(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】光照射ユニット及び光照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231221BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20231221BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20231221BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20231221BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231221BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231221BHJP
【FI】
F21S2/00 110
F21S2/00 375
F21V29/76
F21V29/503
F21S2/00 360
H01L33/00 L
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021200155
(22)【出願日】2021-12-09
(62)【分割の表示】P 2020045422の分割
【原出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横川 佳久
(72)【発明者】
【氏名】尾前 靖
(72)【発明者】
【氏名】宮内 祐介
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-183234(JP,A)
【文献】特開2014-179182(JP,A)
【文献】特開2016-131102(JP,A)
【文献】特開2012-003840(JP,A)
【文献】特開2014-194918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/76
F21V 29/503
H01L 33/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸を長手方向とする基板と、
前記基板の第一面側に、前記第一軸に沿って並んで配置される複数の光源と、
前記基板の前記第一面に反対の第二面側に、配置される放熱部材と、
前記第一面に沿って前記第一軸に直交する第二軸の方向に、前記放熱部材を挟む一対の第一側面を有する筐体と、を備え、
前記基板は、前記第一軸の方向に係る端部に前記第一軸と交差する端面を有し、前記端面の前記第一軸の方向における位置は、前記第一側面の前記第一軸の方向に係る端縁の近傍にあり、
前記端面の前記第一軸の方向における位置は、前記放熱部材の前記第一軸の方向における端面の位置と一致しているか、若しくは、前記放熱部材の前記第一軸の方向における端面の位置より内側にあり、
前記基板の前記端面及び前記放熱部材の前記端面は、取り外し可能な保護部材で覆われており、
前記筐体は、前記第一軸の方向に、前記放熱部材の少なくとも一部を覆い、かつ、前記基板を覆わずに配置される第二側面を有し、
前記保護部材は、前記基板の前記第一軸方向に係る前記端部に対して、前記第二側面よりも、前記第一軸の方向に離れた位置に配置されていることを特徴とする、光照射ユニット。
【請求項2】
前記端面は、前記基板の第一軸の方向に係る両端にそれぞれ設けられ、
前記両端にそれぞれ設けられた前記端面は、前記筐体から露出しているか、又は、取り外し可能な保護部材で覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の光照射ユニット。
【請求項3】
前記第二側面は、前記第一軸の方向に、前記放熱部材の少なくとも一部分を挟むように二つ有することを特徴とする、請求項
1に記載の光照射ユニット。
【請求項4】
前記複数の光源が、前記第一軸の方向にa(mm)の間隔で配列され、
露出している、又は取り外し可能な保護部材で覆われている前記端面と、前記複数の光源のうち前記端面から最も近い光源の中心と、の前記第一軸の方向における間隔が、b(mm)であるとき、b=a/2の関係を満たすことを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の光照射ユニット。
【請求項5】
前記筐体又は前記放熱部材に固定される支持部材により支持され、前記複数の光源から出射する光を透過する、光学部材を備え、
前記光学部材の前記第一軸の方向の長さが、前記基板の前記第一軸の方向の長さと同じであることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の光照射ユニット。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の光照射ユニットを、前記第一軸の方向に連接させた光照射装置であって、
隣り合う前記光照射ユニットにおいて対向配置される前記基板の前記端面は、それぞれ、露出した状態、又は、前記保護部材を取り外した状態で、互いに接触又は近接していることを特徴とする、光照射装置。
【請求項7】
前記光照射ユニットは、前記筐体又は前記放熱部材に固定される支持部材により支持され、前記複数の光源から出射する光を透過する、光学部材を備え、
隣り合う前記光照射ユニットが有する前記光学部材は、互いに接触していることを特徴とする、請求項
6に記載の光照射装置。
【請求項8】
隣り合う前記光照射ユニットが有する前記放熱部材は、互いに接触していることを特徴とする、請求項
6又は
7に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光照射ユニット及び光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED等の光源を用いた光照射装置が、印刷用インクの硬化やディスプレイ製造用基板の貼り合わせに使用する接着剤の硬化などに利用されている。光を照射する印刷用紙やディスプレイ基板の大きさは多様であるため、印刷用インクの硬化装置(印刷装置)やディスプレイ基板の貼り合わせ装置(ディスプレイ製造装置)に組み込む光照射装置として、照射対象物の大きさに合わせて照射エリアを柔軟に変更できる光照射装置の提供を、市場から要請されている。
