(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】プレスパンチに取り付けられた測定装置によって錠剤プレス機を好ましくは継続的な動作中に監視する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B30B 11/08 20060101AFI20231220BHJP
B30B 15/00 20060101ALI20231220BHJP
B30B 15/14 20060101ALI20231220BHJP
A61J 3/10 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B30B11/08 C
B30B15/00 B
B30B15/14 Z
A61J3/10 Z
(21)【出願番号】P 2022519236
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 EP2020076488
(87)【国際公開番号】W WO2021058516
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】102019126164.3
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594163246
【氏名又は名称】コルシュ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】クレール,インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ミース,シュテファン
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-042492(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/08
B30B 15/00
B30B 15/14
A61J 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打錠機のパンチであって、エネルギーを自己充足するものであるとともに、前記打錠機に対する電力供給とは独立して機能することができる測定装置を有し、
前記測定装置は、
パンチ本体の内部に組み込まれると共に、物理的特性及び/又は化学的特性を記録するセンサを備え、
前記測定装置は、前記センサ、通信ユニット、メモリユニット、エネルギー貯蔵ユニット、及び演算ユニットを備え、生データとして得られる測定値は、前記演算ユニットによって処理することができる、パンチ。
【請求項2】
前記測定装置は、前記パンチ及び/又はその環境の力、温度及び/又は加速度を記録するセンサを備えることを特徴とする、請求項
1に記載のパンチ。
【請求項3】
前記打錠機は、ロータリー式打錠機又は偏心式打錠機であることを特徴とする、請求項1
または請求項2に記載のパンチ。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載のパンチを備える、打錠機。
【請求項5】
a.請求項1~
3のいずれか一項に記載のパンチを備える打錠機と、
b.データ処理ユニットと、
を備えるシステムであって、
前記パンチの前記測定装置は通信ユニットを備え、前記打錠機はプログラマブルロジックコントローラを備える、
システムにおいて、
前記データ処理ユニット及び/又は前記打錠機の前記プログラマブルロジックコントローラは、
前記測定装置からの測定値、好ましくは処理された生データを受信するとともに更に処理する、及び/又は
制御コマンドを前記測定装置へ送信するように構成されることを特徴とする、システム。
【請求項6】
請求項1~
3のいずれか一項に記載のパンチを使用して打錠機を監視する方法であって、
前記パンチの前記測定装置は、センサ、通信ユニット、演算ユニット、及びメモリユニットを備え、
前記打錠機は、通信ユニットを有するプログラマブルロジックコントローラを備える、
方法において、
前記測定装置の前記センサは、物理的特性又は化学的特性を記録し、
生データとして記録された測定値は、前記測定装置の前記演算ユニットによって処理され、
前記処理された測定値は、前記測定装置の前記通信ユニットを介して前記打錠機のプログラマブルロジックコントローラ及び/又はデータ処理ユニットへ送られる、及び/又は前記処理された測定値は、前記測定装置の前記メモリユニット上に記憶されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記測定装置の前記センサは、前記パンチ及び/又はその環境の力、温度、又は加速度を記録することを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記打錠機の前記プログラマブルロジックコントローラ及び/又は前記データ処理ユニット、好ましくは、タブレットコンピュータ及び/又はスマートフォンは、好ましくは、これらの装置にインストールされたコンピュータプログラム製品(アプリケーション/アプリ)によって、制御コマンドを前記測定装置へ送信することができることを特徴とする、請求項
6又は
7に記載の方法。
【請求項9】
前記測定装置の前記記録された測定値が分析されることを特徴とする、請求項
6~
8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、打錠機のパンチに関する。パンチは、好ましくは、打錠機に対する電力供給とは独立して機能することができる測定装置を有する。
【0002】
さらに、本発明は、好ましくは、打錠機、及び上述のパンチを含むシステムに関する。
【0003】
加えて、本発明は、本発明に係るパンチを用いて打錠機を動作中に監視する方法に関する。パンチの測定装置は、好ましくは、センサ、演算ユニット、及び通信ユニット、並びにメモリユニットを備える。測定装置のセンサは、物理的測定値又は化学的測定値を記録する。続いて、測定装置の通信ユニットは、好ましくは、センサの記録された測定値を打錠機のプログラマブルロジックコントローラ及び/又はデータ処理ユニットへ送る、及び/又はセンサの記録された測定値は、好ましくは、測定装置のメモリユニット上に保存される。
【背景技術】
【0004】
打錠機は、産業規模での錠剤の製造に主に使用される。打錠機は、最初の段階においてダイに打錠対象となる粉末混合物が充填されるという原理に基づくものである。そして、混合物は、上側パンチと下側パンチとの相互作用によって圧縮されて錠剤となる。近代の打錠機は、マルチチップ工具を用いて一時間あたり数百万個の錠剤を製造することができる。
【0005】
圧縮工程が多数であると、工具の摩耗につながるとともに、打錠機の様々な構成部品の摩耗も生じさせる可能性がある。さらに、設定された機械パラメータは、動作の過程において、例えば機械環境における温度変化及び/又は振動が原因で圧縮工程に最適に適合しなくなったことが実証される場合がある。このため、摩耗及び不適当な動作パラメータの双方によって、圧縮工程が不完全となり、打錠機の構成部品を全体として損傷する可能性がある。このような不具合を監視するために、従来技術においては様々なタイプの測定機器が使用される。測定装置の必須の構成部品はセンサである。
【0006】
センサ(検知器、トランスデューサ、又はプローブの場合もある)は、技術的な構成部品であり、好ましくは、測定装置内における一連の測定の第1の要素である。センサは、その環境の物理的特性(例えば、熱量、温度、湿度、圧力、音場パラメータ、明るさ、加速度)、又は化学的特性(例えば、pH値、イオン強度、電気化学電位)、及び/又は材料組成を測定変数として定性的又は定量的に判定することができる。これらの変数は、物理的効果又は化学的効果によって検知され、更に処理することができる電気信号に変換される。工作機械、特にプレス又はパンチ等の成形機械内のセンサは、既知である。
【0007】
