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特許7406705情報処理装置および情報処理装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231221BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B41J29/38
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018010834
(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公開番号】P2019126983
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-01-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】恒川 清宏
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】佐藤 海
【審判官】殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-88954(JP,A)
【文献】特開2014-220607(JP,A)
【文献】国際公開第2012/053049(WO,A1)
【文献】特開2006-67105(JP,A)
【文献】特開2011-82599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38, G03G 21/00, H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信を行う第1機能と、前記第1機能とは異なる第2機能を少なくとも含む複数の機能と、内部ネットワークと接続されたメイン通信インターフェースと外部ネットワークと接続されたサブ通信インターフェースを少なくとも含む複数の通信インターフェースを有する情報処理装置であって、
使用すべき通信インターフェースを択一するための設定画面を介したユーザ操作に基づき、前記メイン通信インターフェースと、前記サブ通信インターフェースのうち、いずれか1つの通信インターフェースのみを、前記第1機能が外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースの設定として設定する設定手段と、
前記第1機能で使用すべき通信インターフェースとして前記サブ通信インターフェースが設定されている場合、前記メイン通信インターフェースが利用可能な場合であっても、前記第1機能により生成されたデータが、前記利用可能なメイン通信インターフェースを介した通信を試みることなしに、前記設定手段で設定された前記サブ通信インターフェースを介して送信されるよう制御する通信制御手段と、
を有し、
前記メイン通信インターフェースは、他の通信インターフェースと比較して通信の優先度が高い通信インターフェースであり、
前記第1機能で通信すべき外部装置のアドレスを記憶する記憶手段と、
前記設定手段によってなされた設定として、前記第1機能で外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースとして、前記サブ通信インターフェースが設定されている場合、前記記憶手段が記憶するアドレスと、ネットワーク設定とに基づいて、経路情報をルーティングテーブルに登録する登録手段と、
を更に有し、
前記登録手段による経路情報の登録により、前記アドレスと、前記サブ通信インターフェースを対応付けた経路情報が前記ルーティングテーブルに登録されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、前記ルーティングテーブルに基づき通信に使用する通信インターフェースを決定することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、印刷装置であることを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1機能は第1アプリケーションが提供する機能であり、前記第2機能は、前記第1アプリケーションとは異なる第2アプリケーションが提供する機能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1機能は、印刷装置の消耗品に関する情報を外部サーバに送信するための管理機能であることを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
外部装置と通信を行う第1機能と、前記第1機能とは異なる第2機能を少なくとも含む複数の機能と、内部ネットワークと接続されたメイン通信インターフェースと外部ネットワークと接続されたサブ通信インターフェースを少なくとも含む複数の通信インターフェースを有する情報処理装置であって、
使用すべき通信インターフェースを択一するための設定画面を介したユーザ操作に基づき、前記メイン通信インターフェースと、前記サブ通信インターフェースのうち、いずれか1つの通信インターフェースのみを、前記第1機能が外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースの設定として設定する設定手段と、
前記第1機能で使用すべき通信インターフェースとして前記サブ通信インターフェースが設定されている場合、前記メイン通信インターフェースが利用可能な場合であっても、前記第1機能により生成されたデータが、前記利用可能なメイン通信インターフェースを介した通信を試みることなしに、前記設定手段で設定された前記サブ通信インターフェースを介して送信されるよう制御する通信制御手段と、
を有し、
前記メイン通信インターフェースは、他の通信インターフェースと比較して通信の優先度が高い通信インターフェースであり、
前記設定手段によりなされた前記第1機能が外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースの設定は前記情報処理装置の動作設定として所定の記憶領域に記憶され、
前記第1機能に対応するアプリケーションは、前記第1機能で使用すべき通信インターフェースとして前記サブ通信インターフェースが設定されている場合、前記通信制御手段に通信ソケットの作成を依頼し、当該通信ソケットを介した通信で使用する通信インターフェースとして前記サブ通信インターフェースを指定する依頼を行い、
前記通信制御手段は、前記アプリケーションから当該通信ソケット宛に送信されたデータを、前記指定する依頼に基づき指定された前記サブ通信インターフェースを介して前記外部装置に送信するよう制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記設定画面は、前記第1機能及び前記第2機能を少なくとも含む複数の機能に関して、機能毎に使用すべき通信インターフェースを択一するための選択画面であり、
前記情報処理装置は、前記選択画面を前記情報処理装置の操作部に表示する表示制御手段を有し、
