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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 23/00 20060101AFI20231220BHJP
   B62H 1/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B62J23/00 G
B62J23/00 A
B62J23/00 C
B62J23/00 D
B62H1/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022511612
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2021004796
(87)【国際公開番号】W WO2021199688
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2020060957
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 健一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 一浩
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-207851(JP,A)
【文献】特開2013-032050(JP,A)
【文献】特開2018-027744(JP,A)
【文献】特開2009-012769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 23/00
B62H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクータータイプの鞍乗り型車両において、
車体を覆う車体カバー(46)は、ハンドル(31)の下方の側部を覆うフロントサイドカバー部(52A)と、運転者が足を載せるフロアステップ(56)の下方の側部を覆うフロアサイドカバー部(62)と、シート(16)の下方の側部を覆うリアサイドカバー部(59B)とを含み、
前記フロアサイドカバー部(62)は、二分割され、前記フロントサイドカバー部(52A)に一体成形されたフロントサイド一体部(52B)と、前記リアサイドカバー部(59B)に一体成形されたリアサイド一体部(59A)とから構成され、
前記フロントサイド一体部(52B)は、上部が下部よりも側方に突出する段部状、若しくは、下部が上部よりも側方に突出する段部状、又は、溝状、に形成されたキャラクターライン(90)であって、側面に後上がりに傾斜した前記キャラクターライン(90)が設けられ、前記リアサイド一体部(59A)の上縁部(59r)は、車両側面視では、前記キャラクターライン(90)上及び前記キャラクターライン(90)の延長線上に配置されるように形成されていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
スクータータイプの鞍乗り型車両において、
車体を覆う車体カバー(46)は、ハンドル(31)の下方の側部を覆うフロントサイドカバー部(52A)と、運転者が足を載せるフロアステップ(56)の下方の側部を覆うフロアサイドカバー部(62)と、シート(16)の下方の側部を覆うリアサイドカバー部(59B)とを含み、
前記フロアサイドカバー部(62)は、二分割され、前記フロントサイドカバー部(52A)に一体成形されたフロントサイド一体部(52B)と、前記リアサイドカバー部(59B)に一体成形されたリアサイド一体部(59A)とから構成され、
前記フロアステップ(56)の下方に格納可能なサイドスタンド(64)が配置され、前記フロントサイド一体部(52B)には、前記サイドスタンド(64)が配置される開口部(52e)が設けられ、前記リアサイド一体部(59A)は、前記開口部(52e)の上方において前記フロントサイド一体部(52B)に重なっていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記フロントサイド一体部(52B)と前記リアサイド一体部(59A)とは、車幅方向に一部が重なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクータータイプの鞍乗り車両では、車体カバーとして、車両前部の側部にフロントサイドカバー、フロア下方の側部にフロアサイドカバー、シート下方の側部にリアサイドカバーを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記したフロントサイドカバーとフロアサイドカバーとは、フロアの前端部付近で合わせられ、フロアサイドカバーとリアサイドカバーとは、フロア後方で合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-145202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、車体カバーの部品点数が多いので締結箇所が増えるため、組立工数が多く掛かるとともにコスト増となる。また、カバーの分割箇所が多いため、外観性の点で課題があり、外観性の向上が望まれる。更に、フロントサイドカバーとフロアサイドカバーとの合わせ部が上下方向であるため、走行風の流れを阻害する恐れがある。
