(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ビジュアルコミュニケーションシステム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20231220BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60R11/02 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179652
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2021531840の分割
【原出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-12-01
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】シェパード,ラルフ,ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】ドロズ,ピエール-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーギーズ,サイモン
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0292916(US,A1)
【文献】米国特許第09902311(US,B1)
【文献】特開2018-049014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ搭載メッセージングシステムであって、前記システムは、
センサの回転するハウジングに取り付けられた発光ダイオード(LED)ディスプレイであって、少なくとも1つのLEDを含む、LEDディスプレイと、
(1)1つ以上のライトを含むシグナリングシステムを
制御して、周囲の物体に情報を提供し、(2)
前記シグナリングシステムが前記情報を提供できない場合、前記情報を提供するために、
前記少なくとも1つのLEDを選択的にアクティブ化または非アクティブ化するように前記LEDディスプレイを
制御するように構成された1つ以上のプロセッサを含むコンピューティングデバイスと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記情報は、前記LEDディスプレイによって、テキストを含むメッセージとして提供される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記テキストは、前記センサが搭載された車両が右折していることを示す、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のライトは、テールライトを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のライトは、ブレーキライトを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のライトは、方向指示灯を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記LEDディスプレイ内の前記少なくとも1つのLEDは、複数のLEDを備えるLEDストリップの一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記センサと、前記センサの前記ハウジングに取り付けられた1つ以上の支持体に搭載されたLEDの1つ以上のストリップとをさらに備える、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記LEDストリップの前記複数のLEDは、前記センサのハウジングに一体化されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
1つ以上のレンズをさらに備え、前記1つ以上のレンズは、前記複数のLEDのうちの前記少なくとも1つによって放射された光をリダイレクトするように構成されている、請求項
7に記載のシステム。
【請求項11】
モータをさらに備え、前記モータは、前記センサの前記ハウジングおよび前記LEDディスプレイを同時に回転させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記LEDディスプレイおよび前記センサの前記ハウジングが同じ速度で回転する、請求項
5に記載のシステム。
【請求項13】
1つ以上のレンズをさらに備え、前記1つ以上のレンズは、前記少なくとも1つのLEDによって放射された光をリダイレクトするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のレンズは、前記LEDストリップに対して移動するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上のレンズを移動させるように構成されたモータをさらに備える、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記LEDストリップは、前記1つ以上のレンズに対して移動するように構成されている、請求項
10に記載のシステム。
【請求項17】
前記LEDストリップを移動させるように構成されたモータをさらに備える、請求項
16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上のレンズは、前記ハウジングに一体化されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項19】
車両をさらに備え、前記センサは前記車両に搭載されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記情報は、前記車両の意図を他の運転手または車両に示す、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
1つ以上のプロセッサによって、シグナリングシステムおよび視覚通知システムを制御することであって、前記シグナリングシステムは、周囲の物体に情報を提供するように構成され、前記視覚通知システムは、センサの回転するハウジングに取り付けられた、メッセージを表示するための発光ダイオード(LED)ディスプレイを含むことと、
前記シグナリングシステムが前記情報を提供できない場合、前記1つ以上のプロセッサによって、前記情報を提供するために、前記LEDディスプレイの個々のLEDをアクティブ化および非アクティブ化することと、
