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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】蒸着マスク
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
C23C14/04 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019233978
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2020105631
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2018241594
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】内田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸司
(72)【発明者】
【氏名】落合 洋光
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-163864(JP,A)
【文献】特開2016-145420(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110123(WO,A1)
【文献】特開2015-117432(JP,A)
【文献】特開昭57-026163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の第1貫通孔を有するマスク本体と、前記マスク本体上にあり、かつ、平面視において前記第1貫通孔と重なる位置にある第2貫通孔を有する支持体と、を備えた蒸着マスクであって、
前記マスク本体は、前記支持体側と反対側にある第1面と、前記支持体側にある第2面とを有し、
前記支持体は2以上の層を含み、
平面視において前記第2貫通孔と重なる位置にある2以上の前記第1貫通孔のうち、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔は、平面視において前記最外周第1貫通孔の中心である第1点を含み、
前記第2貫通孔は、前記第2貫通孔の輪郭のうち前記第1点に最も近い第2点を含み、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1点と前記第2点とを含み、かつ、前記マスク本体の法線方向と平行な平面である第1断面において、前記第2点側の壁である第1壁を有し、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1断面において、前記第1壁と前記第2面とを接続する第2面側接続部を有し、
前記支持体は、前記第1断面において、前記第2面側接続部と前記第1壁上の任意の点とを通る直線のうち前記マスク本体の法線方向に対する角度が最も大きい直線に対して、前記支持体の平面方向において、前記第1断面における前記第2貫通孔の中心側である第1側の反対側である第2側に位置する、蒸着マスク。
【請求項2】
2以上の第1貫通孔を有するマスク本体と、前記マスク本体上にあり、かつ、平面視において前記第1貫通孔と重なる位置にある第2貫通孔を有する支持体と、を備えた蒸着マスクであって、
前記マスク本体は、前記支持体側と反対側にある第1面と、前記支持体側にある第2面とを有し、
前記支持体は2以上の層を含み、
平面視において前記第2貫通孔と重なる位置にある2以上の前記第1貫通孔のうち、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔は、平面視において前記最外周第1貫通孔の中心である第1点を含み、
前記第2貫通孔は、前記第2貫通孔の輪郭のうち前記第1点に最も近い第2点を含み、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1点と前記第2点とを含み、かつ、前記マスク本体の法線方向と平行な平面である第1断面において、前記第2点側の壁である第1壁を有し、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1断面において、前記第1壁と前記第1面とを接続する第1面側接続部を有し、
前記第1壁は、前記第1面側接続部よりも前記第1点に近い部分を有せず、
前記支持体は、前記第1断面において、前記第1面側接続部と前記第1壁上の任意の点とを通る直線のうち前記マスク本体の法線方向に対する角度が最も小さい直線に対して、前記支持体の平面方向において、前記第1断面における前記第2貫通孔の中心側である第1側の反対側である第2側に位置する、蒸着マスク。
【請求項3】
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1面と、前記マスク本体側と反対側にある第2面とを有し、
前記第2貫通孔は、前記第1断面において、前記最外周第1貫通孔に最も近い第2壁を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1断面において、前記第2壁と前記支持体の前記第2面とを接続する第2面側接続部を有し、
前記第1断面において、前記第2貫通孔の前記第2面側接続部と前記第2壁上の任意の点とを通る直線の前記支持体の法線方向に対する最大の角度は、20度以上60度以下である、請求項1又は2に記載の蒸着マスク。
【請求項4】
前記支持体は、0.05mm以上3mm以下の厚みを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項5】
前記マスク本体が金属を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項6】
前記支持体が金属を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項7】
前記マスク本体及び前記支持体が金属を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項8】
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1面と、前記マスク本体側と反対側にある第2面とを有し、
前記支持体の法線方向に沿った前記第2点と前記支持体の前記第1面との間の距離は、前記支持体の法線方向に沿った前記第2点と前記支持体の前記第2面との間の距離よりも小さい、請求項1~7のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項9】
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1面と、前記マスク本体側と反対側にある第2面とを有し、
前記第2貫通孔は、前記第1断面において、前記最外周第1貫通孔に最も近い第2壁を有し、
前記第2貫通孔は、前記第2壁と前記支持体の前記第1面とを接続する第1面側接続部と、前記第2壁と前記支持体の前記第2面とを接続する第2面側接続部とを有し、
前記第2貫通孔の前記第2面側接続部は、前記第2貫通孔の前記第1面側接続部に対して、前記支持体の平面方向において前記第2側に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項10】
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1層と、前記第1層に対して前記マスク本体側と反対側にある第2層とを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項11】
前記第1層の厚みは、前記第2層の厚みよりも小さい、請求項10に記載の蒸着マスク。
【請求項12】
前記第1層の厚みは、前記第2層の厚みよりも大きい、請求項10に記載の蒸着マスク。
【請求項13】
前記第1層の厚みは、前記第2層の厚みと等しい、請求項10に記載の蒸着マスク。
【請求項14】
前記第1層と前記第2層との間に位置する接着層を有する、請求項1013のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項15】
前記第1層の表面上と前記第2層の表面上とに跨って位置するめっき層を有する、請求項1013のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項16】
前記第1層と前記第2層との間に位置する接着層と、
前記第1層の表面上と前記第2層の表面上とに跨って位置するめっき層と、を有する、請求項1013のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸着マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であることが求められている。
【0003】
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、被蒸着基板(有機EL表示装置用の基板)を蒸着装置に投入し、次に、蒸着装置内で被蒸着基板に対して蒸着マスクを密着させ、有機材料を被蒸着基板に蒸着させる蒸着工程を行う。
【0004】
このような蒸着マスクの一例として、特許文献1に開示されているようなマスク組立体が挙げられる。特許文献1に開示されたマスク組立体は、貫通孔をなす2以上の開口部を有するマスクシートを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-26344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蒸着材料を被蒸着基板に蒸着させる蒸着工程においては、蒸着マスクに向かって飛来した蒸着材料は、貫通孔を通過して被蒸着基板に付着する。この場合、蒸着材料は、被蒸着基板に向けて蒸着マスクの法線方向に沿って移動するだけでなく、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した方向に移動することもある。この場合であっても、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した方向に移動する蒸着材料の進行が遮蔽薄板で妨げられて被蒸着基板に蒸着材料が適切に付着しない、いわゆるシャドーの発生を抑制することが求められている。
【0007】
本開示は、このような点を考慮してなされたものであって、シャドーの発生を抑制することのできる蒸着マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の蒸着マスクは、
2以上の第1貫通孔を有するマスク本体と、前記マスク本体上にあり、かつ、平面視において前記第1貫通孔と重なる位置にある第2貫通孔を有する支持体と、を備え、
前記マスク本体は、前記支持体側と反対側にある第1面と、前記支持体側にある第2面とを有し、
平面視において前記第2貫通孔と重なる位置にある2以上の前記第1貫通孔のうち、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔は、平面視において前記最外周第1貫通孔の中心である第1点を含み、
前記第2貫通孔は、前記第2貫通孔の輪郭のうち前記第1点に最も近い第2点を含み、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1点と前記第2点とを含み、かつ、前記マスク本体の法線方向と平行な平面である第1断面において、前記第2点側の壁である第1壁を有し、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1断面において、前記第1壁と前記第2面とを接続する第2面側接続部を有し、
前記支持体は、前記第1断面において、前記第2面側接続部と前記第1壁上の任意の点とを通る直線のうち前記マスク本体の法線方向に対する角度が最も大きい直線に対して、前記支持体の平面方向において、前記第1断面における前記第2貫通孔の中心側である第1側の反対側である第2側に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、シャドーの発生を抑制することのできる蒸着マスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の第1実施形態を説明するための図であって、蒸着マスク装置を有する蒸着装置を説明するための図である。
図2図2は、図1に示す蒸着装置で製造された有機EL表示装置の一例を示す断面図である。
図3図3は、蒸着マスクを有する蒸着マスク装置の一例を概略的に示す平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に対応する断面において蒸着マスク装置を示す図である。
図5図5は、蒸着マスクのマスク本体の一例を示す平面図である。
図6図6は、蒸着マスクの支持体の一例を示す平面図である。
図7A図7Aは、蒸着マスク装置の部分平面図であって、図3のVIIAが付された部分を蒸着マスクの第1面側から見て示す図である。
図7B図7Bは、図7AのVIIBが付された部分を拡大して示す図である。
図8図8は、図7BのVIII-VIII線に対応する断面において蒸着マスクを示す図である。
図9A図9Aは、マスク本体を製造するために用いられるパターン基板の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図9B図9Bは、マスク本体を製造するために用いられるパターン基板の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図9C図9Cは、マスク本体を製造するために用いられるパターン基板の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図9D図9Dは、マスク本体を製造するために用いられるパターン基板の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図10A図10Aは、マスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図10B図10Bは、マスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図10C図10Cは、マスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図10D図10Dは、マスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図11A図11Aは、支持体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図11B図11Bは、支持体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図11C図11Cは、支持体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図11D図11Dは、支持体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図11E図11Eは、支持体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図12A図12Aは、蒸着マスクの製造方法の一例の一工程を示す図である。
図12B図12Bは、蒸着マスクの製造方法の一例の一工程を示す図である。
図12C図12Cは、蒸着マスクの製造方法の一例の一工程を示す図である。
図13図13は、蒸着マスク装置の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図14図14は、蒸着マスクの一変形例を示す断面図である。
図15A図15Aは、図14の蒸着マスクのマスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図15B図15Bは、図14の蒸着マスクのマスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図15C図15Cは、図14の蒸着マスクのマスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図15D図15Dは、図14の蒸着マスクのマスク本体の製造方法の一例の一工程を示す図である。