特許文献1には、ダイの直近に温度センサを有するロータリー式打錠機の形態の打錠機が開示されている。センサは固定されており、タレットとともに回転せず、例えば、機械フレームに取り付けられている。特に、センサは、製造プロセスを監視するために、製造中の錠剤の温度値を記録する。
【0008】
このような打錠機の欠点は、1つの物理的特性、すなわち、圧縮エリア内の温度しか記録できないことである。さらに、温度は、圧縮エリア内の一点に固定されている場合にのみ測定することができる。
【0009】
特許文献2には、ロータリー式打錠機である打錠機、及びパンチの変位測定の方法が開示されている。ここで、ロータリー式打錠機のパンチには、マーカーが備え付けられている。パンチが回転移動することによって、パンチは固定のセンサ(タレットの外側に取り付けられている)を通過することとなる。このセンサは、マーカーの位置の変化を記録し、この変化が評価される。
【0010】
特許文献3には、打錠プロセスを監視するセンサ及び測定装置が記載されている。ここで、力センサは、一対のパンチの圧縮力値を判定するために、上側圧縮ローラー及び下側圧縮ローラーの双方に取り付けられる。タレットの位置と連動して、測定値及び以前に判定された機械パラメータを使用し、変位-圧縮力の割り当てが測定及び算出される。
【0011】
この構成の欠点は、圧縮力がパンチにおいて直接的に測定されないことである。センサとパンチとの間には、強度及び剛性の異なる構成部品(圧縮ローラー、圧縮ローラー軸受、圧縮ステーション)が設けられる。これらの構成部品は、力測定の質に影響を及ぼす。別の欠点は、このセンサ構成を使用して、1つの物理的特性、すなわち、パンチを通って圧縮ローラーに加わる力しか記録できないことである。
【0012】
打錠機の機能に必須の要素はパンチであり、これが、パンチを監視することが特に重要である理由である。従来技術において、パンチに対する圧縮力を監視するように構成されたセンサを備えた幾つかの成形機械、特に打錠機が知られている。しかし、パンチに対する圧縮力を監視するための既知の設計には大きな欠点があり、これについては以下で明確となる。
【0013】
特許文献4には、打錠機に対する力測定用のセンサが記載されている。ここで、力センサは、ピストン体の内部に設置される。パンチはこのピストン体に取り付けられ、これにより、力センサは、パンチの上方(上側パンチの場合)又は下方(下側パンチの場合)に配置される。力センサは、ピストン体内の対応する穴を介して電力源に対して配線される。
【0014】
このような構成を用いた力測定の欠点は、ロータリー式打錠機として設計された打錠機においては実用的に実装できないことである。ロータリー式打錠機内のパンチは、制御カムによって直接的に案内される。各パンチをピストン体内に取り付け、且つパンチの外部からの電力供給も確保することは、実現可能ではない。加えて、特許文献4のセンサの構成は、圧縮工程時に力を判定することのみのために提供される。圧縮工程の前又は後にパンチ内で発生し得る発生力の検知は、特許文献4に記載の構成によっては検知されない。さらに、専らセンサの位置により、パンチの加速度又は温度も可能ではない。
【0015】
このような構成は、偏心式打錠機についても欠点を有する。例えば、パンチは、特別に設計されたピストン体内に取り付けなければならず、これにより、とりわけ、パンチ内において部分的に発生する異なる負荷を測定することができない。これらは、例えば、不利にも、圧縮対象の粉末材料に対してパンチが垂直でない場合に得ることができる。
【0016】
特許文献5には、粉末材料を圧縮する方法が開示されている。ダイテーブルの変形は、異なる圧縮力毎に測定又は算出される。力測定用のセンサは、パンチと直接的に接続され、パンチの上方(上側パンチ)及び下方(下側パンチ)に取り付けられる。センサは、パンチのパンチヘッドの接触面上に取り付けられる。
【0017】
このような方法も、ロータリー式打錠機として設計された打錠機については実用的な視点から実現可能ではない。なぜなら、ロータリー式打錠機においては、パンチが制御カムを介して案内されるからである。パンチは、それらのパンチヘッドにロータリー式打錠機の圧縮ローラーが直接的に接触することから、センサをパンチヘッド上に取り付けることは実用的ではない。
【0018】
このため、容易且つ確実に打錠機又はプロセスに統合することができる測定技術を提供し、プロセスパラメータの継続的な測定及び監視を可能にするための改良が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】独国特許第102006002359号
【文献】独国特許第102005051567号
【文献】独国公開第19502596号
【文献】独国公開第294457号
【文献】独国公開第10135283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、従来技術の欠点をなくすとともに、パンチ上及び/又はパンチ内で直接的且つ継続的に物理的特性及び/又は化学的特性を判定する、打錠機用の装置及び方法を提供することである。特に、本発明の目的は、打錠プロセスにおいてパンチに対する様々なプロセスパラメータの継続的な測定及び/又は監視を可能にするために、高度な柔軟性及び正確性によって特徴付けられる、測定装置を打錠機に統合する手段を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る目的は、独立請求項の特徴によって達成される。本発明の有利な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
【0022】
好ましい実施の形態において、本発明は、打錠機のパンチであって、打錠機に対する電力供給とは独立して機能することができる測定装置を有することを特徴とする、パンチに関する。
【0023】
打錠機のパンチは測定装置を有することから、このパンチに直接的に関係する測定変数は、他の構成部品の影響を排除する必要なしに記録することができる。加えて、打錠機の電力供給源への接続なしに簡単な方法で取り付けが可能である。さらに、ロータリー式打錠機の場合において回転するパンチにより、測定装置は、有利には、打錠機内の一箇所の固定位置に固定されない。結果として、物理的特性又は化学的特性(例えば、温度の測定)は、ロータリー式打錠機のタレットの回転の全体にわたって継続的に記録することができる。このため、本発明により、既知の従来技術の装置とは対照的に、圧縮工程の前、途中、及び後における測定値の記録が可能となる。
【0024】
本発明の観点から、打錠機は、好ましくは、ロータリー式打錠機又は偏心式打錠機である。
【0025】
本発明によれば、パンチは、好ましくは、パンチヘッド、パンチバレル、及びパンチチップを有するように設計される。当業者は、パンチヘッド、パンチバレル、及びパンチチップという用語を熟知している。測定装置は、好ましくは、パンチシャフト内に備えられる、又はパンチシャフト内に組み込まれる。
【0026】
更に好ましい実施の形態において、パンチは、測定装置がパンチ及び/又はその環境の物理的特性及び/又は化学的特性を記録するセンサを有することを特徴とする。物理的特性は、例えば、熱量、温度、湿度、圧力、音場パラメータ、明るさ、加速度によって定義される。化学的特性は、例えば、pH値、イオン強度、電気化学電位である。特性は、測定変数として定性的又は定量的に記録することができる。
【0027】
特に好ましくは、測定装置は、(パンチ及び/又はその環境の)異なる物理的特性又は化学的特性を並行して同時に記録する幾つかの異なるセンサを備える。複数の異なる記録された測定値の組み合わせにより、打錠機の構成部品の状態又は製造プロセスについての診断の精度が有利に改善される。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態において、パンチは、測定装置が特にパンチ及び/又はその環境の力、温度、又は加速度を記録するセンサを有することを特徴とする。これらの値を記録することにより、パンチ及び/又は打錠機の摩耗及び機能性の全般についての診断を有利に行うことができる。
