IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オナー デバイス カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20231220BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20231220BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
H01Q1/52
H01Q7/00
H01Q1/22 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022543750
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2021083419
(87)【国際公開番号】W WO2021208710
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】202010306594.4
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521218881
【氏名又は名称】オナー デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ゥローン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ビーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン,ユイチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ハンヤーン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ホゥイリヤーン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チーエン-ミーン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/067803(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/087065(US,A1)
【文献】特表2017-531325(JP,A)
【文献】中国実用新案第207069050(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/311960(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/074459(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/52
H01Q 7/00
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
画像を表示するように構成されたディスプレイモジュールと、
無線周波数回路を含むメインボードと、
前記ディスプレイモジュールを囲み、前記無線周波数回路に結合され、無線周波数信号を受信または送信するように構成された金属フレームと、
前記ディスプレイモジュールまたは前記ディスプレイモジュールの前記メインボードに近い側に位置し、前記ディスプレイモジュールに接続されたシールド構造と、
を備え、ここで、前記シールド構造は金属シールド層を含み、前記金属シールド層は前記金属フレームおよび前記無線周波数回路から絶縁され、前記シールド構造は、前記金属フレーム内に配置され、前記金属フレームによって囲まれており、前記金属シールド層は前記金属フレーム内に懸架され
前記金属フレーム、前記金属シールド層、および前記ディスプレイモジュールは、いずれも円リング状であり、前記金属フレーム、前記金属シールド層、および前記ディスプレイモジュールの中心は一致しているか、または
前記金属フレーム、前記金属シールド層、および前記ディスプレイモジュールは、いずれも矩形リング状であり、前記金属フレーム、前記金属シールド層、および前記ディスプレイモジュールの幾何学的中心は一致しており、前記幾何学的中心は、前記矩形リングの2つの対角線の交点である、
電子デバイス。
【請求項2】
前記金属シールド層は、複数の交差する金属線によって形成されたメッシュ構造を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記金属線の線幅が0.1μmから20μmの範囲であり、2つの隣接する金属線間の距離が0.1μmから500μmの範囲であり、前記金属線がシート抵抗Rを有し、0<R≦10Ω/□である、
請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記金属シールド層の環状部分の幅Hは、0mm<H≦2mmの範囲である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記電子デバイスは近距離無線通信回路を含み、前記近距離無線通信回路および前記シールド構造は、いずれも前記ディスプレイモジュールの前記メインボードに近い側に配置され、
前記シールド構造は、前記近距離無線通信回路と前記ディスプレイモジュールとの間に位置し、前記近距離無線通信回路は、前記金属シールド層の開口部分を通して前記ディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信するように構成される、
請求項1からのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記電子デバイスは近距離無線通信回路を含み、前記近距離無線通信回路および前記シールド構造は、いずれも前記ディスプレイモジュールの前記メインボードに近い側に配置され、
前記近距離無線通信回路は、前記シールド構造と前記ディスプレイモジュールとの間に位置し、前記近距離無線通信回路は、前記ディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信するように構成される、
請求項1からのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記ディスプレイモジュールはディスプレイパネルを含み、前記シールド構造は前記ディスプレイパネルの光放出側に配置され、前記金属シールド層の開口部分は、前記ディスプレイパネルのアクティブエリアを露出させるために使用される、請求項1からのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記シールド構造は第1の透明キャリアプレートをさらに含み、前記金属シールド層は、前記第1の透明キャリアプレートの前記ディスプレイモジュールに近い側の表面に配置され、
前記第1の透明キャリアプレートは前記ディスプレイモジュールに接続され、前記第1の透明キャリアプレートの厚さは、23μmから150μmの範囲である、
請求項またはに記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記金属シールド層の材料は、銀または銅のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記シールド構造は、前記金属フレームから前記ディスプレイモジュールに放射されるエネルギーを遮蔽するように構成される、請求項1に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ディスプレイ技術の分野、特に、電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
小型化、薄型化、および高い画面対本体比の開発傾向により、端末製品は、内部構造空間が狭く、アンテナのヘッドルーム領域が次第に圧縮され、これによりアンテナ効率の向上が困難になっている。現在は、アンテナ効率を向上させるために、アンテナの端部に接続されたシールド構造を配置することが可能である。しかしながら、これは、製品の主構造に影響を与え、製品設計の複雑さを増大させる可能性がある。加えて、このような構造のアンテナは、使用領域または空間自由度に制限があり、組立てプロセスがより複雑である。
【発明の概要】
【0003】
本出願の実施形態は、アンテナ効率を向上させ、端末の組立てプロセスを簡略化するために電子デバイスを提供する。
【0004】
前述の目的を達成するために、本出願では以下の技術的解決策が使用される。
【0005】
