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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20231221BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20231221BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F16H57/04 K
F16H57/04 B
F16H57/04 J
F16H1/28
F16H1/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020549338
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2019037796
(87)【国際公開番号】W WO2020067259
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2018185568
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】福永 慶介
(72)【発明者】
【氏名】宮田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真澄
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-098464(JP,A)
【文献】特開平06-081929(JP,A)
【文献】特開平06-323404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F16H 1/28
F16H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車軸を回転させる駆動装置であって、
モータ軸を中心として回転するモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトに接続される減速装置と、
前記減速装置に接続され、前記車軸を差動軸回りに回転させる差動装置と、
前記モータを収容するモータ収容部と前記減速装置および前記差動装置を収容するギヤ収容部とを有し、内部にオイルが収容されるハウジングと、
前記ハウジング内のオイルを送る電動オイルポンプと、
を備え、
前記差動軸は、前記モータ軸と一致し、
前記モータシャフトは、軸方向両側に開口する中空のシャフトであり、
前記モータシャフトの内部には、前記車軸が通され、
前記電動オイルポンプは、前記モータシャフトと前記車軸との径方向の隙間にオイルを供給し、
オイルを貯留可能な第1貯留部をさらに備え、
前記モータシャフトと前記車軸との径方向の隙間は、少なくとも一部が前記第1貯留部の内部に露出し、
前記電動オイルポンプは、前記第1貯留部内にオイルを送ることで前記モータシャフトと前記車軸との径方向の隙間にオイルを供給する、
駆動装置。
【請求項2】
前記モータシャフトは、前記モータシャフトの内部と前記モータシャフトの外周面とを繋ぐシャフト貫通孔を有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記モータシャフトの軸方向一方側の端部は、前記ギヤ収容部内に突出し、
前記第1貯留部は、前記ギヤ収容部の内部に位置し、
前記モータシャフトの軸方向一方側の開口のうち前記モータシャフトと前記車軸との径方向の隙間は、少なくとも一部が前記第1貯留部の内部に位置する、請求項に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記モータ収容部と前記ギヤ収容部とを仕切る仕切壁部を有し、
前記第1貯留部を構成する壁部の一部は、前記仕切壁部の一部であり、
前記仕切壁部のうち前記第1貯留部を構成する部分における前記ギヤ収容部側の面には、前記モータシャフトを回転可能に支持する第1ベアリングが保持される第1保持部が設けられる、請求項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記減速装置は、
前記モータシャフトのうち前記ギヤ収容部内に位置する部分に固定されるモータドライブギヤと、
前記モータドライブギヤの鉛直方向上側に位置し、前記モータシャフトの軸方向に沿って延びるカウンタシャフトと、
前記カウンタシャフトに固定され、前記モータドライブギヤと噛み合うカウンタギヤと、
を有し、
前記仕切壁部の前記ギヤ収容部側の面には、前記カウンタシャフトを回転可能に支持する第2ベアリングが保持される第2保持部が設けられ、
前記電動オイルポンプは、前記仕切壁部の前記ギヤ収容部側の面のうち前記第2保持部の鉛直方向上側に位置する部分から前記仕切壁部の前記ギヤ収容部側の面を介して前記第1貯留部内にオイルを送る、請求項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記差動装置は、前記差動軸を中心として回転するリングギヤを有し、
前記リングギヤの鉛直方向下側の端部は、前記ハウジング内のオイルに浸漬され、
前記第1貯留部は、鉛直方向上側に開口する、請求項からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記モータシャフトの軸方向一方側の端部は、前記ギヤ収容部内に突出し、
前記第1貯留部は、前記モータ収容部の内部に位置し、
前記モータシャフトの軸方向他方側の開口のうち前記モータシャフトと前記車軸との径方向の隙間は、少なくとも一部が前記第1貯留部の内部に位置する、請求項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記モータ収容部と前記ギヤ収容部とを仕切る仕切壁部を有し、
前記モータ収容部の内部のうち鉛直方向下側の領域には、オイルが溜まる第1オイル溜りが設けられ、
前記ギヤ収容部の内部のうち鉛直方向下側の領域には、オイルが溜まる第2オイル溜りが設けられ、
前記仕切壁部は、前記モータ収容部の内部と前記ギヤ収容部の内部とを繋ぐ第1油路を有し、
前記第1オイル溜りのオイルは、前記第1油路を介して前記第2オイル溜りに移動可能であり、
前記電動オイルポンプは、前記第2オイル溜りに開口する吸入口からオイルを吸い上げる、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記モータ収容部と前記ギヤ収容部とを仕切る仕切壁部を有し、
前記モータ収容部の内部のうち鉛直方向下側の領域には、オイルが溜まる第1オイル溜りが設けられ、
前記ギヤ収容部の内部のうち鉛直方向下側の領域には、オイルが溜まる第2オイル溜りが設けられ、
前記仕切壁部は、前記モータ収容部の内部と前記ギヤ収容部の内部とを繋ぐ第2油路を有し、
前記第2オイル溜りのオイルは、前記第2油路を介して前記第1オイル溜りに移動可能であり、
前記電動オイルポンプは、前記第1オイル溜りに開口する吸入口からオイルを吸い上げる、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記モータは、
前記モータシャフトを有するロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
を有し、
前記モータ収容部の壁部には、オイルが通る第3油路が設けられ、
前記第3油路は、前記モータ収容部の内側面のうち前記ステータの鉛直方向上側に位置する部分に開口し、
前記電動オイルポンプは、前記第3油路を介して前記ステータにオイルを供給する、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記モータ収容部には、オイルを貯留可能な第2貯留部が設けられ、
前記第3油路は、前記第2貯留部から、前記モータ収容部の内側面のうち前記ステータの鉛直方向上側に位置する部分まで延び、
前記電動オイルポンプは、前記第2貯留部にオイルを送ることで、前記第3油路を介し
て前記ステータにオイルを供給する、請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ギヤ収容部の壁部には、オイルが通る第4油路が設けられ、
前記第4油路は、前記ギヤ収容部の内側面のうち前記減速装置の鉛直方向上側に位置する部分に開口し、