前記設定手段は、前記選択画面を介したユーザ操作に基づき、前記第1機能が外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースの設定を受け付けることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザ操作に基づいて、前記複数の通信インターフェースのうち、いずれの通信インターフェースを前記メイン通信インターフェースとして機能させるかを示す設定を前記情報処理装置との動作設定として設定する第2の設定手段を更に有し、
前記動作設定として第1の設定がなされた場合、第1の通信インターフェースが前記メイン通信インターフェースとして機能し、第2の通信インターフェースが前記サブ通信インターフェースとして機能する一方、前記動作設定として第2の設定がなされた場合、前記第2の通信インターフェースがメイン通信インターフェースとして機能し、前記第1の通信インターフェースが前記サブ通信インターフェースとして機能することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
動作中のいずれか1つの通信インターフェースの動作を停止すべき事象が発生した場合、前記サブ通信インターフェースの動作は停止するが、前記メイン通信インターフェースの動作は継続することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
外部装置と通信を行う第1機能と、前記第1機能とは異なる第2機能を少なくとも含む複数の機能と、内部ネットワークと接続されたメイン通信インターフェースと外部ネットワークと接続されたサブ通信インターフェースを少なくとも含む複数の通信インターフェースを有する情報処理装置の制御方法であって、
使用すべき通信インターフェースを択一するための設定画面を介したユーザ操作に基づき、前記メイン通信インターフェースと、前記サブ通信インターフェースのうち、いずれか1つの通信インターフェースのみを、前記第1機能が外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースの設定として設定する設定工程と、
前記第1機能で使用すべき通信インターフェースとして前記サブ通信インターフェースが設定されている場合、前記メイン通信インターフェースが利用可能な場合であっても、前記第1機能により生成されたデータが、前記利用可能なメイン通信インターフェースを介した通信を試みることなしに、前記設定工程で設定された前記サブ通信インターフェースを介して送信されるよう制御する通信制御工程と、
を有し、
前記メイン通信インターフェースは、他の通信インターフェースと比較して通信の優先度が高い通信インターフェースであり、
前記第1機能で通信すべき外部装置のアドレスを記憶する記憶工程と、
前記設定工程によってなされた設定として、前記第1機能で外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースとして、前記サブ通信インターフェースが設定されている場合、前記記憶工程により記憶されたアドレスと、ネットワーク設定とに基づいて、経路情報をルーティングテーブルに登録する登録工程と、
を更に有し、
前記登録工程による経路情報の登録により、前記アドレスと、前記サブ通信インターフェースを対応付けた経路情報が前記ルーティングテーブルに登録されることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、および情報処理装置の通信制御方法、及び並びに通信制御プログラムに関し、特に、複数の通信インターフェイスを備え、同時に複数のネットワークに接続する情報処理装置の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置の利用形態やネットワークに求められるセキュリティポリシの違いから、社内接続およびインターネット等の外部接続など、複数のLAN(Local Area Network)を使い分ける環境が一般的になってきた。そのため、プリンタや複合機等の単一の情報処理装置において、複数の通信インターフェイスを搭載したものが製造されている。例えば、有線LANを第1の通信インターフェイス(以下、主回線)に設定し、もう一方の通信インターフェイス(以下、副回線)に無線LANを設定するような運用が見られる。
【0003】
また、プリンタや複合機においては、消耗品情報やエラー発生状況、および稼働履歴としてのカウンタ情報といった、情報処理装置に関する情報を外部の管理サーバへ定期的に送信し、情報処理装置をリモートで監視・管理する機器管理システムが普及している。例えば、複数の通信インターフェイスを備えた印刷装置において、当該印刷装置に生じる障害を、各通信インターフェイスに接続された管理装置に通知するネットワークシステムが考案されている(特許文献1)。特許文献1では、通知先となる管理装置毎に使用する通信インターフェイスの種別を定めた特定情報を含む障害通知管理情報により、障害通知情報を配送する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-94455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示した従来技術では、宛先ベースのルーティング設定によって通信インターフェイスを決定するため、ネットワーク機能に応じてルーティングを制御することが難しい。つまり、複数の通信インターフェイスを備えた情報処理装置が、ネットワークに接続された外部装置と通信を開始する場合、どちらの通信インターフェイスにパケットを送信するのかを決定する必要がある。基本的なルーティングルールとしては、宛先のネットワークアドレスと送信元インターフェイスのIPアドレスとのマッチング判定(最長一致仕様)が用いられる。これは、宛先のIPアドレスが属するネットワークアドレスと、送信元の通信インターフェイスに割り当てた各IPアドレスとが一致する場合、一致するビット数がより多い方の通信インターフェイスから送信する方がより適切な経路選択となるためである。従って、宛先のIPアドレスと送信元の各通信インターフェイスに割り当てたIPアドレスによっては、上記の最長一致ルールに基づいて送信元が意図しない通信インターフェイスを選択して通信しようとしてしまう場合がある。
【0006】
