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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】光電センサ
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20231221BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01H35/00 M
G01V8/12 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020039916
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021141021
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】木焦 火炎
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-019939(JP,A)
【文献】特開2007-124373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
G01V 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域を順次通過する複数の平板型透明体の検出に用いられる光電センサであって、
前記検出領域に向けて光を出射する投光部と、
前記検出領域を挟んで前記投光部と対向して前記光を受けるように配置され、受光量に対応する時系列の信号値を取得する受光部と、
前記時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することを前記到来条件を満たすまで継続する処理と、前記時系列の信号値がリセット条件を満たすか否かを判定することを前記リセット条件を満たすまで継続する処理とを交互に繰り返す判定部と、を備え、
前記到来条件および前記リセット条件は、前記信号値のパルス状の落ち込み波形が得られることを含み、
前記到来条件は、さらに、前記落ち込み波形より前に続く第1の期間に取得された前記信号値の平均値が前記落ち込み波形より後に続く第2の期間に取得された前記信号値の平均値よりも大きいことを含み、
前記リセット条件は、さらに、前記落ち込み波形より前に続く第3の期間に取得された前記信号値の平均値が前記落ち込み波形より後に続く第4の期間に取得された前記信号値の平均値よりも小さいことを含む、
光電センサ。
【請求項2】
前記落ち込み波形は、前記平板型透明体が前記検出領域を通過している期間に得られる前記信号値よりも小さな所定の閾値を下回る期間の前記信号値を含む波形である、
請求項1記載の光電センサ。
【請求項3】
前記閾値は、前記検出領域に前記平板型透明体が存在しないときの前記信号値の0.6倍以上0.96倍以下の範囲から選ばれた値である、
請求項に記載の光電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板型透明体を検出する光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の有無を検出するセンサとして、対象物に光を照射し、対象物を透過する光を検出したり、対象物による光の遮蔽を検出したり、対象物により反射した光を検出したりする光電センサが用いられている。ここで、対象物は、透明体の場合がある。
【0003】
透明体を検出する光電センサについて、例えば下記特許文献1には、直線偏光を透明体に投光して、透明体を透過した光の2つ以上の偏光成分をそれぞれ個別に受光し、各偏光成分の受光量の変化に基づいて透明体の有無を検出する光電センサが記載されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、物体検出領域へ投光し、物体検出領域からの当該光の受光量を取得するタイミング又は期間の指示を受け付けて、指示に対応したタイミング又は期間に取得した受光量に基づいて、受光量を表示するための基準となる表示基準量を決定する光電センサが記載されている。光電センサは、さらに、取得した受光量に基づいて、物体の有無を判断するための閾値を表示基準量よりも小さな値として算出し、受光量が表示基準量以上である場合はゼロに、受光量が表示基準量よりも小さい場合は、受光量が小さくなるにつれ値が大きくなる表示用受光量に変換し、変換された表示用受光量を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-107475号公報
【文献】特開2009-152813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光電センサによって透明体を検出するために、例えば特許文献1に記載の技術のように、不透明体を検出する場合には必要とされなかったハードウェアを追加することがある。そのような光電センサは、実質的に透明体検出のための専用機となり、不透明体を検出する光電センサとは別に導入する必要があった。
【0007】