本出願の実施形態の第1の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、メインボードと、金属フレームと、ディスプレイモジュールと、シールド構造とを含む。ディスプレイモジュールは、画像を表示するように構成される。メインボードは無線周波数回路を含む。金属フレームは、無線周波数回路に結合され、無線周波数信号を受信または送信するように構成される。ディスプレイモジュールは、金属フレーム内に配置され、金属フレームによって囲まれている。シールド構造は、ディスプレイモジュール内にまたはディスプレイモジュールのメインボードに近い側に位置し、ディスプレイモジュールに接続される。シールド構造は金属シールド層を含む。金属シールド層は金属フレームおよび無線周波数回路から絶縁され、金属シールド層は環状である。この場合、シールド構造における金属シールド層は、金属フレームとディスプレイモジュールとの間に反射を発生させ、それによって、金属フレームからの放射エネルギーによってディスプレイモジュール内に生じる電界強度を弱め得る。このようにして、ディスプレイモジュール内の金属材料、特に透明金属材料に集中する電界分布が弱められ、その結果、透明金属材料上の電流が低減され、金属フレームからディスプレイモジュールに放射されるエネルギーが遮蔽されて、ディスプレイモジュール内の損失材料によるアンテナ放射エネルギーの吸収を低減し、アンテナ効率を向上させる。加えて、金属シールド層が環状であるため、金属シールド層がディスプレイモジュールのメインボードに近い側に配置されると、近距離無線通信回路などの、金属シールド層のディスプレイモジュールから離れた側の通信回路は、リング内の開口部分を通して信号を送信および受信することができる。さらに、金属シールド層がディスプレイモジュール内に位置している場合、例えば、ディスプレイモジュール内のディスプレイパネルの光放出側に配置される場合、リング内の開口部分を使用して、ディスプレイパネルのアクティブエリアを露出させ、それによって、ディスプレイ効果への影響を軽減し得る。
【0006】
任意選択的に、金属シールド層は、複数の交差する金属線によって形成されたメッシュ構造を含む。メッシュ構造では2つの隣接する金属線の間に隙間が存在するので、金属シールド層における中空部の面積を大きすることができ、それによって、金属シールド層の透過率を高めることができる。
【0007】
任意選択的に、金属線の線幅が0.1μmから20μmの範囲であり、2つの隣接する金属線間の距離が0.1μmから500μmの範囲であり、金属線がシート抵抗Rを有し、0<R≦10Ω/□である。「Ω/□」はシート抵抗の単位である。この場合、金属シールド層は、前述の線幅および距離を有する金属シールド層の透過率が85%に達することができるように、金属メッシュプロセスを使用して作製(prepare)され得る。加えて、金属線のシート抵抗は10Ω/□以内であり、これにより、金属シールド層の導電性が良好になり、金属フレームからの放射エネルギーの金属シールド層による反射を高めて、シールド効果を向上させることができる。
【0008】
任意選択的に、金属シールド層の環状部分の幅Hは、0mm<H≦2mmの範囲である。金属シールド層のHが2mmを超えても、金属シールド層によるシールド効果の利益は変わらない(steady)傾向がある。したがって、材料を節約するために、金属シールド層120の開口していない部分の幅Hは、0mm<H≦2mmの範囲であり得る。
【0009】
任意選択的に、金属フレーム、金属シールド層、およびディスプレイモジュールは、いずれも円リング状である。金属フレーム、金属シールド層、およびディスプレイモジュールの中心は一致している。代替的に、金属フレーム、金属シールド層、およびディスプレイモジュールは、いずれも矩形リング状である。金属フレーム、金属シールド層、およびディスプレイモジュールの幾何学的中心は一致している。幾何学的中心は、矩形リングの2つの対角線の交点である。これにより、金属フレーム、金属シールド層、およびディスプレイモジュールの組立てが容易になる。
【0010】
任意選択的に、電子デバイスは近距離無線通信回路を含む。近距離無線通信回路およびシールド構造は、いずれもディスプレイモジュールのメインボードに近い側に配置される。シールド構造は、近距離無線通信回路とディスプレイモジュールとの間に位置する。近距離無線通信回路は、金属シールド層の開口部分を通してディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信するように構成される。このようにして、シールド構造は、アンテナエネルギーの吸収からディスプレイモジュール内の金属材料を保護するために使用され得、シールド構造の開口部分を通して近距離無線通信信号を依然として送信および受信することができる。
【0011】
任意選択的に、電子デバイスは近距離無線通信回路を含む。近距離無線通信回路およびシールド構造は、いずれもディスプレイモジュールのメインボードに近い側に配置される。近距離無線通信回路は、シールド構造とディスプレイモジュールとの間に位置する。近距離無線通信回路は、ディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信するように構成される。シールド構造を近距離無線通信回路の下方に配置することにより、シールド構造が、ディスプレイパネル側での近距離無線通信回路による通信信号の送受信に影響を与えないようにすることができる。この場合、金属シールド層は、ディスプレイパネルの背面全体を覆うことができるため、金属シールド層の被覆率は、シールド効果を高めるのに十分な大きさになる。
【0012】
任意選択的に、ディスプレイモジュールはディスプレイパネルを含む。シールド構造はディスプレイパネルの光放出側に配置される。金属シールド層の開口部分は、ディスプレイパネルのアクティブエリアを露出させるために使用される。この場合において、ディスプレイパネルが液晶ディスプレイであり、ディスプレイパネル内の共通電極がセル基板上に配置されている場合、ディスプレイパネルの光放出側に配置されたシールド構造は共通電極により近い。さらに、ディスプレイパネルが有機発光ダイオードディスプレイである場合、有機発光ダイオードディスプレイパネルのメインボードから離れた側の第1の電極(例えば、カソード)はシールド構造により近い。共通電極および第1の電極の両方が透明金属材料で作られ得るので、シールド構造を透明金属材料のより近くに配置して、金属フレームからの放射エネルギーの透明金属材料による吸収を効果的に低減することができ、それによってアンテナ効率を向上させることができる。
【0013】
任意選択的に、シールド構造は第1の透明キャリアプレートをさらに含む。金属シールド層は、第1の透明キャリアプレートのディスプレイモジュールに近い側の表面に配置される。第1の透明キャリアプレートはディスプレイモジュールに接続され、第1の透明キャリアプレートの厚さは、23μmから150μmの範囲である。第1の透明キャリアプレートの厚さが23μm未満である場合、製造プロセスは高精度である必要があり、製造コストの低減につながらない。さらに、第1の透明キャリアプレートの厚さが150μmを超える場合、電子デバイスの全体的な厚さが増し、製品を小型化、薄型化、および軽量化するという設計要件を満たさない。
【0014】
任意選択的に、ディスプレイモジュールは、ディスプレイパネルの光放出側に配置されたタッチスクリーンをさらに含む。タッチスクリーンは、第2の透明キャリアプレートと、複数の絶縁性透明タッチ電極とを含む。タッチ電極は、第2の透明キャリアプレートのディスプレイパネルから離れた側の表面に位置している。金属シールド層は、タッチスクリーンとディスプレイパネルとの間に配置される。第2の透明キャリアプレートは、ディスプレイパネルに接続される。この場合、ディスプレイモジュールは、セル外タッチディスプレイモジュールである。シールド構造における金属シールド層は、透明金属材料で作られたタッチ電極に近接しており、金属フレームからの放射エネルギーの透明金属材料による吸収を効果的に低減することができ、それによってアンテナ効率を向上させる。
【0015】
任意選択的に、ディスプレイモジュールは、複数の絶縁性透明タッチ電極をさらに含む。タッチ電極は、ディスプレイパネルのメインボードから離れた側の表面に配置される。シールド構造は第1の透明キャリアプレートをさらに含む。金属シールド層は、第1の透明キャリアプレートのディスプレイパネルから離れた側の表面に配置される。第1の透明キャリアプレートはディスプレイパネルに接続される。この場合、ディスプレイモジュールは、セル外タッチディスプレイモジュールである。シールド構造における金属シールド層は、透明金属材料で作られたタッチ電極に近接しており、金属フレームからの放射エネルギーの透明金属材料による吸収を効果的に低減することができ、それによってアンテナ効率を向上させる。
【0016】
任意選択的に、ディスプレイパネルは、複数の絶縁性透明タッチ電極を含む。シールド構造は第1の透明キャリアプレートをさらに含む。金属シールド層は、第1の透明キャリアプレートのディスプレイパネルに近い側の表面に配置される。第1の透明キャリアプレートはディスプレイパネルに接続される。この場合、ディスプレイモジュールは、埋め込み式タッチディスプレイモジュールである。シールド構造における金属シールド層は、透明金属材料で作られたタッチ電極に近接しており、金属フレームからの放射エネルギーの透明金属材料による吸収を効果的に低減することができ、それによってアンテナ効率を向上させる。