ここで、複数の通信インターフェイスを備えた情報処理装置において、通常業務と特定業務を行うネットワークとでセグメントを分割することでセキュリティを担保するネットワーク環境を構築することが考えられる。上述の、セグメントを分割することでセキュリティを担保するネットワーク環境を構築している場合、情報処理装置が実現しようとするネットワーク機能によっては、適切なルーティングが行えなかったため所望の機能を実現できないという懸念がある。例えば、インターネット上のクラウドを用いて、背景技術に示した機器管理システムを構成する場合、情報処理装置は外部のネットワーク経由で通信する必要があるが、主回線を社内LANに限定している構成では、正しく副回線が選択されない懸念がある。また、例えば、MFPでスキャンした文書を電子ファイル化し、社内LANに接続されたユーザ宛てに電子メールで送信する送信機能の場合は、社外への情報漏洩を避けるために、必ず社内LANとして運用された主回線を経由した通信に限定する必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも1つを鑑みて、所定のネットワーク機能がいずれの通信インタフェースを使用するかを簡単に設定することのできる情報処理装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様は、外部装置と通信を行う第1機能と、第1機能とは異なる第2機能を少なくとも含む複数の機能と、内部ネットワークと接続されたメイン通信インターフェースと外部ネットワークと接続されたサブ通信インターフェースを少なくとも含む複数の通信インターフェースを有する情報処理装置であって、設定手段および通信制御手段を有する。設定手段は、使用すべき通信インターフェースを択一するための設定画面を介したユーザ操作に基づき、メイン通信インターフェースと、サブ通信インターフェースのうち、いずれか1つの通信インターフェースのみを、第1機能が外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースの設定として設定する。通信制御手段は、第1機能で使用すべき通信インターフェースとしてサブ通信インターフェースが設定されている場合、メイン通信インターフェースが利用可能な場合であっても、第1機能により生成されたデータが、利用可能なメイン通信インターフェースを介した通信を試みることなしに、設定手段で設定されたサブ通信インターフェースを介して送信されるよう制御する。また、メイン通信インターフェースは、他の通信インターフェースと比較して通信の優先度が高い通信インターフェースである。情報処理装置は、第1機能で通信すべき外部装置のアドレスを記憶する記憶手段と、設定手段によってなされた設定として、第1機能で外部装置と通信を行う場合に使用すべき通信インターフェースとして、サブ通信インターフェースが設定されている場合、記憶手段が記憶するアドレスと、ネットワーク設定とに基づいて、経路情報をルーティングテーブルに登録する登録手段と、を更に有する。登録手段による経路情報の登録により、アドレスと、サブ通信インターフェースを対応付けた経路情報がルーティングテーブルに登録される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ネットワーク機能がいずれの通信インタフェースを使用するかを簡単に設定することのできる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ネットワーク構成を示す図である。
図2】MFPのハードウェア構成を示す図である。
図3】MFPのソフトウェア構成を示す図である。
図4】第1実施形態に係るUI画面を示す図である。
図5】第1実施形態に係るUI画面を示す図である。
図6】第1実施形態に係る通信IF選択の手順を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係るUI画面を示す図である。
図8】第1実施形態に係る通信IF選択の手順を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る機器情報管理アプリの処理を示すフローチャートである。
図10】ネットワーク構成及びルーティングテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面などを参照して説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は本実施形態に係るMFP(Multi Function Peripheral)100が複数の通信インターフェイスを経由して接続されるネットワーク120、121の構成図である。MFP100は、LAN(Local Area Network)1(120)を介してクライアントPC110と接続されている。クライアントPC110はLAN120を介してMFP100に対してプリントジョブを送信する。LAN1(120)にはさらにルータ111を経由してLAN3(122)と接続し社内専用のネットワークを構築しており、いずれもインターネット等の外部ネットワークには接続していない。サーバ112は、例えばDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバであり、MFP100及びクライアントPC120に対してIPアドレスを割り当てる。
【0013】
無線LANアクセスポイント(以下、AP)113は、クライアント端末に対してIEEE802.11規格に準拠する無線通信を提供するアクセスポイントである。MFP100は、無線インフラストラクチャモードにてAP113と接続し、AP113を介してLAN2(121)に参加している。モバイル端末115もAP113を介してLAN2(121)に接続しており、モバイル端末115は、LAN2を介してMFP100に対してプリントジョブを送信することができる。また、LAN2は、ゲートウェイ114を介して外部ネットワーク(インターネット)123に接続している。
【0014】
サーバB116は、MFP100の機器構成情報や印刷ジョブ履歴、および消耗品に関する情報(以下、機器管理情報)を収集して記憶する機器管理装置であり、MFPと通信するプロトコルに応じてHTTPやSMTP等の各種サーバとして動作する。そして、LAN2(121)およびインターネット123を介して、MFP100から前記機器管理情報を取得する。
【0015】
図2は、MFP100のハードウェア構成を示す図である。CPU(Central Processing Unit)201を含む制御部200は、MFP100全体の動作を制御する。CPU201は、ROM(Read Only Memory)203あるいはHDD(Hard Disk Drive)204などのストレージに記憶された制御プログラムを読み出し実行し、通信制御や画像処理などの各種制御を行う。RAM(Random Access Memory)202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等の一時領域として用いられる。HDD204は、データや各種プログラムや各種情報テーブルを記憶する不揮発性記憶手段であり、印刷やコピー処理によって生成される画像データを一時的に記憶するためにも用いられる。CPU201を含む制御部200は、MFP100の各種制御を行うコンピュータとして機能する。
【0016】
プリンタI/F(インターフェイス)206は、プリンタエンジン221(以下プリンタ)と制御部200とを接続する。プリンタ221は、プリンタI/F206を介して入力された画像データに基づいて、不図示の給紙カセットから給紙されたシート上に画像形成を行う。プリンタ221は、インクをシートに吐出して画像を印刷するインクジェット方式を採用していても、トナーをシートに定着させて画像を印刷する電子写真方式を採用していてもよい。
【0017】