また、受光量と閾値の比較によって透明体を検出する場合、例えば特許文献2に記載の技術のように表示を工夫したとしても、閾値の設定が依然として困難な場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、平板型透明体がないときの信号値と平板型透明体が通過中の信号値とを判別するための閾値の設定が不要であり、簡易な構成で平板型透明体を検出できる光電センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る光電センサは、検出領域を順次通過する複数の平板型透明体の検出に用いられる光電センサであって、検出領域に向けて光を出射する投光部と、検出領域を挟んで投光部と対向して光を受けるように配置され、受光量に対応する時系列の信号値を取得する受光部と、時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することを到来条件を満たすまで継続する処理と、時系列の信号値がリセット条件を満たすか否かを判定することをリセット条件を満たすまで継続する処理とを交互に繰り返す判定部と、を備え、到来条件およびリセット条件は、信号値のパルス状の落ち込み波形が得られることを含む。
【0010】
この態様によれば、信号値のパルス状の落ち込み波形に基づいて到来条件又はリセット条件が満たされたか否かを判定することで、平板型透明体を検出することができる。このため、平板型透明体がないときの信号値と平板型透明体が通過中の信号値とを判別するための閾値の設定しなくとも、簡易な構成を有する光電センサにより平板型透明体を検出できる。
【0011】
上記態様において、到来条件は、さらに、落ち込み波形より前に続く第1の期間に取得された信号値の平均値が落ち込み波形より後に続く第2の期間に取得された信号値の平均値よりも大きいことを含み、リセット条件は、さらに、落ち込み波形より前に続く第3の期間に取得された信号値の平均値が落ち込み波形より後に続く第4の期間に取得された信号値の平均値よりも小さいことを含んでもよい。
【0012】
この態様によれば、落ち込み波形の前後における信号値の平均値の大小関係に基づき、到来条件とリセット条件とを区別して判定することが可能になる。従って、平板型透明体が到来したか通過したかを区別して判定することが可能になる。
【0013】
上記態様において、落ち込み波形は、平板型透明体が検出領域を通過している期間に得られる信号値よりも小さな所定の閾値を下回る期間の信号値を含む波形であってもよい。
【0014】
この態様によれば、平板型透明体の落ち込み波形の特徴である所定の閾値を下回る期間の信号値を得た上で、落ち込み波形を判別することができる。このため、より正確に到来条件又はリセット条件が満たされたか否かを判定することができる。
【0015】
上記態様において、閾値は、検出領域に平板型透明体が存在しないときの信号値の0.6倍以上0.96倍以下の範囲から選ばれた値であってもよい。
【0016】
この態様によれば、閾値を所定の範囲に限定することで、より正確に平板型透明体を検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、平板型透明体がないときの信号値と平板型透明体が通過中の信号値とを判別するための閾値の設定が不要であり、簡易な構成で平板型透明体を検出できる光電センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る光電センサを含む検出システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る光電センサの構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る光電センサの処理部の構成の一例を示す図である。
図4a】本実施形態に係る投光部に平板型透明体が接近する様子を示す図である。
図4b】本実施形態に係る投光部から出射された光の一部が、平板型透明体の第1端部によって反射されて、受光部により受光される様子を示す図である。
図4c】本実施形態に係る投光部から出射された光の一部が、平板型透明体の第1端部によって反射され、受光部による受光が抑制されている様子を示す図である。
図4d】本実施形態に係る投光部から出射された光が、検出領域を通過している平板型透明体を透過する様子を示す図である。
図5】本実施形態に係る光電センサにより測定される受光量の第1例を示す図である。
図6】本実施形態に係る光電センサにより実行される平板型透明体を検出する処理のフローチャートである。
図7】本実施形態に係る光電センサにより実行される自動調整処理のフローチャートである。
図8】本実施形態に係る光電センサにより実行される平板型透明体を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る光電センサにより測定される受光量の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」と表記する。)を、図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0020】
図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係る光電センサ10の構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係る光電センサ10を含む検出システム1の概要を示す図である。検出システム1は、光電センサ10と、コントローラ20と、コンピュータ30と、ロボット40と、搬送装置50とを備える。
【0021】