前記電動オイルポンプは、前記第4油路を介して前記減速装置にオイルを供給する、請求項1から11のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記減速装置は、遊星歯車機構を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を駆動する電気駆動装置が知られる。例えば、日本国公表公報:特表2017-534032号公報には、出力軸がモータの中空軸を貫通する構成が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公表公報:特表2017-534032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成においては、中空軸の内部にオイルを供給してモータを冷却することが考えられる。しかし、中空軸には出力軸が通されるため、中空軸と出力軸との隙間にオイルを供給する必要があり、オイルを中空軸の内部に供給しにくい。したがって、モータへのオイルの供給量を十分に確保しにくい問題があった。
また、任意のタイミングで中空軸の内部にオイルを供給することができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、車軸が通された中空のモータシャフト内へのオイルの供給量を向上させることができ、かつ、任意のタイミングでモータシャフト内にオイルを供給することができる構造を有する駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、車両の車軸を回転させる駆動装置であって、モータ軸を中心として回転するモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトに接続される減速装置と、前記減速装置に接続され、前記車軸を差動軸回りに回転させる差動装置と、前記モータを収容するモータ収容部と前記減速装置および前記差動装置を収容するギヤ収容部とを有し、内部にオイルが収容されるハウジングと、前記ハウジング内のオイルを送る電動オイルポンプと、を備える。前記差動軸は、前記モータ軸と一致する。前記モータシャフトは、軸方向両側に開口する中空のシャフトである。前記モータシャフトの内部には、前記車軸が通される。前記電動オイルポンプは、前記モータシャフトと前記車軸との径方向の隙間にオイルを供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、車両の車軸を回転させる駆動装置において、車軸が通された中空のモータシャフト内へのオイルの供給量を向上させることができ、かつ、任意のタイミングでモータシャフト内にオイルを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の駆動装置の一部を示す断面図であって、図1におけるII-II断面図である。
図3図3は、第2実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図4図4は、第3実施形態の駆動装置を示す断面図である。
図5図5は、第4実施形態の駆動装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、各図に示す各実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。各実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向(車幅方向)である。各実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。各実施形態において右側は、軸方向一方側に相当し、左側は、軸方向他方側に相当する。
【0010】
なお、前後方向の位置関係は、以下の各実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
【0011】
各図に適宜示すモータ軸J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、モータ軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置10は、車両に搭載され、車両の車軸AXを回転させる。駆動装置10が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両である。図1に示すように、駆動装置10は、ハウジング11と、モータ軸J1を中心として回転するモータシャフト22を有するモータ20と、減速装置30と、差動装置50と、第1貯留部70と、第2貯留部61と、第3貯留部62と、電動オイルポンプ40と、を備える。
【0013】
ハウジング11は、モータ20、減速装置30、および差動装置50を収容する。ハウジング11は、モータ20を収容するモータ収容部12と、減速装置30および差動装置50を収容するギヤ収容部13と、を有する。ハウジング11の内部には、オイルOが収容される。より詳細には、モータ収容部12の内部およびギヤ収容部13の内部には、それぞれオイルOが収容される。モータ収容部12の内部のうち下側の領域には、オイルOが溜まる第1オイル溜りOR11が設けられる。ギヤ収容部13の内部のうち下側の領域には、オイルOが溜まる第2オイル溜りOR21が設けられる。モータ収容部12における第1オイル溜りOR11の油面は、例えば、ギヤ収容部13における第2オイル溜りOR21の油面よりも上側に位置する。第1オイル溜りOR11の油面は、例えば、モータ20の駆動時において後述するロータ21よりも下側に位置する。これにより、ロータ21の回転が第1オイル溜りOR11のオイルOによって阻害されることを抑制できる。
【0014】
モータ収容部12は、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる筒状である。モータ収容部12を構成する壁部のうち左側の壁部である左側壁部16は、左側壁部16を軸方向に貫通する孔部16aを有する。孔部16aには、車軸AXが通される。左側壁部16の右側の面には、保持部16bが設けられる。左側壁部16の右側の面は、モータ収容部12の内部に面する。保持部16bは、左側に窪む凹部である。保持部16bは、孔部16aの一部である。より詳細には、保持部16bは、孔部16aのうちの右側部分である。保持部16bの内径は、孔部16aのうち保持部16bよりも左側に位置する部分の内径よりも大きい。保持部16bには、車軸AXを回転可能に支持するベアリング81が右側から嵌め込まれて保持される。
【0015】
モータ収容部12を構成する壁部のうち上側の壁部であるモータ天壁部17には、オイルOが通る油路17a,17bが設けられる。油路17a,17bは、モータ天壁部17を鉛直方向に貫通する。油路17a,17bの下側の端部は、モータ収容部12の内部に開口する。油路17a,17bは、モータ収容部12の内側面のうち後述するステータ24の上側に位置する部分に開口する。より詳細には、油路17a,17bの開口は、後述するコイル26の上側に隙間を介して対向する。油路17aと油路17bとは、軸方向に離れて配置される。油路17aは、後述するステータコア25よりも左側に位置する。油路17bは、ステータコア25よりも右側に位置する。本実施形態において油路17a,17bは、第3油路に相当する。
【0016】
ギヤ収容部13は、モータ収容部12の右側に位置する。ギヤ収容部13の下端部は、モータ収容部12の下端部よりも下側に位置する。ギヤ収容部13の内側面のうち下側の底面は、モータ収容部12の内側面のうち下側の底面よりも下側に位置する。ギヤ収容部13を構成する壁部のうち右側の壁部である右側壁部18は、右側壁部18を軸方向に貫通する孔部18aを有する。孔部18aには、車軸AXが通される。
【0017】
右側壁部18の左側の面には、保持部18bと、保持部18cと、が設けられる。右側壁部18の左側の面は、ギヤ収容部13の内部に面する。保持部18bおよび保持部18cは、右側に窪む凹部である。保持部18bは、孔部18aの一部である。より詳細には、保持部18bは、孔部18aのうちの左側部分である。保持部18bの内径は、孔部18aのうち保持部18bよりも右側に位置する部分の内径よりも大きい。保持部18bには、車軸AXを回転可能に支持するベアリング82が左側から嵌め込まれて保持される。
【0018】
保持部18cは、保持部18bの上側に離れて位置する。保持部18cには、減速装置30における後述するカウンタシャフト34を回転可能に支持するベアリング35bが左側から嵌め込まれて保持される。
【0019】