【0029】
本発明の更に好ましい実施の形態において、パンチは、測定装置がパンチ及びパンチチップの圧縮力及び温度を測定するとともにパンチの直線加速度及び回転加速度を測定するように構成される複数のセンサを有することを特徴とする。これらの値を測定することにより、圧縮工程、パンチの機能性、及び摩耗の全般についての診断を有利に行うことができる。
【0030】
好ましい実施の形態において、測定装置は、アクティブセンサを備える。アクティブセンサは、それらの測定原理により電圧を生成し、補助電力を必要としない。アクティブセンサは、例えば、熱電対、光センサ、又は圧力センサとすることができる。アクティブセンサを設置することにより、有利には、エネルギー消費が必然的に低くなる。
【0031】
更なる実施の形態において、測定装置のセンサは、パッシブセンサとして設計される。パッシブセンサは、測定変数によってパラメータが変化する受動的な構成部品を含む。これらのパラメータは、一次電子部品によって電気信号に変換される。これには、外部から供給される補助電力が必要となる。パッシブセンサは、例えば、歪みゲージロードセル、抵抗温度計、歪みゲージ、磁場センサ(ホールプローブ)である。パッシブセンサは、特に正確な測定結果を提供するという利点がある。
【0032】
測定装置の好ましい実施の形態において、センサは温度センサである。温度を検知することにより、パンチガイドの機能及び潤滑についての結論を導き出すことができ、これにより、摩耗についての情報を提供することができる。パンチチップの温度及び温度曲線を記録することにより、圧縮工程についての対応する結論を導き出すことができる。
【0033】
さらに、パンチ及び/又はその環境の温度を監視することにより、好ましくは、プレス材料の温度値についての結論を導き出すことが可能となる。これは、温度感受性プレス材料の打錠プロセスにおいて高度に関連がある。温度感受性プレス材料の圧縮は、特定の温度範囲においてのみ達成することができる。このため、圧縮プロセスは、記録された値によって調整することができる、及び/又はこれらの値が閾値を超えた場合又は下回った場合に中止することもできる。
【0034】
さらに、パンチの記録された温度値は、温度変化によるパンチの収縮又は膨張を監視又は確認するために有利に使用することができる。
【0035】
好ましくは、温度は、異なるセンサ及び測定装置を使用して多くの方法で記録することができる。温度を記録するための好ましいセンサを以下に列挙する。しかし、本発明は、センサ全般、それらの動作の方法、又はそれらの構築の方法に限定されない。
【0036】
好ましい温度センサは、NTCサーミスタ、すなわち高温導体を含む。これは負の温度係数を有し、これにより、温度が上昇すると、抵抗が低下し、高い電流が流れる。しかし、好ましくは、正の温度係数を有するPTCサーミスタ、すなわち低温導体を使用することもでき、これにより、温度が上昇すると、抵抗が上昇し、低い電流が流れる。
【0037】
別の好ましい実施の形態において、温度センサは、半導体温度センサとして設計される。それは、絶対温度に比例する電気変数を発生させる。この電気変数は、好ましくは、アナログ又はデジタルの形態で表すことができる。
【0038】
更に好ましい実施の形態において、温度センサは、測定要素として振動クオーツを有する温度プローブを含む。振動クオーツの共振周波数は、温度の関数として変化し、非常に正確に測定することができる。本発明によれば、温度プローブは、好ましくはパンチ本体の外表面上、特に好ましくはパンチ本体の内部に分散配置される。
【0039】
別の好ましい実施の形態において、温度センサは、熱電対として実装される。熱電対は、一対の金属導体であり、これらは一端で接続される異なる材料から作製される。それらは、温度差を電圧に変換する(ゼーベック効果)。
【0040】
本発明に係る他の温度センサの代替例として、強磁性温度センサを含むことができる。
【0041】
測定装置の好ましい実施の形態において、センサは、変位センサ又はクリアランスセンサである。有利には、変位センサは、打錠機内のパンチの位置を正確に判定することができ、これにより、位置的な異常にすぐに気付くことができる。打錠機の個別の要素の幾何学的変化を認識することもできる。
【0042】
打錠機の圧縮工程において、上側パンチ及び下側パンチは、好ましくは、互いに向かって収束する距離を進む。変位センサ又はクリアランスセンサを介してこの距離を測定することにより、好ましくは、(力センサとの組み合わせで)圧縮力と変位との比を判定することができ、これにより、圧縮材料の特性、例えば、弾性、可塑性、多孔性等を有利に導き出すことができる。
【0043】
位置、距離、又は変位の判定は、複数の測定原理ひいては複数のセンサ構成によって実現することができる。このため、本発明は、本書面で列挙された変位センサ又はクリアランスセンサに限定されない。
【0044】
測定機器は、位置、距離、又は変位を判定するための直接的な測定原理及び間接的な測定原理の双方を備えることが好ましい。さらに、測定値は、好ましくは、パンチ内における考えられる全ての直線変位測定システムを統合することによっても得ることができる。
【0045】
更に好ましい実施の形態において、測定値を連動させて精度及び状態についての診断を改善することができる。例えば、ロータリー式打錠機との関連で正確なタレットの位置を把握することで、加速度センサを用いた変位測定を改善する一助となる。
【0046】
変位センサの好ましい実施の形態において、電位差測定送信器が使用される。電位差測定送信器は、抵抗値を機械的に(回転又は変位によって)変化させることができる電気抵抗構成部品である。本発明によれば、電位差測定送信器は、パンチ全体の各回転に伴って抵抗を変化させるようにパンチに組み込まれる。
【0047】
同様の原理が、本発明に係る変位センサの代替的な実施の形態において使用される歪みゲージにも当てはまる。歪みゲージは、その長さ及び断面を変化させることによってその電気抵抗を変化させる。好ましくは、抵抗を測定するためにブリッジ回路が使用される。それらは、絶対抵抗を判定する又は抵抗の相対変化を判定するために使用することができる。歪みゲージを用いて測定する場合、既に述べたように、抵抗の相対変化が測定される。これに関連し、当業者は、歪みゲージの抵抗変化の測定と関連したブリッジ回路の設計をクオーターブリッジ、ハーフブリッジ、及びフルブリッジとすることについて熟知している。歪みゲージは、好ましくは、パンチの長手方向における変位を検知するために使用することができる。
【0048】
別の好ましい変位センサは、容量センサを含む。容量センサは、互いに絶縁された2つの金属部品からなる。それは、測定対象物とともに、可変容量を有するコンデンサを構成する。測定効果は、有効なコンデンサ面積の変化につながる、2つのコンデンサ表面の間の距離の幾何学的変化、又はこれらの横方向の変位に基づいている。
【0049】
変位センサの別の実施の形態は、例えば、好ましくは、誘導センサとすることができる。誘導センサは、基本的にインダクタンス(オープンコイル)を用いて動作し、物体によって変化する磁場が発生する。この測定原理により、接触又は摩耗がなく角度、距離、及び速度を測定することが可能となる。好ましくは、本発明によれば、複数のコイルが使用される。
【0050】
別の好ましい実施の形態において、測定装置は、力センサを含む。本発明は、以下に記載する力を記録するためのセンサに限定されない。圧縮力測定のための使用を可能とするために、パンチに合理的に統合することができる任意の力測定が考えられる。好ましくは、力センサは、圧力センサとして設計される。
【0051】
測定装置の好ましい実施の形態において、センサは圧力センサを含む。測定装置内の圧力センサがパンチの摩耗についての良好な情報を提供することについて示した。加えて、圧力センサは、例えば過荷重を避けるために超えてはならない最大の力を判定するために使用することができる。
【0052】
