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特許7406719蒸着マスク及びその製造方法、蒸着マスク装置及びその製造方法、中間体、蒸着方法、並びに有機EL表示装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】蒸着マスク及びその製造方法、蒸着マスク装置及びその製造方法、中間体、蒸着方法、並びに有機EL表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20231221BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231221BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019235052
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2020122216
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2019013549
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】池永 知加雄
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0026189(US,A1)
【文献】特開2016-108578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と、
前記マスク本体に接合された支持体と、を備え、
前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、
前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きく、
前記マスク本体は、互いに積層された金属層と樹脂マスクとを有する、蒸着マスク。
【請求項2】
マスク本体と、
前記マスク本体に接合された支持体と、を備え、
前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、
前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きく、
前記支持体は、前記マスク本体側に位置する第1支持基板と、前記第1支持基板上に位置する第2支持基板とを含み、前記第2アラインメントマークは、前記第1支持基板の第1部分と、前記第2支持基板の第2部分とを含み、前記第1部分は、平面視で前記第2部分よりも小さい、蒸着マスク。
【請求項3】
前記マスク本体は、複数の貫通孔が形成されためっき層を有する、請求項に記載の蒸着マスク。
【請求項4】
前記第1アラインメントマークは、前記マスク本体に形成された貫通孔である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項5】
前記第2アラインメントマークは、前記支持体に形成された貫通孔である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項6】
前記第2アラインメントマークは、前記支持体の厚み方向途中まで凹む非貫通孔である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の蒸着マスクと、
前記蒸着マスクの前記支持体に接合されたフレームと、を備えた、蒸着マスク装置。
【請求項8】
基材と、
前記基材に接合されたマスク本体と、
前記マスク本体に接合された支持体と、を備え、
前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、
前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きい、中間体。
【請求項9】
前記マスク本体は、複数の貫通孔が形成されためっき層を有する、請求項に記載の中間体。
【請求項10】
前記マスク本体は、互いに積層された金属層と樹脂マスクとを有する、請求項に記載の中間体。
【請求項11】
前記第1アラインメントマークは、前記マスク本体に形成された貫通孔である、請求項乃至10のいずれか一項に記載の中間体。
【請求項12】
前記第1アラインメントマークは、前記基材上に形成された島状の突起である、請求項乃至10のいずれか一項に記載の中間体。
【請求項13】
前記第2アラインメントマークは、前記支持体に形成された貫通孔である、請求項乃至12のいずれか一項に記載の中間体。
【請求項14】
前記第2アラインメントマークは、前記支持体の厚み方向途中まで凹む非貫通孔である、請求項乃至12のいずれか一項に記載の中間体。
【請求項15】
前記支持体は、前記マスク本体側に位置する第1支持基板と、前記第1支持基板上に位置する第2支持基板とを含み、前記第2アラインメントマークは、前記第1支持基板の第1部分と、前記第2支持基板の第2部分とを含み、前記第1部分は、平面視で前記第2部分よりも小さい、請求項乃至14のいずれか一項に記載の中間体。
【請求項16】
基材と、前記基材に接合されたマスク本体とを有する中間体を準備する工程と、
前記マスク本体と支持体とを互いに接合する工程と、を備え、
前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、
前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きく、
前記マスク本体と前記支持体とを互いに接合する工程において、前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとの位置を相互に合わせることにより、前記マスク本体と前記支持体との位置決めが行われる、蒸着マスクの製造方法。
【請求項17】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の蒸着マスクを準備する工程と、
前記蒸着マスクの前記支持体にフレームを取り付ける工程と、を備えた、蒸着マスク装置の製造方法。
【請求項18】
基板に蒸着材料を蒸着させる、蒸着材料の蒸着方法であって、
請求項に記載の蒸着マスク装置を準備する工程と、
前記基板を準備する工程と、
前記基板を前記蒸着マスク装置の前記マスク本体上に設置する工程と、
前記マスク本体上に設置された前記基板に前記蒸着材料を蒸着させる工程と、を備えた、蒸着方法。
【請求項19】
請求項に記載の蒸着マスク装置を用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を備えた、有機EL表示装置の製造方法。
【請求項20】
基板に蒸着材料を蒸着させる、蒸着材料の蒸着方法であって、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の蒸着マスクを準備する工程と、
前記基板を準備する工程と、
前記基板を前記蒸着マスクの前記マスク本体上に設置する工程と、
前記マスク本体上に設置された前記基板に前記蒸着材料を蒸着させる工程と、を備えた、蒸着方法。
【請求項21】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を備えた、有機EL表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、蒸着マスク及びその製造方法、蒸着マスク装置及びその製造方法、中間体、蒸着方法、並びに有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が400ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラハイディフィニション(UHD)に対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
【0003】
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている(特許文献1参照)。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板(有機EL基板)を蒸着装置に投入し、次に、蒸着装置内で有機EL基板に対して蒸着マスクを密着させ、有機材料を有機EL基板に蒸着させる蒸着工程を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-178662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような蒸着マスクを製造する際、強度を高めるため、蒸着マスクの中間体を支持体に積層して補強することが提案されている。この場合、中間体を支持体の開口部に精度よく接合することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の蒸着マスクは、マスク本体と、前記マスク本体に接合された支持体と、を備え、前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、蒸着マスクの中間体を支持体に精度良く接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、蒸着マスク装置を有する蒸着装置及びこの蒸着装置を用いた蒸着方法を説明するための図である。
図2図2は、図1に示す蒸着装置で製造された有機EL表示装置の一例を示す断面図である。
図3図3は、第1の実施の形態による蒸着マスクを有する蒸着マスク装置の一例を概略的に示す平面図である。
図4図4は、第1の実施の形態による蒸着マスク装置を示す断面図(図3のIV-IV線断面図)である。
図5図5は、第1の実施の形態による蒸着マスク装置のマスク本体を示す部分拡大図(図3のV部拡大図)である。
図6図6は、第1の実施の形態による蒸着マスク装置を示す部分断面図(図5のVI-VI線断面図)である。
図7図7は、第1の実施の形態によるマスク本体を示す断面図(図5のVII-VII線断面図)である。
図8図8(a)-(c)は、めっき処理によってマスク本体を製造するために用いられるパターン基板を製造する方法を示す図である。
図9図9(a)-(d)は、マスク本体をめっき処理によって製造する方法を示す図である。
図10図10は、蒸着マスクの製造方法を示す図である。
図11図11は、蒸着マスクのマスク本体と支持体とを位置決めする際の第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークを示す断面図である。
図12図12(a)(b)は、蒸着マスクのマスク本体と支持体とを位置決めする際の第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークを示す平面図である。
図13図13(a)-(c)は、蒸着マスク装置の製造方法の一例を示す図である。
図14図14(a)(b)は、有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。
図15図15は、有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。
図16図16は、第1の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第1の変形例を示す図である。
図17図17は、第1の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第2の変形例を示す図である。
図18図18は、第1の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第3の変形例を示す図である。
図19図19は、第1の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第4の変形例を示す図である。
図20図20は、第1の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第5の変形例を示す図である。
図21図21(a)-(e)は、第1の実施の形態におけるマスク本体の製造方法の変形例を示す断面図である。
図22図22は、第2の実施の形態による蒸着マスクを示す平面図である。
図23図23は、第2の実施の形態による蒸着マスクを示す断面図(図22のXXIII-XXIII線断面図)である。
図24図24は、第2の実施の形態による蒸着マスクを示す部分拡大図(図22のXXIV部拡大図)である。
図25図25は、第2の実施の形態による蒸着マスクを示す部分断面図(図24のXXV-XXV線断面図)である。
図26図26(a)-(h)は、第2の実施の形態による蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
図27図27は、蒸着マスクの製造中における第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークを示す断面図である。
図28図28は、第2の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第1の変形例を示す図である。
図29図29は、第2の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第2の変形例を示す図である。
図30図30は、第2の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第3の変形例を示す図である。
図31図31は、第2の実施の形態による第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの第4の変形例を示す図である。
図32図32(a)-(h)は、第2の実施の形態による蒸着マスクの製造方法の変形例を示す断面図である。
図33図33は、支持体の一変形例を示す断面図である。
図34図34は、支持体の一変形例を示す断面図である。
図35図35は、支持体の一変形例を示す断面図である。
図36図36は、支持体の一変形例を示す断面図である。
図37図37は、支持体の一変形例を示す断面図である。
図38図38は、支持体の一変形例を示す断面図である。
図39図39は、支持体の一変形例を示す断面図である。
図40図40は、支持体の一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0010】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0011】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0012】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0013】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
【0014】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0015】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される数値範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