スキャナI/F207は、スキャナ222と制御部201とを接続する。スキャナ222は、載置された原稿を読み取り、画像データを生成する。スキャナ222が生成した画像データは、プリンタ221で印刷されたり、HDD204に記憶されたり、有線LAN I/F208や無線LAN I/F209を介して外部装置に送信されたりする。操作部I/F205は、操作部220と制御部201とを接続する。操作部220は、MFP100の各種設定を行うための受付部として機能したり、または機器の状態を表示する操作パネル(表示部)として機能したりする。
【0018】
CPU201は、有線LAN I/F208を介してLAN1およびLAN3上の装置との通信を実現する。この有線通信を介して、MFP100は、例えばスキャナ222が生成した画像データをクライアントPC110に送信することもできる。また、無線LAN I/Fは、IEEE802.11規格に準拠する無線通信を行うためのインターフェイスである。CPU201は、無線LAN I/F209を介してLAN2、および外部ネットワーク123上の装置との通信を実現する。
【0019】
図3は、MFP100の制御部200で実行されるソフトウェアの構造をあらわすブロック図である。制御部200で実行されるソフトウェアは、CPU201がROM203またはHDD204に記憶されたプログラムをRAM202に読み込んだ後、実行されることにより実現される。操作制御部301は、操作部220にユーザ向けの画面イメージを表示、およびユーザ操作の検知と画面上に表示したボタン等の画面部品に紐づけられた処理を実行する。
【0020】
データ記憶部305は、他の制御部からの要求に基づき、設定値等のデータをROM203に記憶、および読み出しを行う。例えば、ユーザが何らかの機器設定を変更したい場合、操作部220にユーザが入力した内容を操作制御部301が検知し、操作制御部301からの要求でデータ記憶部305が設定値としてROM203に記憶する。環境設定部306は、データ記憶部305に記憶された設定値に従い、システム起動時や設定変更検出時にIPアドレスなどのネットワーク設定に加え、MFP100が備える印刷やコピー機能のための各種設定を行う。
【0021】
NWアプリ1(310)~NWアプリ4(313)は、サービス提供手段としてネットワークを用いて実現される機能として、MFP100上で動作するアプリケーションである。NWアプリ1(310)は、PC110などの外部装置からの要求に応じて、MFP100の機器構成や消耗品の情報を収集し出力する、機器情報の管理を行うアプリケーションである。本実施形態では、RFC1157に定義されたSNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルに従って、機器情報を管理情報ベース(MIB)の形式で出力するSNMPエージェントとして構成されている。
【0022】
NWアプリ2(311)は、ネットワーク経由で機器の時刻を同期させるSNTP(Simple Network Time Protocol)プロトコルに従ってMFP100の時計設定を行うSNTPクライアントである。NWアプリ3(312)は、スキャン処理等でHDD204に記憶された画像ファイルを電子メールやファイル共有により外部装置へ出力するアプリケーションである。つまり、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やSMB(Server Message Block)プロトコルに従い、外部装置へ出力するアプリケーションである。以下では、簡単のためファイル送信と称する。
【0023】
NWアプリ4(313)は、モバイル端末115の印刷指示により、IPP(Internet Printing Protocol)プロトコルに従って無線LAN I/F(209)経由で印刷データを受信するNWアプリケーションである。本実施形態では、説明のため上記4つのNWアプリが動作する構成としたが、ネットワーク機能を用いてMFP100の機能を実現するアプリケーションであれば、4つに限らず本発明を適用可能である。
【0024】
ネットワーク制御部315は、ネットワーク機能を実現するためのプロトコル毎に、ソフトウェアの役割を階層的に積み上げたプログラム群としてのプロトコルスタックであり、制御部200を統括的に制御するOSの一部として構成されている。プロトコルスタックは、OSI参照モデルに準じた各層から構成される。具体的には、コネクション制御等を行うセッション層、データ転送を管理するトランスポート層、アドレス管理および経路選択を制御するネットワーク層、データフレームの識別や転送を行うデータリンク層から構成される。ここでは、ネットワーク制御部315が、有線LAN I/F208を制御するための論理的なネットワークインタフェースの名称として“eth0”を割り当てているものとする。また、ネットワーク制御部315は、無線LAN I/F209を制御するための論理的なネットワークインタフェースの名称として“ath0”を割り当てているものとする。
【0025】
さらに、プロトコルスタックには、有線LAN I/F208ハードウェアを制御するデバイスドライバ1(316)、および無線LAN I/F209ハードウェアを制御するデバイスドライバ2(317)が含まれる。ネットワーク制御API(Application Program Interface)314は、ネットワーク制御部315が備えるプロトコルスタックを呼び出すためのAPIライブラリであって、一般的なソケット関数としてOSに備えられている。環境設定部306およびNWアプリ1(310)~NWアプリ4(313)は、ネットワーク制御API314にパラメータを設定して呼び出すことで、ネットワーク制御部315を呼び出し、各種ネットワークの設定やデータ通信を行う。
【0026】
ジョブ制御部302は、MFP100が備えるコピー、印刷、ファイル送信などの機能のジョブ実行の全体的な制御を行う。印刷処理部303は、ジョブ制御部302からの指示に従い、受信した印刷データを解釈し画像データを生成し、プリンタI/F206を介して、紙媒体に画像データを印刷し出力する。スキャン処理部304は、ジョブ制御部303からの指示時に従い、スキャナI/F207を介して、設置された原稿を読み込み、スキャン画像としてHDD204に記憶する。なお、印刷処理部303は、スキャン処理部304が記憶したスキャン画像を読み出して紙媒体に印刷する処理も行う。例えば、コピー機能を実行する場合は、操作制御部301がコピー機能の開始要求を検知し、ジョブ制御部302にコピーを指示する。ジョブ制御部302は、スキャン処理部304に原稿読み取りを指示し、スキャン画像を取得する。ジョブ制御部303は、印刷処理部303に印刷を指示し、コピー結果として紙媒体を出力する。
【0027】
図4(A)は、操作部220に表示される、さまざまなネットワーク設定を行うためのメニュー画面400であり、画面に表示される各ボタン(401~405)のユーザによる押下操作を検知することで、下層の個々のメニュー設定画面に遷移する。ここで、メニュー画面400の表示制御およびボタン押下の検知は、操作制御部301によって行われる。
【0028】
