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特許7406617発射弾数カウンタ、発射弾数検出器、情報処理装置、発砲判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】発射弾数カウンタ、発射弾数検出器、情報処理装置、発砲判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   F41A 19/01 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
F41A19/01
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022188202
(22)【出願日】2022-11-25
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000221155
【氏名又は名称】東芝電波プロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝志
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0236026(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0282595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41A 19/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃により弾丸を発砲させる操作を検出する操作検出手段と、
銃に発生する加速度を検出する加速度検出手段と、
音を検出する音検出手段と、
前記操作検出手段により検出される操作と、前記加速度検出手段により検出される前記加速度の変化と、前記音検出手段により検出される音の変化の組合わせをもとに、前記操作がある場合の発砲の有無、及び前記操作がない場合の発砲の有無の可能性を判定する発砲判定手段と、
前記発砲判定手段による判定結果を記録する記録手段と
を有する発射弾数カウンタ。
【請求項2】
前記記録手段により記録された判定結果に基づく、弾丸の発砲状況を示す情報を出力する出力手段をさらに有する請求項1記載の発射弾数カウンタ。
【請求項3】
前記操作検出手段、前記操作検出手段及び前記加速度検出手段による検出と並行して、位置を検出する位置検出手段をさらに有し、
前記記録手段は、前記発砲判定手段による判定結果を前記位置検出手段により検出される位置と対応づけて記録する請求項1記載の発射弾数カウンタ。
【請求項4】
銃に装着されて使用される発射弾数検出器であって、
銃の引金に対する弾丸を発砲させる操作を検出する操作検出手段と、
銃に発生する加速度を検出する加速度検出手段と、
音を検出する音検出手段と、
前記操作検出手段により検出される操作のタイミングを示すタイミングデータと、前記加速度検出手段により検出される前記加速度の変化を示す加速度データと、前記音検出手段により検出される音の変化を示す音データとを時間経過に合わせて対応づけた状況データを記録する記録手段と
を有する発射弾数検出器。
【請求項5】
銃により弾丸を発砲させる操作のタイミングを示すタイミングデータと、銃に発生する加速度の変化を示す加速度データと、音の変化を示す音データとを時間経過に合わせて対応づけた状況データを取得する取得手段と、
前記状況データをもとに、前記操作がある場合の発砲の有無、及び前記操作がない場合の発砲の有無の可能性を判定する発砲判定手段と、
前記発砲判定手段による判定結果を記録する記録手段と
を有する情報処理装置。
【請求項6】
前記状況データには、前記加速度データと前記音データの検出と並行して位置検出手段により検出された位置を示す位置データが時間経過に合わせて対応づけられており、
前記記録手段は、前記発砲判定手段による判定結果を位置と対応づけて記録する請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
銃により弾丸を発砲させる操作のタイミングを示すタイミングデータと、銃に発生する加速度を検出する加速度検出手段により検出される加速度の変化を示す加速度データと、音を検出する音検出手段により検出される音の変化を示す音データとを時間経過に合わせて対応づけた状況データを取得する取得手段と、
前記状況データをもとに、前記操作がある場合の発砲の有無、及び前記操作がない場合の発砲の有無の可能性を判定する発砲判定手段と、
前記発砲判定手段による判定結果を記録させる記録手段として機能させるための発砲判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発射弾数カウンタ、発射弾数検出器、情報処理装置、発砲判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
野外で実行される小銃等の射撃訓練は、例えば、射手が実包または空包の銃弾を目標に対して発砲した後に移動し、その移動先で別の目標に対して発砲するといった動作を繰り返すことで実行される。射撃訓練では、使用する実弾数について厳格な管理が要求されているため、訓練中に何発の銃弾が射撃されたか、また何発の銃弾が実際に残っているかを、訓練後に撃ち殻薬きょうを回収することにより確認している。もし、撃ち殻薬きょう数と未使用弾数との合計が当初の弾数と一致しない場合には、紛失した可能性があり、野外で生弾(実包)あるいは撃ち殻薬きょうを捜索する必要があり膨大な作業が発生してしまう。