【0016】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、本明細書の一実施形態において、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクやその製造方法に関した例をあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本実施形態を適用することができる。
【0017】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
【0018】
本開示の第1の態様は、蒸着マスクであって、
マスク本体と、
前記マスク本体に接合された支持体と、を備え、
前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、
前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きい、蒸着マスクである。
【0019】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による蒸着マスクにおいて、前記マスク本体は、複数の貫通孔が形成されためっき層を有していてもよい。
【0020】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様による蒸着マスクにおいて、前記マスク本体は、互いに積層された金属層と樹脂マスクとを有していてもよい。
【0021】
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、前記第1アラインメントマークは、前記マスク本体に形成された貫通孔であってもよい。
【0022】
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、前記第2アラインメントマークは、前記支持体に形成された貫通孔であってもよい。
【0023】
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、前記第2アラインメントマークは、前記支持体の厚み方向途中まで凹む非貫通孔であってもよい。
【0024】
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、前記支持体は、前記マスク本体側に位置する第1支持基板と、前記第1支持基板上に位置する第2支持基板とを含み、前記第2アラインメントマークは、前記第1支持基板の第1部分と、前記第2支持基板の第2部分とを含み、前記第1部分は、平面視で前記第2部分よりも小さくてもよい。
【0025】
本開示の第8の態様は、蒸着マスク装置であって、
上述した第1の態様から上述した第7の態様のいずれかによる蒸着マスクと、
前記蒸着マスクの前記支持体に接合されたフレームと、を備えた、蒸着マスク装置である。
【0026】
本開示の第9の態様は、中間体であって、
基材と、
前記基材に接合されたマスク本体と、
前記マスク本体に接合された支持体と、を備え、
前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、
前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きい、中間体である。
【0027】
本開示の第10の態様は、上述した第9の態様による中間体において、前記マスク本体は、複数の貫通孔が形成されためっき層を有していてもよい。
【0028】
本開示の第11の態様は、上述した第9の態様による中間体において、前記マスク本体は、互いに積層された金属層と樹脂マスクとを有していてもよい。
【0029】
本開示の第12の態様は、上述した第9の態様から上述した第11の態様のそれぞれによる中間体において、前記第1アラインメントマークは、前記マスク本体に形成された貫通孔であってもよい。
【0030】
本開示の第13の態様は、上述した第9の態様から上述した第11の態様のそれぞれによる中間体において、前記第1アラインメントマークは、前記基材上に形成された島状の突起であってもよい。
【0031】
本開示の第14の態様は、上述した第9の態様から上述した第13の態様のそれぞれによる中間体において、前記第2アラインメントマークは、前記支持体に形成された貫通孔であってもよい。
【0032】
本開示の第15の態様は、上述した第9の態様から上述した第13の態様のそれぞれによる中間体において、前記第2アラインメントマークは、前記支持体の厚み方向途中まで凹む非貫通孔であってもよい。
【0033】
本開示の第16の態様は、上述した第9の態様から上述した第15の態様のそれぞれによる中間体において、前記支持体は、前記マスク本体側に位置する第1支持基板と、前記第1支持基板上に位置する第2支持基板とを含み、前記第2アラインメントマークは、前記第1支持基板の第1部分と、前記第2支持基板の第2部分とを含み、前記第1部分は、平面視で前記第2部分よりも小さくてもよい。
【0034】
本開示の第17の態様は、蒸着マスクの製造方法であって、
基材と、前記基材に接合されたマスク本体とを有する中間体を準備する工程と、
前記マスク本体と支持体とを互いに接合する工程と、を備え、
前記マスク本体は、第1アラインメントマークを有し、前記支持体は、第2アラインメントマークを有し、
前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きく、
前記マスク本体と前記支持体とを互いに接合する工程において、前記第1アラインメントマークと前記第2アラインメントマークとの位置を相互に合わせることにより、前記マスク本体と前記支持体との位置決めが行われる、蒸着マスクの製造方法である。
【0035】
本開示の第18の態様は、蒸着マスク装置の製造方法であって、
上述した第1の態様から上述した第7の態様のいずれかによる蒸着マスクを準備する工程と、
前記蒸着マスクの前記支持体にフレームを取り付ける工程と、を備えた、蒸着マスク装置の製造方法である。
【0036】
本開示の第19の態様は、基板に蒸着材料を蒸着させる、蒸着材料の蒸着方法であって、
上述した第8の態様による蒸着マスク装置を準備する工程と、
前記基板を準備する工程と、
前記基板を前記蒸着マスク装置の前記マスク本体上に設置する工程と、
前記マスク本体上に設置された前記基板に前記蒸着材料を蒸着させる工程と、を備えた、蒸着方法である。
【0037】
本開示の第20の態様は、有機EL表示装置の製造方法であって、
上述した第8の態様による蒸着マスク装置を用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を備えた、有機EL表示装置の製造方法である。
【0038】
本開示の第21の態様は、基板に蒸着材料を蒸着させる、蒸着材料の蒸着方法であって、
上述した第1の態様から上述した第7の態様のいずれかによる蒸着マスクを準備する工程と、
前記基板を準備する工程と、
前記基板を前記蒸着マスクの前記マスク本体上に設置する工程と、
前記マスク本体上に設置された前記基板に前記蒸着材料を蒸着させる工程と、を備えた、蒸着方法である。
【0039】
本開示の第22の態様は、有機EL表示装置の製造方法であって、
上述した第1の態様から上述した第7の態様のいずれかによる蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンを形成する工程を備えた、有機EL表示装置の製造方法である。
【0040】
以下、図面を参照しながら各実施の形態について説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。
【0041】
まず、図1乃至図21を参照して第1の実施の形態について説明する。
【0042】
まず、蒸着対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置90について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置90は、その内部に、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、及び蒸着マスク装置10を備えていてもよい。また、蒸着装置90は、蒸着装置90の内部を真空雰囲気にするための排気手段(図示せず)を更に備えていてもよい。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容する。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料98を蒸発させてもよい。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されていてもよい。
【0043】
図1に示すように、蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20と、蒸着マスク20の後述する支持体40に接合されたフレーム15とを備えていてもよい。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20をその面方向に引っ張った状態で支持していてもよい。蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着マスク20が、蒸着材料98を付着させる蒸着対象物である被蒸着基板(例えば有機EL基板)92に対面するよう、蒸着装置90内に配置されていてもよい。
【0044】
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、被蒸着基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石93を備えていてもよい。磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を被蒸着基板92に密着させることができる。
【0045】
次に、蒸着マスク装置10の蒸着マスク20について説明する。図1に示すように、蒸着マスク20は、複数の第1貫通孔35が形成されためっき層31を有するマスク本体30と、マスク本体30に接合され、平面視で複数の第1貫通孔35に重なる第2貫通孔45が形成された支持体40とを備えていてもよい。
【0046】
図1に示すように、マスク本体30は、第1面30aと、第1面30aと反対側の面をなす第2面30bと、を有していてもよい。図示された例では、マスク本体30は、被蒸着基板92とるつぼ94との間に配置されていてもよい。マスク本体30は、その第1面30aが被蒸着基板92の下面に対面するようにして、換言するとその第2面30bがるつぼ94と対面するようにして、蒸着装置90内に支持され、被蒸着基板92への蒸着材料98の蒸着に使用されてもよい。図1に示す蒸着装置90において、るつぼ94から蒸発して、マスク本体30の第2面30b側から蒸着マスク20に到達した蒸着材料98は、支持体40の第2貫通孔45及びマスク本体30の第1貫通孔35を通って被蒸着基板92に付着する。これによって、マスク本体30の第1貫通孔35の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を被蒸着基板92の表面に成膜することができる。
【0047】
図2は、図1の蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、被蒸着基板(有機EL基板)92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備えていてもよい。
【0048】
複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク装置10が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、被蒸着基板92を各蒸着装置90に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料及び青色用の有機発光材料を順に被蒸着基板92に蒸着させることができる。
【0049】
蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15及び被蒸着基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20のマスク本体30及び支持体40、フレーム15並びに被蒸着基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、マスク本体30、支持体40及びフレーム15と、被蒸着基板92との熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、被蒸着基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。
【0050】
このような課題を解決するため、マスク本体30、支持体40及びフレーム15の熱膨張係数が、被蒸着基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、被蒸着基板92としてガラス基板が用いられる場合、マスク本体30、支持体40及びフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。例えば、マスク本体30、支持体40及びフレーム15を構成する部材の材料として、30質量%以上54質量%以下のニッケルを含む鉄合金を用いることができる。ニッケルを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを挙げることができる。
【0051】
なお、蒸着処理の際に、マスク本体30、支持体40、フレーム15及び被蒸着基板92の温度が高温には達しない場合は、マスク本体30、支持体40及びフレーム15の熱膨張係数を、被蒸着基板92の熱膨張係数と同等の値にしなくてもよい。この場合、マスク本体30及び支持体40を構成する材料として、上述の鉄合金以外の材料を用いてもよい。例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。また、ニッケルやニッケル-コバルト合金など、鉄合金以外の合金を用いてもよい。
【0052】
次に、図1及び図3乃至図7により、蒸着マスク20のマスク本体30及び支持体40、並びにフレーム15について更に詳細に説明する。
【0053】
まず、マスク本体30について詳細に説明する。このマスク本体30は、めっき処理によって作製されたものである。図3に示すように、マスク本体30は、平面視において略矩形状の形状を有していてもよい。このマスク本体30は、マスク本体30の外縁30eを構成する枠状の耳部17と、耳部17に囲まれた中間部18とを備えていてもよい。このうち耳部17は、蒸着マスク20を利用した蒸着工程の際に支持体40に取り付けられる部分である。なお、この耳部17は、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。
【0054】
また、図3乃至図5に示すように、蒸着マスク20の中間部18は、規則的な配列で第1貫通孔35(図4及び図5参照)が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23とを含んでいてもよい。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではない。一方、マスク本体30の有効領域22は、有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる有機EL基板92の表示領域となる区域に対面する、蒸着マスク20内の領域となる。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図3に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有していてもよい。なお、図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