【0017】
任意選択的に、金属シールド層の材料は、銀または銅のうちの少なくとも1つを含む。これにより、金属シールド層の材料は良好な導電性を持つことができ、金属フレームからの放射エネルギーの金属シールド層による反射の効果を高め、それによってシールド効果を向上させることができる。
【0018】
任意選択的に、金属シールド層は、メインボード上の接地端子に結合される。これによってもシールド効果が得られる。
【0019】
任意選択的に、シールド構造は、金属フレームからディスプレイモジュールに放射されるエネルギーを遮蔽して、金属フレームから放射されるエネルギーによってディスプレイモジュール内に生じる電界強度を弱めるように構成される。このようにして、ディスプレイモジュール内の金属材料、特に透明金属材料に集中する電界分布が弱められ、その結果、透明金属材料上の電流が低減され、金属フレームからディスプレイモジュールに放射されるエネルギーが遮蔽されて、ディスプレイモジュール内の損失材料によるアンテナ放射エネルギーの吸収を低減し、アンテナ効率を向上させる。
【0020】
任意選択的に、シールド構造は、金属フレーム内に配置され、金属フレームによって囲まれている。このようにして、金属フレームがディスプレイモジュールおよびシールド構造の両方を包むことができるように、シールド構造がディスプレイモジュールに取り付けられ得る。
【0021】
本出願の実施形態の第2の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、ディスプレイモジュールと、メインボードと、金属フレームと、シールド構造とを含む。ディスプレイモジュールは、画像を表示するように構成される。メインボードは無線周波数回路を含む。金属フレームは、ディスプレイモジュールの周囲に配置され、無線周波数回路に結合され、無線周波数信号を受信または送信するように構成される。シールド構造は、ディスプレイモジュール内にまたはディスプレイモジュールのメインボードに近い側に位置し、ディスプレイモジュールに接続される。シールド構造は金属シールド層を含む。金属シールド層は金属フレームおよび無線周波数回路から絶縁される。金属シールド層は、複数の交差する金属線によって形成されたメッシュ構造を含む。金属シールド層のシールド効果は、上述したものと同じであり、ここでは繰り返さない。加えて、金属シールド層が金属メッシュとして構成される場合において、金属シールド層がディスプレイモジュールのメインボードに近い側に配置される場合、近距離無線通信回路などの、金属シールド層のディスプレイモジュールから離れた側にある通信回路は、メッシュ構造の間隙(または開口部)を通して信号を送信および受信することができる。さらに、金属シールド層がディスプレイモジュール内に位置する場合、例えば、ディスプレイモジュール内のディスプレイパネルの光放出側に配置される場合、メッシュ構造内の間隙(または開口部)を使用して、ディスプレイパネルのアクティブエリアを露出させ得、それによって、ディスプレイ効果への影響を軽減する。
【0022】
任意選択的に、金属線の線幅が0.1μmから20μmの範囲であり、2つの隣接する金属線間の距離が0.1μmから500μmの範囲であり、金属線がシート抵抗Rを有し、0<R≦10Ω/□である。この場合、金属シールド層の透過率は85%に達する。
【0023】
任意選択的に、電子デバイスは近距離無線通信回路を含む。近距離無線通信回路およびシールド構造は、いずれもディスプレイモジュールのメインボードに近い側に配置される。シールド構造は、近距離無線通信回路とディスプレイモジュールとの間に位置する。近距離無線通信回路は、メッシュ構造の開口部分を通してディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信するように構成される。近距離無線通信回路とディスプレイモジュールとの間にシールド構造を配置する技術的効果は、上述したものと同じであり、ここでは繰り返さない。
【0024】
任意選択的に、電子デバイスは近距離無線通信回路を含み、近距離無線通信回路およびシールド構造は、いずれもディスプレイモジュールのメインボードに近い側に配置される。近距離無線通信回路は、シールド構造とディスプレイモジュールとの間に位置し、近距離無線通信回路は、ディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信するように構成される。シールド構造とディスプレイモジュールとの間に近距離無線通信回路を配置する技術的効果は、上述したものと同じであり、ここでは繰り返さない。
【0025】
任意選択的に、ディスプレイモジュールはディスプレイパネルを含む。シールド構造はディスプレイパネルの光放出側に配置される。シールド構造をディスプレイパネルの光放出側に配置する技術的効果は、上述したものと同じであり、ここでは繰り返さない。
【0026】
本出願の実施形態の第3の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、ディスプレイモジュールと、メインボードと、金属フレームと、シールド構造とを含む。ディスプレイモジュールは、画像を表示するように構成される。メインボードは無線周波数回路を含む。ディスプレイモジュールを囲む金属フレームは、無線周波数回路に結合され、無線周波数信号を受信または送信するように構成される。シールド構造は、ディスプレイモジュールのメインボードに近い側に位置し、ディスプレイモジュールに接続される。シールド構造は金属シールド層を含む。金属シールド層は金属フレームおよび無線周波数回路から絶縁される。金属シールド層は、ディスプレイモジュールのメインボードに近い側を覆う。金属シールド層のシールド効果は、上述したものと同じであり、ここでは繰り返さない。加えて、金属シールド層がディスプレイモジュールのメインボードに近い側を覆うことにより、金属シールド層がディスプレイパネルの背面全体を覆うことができるため、金属シールド層の被覆率は、シールド効果を高めるのに十分な大きさになる。
【0027】
任意選択的に、電子デバイスは近距離無線通信回路を含む。近距離無線通信回路およびシールド構造は、いずれもディスプレイモジュールのメインボードに近い側に配置される。近距離無線通信回路は、シールド構造とディスプレイモジュールとの間に位置する。近距離無線通信回路は、ディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信するように構成される。シールド構造とディスプレイモジュールとの間に近距離無線通信回路を配置する技術的効果は、上述したものと同じであり、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】本出願の一実施形態による電子デバイスの概略構造図である。
図1b】本出願の一実施形態による別の電子デバイスの概略構造図である。
図1c】線E-Eに沿った図1aまたは図1bの断面図である。
図2a図1cのディスプレイモジュールの概略構造図である。
図2b図1cのディスプレイモジュールの別の概略構造図である。
図3】本出願の一実施形態による、アンテナ周波数と、損失材料によって吸収されるアンテナエネルギーとの線グラフである。
図4a】本出願の一実施形態によるディスプレイパネルの概略構造図である。
図4b】本出願の一実施形態によるディスプレイパネルの内部構造の概略図である。
図5】本出願の一実施形態による別のディスプレイパネルの概略構造図である。
図6】本出願の一実施形態によるシールド構造の配置の概略図である。
図7a】本出願の一実施形態による電子デバイスの断面の概略構造図である。
図7b】本出願の一実施形態による別の電子デバイスの概略構造図である。
図7c】本出願の一実施形態による別の電子デバイスの概略構造図である。
図8】本出願の一実施形態によるシールド構造の別の構成の概略図である。
図9a】本出願の一実施形態による別の電子デバイスの概略構造図である。
図9b】本出願の一実施形態によるシールド構造の配置の概略図である。
図10a】本出願の一実施形態による、アンテナ周波数と、損失材料によって吸収されるアンテナエネルギーとの線グラフである。
図10b】本出願の一実施形態によるアンテナ周波数とSパラメータとの線グラフである。
図11】本出願の一実施形態による電子デバイスの電界分布の概略図である。
図12】本出願の一実施形態による電子デバイスの電流分布の概略図である。
図13】本出願の一実施形態による、アンテナ周波数と、損失材料によって吸収されるアンテナエネルギーとの別の線グラフである。
図14】本出願の一実施形態によるシールド構造の別の構成の概略図である。
図15a】本出願の一実施形態によるシールド構造の概略構造図である。
図15b】本出願の一実施形態によるシールド構造の別の概略構造図である。
図15c】本出願の一実施形態によるシールド構造の別の概略構造図である。
図16】本出願の一実施形態による別の電子デバイスの断面の概略構造図である。
図17a図16のシールド構造の概略構造図である。
図17b図16のシールド構造の別の概略構造図である。