【0003】
このため、射撃訓練中では、生弾(実包)あるいは撃ち殻薬きょうを紛失することがないように、引金操作によって実際に発砲したか否か、生弾(実包)が銃に残っているか否かなどを意識しながら訓練をしなければならず、射撃とは別の負担が大きかった。
【0004】
従来では、銃に装着された加速度センサにより検出される加速度データと、銃の周囲の音もしくは銃身の音を検出するマイクロフォンからの検出音データをもとに、銃による弾丸の発射を検出して、記録する装置が考えられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-198101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、弾丸の発射の有無を記録することができるものの、引金操作によって実際に発砲したか否か、生弾(実包)が銃から排出された可能性があるか否かなどを把握できず、射撃訓練中における負担を軽減した弾薬管理をすることが困難となっていた。
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、射撃訓練における弾薬管理の負担を軽減することができる発射弾数カウンタ、発射弾数検出器、情報処理装置、発砲判定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、発射弾数カウンタは、銃により弾丸を発砲させる操作を検出する操作検出手段と、銃に発生する加速度を検出する加速度検出手段と、音を検出する音検出手段と、前記操作検出手段により検出される操作と、前記加速度検出手段により検出される前記加速度の変化と、前記音検出手段により検出される音の変化の組合わせをもとに、前記操作がある場合の発砲の有無、及び前記操作がない場合の発砲の有無の可能性を判定する発砲判定手段と、前記発砲判定手段による判定結果を記録する記録手段とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の発射弾数カウンタの構成の概略を示すブロック図。
図2】第1実施形態における発射弾数カウンタの構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態における発射弾数検出器を銃に装着した状態の一例を示す図。
図4】第1実施形態における情報処理装置により実施される発砲判定処理について示すフローチャート。
図5】第1実施形態における各センサにより検出されたデータを示す図。
図6】第1実施形態の相対比較処理の処理結果の一例を示す図。
図7】第2実施形態の発射弾数カウンタの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の発射弾数カウンタ10の構成の概略を示すブロック図である。発射弾数カウンタ10は、銃に装着して使用される発射弾数検出器20(20-1,20-2,…,20-N)と、発射弾数検出器20において記録されたデータ(状況データ)をもとに銃の発砲を判定する発砲判定処理を実行する情報処理装置30とを含む。情報処理装置30は、複数の銃にそれぞれ装着して使用される発射弾数検出器20(20-1,20-2,…,20-N)から状況データを収集し、それぞれの銃における発砲を判定して弾薬管理を実行する。状況データには、発射弾数検出器20に実装された複数のセンサ等によって検出されたデータを含む(詳細については後述する)。
【0012】
情報処理装置30は、例えばパーソナルコンピュータなどの電子機器によって実現される。情報処理装置30は、例えばCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより各種の機能を実現する。情報処理装置30は、発砲判定プログラムを実行することにより、発射弾数検出器20から収集した状況データに対する発砲判定処理を実行する。
【0013】
情報処理装置30は、例えばインターネットなどを含むネットワークを介して、サーバ12と接続される。情報処理装置30は、サーバ12との間で、状況データに関する発砲判定のためのデータの取得、発砲判定処理のための統計解析やAI(Artificial ntelligence)技術、例えば機械学習のために使用する機械学習モデルを用いた推論処理の実施、状況データの送信、発砲判定処理の結果の送信などを実行する。
【0014】
また、情報処理装置30は、発砲判定処理の結果を用いた各種情報を出力する。例えば、情報処理装置30は、状況データに対する発砲判定結果(図6(A)参照)、射撃訓練の弾丸の発砲状況を示す状況情報(図6(B)参照)、射撃訓練の状況開始から終了までの銃(発射弾数検出器20)の移動経路や発砲判定対象とするデータが検出された位置を示す地図などの情報を表示する機能などを有する。
【0015】
なお、発射弾数検出器20から収集した状況データに対する発砲判定処理を含む、情報処理装置30により実施するとした前述した処理を、情報処理装置30に代えて、サーバ12において実施するようにしても良い。また、情報処理装置30とサーバ12が協働して実施することも可能である。
【0016】
