと第2貯留槽41内に貯留されたパージガスとの接触面積が小さくなり得る。弁21Bから第2貯留槽41へ流入するガスと第2貯留槽41内に貯留されたパージガスとの接触面積が小さくなることにより、弁21Bから第2貯留槽41へ流入するガスが、第2貯留槽41内のパージガスに混ざることが低減され得る。このような構成により、例えば第2吸引孔21の付近のガスが汚染されている場合、その汚染されたガスが第2貯留槽41内のパージガスに混ざることが低減され得る。
【0064】
図2に示すように、第1供給部50は、流路23-2に取り付けられている。第1供給部50は、弁25が流路23-1と流路23-2とを接続させた状態にする場合、第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスを、チャンバ30に供給可能である。例えば、第1供給部50は、制御部64の制御に基づいて、所定タイミングで、第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスをチャンバ30に供給する。第1供給部50に示される矢印は、第1供給部50がサンプルガスを送る方向を示す。第1供給部50は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0065】
図2に示すように、第2供給部51は、流路24-2に取り付けられている。第2供給部51は、弁26が流路24-1と流路24-2とを接続させた状態にする場合、第2貯留槽41に貯留されたパージガスをチャンバ30に供給可能である。例えば、第2供給部51は、制御部64の制御に基づいて、所定タイミングで、第2貯留槽41に貯留されたパージガスをチャンバ30に供給する。第2供給部51に示される矢印は、第2供給部51がパージガスを送る方向を示す。第2供給部51は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0066】
図2に示すように、第3供給部52は、流路27-3に取り付けられている。第3供給部52は、弁25が流路23-1と流路27-1とを接続させた状態にする場合、第1貯留槽40内の残留ガス等を排出路22に供給可能である。また、第3供給部52は、弁26が流路24-1と流路27-2とを接続させた状態にする場合、第2貯留槽41内の残留ガス等を排出路22に供給可能である。第3供給部52は、制御部64の制御に基づいて、第1貯留槽40及び第2貯留槽41の少なくとも何れかの残留ガス等を排出路22に供給する。第3供給部52に示される矢印は、排出路22へ残留ガス等を送る方向を示す。第3供給部52は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。
【0067】
第3供給部52は、弁20Bが第1吸引孔20と第1貯留槽40とを接続させた状態にし、且つ、弁25が流路23-1と流路27-1とを接続させた状態にする場合、第1吸引孔20からのサンプルガスを、第1貯留槽40に供給可能である。また、第3供給部52は、弁21Bが第2吸引孔21と第2貯留槽41とを接続させた状態にし、且つ、弁26が流路24-1と流路27-2とを接続させた状態にする場合、第2吸引孔21からのパージガスを、第2貯留槽41に供給可能である。
【0068】
図3に示すような回路基板60は、電気信号が伝搬する配線、記憶部61、通信部62及び制御部64等を実装する。
【0069】
図3に示すような記憶部61は、例えば、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成される。記憶部61は、各種情報、及び、ガス検出システム1を動作させるためのプログラムを記憶する。記憶部61は、ワークメモリとして機能してもよい。
【0070】
記憶部61は、例えば、重回帰分析のアルゴリズムを記憶する。記憶部61は、例えば、重回帰分析におけるモデル式(例えば、後述のモデル式(2))を記憶する。記憶部61は、後述の標準ガスに関する情報を記憶する。記憶部61は、例えば、ガス検出システム1又は外部サーバにおいて決定又は更新された、後述の予測式に関する情報(例えば、後述の予測式(1)の情報等)を記憶する。
【0071】
図3に示すような通信部62は、図1に示すような電子機器3と通信可能である。通信部62は、外部サーバと通信可能であってよい。通信部62と電子機器3及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、近距離無線通信規格又は携帯電話網へ接続する無線通信規格であってよいし、有線通信規格であってよい。近距離無線通信規格は、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線及びNFC(Near Field Communication)等を含んでよい。携帯電話網へ接続する無線通信規格は、例えば、LTE(Long Term Evolution)又は第4世代以上の移動通信システム等を含んでよい。また、通信部62と電子機器3及び外部サーバとの通信において用いられる通信方式は、例えばLPWA(Low Power Wide Area)又はLPWAN(Low Power Wide Area Network)等の通信規格でもよい。
【0072】
図3に示すようなセンサ部63は、画像カメラ、個人識別スイッチ、赤外線センサ及び圧力センサ等の少なくとも何れかを含んで構成されていてよい。センサ部63は、検出結果を、制御部64に出力する。
【0073】
例えば、センサ部63は、赤外線センサを含んで構成される場合には、赤外線センサが照射した赤外線の対象物からの反射光を検出することにより、被検者がトイレ室に入室したことを検出し得る。センサ部63は、検出結果として、被検者がトイレ室に入室したことを示す信号を制御部64に出力する。
【0074】
例えば、センサ部63は、圧力センサを含んで構成される場合には、図1に示すような便座2Bにかかる圧力を検出することにより、被検者が便座2Bに座ったことを検出し得る。センサ部63は、検出結果として、被検者が便座2Bに座ったことを示す信号を制御部64に出力する。
【0075】
例えば、センサ部63は、圧力センサを含んで構成される場合には、図1に示すような便座2Bにかかる圧力の低減を検出することにより、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出し得る。センサ部63は、検出結果として、被検者が便座2Bから立ち上がったことを示す信号を制御部64に出力する。
【0076】
例えば、センサ部63は、画像カメラ及び個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、顔画像、座高及び体重等のデータを収集する。センサ部63は、収集したデータから個人を特定識別して検出する。センサ部63は、検出結果として、特定識別した個人を示す信号を制御部64に出力する。
【0077】
例えば、センサ部63は、個人識別スイッチ等を含んで構成される場合には、個人識別スイッチの操作に基づいて、個人を特定(検出)する。この場合、記憶部61には、予め個人情報が登録(記憶)されてよい。センサ部63は、検出結果として、特定した個人を示す信号を制御部64に出力する。
【0078】
図3に示すような制御部64は、1以上のプロセッサを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び、特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくとも何れかを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部64は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-chip)、及び、SiP(System-in-a-Package)の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0079】
<ガスの種類及び濃度の検出処理>