本発明は、好ましくは、圧縮力及び圧縮力曲線を判定することを目標とすることができる。これにより、例えば、パンチが圧縮ローラーに当たる前に既に発生しているパンチ内の力に注目することができる。
【0053】
圧縮対象の粉末及び充填に応じて、ロータリー式打錠機の下降レールカム内においては既に圧縮が行われる。これは望ましくないが、不可避である。加えて、設定が正しくない場合、上側パンチは、下側パンチによってロータリー式打錠機の上側圧縮ローラー又は上昇カムに対して押し付けられ得る。
【0054】
ロータリー式打錠機として設計される打錠機の全回転中の圧縮力曲線の測定に基づき、従来技術において以前は測定可能でなかった効果/力を検知することができる。これにより、とりわけ、別の方法では測定から識別不可能なパンチ及びカムコースの摩耗を検知することが可能となる。しかし、このような測定は、直接的に測定することが可能であることから、圧縮ローラーに当たったときにどの力が発生するのか、及び異なるプレス材料の場合には圧縮力がどのように進展するのかについて示すことができる。
【0055】
発生し得るパンチ又はカムコースの摩耗についての継続的な情報により、大きく改善された質を確実に確保することができる。一方では、早期の交換を指示することができる。他方では、進行性の摩耗を最小化するために動作パラメータを調整することができる。
【0056】
別の好ましい圧力センサは、ピエゾ抵抗型圧力センサである。ピエゾ抵抗型圧力センサは、金属歪みゲージ又は圧力感受性半導体チップを使用する。当業者は、以下のピエゾ抵抗センサ技術、すなわち、セラミック厚膜センサ、金属薄膜センサ、シリコン圧力センサ、及びピエゾ抵抗シリコンセンサについて熟知している。
【0057】
別の好ましい圧力センサは、圧電型圧力センサである。圧電型センサにおいて、電圧は、電荷分離(圧電効果)を通じて圧力によって結晶内に発生する。圧力によってイオンが結晶の内部でシフトし、力に比例して表面上に電荷が作り出される。電荷は、電荷増幅器によって比例電圧に変換される。いずれの圧力も、電荷を誘導する(短絡)ことによって電荷増幅器のゼロ点として設定することができ、圧力変化を直接的に測定可能となる。
【0058】
別の好ましい実施の形態において、圧力センサはホール素子を含む。この圧力センサは、ホール効果によって動作し、これにより、圧力が加えられるとホール素子の周囲の磁場が変化する。
【0059】
本発明の代替的な好ましい実施の形態において、圧力センサは容量式圧力センサである。容量式圧力センサは、シリコンチップ内に拡散された2つのコンデンサを含む。圧力が加えられると、隔板と互いに反対側に設けられた2つのコンデンサ板との間の距離が反対方向に変化し、これにより、容量が相応に変化する。好ましくは、コンデンサは、出力信号が容量の差に応じたものとなる内部増幅器の一部である。
【0060】
別の好ましい実施の形態において、センサは、誘導型圧力センサを含む。誘導型圧力センサは、膜に接続された鉄心とともに動作する。圧力変化によって膜上に力が発生し、膜が動かされる。これにより、鉄心の位置が2つのコイル内において反対方向に変化し、一方ではインダクタンスが増加し、他方ではインダクタンスが減少する。差異は、有利には、非常に正確に電気的に判定することができる。
【0061】
本発明の好ましい実施の形態において、測定装置のセンサは、加速度センサとして設計される。好ましい実施の形態において、既に述べたセンサのうちの幾つかは、加速度センサの使用を意図することを前提とすることもできる。
【0062】
本発明は、以下で詳述する加速度センサに限定されず、当然ながら加速度を記録する他のセンサ又は異なるセンサを含んでもよい。
【0063】
加速度センサを備えた好ましい測定装置を用いて、好ましくは、パンチの変位を検知することができる。有利には、加速度センサの使用はこの目的に適している。なぜなら、ゼロ点又は基準としてのベースを有する必要がないからである。代わりに、変位は、測定された加速度を統合することによって間接的に判定される。それでもなお、パンチの位置的な変位についての十分に正確な情報を判定することが可能であり、圧縮製品の質の確保及びプロセスの最適化の双方のために使用することができる。
【0064】
さらに、これらの測定値を、好ましくは他の測定装置及び/又はセンサによって記録される1つ以上の更なる測定値と関連付けることが好ましい。これにより、精度及び情報としての価値が向上することとなる。ロータリー式打錠機の場合において、例えば、正確なタレットの位置を把握することは、加速度センサを用いた変位測定を改善する一助となり得る。
【0065】
さらに、加速度センサは、摩耗についての情報を提供するために、力測定と連動して使用することができる。
【0066】
更に好ましい実施の形態において、パンチの衝撃を測定するために、加速度センサを備えた測定装置が使用される。加えて、好ましくは、力-変位の図表を求めるためにパンチを使用することができる。特に、変位は、直線加速度及び回転加速度から算出することができる。
【0067】
本発明の観点から、好ましくは、圧電型加速度センサが使用される。ここで、圧電セラミックセンサ板は、動的な圧力変動を、相応に処理することができる電気信号に変換する。圧力変動は、圧電セラミックに取り付けられた(振動)質量によって発生し、システム全体が加速したときに圧電セラミックに作用する。
【0068】
加速度センサは、好ましくは、微小電気機械システム(MEMS)によって構成することもできる。このセンサは、好ましくは「ばね」が僅か数マイクロメートル(μm)の幅を有するシリコン棒である、ばね質量系である。加えて、好ましくは、質量もシリコンから作製される。打錠機内におけるパンチの加速時の偏向により(例えば、タレットの起動時、又はパンチの上下移動の方向の変化により)、電気容量の変化をばね懸下箇所と固定の基準電極との間で非常に高感度に測定することができる。この小さな容量の変化を評価するための電子部品は、好ましくは、同じ集積回路上に収容される。
【0069】
MEMSの好ましい実施の形態において、ピエゾ抵抗型抵抗器がイオン注入によって曲げ梁に取り付けられ、曲げに応じてその抵抗が変化し、これにより、加速度についての結論が導き出される。イオン注入は、当業者にとって既知であり、好ましくは、基材(ここでは、曲げ梁)の電気的特性を変化させるために半導体技術において使用される。
【0070】
別の好ましい実施の形態において、加速度センサは歪みゲージを含む。試験質量に対する力は、歪みゲージを使用して固定具(例えば、ロッド)の変形を判定することによって判定される。本発明の目的のために、パンチは、好ましくは、試験質量として定義することができる。しかし、試験質量は、好ましくは、測定装置を備えるパンチとは異なる質量とすることもできる。
【0071】
加速度センサの更に好ましい実施の形態において、加速度は磁気誘導によって判定される。ばね上に懸下された試験質量が動くと、コイル内の磁石によって電圧が誘導される。試験質量は、好ましくは、測定装置を備えたパンチとは異なる質量である。
【0072】
好ましい実施の形態において、加速度センサは、フェラリスセンサである。これは、渦電流を使用して試験質量なしに相対加速度を測定する。
【0073】
別の特に好ましい実施の形態において、測定装置は、歪みゲージフルブリッジ、集積MEMSセンサ、及び温度センサを含む。
【0074】
本発明の観点から、測定装置内の通信ユニットは、好ましくは、センサの記録されたデータを無線送信する役割を持つ。このため、通信ユニットは、好ましくは、送信ユニットである。更なる実施の形態において、通信ユニットは、特に、送信ユニット及び/又は受信ユニットである。送信は、好ましくは、指向性又は非指向性の電磁波によって行われ、これにより、用途及び使用される技術に応じて、使用される周波数帯の範囲が数ヘルツ(低周波数)から数百テラヘルツ(可視光)の間で様々となり得る。本発明によれば、好ましくは、以下のデータ送信方法、すなわち、無線周波数範囲内のBluetooth、WLAN、ZigBee、NFC、Wibree、又はWiMAX、並びに赤外及び光学周波数範囲内のIrDA及び光指向性無線(FSO)がそれぞれ使用される。有利には、このような送信ユニットを介して送信することにより、打錠機の圧縮工程時において、十分なデータ伝送速度が得られながらも情報を失うことなくデータを無線で送信できることが示されてきた。更なる実施の形態において、送信ユニット及び/又は受信ユニットは、アンテナを備える。
