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特許7406629昇降ドア用油圧式ドア駆動部、油圧式ドア駆動部を備える昇降ドア、および油圧式ドア駆動部を動作させるための方法
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  • 特許-昇降ドア用油圧式ドア駆動部、油圧式ドア駆動部を備える昇降ドア、および油圧式ドア駆動部を動作させるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】昇降ドア用油圧式ドア駆動部、油圧式ドア駆動部を備える昇降ドア、および油圧式ドア駆動部を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20231220BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20231220BHJP
   F15B 21/14 20060101ALI20231220BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20231220BHJP
   E06B 9/06 20060101ALI20231220BHJP
   E06B 9/13 20060101ALI20231220BHJP
   E05F 15/50 20150101ALI20231220BHJP
   E06B 9/80 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
E06B9/68
F15B11/02 V
F15B21/14 B
E06B9/84 A
E06B9/06 610A
E06B9/13 A
E05F15/50
E06B9/80 J
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022520376
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2020080762
(87)【国際公開番号】W WO2021094129
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】102019130425.3
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515141953
【氏名又は名称】エファフレックス インゼニリング ディ.オー.オー. リブリャナ
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】モクニック,ボルト
(72)【発明者】
【氏名】リヨキ,アレン
(72)【発明者】
【氏名】マゼィ,アンドレ
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0319600(KR,Y1)
【文献】特開2005-232693(JP,A)
【文献】米国特許第04941320(US,A)
【文献】実開昭53-066842(JP,U)
【文献】独国実用新案第202007001800(DE,U1)
【文献】特許第175920(JP,C2)
【文献】特開2016-205496(JP,A)
【文献】実公昭32-012986(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
E05F 15/00 -15/79
F15B 11/02,21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降ドア(1)用の油圧式ドア駆動部であって、
ドアカーテン(2)を駆動するように、または前記ドアカーテン(2)によって少なくとも付随して駆動されるように適応されかつ構成される少なくとも1つの油圧モータ(6)と、
前記油圧式ドア駆動部(5)に、加圧された油圧液(13;13a)を供給するための少なくとも1つの油圧ユニット(10)と、
を備える、油圧式ドア駆動部において、
蓄圧器(22)であって、
a)前記ドアカーテン(2)のポテンシャルエネルギーは、前記ドアカーテン(2)が閉鎖される時に解放されて、前記蓄圧器(22)において圧力エネルギーとして蓄えられることができ、
b)前記蓄圧器(22)に蓄えられた圧力エネルギーは、前記ドアカーテン(2)を少なくとも開放および/または少なくとも閉鎖するために前記油圧モータ(6)に放出可能である、蓄圧器(22)
を特徴とする、油圧式ドア駆動部。
【請求項2】
前記蓄圧器(22)には前記少なくとも1つの油圧ユニット(10)によって圧力エネルギーを与えることができること、
を特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項3】
前記ドアカーテン(2)の開放および前記ドアカーテン(2)の閉鎖の両方を行うために、加圧された油圧液(13)は、油圧ユニット(10)から前記油圧モータ(6)に送られ得ることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項4】
前記ドアカーテン(2)を閉鎖するために、油圧液出口の機能を果たす、前記油圧モータ(6)の第2のポート(18)は、前記蓄圧器(22)と連結されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項5】
前記ドアカーテン(2)を開放するために、前記油圧ユニット(10)の前記蓄圧器(22)および加圧流体供給ラインには、油圧液入口の機能を果たす、前記油圧モータ(6)の第2のポート(18)と連結され、互いに並列に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項6】
前記油圧式ドア駆動部(5)は、前記ドアカーテン(2)が確実に落下しないようにするために、前記ドアカーテン(2)と相互作用することで該ドアカーテン(2)をロックすることが可能であるリニアアクチュエータ(50)、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項7】
前記リニアアクチュエータ(50)が油圧リニアアクチュエータ(50)であることを特徴とする請求項6記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項8】
前記油圧モータ(6)は、前記ドアカーテン(2)が確実に落下しないようにするために、ブレーキ(40)有するブレーキモータとして構成されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項9】