制御部64は、送風機21Aに送風機21Aのファンを回転させることにより、第2吸引孔21の近傍にパージガスを引き込む。制御部64は、弁26に流路24-1と流路24-2とを接続させた状態にさせ、且つ、第2供給部51を制御することにより、第2吸引孔21の近傍に引き込んだパージガスを、第2吸引孔21に吸引させる。制御部64は、第2吸引孔21にパージガスに吸引させることにより、パージガスを第2貯留槽41に貯留させる。制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出してから所定時間が経過した後、第2吸引孔21にパージガスを吸引させてよい。また、制御部64は、弁26に流路24-1と流路27-2とを接続させた状態にさせ、且つ、第3供給部52を制御することにより、第2吸引孔21にパージガスを吸引させてよい。
【0080】
制御部64は、第2吸引孔21にパージガスを吸引させる際、パージガスの清浄度が高いとき、パージガスを第2貯留槽41に貯留させてよい。制御部64は、第2供給部51を制御することにより、パージガスをチャンバ30に供給してよい。さらに、制御部64は、センサ部31の検出結果に基づいて、パージガスの清浄度が高いか否か判定してよい。制御部64は、パージガスの洗浄度が高いと判定したとき、パージガスを第2貯留槽41に貯留させてよい。この場合、ガス検出システム1は、第2吸引孔21とチャンバ30とを直接接続する流路、及び、チャンバ30に供給したガスを外部に直接排出する排出路をさらに備えてよい。また、ガス検出システム1は、センサ部31とは別に、パージガスの清浄度を検出する専用のセンサ部をさらに備えてよい。当該専用のセンサ部は、図2に示すような第2吸引孔21の先端に、又は、第2吸引孔21と第2貯留槽41との間に、設けられてよい。この場合、ガス検出システム1は、当該専用のセンサ部に供給したガスを外部に直接排出する排出路をさらに備えてよい。
【0081】
制御部64は、送風機20Aに送風機20Aのファンを回転させることにより、第1吸引孔20の近傍にサンプルガスを引き込む。制御部64は、弁25に流路23-1と流路23-2とを接続させた状態にさせ、且つ、第1供給部50を制御することにより、第1吸引孔20に引き込んだサンプルガスを、第1吸引孔20に吸引させる。制御部64は、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させることにより、サンプルガスを第1貯留槽40に貯留させる。制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bに座ったことを検出してから所定時間が経過した後、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させてよい。また、制御部64は、弁25に流路23-1と流路27-1とを接続させた状態にさせ、且つ、第3供給部52を制御することにより、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させてよい。
【0082】
制御部64は、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させる際、センサ部31の検出結果に基づいて、サンプルガスの汚染度が高いか否かを判定してよい。制御部64は、サンプルガスの汚染度が高いと判定したとき、サンプルガスを第1貯留槽40に貯留させて測定を開始してよい。この場合、ガス検出システム1は、第1吸引孔20とチャンバ30とを直接接続する流路、及び、チャンバ30に供給したガスを外部に直接排出する排出路をさらに備えてよい。また、ガス検出システム1は、センサ部31とは別に、サンプルガスの汚染度を検出する専用のセンサ部をさらに備えてよい。当該専用のセンサ部は、例えば、図2に示すような第1吸引孔20の先端に、又は、第1吸引孔20と第1貯留槽40との間に、設けられてよい。この場合、ガス検出システム1は、当該専用のセンサ部に供給したガスを、外部に直接排出する排出路をさらに備えてよい。
【0083】
制御部64は、第2供給部51及び第1供給部50を制御して、チャンバ30に、パージガス及びサンプルガスを交互に供給する。制御部64は、チャンバ30にパージガスを供給するとき、弁26に流路24-1と流路24-2とを接続させた状態にさせる。また、制御部64は、チャンバ30にサンプルガスを供給するとき、弁25に流路23-1と流路23-2とを接続させた状態にさせる。ただし、パージガス及びサンプルガスをチャンバ30に供給する際の制御部64の制御処理は、これに限定されない。例えば、制御部64は、弁20Bに第1貯留槽40と流路28とを接続させた状態にさせ、且つ、弁26に流路24-1と流路28とを接続させた状態にさせることにより、第2貯留槽41内のパージガスを弁20B側から第1貯留槽40に供給してよい。制御部64は、パージガスを第1貯留槽40に供給して、第1貯留槽40内のサンプルガスを当該パージガスで流路23-1側に押し出すことにより、第1貯留槽40内のサンプルガスをチャンバ30に供給してよい。
【0084】
制御部64は、チャンバ30にパージガス及びサンプルガスを交互に供給することにより、チャンバ30のセンサ部31が出力する電圧波形を取得する。制御部64は、図4に示すような、センサ部31のセンサ素子31Sにかかる電圧値Vを取得してよいし、抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLを取得してよい。例えば、制御部64は、抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLを取得することにより、図5に示すような電圧波形を取得する。
【0085】
図5は、図2に示すセンサ部31の電圧波形の一例を示す図である。図5において、横軸は時間を示す。縦軸は電圧を示す。電圧波形V1が示す電圧値は、図2に示すようなセンサ部31-1の抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLである。電圧波形V2が示す電圧値は、図2に示すようなセンサ部31-2の抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLである。電圧波形V3が示す電圧値は、図2に示すようなセンサ部31-3の抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLである。
【0086】
図5において、第1期間T1は、第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスが、チャンバ30に供給されている期間である。上述のように、センサ部31にサンプルガスを供給すると、サンプルガスに含まれる特定ガスの濃度に応じて、抵抗素子31Rの電圧値VRLは増加し得る。そのため、第1期間T1では、電圧波形V1~V3が示す電圧値は増加する。
【0087】
図5において、第2期間T2は、第2貯留槽41に貯留されたパージガスが、チャンバ30に供給されている期間である。上述のように、センサ部31にパージガスを供給すると、抵抗素子31Rの電圧値VRLは低下し得る。そのため、第2期間T2では、電圧波形V1~V3が示す電圧値は低下する。
【0088】
制御部64は、センサ部31が出力した電圧波形の特徴を説明変数とする重回帰分析に基づいて、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する。説明変数となり得る電圧波形の特徴の一例として、所定区間における電圧波形の、傾き、平均値、中央値、これらの数値同士の差、及び、異なるセンサ部31間におけるこれらの数値の比率等が挙げられる。図5に示す例では、区間t1~t6が所定区間となり得る。区間t1~t6の幅は同一である。ただし、区間t1~t6の幅は、後述のように、異なってよい。また、区間t1における電圧波形の傾きが説明変数の1つとなり得る。区間t1における電圧波形V1~V3の各々の傾きは、「説明変数X11」、「説明変数X12」及び「説明変数X13」と各々記載する。また、区間t2における電圧波形の傾きが説明変数の1つとなり得る。区間t2における電圧波形V1~V3の各々の傾きは、「説明変数X21」、「説明変数X22」及び「説明変数X23」と各々記載する。また、区間t3における電圧波形の平均値が、説明変数の1つとなり得る。区間t3における電圧波形V1~V3の各々の平均値は、「説明変数X31」、「説明変数X32」及び「説明変数X33」と各々記載する。また、区間t4における電圧波形の傾きが説明変数の1つとなり得る。区間t4における電圧波形V1~V3の各々の傾きは、「説明変数X41」、「説明変数X42」及び「説明変数X43」と各々記載する。また、区間t5における電圧波形の傾きが説明変数の1つとなり得る。区間t5における電圧波形V1~V3の各々の傾きは、「説明変数X51」、「説明変数X52」及び「説明変数X53」と各々記載する。また、区間t6における電圧波形の平均値が説明変数の1つとなり得る。区間t6における電圧波形V1~V3の各々の平均値は、「説明変数X61」、「説明変数X62」及び「説明変数X63」と各々記載する。