【0055】
図3に示すように、蒸着マスク20の複数の有効領域22は、互いに直交する二方向に沿って所定の間隔を空けて配列されていてもよい。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置に対応するようになっている。すなわち、図3及び図4に示された蒸着マスク装置10(マスク本体30)によれば、多面付蒸着が可能となっている。また、図5に示すように、各有効領域22に形成された複数の第1貫通孔35は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されていてもよい。
【0056】
図5及び図6に示すように、蒸着マスク20のマスク本体30は、第1アラインメントマーク34を有し、支持体40は、第2アラインメントマーク44を有していてもよい。この第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44は、後述するように、第2中間体57bのマスク本体30と支持体40とを正しく位置決めするために設けられているものである。そしてマスク本体30と支持体40とが正確に位置決めされているときには、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との中心同士が一致する。このため、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44とは、平面視で互いに重なる位置に設けられていてもよい。また、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との大きさは互いに異なっていてもよく、具体的には第2アラインメントマーク44は第1アラインメントマーク34よりも大きくてもよい。
【0057】
この場合、第1アラインメントマーク34は、マスク本体30を厚み方向に貫通する貫通孔であり、第2アラインメントマーク44は、支持体40を厚み方向に貫通する貫通孔である。このため、支持体40方向(図6の矢印D1方向)から見た場合、貫通孔である第2アラインメントマーク44の内側に、貫通孔である第1アラインメントマーク34が包含されてもよい。したがって、マスク本体30と支持体40とが正確に位置決めされているときには、第1アラインメントマーク34の外縁は、その全体が第2アラインメントマーク44の内側に位置していてもよい。
【0058】
第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44の形状は、それぞれ平面視で円形であってもよい。第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44を平面視円形状とした場合、貫通孔である第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44を容易に形成することができる。また、第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44を高い精度で形成することができる。第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2は、0.15mm以上2.5mm以下であり、第1アラインメントマーク34の直径(幅)W1は、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2の2%以上98%以下としても良い。この場合、W2とW1との差の半分の値((W2-W1)/2)が、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との、許容できる最大のずれに一致するようにしても良い。これにより、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44とを容易に位置合わせすることができる。この場合、許容できる最大のずれ(W2とW1との差の半分の値)は、50μm以下とすることが好ましい。第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44の平面形状は、それぞれ円形状に限らず、楕円形状、多角形形状、十字形状等としても良い。この場合、第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44の平面形状は互いに相似形状となっているが、これに限らず、非相似形状(例えば円形状と多角形形状)となっていても良い。
【0059】
図3に示すように、第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44は、それぞれ蒸着マスク20の中間部18のうち、有効領域22以外の領域に形成されていてもよい。具体的には、第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44は、中間部18の四隅にそれぞれ、合計4つ配置されていてもよい。しかしながら、第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44の配置位置や個数は、マスク本体30と支持体40とが重なる位置に1つ又は複数設けられていれば良く、これに限られるものではない。なお、マスク本体30と支持体40とを精度良く貼り合わせるため、第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44を有効領域22に近い位置に配置することが好ましい。具体的には、第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44が有効領域22から5mm以内の位置に設けられていることが好ましい。
【0060】
次に、図7を参照して、マスク本体30のめっき層31について説明する。図7に示すように、マスク本体30のめっき層31は、所定のパターンで第1開口部30cが設けられた第1金属層32と、第1開口部30cに連通する第2開口部30dが設けられた第2金属層37とを含んでいてもよい。図7に示す例においては、第1金属層32がマスク本体30の第1面30aを構成し、第2金属層37がマスク本体30の第2面30bを構成していてもよい。
【0061】
本実施の形態においては、第1開口部30cと第2開口部30dとが互いに連通することにより、マスク本体30を貫通する第1貫通孔35が構成されていてもよい。この場合、マスク本体30の第1面30a側における第1貫通孔35の開口寸法や開口形状は、第1金属層32の第1開口部30cによって画定されてもよい。一方、マスク本体30の第2面30b側における第1貫通孔35の開口寸法や開口形状は、第2金属層37の第2開口部30dによって画定されてもよい。言い換えると、第1貫通孔35には、第1金属層32の第1開口部30cによって画定される形状、及び、第2金属層37の第2開口部30dによって画定される形状の両方が付与されていてもよい。
【0062】
図5に示すように、第1貫通孔35は、平面視において略多角形状になっていてもよい。ここでは第1貫通孔35が、略四角形状、より具体的には略正方形状になっている例が示されている。また、図示はしないが、第1貫通孔35は、略六角形状や略八角形状など、その他の略多角形状になっていてもよい。なお、「略多角形状」とは、多角形の角部が丸められている形状を含む概念である。また、図示はしないが、第1貫通孔35は、円形状になっていてもよい。上述の第1貫通孔35の開口寸法S1は、有機EL表示装置の画素密度などを考慮して、適切に設定される。例えば、400ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、第1貫通孔35の開口寸法S0は、15μm以上60μm以下の範囲内に設定され得る。
【0063】
図7において、符号41は、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部を表している。また符号S0は、第1金属層32と第2金属層37との接続部41における第1貫通孔35の寸法を表している。なお、図7においては、第1金属層32と第2金属層37とが接している例を示したが、これに限られることはなく、第1金属層32と第2金属層37との間にその他の層が介在されていてもよい。例えば、第1金属層32と第2金属層37との間に、第1金属層32上における第2金属層37の析出を促進させるための触媒層が設けられていてもよい。
【0064】
図7に示すように、第2面30bにおける第1貫通孔35(第2開口部30d)の開口寸法S2は、第1面30aにおける第1貫通孔35(第1開口部30c)の開口寸法S1よりも大きくなっていてもよい。上述の開口寸法S0,S1,S2は、有機EL表示装置の画素密度などを考慮して、適切に設定されてもよい。例えば、400ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、接続部41における第1貫通孔35の開口寸法S0は、15μm以上60μm以下の範囲内に設定され得る。また、第1面30aにおける第1開口部30cの開口寸法S1は、10μm以上50μm以下の範囲内に設定され、第2面30bにおける第2開口部30dの開口寸法S2は、15μm以上80μm以下の範囲内に設定され得る。
【0065】
また、上述したマスク本体30の厚みT0は、例えば、2μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。また、マスク本体30の厚みT0は、例えば、20μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。マスク本体30の厚みT0の範囲は、2μm、5μm、10μm及び15μmからなる第1グループ、及び/又は、20μm、30μm、40μm及び50μmからなる第2グループによって定められてもよい。マスク本体30の厚みT0の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。マスク本体30の厚みT0の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。マスク本体30の厚みT0の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、2μm以上50μm以下であってもよく、2μm以上40μm以下であってもよく、2μm以上30μm以下であってもよく、2μm以上20μm以下であってもよく、2μm以上15μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよく、5μm以上50μm以下であってもよく、5μm以上40μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよく、5μm以上20μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上50μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上50μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上50μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよい。
【0066】
次に、支持体40について詳細に説明する。図3に示すように、支持体40は平面視において略矩形状の形状を有していてもよい。この支持体40は、面方向において、マスク本体30よりも大きい寸法を有しており、平面視において、支持体40を画定する輪郭は、マスク本体30を画定する輪郭を取り囲んでいてもよい。この支持体40は、支持体40の各辺がマスク本体30の各辺に対応するようにして、マスク本体30に対して取り付けられていてもよい。
【0067】
また、上述したように、支持体40には複数の第2貫通孔45が形成されており、第2貫通孔45は、平面視でマスク本体30の有効領域22よりも大きくなっていてもよい。また、支持体40の一つの第2貫通孔45は、マスク本体30の一つの有効領域22に対応していてもよい。
【0068】
図3に示すように、第2貫通孔45の輪郭は、例えば、平面視において略四角形、さらに正確には平面視において略矩形であってもよい。なお図示はしないが、各第2貫通孔45は、被蒸着基板(有機EL基板)92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各第2貫通孔45は、円形状の輪郭を有していてもよい。図3には、各第2貫通孔45が互いに同じ平面視形状を有しているものが示されているが、これに限られず、各第2貫通孔45は、互いに異なる開口部形状を有していてもよい。換言すると、支持体40は、互いに異なる平面視形状を有する複数の第2貫通孔45を有していてもよい。
【0069】
この第2貫通孔45の周囲には、支持領域46が設けられており、この支持領域46がマスク本体30の周囲領域23を支持するように構成されていてもよい。これにより、支持体40が、マスク本体30の有効領域22を囲うようにマスク本体30を支持することができるため、マスク本体30にシワや変形が生じることを効果的に抑制することができる。なお、支持領域46は、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではない。
【0070】
本開示において、支持体40の厚みT1は、例えば、0.2mm以上であってもよく、0.4mm以上であってもよく、0.6mm以上であってもよく、0.8mm以上であってもよい。また、支持体40の厚みT1は、例えば、1.0mm以下であってもよく、1.2mm以下であってもよく、1.5mm以下であってもよく、2.0mm以下であってもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、0.2mm、0.4mm、0.6mm及び0.8mmからなる第1グループ、及び/又は、1.0mm、1.2mm、1.5mm及び2.0mmからなる第2グループによって定められてもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。支持体40の厚みT1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.2mm以上2.0mm以下であってもよく、0.2mm以上1.5mm以下であってもよく、0.2mm以上1.2mm以下であってもよく、0.2mm以上1.0mm以下であってもよく、0.2mm以上0.8mm以下であってもよく、0.2mm以上0.6mm以下であってもよく、0.2mm以上0.4mm以下であってもよく、0.4mm以上2.0mm以下であってもよく、0.4mm以上1.5mm以下であってもよく、0.4mm以上1.2mm以下であってもよく、0.4mm以上1.0mm以下であってもよく、0.4mm以上0.8mm以下であってもよく、0.4mm以上0.6mm以下であってもよく、0.6mm以上2.0mm以下であってもよく、0.6mm以上1.5mm以下であってもよく、0.6mm以上1.2mm以下であってもよく、0.6mm以上1.0mm以下であってもよく、0.6mm以上0.8mm以下であってもよく、0.8mm以上2.0mm以下であってもよく、0.8mm以上1.5mm以下であってもよく、0.8mm以上1.2mm以下であってもよく、0.8mm以上1.0mm以下であってもよく、1.0mm以上2.0mm以下であってもよく、1.0mm以上1.5mm以下であってもよく、1.0mm以上1.2mm以下であってもよく、1.2mm以上2.0mm以下であってもよく、1.2mm以上1.5mm以下であってもよく、1.5mm以上2.0mm以下であってもよい。支持体40の厚みT1が、0.2mm以上であることにより、蒸着マスク20の剛性を向上させることができる。これにより、マスク本体30にシワや変形が生じることを抑制することができる。また、支持体40の厚みT1が2.0mm以下であることにより、後述するように支持体40に接合されたマスク本体30から基材51を剥離する際に、基材51が剥離できなくなる不具合を抑制することができる。