前記ドアカーテン(2)が確実に落下しないようにするために、油圧流を抑制するライン破裂保護弁(60)が、前記蓄圧器(22)と前記油圧モータ(6)との間の相互接続ラインに設けられることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項10】
前記蓄圧器(22)は、緊急時に前記ドアカーテン(2)を開放または閉鎖できるようにするために、前記油圧モータ(6)の対応する供給ラインと単独で連結可能であり、前記油圧ユニット(10)は、前記油圧モータ(6)の駆動に寄与しないことを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項11】
前記油圧ユニット(10)は、異なるドアカーテン(2)の複数の油圧モータ(6)に油圧的に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項12】
前記油圧ユニット(10)は、他の油圧システムのリニアアクチュエータのさらなる駆動手段に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項13】
前記さらなる駆動手段は、前記他の油圧システムのリニアアクチュエータであることを特徴とする、請求項12に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項14】
前記蓄圧器(22)は、並列接続の形態で前記油圧式ドア駆動部(5)の少なくとも前記複数の油圧モータ(6)と連結されることを特徴とする、請求項11に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項15】
前記油圧ユニット(10)は、おもりによって作動を受けることが可能であるリニアポンプとして構成され、前記おもりの前記作動は、操作用スロープ(101)を与えることによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項16】
前記油圧式ドア駆動部(5)は、前記ドアカーテン(2)の巻き軸内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項17】
前記昇降ドア(1)は、巻回可能なドアカーテン(2)を有する巻き上げ式ドアとして、または、互いに対してヒンジによって変位可能であるドアカーテン部分を有する組み立て式ドアとして構成されることを特徴とする、請求項1に記載の油圧式ドア駆動部。
【請求項18】
請求項1に記載の油圧式ドア駆動部を備える、昇降ドア。
【請求項19】
前記昇降ドア(1)は、巻き上げ式ドアであることを特徴とする、請求項18に記載の昇降ドア。
【請求項20】
前記昇降ドア(1)は、組み立て式ドアであることを特徴とする、請求項18に記載の昇降ドア。
【請求項21】
開放する昇降ドア(1)を駆動するために、油圧式ドア駆動部(5)を動作させるための方法であって、
該油圧式ドア駆動部(5)は、ドアカーテン(2)を駆動するように、または前記ドアカーテン(2)によって少なくとも付随して駆動されるように適応されかつ構成される少なくとも1つの油圧モータ(6)を備え、かつ、前記油圧式ドア駆動部(5)に、加圧された油圧液を供給するための少なくとも1つの油圧ユニット(10)を備える、方法において、
蓄圧器(22)が設けられ、
前記ドアカーテン(2)のポテンシャルエネルギーは、前記ドアカーテン(2)が閉鎖される時に解放されて、前記蓄圧器(22)において圧力エネルギーとして蓄えられ、
前記蓄圧器(22)に蓄えられた圧力エネルギーは、前記ドアカーテン(2)を少なくとも開放するために前記油圧モータ(6)に放出されることを特徴とする、方法。
【請求項22】
前記蓄圧器(22)には前記少なくとも1つの油圧ユニット(10)によって圧力エネルギーが与えられることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記ドアカーテン(2)の閉鎖および前記ドアカーテン(2)の開放の両方を行うために、加圧された油圧液(13)は、前記油圧ユニット(10)から前記油圧モータ(6)に送られることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ドアカーテン(2)を閉鎖するために、油圧液出口の機能を果たす、前記油圧モータ(6)の第2のポート(18)は、前記蓄圧器(22)と連結されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ドアカーテン(2)を開放するために、前記蓄圧器(22)と油圧モータ(6)が、圧力エネルギーを前記油圧モータ(6)に放出する目的で連結を形成し、前記連結は、前記蓄圧器(22)および前記油圧ユニット(10)が並列に連結されるようにすることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
緊急時に前記ドアカーテン(2)を開放または閉鎖するために、前記蓄圧器(22)は、前記油圧モータ(6)の対応する送給ラインと単独で連結され、前記油圧ユニット(10)は、前記油圧モータ(6)の駆動に寄与しないことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
おもりによって作動させることが可能である前記油圧ユニット(10)のリニアポンプは、車乗り入れ式スロープ(101)を与えることによって駆動力が供給されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる昇降ドア用油圧式ドア駆動部、請求項15のプリアンブルによる油圧式ドア駆動部を備える昇降ドア、および、請求項18のプリアンブルによる油圧式ドア駆動部を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巻回可能なドアカーテンを有する巻き上げ式ドアは、米国特許出願公開第2016/0369577号から既知である。この巻き上げ式ドアは、ポジションスイッチが装備されている。巻回可能なドアカーテンは、ドア開口部より上の巻き軸上で巻き上げられる。ドアカーテンは駆動装置によって駆動される。油圧モータは、さらに詳細に明記されることはないが、とりわけ、可能性がある駆動装置として述べられている。この種類の巻き上げ式ドアは、緊急時に、特に、電源故障の発生時に、開放および/または閉鎖を可能にするいずれの機能も有しない。
【0003】
とりわけ、油圧駆動部として構成され得る駆動部を有するセグメント化巻き上げ式ドアは、DE4305007A1から既知である。
【0004】