図17c図16のシールド構造の別の概略構造図である。
図18】本出願の一実施形態による別の電子デバイスの断面の概略構造図である。
図19】本出願の一実施形態による別の電子デバイスの断面の概略構造図である。
【0029】
参照符号の説明は以下の通り:
01:電子デバイス、10:ディスプレイモジュール、20:金属フレーム、11:導電部、12:シールド構造、30:メインボード、101:ディスプレイパネル、102:BLU、200:アレイ基板、201:セル基板、202:液晶層、212:液晶分子、31:画素電極、32:共通電極、41:第1の基板、100:サブ画素、33:OLEDデバイス、331:第1の電極、332:第2の電極、333:発光機能層、34:パッケージングカバープレート、120:金属シールド層、121:第1の透明キャリアプレート、122:金属線、50:中空構造、103:NFC、105:カバープレート、104:タッチスクリーン、114:第2の透明キャリアプレート、124:タッチ電極。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本出願の実施形態における添付図面を参照して、本出願の実施形態における技術的解決策について説明する。明らかに、説明される実施形態は、本出願の実施形態のすべでてはなく、一部にすぎない。
【0031】
加えて、「第1」および「第2」などの用語は、単に説明を目的としたものであり、相対的な重要性の指示もしくは含意、または示された技術的特徴の数の暗黙的な指示として理解されないものとする。したがって、「第1」、「第2」などによって限定される特徴は、1つまたは複数の特徴を明示的または暗示的に含むことができる。本出願の説明では、別段に明記しない限り、「複数の(a plurality of)」は、少なくとも2つを意味する。
【0032】
加えて、本出願では、「上(upper)」、「下(lower)」、「左(left)」、および「右(right)」などの向きを示す用語は、添付の図面の概略的な向きに対して定義され得るが、それに限定されない。これらの向きを示す用語は、相対的な概念であり得、相対的な説明および明確化のために使用され、添付の図面における構成要素の配置方向の変化に応じて相応に変化し得ることを理解されたい。
【0033】
本出願の説明では、別段に明示的に指定および定義されない限り、「接続」という用語は、その一般的な意味で理解されるべきである。例えば、「接続」は、固定の接続、着脱可能な接続、もしくは統合的な接続であってもよく、または直接的な接続、もしくは中間媒体を介した間接的な接続であってもよい。加えて、「結合」という用語は、信号伝送を実施するための電気接続方法であり得る。「結合」は、直接的な電気接続であってもよく、または中間媒体を介した間接的な電気接続であってもよい。
【0034】
本出願の一実施形態は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、およびスマートウォッチなどのハンドヘルドの通話および表示が可能な電子製品を含み得る。本出願の実施形態は、前述の電子デバイスの特定の形態に対して特別な限定を課さない。説明を容易にするために、説明は、電子デバイス01が図1aに示されるスマートウォッチまたは図1bに示される携帯電話である例に基づく。
【0035】
図1aまたは図1bに示すように、電子デバイス01は、ディスプレイモジュール10と金属フレーム20とを含み得る。ディスプレイモジュール10は、画像を表示するように構成される。ディスプレイモジュール10が金属フレーム20内に配置され得るように、金属フレーム20がディスプレイモジュール10の周囲に配置される。加えて、電子デバイス01は、図1c(図1aまたは図1bの線E-Eに沿った断面図)に示されるメインボード30をさらに含む。メインボード30は、リジッドプリント回路基板(printed circuit board、PCB)またはフレキシブルプリント回路基板(flexible printed circuit board、FPCB)であり得る。無線周波数(radio frequency、RF)回路は、メインボード30上に配置される。
【0036】
金属フレーム20は、ねじまたはばね板などの図1cに示す導電部11を使用することによってメインボード30上のRF回路に結合され得、それにより、金属フレーム20は、ねじまたはばね板を介して直接給電され得、金属フレーム20がアンテナとして無線周波数信号を受信または送信することを可能にする。代替的に、金属フレーム20と導電部11との間にキャパシタが形成され得、それにより、金属フレーム20は、このキャパシタを通して間接的に結合されて給電されてもよい。本出願は、金属フレーム20が給電される方法を限定するものではない。
【0037】
加えて、導電部11がメインボード30上のRF回路に電気的に接続される位置は、プリント回路基板の給電点(feed-in point)と呼ばれ得る。金属フレーム20が導電部11を通して給電された後、アンテナとしての金属フレーム20の動作周波数は、導電部11に結合されるプリント回路基板の給電点または接地点の位置によって変動し得る。
【0038】
例えば、金属フレーム20は、2.4GHzの動作周波数を有するBluetoothアンテナ、2.4GHzまたは5GHzの動作周波数を有するワイヤレスフィデリティ(wireless-fidelity、Wi-Fi)アンテナ、1228MHzの動作周波数を有する全地球測位システム(global positioning system、GPS)アンテナ、または第4世代(4G)信号などの通信アンテナとして機能し得る。このようにして、アンテナとしての金属フレーム20は、低周波数(例えば、700MHzから960MHz程度)、および中高周波数(例えば、1710MHzから2690MHz)の帯域をカバーすることができる。加えて、金属フレーム20は、450MHzから6GHz、または24GHzから52GHzの動作周波数を有する第5世代(5G)通信アンテナとして機能し得る。本出願は、アンテナとしての金属フレーム20の各部分の動作周波数を限定するものではない。
【0039】
金属フレーム20内のディスプレイモジュール10は、ディスプレイパネル(display panel、DP)を含み得る。本出願のいくつかの実施形態では、図2aに示すように、ディスプレイパネル101は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)であり得る。この場合、図2aに示すように、ディスプレイモジュール10は、LCDに光源を提供するバックライトユニット(back light unit、BLU)102をさらに含む。LCDは、リジッドディスプレイパネルであり得る。
【0040】
代替的に、本出願のいくつかの他の実施形態では、図2bに示すように、ディスプレイパネル101は、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)ディスプレイであってもよい。OLEDディスプレイパネルは、それ自体で光を発することができるので、ディスプレイモジュール10内にBLU102を配置する必要はない。OLEDディスプレイパネルは、リジッドディスプレイパネルであってもよく、またはOLEDディスプレイパネルの基板がフレキシブル基板である場合、OLEDディスプレイパネルは、フレキシブルディスプレイパネルであってもよい。
【0041】
これを踏まえ、金属フレーム20のアンテナ効率を向上させるために、本願のこの実施形態において提供される電子デバイス01は、図1cに示されるシールド構造12をさらに含む。シールド構造12は、金属フレーム20内に配置され、金属フレーム20から絶縁され、ディスプレイモジュール10に接続され得る。シールド構造12は、金属フレーム20からディスプレイモジュール10に放射されるエネルギーを遮蔽するように構成される。
【0042】
ディスプレイモジュール10、特にディスプレイモジュール10のディスプレイパネル101では、一部の金属材料は、金属フレーム20によって放射されたエネルギーを吸収し、金属フレーム20のアンテナ効率を低下させ得る。そのような金属材料は、損失材料と呼ばれ得る。図3(損失材料によって吸収されるアンテナエネルギーとアンテナの動作周波数との線グラフ)に示すように、2GHzから2.8GHzの周波数範囲では、ディスプレイモジュール10内の金属材料
【数1】
は、最大で約0.15ワット(W)のアンテナ放射エネルギーを吸収する可能性がある。しかしながら、前述の金属材料のうち、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)などの透明金属材料
【数2】
は、最大で約0.04ワット(W)のアンテナ放射エネルギーを吸収する可能性がある。したがって、透明金属材料によって吸収される金属フレーム20(すなわちアンテナ)の放射エネルギーは、金属材料に吸収されるアンテナ放射エネルギー全体の中で、占める割合が大きい。
【0043】