図16図16は、本開示の第2実施形態を説明するための図であって、蒸着マスクを示す断面図である。
図17図17は、蒸着マスクの他の変形例を示す断面図である。
図18図18は、蒸着マスクのさらに他の変形例を示す断面図である。
図19図19は、蒸着マスクのさらに他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0012】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0013】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0014】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0015】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
【0016】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して2以上の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0017】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される数値範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
【0018】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、本明細書の一実施形態において、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクやその製造方法に関した例をあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本実施形態を適用することができる。
【0019】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
【0020】
本開示の第1の態様は、
2以上の第1貫通孔を有するマスク本体と、前記マスク本体上にあり、かつ、平面視において前記第1貫通孔と重なる位置にある第2貫通孔を有する支持体と、を備えた蒸着マスクであって、
前記マスク本体は、前記支持体側と反対側にある第1面と、前記支持体側にある第2面とを有し、
平面視において前記第2貫通孔と重なる位置にある2以上の前記第1貫通孔のうち、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔は、平面視において前記最外周第1貫通孔の中心である第1点を含み、
前記第2貫通孔は、前記第2貫通孔の輪郭のうち前記第1点に最も近い第2点を含み、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1点と前記第2点とを含み、かつ、前記マスク本体の法線方向と平行な平面である第1断面において、前記第2点側の壁である第1壁を有し、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1断面において、前記第1壁と前記第2面とを接続する第2面側接続部を有し、
前記支持体は、前記第1断面において、前記第2面側接続部と前記第1壁上の任意の点とを通る直線のうち前記マスク本体の法線方向に対する角度が最も大きい直線に対して、前記支持体の平面方向において、前記第1断面における前記第2貫通孔の中心側である第1側の反対側である第2側に位置する、蒸着マスク、である。
【0021】
本開示の第2の態様は、
2以上の第1貫通孔を有するマスク本体と、前記マスク本体上にあり、かつ、平面視において前記第1貫通孔と重なる位置にある第2貫通孔を有する支持体と、を備えた蒸着マスクであって、
前記マスク本体は、前記支持体側と反対側にある第1面と、前記支持体側にある第2面とを有し、
平面視において前記第2貫通孔と重なる位置にある2以上の前記第1貫通孔のうち、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔は、平面視において前記最外周第1貫通孔の中心である第1点を含み、
前記第2貫通孔は、前記第2貫通孔の輪郭のうち前記第1点に最も近い第2点を含み、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1点と前記第2点とを含み、かつ、前記マスク本体の法線方向と平行な平面である第1断面において、前記第2点側の壁である第1壁を有し、
前記最外周第1貫通孔は、前記第1断面において、前記第1壁と前記第1面とを接続する第1面側接続部を有し、
前記第1壁は、前記第1面側接続部よりも前記第1点に近い部分を有せず、
前記支持体は、前記第1断面において、前記第1面側接続部と前記第1壁上の任意の点とを通る直線のうち前記マスク本体の法線方向に対する角度が最も小さい直線に対して、前記支持体の平面方向において、前記第1断面における前記第2貫通孔の中心側である第1側の反対側である第2側に位置する、蒸着マスク、である。
【0022】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様または上述した第2の態様のそれぞれにおいて、
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1面と、前記マスク本体側と反対側にある第2面とを有し、
前記第2貫通孔は、前記第1断面において、前記最外周第1貫通孔に最も近い第2壁を有し、
前記第2貫通孔は、前記第1断面において、前記第2壁と前記支持体の前記第2面とを接続する第2面側接続部を有し、
前記第1断面において、前記第2貫通孔の前記第2面側接続部と前記第2壁上の任意の点とを通る直線の前記支持体の法線方向に対する最大の角度は、20度以上60度以下であってもよい。
【0023】
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれにおいて、
前記支持体は、0.05mm以上3mm以下の厚みを有してもよい。
【0024】
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれにおいて、
前記マスク本体が金属を含んでもよい。
【0025】
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれにおいて、
前記支持体が金属を含んでもよい。
【0026】
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれにおいて、
前記マスク本体及び前記支持体が金属を含んでもよい。
【0027】
本開示の第8の態様は、上述した第1の態様から上述した第7の態様のそれぞれにおいて、
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1面と、前記マスク本体側と反対側にある第2面とを有し、
前記支持体の法線方向に沿った前記第2点と前記支持体の前記第1面との間の距離は、前記支持体の法線方向に沿った前記第2点と前記支持体の前記第2面との間の距離よりも小さくてもよい。
【0028】
本開示の第9の態様は、上述した第1の態様から上述した第8の態様のそれぞれにおいて、
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1面と、前記マスク本体側と反対側にある第2面とを有し、
前記第2貫通孔は、前記第1断面において、前記最外周第1貫通孔に最も近い第2壁と、前記第2壁と前記支持体の前記第1面とを接続する第1面側接続部と、前記第2壁と前記支持体の前記第2面とを接続する第2面側接続部とを有し、
前記第2貫通孔の前記第2面側接続部は、前記第2貫通孔の前記第1面側接続部に対して、前記支持体の平面方向において前記第2側に位置してもよい。
【0029】
本開示の第10の態様は、上述した第1の態様から上述した第9の態様のそれぞれにおいて、
前記支持体は2以上の層を含んでもよい。
【0030】
本開示の第11の態様は、上述した第10の態様において、
前記支持体は、前記マスク本体側にある第1層と、前記第1層に対して前記マスク本体側と反対側にある第2層とを含んでもよい。
【0031】
本開示の第12の態様は、上述した第11の態様において、
前記第1層の厚みは、前記第2層の厚みよりも小さくてもよい。
【0032】
本開示の第13の態様は、上述した第11の態様において、
前記第1層の厚みは、前記第2層の厚みよりも大きくてもよい。
【0033】
本開示の第14の態様は、上述した第11の態様において、
前記第1層の厚みは、前記第2層の厚みと等しくてもよい。
【0034】
本開示の第15の態様は、上述した第11の態様から上述した第14の態様のそれぞれにおいて、
前記第1層と前記第2層との間に位置する接着層を有してもよい。
【0035】
本開示の第16の態様は、上述した第11の態様から上述した第14の態様のそれぞれにおいて、
前記第1層の表面上と前記第2層の表面上とに跨って位置するめっき層を有してもよい。
【0036】
本開示の第17の態様は、上述した第11の態様から上述した第14の態様のそれぞれにおいて、
前記第1層と前記第2層との間に位置する接着層と、
前記第1層の表面上と前記第2層の表面上とに跨って位置するめっき層と、を有してもよい。
【0037】
図1図15Cは、本開示による第1実施形態を説明するための図である。以下の実施形態では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクを例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本開示を適用することができる。
【0038】
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置90について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置90は、その内部に、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、及び蒸着マスク装置10を備えてもよい。また、蒸着装置90は、蒸着装置90の内部を真空雰囲気にするための排気手段(図示せず)を更に備えてもよい。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容してもよい。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料98を蒸発させてもよい。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されてもよい。
【0039】
図1に示すように、蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20と、蒸着マスク20を支持するフレーム15と、を備えてもよい。この場合、蒸着マスク20は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、その面方向に引っ張られた状態で、フレーム15により支持されていても良く、あるいは、蒸着マスク20は、その面方向に引っ張られることなく、フレーム15により支持されていても良い。蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着マスク20が、蒸着材料98を付着させる対象物である被蒸着基板(例えば有機EL基板)92に対面するよう、蒸着装置90内に配置されてもよい。
【0040】
蒸着装置90は、図1に示すように、被蒸着基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石93を備えていてもよい。磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を被蒸着基板92に密着させることができる。
【0041】
次に、蒸着マスク装置10の蒸着マスク20について説明する。図1に示すように、蒸着マスク20は、2以上の第1貫通孔35を有するマスク本体30と、マスク本体30上にあり、かつ、平面視において第1貫通孔35と重なる位置にある第2貫通孔45を有する支持体40と、を備えてもよい。
【0042】
蒸着マスク20は、第1面20aと、第1面20aと反対側にある第2面20bと、を有してもよい。図示された例では、蒸着マスク20は、被蒸着基板92とるつぼ94との間に配置されてもよい。蒸着マスク20は、その第1面20aが被蒸着基板92側に位置するようにして、言い換えるとその第2面20bがるつぼ94側に位置するようにして、蒸着装置90内に支持され、被蒸着基板92への蒸着材料98の蒸着に使用されてもよい。図1に示す蒸着装置90において、るつぼ94から蒸発して、蒸着マスク20の第2面20b側から蒸着マスク20に到達した蒸着材料98は、支持体40の第2貫通孔45及びマスク本体30の第1貫通孔35を通って被蒸着基板92に付着してもよい。これによって、マスク本体30の第1貫通孔35の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を被蒸着基板92の表面に付着させることができる。
【0043】
図2は、図1の蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、被蒸着基板(有機EL基板)92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備えてもよい。なお、図2においては、有機EL表示装置100の蒸着材料98を含む画素に電圧を印加する電極等の図示が省略されている。また、有機EL基板92上に蒸着材料98をパターン状に設ける蒸着工程の後、図2の有機EL表示装置100には、有機EL表示装置のその他の構成要素が更に設けられ得る。したがって、図2の有機EL表示装置100は、有機EL表示装置の中間体と呼ぶこともできる。
【0044】
2以上の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク装置10が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、被蒸着基板92を各蒸着装置90に順に投入してもよい。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に被蒸着基板92に蒸着させることができる。
【0045】
蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施されてもよい。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク装置10及び被蒸着基板92も加熱されてもよい。この際、蒸着マスク装置10のマスク本体30、支持体40及びフレーム15並びに被蒸着基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示してもよい。したがって、マスク本体30、支持体40及びフレーム15の熱膨張係数と、被蒸着基板92との熱膨張係数との差が小さい場合には、蒸着マスク20の寸法変化と有機EL基板92の寸法変化との差も小さくなり、この結果、被蒸着基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度を向上させることができるので好ましい。
【0046】
このような効果を得るため、マスク本体30、支持体40及びフレーム15の熱膨張係数が、被蒸着基板92の熱膨張係数と同等の値であってもよい。例えば、被蒸着基板92としてガラス基板が用いられる場合、マスク本体30、支持体40及びフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。例えば、マスク本体30、支持体40及びフレーム15を構成する部材の材料として、30質量%以上54質量%以下のニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。ニッケルを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを挙げることができる。