停電後に動作を継続することが可能な巻き上げ式ドアは、EP0881349A2から既知である。この目的で、油圧システム用の電気制御回路にバックアップバッテリ(充電式バッテリ)が設けられる。
【0005】
油圧シリンダによって駆動される防火ドアはWO2006/097843A1から既知である。このドアは重力を使用して閉鎖される。ドアが水平に変位可能である場合、ドアが開放される時に上がりドアが閉鎖される時に下がるヒンジ付き釣り合いおもりが使用される。
【0006】
非常用テントまたは野戦病院などでの使用に適しており、かつ加圧流体によって動作させる巻き上げ式ドアは、GB2520177から既知である。巻回可能および巻回不可能なドアカーテンは、折り畳み可能で平らにすることができる圧力ラインが統合されている。液体か気体かに関わらず、加圧流体を受ける時、このドアカーテンは展開され広げられる。ラインから放圧が行われる時、ドアカーテンは渦巻きばねによって再び巻き上げ可能である。よって、これは、圧力によって閉鎖可能である自動開ドアシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2016/0369577号
【0008】
【文献】ドイツ特許公開公報4305007号
【0009】
【文献】国際公開公報2006/097843号
【0010】
【文献】ドイツ特許公報2520177号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、油圧式ドア駆動部と、油圧式ドア駆動部を備える昇降ドアであって、この昇降ドアの耐用年数が延長され、特に、この昇降ドアのドアカーテンが高速で開閉可能である、昇降ドアとを提供することである。
【0012】
さらに、油圧式ドア駆動部は、構成要素の疲労の危険性を回避しつつ、特に、停電の発生時に、非常時閉鎖および/または非常時開放の要件が簡易な手法で満たされ得るように適切なものであるべきである。
【0013】
本発明の別の目的は、油圧式ドア駆動部を動作させるための適した方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を有する油圧式ドア駆動部、請求項18の特徴を有する昇降ドア、および請求項21の特徴を有する油圧式ドア駆動部を動作させるための方法によって達成される。各々の従属請求項において有利な実施形態が提供される。
【0015】
特に垂直に開放する昇降ドア用の、本発明による油圧式ドア駆動部は、ドアカーテンを駆動するように、またはドアカーテンによって少なくとも付随して駆動されるように適応されかつ構成される少なくとも1つの油圧モータと、油圧式ドア駆動部に、加圧された油圧液を供給するための少なくとも1つの油圧ユニットと、蓄圧器であって、
a)ドアカーテンのポテンシャルエネルギーは、該ドアカーテンが閉鎖される時に解放されて、蓄圧器において圧力エネルギーの形態で蓄えられることができ、
b)蓄圧器に蓄えられた圧力エネルギーは、ドアカーテンを少なくとも開放および/または少なくとも閉鎖するために油圧モータに放出可能である、蓄圧器とを備える。
蓄圧器には少なくとも1つの油圧ユニットによって圧力エネルギーを与えることができる。
【0016】
本発明による油圧式ドア駆動部は、昇降ドアが迅速に開放および/または閉鎖され(例えば、下げられ)得ることが保証され、また、少なくとも緊急操作モードにおいて、特に、電源の故障発生時に確実に動作させることができる。
【0017】
さらに、スプリングアキュムレータを使用する機械式ドア駆動部と比較するとメンテナンスが大幅に低減される。さらに、ばねの破損によるけがの危険性が防止される。
【0018】
加えて、本発明による油圧式ドア駆動部は、特に、ドアカーテン用の、非常開放装置、非常閉鎖装置、および/または非常停止装置の統合を可能にするのに適している。
【0019】
好ましい実施形態では、油圧式ドア駆動部は、ドアカーテンの開放およびドアカーテンの閉鎖の両方を行うために油圧ユニットから油圧モータに送られ得る加圧された油圧液を含む。
【0020】
この実施形態によって、例えば、ばね、または任意の他の機械式、すなわち非油圧式アクチュエータなどの機械式エネルギーアキュムレータを使用する必要がない、完全油圧式ドア駆動部を実現することが可能である。
【0021】
別の実施形態によると、油圧モータの第1のポートは、この動作位置では油圧液出口の機能を果たして、ドアカーテンを閉鎖するための蓄圧器と連結される。
【0022】
結果として、この場合ポンプの機能を果たし得る油圧モータから蓄圧器に加圧流体(油圧液)を供給し、かつこの蓄圧器には、圧力エネルギーの形態で、例えば、ドアカーテンの変換されたポテンシャルエネルギーを蓄えることが可能である。
【0023】
別の実施形態では、ドアカーテンを開放するために、油圧ユニットの蓄圧器および加圧流体供給ラインは、油圧モータの、この動作位置では油圧液入口の機能を果たす第2のポートと連結され、互いに並列に連結される。
【0024】
この特徴によって、特にドアカーテンの下降および上昇中に、特に、ドアカーテンの変位の高速化を成し遂げることができる。結果として、非常開放機能および/または非常閉鎖機能は容易に実現可能である。
【0025】
好ましい実施形態では、油圧駆動部は、ドアカーテンが確実に落下しないようにするために、ドアカーテンと相互作用することでドアカーテンをロックすることが可能であるリニアアクチュエータ、特に油圧リニアアクチュエータを備える。
【0026】
この特徴は、例えば、蓄圧器において、特に、停電、油圧式ドア駆動部における漏れ、または任意の他の故意でない圧力降下の場合の安全性を高めるのに役立つ。
【0027】
別の実施形態では、油圧モータは、ドアカーテンが確実に落下しないようにするために、機械式ブレーキを有するブレーキモータとして構成される。
【0028】
この実施形態は、油圧特徴に加えて機械式ブレーキ装置を提供する。
【0029】
別の実施形態では、ドアカーテンが確実に落下しないようにするために、蓄圧器と油圧モータとの間の相互接続ラインにライン破裂保護弁が設けられる。
【0030】
このような場合、油圧モータの供給ラインまたは放出ラインにおける不意の漏れまたは不意の圧力降下の発生時における油圧液の漏れが防止可能である。
【0031】
別の好ましい実施形態では、蓄圧器は、緊急時にドアカーテンを開放または閉鎖できるようにするために、油圧モータの対応する供給ラインと単独で連結可能であり、油圧ユニットは油圧モータの駆動に寄与しない。
【0032】
この特徴によって、油圧ユニットに対する電源の故障にもかかわらず、それでもなお、蓄えられた圧力エネルギーに基づいて非常時開放および/または非常時閉鎖機能を確実にすることが可能である。
【0033】