【0089】
制御部64は、重回帰分析により決定される予測式と、説明変数のうち当該予測式に用いられる説明変数とによって、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を推定(検出)する。例えば、制御部64は、以下の予測式(1)に基づいて、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する。予測式(1)は、所定ガスの濃度を予測する予測式の一例である。予測式(1)は、ガス組成が既知である混合ガスを用いた重回帰分析により決定される。予測式(1)を決定する処理については後述する。

=A×X11+B×X22+C×X33+D (1)

予測式(1)において、濃度Yは、所定ガスの濃度である。係数A,B,Cの各々は、説明変数X11,X22,X33の各々の回帰係数である。また、定数Dは、定数項である。上述の説明変数X11,X12,X13,X21,X22,X23,X31,X32,X33,X41,X42,X43,X51,X52,X53,X61,X62,X63のうち、予測式(1)には、説明変数X11,X22,X33が用いられる。換言すると、説明変数X12,X13,X21,X23,X31,X32,X41,X42,X43,X51,X52,X53,X61,X62,X63は、予測式(1)には、用いられない。
【0090】
制御部64は、記憶部61又は通信部62を介して外部から、予測式に関する情報を取得してよい。予測式に関する情報には、予測式の情報、予測式に用いられる説明変数の情報、所定間隔の情報、及び、説明変数を取得するための演算の情報等が含まれてよい。所定間隔は、電圧波形を複数の区間に分割する際に用いる間隔である。所定間隔は、図5に示すような各区間t1~t6の幅に相当する。例えば予測式(1)の場合、予測式に関する情報には、予測式(1)の情報、予測式(1)に用いられる説明変数X11,X22,X33の情報、所定間隔の情報、及び、説明変数X11,X22,X33を取得するための演算の情報が含まれ得る。例えば、制御部64は、予測式に関する情報を取得すると、図5に示すような電圧波形を、時間軸に沿って所定間隔で分割することにより、複数の区間として、区間t1~t6に分割する。また、制御部64は、説明変数を取得するための演算の情報に基づいて、図5に示すような区間t1における電圧波形V1の傾きを算出することにより、説明変数X11を取得する。また、制御部64は、図5に示すような区間t2における電圧波形V2の平均値を算出することにより、説明変数X22を取得する。また、制御部64は、図5に示すような区間t3における電圧波形V3の平均値を算出することにより、説明変数X33を取得する。制御部64は、説明変数X11,X22,X33を上述の予測式(1)に代入することにより、所定ガスの濃度Yを推定(検出)する。
【0091】
ここで、説明変数に対応する区間の幅については、図5に示す例では、区間t1~t6の幅は、同一でなくてよい。例えば、説明変数に対応する区間の幅は、異なってよい。また、説明変数に対応する区間では、一部の区間が重複してよい。説明変数に対応する区間には、ある説明変数を取得するためのさらに細分化された区間が含まれてよい。適切な説明変数に対応する区間の設定は、センサ部31が出力する電圧波形のデータ、当該電圧波形を取得する時間間隔、当該電圧波形に含まれるノイズの大きさ又は周波数によって、予め適宜選択されてよい。センサ部31が出力した電圧波形の全てのデータが、ガスの種類及び濃度の検出に用いられなくてよい。例えば、センサ部31が出力した電圧波形のうち、例えば不要な部分を間引く等によって、適宜必要な部分だけのデータが、ガスの種類及び濃度の検出に用いられてよい。
【0092】
制御部64は、ガスの種別に応じて、異なる予測式を用いてよい。制御部64は、ガスの種別に応じた異なる予測式を用いることにより、サンプルガスに含まれるガスの種類毎の濃度を検出し得る。換言すると、制御部64は、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出し得る。
【0093】
制御部64は、検出したガスの種類及び濃度を、検出結果として、通信部62を介して電子機器3に送信してよい。また、制御部64は、検出処理の終了後、弁25に流路23-1と流路27-1とを接続させた状態にさせ、且つ、第3供給部52を制御することにより、第1貯留槽40内の残留ガスを、排出路22から排出してよい。また、制御部64は、検出処理の終了後、弁26に流路24-1と流路27-2とを接続させた状態にさせ、且つ、第3供給部52を制御することにより、第2貯留槽41内の残留ガスを排出路22から排出してよい。
【0094】
<予測式の決定処理>
以下の予測式の決定処理は、ガス検出システム1の出荷前又はメンテナンス時等に実行されてよい。
【0095】
制御部64は、予め組み込まれたプログラムに基づいて又は通信部62を介して外部から、パージガス吸引を指示する制御信号を受信したとき、上述と同様にして、第2吸引孔21にパージガスを吸引させる。パージガス吸引を指示する制御信号は、ガス検出システム1の出荷前等に予測式を決定する際に、ガス検出システム1へ送信され得る。制御部64は、第2吸引孔21にパージガスを吸引させることにより、パージガスを第2貯留槽41に貯留させる。
【0096】
制御部64は、予め組み込まれたプログラムに基づいて又は通信部62を介して外部から、サンプルガス吸引を指示する制御信号を受信したとき、上述と同様にして、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させる。サンプルガス吸引を指示する制御信号は、ガス検出システム1の出荷前等に予測式を決定する際に、ガス検出システム1へ送信され得る。制御部64は、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させることにより、サンプルガスを第1貯留槽40に貯留させる。ここで、予測式の決定処理では、ガス組成が既知である混合ガスが、サンプルガスとして用いられる。つまり、ガス組成が既知である混合ガスが、第1貯留槽40に貯留させる。以下、ガス組成が既知である混合ガスは、「標準ガス」とも記載する。
【0097】
制御部64は、記憶部61又は通信部62を介して外部から、重回帰分析におけるモデル式を取得する。制御部64は、例えば、以下のモデル式(2)を取得する。
【数1】
モデル式(2)において、n、i及びjの各々は、自然数である。nは、ガスの種類に対応する。以下、nに対応するガスは、「ガスn」とも記載する。iは、説明変数に対応する区間に対応する。以下、iに対応する区間は、「区間i」とも記載する。jは、複数のセンサ部31のうちの何れかに対応する。以下、jに対応するセンサ部31は、「センサ部31j」とも記載する。濃度Yは、ガスnの濃度である。説明変数Xijは、センサ部31jの電圧波形において、区間iに対応する説明変数である。係数Eijnは、ガスnにおける、説明変数Xijの係数である。誤差Fは誤差項である。
【0098】
制御部64は、記憶部61又は通信部62を介して外部から、標準ガスに関する情報を取得する。標準ガスに関する情報には、標準ガスに含まれるガスの種類及び濃度の情報、及び、説明変数の取得に関する情報等が含まれる。例えばモデル式(2)の場合、当該ガスの種類及び濃度の情報は、ガスnの種類及び濃度Yの情報である。例えばモデル式(2)の場合、説明変数の取得に関する情報は、区間iの情報、及び、説明変数Xijをセンサ部31jの区間iから取得するための演算の情報が含まれ得る。
【0099】
制御部64は、上述と同様にして、チャンバ30にパージガス及びサンプルガスを交互に供給することにより、チャンバ30のセンサ部31が出力する電圧波形を取得する。制御部64は、例えば、センサ部31の電圧波形に対して教師ありの機械学習を実行することにより、モデル式(2)において、有効な説明変数及び回帰係数を取得する。制御部64は、有効な説明変数及び回帰係数を取得することにより、ガスnの予測式を決定する。