光電センサ10は、検出領域10aに平板型透明体100が到来したか否かに応じて値が変化する物理量に対応する信号値に基づいて、検出領域10aに平板型透明体100が到来したことを検出する装置である。光電センサ10は、透過型の光電センサであってよい。図1では、光電センサ10は、透過型で検出するように配置された投光用光ファイバ101及び受光用光ファイバ102を備えている。平板型透明体100が光電センサ10の検出領域10aに到来すると、光電センサ10によって検出される光量が変動する。
【0022】
平板型透明体100は、光電センサ10による検出の対象となる物であり、例えば、プレパラートのような薄板状の透明体であってよい。平板型透明体100は、例えばガラスなどの各種の透明な材質により構成されてもよい。平板型透明体100は、例えば生産される製品の完成品であったり、部品等の未完成品であったりしてよい。本実施形態では、複数の平板型透明体100が、検出領域10aを順次通過する。
【0023】
コントローラ20は、ロボット40及び搬送装置50を制御する。コントローラ20は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)で構成されてよい。コントローラ20は、光電センサ10からの出力により平板型透明体100が到来したことを検知し、ロボット40を制御する。
【0024】
コンピュータ30は、光電センサ10、コントローラ20及びロボット40の設定を行う。また、コンピュータ30は、コントローラ20から、コントローラ20による制御の実行結果を取得する。
【0025】
ロボット40は、コントローラ20による制御に従って、平板型透明体100を操作したり加工したりする。ロボット40は、例えば平板型透明体100をピックアップして別の場所に移動させたり、平板型透明体100を切削したり、組み立てたりしてよい。
【0026】
搬送装置50は、コントローラ20による制御に従って、平板型透明体100を搬送する装置である。搬送装置50は、例えばベルトコンベアであってよく、コントローラ20により設定された速度で平板型透明体100を搬送してよい。
【0027】
図2は、本実施形態に係る光電センサ10の構成を示す図である。光電センサ10は、投光部11、受光部12、処理部13、操作部14及び出力部15を備える。
【0028】
<投光部>
投光部11は、平板型透明体100が到来する検出領域10aに向けて光を出射する。投光部11は、投光素子11a及び駆動回路11bを含んでよい。投光素子11aは、LED(Light Emitting Diode)やレーザダイオードで構成されてよく、駆動回路11bは、投光素子11aを発光させるための電流を制御する。駆動回路11bは、投光素子11aを間欠的に、例えば0.1ms周期でパルス発光させてよい。投光素子11aから出射された光は、図示しないレンズ又は図1の投光用光ファイバ101を介して、検出領域10aに照射されてよい。
【0029】
<受光部>
受光部12は、検出領域10aを挟んで投光部11と対向して配置され、受光量に対応する時系列の信号値を取得する。受光部12は、受光素子12a、増幅器12b、サンプル/ホールド回路12c及びA/D変換器12dを含んでよい。受光素子12aは、フォトダイオードによって構成されてよく、受光量を電気的な出力信号に変換する。受光部12は、検出領域10aにおいて反射又は透過した光を、図示しないレンズ又は図1の受光用光ファイバ102を介して受光素子12aに入射させてよい。増幅器12bは、受光素子12aの出力信号を増幅する。サンプル/ホールド回路12cは、投光部11によるパルス発光のタイミングに同期して、増幅器12bにより増幅された受光素子12aの出力信号を保持する。これにより外乱光の影響が低減される。A/D変換器12dは、サンプル/ホールド回路12cにより保持されたアナログの信号値をデジタル値である受光量の値に変換する。受光部12は、検出領域10aからの光を受光し、受光量を逐次信号値に変換する測定部の一例である。
【0030】
<処理部>
処理部13は、動作制御部13a、FIFO(First In First Out)メモリ13b及び判定部13cを含む。処理部13は、例えば、マイクロプロセッサ、メモリ及びメモリに格納されたプログラム等から構成されるコンピュータとして構成されてよい。
【0031】
動作制御部13aは、後述する判定処理の他、光電センサ10全体の動作を統括制御してよい。
【0032】
FIFOメモリ13bは、所定数の信号値を受光部12から取得した順に順序付けて記憶するための記憶領域を備え、第1周期で、記憶している所定数の信号値を受光部12から新たに取得した信号値により更新する。ここで、FIFOメモリ13bに記憶される信号値の数、すなわち所定数は、任意であるが、例えば10程度であってよい。FIFOメモリ13bは、専用のハードウェアによって実現できるほか、処理部13のメモリ上に処理部13のプログラムに従って実現されてもよい。その場合、FIFOメモリ13bの後段への信号値のシフトは、格納されているデータの物理的なシフトではなく、メモリ上のアクセス箇所の更新によって行うことができる。
【0033】
判定部13cは、時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することを到来条件を満たすまで継続する処理と、時系列の信号値がリセット条件を満たすか否かを判定することをリセット条件を満たすまで継続する処理とを交互に繰り返す。判定部13cは、例えばFIFOメモリ13bの更新が1回又は複数回行われる毎に、到来条件又はリセット条件の判定を行ってもよい。
【0034】
ここで、到来条件は、平板型透明体100が検出領域10aに到来したことを識別するための条件である。また、リセット条件は、平板型透明体100が検出領域10aから脱出したことを識別するための条件である。