好ましい実施形態では、油圧ユニットは、異なるドアカーテンの複数の油圧モータに油圧的に結合される。
【0034】
上記の特徴は、複数のドア駆動部の制御を簡略化するのに役立ち得る。
【0035】
別の実施形態によると、油圧ユニットは、例えば、他の油圧システムのリニアアクチュエータなどのさらなる駆動手段に結合される。
【0036】
この特徴によって、確実に、油圧ユニットが異なる駆動手段による複数の使用に適するようにする。
【0037】
さらなる好ましい実施形態では、蓄圧器は、並列接続の形態で油圧式ドア駆動部の少なくとも複数の油圧モータと連結される。
【0038】
この特徴によって、適切な場合には、異なるドア駆動部が適した弁手段を介して供給可能であることによって、中央圧力エネルギーアキュムレータが実現可能になる。
【0039】
別の実施形態によると、油圧ユニットは、おもりによって作動させることが可能であるリニアポンプとして構成され、上記のおもりの作動は操作用スロープを与えることによって行われる。
【0040】
この特徴は、例えば、操作用スロープ上へと、有人または無人のマテリアルハンドリング車両である車両を運転することによって、車両の重量によって与えられるエネルギーを油圧式ドア駆動部に供給することを可能にするため、停電の発生時でもドアが安全に開放/閉鎖できることを確実にすることが可能である。
【0041】
別の好ましい実施形態では、油圧式ドア駆動部は、ドアカーテンの巻き軸内に配置される。
【0042】
この特徴は特に省スペース設計を可能にする。巻き芯がなく、かつドアカーテンが例えば、螺旋ガイドで案内される昇降ドア構成では、特に、巻き上げられるドアカーテンコイル内に油圧式ドア駆動部を配置することも可能であるが、依然同じ利点が得られる。
【0043】
好ましい実施形態では、昇降ドアは、巻回可能なドアカーテンを有する巻き上げ式ドアとして、または、互いに対してヒンジによって変位可能であるドアカーテン部分を有する組み立て式ドアとして構成される。
【0044】
さらに、目的は、本発明による油圧駆動部を備える昇降ドアによって達成される。このような昇降ドアは、便宜上、巻き上げ式ドアとしてまたは組み立て式ドアとして構成可能である。
【0045】
本発明によると、目的は、特に、垂直に開放する昇降ドアを駆動するための油圧式ドア駆動部を動作させるための、特に、本発明による油圧式ドア駆動部を使用する方法であって、該油圧式駆動部は、ドアカーテンを駆動するように、またはドアカーテンによって少なくとも付随して駆動されるように適応されかつ構成される少なくとも1つの油圧モータを備え、かつ、油圧式ドア駆動部に、加圧された油圧液を供給するための少なくとも1つの油圧ユニットを備える、方法によって達成される。
【0046】
方法は、蓄圧器を設けることを特徴とし、
a)ドアカーテンのポテンシャルエネルギーは、該ドアカーテンが閉鎖される時に解放されて、蓄圧器において圧力エネルギーの形態で蓄えられ得、および/または、
b)蓄圧器には少なくとも1つの油圧ユニットによって圧力エネルギーを与えることができ、
c)蓄圧器に蓄えられた圧力エネルギーは、ドアカーテンを少なくとも開放するために油圧モータに放出可能である。
【0047】
本発明による方法によって、本発明による装置による利点と同じ利点が達成可能になる。
【0048】
方法の特定の実施形態では、加圧された油圧液は、ドアカーテンの閉鎖およびドアカーテンの開放の両方を行うために油圧ユニットから油圧モータに送られる。ドアカーテンの開放および閉鎖に加えて、そのように常に、蓄圧器において十分な量の圧力エネルギーを提供することが可能である。
【0049】
蓄圧器にドアカーテンのポテンシャルエネルギーを充填するために、別の有利な実施形態によると、油圧液出口の機能を果たす油圧モータの第1のポートを蓄圧器に連結することが適切である。
【0050】
ドアカーテンが迅速に開放され得るように、圧力エネルギーを放出する目的で蓄圧器を油圧モータと連結することが適切であり、蓄圧器および油圧ユニットは並列に連結される。
【0051】
別の有利な実施形態では、蓄圧器は、緊急時にドアカーテンを開放または閉鎖するために、油圧モータの対応する送給ラインと単独で連結可能であり、油圧ユニットは油圧モータの駆動に寄与しない。これは特に、停電の発生時に有用であり得る。システムのこのような切り換え状態を確立するのに必要とされる切り換え弁は、比較的低い容量の非常電源装置によって対応する切り換え状態に任意選択で移動させることができる、または手で適当に設定可能である。
【0052】
さらなる有利な実施形態では、おもりによって作動させる油圧ユニットの油圧シリンダは、車乗り入れ式スロープを与えることによって駆動力が供給される。本発明による方法のこのような設計は、例えば、昇降ドアがスロープ上への運転が可能なマテリアルハンドリング車両によって動作させるべきである場所では適切である。
【0053】
さらなる有利な実施形態および特徴(単数または複数)の組み合わせは、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0054】
本発明についてここで、図面を参照することによって、例を使用してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明による油圧式ドア駆動部を備える、本発明による昇降ドアの大幅に概略化した斜視図である。
図2】「ドア閉鎖」動作位置にある、本発明による油圧式ドア駆動部の第1の実施形態の概略的な油圧回路図である。
図3】「ドア開放」動作位置にある、本発明による油圧式ドア駆動部の第1の実施形態の概略的な油圧回路図である。
図4】「圧力解放」動作位置にある、本発明による油圧式ドア駆動部の第1の実施形態の概略的な油圧回路図である。
図5】「ドア保持」動作位置にあり、ブレーキモータが油圧モータとして設けられている、本発明による油圧式ドア駆動部の第2の実施形態の概略的な油圧回路図である。
図6】「ドア保持」動作位置にあり、リニアアクチュエータ/油圧シリンダを有する扉ロック装置が落下防止手段として設けられている、本発明による油圧式ドア駆動部の第3の実施形態の概略的な油圧回路図である。
図7】「ドア保持」動作位置にあり、ライン破裂保護弁が、ドアカーテンが確実に落下しないようにするための手段として設けられている、本発明による油圧式ドア駆動部の第4の実施形態の概略的な油圧回路図である。
図8】非常時開放/閉鎖手段をさらに含む、本発明による油圧式ドア駆動部の第5の実施形態の油圧回路図である。
図9】本発明による複数の油圧式ドア駆動部の配置を示す図である。
