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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20231221BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J29/00 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019203470
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021074962
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 信次
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩光
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-264031(JP,A)
【文献】特開2004-216833(JP,A)
【文献】特開2016-168740(JP,A)
【文献】特開2012-116084(JP,A)
【文献】特開2006-264030(JP,A)
【文献】特開2004-299177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字を行うヘッド部と、
前記ヘッド部によって印字された基材と剥離材とが貼り合わされたテープを搬送する搬送部と、
前記基材を切断することなく前記剥離材を幅方向に切断するハーフカットを実行するハーフカット部と、
前記搬送部によって搬送された前記テープを切断するフルカットを実行するフルカット部と、
前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する制御部と、
を有し、
前記印字後の前記テープを用いて印刷物を作成する印刷装置であって、
前記制御部は、
前記搬送部によって搬送されかつ前記ヘッド部によって印字された前記テープのうち、最下流の印字済部分よりも下流側の部位において、前記ハーフカットを実行し、
前記印刷装置は、
被着体に関連する被着体関連情報を入力する第1入力部をさらに有し、
前記制御部は、
前記第1入力部により入力された前記被着体関連情報に応じて、前記ハーフカット及び前記フルカットのうち少なくとも一方を実行する、テープ長さ方向位置を可変に決定し、
前記第1入力部は、
前記被着体関連情報として、前記被着体の外径Φ1を入力し、
前記制御部は、
前記テープの厚さをtとして、フルカット部位を挟まずに互いに隣接する2つのハーフカット部位の間の距離L2を、
L2=(Φ1+t+回転用隙間寸法)×π+所定の余裕寸法
により決定する第1HC距離決定処理;
を実行し
前記印刷装置は、
印字内容を入力する第2入力部と、
所望の表示を行う表示部と、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記第2入力部を介し入力された前記印字内容に対応した、前記印刷物のテープ長さ方向寸法L1を決定する決定処理と;
L1-L2が所定のしきい値以上であるか否かを判定する第1判定処理と;
前記第1判定処理においてL1-L2が前記しきい値未満であると判定された場合に、前記表示部に、印刷物作成不可のエラーメッセージを表示する第1エラー表示処理と;
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記搬送部によって搬送されかつ前記ヘッド部によって印字された前記テープのうち、最上流の印字済部分よりも上流側において、前記ハーフカットを行う
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記搬送部によって搬送されかつ前記ヘッド部によって印字された前記テープのうち、最上流の印字済部分よりも上流側において、前記フルカットを行う
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記第1入力部により入力された前記被着体関連情報に応じて、前記剥離材に対し2箇所において前記ハーフカットを実行するとともに、それら2箇所のハーフカット部位の間の距離を可変に決定する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記第1入力部により入力された前記被着体関連情報に応じて、前記ハーフカット及び前記フルカットを実行するとともに、それらハーフカット部位とフルカット部位との間の距離を可変に決定する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、前記ハーフカットが行われる第1ハーフカット部位、前記印字がなされる第1印字領域、前記ハーフカットが行われる第2ハーフカット部位、前記フルカットが行われる第1フルカット部位、の順で形成する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記印刷物の作成時において、
前記テープの前記搬送方向下流側の端部から前記第1ハーフカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
前記第1ハーフカット部位から前記第2ハーフカット部位までの距離をL2、
前記第2ハーフカット部位から前記第1フルカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
として、前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記印刷物を複数作成する複数作成モード時において、前記テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、前記ハーフカットが行われる第3ハーフカット部位、前記印字がなされる第2印字領域、前記ハーフカットが行われる第4ハーフカット部位、前記フルカットが行われる第2フルカット部位、前記ハーフカットが行われる第5ハーフカット部位、前記印字がなされる第3印字領域、前記ハーフカットが行われる第6ハーフカット部位、前記フルカットが行われる第3フルカット部位、の順で形成する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項8記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記印刷物の作成時において、
前記テープの前記搬送方向下流側の先端から前記第3ハーフカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
前記第3ハーフカット部位から前記第4ハーフカット部位までの距離をL2、
前記第4ハーフカット部位から前記第2フルカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
前記第2フルカット部位から前記第5ハーフカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
前記第5ハーフカット部位から前記第6ハーフカット部位までの距離をL2、
前記第6ハーフカット部位から前記第3フルカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
として、前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
印字を行うヘッド部と、
前記ヘッド部によって印字された基材と剥離材とが貼り合わされたテープを搬送する搬送部と、
前記基材を切断することなく前記剥離材を幅方向に切断するハーフカットを実行するハーフカット部と、
前記搬送部によって搬送された前記テープを切断するフルカットを実行するフルカット部と、
前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する制御部と、
を有し、
前記印字後の前記テープを用いて印刷物を作成する印刷装置であって、
前記制御部は、
前記搬送部によって搬送されかつ前記ヘッド部によって印字された前記テープのうち、最下流の印字済部分よりも下流側の部位において、前記ハーフカットを実行し、
前記印刷装置は、
被着体に関連する被着体関連情報を入力する第1入力部をさらに有し、
前記制御部は、
前記第1入力部により入力された前記被着体関連情報に応じて、前記ハーフカット及び前記フルカットのうち少なくとも一方を実行する、テープ長さ方向位置を可変に決定し、
前記制御部は、
前記テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、前記ハーフカットが行われる第7ハーフカット部位、前記印字がなされる第4印字領域、前記ハーフカットが行われる第8ハーフカット部位、前記ハーフカットが行われる第9ハーフカット部位、前記印字がなされる第5印字領域、前記ハーフカットが行われる第10ハーフカット部位、前記フルカットが行われる第4フルカット部位、の順で形成し、
前記第1入力部は、
前記被着体関連情報として、前記被着体の外径Φ1と、前記印刷物を折り返して前記基材の裏面どうしを貼り付けるときの貼り付け距離LLと、
を入力し、
前記制御部は、
前記テープの厚さをtとして、前記フルカット部位を挟まずに互いに隣接する2つのハーフカット部位の間の距離L2を、
L2=(Φ1+t+回転用隙間寸法)×π+所定の余裕寸法×2+LL×2
により決定する第2HC距離決定処理;
を実行し、
前記印刷装置は、
印字内容を入力する第2入力部と、
所望の表示を行う表示部と、
をさらに有し、
前記制御部は、
前記第2入力部を介し入力された前記印字内容に対応した、前記印刷物のテープ長さ方向寸法L1を決定する決定処理と;
L1-L2が所定のしきい値以上であるか否かを判定する第1判定処理と;
前記第1判定処理においてL1-L2が前記しきい値未満であると判定された場合に、前記表示部に、印刷物作成不可のエラーメッセージを表示する第1エラー表示処理と;
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項10記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記印刷物の作成時において、
前記テープの前記搬送方向下流側の先端から前記第7ハーフカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
前記第7ハーフカット部位から前記第8ハーフカット部位までの距離を(Φ1+t+回転用隙間寸法)×π/2+所定の余裕寸法、
前記第8ハーフカット部位から前記第9ハーフカット部位までの距離をLL×2、
前記第9ハーフカット部位から前記第10ハーフカット部位までの距離を(Φ1+t+回転用隙間寸法)×π/2+所定の余裕寸法、
前記第10ハーフカット部位から前記第4フルカット部位までの距離を(L1-L2)/2、
として、前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
印字を行うヘッド部と、