【0047】
なお、蒸着処理の際に、蒸着マスク装置10のマスク本体30、支持体40及びフレーム15並びに被蒸着基板92の温度が高温に達しない場合は、マスク本体30、支持体40及びフレーム15の熱膨張係数は、被蒸着基板92の熱膨張係数と同等の値を有していなくてもよい。この場合、マスク本体30、支持体40及びフレーム15を構成する材料として、上述の鉄合金以外の材料を用いてもよい。例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いてもよい。また、ニッケルやニッケル-コバルト合金など、鉄合金以外の金属又は合金を用いてもよい。
【0048】
次に、蒸着マスク装置10及び蒸着マスク20について、図1及び図3図7Aを参照して説明する。図3は、蒸着マスク20を有する蒸着マスク装置10の一例を概略的に示す平面図であって、蒸着マスク装置10を蒸着マスク20の第2面20b側から見て示す図であり、図4は、蒸着マスク装置10の断面図であって、図3のIV-IV線に対応する断面において蒸着マスク装置10を示す図である。
【0049】
図3に示された例では、蒸着マスク20は、平面視において四角形、さらに正確には平面視において長方形の輪郭を有してもよい。フレーム15は長方形の枠の形状を有してもよく、蒸着マスク20は、蒸着マスク20の各辺がフレーム15の各辺に対応するようにして、フレーム15に対して取り付けられてもよい。なお、本明細書において、「四角形」及び「長方形」とは、「四角形」及び「長方形」の角部が丸められたり切り取られたりしている形状をも含むものとする。
【0050】
蒸着マスク20は、互いに重なる位置にあるマスク本体30及び支持体40を備えてもよい。言い換えると、蒸着マスク20は、マスク本体30と、マスク本体30上にある支持体40と、を備えてもよい。マスク本体30の平面と支持体40の平面とは互いに平行であってもよい。したがって、蒸着マスク20の法線方向、マスク本体30の法線方向及び支持体40の法線方向は、互いに一致してもよい。マスク本体30は、支持体40側と反対側にある第1面30aと、支持体40側にある第2面30bとを有してもよい。また、支持体40は、マスク本体30側にある第1面40aと、マスク本体30側と反対側にある第2面40bとを有してもよい。マスク本体30は、支持体40に対して蒸着マスク20の第1面20a側に位置してもよい。したがって、蒸着マスク20の第1面20aは、マスク本体30の第1面30aで構成され、蒸着マスク20の第2面20bは、支持体40の第2面40bとマスク本体30の第2面30bのうち支持体40の第2貫通孔45と重なる位置にある部分とで構成されてもよい。支持体40及びマスク本体30は、それぞれ平面視において長方形の輪郭を有してもよい。とりわけ、平面視において、支持体40を画定する輪郭はマスク本体30を画定する輪郭を取り囲んでもよい。
【0051】
蒸着マスク20の支持体40とマスク本体30とは、互いに対して固定されてもよい。そのため、蒸着マスク20は、支持体40とマスク本体30とを互いに接合する2以上の第1接合部19aを有してもよい。また、支持体40とフレーム15とは、互いに対して固定されてもよい。そのため、蒸着マスク装置10は、支持体40とフレーム15とを互いに接合する2以上の第2接合部19bを有してもよい。第1接合部19aは、マスク本体30の外縁30eに沿って配列されてもよく、第2接合部19bは、支持体40の外縁40eに沿って配列されてもよい。マスク本体30及び支持体40は平面視において長方形の輪郭を有してもよい。したがって、接合部19a、19bも、それぞれ外縁30e、40eに沿って長方形のパターンにて配列されてもよい。本実施の形態では、図7Aに示されているように、接合部19a、19bは、それぞれ外縁30e、40eから一定の距離を有して1つの直線上に配列されてもよい。すなわち、接合部19a、19bは、それぞれ外縁30e、40eの延びる方向と平行な方向に沿って配列されてもよい。
【0052】
また、図7Aに示された例では、接合部19a、19bは、それぞれ外縁30e、40eの延びる方向に沿って互いに等間隔を有して配列されてもよい。本実施形態では、マスク本体30及び支持体40、並びに支持体40及びフレーム15は、スポット溶接により互いに接合されてもよい。なお、これに限られず、マスク本体30及び支持体40、並びに、マスク本体30及びフレーム15は、例えば接着剤等の他の手段により互いに接合されていてもよい。
【0053】
次に、図1及び図3図7Bを参照して、蒸着マスク20のマスク本体30及び支持体40、並びにフレーム15について更に詳細に説明する。図5は、マスク本体30の一例を示す平面図であり、図6は、支持体40の一例を示す平面図であり、図7Aは、蒸着マスク装置10の部分平面図であって、図3のVIIAが付された部分を蒸着マスク20の第2面20b側から見て示す図であり、図7Bは、図7AのVIIBが付された部分を拡大して示す図である。
【0054】
図5に示すように、マスク本体30は、平面視において長方形の形状を有してもよい。このマスク本体30は、マスク本体30の外縁30eを構成する枠状の耳部17と、耳部17に囲まれた中間部18とを備えてもよい。このうち耳部17は、マスク本体30における支持体40に取り付けられる部分であってもよい。なお、この耳部17は、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではない。
【0055】
また、図5に示すように、中間部18は、規則的な配列で第1貫通孔35が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23とを含んでもよい。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではなくてもよい。一方、有効領域22は、有機発光材料の蒸着に用いられるマスク本体30においては、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる有機EL基板92の表示領域となる区域と重なる、マスク本体30内の領域であってもよい。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や窪みが形成されていてもよい。各有効領域22は、平面視において四角形、さらに正確には平面視において長方形の輪郭を有してもよい。なお、図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有してもよい。すなわち、各有効領域22は、有機EL表示装置100が表示する各アプリケーションの表示領域の形状に対応した形状を有する輪郭を有していてもよく、有機EL表示装置100を例えば腕時計に使用する場合、各有効領域22は、円の輪郭を有していてもよい。
【0056】
図3及び図5に示すように、マスク本体30の2以上の有効領域22は、互いに直交する二方向に沿って所定の間隔を空けて配列されてもよい。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置100に対応してもよい。すなわち、図3及び図4に示された蒸着マスク装置10(マスク本体30)によれば、多面付蒸着が可能となっている。また、図3図5及び図7Aに示すように、各有効領域22に形成された2以上の第1貫通孔35は、有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されていてもよい。
【0057】
次に、支持体40について詳細に説明する。図3及び図6に示すように、支持体40は平面視において長方形の形状を有してもよい。この支持体40は、面方向において、マスク本体30よりも大きい寸法を有してもよく、平面視において、支持体40を画定する輪郭は、マスク本体30を画定する輪郭を取り囲んでもよい。この支持体40は、支持体40の各辺がマスク本体30の各辺に対応するようにして、マスク本体30に対して取り付けられてもよい。
【0058】
また、上述したように、支持体40には2以上の第2貫通孔45が形成されてもよく、第2貫通孔45は、平面視においてマスク本体30の有効領域22よりも大きくてもよい。また、支持体40の一つの第2貫通孔45は、マスク本体30の一つの有効領域22に対応してもよい。
【0059】
図3及び図6に示すように、第2貫通孔45は、例えば、平面視において四角形、さらに正確には平面視において長方形の輪郭45aを有してもよい。なお図示はしないが、各第2貫通孔45は、被蒸着基板(有機EL基板)92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有してもよい。すなわち、各第2貫通孔45は、有機EL表示装置100が表示する各アプリケーションの表示領域の形状に対応した形状の輪郭を有していても良く、有機EL表示装置100を例えば腕時計に使用する場合、各第2貫通孔45は、円の輪郭を有していてもよい。図3には、各第2貫通孔45が平面視において互いに同じ形状を有しているものが示されているが、これに限られず、各第2貫通孔45は、平面視において互いに異なる形状を有していてもよい。言い換えると、支持体40は、平面視において互いに異なる形状を有する2以上の第2貫通孔45を有していてもよい。
【0060】
この第2貫通孔45の周囲には、支持領域46が設けられてもよく、この支持領域46がマスク本体30の周囲領域23を支持するように構成されてもよい。これにより、支持体40が、マスク本体30の有効領域22を囲うようにマスク本体30を支持することができるため、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。なお、支持領域46は、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではなくてもよい。
【0061】
支持体40の厚みT1は、例えば、0.05mm以上であってもよく、0.1mm以上であってもよく、0.5mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。また、支持体40の厚みT1は、例えば、1.5mm以下であってもよく、2.0mm以下であってもよく、2.5mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、0.05mm、0.1mm、0.5mm及び1.0mmからなる第1グループ、及び/又は、1.5mm、2.0mm、2.5mm及び3mmからなる第2グループによって定められてもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.05mm以上3mm以下であってもよく、0.05mm以上2.5mm以下であってもよく、0.05mm以上2.0mm以下であってもよく、0.05mm以上1.5mm以下であってもよく、0.05mm以上1.0mm以下であってもよく、0.05mm以上0.5mm以下であってもよく、0.05mm以上0.1mm以下であってもよく、0.1mm以上3mm以下であってもよく、0.1mm以上2.5mm以下であってもよく、0.1mm以上2.0mm以下であってもよく、0.1mm以上1.5mm以下であってもよく、0.1mm以上1.0mm以下であってもよく、0.1mm以上0.5mm以下であってもよく、0.5mm以上3mm以下であってもよく、0.5mm以上2.5mm以下であってもよく、0.5mm以上2.0mm以下であってもよく、0.5mm以上1.5mm以下であってもよく、0.5mm以上1.0mm以下であってもよく、1.0mm以上3mm以下であってもよく、1.0mm以上2.5mm以下であってもよく、1.0mm以上2.0mm以下であってもよく、1.0mm以上1.5mm以下であってもよく、1.5mm以上3mm以下であってもよく、1.5mm以上2.5mm以下であってもよく、1.5mm以上2.0mm以下であってもよく、2.0mm以上3mm以下であってもよく、2.0mm以上2.5mm以下であってもよく、2.5mm以上3mm以下であってもよい。
【0062】
支持体40の厚みT1が0.05mm以上であると、蒸着マスク20の剛性を向上させることができる。これにより、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。また、支持体40の厚みT1が3mm以下であると、後述するように支持体40に接合されたマスク本体30から基材51を剥がす際に、基材51を剥がせなくなる不具合を抑制することができる。
【0063】
支持体40の剛性率Gは、例えば、50GPa以上であってもよく、52GPa以上であってもよく、54GPa以上であってもよく、56GPa以上であってもよい。また、支持体40の剛性率Gは、例えば、58GPa以下であってもよく、60GPa以下であってもよく、62GPa以下であってもよく、65GPa以下であってもよい。支持体40の剛性率Gの範囲は、50GPa、52GPa、54GPa及び56GPaからなる第1グループ、及び/又は、58GPa、60GPa、62GPa及び65GPaからなる第2グループによって定められてもよい。支持体40の剛性率Gの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。支持体40の剛性率Gの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。支持体40の剛性率Gの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、50GPa以上65GPa以下であってもよく、50GPa以上62GPa以下であってもよく、50GPa以上60GPa以下であってもよく、50GPa以上58GPa以下であってもよく、50GPa以上56GPa以下であってもよく、50GPa以上54GPa以下であってもよく、50GPa以上52GPa以下であってもよく、52GPa以上65GPa以下であってもよく、52GPa以上62GPa以下であってもよく、52GPa以上60GPa以下であってもよく、52GPa以上58GPa以下であってもよく、52GPa以上56GPa以下であってもよく、52GPa以上54GPa以下であってもよく、54GPa以上65GPa以下であってもよく、54GPa以上62GPa以下であってもよく、54GPa以上60GPa以下であってもよく、54GPa以上58GPa以下であってもよく、54GPa以上56GPa以下であってもよく、56GPa以上65GPa以下であってもよく、56GPa以上62GPa以下であってもよく、56GPa以上60GPa以下であってもよく、56GPa以上58GPa以下であってもよく、58GPa以上65GPa以下であってもよく、58GPa以上62GPa以下であってもよく、58GPa以上60GPa以下であってもよく、60GPa以上65GPa以下であってもよく、60GPa以上62GPa以下であってもよく、62GPa以上65GPa以下であってもよい。
【0064】
支持体40の剛性率が50GPa以上であると、蒸着マスク20の剛性を効果的に向上させることができる。これにより、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。また、支持体40の剛性率が65GPa以下であると、後述するように支持体40に接合されたマスク本体30から基材51を剥がす際に、基材51を剥がせなくなる不具合が生じることを抑制することができる。
【0065】
支持体40を構成する主要な材料としては、ニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。例えば、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を用いてもよい。また、これに限られず、支持体40を構成する主要な材料として、例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いてもよい。また、ニッケルやニッケル-コバルト合金など、鉄合金以外の金属または合金を用いてもよい。
【0066】