図10】電気なしで駆動される油圧ユニットを備える油圧式ドア駆動部の第6の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、本発明に使用可能である昇降ドア1の大幅に体系化した斜視図である。昇降ドア1は、垂直案内通路4において案内される巻回可能なドアカーテン2を有する。巻き上げボックス3において、ドア駆動部5として、歯車機構6aを介してドアカーテン2と相互作用可能であり、かつ巻き上げボックス3内でドアカーテンを巻き上げかつ巻き下ろすことが可能である油圧モータ6が設けられる。例示の昇降ドア1は、巻き芯なしで構成され、かつ、ドアカーテン2がこの縁部で案内されている間に巻き上げ可能である案内螺旋部7を有する。例えば、動作ユニット8は、垂直案内通路4のうちの少なくとも1つの領域に設けられる。
【0057】
油圧モータ6、および任意選択としての歯車機構6aは、本発明によるドア駆動部5の構成要素であり、これらについて、ここで、さらなる図を参照して説明する。
【0058】
ここで、図2図4を参照して、異なる動作位置における本発明による油圧式ドア駆動部5の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態の油圧回路は、油圧部材の存在および相互接続に関して同一であるため、図2に関連して説明されるものになるのに対し、図3および図4を参照して、異なる動作位置のみがより詳細に論述されることになる。
【0059】
本発明によるドア駆動部5は、個々の油圧部材を囲む破線で図2図9に一貫して示される油圧ユニット10を含む。油圧ユニット10は、油圧液貯槽(貯槽/タンク)12から油圧液13を受けてよい油圧ポンプ11を含む。油圧ポンプ11は、特に、トルクおよび/または速度に関して、例えば、電気モータなどのモータによって調節可能である既知のやり方で駆動される。油圧ポンプ11は、第1の逆止め弁14を介して第1の4/3方向制御弁15と連結される。第1の圧力制御弁16を介して貯槽/タンク12に戻るラインは、第1の逆止め弁14と第1の4/3方向制御弁15との間で分岐する。本実施形態では、油圧ポンプ11、第1の逆止め弁14、第1の4/3方向制御弁15、および第1の圧力制御弁16は、対応して連結するラインおよびタンク12への連結と共に、そのように油圧ユニット10を構成する。
【0060】
油圧ユニット10の外部に、油圧モータ6が、例えば、上で説明されたように、昇降ドア1の巻き上げボックス3(図1を参照)に配置される。油圧モータ6は、第1のポート17および第2のポート18を含む。図2に示される第1の4/3方向制御弁15の切り換え位置において、油圧モータ6の第1のポート17は、油圧液出口(圧力ライン)の機能を果たす油圧ユニット10のポート18aと連結される。油圧液出口の機能を果たす油圧モータ6の第2のポート18は、油圧液入口の機能を果たす油圧ユニット10のポート17aと第2の逆止め弁19を介して連結される。分岐ライン20は、油圧モータ6と第2の逆止め弁19との間で分岐し、上記の分岐ライン20は、図2において説明される切り換え位置では逆止め弁の機能を果たす第1の2/2方向制御弁21を介して蓄圧器22と連結される。蓄圧器22は、油圧液13によって、特に、加圧流体13a、すなわち、蓄圧器22に進入する圧力下の油圧液によって、圧縮可能であるガスクッション22aが設けられているガス蓄圧器であってよい。ガスクッション22aを圧縮することによって、さらに後述されるように、本発明によるドア駆動部5を動作させるために利用可能になる圧力エネルギーが蓄えられ得る。
【0061】
第2の分岐ライン23は、第1の2/2方向制御弁21と蓄圧器22との間で分岐し、上記の第2の分岐ライン23は第2の2/2方向制御弁24と連結される。第2の2/2方向制御弁は、第2の圧力制御弁25と下流側で連結され、第2の圧力制御弁25はさらにまた、下流側で、共通のタンク/共通の貯槽としても構成されてよいタンク12のうちの1つ内に放出する。第3の分岐ライン26は、貯槽/タンク12と第2の圧力制御弁25との間で分岐し、上記の第3の分岐ライン26は、第1の4/3方向制御弁15と、かつ、図2に示されるように第1の4/3方向制御弁15の切り換え位置において第2の逆止め弁19と連結される。
【0062】
図2に示される切り換え位置では、加圧流体13aは、油圧ポンプ11から、第1の逆止め弁14および第1の4/3方向制御弁15を介して、油圧液入口の機能を果たす油圧モータ6の第1のポート17へと流れる。油圧モータはそれによって、駆動部30の第1の方向(例えば、「ドア閉鎖」)に駆動される。
【0063】
加圧流体13は、油圧液出口の機能を果たす第2の出口18において油圧モータ6を出て、第1の分岐ライン20および第1の2/2方向制御弁21を介して蓄圧器22に進入する。第2の逆止め弁19は遮断位置にあるため、油圧ユニット10内への逆流が防止される。現在の説明の目的で、例えば、駆動部30の方向が駆動部の「ドア閉鎖」方向であることが想定され、これは、先述されるように、ドアが閉鎖されている、例えば、下げられている時、ドアカーテン2に対する重力を利用して蓄圧器22に油圧液13;13aが充填されるため、場合によっては油圧ポンプ11の油圧エネルギーによって補われる、ドアカーテン2の少なくともポテンシャルエネルギーが蓄えられることを意味する。対応する前述のエネルギー量は、当然ながら、例えば、摩擦抵抗および/または流れ抵抗などの対応する損失量によって低減する。
【0064】
しかしながら、本発明によると、ドアカーテン2が閉鎖される、例えば、下げられる時、圧力エネルギーは、原則として、蓄圧器22に蓄積される。第2の分岐ライン23は、第2の2/2方向制御弁24が遮断位置にあるため、この位置では全く機能しない。それ故に、第2の圧力制御弁25にも達する圧力流体がないため、この動作位置では、タンク/貯槽12内または第3の分岐ライン26内への逆流はない。図2におけるこの非作動の第2の切り換え位置では、第2の2/2方向制御弁24は、「自由流れ」を可能にし、かつ必要に応じて蓄圧器22からの放圧を行う役割を果たす。対応する加圧流体13aはさらにまた、蓄圧器22からタンク/貯槽12内に、第2の分岐ライン23、第2の2/2方向制御弁24、および第2の圧力制御弁25を介して放出可能である。
【0065】
本発明の本質的な特徴は、ドアカーテン2の下降運動から生じる油圧液13/加圧流体13が送られ得る蓄圧器22の存在である。まさにここで説明される油圧液の流れに加えておよびこれと同時に、有利には、油圧ユニット10、特に油圧ポンプ11によって蓄圧器22のガスクッション22aにおいてさらに一層昇圧することが可能である。
【0066】
請求項1の特徴b)による油圧式ドア駆動部の動作は、以下に説明される手順を使用する時の図2に示される油圧式ドア駆動部によって可能である。