図2は、第1実施形態における発射弾数カウンタ10の構成を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、発射弾数検出器20は、測位システム(GNSS(Global Navigation Satellite System)やRTK(Real Time Kinematic)など)モジュール22、加速度センサ23、引金センサ24、マイク25、検出処理回路26、RTC(Real Time clock)28、データ記録回路27、通信回路29を有する。
【0018】
測位回路22は、測位システム衛星からの信号を受信して、時刻および位置を特定する処理を実行し、現在位置を示す位置データを出力する。
【0019】
加速度センサ23は、加速度を測定することで、振動や衝撃、傾きや動きなどを検出するセンサである。発射弾数検出器20が銃に装着されることで、銃に発生する振動や衝撃などを検出することができる。加速度センサ23は、継続的に加速度の変化を示す加速度データを出力する。
【0020】
引金センサ24は、銃により弾丸を発砲させる操作を検出するセンサである。引金センサ24は、例えば銃に設けられた引金に装着された操作部が、引金に対する操作に応じて連動したことを検出するセンサである。なお、引金センサ24は、銃による発砲が引金に対する操作以外、例えば拉縄等の操作によって実行される場合には、その操作を検出するように設けられる。引金センサ24は、銃により弾丸を発砲させる操作を検出すると、操作タイミングを示すタイミングデータを出力する。
【0021】
マイク25は、発砲、槓桿や弾倉交換などの操作、銃への打撃や落下などを含めて、銃に生じた音を検出して音の変化を示す音データを出力する。

測位回路22、加速度センサ23、引金センサ24、マイク25は、並行して動作し、射撃訓練を開始(状況開始)されてから出力されるデータが時間経過に合わせて対応づけて状況データとして記録される。
【0022】
検出処理回路26は、測位回路22、加速度センサ23、引金センサ24及びマイク25の各センサから出力されるデータを処理する処理回路である。検出処理回路26は、各センサからのデータをデータ記録回路27に出力する。
【0023】
データ記録回路27は、検出処理回路26からの各センサにより検出されたデータを記録する。すなわち、データ記録回路27は、引金センサ24により検出される引金操作のタイミングを示すタイミングデータと、加速度センサ23により検出される加速度の変化を示す加速度データと、マイク25により検出される音の変化を示す音データと、測位回路22により検出される位置データとを、RTCユニット28から出力される時刻データが示す時間経過に合わせて対応づけた状況データを記録する。
【0024】
RTCユニット28は、時刻データとして、例えば、年、月、日、時、分、秒を示すデータを出力する。
【0025】
通信回路29は、例えば無線通信によって情報処理装置30(通信回路36)と通信を実行し、データ記録回路27により記録された状況データを情報処理装置30に送信する。
【0026】
発射弾数検出器20は、例えば図示しないスイッチに対する操作に応じて動作を開始して、各センサ(測位回路22、加速度センサ23、引金センサ24、マイク25)によって検出されたデータを記録する動作を開始する。記録されたデータは、射撃訓練終了後に、情報処理装置30に対して通信回路29を通じて送信しても良いし、射撃訓練中にリアルタイムで送信しても良い。
【0027】
射撃訓練中にリアルタイムで発砲判定結果を送信することで、射撃訓練中における銃14のそれぞれについての発砲数、残弾数、発砲判定において判定された、正常な発砲がされていない可能性がある疑義発生と疑義内容を情報処理装置30において確認することができる。
【0028】
また、情報処理装置30は、発砲判定処理部32、前処理部32A、判定部32B、メモリ34、UI部35、通信回路36を有する。
【0029】
発砲判定処理部32は、発砲判定プログラムを実行することにより実現される機能であり、発射弾数検出器20から収集した状況データに対する発砲判定処理を実行して、射撃訓練中(状況開始から状況終了まで)の銃14からの発砲の有無の可能性を判定する。発砲判定処理部32には、前処理部32A及び判定部32Bを含む。
【0030】
前処理部32Aは、判定部32Bにおける状況データをもとにした発砲の判定処理前の処理を実行する。
【0031】
判定部32Bは、射撃訓練中に複数のセンサによって検出されたデータを含む状況データをもとに、銃の発砲の可能性を判定する。判定部32Bは、例えば状況データに含まれる、引金センサ24により検出される引金操作と、加速度センサ23により検出される加速度の変化と、マイク25により検出される音の変化の組合わせをもとに、引金操作がある場合の発砲の有無(発砲、不発砲)、及び引金操作がない場合の発砲の有無(例えば、不発砲、暴発)の可能性を判定する。判定部32Bは、例えばAI技術を用いて発砲判定をするもので、サーバ12において過去の状況データを機械学習(例えば、学習用モデル構築)した結果を利用して発砲判定を実行する。
【0032】
判定部32Bは、統計処理もしくはAI技術を用いるということで、発砲有無の何れかを判定するだけでなく、発砲した可能性(高いか低いかを表す数値)を判定することも可能である。なお、判定部32Bは、AI技術を用いた発砲判定に限らず、例えば、過去の状況データに対する統計解析などの手法を用いて発砲判定するなど、他の方法を用いることも可能である。