この場合、金属フレーム20内にシールド構造12が配置され、シールド構造12は、金属フレーム20とディスプレイモジュール10との間に反射を発生させて、金属フレーム20からの放射エネルギーによってディスプレイモジュール10内に生じる電界強度を弱めることができる。このようにして、透明金属材料に集中する電界分布が弱められ、透明金属材料上の電流が低減され、金属フレーム20からディスプレイモジュール10に放射されるエネルギーが遮蔽されて、金属フレーム20からの放射エネルギーの、ディスプレイモジュール10内のITOなどの損失材料による吸収を低減し、アンテナ効率を向上させる。
【0044】
以下は、例によって、ディスプレイモジュール10における透明金属材料の配置を示す。
【0045】
例えば、本出願のいくつかの実施形態では、ディスプレイモジュール10がLCDディスプレイパネル101とBLU102とを含む場合、LCDディスプレイパネル101は、図4aに示すアレイ基板200と、アレイ基板200に対向して配置されたセル基板201とを含み得る。アレイ基板200とセル基板201との間のキャビティは、液晶セル(cell)を形成する。加えて、LCDディスプレイパネル101は、アレイ基板200とセル基板201との間に充填された液晶層202をさらに含む。カラー表示を実現するために、セル基板201はカラーフィルタ層(図示せず)を含み得る。この場合、カラーフィルタ層を有するセル基板201は、カラーフィルタ基板と呼ばれ得る。カラーフィルタ層は、ディスプレイパネル101におけるサブ画素(sub pixel)の異なる位置にしたがって、赤色光、緑色光、または青色光などの、BLU102によって発せられる白色光の異なる色をフィルタリング除去することができる。
【0046】
異なるサブ画素が位置している領域において液晶層202内の液晶分子212の偏向方向を制御して、サブ画素の表示階調を制御するために、アレイ基板200は、図4bに示す第1の基板41と、第1の基板41上の複数の画素回路(図示せず)とを含み得る。各画素回路が1つのサブ画素100内に位置する。画素回路は、トランジスタTとトランジスタTに接続された液晶キャパシタとを含み得る。
【0047】
液晶キャパシタは図4bに示すように、すべてのサブ画素100に位置する画素電極(pixel electrode)31と、第1の基板41全体を覆う共通電極(common electrode)32とを含み得る。画素電極31および共通電極32は、ITOなどの透明金属材料で作られている。
【0048】
共通電極32および画素電極31はすべて、アレイ基板200の第1の基板41上に配置され得ることに留意されたい。代替的に、画素電極31はアレイ基板200の第1の基板41に配置されてもよく、共通電極32はセル基板201に位置する。本出願は、画素電極31および共通電極32の配置位置を限定するものではない。
【0049】
代替的に、例えば、本出願のいくつかの他の実施形態では、ディスプレイモジュール10はOLEDディスプレイパネル101を含む。図5に示すように、OLEDディスプレイパネル101は、複数のOLEDデバイス33を備えている。OLEDデバイス33は、第1の電極331(例えばカソード)と、第2の電極332(例えばアノード)と、第1の電極331と第2の電極332との間の発光機能層333とを有する。第1の電極331および第2の電極332に電圧を印加すると、第1の電極331と第2の電極332との間に形成される電界により、発光機能層333中の発光層を励起して光を発することができる。
【0050】
例えば、OLEDデバイス33が上面発光デバイスである場合、第1の電極331は、OLEDデバイス33が(メインボード30から離れる)上方向に光を発することができるように、ITOなどの透明金属材料で作られ得る。本出願のいくつかの実施形態では、OLEDディスプレイパネル内のすべてのOLEDデバイスの第1の電極331は、一体的に形成されたカソード層を形成するように接続され得る。
【0051】
代替的に、別の例として、本出願のいくつかの他の実施形態では、ディスプレイモジュール10がタッチ機能を有する場合、ディスプレイモジュール10は、複数の絶縁性透明タッチ電極をさらに含み得る。タッチ電極124は、ITOなどの前述した透明金属材料で作られ得る。
【0052】
本出願は、タッチ機能を有するディスプレイモジュール10のタイプを限定するものではないことに留意されたい。例えば、タッチ電極は、オンセル(on cell)技術を使用することによって、ディスプレイパネル101の光放出側に製造され得る。代替的に、タッチ電極は、インセル(in cell)技術を使用することによって、ディスプレイパネル101の内部に統合され得る。加えて、タッチ電極は、自己静電容量方式または相互静電容量方式でタッチを実現し得る。
【0053】
これを踏まえ、金属フレーム20からディスプレイモジュール10への放射エネルギーの、ディスプレイモジュール10内の透明金属材料による吸収を低減するために、シールド構造12は、図6に示す金属シールド層120を含み得る。金属シールド層120は、金属フレーム20および無線周波数回路から絶縁されている。金属シールド層120は、図6に示すように、ディスプレイモジュール10の下方(すなわち、メインボード30に近い側)に配置されてもよく、またはディスプレイモジュール10内に配置されてもよい。
【0054】
加えて、金属シールド層120による金属フレーム20からの放射エネルギーの反射を高めて、シールド効果を向上させるために、金属シールド層120は、良好な導電性を有する金属材料、例えば、銀または銅のうちの少なくとも1つで作られ得る。
【0055】
ディスプレイモジュール10の前述の構造に基づいて、以下は、例によってシールド構造12の構造および配置を示す。
【0056】
実施例1
この例では、シールド構造12は、ディスプレイモジュール10の下方(すなわち、メインボード30に近い側)に配置される。
【0057】
この場合、金属シールド層120は、ディスプレイモジュール10の背面(すなわち、メインボード30により近い側の表面)に直接取り付けられ得る。代替的に、図7aに示すように、シールド構造12は、金属シールド層120を担持するための第1の透明キャリアプレート121をさらに含み得る。金属シールド層120は、ディスプレイモジュール10のより近くに配置される。第1の透明キャリアプレート121は、金属シールド層120が金属フレーム20内に懸架され得るように、圧入によってディスプレイモジュール10の背面に取り付けられ得る。この場合、ディスプレイモジュール10は金属フレーム20によって囲まれているので、ディスプレイモジュール10の下に取り付けられたシールド構造12も、金属フレーム20内に配置され、金属フレームによって囲まれているであろう。
【0058】
これにより、金属シールド層120を電子デバイス01により容易に設置することができる。加えて、金属シールド層120が位置する平面は、ディスプレイモジュール10の表示面およびメインボード30が位置する平面に対して平行またはほぼ平行であるので、金属シールド層120は、電子デバイス01の主構造にあまり影響を与えず、それによって、製品設計および組み立ての複雑さが低減される。
【0059】
加えて、第1の透明キャリアプレート121は、樹脂材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)で作られ得る。本出願は、第1の透明キャリアプレート121の厚さを限定するものではない。例えば、第1の透明キャリアプレート121の厚さは、23μmから150μmの範囲であり得る。第1の透明キャリアプレート121の厚さが23μm未満である場合、製造プロセスは高精度である必要があり、製造コストの低減につながらない。さらに、第1の透明キャリアプレート121の厚さが150μmを超える場合、電子デバイス01の全体的な厚さが増し、製品を小型化、薄型化、および軽量化するという設計要件を満たさない。本出願のいくつかの実施形態では、第1の透明キャリアプレート121の厚さは、23μm、30μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、100μm、または150μmであり得る。
【0060】
ディスプレイモジュール10がLCDディスプレイパネル101とBLU102とを含む場合、ディスプレイモジュール10の背面は、BLU102のメインボード30により近い側の表面を指すことに留意されたい。代替的に、ディスプレイモジュール10がOLEDディスプレイパネル101を含む場合、ディスプレイモジュール10の背面は、OLEDディスプレイパネル101のメインボード30に近い側の表面を指す。
【0061】
加えて、電子デバイス01は、図7aに示すように、近距離無線通信回路(near field communication、NFC)103をさらに含み得る。NFC103は、ディスプレイモジュール10のメインボード30により近い側に配置される。シールド構造12は、NFC103とディスプレイモジュール10との間に位置する。
【0062】