【0067】
図2における破線で示されるさらなる2/2方向制御弁120は、第2のポート18と第2の逆止め弁19との間に設けられる。上述されるようにドアが閉鎖されている時、さらなる2/2方向制御弁120は図2に示されるように自由流れ位置にある。蓄圧器22に、例えば、油圧ユニット10のみから圧力エネルギーを与えるために、さらなる2/2方向制御弁120は、図2に示される切り換え位置と比較して他の切り換え位置へと移動させることができ、ここで、ポート18から逆止め弁19または第1の2/2方向制御弁21への油圧液の流れ(作動液の流れ)を防止する。このような場合、第1の4/3方向制御弁15はさらに、図3に示されるような切り換え位置にあることで、油圧ポンプ11は、第1の4/3方向制御弁15、第2の逆止め弁19、分岐ライン20、および第1の2/2方向制御弁21を介して蓄圧器22と連結される。
【0068】
このような切り換え位置では、蓄圧器22は例えば、ドアが能動的に開放または閉鎖されることが予想されない時に油圧ユニット10によって圧力エネルギーが与えられ得る。
【0069】
これはまた、ドアカーテン2の移動なく任意選択で可能であるが、これは、この位置では油圧モータ6が作動流体を受けないからである。
【0070】
図3は、「ドア開放」動作位置における図2による本発明の油圧式ドア駆動部の第1の実施形態を示す。図1に導入される参照番号は、油圧部材間での相違がないため本明細書全体を通してそのままにされる。これらの動作位置のみが異なっており、これらについては説明される。
【0071】
図3に示される動作位置では、油圧ポンプ11は、第1の逆止め弁14を介して、この動作位置では油圧液出口の機能を果たすポート17aと、および第2の逆止め弁19と連結される。第2の逆止め弁19から、油圧液13または加圧流体13aはさらにまた、この動作位置では油圧液入口の機能を果たす油圧モータ6の第2のポート18に移る。この動作位置では、第1の2/2方向制御弁21は「自由流れ」を可能にするため、蓄圧器22からの加圧流体13aはまた、分岐ライン20を介して油圧モータ6に移る。よって、油圧モータ6は、ドアを開放する目的で、油圧ポンプ11および蓄圧器22両方から加圧流体13;13aが供給される。第2の2/2方向制御弁24は遮断位置にあるため、第2の分岐ライン23において流れる加圧流体13aはない。第2の圧力制御弁25はここでも全く機能しない。この動作位置では油圧液出口の機能を果たす油圧モータ6の第1のポート17は、この動作位置では油圧ユニット10の油圧液入口の機能を果たすポート18aと連結され、かつ、第3の分岐ライン26とも連結されて、第1の4/3方向制御弁15を介してタンク/貯槽12に通じている。
【0072】
この配置構成から、ドアを開放する目的で蓄圧器22に蓄えられた圧力エネルギーは、ドアカーテンを開放する方向である駆動部31の第2の方向において油圧モータ6を駆動する助けとなることが明確になる。これは油圧ポンプ11用の駆動力を節約するのに役立つ。さらに、蓄圧器22における圧力供給の存在によって、利用可能になる圧力媒体13aの量の増大、すなわち、体積流量の増大が可能になるため、確実に、ドアが特に早い速度で開放可能になる。
【0073】
図2および図3とは違って、図4は、本発明によるドア駆動部の第1の実施形態のメンテナンス位置を示し、この位置で、例えば、メンテナンスを可能にするために、蓄圧器22からの放圧が可能である。この目的で、第1の2/2方向制御弁21は、第1の2/2方向制御弁21の逆止め弁14が作動状態になり、かつ加圧流体13aが蓄圧器22から分岐ライン20内に流れないようにする切り換え位置にある。さらに、第2の2/2方向制御弁24は、「自由流れ」切り換え位置にあるため、蓄圧器22からの加圧流体13aは第2の2/2方向制御弁24および第2の圧力制御弁25を介してタンク/貯槽12に進入することが可能になる。本発明による油圧式ドア駆動部の残りの構成要素はここでは全く機能しない。
【0074】
図5は、図2図4を参照して説明される第1の実施形態と比較して修正された形態での本発明によるドア駆動部5の第2の実施形態を示す。本例ではさらなる機械式ブレーキ40を有するブレーキモータとして構成される油圧モータ6のタイプは別として、油圧式ドア駆動部5の残りの構造は図2図4に示される第1の実施形態と同一である。
【0075】
さらに、「ドアカーテンを保持する」ための動作位置における図5による実施形態が示される。この目的に向けて、第1の4/3方向制御弁15は、油圧ユニット10のポート17aおよびポート18aが妨げられる切り換え位置にある。また、第1の2/2方向制御弁21は図2に対応する切り換え位置にあるため、加圧流体13aは、蓄圧器22に流入することだけが可能にされるが、蓄圧器22から油圧モータ6に流れることは可能にされない。
【0076】
よって、油圧液の油圧モータ6での流れは妨げられる。油圧モータ6は静止しており、ドアカーテン2を停止させている。上述されるように油圧的に妨げるようにすることに加えて、この実施形態は、摩擦ブレーキなどの機械式ブレーキ40をモータに対して作動させることを可能にし、これによって、確実に駆動システムが適所に機械的に保持されるため、油圧回路におけるいずれの高い圧縮加重の低減にも役立つ。
【0077】
よって、ブレーキモータの機械式ブレーキ40は、ドアカーテン2を一定の位置で維持するための機械的なやり方および手段によって支援される。
【0078】
図6に示される本発明によるドア駆動部5の第3の実施形態は、同じ目的にかなう。以下に示される差異は別として、油圧式ドア駆動部5は、この油圧部材に関して、図2図4に示される実施形態に対応する。この動作状態に関して、第3の実施形態(図6)による油圧式ドア駆動部5はまた、「ドアカーテン保持」位置にあり、この位置において、加圧流体13aの油圧モータ6での流れは、第1の4/3方向制御弁15によって抑制される。
【0079】
図2および図4に示される第1の実施形態の改良版において、図6による第3の実施形態はさらに、油圧モータ6の第2のポート18と並列に油圧的に接続されるリニアアクチュエータ50を備えるため、第2の逆止め弁19とも連結される。第1のリニアアクチュエータ50は、油圧シリンダとして構成され、かつばね51によってプリストレスを与えられるピストン52を有する。ピストン52は、ドアカーテン2の妨害凹部54に係合することが可能であるピストン棒53と連結されるため、ドアカーテン2の上方および下方での機械的なロックが引き起こされる。ドアカーテン2が油圧モータ6によって駆動される、すなわち、開放または閉鎖されるものとする場合、加圧流体13aは、油圧シリンダ50の圧力室55に進入し、かつばね51がプリストレスを与えられるように油圧シリンダ50内でのピストン52の移動を確実にする。これによって、ピストン棒53は妨害凹部54から切り離され、かつドアカーテン2は上方および下方に解放される。ばね51のばね定数は、油圧モータ6がドアカーテン2を移動させる十分な圧力を受ける前にドアカーテン2が完全に解除されるように適切に選択される。