ボタン401は、主回線設定画面(不図示)に遷移するためのボタンであり、主回線設定画面では、主回線に対するIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイなどのアドレス設定を行うことができる。ボタン402は、副回線設定画面(不図示)に遷移するためのボタンであり、無線設定画面(不図示)では、副回線に対するIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイなどのアドレス設定を行うことができる。ボタン403は、無線設定画面(不図示)に遷移するためのボタンであり、無線設定画面では、アクセスポイントのSSID(Service Set Identifier)などの無線インフラストラクチャモードに対する認証設定を行うことができる。
【0029】
ボタン404は、後述のインターフェイス選択画面410(図4(B))に遷移するためのボタンである。ボタン405は、後述の機能別インターフェイス選択画面420(図5)に遷移するためのボタンであり、画面410(図4(B))にて、主回線および副回線がどちらも活性状態に設定されている場合のみ選択可能である。例えば、有線及び無線の両方が設定されている場合に選択可能である。操作制御部301は、設定反映ボタン407の押下を検知すると、ユーザが変更した設定値をデータ記憶部305に記憶した上で、環境設定部306に設定の反映を指示する。
【0030】
図4(B)はインターフェイス選択画面410であり、有線LANと無線LANインフラストラクチャモードの活性状態をユーザが選択するために利用される。操作制御部301はボタン404(図4(A))の押下を検知すると、操作部220の表示を本画面に遷移する。同図において、有線のみチェックボックス411を選択した場合、有線LANのみが動作し無線LANインフラストラクチャモードは動作しない。無線のみ412を選択した場合、無線インフラストラクチャモードのみが動作し、有線LANは動作しない。有線(主)+無線(副)チェックボックス413を選択した場合は、有線LANが主回線として動作し無線LANインフラストラクチャモードが副回線として動作する。有線(副)+無線(主)チェックボックス414を選択した場合は、有線LANが副回線として動作し無線LANインフラストラクチャモードが主回線として動作する。
【0031】
主回線と副回線の違いとして、どちらかの動作を停止しなければならない場合の優先度が異なる。つまり、主回線を優先して動かすために副回線の動作を止める可能性がある。また、通信回線としての動作が止まらないとしても、提供するサービスが一部停止するという場合にも適用可能な設定である。なお、チェックボックス411、412、413、414の選択肢いずれを選択しても、無線LANアドホックモードの活性状態には影響しない。チェックボックス411、412、413、414は排他設定であり、どれか一つしか選択することができない。操作制御部301は、OKボタン415押下を検知すると、ユーザが選択した設定(以下、IF選択情報)をデータ記憶部305に記憶した上で、ネットワーク設定400を表示する画面に戻る。一方、キャンセルボタン416の押下を検知した場合は、設定変更を行わずにネットワーク設定400を表示する画面に戻る。
【0032】
図5は、NWアプリが実現する機能毎にインターフェイスとして主回線・副回線のどちらを使用するか、ユーザが選択するためのメニュー画面の例である。操作制御部301は、ボタン405(図4(A))が有効である際に押下を検知すると、操作部220の表示を本画面に遷移する。同図において、NWアプリ1(機器情報管理)421、SNTP422、ファイル送信423、モバイル印刷424の機能毎に、ボタン425を選択すれば主回線を使用する一方、ボタン426を選択すれば副回線を使用する設定となる。本実施例では、機器情報管理421とモバイル印刷424は副回線を使用し、SNTP422、ファイル送信423は主回線を使用する設定となっている例を示している。なお、本実施例では、前記4種類のNWアプリに対してインターフェイスを選択可能としたが、これに限定することなく、他のNWアプリに対しても適用可能である。
【0033】
操作制御部301は、OKボタン427押下を検知すると、ユーザが選択した設定(以下、機能別IF選択情報)をデータ記憶部305に記憶した上で、ネットワーク設定400を表示する画面に戻る。データ記憶部305に記憶する機能別IF選択情報は、NWアプリ421~424のそれぞれに対して1つずつ記憶領域が割り当てられる。一方、キャンセルボタン428の押下を検知した場合は、設定変更を行わずにネットワーク設定400を表示する画面に戻る。
【0034】
以下、図6及び図9のフローチャートを用いて、NWアプリ1(310)が機能別インターフェイス選択画面420の設定に基づいてインターフェイスを選択し、通信を行うまでの手順について説明する。ここで、図6及び図9のフローチャートに示す各処理は、CPU201がROM203またはHDD204に記憶されたプログラムをRAM202に読み込んだ後、実行されることで実現される。本実施形態では、NWアプリ1(310)が外部ネットワーク123に接続されたサーバB116と通信する場合を説明するが、インターフェイスを選択する処理はNWアプリ2(311)~NWアプリ4(313)においても同様のため、詳細な説明は省略する。
【0035】
まず、図9において、機器情報管理アプリ(NWアプリ1(310))は、機器情報管理アプリの動作に必要な各種設定情報をデータ記憶部305から読み出す(ステップS801)。読み出す設定情報としては、通信先サーバB116のアドレス情報、送信対象とする消耗品などの機器情報種別、送信に用いるプロトコル種別の他、送信周期と送信時刻、および送信完了時刻を含む。送信周期および送信時刻は、例えば、「毎日22:00」と設定されていれば、毎日22:00に1回、送信処理を行うよう機器情報送信処理がスケジュールされる。なお、送信完了時刻を除く前記機器情報管理アプリの設定情報は、予めプログラムのデータ部に組み込まれた初期値としてもよく、操作部220のメニュー画面から変更できるよう構成してもよい。また、送信完了時刻は、初回電源投入時には未送信であることを示すゼロが初期値として設定されている。
【0036】
次に、機器情報管理アプリ(NWアプリ1(310))は、OSが備えるタイマーを用いて時刻情報を取得する(ステップS802)。そして、時刻情報と、送信周期および送信時刻とを比較し、時刻情報が送信周期および送信時刻に達したか否かを判定する(ステップS803)。時刻情報が送信時刻に達していないと判定した場合(No)、所定のウェイトを設定した後、ステップS802へ戻る。一方、時刻情報が送信時刻に達したと判定した場合(Yes)、ステップS804に進む。そして、機器情報管理アプリ(NWアプリ1(310))は、データ記憶部305に記憶された機能別IF選択情報に基づいて通信通信インターフェイスを選択し、機器情報の送信処理を行う(ステップS804)。なお、ステップS804の処理手順詳細については、図6を用いて後述する。機器情報の送信処理を完了した後、送信完了時刻を更新し(ステップS805)、シャットダウンが指示されていない限り処理を継続するためステップS802へ戻る(ステップS806)。そして、送信完了時刻は、送信結果を履歴情報としてHDD204内に記憶する際に参照される。