【0071】
上述した支持体40を構成する主要な材料としては、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。例えば、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を用いることができる。また、これに限られず、支持体40を構成する主要な材料として、例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。また、ニッケルやニッケル-コバルト合金など、鉄合金以外の合金を用いてもよい。
【0072】
次に、フレーム15について詳細に説明する。図3に示すように、フレーム15は平面視において略矩形の枠状に形成されていてもよく、フレーム15には、平面視で支持体40の第2貫通孔45に重なる開口部15aが設けられていてもよい。本開示においては、平面視において開口部15aを画定する輪郭は、第2貫通孔45を画定する輪郭の全てを取り囲んでいてもよい。蒸着時には、るつぼ94から蒸発した蒸着材料98は、フレーム15の開口部15aを通って蒸着マスク20に到達する。
【0073】
また、フレーム15は、面方向において、支持体40よりも大きい寸法を有しており、平面視において、フレーム15を画定する輪郭は、支持体40を画定する輪郭を取り囲んでいてもよい。このフレーム15は、フレーム15の各辺が支持体40の各辺に対応するようにして、支持体40に対して取り付けられていてもよい。
【0074】
ここで、図3及び図4に示すように、上述したマスク本体30及び支持体40は、複数の第1接合部19aにより、互いに接合されていてもよい。また、上述した支持体40及びフレーム15は、複数の第2接合部19bにより、互いに接合されていてもよい。第1接合部19aは、マスク本体30の外縁30eに沿って配列されており、第2接合部19bは、支持体40の外縁40eに沿って配列されていてもよい。上述のように、マスク本体30及び支持体40は平面視において略矩形状の輪郭を有していてもよい。したがって、接合部19a、19bも、それぞれ外縁30e、40eに沿って略矩形状のパターンにて配列されていてもよい。図3に示された例では、接合部19a、19bは、それぞれ外縁30e、40eから一定の距離を有して一直線状に配列されている。すなわち、接合部19a、19bは、それぞれ外縁30e、40eの延びる方向と平行な方向に沿って配列されている。
【0075】
また、図示された例では、接合部19a、19bは、それぞれ外縁30e、40eの延びる方向に沿って互いに等間隔を有して配列されている。本実施の形態では、マスク本体30及び支持体40、並びに支持体40及びフレーム15は、スポット溶接により互いに接合されている。なお、これに限られず、マスク本体30及び支持体40、並びに、マスク本体30及びフレーム15は、例えば接着剤等の他の固定手段により互いに接合されていてもよい。
【0076】
次に、蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。まず、蒸着マスク装置10の蒸着マスク20を製造する方法について説明する。
【0077】
まず、基材51に接合され、複数の第1貫通孔35が形成されためっき層31を有するマスク本体30を準備してもよい。この際、まず、基材51を準備してもよい。絶縁性及び適切な強度を有する限りにおいて、基材51を構成する材料や基材51の厚みが特に限られることはない。後述するように、マスク本体30と支持体40、あるいは支持体40とフレーム15とが、基材51を介したレーザー光の照射により溶接固定される場合には、基材51を構成する材料として、高い光透過性を有するガラス材料が好適に使用され得る。また、マスク本体30と支持体40、あるいは支持体40とフレーム15とが、接着剤を用いて互いに固定される場合には、基材51を構成する材料として、ガラス、合成樹脂、金属などを用いることができる。この場合、基材51は、光透過性を有していなくてもよい。ここでは、基材51として光透過性を有するガラス材料を使用する例について説明する。
【0078】
次に、図8(a)に示すように、基材51上に導電性材料からなる導電層52aを形成してもよい。導電層52aは、パターニングされることによって導電性パターン52となる層である。導電層52aを構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の導電性を有する材料が適宜用いられる。金属材料の例としては、例えばクロムや銅などを挙げることができる。好ましくは、後述する第1レジストパターン53に対する高い密着性を有する材料が、導電層52aを構成する材料として用いられる。例えば第1レジストパターン53が、アクリル系光硬化性樹脂を含むレジスト膜など、いわゆるドライフィルムと称されるものをパターニングすることによって作製される場合、導電層52aを構成する材料として、銅が用いられることが好ましい。
【0079】
導電層52aは、例えばスパッタリングや無電解めっき等により形成されてもよい。導電層52aを厚く形成しようとすると、導電層52aの形成に長時間を要する。一方、導電層52aの厚みは、薄すぎると抵抗値が大きくなり、電解めっき処理により第1金属層32が形成されにくくなる。したがって、例えば導電層52aの厚みは、50nm以上500nm以下の範囲内であることが好ましい。
【0080】
次に、図8(b)に示すように、導電層52a上に、所定のパターンを有する第1レジストパターン53を形成してもよい。第1レジストパターン53を形成する方法としては、後述する第2レジストパターン55の場合と同様に、フォトリソグラフィー法などが採用され得る。第1レジストパターン53用の材料に所定のパターンで光を照射する方法としては、所定のパターンで露光光を透過させる露光マスクを用いる方法や、所定のパターンで露光光を第1レジストパターン53用の材料に対して相対的に走査する方法などが採用され得る。その後、図8(c)に示すように、導電層52aのうち第1レジストパターン53によって覆われていない部分を、エッチングによって除去する。次に図8(d)に示すように、第1レジストパターン53を除去する。これによって、第1金属層32に対応するパターンを有する導電性パターン52が形成されたパターン基板50を得ることができる。
【0081】
次に、予め所定の導電性パターン52が形成された基材51(パターン基板50)を利用して、導電性パターン52上にめっき層31を析出させてもよい。
【0082】
まず、パターン基板50を利用して上述の第1金属層32を作製する第1成膜工程について説明する。ここでは、絶縁性を有する基材51上に所定のパターンで第1開口部30cが設けられた第1金属層32を形成する。具体的には、導電性パターン52が形成された基材51上に第1めっき液を供給して、導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる第1めっき処理工程を実施する。例えば、導電性パターン52が形成された基材51を、第1めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図9(a)に示すように、基材51上に、所定のパターンで第1開口部30cが設けられた第1金属層32を得ることができる。なお、第1金属層32の厚みは、例えば5μm以下になっている。また、基材51上に第1金属層32を形成するとは、基材51上に直接第1金属層32を形成することに限られず、基材51上に導電性パターン52等の他の層を介して第1金属層32を形成することをも含む。
【0083】
なお、めっき処理の特性上、図9(a)に示すように、第1金属層32は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重なる部分だけでなく、導電性パターン52と重ならない部分にも形成され得る。これは、導電性パターン52の端部54と重なる部分に析出した第1金属層32の表面にさらに第1金属層32が析出するためである。この結果、図9(a)に示すように、第1開口部30cの端部33は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重ならない部分に位置するようになり得る。
【0084】
導電性パターン52上に第1金属層32を析出させることができる限りにおいて、第1めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1めっき処理工程は、導電性パターン52に電流を流すことによって導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第1めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお、第1めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、導電性パターン52上には適切な触媒層が設けられていてもよい。若しくは、導電性パターン52が、触媒層として機能するよう構成されていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、導電性パターン52上に触媒層が設けられていてもよい。
【0085】
用いられる第1めっき液の成分は、第1金属層32に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば、第1めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。めっき液には、様々な添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、ホウ酸などのpH緩衝剤、サッカリンナトリウムなどの一次光沢剤、ブチンジオール、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などの二次光沢剤や、酸化防止剤などが用いられ得る。
【0086】
次に、第1開口部30cに連通する第2開口部30dが設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成する第2成膜工程を実施してもよい。この際、まず、基材51上及び第1金属層32上に、所定の隙間56を空けて第2レジストパターン55を形成する。図9(b)は、基材51上に形成された第2レジストパターン55を示す断面図である。図9(b)に示すように、レジスト形成工程は、第1金属層32の第1開口部30cが第2レジストパターン55によって覆われるとともに、第2レジストパターン55の隙間56が第1金属層32上に位置するように実施される。
【0087】
以下、レジスト形成工程の一例について説明する。はじめに、基材51上及び第1金属層32上にドライフィルムを貼り付けることによって、ネガ型のレジスト膜を形成する。ドライフィルムの例としては、例えば日立化成製のRY3310など、アクリル系光硬化性樹脂を含むものを挙げることができる。また、第2レジストパターン55用の材料を基材51上に塗布し、その後に必要に応じて焼成を実施することにより、レジスト膜を形成してもよい。次に、レジスト膜のうち隙間56となるべき領域に光を透過させないようにした露光マスクを準備し、露光マスクをレジスト膜上に配置する。その後、真空密着によって露光マスクをレジスト膜に十分に密着させる。なおレジスト膜として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
【0088】
その後、レジスト膜を露光マスク越しに露光してもよい。さらに、露光されたレジスト膜に像を形成するためにレジスト膜を現像してもよい。なお、第2レジストパターン55を基材51及び第1金属層32に対してより強固に密着させるため、現像工程の後に第2レジストパターン55を加熱する熱処理工程を実施してもよい。
【0089】
次に、第2金属層37を第1金属層32上に形成してもよい。この際、第1開口部30cに連通する第2開口部30dが設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成してもよい。具体的には、第2レジストパターン55の隙間56に第2めっき液を供給して、第1金属層32上に第2金属層37を析出させてもよい。例えば、第1金属層32が形成された基材51を、第2めっき液が充填されためっき槽に浸してもよい。これによって、図9(c)に示すように、第1金属層32上に、第2金属層37を得ることができる。なお、第2金属層37の厚みは、有効領域22における蒸着マスク20のめっき層31の厚みT0(図7参照)が2μm以上50μm以下になるように設定される。
【0090】
第1金属層32上に第2金属層37を析出させることができる限りにおいて、第2めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることとはない。例えば、第2めっき処理工程は、第1金属層32に電流を流すことによって第1金属層32上に第2金属層37を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第2めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお、第2めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、第1金属層32上には適切な触媒層が設けられていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、第1金属層32上に触媒層が設けられていてもよい。
【0091】
第2めっき液としては、上述の第1めっき液と同一のめっき液が用いられてもよい。若しくは、第1めっき液とは異なるめっき液が第2めっき液として用いられてもよい。第1めっき液の組成と第2めっき液の組成とが同一である場合、第1金属層32を構成する金属の組成と、第2金属層37を構成する金属の組成も同一になる。
【0092】
なお、図9(c)においては、第2レジストパターン55の上面と第2金属層37の上面とが一致するようになるまで第2めっき処理工程が継続される例を示したが、これに限られることはない。第2金属層37の上面が第2レジストパターン55の上面よりも下方に位置する状態で、第2めっき処理工程が停止されてもよい。
【0093】