本発明の目的は、部品点数を減らすとともに、外観性を向上させ、更には、走行風の流れへの影響を抑えることが可能な鞍乗り型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この明細書には、2020年3月30日に出願された日本国特許出願・特願2020-60957の全ての内容が含まれる。
鞍乗り型車両は、スクータータイプの鞍乗り型車両において、車体を覆う車体カバー(46)は、ハンドル(31)の下方の側部を覆うフロントサイドカバー部(52A)と、運転者が足を載せるフロアステップ(56)の下方の側部を覆うフロアサイドカバー部(62)と、シート(16)の下方の側部を覆うリアサイドカバー部(59B)とを含み、前記フロアサイドカバー部(62)は、二分割され、前記フロントサイドカバー部(52A)に一体成形されたフロントサイド一体部(52B)と、前記リアサイドカバー部(59B)に一体成形されたリアサイド一体部(59A)とから構成されることを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記フロントサイド一体部(52B)は、側面に後上がりに傾斜したキャラクターライン(91)が設けられ、前記リアサイド一体部(59A)の上縁部(59r)は、前記キャラクターライン(90)の傾斜と連続するように形成されていても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記フロントサイド一体部(52B)と前記リアサイド一体部(59A)とは、車幅方向に一部が重なっていても良い。
また、上記構成において、前記フロアステップ(56)の下方に格納可能なサイドスタンド(64)が配置され、前記フロントサイド一体部(52B)には、前記サイドスタンド(64)が配置される開口部(52e)が設けられ、前記リアサイド一体部(59A)は、前記開口部(52e)の上方において前記フロントサイド一体部(52B)に重なっていても良い。
【発明の効果】
【0008】
鞍乗り型車両は、車体を覆う車体カバーが、ハンドルの下方の側部を覆うフロントサイドカバー部と、運転者が足を載せるフロアステップの下方の側部を覆うフロアサイドカバー部と、シートの下方の側部を覆うリアサイドカバー部とを含み、フロアサイドカバー部は、二分割され、フロントサイドカバー部に一体成形されたフロントサイド一体部と、リアサイドカバー部に一体成形されたリアサイド一体部とから構成されるので、車両の側部を覆う部品点数を少なくできるため、組立工数及びコストを削減できる。また、分割部を減らすことができるため、外観性を向上できる。
【0009】
上記構成において、フロントサイド一体部は、側面に後上がりに傾斜したキャラクターラインが設けられ、リアサイド一体部の上縁部は、キャラクターラインの傾斜と連続するように形成されているので、フロントサイド一体部とリアサイド一体部との合わせ部が目立たず、一体感を得ることができるとともに外観性を向上できる。また、キャラクターラインによって走行風が流れやすくなるため、走行抵抗を小さくできる。
【0010】
また、上記構成において、フロントサイド一体部と前記リアサイド一体部(59A)とは、車幅方向に一部が重なっているので、フロアサイドカバー部の剛性を高めることができる。
また、上記構成において、フロアステップの下方に格納可能なサイドスタンドが配置され、フロントサイド一体部には、サイドスタンドが配置される開口部が設けられ、リアサイド一体部は、開口部の上方においてフロントサイド一体部に重なっているので、開口部によるフロントサイド一体部の剛性の低下をリアサイド一体部により補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態の自動二輪車を示す左側面図である。
図2図2は、第2サイドカバーを外した状態を示す左側面図である。
図3図3は、フロントカバーアッシーを示す左側面図である。
図4図4は、フロントカバーアッシーを斜め後方から見た要部斜視図である。
図5図5は、第1サイドカバーを外した状態を示す左側面図である。
図6図6は、リアカバーアッシーを示す左側面図である。
図7図7は、リアカバーアッシーを示す斜視図である。
図8図8は、第1サイドカバー及び第2サイドカバーを外した状態を示す左側面図である。