ギヤ収容部13を構成する壁部のうち上側の壁部であるギヤ天壁部19には、オイルOが流れる油路19aが設けられる。油路19aは、ギヤ天壁部19を鉛直方向に貫通する。油路19aの下側の端部は、ギヤ収容部13の内部に開口する。油路19aの下側の端部は、ギヤ天壁部19の下面のうち左側の端部に開口する。油路19aの下側の端部は、後述する仕切壁部14の右側の面における上端部に繋がる。仕切壁部14の右側の面のうち油路19aが繋がる部分は、仕切壁部14の右側の面のうち後述する保持部14c,14dが設けられる部分の上側に位置する。ギヤ天壁部19は、モータ天壁部17よりも上側に位置する。
【0020】
ハウジング11は、仕切壁部14と、ベアリング保持壁部15と、をさらに有する。仕切壁部14は、モータ収容部12とギヤ収容部13とを仕切る。仕切壁部14は、モータ収容部12の右側の壁部を構成する。仕切壁部14は、ギヤ収容部13の左側の壁部を構成する。仕切壁部14は、仕切壁部14を軸方向に貫通する孔部14aを有する。孔部14aには、車軸AXおよびモータシャフト22が通される。
【0021】
仕切壁部14は、モータ収容部12の内部とギヤ収容部13の内部とを繋ぐ油路14bを有する。油路14bは、仕切壁部14を軸方向に貫通する。本実施形態において油路14bは、軸方向に沿って直線状に延びる。油路14bは、孔部14aよりも下側に位置する。モータ収容部12内のオイルOは、油路14bを介してギヤ収容部13の内部に移動可能である。すなわち、第1オイル溜りOR11のオイルOは、油路14bを介して第2オイル溜りOR21に移動可能である。本実施形態において油路14bは、第1油路に相当する。
【0022】
仕切壁部14のギヤ収容部13側の面には、保持部14cと、保持部14dと、が設けられる。本実施形態において仕切壁部14のギヤ収容部13側の面は、仕切壁部14の右側の面である。保持部14cおよび保持部14dは、左側に窪む凹部である。本実施形態において保持部14cは、第1保持部に相当し、保持部14dは、第2保持部に相当する。
【0023】
保持部14cは、孔部14aの一部である。より詳細には、保持部14cは、孔部14aの右側部分である。保持部14cの内径は、孔部14aのうち保持部14cよりも左側に位置する部分の内径よりも大きい。本実施形態において保持部14cは、仕切壁部14のうち第1貯留部70を構成する部分におけるギヤ収容部13側の面に設けられる。保持部14cには、モータシャフト22を回転可能に支持するベアリング27bが右側から嵌め込まれて保持される。
【0024】
保持部14dは、左側に窪む凹部である。保持部14dは、保持部14cの上側に離れて位置する。保持部14dには、減速装置30における後述するカウンタシャフト34を回転可能に支持するベアリング35aが右側から嵌め込まれて保持される。
【0025】
ベアリング保持壁部15は、モータ収容部12の内周面から径方向内側に拡がる。ベアリング保持壁部15は、後述するステータ24の左側に位置する。ベアリング保持壁部15によってモータ収容部12の内部は、軸方向に仕切られる。ベアリング保持壁部15は、ベアリング保持壁部15を軸方向に貫通する孔部15aを有する。孔部15aには、車軸AXおよびモータシャフト22が通される。
【0026】
ベアリング保持壁部15は、下側の端部に貫通部15bを有する。貫通部15bは、モータ収容部12の内部のうちベアリング保持壁部15によって軸方向に仕切られた部分同士を繋ぐ。貫通部15bが設けられるため、第1オイル溜りOR11は、モータ収容部12の内部のうちベアリング保持壁部15の軸方向両側の部分に跨って設けられる。
【0027】
ベアリング保持壁部15の右側の面には、保持部15cが設けられる。ベアリング保持壁部15の右側の面は、軸方向に仕切られたモータ収容部12のうち後述するステータ24が収容される側の内部に面する。保持部15cは、左側に窪む凹部である。図示は省略するが、保持部15cは、軸方向に沿って視て、円形状である。保持部15cは、孔部15aの一部である。より詳細には、保持部15cは、孔部15aの右側部分である。保持部15cの内径は、孔部15aのうち保持部15cよりも左側に位置する部分の内径よりも大きい。保持部15cには、モータシャフト22を回転可能に支持するベアリング27aが右側から嵌め込まれて保持される。
【0028】
モータ20は、車軸AXを回転させるトルクを出力する。モータ20のトルクは、減速装置30および差動装置50を介して車軸AXに伝達される。本実施形態においてモータ20は、発電機としての機能も兼ね備える。モータ20は、例えば、回生時には発電機として機能する。
【0029】
モータ20は、ロータ21と、ステータ24と、を有する。ロータ21は、モータシャフト22と、ロータ本体23と、を有する。ロータ本体23は、モータシャフト22の外周面に固定される。図示は省略するが、ロータ本体23は、ロータコアと、ロータマグネットと、を有する。
【0030】
モータシャフト22は、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる。モータシャフト22は、軸方向両側に開口する中空のシャフトである。図2に示すように、モータシャフト22の軸方向に沿って視た外形は、モータ軸J1を中心とする円形状である。図1に示すように、モータシャフト22は、ベアリング27a,27bによってモータ軸J1回りに回転可能に支持される。
【0031】
ベアリング27a,27bは、例えば、ボールベアリングである。ベアリング27aは、ベアリング保持壁部15の保持部15cに保持され、モータシャフト22のうちロータ本体23よりも左側に位置する部分を支持する。ベアリング27aの右側の端部は、例えば、ベアリング保持壁部15の右側の面と軸方向において同じ位置に配置される。
【0032】
ベアリング27bは、仕切壁部14の保持部14cに保持され、モータシャフト22のうちロータ本体23よりも右側に位置する部分を支持する。ベアリング27bの右側の端部は、例えば、仕切壁部14の右側の面と軸方向において同じ位置に配置される。本実施形態においてベアリング27bは、第1ベアリングに相当する。
【0033】
モータシャフト22の右側の端部は、孔部14aを通ってギヤ収容部13内に突出する。モータシャフト22の右側の端部には、減速装置30が接続される。モータシャフト22の左側の端部は、孔部15aを通ってモータ収容部12の内部のうちベアリング保持壁部15よりも左側の部分に突出する。
【0034】
モータシャフト22は、モータシャフト22の内部とモータシャフト22の外周面とを繋ぐシャフト貫通孔22a,22b,22c,22dを有する。本実施形態において各シャフト貫通孔22a,22b,22c,22dは、周方向に沿って複数設けられる。シャフト貫通孔22a,22bは、モータシャフト22のうち仕切壁部14とベアリング保持壁部15との軸方向の間に位置する部分に設けられる。シャフト貫通孔22aは、モータシャフト22のうちロータ本体23よりも左側の部分に設けられる。シャフト貫通孔22bは、モータシャフト22のうちロータ本体23よりも右側の部分に設けられる。シャフト貫通孔22a,22bは、後述するコイル26と径方向に隙間を介して対向する。
【0035】
シャフト貫通孔22cは、モータシャフト22のうち孔部15aに位置する部分に設けられる。シャフト貫通孔22cは、孔部15aの内部に開口する。シャフト貫通孔22dは、モータシャフト22のうち孔部14aに位置する部分に設けられる。シャフト貫通孔22dは、孔部14aの内部に開口する。
【0036】
ステータ24は、ロータ21と隙間を介して径方向に対向する。ステータ24は、ロータ21の径方向外側に位置する。ステータ24は、ステータコア25と、図示しないインシュレータと、複数のコイル26と、を有する。複数のコイル26は、図示しないインシュレータを介してステータコア25に装着される。ステータ24は、モータ収容部12の内部に固定される。ステータ24の下側の端部は、第1オイル溜りOR11に浸漬される。
【0037】
減速装置30は、モータ20の回転速度を減じて、モータ20から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置30は、モータ20から出力されるトルクを差動装置50へ伝達する。減速装置30は、モータドライブギヤ31と、カウンタギヤ32と、ドライブギヤ33と、カウンタシャフト34と、を有する。モータドライブギヤ31は、モータシャフト22のうちギヤ収容部13内に位置する部分に固定される。これにより、減速装置30は、モータシャフト22に接続される。本実施形態においてモータドライブギヤ31は、モータシャフト22の右側の端部に固定される。
【0038】