前記ヘッド部によって印字された基材と剥離材とが貼り合わされたテープを搬送する搬送部と、
前記基材を切断することなく前記剥離材を幅方向に切断するハーフカットを実行するハーフカット部と、
前記搬送部によって搬送された前記テープを切断するフルカットを実行するフルカット部と、
前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する制御部と、
を有し、
前記印字後の前記テープを用いて印刷物を作成する印刷装置であって、
前記制御部は、
前記搬送部によって搬送されかつ前記ヘッド部によって印字された前記テープのうち、最下流の印字済部分よりも下流側の部位において、前記ハーフカットを実行し、
前記印刷装置は、
被着体に関連する被着体関連情報を入力する第1入力部をさらに有し、
前記制御部は、
前記第1入力部により入力された前記被着体関連情報に応じて、前記ハーフカット及び前記フルカットのうち少なくとも一方を実行する、テープ長さ方向位置を可変に決定し、
前記制御部は、
前記テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、前記ハーフカットが行われる第11ハーフカット部位、前記印字がなされる第6印字領域、前記印字がなされる第7印字領域、前記ハーフカットが行われる第12ハーフカット部位、前記フルカットが行われる第5フルカット部位、の順で形成し、
前記第1入力部は、
前記被着体関連情報として、前記テープの搬送方向下流側の端部から前記第11ハーフカット部位までの距離X1、及び、前記第12ハーフカット部位から前記フルカットが行われる第5フルカット部位までの距離X2、を入力し、
前記制御部は、さらに、
前記第1入力部を介し入力されたX1が、予め設定されている下流側余白寸法以上であるか否か、を判定する第2判定処理;
を実行し、
前記第2判定処理によりX1が前記下流側余白寸法未満であると判定された場合には、前記制御部は、
表示部に、印刷物作成不可のエラーメッセージを表示する第2エラー表示処理、若しくは、前記下流側余白寸法をX1以上に補正する第1補正処理、
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項12記載の印刷装置において、
印字内容を入力する第2入力部をさらに有し、
前記制御部は、
前記第2入力部を介し入力された前記印字内容に対応した、前記印刷物のテープ長さ方向寸法L1を決定する決定処理と;
前記第11ハーフカット部位から前記第12ハーフカット部位までの長さL2を、
L2=L1-X1-X2
により決定する第3HC距離決定処理と;
を実行し、
かつ、前記印刷物の作成時において、
前記テープの前記搬送方向下流側の先端から前記第11ハーフカット部位までの距離をX1、
前記第11ハーフカット部位から前記第12ハーフカット部位までの距離をL2、
前記第12ハーフカット部位から前記第5フルカット部位までの距離をX2として、前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項14】
印字を行うヘッド部と、
前記ヘッド部によって印字された基材と剥離材とが貼り合わされたテープを搬送する搬送部と、
前記基材を切断することなく前記剥離材を幅方向に切断するハーフカットを実行するハーフカット部と、
前記搬送部によって搬送された前記テープを切断するフルカットを実行するフルカット部と、
前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する制御部と、
を有し、
前記印字後の前記テープを用いて印刷物を作成する印刷装置であって、
前記制御部は、
前記搬送部によって搬送されかつ前記ヘッド部によって印字された前記テープのうち、最下流の印字済部分よりも下流側の部位において、前記ハーフカットを実行し、
前記印刷装置は、
被着体に関連する被着体関連情報を入力する第1入力部をさらに有し、
前記制御部は、
前記第1入力部により入力された前記被着体関連情報に応じて、前記ハーフカット及び前記フルカットのうち少なくとも一方を実行する、テープ長さ方向位置を可変に決定し、
前記制御部は、
前記テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、前記ハーフカットが行われる第11ハーフカット部位、前記印字がなされる第6印字領域、前記印字がなされる第7印字領域、前記ハーフカットが行われる第12ハーフカット部位、前記フルカットが行われる第5フルカット部位、の順で形成し、
前記第1入力部は、
前記被着体関連情報として、前記テープの搬送方向下流側の端部から前記第11ハーフカット部位までの距離X1、及び、前記第12ハーフカット部位から前記フルカットが行われる第5フルカット部位までの距離X2、を入力し、
前記制御部は、さらに、
前記第1入力部を介し入力されたX2が、予め設定されている上流側余白寸法以上であるか否か、を判定する第3判定処理;
を実行し、
前記第3判定処理によりX2が前記上流側余白寸法未満であると判定された場合には、前記制御部は、
表示部に、印刷物作成不可のエラーメッセージを表示する第3エラー表示処理、若しくは、前記上流側余白寸法をX2以上に補正する第2補正処理、
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
請求項14記載の印刷装置において、
印字内容を入力する第2入力部をさらに有し、
前記制御部は、
前記第2入力部を介し入力された前記印字内容に対応した、前記印刷物のテープ長さ方向寸法L1を決定する決定処理と;
前記第11ハーフカット部位から前記第12ハーフカット部位までの長さL2を、
L2=L1-X1-X2
により決定する第3HC距離決定処理と;
を実行し、
かつ、前記印刷物の作成時において、
前記テープの前記搬送方向下流側の先端から前記第11ハーフカット部位までの距離をX1、
前記第11ハーフカット部位から前記第12ハーフカット部位までの距離をL2、
前記第12ハーフカット部位から前記第5フルカット部位までの距離をX2として、前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記搬送部は、
前記ヘッド部によって印字された透明な前記基材と前記剥離材とが貼り合わされた前記テープを搬送する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記ヘッド部は、前記基材に印字を行い、
かつ、前記印刷装置は、
前記ヘッド部により印字が形成された前記基材の印字面側と前記剥離材とを貼り合わせ、前記テープを生成する貼り合わせ部をさらに有する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記ヘッド部は、
前記基材と前記剥離材とが貼り合わせられている前記テープの、当該基材に対し前記印字を行う
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物を作成する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷テープに印刷を行って印刷済みラベルを作成し、その印刷済みラベルをケーブルに巻き付けることでケーブル表示ラベルとして利用できる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このとき印刷済みラベルの剥離紙を剥離して粘着剤層を露出させ、ケーブルの外周に巻き付けるように粘着剤層の粘着部分を貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-10932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、印刷済みラベルの全体でケーブルの外周表面に貼り付けるように巻き付けることになる。しかし他にも、印字ラベルを周方向両端部分だけ貼り合わせて全体を略円環状に形成し、ケーブルの外周で回転可能とするような自由な巻き付け態様が要望されている。また略円環状に限られず、印字ラベルの周方向両端部分が互いに粘着部分を重ね貼りさせてフラグ状に形成したり、または被着体の平面上に一端部分だけ貼り付けて付箋のように利用するなどといった多様な利用形態に対応して印字ラベルを作成したいという要望がある。しかし、1台の印刷装置でこのように多様な利用形態に対応した印刷物としての印字ラベルの作成自由度を得ることができなかった。
【0005】
本発明の目的は、ユーザの多様なニーズに応じた印刷物を作成できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、印字を行うヘッド部と、前記ヘッド部によって印字された基材と剥離材とが貼り合わされたテープを搬送する搬送部と、前記基材を切断することなく前記剥離材を幅方向に切断するハーフカットを実行するハーフカット部と、前記搬送部によって搬送された前記テープを切断するフルカットを実行するフルカット部と、前記搬送部、前記ヘッド部、前記ハーフカット部、及び前記フルカット部を制御する制御部と、を有し、前記印字後の前記テープを用いて印刷物を作成する印刷装置であって、前記制御部は、前記搬送部によって搬送されかつ前記ヘッド部によって印字された前記テープのうち、最下流の印字済部分よりも下流側の部位において、前記ハーフカットを実行することを特徴とする。
【0007】
本願発明の印刷装置により作成された印刷物は、印字済部分よりも下流側の部位において、印刷装置のハーフカット部によって剥離材にハーフカットがなされた構造である。これにより、そのハーフカットがなされた位置(ハーフカット部位)よりも反印字済部分側(搬送方向下流側)の剥離材を引き剥がすことで、印刷物のうちその剥離材を引き剥がした部分は粘着部分とし、印刷物のうち剥離材を引き剥がしていない部分は非粘着部分とすることができる。
【0008】
これにより、例えば、印刷物を、ケーブル状の被着体の周囲に当該被着体と接触しないように略環状に一周させた後に、上記搬送方向下流側の粘着部分を搬送方向上流側の上記非粘着部分に貼り合わせたり、あるいは重ね貼りすることで、被着体のまわりに回転可能に取り付けられる回転印刷物とすることができる。
【0009】
また例えば、印刷物のうち上記搬送方向下流側の粘着部分を被着体の平らな面に貼り付ける一方、上記搬送方向上流側の被粘着部分は上記面から突出させたり上記面から起立させる等、いわゆる付箋として使用することもできる。
【0010】
その他、例えば上記最下流の印字済部分よりも上流側の部位でも上記ハーフカットを行うようにすれば、そのハーフカット部位よりも反印字済部分側(搬送方向上流側)の剥離材も引き剥がすことで、ユーザのニーズに応じてさらに多彩な使用方法が可能となる。
【0011】
そして、上記のように種々の態様で使用される印刷物において、その作成時には、上記ハーフカット部に対する制御部の制御により、上記ハーフカット部位のテープ長さ方向の位置を適宜に可変に設定することが可能である。すなわち、上述した剥離材引き剥がし後の上記粘着部分の位置や大きさを可変とすることができる。この結果、例えば上述したケーブル状の被着体に取り付ける場合に、その被着体が大径であっても小径であっても、その径のサイズに合った大きさの上記粘着部分をもつ上記回転印刷物を作成することができる。また例えば、上述した被着体の平らな面に取り付ける場合には、当該面に貼り付ける印刷物の上記粘着部分の大きさを、ユーザの好みや用途に応じて大小可変とすることができる。