【0033】
メモリ34は、情報処理装置30において実行される各種プログラムの他、各種のデータが記録される。メモリ34に記録されるプログラムには発砲判定プログラムを含む。また、メモリ34に記録されるデータには、発射弾数検出器20から取得される状況データ(加速度データ、タイミングデータ、音データを含む)、状況データに対する発砲判定結果(図6(A)参照)、弾丸の発砲状況を示す情報(図6(B)参照)などを含む。
【0034】
UI部35は、操作者による操作の受け付け、各種情報の出力等をするためのユーザインタフェース機能である。UI部35は、タッチパネル、キーボード、ポインティングデバイスなどによる入力、あるいはタッチパネル、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ等における表示やスピーカからの音声などの出力を制御する。
【0035】
通信回路36は、例えば無線通信によって発射弾数検出器20(通信回路29)と通信を実行し、発射弾数検出器20から状況データを受信する。また、通信回路36は、サーバ12との通信を実行し、状況データや発砲判定処理の結果の送信の他、判定部32Bによる発砲判定処理に用いる機械学習/統計解析結果などのデータを受信する。
【0036】
なお、図2に示す発射弾数カウンタ10の構成では、発射弾数検出器20において各センサにより検出されたデータ(状況データ)を無線通信によって情報処理装置30に送信するとしているが、その他の方法によって状況データを移動させるようにしても良い。例えば、発射弾数検出器20と情報処理装置30のそれぞれに設けられた接続端子を相互に接続したり、発射弾数検出器20と情報処理装置30とを有線ケーブルによって接続したりすることで、状況データを送信できるようにしても良い。また、発射弾数検出器20のデータ記録回路27によって可搬型の記録媒体、例えばSD(Secure digital)メモリに状況データを記録させ、この記録媒体から情報処理装置30において状況データを読み出すようにしても良い。
【0037】
また、図1では、複数の発射弾数検出器20に対して1台の発射弾数検出器20により発砲判定処理をするとしているが、複数台の発射弾数検出器20を用いることも可能である。
【0038】
サーバ12は、情報処理装置30による発砲判定処理の結果を集計する他、発射弾数検出器20において収集された状況データに対する機械学習、例えば、学習用モデル構築、確認および生成の処理を実行する。
【0039】
図3は、第1実施形態における発射弾数検出器20を銃14に装着した状態の一例を示す図である。
【0040】
発射弾数検出器20は、銃14に対して着脱可能な構成を有しており、射撃訓練時に銃14に装着して使用される。図3に示す例では、銃14の左側面の引金14Aの近くに装着される例を示している。銃14を発射弾数検出器20は、銃14に対する操作性を損なわなければ、何れの場所に装着されても良い。
【0041】
発射弾数検出器20は、移動しながら発砲を繰り返す射撃訓練などに使用されるため、発砲時だけでなく、移動時に銃14を振動させたり、銃14を物体にぶつけたりした場合でも、脱落しないように固定される。
【0042】
発射弾数検出器20は、引金センサ24と連結された可動可能な操作部20Aが設けられている。操作部20Aは、発射弾数検出器20を銃14に装着した際に、引金14Aの操作方向(銃床)側で引金14Aの操作が検出できる場所に装着される。操作部20Aは、引金14Aに対する引金操作がされた際に、引金14Aの操作を操作部20AAが検出することで、引金センサ24により引金操作が検出される。
【0043】
なお、第1実施形態では、発射弾数検出器20の内部に各センサ類(測位回路22、加速度センサ23、マイク25)が収納されているとしているが、発射弾数検出器20の本体部と電気的に接続して分離させた構成とすることも可能である。各センサは、銃14の操作性を損なわず、それぞれ効率的にデータを検出することができる位置に装着できるようにすることが好ましい。
【0044】
次に、第1実施形態における発射弾数カウンタ10の動作について説明する。
【0045】
ここでは、射撃訓練が終了した後に、発射弾数検出器20において記録された状況データを情報処理装置30に送信する場合を例にして説明する。
【0046】
射撃訓練を実施する場合に、銃14に発射弾数検出器20が装着される。発射弾数検出器20は、例えば、スイッチに対する操作に応じて動作を開始し、各センサ(測位回路22、加速度センサ23、引金センサ24、マイク25)によって検出されたデータを記録する動作を開始する。
【0047】
例えば、スイッチに対する操作があったタイミングを射撃訓練の状況開始として、RTCユニット28から出力される時刻データをもとに状況開始の時間「0」をセットし、時間経過に合わせて各センサデータとを対応づけて記録する。
【0048】
すなわち、測位回路22、加速度センサ23、マイク25による検出を並行して実行して、検出処理回路26を回してデータ記録回路27により状況データを記録する。また、引金センサ24により引金操作が検出された場合には、操作のタイミングを示すタイミングデータを他のセンサのデータと共に記録する。
【0049】