【0035】
より具体的には、到来条件およびリセット条件は、信号値のパルス状の落ち込み波形が得られることを含む。ここで、パルス状の落ち込み波形が得られるとは、時系列の信号値に基づく波形データの形状分析によって、パルス状の落ち込み波形を検出できる場合に限らず、パルス状の落ち込み波形に相当する時系列の信号値が発生したことに起因する現象が検出されることであってもよい。例えば、パルス状の落ち込み波形が得られるとは、所定の閾値より低い信号値が検出されることを含んでよい。本実施形態では、平板型透明体100が検出領域10aを通過するため、後述するように落ち込み波形には所定の閾値よりも低い信号値が含まれ得る。このため、所定の閾値より低い信号値が得られた際に、パルス状の落ち込み波形が発生したと推認することができる。
【0036】
ここで、閾値は、検出領域10aに平板型透明体100が存在しないときの信号値(以下、「基準値」とも称する。)を所定数倍した値であってよい。より具体的には、閾値は、基準値の0.6倍以上0.96倍以下の範囲から選ばれた値であってよい。また、閾値が選ばれる範囲の下限は、基準値の0.7倍又は0.8倍であってよい。また、閾値が選ばれる範囲の上限は、基準値の0.9倍又は0.85倍であってよい。さらに、閾値が選ばれる範囲は、これらの下限及び上限の少なくともいずれかで規定される範囲であってよい。
【0037】
なお、光電センサ10は、閾値の設定がユーザにより変更できないように構成されていてもよいし、上述した閾値の範囲で変更可能に構成されていてもよい。
【0038】
<操作部>
操作部14は、光電センサ10の操作を行うためのものであり、操作スイッチ、表示器等を含んでよい。
【0039】
<出力部>
出力部15は、判定部13cによる判定結果を含む様々なデータの出力を行う。例えば、出力部15は、判定部13cにより到来条件を満たすと判定された場合に、平板型透明体100が検出領域10aに到来したことを示す情報を出力してよい。また、出力部15は、判定部13cによりリセット条件を満たすと判定された場合に、平板型透明体100が検出領域10aから脱出したことを示す情報を出力してよい。出力部15は、大量のデータの出力を行える通信機能を備えていてもよい。
【0040】
以上、本実施形態に係る光電センサ10の構成について説明した。本実施形態に係る光電センサ10よれば、時間遅れを抑えつつ、一般的に普及している光電センサの構成に近い簡易な構成で、すなわち画像処理又は別途のトリガ手段を必要としないで、平板型透明体100の状態を判定することができる。
【0041】
図3は、本実施形態に係る光電センサ10の処理部13の構成の一例を示す図である。処理部13は、第1周期で、FIFOメモリ13bの各ステージに記憶されている信号値を1つ後方のステージにシフトして、A/D変換器12dから出力された受光量のデジタル値を初段q0に記憶する。なお、同図では、原理を説明するために、FIFOメモリ13bの段数をq0~q9の10段としているが、FIFOメモリ13bの段数はさらに多くてもよく、例えば100段程度であってもよい。
【0042】
FIFOメモリ13bの更新を行う第1周期は、投光部11によるパルス発光の周期と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、FIFOメモリ13bの更新を行う第1周期は、A/D変換器12dによる変換の周期(第2周期とする)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第2周期は、光電センサ10に固有の値(例えば0.1ms)に固定されていてもよい。第1周期は、図1に示すコンピュータ30からコントローラ20経由で設定可能であってもよい。第1周期は、同時に処理したい信号値波形の範囲がFIFOメモリ13bに収まるように決められる必要がある。第1周期は、第2周期よりも長い場合が多く、例えば1msであってよい。
【0043】
ここで、数式x’=x×xNORM/μに基づき、信号値を正規化した上で、正規化データx’によりFIFOメモリ13bが更新されてもよい。ここで、xは信号値であり受光量に応じた値(例えば、0~9999のいずれかの値)、xNORMは基準光量、μは検出領域10aに平板型透明体100が存在しないときの信号値の平均値である。平均値μの算出には、例えば1000程度の信号値のサンプルが用いられてもよい。以下では、正規化されていない信号値と正規化された信号値(すなわち、正規化データ)をまとめて信号値と称する。
【0044】
受光量には揺らぎがあり、例えば検出領域10aに平板型透明体100が存在していないときの受光量は安定していない。また、受光部12に汚れが付着していたり、受光部12を構成する軸(図示しない。)の向きがずれていたりすると、受光量が低下する。信号値を正規化することで、このような受光量の不安定性及び受光量の低下を考慮した検出が可能になる。
【0045】
NORMは特に限定されないが、例えば、5000程度の値であってよい。xNORMが大きすぎる値(例えば、9999)であると、正規化データが飽和する場合がある。また、xNORMが小さすぎると、平板型透明体100の検出がノイズの影響を受けやすくなる。このため、xNORMは信号値の飽和及びノイズの影響を抑制するように適宜選択され得る。
【0046】
判定部13dは、例えばFIFOメモリ13bの更新が1回又は複数回行われる度に、FIFOメモリ13bに記憶された信号値に基づいて、到来条件及びリセット条件の判定を行い、判定結果を第1周期で動作制御部13aに対して出力する。