【0075】
1つの実施の形態において、無線データ送信に加えて、又はこれに代えて、有線送信を提供することができる。1つの実施の形態において、測定装置は、信号導体を介したデータの送信のためのアナログ及びデジタル出力(USB、RS232、フィールドバス)を備える。信号導体は、好ましくは、一方では記録された測定データを打錠機のプログラマブルロジックコントローラ及び/又はデータ処理ユニットへ送信し、他方では、好ましくは、制御コマンドが信号導体を介して測定装置の出力へ送信される。
【0076】
好ましい実施の形態において、パンチは、測定装置が、センサ、通信ユニット、メモリユニット、エネルギー貯蔵ユニット、及び演算ユニットを備え、生データとして得られる測定値は、好ましくは、演算ユニットによって処理することができることを特徴とする。有利には、後に使用することができるようにデータ(高分解能測定)を、メモリユニットを介して保存することができる。
【0077】
本発明の観点から、測定装置のメモリユニットは、特にデータを保存又は記憶する役割を持つ。本発明によれば、センサの記録された測定データは、好ましくは、メモリユニット内に保存される。メモリユニットは、好ましくは、電子データキャリアである。フラッシュメモリは、電子データキャリアを測定装置内にコンパクトに統合するのに特に適しているが、他のデータキャリアも好ましいものとなり得る。
【0078】
更に好ましい実施の形態において、測定装置は演算ユニットを備える。本発明によれば、測定装置の演算ユニットは、好ましくは、プロセッサユニットを備える。これにより、プロセッサユニットは、好ましくは、特にグラフィクスプロセッサ(GPU)及び/又は中央処理装置(CPU)を備える。双方のプロセッサは、当業者にとって既知である。したがって、生データに対する多くの演算動作は、好ましくは、測定装置上で既に非中央的に行われるものとすることができる。例えば、測定信号を高周波数でサンプリングすることができる。平均値及び最小/最大値は、演算ユニットによって生データから判定することができるとともに、通信ユニットを介してデータ処理ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラへ送信することができる。有利には、これによってエネルギー及び帯域幅が節約される。
【0079】
更に好ましい実施の形態において、測定装置は、生データとしての記録された測定値を演算ユニットによって処理し、そしてそれらを測定装置のメモリ内に記憶する、及び/又はそれらを通信ユニットによって、好ましくはBluetoothによってデータ処理ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラへ送信するように構成される。生データの処理は、測定データから必要な形式への変換、又は特に関連する診断への変換が代表的なものとなり得る(上記の平均値、力/加速度/温度/距離等についての規定の閾値の超過を参照)。
【0080】
好ましくは、測定装置は、事前に調整された測定信号が普遍的なアナログ又はデジタル信号として(例えば、0 V~10 V、直列)出力されるケーブル出力を備える。
【0081】
本発明の好ましい実施の形態において、測定装置のメモリユニット及び演算ユニットについての様々なトリガーオプションが、例えば、特に特定の時間間隔の後、又は閾値(力/加速度/温度)を超過したときに測定データの取得を制御するために利用可能である。これにより、特定の事象、例えば特に高荷重が発生したときにのみデータロガーがデータを記憶することが確実となる。この方法により、応力要因の蓄積された集合が応力を受けた構成部品内に既に記録された状態とすることができる。記憶された測定値は、例えば、測定の完了後に、シンプルなUSB接続を介してデータ処理ユニット(例えば、PC)及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラによって読み出すことができる。
【0082】
本発明の更に好ましい実施の形態において、測定装置、好ましくはその演算ユニットは、データ処理ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラによってデータを制御及び/又はデータにアクセスするように構成される。この目的のために、例えば、測定を実行するための制御パラメータを測定装置へ送ることができる。制御パラメータは、例えば、測定のタイプ若しくはアクティブセンサの選択(センサが複数ある場合)、測定のタイミング、又は生データの準備若しくは事前評価についての指示に関するものとすることができる。
【0083】
データ処理ユニットは、例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又はPC、好ましくは、データの制御及び/又はデータへのアクセスのためにコンピュータプログラム製品(アプリケーション/「アプリ」)がインストールされたものとすることができる。
【0084】
好ましくは、測定装置の通信ユニットは、アプリと測定装置との間のデータの交換を確実にすることで、アプリが好ましくは制御コマンドを測定装置へ送信し、この制御コマンドは測定装置に備えられた演算ユニットによって処理することができる。
【0085】
測定装置を制御することに加え、アプリは、好ましくは、測定装置からのデータにアクセスする(又は[処理された]測定値は測定装置の通信ユニットを使用してタブレットコンピュータ若しくはスマートフォンの通信ユニットへ送信される)とともに、このデータを可視化及び/又は記憶するように構成される。
【0086】
更に好ましくは、測定装置は、好ましくは2つ以上の異なる送信モードを有し、これらの送信モードは、帯域幅及び電力消費の面で異なる。
【0087】
第1の送信モードは、好ましくは、測定装置と外部装置(スマートフォン、タブレットPC、又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラ)との間の直接的な通信によって定義される。本発明の観点から、この送信モードはストリーミングと称される。特に、送信モードは高いデータ速度によって特徴付けられる。
【0088】
第2の送信モードにおいて、測定装置の測定値は、好ましくは、分配ユニットへ送信される。分配ユニットは、様々な外部装置(スマートフォン、タブレットPC、又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラ)に接続され、これにより、これらの外部装置は分配ユニットのデータにアクセスすることができる。この送信モードは、好ましくは、ブロードキャスティングと称され、これにより、高い内部サンプリングレート(500 Hz)を使用して、測定変数を取得するとともに現状の平均値及び最小/最大値を形成することから、高いデータ速度は不要となる。分配ユニットは、好ましくは、データ処理ユニットとすることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下では、好ましい測定装置の具体的な実施形態及び用途について説明する。本発明は、この実施形態に限定されない。
【0090】
好ましい測定装置は、歪みゲージ測定ブリッジを用いて2つのセンサの記録された測定値を時間同期して送信及び記憶することを可能にする。加えて、集積MEMSセンサは、好ましくは、回転速度及び3軸加速度を測定する。集積プロセッサユニットは、好ましくは、測定装置上に既にあるセンサデータを処理し、このため、送信されるデータの量を有利に大きく減少させる。測定装置は、好ましくは、プロセスをシンプル且つ継続的に監視することを可能にする。記録された測定データ及び解釈された条件は、好ましくは、Bluetooth、好ましくはBluetooth Low Energy 4.2を介して分配ユニットへ送信される。好ましくは、多数の測定装置を時間同期した状態で分配ユニットに接続することができる。