を含む方法。
【請求項22】
前記情報は、車両の意図を他の運転手または車両に示す、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
車両であって、
センサの回転するハウジングと、
前記回転するハウジングに取り付けられた発光ダイオード(LED)ディスプレイであって、少なくとも1つのLEDを含む、LEDディスプレイと、
1つ以上のライトを含むシグナリングシステムと、
(1)前記シグナリングシステムを制御して、前記車両の意図を他の運転手または車両に示す情報を提供し、(2)前記シグナリングシステムが前記情報を提供できない場合、前記情報を提供するために、前記少なくとも1つのLEDを選択的にアクティブ化または非アクティブ化するように前記LEDディスプレイを制御するように構成された1つ以上のプロセッサを含むコンピューティングデバイスと、
を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月13日に出願された米国特許出願第16/219,276号の優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ある場所から別の場所への乗客または物品の輸送を支援するために、自律運転モードで動作しているとき、人間の運転手を必要としない車両などの自律車両を使用することができる。自律車両の重要な構成要素は、カメラ、レーダ、LIDARセンサなどのセンサ、および他の同様のデバイスを使用して車両がその周囲を認知し、解釈することを可能にする認知システムである。たとえば、認知システムおよび/または車両のコンピューティングデバイスは、これらのセンサからのデータを処理して、対象者、ならびに場所、形状、サイズ、配向、進行方向、加速または減速、タイプなどのそれらの特徴を識別することができる。この情報は、車両のコンピューティングシステムがその車両の適切な運転決定を行えるようにするために重要である。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、ディスプレイ搭載メッセージングシステムを対象とする。
【0004】
ディスプレイ搭載メッセージングシステムは、センサのハウジングに取り付けられた発光ダイオード(LED)ディスプレイであって、センサのハウジングが回転する、LEDディスプレイと、LEDコントローラであって、意図された受け手の方向にメッセージを提供するために、LEDディスプレイ内の少なくとも1つのLEDを選択的にアクティブ化および非アクティブ化する、LEDコントローラとを含み得る。
【0005】
いくつかの事例では、LEDディスプレイの少なくとも1つのLEDは、複数のLEDを備えるLEDストリップの一部であり得る。いくつかの例では、LEDディスプレイは、2つ以上のLEDストリップを含んでもよい。いくつかの例では、LEDの1つ以上のストリップが1つ以上の支持体に搭載されてもよく、1つ以上の支持体は、センサのハウジングに取り付けられてもよい。いくつかの例では、LEDストリップの複数のLEDは、センサハウジングに一体化されてもよい。
【0006】
いくつかの事例では、システムはモータを含んでもよく、モータは、センサのハウジングおよびLEDディスプレイを同時に回転させるように構成されている。いくつかの例では、LEDディスプレイおよびセンサのハウジングは、同じ速度で回転してもよい。いくつかの例では、LEDディスプレイは、複数のLEDを備える2つ以上のLEDストリップを含んでもよく、LEDディスプレイの少なくとも1つのLEDは、2つ以上のLEDストリップのうちの少なくとも1つの一部である。
【0007】
いくつかの事例では、システムは、1つ以上のレンズを含んでもよく、1つ以上のレンズは、少なくとも1つのLEDによって放射された光をリダイレクトするように構成されている。
【0008】
いくつかの事例では、システムは、1つ以上のレンズを含んでもよく、1つ以上のレンズは、複数のLEDのうちの少なくとも1つのLEDによって放射された光をリダイレクトするように構成されている。いくつかの例では、1つ以上のレンズは、LEDストリップに対して移動するように構成されてもよい。いくつかの例では、システムは、1つ以上のレンズを移動させるように構成されたモータを含んでもよい。いくつかの例では、LEDストリップは、1つ以上のレンズに対して移動するように構成されてもよい。いくつかの例では、システムは、LEDストリップを移動させるように構成されたモータを含んでもよい。いくつかの例では、1つ以上のレンズは、光を1つ以上の高さにリダイレクトするように構成されてもよい。いくつかの事例では、1つ以上のレンズは、意図された受け手に向かって光をリダイレクトするように構成されてもよい。いくつかの例では、1つ以上のレンズは、センサハウジングに一体化されている。
【0009】
いくつかの事例では、センサは車両に搭載されてもよい。いくつかの例では、意図された受け手は、閾値レベルを満たす車両と対話する可能性を有する車両の近傍の対象者であってもよい。
【0010】
いくつかの事例では、システムは車両を含み得る。
【0011】
本技術は、同様の参照番号が以下を含む同様の要素を指す添付図面の図において、限定としてではなく例として例解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の態様による、センサおよびLEDディスプレイ構成の一例である。
【0013】
【
図2】
図2は、本開示の態様による、車両およびセンサハウジングの一例である。
【0014】
【
図3】
図3は、本開示の態様による、モータに取り付けられたセンサの一例である。
【0015】
【
図4】
図4は、本開示の態様による、例示的な残像LEDディスプレイである。
【0016】
【
図5】
図5は、本開示の態様による、例示的な残像LEDディスプレイである。
【0017】
【
図6A】
図6Aは、本開示による、アクティブ化および非アクティブ化するLEDディスプレイ上のLEDの例示的な図である。
【
図6B】
図6Bは、本開示による、アクティブ化および非アクティブ化するLEDディスプレイ上のLEDの例示的な図である。
【
図6C】
図6Cは、本開示による、アクティブ化および非アクティブ化するLEDディスプレイ上のLEDの例示的な図である。
【0018】
【
図7】
図7は、本開示の態様による、例示的な指向性LEDディスプレイである。
【0019】
【
図8A】
図8Aは、本開示の態様による、LEDによって出力された光を集束させるレンズの例示的な図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の態様による、LEDによって出力された光を集束させるレンズの例示的な図である。