カウンタギヤ32は、モータ軸J1と平行なカウンタ軸J2を中心として回転する。カウンタ軸J2は、モータ軸J1の径方向外側に位置する。本実施形態においてカウンタ軸J2は、モータ軸J1の上側に位置する。
【0039】
カウンタギヤ32は、モータドライブギヤ31と噛み合う。カウンタギヤ32は、モータドライブギヤ31の上側に位置する。ドライブギヤ33は、カウンタギヤ32の右側に位置する。ドライブギヤ33は、カウンタギヤ32と共に、カウンタ軸J2を中心として回転する。ドライブギヤ33の外径は、カウンタギヤ32の外径よりも小さい。
【0040】
カウンタシャフト34は、カウンタ軸J2を中心として、モータシャフト22の軸方向に沿って延びる。カウンタシャフト34は、モータドライブギヤ31の上側に位置する。カウンタシャフト34の外周面には、カウンタギヤ32とドライブギヤ33とが固定される。これにより、カウンタシャフト34を介して、カウンタギヤ32とドライブギヤ33とが連結される。カウンタシャフト34は、ベアリング35a,35bによってカウンタ軸J2回りに回転可能に支持される。
【0041】
ベアリング35a,35bは、例えば、ボールベアリングである。ベアリング35a,35bは、ギヤ収容部13の軸方向両側の壁部にそれぞれ保持される。ベアリング35aは、ギヤ収容部13の左側の壁部である仕切壁部14の保持部14dに保持され、カウンタシャフト34の左側の端部を支持する。ベアリング35aの右側の端部は、例えば、仕切壁部14の右側の面と軸方向において同じ位置に配置される。本実施形態においてベアリング35aは、第2ベアリングに相当する。ベアリング35bは、ギヤ収容部13の右側壁部18に設けられた保持部18cに保持され、カウンタシャフト34の右側の端部を支持する。ベアリング35bの左側の端部は、例えば、右側壁部18の左側の面と軸方向において同じ位置に配置される。
【0042】
モータ20のモータシャフト22から出力されるトルクは、モータドライブギヤ31、カウンタギヤ32およびドライブギヤ33をこの順に介して差動装置50に伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置30は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0043】
差動装置50は、減速装置30に接続される。差動装置50は、モータ20から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置50は、車軸AXにトルクを伝達し、車軸AXを差動軸回りに回転させる。差動装置50の差動軸は、モータ軸J1と一致する。車軸AXは、差動装置50を軸方向に挟んで一対設けられる。一対の車軸AXは、軸方向に延びる。車軸AXは、モータ軸J1を中心とする円柱状である。一対の車軸AXのうち左側の車軸AXは、左側壁部16の保持部16bに保持されたベアリング81によって支持される。一対の車軸AXのうち右側の車軸AXは、右側壁部18の保持部18bに保持されたベアリング82によって支持される。ベアリング81,82は、例えば、ボールベアリングである。
【0044】
一対の車軸AXのうち左側の車軸AXは、中空シャフトであるモータシャフト22の内部に通される。そのため、モータ軸J1と差動軸とが同軸に配置されない場合に比べて、駆動装置10を径方向に小型化しやすい。したがって、本実施形態によれば、駆動装置10を小型化できる。一対の車軸AXのうち左側の車軸AXは、モータシャフト22を軸方向に貫通する。
【0045】
一対の車軸AXのそれぞれにおいて、車軸AXの軸方向端部のうち差動装置50と接続される側と逆側の軸方向端部は、ハウジング11から軸方向に突出する。図示は省略するが、一対の車軸AXのそれぞれにおいて、車軸AXのうちハウジング11から突出する軸方向端部には、それぞれ車輪が取り付けられる。
【0046】
なお、本明細書において「差動装置の差動軸が、モータ軸と一致する」とは、差動軸がモータ軸と厳密に一致する場合に加えて、差動軸がモータ軸と略一致する場合も含む。本明細書において「差動軸が、モータ軸と略一致する」とは、モータシャフトの内部に車軸を通すことが可能な範囲で、差動軸がモータ軸に対してずれる、または傾くことを含む。
【0047】
差動装置50は、リングギヤ51と、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。本実施形態においてリングギヤ51は、モータシャフト22およびモータドライブギヤ31の右側に位置する。リングギヤ51は、差動軸(モータ軸J1)を中心として回転する。リングギヤ51は、ドライブギヤ33と噛み合う。これにより、リングギヤ51には、モータ20から出力されるトルクが減速装置30を介して伝えられる。リングギヤ51の下側の端部は、ギヤ収容部13内の第2オイル溜りOR21に浸漬される。すなわち、リングギヤ51の下側の端部は、ハウジング11内のオイルOに浸漬される。これにより、リングギヤ51が回転することで、オイルOが掻き上げられる。掻き上げられたオイルOは、霧状になり、ギヤ収容部13の内部に散布される。これにより、ギヤ収容部13の内部に配置された各部にオイルOを供給することができる。
【0048】
第1貯留部70は、オイルOを貯留可能である。本実施形態において第1貯留部70は、ギヤ収容部13の内部に位置する。第1貯留部70は、例えば、上側に開口する直方体箱状である。第1貯留部70の内部には、モータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間の少なくとも一部が露出する。本実施形態において第1貯留部70は、モータシャフト22の右側の端部を覆う。すなわち、モータシャフト22の右側の端部は、第1貯留部70の内部に位置する。これにより、本実施形態では、モータシャフト22の右側の開口のうちモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間は、少なくとも一部が第1貯留部70の内部に位置する。本実施形態においてモータシャフト22の右側の開口のうちモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間は、全体が第1貯留部70の内部に位置する。
【0049】
なお、本明細書において「モータシャフトと車軸との径方向の隙間は、少なくとも一部が第1貯留部の内部に露出する」とは、モータシャフトと車軸との径方向の隙間の少なくとも一部が、第1貯留部の内部に位置し、かつ、第1貯留部の内部と繋がっていればよい。
【0050】
本実施形態において第1貯留部70の内部には、モータドライブギヤ31が収容される。本実施形態においてモータドライブギヤ31の上側の端部は、例えば、第1貯留部70の開口から上側に突出する。図1および図2に示すように、本実施形態において第1貯留部70は、底壁部71と、軸方向側壁部72,73と、前後方向側壁部74,75と、を有する。図1に示すように、底壁部71は、仕切壁部14のうち油路14bよりも上側で、かつ、保持部14cよりも下側の部分から右側に延びる。底壁部71は、ギヤ収容部13における第2オイル溜りOR21の油面よりも上側に位置する。
【0051】
軸方向側壁部72,73は、底壁部71の軸方向両側の端部から上側に延びる。軸方向側壁部72は、底壁部71の右側の端部から上側に延びる。軸方向側壁部72は、軸方向側壁部72を軸方向に貫通する孔部72aを有する。図示は省略するが、孔部72aは、モータ軸J1を中心とする円形状である。孔部72aには、車軸AXが通される。
【0052】
軸方向側壁部73は、底壁部71の左側の端部から上側に延びる。本実施形態において軸方向側壁部73は、仕切壁部14のうち軸方向に沿って視て軸方向側壁部72と重なる部分である。すなわち、本実施形態において第1貯留部70を構成する壁部の一部は、仕切壁部14の一部である。このように、仕切壁部14の一部を利用して第1貯留部70を作れるため、第1貯留部70の作製が容易である。軸方向側壁部73には、孔部14aが設けられる。軸方向側壁部73の右側の面には、保持部14cが設けられる。
【0053】
図2に示すように、前後方向側壁部74,75は、底壁部71の前後方向両側の端部から上側に延びる。前後方向側壁部74は、底壁部71の前側の端部から上側に延びる。前後方向側壁部74は、軸方向側壁部72,73の前側の端部同士を繋ぐ。前後方向側壁部75は、底壁部71の後側の端部から上側に延びる。前後方向側壁部75は、軸方向側壁部72,73の後側の端部同士を繋ぐ。
【0054】