その後、第2レジストパターン55を除去する除去工程を実施してもよい。除去工程は、パターン基板50、第1金属層32、第2金属層37及び第2レジストパターン55の積層体を、例えばアルカリ系の剥離液に浸漬することにより行われてもよい。これにより、図9(d)に示されているように、第2レジストパターン55を、パターン基板50、第1金属層32及び第2金属層37から剥離させることができる。このようにして、基材51と、基材51に接合されたマスク本体30とを備えた第1中間体57aが得られる。また、この際、第1金属層32上に、所定のパターンで第2開口部30dが設けられた第2金属層37を得ることができる。さらに、第1開口部30cと第2開口部30dとが互いに連通することにより、マスク本体30を貫通する第1貫通孔35が形成される。このようにして、導電性パターン52上にめっき層31を析出させることにより、複数の第1貫通孔35が形成される。なお、図9(d)には示していないが、第1貫通孔35と同様に、マスク本体30に、マスク本体30を厚み方向に貫通する貫通孔である第1アラインメントマーク34(図5および図6参照)が形成される。
【0094】
また、基材51とマスク本体30とを備えた第1中間体57aを準備することと並行して、図10(a)に示すように、第2貫通孔45が形成された支持体40を準備してもよい。この際、まず、金属板を準備し、露光工程及び現像工程を含むフォトリソグラフィー法により金属板をパターニングしてもよい。これにより、第2貫通孔45が形成された支持体40を得ることができる。なお、図10(a)には示していないが、第2貫通孔45と同様に、支持体40に、支持体40を厚み方向に貫通する貫通孔である第2アラインメントマーク44(図5および図6参照)が形成されてもよい。
【0095】
なお、厚い金属板(例えば300μm以上)をエッチングすることにより支持体40を作製する場合、エッチングの際に用いられるドライフィルムレジストの厚みは、例えば、5μm以上であってもよく、6μm以上であってもよく、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。また、ドライフィルムレジストの厚みは、例えば、12μm以下であってもよく、15μm以下であってもよく、18μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。ドライフィルムレジストの厚みの範囲は、5μm、6μm、8μm及び10μmからなる第1グループ、及び/又は、12μm、15μm、18μm及び20μmからなる第2グループによって定められてもよい。ドライフィルムレジストの厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。ドライフィルムレジストの厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。ドライフィルムレジストの厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5μm以上20μm以下であってもよく、5μm以上18μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上12μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、5μm以上8μm以下であってもよく、5μm以上6μm以下であってもよく、6μm以上20μm以下であってもよく、6μm以上18μm以下であってもよく、6μm以上15μm以下であってもよく、6μm以上12μm以下であってもよく、6μm以上10μm以下であってもよく、6μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上20μm以下であってもよく、8μm以上18μm以下であってもよく、8μm以上15μm以下であってもよく、8μm以上12μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上18μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、10μm以上12μm以下であってもよく、12μm以上20μm以下であってもよく、12μm以上18μm以下であってもよく、12μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、15μm以上18μm以下であってもよく、18μm以上20μm以下であってもよい。ドライフィルムレジストの厚みを5μm以上とすることにより、エッチング中にレジスト膜の欠けが生じることを抑制することができる。またドライフィルムレジストの厚みを20μm以下とすることにより、エッチングの精度を向上することができる。
【0096】
支持体40を構成する材料としては、例えば、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を用いることができる。
【0097】
次に、第1中間体57aのマスク本体30と支持体40とを接合する接合工程を実施してもよい。この接合工程では、平面視で支持体40の第2貫通孔45がマスク本体30の第1貫通孔35に重なるように、支持体40とマスク本体30とを接合してもよい。この際、まず、図10(b)に示すように、マスク本体30と支持体40とを正確に位置決めしつつ、マスク本体30を支持体40上に配置してもよい。このとき、マスク本体30の第1アラインメントマーク34と支持体40の第2アラインメントマーク44との位置を相互に合わせ、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との中心同士を一致させることにより、マスク本体30と支持体40との位置を調整してもよい。
【0098】
具体的には、支持体40に対してマスク本体30の反対側(図11の矢印D1方向)から見て、第2アラインメントマーク44の内側に第1アラインメントマーク34が包含されるように、マスク本体30と支持体40との相互の位置を調整してもよい。例えば、第1アラインメントマーク34の直径をW1とし、第2アラインメントマーク44の直径をW2としたとき、(W2-W1)/2が許容アライメント誤差であるとする。このとき、図12(a)に示すように、マスク本体30の第1アラインメントマーク34の全体が第2アラインメントマーク44の内側に位置する場合、この第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44とが正しい位置関係にある(許容アライメント誤差の範囲内)と判断される。これに対して図12(b)に示すように、マスク本体30の第1アラインメントマーク34が第2アラインメントマーク44と重なっている場合、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44とが互いにずれている(許容アライメント誤差の範囲外)と判断される。このような位置合わせを全ての第1アラインメントマーク34及び第2アラインメントマーク44について行うことにより、マスク本体30と支持体40との位置が正しい位置関係に配置されてもよい。
【0099】
次に、第1中間体57aのマスク本体30に対して、基材51側から、基材51を介してレーザー光Laを照射して、第2金属層37の一部及び支持体40の一部をレーザー光Laの照射により生じた熱で融解させて、マスク本体30と支持体40とを溶接により互いに接合してもよい。レーザー光Laとしては、例えば、YAGレーザー装置によって生成されるYAGレーザー光を用いることができる。YAGレーザー装置としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)にNd(ネオジム)を添加した結晶を発振用媒質として備えたものを用いることができる。
【0100】
これにより、図10(c)に示すように、マスク本体30と支持体40とを接合する第1接合部19aが形成され、基材51と、基材51に接合されたマスク本体30と、マスク本体30に接合された支持体40とを有する第2中間体57bが得られる。本実施の形態において、このような第2中間体(中間体)57bも提供する。上述したように、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44とが互いに位置合わせた状態でマスク本体30と支持体40とが接合されるので、平面視で支持体40の第2貫通孔45とマスク本体30の第1貫通孔35とを正確に重ね合わせることができる。なお、これに限られず、マスク本体30と支持体40とは、例えば接着剤等の他の固定手段により互いに接合されても良く、あるいは、マスク本体30と支持体40とは、めっき処理によって互いに接合されても良い。
【0101】
次に、第2中間体57bのマスク本体30から基材51を剥離する剥離工程を実施してもよい。剥離工程では、まず、第2中間体57bを、選択的に導電性パターン52(図9(d)参照)をエッチング可能なエッチング液に浸漬してもよい。次に、第2中間体57bから基材51を引き剥がして分離させてもよい。その後、マスク本体30及び支持体40の組み合わせ体を再度エッチング液に浸漬し、マスク本体30に付着して残存している導電性パターン52を完全にエッチング除去してもよい。これによって、図10(d)に示すように、複数の第1貫通孔35が形成されためっき層31を有するマスク本体30と、マスク本体30に接合され、平面視で複数の第1貫通孔35に重なる第2貫通孔45が形成された支持体40とを備えた蒸着マスク20を得ることができる。
【0102】
次に、蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
【0103】
まず、例えば図8乃至図10に示す方法により、蒸着マスク20を作製する。
【0104】
次に、蒸着マスク20を、フレーム15に接合してもよい。この場合、平面視でフレーム15の開口部15aが支持体40の第2貫通孔45に重なるように、フレーム15と支持体40とを接合してもよい。この際、図13(a)に示すように、支持体40とフレーム15とが接触するように、蒸着マスク20がフレーム15上に配置されてもよい。次に、図13(b)に示すように、支持体40に対して、レーザー光Laを照射して、支持体40の一部及びフレーム15の一部をレーザー光Laの照射により生じた熱で融解させて、支持体40とフレーム15とを溶接により互いに接合してもよい。
【0105】
これにより、図13(c)に示すように、支持体40とフレーム15とを接合する第2接合部19bが形成され、蒸着マスク20と、蒸着マスク20の支持体40に接合され、平面視で第2貫通孔45に重なる開口部15aが設けられたフレーム15とを備えた蒸着マスク装置10が得られる。なお、これに限られず、支持体40とフレーム15とは、例えば接着剤等の他の固定手段により互いに接合されても良い。
【0106】
次に、上述した工程により得られた蒸着マスク装置10を用いて有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する蒸着材料の蒸着方法について、主に図14及び図15を参照して説明する。
【0107】
まず、図14(a)に示すように、上述した工程により得られた蒸着マスク装置10を準備してもよい。この際、蒸着材料98が収容されたるつぼ94及びヒータ96を準備し、蒸着装置90を準備してもよい。
【0108】
また、有機EL基板92を準備してもよい。
【0109】
次に、図14(b)に示すように、有機EL基板92を蒸着マスク装置10のマスク本体30上に設置してもよい。この際、例えば有機EL基板92の図示しないアライメントマークと、蒸着マスク20の図示しないアライメントマークとを直接観察し、当該アライメントマーク同士が重なるように有機EL基板92の位置決めを行いながら、有機EL基板92を蒸着マスク装置10に設置してもよい。
【0110】
次いで、蒸着マスク装置10のマスク本体30上に設置された有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着させる。この際、例えば、図15に示すように、有機EL基板92の、蒸着マスク装置10と反対の側の面に磁石93が配置されてもよい。このように磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク装置10を磁石93側に引き寄せて、マスク本体30を有機EL基板92に密着させることができる。次に、蒸着装置90内を排気して真空状態にしてもよい。その後、ヒータ96が、るつぼ94を加熱して蒸着材料98を蒸発させる。そして、るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、支持体40の第2貫通孔45及びマスク本体30の第1貫通孔35を通って有機EL基板92に付着する(図1参照)。
【0111】
このようにして、マスク本体30の第1貫通孔35の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が有機EL基板92に蒸着される。
【0112】
本実施の形態によれば、マスク本体30は、第1アラインメントマーク34を有し、支持体40は、第2アラインメントマーク44を有している。また第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44とは、互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きくなっている。これにより、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との中心同士を一致させることにより、マスク本体30と支持体40との位置を正確に合わせることができる。このように、マスク本体30と支持体40とが精度よく貼り合わせることができるので、支持体40の第2貫通孔45に対して、マスク本体30の第1貫通孔35が正確に配置される。この結果、蒸着後の蒸着材料98の位置精度が向上し、輝度ムラや無点灯等がない有機EL基板92を作製することが可能となる。
【0113】
また、本実施の形態によれば、マスク本体30の第1アラインメントマーク34は第1貫通孔35を形成する工程で一緒に形成され、支持体40の第2アラインメントマーク44は、第2貫通孔45を形成する工程で一緒に形成されるので、アラインメントマークを形成する工程を別途設ける必要が生じない。
【0114】
なお、本実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、本実施の形態と同様に構成され得る部分について、本実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、本実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0115】
図16乃至図19は、第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの変形例を示す図である。図16乃至図19は、マスク本体30と支持体40とを位置決めしている状態を示す図であり、上述した図11に対応する図である。
【0116】
上述した実施の形態においては、平面視で、第2アラインメントマーク44が第1アラインメントマーク34よりも大きい場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図16に示すように、平面視で、第1アラインメントマーク34が第2アラインメントマーク44がよりも大きくても良い。この場合、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との位置合わせは、光透過性をもつ基材51側(図16の矢印D2方向)から行うことができる。