【0080】
残りの油圧部材は、図2図4に示される実施形態と同一であり、また同じ機能を有する。これらの説明はここで繰り返されることはなく、これらの参照番号はそのままにされる。
【0081】
実施形態2および3と同様に、ドアカーテンを固定する/妨げるように設計されるさらなる特徴を含む、すなわち、「ドア保持」機能を有する、本発明によるドア駆動部5の第4の実施形態が図7に示される。ドア駆動部5によって既に提供されている油圧妨害手段とは別に、電気的、機械的、または油圧的のどちらででも駆動されてよいさらなる妨害物を提供する実施形態2および3と対照的に、図7に示されるような第4の実施形態は、「ドア保持」機能を確実にするためのさらなる油圧手段を提供する。この目的のために、油圧モータ6の第2のポート18から第2の逆止め弁19までのラインにおいてライン破裂保護弁60が設けられ、上記のライン破裂保護弁60は、停止した位置にある時に自由流れを可能にし、かつライン破裂保護弁60に連結されるラインのうちの1つに圧力降下がある時に遮断位置に移動する。ライン破裂、すなわち、ライン漏洩の発生時に、ライン破裂保護弁60は、既知のやり方で作動位置に移動し、この作動位置において、本実施形態の例では、逆止め弁19を使用して、油圧モータ6から蓄圧器22または第2の逆止め弁19までの油圧流を抑制する。ライン破裂の発生時に、閉鎖方向におけるドアカーテン2の故意でない移動が結果的に回避可能である。結果として、事故の危険性は低減可能である。
【0082】
図8は、本発明によるドア駆動部5の第5の実施形態を示し、このドア駆動部5は、図2図4に示される第1の実施形態の手段に加えて、ドアを、例えば、避難路および救助路における使用に適するようにする非常時開放機能、および/または、ドアを、例えば、防火目的に適するようにする非常時閉鎖機能を含む。この実施形態はさらに、第3の2/2方向制御弁70および第4の2/2方向制御弁71をさらに提供することで、非常時開放機能および非常時閉鎖機能両方を実現可能にする。第3の2/2方向制御弁70は、この正常位置として遮断位置を有し、かつ片側で油圧モータ6の第2のポート18と連結される。反対側では、第3の2/2方向制御弁70は、オリフィス72またはスロットルなどの流れ低減手段を介してタンク/貯槽12と連結される。
【0083】
第4の2/2方向制御弁71は、油圧モータ6の第1のポート17と連結され、かつ正常位置として遮断位置を有する。この他端では、第4の2/2方向制御弁71は、第2の2/2方向制御弁24および第2の圧力制御弁25を介して貯槽/タンク12と連結され、さらに、第1の2/2方向制御弁21の蓄圧器側と連結される。
【0084】
図8による例示では非作動である第2の切り換え位置では、第4の2/2方向制御弁71は自由流れを可能にする。
【0085】
例えば、第3の2/2方向制御弁70および第4の2/2方向制御弁71が、自由流れを可能にするように切り換えられる場合、油圧液または加圧流体13aが油圧モータ6を流れ、かつドアカーテン2を閉鎖させる、例えば、下げる(駆動部30の第1の方向)ように、蓄圧器22からの放圧が可能である。これが、所望より早くに生じず、かつドアカーテン2が突然下がらないように、調節可能オリフィスおよび/または調節可能スロットルとしても構成可能であるオリフィス72が絞り部材として設けられる。このオリフィス72を使用して、油圧流体13の逆流を抑止可能であることで、ドアを閉鎖する、例えば、下げることは迅速ではあるが、(速度の低下に関して)適度に可能になる。
【0086】
第3の2/2方向制御弁70が遮断状態のままであり、第4の2/2方向制御弁71のみが遮断される場合、加圧流体13aは、蓄圧器22から(第2の切り換え位置、すなわち、図8では非作動である自由流れ位置にある)第1の2/2方向制御弁21を介して油圧モータ6の第2の端子18に移ることを可能とされ、この第2の端子18は、この切り換え位置では油圧液入口の機能を果たし、そして加圧流体13aは、駆動部31の第2の方向において油圧モータ6を駆動することを可能とされ、これによって、ドアカーテン2は上げられる。加圧流体13aが油圧モータ6を(第1のポート17を介して)出ることを可能にするために、第1のポート17が分岐ライン26を介してタンク12と連通するように第1の4/3方向制御弁15は位置付けられる。これは、図2に示されるような4/3方向制御弁15の切り換え位置に対応する。蓄圧器22のサイズのみならず、一定の圧力下で蓄えられた加圧流体13aの量は、蓄圧器22に蓄えられた圧力エネルギーが油圧モータ6を駆動するのに十分であるように調整されることによって、ドアカーテン2は、少なくとも、緊急時に開放されるのに必要な程度まで上げられ得る。結果として、蓄圧器22に蓄えられる圧力エネルギーは、例えば、停電の発生時に、昇降ドア1を、例えば、避難路に配置される場合は緊急時に開放すること、および、昇降ドア1を、例えば、消防目的で酸素障壁としての役割を果たすものとする場合は緊急時に閉鎖することの両方を行うために油圧ユニット10を駆動するために利用可能である。
【0087】
図9は、複数の油圧モータ6が設けられる、本発明による複数の油圧式ドア駆動部5の配置構成を示す。3つのドア駆動部5全ては、図1における実施形態に関連してより詳細に説明されたように、蓄圧器22と連結される。油圧ユニット10は、第2の4/3方向制御弁80および第3の方向制御弁81を有し、これらは第1の4/3方向制御弁15と並列に連結され、これらのポートに関しては、第1の4/3方向制御弁15と同様に第1の圧力制御弁16を介して油圧ポンプ11と連結される。また、この例において、第2のリニアアクチュエータ(油圧シリンダ)83に加圧流体13aまたは油圧液13を供給する可能性を与える第4の4/3方向制御弁82が提供される。この実施形態の例によって、例えば、単一の(多通路)油圧ユニット10によって複数のドア駆動部5および任意選択で他の油圧駆動部(リニアシリンダ)を動作させることが可能になって、複数のドア駆動部5は、本発明に従って、先に説明したように、蓄圧器22と結合される。
【0088】