【0047】
動作制御部13aは、時系列の信号値に基づいてパルス状の落ち込み波形の判定が可能な判定モデルを備えていてもよい。例えば、動作制御部13aは、取得した信号値に応じた判定モデルを判定部13cに実装してもよい。或いは、動作制御部13aは、判定部13cにより判定処理が行われる前に、取得した信号値に基づいて判定モデルを生成してもよい。例えば、動作制御部13aは、取得した信号値に基づいて学習モデルの機械学習を実行し、学習済みモデルを生成して、生成した学習済みモデルを判定モデルとして判定部13cに実装してよい。このように、光電センサ10が自ら判定モデルを生成できるので、判定モデルを外部から取得することなく、実際の対象物に応じて生成された判定モデルを使用することができる。
【0048】
また、判定モデルは、落ち込み波形の判定だけでなく、落ち込み波形が発生する前後における信号値の変化に応じて到来条件及びリセット条件の判定が可能なモデルであってよい。
【0049】
動作制御部13aは、判定モデルを外部に出力可能であってよい。これにより、生成した判定モデルを他の光電センサで用いることができるので、同様の対象物及び設置状況で使用される複数の光電センサごとに予測モデルの生成を繰り返す必要が無くなる。そのため、対象物の状態を判定する光電センサを効率良く準備することができる。
【0050】
以下、図4a~図4dを参照して、平板型透明体100の搬送中における光電センサ10による受光について説明する。なお、図4a~図4dにおいて、平板型透明体100は、右側から左側へ一直線上に搬送されているものとする。
【0051】
図4aは、本実施形態に係る投光部11に平板型透明体100が接近する様子を示す図である。同図に示すように、平板型透明体100が検出領域10aの外側に位置する場合、投光部11から出射された光の一部が、平板型透明体100により反射されずに受光部12によって受光される。
【0052】
図4bは、本実施形態に係る投光部11から出射された光の一部が、平板型透明体100の第1端部110によって反射されて、受光部12により受光される様子を示す図である。同図に示すように、平板型透明体100が検出領域10aに接近すると、投光部11から出射された光の一部が平板型透明体100の第1端部110により反射され、反射された光も受光部12により受光される。この結果、検出領域10aに平板型透明体100が存在しない場合よりも受光量が一時的に増大する。
【0053】
図4cは、本実施形態に係る投光部11から出射された光の一部が、平板型透明体100の第1端部110によって反射され、受光部12による受光が抑制されている様子を示す図である。同図に示すように、平板型透明体100の第1端部110が検出領域10aの中心に接近すると、投光部11から出射された光の一部が平板型透明体100の第1端部110によって反射され、受光部12に入射する光量が減少する。この時、受光量は、検出領域10aに平板型透明体100が存在しない場合よりもわずかに低下する。
【0054】
図4dは、本実施形態に係る投光部11から出射された光が、検出領域10aを通過している平板型透明体100を透過する様子を示す図である。同図に示すように、平板型透明体100が検出領域10aに侵入すると、投光部11から出射された光が平板型透明体100を透過し、受光部12に光が入射するようになる。この時、受光量は、図4cに示したように第1端部110により光が反射されているときよりも増加するが、検出領域10aに平板型透明体100が存在しない場合よりも低い。これは、投光部11から出射された光の一部が平板型透明体100に反射され、受光部12により受光されないためである。
【0055】
その後、平板型透明体100がさらに左側に通過し、平板型透明体100の第2端部112が検出領域10aの中心に接近すると、投光部11から出射された光の一部が第2端部112によって反射され、受光部12に入射する光量が減少する。このとき、図4cに示した状態と同程度の光が受光部12に入射する。
【0056】
さらに平板型透明体100が左側へ搬送され、第2端部112が検出領域10aの中心から遠ざかると、投光部11から出射された光の一部が第2端部112によって反射され、受光部12により受光される。このとき、図4bを用いて説明した場合と同様に、検出領域10aに平板型透明体100が存在しない場合よりも受光量が一時的に増大する。
【0057】
さらに平板型透明体100が左側に搬送され、検出領域10aから遠ざかると、投光部11から出射された光が、平板型透明体100に反射されずに、受光部12に入射されるようになる。このとき、図4aに示した場合と同程度の光が受光部12に入射するようになる。
【0058】
図5は、本実施形態に係る光電センサ10により測定される受光量(時系列の信号値)の第1例を示す図である。同図に示される波形データは、検出領域10aに平板型透明体100がない場合の受光量を示す第1領域A1と、パルス状の第1落ち込み波形を示す第2領域B1と、パルス状の第2落ち込み波形を示す第3領域C1と、検出領域10aから平板型透明体100が脱出した後の受光量を示す第4領域D1と、を含む。また、図5に示される時系列の信号値は規格化されている。さらに、図5には、検出領域10aに平板型透明体100が存在しない場合における、規格化された信号値の平均値を所定数倍した閾値thが示されている。
【0059】