【0037】
次に、ステップS804に示した処理の詳細手順について、図6のフローチャートを用いて説明する。NWアプリ1(310)は、ステップS501にて、通信先のサーバB116のIPアドレスを決定する。本実施形態では、機器情報管理を行うサーバB116のIPアドレスは不変とし、予めデータ記憶部305に保持しておいた値を取得する。これは、ネットワーク制御部315を構成するOSが、通信インターフェイスのすべてで名前解決を行わないためである。一般的には、通信先のIPアドレスはDNS(Domain Name System)によってホスト名から動的に名前解決を行うことができるため、OSによってはDNSによる名前解決を行う構成でもよい。
【0038】
次に、NWアプリ1(310)は、通信を開始するためにネットワーク制御API314が備えるsocket()システムコールを呼び出し、ネットワーク制御部315にソケットの生成を依頼する(ステップS502)。第1引数にはTCP/IPプロトコルファミリを使うことを意味するPF_INETを指定し、第2引数にはソケットの種類としてSOCK_STREAMを指定する。以降の通信ではここで生成したソケットを指定して制御を行う。ソケットを生成した後、NWアプリ1(310)は、データ記憶部305からIF選択情報(インターフェイス選択情報)および該当するNWアプリの機能別IF選択情報を取得する(ステップS503)。そして、ステップS504以降、IF選択情報および機能別IF選択情報の値によってソケットに関連付けるインターフェイスを切り替える。
【0039】
なお、ステップS503で取得するIF選択情報および該当するNWアプリの機能別IF選択情報は、図4(B)、図5に示した操作部220のメニュー画面でユーザ操作に入力された値を操作制御部301が読み取り、データ記憶部305に記憶した情報である。次に、IF選択情報が「有線のみ」を示す値であるか否かを判定する(ステップS504)。IF選択情報が「有線のみ」を示す値である場合(Yes)、NWアプリ1(310)は、ソケットに関連付けるインターフェイス名を保持する変数pに、有線LAN I/Fを示す文字列“eth0”を設定する(ステップS505)。これは、図4(B)で「有線のみ」411が選択されている場合が該当する。
【0040】
一方、IF選択情報が「有線のみ」を示す値でない場合(No)、ステップS510に進み、IF選択情報が「無線のみ」を示す値であるか否かを判定する(ステップS510)。ステップS510でIF選択情報が「無線のみ」を示す値である場合(Yes)、インターフェイス名を保持する変数pには無線LAN I/Fを示す文字列“ath0”を設定する(ステップS511)。これは、図4(B)で「無線のみ」412が選択されている場合が該当する。
【0041】
一方、ステップS510でIF選択情報が「無線のみ」を示す値でない場合(No)、ステップS512に進み、IF選択情報が「有線(主)+無線(副)」を示す値であるか否かを判定する(ステップS512)。ステップS512でIF選択情報が「有線(主)+無線(副)」を示す値である場合(Yes)、さらに機能別IF選択情報が「主回線」を示す値であるか否かを判定する(ステップS513)。ステップS513で機能別IF選択情報が「主回線」を示す値である場合(Yes)、変数pには主回線として設定されている有線LAN I/Fを示す文字列“eth0”を設定する(ステップS514)。これは、図4(B)で「有線(主)+無線(副)」413が選択されていて、さらにNWアプリが機器情報管理421の場合であれば、図5で「主回線」425が選択されている場合が該当する。
【0042】
一方、ステップS513で機能別IF選択情報が「主回線」を示す値でない場合(No)、変数pには、無線LAN I/Fを示す文字列“ath0”を設定する(ステップS511)。これは、図4(B)で「有線(主)+無線(副)」413が選択されていて、さらにNWアプリが機器情報管理421であれば、図5で「副回線」426が選択されている場合が該当する。一方、ステップS512でIF選択情報が「有線(主)+無線(副)」を示す値でない場合(No)、続いて機能別IF選択情報が「主回線」を示す値であるか否かを判定する(ステップS515)。
【0043】
ステップS515で機能別IF選択情報が「主回線」を示す値である場合(Yes)、ステップS516に進む。IF選択情報は、「有線(副)+無線(主)」を示す値となっているため、変数pには、主回線として設定されている無線LAN I/Fを示す文字列“ath0”を設定する(ステップS516)。一方、ステップS515で機能別IF選択情報が「主回線」を示す値でない(No)、変数pには副回線として設定されている有線LAN I/Fを示す文字列“eth0”を設定する(ステップS514)。これは、図4(B)で「有線(副)+無線(主)」413が選択されている場合が該当する。
【0044】
次に、NWアプリ1(310)は、変数pを参照して、ネットワーク制御API314が備えるsetsockopt()システムコールを呼び出し、ネットワーク制御部315に対して使用するインターフェイスを指定する(対応付ける)(ステップS506)。具体的には、第1引数には、ステップS502で生成したソケットの識別子を指定する。第2引数には、ソケットオプションが定義されるレベルを示すSOL_SOCKETを指定する。第3引数には、ソケットに設定するオプション種別として、ソケットにインターフェイスを結びつけることを意味するSO_BINDTODEVICEを指定する。第4引数には、IF選択情報および機能別IF選択情報に応じて選択されたインターフェイス名を示す変数pへのポインタを指定する。第5引数には、第4引数に指定した文字列のバイト数を指定する。上述したようにネットワーク制御API314が備えるAPIを用いることで、NWアプリ1(310)は、ネットワーク制御部315に対して所望の通信インターフェイスを指定することができる。本実施形態では、インターフェイス選択は、「有線(主)+無線(副)」が選択され、かつ機器情報管理421に対する機能別インターフェイス選択は「副回線」が選択されているため、最終的に副回線である無線LAN I/Fが選択される。
【0045】
次に、NWアプリ1(310)は、サーバB(116)に対して接続を行うために、生成したソケットに対してconnect()システムコールを呼び出す(ステップS507)。そして、対応する通信インターフェイスからデータを送信するためにwrite()システムコールを呼び出し(ステップS508)、送信が終了したらソケットをクローズするためにclose()システムコールを呼び出す(ステップS509)。なお、ステップS507以降のステップについては、一般的なクライアントが行うソケット通信であるため、システムコールに指定する引数の詳細は省略する。また、説明の簡略化のため、それぞれのシステムコールが処理に失敗した場合のエラー処理についても説明を省略する。
【0046】
以上、本実施形態によれば、宛先のIPアドレスに関係なく、ネットワーク機能毎に複数の通信インターフェイスから適切なインターフェイスを選択する情報処理装置を提供することができる。
【0047】