図10は、電気なしで駆動される油圧ユニットを備える、本発明による油圧式ドア駆動部の第6の実施形態を示す。この実施形態における油圧ユニット10は、リニア油圧ポンプ100を構成するリニアシリンダ100として構成される。リニア油圧ポンプ100は、車乗り入れ式スロープ101によって作動させることができる。車乗り入れ式スロープでは、例えば、ホールの床に組み込まれ、かつ、例えば、トラックまたは無人輸送システムなどのマテリアルハンドリング車両によって運転可能である。このようなマテリアルハンドリング車両の自重により、スロープ101は、リニア油圧ポンプにおける作業空間においてばね102からのばね圧に対して変位することによって、油圧液の体積流量が生じる。この加圧流を使用して、第4の4/3方向制御弁103を介して油圧モータ6を駆動することができる。第4の4/3方向制御弁103は、油圧モータ6の、駆動部30の第1の方向および駆動部31の第2の方向に対する1つの切り換え位置をそれぞれ提供する。油圧モータ6からの戻りラインはタンク12に通じている。第1の2/2方向制御弁21を蓄圧器22と連結するラインは、リニア油圧ポンプ100の内部と連結される圧力ラインから分岐する。
【0089】
加圧流体が過剰圧力の発生時にタンク12内に戻る際に経由し得る第2の圧力制御弁25は、図2図4による実施形態の例にあるのと同様に並列に連結される。
【0090】
このように設計される油圧式ドア駆動部5は好ましくは、スロープ101がマテリアルハンドリング車両によって運転されているあるいはおもりによって作動する時、それによってリニアポンプ101において生じた体積流量が、油圧モータ6によってドアが開放されるように油圧モータ6に送られるように動作される。支援策として、加圧された油圧液13aは、第1の2/2方向制御弁21によって蓄圧器22から引き出され得る。
【0091】
図10に示される位置にある時、この動作モードに対応する第5の2/2方向制御弁104も提供される。
【0092】
上述される「ドア開放」の動作モードでは、第4の4/3方向制御弁103は、図に示されるものから逸脱して、油圧モータ6がドアを開放するように位置付けられる。ドアが開放されたままにできる場合、第4の4/3方向制御弁103は、油圧モータ6が油圧的に妨げられるように図10に示される遮断位置へと移動する。ドアがこのように開放される時、スロープ101上を通るマテリアルハンドリング車両は、リニア油圧ポンプ100を動作させることによって、図10に示される第1の2/2方向制御弁の位置に基づいて、蓄圧器22における圧力を増大させることができる。さらにまた、このような圧力供給を使用して、ドアを開放または閉鎖することができる。このように繰り返し連続して昇圧できるようにするために、図10に示されるものから逸脱したリニア油圧ポンプ100に油圧入口を設けることで、ばね102に対する張力が解除される時にポンプがタンクから油圧液を取り入れることを可能にすることが適切であり得る。逆止め弁はこのラインでは適切であり得る。代替策として、このようなタンクとの連結は、図10から逸脱する切り換え位置において第5の2/2方向制御弁によって確立されてよく、この場合、第5の2/2方向制御弁104は、油圧液が取り入れられる限り図10に示されるものから逸脱する切り換え位置にとどまることが適切である。
【0093】
上記の説明は一貫してドア要素として巻回可能なドアカーテン2に言及している。しかしながら、発明概念全体はまた、順応性があり柔軟なやり方で巻き上げ可能であるウエブ材料の意味の範囲内でドアカーテン2の代わりに剛性ドアカーテン部分から形成される外装ドアシャッタを有する昇降ドア1に容易に適用可能である。その程度まで、本出願の意味の範囲内の用語ドアカーテンはまた、組み立て式ドアの外装ドアシャッタが剛性セグメントまたは剛性ドアカーテン部分から構成されることを意味すると常に理解されるものとする
【0094】
本発明によるドア駆動部によって、例えば、ばね組立品などの機械エネルギー蓄積装置を必要とすることのない簡易なやり方でドア駆動部の緊急操作が可能になり、それによって、この種類のエネルギー蓄積装置と関連付けられた摩滅によるメンテンナスのみならず、事故の危険性が低減する。
【0095】
また、扉は、非常に簡易な油圧的手段およびやり方によって確実に落下しないようにすることができ、この結果として、特大のブレーキおよび制動装置を省くことができるため、機械作動システムと比較して費用は大幅に低減可能である。
【0096】
さらに、蓄圧器22およびこれに蓄えられる圧力エネルギーを適当に設定することによって、無制限の非常時閉鎖および/または非常時開放機能を利用可能にすることができることで、状況に応じて適切におよび電力の供給とは無関係に、実際の駆動動作に対して電気エネルギーを必要とすることなく、例えば、手動で動作させる弁、または作動弁のバッテリバックアップなどの非常電源ユニットによって、ドアを開放または閉鎖させることが可能になる。結果として、防火仕様はそのように、特に、避難路および/または防火壁の自動提供に関して、容易に満たされ得る。
【0097】
さらに、ドアカーテンの閉鎖経路に障害物が検出される時、ドアカーテンはできるだけ迅速に容易に停止され得、ドアを開放することが可能である。本発明による蓄圧器22は、十分な量の圧力エネルギーを蓄えて、検出されるいずれの障害物にも非常に迅速に反応し、かつほとんど瞬時にドアを開放することを可能にする。
【符号の説明】
【0098】
1 昇降ドア
2 ドアカーテン
3 巻き上げボックス
4 垂直案内通路
5 ドア駆動部
6 油圧モータ
6a 歯車機構
7 螺旋ガイド
8 電気動作ユニット
10 油圧ユニット
11 油圧ポンプ
12 油圧液貯槽(貯槽)
13 油圧液
13a 加圧流体
14 第1の逆止め弁
15 第1の4/3方向制御弁
16 第1の圧力制御弁
17 第1のポート
18 第2のポート
17a;18a ポート
19 第2の逆止め弁
20 第1の分岐ライン
21 第1の2/2方向制御弁
22 蓄圧器
22a ガスクッション
23 第2の分岐ライン
24 第2の2/2方向制御弁
25 第2の圧力制御弁
26 第3の分岐ライン
30 第1の駆動方向
31 第2の駆動方向
40 機械式ブレーキ
50 第1のリニアアクチュエータ/油圧シリンダ
51 ばね
52 ピストン
53 ピストン棒
54 妨害凹部
55 圧力室
60 ライン破裂保護弁
70 第3の2/2方向制御弁
71 第4の2/2方向制御弁
72 オリフィス
80 第2の4/3方向制御弁
81 第3の4/3方向制御弁
82 第4の4/3方向制御弁
83 第2のリニアアクチュエータ/油圧シリンダ
100 リニア油圧ポンプ
101 車乗り入れ式スロープ
102 ばね
103 第4の4/3方向制御弁
104 第5の2/2方向制御弁
120 2/2方向制御弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10