【0012】
以上のように、本願発明によれば、ユーザの多様なニーズに応じた印刷物を作成することができるので、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザの多様なニーズに応じた印刷物を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係わるラベル作成装置の機能構成を表す説明図である。
図2】ラベル作成装置が作成した印字ラベルの平面図、図2(a)に示した構造のIIb-IIb断面による横断面図である。
図3】タイプAの印字ラベルの利用形態の外観斜視図、図3(a)に示した構造のIIIb-IIIb断面による横断面図である。
図4】タイプAの印字ラベルにおける印字と各種カットの配置構成を表す平面図である。
図5】両端境界間距離の寸法設定を説明する図3(b)の拡大図である。
図6】タイプAの印字ラベルのその他利用形態の例を表す図である。
図7】タイプAの印字ラベルを2枚続けて作成した場合の利用形態と、印字と各種カットの配置構成を表す図である。
図8】タイプBの印字ラベルの利用形態の外観斜視図、図8(a)に示した構造のVIIIb-VIIIb断面による横断面図である。
図9】タイプBの印字ラベルにおける印字と各種カットの配置構成を表す平面図である。
図10】タイプBの印字ラベルのその他利用形態の例を表す図である。
図11】タイプCの印字ラベルの利用形態の外観斜視図、図11(a)に示した構造のXIb-XIb断面による横断面図である。
図12】タイプCの印字ラベルにおける印字と各種カットの配置構成を表す平面図である。
図13】タイプCの印字ラベルのその他利用形態の例を表す図である。
図14】ラベル作成装置の制御回路のCPUが実行するレイアウト設定処理の処理手順を表すフローチャートである。
図15】ラベル作成装置の制御回路のCPUが実行するタイプAのためのカット位置調整処理の処理手順を表すフローチャートである。
図16】ラベル作成装置の制御回路のCPUが実行するタイプBのためのカット位置調整処理の処理手順を表すフローチャートである。
図17】ラベル作成装置の制御回路のCPUが実行するタイプCのためのカット位置調整処理の処理手順を表すフローチャートである。
図18】レセプタタイプの印字ラベルを作成する場合のラベル作成装置の機能構成を表す説明図である。
図19】レセプタタイプの印字ラベルの平面図、図19(a)に示した構造のXIXb-XIXb断面による横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図1図7を参照しつつ説明する。
【0016】
<ラベル作成装置>
まず、本実施形態の印刷装置としてのラベル作成装置の機能的構成を図1により説明する。
【0017】
図1において、ラベル作成装置1(印刷装置に相当)は、制御回路2と、ユーザ(操作者)が適宜の操作を行える操作部3と、所定の表示を行う表示部4と、各種情報を記憶するRAM5と、搬送ローラ6と、印字ヘッド7と、外部の操作端末との間で情報を送受する通信インタフェース8と、フルカッタ9Aと、ハーフカッタ9Bと、を有する。なお以上において、操作部3と通信インタフェースが請求項記載の第1入力部及び第2入力部に相当する。
【0018】
ラベル作成装置1には、カートリッジホルダ12が設けられている。このカートリッジホルダ12には、筐体11内にテープロール10A,10B(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を収納したテープカートリッジ10が着脱可能である。テープロール10Aには、カバーフィルム23が巻回され、テープロール10Bには、複数層を備えたテープToが巻回されている。なお、カバーフィルム23及びテープToの詳細な層構造等については後述する。
【0019】
制御回路2(制御部に相当)は、図示しないCPU及びROMを備えている。制御回路2は、上記RAM5の一時記憶機能を利用しつつ、上記ROMに予め記憶された各種プログラムを実行するとともに、ラベル作成装置1全体の制御を行う。本実施形態でROMには、制御回路2のCPUに対し後述の図14図15図16図17に示すフローチャートの各手順を実行させるための処理プログラムが記憶されている。また、制御回路2は、通信インタフェース8を介して外部の操作端末(図示省略)との間で各種の指令や情報を送受する。この操作端末は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末など各種の情報端末を利用でき、その通信態様も有線通信と無線通信のいずれを適用してもよい。
【0020】
搬送ローラ6(搬送部に相当)は、印字ヘッド7に対向して設けられており、テープロール10Aから繰り出される透明なカバーフィルム23を印字ヘッド7との間で挟持する。なお、本明細書中において「透明」とは、印字内容を人間が視認可能な程度の透過性を備えている性質を表し、いわゆる「半透明」等を含む概念である。
【0021】
印字ヘッド7(ヘッド部に相当)は、搬送ローラ6によって搬送されるカバーフィルム23に対しインクリボン供給ロール14Aから繰り出されたインクリボンIRのインクを転写することにより、印字を形成する。印字形成後のインクリボンIRは、インクリボン巻取りロール14Bにより巻き取られる。
【0022】
上記構成において、まず、テープカートリッジ10がカートリッジホルダ12に装着される。その後、搬送ローラ6の回転よりテープロール10Aから繰り出されたカバーフィルム23に対し、印字ヘッド7によって、ユーザの意図する文字・図像等の所望の印字オブジェクト(後述の印字R参照)が形成される(以下適宜、「印刷」と称する)。印字オブジェクトが形成されたカバーフィルム23は、テープロール10Bから繰り出されたテープToとともに圧着ローラ13A,13B(貼り合わせ部に相当)により挟持されつつ、テープToと圧着され、印字済テープTとなる。その後、制御回路2による搬送ローラ6との協調制御によって適宜のテープ長さ方向位置でフルカッタ9Aを作動させて印字済テープTが切断され、印字ラベルL(印刷物に相当)が生成される。なお、フルカッタ9Aとハーフカッタ9Bのそれぞれの切断態様の違いについては後に詳述する。
【0023】
<テープの基本構成>
上記テープTo、及び、印字形成後の印字済テープTの詳細構成を図2(a)~(b)に示す。図2(a)は、印字済みテープTをカバーフィルム23側の表面から平面視しており、図2(b)は印字済みテープTをIIb-IIb断面による横断面で見ている。これら図2(a)~(b)において、テープToは、厚さ方向の一方側(図2(b)中の上側)から、厚さ方向の他方側(図2(b)中の下側)へ向かって、紙又は有色フィルム又は布又は金属を含む構成の、不透明な剥離材層24(剥離材に相当)と、透明な貼り付け用粘着剤層22と、透明な基材層21(基材に相当)と、透明な貼り合わせ用粘着剤層26と、がこの順序で積層されている。なお、本明細書中において「不透明」とは、印字内容を人間が視認不可能な性質を表し、いわゆる「半透明」等は含まない概念である。
【0024】
この例では、「ABCD」のテキストからなる印字オブジェクト(すなわち上記印字R)が前述のように印字ヘッド7によりカバーフィルム23に形成され、そのカバーフィルム23の印字面がテープToの貼り合わせ用粘着剤層26に貼り合わされて印字済テープTが生成されている。そして、その印字済テープTがフルカッタ9Aによって適宜のテープ長さ方向位置においてテープ幅方向に切断されることにより、透明なカバーフィルム23越しに上記印刷されたテキスト「ABCD」を表記する、印字ラベルLが作成される。
【0025】
このときフルカッタ9A(フルカット部に相当)は、図2(b)中に拡大して示すように、印字済みテープTの厚み方向における剥離材層24、貼り付け用粘着剤層22、基材層21、貼り合わせ用粘着剤層26、及びカバーフィルム23の全ての層を切断してテープ長さ方向に完全に分断する。以下において、このようなフルカッタ9Aによる完全切断をフルカットという。
【0026】
また別に上記ハーフカッタ9B(ハーフカット部に相当)は、図2(b)中に拡大して示すように、印字済みテープTの厚み方向において剥離材層24だけをテープ幅方向に切断するハーフカットを行う。このようにハーフカットされた印字ラベルLでは、テープ長さ方向に分断された複数の剥離材層24が、貼り付け用粘着剤層22を介してつながった状態で作成される。これにより、ユーザは印字ラベルLから任意に選択した剥離材層24を引き剥がすことでその部分の貼り付け用粘着剤層22が露出して粘着部分となり、剥離材層24を引き剥がしていない部分を非粘着部分にできる。
【0027】
ここで本実施形態の例では、このハーフカットを、図2(a)に示すように、印字済みテープTのうちで搬送方向の最下流の印字済み部分(図2(a)に示す例における文字「A」の左側端部)よりも下流側の部位における少なくとも一箇所に行う。また必要に応じて、印字済みテープTのうちで搬送方向の最上流の印字済み部分(図2(a)に示す例における文字「D」の右側端部)よりも上流側においてもハーフカットを行う。また、印字済みテープTのうちで搬送方向の最上流の印字済み部分よりも上流側においてフルカットを行う。
【0028】
これにより、印字ラベルL全体の搬送方向領域のうち、印字オブジェクト(図示する例の「ABCD」のテキスト)の印字部分Raと、それより下流側の下流側余白部分EPと上流側の上流側余白部分ERに区分した場合に、それら下流側余白部分EPと上流側余白部分ERのそれぞれの領域中においてハーフカットを行うことになる。なお本実施形態では基本的に、上記の印字部分Raの搬送方向長さLCが印字オブジェクトの印字内容(文字数や各文字のサイズ(ポイント)など)に応じた可変長である一方、上記の下流側余白部分EPと上流側余白部分ERそれぞれの搬送方向長さは固定的に同じ長さLEに設定されているものとする。以下において、このように印字ラベルLの搬送方向全体で見た下流側余白部分EPと上流側余白部分ERの対称的な配置は本実施形態における印字構成上の基本的な配置規則の一つとなる。
【0029】
<印字ラベルのタイプ別詳細構成>
本実施形態のラベル作成装置1では、ユーザの多様なニーズに応じて、利用形態別に印字と各種カットの配置構成が異なる3つのタイプA、B、Cで印字ラベルLを作り分ける。以下において、それら3つのタイプA、B、Cそれぞれの詳細な構成について順次説明する。
【0030】
<タイプAの詳細構成>
図3はタイプAの印字ラベルLの利用形態例を表しており、図3(a)はその利用形態の外観を斜視して表し、図3(b)は上記図3(a)中のIIIb-IIIb断面による横断面を表している。なお、図3(b)中においては、図示の煩雑を回避するために、印字ラベルLのうちの基材層21、貼り合わせ用粘着剤層26、及びカバーフィルム23を一体のラベル本体Loとして表し、その他の剥離材層24、貼り付け用粘着剤層22と別体で表している(以下、同様)。
【0031】