射撃訓練は、例えば、射手が実包または空包の銃弾を目標に対して発砲した後に移動し、その移動先で別の目標に対して発砲するといった動作を繰り返す。加速度センサ23は、銃14に対して与えられる振動等による加速度の変化を示す加速度データを検出する。また、マイク25は、射撃訓練中の銃14の周囲に発生する音を表す音データを検出する。測位回路22は、射手(銃14)の移動に伴って、それぞれの位置における位置データを検出する。
【0050】
通常、銃14により銃弾を発砲する場合、射手により引金14Aに対して操作され、この引金操作を引金センサ24により検出し、その直後に弾丸の発砲に伴って銃14に対して発生する加速度の変化を検出すると共に、発砲音を表す音の変化が検出される。
【0051】
一方、発砲しない(引金操作がない)場合においても、銃14を地面などの障害物にぶつけるなどした場合には、射手が銃14を持って移動する時とは異なる大きな加速度の変化を検出したり、衝撃音を検出する場合がある。また、引金操作がない場合にも関わらず弾丸が発砲される、すなわち暴発が発生する可能性もある。さらに、引金操作があるにも関わらず、ジャム(装填不良)などの理由により弾丸が発砲されない可能性もある。
【0052】
発射弾数検出器20では、通常の引金操作に応じて弾丸を発砲する場合だけでなく、それぞれの状況において検出される各センサにより検出されるデータを時間経過に合わせて対応づけた状況データを記録していく。
【0053】
射撃訓練が終了される場合、状況開始と同様にして、スイッチに対する操作がされる。発射弾数検出器20は、スイッチに対する操作があったタイミングを射撃訓練の状況終了として、状況データの記録を終了する。
【0054】
なお、前述した説明では、発射弾数検出器20に対するスイッチ操作により指示される状況開始と状況終了の間の状況データを記録するとしているが、スイッチ操作に関係無く状況データを記録しておき、情報処理装置30において状況開始と状況終了の時刻を指定することで、射撃訓練中の状況データを抽出して発砲判定処理を実行するようにしても良い。
【0055】
次に、第1実施形態における情報処理装置30(発砲判定処理部32)により実施される発砲判定処理について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
情報処理装置30は、発射弾数検出器20において記録された状況データを取得して、メモリ34に記憶させる。情報処理装置30は、複数の銃14のそれぞれに装着された発射弾数検出器20により記録された状況データを取得して、それぞれに対して、以下に説明する発砲判定処理を実行することができる。
【0057】
まず、発砲判定処理部32の前処理部32Aは、処理対象とする状況データに対する前処理を実行する(ステップA1)。前処理では、例えば射撃訓練に使用された銃14の種類、銃14に実装された銃弾の初期弾数等の設定の他、状況データに含まれる各センサにより検出されたデータに対する判定処理前の処理を実行する
次に、判定部32Bは、状況データに含まれる各センサにより検出されたデータに対する判定処理を実行する。まず、判定部32Bは、引金操作判定処理により、引金センサ24によって検出されたタイミングデータをもとに引金操作がされたタイミングを判定する(ステップA2)。判定部32Bは、射撃訓練中(状況開始~状況終了)における引金操作がされたタイミングを示すデータ(例えば、状況開始からの経過時間)を記録する。
【0058】
また、判定部32Bは、加速度(衝撃)判定処理によって、加速度センサ23によって検出された加速度データをもとに、例えば、加速度の変化のパターンが、弾丸を発砲した場合に銃14において発生するパターンに相当するか、すなわち弾丸が発砲されたかAI技術を用いて判定する(ステップA3)。判定部32Bは、加速度データをもとに弾丸を発砲したと判定されたタイミングを示すデータ(例えば、状況開始からの経過時間)を記録する。
【0059】
また、判定部32Bは、音判定処理によって、マイク25によって検出された音データをもとに、例えば、音データの変化のパターンが、弾丸を発砲した場合に銃14において発生するパターンに相当するか、すなわち弾丸が発砲されたかAI技術を用いて判定する(ステップA4)。判定部32Bは、音データをもとに弾丸を発砲したと判定されたタイミングを示すデータ(例えば、状況開始からの経過時間)を記録する。
【0060】
なお、弾丸発生時に銃14に発生する加速度及び発砲音は、銃14の種類によって異なるため、射撃訓練に用いた銃14の種類を予め指定しておくことで、銃14の種類に応じて機械学習された内容をもとに判定することができる。これにより、より的確な判定が可能となる。
【0061】
次に、判定部32Bは、引金操作判定処理、加速度(衝撃)判定処理及び音判定処理による処理結果をもとに、それぞれの処理結果を相対比較する相対比較処理を実行して、引金操作がある場合の発砲の有無、及び引金操作がない場合の発砲の有無を判定する(ステップA5~A13)。
【0062】
以下、相対比較処理について、図5に示す各センサにより検出されたデータを時間経過に合わせて対応づけて示す図を参照しながら説明する。
【0063】
図5(A)は、加速度センサ23によって検出されたデータ(波形)と判定結果を示す。図5(B)は、引金センサ24によって検出されたタイミングデータを示す。図5(C)は、マイク25によって検出されたデータ(波形)と判定結果を示す。図5(D)は、測位回路22によって検出される位置データを示す。
【0064】