【0020】
【
図9A】
図9Aは、本開示の態様による、LEDによって出力された光を特定の高さに集束させるレンズの例示的な図である。
【
図9B】
図9Bは、本開示の態様による、LEDによって出力された光を特定の高さに集束させるレンズの例示的な図である。
【
図9C】
図9Cは、本開示の態様による、LEDによって出力された光を特定の高さに集束させるレンズの例示的な図である。
【0021】
【
図10A】
図10Aは、本開示の態様による、可動レンズを有するLEDディスプレイの一例である。
【0022】
【
図10B】
図10Bは、本開示の態様による、可動LEDを有するLEDディスプレイの一例である。
【0023】
【
図11】
図11は、本開示の態様による、例示的な車両の機能図である。
【0024】
【
図12】
図12は、本開示の態様による、歩行者に通知を提供するLEDディスプレイの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
概要
この技術は、対象とされるビジュアルコミュニケーションのためのセンサのハウジング上のメッセージングシステムに関する。人間の運転手は典型的に、他の運転手、歩行者、サイクリスト、車両、またはその他の対象者(まとめて「受け手」と呼ばれる)とやりとりするために、アイコンタクトおよびジェスチャを利用する。たとえば、人間の運転手は、歩行者に道を譲ることを示すために、交差点の歩行者などの受け手に手を振ることがある。自律および半自律車両は、付近の受け手に類似の表示を提供するために、外部ディスプレイなどのビジュアルコミュニケーションの代替手段に依存しなければならない。しかしながら、従来の外部ディスプレイは、追加のハードウェアを設置する必要がある。また、これらの外部ディスプレイは、意図された受け手に対象とされる情報を提供することができない。したがって、外部ディスプレイ上の「道を譲ります」のようなメッセージは、意図された対象以外の受け手によって見られる可能性があり、混乱および場合によっては危険な状況をもたらす可能性がある。
【0026】
これらの問題に対処するために、LEDディスプレイを含む発光ダイオード(LED)メッセージングシステムは、付近の受け手との対象とされるビジュアルコミュニケーションを提供するために、センサのハウジング上に搭載され得る。たとえば、センサ101などのセンサは、センサハウジング110を有し得る。センサハウジング110が第1の方向130に回転すると、センサに搭載、一体化、または別の方法で取り付けられたLEDストリップ120および122もまた回転し得る。LEDストリップ120および122上のLEDのサブセットは、空白のままでいる間、または異なる受け手の方向に異なるメッセージを表示している間、特定の受け手の方向にメッセージを提供するために選択的にアクティブ化および非アクティブ化され得る。メッセージは、アニメーション、画像、テキスト、単一または複数の色、またはディスプレイによって出力されることが可能なその他のこのような視覚的詳細を含み得る。
【0027】
本明細書に記載される特徴は、車両が通知を提供し、その近傍の対象者と対話することを可能にし得る。LEDディスプレイはセンサハウジングに一体化または搭載されているため、通知システムは、あまり多くのハードウェアを必要とせず、および/または車両のプロファイルを大幅に修正する必要がない。加えて、LEDディスプレイは、センサハウジングのセンサの動作への干渉を低減または排除するのに十分な小ささである。加えて、本明細書に記載されるLEDディスプレイは、センサおよび/またはセンサハウジングの回転速度で動作することができ、これにより、LEDディスプレイ向けにセンサまたはセンサハウジングの回転速度を変更する必要性を回避する。また、本明細書に記載されるLEDディスプレイは、基本的なディスプレイとは対照的に、意図された受け手に対象とされる情報を提供し得る。したがって、LEDディスプレイ上の「道を譲ります」のようなメッセージが意図された受け手に対して示されることが可能である一方で、他者はメッセージを見ることができない。その結果、意図された受け手の周りの混乱が回避される。
【0028】
例示的なシステム
車両は、他の車両、道路における障害物、歩行者、動物、サイクリスト、交通信号、標識、樹木など、車両の外部の対象者を検出するための1つ以上のセンサを有し得る。たとえば、
図2に示されるように、車両200は、
図1のセンサ101などのセンサを含み得る。このようなセンサは、レーザ、ソナー、レーダ、カメラ、マイクロフォン、スピーカ、および/または画像および/または音声を捕捉し、車両内のコンピューティングデバイスによって処理され得るデータを記録する任意の他の検出デバイスを含み得る。たとえば、LIDAR、レーダ、カメラ、ソナーなど車両のセンサは、画像を捕捉し、対象者、ならびにその特性、たとえば、場所、配向、サイズ、形状、種類、移動の方向および速度などを検出し得る。画像は、センサによって捕捉された生の(つまり、未処理の)データ、および/またはカメラセンサによって捕捉された写真および映像を含み得る。画像はまた、処理された生のデータも含み得る。たとえば、センサからの生のデータおよび/または前述の特性は、コンピューティングデバイスによる処理のために、記述関数またはベクトルに定量化または配置され得る。画像を分析して、車両の場所を判定し、必要に応じて対象者を検出し、それに対応し得る。
【0029】
センサは、車両の外部または内部の周囲に配置され得る。たとえば、ハウジング220、230、232、240、および242は、たとえば、1つ以上のLIDARデバイスを含み得る。センサはまた、テールライト/方向指示灯250および/またはサイドミラー206、208など典型的な車両構成要素に組み込まれ得る。いくつかの事例では、レーザ、レーダ、ソナー、カメラ、または他のセンサは、マウント210に搭載されたハウジング212などルーフに取り付けられ得る。
【0030】
図3のセンサ301などの車両センサは、内部センサ構成要素340、内部センサ構成要素を収容するためのセンサハウジング310、およびカバーウィンドウ315から構成され得る。カバーウィンドウ315は、センサハウジング310上の特定の場所に構築され得、内部センサ構成要素340は、(マーキング350によって示されるように)カバーウィンドウを通して1つ以上の信号を送信および受信し得る。これに関して、内部センサ構成要素340は、LIDAR、レーダ、ソナー、カメラ、またはハウジング310内に配置された他のこのようなセンサなど、1つ以上の測距および/または撮像センサを含み得る。