底壁部71と軸方向側壁部72と前後方向側壁部74,75とは、それぞれ板状である。底壁部71と軸方向側壁部72と前後方向側壁部74,75とは、同一の単一部材の一部である。本実施形態においては、底壁部71と軸方向側壁部72と前後方向側壁部74,75とを有する単一部材を仕切壁部14に固定することで、容易に第1貯留部70を作ることができる。
【0055】
第2貯留部61は、オイルOを貯留可能である。図1に示すように、第2貯留部61は、モータ収容部12に設けられる。本実施形態において第2貯留部61は、ハウジング11とは別部材の箱状部材である。本実施形態において第2貯留部61は、モータ収容部12の外周面のうち上側の部分に固定される。第2貯留部61は、モータ天壁部17の上側の面に固定される。第2貯留部61の内部には、油路17a,17bの上端部が繋がる。これにより、油路17a,17bは、第2貯留部61から、モータ収容部12の内側面のうちステータ24の上側に位置する部分まで延びる。
【0056】
第3貯留部62は、オイルOを貯留可能である。第3貯留部62は、ギヤ収容部13に設けられる。本実施形態において第3貯留部62は、ハウジング11とは別部材の箱状部材である。本実施形態において第3貯留部62は、ギヤ収容部13の外周面のうち上側の部分に固定される。第3貯留部62は、ギヤ天壁部19の上側の面に固定される。第3貯留部62の内部には、油路19aの上端部が繋がる。これにより、油路19aは、第3貯留部62から、仕切壁部14の右側の面における上端部まで延びる。
【0057】
電動オイルポンプ40は、ハウジング11内のオイルOを送る電動式のポンプである。各図においては、電動オイルポンプ40を模式的に示している。図示は省略するが、電動オイルポンプ40は、ハウジング11に固定される。電動オイルポンプ40は、モータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間にオイルOを供給する。そのため、中空のモータシャフト22に車軸AXが通された構成であっても、電動オイルポンプ40を駆動させることで、モータシャフト22内へのオイルOの供給量を向上させることができる。また、電動オイルポンプ40をモータ20の駆動とは独立して駆動させることで、モータ20の駆動状態によらず、電動オイルポンプ40によって任意のタイミングでモータシャフト22内にオイルOを供給することができる。
【0058】
以上により、本実施形態によれば、駆動装置10において、車軸AXが通された中空のモータシャフト22内へのオイルOの供給量を向上させることができ、かつ、任意のタイミングでモータシャフト22内にオイルOを供給することができる。これにより、車両の走行状態等によらず、モータ20を好適に冷却することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、モータシャフト22は、モータシャフト22の内部とモータシャフト22の外周面とを繋ぐシャフト貫通孔22a,22b,22c,22dを有する。そのため、モータシャフト22内に供給されたオイルOが、シャフト貫通孔22a,22b,22c,22dを介して、モータシャフト22の径方向外側に噴出する。これにより、オイルOをステータ24およびベアリング27a,27bに供給することができる。したがって、ステータ24をオイルOによって好適に冷却することができ、ベアリング27a,27bに好適に潤滑油を供給できる。本実施形態では、シャフト貫通孔22a,22bから噴出されたオイルOは、コイル26に供給される。シャフト貫通孔22c,22dから噴出されたオイルOは、ベアリング27a,27bに供給される。シャフト貫通孔22a,22b,22c,22dから噴出されたオイルOは、各部に供給された後、モータ収容部12の第1オイル溜りOR11に落下する。
【0060】
本実施形態において電動オイルポンプ40は、第2オイル溜りOR21に開口する吸入口41からオイルOを吸い上げる。本実施形態において吸入口41は、右側壁部18の左側の面に開口する。吸入口41は、保持部18bよりも下側に位置する。本実施形態において電動オイルポンプ40は、吸入口41を介して第2オイル溜りOR21から吸い上げたオイルOを、第2貯留部61の内部と第3貯留部62の内部とに送る。吸入口41から電動オイルポンプ40までの間の油路、電動オイルポンプ40から第2貯留部61までの油路、および電動オイルポンプ40から第3貯留部62までの油路は、例えば、ハウジング11の壁部に設けられてもよいし、ハウジング11の外部に配置されたパイプ等であってもよい。図示は省略するが、吸入口41から第2貯留部61および第3貯留部62までの間の油路には、オイルOを冷却するオイルクーラが設けられる。
【0061】
電動オイルポンプ40から第2貯留部61に送られたオイルOは、モータ天壁部17に設けられた油路17a,17bを介して、モータ収容部12の内部に供給される。油路17a,17bは、モータ収容部12の内側面のうちステータ24の上側に位置する部分に開口する。そのため、油路17a,17bからモータ収容部12内に供給されるオイルOは、重力によって落下し、ステータ24に上側から供給される。本実施形態では、油路17a,17bからモータ収容部12内に供給されるオイルOは、コイル26に上側から供給される。このようにして、本実施形態によれば、電動オイルポンプ40は、油路17a,17bを介してステータ24にオイルOを供給する。したがって、電動オイルポンプ40によって、ステータ24をより冷却することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、電動オイルポンプ40は、第2貯留部61にオイルOを送ることで、油路17a,17bを介してステータ24にオイルOを供給する。そのため、例えば、電動オイルポンプ40が駆動していない状態であっても、第2貯留部61にオイルOが溜められていれば、ステータ24にオイルOを供給することができる。また、本実施形態のように、第2貯留部61に複数の油路17a,17bが繋がる場合、第2貯留部61から複数の油路17a,17bへと均等にオイルOを送りやすい。また、本実施形態のように第2貯留部61がハウジング11と別部材である場合、ハウジング11の形状に合わせて第2貯留部61を適宜作ることで、ハウジング11に設けられる油路17a,17bの形状を簡単化しやすい。これにより、ハウジング11を作りやすい。第2貯留部61および油路17a,17bを介してモータ収容部12内に供給されたオイルOは、ステータ24に供給された後、第1オイル溜りOR11に落下する。
【0063】
電動オイルポンプ40から第3貯留部62に送られたオイルOは、ギヤ天壁部19に設けられた油路19aを介して、ギヤ収容部13の内部に供給される。ここで、油路19aの下側の端部は、仕切壁部14の右側の面における上端部に繋がり、仕切壁部14の右側の面のうち油路19aが繋がる部分は、仕切壁部14の右側の面のうち保持部14c,14dが設けられる部分の上側に位置する。そのため、油路19aからギヤ収容部13内に供給されるオイルOは、仕切壁部14の右側の面のうち保持部14dの上側に位置する部分に供給され、重力によって、仕切壁部14の右側の面を伝って下側へと流れる。仕切壁部14を伝うオイルOは、保持部14dおよびベアリング35aを通って、第1貯留部70の内部に流入する。すなわち、電動オイルポンプ40は、仕切壁部14のギヤ収容部13側の面のうち保持部14dの上側に位置する部分から仕切壁部14のギヤ収容部13側の面を介して第1貯留部70内にオイルOを送る。これにより、電動オイルポンプ40によって第1貯留部70内にオイルOが溜められる。
【0064】
第1貯留部70内にオイルOが溜まり、第1貯留部70内のオイルOの油面がモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間まで達すると、負圧により第1貯留部70内のオイルOがモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間に吸い込まれる。このように、本実施形態において電動オイルポンプ40は、第1貯留部70内にオイルOを送ることでモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間にオイルOを供給することができる。そのため、電動オイルポンプ40によって、容易にモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間にオイルOを供給することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、第1貯留部70内には、モータシャフト22の右側の開口のうちモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間の少なくとも一部が位置する。そのため、第1貯留部70内のオイルOをモータシャフト22内に流入させるための孔等をモータシャフト22に別途設ける必要がない。これにより、モータシャフト22の作製を容易にできる。本実施形態においてモータシャフト22の右側の開口のうちモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間は、全体が第1貯留部70の内部に位置する。そのため、第1貯留部70に貯留されたオイルOをモータシャフト22内に吸い込ませやすい。