図7Aに示されているように、支持体40の1つの第2貫通孔45内に露出した2以上の第1貫通孔35は、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔39を含んでもよい。最外周第1貫通孔39は、平面視において第2貫通孔45の輪郭45aに最も近い第1貫通孔35である。言い換えると、1つの第2貫通孔45に重なる位置にある2以上の第1貫通孔35は、平面視において最外周第1貫通孔39よりも第2貫通孔45の輪郭45aの近くに位置する第1貫通孔35を含まない。
【0067】
図7Bは、図7AのVIIBが付された部分を拡大して示す図である。最外周第1貫通孔39は、平面視において最外周第1貫通孔39の中心である第1点P1を有してもよい。最外周第1貫通孔39の第1点P1は、平面視における最外周第1貫通孔39の中心は、最外周第1貫通孔39の重心として定義されてもよい。第2貫通孔45の輪郭45aは、最外周第1貫通孔39の第1点P1に最も近い第2点P2を含んでいてもよい。第2点P2は、輪郭45aのうち第1点P1から最短の距離を有する点であってもよい。言い換えると、第2点P2は、平面視において、第1点P1と輪郭45a上の任意の点とを結ぶ線分のうち最も短い長さを有する線分における輪郭45a上の点であってもよい。例えば、ある最外周第1貫通孔39の近くの輪郭45aが直線の形状を有して延びる場合、第2点P2は、最外周第1貫通孔39の第1点P1から輪郭45aへ延びる垂線と輪郭45aとの交点であってもよい。
【0068】
次に、図8を参照して、蒸着マスク20のマスク本体30及び支持体40の断面の形状について詳述する。図8は、図7BのVIII-VIII線に対応する断面において蒸着マスク20を示す図である。とりわけ図8は、平面視における最外周第1貫通孔39の第1点P1と第2貫通孔45の輪郭45aの第2点P2とを含みマスク本体30の法線方向Nと平行な平面である第1断面において、蒸着マスク20を示している。
【0069】
本実施形態のマスク本体30は金属層31を有してもよい。図8に示すように、金属層31は、所定のパターンで第1開口部30cが設けられた第1金属層32と、第1開口部30cに連通する第2開口部30dが設けられた第2金属層37とを含んでもよい。図示された例では、第1金属層32がマスク本体30の第1面30a側に配置され、第2金属層37がマスク本体30の第2面30b側に配置されてもよい。すなわち、蒸着工程においては、マスク本体30の第1金属層32が被蒸着基板92側に位置してもよい。
【0070】
本実施形態においては、第1開口部30cと第2開口部30dとが互いに連通することにより、マスク本体30を貫通する第1貫通孔35が構成されてもよい。この場合、マスク本体30の第1面30a側における第1貫通孔35の寸法や形状は、第1金属層32の第1開口部30cの形状によって画定されてもよい。一方、マスク本体30の第2面30b側における第1貫通孔35の寸法や形状は、第2金属層37の第2開口部30dの形状によって画定されてもよい。言い換えると、第1貫通孔35には、第1金属層32の第1開口部30cの形状によって画定される形状、および、第2金属層37の第2開口部30dの形状によって画定される形状の両方が付与されてもよい。
【0071】
図5に示すように、第1貫通孔35を構成する第1開口部30cや第2開口部30dの形状は、平面視において多角形であってもよい。ここでは第1開口部30cおよび第2開口部30dが、四角形、より具体的には正方形になっている例が示されている。また、図示はしないが、第1開口部30cや第2開口部30dの形状は、六角形や八角形など、その他の多角形になっていてもよい。なお、「多角形」、「四角形」、「正方形」、「六角形」及び「八角形」とは、「多角形」、「四角形」、「正方形」、「六角形」及び「八角形」の角が丸められている形状を含む概念である。また、図示はしないが、第1開口部30cや第2開口部30dの形状は、円であってもよい。また、平面視において第2開口部30dが第1開口部30cを囲う輪郭を有する限りにおいて、第1開口部30cの形状と第2開口部30dの形状が相似形になっている必要はない。
【0072】
図8において、符号41は、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部を表している。また符号S0は、第1金属層32と第2金属層37との接続部41における第1貫通孔35の寸法を表している。なお、図8においては、第1金属層32と第2金属層37とが接している例を示したが、これに限られることはなく、第1金属層32と第2金属層37との間にその他の層が介在されていてもよい。例えば、第1金属層32と第2金属層37との間に、第1金属層32上における第2金属層37の析出を促進させるための触媒層が設けられていてもよい。
【0073】
図8に示すように、第2面30bにおける第1貫通孔35(第2開口部30d)の開口寸法S2は、第1面30aにおける第1貫通孔35(第1開口部30c)の開口寸法S1よりも大きくてもよい。以下、このように第1金属層32および第2金属層37を構成することの利点について説明する。
【0074】
マスク本体30の第2面30b側からマスク本体30に向かって飛来する蒸着材料98は、第1貫通孔35の第2開口部30dおよび第1開口部30cを順に通って有機EL基板92に付着してもよい。有機EL基板92のうち蒸着材料98が付着する領域は、第1面30aにおける第1貫通孔35の開口寸法S1や開口形状によって主に定められてもよい。ところで、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けてマスク本体30の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、マスク本体30の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。ここで、仮に第2面30bにおける第1貫通孔35の開口寸法S2が第1面30aにおける第1貫通孔35の開口寸法S1と同一であるとすると、マスク本体30の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動する蒸着材料98の多くは、第1貫通孔35を通って有機EL基板92に到達するよりも前に、第1貫通孔35の第2開口部30dの壁面36に到達して付着してしまう。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、第2開口部30dの開口寸法S2を大きくすることが好ましいと言える。
【0075】
上述の開口寸法S0,S1,S2は、有機EL表示装置の画素密度や上述の角度θ1の所望値などを考慮して、適切に設定される。接続部41における第1貫通孔35の開口の寸法S0は、例えば、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、35μm以上であってもよい。また、寸法S0は、例えば、45μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、55μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。寸法S0の範囲は、20μm、25μm、30μm及び35μmからなる第1グループ、及び/又は、45μm、50μm、55μm及び60μmからなる第2グループによって定められてもよい。寸法S0の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。寸法S0の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S0の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、20μm以上60μm以下であってもよく、20μm以上55μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上45μm以下であってもよく、20μm以上35μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上60μm以下であってもよく、25μm以上55μm以下であってもよく、25μm以上50μm以下であってもよく、25μm以上45μm以下であってもよく、25μm以上35μm以下であってもよく、25μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上60μm以下であってもよく、30μm以上55μm以下であってもよく、30μm以上50μm以下であってもよく、30μm以上45μm以下であってもよく、30μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上60μm以下であってもよく、35μm以上55μm以下であってもよく、35μm以上50μm以下であってもよく、35μm以上45μm以下であってもよく、45μm以上60μm以下であってもよく、45μm以上55μm以下であってもよく、45μm以上50μm以下であってもよく、50μm以上60μm以下であってもよく、50μm以上55μm以下であってもよく、55μm以上60μm以下であってもよい。
【0076】
第1面30aにおける第1開口部30cの開口の寸法S1は、例えば、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。また、寸法S1は、例えば、35μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、45μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。寸法S1の範囲は、10μm、15μm、20μm及び25μmからなる第1グループ、及び/又は、35μm、40μm、45μm及び50μmからなる第2グループによって定められてもよい。寸法S1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。寸法S1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、10μm以上50μm以下であってもよく、10μm以上45μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上50μm以下であってもよく、15μm以上45μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上45μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上35μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上50μm以下であってもよく、25μm以上45μm以下であってもよく、25μm以上40μm以下であってもよく、25μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上50μm以下であってもよく、35μm以上45μm以下であってもよく、35μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよく、40μm以上45μm以下であってもよく、45μm以上50μm以下であってもよい。
【0077】
第2面30bにおける第2開口部30dの開口の寸法S2は、例えば、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、40μm以上であってもよい。また、寸法S2は、例えば、50μm以下であってもよく、60μm以下であってもよく、70μm以下であってもよく、80μm以下であってもよい。寸法S2の範囲は、15μm、20μm、30μm及び40μmからなる第1グループ、及び/又は、50μm、60μm、70μm及び80μmからなる第2グループによって定められてもよい。寸法S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。寸法S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、15μm以上80μm以下であってもよく、15μm以上70μm以下であってもよく、15μm以上60μm以下であってもよく、15μm以上50μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上80μm以下であってもよく、20μm以上70μm以下であってもよく、20μm以上60μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上80μm以下であってもよく、30μm以上70μm以下であってもよく、30μm以上60μm以下であってもよく、30μm以上50μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上80μm以下であってもよく、40μm以上70μm以下であってもよく、40μm以上60μm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよく、50μm以上80μm以下であってもよく、50μm以上70μm以下であってもよく、50μm以上60μm以下であってもよく、60μm以上80μm以下であってもよく、60μm以上70μm以下であってもよく、70μm以上80μm以下であってもよい。
【0078】
上述したマスク本体30の厚みT0は、例えば、2μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。また、厚みT0は、例えば、20μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。厚みT0の範囲は、2μm、5μm、10μm及び15μmからなる第1グループ、及び/又は、20μm、30μm、40μm及び50μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT0の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT0の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT0の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、2μm以上50μm以下であってもよく、2μm以上40μm以下であってもよく、2μm以上30μm以下であってもよく、2μm以上20μm以下であってもよく、2μm以上15μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよく、5μm以上50μm以下であってもよく、5μm以上40μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよく、5μm以上20μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上50μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上50μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上50μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよい。
【0079】
図8に示された第1断面において、最外周第1貫通孔39は、第2点P2に最も近い第1壁39aを有してもよい。図示された例では、第1壁39aは、第1金属層32における最外周第1貫通孔39を形成する壁のうち第2点P2に近い側の壁、及び、第2金属層37における最外周第1貫通孔39を形成する壁のうち第2点P2に近い側の壁を含んでもよい。
【0080】
図8に示された第1断面において、最外周第1貫通孔39は、第1壁39aとマスク本体30の第1面30aとを接続する第1面側接続部39a1を有してもよい。第1壁39aと第1面30aとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第1面側接続部39a1としてもよい。その一方、第1壁39aと第1面30aとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第1壁39aにおける、マスク本体30の厚み方向(法線方向)に沿って第1面30aからマスク本体30の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第1面側接続部39a1としてもよい。