【0100】
例えば、所定ガスの濃度Y(n=1)の場合、制御部64は、説明変数X11,X22,X33を有効な説明変数として取得する。制御部64は、係数Aを、説明変数X11の係数E111として取得する。制御部64は、係数Bを、説明変数X11の係数E221として取得する。制御部64は、係数Cを、説明変数X33の係数E331として取得する。制御部64は、定数Dを、誤差Fとして取得する。制御部64は、有効な説明変数X11,X22,X33、係数A,B,C及び定数Dを取得することにより、所定ガスの濃度Yの上述の予測式(1)を決定する。制御部64は、有効な説明変数X11,X22,X33、係数A,B,C及び定数Dを記憶部61に記憶させてよい。
【0101】
制御部64は、ガスの種別に応じて、異なる予測式を決定し得る。ここで、制御部64は、取得したセンサ部31の電圧波形のデータの全てを学習しなくてよい。また、適切な説明変数に対応する区間の設定は、センサ部31が出力する電圧波形のデータ、当該電圧波形を取得する時間間隔、当該電圧波形に含まれるノイズの大きさ又は周波数によって、予め適宜選択されてよい。又は、考えられる説明変数を全て含ませた、重回帰分析によって、より有効な説明変数が抽出されてよい。
【0102】
<較正処理>
制御部64は、ガスの種類及び濃度を検出する前に、センサ部31の較正処理を実行してよい。
【0103】
具体的には、制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rを取得してよい。制御部64は、センサ素子31Sにかかる電圧値Vから、抵抗値Rを取得してよい。この場合、制御部64は、センサ素子31Sにかかる電圧値Vを取得する。さらに、制御部64は、式[R=Vs÷I]を計算することにより、抵抗値Rを取得する。また、制御部64は、抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLから、抵抗値Rを取得してよい。この場合、制御部64は、抵抗素子31Rにかかる電圧値VRLを取得する。さらに、制御部64は、式[R=(V-VRL)÷I]を計算することにより、抵抗値Rを取得する。
【0104】
制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが所定値を下回るか否か判定する。上述のように、センサ素子31Sの感ガス部の表面に特定ガスが付着すると、センサ素子31Sの抵抗値Rが低下し得る。ただし、センサ素子31Sの故障等によって、感ガス部の表面に特定ガスが付着した際に、センサ素子31Sの抵抗値Rが著しく低下する場合がある。この場合、ガス検出システム1がガスの種類及び濃度を検出することは困難となり得る。そこで、制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが所定値を下回ると判定するとき、アラームを示す信号を生成する。所定値は、センサ素子31Sに含まれる材料に応じて、適宜設定されてよい。制御部64は、アラームを示す信号を、通信部62を介して電子機器3等の外部機器に送信してもよい。また、制御部64は、ガス検出システム1がスピーカを備える場合には、スピーカにアラームを示す信号を出力することにより、スピーカにアラーム音を出力させてよい。また、センサ素子31Sの抵抗値Rが他のセンサの何らかの異常によって、所定値よりも大きい第2所定値を上回る場合もあり得る。この場合には、制御部64は、上述と同様のアラーム信号を生成するか、又は、上述のアラームとは異なるアラーム信号を生成しよい。このような処理によって、異常が検知され得る。
【0105】
制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが所定値以上であると判定するとき、センサ素子31Sの抵抗値Rに応じて、抵抗素子31Rの抵抗値Rを調整する。例えば、制御部64は、電圧値VRLの第2期間T2における最小値がゼロ付近になるように又は第1期間T1における最大値がV付近になるように、抵抗値Rに応じて、抵抗素子31Rの抵抗値Rを調整してよい。制御部64は、予め測定したセンサ部31の電圧波形から、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを算出して、後述する式(3)によって定めてもよい。
【0106】
<分解能の調整処理>
制御部64は、センサ部31の分解能を調整してよい。本開示において「センサ部の分解能」とは、ノイズに対してセンサ素子31Sにかかる電圧値Vを区別できる能力を意味する。ノイズは、ガス検出システム1の回路構造等に起因するため、一定となり得る。そのため、センサ素子31Sにかかる電圧値Vの振れ幅を大きくすれば、ノイズに対する電圧値Vの比が高くなり得る。換言すると、センサ素子31Sにかかる電圧値Vの振れ幅を大きくすれば、センサ部31の分解能が高くなり得る。ここで、電圧値の振れ幅は、図4に示すような抵抗素子31Rの抵抗値Rをセンサ素子31Sの抵抗値Rと同等にすると、最大値に近くなり得る。そこで、制御部64は、抵抗素子31Rの抵抗値Rをセンサ素子31Sの抵抗値Rと同等にすることにより、センサ部31の分解能を高める。この場合、制御部64は、センサ部31が出力する電圧波形から、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAXと、センサ素子31Sの抵抗値Rの最小値RMINとを取得する。さらに、制御部64は、最大値RMAX及び最小値RMINの相乗平均値Rを算出する。例えば、制御部64は、以下の式(3)によって相乗平均値Rを算出する。加えて、制御部64は、抵抗素子31Rに制御信号を出力することにより、抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値Rに設定する。
【数2】
【0107】
図6は、図2に示すセンサ部31の分解能調整前の電圧波形の一例を示す図である。図7は、図2に示すセンサ部31の分解能調整後の電圧波形の一例を示す図である。つまり、図7に示すような電圧波形は、抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値Rに設定した後の電圧波形である。図6及び図7において、横軸は時間を示す。縦軸は電圧を示す。
【0108】
図6及び図7において、電圧波形の電圧値は、センサ部31のセンサ素子31Sにかかる電圧値VRLである。そのため、上述のように、第1期間T1では電圧値VRLが増加し、第2期間T2では電圧値VRLが低下する。また、図6及び図7において、図4に示すような電源端子P1と接地端子P2との間に印加される電圧値Vは、5[V]である。
【0109】
図6に示すように、センサ部31の分解能調整前では、センサ素子31Sにかかる電圧値Vの振れ幅は1[V]程度である。これに対し、図7に示すように、センサ部31の分解能調整後では、センサ素子31Sにかかる電圧値Vの振れ幅は3.8[V]程度になり、センサ部31の電圧波形が電圧値Vc/2を跨ぐようになる。つまり、電圧値Vc/2でセンサ素子31Sの抵抗値Rと抵抗素子31Rの抵抗値Rとが等しくなり(抵抗値R=抵抗値R)、分解能が最高になり得る。図7に示すような電圧波形は、電圧値Vの振れ幅が大きくなるため、図6に示すような電圧波形よりも、ノイズの影響を受けにくくなり得る。また、図7では、電圧値Vの振れ幅が大きくなるため、電圧波形の特徴である説明変数を、より精度良く取得することができる。
【0110】
ここで、制御部64は、予測式に用いられる説明変数に対応する区間から、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得してよい。制御部64は、抵抗素子31Rの抵抗値Rを、当該最大値RMAX及び最小値RMINの相乗平均値Rに設定してよい。ただし、制御部64は、複数の区間のうち、予測式に用いられない説明変数に対応する区間からは、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得しなくてよい。また、予測式に用いられる説明変数は、複数あってもよい。この場合には、複数の区間にわたって、最大値RMAXと最小値RMINとを取得してよい。