【0117】
上述した実施の形態においては、第2アラインメントマーク44が貫通孔である場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図17に示すように、第1アラインメントマーク34が基材51上に形成された島状の突起であっても良い。この場合、第1アラインメントマーク34は、めっき層31によって形成され、平面視で第2アラインメントマーク44と相似形状を有する。例えば、第2アラインメントマーク44の平面形状が円形状の場合、第1アラインメントマーク34は円柱形状を有していても良い。また、図17において、平面視で、第2アラインメントマーク44は第1アラインメントマーク34よりも大きい。すなわち、平面視で、第1アラインメントマーク34は第2アラインメントマーク44に包含される。基材51が光透過性の材料(例えばガラス材料)から作製される場合、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との位置合わせは、支持体40側(図17の矢印D1方向)及び基材51側(図17の矢印D2方向)のいずれの方向からでも行うことができる。一方、基材51が光不透過性の材料(例えば金属材料)から作製される場合(例えば後述する図21(a)-(e)参照)、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との位置合わせは、これらを支持体40側(図17の矢印D1方向)から行うことができる。
【0118】
上述した実施の形態においては、第2アラインメントマーク44が貫通孔である場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図18に示すように、第2アラインメントマーク44が、支持体40の厚み方向途中まで凹むとともにマスク本体30側に開口する非貫通孔であっても良い。この第2アラインメントマーク44は、例えばハーフエッチング(支持体40の厚み方向途中までエッチングする手法)により支持体40に形成されても良い。一方、第1アラインメントマーク34は、基材51上に形成された島状の突起である。第2アラインメントマーク44は、平面視で第1アラインメントマーク34と相似形状を有する。例えば、第2アラインメントマーク44の平面形状が円形状の場合、第1アラインメントマーク34は円柱形状を有していても良い。図18において、平面視で、第2アラインメントマーク44は第1アラインメントマーク34よりも大きい。この場合、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との位置合わせは、光透過性をもつ基材51側(図18の矢印D2方向)から行うことができる。このように、第2アラインメントマーク44が非貫通孔であることにより、有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する際、蒸着材料98が第2アラインメントマーク44を通過することがないので、有機EL基板92上の不必要な位置に蒸着材料98が付着することがない。
【0119】
また、図19に示すように、第2アラインメントマーク44が支持体40の厚み方向途中まで凹むとともにマスク本体30側に開口する非貫通孔であり、第1アラインメントマーク34が貫通孔であっても良い。このうち第2アラインメントマーク44は、例えばハーフエッチング(支持体40の厚み方向途中までエッチングする手法)により支持体40に形成されても良い。また、第2アラインメントマーク44は、平面視で第1アラインメントマーク34と相似形状を有する。図19において、平面視で、第1アラインメントマーク34は第2アラインメントマーク44よりも大きい。この場合、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との位置合わせは、光透過性をもつ基材51側(図19の矢印D2方向)から行うことができる。このように、第2アラインメントマーク44が非貫通孔であることにより、有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する際、蒸着材料98が第2アラインメントマーク44を通過することがないので、有機EL基板92上の不必要な位置に蒸着材料98が付着することがない。
【0120】
また、図20に示すように、第1アラインメントマーク34がマスク本体30の厚み方向途中まで凹むとともに支持体40側に開口する非貫通孔であり、第2アラインメントマーク44が貫通孔であっても良い。第1アラインメントマーク34は、平面視で第2アラインメントマーク44と相似形状を有しても良い。図20において、平面視で、第2アラインメントマーク44は第1アラインメントマーク34よりも大きい。この場合、第1アラインメントマーク34と第2アラインメントマーク44との位置合わせは、支持体40側から行うことができる。なお、第2アラインメントマーク44は、島状の突起(図17参照)を有していても良い。
【0121】
また、上述した実施の形態においては、めっき層31が導電性パターン52上にめっき層31を析出させた例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、基材51上に直接めっき層31を析出させても良い。この場合、まず、導電性を有する材料、例えばステンレスや真ちゅう鋼からなる基材51を準備する(図21(a))。続いて、導電性を有する基材51上にレジスト53aを塗布し、これを乾燥する(図21(b))。次にこの基材51に対してフォトマスクを介して露光し、現像することにより、基材51上に、所定のパターンを有するレジストパターン53を形成する(図21(c))。次いで、図21(d)に示すように、レジストパターン53が形成された基材51上にめっき液を供給して、基材51上にめっき層31を析出させる。その後、図21(e)に示すように、レジストパターン53を除去することにより、基材51上にめっき層31を析出させることができる。なお、図示はしないが、めっき層31が第1金属層32上に設けられた第2金属層37を備え、2層構造で形成されていても良い。
【0122】
次に、図22乃至図32により、第2の実施の形態について説明する。図22乃至図32は、第2の実施の形態を示す図である。図22乃至図32において、図1乃至図21に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、以下においては、主として第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0123】
まず、本実施の形態による蒸着マスクの構成について、図22乃至図25を用いて説明する。
【0124】
図22及び図23に示すように、本実施の形態による蒸着マスク20Aは、スリット61が設けられた金属層(金属マスク)60と、金属層60に積層され、蒸着作製するパターンに対応した複数の開口部71が設けられた樹脂マスク70とを備えていてもよい。また金属層60には、支持体40が接合されていてもよい。なお、互いに積層された金属層60と樹脂マスク70とによってマスク本体30Aが構成されていてもよい。
【0125】
この蒸着マスク20Aは、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するために用いられるものであり、1つの蒸着マスク20Aで、複数の製品に対応する蒸着パターンを同時に形成することができる。ここで「開口部」とは、蒸着マスク20Aを用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、当該蒸着マスクを有機ELディスプレイにおける有機層の形成に用いる場合には、開口部71の形状は当該有機層の形状となる。また、「1画面」とは、1つの製品に対応する開口部71の集合体からなり、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる開口部71の集合体が「1画面」となる。そして、蒸着マスク20Aは、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成すべく、樹脂マスク70には、上記「1画面」が、所定の間隔をあけて複数画面分配置されている。すなわち、樹脂マスク70には、複数画面を構成するために必要な開口部71が設けられている。
【0126】
マスク本体30Aの金属層60は、樹脂マスク70の一方の面(支持体40側の面)に設けられていてもよい。金属層60は、平面視で長方形形状を有している。また金属層60には、複数のスリット61が形成されていてもよい。スリット61の形状は、平面視において略多角形になっていてもよい。ここではスリット61の形状が、略四角形、より具体的には略正方形になっている例が示されている。また、図示はしないが、スリット61の形状は、略六角形や略八角形など、その他の略多角形になっていてもよい。なお、「略多角形」とは、多角形の角部が丸められている形状を含む概念である。また、図示はしないが、スリット61の形状は、円形になっていてもよい。なお、スリット61は開口と同義である。
【0127】
また、スリット61は、開口部71と重なる位置に設けられていてもよい。この場合、平面視で、1つのスリット61の内側に1つの開口部71が配置されていてもよい。スリット61の配置例について特に限定はなく、スリット61が、縦方向、及び横方向に複数列配置されていてもよく、縦方向に延びるスリット61が、横方向に複数列配置されていてもよく、横方向に延びるスリット61が縦方向に複数列配置されていてもよい。また、縦方向、あるいは横方向に1列のみ配置されていてもよい。
【0128】
金属層60の材料について特に限定はなく、蒸着マスクの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。中でも、鉄ニッケル合金であるインバー材は熱による変形が少ないので好適に用いることができる。
【0129】
金属層60の厚みTaについても特に限定はないが、シャドウの発生をより効果的に防止するためには、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが特に好ましい。なお、金属層60の厚みTaを5μmより厚くすることにより、金属層60の破断や変形のリスクを低下するとともにハンドリング性を確保することができる。なお、シャドウとは、蒸着源から放出された蒸着材の一部が、金属層60のスリット61の内壁面に衝突して蒸着対象物へ到達しないことにより、目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる未蒸着部分が生ずる現象のことをいう。特に、開口部71の形状を微細化していくことにともない、シャドウによる影響は大きくなる。
【0130】
マスク本体30Aの樹脂マスク70は、金属層60の他方の面(支持体40の反対側の面)に設けられていてもよい。樹脂マスク70は、平面視で長方形形状を有している。この場合、樹脂マスク70は金属層60と同一の外形形状を有しているが、これに限らず、樹脂マスク70と金属層60とが異なる外形形状を有していても良い。
【0131】
樹脂マスク70には、複数画面を構成するために必要な開口部71が設けられていてもよい。複数の開口部71は、金属層60と樹脂マスク70とを積層したときに、金属層60のスリット61と重なる位置に設けられていてもよい。各開口部71は、平面視において略多角形状になっていてもよい。ここでは開口部71が、略四角形状、より具体的には略正方形状になっている例が示されている。また、図示はしないが、開口部71は、略六角形状や略八角形状など、その他の略多角形状になっていてもよい。また、図示はしないが、開口部71は、円形状になっていてもよい。
【0132】
樹脂マスク70は、従来公知の樹脂材料を適宜選択して用いることができ、その材料について特に限定されないが、レーザー加工等によって高精細な開口部71の形成が可能であり、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さく、軽量な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料の中でも、その熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましく、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましく、この双方の条件を備える樹脂材料が特に好ましい。この樹脂材料を用いた樹脂マスクとすることで、開口部71の寸法精度を向上させることができ、かつ熱や経時での寸法変化率や吸湿率を小さくすることができる。
【0133】
樹脂マスク70の厚みTbについても特に限定はないが、樹脂マスク70の厚みTbは、例えば、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよく、6μm以上であってもよく、8μm以上であってもよい。また、樹脂マスク70の厚みTbは、例えば、10μm以下であってもよく、15μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、25μm以下であってもよい。樹脂マスク70の厚みTbの範囲は、3μm、4μm、6μm及び8μmからなる第1グループ、及び/又は、10μm、15μm、20μm及び25μmからなる第2グループによって定められてもよい。樹脂マスク70の厚みTbの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。樹脂マスク70の厚みTbの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。樹脂マスク70の厚みTbの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、3μm以上25μm以下であってもよく、3μm以上20μm以下であってもよく、3μm以上15μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上8μm以下であってもよく、3μm以上6μm以下であってもよく、3μm以上4μm以下であってもよく、4μm以上25μm以下であってもよく、4μm以上20μm以下であってもよく、4μm以上15μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよく、4μm以上8μm以下であってもよく、4μm以上6μm以下であってもよく、6μm以上25μm以下であってもよく、6μm以上20μm以下であってもよく、6μm以上15μm以下であってもよく、6μm以上10μm以下であってもよく、6μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上25μm以下であってもよく、8μm以上20μm以下であってもよく、8μm以上15μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよい。樹脂マスク70の厚みTbをこの範囲内とすることで、ピンホール等の欠陥や変形等のリスクを低減でき、かつシャドウの発生を効果的に防止することができる。特に、樹脂マスク70の厚みTbを、3μm以上10μm以下、より好ましくは4μm以上8μm以下とすることで、400ppiを超える高精細パターンを形成する際のシャドウの影響をより効果的に防止することができる。
【0134】