【0031】
センサハウジング310は、様々な形状およびサイズで構成され得る。たとえば、
図3にさらに示されるように、センサハウジング310は、錐台の形状の側壁305を備えたドーム形状部分311を有するように構成され得る。センサハウジング310は、アルミニウム、マグネシウム、鋼、プラスチック、ガラス、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリエステルなどのような材料から構成され得る。
図3はドームを有する錐台の形状のセンサハウジング310を示しているが、センサは、球、円錐、立方体、直方体、超直方体、三角錐、楕円体、円筒、錐台などを含む、他の形状、または他の形状の組み合わせで構成されてもよい。
【0032】
いくつかの事例では、センサハウジング310は、センサを完全に覆っていない場合がある。これに関して、センサハウジング310は、内部センサ構成要素340の一部分のみを覆い得、一方、内部センサ構成要素の覆われていない部分は、センサハウジングの外側、たとえばマウント210内にあるか、またはセンサの外部の環境に開放し得る。センサハウジング310は、外部環境への、または車両200への1つ以上の開口部を含み得る。
【0033】
センサハウジング310は、内部センサ構成要素が信号を送信および受信し得るカバーウィンドウを含み得る。たとえば、
図3にさらに示されるように、センサハウジング310の側壁305全体は、信号350などの信号がセンサハウジング310を貫通することを可能にするために、カバーウィンドウ315として構築されてもよい。側壁305全体がカバーウィンドウ315として示されているが、いくつかの事例では、側壁の一部分または複数部分のみがカバーウィンドウとして構成されてもよい。カバーウィンドウ315は、センサハウジング310と同じかまたは異なる材料で構成され得る。いくつかの事例では、センサハウジング310全体、またはセンサハウジングの大部分は、内部センサ構成要素340によって送信および受信される信号が貫通可能であり、これにより、センサハウジング310全体がカバーウィンドウとして機能することを可能にする。
【0034】
センサは、センサシャフトを介してモータに取り付けられ得る。たとえば、
図3にさらに示されるように、センサシャフト330は、モータ320に取り付けられた第1の端部332と、センサ301およびハウジング310に接続された反対の端部334とを有し得る。モータは、センサシャフトを第1の方向130に回転させ、センサ301全体を約600から900rpm程度の速度で、やはり第1の方向に回転させることができる。いくつかの実施形態では、センサシャフト330は、センサハウジング310のみを回転させてもよい。これに関して、センサハウジング310は回転板(図示せず)に搭載されてもよく、これは同様に、センサシャフトに直接的または間接的に接続されている。センサシャフト330は板を回転させることができ、これは同様にセンサハウジング310を回転させることができる。
【0035】
LEDディスプレイは、センサ301などのセンサに一体化されるか、または他の方法でこれに取り付けられてもよい。LEDディスプレイは、残像(POV)ディスプレイまたは指向性ディスプレイであり得る。POVディスプレイは、テキストベースのメッセージまたは視像などの詳細なメッセージを提供し得る。POVディスプレイによって表示されたメッセージは、180度程度の広い視野角で、受け手によって視認可能であり得る。指向性ディスプレイは、POVディスプレイほど詳細ではないメッセージを提供し得るが、メッセージは10度程度の狭い視野角で受け手に向けられることが可能である。言い換えると、指向性ディスプレイによって表示されたメッセージは、狭い視野角の外側の受け手がメッセージを見ることができないように、またはメッセージを明確にまたは完全に判別しそうにないように、狭い視野角内の受け手を対象とすることができる。
【0036】
POV LEDディスプレイは、1つ以上のLEDのストリップで構成され得る。たとえば、LEDストリップ410および412は、
図4に示されるように、搭載ブラケット420に取り付けられ得る。搭載ブラケット420は、センサハウジング310に取り付けられるかまたは他の方法で搭載され得る。いくつかの事例では、搭載ブラケット420は、センサシャフト330など、回転するセンサの他の部分に接続されてもよい。したがって、センサハウジング310またはセンサシャフト330が回転すると、
図4にさらに示されるように、搭載ブラケット420ならびにLEDストリップ410および412もまた回転し得る。
【0037】
いくつかの事例では、1つ以上のLEDストリップがセンサハウジングに埋め込まれ、一体化され、または他の方法でこれに直接取り付けられてもよい。たとえば、
図5に示されるように、LEDストリップ410および412と類似であり得るLEDストリップ520および522が、センサ301と類似であり得るセンサ501のセンサハウジング510の壁505に埋め込まれてもよい。
【0038】
LEDディスプレイは、空白のままで、または異なる受け手の方向に異なるメッセージを表示している間、特定の受け手の方向にメッセージを提供するように構成され得る。たとえば、LEDコントローラのアクティブ化および非アクティブ化の結果、所定の視野角内の受け手は、
図5に示されるように、「準備完了」などのメッセージ550を見ることができる。所定の視野角の外側の受け手には、異なるメッセージが示されるか、または全くメッセージが示されなくてもよい。これに関して、単一のLEDディスプレイが、同時に異なる方向へ異なるメッセージを提供し得る。
【0039】
LEDコントローラは、POV LEDディスプレイの1つ以上のストリップ内の個々のLEDまたはLEDのグループのアクティブ化および非アクティブ化を制御し得る。これに関して、個々のLEDをアクティブ化および非アクティブ化することにより、LEDコントローラは、LEDディスプレイによって出力されたメッセージ、およびメッセージが表示される場所を制御し得る。たとえば、
図6A~
図6Cに示されるように、点X
0とX
1との間に画定された視野角内にメッセージ650「準備完了」を生成するために、LEDストリップが第1の方向602に回転すると、LEDコントローラ660は5つのLEDストリップ620上のLED(すなわち、LED
1、LED
2、LED
3、LED
4、およびLED
5)のアクティブ化および非アクティブ化をトリガする。LEDコントローラ660は、
図6Aおよび
図6Cに示されるように、センサハウジング内に、またはセンサハウジングの外側に配置され得る。