【0081】
また、図8に示された第1断面において、最外周第1貫通孔39は、第1壁39aとマスク本体30の第2面30bとを接続する第2面側接続部39a2を有してもよい。第1壁39aと第2面30bとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第2面側接続部39a2としてもよい。その一方、第1壁39aと第2面30bとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第1壁39aにおける、マスク本体30の厚み方向(法線方向)に沿って第2面30bからマスク本体30の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第2面側接続部39a2としてもよい。
【0082】
ここで、図8に示された第1断面において、第2面側接続部39a2と第1壁39a上の任意の点とを通る直線のうちマスク本体30の法線方向Nに対する角度が最も大きい直線L1を考える。直線L1と法線方向Nとのなす角度をθ1とする。
【0083】
法線方向Nに対して角度θ1以下の角度を有してマスク本体30の第2面30b側から最外周第1貫通孔39内に向かう蒸着材料98は、その進路がマスク本体30で遮られることなく最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に付着することができる。その一方、法線方向Nに対して角度θ1よりも大きい角度を有してマスク本体30の第2面30b側から最外周第1貫通孔39内に向かう蒸着材料98は、その進路がマスク本体30で遮られ、最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に適切に付着しないことがある。とりわけ法線方向Nに対して角度θ1よりも大きい角度を有してマスク本体30の第2面30b側から、最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92のうち第1壁39aに近い箇所に向かう蒸着材料98は、その進路がマスク本体30における第2面側接続部39a2の近い部分に遮られて、被蒸着基板92に適切に付着しないことがある。
【0084】
したがって、直線L1は、法線方向Nに対して最も大きな角度を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に適切に付着し得る蒸着材料98の進行方向と一致する。法線方向Nに対して傾斜した方向に移動する蒸着材料98を、その進路がマスク本体30で遮られることなく、可能な限り被蒸着基板92に適切に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。例えば角度θ1を45°以上にすることが好ましい。
【0085】
支持体40は、直線L1に対して、支持体40の平面方向において、第1断面における第2貫通孔45の中心側である第1側の反対側である第2側に位置してもよい。好ましくは、支持体40は直線L1よりも第2側にのみ位置してもよい。この場合、法線方向Nに対して最も大きな角度θ1を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に向かう蒸着材料98の進路が支持体40により妨げられ蒸着材料98が被蒸着基板92に適切に付着しなくなること、すなわちシャドーが発生すること、を抑制することができる。
【0086】
本実施形態の蒸着マスク20では、支持体40は直線L1を超えて位置しなくてもよい。言い換えると、支持体40は直線L1を超える部分を有しなくてもよい。さらに言い換えると、支持体40は直線L1と接触する部分を有しなくてもよい。この場合、法線方向Nに対して最も大きな角度θ1を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に向かう蒸着材料98の進路が支持体40により妨げられ蒸着材料98が被蒸着基板92に適切に付着しなくなること、すなわちシャドーが発生すること、を抑制することができる。
【0087】
上述のように、蒸着工程では、蒸着材料98は、被蒸着基板92に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。蒸着装置90において、蒸着材料98の進行方向と蒸着マスク20の法線方向Nとの間のなす角度が所定の範囲内に制御されている場合、角度θ1は、蒸着材料98の進行方向と蒸着マスク20の法線方向Nとがなす最大角度と同一の角度又は最大角度よりも大きな角度に設定されることが好ましい。
【0088】
図8に示された第1断面において、支持体40の第2貫通孔45は、最外周第1貫通孔39に最も近い第2壁49aを有してもよい。図示された例では、第2壁49aは頂点49bを有してもよい。第2壁49aは、頂点49bから支持体40の第1面40aに向かうにつれて、支持体40の平面方向(図8では左右方向)に最外周第1貫通孔39から離れるように、支持体40の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。また、第2壁49aは、頂点49bから支持体40の第2面40bに向かうにつれて、支持体40の平面方向に最外周第1貫通孔39から離れるように、支持体40の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。これにより、図示された例では、頂点49bが、平面視において第2貫通孔45の輪郭45aを形成してもよい。
【0089】
図8に示された第1断面において、第2貫通孔45は、第1断面において、最外周第1貫通孔39に最も近い第2壁49aと支持体40の第1面40aとを接続する第1面側接続部49a1を有してもよい。第2壁49aと第1面40aとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第1面側接続部49a1としてもよい。その一方、第2壁49aと第1面40aとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第2壁49aにおける、支持体40の厚み方向(法線方向)に沿って第1面40aから支持体40の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第1面側接続部49a1としてもよい。
【0090】
また、図8に示された第1断面において、第2貫通孔45は、第2壁49aと支持体40の第2面40bとを接続する第2面側接続部49a2を有してもよい。第2壁49aと第2面40bとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第2面側接続部49a2としてもよい。その一方、第2壁49aと第2面40bとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第2壁49aにおける、支持体40の厚み方向(法線方向)に沿って第2面40bから支持体40の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第2面側接続部49a2としてもよい。
【0091】
ここで、図8に示された第1断面において、第2面側接続部49a2と第2壁49a上の任意の点とを通る直線のうち支持体40の法線方向Nに対する角度が最も大きい直線L3を考える。直線L3と法線方向Nとのなす角度をθ3とする。角度θ3は、20度以上60度以下であることが好ましい。角度θ3が20度以上であると、第2貫通孔45の第2面40b側の開口面積を大きくすることができ、これによりシャドーの発生をより効果的に抑制することができる。また、角度θ3が60度以下であると、最外周第1貫通孔39に近い部分において支持体40の厚みを十分に確保することができ、これにより支持体40でマスク本体30を適切に支持し、マスク本体30と被蒸着基板92との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0092】
図示された例では、第2面側接続部49a2は、第1面側接続部49a1よりも第2側に位置してもよい。言い換えると、第2面側接続部49a2は、第1面側接続部49a1よりも、支持体40の平面方向における、最外周第1貫通孔39から離れる側に位置してもよい。これにより、第2貫通孔45の第2面40b側の開口面積を大きくしながら、最外周第1貫通孔39に近い部分において支持体40の厚みを十分に確保することができる。したがって、シャドーの発生を抑制しながら、支持体40でマスク本体30を適切に支持し、マスク本体30と被蒸着基板92との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0093】
また、図示された例では、支持体40の頂点49bは、法線方向Nにおける支持体40の厚み方向の中心よりも第1面40a側(マスク本体30側)に位置してもよい。言い換えると、支持体40の法線方向Nに沿った第2点P2と支持体40の第1面40aとの間の距離D1は、支持体40の法線方向Nに沿った第2点P2と支持体40の第2面40bとの間の距離D2よりも小さくてもよい。これによっても、第2貫通孔45の第2面40b側の開口面積を大きくしながら、最外周第1貫通孔39に近い部分において支持体40の厚みを十分に確保することができる。したがって、シャドーの発生を抑制しながら、支持体40でマスク本体30を適切に支持し、マスク本体30と被蒸着基板92との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0094】
さらに、図8に示された第1断面において、直線L1と直線L3とは、法線方向Nにおける支持体40の厚みの範囲内で交差しなくてもよい。すなわち、直線L1と直線L3との交点は法線方向Nにおける支持体40の厚みの範囲外にあるか、直線L1と直線L3とは互いに平行をなしてもよい。言い換えると、直線L1と直線L3とは、支持体40の第1面40aと第2面40bとの間で交差しなくてもよい。これによっても、第2貫通孔45の第2面40b側の開口面積を大きくしながら、最外周第1貫通孔39に近い部分において支持体40の厚みを十分に確保することができる。したがって、シャドーの発生を抑制しながら、支持体40でマスク本体30を適切に支持し、マスク本体30と被蒸着基板92との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0095】
次に、蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。まず、蒸着マスク装置10の蒸着マスク20を製造する方法について説明する。
【0096】
まず、基材51に接合され、2以上の第1貫通孔35が形成された金属層31を有するマスク本体30を準備してもよい。この際、まず、基材51を準備してもよい。絶縁性及び適切な強度を有する限りにおいて、基材51を構成する材料や基材51の厚みが特に限られることはない。後述するように、マスク本体30と支持体40とが、基材51を介したレーザー光の照射により溶接固定される場合には、基材51を構成する材料として、高い光透過性を有するガラス材料が好適に使用されてもよい。また、マスク本体30と支持体40とが、接着剤を用いて互いに固定される場合には、基材51を構成する材料として、ガラス、合成樹脂、金属などを用いることができる。この場合、基材51は、光透過性を有していなくてもよい。ここでは、基材51として高い光透過性を有するガラス材料を使用する例について説明する。
【0097】
図9Aに示すように、基材51上に導電性材料からなる導電層52aを形成してもよい。導電層52aは、パターニングされることによって後述の導電性パターン52となる層であってもよい。導電層52aを構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の導電性を有する材料が用いられてもよい。金属材料の例としては、例えばクロムや銅などを挙げることができる。好ましくは、後述する第1レジストパターン53に対する高い密着性を有する材料が、導電層52aを構成する材料として用いられてもよい。例えば第1レジストパターン53が、アクリル系光硬化性樹脂を含むレジスト膜など、いわゆるドライフィルムと称されるものをパターニングすることによって作製される場合、導電層52aを構成する材料として、銅を用いてもよい。
【0098】
導電層52aは、例えばスパッタリングや無電解めっき等により形成されてもよい。導電層52aを厚く形成しようとすると、導電層52aの形成に長時間を要する。一方、導電層52aの厚みは、薄すぎると抵抗値が大きくなり、電解めっき処理により第1金属層32が形成されにくくなる。
【0099】
導電層52aの厚みは、例えば、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよく、150nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。また、導電層52aの厚みは、例えば、300nm以下であってもよく、400nm以下であってもよく、450nm以下であってもよく、500nm以下であってもよい。導電層52aの厚みの範囲は、50nm、100nm、150nm及び200nmからなる第1グループ、及び/又は、300nm、400nm、450nm及び500nmからなる第2グループによって定められてもよい。導電層52aの厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。導電層52aの厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。導電層52aの厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、50nm以上500nm以下であってもよく、50nm以上450nm以下であってもよく、50nm以上400nm以下であってもよく、50nm以上300nm以下であってもよく、50nm以上200nm以下であってもよく、50nm以上150nm以下であってもよく、50nm以上100nm以下であってもよく、100nm以上500nm以下であってもよく、100nm以上450nm以下であってもよく、100nm以上400nm以下であってもよく、100nm以上300nm以下であってもよく、100nm以上200nm以下であってもよく、100nm以上150nm以下であってもよく、150nm以上500nm以下であってもよく、150nm以上450nm以下であってもよく、150nm以上400nm以下であってもよく、150nm以上300nm以下であってもよく、150nm以上200nm以下であってもよく、200nm以上500nm以下であってもよく、200nm以上450nm以下であってもよく、200nm以上400nm以下であってもよく、200nm以上300nm以下であってもよく、300nm以上500nm以下であってもよく、300nm以上450nm以下であってもよく、300nm以上400nm以下であってもよく、400nm以上500nm以下であってもよく、400nm以上450nm以下であってもよく、450nm以上500nm以下であってもよい。
【0100】
次に、図9Bに示すように、導電層52a上に、所定のパターンを有する第1レジストパターン53を形成してもよい。第1レジストパターン53を形成する方法としては、後述する第2レジストパターン55の場合と同様に、フォトリソグラフィー法などが採用され得る。第1レジストパターン53用の材料に所定のパターンで光を照射する方法としては、所定のパターンで露光光を透過させる露光マスクを用いる方法や、所定のパターンで露光光を第1レジストパターン53用の材料に対して相対的に走査する方法などが採用され得る。その後、図9Cに示すように、導電層52aのうち第1レジストパターン53によって覆われていない部分を、エッチングによって除去してもよい。次に図9Dに示すように、第1レジストパターン53を除去してもよい。これによって、第1金属層32に対応するパターンを有する導電性パターン52が形成されたパターン基板50を得ることができる。