支持体40は、金属層60の一方の面(樹脂マスク70の反対側の面)に設けられていてもよい。支持体40には、複数の第2貫通孔45が形成されており、各第2貫通孔45は、それぞれ1画面に対応する大きさに形成されていてもよい。また第2貫通孔45には、平面視で複数のスリット61及び複数の開口部71が重なるように配置されていてもよい。
【0135】
なお、支持体40の構成は、第1の実施の形態の場合と略同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、図示していないが、支持体40の一方の面(金属層60の反対側の面)に、第1の実施の形態の場合と同様のフレーム15をさらに設け、マスク本体30Aと支持体40とフレーム15とを備えた蒸着マスク装置を構成しても良い。
【0136】
図24及び図25に示すように、蒸着マスク20のマスク本体30Aは、第1アラインメントマーク34Aを有し、支持体40は、第2アラインメントマーク44を有していてもよい。この第1アラインメントマーク34A及び第2アラインメントマーク44は、後述するように、第2中間体75bの金属層60及び樹脂マスク70と、支持体40とを正確に位置決めするために設けられているものである。そして第2中間体75bの金属層60及び樹脂マスク70と、支持体40とが正確に位置決めされているときには、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との中心同士が一致してもよい。このため、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44とは、平面視で互いに重なる位置に設けられていてもよい。また、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との大きさは互いに異なっており、具体的には第2アラインメントマーク44は第1アラインメントマーク34Aよりも大きくてもよい。
【0137】
この場合、第1アラインメントマーク34Aは、マスク本体30Aを構成する金属層60及び樹脂マスク70を厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。また、第2アラインメントマーク44は、支持体40を厚み方向に貫通する貫通孔であってもよい。このため、支持体40方向(図25の矢印D1方向)から見た場合、貫通孔である第2アラインメントマーク44の内側に、貫通孔である第1アラインメントマーク34Aが包含されてもよい。したがって、金属層60及び樹脂マスク70と支持体40とが正確に位置決めされているときには、第1アラインメントマーク34Aの外縁は、その全体が第2アラインメントマーク44の内側に位置していてもよい。
【0138】
第1アラインメントマーク34A及び第2アラインメントマーク44の形状は、それぞれ平面視において円形であってもよい。
【0139】
第2アラインメントマーク44の直径(幅)W4は、例えば、0.15mm以上であってもよく、0.3mm以上であってもよく、0.5mm以上であってもよく、0.8mm以上であってもよい。また、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W4は、例えば、1.0mm以下であってもよく、1.5mm以下であってもよく、2.0mm以下であってもよく、2.5mm以下であってもよい。第2アラインメントマーク44の直径(幅)W4の範囲は、0.15mm、0.3mm、0.5mm及び0.8mmからなる第1グループ、及び/又は、1.0mm、1.5mm、2.0mm及び2.5mmからなる第2グループによって定められてもよい。第2アラインメントマーク44の直径(幅)W4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2アラインメントマーク44の直径(幅)W4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2アラインメントマーク44の直径(幅)W4の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.15mm以上2.5mm以下であってもよく、0.15mm以上2.0mm以下であってもよく、0.15mm以上1.5mm以下であってもよく、0.15mm以上1.0mm以下であってもよく、0.15mm以上0.8mm以下であってもよく、0.15mm以上0.5mm以下であってもよく、0.15mm以上0.3mm以下であってもよく、0.3mm以上2.5mm以下であってもよく、0.3mm以上2.0mm以下であってもよく、0.3mm以上1.5mm以下であってもよく、0.3mm以上1.0mm以下であってもよく、0.3mm以上0.8mm以下であってもよく、0.3mm以上0.5mm以下であってもよく、0.5mm以上2.5mm以下であってもよく、0.5mm以上2.0mm以下であってもよく、0.5mm以上1.5mm以下であってもよく、0.5mm以上1.0mm以下であってもよく、0.5mm以上0.8mm以下であってもよく、0.8mm以上2.5mm以下であってもよく、0.8mm以上2.0mm以下であってもよく、0.8mm以上1.5mm以下であってもよく、0.8mm以上1.0mm以下であってもよく、1.0mm以上2.5mm以下であってもよく、1.0mm以上2.0mm以下であってもよく、1.0mm以上1.5mm以下であってもよく、1.5mm以上2.5mm以下であってもよく、1.5mm以上2.0mm以下であってもよく、2.0mm以上2.5mm以下であってもよい。
【0140】
第1アラインメントマーク34Aの直径(幅)W3は、例えば、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W4の2%以上であってもよく、5%以上であってもよく、10%以上であってもよく、20%以上であってもよい。また、W4に対するW3の比率は、例えば、40%以下であってもよく、60%以下であってもよく、80%以下であってもよく、98%以下であってもよい。W4に対するW3の比率の範囲は、2%、5%、10%及び20%からなる第1グループ、及び/又は、40%、60%、80%及び98%からなる第2グループによって定められてもよい。W4に対するW3の比率の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。W4に対するW3の比率の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。W4に対するW3の比率の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、2%以上98%以下であってもよく、2%以上80%以下であってもよく、2%以上60%以下であってもよく、2%以上40%以下であってもよく、2%以上20%以下であってもよく、2%以上10%以下であってもよく、2%以上5%以下であってもよく、5%以上98%以下であってもよく、5%以上80%以下であってもよく、5%以上60%以下であってもよく、5%以上40%以下であってもよく、5%以上20%以下であってもよく、5%以上10%以下であってもよく、10%以上98%以下であってもよく、10%以上80%以下であってもよく、10%以上60%以下であってもよく、10%以上40%以下であってもよく、10%以上20%以下であってもよく、20%以上98%以下であってもよく、20%以上80%以下であってもよく、20%以上60%以下であってもよく、20%以上40%以下であってもよく、40%以上98%以下であってもよく、40%以上80%以下であってもよく、40%以上60%以下であってもよく、60%以上98%以下であってもよく、60%以上80%以下であってもよく、80%以上98%以下であってもよい。
【0141】
第1アラインメントマーク34A及び第2アラインメントマーク44の平面視における形状は、それぞれ円形に限らず、楕円形、多角形、十字形等としても良い。この場合、第1アラインメントマーク34A及び第2アラインメントマーク44の平面視における形状は互いに相似形となっているが、これに限らず、非相似形(例えば円形と多角形)となっていても良い。
【0142】
図22に示すように、第1アラインメントマーク34A及び第2アラインメントマーク44は、それぞれ蒸着マスク20のうち、1画面を構成する領域外に形成されていてもよい。具体的には、第1アラインメントマーク34A及び第2アラインメントマーク44は、マスク本体30Aの四隅にそれぞれ、合計4つ配置されていてもよい。しかしながら、第1アラインメントマーク34A及び第2アラインメントマーク44の配置位置や個数は、マスク本体30Aと支持体40とが重なる位置に1つ又は複数設けられていれば良く、これに限られるものではない。
【0143】
次に、本実施の形態による蒸着マスクの製造方法について、図26(a)-(h)を用いて説明する。図26(a)-(h)は、本実施の形態による蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図である。
【0144】
まず、図26(a)に示すように、基材51を準備してもよい。この基材51としては、第1の実施の形態の場合と同様に、ガラス、合成樹脂、金属などを用いることができる。ここでは、基材51として光透過性を有するガラス材料を使用する例について説明する。
【0145】
次に、図26(b)に示すように、基材51上に樹脂層70Aを形成してもよい。この樹脂層70Aは、上述した蒸着マスク20Aの樹脂マスク70を作製するためのものである。具体的には、基材51の表面の略全域に、例えばポリイミドワニス等の樹脂溶液を塗布し、これを加熱して乾燥することにより、樹脂層70Aが得られる。樹脂溶液を塗布する厚みは、例えば2μm以上30μm以下とすることができる。
【0146】
続いて、図26(c)に示すように、樹脂層70A上に、感光性レジストを塗布し、乾燥してもよい。続いて、この感光性レジストに対してフォトマスクを介して露光し、現像することにより、スリット61に対応するパターンを有するレジスト層66を形成してもよい。なお、図26(c)には示していないが、第1アラインメントマーク34Aに対応する位置にもレジスト層66が形成されてもよい。
【0147】
次に、図26(d)に示すように、樹脂層70A上に例えばニッケル、パラジウム等の金属からなる図示しないシード層を形成し、次いで、基材51及び樹脂層70Aに対して電解めっきを施してもよい。これにより、樹脂層70Aに形成されたシード層上の、レジスト層66が存在しない部分に、ニッケル、ニッケル合金等の金属を析出させ、金属層60を形成してもよい。
【0148】
続いて、図26(e)に示すように、レジスト層66及びシード層を順次除去することにより、樹脂層70A上に、スリット61が設けられた金属層60が形成されてもよい。このようにして、スリット61が設けられた金属層60と、金属層60に積層された樹脂層70Aと、樹脂層70Aに積層された基材51と、を有する第1中間体75aが得られる。このとき、金属層60には、金属層60を厚み方向に貫通する貫通孔64が形成されてもよい(図27(a)参照)。この貫通孔64は、第1アラインメントマーク34Aの一部を構成してもよい。
【0149】
次いで、図26(f)に示すように、第1中間体75aの樹脂層70Aに対して、金属層60側からレーザーを照射し(図26(f)の矢印参照)、蒸着作製するパターンに対応した開口部71を形成してもよい。これにより、開口部71が設けられた樹脂マスク70を得る。このレーザーとしては、例えば波長248nmのKrFのエキシマレーザや波長355nmのYAGレーザーを使用することができる。この場合、蒸着作製するパターンに対応した図示しないレーザー用マスクを用い、このレーザー用マスクと第1中間体75aとの間に集光レンズを設置して、いわゆる縮小投影光学系を用いたレーザー加工法によって開口部71を形成してもよい。このようにして、スリット61が設けられた金属層60と、開口部71が設けられた樹脂マスク70と、樹脂マスク70に積層された基材51と、を有する第2中間体75bが得られる。
【0150】
このとき、樹脂マスク70には、樹脂マスク70を厚み方向に貫通する貫通孔74が形成されてもよい(図27(b)参照)。この樹脂マスク70の貫通孔74と金属層60の貫通孔64とにより、第1アラインメントマーク34Aが形成されてもよい。なお、図27(b)において、樹脂マスク70の貫通孔74と金属層60の貫通孔64とは互いに同一の直径を有しているが、これに限らず、樹脂マスク70の貫通孔74の直径が金属層60の貫通孔64の直径よりも小さくても良い。
【0151】
次に、図26(g)に示すように、支持体40を準備するとともに、第2中間体75bの金属層60に支持体40を接合してもよい。このとき、平面視で支持体40の第2貫通孔45が金属層60のスリット61及び樹脂マスク70の開口部71に重なるように、支持体40と金属層60とを接合してもよい。この際、まず、第2中間体75bと支持体40とを正確に位置決めしつつ、第2中間体75bを支持体40上に配置する。この間、図27(c)に示すように、第2中間体75bの第1アラインメントマーク34Aと支持体40の第2アラインメントマーク44との位置を相互に合わせ、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との中心同士を一致させることにより、第2中間体75bと支持体40との位置を調整してもよい。このほか、支持体40を準備する工程と、支持体40を接合する工程は、第1の実施の形態の場合と同様にして行うことができる。このようにして、基材51と、基材51に接合されたマスク本体30Aと、マスク本体30Aに接合された支持体40と、を有する第3中間体75cが得られる。本実施の形態において、このような第3中間体(中間体)75cも提供してもよい。
【0152】
その後、図26(h)に示すように、基材51を樹脂層70Aから除去する。具体的には、第3中間体75cの基材51側からレーザーを照射し、これにより基材51を樹脂層70Aから剥離してもよい。これにより、マスク本体30Aと、マスク本体30Aに接合された支持体40とを備えた蒸着マスク20Aが得られる。
【0153】
なお、本実施の形態による蒸着マスク20Aを用いた蒸着法により有機EL表示装置を製造する方法は、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0154】
本実施の形態によれば、マスク本体30Aは、第1アラインメントマーク34Aを有し、支持体40は、第2アラインメントマーク44を有している。また第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44とは、平面視で互いに重なる位置に設けられるとともに、いずれか一方が他方よりも大きくなっている。これにより、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との中心同士を一致させることにより、金属層60及び樹脂マスク70と支持体40との位置を正確に合わせることができる。このように、金属層60及び樹脂マスク70と支持体40とが精度よく貼り合わせることができるので、支持体40の第2貫通孔45に対して、金属層60のスリット61及び樹脂マスク70の開口部71が正確に配置される。この結果、蒸着後の蒸着材料98の位置精度が向上し、輝度ムラや無点灯等がない有機EL基板92を作製することが可能となる。
【0155】