図5(B)では、引金センサ24によって検出されたタイミングデータが示すタイミングT1,T2,T4において引金操作がされたことが検出されたことを示している。
【0065】
図5(A)では、加速度センサ23により検出された加速度データをもとに、タイミングA1,A2,A3,A5において、加速度の変化より発砲があったと判定されたことを示している。タイミングA3では、発砲時と類似した大きな加速度が発生しているため、判定部32Bによる判定において、弾丸の発砲により発生する加速度の可能性があると判定されていることを示す。
【0066】
図5(C)では、マイク25により検出された音データをもとに、タイミングS1,S2,S5において、音の変化より発砲があった(発砲音)と判定されたことを示している。タイミングS3では、発砲時と類似した大きな音が発生しているが、判定部32Bによる判定において、弾丸の発砲により発生する音の変化ではない(不発砲)と判定されていることを示す。
【0067】
なお、図5に示すデータ(波形)は、処理内容を説明するために概念的に示すものであって、それぞれのセンサによって検出される実際のデータとは異なる。
【0068】
判定部32Bは、引金操作があるタイミングにおいて(ステップA5、Yes)、弾丸の発砲による加速度あり(ステップA6、Yes)、及び弾丸の発砲による音あり(ステップA7、Yes)と判定された場合には、発砲ありと判定する(ステップA10)。
【0069】
図5に示す例では、引金操作のタイミングT1に対して、引金操作がされたタイミングT1から所定の時間(通常の引金操作がされてから発砲されるまでの時間)内に、加速度の変化より発砲のタイミングA1が検出され、また音の変化より発砲のタイミングS1が検出されている。従って、引金操作がある場合の発砲ありと判定される(射撃1)。同様にして、引金操作のタイミングT2に対して、タイミングA2とタイミングS2が検出されているため、引金操作がある場合の発砲ありと判定される(射撃2)。
【0070】
また、判定部32Bは、引金操作があるタイミングにおいて(ステップA5、Yes)、弾丸の発砲による加速度なし(ステップA6、No)、あるいは弾丸の発砲による音なし(ステップA7、No)と判定された場合には、発砲なし(不発砲)と判定する(ステップA11)。
【0071】
図5に示す例では、引金操作のタイミングT4に対して、引金操作がされたタイミングT4から所定の時間内に、加速度の変化より発砲が検出されず、また音の変化より発砲が検出されていない。従って、引金操作がない場合の発砲のなしと判定される(射撃4)。例えば、引金操作をしたに関わらず、ジャム(装填不良)などの理由により弾丸が発砲されない状況に相当する。こうした状況では、射手は、装填操作を繰り返すなどして、銃14に対して振動を与える場合もあるが、加速度の変化より発砲とは判定されず、また発砲されないため発砲音も発声されない(図5(C)に示すタイミングS4)。また、この状況では、槓桿の操作を繰り返すなどすることで、銃弾(発砲前の生弾)が銃14から脱落するなどして紛失する可能性が高い。第1実施形態における発射弾数カウンタ10(情報処理装置30)では、引金操作によって正常に銃弾が発砲されていない場合には、引金操作に対して「不発」を示す疑義情報を記録する。
【0072】
また、判定部32Bは、引金操作がないタイミングにおいて(ステップA5、No)、弾丸の発砲による加速度あり(ステップA8、Yes)、及び弾丸の発砲による音なし(ステップA9、No)と判定された場合には、発砲なし(不発砲)と判定する(ステップA12)。
【0073】
図5に示す例では、引金操作がされていないタイミングにおいて、加速度の変化より発砲の可能性ありと判定されたタイミングA3が検出されているが、タイミングA3(タイミングS3)において、音の変化より発砲ありと検出されていない。従って、引金操作がない場合の発砲ありと判定される(射撃3)。この場合、疑義情報として「衝撃付加」を記録する。
【0074】
また、判定部32Bは、引金操作がないタイミングにおいて(ステップA5、No)、弾丸の発砲による加速度あり(ステップA8、Yes)、及び弾丸の発砲による音あり(ステップA9、Yes)と判定された場合には、発砲あり(暴発)と判定する(ステップA13)。
【0075】
図5に示す例では、引金操作がされていないタイミングにおいて、加速度の変化より発砲ありと判定されたタイミングA3が検出され、タイミングA3に対応するタイミングS5において、音の変化より発砲ありと検出されている。従って、引金操作がない場合の発砲あり(暴発)と判定される(射撃5)。この場合、疑義情報として「暴発」を記録する。
【0076】
こうして、判定部32Bは、引金操作判定処理、加速度(衝撃)判定処理及び音判定処理による処理結果をもとにした相対比較処理によって、引金操作がある場合の発砲の有無、及び引金操作がない場合の発砲の有無を判定することができる。
【0077】
判定部32Bは、相対比較処理の処理結果に基づく発砲判定結果を、例えば図6(A)に示すようにして記録する(ステップA14)。
【0078】
図6(A)に示す例では、引金操作判定処理、加速度(衝撃)判定処理、あるいは音判定処理の何れかにおいて発砲あり(及び発砲の可能性あり)と判定されることに応じて、識別番号として「射撃1」「射撃2」…を設定し、それぞれについて相対比較処理の結果として「発砲/不発砲判定」、「疑義情報」、「位置情報」、「時間/時刻」などに関するデータを対応づけて記録する。