【0101】
次に、予め所定の導電性パターン52が形成された基材51(パターン基板50)を利用して、導電性パターン52上に金属層31を析出させてもよい。
【0102】
まず、パターン基板50を利用して上述の第1金属層32を形成する工程について説明する。ここでは、絶縁性を有する基材51上に所定のパターンで第1開口部30cが設けられた第1金属層32を形成してもよい。具体的には、導電性パターン52が形成された基材51上に第1めっき液を供給して、導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる第1めっき処理工程を実施してもよい。例えば、導電性パターン52が形成された基材51を、第1めっき液が充填されためっき槽に浸してもよい。これによって、図10Aに示すように、基材51上に、所定のパターンで第1開口部30cが設けられた第1金属層32を得ることができる。なお、第1金属層32の厚みは、例えば5μm以下とすることができる。また、基材51上に第1金属層32を形成するとは、基材51上に直接第1金属層32を形成することに限られず、基材51上に導電性パターン52等の他の層を介して第1金属層32を形成することをも含む。
【0103】
なお、めっき処理の特性上、図10Aに示すように、第1金属層32は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重なる部分だけでなく、導電性パターン52と重ならない部分にも形成され得る。これは、導電性パターン52の端部54と接する部分に析出した第1金属層32の表面にさらに第1金属層32が析出するためであると推測される。この結果、図10Aに示すように、第1開口部30cの端部33は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重ならない部分に位置するようになり得る。
【0104】
導電性パターン52上に第1金属層32を析出させることができる限りにおいて、第1めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1めっき処理工程は、導電性パターン52に電流を流すことによって導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第1めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお、第1めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、導電性パターン52上には適切な触媒層が設けられていてもよい。若しくは、導電性パターン52が、触媒層として機能するよう構成されていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、導電性パターン52上に触媒層が設けられていてもよい。
【0105】
用いられる第1めっき液の成分は、第1金属層32に求められる特性に応じて適宜定められてもよい。例えば、第1めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いてもよい。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いてもよい。めっき液には、様々な添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、ホウ酸などのpH緩衝剤、サッカリンナトリウムなどの一次光沢剤、ブチンジオール、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などの二次光沢剤や、酸化防止剤などが用いられ得る。
【0106】
次に、第1開口部30cに連通する第2開口部30dが設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成する工程を実施してもよい。この際、まず、基材51上及び第1金属層32上に、所定の隙間56を空けて第2レジストパターン55を形成してもよい。図10Bは、基材51上に形成された第2レジストパターン55を示す断面図である。図10Bに示すように、レジスト形成工程は、第1金属層32の第1開口部30cが第2レジストパターン55によって覆われるとともに、第2レジストパターン55の隙間56が第1金属層32上に位置するように実施されてもよい。
【0107】
以下、レジスト形成工程の一例について説明する。はじめに、基材51上及び第1金属層32上にドライフィルムを貼り付けることによって、ネガ型のレジスト膜を形成してもよい。ドライフィルムの例としては、例えば日立化成製のRY3310など、アクリル系光硬化性樹脂を含むものを挙げることができる。また、第2レジストパターン55用の材料を基材51上に塗布し、その後に必要に応じて焼成を実施することにより、レジスト膜を形成してもよい。次に、レジスト膜のうち隙間56となるべき領域に光を透過させないようにした露光マスクを準備し、露光マスクをレジスト膜上に配置してもよい。その後、真空密着によって露光マスクをレジスト膜に十分に密着させてもよい。なおレジスト膜として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられてもよい。
【0108】
その後、レジスト膜を露光マスク越しに露光してもよい。さらに、露光されたレジスト膜に像を形成するためにレジスト膜を現像してもよい。なお、第2レジストパターン55を基材51及び第1金属層32に対してより強固に密着させるため、現像工程の後に第2レジストパターン55を加熱する熱処理工程を実施してもよい。
【0109】
次に、第2金属層37を第1金属層32上に形成してもよい。この際、第1開口部30cに連通する第2開口部30dが設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成してもよい。具体的には、第2レジストパターン55の隙間56に第2めっき液を供給して、第1金属層32上に第2金属層37を析出させてもよい。例えば、第1金属層32が形成された基材51を、第2めっき液が充填されためっき槽に浸してもよい。これによって、図10Cに示すように、第1金属層32上に、第2金属層37を得ることができる。なお、第2金属層37の厚みは、有効領域22における蒸着マスク20の金属層31の厚みT0(図8参照)が例えば2μm以上50μm以下になるように設定されてもよい。
【0110】
第1金属層32上に第2金属層37を析出させることができる限りにおいて、第2めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることとはない。例えば、第2めっき処理工程は、第1金属層32に電流を流すことによって第1金属層32上に第2金属層37を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第2めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお、第2めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、第1金属層32上には適切な触媒層が設けられていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、第1金属層32上に触媒層が設けられていてもよい。
【0111】
第2めっき液としては、上述の第1めっき液と同一のめっき液が用いられてもよい。若しくは、第1めっき液とは異なるめっき液が第2めっき液として用いられてもよい。第1めっき液の組成と第2めっき液の組成とが同一である場合、第1金属層32を構成する金属の組成と、第2金属層37を構成する金属の組成も同一になる。
【0112】
なお、図10Cにおいては、第2レジストパターン55の上面と第2金属層37の上面とが一致するようになるまで第2めっき処理工程が継続される例を示したが、これに限られることはない。第2金属層37の上面が第2レジストパターン55の上面よりも下方に位置する状態で、第2めっき処理工程が停止されてもよい。
【0113】
その後、第2レジストパターン55を除去する除去工程を実施してもよい。除去工程は、パターン基板50、第1金属層32、第2金属層37及び第2レジストパターン55の積層体を、例えばアルカリ系の剥離液に浸漬することにより行われてもよい。これにより、図10Dに示されているように、第2レジストパターン55を、パターン基板50、第1金属層32及び第2金属層37から剥離させてもよい。このようにして、基材51に接合されたマスク本体30が得られる。また、この際、第1金属層32上に、所定のパターンで第2開口部30dが設けられた第2金属層37を得ることができる。さらに、第1開口部30cと第2開口部30dとが互いに連通することにより、マスク本体30を貫通する第1貫通孔35が形成されてもよい。このようにして、導電性パターン52上に金属層31を析出させることにより、2以上の第1貫通孔35が形成されてもよい。
【0114】
また、基材51に接合された蒸着マスク20を準備する工程と並行して、第2貫通孔45が形成された支持体40を準備してもよい。この際、まず、金属板64の第1面64a上および第2面64b上に感光性レジスト材料を含むレジスト膜を形成してもよい。続いて、レジスト膜を露光及び現像してもよい。これにより、図11Aに示すように、金属板64の第1面64a上に第1面側レジストパターン65aを形成し、金属板64の第2面64b上に第2面側レジストパターン65bを形成することができる。
【0115】
次に、図11Bに示すように、金属板64の第1面64aのうち第1面側レジストパターン65aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする第1面エッチング工程を実施してもよい。これによって、金属板64の第1面64aに多数の第1窪み401が形成されてもよい。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものを用いてもよい。
【0116】
その後、図11Cに示すように、エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、形成された第1窪み401が被覆されてもよい。すなわち、樹脂69によって第1窪み401が封止されてもよい。例えば、加熱されて軟化した状態の熱可塑性樹脂を第1面側レジストパターン65a上に供給して、この熱可塑性樹脂を第1面側レジストパターン65aに形成された孔を介して第1窪み401内に埋め込むことにより、樹脂69で第1窪み401を封止してもよい。また、熱可塑性樹脂で形成されたドライフィルムを第1面側レジストパターン65a上に積層した後にこのドライフィルムを加熱し、軟化した熱可塑性樹脂を、第1面側レジストパターン65aに形成された孔を介して第1窪み401内に埋め込むことにより、樹脂69で第1窪み401を封止してもよい。また、樹脂69で第1窪み401を封止する工程は、例えば真空中等の減圧下で行ってもよい。減圧下において第1窪み401を樹脂69で封止するようにすると、第1窪み401内に気泡が残留することを抑制することができる。なお、樹脂69の膜は、第1窪み401だけでなく、第1面側レジストパターン65aも覆うように形成されてもよい。
【0117】
次に、図11Dに示すように、金属板64の第2面64bのうち第2面側レジストパターン65bによって覆われていない領域をエッチングし、第2面64bに第2窪み402を形成する第2面エッチング工程を実施してもよい。第2面エッチング工程は、第1窪み401と第2窪み402とが互いに通じ合い、これによって第2貫通孔45が形成されるようになるまで実施されてもよい。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものを用いてもよい。
【0118】
その後、金属板64から樹脂69を除去してもよい。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去されてもよい。樹脂69と同時にレジストパターン65a,65bが除去されるようにしてもよい。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂69とは別途にレジストパターン65a,65bを除去してもよい。これにより、図11Eに示すように、第2貫通孔45が形成された支持体40を得ることができる。
【0119】
このような支持体40の厚みT1(図8参照)は、例えば0.05mm以上3mm以下であってもよい。支持体40の厚みT1が、0.05mm以上であることにより、蒸着マスク20の剛性を向上させることができる。これにより、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。また、支持体40の厚みT1が3mm以下であることにより、後述するように支持体40に接合されたマスク本体30から基材51を剥がす際に、基材51を剥がせなくなる不具合が生じることを抑制することができる。
【0120】
また、支持体40の剛性率Gは、50GPa以上65GPa以下であってもよい。支持体40の剛性率が50GPa以上であると、蒸着マスク20の剛性を効果的に向上させることができる。これにより、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。また、支持体40の剛性率が65GPa以下であると、支持体40に接合されたマスク本体30から基材51を剥がす際に、基材51を剥がせなくなる不具合が生じることを抑制することができる。このような支持体40を構成する材料としては、例えば、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を用いてもよい。
【0121】
次に、マスク本体30と支持体40とを接合する接合工程を実施してもよい。この接合工程では、平面視で支持体40の第2貫通孔45がマスク本体30の第1貫通孔35に重なるように、支持体40とマスク本体30とを接合してもよい。この際、まず、マスク本体30が支持体40上に配置されてもよい。次に、図12Aに示すように、マスク本体30に対して、基材51側から、基材51を介してレーザー光Laを照射して、第2金属層37の一部及び支持体40の一部をレーザー光Laの照射により生じた熱で融解させて、マスク本体30と支持体40とを溶接により互いに接合してもよい。レーザー光Laとしては、例えば、YAGレーザー装置によって生成されるYAGレーザー光を用いてもよい。YAGレーザー装置としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)にNd(ネオジム)を添加した結晶を発振用媒質として備えたものを用いてもよい。
【0122】
これにより、図12Bに示すように、マスク本体30と支持体40とを接合する第1接合部19aが形成され、基材51に接合されたマスク本体30と、マスク本体30に接合された支持体40とを有する第1中間部材70aが得られる。なお、これに限られず、マスク本体30と支持体40とは、例えば接着剤等の他の固定手段により互いに接合されても良く、あるいは、マスク本体30と支持体40とは、めっき処理によって互いに接合されても良い。
【0123】
次に、第1中間部材70aのマスク本体30から基材51を剥がす、引き剥がし工程を実施してもよい。これによって、図12Cに示すように、2以上の第1貫通孔35が形成された金属層31を有するマスク本体30と、マスク本体30に接合され、平面視で2以上の第1貫通孔35に重なる第2貫通孔45が形成された支持体40とを備えた蒸着マスク20を得ることができる。
【0124】
この際、上述したように支持体40の厚みT1は、3mm以下であってもよい。これにより、第1中間部材70aのマスク本体30から基材51を剥がす際に、基材51を剥がせなくなる不具合を抑制することができる。すなわち、マスク本体30から基材51を剥がす際には、マスク本体30にシワや塑性変形が生じないようにマスク本体30を弾性変形させながら基材51を剥がしてもよい。一方、支持体40の厚みT1が大きすぎる場合、第1中間部材70aの剛性が大きくなりすぎることにより、マスク本体30を弾性変形させることが困難になる可能性がある。これに対して支持体40の厚みT1を3mm以下とすることより、第1中間部材70aの剛性が大きくなりすぎることを抑制することができ、マスク本体30を適切に弾性変形させることができる。このため、第1中間部材70aのマスク本体30から基材51を剥がす際に、基材51を剥がせなくなる不具合を抑制することができる。