これら図3(a)~(b)に示すように、タイプAの印字ラベルLは、ケーブル状の被着体30の外周に略円環状に一周させた後に搬送方向両端2箇所の貼り付け用粘着剤層22どうしを貼り合わせることで、その全体をいわゆるフラグ状の形態で利用できる。
【0032】
この利用形態において、当該タイプAの印字ラベルLの各部は、機能別に被着体30の外周に巻き付ける巻回部41と、径方向に延びる延設部42と、それら巻回部41と延設部42を連結する連結部43の3つの部位に区別できる。つまり、当該印字ラベルL全体のうちテープ長さ方向の両端に位置する同じ長さの2箇所の各延設部42の剥離材層24だけが剥離され、それぞれ露出した貼り付け用粘着剤層22の粘着部分どうしが貼り合わされて径方向に延設する延設部42となる。またケーブル状の被着体30の外周表面には、剥離材層24が覆われたままの巻回部41と連結部43が非粘着部分として接触するため、当該印字ラベルLの全体は被着体30の外周で自由に回転可能な回転印刷物となっている。
【0033】
なお、局所的な折り曲げによる印字ラベルL自体の損傷を回避するため、2箇所の連結部43はそれぞれ同じ適宜の曲率半径で被着体30の外周側面から少しだけ浮くように離間して延設部42に連結する。また、基本的に印字オブジェクトの印字は巻回部41と連結部43の範囲内だけに行うものとする。このため以下において、印字ラベルLの搬送方向全体で見た両端2箇所の延設部42の対称的な配置は本実施形態における機能構成上の基本的な配置規則の一つとなる。
【0034】
図4は、このタイプAの印字ラベルLにおける印字と各種カットの配置構成を表している。なお、以下において図中や説明に記載する各実寸法値の例は、特に断りがない限り基本的に単位をmmとしている。
【0035】
ここで、上記図2(a)で示した印字構成上の配置規則の観点から、搬送方向における印字ラベルLの全体長さL1は、印字部分長さLCと、その両端2箇所にそれぞれ配置する各余白部分長さLEとを合計した以下の長さ
L1=LC+2×LE ・・・(式1)
となる。なお、この全体長さL1が、請求項に記載の印刷物のテープ長さ方向寸法に相当する。
【0036】
また一方で、上記3(b)で示したこのタイプAにおける機能構成上の配置規則の観点から、搬送方向における印字ラベルLの全体長さL1は、中央に配置する巻回部41とその両端2箇所の連結部43を合わせた非粘着部分S1全体の長さL2(後述する両端境界間距離)と、両端2箇所にそれぞれ配置する各延設部42の粘着部分N1、N2の長さL3とを合計した以下の長さ
L1=L2+2×L3 ・・・(式2)
となる。なお、この長さL3が、請求項に記載のハーフカット部位とフルカッタ部位との間の距離に相当する。
【0037】
なお、中央に配置される上記の非粘着部分S1とその両端に隣接する粘着部分N1、N2は、ハーフカッタ9Bにより形成される2本のハーフカット線28(図中では破線で図示)で区分される。以下において、特に印字ラベルLの搬送方向の両端2箇所の延設部42の境界線となるこれら2本のハーフカット線28の間の間隔を両端境界間距離L2として定義する。この両端境界間距離L2が、請求項に記載の2箇所のハーフカット部位の間の距離と、フルカット部位を挟まずに互いに隣接する2つのハーフカット部位の間の距離に相当する。
【0038】
また、フルカッタ9Aによるフルカットは、当該タイプAの印字ラベルLに対してその最も下流側の端部から上記長さL1の距離にある最も上流側の端部でフルカットFC1を1度だけ行えばよい。以下において、各ハーフカットHC1、HC2及びフルカットFC1はそれぞれの形成順、つまり搬送方向下流側から上流側へ向かう順番でHC1、HC2、FC1と連番の符号を付すものとする。また粘着部分と非粘着部分についても同様にそれぞれの形成順でN1、S1、N2と連番の符号を付す。そしてこれらの連番は、以下に説明する全てのタイプや変形例を通した一意の連番で付すものとする。
【0039】
ここで、上述したように両端2箇所の各余白部分長さLEはそれぞれ固定長で設定されているため、基本的に印字ラベルLの全体長さL1はユーザにより設定される可変長の印字部分長さLC(つまり印字オブジェクトの長さ)に依存して決定される。その一方で、両端境界間距離L2は、被着体30であるケーブルの外周長さ(外径)に応じた適切な長さで設定する必要がある。したがって、長さLCの印字部分Raと両端境界間距離L2の非粘着部分S1のいずれもそれぞれの中央位置が印字ラベルL全体の搬送方向における中央位置と一致する対称配置となっているが、ほとんどの場合にはそれらの両端位置がそれぞれ対称的な偏差D(=(L2-LC)/2)の距離でずれた配置となる。
【0040】
図5は、上記図3(b)を拡大して示しており、この図5を参照して当該タイプAの印字ラベルLにおける両端境界間距離L2の寸法設定について説明する。まず、ケーブル状の被着体30の外径をΦ1(被着体関連情報に相当)とした場合、印字ラベルLがその外周で自由に回転可能に巻回できるよう巻回部41の内径は初期的に上記外径Φ1よりも1mm長い(Φ1+1)に設定する(つまり片側0.5mmの隙間を確保する)。なお、この1mmの寸法が、請求項に記載の回転用隙間寸法に相当する。
【0041】
ここで、一定の曲率半径で巻回する巻回部41において、その径方向内周側は圧縮し、また径方向外周側は伸張するが、その厚み方向(径方向)の中間に位置する中立円C上(図中の一点鎖線参照)では巻回前の平面状態と巻回状態とで同じ長さを維持すると見なせる。そして当該印字ラベルLの巻回部41において剥離材層24も含めた全体の厚み寸法をtとした場合、上記内径にある巻回部41の中立円Cの直径は(Φ1+1+t)となる(つまり片側t/2を増加)。
【0042】
また連結部43についてこの例では全体で1.5mm分の長さ(つまり片側0.75mm)の加算に相当するとし、これにより上記中立円Cの外周長さに1.5mmを加算した以下の長さで両端境界間距離L2を設定する。
L2=(Φ1+1+t)×π+1.5 ・・・(式3)
なお、この1.5mmの寸法が、請求項に記載の所定の余裕寸法に相当する。
【0043】
なお、特に図示しないが、上記連結部43の長さの反映手法として上記のような加算定数(1.5mm)を用いずに、印字ラベルLの媒体厚み係数を用いて設定する手法も適用可能である。つまり、印字ラベルL全体の厚み寸法が大きいほどその媒体厚み係数に関係する断面2次モーメントが高くなって曲がりにくくなるため、連結部43の曲率半径を大きく設定して両端境界間距離L2を長くする必要がある。この場合、媒体厚み係数をKとすると以下の長さで両端境界間距離L2を設定できる。
L2=(Φ1+1+t)×π×K ・・・(式4)
【0044】
なお、この媒体厚み係数K自体は上記厚み寸法tを変数とした関数で算出してもよいが、例えば厚み寸法tが40~100μm未満なら媒体厚み係数K=1、厚み寸法tが100~200μm未満なら媒体厚み係数K=1.01、厚み寸法tが200μm以上なら媒体厚み係数K=1.02のように厚み寸法tの値範囲別に設定してもよい。
【0045】
なお、印字部分長さLCが両端境界間距離L2を越える場合には、被着体30の物理的な寸法長に由来する両端境界間距離L2を優先的な基準とし、それに合わせて印字部分長さLCの方を補正する。つまり、印字部分Raを非粘着部分S1内に納める(つまりLC≦L2となる)ように、印字オブジェクトの印字サイズや印字文字数を変更して印字部分長さLCを短く補正する。また、延設部42の貼り合わせが安定するように、またユーザの手作業による粘着部分N1、N2の剥離材層24の引き剥がしが容易となるように、両端2箇所の各粘着部分長さL3はそれぞれ2.5mm以上(両端合わせて5mm以上)に確保する必要があり、もし確保できない場合には印刷不可としてエラー処理を実行する。なお、この5mmの寸法が、請求項に記載の所定のしきい値に相当する。
【0046】
以上より本実施形態のラベル作成装置1では、このタイプAの印字ラベルLを作成するにあたって、その作成前に上記の仕様条件を全て満たすレイアウト設定、つまり印字部分Raと各ハーフカット位置HC1、HC2やフルカット位置FC1の配置を調整するカット位置調整処理を実行する。具体的にこのタイプAの場合のカット位置調整処理では、任意に設定された印字部分長さLC、固定的に設定された余白部分長さLE、及びケーブル状の被着体30の外径Φ1の各設定値に基づいて、印字ラベルLの全体長さL1、両端境界間距離L2、及び粘着部分長さL3の各寸法を算出すればよい。
【0047】
なお、このタイプAの印字ラベルLは上記図3に示した以外の多様な利用形態で利用することも可能である。例えば被着体をケーブル状に限らず、図6(a)に示す本のような平板体を被着体31としてその両面に粘着部分の延設部42を挟むようにして貼付する利用形態も可能である。または、図6(b)に示すように、一方の延設部42だけで剥離材層24を剥離して粘着部分とし、他方の延設部42を非粘着部分としてケーブル状の被着体30の外周に一周巻回した上から上記粘着部分を貼り付ける利用形態も可能である。また図示しないが、印字ラベルLの全体で全ての剥離材層24を剥離して被着体30の外周全体に巻き付けつつ貼り付けてもよい。または、図6(c)に示すように、一方の延設部42と中央の巻回部41で剥離材層24を剥離した粘着部分とし、これを被着体32の平面上に貼付して付箋紙のように利用する形態も可能である。このとき他方の延設部42が非粘着部分となって被着体32の表面から浮かせることができ、これを把持して全体を容易に引き剥がすことができる。また図示しないが、一方の延設部42だけ剥離材層24を剥離して粘着部分を短くしてもよい。
【0048】
また図7(a)に示す例のように、同じタイプAの印字ラベルLを2枚続けて作成することも可能である。この場合の複数作成モード時におけるカット位置調整処理では、2枚目として作成する印字ラベルL′の全体長さL1′も1枚目の全体長さL1と同様に
L1′=L2+2×L3 ・・・(式5)
で算出できる。
【0049】
この場合のカット位置調整処理で印字ラベルLの全体長さL1、両端境界間距離L2、及び粘着部分長さL3の各寸法をそれぞれ適切に算出することで、1枚目と2枚目の各印字ラベルL、L′における各印字部分Raと各ハーフカット位置HC3、HC4、HC5、HC6やフルカット位置FC2、FC3のレイアウト設定が図7(b)に示す配置となる。
【0050】
<タイプBの詳細構成>
図8はタイプBの印字ラベルLの利用形態例を表しており、図8(a)はその利用形態の外観を斜視して表し、図8(b)は上記図8(a)中のVIIIb-VIIIb断面による横断面を表している。また図9は、このタイプBの印字ラベルLにおける印字と各種カットの配置構成を表している。
【0051】