図9図9は、図2の要部拡大図である。
図10図10は、図5の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明の実施形態の自動二輪車10を示す左側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して前輪13が支持され、車体フレーム11の下部にパワーユニット14を介して後輪15が支持されている。
自動二輪車10は、車体フレーム11の上方に配置されたシート16に跨って乗車する鞍乗り型車両である。
【0013】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ18、左右一対のダウンフレーム19A、左右一対のロアフレーム19B、センターフレーム20、左右一対のリアフレーム21、左右一対のフロアフレーム22を備える。
ヘッドパイプ18は、車体フレーム11の前端部を構成し、車両側面視で後傾している。左右のダウンフレーム19Aは、ヘッドパイプ18の下部の左右からそれぞれ下方斜め側方に延びている。
【0014】
左右のロアフレーム19Bは、左右のダウンフレーム19Aの下端部にそれぞれ備える屈曲部19Cの後端から一体に後方に延びている。センターフレーム20は、ヘッドパイプ18の上部から左右のダウンフレーム19Aよりも後方を下方斜め後方に延びている。左右のリアフレーム21は、それぞれ左右のロアフレーム19Bの各後部から後方斜め上方に延びている。左右のフロアフレーム22は、車両側面視で左右のロアフレーム19Bよりも上方に位置し、左右の各ダウンフレーム19Aと左右の各リアフレーム21とを前後に接続し、後で詳述するフロアステップ56を支持する。
【0015】
フロントフォーク12は、ヘッドパイプ18に回動可能に支持され、上端部にハンドル31が取付けられ、下端部に車軸32を介して前輪13が支持されている。
パワーユニット14は、左右のロアフレーム19Bの後端部にリンクを介して上下スイング可能に取付けられ、前部を構成するエンジン35と、エンジン35の後部に一体的に設けられた無段変速機36とから構成される。
【0016】
無段変速機36の出力軸41には後輪15が取付けられている。一方のリアフレーム21と無段変速機36の後端部とにはリヤクッションユニット42が渡されている。
リアフレーム21の上方には、シート16が配置されている。
車体フレーム11を覆う車体カバー46は、フロントカバー51、左右一対の第1サイドカバー52(太線で囲まれた部分である。)、フロントインナカバー53、フロアステップ56、センターカバー58、第2サイドカバー59(太線で囲まれた部分である。)、ハンドルカバー60、アンダーカバー61を備える。
【0017】
フロントカバー51は、ヘッドパイプ18を前方から覆っている。左右の第1サイドカバー52は、左右のダウンフレーム19Aを側方から覆い、運転者の足部を前方から覆うとともに、以下に説明するフロアステップ56の左右縁部から下方に延び、フロアステップ56の下方を覆う。フロントインナカバー53は、左右のダウンフレーム19Aを後方から覆っている。フロアステップ56は、フロントインナカバー53とセンターカバー58との間で、左右のロアフレーム19B及び左右のフロアフレーム22を上方から覆い、運転者の足載せとされる。
【0018】
センターカバー58は、フロアステップ56の後端からシート16の前端部の下方まで延びている。
第2サイドカバー59は、左右の第1サイドカバー52と別体に構成され、フロアステップ56の下方及びセンターカバー58の後方からシート16の側縁の下方を車体後方に延びている。第2サイドカバー59の前端部は、フロアステップ56の下方において、左右の第1サイドカバー52の下部後部に車幅方向外側から重なっている。
アンダーカバー61は、左右の第1サイドカバー52のそれぞれの下縁の間に配置され、車体下部を下方から覆っている。
【0019】
上記した左右の第1サイドカバー52は、それぞれ上下に延びるフロントサイドカバー部52Aと、フロントサイドカバー部52Aの下端から一体に後方に延びるフロントサイド一体部52Bとから構成される。
上記した第2サイドカバー59は、左右のフロントサイド一体部52Bに車幅方向外側から重なる左右一対のリアサイド一体部59Aと、左右のリアサイド一体部59Aから後方斜め上方に延びる左右一対のリアサイドカバー部59Bとから一体に構成される。
【0020】
上記したフロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとは、フロアサイドカバー部62を構成する。即ち、フロアサイドカバー部62は、二分割されている。
左右の一方のロアフレーム19Bには、サイドスタンド64が設けられている。サイドスタンド64は、フロアステップ56の下方に配置されて、車両の移動時などには跳ね上げられてフロアサイドカバー部62の側方に格納される。