【0125】
次に、蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
【0126】
まず、例えば図9A図12Cを参照して上述した方法により、蒸着マスク20を作製してもよい。
【0127】
次に、蒸着マスク20を、フレーム15に接合してもよい。この場合、平面視でフレーム15の開口部15aが支持体40の第2貫通孔45に重なるように、フレーム15と支持体40とを接合してもよい。この際、支持体40とフレーム15とが接触するように、蒸着マスク20がフレーム15上に配置されてもよい。次に、図13に示すように、支持体40に対して、レーザー光Laを照射して、支持体40の一部及びフレーム15の一部をレーザー光Laの照射により生じた熱で融解させて、支持体40とフレーム15とを溶接により互いに接合してもよい。この際、蒸着マスク20に撓みが発生することを抑制するとともに、マスク本体30の有効領域22の位置調整を行うために、蒸着マスク20をその面方向に引っ張った状態で、支持体40とフレーム15とが互いに接合されても良い。
【0128】
これにより、支持体40とフレーム15とを接合する第2接合部19bが形成され、図4に示されるような、蒸着マスク20と、蒸着マスク20の支持体40に接合されたフレーム15と、を備えた蒸着マスク装置10が得られる。なお、これに限られず、支持体40とフレーム15とは、例えば接着剤等の他の固定手段により互いに接合されても良い。
【0129】
次に、本実施形態に係る蒸着マスク20を用いて被蒸着基板92上に蒸着材料98を蒸着させる蒸着方法について説明する。まず、蒸着マスク20を準備してもよい。次に、蒸着マスク20が被蒸着基板92に対向するよう蒸着マスク20を配置してもよい。図1及び図2に示された例では、蒸着マスク20はフレーム15に固定され、蒸着マスク装置10として配置されてもよい。このとき磁石93を用いて蒸着マスク20を被蒸着基板92に密着させてもよい。この状態で、被蒸着基板92、蒸着マスク20、フレーム15及び磁石93を蒸着装置90内に搬入してもよい。その後、図示しない排気手段により蒸着装置90内の雰囲気(空気)を排気し、蒸着装置90内を減圧してもよい。次に、蒸着材料98を蒸発させて蒸着マスク20を介して被蒸着基板92へ飛来させることにより、蒸着マスク20の貫通孔25に対応したパターンで蒸着材料98を被蒸着基板92に付着させてもよい(蒸着工程)。蒸着工程の終了後、蒸着装置90内に雰囲気を導入し、蒸着装置90内を常圧に戻してもよい。最後に、蒸着材料98が付着した被蒸着基板92、蒸着マスク20、フレーム15及び磁石93を蒸着装置90から搬出し、被蒸着基板92から蒸着マスク20を剥離して、蒸着マスク20、フレーム15及び磁石93を取り外してもよい。
【0130】
本実施形態の蒸着マスク20は、2以上の第1貫通孔35を有するマスク本体30と、マスク本体30上にあり、かつ、平面視において第1貫通孔35と重なる位置にある第2貫通孔45を有する支持体40と、を備えた蒸着マスク20であって、マスク本体30は、支持体40側と反対側にある第1面30aと、支持体40側にある第2面30bとを有し、平面視において第2貫通孔45と重なる位置にある2以上の第1貫通孔35のうち、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔39は、平面視において最外周第1貫通孔39の中心である第1点P1を含み、第2貫通孔45は、第2貫通孔45の輪郭のうち第1点P1に最も近い第2点P2を含み、最外周第1貫通孔39は、第1点P1と第2点P2とを含み、かつ、マスク本体30の法線方向Nと平行な平面である第1断面において、第2点P2側の壁である第1壁39aを有し、最外周第1貫通孔39は、第1断面において、第1壁39aと第2面30bとを接続する第2面側接続部39a2を有し、支持体40は、第1断面において、第2面側接続部39a2と第1壁39a上の任意の点とを通る直線のうちマスク本体30の法線方向Nに対する角度が最も大きい直線L1に対して、支持体40の平面方向において、第1断面における第2貫通孔45の中心側である第1側の反対側である第2側に位置する。
【0131】
このような蒸着マスク20によれば、法線方向Nに対して最も大きな角度θ1を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に向かう蒸着材料98の進路が支持体40により妨げられ蒸着材料98が被蒸着基板92に適切に付着しなくなること、すなわちシャドーが発生すること、を効果的に抑制することができる。
【0132】
本実施形態の蒸着マスク20では、支持体40は、マスク本体30側にある第1面40aと、マスク本体30側と反対側にある第2面40bとを有し、第2貫通孔45は、第1断面において、最外周第1貫通孔39に最も近い第2壁49aを有し、第2貫通孔45は、第1断面において、第2壁49aと支持体40の第2面40bとを接続する第2面側接続部49a2を有し、第1断面において、第2貫通孔45の第2面側接続部49a2と第2壁49a上の任意の点とを通る直線の支持体40の法線方向Nに対する最大の角度θ3は、20度以上60度以下である。
【0133】
このような蒸着マスク20によれば、角度θ3が20度以上であることにより、第2貫通孔45の第2面40b側の開口面積を大きくすることができ、これによりシャドーの発生をより効果的に抑制することができる。また、角度θ3が60度以下であることにより、最外周第1貫通孔39に近い部分において支持体40の厚みを十分に確保することができ、これにより支持体40でマスク本体30を適切に支持し、マスク本体30と被蒸着基板92との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0134】
本実施形態の蒸着マスク20では、支持体40は、0.05mm以上3mm以下の厚みT1を有する。
【0135】
このような蒸着マスク20によれば、支持体40が0.05mm以上の厚みT1を有することにより、蒸着マスク20の剛性を向上させることができる。これにより、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。また、支持体40が3mm以下の厚みT1を有することにより、後述するように支持体40に接合されたマスク本体30から基材51を剥がす際に、基材51を剥がせなくなる不具合を抑制することができる。
【0136】
本実施形態の蒸着マスク20では、マスク本体30が金属を含む。
【0137】
このような蒸着マスク20によれば、マスク本体30の強度を向上させることができる。これにより、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。
【0138】
本実施形態の蒸着マスク20では、支持体40が金属を含む。
【0139】
このような蒸着マスク20によれば、支持体40の強度を向上させることができる。これにより、蒸着工程において支持体40でマスク本体30を適切に支持することができる。
【0140】
本実施形態の蒸着マスク20では、マスク本体30及び支持体40が金属を含む。
【0141】
このような蒸着マスク20によれば、マスク本体30及び支持体40の強度を向上させることができる。すなわち、蒸着マスク20全体の強度を向上させることができる。これにより、蒸着工程において支持体40でマスク本体30を適切に支持することができ、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。
【0142】
本実施形態の蒸着マスク20では、支持体40の法線方向Nに沿った第2点P2と支持体40の第1面40aとの間の距離は、支持体40の法線方向Nに沿った第2点P2と支持体40の第2面40bとの間の距離よりも小さい。
【0143】
また、本実施形態の蒸着マスク20では、第2貫通孔45の第2面側接続部49a2は、第2貫通孔45の第1面側接続部49a1に対して、支持体40の平面方向において第2側に位置する。
【0144】
このような蒸着マスク20によれば、第2貫通孔45の第2面40b側の開口面積を大きくしながら、最外周第1貫通孔39に近い部分において支持体40の厚みを十分に確保することができる。したがって、シャドーの発生を抑制しながら、支持体40でマスク本体30を適切に支持し、マスク本体30と被蒸着基板92との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0145】
なお、上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略することがある。また、上述した実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0146】
図14は、図8に対応する図であって、蒸着マスク20の一変形例を示す断面図である。本変形例に係るマスク本体30は、所定のパターンで2以上の第1貫通孔35が形成された1つの金属層31によって構成されてもよい。なお本変形例においては、マスク本体30の第1面30aから第2面30bに至る第1貫通孔35のうち第1面30a側に位置する部分が第1開口部30cであってもよく、第1貫通孔35のうち第2面30b側に位置する部分が第2開口部30dであってもよい。
【0147】
本変形例に係るマスク本体30の製造方法について説明する。
【0148】
図15A図15Cは、本変形例に係るマスク本体30の製造方法の一例を示す図である。
【0149】
まず、図15Aに示されるように、所定の導電性パターン52が形成された基材51(パターン基板50)を準備してもよい。パターン基板50は、図9A図9Dを参照して上述した方法と同様の方法により作製されてもよい。
【0150】
次に図15Bに示すように、パターン基板50上に所定の隙間56を空けて第2レジストパターン55を形成する、レジスト形成工程を実施してもよい。好ましくは、第2レジストパターン55の隙間56を画成する第2レジストパターン55の側面57の間の間隔は、基材51から遠ざかるにつれて狭くなってもよい。すなわち、第2レジストパターン55が、基材51から遠ざかるにつれて第2レジストパターン55の幅が広くなる形状、いわゆる逆テーパ形状を有してもよい。
【0151】
このような第2レジストパターン55を形成する方法の一例について説明する。例えば、はじめに、パターン基板50の導電性パターン52が形成された側の面上に、光硬化性樹脂を含むレジスト膜を設けてもよい。次に、基材51のうちレジスト膜が設けられている側とは反対の側から基材51に入射させた露光光をレジスト膜に照射して、レジスト膜を露光してもよい。その後、レジスト膜を現像してもよい。この場合、露光光の回り込み(回折)に基づいて、図15Bに示すような逆テーパ形状を有する第2レジストパターン55を得ることができる。
【0152】
次に図15Cに示すように、第2レジストパターン55の隙間56にめっき液を供給して、導電性パターン52上に金属層31を析出させるめっき処理工程を実施してもよい。次に図15Dに示すように、除去工程を実施して第2レジストパターン55を除去してもよい。その後、分離工程を実施することにより、所定のパターンで第1貫通孔35が設けられた金属層31を備えたマスク本体30を得ることができる。
【0153】
図16は、本開示による第2実施形態を説明するための図である。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、第1実施形態と同様に構成され得る部分について、第1実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略することがある。また、第1実施形態において得られる作用効果が本実施形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0154】
図16は、図8に対応する図であって、第2実施形態に係る蒸着マスク20を示す断面図である。本実施形態のマスク本体30は、所定のパターンで2以上の第1貫通孔35が形成された1つの層によって構成されてもよい。マスク本体30は、第1開口部30cと、第1開口部30cに連通する第2開口部30dを有してもよい。図示された例では、第1開口部30cがマスク本体30の第1面30a側に配置され、第2開口部30dがマスク本体30の第2面30b側に配置されてもよい。そして、第1開口部30cと第2開口部30dとが互いに連通することにより、マスク本体30を貫通する第1貫通孔35が構成されてもよい。
【0155】
図示された例では、最外周第1貫通孔39の第1壁39aのうち第1開口部30cを画定する部分は、マスク本体30の第1面30aから離れるにつれて、すなわち第1面側接続部39a1から離れるにつれて、マスク本体30の平面方向(図16では左右方向)に最外周第1貫通孔39の第1点P1から離れるように、マスク本体30の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。また、最外周第1貫通孔39の第1壁39aのうち第2開口部30dを画定する部分は、第1面側接続部39a1から離れるにつれて、マスク本体30の平面方向に最外周第1貫通孔39の9第1点P1から離れるように、マスク本体30の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。これにより、第1面側接続部39a1は、第1壁39aのうち最も第1点P1に近い部分をなしてもよい。言い換えると、第1壁39aは、第1面側接続部39a1よりも第1点P1に近い部分を有しなくてもよい。図示された例では、第1壁39aのうち第2開口部30dを画定する部分の法線方向Nに対してなす角度は、第1壁39aのうち第1開口部30cを画定する部分の法線方向Nに対してなす角度よりも大きくてもよい。なお、最外周第1貫通孔39以外の他の第1貫通孔35も、最外周第1貫通孔39の断面形状と同様の断面形状を有していてもよい。
【0156】
ここで、図16に示された断面において、第1面側接続部39a1と第1壁39a上の任意の点とを通る直線のうちマスク本体30の法線方向Nに対する角度が最も小さい直線L2を考える。直線L2と法線方向Nとのなす角度をθ2とする。
【0157】
最外周第1貫通孔39が、図16に示す形状を有している場合、法線方向Nに対して角度θ2以下の角度を有してマスク本体30の第2面30b側から最外周第1貫通孔39内に向かう蒸着材料98は、その進路がマスク本体30で遮られることなく最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に付着することができる。その一方、法線方向Nに対して角度θ2よりも大きい角度を有してマスク本体30の第2面30b側から最外周第1貫通孔39内に向かう蒸着材料98は、その進路がマスク本体30で遮られ、最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に適切に付着しないことがある。とりわけ法線方向Nに対して角度θ2よりも大きい角度を有してマスク本体30の第2面30b側から、最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92のうち第1壁39aに近い箇所に向かう蒸着材料98は、その進路がマスク本体30における第2面側接続部39a2に近い部分に遮られて、被蒸着基板92に適切に付着しないことがある。
【0158】
したがって、直線L2は、法線方向Nに対して最も大きな角度を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に適切に付着し得る蒸着材料98の進行方向と一致する。法線方向Nに対して傾斜した方向に移動する蒸着材料98を、その進路がマスク本体30で遮られることなく、可能な限り被蒸着基板92に適切に到達させるためには、角度θ2を大きくすることが有利となる。例えば角度θ2を45°以上にすることが好ましい。
【0159】