本実施形態に係る光電センサ10は、第2領域B1に示される第1落ち込み波形が得られるタイミングで到来条件を満たすと判定した後、リセット条件を満たすか否かをリセット条件を満たすまで継続する処理を行う。ここで、リセット条件は、第3領域C1に示される第2落ち込み波形が得られるタイミングで満たされる。
【0060】
図4aに示したように検出領域10aに平板型透明体100が存在しない場合、信号値は、第1領域A1のように、第1の期間T1にわたって平均値μ1と実質的に等しい。ここで、第1の期間T1は第1領域A1の期間であり、平均値μ1は第1の期間T1における信号値の平均値である。
【0061】
検出領域10aに平板型透明体100が接近すると、時刻t1において、図4bに示したように、投光部11から出射された光が平板型透明体100の第1端部110により反射されて受光量が増大する。
【0062】
さらに平板型透明体100が検出領域10aに近づくと、図4cに示したように、光が平板型透明体100の第1端部110により反射され、第2領域B1において受光量が急激に低下して閾値thを下回る。平板型透明体100がさらに検出領域10aに近づくと、図4dに示したように出射された光が平板型透明体100を通過して受光部12により受光されるようになり、受光量が増大する。
【0063】
このように、第2領域B1に示される第1落ち込み波形は、平板型透明体100が検出領域10aを通過している期間に得られる信号値よりも小さな閾値thを下回る期間の信号値を含んでいる。判定部13cは、当該信号値が得られたタイミングで、到来条件を満たしたと判定してもよい。
【0064】
その後、平板型透明体100が検出領域10aにさらに近づくと、図4dに示したように光電センサ10により出射された光が受光部12により受光されることで、受光量が増加する。このように、第1落ち込み波形は、平板型透明体100の第1端部110により出射された光が反射されることで受光量が増大し、出射された光が第1端部110により反射されることで受光量が減少し、出射された光が平板型透明体100を透過して受光されるまでに生成される波形である。
【0065】
判定部13cは、第1落ち込み波形より前に続く第1の期間T1に取得された信号値の平均値μ1が第1落ち込み波形より後に続く第2の期間T2に取得された信号値の平均値μ2よりも大きいときに、到来条件を満たしたと判定してもよい。これにより、より正確に到来条件を判定することが可能になる。
【0066】
第2領域B1と第3領域C1との間の期間は、平板型透明体100が検出領域10aを通過している期間(以下、「通過期間」とも称する。)である。従って、平均値μ2及び平均値μ3は、通過期間の一部の期間における信号値の平均値であり、いずれも閾値thよりも高い。
【0067】
次いで、第3領域C1における信号値について説明する。平板型透明体100の第2端部112が検出領域10aの中心に近づくと、出射された光が第2端部112により反射され、受光量が急激に減少し、閾値thを下回る。その後、信号値が急上昇し、なだらかに減少する。判定部13cは、第3領域C1において閾値thよりも低い信号値が得られたことに基づいて、リセット条件を満たしたと判定してもよい。
【0068】
平板型透明体100がさらに検出領域10aから遠ざかり、検出領域10aに平板型透明体100が存在しなくなると、第4領域D1のように、信号値は一定値で安定する。ここで、第4領域D1の第4の期間T4における信号値の平均値μ4は、第3領域C1の前に続く期間における信号値の平均値μ3よりも高い。判定部13cは、平均値μ4が得られたタイミングで、リセット条件を満たしたと判定してもよい。
【0069】
図6は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される平板型透明体100を検出する処理のフローチャートである。初めに、光電センサ10は、自動調整動作を行う(S10)。自動調整動作の詳細は、次図を用いて詳細に説明する。なお、自動調整動作は、光電センサ10の電源がオンとなった初回に一度行われればよく、処理を中断して再開する場合、自動調整動作は省略されてよい。
【0070】
次に、光電センサ10は、到来条件検出待ちの処理を行う(S11)。より具体的には、光電センサ10は、到来条件に対応するパルス状の落ち込み波形が得られることを待つ。
【0071】
到来条件が満たされると、光電センサ10は、平板型透明体100の到来を検出したことを出力する(S12)。平板型透明体100の到来を検出したことの出力は、どのような態様で行われてもよいが、例えば、表示灯を点灯したり、検出信号を外部に出力したりしてよい。
【0072】
その後、光電センサ10は、リセット条件検出待ちの処理を行う(S13)。より具体的には、光電センサ10は、リセット条件に対応するパルス状の落ち込み波形が得られることを待つ。
【0073】
リセット条件が満たされると、光電センサ10は、平板型透明体100の通過完了を検出したことを出力する(S14)。平板型透明体100の通過完了を検出したことの出力は、どのような態様で行われてもよいが、例えば、表示灯を点灯することとしたり、検出信号を外部に出力したりしてよい。
【0074】
リセット条件が検出され、電源オフされない場合(S15:NO)、光電センサ10は、再び処理S11~S14を実行する。一方、電源オフされる場合(S15:YES)、平板型透明体100を検出する処理が終了する。
【0075】