これを踏まえ、NFC103がディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信することを可能にするために、図7aに示すように、少なくとも1つの中空構造50が金属シールド層120上に配置される(図7aでは例として1つの中空構造50が使用される)。このようにして、NFC103は、金属シールド層120上の中空構造50を通して近距離無線通信信号を送信することができ、または外部の近距離無線通信信号は、金属シールド層120上の中空構造50を通過することができ、NFC103によって受信される。
【0063】
以下は、例によって中空構造50の配置を示す。
【0064】
本出願のいくつかの実施形態では、図7bに示すように、金属シールド層120は中空構造50を有する。中空構造50は、金属シールド層120に設けられた開口部であり得る。この場合、金属シールド層120は環状であり得る。本出願のいくつかの実施形態では、金属シールド層120の形状を電子デバイス01全体の形状に一致させるために、金属シールド層120の外縁輪郭および開口部(すなわち、中空構造50)の形状は、金属フレーム20の外縁輪郭に一致し得る。
【0065】
例えば、電子デバイス01が図7bに示される腕時計であるとき、この腕時計の金属フレーム20の外縁輪郭は円形であるので、金属シールド層120の外縁輪郭および開口部(すなわち、中空構造50)の形状も同じく円形であり、金属シールド層120の外縁輪郭および開口部(すなわち、中空構造50)の形状および金属フレーム20の外縁輪郭は同心円である。この場合、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10は円リング状であり、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10の中心は一致している。これにより、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10の組立てが容易になる。代替的に、別の例として、電子デバイス01が図7cに示される携帯電話である場合、携帯電話の金属フレーム20の外縁輪郭は矩形であるので、金属シールド層120の外縁輪郭および開口部(すなわち、中空構造50)の形状も同じく矩形である。この場合、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10は矩形リング状であり、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10の幾何学的中心は一致する。幾何学的中心は、矩形リングの2つの対角線の交点である。これにより、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10の組立てが容易になる。
【0066】
代替的に、いくつかの電子デバイス01では、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10のうちのいくつかが円リング状であってもよく、他のものが矩形リング状であってもよい。この場合、金属フレーム20、金属シールド層120、およびディスプレイモジュール10の幾何学的中心は一致する。幾何学的中心は、円リングの中心であるか、または矩形リングの2つの対角線の交点である。例えば、金属フレーム20が矩形リング状であり、金属シールド層120およびディスプレイモジュール10が円リング状である場合、金属フレーム20の2つの対角線の交点は、金属シールド層120およびディスプレイモジュール10の中心と一致し得る。
【0067】
確かに、本出願のいくつかの他の実施形態では、金属シールド層120の外縁輪郭および開口部(すなわち、中空構造50)の形状は、金属フレーム20の外縁輪郭と異なり得る。
【0068】
金属シールド層120の開口していない部分の幅、すなわち、金属シールド層120の環状部分の幅H(図7bまたは図7cに示す)は、0mm<H≦2mmの範囲であり得る。金属シールド層120の環状部分の幅Hが2mmを超えても、金属シールド層120のシールド効果の利益は変わらない傾向がある。したがって、材料を節約するために、金属シールド層120の開口していない部分の幅Hは、0.5mm、1.5mm、または2mmであり得る。
【0069】
この場合、シールド構造12の製造中に、銀ペーストまたは銅箔で作られている金属薄膜層が第1の透明キャリアプレート121上に形成され得る。次いで、例えばエッチングにより金属薄膜層の材料の一部を除去して中空構造50を形成する。代替的に、本出願のいくつかの他の実施形態では、3次元(three dimensional、3D)印刷プロセスを使用することによって、環状の金属シールド層120が第1の透明キャリアプレート121上に形成され得る。本出願は、中空構造50を有する金属シールド層120の製造方法を限定するものではなく、他の製造方法については、本明細書で詳細に説明しない。
【0070】
本出願のいくつかの他の実施形態では、図8に示すように、金属シールド層120は、複数の中空構造50を有し得る。この場合、金属シールド層120は、複数の交差する金属線122を含み得る。各中空構造50は、複数の隣接する金属線122の交点によって画定される間隙であり得る。例えば、間隙は、矩形、三角形、多角形、または不規則な形状であってもよい。
【0071】
この場合、金属シールド層120は、複数の交差する金属線122によって形成された金属メッシュ(metal mesh)構造であり得る。NFC103は、メッシュ状の金属シールド層120内の複数の隣接する金属線122によって画定される間隙、すなわち、中空構造50を通して、ディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信することができる。本出願のいくつかの実施形態では、金属メッシュプロセスを使用して、小さい線幅を有する金属線122、例えば、0.1μmから20μmの線幅を有する金属線122を作製することができる。2つの隣接する金属線122間の距離は、0.1μmから500μmの範囲であり得る。加えて、金属線122は、シート抵抗Rを有し得、ここで、0<R≦10Ω/□である。
【0072】
このようにして、金属線122の線幅が小さいので、金属シールド層120の透過率は85%に達することができる。加えて、金属メッシュプロセス(フォトリソグラフィプロセスを含む)は、金属線122のシート抵抗を10Ω/□以内になるように制御することができ、それにより、金属シールド層120は、良好な導電性を有することができ、金属フレーム20からの放射エネルギーの金属シールド層120による反射を高めるのを助け、シールド効果を向上させる。
【0073】
本出願のいくつかの他の実施形態では、図9aに示すように、金属シールド層120は、複数の中空構造50を有し得る。中空構造50のうちの1つは、金属シールド層120が環状となるように金属シールド層120内に設けられた開口部であってもよい。電子デバイス01を腕時計とすると、開口部の形状は金属フレーム20の輪郭に一致し、両方とも円形である。代替的に、図9bに示すように、電子デバイス01を携帯電話とすると、開口部の形状は金属フレーム20の輪郭に一致し、両方とも矩形である。
【0074】
加えて、金属メッシュプロセスを使用することによって金属シールド層120の環状部分上に金属メッシュ構造が形成され、複数の隣接する金属線122によって画定される間隙が中空構造50として使用され得る。このようにして、NFC103の近距離無線通信信号を遮蔽することができる金属シールド層120の部分がさらに減り、それによって、NFC103による近距離無線通信信号の送信および受信の効率を向上させる。
【0075】
この場合、腕時計などの電子デバイス01が図9aに示す金属シールド層120の構造を採用するとき、アンテナ信号を放射する際の金属フレーム20のアンテナ効率は、図10aの曲線(1)によって示される。金属シールド層120のない腕時計のアンテナ効率は、図10aの曲線(2)によって示される。曲線(1)におけるアンテナ周波数は、曲線(2)と比較して改善されていることが分かる。例えば、2.4GHz Bluetooth帯域付近の、金属シールド層120を有する腕時計のアンテナ効率は、大幅に(約0.64dB)改善される。
【0076】
加えて、腕時計などの電子デバイス01が図9aに示す金属シールド層120の構造を採用する場合、図10bの曲線(1)は、アンテナ信号を放射する金属フレーム20を示すS11曲線である。図10bの曲線(2)は、金属シールド層120のない腕時計のS11曲線である。曲線(2)と比較して、曲線(1)では、2.4GHz Bluetooth帯域付近の反射係数の大きさがわずかに上方にシフトしていることが分かる。
【0077】