【0066】
また、本実施形態によれば、第1貯留部70は、ギヤ収容部13の内部において上側に開口する。そのため、リングギヤ51によって掻き上げられる等によってギヤ収容部13内に散布されたオイルOが、上側の開口を介して第1貯留部70内に入り込みやすい。これにより、第1貯留部70内にオイルOをより溜めやすく、第1貯留部70内からモータシャフト22内へとオイルOをより供給しやすい。したがって、モータシャフト22内へのオイルOの供給量をより向上できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、仕切壁部14のうち第1貯留部70を構成する部分におけるギヤ収容部13側の面には、保持部14cが設けられる。そのため、第1貯留部70にオイルOが溜められることで、モータシャフト22を回転可能に支持するベアリング27bにもオイルOを供給することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、電動オイルポンプ40は、仕切壁部14のギヤ収容部13側の面のうち保持部14dの上側に位置する部分から仕切壁部14のギヤ収容部13側の面を介して第1貯留部70内にオイルOを送る。そのため、重力によって仕切壁部14を伝って第1貯留部70まで流れるオイルOは、カウンタシャフト34を支持するベアリング35aが保持された保持部14dを通る。これにより、電動オイルポンプ40によって、ベアリング35aにもオイルOを供給することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、電動オイルポンプ40は、第3貯留部62にオイルOを送ることで、油路19aおよび仕切壁部14を介して第1貯留部70内にオイルOを送る。そのため、例えば、電動オイルポンプ40が駆動していない状態であっても、第3貯留部62にオイルOが溜められていれば、第1貯留部70を介してモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間にオイルOを供給することができる。また、本実施形態のように第3貯留部62がハウジング11と別部材である場合、ハウジング11の形状に合わせて第3貯留部62を適宜作ることで、ハウジング11に設けられる油路19aの形状を簡単化しやすい。これにより、ハウジング11を作りやすい。
【0070】
第1貯留部70内からモータシャフト22内に吸い込まれたオイルOは、モータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間を通って左側に流れる。モータシャフト22内を左側に流れるオイルOの一部は、上述したようにシャフト貫通孔22a,22b,22c,22dから噴出されてステータ24およびベアリング27a,27b等に供給された後、第1オイル溜りOR11に落下する。一方、モータシャフト22内に供給されたオイルOのうちシャフト貫通孔22a,22b,22c,22dから噴出されなかったオイルOは、モータシャフト22の左側の開口から排出される。モータシャフト22の左側の開口から排出されたオイルOは、モータ収容部12の第1オイル溜りOR11のうちベアリング保持壁部15よりも左側の部分に落下する。
【0071】
電動オイルポンプ40によってモータ収容部12内へと供給され、第1オイル溜りOR11へと落下したオイルOの少なくとも一部は、油路14bを介して、ギヤ収容部13内の第2オイル溜りOR21に移動する。ここで、本実施形態によれば、電動オイルポンプ40は、第2オイル溜りOR21に開口する吸入口41からオイルOを吸い上げる。すなわち、電動オイルポンプ40によって第2オイル溜りOR21から吸い上げられて、上述したようにしてモータ20へと供給されたオイルOを、油路14bを介して第1オイル溜りOR11から第2オイル溜りOR21へと戻すことができる。これにより、ハウジング11内においてオイルOを好適に循環させることができる。また、電動オイルポンプ40によって吸い上げられる第2オイル溜りOR21のオイルOを、第1オイル溜りOR11から供給できる。
【0072】
駆動装置10は、図示しないインバータをさらに備える。図示しないインバータは、モータ20のステータ24と電気的に接続される。インバータによって、ステータ24に供給される電力を調整可能である。インバータは、例えば、インバータを収容するインバータケースに収容される。インバータケースは、ハウジング11の外側面に固定される。インバータは、図示しない電子制御装置によって制御される。
【0073】
<第2実施形態>
図3に示すように、本実施形態の駆動装置110のハウジング111において、モータ収容部112の下端部は、ギヤ収容部113の下端部よりも下側に位置する。モータ収容部112の内側面のうち下側の底面は、ギヤ収容部113の内側面のうち下側の底面よりも下側に位置する。モータ収容部112の内部のうち下側の領域に設けられた第1オイル溜りOR12の油面は、ギヤ収容部113の内部のうち下側の領域に設けられた第2オイル溜りOR22の油面よりも下側に位置する。
【0074】
仕切壁部114は、モータ収容部112の内部とギヤ収容部113の内部とを繋ぐ油路114bを有する。油路114bは、仕切壁部114を軸方向に貫通する。本実施形態において油路114bは、軸方向に沿って直線状に延びる。油路114bは、孔部14aよりも下側に位置する。ギヤ収容部113内のオイルOは、油路114bを介してモータ収容部112の内部に移動可能である。すなわち、第2オイル溜りOR22のオイルOは、油路114bを介して第1オイル溜りOR12に移動可能である。本実施形態において油路114bは、第2油路に相当する。
【0075】
油路114bのうち仕切壁部114のギヤ収容部113側の面に開口する開口部は、リングギヤ51の下端部よりも上側に位置する。そのため、油路114bを介してオイルOがモータ収容部112内へと流れても、ギヤ収容部113の第2オイル溜りOR22内に溜められるオイルOの油面は、リングギヤ51の下端部よりも上側に維持される。これにより、リングギヤ51の下端部を第2オイル溜りOR22に浸漬させた状態としやすく、リングギヤ51によってオイルOを掻き上げてギヤ収容部113内に散布させることができる。したがって、第1貯留部70内、減速装置30、および差動装置50にオイルOをより供給しやすい。
【0076】
ギヤ収容部113におけるギヤ天壁部119には、オイルOが流れる油路119bが設けられる。油路119bは、ギヤ天壁部119を鉛直方向に貫通する。油路119bの下側の端部は、ギヤ収容部113の内部に開口する。油路119bの下側の端部は、ギヤ天壁部119の下面のうち仕切壁部114よりも右側に離れた位置に位置する。油路119bの下側の端部は、ギヤ天壁部119の下面のうちカウンタギヤ32の上側に位置する部分に位置する。すなわち、油路119bは、ギヤ収容部113の内側面のうち減速装置30の上側に位置する部分に開口する。油路119bは、第1貯留部70の上側に位置する。本実施形態において油路119bは、第4油路に相当する。
【0077】
本実施形態において電動オイルポンプ140は、第1オイル溜りOR12に開口する吸入口141からオイルOを吸い上げる。本実施形態において吸入口141は、左側壁部16の右側の面に開口する。吸入口141は、ベアリング81よりも下側に位置する。ここで、本実施形態によれば、第2オイル溜りOR22のオイルOは、油路114bを介して第1オイル溜りOR12に移動可能である。そのため、電動オイルポンプ140によって吸い上げられる第1オイル溜りOR12のオイルOを、第2オイル溜りOR22から供給できる。
【0078】