【0091】
理想的な条件下において、送信範囲は30メートルまでであり、50台よりも多くの装置を分配ユニットに接続することができる。同時に、全ての測定データは表示され、任意選択でタブレットコンピュータ又はスマートフォンのアプリケーションに記憶される。アプリケーションは、好ましくは、測定装置の較正値を設定するとともにゲートウェイの出力を構成するために使用される。測定装置は、更に好ましくは、リチウムイオン二次電池によって電力が供給されるとともに、USB電力供給源によって充電される。また、測定装置は、好ましくは、50 mm×13 mm×9 mmの外形寸法を有する。さらに、測定装置は、好ましくは、8 Gbまでのフラッシュメモリを有する。
【0092】
好ましい実施形態において、測定装置は、MEMSセンサに加えて歪みゲージセンサを有し、これにより、力測定に加えて、加速度及び回転速度並びに向きを記録することも可能である。近代のMEMSセンサは集積温度センサを備え、これは、測定装置によって温度も測定できることを意味する。
【0093】
本発明の好ましい実施形態において、測定装置は、エネルギーを自己充足する態様で機能することができる。したがって、本発明に関して、測定装置は、打錠機の電力供給とは独立して使用することができる。エネルギーを自己充足する測定装置は回転原理に基づいて動作する打錠機において特に容易に使用できることが判明した。また、1つのセンサの電力源が故障した場合に影響を受けるのは1つのセンサのみであることから、全てのセンサは互いに独立している。
【0094】
好ましくは、測定装置は、エネルギー貯蔵部として二次電池及び/又は蓄電池を備え、これにより、本発明の観点から、測定装置がエネルギーを自己充足するものとなる。二次電池及び/又は蓄電池は、好ましくは、通信ユニットがデータを送信するのに十分なエネルギーを供給する。
【0095】
更なる実施形態において、二次電池又は蓄電池は、好ましくは、測定装置が機能するためのエネルギーを供給する。特に、演算ユニット、通信ユニット、及びセンサには、十分なエネルギーが同時に供給される。好ましくは、測定装置は、蓄電池を充電するための充電接続用の出力を備える。
【0096】
別の好ましい実施形態において、測定装置の安全な動作のために、蓄電池に対する統合された過充電及び放電保護が測定装置に含まれる。
【0097】
別の好ましい実施形態において、蓄電池は、リチウムイオン又はリチウムポリマー蓄電池として設計される。さらに、測定装置は、LEDディスプレイを備えることができる。
【0098】
更に好ましい実施形態において、測定装置は、誘導電流/誘導を提供することにより、打錠機の電力供給に対してエネルギーを自己充足するものとなる。好ましい実施形態において、磁場において移動するパンチ内には導電体がある。磁場は、好ましくは、タレットの内部及び/又は外部に取り付けられたコイルによって発生させることができる。導体の移動により、測定装置の動作に使用される電流が誘導される。
【0099】
好ましい実施形態において、測定装置は、光電池(太陽電池)を備え、これは機器室内の人工的な光に対しても良好に反応する。光電効果により、光エネルギーが電気エネルギーに変換され、測定装置は、本発明に係るエネルギーを自己充足する態様で動作することができる。発生した電気は、好ましくは、測定動作のために直接的に使用される。
【0100】
別の好ましい実施形態において、発生した電気は、上述の蓄電池に蓄電される。
【0101】
更に好ましい実施形態において、パンチの測定装置は、第2のパンチの少なくとも1つの第2の測定装置に接続される。好ましい実施形態において、接続は、信号導体によって構成される。本発明の更に好ましい実施形態において、接続は、通信ユニットを介した無線である。好ましくは、電力及び/又はデータは、測定装置の接続を介して送信することができる。更に好ましくは、全ての測定装置を分配ユニットに接続することができる。
【0102】
本発明の好ましい実施形態において、パンチは、測定装置がパンチ本体内に統合されることを特徴とする。本発明によれば、パンチ本体は、好ましくは、パンチバレル、パンチチップ、及びパンチヘッドによって構成され、これにより、パンチ本体は、好ましくは、厚い壁を有する中空体として又は中実体として設計される。統合された測定装置の利点は、パンチの外形が変化しないことにあり、これにより、打錠機の幾何学的パラメータをパンチに応じて変更する必要がない。
【0103】
更に好ましい実施形態において、測定装置は、中実体として設計されるパンチに対して正確に嵌入される。パンチは、後の組み付けプロセスにおいて測定装置をパンチに挿入することができるように、別個の製造プロセスで機械加工される。好ましくは、接続手段をここで使用することもできる。このため、測定装置は、好ましくは、材料固定、力固定、及び/又は形状固定の態様でパンチ内に挿入することができる。
【0104】
本発明に係る好ましい代替例において、測定装置は、パンチの厚い壁を有する中空体の内壁に取り付けられる。好ましくは、信号線を接続すること又はアンテナを引き出すことができるようにするために、パンチの長手軸に対して横断する方向の穴を介して測定装置へのアクセスを提供することができる。
【0105】
例示的な実施形態において、測定装置は、シェル径が25.4 mmのパンチ又はシェル径が19 mmのパンチに挿入される。
【0106】
好ましい実施形態において、測定装置の演算ユニットは、1つ以上のデータ処理ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラに接続される。
【0107】
好ましい実施形態において、データ処理ユニットは、打錠機の外部の構成部品として設けられ、打錠機とは独立したスタンドアローン型の装置として設計される。
【0108】
更に好ましい実施形態において、データ処理ユニットは、内部データ処理ユニットとして設けられる。内部データ処理ユニットは、好ましくは、打錠機の構成部品とすることができ、例えば、打錠機のフレームに統合することができる。データ処理ユニットは、好ましくは打錠機のプログラマブルロジックコントローラとしても設計され、好ましくは、マシンコントローラとも称される。
【0109】
好ましい実施形態において、測定装置は、データ処理ユニット(例えば、外部のPC、スマートフォン、タブレット、又は内部のマシンコントロールシステム)のうちの1つ以上と通信することができる。
【0110】
測定装置とマシンコントロールシステムとの間の直接的な通信により、打錠機の動作パラメータを測定結果に基づいて迅速に調整することができる。例えば、事前に定められた力の限度を超過した場合に摩耗を回避するために、マシンコントロールシステムは、送信された情報に基づいて動作パラメータを調整することができる。
【0111】
しかし、(外部)データ処理ユニット、例えば、PC、タブレットコンピュータ、スマートフォンとの測定装置の通信が特に好ましい。したがって、データ処理ユニットは、外部構成部品(例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン)として設計することもできる。好ましくは、外部構成部品は、測定装置及びマシンコントロールシステムの双方と通信する。
【0112】
例えば、測定ユニットの(事前処理された)測定結果は、まず、PC、タブレットコンピュータ等の形態のデータ処理ユニット、又はそこにインストールされたコンピュータプログラムへ送信することができる。外部構成部品により、例えば打錠プロセスの監視及び/又はログ記録のために、測定結果に対するより広範な評価を行うことができる。
【0113】
人材による評価及び検証に基づいて、動作パラメータは、例えば、続いてマシンコントロールシステムに対して対応する制御コマンドを送ることによって調整することができる。