支持体40は、直線L2に対して、支持体40の平面方向において、第1断面における第2貫通孔45の中心側である第1側の反対側である第2側に位置してもよい。好ましくは、支持体40は、直線L2よりも第2側にのみ位置してもよい。すなわち、支持体40は、直線L2よりもマスク本体30の平面方向における、最外周第1貫通孔39から離れる側にのみ位置してもよい。この場合、法線方向Nに対して最も大きな角度θ2を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に向かう蒸着材料98の進路が支持体40により妨げられ蒸着材料98が被蒸着基板92に適切に付着しなくなること、すなわちシャドーが発生すること、を効果的に抑制することができる。
【0160】
本実施形態の蒸着マスク20では、支持体40は直線L2を超えて位置しなくてもよい。言い換えると、支持体40は直線L2を超える部分を有しなくてもよい。さらに言い換えると、支持体40は直線L2と接触する部分を有しなくてもよい。この場合、法線方向Nに対して最も大きな角度θ2を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に向かう蒸着材料98の進路が支持体40により妨げられ蒸着材料98が被蒸着基板92に適切に付着しなくなること、すなわちシャドーが発生すること、を効果的に抑制することができる。
【0161】
上述のように、蒸着工程では、蒸着材料98は、被蒸着基板92に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。蒸着装置90において、蒸着材料98の進行方向と蒸着マスク20の法線方向Nとの間のなす角度が所定の範囲内に制御されている場合、角度θ2は、蒸着材料98の進行方向と蒸着マスク20の法線方向Nとがなす最大角度と同一の角度又は最大角度よりも大きな角度に設定されることが好ましい。
【0162】
マスク本体30を構成する材料は、特に限られず、例えば金属や樹脂等を用いることができる。マスク本体30を樹脂で形成する場合、一例として、マスク本体30は、特許5994952号公報に示された樹脂マスクの製造方法と同様の方法で製造することが可能である。
【0163】
本実施形態の蒸着マスク20は、2以上の第1貫通孔35を有するマスク本体30と、マスク本体30上にあり、かつ、平面視において第1貫通孔35と重なる位置にある第2貫通孔45を有する支持体40と、を備えた蒸着マスク20であって、マスク本体30は、支持体40側と反対側にある第1面30aと、支持体40側にある第2面30bとを有し、平面視において第2貫通孔45と重なる位置にある2以上の第1貫通孔35のうち、平面視において最も外周に位置する最外周第1貫通孔39は、平面視において最外周第1貫通孔39の中心である第1点P1を含み、第2貫通孔45は、第2貫通孔45の輪郭のうち第1点P1に最も近い第2点P2を含み、最外周第1貫通孔39は、第1点P1と第2点P2とを含み、かつ、マスク本体30の法線方向Nと平行な平面である第1断面において、第2点P2側の壁である第1壁39aを有し、最外周第1貫通孔39は、第1断面において、第1壁39aと第1面30aとを接続する第1面側接続部39a1を有し、第1壁39aは、第1面側接続部39a1よりも第1点P1に近い部分を有せず、支持体40は、第1断面において、第1面側接続部39a1と第1壁39a上の任意の点とを通る直線のうちマスク本体30の法線方向Nに対する角度が最も小さい直線L2に対して、支持体40の平面方向において、第1断面における第2貫通孔45の中心側である第1側の反対側である第2側に位置する。
【0164】
このような蒸着マスク20によっても、法線方向Nに対して最も大きな角度θ2を有して最外周第1貫通孔39内に露出した被蒸着基板92に向かう蒸着材料98の進路が支持体40により妨げられ蒸着材料98が被蒸着基板92に適切に付着しなくなること、すなわちシャドーが発生すること、を効果的に抑制することができる。
【0165】
図17は、図8に対応する図であって、蒸着マスク20の他の変形例を示す断面図である。図18は、図8に対応する図であって、蒸着マスク20のさらに他の変形例を示す断面図である。とりわけ、図17及び図18は、第1点P1と第2点P2とを含み、かつ、マスク本体30の法線方向Nと平行な平面である第1断面において蒸着マスク20を示している。
【0166】
図17及び図18に示された変形例では、支持体40は2以上の層を含んでもよい。とりわけ、支持体40は、マスク本体30側にある第1層42と、第1層42に対してマスク本体30側と反対側にある第2層47とを含んでもよい。第1層42の平面と第2層47の平面とは互いに平行であってもよい。これにより、支持体40の法線方向、第1層42の法線方向及び第2層47の法線方向は、互いに一致してもよい。
【0167】
第1層42は、マスク本体30側にある第1面42aと、第2層47側にある第2面42bとを有してもよい。また、第2層47は、第1層42側にある第1面47aと、第1層42と反対側にある第2面47bとを有してもよい。第1層42の第2面42bと第2層47の第1面47aとは、互いに直接に接してもよい。また、第1層42の第2面42bと第2層47の第1面47aとの間に、他の層が配置されていてもよい。
【0168】
第1層42は、第3貫通孔43を有してもよい。第2層47は、第4貫通孔48を有してもよい。これにより、支持体40の第2貫通孔45は、第3貫通孔43及び第4貫通孔48を含んでもよい。
【0169】
図17及び図18に示された第1断面において、第1層42の第3貫通孔43は、最外周第1貫通孔39に最も近い第3壁43aを有してもよい。第3壁43aは、第1側に突出した頂点43bを有してもよい。第3壁43aは、頂点43bから第1面42aに向かうにつれて、第1層42の平面方向(図17では左右方向)に最外周第1貫通孔39から離れるように、すなわち第2側に、第1層42の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。また、第3壁43aは、頂点43bから第2面42bに向かうにつれて、第1層42の平面方向に最外周第1貫通孔39から離れるように、すなわち第2側に、第1層42の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。
【0170】
第1断面において、第3貫通孔43は、第3壁43aと第1面42aとを接続する第1面側接続部43a1を有してもよい。第3壁43aと第1面42aとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第1面側接続部43a1としてもよい。その一方、第3壁43aと第1面42aとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第3壁43aにおける、第1層42の厚み方向(法線方向)に沿って第1面42aから第1層42の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第1面側接続部43a1としてもよい。
【0171】
第1断面において、第3貫通孔43は、第3壁43aと第2面42bとを接続する第2面側接続部43a2を有してもよい。第3壁43aと第2面42bとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第2面側接続部43a2としてもよい。その一方、第3壁43aと第2面42bとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第3壁43aにおける、第1層42の厚み方向(法線方向)に沿って第2面42bから第1層42の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第2面側接続部43a2としてもよい。
【0172】
第2層47の第4貫通孔48は、最外周第1貫通孔39に最も近い第4壁48aを有してもよい。これにより、支持体40の第2壁49aは、第3壁43a及び第4壁48aを含んでもよい。第4壁48aは、第1側に突出した頂点48bを有してもよい。第4壁48aは、頂点48bから第1面47aに向かうにつれて、第2層47の平面方向に最外周第1貫通孔39から離れるように、すなわち第2側に、第2層47の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。また、第4壁48aは、頂点48bから第2面47bに向かうにつれて、第2層47の平面方向に最外周第1貫通孔39から離れるように、すなわち第2側に、第2層47の平面方向及び法線方向Nの両方に対して傾斜してもよい。
【0173】
第1断面において、第4貫通孔48は、第4壁48aと第1面47aとを接続する第1面側接続部48a1を有してもよい。第4壁48aと第1面47aとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第1面側接続部48a1としてもよい。その一方、第4壁48aと第1面47aとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第4壁48aにおける、第2層47の厚み方向(法線方向)に沿って第1面47aから第2層47の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第1面側接続部48a1としてもよい。
【0174】
第1断面において、第4貫通孔48は、第4壁48aと第2面47bとを接続する第2面側接続部48a2を有してもよい。第4壁48aと第2面47bとが接続する部分に明確な頂点が認められる場合には、その頂点を第2面側接続部48a2としてもよい。その一方、第4壁48aと第2面47bとが接続する部分に明確な頂点が認められない場合には、第4壁48aにおける、第2層47の厚み方向(法線方向)に沿って第2面47bから第2層47の厚みの5%の寸法だけ離れた部分を第2面側接続部48a2としてもよい。
【0175】
第1断面において、第1層42の平面方向に沿った頂点43bと第1面側接続部43a1との距離と、第1層42の平面方向に沿った頂点43bと第2面側接続部43a2との距離とは、互いに等しくてもよい。また、第2層47の平面方向に沿った頂点48bと第1面側接続部48a1との距離と、第2層47の平面方向に沿った頂点48bと第2面側接続部48a2との距離とは、互いに等しくてもよい。
【0176】
第1断面において、支持体40の法線方向Nに沿った第1層42の頂点43bと第1層42の第1面42aとの間の距離D3と、支持体40の法線方向Nに沿った第1層42の頂点43bと第1層42の第2面42bとの間の距離D4とは、互いに等しくてもよい。また、図17及び図18に示した第1断面において、支持体40の法線方向Nに沿った第2層47の頂点48bと第2層47の第1面47aとの間の距離D5と、支持体40の法線方向Nに沿った第2層47の頂点48bと第2層47の第2面47bとの間の距離D6とは、互いに等しくてもよい。
【0177】
このような第1層42及び第2層47は、例えば、図11Aを参照して説明した、金属板64上にレジスト膜を形成する工程において、金属板64の第1面64a上に形成される第1面側レジストパターン65aが有する平面視におけるパターンと、金属板64の第2面64b上に形成される第2面側レジストパターン65bが有する平面視におけるパターンとを、互いに同一のパターンとすることによって作製してもよい。
【0178】
支持体40が2以上の層を含む場合、支持体40を構成する各層(例えば第1層42及び第2層47)の厚みを小さくすることができる。この場合、支持体40を構成する各層において、貫通孔(例えば第3貫通孔43及び第4貫通孔48)を形成するためのエッチング工程を短時間で行うことが可能になる。したがって、支持体40を作製する際の生産性を向上させることができる。
【0179】
第1層42の材料及び第2層47の材料は、それぞれ、上述した支持体40の材料と同様の材料であってもよい。第1層42の材料と第2層47の材料とは、互いに同じ材料を含んでもよい。とりわけ、第1層42の材料と第2層47の材料とは、互いに同じ材料からなってもよい。なお、これに限られず、第1層42の材料と第2層47の材料とは、互いに異なる材料を含んでもよい。
【0180】
図17に示されているように、支持体40の平面方向に沿った第1層42の頂点43bと第1点P1との距離は、支持体40の平面方向に沿った第2層47の頂点48bと第1点P1との距離と等しくてもよい。この場合、平面視において、頂点43b及び頂点48bが支持体40の第2貫通孔45の輪郭45aを形成してもよい。このような第1層42及び第2層47を有する支持体40によれば、互いに同一の形状を有する第1層42及び第2層47を重ねることにより支持体40を作製することができるので、支持体40を作製する工程を簡略化することができる。
【0181】
また、図18に示されているように、支持体40の平面方向に沿った第1層42の頂点43bと第1点P1との距離は、支持体40の平面方向に沿った第2層47の頂点48bと第1点P1との距離よりも小さくてもよい。このような第1層42及び第2層47を有する支持体40によれば、第2貫通孔45の第2面40b側の開口面積を大きくしながら、最外周第1貫通孔39に近い部分において支持体40の厚みを十分に確保することができる。したがって、シャドーの発生を抑制しながら、支持体40でマスク本体30を適切に支持し、マスク本体30と被蒸着基板92との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0182】
第1層42の厚みT2は、第2層47の厚みT3と等しくてもよい。この場合、同一の厚みを有する金属板から第1層42及び第2層47を作製することができるので、第1層42及び第2層47を作製する工程を簡略化することができる。なお、これに限られず、第1層42の厚みT2は、第2層47の厚みT3よりも小さくてもよい。また、第1層42の厚みT2は、第2層47の厚みT3よりも大きくてもよい。
【0183】
図17及び図18を参照して説明した変形例において、支持体40は、第1層42及び第2層47を互いに固定する固定手段を有してもよい。例えば、支持体40は、第1層42と第2層47との間に位置する接着層を有してもよい。具体的には、支持体40は、第1層42の第2面42bと第2層47の第1面47aとの間に、第1層42と第2層47とを互いに固定する接着層を有してもよい。
【0184】
また、支持体40は、第1層42の表面上と、第2層47の表面上とに跨って位置するめっき層を有してもよい。例えば、支持体40は、第1層42の表面上の少なくとも一部と、第2層47の表面上の少なくとも一部とに跨って位置するめっき層を有してもよい。より具体的には、支持体40は、第1層42の第3壁43a上の少なくとも一部と、第2層47の第4壁48a上の少なくとも一部とに跨って位置するめっき層を有してもよい。
【0185】
また、支持体40は、第1層42と第2層47との間に位置する接着層と、第1層42の表面上と第2層47の表面上とに跨って位置するめっき層と、を有してもよい。例えば、支持体40は、第1層42と第2層47との間に位置する接着層を有し、かつ、第1層42の第3壁43a上の少なくとも一部と、第2層47の第4壁48a上の少なくとも一部とに跨って位置するめっき層を有してもよい。
【0186】
このような固定手段を有する支持体40においては、第1層42と第2層47とが互いに対して固定されるので、支持体40の強度を向上させることができる。これにより、支持体40によりマスク本体30をより適切に支持することが可能になる。
【0187】
図19は、図8に対応する図であって、蒸着マスク20のさらに他の変形例を示す断面図である。とりわけ、図19は、第1点P1と第2点P2とを含み、かつ、マスク本体30の法線方向Nと平行な平面である第1断面において蒸着マスク20を示している。
【0188】
図19に示されているように、支持体40は、マスク本体30の2以上の第1貫通孔35のうちの1以上の第1貫通孔35を覆ってもよい。支持体40に覆われた第1貫通孔35は、蒸着工程において蒸着材料98が通過しない。この場合、マスク本体30における第1貫通孔35の配置パターンに関わらず、被蒸着基板(有機EL基板)92の表示領域の輪郭に、支持体40の第2貫通孔45の輪郭45aに対応する形状を付与することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18
図19