【0040】
LEDコントローラ660は、メッセージ650を生成するために、LEDストリップ620上のLEDのアクティブ化および非アクティブ化をトリガし得る。たとえば、
図6Bおよび
図6Cに示されるように、センサ501と類似であり得る、センサ601の周りでLEDストリップ620が第1の方向602に回転すると、ストリップ上のLED(すなわち、LED
1、LED
2、LED
3、LED
4、およびLED
5)は各々、それぞれのLEDがメッセージに対応するX
0とX
1との間の場所にある時間の長さにわたって点灯され得る。
図6Bおよび
図6Cに示されるメッセージ650は「準備完了」であるが、メッセージは、アニメーション、画像、テキスト、単一または複数の色、またはディスプレイによって出力されることが可能なその他のこのような視覚的詳細を含んでもよい。また、メッセージはいずれの方向に表示されてもよく、X
0とX
1との間の場所に限定される必要はない。
【0041】
POV LEDディスプレイの回転速度は、メッセージの明瞭さを制御し得る。これに関して、ゆっくりと回転するPOV LEDディスプレイは、受け手がメッセージを理解できるかまたは明瞭なメッセージを見せられる前に、LEDからの光が消滅または途切れて見えるため、視覚メッセージを生成することができない可能性がある。メッセージの明瞭さを向上させるために、POV LEDディスプレイは、LEDストリップがおよそ40Hzの速度で動作するように回転することができるが、これよりも速くまたは遅く回転することも可能である。これに関して、POV LEDディスプレイで使用されるLEDストリップが多いほど、POVディスプレイの回転が遅くなり得る。たとえば、4つの均等に離間したLEDのストリップが使用されるとき、POVディスプレイの回転速度は10Hz(すなわち、毎分600回転)程度であってもよく、
図5に示されるLEDストリップ520および522などの2つの均等に離間したLEDのストリップが使用されるとき、回転は20Hz(すなわち、毎分1200回転)程度であってもよい。特定の事例では、センサハウジングおよび/またはセンサは、毎分約600から900回転の速度で回転し得る。4つの均等に離間したLEDストリップを有するPOV LEDディスプレイは、センサおよび/またはセンサハウジングの動作を変更することなく明瞭なメッセージを提供するために、センサ301およびセンサハウジング310などのセンサハウジングおよび/またはセンサとともに回転させられてもよい。
【0042】
LEDディスプレイは、
図7に示されるように、指向性ディスプレイであってもよい。前述のように、指向性ディスプレイは、いくつかの事例では、POVディスプレイほど詳細ではないメッセージを提供し得るが、狭い視野角で受け手にメッセージを提供することが可能であり得る。指向性ディスプレイは、センサハウジングに一体化された1つ以上のLEDストリップを含み得る。たとえば、指向性LEDストリップ720および722は、センサ701のセンサハウジング705に一体化されており、これはセンサ301と類似であり得る。したがって、モータ320などのモータがシャフト330を介してセンサハウジング705を回転させるとき、
図7にさらに示されるように、LEDストリップもまた矢印702によって示される方向に回転する。
【0043】
LEDストリップの各LEDは、
図7に示されるウィンドウ712などの保護ウィンドウを有することができ、全てのLEDまたはLEDのグループがウィンドウを共有してもよい。POV LEDディスプレイと同様に、指向性ディスプレイは、個々のLEDまたはLEDのグループのアクティブ化および非アクティブ化を制御するためのLEDコントローラ760を含み得る。
【0044】
指向性ディスプレイによって出力されるメッセージの視野角を制限するために、1つ以上のレンズがLEDの前に配置され得る。これに関して、LEDストリップのLEDの放射の方位角フィールドは、LEDウィンドウ712の外側に配置されたレンズ730などの1つ以上のレンズを介して、10度程度などの特定の視野角に制限され得る。レンズ730などのレンズは、軸に沿って進むように光を集束させることが可能な任意のレンズであり得る。レンズ730などのレンズは、たとえば、ワイパーブレードおよび噴霧器が、レンズからの干渉を受けずにセンサハウジングをきれいにすることができるように、レンズがセンサハウジング705と同一平面になるように搭載され得る。各LEDがレンズを有してもよく、または1つ以上のレンズがLEDのグループまたは全てによって共有されてもよい。
【0045】
各レンズは、LEDによって出力された光を捕捉し、受け手に向けて配向されるように光を集束させることができる。たとえば、
図8Aおよび
図8Bに示されるように、レンズ830は、LED820の前に配置され得る。LEDが方向802に回転すると、LEDは点灯し、LED820からの光がレンズ830によって補足され得る。レンズ830はその後、光(矢印850として示される)を受け手840に向けて配向し得る。
【0046】
いくつかの事例では、指向性ディスプレイは、特定の高さに表示されるようなメッセージを対象とし得る。これに関して、1つ以上のレンズは、出力光が異なる高さを有する場所に配向されるように、1つ以上の軸に沿って光を集束するように構成され得る。たとえば、
図9Aに示されるように、単一のレンズ930は、3つのLED901~903から放射された光を捕捉し、これを3つの異なる高さに配向することができる。これに関して、レンズ930は、LED901からの光921を捕捉し、
図9Cに示されるように受け手の下部943に向けて、または地面に向けて配向することができる。LED902および903から放射された光922および923はそれぞれ、
図9Cにさらに示されるように、レンズ930によって、受け手が座っているときに行われ得るように中央部942に向けて、および受け手が立っているときに行われ得るように受け手の上部941に向けて、配向され得る。いくつかの事例では、出力光は、受け手の身長に基づいて異なる高さに配向され得る。たとえば、第1の受け手向けのメッセージは、第1の受け手の目の高さまたはその付近の第1の高さであり得、第2のより背が低い受け手向けのメッセージは、第2の受け手の目の高さまたはその付近の第2のより低い高さで出力され得る。
【0047】
図9Bは、3つのレンズ931~933を含む指向性ディスプレイ構成を示す。これに関して、レンズ931は、LED901からの光923を捕捉し、
図9Cに示されるように、受け手940の上部941に向けてこれを配向する。LED902および903から放射された光922および923はそれぞれ、