【0021】
図2は、第2サイドカバー59を外した状態を示す左側面図である。
第1サイドカバー52のフロントサイド一体部52Bは、上縁部52cが、後端部側を除いてフロアステップ56の左右の側縁部に沿って前後に延び、下縁部52dが、アンダーカバー61の側端部に沿って前後に延びている。一側(左側)のフロントサイド一体部52Bの後部には、サイドスタンド64を車体フレーム11(詳しくは、一側(左側)のロアフレーム19B)に取付けて配置するための開口部としてのロア開口部52eが開けられている。
【0022】
図3は、フロントカバーアッシー85を示す左側面図、図4は、フロントカバーアッシー85を斜め後方から見た要部斜視図である。
図3及び図4に示すように、フロントカバーアッシー85は、左右一対の第1サイドカバー52と、左右の第1サイドカバー52の間に設けられたフロントカバー51及びフロントルーバー86とを備える。
左右の第1サイドカバー52の各フロントサイド一体部52Bは、その表側の面52mにキャラクターライン90が設けられている。
【0023】
キャラクターライン90は、後上がりに傾斜し、一側(左側)のフロントサイド一体部52Bでは、ロア開口部52eの上方に配置される。
左右のフロントサイド一体部52Bのロア開口部52eの後方及び下方には、サイドスタンド64(図1参照)を跳ね上げて格納する凹部52hが形成されている。
【0024】
図5は、第1サイドカバー52を外した状態を示す左側面図である。
第2サイドカバー59のリアサイド一体部59Aは、サイドスタンド64の前方から後方斜め上方に次第に上下幅が広がるように延び、先端部59qが尖った形状に形成されている。リアサイドカバー部59Bは、リアサイド一体部59Aの後部から一体にシート16の下縁に沿って上方に凸状に湾曲しながら後方斜め上方に延びている。
【0025】
図6は、リアカバーアッシー95を示す左側面図、図7は、リアカバーアッシー95を示す斜視図である。
図6及び図7に示すように、センターカバー58及び第2サイドカバー59は、リアカバーアッシー95を構成し、リアカバーアッシー95が組み立てられた状態で、車体フレーム11(図1参照)に組み付けられる。
センターカバー58は、前方に凸となるように湾曲し、第2サイドカバー59の左右の凹部59cの車幅方向内側に配置されている。
【0026】
第2サイドカバー59の一側(左側)のリアサイド一体部59Aは、後上がりに傾斜した下縁部59dを備え、下縁部59dに切欠き部としての下部切欠き部59eが形成されている。他側(右側)のリアサイド一体部59Aには、下部切欠き部59eが形成されていない。また、左右のリアサイド一体部59Aは、後上がりに傾斜した上縁部59rを備える。
【0027】
図8は、第1サイドカバー52及び第2サイドカバー59を外した状態を示す左側面図、図9は、図2の要部拡大図、図10は、図5の要部拡大図である。
なお、図9及び図10では、第1サイドカバー52及び第2サイドカバー59を太線で示している。
図8及び図9に示すように、サイドスタンド64は、一方のロアフレーム19Bにスタンド支持部材101及び支軸105を介して前後揺動可能に支持され、支軸105から下方に延ばした使用状態と、支軸105から後方に延ばした格納状態とに揺動可能である。
図9には、サイドスタンド64を、フロントサイド一体部52Bの車幅方向内側に配置されたスタンド支持部材101からロア開口部52eを通してフロントサイド一体部52Bの車幅方向外側の後方へ延ばして凹部52hに格納した格納状態を示す。
【0028】
キャラクターライン90は、前端がフロントサイド一体部52Bの下縁部52dの前端部に位置し、下縁部52dの前端部から後方そして後方斜め上方に延びている。キャラクターライン90の後端は、フロントサイド一体部52Bの上縁部52cにおいて、車両側面視でセンターカバー58の下方に設けられる。
【0029】
キャラクターライン90は、例えば、上部が下部よりも側方に突出する段部状又は下部が上部よりも側方に突出する段部状や、溝状に形成されている。このように、キャラクターライン90は、表側の面52mに上記した凹凸形状を形成され、後方斜め上方に延びるので、表側の面52m上を流れる走行風を整流してスムーズに後方へ流すことができる。
【0030】
図10に示すように、リアサイド一体部59Aの下部切欠き部59eは、車両側面視でフロントサイド一体部52B(図9参照)のロア開口部52eの縁部52pの上部に沿って重なるように形成されている。このように、下部切欠き部59eをロア開口部52eの縁部52pに沿わせることで、フロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとの一体感を得ることができる。
【0031】