これら図8(a)~(b)、図9に示すように、タイプBの印字ラベルLは、上記タイプAの印字ラベルLに対してさらに延設部と連結部を一組ずつ追加した構成となっている。具体的には、ケーブル状の被着体30に巻回した状態で、印字ラベルLの全体における両端2箇所を貼り合わせた上記タイプAと同等の第1延設部42aと、この第1延設部42aと180°逆側の円周位置に第2延設部42bが配置された機能的構成となっている。なお、第2延設部42bは、印字ラベルL全体の搬送方向中央位置を折り返し線29としてそこから両端部へ向けて同じ距離LL(被着体関連情報、貼り付け距離に相当)に延びた長さ部分であり、その2×LLの長さにある第2延設部42bで剥離材層24を剥離し、折り返し線29に沿って折り返して粘着部分を貼り合わせることで形成される。また、それぞれ略半円形状となる2箇所の巻回部41と4箇所の連結部43では剥離材層24が覆われたまま巻回するため、上記タイプAと同様にこのタイプBでも印字ラベルLの全体は被着体30の外周で自由に回転可能な回転印刷物となっている。
【0052】
以上の機能的構成上の観点からこのタイプBの印字ラベルLにおいては、その搬送方向全体で見て中央位置の折り返し線29から線対称でそれぞれ両端部へ向かう順で第2延設部42b(粘着部分)、連結部43と併せた巻回部41(非粘着部分)、第1延設部42a(粘着部分)が並ぶよう配置されている。なお、基本的に印字オブジェクトの印字部分Raは、2箇所に分けられた各巻回部41及び連結部43を含めた範囲S4、S5内それぞれの中央位置に配置される。このため、各巻回部41における長さLCの印字部分Raと非粘着部分S4、S5の両端位置は、上記タイプAと同様に対称的な偏差Dの距離でずれた配置となる。
【0053】
なお、中央に配置される第2延設部42bの粘着部分N8とその両側に隣接する非粘着部分S4、S5との間は、それぞれハーフカット線HC8、HC9で区分される。また、両端2箇所に配置される第1延設部42aの粘着部分N7、N9とそれらに隣接する非粘着部分S4、S5の間も、それぞれハーフカット線HC7、HC10で区分される。このタイプBでは、これら第1延設部42aの粘着部分N7、N9を区分する2本のハーフカット線HC7、HC10の間の間隔が両端境界間距離L2として定義される。また、フルカッタ9Aによるフルカットは、当該タイプBの印字ラベルLに対してその最も下流側の先端部から上記長さL1の距離に位置する最も上流側の端部でフルカットFC4を1度だけ行えばよい。
【0054】
以上より、上記8(b)で示したこのタイプBにおける機能構成上の配置規則の観点から、搬送方向における印字ラベルLの全体長さL1は、中央に配置する両端境界間距離L2の長さと、両端2箇所にそれぞれ配置する各第1延設部42aの粘着部分N7、N9の長さL3とを合計した以下の長さ
L1=L2+2×L3 ・・・(式6)
となる。
【0055】
また、このタイプBにおける印字構成上の配置規則の観点から、搬送方向における印字ラベルLの全体長さL1は、印字領域長さLCと、一方の余白部分長さLEと、偏差Dと、第2延設部42bの長さLLの合計値の2倍である以下の長さ
L1=2×(LC+LE+D+LL) ・・・(式7)
となる。
【0056】
また、このタイプBにおける両端境界間距離L2は、上記タイプAにおける両端境界間距離L2(上記(式3)参照)からさらに1組分の連結部43の長さに相当する1.5mmと、第2延設部42bの長さ(2×LL)を追加した以下の長さ
L2=(Φ1+t+1)×π+2×1.5+2×LL ・・・(式8)
となる。
【0057】
以上より本実施形態のラベル作成装置1では、このタイプBの印字ラベルLを作成するにあたって、その作成前に上記の仕様条件を全て満たすレイアウト設定、つまり2箇所の印字部分Raと各ハーフカット位置HC7、HC8、HC9、HC10やフルカット位置FC4の配置を調整するカット位置調整処理を実行する。具体的にこのタイプBの場合のカット位置調整処理では、任意に設定された印字部分長さLC、固定的に設定された余白部分長さLE、及びケーブル状の被着体30の外径Φ1の各設定値に基づいて、印字ラベルLの全体長さL1、両端境界間距離L2、及び第1延設部42aの長さL3の各寸法を算出すればよい。
【0058】
なお、このタイプBの印字ラベルLは上記図8に示した以外の多様な利用形態で利用することも可能である。例えば、図10(a)に示すように第2延設部42bを貼り合わせずに他の巻回部41と同様に剥離材層24で覆われた状態のままケーブル状の被着体30の外周を囲む利用形態も可能である。この場合には、第2延設部42b全体の長さ(=2×LL)分だけ円周長が長くなるため、被着体30に対して大きい隙間で遊嵌する状態となる。または、被着体をケーブル状に限らず、図10(b)~(c)に示す本のような平板体を被着体31としてその両面に第1延設部42aの粘着部分を挟むようにして貼付する利用形態も可能である。この場合に、図10(b)に示すように第2延設部42bを貼り合わせてもよいし、図10(c)に示すように第2延設部42bを貼り合わせずに剥離材層24で覆ったままとしてもよい。
【0059】
<タイプCの詳細構成>
図11はタイプCの印字ラベルLの利用形態例を表しており、図11(a)はその利用形態の外観を斜視して表し、図11(b)は上記図11(a)中のXIb-XIb断面による横断面を表している。また図12は、このタイプCの印字ラベルLにおける印字と各種カットの配置構成を表している。
【0060】
これら図11(a)~(b)、図12に示すように、タイプCの印字ラベルLは、被着体32の平面に対して立脚するよう貼付することで、その全体をいわゆるフラグ状の形態で利用できる。
【0061】
この利用形態において、当該タイプCの印字ラベルLの各部は、機能別に被着体32の表面で隣接して貼付される2つの貼付部44p、44rと、これら2つの貼付部44p、44rのそれぞれで対向する側の端部を繋いで略楕円形状に立脚する立脚部45の2つの部位に区別できる。つまり、当該印字ラベルL全体のうちテープ長さ方向の両端に位置する2箇所の各貼付部44p、44rの剥離材層24だけが剥離され、それぞれ露出した貼り付け用粘着剤層22を被着体32の表面上で隣接(もしくは近接)する配置で貼付される。なお、これら2つの貼付部44p、44rのそれぞれの長さX1、X2(被着体関連情報に相当)は初期的に同じ適宜の長さ(例えば8mm)に設定されるが、被着体32の形状や貼付可能な面積に自由に対応できるよう必要に応じてユーザが各貼付部44p、44rの長さX1、X2を個別に任意の長さで設定できるようにする。このため、このタイプCの場合では、下流側余白部分の長さLE1(下流側余白寸法に相当)と上流側余白部分の長さLE2(上流側余白寸法に相当)はそれぞれ対応する下端貼付部44pと上端貼付部44rの長さの設定に応じた補正が必要な場合がある。また、基本的に立脚部45の内周面は剥離材層24が覆われたままの状態とする。
【0062】
上述したように立脚部45は略楕円形状に曲げられることを想定しているため、その両側の周側面それぞれに同じ印字オブジェクト(図12中に示す例の「ABCD」のテキスト)を印字する2箇所の印字部分を配置する。しかし、このタイプCの場合には、それら2箇所の印字部分の間に適宜の数の空白文字(図示する例では「___」の3文字分)で繋いで全体的に一つにまとめた印字オブジェクトの印字部分Raとして処理する。この一つにまとめた印字オブジェクトの印字部分Raは、立脚部45の範囲内でその中央位置に配置される。しかし、印字ラベルLにおける印字領域としては、もとの2つの印字オブジェクトにそれぞれ対応して2箇所の印字領域S6、S7が立脚部45内で隣接した配置とする。このため、立脚部45において一つにまとめた印字オブジェクトの長さLCの印字部分Raと印字領域S6、S7両端の両端位置は、上記タイプAと同様に対称的な偏差Dの距離でずれた配置となる。
【0063】
以上の機能的構成上の観点からこのタイプCの印字ラベルLにおいては、その搬送方向全体で見た両端2箇所にそれぞれの長さX1、X2を個別に設定可能な下端貼付部44pと上端貼付部44r(いずれも粘着部分)が配置され、その間に立脚部45(非粘着部分)が配置される。そして中央に配置される立脚部45の領域S6、S7とその両側に隣接する各貼付部44p、44rの領域N10、N11との間は、ハーフカット線HC11、HC12で区分される。このタイプCでは、これら2つの貼付部44p、44rの領域N10、N11を区分する2本のハーフカット線HC11、HC12の間の間隔、すなわち立脚部45の領域S6、S7の全体の長さが両端境界間距離L2として定義される。また、フルカッタ9Aによるフルカットは、当該タイプCの印字ラベルLに対してその最も下流側の先端部から上記長さL1の距離に位置する最も上流側の端部でフルカットFC5を1度だけ行えばよい。
【0064】
以上より、上記11(b)で示したこのタイプCにおける機能構成上の配置規則の観点から、搬送方向における印字ラベルLの全体長さL1は、中央に配置される立脚部45の両端境界間距離L2の長さと、両端2箇所に配置される貼付部44p、44rのそれぞれ個別に設定される長さX1、X2とを合計した以下の長さ
L1=L2+X1+X2 ・・・(式9)
となる。
【0065】
また、このタイプCにおける印字構成上の配置規則の観点から、搬送方向における印字ラベルLの全体長さL1は、一つにまとまった印字部分長さLCと、下流側余白部分長さLE1と、上流側余白部分長さLE2とを合計した以下の長さ
L1=LC+LE1+LE2 ・・・(式10)
となる。
【0066】
また、このタイプCにおける両端境界間距離L2は、印字ラベルLの全体長さL1からそれぞれ個別に設定された貼付部長さX1、X2を差し引いた以下の長さ
L2=L1-X1-X2 ・・・(式11)
となる。
【0067】
以上より本実施形態のラベル作成装置1では、このタイプCの印字ラベルLを作成するにあたって、その作成前に上記の仕様条件を全て満たすレイアウト設定、つまり一つにまとめた印字部分Raと各ハーフカット位置HC11、HC12やフルカット位置FC5の配置を調整するカット位置調整処理を実行する。具体的にこのタイプCの場合のカット位置調整処理では、任意に設定された印字部分長さLC、それぞれ任意に設定された貼付部長さX1、X2の各設定値に基づいて、印字ラベルLの全体長さL1、両端境界間距離L2、及び下流側余白部分長さLE1と上流側余白部分長さLE2の各寸法を算出すればよい。
【0068】
なお、このタイプCの印字ラベルLは上記図11に示した以外の多様な利用形態で利用することも可能である。例えば、図13に示すように、立脚部45の全体を寝かせて略平面状となるよう変形させた利用形態も可能である。この場合、特に図示しないが、立脚部45においても内周側の剥離材層24を剥離して貼り合わせてもよい。
【0069】
なお以上の各タイプの構成において、ハーフカット位置HC1~HC12が請求項に記載の第1~第12ハーフカット部位に相当し、フルカット位置FC1~FC5が請求項に記載の第1~第5フルカット部位に相当し、印字領域S1~S7が請求項に記載の第1~第7印字領域に相当する。
【0070】
<制御手順>
上記各種タイプの印字ラベルLを作成する手法を実現するために、ラベル作成装置1の制御回路2のCPUによって実行される制御手順を、図14図15図16図17のフローチャートにより説明する。なお、図14に示すレイアウト設定処理のフローチャートは、ラベル作成装置1の起動後にユーザがどのタイプの印字ラベルLをどのようなレイアウトで作成するかを設定するために適宜の操作を行った際に実行される。そして、作成する印字ラベルLのタイプが選択された場合に、図15図17のいずれかのフローチャートのうち上記レイアウト処理で選択されたタイプ別に対応したものが実行される。以下、図14に示すレイアウト設定処理を実行する際の制御手順について詳細に説明する。