図9Cにさらに示されるように、レンズ930によって、受け手の中央部942および下部943に向けて配向され得る。いくつかの事例では、特定の高さに向けて特定の方向に向けられるようにLEDディスプレイのメッセージを向けるために1つ以上のレンズが使用され得る。
【0048】
いくつかの事例では、
図10Aに示されるセンサ1001などのセンサの方向ディスプレイは、LEDに対して移動する1つ以上のレンズを含み得る。レンズは、特定の方向および/または高さでLEDによって放射された光を対象とし得る。これに関して、矢印1050および1052によって示されるように、レンズ1030および1032は、支持体1040および1042に沿って移動させられ得る。モータ1010は、LEDストリップ1020および1022に対するレンズの移動を制御し得る。レンズ1030および1032は、特定の高さで特定の方向に光を配向することが可能であってもよく、光を出力しているLEDストリップ1020および1022のLEDの近傍の位置まで支持体に沿って移動させられ得る。したがって、LEDによって出力された光は、光が特定の高さおよび/または特定の方向に配向されるように、レンズによってリダイレクトされ得る。
【0049】
いくつかの事例では、LEDは、特定の方向および/または高さでLEDによって放射された光を対象にするために、レンズに対して移動させられ得る。これに関して、LEDストリップ1020および1022のLEDは、
図10Bに示されるように、モータ1010によってそれぞれレンズ1030および1032に対して支持体1040および1042に沿って移動させられ得る。
図10Aおよび
図10Bは各支持体上の単一のレンズのみを示すが、各支持体上に複数のレンズがあってもよい。また、レンズ、LEDストリップ、および/または支持体は全て、センサ301と類似であり得るセンサ1001、および/またはセンサハウジング1005に一体化されるか、または他の方法でその中に配置されてもよい。
【0050】
図11に示されるように、本開示の一態様による車両200は、様々な構成要素を含む。本開示の特定の態様は、特定のタイプの車両に関連して特に有用であるが、車両は、自動車、トラック、オートバイ、バス、レクリエーション用車両などを含むがこれらに限定されない任意のタイプの車両であり得る。車両200は、コンピューティングデバイス1110、たとえば、1つ以上のプロセッサ1120、メモリ1130、および汎用コンピューティングデバイス内に典型的に存在する他の構成要素を含む、1つ以上のコンピューティングデバイス1110を有し得る。
【0051】
メモリ1130は、プロセッサ1120によって実行または別の方法で使用され得る命令1134およびデータ1132を含む、1つ以上のプロセッサ1120によってアクセス可能な情報を記憶する。メモリ1130は、コンピューティングデバイス可読媒体、またはハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、またはその他の光ディスク、ならびにその他の書き込み可能および読出し専用メモリなど、電子デバイスの助けを借りて読み取ることができるデータを記憶するその他の媒体を含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を記憶することができる任意のタイプのメモリであり得る。システムおよび方法は、上記の異なる組み合わせを含んでもよく、これにより、命令およびデータの様々な部分が、様々なタイプの媒体に記憶される。
【0052】
命令1134は、プロセッサにより直接的に(マシンコードなど)または間接的に(スクリプトなど)実行される任意のセットの命令であってもよい。たとえば、命令は、コンピューティングデバイス可読媒体上のコンピューティングデバイスコードとして記憶されてもよい。その点に関して、「命令」および「プログラム」という用語は、本明細書では、区別なく使用され得る。命令は、プロセッサによる直接処理のためのオブジェクトコード形式で、または要求に応じて解釈されるか、もしくは予めコンパイルされる、スクリプトもしくは独立したソースコードモジュールのコレクションを含む、任意の他のコンピューティングデバイス言語で記憶されてもよい。命令の機能、方法、およびルーチンについては、以下でさらに詳細に説明される。
【0053】
データ1132は、命令1134に従ってプロセッサ1120によって検索、記憶、または修正されてもよい。たとえば、特許請求された主題は、いかなる特定のデータ構造にも限定されないが、データは、複数の異なるフィールドおよびレコードを有する表、XMLドキュメント、またはフラットファイルとしてリレーショナルデータベース内で、コンピューティングデバイスレジスタ内に記憶されてもよい。データはまた、任意のコンピューティングデバイス可読形式でフォーマットされてもよい。
【0054】
プロセッサ1120は、市販されているCPUなどの任意の1つ以上の従来のプロセッサであってもよい。あるいは、1つ以上のプロセッサは、ASICまたは他のハードウェアベースプロセッサなどの専用デバイスであってもよい。
図11は、プロセッサ、メモリ、およびコンピューティングデバイス1110の他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に例示するが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリが、実際には、同じ物理的なハウジング内に収容されてもされなくてもよい、複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、またはメモリを含み得ることは、当業者によって理解されるであろう。たとえば、メモリ1130は、ハードドライブ、および/またはコンピューティングデバイス1110のハウジングとは異なるハウジング内に位置する他の記憶媒体であってもよい。したがって、プロセッサまたはコンピューティングデバイスへの言及は、並列で動作してもしなくてもよいプロセッサまたはコンピューティングデバイスまたはメモリの集合体への言及を含むと理解されるだろう。
【0055】
コンピューティングデバイス1110は、上述したプロセッサおよびメモリ、ならびに1つ以上のユーザ入力装置1150(たとえば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、および/またはマイクロフォン)ならびに様々な電子ディスプレイ(たとえば、スクリーンを有するモニタ、または情報を表示するように動作可能な任意の他の電気デバイス)などの、コンピューティングデバイスと関連して通常使用される全ての構成要素を含んでもよい。この例では、車両は、情報または視聴覚体験を提供するために、1つ以上の内部電子ディスプレイ1152、ならびに1つ以上のスピーカ1154を含む。これに関して、ディスプレイ1152は、車両200の車室内に配置されてもよく、車両200内またはその近傍にいる乗客または保守担当者に情報を提供するために、コンピューティングデバイス1110によって使用されてもよい。