(第2実施形態)
第1実施形態では、予め使用するネットワーク機能毎に複数の通信インターフェイスから一つを選択しておく構成を示した。これは、MFP100を設置するネットワーク構成に応じて、予め管理者が初期設定として設定するようなケースに適用可能である。本実施形態では、第1実施形態に加え、MFP100を使用するユーザが所定のネットワーク機能の動作中に、使用する通信インターフェイスを動的に選択するケースについて説明する。なお、本実施形態において、前提となる装置のハードウェア構成は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と同様の構成については、詳細な説明は省略する。
【0048】
ユーザが所定のネットワーク機能を使用している最中に、使用する通信インターフェイスを動的に選択したい例として、例えば、MFP100に保存した文書を外部へ送信するファイル送信機能において、送信先の宛先に応じて使い分けるケースが考えられる。例えば、通常の業務においては、社内LANに接続されたPC110にスキャン画像を保存するために主回線を選択する一方、社外のクラウドサービスに対しては副回線を選択するといった使い分けである。
【0049】
以下、図7及び図8を用いて、ファイル送信の場合について説明する。図7(A)は、ファイル送信を行うために操作部220に表示されるメニュー画面600である。本実施形態では、原稿をスキャンして送信する場合を示すが、PCからのジョブ投入によって予めMFP100のHDD204にボックスとして登録した画像データを送信対象とする場合にも適用可能である。なお、前記メニュー画面の表示制御およびボタン押下の検知は、第1実施形態と同様、操作制御部301が行い、ユーザが指定した設定値は、データ記憶部305に記憶される。そして、NWアプリ3(312)がデータ記憶部305に記憶された設定に従って、実際のファイル送信制御を行う。
【0050】
ファイル送信画面600には、主に送信先の宛先設定、送信ファイルの形式、および使用するインターフェイスを選択するためのボタンが表示される。宛先の指定601には、登録済みのアドレス帳から選択する画面に遷移するボタン602と、よく使う宛先を選択する画面に遷移するボタン603と、新規登録のためのボタン604と、Wi-Fi接続するモバイル端末を指定する画面に遷移するボタン605を含む。宛先は、eメールアドレス、ファイル共有先のホスト名、電話(FAX)番号に加え、MFP100本体のボックス番号を含み、選択された宛先の種類によって実際に送信する際のプロトコルが決定される。
【0051】
送信ファイルの形式を指定するには、カラーモード609、解像度610、ファイルフォーマット611のそれぞれを押下することで、カラーモード、解像度、ファイルフォーマットを指定する画面に遷移する。ボタン608は、ファイル送信の際に使用する通信インターフェイスを選択するための画面620(図7(B))に遷移するためのボタンである。操作制御部301は、宛先の指定601にて指定された宛先がeメールまたはホスト名(格納先フォルダ名を含む)である場合のみ、ボタン押下を検知するとインターフェイス選択画面620に遷移する。上記以外のFAXやボックス番号の場合には通信インターフェイスの選択は意味がないため、ボタン608はグレーアウトされて選択できない。操作制御部301は、OKボタン606押下を検知すると、ユーザが選択した設定をデータ記憶部305に記憶した上で、NWアプリ3(312)に実際のファイル送信処理の開始を指示する。一方、キャンセルボタン416の押下を検知した場合は、ファイル送信処理を行わずに不図示のメニュートップ画面に戻る。
【0052】
図7(B)は、NWアプリ3が制御するファイル送信機能において、機能別インターフェイスとして主回線・副回線のどちらを使用するか、ユーザが選択するためのメニュー画面例である。第1実施形態の図5と同様、ボタン622を選択すれば主回線を使用する一方、ボタン623を選択すれば副回線を使用する設定となる。OKボタン624、キャンセルボタン625については第1実施形態のOKボタン427、キャンセルボタン428と同様であるため説明を省略する。
【0053】
以下、図8のフローチャートを用いて、OKボタン606の押下検知をトリガとして、NWアプリ3(312)がインターフェイス選択画面620の設定に基づきインターフェイスを選択し、ファイル送信を行うまでの手順について説明する。ここで、図8のフローチャートに示す各処理は、CPU201がROM203またはHDD204に記憶されたプログラムをRAM202に読み込んだ後、実行されることで実現される。
【0054】
まず、NWアプリ3(312)は、ファイル送信の宛先が適切に設定されているか否かを判定し(ステップS701)、宛先が適切でない場合はファイル送信処理を終了する。一方、宛先が適切である場合は、宛先がeメールまたはホスト名であるかを判定する(ステップS702)。そして、宛先がeメールまたはホスト名である場合、データ記憶部305に記憶されたIF選択情報と機能別IF選択情報を取得する(ステップS703)。ここで、機能別IF選択情報は、図7(B)に示すインターフェイス選択画面620にて選択された結果に基づいた値が記憶されている。なお、本実施形態では、ファイル送信のプロトコルとしてSMB、FTP、WebDAVをサポートする。
【0055】
通信時に生成するソケットに関連付けるインターフェイス名を、変数pに設定する処理(ステップS704)については、第1実施形態の図5に示したステップS504~505、およびステップS510~516と同様のため説明を省略する。また、ネットワーク制御部315に通信インターフェイスの設定を通知した後のステップについても、第1実施形態と同様のため説明を省略する。ステップS707がステップS501に、ステップS708がステップS502、ステップS709~ステップS712の各ステップがステップS506~ステップS509の各ステップに相当する。
【0056】
一方、ステップS702で宛先がeメール、ホスト名のいずれでもない場合、NWアプリ3(312)は、Wi-Fi経由のモバイル端末であるか否かを判定する(ステップS705)。ステップS705でWi-Fi経由のモバイル端末である場合、インターフェイス名を保持する変数pには無線LAN I/Fを示す文字列“ath0”を設定する(ステップS706)。ステップS705でWi-Fi経由のモバイル端末でない場合、FAX送信またはボックスへのファイル格納処理(ステップS713)を行うため、ジョブ制御部302に制御を依頼してNWアプリ3としての処理を終了する。
【0057】
以上、本実施形態によれば、ファイル送信機能の処理途中において通信インターフェイスを適宜切り替え可能とすることで、宛先が属するネットワークに応じて適切な通信インターフェイスを選択することができ、送信に失敗することなく処理することができる。
【0058】
(第3実施形態)