【0111】
具体的には、制御部64は、例えば記憶部61又は通信部62を介して外部から、各種情報を取得する。当該各種情報には、電圧波形を複数の区間に分割する際に用いる所定間隔の情報、及び、予測式に用いられる説明変数に対応する区間の情報が含まれる。センサ部31-1において、予測式に用いられる説明変数に対応する区間の情報は、説明変数X11に対応する区間t1の情報となる。センサ部31-2において、予測式に用いられる説明変数に対応する区間の情報は、説明変数X22に対応する区間t2の情報となる。センサ部31-3において、予測式に用いられる説明変数に対応する区間の情報は、説明変数X33に対応する区間t3の情報となる。
【0112】
制御部64は、電圧波形を、時間軸に沿って所定間隔で分割することにより、複数の区間に分割する。制御部64は、これらの複数の区間のうち、予測式に用いられる説明変数に対応する区間から、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得する。センサ部31-1の場合、制御部64は、図5に示すような電圧波形V1の区間t1から、センサ部31-1のセンサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX-1及び最小値RMIN-1を取得する。センサ部31-2の場合、制御部64は、図5に示すような電圧波形V2の区間t2から、センサ部31-2のセンサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX-2及び最小値RMIN-2を取得する。センサ部31-3の場合、制御部64は、図5に示すような電圧波形V3の区間t3から、センサ部31-3のセンサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX-3及び最小値RMIN-3を取得する。ただし、制御部64は、これらの複数の区間のうち、予測式に用いられない説明変数に対応する区間からは、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値及び最小値を取得しなくてよい。
【0113】
制御部64は、最大値RMAX及び最小値RMINの相乗平均値Rを算出する。センサ部31-1の場合、制御部64は、最大値RMAX-1及び最小値RMIN-1の相乗平均値R-1を算出する。センサ部31-2の場合、制御部64は、最大値RMAX-2及び最小値RMIN-2の相乗平均値R-2を算出する。センサ部31-3の場合、制御部64は、最大値RMAX-3及び最小値RMIN-3の相乗平均値R-3を算出する。
【0114】
制御部64は、抵抗素子31Rに制御信号を出力することにより、抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値Rに設定する。センサ部31-1の場合、制御部64は、センサ部31-1の抵抗素子31Rに制御信号を出力することにより、センサ部31-1の抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値R-1に設定する。センサ部31-2の場合、制御部64は、センサ部31-2の抵抗素子31Rに制御信号を出力することにより、センサ部31-2の抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値R-2に設定する。センサ部31-3の場合、制御部64は、センサ部31-3の抵抗素子31Rに制御信号を出力することにより、センサ部31-3の抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値R-3に設定する。
【0115】
ここで、制御部64は、電圧波形全体の分解能を高めてもよい。この場合、制御部64は、電圧波形全体から、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得してよい。さらに、制御部64は、当該最大値RMAX及び当該最小値RMINの相乗平均値Rを算出してよい。
【0116】
[ガス検出システムの動作例]
<ガスの種類及び濃度の検出時の動作>
図8は、図1に示すガス検出システム1のガスの種類及び濃度の検出時の動作例を示すフローチャートである。制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bから立ち上がったことを検出してから所定時間が経過した後、図8に示すような処理を開始してよい。
【0117】
制御部64は、第2吸引孔21にパージガスを吸引させる(ステップS10)。制御部64は、第2吸引孔21にパージガスを吸引させることにより、パージガスを第2貯留槽41に貯留させる(ステップS11)。
【0118】
制御部64は、センサ部63の検出結果に基づいて、被検者が便座2Bに座ったことを検出してから所定時間が経過した後、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させる(ステップS12)。制御部64は、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させることにより、第1貯留槽40にサンプルガスを貯留させる(ステップS13)。
【0119】
制御部64は、第2供給部51及び第1供給部50を制御して、チャンバ30にパージガス及びサンプルガスを交互に供給する(ステップS14)。制御部64は、チャンバ30のセンサ部31が出力する電圧波形を取得する(ステップS15)。
【0120】
制御部64は、例えば記憶部61又は通信部62を介して外部から、各種情報を取得する(ステップS16)。各種情報には、上述の予測式に関する情報等が含まれる。
【0121】
制御部64は、センサ部31が出力する電圧波形を、例えば時間軸に沿って所定間隔で分割することにより、複数の区間に分割する(ステップS17)。
【0122】
制御部64は、センサ部31の分解能を調整として、抵抗素子31Rの設定をする(ステップS18)。ステップS18の処理の詳細については、図12を参照して後述する。
【0123】
制御部64は、ステップS14,S15の処理と同様にして、ステップS19,S20の処理を実行する。
【0124】
制御部64は、ステップS17の処理と同様にして、ステップS21の処理を実行する。
【0125】
制御部64は、ステップS16の処理で取得した予測式に関する情報に含まれる、説明変数を取得するための演算の情報に基づいて、予測式に用いられる説明変数を取得する(ステップS22)。
【0126】
制御部64は、ステップS22の処理で取得した説明変数を予測式に代入することにより、所定ガスの濃度を推定(検出)する(ステップS23)。例えば、制御部64は、説明変数X11,X22,X33を上述の予測式(1)に代入することにより、所定ガスの濃度Yを推定(検出)する。
【0127】
制御部64は、異なる予測式毎に、図8に示すような処理を実行する。異なる予測式毎に、図8に示すような処理を実行することにより、ガスの種類及び濃度が推定され得る。
【0128】
ここで、ステップS11の処理において、制御部64は、パージガスの清浄度が高いか否か判定してよい。さらに、制御部64は、パージガスの清浄度が高いとき、パージガスを第2貯留槽41に貯留させてもよい。この場合、制御部64は、第2供給部51を制御することにより、パージガスをチャンバ30に供給してよい。さらに、制御部64は、センサ部31の検出結果に基づいて、パージガスの清浄度が高いか否か判定してよい。また、ガス検出システム1がパージガスの清浄度を検出する専用のセンサ部を備える場合、制御部64は、専用のセンサ部の検出結果に基づいて、パージガスの清浄度が高いか否か判定してよい。
【0129】
<予測式の決定時の動作>
図9及び図10は、図1に示すガス検出システム1の予測式の決定時の動作を示すフローチャートである。図9及び図10に示すような処理は、ガス検出システム1を製品として出荷する前に、実行されてよい。制御部64は、予め組み込まれたプログラムに基づいて又は通信部62を介して外部から、パージガス吸引を指示する制御信号を受信したとき、図9に示すような処理を開始してよい。ここで、予測式を決定する際は、濃度が最大化された、複数の標準ガスがサンプルガスとして用いられてよい。
【0130】