要約すれば、腕時計などの電子デバイス01に金属シールド層120を設けると、金属フレーム20はアンテナとして機能し、アンテナ効率が向上する。アンテナ効率および反射係数は、金属フレーム20からの放射エネルギーの、ディスプレイモジュール10内の損失材料による吸収に関連する。反射係数が負の方向に大きいほど、または、金属フレーム20からの放射エネルギーの、ディスプレイモジュール10内の損失材料による吸収が小さいほど、アンテナ効率は高くなる。反射係数が負の方向に小さいほど、または、金属フレーム20からの放射エネルギーの、ディスプレイモジュール10内の損失材料による吸収が大きいほど、アンテナ効率が低くなる。しかしながら、金属シールド層120を有する腕時計の反射係数(曲線(1))は、金属シールド層120を有さない時計の反射係数(曲線(2))と比較してあまり変化しないことが図10bから分かる。したがって、本出願の実施形態において提供される電子デバイス01におけるアンテナ効率の向上は、主に、金属フレーム20からの放射エネルギーのディスプレイモジュール10内の損失材料による吸収の低減によるものである。
【0078】
上述したように、金属シールド層120は、金属フレーム20とディスプレイモジュール10との間に反射を発生させて、金属フレーム20からの放射エネルギーによってディスプレイモジュール10内に生じる電界強度を弱めることができる。例えば、金属シールド層120を有さない腕時計の電界分布を図11(a)に示し、金属シールド層120を有する腕時計の電界分布を図11(b)に示す。図11(b)の金属フレーム20における電界強度(白い部分)は、図11(a)と比較して大幅に弱められていることが分かる。
【0079】
加えて、金属シールド層120を有さない腕時計の電流分布を図12(a)に示し、金属シールド層120を有する腕時計の電流分布を図12(b)に示す。図12(b)の金属フレーム20における電流(白い部分)は、図12(a)と比較して大幅に弱められていることが分かる。したがって、金属シールド層120は、金属フレーム20からディスプレイモジュール10に放射されるエネルギーを遮蔽することができ、金属フレーム20からの放射エネルギーのディスプレイモジュール10内の損失材料による吸収を低減し、それによって、アンテナ効率を向上させることができる。
【0080】
この場合、図13(損失材料によって吸収されるアンテナエネルギーと、アンテナの動作周波数との線グラフ)に示すように、2GHzから2.8GHzの周波数範囲では、金属シールド層120を有さないディスプレイモジュール10内の金属材料によって吸収される金属フレーム20の放射エネルギー(曲線(1))のピーク値は、約0.15ワット(W)に達する可能性がある。しかしながら、金属シールド層120を有するディスプレイモジュール10内の金属材料によって吸収される金属フレーム20の放射エネルギー
【数3】
のピーク値は、約0.13ワット(W)に低減される。
【0081】
さらに、金属シールド層120を有さないディスプレイモジュール10内の、ITOなどの透明金属材料によって吸収される金属フレーム20の放射エネルギー(曲線(2))の損失ピーク値は、約0.04ワット(W)に達する可能性がある。しかしながら、金属シールド層120を有するディスプレイモジュール10内の透明金属材料によって吸収される金属フレーム20の放射エネルギー
【数4】
のピーク値は、約0.02ワット(W)に低減される。
【0082】
前述の説明によれば、透明金属材料によって吸収される金属フレーム20の放射エネルギーは、金属材料によって吸収される金属フレーム20の放射エネルギー全体の中で、占める割合が大きい。しかしながら、電子デバイス01に金属シールド層120を設けると、金属フレーム20の放射エネルギーの透明金属材料による吸収を大幅に低減することができ、それによって、アンテナ効率を効果的に向上させる。
【0083】
実施例2
実施例1と同様に、この実施例では、シールド構造12は、ディスプレイモジュール10の下方(すなわち、メインボード30に近い側)に配置される。加えて、ディスプレイモジュール10は、図14に示すNFC103をさらに含み得る。NFC103は、ディスプレイモジュール10のメインボード30により近い側に配置される。
【0084】
実施例1とは異なり、NFC103は、シールド構造12とディスプレイモジュール10との間に位置する。NFC103は、ディスプレイモジュール側で近距離無線通信信号を送信または受信し、シールド構造12は、NFC103のメインボード30により近い側に位置するので、シールド構造12は、NFC103による近距離無線通信信号の送信および受信に影響を与えない。
【0085】
本出願のいくつかの実施形態では、図14に示すように、シールド構造12内の金属シールド層120は、第1の透明キャリアプレート121上に配置された薄膜層全体であり得る。金属シールド層120は、第1の透明キャリアプレート121のNFC103により近い側の表面上に位置する。第1の透明キャリアプレート121は、圧入によってNFC103の下側の表面(メインボード30により近い表面)に取り付けられ得る。この場合、メインボード30上のディスプレイモジュール10の垂直投影は、メインボード30上の金属シールド層120の垂直投影のカバレッジ内である。
【0086】
代替的に、本出願のいくつかの他の実施形態では、金属シールド層120は、図15aに示すように、矩形リングまたは円リングなどの環状形状であってもよい。金属シールド層120には開口部が設けられており、この開口部が金属シールド層120の中空構造50として機能する。この場合、金属シールド層120の開口していない部分の幅Hは、上述したように、0mm<H≦2mmの範囲であり得る。
【0087】
代替的に、本出願のいくつかの他の実施形態では、金属シールド層120は、図15bに示すように、金属メッシュであり得る。代替的に、金属シールド層120は、図15cに示すように、中央に開口部を有する矩形リング状の金属メッシュであってもよい。この場合、金属シールド層120内の金属線122の線幅、2つの隣接する金属線122間の距離、および金属線122のシート抵抗Rは、上述したものと同じであり、ここでは繰り返さない。
【0088】
実施例1および実施例2において、ディスプレイモジュール10におけるディスプレイパネル101の種類および構造は限定されないことに留意されたい。例えば、ディスプレイパネル101は、LCDディスプレイパネルであってもよく、またはOLEDディスプレイパネルであってもよい。さらに、ディスプレイモジュール10は、オンセルタッチディスプレイモジュールであってもよく、またはインセルタッチディスプレイモジュールであってもよい。
【0089】
さらに、実施例1および実施例2は両方とも、シールド構造12がディスプレイモジュール10の下方(すなわち、メインボード30に近い側)に配置される例に基づいている。これを踏まえ、ディスプレイパネル101がLCDディスプレイパネルである場合、上述したように、LCDディスプレイパネルにおけるメインボード30に近い側のアレイ基板200には、ITOなどの透明金属材料で作られた画素電極31が設けられるか、または画素電極31および共通電極32が設けられる(図4bに示すように)。この場合、シールド構造12がディスプレイモジュール10の下方に配置されると、シールド構造12内の金属シールド層120は、ディスプレイパネル101内の透明金属材料(すなわち、画素電極31および共通電極32)により近くなり、金属フレーム20からの放射エネルギーの透明金属材料による吸収を低減するのを助け、アンテナ効率を向上させる。
【0090】
本出願の以下の実施形態では、ディスプレイモジュール10がディスプレイパネル101を含む場合、シールド構造12は、ディスプレイパネル101の光放出側(すなわち、画像を表示するために使用される側)に配置され得る。
【0091】
実施例3
この例では、シールド構造12は、ディスプレイパネル101の光放出側に配置され得る。この場合、シールド構造12がディスプレイパネル101の表示画像に影響を与えることを防ぐために、シールド構造12の金属シールド層120はリング状であってもよく、リングの中央にある開口部は、ディスプレイパネル101のアクティブエリア(active area、AA)を露出させるために使用される。または、金属シールド層120は、最大で85%の透過率を有する金属メッシュ構造であってもよい。
【0092】
加えて、ディスプレイモジュール10は、オンセルタッチディスプレイモジュールであり得る。この場合、ディスプレイモジュール10は、図16に示すように、ディスプレイパネル101の光放出側に配置されたタッチスクリーン104をさらに含む。タッチスクリーン104は、第2の透明キャリアプレート114と、複数の絶縁性透明タッチ電極124とを含む。タッチ電極124は、第2の透明キャリアプレート114のディスプレイパネル101から離れた側の表面に配置される。第2の透明キャリアプレート114は、透明な樹脂材料またはガラスで作られ得る。
【0093】
これを踏まえ、シールド構造12内の金属シールド層120は、タッチスクリーン104とディスプレイパネル101との間に配置され得る。第2の透明キャリアプレート114は、ディスプレイパネル101に接続される。この場合、シールド構造12は、金属シールド層120のみを含み得る。製造プロセスにおいて、金属シールド層120は、ディスプレイパネル101の光放出側の表面上に製造され得る。代替的に、金属シールド層120は、第2の透明キャリアプレート114のディスプレイパネル101により近い側の表面上に製造されてもよい。