【0056】
コンピューティングデバイス1110はまた、以下に詳細に説明されるクライアントコンピューティングデバイスおよびサーバコンピューティングデバイスなど他のコンピューティングデバイスとの通信を容易にするために、1つ以上の無線ネットワーク接続1156を含んでもよい。無線ネットワーク接続は、Bluetooth、Bluetoothローエネルギー(LE)、携帯電話接続などの短距離通信プロトコル、ならびにインターネット、World Wide Web、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルネットワーク、1つ以上の企業に専用の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi、およびHTTPを含む様々な構成およびプロトコル、ならびに上記の様々な組み合わせを含み得る。車両200のコンピューティングデバイス1110はまた、さらなる地図または知覚データを含むかまたは別途記憶するコンピューティングデバイスなどの、他のコンピューティングデバイス(図示せず)との間で情報を送受信してもよい。
【0057】
一例では、コンピューティングデバイス1110は、車両200に組み込まれた自律運転コンピューティングシステムのコンピューティングデバイスを制御してもよい。この自律運転コンピューティングシステムは、メモリ1130に記憶されたプライマリ車両制御コードに従って車両200の動きを制御するために、車両の様々な構成要素と通信することが可能であってもよい。たとえば、コンピューティングデバイス1110は、メモリ1130の命令1134に従って車両200の移動、速度などを制御するために、減速システム1160、加速システム1162、操舵システム1164、シグナリングシステム1166、ナビゲーションシステム1168、測位システム1170、認知システム1172、および動力システム1174(すなわち、車両のエンジンまたはモータ)などの、車両200の様々なシステムと通信してもよい。ここでも、これらのシステムはコンピューティングデバイス1110の外部にあるものとして示されているが、実際には、これらのシステムはまた、ここでも車両200を制御するための自律運転コンピューティングシステムとして、コンピューティングデバイス1110の中に組み込まれてもよい。
【0058】
一例として、コンピューティングデバイス1110は、車両の速度を制御するために、車両のブレーキ、アクセルペダル、および/またはエンジンもしくはモータなど、減速システム1160、加速システム1162、および/または動力システム1174の1つ以上のアクチュエータまたはその他のこのような構成要素と相互作用してもよい。同様に、操舵輪、操舵軸、および/またはラックおよびピニオンシステムのピニオンおよびラックなど、操舵システム1164の1つ以上のアクチュエータまたはその他の構成要素が、車両200の方向を制御するために、コンピューティングデバイス1110によって使用されてもよい。たとえば、車両200が自動車またはトラックのように道路で使用するように構成されている場合、操舵システムは、車両の向きを変えるための車輪の角度を制御する1つ以上のアクチュエータまたはその他のデバイスを含んでいてもよい。シグナリングシステム1166は、たとえば、必要に応じて方向指示灯またはブレーキライトを点灯させることによって、車両の意図を他の運転手または車両に伝えるために、コンピューティングデバイス1110によって使用されてもよい。
【0059】
ナビゲーションシステム1168は、ある場所までのルートを決定してたどるために、コンピューティングデバイス1110によって使用されてもよい。これに関して、ナビゲーションシステム1168および/またはデータ1132は、詳細な地図/道路地図情報、たとえば、車道の形状および標高、車線境界線、交差点、横断歩道、速度制限、交通信号、建物、標識、リアルタイム交通情報、植生、または他のこのような物体および情報を識別する高精密地図を記憶してもよい。
【0060】
測位システム1170は、地図上または地球上での車両の相対または絶対位置を判別するコンピューティングデバイス1110によって使用されてもよい。たとえば、測位システム1170は、測位システムの緯度、経度、および/または高度の位置を判定するためのGPS受信機を含んでもよい。レーザを利用した位置特定システム、慣性支援GPS、またはカメラを利用した位置特定などの他の位置特定システムも、車両の位置を特定するために使用してもよい。車両の位置には、緯度、経度、高度などの絶対的な地理的位置情報の他に、すぐ周りの他の車両に対する位置などの相対的な位置情報が含まれてもよく、これは、多くの場合、絶対的な地理的位置よりも少ないノイズで判定することができる。
【0061】
測位システム1170はまた、車両の方向および速度、またはそれらの変化を判定するための加速度計、ジャイロスコープ、または別の方向/速度検出デバイスなど、コンピューティングデバイス1110と通信する他のデバイスを含んでいてもよい。単なる例として、加速デバイスは、重力の方向またはそれに垂直な平面に対するピッチ、ヨー、またはロール(またはこれらの変化)を判定してもよい。デバイスはまた、速度の増減、およびそのような変化の方向を追跡してもよい。本明細書で説明したようなデバイスの位置および方位データの提供は、コンピューティングデバイス1110、他のコンピューティングデバイス、および上記の組み合わせに自動的に提供されてもよい。
【0062】
認知システム1172はまた、他の車両、車道内の障害物、交通信号、標識、樹木などの車両の外部にいる対象者を検出するために1つ以上の構成要素を含んでもよい。たとえば、認知システム1172は、センサ301、501、601、701、および1001などの1つ以上のセンサ、および/またはコンピューティングデバイス1110によって処理され得るデータを記録する任意の他の検出デバイスを含んでもよい。いくつかの事例では、認知システムは、車両のルーフまたは他の便利な場所に取り付けられた、センサ301などのレーザセンサを含んでもよい。
【0063】