図7は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される自動調整処理のフローチャートである。同図では、図6の自動調整動作(S10)の詳細を示している。自動調整動作(S10)は、検出領域10aに平板型透明体100が存在しない状態で行われる。
【0076】
初めに、光電センサ10は、投光量及び受光アンプゲインの調整を行う(S101)。そして、光電センサ10は、複数の信号値を取得し(S102)、複数の信号値の平均値を算出する(S103)。また、光電センサ10は、所定値を所定数倍した値を閾値に設定する(S104)。当該所定値は、S103において算出された平均値であってよいし、基準光量xNORMであってよい。また、当該所定数は、例えば0.9程度の値であってよい。
【0077】
図8は、本実施形態に係る光電センサ10により実行される平板型透明体100を検出する処理の詳細を示すフローチャートである。同図では、図6に示す処理のうち、処理S11~S13の詳細を示している。
【0078】
到来条件検出待ちの処理(S11)では、まず、信号値を取得し、FIFOメモリ13bを更新する処理が行われる(S111)。ここでは、信号値xを正規化することで得られる正規化データx’により、FIFOメモリ13bが更新されてもよい。次いで、閾値を下回る信号値を含む落ち込み波形が得られたか否かが判定される(S112)。当該落ち込み波形が得られたと判定されなかった場合(S112:NO)、S111に戻り、新たな信号値に基づき、FIFOメモリ13bが更新される。一方、当該落ち込み波形が得られたと判定された場合(S112:YES)、S113において、落ち込み波形前の平均値が落ち込み波形後の平均値より大きいか否かが判定される。
【0079】
光電センサ10は、落ち込み波形前の平均値が落ち込み波形後の平均値より大きいと判定した場合(S113:YES)、平板型透明体100の到来の検出を出力する(S12)。一方、落ち込み波形前の平均値が落ち込み波形後の平均値より大きいと判定されなかった場合(S113:NO)、新たな信号値を取得し、FIFOメモリ13bに格納する(S111)。
【0080】
リセット条件検出待ちの処理(S13)では、まず、信号値を取得し、FIFOメモリ13bを更新する処理が行われる(S131)。S131では、S111と同様に、信号値xが正規化された上で、正規化データx’により更新が行われてもよい。次いで、閾値を下回る信号値を含む落ち込み波形が得られたか否かが判定される(S132)。当該落ち込み波形が得られたと判定されなかった場合(S132:NO)、S111に戻り、新たな信号値に基づき、FIFOメモリ13bが更新される。一方、当該落ち込み波形が得られたと判定された場合(S132:YES)、S133において、落ち込み波形前の平均値が落ち込み波形後の平均値より大きいか否かが判定される。
【0081】
光電センサ10は、落ち込み波形前に続く第3の期間に取得された信号値の平均値が落ち込み波形後の第4の期間に取得された信号の平均値より小さいと判定した場合(S133:YES)、再び到来条件の検出待ちを行う(図6参照)。一方、落ち込み波形前の平均値が落ち込み波形後の平均値より小さいと判定されなかった場合(S133:NO)、新たな信号値を取得し、FIFOメモリ13bに格納する(S131)。
【0082】
このように、本実施形態に係る光電センサ10によれば、時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することと、リセット条件を満たすか否かを判定することを交互に繰り返すことで、平板型透明体がないときの信号値と平板型透明体が通過中の信号値とを判別するための閾値の設定が不要となり、簡易な構成で平板型透明体100を検出できる。
【0083】
図9は、本実施形態に係る光電センサ10により測定される受光量の第2例を示す図である。図9には、第3落ち込み波形を示す第5領域B2、第3落ち込み波形直後の波形を示す第6領域D2、及び平板型透明体が検出領域10aを通過しているときの波形を示す第7領域D3を示している。
【0084】
ここで、第2例に係る平板型透明体は、無反射コーティング(ARコート: Anti-reflective coating)が表面に施されている。このため、第2例に係る平板型透明体の光の透過率は、99%以上である。
【0085】
第2例では、検出領域10aに平板型透明体100が存在しないときの信号値の平均値が基準光量(ここでは5000)となるように、信号値が規格化されている。なお、図9の測定の開始時刻において信号値が基準光量を超えているが、これは、測定の開始時刻において、平板型透明体100が、図4bに示したように端部が光を反射する程度に検出領域10aに近づいており、反射された光が受光されることで受光量が増加したためである。
【0086】
平板型透明体100が検出領域10aに近づくと、第5領域B2に示される第3落ち込み波形が得られる。その後、平板型透明体100がさらに検出領域10aに近づくと、第6領域D2において受光量が4700程度で変動する。さらに平板型透明体100が検出領域10aに近づくと、第7領域D3において受光量が基準光量に非常に近い値で安定する。これは、平板型透明体の表面にARコートが施されており、平板型透明体による光の反射が抑制されているためである。
【0087】
その後、平板型透明体が移動して検出領域10aから遠ざかると、受光量が4700程度に減少し、さらに平板型透明体が検出領域10aから遠ざかると、第4落ち込み波形が得られる。すなわち、図9に示す第7領域D3を過ぎると、図9を左右反転させた形状の波形と同様の形状の波形が得られる。
【0088】