【0114】
しかし、データ処理システム上の測定装置のデータを取得及び記録することができることにより、行われ得る動作パラメータの調整とは別個に幾つかの利点が既にもたらされている。特に、測定データを記録することにより、ログ記録を確実に行うことができ、このため、製造プロセスの質が保証される。仮に事前に定められた圧縮力についての公差限度を超過した場合、例えば、対応する圧縮製品を更なる検査のためにマーキングすることができる。上で説明したように、測定データを記録することにより、摩耗を早期に検知することもできる。情報に基づき、それぞれの構成部品の修理又は交換を指示することができる、又はメンテナンスの間隔を調整することができる。
【0115】
本発明は更に、上述のタイプのパンチを備える打錠機に関する。
【0116】
更に好ましい実施形態において、本発明は、プログラマブルロジックコントローラを備える打錠機に関し、プログラマブルロジックコントローラは、少なくとも演算ユニット、通信ユニット、及びメモリユニットを備え、パンチの測定装置は、通信ユニットを備え、プログラマブルロジックコントローラの通信ユニットがパンチの測定装置の通信ユニットに対して互換性があることを特徴とする。本発明によれば、プログラマブルロジックコントローラの通信ユニットは、送信及び/又は受信ユニットとして設計することができる。本発明に係るパンチを打錠機に統合することの利点は、特に、動作中及び/又は非稼働時に打錠機を監視できることにある。
【0117】
本発明の観点から、通信ユニットの互換性は、通信ユニットが互いに通信できることを意味する。本発明の観点から、双方の通信ユニットは、既に上で述べた同じデータ送信方法を使用し、これにより、データを相互に送る又は送信することができる。
【0118】
更に好ましい実施形態において、打錠機は、ロータリー式打錠機又は偏心式打錠機として設計される。ロータリー式打錠機は、好ましくは、上述のタイプのパンチと、タレットと、ダイテーブルと、パンチを受けるためのパンチガイドと、電力供給源と、上側圧縮ローラー及び下側圧縮ローラーとを備える。
【0119】
偏心式打錠機は、好ましくは、上述のタイプのパンチと、ダイと、電力供給源とを備える。
【0120】
更に好ましい実施形態において、スマートフォン又はタブレットコンピュータ等のデータ処理ユニットは、演算ユニット、通信ユニット、及びメモリユニットを備える。本発明によれば、データ処理ユニットの通信ユニットは、測定装置の通信ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラからデータを受け取る(及び/又は測定装置の通信ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラへデータを送る)役割も有する。通信ユニットは、ケーブルによってデータを受け取る/送ることができるが、特にデータの無線送信が行われる。
【0121】
好ましい実施形態において、データ処理ユニットの通信ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラは、好ましくは、測定装置を制御するためのデータを測定装置の通信ユニットへ送る。
【0122】
例えば、データ処理ユニットの通信ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラは、測定を行うための測定装置へ制御パラメータを送ることができる。制御パラメータは、例えば、測定のタイプ又はアクティブセンサの選択(複数のセンサがある場合)に関するものとすることができる。また、測定のタイミング、好ましい送信モード、又は生データの準備又は事前評価の指示さえも定義することができる。
【0123】
好ましい実施形態において、測定装置の通信ユニットは、データ、好ましくは処理された(準備された)測定データを(外部の)データ処理ユニットの通信ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラへ送る。
【0124】
測定装置によって送信されたデータは、好ましくは、データ処理ユニットのメモリユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラ上に記憶される。本発明の観点から、データ処理ユニットのメモリユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラは、好ましくは、データを保存又は記憶する役割を持つ。本発明によれば、好ましくは、センサの記録された測定データはメモリユニットに保存される。これは、測定装置を介して直接的に得られたデータ及びデータ処理ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラ自体の分析結果の双方に関するものである。好ましくは、ソフトウェアプログラム、ひいては、とりわけコマンドシーケンス、数理モデル及び統計モデルもメモリユニット上に記憶され、これらは、記載したように、測定装置を制御するために、及び/又は測定装置のデータにアクセスする(測定装置のデータを読み出す)ために提供され得る。メモリユニットは、好ましくは、電子データキャリアである。
【0125】
データ処理ユニットの演算ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラは、好ましくは、プロセッサユニットを備える。プロセッサユニットは、これにより、好ましくは、グラフィクスプロセッサ(GPU)及び/又は中央処理装置(CPU)を備える。
【0126】
本発明の更に好ましい実施形態において、少なくとも1つの測定装置が打錠機の少なくとも1つの任意の要素に取り付けられる。好ましくは、任意の要素は、ロータリー式打錠機のパンチ、タレット、ダイプレート、パンチを受けるためのパンチガイド、電力供給源、並びに上側圧縮ローラー及び下側圧縮ローラーを意味する。
【0127】
別の好ましい実施形態において、本発明は、上記のタイプのデータ処理ユニットと打錠機とを備えるシステムに関するものであり、パンチの測定装置は通信ユニットを備え、打錠機はプログラマブルロジックコントローラを備え、データ処理ユニット及び/又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラが、
-測定装置からの測定値、好ましくは処理された(準備された)生データを受信するとともに更に処理する、及び/又は、
-制御コマンドを測定装置へ送信するように構成されることを特徴とする。
【0128】
このようなシステムは、有利には、打錠プロセスを監視するのに適している。なぜなら、記憶容量及び演算能力が高められた測定装置の外部の装置上で測定データを処理(可視化及び/又は分析)することができる一方で、測定装置を非常にコンパクトに維持することができるとともに少ない構成部品を備えるだけでよいからである。これにより、必然的に、好ましくは、測定装置を手動で取り外す又は読み出す必要なく、データの評価をオンラインで(直接的に)行うことができるという状況となる。加えて、測定装置は、有利には、パンチにおいて直接的に測定値を記録することから、圧縮工程についての特に正確且つ詳細な診断を行うことができる。さらに、測定装置は、特定のパラメータ(例えば、サンプリングレート)を遠隔位置で設定できるように、外部の装置(データ処理ユニット又は打錠機のプログラマブルロジックコントローラ)を介してユーザから(又は自動的に)制御コマンドを受信することができる。
【0129】
更に好ましい実施形態において、本発明は、上記のタイプのパンチを使用して打錠機を監視する方法であって、パンチの測定装置は、センサ、演算ユニット、通信ユニット、及びメモリユニットを備え、打錠機は、通信ユニットを有するプログラマブルロジックコントローラを備える、方法において、
-測定装置のセンサは、物理的特性及び/又は化学的特性を記録し、
-生データとして記録された測定値は、測定装置の演算ユニットによって処理され(準備され)、