制御部64は、図8に示すようなステップS10,S11の処理と同様にして、ステップS30,31の処理を実行する。
【0131】
制御部64は、通信部62を介して外部から、サンプルガス吸引を指示する制御信号を受信したとき、図8に示すようなステップS12,13の処理と同様にして、ステップS32,33の処理を実行する。
【0132】
制御部64は、図8に示すようなステップS14,S15の処理と同様にして、ステップS34,S35の処理を実行する。上述のように濃度が最大化された標準ガスが用いられることにより、ステップS35の処理で取得されるセンサ部31の電圧波形の振幅が最大化され得る。
【0133】
制御部64は、ステップS35の処理で取得したセンサ部31の電圧波形に基づいて、センサ部31の較正をする(ステップS36)。上述のように、ステップS35の処理で取得されるセンサ部31の電圧波形の振幅は最大化され得る。そのため、ステップS36の処理において、センサ部31をより正確に較正することができる。
【0134】
制御部64は、ステップS30~S35の処理と同様にして、ステップS37~S42の処理を実行する。上述のように、予測式を決定する際は、複数の標準ガスがサンプルガスとして用いられる。そのため、制御部64は、用いられる標準ガスの数だけ、ステップS37~S42の処理を繰り返し実行する。
【0135】
制御部64は、図10に示すような処理に進む。制御部64は、記憶部61又は通信部62を介して外部から、各種情報を取得する(ステップS43)。当該各種情報には、重回帰分析におけるモデル式(例えば、上述のモデル式(2))、及び、標準ガスに関する情報等が含まれる。
【0136】
制御部64は、図8に示すようなステップS17の処理と同様にして、ステップS44の処理を実行する。
【0137】
制御部64は、例えば電圧波形に対して教師ありの機械学習を実行することにより、モデル式(例えば、上述のモデル式(2))において、有効な説明変数及び回帰係数を取得する(ステップS45)。
【0138】
制御部64は、センサ部31の分解能を調整として、抵抗素子31Rの設定をする(ステップS46)。ステップS46の処理の詳細については、図12を参照して後述する。
【0139】
制御部64は、図9に示すようなステップS37~S42の処理と同様にして、ステップS47~S52の処理を実行する。図9に示すようなステップS37~S42の処理と同様に、制御部64は、予測式を決定する際に用いられる標準ガスの数だけ、ステップS47~S52の処理を繰り返し実行する。制御部64は、ステップS44,S45の処理と同様にして、ステップS53,S54の処理を実行する。
【0140】
制御部64は、ガスnの濃度を検出する予測式(例えば、上述の予測式(1))を決定する(ステップS55)。
【0141】
ここで、制御部64は、図9に示すようなステップS30~S36の処理を、実行しなくてよい。また、制御部64が図9に示すようなステップS30~S36の処理を実行する場合、ステップS30~S36の処理にのみ、濃度が最大化された複数の標準ガスが用いられてよい。
【0142】
また、ステップS54の処理で取得した有効な説明変数及び回帰係数と、ステップS45の処理で取得した有効な説明変数及び回帰係数とが異なる場合がある。この場合、制御部64は、図9に示すようなステップS30~S42の処理を再度実行し、その後、ステップS44,S45の処理を再度実行してよい。
【0143】
<較正時の動作>
図11は、図1に示すガス検出システム1の較正時の動作例を示すフローチャートである。図11に示すような処理は、図9に示すようなステップ36の処理の詳細に相当する。ただし、制御部64は、図9に示すような処理とは独立して図11に示すような処理を実行してよい。制御部64は、図9に示すようなステップS35の処理を実行した後、図11に示すような処理を開始し得る。
【0144】
制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rを取得する(ステップS60)。制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが所定値を下回るか否か判定する(ステップS61)。制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが所定値を下回ると判定するとき(ステップS61:Yes)、アラームを示す信号を生成する(ステップS62)。制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが所定値以上であると判定するとき(ステップS61:No)、ステップS63の処理に進む。
【0145】
ステップS63の処理では、制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rに応じて、抵抗素子31Rの抵抗値Rを調整する。例えば、制御部64は、電圧値VRLの第2期間T2における最小値がゼロ付近になるように又は第1期間T1における最大値がV付近になるように、センサ素子31Sの抵抗値Rに応じて、抵抗素子31Rの抵抗値Rを調整してよい。
【0146】
ここで、ステップS61の処理において、制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが第2所定値を上回るか否か判定してよい。この場合、制御部64は、センサ素子31Sの抵抗値Rが第2所定値を上回ると判定するときに、アラームを示す信号を生成してよい。
【0147】
<分解能調整時の動作>
図12は、図1に示すガス検出システム1の分解能調整時の動作を示すフローチャートである。図12に示すような処理は、図8に示すようなステップS18の処理の詳細及び図10に示すようなステップS46の処理の詳細に相当する。ただし、制御部64は、図8及び図10に示すような処理とは独立した処理として、図12に示すような処理を実行してよい。ここで、制御部64は、図8に示すようなステップS17の処理を実行した後、又は、図10に示すようなステップS45の処理を実行した後、図12に示すような処理を開始し得る。この場合、制御部64は、ステップS70,S71の処理を実行せずに、ステップS72の処理から実行してよい。
【0148】
制御部64は、例えば記憶部61又は通信部62を介して外部から、各種情報を取得する(ステップS70)。当該各種情報には、電圧波形を複数の区間に分割する際に用いる所定間隔の情報、及び、予測式に用いられる説明変数に対応する区間の情報が含まれる。
【0149】
制御部64は、電圧波形を、時間軸に沿って所定間隔で分割することにより、複数の区間に分割する(ステップS71)。
【0150】
制御部64は、複数の区間のうち、予測式に用いられる説明変数に対応する区間から、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得する(ステップS72)。換言すると、ステップS72の処理では、制御部64は、複数の区間のうち、予測式に用いられない説明変数に対応する区間からは、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得しなくてよい。例えば、センサ部31-1の場合、制御部64は、図5に示すような電圧波形V1の区間t1から、センサ部31-1のセンサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX-1及び最小値RMIN-1を取得する。
【0151】
制御部64は、最大値RMAX及び最小値RMINの相乗平均値Rを算出する(ステップS73)。例えば、センサ部31-1の場合、制御部64は、最大値RMAX-1及び最小値RMIN-1の相乗平均値R-1を算出する。
【0152】
制御部64は、抵抗素子31Rに制御信号を出力することにより、抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値Rに設定する(ステップS74)。例えば、センサ部31-1の場合、制御部64は、センサ部31-1の抵抗素子31Rに制御信号を出力することにより、センサ部31-1の抵抗素子31Rの抵抗値Rを相乗平均値R-1に設定する。
【0153】
ここで、電圧波形全体の分解能を高めたい場合には、制御部64は、ステップS70の処理を実行しなくてよい。この場合、制御部64は、ステップS71の処理では、電圧波形全体から、センサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得してよい。