【0071】
まずステップS5で、制御回路2のCPUは、当該ラベル作成装置1が備える操作部3、または通信インタフェース8を介した外部の操作端末(図示省略)でのユーザからの入力操作により、タイプA、タイプB、又はタイプCのいずれのタイプの印字ラベルLを作成するかの情報を取得する。
【0072】
次にステップS10へ移り、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様により印字ラベルLの印刷枚数を取得する。
【0073】
次にステップS15へ移り、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様により印字ラベルLに印刷させる印字オブジェクトの印字内容、及びそれがテキストである場合の文字サイズ等の文字情報を取得する。
【0074】
次にステップS20へ移り、制御回路2のCPUは、上記ステップS15で取得した印字内容と文字情報に基づいて印字オブジェクトの印字部分長さLCを算出する。ここで上記ステップS5でタイプA又はタイプBが選択された場合には、1つ分の印字オブジェクトにおける印字文字数と文字サイズを積算して印字部分長さLCを算出する。また、タイプCが選択された場合には、適宜の文字数の空白文字を挟んだ2つ分の印字オブジェクトを最終的な印字オブジェクトとしてまとめて、その全体の印字部分長さLCを算出する。
【0075】
次にステップS25へ移り、制御回路2のCPUは、上記ステップS5で取得したタイプが、タイプA、タイプB、またはタイプCのいずれで選択されたかを判定する。タイプAが選択された場合には、タイプAのためのカット位置調整処理であるステップS100を実行し、このフローを終了する。また、タイプBが選択された場合には、タイプBのためのカット位置調整処理であるステップS200を実行し、このフローを終了する。また、タイプCが選択された場合には、タイプCのためのカット位置調整処理であるステップS300を実行し、このフローを終了する。
【0076】
次に、図15に示すタイプAのためのカット位置調整処理を実行する際の制御手順について詳細に説明する。
【0077】
まずステップS105で、制御回路2のCPUは、両端境界間距離L2について操作部3または外部の操作端末を介したユーザの入力操作により任意に設定されたものを取得するか否かを判定する。任意設定の両端境界間距離L2を取得する場合、判定が満たされ(S105:YES)、ステップS110へ移る。
【0078】
ステップS110では、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様によりユーザから任意に設定された両端境界間距離L2を取得する。そして、ステップS125へ移る。
【0079】
一方、上記ステップS105の判定において、両端境界間距離L2をユーザの任意の値で設定するのではなくケーブル状の被着体30の外径Φ1に基づいて算出するとした場合、判定は満たされず(S105:NO)、ステップS115へ移る。
【0080】
ステップS115では、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様により被着体30の外径Φ1の値を取得する。なお、特に図示しないが、印字ラベルL全体の媒体厚み寸法tについても別途ユーザから取得してもよいし、もしユーザが分からずに取得できなかった場合には、例えば60μmのような適宜のデフォルト寸法で代替してもよい。
【0081】
次にステップS120へ移り、制御回路2のCPUは、上記(式3)の算出式(=(Φ1+t+1)×π+1.5)に外径Φ1と媒体厚み寸法tを代入して両端境界間距離L2を算出する。そして、ステップS125へ移る。なお、上記(式4)の算出式(=(Φ1+1+t)×π×K)により両端境界間距離L2を算出してもよい。なお、このステップS120の手順が請求項に記載の第1HC距離決定処理に相当する。
【0082】
ステップS125では、制御回路2のCPUは、上記(式1)の算出式(=LC+2×LE)に両端境界間距離L2と余白部分長さLEを代入して印字ラベルLの全体長さL1を算出する。なお、このステップS125の手順が請求項に記載の決定処理に相当する。
【0083】
次にステップS130へ移り、制御回路2のCPUは、上記ステップS10で印刷枚数が2枚に指定されたか否かを判定する。印刷枚数が2枚でない場合、判定は満たされず(S130:NO)、ステップS140へ移る。
【0084】
一方、印刷枚数が2枚である場合、判定が満たされ(S130:YES)、ステップS135へ移る。
【0085】
ステップS135では、制御回路2のCPUは、上記(式1)の算出式(=LC+2×LE)に両端境界間距離L2と余白部分長さLEを代入して2枚目の印字ラベルLの全体長さL1′を算出する。そして、ステップS140へ移る。
【0086】
ステップS140では、制御回路2のCPUは、各延設部42の粘着部分長さL3がそれぞれ2.5mm以上確保できているか、言い換えると全体長さL1と両端境界間距離L2の差が5mm以上であるか否かを判定する。差が5mm以上である場合、判定が満たされ(S140:YES)、ステップS145へ移る。なお、このステップS140の手順が、請求項に記載の第1判定処理に相当する。
【0087】
ステップS145では、制御回路2のCPUは、当該ラベル作成装置1が備える表示部4、または通信インタフェース8を介した外部の操作端末(図示省略)において、各延設部42の粘着部分長さL3がそれぞれ2.5mm以上確保できていることから印字ラベルLの印刷が可能である旨を表示する。
【0088】
次にステップS150へ移り、制御回路2のCPUは、L3=(L1-L2)/2の算出式により、各延設部42の粘着部分長さL3を算出する。そして、このフローを終了する。
【0089】
一方、上記ステップS140の判定において、全体長さL1と両端境界間距離L2の差が5mm未満である場合、判定は満たされず(S140:NO)、ステップS155へ移る。
【0090】
ステップS155では、制御回路2のCPUは、上記ステップS145と同様の表示態様で、各延設部42の粘着部分長さL3がそれぞれ2.5mm以上確保できていないために印字ラベルLの印刷が不可能である旨のエラーメッセージを表示する。そして、このフローを終了する。なお、このステップS155の手順が、請求項に記載の第1エラー表示処理に相当する。
【0091】
次に、図16に示すタイプBのためのカット位置調整処理を実行する際の制御手順について詳細に説明する。
【0092】
まずステップS205で、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様により被着体30の外径Φ1の値を取得する。
【0093】
次にステップS210へ移り、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様により第2延設部42b(片側)の長さLLを取得する。
【0094】
次にステップS215へ移り、制御回路2のCPUは、上記(式8)の算出式(=(Φ1+t+1)×π+2×1.5+2×LL)に外径Φ1と、媒体厚み寸法tと、第2延設部長さLLを代入して両端境界間距離L2を算出する。なお、このステップS215の手順は請求項に記載の第2HC距離決定処理に相当する。
【0095】
次にステップS220へ移り、制御回路2のCPUは、印字ラベルLの全体長さL1を算出する。このときに(式7)の算出式(L1=2×(LC+LE+D+LL))を用いるのが適切であるが、この算出式内の偏差Dは未知数であるためこの偏差Dを消去する必要がある。ここで、図9に示すタイプBのレイアウト構成では、両端境界間距離L2を、
L2=2×LC+2×LL+4×D ・・・(式12)
としても表すことができる。この(式12)と上記(式7)から偏差Dを消去して全体長さL1について整理すると、
L1=L2/2+2×LE+LC+LL ・・・(式13)
となる。このステップS220の時点でL2、LE、LC、LLはいずれも既知数であるため、この(式13)によりL1を算出することができる。なお、このステップS220の手順が請求項に記載の決定処理に相当する。
【0096】
そしてこれ以降に続くステップS225~ステップS240の手順は、上記ステップS140~ステップS155と同等の手順内容となるため、説明を省略する。
【0097】
次に、図17に示すタイプCのためのカット位置調整処理を実行する際の制御手順について詳細に説明する。
【0098】
まずステップS305で、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様で各貼付部長さX1、X2についてユーザの入力操作により任意に設定されたものを取得するか否かを判定する。任意設定の貼付部長さX1、X2を取得する場合、判定が満たされ(S305:YES)、ステップS310へ移る。
【0099】
ステップS310では、制御回路2のCPUは、上記ステップS5と同様の取得態様で各貼付部長さX1、X2を取得する。
【0100】
次にステップS315へ移り、制御回路2のCPUは、任意に設定された下端貼付部長さX1が初期的に設定されている下流側余白部分の長さLE1以上であるか否かを判定する。長さX1が長さLE1未満である場合、言い換えると印字オブジェクトの印字部分Raが下端貼付部44pに到達しない場合、判定は満たされず(S315:NO)、そのままステップS325へ移る。なお、このステップS315の手順が請求項に記載の第2判定処理に相当する。
【0101】
一方、長さX1が長さLE1以上である場合、言い換えると印字オブジェクトの印字部分Raが下端貼付部44pにはみ出る場合、判定が満たされ(S315:YES)、ステップS320へ移る。
【0102】
ステップS320では、制御回路2のCPUは、長さLE1を長さX1と同じ長さ(もしくは長さX1以上)に補正し、ステップS325へ移る。なお、このステップS320の手順が請求項に記載の第1補正処理に相当する。また特に図示しないが、このステップS320では上記補正処理に代えて印刷が不可能とするエラー表示を行ってこのフローを終了してもよく、この場合には当該ステップS320の手順が請求項に記載の第2エラー表示処理に相当する。
【0103】
ステップS325では、制御回路2のCPUは、任意に設定された上端貼付部長さX2が初期的に設定されている上流側余白部分の長さLE2以上であるか否かを判定する。長さX2が長さLE未満である場合、言い換えると印字オブジェクトの印字部分が上端貼付部44rに到達しない場合、判定は満たされず(S325:NO)、そのままステップS340へ移る。なお、このステップS325の手順が請求項に記載の第3判定処理に相当する。
【0104】
一方、長さX2が長さLE2以上である場合、言い換えると印字オブジェクトの印字部分Raが上端貼付部44rにはみ出る場合、判定が満たされ(S325:YES)、ステップS330へ移る。
【0105】