本実施形態において電動オイルポンプ140は、吸入口141を介して第1オイル溜りOR12から吸い上げたオイルOを、第2貯留部61の内部と第3貯留部62の内部とに送る。吸入口141から電動オイルポンプ140までの間の油路、電動オイルポンプ140から第2貯留部61までの油路、および電動オイルポンプ140から第3貯留部62までの油路は、例えば、ハウジング111の壁部に設けられてもよいし、ハウジング111の外部に配置されたパイプ等であってもよい。図示は省略するが、吸入口141から第2貯留部61および第3貯留部62までの間の油路には、オイルOを冷却するオイルクーラが設けられる。
【0079】
本実施形態において電動オイルポンプ140によって第3貯留部62に送られたオイルOは、油路119bからギヤ収容部113内に供給される。ここで、油路119bは、ギヤ収容部113の内側面のうち減速装置30の上側に位置する部分に開口する。そのため、油路119bからギヤ収容部113内に供給されるオイルOは、重力によって落下して、減速装置30に上側から供給される。すなわち、電動オイルポンプ140は、油路119bを介して減速装置30にオイルOを供給する。これにより、減速装置30へのオイルOの供給量を向上できる。
【0080】
本実施形態では、油路119bからのオイルOは、減速装置30のうちカウンタギヤ32に供給される。カウンタギヤ32に供給されたオイルOは、モータドライブギヤ31を介して第1貯留部70内へと流入する。これにより、電動オイルポンプ140は、減速装置30にオイルOを供給しつつ、第1貯留部70内にオイルOを送ることができる。
【0081】
<第3実施形態>
図4に示すように、本実施形態の駆動装置210のハウジング211において、モータ収容部212を構成する壁部のうち上側の壁部であるモータ天壁部217には、オイルOが通る油路217c,217dが設けられる。油路217c,217dは、モータ天壁部217を鉛直方向に貫通する。油路217c,217dの下側の端部は、モータ収容部212の内部に開口する。油路217cと油路217dとは、軸方向に離れて配置される。油路217cは、ベアリング保持壁部15よりも左側に位置する。油路217cの下側の端部は、ベアリング保持壁部15の左側の面の上端部に繋がる。油路217cは、第1貯留部270の上側に位置する。油路217dは、ベアリング保持壁部15よりも右側に位置する。油路217dの下側の端部は、ベアリング保持壁部15の右側の面の上端部に繋がる。ベアリング保持壁部15の右側の面のうち油路217dが繋がる部分は、保持部15cが設けられる部分の上側に位置する。油路217c,217dの上端部は、第2貯留部261の内部に繋がる。
【0082】
本実施形態において第1貯留部270は、モータ収容部212の内部に位置する。より詳細には、第1貯留部270は、ベアリング保持壁部15の左側に位置する。本実施形態において第1貯留部270は、例えば、上側に開口する直方体箱状である。第1貯留部270は、モータシャフト22の左側の端部を覆う。すなわち、モータシャフト22の左側の端部は、第1貯留部270の内部に位置する。これにより、モータシャフト22の左側の開口のうちモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間は、少なくとも一部が第1貯留部270の内部に位置する。このように本実施形態では、モータシャフト22のうち減速装置30が取り付けられる側と逆側の端部に第1貯留部270が設けられる。そのため、減速装置30の構成によらず、第1貯留部270を設けることができる。本実施形態においてモータシャフト22の左側の開口のうちモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間は、全体が第1貯留部270の内部に位置する。
【0083】
本実施形態において第1貯留部270は、底壁部271と、軸方向側壁部272,273と、前後方向側壁部274と、を有する。底壁部271は、ベアリング保持壁部15のうち貫通部15bよりも上側で、かつ、孔部15aよりも下側に位置する部分から左側に延びる。底壁部271は、モータ収容部212における第1オイル溜りOR12の油面よりも上側に位置する。
【0084】
軸方向側壁部272,273は、底壁部271の軸方向両側の端部から上側に延びる。軸方向側壁部272は、底壁部271の左側の端部から上側に延びる。軸方向側壁部272は、軸方向側壁部272を軸方向に貫通する孔部272aを有する。図示は省略するが、孔部272aは、モータ軸J1を中心とする円形状である。孔部272aには、車軸AXが通される。
【0085】
軸方向側壁部273は、底壁部271の右側の端部から上側に延びる。本実施形態において軸方向側壁部273は、ベアリング保持壁部15のうち軸方向に沿って視て軸方向側壁部272と重なる部分である。すなわち、本実施形態において第1貯留部270を構成する壁部の一部は、ベアリング保持壁部15の一部である。このように、ベアリング保持壁部15の一部を利用して第1貯留部270を作れるため、第1貯留部270の作製が容易である。軸方向側壁部273には、孔部15aが設けられる。
【0086】
前後方向側壁部274は、底壁部271の前側の端部から上側に延びる。前後方向側壁部274は、軸方向側壁部272,273の前側の端部同士を繋ぐ。図示は省略するが、第1貯留部270は、底壁部271の後側の端部から上側に延び、軸方向側壁部272,273の後側の端部同士を繋ぐ前後方向側壁部をさらに有する。
【0087】
電動オイルポンプ240は、第1オイル溜りOR12に開口する吸入口141からオイルOを吸い上げて、第2貯留部261の内部と第3貯留部262の内部とに送る。第2貯留部261に送られたオイルOは、油路17a,17b,217c,217dを介してモータ収容部212の内部に供給される。油路217cからモータ収容部212内に供給されるオイルOは、ベアリング保持壁部15の左側の面を伝って下側に流れる。ベアリング保持壁部15の左側の面を伝うオイルOは、第1貯留部270の内部に流入する。これにより、電動オイルポンプ240によって第1貯留部270内にオイルOが溜められる。第1貯留部270内のオイルOは、モータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間に流入する。したがって、電動オイルポンプ240は、第1貯留部270を介してモータシャフト22と車軸AXとの径方向の隙間にオイルOを供給できる。
【0088】
モータシャフト22内に流入したオイルOは、右側に流れて、シャフト貫通孔22a,22b,22c,22dまたはモータシャフト22の右側の開口からモータシャフト22の外部に排出される。モータシャフト22の右側の開口から排出されたオイルOは、ギヤ収容部213の第2オイル溜りOR22に落下する。第1貯留部270に溜められたオイルOの一部は、孔部15aを介してベアリング27aにも供給される。
【0089】
油路217dからモータ収容部212内に供給されるオイルOは、ベアリング保持壁部15の右側の面を伝って下側に流れる。ベアリング保持壁部15の右側の面を伝うオイルOの少なくとも一部は、保持部15cおよびベアリング27aに供給される。これにより、電動オイルポンプ240は、ベアリング27aにオイルOを供給できる。油路217dからモータ収容部212内に供給されるオイルOは、ベアリング保持壁部15の右側の面を伝って第1オイル溜りOR12に落下する。
【0090】
本実施形態において第3貯留部262は、ギヤ収容部213の内部に位置する。第3貯留部262は、ギヤ天壁部219の下面に固定される。第3貯留部262の下側の壁部には、複数の開口部が設けられる。電動オイルポンプ240によって第3貯留部262に送られたオイルOは、第3貯留部262の開口部を介して、ギヤ収容部213内に供給される。
【0091】
第3貯留部262からギヤ収容部213内に供給されたオイルOの一部は、仕切壁部114における右側の面の上端部に供給される。これにより、仕切壁部114の右側の面を伝って下側に流れるオイルOをベアリング27b,35aに供給できる。このようにして、電動オイルポンプ240は、第3貯留部262にオイルOを送ることで、ベアリング27b,35aにオイルOを供給できる。
【0092】
第3貯留部262からギヤ収容部213内に供給されたオイルOの一部は、カウンタギヤ32に上側から供給される。これにより、電動オイルポンプ240は、第3貯留部262にオイルOを送ることで、減速装置30にオイルOを供給できる。
【0093】
ここで、本実施形態では、第1貯留部270は、ギヤ収容部213の内部ではなく、モータ収容部212の内部に位置する。そのため、ベアリング27b,35aおよび減速装置30に供給されたオイルOは、第2オイル溜りOR22に落下する。