なお、本実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、本実施の形態と同様に構成され得る部分について、本実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、本実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0156】
図28乃至図31は、第1アラインメントマーク及び第2アラインメントマークの変形例を示す図である。図28乃至図31は、第2中間体75bと支持体40とを位置決めしている状態を示す図であり、上述した図27(c)に対応する図である。
【0157】
上述した実施の形態においては、平面視で、第2アラインメントマーク44が第1アラインメントマーク34Aよりも大きい場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図28に示すように、平面視で、第1アラインメントマーク34Aが第2アラインメントマーク44よりも大きくても良い。この場合、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との位置合わせは、光透過性をもつ基材51側(図28の矢印D2方向)から行うことができる。
【0158】
上述した実施の形態においては、第2アラインメントマーク44が貫通孔である場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図29に示すように、第1アラインメントマーク34Aが基材51上に形成された島状の突起であっても良い。この場合、第1アラインメントマーク34Aは、金属層60及び樹脂マスク70(マスク本体30A)の一部によって形成され、平面視で第2アラインメントマーク44と相似形状を有する。例えば、第2アラインメントマーク44の平面形状が円形状の場合、第1アラインメントマーク34Aは円柱形状を有していても良い。すなわち、平面視で、第1アラインメントマーク34Aは第2アラインメントマーク44に包含される。また、図29において、平面視で、第2アラインメントマーク44は第1アラインメントマーク34Aよりも大きい。基材51が光透過性の材料(例えばガラス材料)から作製される場合、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との位置合わせは、支持体40側(図29の矢印D1方向)及び基材51側(図29の矢印D2方向)のいずれの方向からでも行うことができる。一方、基材51が光不透過性の材料(例えば金属材料)から作製される場合、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との位置合わせは、これらを支持体40側(図29の矢印D1方向)から行うことができる。
【0159】
上述した実施の形態においては、第2アラインメントマーク44が貫通孔である場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図30に示すように、第2アラインメントマーク44が支持体40の厚み方向途中まで凹むとともにマスク本体30A側に開口する非貫通孔であっても良い。この第2アラインメントマーク44は、例えばハーフエッチング(支持体40の厚み方向途中までエッチングする手法)により支持体40に形成されても良い。一方、第1アラインメントマーク34Aは、基材51上に形成された島状の突起であってもよい。第2アラインメントマーク44は、平面視で第1アラインメントマーク34Aと相似形状を有していてもよい。例えば、第2アラインメントマーク44の平面視における形状が円形の場合、第1アラインメントマーク34Aは円柱形状を有していても良い。図30において、平面視で、第2アラインメントマーク44は第1アラインメントマーク34Aよりも大きい。この場合、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との位置合わせは、光透過性をもつ基材51側(図30の矢印D2方向)から行うことができる。このように、第2アラインメントマーク44が非貫通孔であることにより、有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する際、蒸着材料98が第2アラインメントマーク44を通過することがないので、有機EL基板92上の不必要な位置に蒸着材料98が付着することがない。
【0160】
また、図31に示すように、第2アラインメントマーク44が支持体40の厚み方向途中まで凹むとともにマスク本体30A側に開口する非貫通孔であり、第1アラインメントマーク34Aが貫通孔であっても良い。このうち第2アラインメントマーク44は、例えばハーフエッチング(支持体40の厚み方向途中までエッチングする手法)により支持体40に形成されても良い。また、第2アラインメントマーク44の形状は、平面視で第1アラインメントマーク34Aと相似形を有する。図31において、平面視で、第1アラインメントマーク34Aは第2アラインメントマーク44よりも大きい。この場合、第1アラインメントマーク34Aと第2アラインメントマーク44との位置合わせは、光透過性をもつ基材51側(図31の矢印D2方向)から行うことができる。このように、第2アラインメントマーク44が非貫通孔であることにより、有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する際、蒸着材料98が第2アラインメントマーク44を通過することがないので、有機EL基板92上の不必要な位置に蒸着材料98が付着することがない。
【0161】
また、上述した実施の形態においては、樹脂層70Aにレーザーを照射して開口部71を形成した後、金属層60に支持体40を接合する場合を例にとって説明した(図26(f)(g))。しかしながら、これに限られることはなく、図32(a)-(h)に示すように、金属層60に支持体40を接合した後、樹脂層70Aにレーザーを照射して開口部71を形成しても良い。この場合、第1アラインメントマーク34Aは金属層60を厚み方向に貫通する貫通孔によって形成されてもよい。この金属層60の第1アラインメントマーク34Aを支持体40の第2アラインメントマーク44と位置合わせすることにより、第1中間体57aと支持体40との位置決めを正確に行うことができる。
【0162】
次に、図33乃至図40を参照して、上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態における支持体40の各種変形例について説明する。
【0163】
図33に示すように、支持体40の第2アラインメントマーク44が両面からエッチングによって作製される場合、第2アラインメントマーク44は、開口の面積が厚み方向に変化する形状を有していても良い。この場合、支持体40は、マスク本体30側に位置する第1面40aと、マスク本体30の反対側に位置する第2面40bとを有していてもよい。第2アラインメントマーク44は、断面において、第1面40a側の第1壁部44aと、第2面40b側の第2壁部44bと、第1壁部44aと第2壁部44bとの間に位置する頂部47とを有していてもよい。第1壁部44aと第2壁部44bとは、それぞれ湾曲面となっている。また第2アラインメントマーク44は、頂部47において最も面積が狭くなっており、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2は、この頂部47において規定される。頂部47は、支持体40の厚み方向の略中央にあり、第1面40aと第2面40bとから略等距離の位置にあってもよい。このように、頂部47を支持体40の厚み方向の略中央に形成することにより、支持体40の反りを低減することができる。このように支持体40の反りが低減できるのは、支持体40が圧延材をエッチングにて形成したものである場合、圧延材は圧延工程による残留応力を有しているが、圧延材の表裏から均等にエッチングされることにより残留応力を有する部分が均等に除去され得るためである。表裏から不均等にエッチングした場合、例えば後述する図34の支持体40では、第1面40a側のエッチング量が少なく、第1面40a側の残留応力が大きくなるため、条件によっては支持体40に反りを生じる場合がある。
【0164】
また、図34に示すように、断面において、頂部47が支持体40の厚み方向の略中央からずれた位置にあってもよい。具体的には、頂部47が支持体40の厚み方向の略中央よりも第1面40a側に位置していても良い。この場合、第2アラインメントマーク44を構成する貫通孔は、第1面40a側よりも第2面40b側の方が広くなっている。また第2アラインメントマーク44は、頂部47において最も面積が狭くなっており、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2は、この頂部47において規定される。この場合、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2を高い精度で形成することができ、マスク本体30と支持体40とのアラインメント精度を向上させることができる。その理由は以下の通りである。すなわち、支持体40を表裏両面からエッチングして貫通孔(第2アラインメントマーク44)を形成する場合、第1面40a側より凹部を形成し(第1エッチング、小さい孔)、この凹部を樹脂で埋め、第2面40b側から第2エッチング(大きい孔)にて貫通孔を形成する。このとき、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2は第1エッチングが支配的となるので、精度を出しやすいためである。
【0165】
図35に示すように、支持体40は、マスク本体30側に位置する第1支持基板81と、第1支持基板81上に位置する第2支持基板82とを含んでいてもよい。第1支持基板81と第2支持基板82とは互いに積層されていてもよい。これにより、支持体40の厚みを例えば300μm以上まで厚くすることができる。例えばマスク本体30がめっき層や樹脂層を含む場合等、マスク本体30の応力が大きい場合に、支持体40の厚みを厚くすることにより、蒸着マスク20の変形を抑制することができる。また、別個に準備した第1支持基板81と第2支持基板82とを互いに貼り合わせることにより、支持体40の生産性を向上することができる。支持体40が2以上の層を含む場合、支持体40を構成する各層(例えば第1支持基板81及び第2支持基板82)の厚みを小さくすることができる。この場合、支持体40を構成する各層において、貫通孔(例えば第1部分81a及び第2部分82a)を形成するためのエッチング工程を短時間で行うことが可能になる。したがって、支持体40を作製する際の生産性を向上させることができる。
【0166】
図35において、第2アラインメントマーク44は、第1支持基板81の第1部分81aと、第2支持基板82の第2部分82aとを含む。第1部分81aは、平面視で第2部分82aよりも小さい。第2アラインメントマーク44の第1部分81a及び第2部分82aは、それぞれ図33に示す第2アラインメントマーク44の断面形状と略同様の断面形状を有していてもよい。第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2は、第2部分82aの頂部47において規定される。このように、第2アラインメントマーク44の第1部分81aを第2部分82aよりも小さくしたことにより、第1支持基板81と第2支持基板82とを積層して支持体40を作製する際、第1部分81aと第2部分82aとのアライメントを容易にすることができる。また、第1部分81aの頂部47及び第2部分82aの頂部47をそれぞれ厚み方向の略中央に形成することにより、第1支持基板81及び第2支持基板82の反りを低減することができる。
【0167】
なお、第1支持基板81と第2支持基板82とは、互いに同一の厚みであっても良く、いずれか一方が厚くなっていても良い。例えば第1支持基板81の厚みを第2支持基板82の厚みよりも薄くしても良い。これにより、平面視で第2部分82aよりも小さい第1部分81aを作製しやすくすることができる。なお、第1支持基板81の厚みを第2支持基板82の厚みよりも厚くしても良い。
【0168】
第1支持基板81と第2支持基板82とは、溶接によって互いに接合されていても良い。あるいは、第1支持基板81と第2支持基板82とは、接着剤によって互いに接合されていても良い。この場合、図36に示すように、第1部分81aの内壁面と第2部分82aの内壁面とをめっき層84によって覆うようにしても良い。これにより、蒸着マスク20を用いた蒸着工程における減圧時に、接着剤に残留するモノマーが第1支持基板81と第2支持基板82との間から放出されることを抑制することができる。
【0169】
図37に示すように、支持体40は、マスク本体30側に位置する第1支持基板81と、第1支持基板81上に位置する第2支持基板82とを含んでいてもよい。第2アラインメントマーク44は、第1支持基板81の第1部分81aと、第2支持基板82の第2部分82aとを含み、第1部分81aは、平面視で第2部分82aよりも小さくてもよい。第1部分81aは、図34に示す第2アラインメントマーク44の断面形状と略同様の断面形状を有し、第2部分82aは、図33に示す第2アラインメントマーク44の断面形状と略同様の断面形状を有していてもよい。第1部分81aの頂部47は、第1支持基板81の厚み方向の略中央よりもマスク本体30側に位置していてもよい。この場合、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2を高い精度で形成することができ、マスク本体30と支持体40とのアラインメント精度を向上させることができる。
【0170】
また図37において、第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2が第1アラインメントマーク34の直径(幅)W1よりも大きいが(W2>W1)、これに限らず、図38に示すように第2アラインメントマーク44の直径(幅)W2が第1アラインメントマーク34の直径(幅)W1よりも小さくてもよい(W2<W1)。
【0171】
図39に示すように、支持体40は、3層の支持基板を含んでいても良い。この場合、支持体40は、マスク本体30側に位置する第1支持基板81と、第1支持基板81上に位置する第2支持基板82と、第2支持基板82上に位置する第3支持基板83とを含んでいても良い。これら第1支持基板81と第2支持基板82と第3支持基板83とは互いに積層されていてもよい。これにより、支持体40の厚みをさらに厚くすることができる。また、蒸着マスク20の変形を抑制することができる。また、別個に準備した第1支持基板81と第2支持基板82と第3支持基板83とを互いに貼り合わせることにより、支持体40の生産性を向上することができる。
【0172】
図39において、第2アラインメントマーク44は、第1支持基板81の第1部分81aと、第2支持基板82の第2部分82aと、第3支持基板83の第3部分83aとを含む。第1部分81aは、平面視で第2部分82aよりも小さくてもよい。また、第3部分83aは、平面視で第1部分81aよりも大きくてもよい。なお、第3部分83aは、平面視で第2部分82aよりも大きくても良く(図39参照)、平面視で第2部分82aよりも小さくても良い(図40参照)。なお、図示していないが、支持体40は、4層以上の支持基板を含んでいても良い。
【0173】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
図1
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