第2例では、平板型透明体が検出領域10aに存在しないときの基準光量と、平板型透明体が検出領域10aを通過中における信号値の平均値と、に違いがほとんどない。このため、基準光量と当該平均値との差分を用いて平板型透明体を検出することは困難である。一方、本開示の光電センサによれば、第5領域B2の第3落ち込み波形を検出することで、平板型透明体を検出することが可能である。
【0089】
なお、第2例のように、ARコートが施された平板型透明体を検出する場合においても、閾値を用いた到来条件及びリセット条件の判定を行うことができる。この場合、閾値は、例えば、平板型透明体が検出領域10aに存在しないときの信号値の0.96倍であってもよい。なお、第2例では、平板型透明体の端部において、平面度のばらつき及びARコートのムラなどに起因する光学特性の変化が生じているため、第6領域D2のように、受光量が当該信号値の0.96倍よりも低い状態が生じている。しかしながら、このような光学特性の変化を抑えることで、閾値を当該信号値の0.96倍として、到来条件及びリセット条件を判定することも可能である。
【0090】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0091】
上記実施形態では、例えばS111及びS131において、信号値が正規化されるが、信号値は正規化されなくてもよい。信号値がされない場合、閾値は、例えば検出領域10aに平板型透明体100が存在しないときの信号値の所定数(例えば0.9)倍であってよい。また、当該定数は、光電センサ10において、変更されない固定値として設定され得る。
【0092】
また、上記実施形態では、光電センサ10は、第1落ち込み波形に加えて、第1の期間T1における信号値の平均値と第2の期間T2における信号値の平均値を用いて、到来条件を満たすことを検出する。また、光電センサ10は、第2落ち込み波形に加えて、第3の期間T3における信号値の平均値と第4の期間T4における信号値の平均値を用いてリセット条件を検出する。光電センサ10は、これらの第1~第4の期間を用いずに、到来条件及びリセット条件が満たされているか否かを判定してもよい。この場合、例えば、検出領域10aに平板型透明体100が存在しない状態(又は平板型透明体100が存在する状態)から図6に示した処理を開始することで、落ち込み波形が検出される度に平板型透明体100が存在しない状態と存在する状態とが入れ替わるので、当該入れ替わりに応じて平板型透明体100の到来の検出と通過完了の検出を交互に行い、出力することができる。このとき、光電センサ10の処理部13が自ら到来又は通過完了のどちらの状態であるかを区別せず、出力を行う装置において状態を区別してもよい。なお、上記の第1~第4の期間を使用する光電センサ10の構成によれば、このような特定の使用方法を前提とせずに、信号値の変化に基づいて、ある時点における平板型透明体の状態を判定することができる。
【0093】
[付記1]
検出領域(10a)を順次通過する複数の平板型透明体(100)の検出に用いられる光電センサ(10)であって、
前記検出領域(10a)に向けて光を出射する投光部(11)と、
前記検出領域(10a)を挟んで前記投光部(11)と対向して前記光を受けるように配置され、受光量に対応する時系列の信号値を取得する受光部(12)と、
前記時系列の信号値が到来条件を満たすか否かを判定することを前記到来条件を満たすまで継続する処理と、前記時系列の信号値がリセット条件を満たすか否かを判定することを前記リセット条件を満たすまで継続する処理とを交互に繰り返す判定部(13c)と、を備え、
前記到来条件および前記リセット条件は、前記信号値のパルス状の落ち込み波形が得られることを含む、
光電センサ(10)。
【0094】
[付記2]
前記到来条件は、さらに、前記落ち込み波形より前に続く第1の期間に取得された前記信号値の平均値が前記落ち込み波形より後に続く第2の期間に取得された前記信号値の平均値よりも大きいことを含み、
前記リセット条件は、さらに、前記落ち込み波形より前に続く第3の期間に取得された前記信号値の平均値が前記落ち込み波形より後に続く第4の期間に取得された前記信号値の平均値よりも小さいことを含む、
付記1に記載の光電センサ(10)。
【0095】
[付記3]
前記落ち込み波形は、前記平板型透明体(100)が前記検出領域(10a)を通過している期間に得られる前記信号値よりも小さな所定の閾値を下回る期間の前記信号値を含む波形である、
付記1又は2に記載の光電センサ(10)。
【0096】
[付記4]
前記閾値は、前記検出領域(10a)に前記平板型透明体(100)が存在しないときの前記信号値の0.6倍以上0.96倍以下の範囲から選ばれた値である、
付記3に記載の光電センサ(10)。
【符号の説明】
【0097】
1…検出システム、10…光電センサ、10a…検出領域、11…投光部、11a…投光素子、11b…駆動回路、12…受光部、12a…受光素子、12b…増幅器、12c…サンプル/ホールド回路、12d…A/D変換器、13…処理部、13a…動作制御部、13b…FIFOメモリ、13c…判定部、14…操作部、15…出力部、20…コントローラ、30…コンピュータ、40…ロボット、50…搬送装置、100…平板型透明体、101…投光用光ファイバ、102…受光用光ファイバ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
図8
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