【0079】
「発砲/不発砲判定」は、相対比較処理によって判定された「発砲」あるいは「不発砲」の何れかが記録される。図6(A)では、図4及び図5を用いて説明したように、「射撃1」「射撃2」「射撃5」については「発砲」、「射撃3」「射撃4」については「不発砲」が記録されている。
【0080】
「疑義情報」は、相対比較処理によって正常に弾丸が発砲されていないと判定された疑義内容を示す情報、例えば「衝撃付加」「不発」「暴発」の何れかが記録される。なお、その他の疑義内容を示す情報が記録されるようにしても良い。
【0081】
「位置情報」は、「射撃1」「射撃2」…のそれぞれについて判定された、各データが記録された時の位置データが示す位置、すなわち弾丸の発砲があった時の銃14の位置(射撃1,2,5)、発砲はないが疑義が発生した時の位置(射撃3,4)が記録される。
【0082】
「時間/時刻」は、「射撃1」「射撃2」…のそれぞれについて判定された、各データが記録された時の状況開始からの時間あるいは時刻が記録される。
【0083】
なお、発砲判定結果には、図6(A)に示す情報以外のデータが含まれていても良い。
【0084】
また、発砲判定処理部32は、発砲判定結果と共に、例えば図6(B)に示すように、発砲判定結果に基づく射撃訓練の弾丸の発砲状況を示す状況情報をメモリ34に記録する。
【0085】
図6(B)に示す例では、初期弾数、射撃訓練中の発砲数、残弾数、疑義発生数などの情報を記録する。なお、発砲状況を示す状況情報には、疑義内容、疑義発生位置など、図6(B)に示す情報以外のデータが含まれていても良い。
【0086】
情報処理装置30は、発砲判定処理部32による処理が完了すると、発砲判定結果をUI部35により出力する。例えば、情報処理装置30は、ディスプレイにおいて、図6(A)に示す発砲判定結果、図6(B)に示す状況情報の内容を表示させる。
【0087】
複数の銃14において収集した状況データに対する処理を完了している場合には、情報処理装置30は、UI部35に対する操作によって入力される、特定の銃14(あるいは射手)を選択する指示に応じて、指示に応じた状況データに対する処理結果を表示させる。
【0088】
射撃訓練を実施した場合、訓練後に撃ち殻薬きょうを回収して、撃ち殻薬きょう数と未使用弾数との合計が当初の弾数と一致するかを確認することで、撃ち殻薬きょう、未使用弾数の不足がないことを確認している。第1実施形態における情報処理装置30では、射撃訓練中に収集された、複数のセンサにより検出されたデータを含む状況データをもとに、発砲判定結果と状況情報を記録しているため、射撃訓練後の実際の撃ち殻薬きょう数と未使用弾数との照合をサポートとすることができる。
【0089】
よって、射撃訓練中において、生弾(実包)あるいは撃ち殻薬きょうを紛失することがないように、引金操作によって実際に発砲したか否か、生弾(実包)が銃に残っているか否かなどを意識して訓練する負担を軽減することができる。これにより、安心して射撃訓練に向き合えることから、練度向上を期待することができる。
【0090】
また、発砲判定結果と状況情報をもとに、射撃訓練中に、生弾あるいは撃ち殻薬きょうを紛失したとしても、紛失したのが生弾であるか撃ち殻薬きょうであるかを容易に確認することができる。
【0091】
また、生弾あるいは空撃ち殻薬きょうを紛失した場合、発砲判定結果をもとに紛失位置を特定することで、捜索範囲を限定して、短時間に紛失した生弾あるいは撃ち殻薬きょうを見つけ出すことが期待できる。例えば、図5に示す射撃訓練の例では、図6(B)に示すように、初期弾数「5」、発砲数「3」、残弾数「2」であるので、訓練後の実際の残弾数が「2」、撃ち殻薬きょう数が「3」であれば紛失なしであるが、もし残弾数が「1」、撃ち殻薬きょう数が「3」であれば生弾「1」が紛失となる。この場合、発砲判定結果において、「不発砲」と判定された射撃3,4の時の紛失の可能性が高い。さらに射撃3の疑義情報が「衝撃付加」であるため紛失の可能性は低く、射撃4における疑義情報が「不発」であるため紛失の可能性が高いことが特定できる。この場合、射撃4と対応づけて記録された位置データが示す場所を捜索することで、紛失した生弾を見つけ出すことが期待できる。
【0092】
なお、前述した説明では、判定部32Bによって発砲有無の何れかを判定する場合について説明しているが、発砲した可能性(高いか低いかを表す数値)を判定するようにしても良い。この場合、発砲判定処理部32は、発砲判定結果として、発砲した可能性を示す評価値を含む状況情報をメモリ34に記録する。また、情報処理装置30は、発砲判定処理部32による発砲判定結果として、例えば、発砲の可能性が高い(予め設定された閾値以上の評価値)、あるいは低いと判定された、場所、時間をUI部35により出力する。これにより、例えば、発砲操作があったにも関わらず発砲された可能性が低く、何らかの異常な操作があった可能性が高い場所及び時間を人にわかりやすく示すことができる。この際、発砲の可能性を示す評価値をもとに、発砲の可能性が高い(あるいは低い)場所を、色分けなどして図示(地図、図形、グラフなど)して示すなども可能である。
【0093】
このようにして、第1実施形態における発射弾数カウンタ10では、複数のセンサによって検出されたデータをもとに、それぞれに対する判定処理結果をもとにした相対比較処理によって、引金操作がある場合の発砲の有無、及び引金操作がない場合の発砲の有無の可能性を判定して発砲判定結果として記録するので、射撃訓練中の状況を容易に把握することができ、射手に対する射撃訓練における弾薬管理の負担を軽減することが可能となる。