ステップS330では、制御回路2のCPUは、長さLE2を長さX2と同じ長さ(もしくは長さX2以上)に補正し、ステップS340へ移る。なお、このステップS330の手順が請求項に記載の第2補正処理に相当する。また特に図示しないが、このステップS330では上記補正処理に代えて印刷が不可能とするエラー表示を行ってこのフローを終了してもよく、この場合には当該ステップS330の手順が請求項に記載の第3エラー表示処理に相当する。
【0106】
また一方、上記ステップS305の判定において、任意設定の貼付部長さX1、X2を取得しない場合、判定は満たされず(S305:NO)、ステップS335へ移る。
【0107】
ステップS335では、制御回路2のCPUは、各貼付部長さX1、X2を初期設定長さの一例である8mmで同じ長さに設定し、ステップS340へ移る。
【0108】
ステップS340では、制御回路2のCPUは、上記(式10)の算出式(=LC+LE1+LE2)に印字部分長さLCと、各余白部分長さX1、X2を代入して印字ラベルLの全体長さL1を算出する。なお、このステップS340の手順が請求項に記載の決定処理に相当する。
【0109】
次にステップS345へ移り、制御回路2のCPUは、上記(式11)の算出式(=L1-X1-X2)に全体長さL1と、各貼付部長さX1、X2を代入して両端境界間距離L2を算出する。そして、このフローを終了する。なお、このステップS345の手順が請求項に記載の第3HC距離決定処理に相当する。
【0110】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のラベル作成装置1により作成された印字ラベルLは、印字済部分よりも下流側の部位(HC1、HC3、HC5、HC7、HC11)において、ハーフカッタ9Bによって剥離材層24にハーフカットがなされた構造である。これにより、そのハーフカットがなされた位置よりも反印字済部分側(搬送方向下流側)の剥離材層24を引き剥がすことで、印字ラベルLのうちその剥離材層24を引き剥がした部分は粘着部分(N1、N3、N5、N7、N10)とし、印字ラベルLのうち剥離材層24を引き剥がしていない部分は非粘着部分S1~S7とすることができる。
【0111】
これにより、例えば、印字ラベルLを、ケーブル状の被着体30の周囲に当該被着体30と接触しないように略環状に一周させた後に、上記搬送方向下流側の粘着部分を搬送方向上流側の上記非粘着部分に貼り合わせたり、あるいは重ね貼りすることで、被着体30のまわりに回転可能に取り付けられる回転印刷物とすることができる。
【0112】
また例えば、印字ラベルLのうち上記搬送方向下流側の粘着部分を被着体31の平らな面に貼り付ける一方、上記搬送方向上流側の被粘着部分は上記面から突出させたり上記面から起立させる等、いわゆる付箋として使用することもできる。
【0113】
その他、例えば上記最下流の印字済部分よりも上流側の部位でも上記ハーフカットを行うようにすれば、そのハーフカット部位よりも反印字済部分側(搬送方向上流側)の剥離材も引き剥がすことで、ユーザのニーズに応じてさらに多彩な使用方法が可能となる。
【0114】
そして、上記のように種々の態様で使用される印字ラベルLにおいて、その作成時には、上記ハーフカット部に対する制御回路2の制御により、上記ハーフカット部位のテープ長さ方向の位置を適宜に可変に設定することが可能である。すなわち、上述した剥離材層24を引き剥がし後の上記粘着部分の位置や大きさを可変とすることができる。この結果、例えば上述したケーブル状の被着体30に取り付ける場合に、その被着体30が大径であっても小径であっても、その径のサイズに合った大きさの上記粘着部分をもつ上記回転印刷物を作成することができる。また例えば、上述した被着体31の平らな面に取り付ける場合には、当該面に貼り付ける印字ラベルLの上記粘着部分の大きさを、ユーザの好みや用途に応じて大小可変とすることができる。
【0115】
以上のように、本願発明によれば、ユーザの多様なニーズに応じた印字ラベルLを作成することができるので、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【0116】
また、本実施形態では特に、最下流の印字済部分よりも上流側の部位(HC2、HC4、HC6、HC10、HC12)でも上記ハーフカットを行うことにより、そのハーフカット部位よりも反印字済部分側(搬送方向上流側)の剥離材層24を引き剥がして粘着部分(N2、N4、N6、N9、N12)とすることができる。この結果、ユーザのニーズに応じて、さらに多彩な使用方法が可能となる。
【0117】
また、本実施形態では特に、最上流の印字済部分よりも上流側においてフルカットを行うことにより、印字済み部分の全体を残した1つの独立した印字ラベルLとして作成できる。
【0118】
また、本実施形態では特に、入力された外径Φ1の被着体関連情報に応じて、ハーフカット及びフルカットのうち少なくとも一方を実行する、テープ長さ方向位置を可変に決定する。これにより、前述のように剥離材層24を引き剥がした後の上記粘着部分の位置や大きさを、印字ラベルLを取り付けるケーブル状の被着体30の径の大小に応じて可変とすることができる。この結果、被着体30が大径であっても小径であっても、その径のサイズに合った大きさの上記粘着部分をもつ上記回転印刷物を作成することができる。
【0119】
また、本実施形態では特に、入力された外径Φ1の被着体関連情報に応じて、剥離材層24に対し2箇所においてハーフカットを実行するとともに、それら2箇所のハーフカット部位の間の距離を可変に決定する。これにより、印字ラベルLのうち2箇所のハーフカット部位の間で剥離材層24を引き剥がしていない非粘着部分の位置や大きさを、印字ラベルLを取り付けるケーブル状の被着体30の径の大小に応じて可変とすることができる。この結果、被着体30が大径であっても小径であっても、その径のサイズに合った大きさの上記非粘着部分をもつ上記回転印刷物を作成することができる。
【0120】
また、本実施形態では特に、入力された外径Φ1の被着体関連情報に応じて、ハーフカット及びフルカットを実行するとともに、それらハーフカット部位とフルカット部位との間の距離を可変に決定する。これにより、印字ラベルLのうちハーフカット部位とフルカット部位の間で前述のように剥離材層24を引き剥がした後の上記粘着部分の位置や大きさを、印字ラベルLを取り付けるケーブル状の被着体30の径の大小に応じて可変とすることができる。この結果、被着体30が大径であっても小径であっても、その径のサイズに合った大きさの上記粘着部分をもつ上記回転印刷物を作成することができる。
【0121】
また、本実施形態では特に、被着体関連情報として、被着体30の外径Φ1を入力し、上記ステップS120の手順で、テープの厚さをtとして、フルカット部位を挟まずに互いに隣接する2つのハーフカット部位の間の両端境界間距離L2を、
L2=(Φ1+t+1)×π+1.5
により決定する。これにより、被着体30の外径Φ1に応じて適切な大きさの上記非粘着部分をもつ上記回転印刷物としてのタイプAの印字ラベルLを作成することができる。
【0122】
また、本実施形態では特に、上記ステップS125の手順で、入力された印字オブジェクトの印字内容に対応した、印字ラベルLのテープ長さ方向寸法L1を決定し、上記ステップS140の手順で、L1-L2が所定のしきい値以上であるか否かを判定し、L1-L2がしきい値未満であると判定された場合に、上記ステップS155の手順で、表示部4に、印刷物作成不可のエラーメッセージを表示する。これにより、ユーザが設定した条件ではタイプAの印字ラベルLを作成不可能であることを、当該ユーザに確実に認識させることができる。
【0123】
また、本実施形態では特に、テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、ハーフカット位置HC1、印字領域S1、ハーフカット位置HC2、フルカット位置FC1、の順で配置するよう形成する。これにより、タイプAの印字ラベルLにおいて粘着部分と非粘着部分を交互に配置した機能的な配置構成にできる。
【0124】
また、本実施形態では特に、タイプAの印字ラベルLの作成時において、テープの搬送方向下流側の端部からハーフカットHC1までの距離L3を(L1-L2)/2、ハーフカット位置HC1からハーフカット位置HC2までの両端境界間距離をL2、ハーフカット位置HC2からフルカット位置FC1までの距離を(L1-L2)/2、として設定する。これにより、タイプAの印字ラベルLにおいて印字領域S1を印字ラベルL全体の中央に位置させるという印字構成上の配置規則を実現できる。
【0125】
また、本実施形態では特に、印字ラベルLを複数作成する複数作成モード時において、テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、ハーフカット位置HC3、印字領域S2、ハーフカット位置HC4、フルカット位置FC2、ハーフカットHC5、印字領域S3、ハーフカット位置HC6、フルカット位置FC3、の順で配置するよう形成する。これにより、タイプAの印字ラベルLを複数作成する複数作成モード時において、粘着部分と非粘着部分を適切に配置した機能的な配置構成にできる。
【0126】
また、本実施形態では特に、印字ラベルLの作成時において、テープの搬送方向下流側の先端からハーフカット位置HC3までの距離L3を(L1-L2)/2、ハーフカット位置HC3からハーフカット位置HC4までの両端境界間距離をL2、ハーフカット位置HC4からフルカット位置FC2までの距離L3を(L1-L2)/2、フルカット位置FC2からハーフカット位置HC5までの距離L3を(L1-L2)/2、ハーフカット位置HC5からハーフカット位置HC6までの両端境界間距離をL2、ハーフカット位置HC6からフルカット位置FC3までの距離L3を(L1-L2)/2、として設定する。これにより、タイプAの印字ラベルLを複数作成する複数作成モード時において、印字領域S2、S3を各印字ラベルL、L′全体の中央に位置させるという印字構成上の配置規則を実現できる。
【0127】
また、本実施形態では特に、テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、ハーフカット位置HC7、印字領域S4、ハーフカット位置HC8、ハーフカットHC9、印字領域S5、ハーフカット位置HC10、フルカット位置FC4、の順で形成する。これにより、第2延設部42bを有するタイプBの印字ラベルLにおいて粘着部分と非粘着部分を交互に配置した機能的な配置構成にできる。
【0128】
また、本実施形態では特に、被着体関連情報として、被着体30の外径Φ1と、印字ラベルLを折り返して基材の裏面どうしを貼り付けるときの第2延設部42bの貼り付け距離LLと、を入力し、上記ステップS215の手順で、テープの厚さをtとして、フルカット部位を挟まずに互いに隣接する2つのハーフカット部位の間の両端境界間距離L2を、
L2=(Φ1+t+1)×π+15×2+LL×2
により決定する。これにより、被着体30の外径Φ1に応じて適切な大きさの上記非粘着部分をもつ上記回転印刷物としてのタイプBの印字ラベルLを作成することができる。
【0129】