視覚通知システム1176は、車両の近傍にいる対象者にメッセージを表示するためのLEDディスプレイを含み得る。これに関して、視覚通知は、車両の外部にいる運転手、歩行者、サイクリスト、車両、または他のこのような対象者(まとめて「受け手」と呼ばれる)との対象とされるビジュアルコミュニケーションのために、センサのハウジング上の搭載または一体化されたメッセージングシステムを含み得る。たとえば、視覚通知システム1176のLEDディスプレイは、POV LEDディスプレイおよび/または指向性LEDディスプレイを含み得る。
【0064】
コンピューティングデバイス1110は、車両の場所を判別するために測位システム1170を使用し、その場所に安全に到達する必要があるとき、周囲の車両、歩行者、踏切などの対象者を検出およびこれに応答するために、認知システム1172を使用し得る。そうするために、コンピューティングデバイス1110は、車両200を加速させ(たとえば、加速システムにより、エンジンに提供される燃料または他のエネルギーを増加させることによって)、減速させ(たとえば、エンジンに供給される燃料を低減させ、ギヤを切り替え、および/または減速システムにより制動をかけることによって)、方向転換させ(たとえば、操舵システムにより、車両の前輪または後輪の向きを変えることによって)、これらの変更をシグナリング(たとえば、シグナリングシステム方向指示器を点灯することによって)させ得る。このため、加速システム1162および減速システム1160は、車両のエンジンと車両の車輪との間に様々な構成要素を含む、動力伝達装置の一部であり得る。ここでも、これらのシステムを制御することによって、コンピューティングデバイス1110はまた、車両を自律的に操縦するために、車両の動力伝達装置を制御し得る。
【0065】
様々なシステム構成要素から受信したデータに基づいて、コンピューティングデバイスは、車両の様々な構成要素に命令を送信することによって、車両の方向、速度、加速度などを制御してもよい。たとえば、コンピューティングデバイス1110は、地図情報およびナビゲーションシステム1168および測位システム1170からのデータを使用して、車両を目的地まで完全に自律的にナビゲートしてもよい。コンピューティングデバイス1110はまた、車両の動作中に、本明細書に記載されるように、視覚通知システム1176を介して周囲の対象者に通知を提供し得る。
【0066】
例示的な方法
上述され、図に示された動作に加えて、様々な動作がここで説明される。以下の動作は、以下に説明される正確な順序で実行される必要がないことが理解されるべきである。むしろ、様々なステップが、異なる順序で、または同時に処理されてもよく、ステップはまた、追加または省略されてもよい。
【0067】
コンピューティングデバイス1110などのコンピューティングデバイスは、いつどこで特定のメッセージを表示するかを決定し得る。これに関して、認知システム1172およびナビゲーションシステム1168から受信したデータは、車両の近傍にいる対象者との通信が保証されているか否かを判断するために監視され得る。対象者が車両と対話している確率が十分に高いとコンピューティングデバイスが判断したときに、メッセージングが保証され得る。
【0068】
対象者が車両と対話している確率は、対象者のタイプ、およびその予想される行動に基づくことができる。これに関して、認知システム1172からのデータに基づいて、コンピューティングデバイス1110は、車両の近傍にいる対象者の場所および軌道、ならびに対象者のタイプ(たとえば、車両、歩行者など)を判定し得る。これらの要因に基づいて、車両が対象者と対話する、または対話できる確率が得られる。閾値を満たす確率を有する対象者については、車両の視覚通知システム1176によってメッセージが出力され得る。たとえば、歩道1205上の歩行者1201は、
図12に示される車両200などの車両の前の横断歩道1207で道路1210を横断しようとしているかも知れない。コンピューティングデバイス1110は、例として、歩行者1201が車両の前を横切る可能性が60%などの高いレベルの確率であると判定することができる。これに応答して、コンピューティングデバイス1110は、車両200に制動(たとえば、減速および/または停止)させ、歩行者1201が道路を安全に横断できることを歩行者に通知するメッセージを出力させることができる。たとえば、車両200の視覚通知システム1176のLEDディスプレイは、
図12の領域1220によって示されるように、歩行者1201の方向に「前進してください」というメッセージを配向し得る。別の例では、車両が全方向一時停止の十字路で停止する場合がある。第2、第3、および/または第4の車両が全方向一時停止の十字路にある場合、車両は他の車両に、彼らが先に前進してもよいという通知、または自車両が動くという通知を提供することができる。
【0069】
いくつかの事例では、LEDディスプレイは、冗長またはフォールバック通知システムとして機能し得る。ほとんどの車両では、周囲の対象者に情報を提供するために、シグナリングシステム1166に見られるものを含む、テールライト、ブレーキライト、方向指示灯などのようなライトが使用される。たとえば、ブレーキライトは、車両が停止しようとしていることを車両の後方の対象者に通知し、方向指示灯は、車両が曲がろうとしていることを車両の周囲の対象者に通知する。これらのライトが知らぬ間に故障していた場合でも、LEDディスプレイは必要な通知を提供することができる。たとえば、右の方向指示灯が故障した場合、LEDディスプレイは「右折します」のメッセージを提供することができる。
【0070】
前述の代替例の大部分は、相互に排他的ではなく、様々な組み合わせで実施され、独自の利点を達成し得る。上で考察される特徴のこれらおよび他の変形および組み合わせは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用することができるので、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題の限定としてではなく、例示としてみなされるべきである。一例として、前述の動作は、上記の正確な順序で実行される必要はない。むしろ、様々なステップは、逆順または同時になど、異なる順序で処理され得る。特に明記されていない限り、ステップは、省略され得る。加えて、本明細書に記載された実施例、ならびに「など」、「含む」などと表現された語句の提供は、特許請求の範囲の主題を特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、実施例は、多くの可能な実施形態のうちの1つだけを例示することが意図される。さらに、異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を特定することができる。