【0154】
以上のように、本実施形態に係るガス検出システム1では、制御部64がセンサ部31の電圧波形を取得し、当該電圧波形の特徴を説明変数とする重回帰分析に基づいて、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出する。重回帰分析を用いることにより、ガス検出システム1では、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度が、より精度良く推定され得る。従って、本実施形態によれば、改善された、ガス検出システム1が提供され得る。
【0155】
また、本実施形態に係るガス検出システム1では、制御部64は、センサ部31のセンサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得することができる。さらに、制御部64は、センサ部31の抵抗素子31Rの抵抗値Rを、最大値RMAX及び最小値RMINの相乗平均値に設定することにより、抵抗素子31Rの抵抗値Rをセンサ素子31Sの抵抗値Rと同等にすることができる。このような処理によって、センサ素子31Sにかかる電圧値の振れ幅が最大値に近くなり得る。電圧値の振れ幅が最大値に近くなることで、ノイズに対する電圧値Vの比が高くなり、センサ部31の分解能が高くなり得る。
【0156】
また、本実施形態に係るガス検出システム1では、制御部64は、複数の区間のうち、予測式に用いられる説明変数に対応する区間から、センサ部31のセンサ素子31Sの抵抗値Rの最大値RMAX及び最小値RMINを取得することができる。さらに、制御部64は、センサ部31の抵抗素子31Rの抵抗値Rを、当該最大値RMAX及び当該最小値RMINの相乗平均値に設定することができる。このような処理によって、センサ部31の分解能を、予測式に用いられる説明変数に対応する区間に合わせて、高めることができる。当該区間に合わせてセンサ部31の分解能を高めることで、予測式に用いられる説明変数を精度良く取得することができる。
【0157】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0158】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは、分割したりすることが可能である。
【0159】
例えば、上述の実施形態では、図3に示すような制御部64が、図2に示すような第1供給部50を制御して、サンプルガスを第1吸引孔20に吸引させて、第1貯留槽40に貯留させると説明した。ただし、第1貯留槽40にサンプルガスを貯留させる際の制御部64の処理は、これに限定されない。例えば、制御部64は、第3供給部52を制御して、サンプルガスを第1吸引孔20に吸引させて、第1貯留槽40に貯留させてよい。この場合、制御部64は、弁20Bに第1吸引孔20と第1貯留槽40とを接続させた状態にさせ、且つ、弁25に流路23-1と流路27-1とを接続させた状態にさせる。さらに、制御部64は、第3供給部52を制御することにより、サンプルガスを第1吸引孔20に吸引させて、第1貯留槽40に貯留させる。
【0160】
例えば、上述の実施形態では、図3に示すような制御部64が、図2に示すような第2供給部51を制御して、パージガスを第2吸引孔21に吸引させて、第2貯留槽41に貯留させるとして説明した。ただし、第2貯留槽41にパージガスを貯留させる際の制御部64の処理は、これに限定されない。例えば、制御部64は、第3供給部52を制御して、パージガスを第2吸引孔21に吸引させて、第2貯留槽41に貯留させてよい。この場合、制御部64は、弁21Bに第2吸引孔21と第2貯留槽41とを接続させた状態にさせ、弁26に流路24-1と流路27-2とを接続させた状態にさせる。さらに、制御部64は、第3供給部52を制御することにより、パージガスを第2吸引孔21に吸引させて、第2貯留槽41に貯留させる。
【0161】
例えば、上述の実施形態では、図4に示すようなセンサ部31の構成において、センサ素子31Sが電源端子P1に接続され、抵抗素子31Rが接地端子P2に接続されるものとして説明した。ただし、本開示のセンサ部の構成は、図4に示すような構成に限定されない。本開示のセンサ部の構成は、例えば、図13に示すような構成であってよい。図13に示すようなセンサ部31Aは、直列接続されたセンサ素子31S及び抵抗素子31Rを含む。図13では、センサ素子31Sの一端が接地端子P2に接続されている。図13では、センサ素子31Sの他端は、抵抗素子31Rの一端に接続されている。図13では、抵抗素子31Rの他端は、電源端子P1に接続されている。
【0162】
例えば、上述の実施形態では、制御部64は、第1供給部50及び第2供給部51を制御してパージガス及びサンプルガスを交互にチャンバ30に供給するものとして説明した。ただし、制御部64は、1つの供給部を制御して、パージガス及びサンプルガスを交互にチャンバ30に供給してよい。この場合、図14図15及び図16に示すような構成がガス検出システム1に採用されてよい。
【0163】
図14に示すような構成では、弁29Aと、流路29Bと、第4供給部53とが用いられる。弁29Aは、流路23-2と流路24-2と流路29Bとの間に位置する。弁29Aは、流路23-2に接続される接続口と、流路24-2に接続される接続口と、流路29Bに接続される接続口とを含む。弁29Aは、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。弁29Aは、制御部64の制御に基づいて、流路23-2と流路24-2と流路29Bとの間の接続状態を切替える。例えば、弁29Aは、これらの間の接続状態を、流路23-2と流路29Bとを接続させた状態に、流路24-2と流路29Bとを接続させた状態に、又は、流路23-2と流路24-2と流路29Bとを接続させない状態に切替える。流路29Bの一端は、弁29Aに接続されている。流路29Bの他端は、チャンバ30に接続されている。流路29Bは、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。第4供給部53は、流路29Bに取り付けられている。第4供給部53に示される矢印は、第4供給部53がガスを送る方向を示す。第4供給部53は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。第4供給部53は、サンプルガス及びパージガスをセンサ部31に供給可能である。具体的には、第4供給部53は、弁29Aが流路23-2と流路29Bとを接続させた状態にする場合、図2に示すような第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスを、チャンバ30に供給可能である。また、第4供給部53は、弁29Aが流路24-2と流路29Bとを接続させた状態にする場合、図2に示すような第2貯留槽41に貯留されたパージガスを、チャンバ30に供給可能である。
【0164】
図14に示すような構成では、図3に示すような制御部64は、弁29Aに流路23-2と流路29Bとを接続させた状態にさせ且つ第4供給部53を制御することにより、図2に示すような第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスをチャンバ30に供給する。また、制御部64は、弁29Aに流路24-2と流路29Bとを接続させた状態にさせ且つ第4供給部53を制御することにより、図2に示すような第2貯留槽41に貯留されたパージガスをチャンバ30に供給する。
【0165】
図15に示すような構成では、図14に示すような構成と同様に、弁29Aと、流路29Bと、第4供給部53とが用いられる。ただし、図15に示すような構成では、第4供給部53は、排出路22に取り付けられている。図15に示すような構成では、第4供給部53は、弁29Aが流路23-2と流路29Bとを接続させた状態にする場合、図2に示すような第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスを、チャンバ30に供給可能である。また、第4供給部53は、弁29Aが流路24-2と流路29Bとを接続させた状態にする場合、図2に示すような第2貯留槽41に貯留されたパージガスを、チャンバ30に供給可能である。