【0094】
第3貯留部262からギヤ収容部213内に供給されたオイルOの一部は、右側壁部18における左側の面の上端部に供給される。これにより、右側壁部18の左側の面を伝って下側に流れるオイルOをベアリング35b,82に供給できる。このようにして、電動オイルポンプ240は、第3貯留部262にオイルOを送ることで、ベアリング35b,82にオイルOを供給できる。ベアリング35b,82に供給されたオイルOは、右側壁部18の左側の面を伝って第2オイル溜りOR22に落下する。
【0095】
電動オイルポンプ240によってギヤ収容部213内へと供給され、第2オイル溜りOR22へと落下したオイルOの少なくとも一部は、油路114bを介して、モータ収容部212内の第1オイル溜りOR12に移動する。ここで、本実施形態によれば、電動オイルポンプ240は、第1オイル溜りOR12に開口する吸入口141からオイルOを吸い上げる。すなわち、電動オイルポンプ240によって第1オイル溜りOR12から吸い上げられて、上述したようにしてギヤ収容部213内へと供給されたオイルOを、油路114bを介して第2オイル溜りOR22から第1オイル溜りOR12へと戻すことができる。これにより、ハウジング211内においてオイルOを好適に循環させることができる。また、電動オイルポンプ240によって吸い上げられる第1オイル溜りOR12のオイルOを、第2オイル溜りOR22から供給できる。
【0096】
<第4実施形態>
図5に示すように、本実施形態の駆動装置310のハウジング311において、ギヤ収容部313の下端部は、モータ収容部212の下端部よりも下側に位置する。ギヤ収容部313の内側面のうち下側の底面は、モータ収容部212の内側面のうち下側の底面よりも下側に位置する。ギヤ収容部313の内部のうち下側の領域に設けられた第2オイル溜りOR21の油面は、モータ収容部212の内部のうち下側の領域に設けられた第1オイル溜りOR11の油面よりも下側に位置する。ギヤ収容部313は、上述した各実施形態のギヤ収容部と異なり、保持部18cを有しない。仕切壁部314は、上述した各実施形態の仕切壁部と異なり、保持部14dを有しない。
【0097】
本実施形態において減速装置330は、遊星歯車機構を有する。減速装置330は、モータドライブギヤ31と、複数の遊星ギヤ336と、軸方向に延びる複数のキャリアピン337と、内歯ギヤ338と、を有する。遊星ギヤ336は、周方向に沿ってモータドライブギヤ31の周囲に配置される。遊星ギヤ336は、モータドライブギヤ31と内歯ギヤ338とに噛み合う。遊星ギヤ336は、遊星ギヤ336を軸方向に貫通する貫通孔336cを有する。貫通孔336cには、キャリアピン337が通される。遊星ギヤ336は、キャリアピン337によって、キャリアピン337の中心軸回りに回転可能に支持される。遊星ギヤ336は、モータドライブギヤ31が回転することで、キャリアピン337の中心軸回りに自転しつつ、モータドライブギヤ31の周りを公転する。
【0098】
遊星ギヤ336は、大径部336aと、小径部336bと、を有する。大径部336aは、モータドライブギヤ31と噛み合う部分である。大径部336aの下端部は、公転する遊星ギヤ336がモータドライブギヤ31の下側に位置した場合に、第2オイル溜りOR21に浸漬する。そのため、キャリアピン337の中心軸回りに自転する遊星ギヤ336によって第2オイル溜りOR21のオイルOが掻き上げられる。これにより、ギヤ収容部313内にオイルOが散布される。したがって、減速装置330および差動装置350にオイルOを供給できる。
【0099】
小径部336bは、内歯ギヤ338と噛み合う部分である。小径部336bは、大径部336aの右側に繋がる。小径部336bの外径は、大径部336aの外径よりも小さい。小径部336bの軸方向の寸法は、大径部336aの軸方向の寸法よりも大きい。
【0100】
内歯ギヤ338は、モータ軸J1を中心とする円環状である。内歯ギヤ338の外周面は、ギヤ収容部313の内周面に繋がる。内歯ギヤ338は、ギヤ収容部313に対して一体成形されてもよいし、ギヤ収容部313と別部材であってもよい。内歯ギヤ338の内周面には小径部336bと噛み合う歯車部が設けられる。
【0101】
本実施形態において差動装置350のリングギヤ351は、リングギヤ351を軸方向に貫通する固定孔部351aを有する。固定孔部351aは、周方向に沿って複数設けられる。固定孔部351aには、左側からキャリアピン337の右側の端部が挿入されて固定される。キャリアピン337は、例えば、固定孔部351aに圧入される。本実施形態においてリングギヤ351は、減速装置330のキャリアとして機能する。遊星ギヤ336がモータドライブギヤ31回りを公転することで、リングギヤ351が回転させられる。これにより、モータ20の回転が減速装置330を介して差動装置350に伝達される。リングギヤ351は、第2オイル溜りOR21の油面よりも上側に離れて位置する。
【0102】
本実施形態において電動オイルポンプ340は、第2オイル溜りOR21に開口する吸入口41からオイルOを吸い上げて、第2貯留部261の内部と第3貯留部62の内部とに送る。第3貯留部62の内部に送られたオイルOは、油路119bを介して減速装置330に供給される。本実施形態では、第3貯留部62の内部に送られたオイルOは、油路119bを介して遊星ギヤ336に上側から供給される。
【0103】
本実施形態によれば、第3実施形態と同様に、第1貯留部270が、モータシャフト22のうち減速装置330が取り付けられる側と逆側の端部に設けられる。そのため、減速装置330が遊星歯車機構を有しても、第1貯留部270を容易に設けることができ、モータシャフト22内へのオイルOの供給量を向上させることができる。
【0104】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。電動オイルポンプは、モータシャフトと車軸との径方向の隙間にオイルOを供給できるならば、特に限定されない。電動オイルポンプは、第1貯留部を介さずにモータシャフトと車軸との径方向の隙間にオイルOを供給してもよい。第1貯留部の内部には、モータシャフトの軸方向の開口のうちモータシャフトと車軸との径方向の隙間の一部のみが位置してもよい。第1貯留部の内部には、モータシャフトの軸方向の開口が位置しなくてもよい。例えば、第1貯留部の内部には、モータシャフトの軸方向の中間部分が位置してもよい。この場合、モータシャフトと車軸との径方向の隙間は、当該中間部分に設けられた貫通孔を介して第1貯留部の内部に露出してもよい。第1貯留部は、上側に開口しなくてもよい。第1実施形態および第2実施形態において、第1貯留部を構成する壁部は、仕切壁部の一部を含まなくてもよい。第3実施形態および第4実施形態において、第1貯留部を構成する壁部は、ベアリング保持壁部の一部を含まなくてもよい。第1貯留部は、ハウジングと一体成形されてもよい。第1貯留部は、設けられなくてもよい。
【0105】
第2貯留部および第3貯留部は、ハウジングと一体成形されてもよい。第2貯留部および第3貯留部は、設けられなくてもよい。ハウジングは、仕切壁部を有しなくてもよい。第1油路、第2油路、第3油路および第4油路は、設けられなくてもよい。モータシャフトは、シャフト貫通孔を有しなくてもよい。減速機構の構成は、特に限定されない。差動装置の構成は、特に限定されない。本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0106】
10,110,210…駆動装置、11,111,211,311…ハウジング、12,112,212…モータ収容部、13,113,213,313…ギヤ収容部、14,114,314…仕切壁部、14b…油路(第1油路)、14c…保持部(第1保持部)、14d…保持部(第2保持部)、17a,17b…油路(第3油路)、20…モータ、21…ロータ、22…モータシャフト、22a,22b,22c,22d…シャフト貫通孔、24…ステータ、27b…ベアリング(第1ベアリング)、30,330…減速装置、31…モータドライブギヤ、32…カウンタギヤ、34…カウンタシャフト、35a…ベアリング(第2ベアリング)、40,140,240,340…電動オイルポンプ、41,141…吸入口、50,350…差動装置、51,351…リングギヤ、61,261…第2貯留部、70,270…第1貯留部、114b…油路(第2油路)、119b…油路(第4油路)、AX…車軸、J1…モータ軸、O…オイル、OR11,OR12…第1オイル溜り、OR21,OR22…第2オイル溜り
図1
図2
図3
図4
図5