-処理された(準備された)測定値は、測定装置の通信ユニットを介して打錠機のプログラマブルロジックコントローラ及び/又はデータ処理ユニットへ送られる、及び/又は処理された(準備された)測定値は、測定装置のメモリユニット上に記憶されることを特徴とする、方法に関する。
【0130】
本発明に係る方法の利点は、動作中及び/又は非稼働時に打錠機の状態を監視及び分析できることにある。
【0131】
更に好ましい実施形態において、打錠機の監視は、好ましくは、技術的な監視である。一方では、このような監視は、誤動作を防止するとともに適時の対策又は修理を可能にするように設計される。他方では、技術的な更なる発展及び環境への被害の防止を可能とすることに有効である。
【0132】
好ましい実施形態において、方法は、測定装置のセンサが、特に、パンチ及び/又はその環境の力、温度、又は加速度、及び/又はタレットの速度を記録することを特徴とする。
【0133】
更に好ましい実施形態において、記録された測定値は、データ処理ユニットのメモリユニット内及び/又はプログラマブルロジックコントローラのメモリユニット内及び/又は測定装置のメモリユニット内に保存される。
【0134】
更に好ましい実施形態において、方法は、打錠機のプログラマブルロジックコントローラ及び/又はデータ処理ユニット、好ましくは、タブレットコンピュータ及び/又はスマートフォンが、好ましくは、これらの装置にインストールされたコンピュータプログラム製品(アプリケーション/アプリ)によって、制御コマンドを測定装置へ送信することができることを特徴とする。
【0135】
本発明の別の好ましい実施形態において、保存される測定データは、好ましくは、アルゴリズムによって分析される。
【0136】
本発明の好ましい実施形態において、測定装置のメモリユニットは、機械のユーザが評価されるデータを打錠機のプログラマブルロジックコントローラ及び/又はデータ処理ユニットに手動で接続できるように、取り外し可能に固定される。
【0137】
本発明の別の好ましい実施形態において、データ処理ユニットの演算ユニット及び/又はプログラマブルロジックコントローラは、データ処理ユニットのメモリユニット内及び/又はプログラマブルロジックコントローラのメモリユニット内に記憶された測定データに直接的にアクセスするとともに、同じくメモリユニットに記憶された測定データを分析するためのアルゴリズムを実行する。
【0138】
アルゴリズムの助けによって測定データを分析することにより、パンチ及び/又は打錠機の他の構成部品の欠陥、摩耗、及び故障を非常に早い段階で検知することができる。
【0139】
本発明の更に好ましい実施形態において、方法は、測定装置の記録された測定値が機械学習アルゴリズムを介して分析されることを特徴とする。
【0140】
更に好ましい実施形態において、外部のパラメータ及び/又はパンチからの測定値は、打錠機を監視する方法の分析に組み込まれる。これらは、本発明に係る測定装置とは独立した測定装置によって判定することができる。例えば、ロータリー式打錠機の場合において、打錠機の圧縮ローラー(例えば、圧縮力)、タレット(例えば、回転)、ダイテーブル、又は、単純な場合として周囲温度について記録された測定データは、打錠機のデータ処理ユニットのメモリユニット内に保存し、続いて、以下のアルゴリズムによって分析することもできる。多数の異なる記録されたデータにより、誤りの少ない総合的な分析が可能となる。
【0141】
更に好ましい実施形態において、方法は、測定装置の記録された測定値が外部から記録された及び/又は提供された測定値と組み合わせてアルゴリズム(好ましくは機械学習アルゴリズム)を介して分析されることを特徴とする。
【0142】
本発明の観点から、機械学習アルゴリズムは、人工知能の下位領域である。機械学習は、数理モデル及び統計モデルを使用してデータセットから「学習」する。一般に、機械学習アルゴリズムには、人間の観測者にとって複雑すぎる情報を大きなデータセットから自動的に抽出できるという利点がある。様々な機械学習アルゴリズムがあり、これらの機械学習アルゴリズムは、教師あり学習、教師なし学習、及び強化学習の3つの異なる学習方法に大きく分類することができる。
【0143】
好ましい実施形態において、教師あり学習は、記憶された測定データを分析又は処理するために使用される。教師あり学習法において、いわゆる訓練プロセスが最初に行われる。ここで、訓練データが、対応するターゲットデータと合わせて入力データの形態で提供される。訓練の目的は、概して、機械学習法において関数のパラメータを調整することにより、続いて関数が対応する入力値から高精度にターゲット値を判定できるようにすることにある。そして、適合された関数は、未知の入力データについてのターゲットデータを予測するために、訓練プロセスの後に使用される。関数は、数理モデル及び/又は統計モデルによって記述される。
【0144】
好ましい実施形態において、関数は、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、及び/又はデシジョンツリーによって設計される。特に好ましくは、関数は、人工ニューラルネットワークによって記述される。本発明によれば、人工ニューラルネットワークは、異なるアーキテクチャを有することができる。
【0145】
本発明の観点から、入力データは、好ましくは、機械パラメータ、環境パラメータ、及び/又は測定装置の測定データによって定義される。機械パラメータは、好ましくは、タレットの回転速度、構成部品の様々な材料特性及び/又は主要な数値、運転時間若しくは動作時間、機械の経年数、パンチ若しくは他の構成部品の数等である。環境パラメータは、好ましくは、周囲温度、湿度等である。
【0146】
好ましくは、異なる物理的特性及び/又は化学的特性を測定するための異なるセンサを有する異なる測定装置からの測定データは、入力データとして使用される。
【0147】
本発明によれば、ターゲットデータは、好ましくは、損傷が発生する可能性、構成部品が故障する可能性、又は加圧プロセスが誤って実行される可能性を示すように適合される。
【0148】
別の好ましい実施形態において、教師なし学習法は、記憶された測定データを分析又は処理するために使用される。教師なし学習において、アルゴリズムは、構造化されていない背景ノイズから逸脱する入力データにおけるパターンを検知しようと試みる。訓練プロセスにおける関数は、入力データの類似性のみに向けられるとともに、出力データが訓練プロセスに使用されないように相応にパラメータを調整する。
【0149】
好ましい実施形態において、教師なし学習法は、入力データを分割又は集合させるために、又は、好ましくは、入力データを圧縮するために使用される。
【0150】
好ましい実施形態において、教師なし学習アルゴリズムは、好ましくは、主成分分析(PCA)及び/又はk平均法アルゴリズム及び/又は少なくとも1つのニューラルネットワークを含む。
【0151】
上で既に説明したように、上述の方法の双方において、いわゆる訓練プロセスは、上述の機械学習関数の最適なパラメータを判定するために最初のステップで行われる。適合された関数に基づき、以前には既知でなかった入力データについて訓練の後に様々な診断が行われる。
【0152】
別の好ましい実施形態において、強化学習法は、記憶された測定データの分析又は処理に使用される。他方、強化学習法において、訓練プロセスは、関数のパラメータが調整された後にも継続的に行われる。「試行錯誤」により、異なる診断の効果が観測され、以前には既知でなかった入力データに対して適合された関数を使用して評価される。これらの診断に応答して、アルゴリズムは、報酬又は罰の形態で抽象的に表されるフィードバックを受ける。その後すぐに、アルゴリズムはそのパラメータに基づいて関数を更に最適化する。このため、アルゴリズムは、機械学習プロセスの関数を継続的に調整又は変更する。好ましくは、強化学習は、Q学習法及び/又は上述のニューラルネットワーク及び/又は更なるニューラルネットワーク並びに当業者にとって既知の更なるアルゴリズムを使用することができる。