また、本実施形態では特に、上記ステップS220の手順で、入力された印字オブジェクトの印字内容に対応した、印字ラベルLのテープ長さ方向寸法L1を決定し、上記ステップS225の手順で、L1-L2が所定のしきい値以上であるか否かを判定し、L1-L2がしきい値未満であると判定された場合に、上記ステップS240の手順で、表示部4に、印刷物作成不可のエラーメッセージを表示する。これにより、ユーザが設定した条件ではタイプBの印字ラベルLを作成不可能であることを、当該ユーザに確実に認識させることができる。
【0130】
また、本実施形態では特に、タイプBの印字ラベルLの作成時において、テープの搬送方向下流側の先端からハーフカット位置HC7までの距離L3を(L1-L2)/2、ハーフカット位置HC7からハーフカット位置HC8までの距離を(Φ1+t+1)×π/2+1.5、ハーフカット位置HC8からハーフカット位置HC9までの距離をLL×2、ハーフカット位置HC9からハーフカット位置HC10までの距離を(Φ1+t+1)×π/2+1.5、ハーフカット位置HC10からフルカット位置FC4までの距離L3を(L1-L2)/2、として設定する。これにより、タイプBの印字ラベルLにおいて2つの印字領域S4、S5を印字ラベルL全体の中央に関して対称的に配置できる。
【0131】
また、本実施形態では特に、テープの搬送方向下流側から上流側に向かって、ハーフカット位置HC11、印字領域S6、印字領域S7、ハーフカット位置HC12、フルカット位置FC5、の順で配置するよう形成する。これにより、タイプCの印字ラベルLにおいて粘着部分と非粘着部分を交互に配置した機能的な配置構成にできる。
【0132】
また、本実施形態では特に、被着体関連情報として、テープの搬送方向下流側の端部からハーフカット位置HC11までの距離X1、及び、ハーフカット位置HC12からフルカット位置FC5までの距離X2、を入力する。これにより、タイプCの印字ラベルLにおいて下端貼付部44pの長さX1と上端貼付部44rの長さX2をそれぞれ個別にユーザが任意に設定することができる。
【0133】
また、本実施形態では特に、上記ステップS315の手順で、入力されたX1が、予め設定されている下流側余白寸法LE1以上であるか否か、を判定し、X1が下流側余白寸法LE1未満であると判定された場合には、上記ステップS320の手順で、下流側余白寸法LE1をX1以上に補正する。これにより、タイプCの印字ラベルLにおいて、ユーザが設定した、テープの搬送方向下流側の端部からハーフカット位置HC11までの距離X1の値では、印字ラベルLを作成不可能であるとしてその不適正なX1の値を自動的に適正な値に修正して適用することができる。また上述したように、ステップS320の手順に代えて、表示部4に印字ラベルLが作成不可能であるとするエラーメッセージを表示し、当該ユーザに確実に認識させてもよい。
【0134】
また、本実施形態では特に、上記ステップS325の手順で、入力されたX2が、予め設定されている上流側余白寸法LE2以上であるか否か、を判定し、X2が上流側余白寸法LE2未満であると判定された場合には、上記ステップS330の手順で、上流側余白寸法LE2をX2以上に補正する。これにより、タイプCの印字ラベルLにおいて、ユーザが設定した、印字ラベルLの搬送方向上流側の端部となるフルカット位置FC5からハーフカット位置HC12までの距離X2の値では、印字ラベルLを作成不可能であるとしてその不適正なX2の値を自動的に適正な値に修正して適用することができる。また上述したように、ステップS330の手順に代えて、表示部4に印字ラベルLが作成不可能であるとするエラーメッセージを表示し、当該ユーザに確実に認識させてもよい。
【0135】
また、本実施形態では特に、上記ステップS340の手順で、入力された印字オブジェクトの印字内容に対応した、印字ラベルLのテープ長さ方向寸法L1を決定し、上記ステップS345の手順で、ハーフカット位置HC11からハーフカット位置HC12までの長さL2を、L2=L1-X1-X2により決定し、かつ、タイプCの印字ラベルLの作成時において、テープの搬送方向下流側の先端からハーフカット位置HC11までの距離をX1、ハーフカット位置HC11からハーフカット位置HC12までの距離をL2、ハーフカット位置HC12からフルカット位置FC5までの距離をX2として設定する。これにより、タイプCの印字ラベルLにおいて印字領域S6、S7を印字ラベルL全体の中央に関して対称的に配置できる。
【0136】
また、本実施形態では特に、搬送ローラ6は、印字ヘッド7によって印字された透明な基材層21と剥離材層24とが貼り合わされた印字済みテープTを搬送する。基材が透明であることにより、前述のように例えば印字ラベルLの搬送方向下流側部分を搬送方向上流側に重ね貼りするような場合でも、上に重なっている部分を透かして、下に重なっている部分を目視することが可能となる。この結果、例えばテキスト等の印字表記の上に重ね貼りがなされた場合でも、下になった当該印字表記を(隠れることなく)視認することができる。
【0137】
また、本実施形態では特に、印字ヘッド7は、基材層21に印字を行い、かつ、ラベル作成装置1は、印字ヘッド7により印字が形成された基材層21の印字面側と剥離材層24とを貼り合わせ、印字済みテープTを生成する圧着ローラ13A,13Bをさらに有する。これにより、印字ヘッド7により印字された印字面を表面に露出させることなくその印字状態を良好に保持可能な、いわゆるラミネートタイプとして印字ラベルLを作成できる。
【0138】
<変形例>
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。なお、以下の各変形例において、上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0139】
(1)貼り合わせ済みのテープに印字を形成する場合
<ラベル作成装置>
本変形例におけるラベル作成装置の機能的構成を、上記実施形態の図1に対応する図18に示す。
【0140】
図18において、カートリッジホルダ12には、上記実施形態のテープカートリッジ10に代えてテープカートリッジ10′が装着される。テープカートリッジ10′は、筐体11内に、テープロール10A′(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を収納している。テープロール10A′には、基材層21、貼り付け用粘着剤層22、及び剥離材層24、(後述の図19参照)を備えたテープTo′(後述の図19参照)が巻回されている。
【0141】
テープカートリッジ10′がカートリッジホルダ12に装着された後、搬送ローラ6は、テープロール10A′から繰り出されるテープTo′を印字ヘッド7との間で挟持する。印字ヘッド7は、搬送ローラ6によって搬送されるテープTo′の基材層21に対し印字オブジェクトを印刷する。基材層21の表面に印字Rが形成されたテープTo′は、圧着ローラ13A,13Bを通過して印字済テープT′となる。その後、フルカッタ9Aにより印字済テープT″が切断されることで、印字ラベルLが生成される。
【0142】
<テープの詳細構成>
上記テープTo′の詳細構成を図19(a)及び図19(b)に示す。これら図19(a)及び図19(b)において、本変形例のテープTo′は、上記実施形態のテープToからカバーフィルム23と貼り合わせ用粘着剤層26を省略した構成であり、厚さ方向の一方側(図19(b))中の下側)から、厚さ方向の他方側(図19(b)中の上側)へ向かって、上記剥離材層24、上記貼り付け用粘着剤層22、上記基材層21がこの順序で積層されている。
【0143】
また、図19(b)に示すように、本変形例においては、前述と同様、「ABCD」のテキストからなる上記印字Rが、印字ヘッド7により、基材層21の外表面上に形成される。つまり本変形例においては、あらかじめ全ての層が一体に貼り合わせ済みとなっているテープTo′の基材層21の外表面に印字Rが形成されてそのまま印字済テープT′となる。そしてフルカッタ9Aは、印字済みテープT′の厚み方向における剥離材層24、貼り付け用粘着剤層22、基材層21の全ての層を切断してテープ長さ方向に完全に分断する。また、ハーフカッタ9Bは、印字済みテープTの厚み方向において剥離材層24だけをテープ幅方向に切断するハーフカットを行う。
【0144】
以上のように、本変形例によれば、印字ヘッド7は、基材層21と剥離材層24とが貼り合わせられているテープTo′の、当該基材層21に対し印字を行う。このようにラベル作成装置1は、印字面を表面に露出させたいわゆるレセプタタイプの印字ラベルLの作成にも適用可能であり、この場合にも上記実施形態と同様に多様なニーズに対応した印字ラベルLを作成できる。
【0145】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0146】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
但し、例えばしきい値(図14図15図16図17のフローチャート参照)や基準値等、所定の判定基準となる値あるいは区切りとなる値の記載がある場合は、それらに対しての「同一」「等しい」「異なる」等は、上記とは異なり、厳密な意味である。
【0147】
なお、以上において、図1図18等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0148】
また、図14図15図16図17等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0149】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0150】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0151】
1 ラベル作成装置(印刷装置)
2 制御回路(制御部)
3 操作部(第1入力部、第2入力部)
4 表示部
6 搬送ローラ(搬送部)
7 印字ヘッド(ヘッド部)
8 通信インタフェース(第1入力部、第2入力部)
9A フルカッタ(フルカット部)
9B ハーフカッタ(ハーフカット部)
13A、13B 圧着ローラ(貼り合わせ部)
21 基材層(基材)
24 剥離材層(剥離材)
28 ハーフカット線(ハーフカット部位)
30、31、32 被着体
41 巻回部
42 延設部
42a 第1延設部
42b 第2延設部
43 連結部
44p 下端貼付部
44r 上端貼付部
45 立脚部
T、T′ 印字済みテープ(テープ)
L 印字ラベル(印刷物)
L1 印字ラベル全体長さ
L2 両端境界間距離
L3 粘着部分長さ
LL 第2延設部長さ(貼り付け距離、被着体関連情報)
LC 印字部分長さ
LE 余白部分長さ(下流側余白寸法、上流側余白寸法)
LE1 下流側余白部分長さ(下流側余白寸法)
LE2 上流側余白部分長さ(上流側余白寸法)
Φ1 被着体外径(被着体関連情報)
X1 下端貼付部長さ(被着体関連情報)
X2 上端貼付部長さ(被着体関連情報)
HC1~HC12 ハーフカット位置(ハーフカット部位)
FC1~FC5 フルカット(フルカット部位)
S1~S7 印字領域
N1~N11 粘着部分
図1
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