第1実施形態では、NWアプリ(310、312)が通信処理を行う際にその都度ネットワーク制御API314に対して通信インターフェイスを指定することで、機能毎の経路選択を適切に異ならせる方法を説明した。本実施形態では、予めデータ記憶部305に記憶された設定値に基づいて、ネットワーク制御部315がルーティングテーブルを作成し、当該ルーティングテーブルに基づき通信インターフェイスを選択する方法について説明する。本実施形態の構成における各NWアプリ(310~313)は、個別に通信インターフェイスを選択する処理を行う必要がなく、OSであるネットワーク制御部315によって経路の選択が行われる。
【0059】
図10(A)は、本実施形態に係るMFP100が接続されるネットワークの構成図であるが、構成そのものは第1実施形態の図1と同一であり、説明のために主要なホストおよびネットワークに対してIPアドレスの例を記載している。例えば、MFP100が備える有線LAN I/F208のアドレスに192.168.1.10を、無線LAN I/F209のアドレスに192.168.20.10を、機器管理装置(サーバB)116のアドレスに172.32.10.1を設定している。LAN1のネットワークアドレスは192.168.1.0/24、LAN2は192.168.20.0/24、LAN3は192.168.10.0/24、外部ネットワークは172.32.0.0/16である。また、ゲートウェイ114の通信インターフェイスとしては、LAN2(121)に接続するI/Fに192.168.20.253を、外部ネットワーク123に接続するI/Fに172.32.100.254のアドレスを割り当てている。
【0060】
CPU201は、図4又は図5の画面などを介してMFP100のネットワーク設定が変更されたことや、DHCPサーバから割り振られるIPアドレスが変更されること等に従ってルーティングテーブルを更新するものとする。また、本実施形態において、NWアプリ1や、NWアプリ3のように所定のサーバと通信するアプリケーションについては、各アプリがアクセスするサーバへの接続情報(IPアドレスやホスト名)が別途MFP100の装置設定として記憶されているものとする。例えば、NWアプリ1に関する接続情報として、機器管理装置(サーバB)116にアクセスするためのIPアドレス又はホスト名(例えば、172.32.10.1)が予め記憶されているものとする。また、NWアプリ3に関する接続情報としては、SNTPサーバへアクセスするためのIPアドレス又はホスト名が予め記憶されているものとする。CPU201は、当該記憶されている接続情報と、ネットワーク設定、現在のネットワークの構成情報等に基づき、ルーティングテーブルを構築する。
【0061】
図10(A)に示したネットワーク構成に接続されたMFP100は、NWアプリ毎に記憶されている接続情報と、ネットワーク設定等に基づき、ルーティングテーブルを生成する。図10(B)は、図4図5で例示したネットワーク設定、ネットワークの構成情報、及び予め記憶されているNWアプリ毎の接続情報等に基づいて生成されたルーティングテーブルを例示している。MFP100は、当該生成したルーティングテーブルに基づき各NWアプリから外部へ送信されるデータをいずれのインタフェースから送信するかを決定する。このルーティングテーブルを使用することで機器管理装置(サーバB)116と通信する場合に必ず無線LAN I/F209を経由するよう制御することができる。また、このルーティングテーブルを使用することでモバイル端末と通信する場合に必ず無線LAN I/F209を経由するよう制御することができる。同図において、ルーティングテーブルには、宛先アドレス901と、ゲートウェイアドレス902と、宛先アドレス901のネットワークアドレス部を特定するためのサブネットマスク903と、使用するインターフェイス名904が含まれる。
【0062】
本実施形態では、エントリ(a)~(e)の5つの経路情報が登録されている。エントリ(a)はMFP100自身への経路、エントリ(b)は仮想インターフェイスであるローカルループバックloへの経路、エントリ(c)はMFP100が所属するLAN2への経路、エントリ(d)はデフォルトゲートウェイの指定をそれぞれ示している。エントリ(a)~(c)については、自身のインターフェイスから転送可能であるため、ゲートウェイ902はルーティングを必要としないことを意味する「*」が設定されている。エントリ(c)はモバイル印刷に関するデータを副回線を介して送信するために登録された経路情報であり、宛先が192.168.20.0/24に対して送信するデータは“ath0“を介して送信することを定義している。また、エントリ(d)のデフォルトゲートウェイの指定により、ルーティングテーブルに登録されていないアドレス宛の通信はすべて192.168.1.253(即ち、主回線のルータ宛て)に送られることになる。
【0063】
そして、エントリ(e)が、無線LAN I/F209を経由して機器管理装置(サーバB)116と通信するために登録された経路情報であり、宛先901には外部ネットワークのネットワークアドレス(172.32.0.0/16)が設定されている。そして、ゲートウェイ902にはゲートウェイ114のアドレス192.168.20.253、インターフェイス904に無線LANを示す“ath0”が設定されている。なお、本実施形態では、エントリ(e)の宛先として外部ネットワークのネットワークアドレスを設定する場合を例示しているがこれに限定されるものではない。例えば、エントリ(e)の宛先として機器管理装置(サーバB)116にアクセスするためのIPアドレス又はホスト名(例えば、172.32.10.1)を設定することもできる。ネットワーク制御部315は、各NWアプリからの指示により通信を行う際に、指定された宛先アドレスを基に前記ルーティングテーブルを参照し、経路の候補を絞り込む。なお、一般的なOSが備えるルーティングテーブルでは、上記以外にも優先順位を示すメトリックなどのメンバを持つ場合があるが、本実施形態には直接関係しないため説明は省略する。
【0064】
(変形例)
上述の実施形態では、一例として、MFP100が有線LAN I/F208と無線LAN I/F209を備える場合を例示したがこれに限定されるものではない。複数の通信インタフェースを備える情報処理装置に適用することができる。例えば、有線LANインタフェースを複数備える情報処理装置や、無線LANインタフェースを複数備える情報処理装置に適用することもできる。更に、無線LANインタフェースは、IEEE802.11に準拠する無線インタフェースに限定されるものではない。例えば、LPWA(Low Power Wide Area)に対応する無線インタフェースや、CDMAやLTEなどのモバイルデータ通信を実行するための無線インタフェースであってもよい。LPWAに対応する通信インタフェースの通信方式は、例えば、IEEE802.15.4シリーズなどの規格に準拠する通信方式やLoRaWAN、Sigfox、LTE-M、NB-IoTなどの規格に準拠する通信方式などを採用することができる。
【0065】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピューターにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0066】
また、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10