図9及び図10に示すように、リアサイド一体部59Aの前部は、フロントサイド一体部52Bの後部上部に側方から重なっている。リアサイド一体部59Aの上縁部59rは、車両側面視では、フロントサイド一体部52Bのキャラクターライン90上及びキャラクターライン90の延長線上に配置される。
【0032】
即ち、リアサイド一体部59Aの上縁部59rをキャラクターライン90に沿って車両側面視で重なるように配置することで、フロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとの合わせ部が目立たない。これにより、フロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとの一体感を得ることができ、第1サイドカバー52と第2サイドカバー59とが一つのパネルから構成されるような新規な印象を与えることができる。この結果、外観性の向上及び商品性の向上を図ることができる。また、合わせ部をフロアステップ56(図1参照)の下方に配置したことで、合わせ部に生じる凹凸を斜めに配置することができ、走行風の流れを阻害しない。
【0033】
また、フロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとには、締結部材による締結又は係合部による係合を用いた複数の固定部46a,46bがそれぞれ設けられている。リアサイド一体部59Aが、複数の固定部46bによってフロントサイド一体部52Bの固定部46aに固定される。このように、フロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとが重ねられ、複数の固定部46a,46bにより固定されるので、フロアサイドカバー部62(図1参照)の剛性を向上できる。特に、ロア開口部52eを設けたことによるフロントサイド一体部52Bのロア開口部52e周辺の剛性の低下を、リアサイド一体部59Aにて補強することができる。
【0034】
上記した図1図9及び図10に示したように、スクータータイプの鞍乗り型車両としての自動二輪車10において、車体を覆う車体カバー46は、ハンドル31の下方の側部を覆うフロントサイドカバー部52Aと、運転者が足を載せるフロアステップ56の下方の側部を覆うフロアサイドカバー部62と、シート16の下方の側部を覆うリアサイドカバー部59Bとを含む。
【0035】
フロアサイドカバー部62は、二分割され、フロントサイドカバー部52Aに一体成形されたフロントサイド一体部52Bと、リアサイドカバー部59Bに一体成形されたリアサイド一体部59Aとから構成される。
この構成によれば、車両の側部を覆う車体カバー46の部品点数を少なくできるため、組立工数及びコストを削減できる。また、車体カバー46の分割部を減らすことができるため、外観性を向上できる。
【0036】
また、フロントサイド一体部52Bは、側面に後上がりに傾斜したキャラクターライン90が設けられ、リアサイド一体部59Aの上縁部59rは、キャラクターライン90の傾斜と連続するように形成されている。
この構成によれば、フロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとの合わせ部が目立たず、一体感を得ることができるとともに外観性を向上できる。また、キャラクターライン90によって走行風が流れやすくなるため、走行抵抗を小さくできる。
【0037】
また、フロントサイド一体部52Bとリアサイド一体部59Aとは、車幅方向に一部が重なっている。
この構成によれば、フロアサイドカバー部62の剛性を高めることができる。
また、フロアステップ56の下方に格納可能なサイドスタンド64が配置され、フロントサイド一体部52Bには、サイドスタンド64が配置されるロア開口部52eが設けられ、リアサイド一体部59Aは、ロア開口部52eの上方においてフロントサイド一体部52Bに重なっている。
この構成によれば、ロア開口部52eによるフロントサイド一体部52Bの剛性の低下をリアサイド一体部59Aにより補強することができる。
【0038】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、図9及び図10において、リアサイド一体部59Aの上縁部59rを、車両側面視でキャラクターライン90上及びキャラクターライン90の延長線上に配置したがこれに限らない。
【0039】
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
16 シート
31 ハンドル
46 車体カバー
52A フロントサイドカバー部
52B フロントサイド一体部
52e ロア開口部(開口部)
56 フロアステップ
59A リアサイド一体部
59B リアサイドカバー部
59r リアサイド一体部の上縁部
62 フロアサイドカバー部
64 サイドスタンド
90 キャラクターライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10