【0094】
本出願の実施形態では、ディスプレイパネル101がLCDディスプレイパネルである場合、ディスプレイパネル101の光放出側の表面は、ディスプレイパネル101におけるセル基板201(図4aに示すような)のメインボード30から離れた側の表面を指すことに留意されたい。代替的に、ディスプレイパネル101がOLEDディスプレイパネルである場合、ディスプレイパネル101の光放出側の表面は、ディスプレイパネル101におけるパッケージングカバープレート34(図5に示すような)またはパッケージングフィルムのメインボード30から離れた側の表面を指す。
【0095】
これを踏まえ、タッチ電極124は、第2の透明キャリアプレート114のディスプレイパネル101から離れた側の表面上に位置するので、タッチ電極124を保護するために、ディスプレイモジュール10は、タッチ電極124の上部を覆うカバープレート105をさらに含み得る。カバープレート105は、ガラスまたはサファイアで作られ得る。
【0096】
加えて、ディスプレイパネル101の光放出側に位置する金属シールド層120がディスプレイ効果に影響を与えることを防止するために、本出願のいくつかの実施形態では、金属シールド層120は、図17aに示すように、矩形リングまたは円リング状などのリング状であり得る。金属シールド層120の中央位置には、比較的大きな開口部が設けられている。開口部により、ディスプレイパネル101のAAエリアを露出させることができ、金属シールド層120の環状部分の周囲の領域は、ディスプレイパネル101の周囲の駆動回路部分のみを遮蔽する。
【0097】
代替的に、本出願のいくつかの他の実施形態では、金属シールド層120は、図17bに示されるように、金属メッシュであってもよい。代替的に、金属シールド層120は、図17cに示すように、中央に開口部を有する矩形リング状の金属メッシュであってもよい。上述したように、金属メッシュプロセスを用いて金属メッシュを作製する場合、金属メッシュ内の金属線122の線幅は0.1μmから20μmの範囲である。2つの隣接する金属線122間の距離は、0.1μmから500μmの範囲であり得る。この場合、金属線122は人間の目に認識されず、メッシュ状の金属シールド層120は人間の目には透明な状態となる。この場合、金属シールド層120の透過率は85%に達することができるので、ディスプレイパネル101のディスプレイ効果はあまり影響を受けない。
【0098】
実施例4
実施例3と同様に、この実施例では、シールド構造12は、ディスプレイパネル101の光放出側に配置され、シールド構造12の金属シールド層120は、リング状であってもよく、リングの中央の開口部は、ディスプレイパネル101のAAエリアを露出するために使用される。または金属シールド層120は、最大85%の透過率を有する金属メッシュ構造であってもよい。加えて、ディスプレイモジュール10は、オンセルタッチディスプレイモジュールである。
【0099】
実施例3とは異なり、ディスプレイモジュール10は、図18に示すように、複数の絶縁性透明タッチ電極124をさらに含む。タッチ電極124は、ディスプレイパネル101のメインボード30から離れた側の表面に配置される。
【0100】
この場合、シールド構造12は、金属シールド層120と第1の透明キャリアプレート121とを含み得る。金属シールド層120は、第1の透明キャリアプレート121のディスプレイパネル101から離れた側の表面に配置される。第1の透明キャリアプレート121は、圧入によってディスプレイパネル101の光放出側の表面に取り付けられ得る。加えて、金属シールド層120を保護するために、ディスプレイモジュール10は、タッチ電極124の上部を覆うカバープレート105をさらに含み得る。金属シールド層120およびカバープレート105の配置は、実施例3のものと同じであり、ここでは繰り返さない。
【0101】
要約すれば、実施例3および実施例4は両方とも、ディスプレイモジュール10がオンセルタッチディスプレイモジュールである例に基づいている。金属シールド層120は、タッチ電極124のより近くに配置される。上述したように、タッチ電極124は、ITOなどの透明金属材料で作られ得る。したがって、金属シールド層120がタッチ電極124のより近くに配置されるとき、金属シールド層120は、金属フレーム20からの放射エネルギーの透明金属材料による吸収を低減するのを助け、それによって、アンテナ効率を向上させる。
【0102】
加えて、実施例3および実施例4において、ディスプレイモジュール10におけるディスプレイパネル101の種類および構造は限定されない。例えば、ディスプレイパネル101は、LCDディスプレイパネルであってもよく、またはOLEDディスプレイパネルであってもよい。上述したように、ディスプレイパネル101がOLEDディスプレイパネルである場合、図5に示すように、複数のOLEDデバイスのうち、透明金属材料で作られている第1の電極331が上方(すなわち、ディスプレイパネルの光放出側のより近く)に位置する。したがって、シールド構造12がディスプレイパネル101の光放出側、例えば、タッチ電極124とディスプレイパネル101との間に配置される場合(実施例3)、またはタッチ電極124の上方に配置される場合(実施例4)、シールド構造12内の金属シールド層120は、ディスプレイモジュール10内の透明金属材料(すなわち、タッチ電極124および第1の電極331)により近くなり得る。これは、金属フレーム20からの放射エネルギーの透明金属材料による吸収を低減するのを助け、それによって、アンテナ効率を向上させる。
【0103】
本出願の以下の実施形態では、ディスプレイモジュール10は、インセルタッチディスプレイモジュールである。
【0104】
実施例5
この実施例では、シールド構造12は、ディスプレイパネル101の光放出側に配置され得、シールド構造12の金属シールド層120は、リング状であってもよく、リングの中央の開口部は、ディスプレイパネル101のAAエリアを露出するために使用される。または、金属シールド層120は、最大で85%の透過率を有する金属メッシュ構造であってもよい。加えて、ディスプレイモジュール10は、インセルタッチディスプレイモジュールであってもよい。
【0105】
この場合、ディスプレイパネル101は、図19に示すように、複数の絶縁性透明タッチ電極124を含み得る。シールド構造12は、金属シールド層120と第1の透明キャリアプレート121とを含み得る。金属シールド層120は、第1の透明キャリアプレート121のディスプレイパネル101により近い側の表面に配置される。第1の透明キャリアプレート121は、圧入によってディスプレイパネル101に取り付けられ得る。金属シールド層120の配置は、実施例3のものと同じであり、ここでは繰り返さない。この場合、第1の透明キャリアプレート121は、フィンガータッチを受け取るための電子デバイス01のカバープレートとして機能し得る。
【0106】
ディスプレイパネル101が複数の絶縁性透明タッチ電極124を含み得、これは、タッチ電極124がディスプレイパネル101に統合されることを意味することに留意されたい。例えば、ディスプレイパネル101がLCDディスプレイパネルであり、ディスプレイパネル101における共通電極32(図4bに示す)がセル基板201(図4aに示す)上に製造される場合、複数の共通電極32は、離間された複数のブロック電極にされてもよい。この場合、タッチ制御時には、すべてのブロック電極がタッチ電極124として機能する。表示時には、複数のブロック電極が、同じ電圧を受け、共通電極32として再使用される。代替的に、例えば、ディスプレイパネル101がOLEDディスプレイパネルである場合、OLEDデバイスのうちの第1の電極331が、タッチ制御時にタッチ電極として再使用され得る。
【0107】
上記では、ディスプレイモジュール10がタッチ電極124を含む例を使用することによって、シールド構造12の構成を説明している。さらに、ディスプレイモジュール10がタッチ機能を有さない場合、シールド構造12における金属シールド層120は、ディスプレイパネル101の光放出側の表面に直接配置され得る。
【0108】
さらに、上記の説明はすべて、金属シールド層120が金属フレーム20内に懸架される例に基づいている。本出願のいくつかの他の実施形態では、代替的に、金属シールド層120は、シールド効果を達成するために、メインボード30上の接地端子に結合されてもよい。
【0109】
前述の説明は、本出願の単なる特定の実装形態であるが、本出願の保護範囲を限定することは意図されていない。本出願において開示される技術的範囲内の任意の変形または置換は、本出願の保護範囲内に含まれるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
図14
図15a
図15b
図15c
図16
図17a
図17b
図17c
図18
図19