【0094】
(第2実施形態)
第1実施形態の発射弾数カウンタ10は、銃14のそれぞれに装着される発射弾数検出器20と情報処理装置30とを含む構成としているが、第2実施形態の発射弾数カウンタ40は、第1実施形態の発射弾数検出器20と情報処理装置30の機能一体化して構成するものである。
【0095】
図7は、第2実施形態の発射弾数カウンタ40の構成を示すブロック図である。発射弾数カウンタ40は、第1実施形態の発射弾数検出器20と同様にして銃14に装着して使用される。図7において、図2と同一の符号を付している構成部分は、第1実施形態と基本的に同じ機能を有するものとして詳細な説明を省略する。
【0096】
図7に示すデータ記録回路27は、検出処理回路26からの各センサにより検出されたデータをメモリ34に記録する。発砲判定処理部32は、メモリ34に記録された状況データに対して、第1実施形態と同様にして発砲判定処理を実行する。
【0097】
発射弾数カウンタ40は、銃14に対する操作性を損なわないように小型サイズに構成されることが望ましい。従って、発射弾数カウンタ40に設けられるUI部35は、出力用として小型ディスプレイの他、LED(Light Emitting Diode)などを用いることができる。
【0098】
発射弾数カウンタ40は、銃14に装着された状態で射撃訓練中に発砲判定処理を実行して、判定結果に基づく弾丸の発砲状況を示す情報をUI部35から出力することができる。例えば、UI部35では、LCD表示によるメッセージ(テキスト)や画像の出力、LEDの点灯/点滅あるいは表示色の変更による出力、音声(メッセージ)や音(警告音)の出力などによって、発砲状況を通知することができる。
【0099】
従って、第2実施形態における発射弾数カウンタ40を用いることで、第1実施形態と同様の効果の他に、射撃訓練中において、UI部35による出力によって現在の発砲状況を容易に確認することができる。
【0100】
なお、前述した第1及び第2実施形態の説明では、発砲の判定に用いるデータを収集するセンサとして、加速度センサ23とマイク25を設けるとしているが、その他のセンサを実装するようにしても良い。例えば、可視光画像あるいは赤外線画像を撮影するカメラ、あるいは臭いを検出する臭いセンサなどを用いることも可能である。カメラは、射手が射撃をしている時の銃14を撮影可能とするため、例えば射手の頭部(ヘルメット)や肩の位置に設置することが望ましい。カメラによって撮影された画像に対する処理によって弾丸の発砲時に発生する発射炎や煙を検出することで、発砲ありを判定することができる。また、臭いセンサにより検出されるデータをもとに、弾丸の発砲時に発生する臭いを検出することで、発砲ありを判定することができる。
【0101】
なお、その他の弾丸の発砲を検出することができるデータを検出するセンサを実装することが可能である。発砲判定処理部32は、複数のセンサによって検出されるデータに対する判定結果を用いた相対比較処理により発砲の有無、あるいは疑義情報を生成して、発砲判定結果を記録することができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0103】
また、前述した実施の形態において記載した処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラム(発砲判定プログラム)として、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に提供することができる。また、通信媒体により伝送して各種装置に提供することも可能である。コンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、または通信媒体を介してプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【符号の説明】
【0104】
10…発射弾数カウンタ、12…サーバ、14…銃、20(20-1,20-2,…,20-N)…発射弾数検出器、20A…操作部、22…測位回路、23…加速度センサ、24…引金センサ、25…マイク、26…検出処理回路、28…RTC、27…データ記録回路、29…通信回路、30…情報処理装置、32…発砲判定処理部、32A…前処理部、32B…判定部、34…メモリ、35…UI部、36…通信回路。
【要約】
【課題】射撃訓練における弾薬管理の負担を軽減することができる発射弾数カウンタを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、発射弾数カウンタは、銃により弾丸を発砲させる操作を検出する操作検出手段と、銃に発生する加速度を検出する加速度検出手段と、音を検出する音検出手段と、前記操作検出手段により検出される操作と、前記加速度検出手段により検出される前記加速度の変化と、前記音検出手段により検出される音の変化の組合わせをもとに、前記操作がある場合の発砲の有無、及び前記操作がない場合の発砲の有無を判定する発砲判定手段と、前記発砲判定手段による判定結果を記録する記録手段とを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7