【0166】
図15に示すような構成では、図3に示すような制御部64は、弁29Aに流路23-2と流路29Bとを接続させた状態にさせ且つ第4供給部53を制御することにより、図2に示すような第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスをチャンバ30に供給する。また、制御部64は、弁29Aに流路24-2と流路29Bとを接続させた状態にさせ且つ第4供給部53を制御することにより、図2に示すような第2貯留槽41に貯留されたパージガスをチャンバ30に供給する。
【0167】
図16に示すようなガス検出システム1Aでは、弁22Aと、流路22Bと、排出路22Cと、流路27-4と、第5供給部54とが用いられる。弁22Aは、流路22Bに接続される接続口と、排出路22Cに接続される接続口と、流路27-4に接続される接続口とを含む。弁22Aは、電磁駆動、ピエゾ駆動又はモータ駆動等の弁によって構成されていてよい。弁22Aは、図3に示すような制御部64の制御に基づいて、流路22Bと、排出路22Cと、流路27-4との間の接続状態を切替える。例えば、弁22Aは、これらの間の接続状態を、流路27-4と排出路22Cとを接続させた状態に、又は、流路22Bと排出路22Cとを接続させた状態に切替える。又は、弁22Aは、流路22Bと排出路22Cと流路27-4とを接続させない状態に切替える。流路22Bの一端は、チャンバ30に接続されている。流路22Bの他端は、弁22Aに接続されている。排出路22Cの一端は、弁22Aに接続されている。排出路22Cの他端は、図1に示すような排出路22と同様に、便器ボウル2Aの外側へ露出してよい。流路27-4の一端は、流路27-1の他端及び流路27-2の他端に接続されている。流路27-4の他端は、弁22Aに接続されている。流路22B、排出路22C及び流路27-4は、樹脂製チューブ或いは金属製又はガラス製配管等の管状の部材で構成されていてよい。第5供給部54は、排出路22Cに取り付けられている。第5供給部54に示される矢印は、第5供給部54がガスを送る方向を示す。第5供給部54は、ピエゾポンプ又はモータポンプ等で構成されていてよい。第5供給部54は、第1吸引孔20からのサンプルガスを、第1貯留槽40に供給可能である。第5供給部54は、第2吸引孔21からのパージガスを、第2貯留槽41に供給可能である。第5供給部54は、サンプルガス及びパージガスをセンサ部31に供給可能である。
【0168】
図16に示すような構成では、図3に示すような制御部64は、弁20Bに第1吸引孔20と第1貯留槽40とを接続させた状態にさせ、且つ、弁25に流路23-1と流路27-1とを接続させた状態にさせる。さらに、図3に示すような制御部64は、弁22Aに流路27-4と排出路22Cとを接続させた状態にさせる。加えて、図3に示すような制御部64は、第5供給部54を制御して、第1吸引孔20にサンプルガスを吸引させて、第1貯留槽40に貯留させる。
【0169】
図16に示すような構成では、図3に示すような制御部64は、弁21Bに第2吸引孔21と第2貯留槽41とを接続させた状態にさせ、且つ、弁26に流路24-1と流路27-2とを接続させた状態にさせる。さらに、図3に示すような制御部64は、弁22Aに流路27-4と排出路22Cとを接続させた状態にさせる。加えて、図3に示すような制御部64は、第5供給部54を制御して、第2吸引孔21にパージガスを吸引させて、第2貯留槽41に貯留させる。
【0170】
図16に示すような構成では、図3に示すような制御部64は、弁25に流路23-1と流路23-2とを接続させた状態にさせ、且つ、弁22Aに流路22Bと排出路22Cとを接続させた状態にさせる。さらに、図3に示すような制御部64は、第5供給部54を制御することにより、第1貯留槽40に貯留されたサンプルガスをチャンバ30に供給する。また、図3に示すような制御部64は、弁26に流路24-1と流路24-2とを接続させた状態にさせ、弁22Aに流路27-4と排出路22Cとを接続させた状態にさせる。さらに、図3に示すような制御部64は、第5供給部54を制御することにより、第2貯留槽41に貯留されたパージガスをチャンバ30に供給する。
【0171】
例えば、上述の実施形態では、図3に示すように、ガス検出システム1は、1つの装置であるものとして説明した。ただし、本開示のガス検出システムは、1つの装置に限定されず、独立した複数の装置を含んでよい。本開示のガス検出システムは、例えば、図17に示すような構成であってよい。
【0172】
図17に示すようなガス検出システム1Bは、ガス検出装置4と、サーバ装置5とを備える。ガス検出装置4とサーバ装置5は、ネットワーク6を介して通信可能である。ネットワーク6の一部は、有線であってよいし、無線であってよい。ガス検出装置4の構成は、図2及び図3に示すようなガス検出システム1の構成と同様である。サーバ装置5は、記憶部5Aと、通信部5Bと、制御部5Cとを備える。制御部5Cは、上述した図3に示すような制御部64の処理を実行可能である。例えば、制御部5Cは、図2に示すようなセンサ部31が出力する電圧波形を、通信部5B及びネットワーク6を経由して、取得し得る。さらに、制御部5Cは、当該電圧波形の特徴を説明変数とする重回帰分析に基づいて、サンプルガスに含まれるガスの種類及び濃度を検出し得る。
【0173】
例えば、第1吸引孔20の一部つまりサンプルガスの吸引部が、便器ボウル2Aの内部又は便器ボウル2Aの内外の境界に設置されていてよい。また、第2吸引孔21の一部つまりパージガスの吸引部が、便器ボウル2Aの外側に設置されていてよい。
【0174】
例えば、制御部64は、パージガスとサンプルガスとを交互に切り替えて複数の電圧波形をセンサ部31から取得してよい。
【0175】
例えば、制御部64は、説明変数に対応する区間が設定されないサンプルガスをチャンバ30に供給してよい。以下、サンプルガスをチャンバ30に供給する期間は、「供給期間」とも記載する。この場合、説明変数に対応する区間が設定されない供給期間は、説明変数に対応する区間が設定される供給期間よりも過去であってよい。ここで、最先の供給期間では、その直前まで、センサ部31が長くパージガスに晒される場合がある。そのため、最先の供給期間におけるサンプルガスの電圧波形と、その後の供給期間におけるサンプルガスの電圧波形とが、異なる場合がある。この場合、説明変数が大きくばらつく場合がある。説明変数に対応する区間が設定されないサンプルガスをチャンバ30に供給することにより、このような説明変数のばらつきが低減され得る。
【0176】
例えば、センサ部31によるガスの電圧測定後、次の吸引期間までの間に、第1貯留槽40、第2貯留槽42又はセンサ部31に、パージガスが導入されてよい。さらに、この間に、第1貯留槽40及び第2貯留槽41の少なくとも何れかを加熱する期間があってもよい。このような構成により、第1貯留槽40及び吸着剤40aと、第2貯留槽41及び吸着剤41a,41bとがリフレッシュされ得る。
【0177】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1吸引孔は、第2吸引孔と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0178】
1,1A,1B ガス検出システム
2 便器
2A 便器ボウル
2B 便座
3 電子機器
3A 表示部
4 ガス検出装置
5 サーバ装置
5A 記憶部
5B 通信部
5C 制御部
10 筐体
20 第1吸引孔
21 第2吸引孔
20A,21A 送風機
20B,21B 弁
22,22C 排出路
22B,23,23-1,23-2,24,24-1,24-2,27,27-1,27-2,27-3,27-4,28,29B 流路
22A,25,26,29A 弁
30 チャンバ
31,31-1,31-2,31-3,31A センサ部
31S センサ素子
31R 抵抗素子
40 第1貯留槽
41 第2貯留槽
40a,40b,41a,41b 吸着剤
50 第1供給部
51 第2供給部
52 第3供給部
53 第4供給部
54 第5供給部
60 回路基板
61 記憶部
62 通信部
63 センサ部
64 制御部
P1 電源端子
P2 接地端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17