【0003】
この要請に応えるため、例えば、
図11のように、光学部材97から既定サイズの光を照射する光照射ユニット(90a,90b)を、必要な数(
図11では2個)だけ一方向(Y軸方向)に連接し、照射対象物の大きさに合わせた大きさの照射エリアを形成できる、光照射装置が知られている(特許文献1)。また、特許文献1には、光照射装置が連接された境界付近の局所的な照度低下(リップル)を抑えるため、各光照射ユニット(90a,90b)のY軸方向の端部領域に、中央領域よりも多くの光源を配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
市場から、照射エリアのさらなる照度均一性向上が期待されている。かかる期待に応えるため、本発明者らは、まず、光照射ユニットの端部領域において照度が低下する要因を分析した。分析の結果、以下に説明する要因を突き止めた。
【0006】
図12は、
図11におけるB1領域(YZ平面に平行な、光照射ユニット(90a,90b)を連接する領域の断面)の拡大図である。光照射ユニット90aは筐体の側面91aを有し、光照射ユニット90bは筐体の側面91bを有する。光照射ユニット90aが有する複数の光源のうち、最も光照射ユニット90bに近い光源95a
1と、光照射ユニット90bが有する複数の光源のうち最も光照射ユニット90aに近い光源95b
1との間には、筐体の側面(91a,91b)がある。
【0007】
ここで、光照射ユニット90aが有する光源(95a1~95a3)の出射光について分析したところ、基板94の端部近傍の光源95a1及び光源95a2から出射される光束L1の一部が、筐体の側面91aのE1領域で遮られることが判明した。詳述すると、端部近傍の光源95a1及び光源95a2から出射される光束L1のうち、光軸方向(+Z方向)の光線は問題なく出射されるものの、光軸に対して光照射ユニット90b側に向かう光線は筐体の側面91aのE1領域に遮られ、光照射ユニット90b側に向かう光線の進行方向における照度が低下する。その結果、光源95a1から出射される光束の照射領域は、理想の領域R1から実際の領域R2まで狭められる。
【0008】
他方、基板94の端部から離れた光源95a3は、筐体の側面91aから遠いため、光源95a3の大部分の出射光は筐体の側面91aで遮られない。そのため、光学部材97を透過する光のうち筐体の側面91aの部分(光照射ユニット90aのY軸方向の端部領域)における照度が、光照射ユニット90aのY軸方向の中央領域の照度に比べて低下していた。このような照度低下は、光源95a1と筐体の側面91aとが近接して配置されるほど顕著となり、筐体の側面91aが長く設計されるほど顕著となる。光照射ユニット90bについても同様のことがいえる。
【0009】
本発明者らは、筐体の側面91aによって、基板の端部近傍の光源から出射される光束の照射領域が狭められるという上記要因分析に基づいて、特許文献1に記載の手段とは異なるアプローチで基板の端部における照度低下を抑制し、照度均一性を向上させる手段を検討した。本発明は、光照射ユニットを連接させて形成した光照射装置の照射エリアにおいて高い照度均一性を実現する光照射ユニット、及び当該光照射ユニットを連接させた光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
光照射ユニットは、第一軸を長手方向とする基板と、
前記基板の第一面側に、前記第一軸に沿って並んで配置される複数の光源と、
前記基板の前記第一面に反対の第二面側に、配置される放熱部材と、
前記第一面に沿って前記第一軸に直交する第二軸の方向に、前記放熱部材を挟む一対の第一側面を有する筐体と、を備え、
前記基板は、前記第一軸の方向に係る端部に前記第一軸と交差する端面を有し、前記端面の前記第一軸の方向における位置は、前記第一側面の前記第一軸の方向に係る端縁の近傍にあり、
前記端面は、前記筐体から露出しているか、又は、取り外し可能な保護部材で覆われている。
【0011】
詳細は後述するが、この光照射ユニットを第一軸の方向に連接させる場合に、基板の端面を筐体から露出させることができるので、隣り合う光照射ユニット間に筐体がない。これにより、基板の端部近傍の光源からの出射光が筐体に遮られず、光照射ユニットを連接させて形成した光照射装置の、照射エリアの照度均一性が向上する。
【0012】
前記端面は、前記基板の第一軸の方向に係る両端にそれぞれ設けられ、
前記両端にそれぞれ設けられた前記端面は、前記筐体から露出していても構わない。
【0013】
前記筐体は、前記第一軸の方向に、前記放熱部材の少なくとも一部分を覆い、且つ、前記基板を覆わずに配置される第二側面を有しても構わない。さらに、前記第二側面は、前記第一軸の方向に、前記放熱部材の少なくとも一部分を挟むように二つ有しても構わない。
【0014】
前記複数の光源が、前記第一軸の方向にa(mm)の間隔で配列され、
露出している、又は取り外し可能な保護部材で覆われている前記端面と、前記複数の光源のうち前記端面から最も近い光源の中心と、の前記第一軸の方向における間隔が、b(mm)であるとき、b=a/2の関係を満たしても構わない。
【0015】
前記筐体又は前記放熱部材に固定される支持部材により支持され、前記複数の光源から出射する光を透過する、光学部材を備え、
前記光学部材の前記第一軸の方向の長さが、前記基板の前記第一軸の方向の長さと同じであっても構わない。
【0016】
光照射装置は、上述の光照射ユニットを、前記第一軸の方向に連接させた光照射装置であって、
隣り合う前記光照射ユニットにおいて対向配置される前記基板の前記端面は、それぞれ、露出した状態、又は、前記保護部材を取り外した状態で、互いに接触又は近接している。
【0017】
前記光照射装置において、前記光照射ユニットは、前記筐体又は前記放熱部材に固定される支持部材により支持され、前記複数の光源から出射する光を透過する、光学部材を備え、隣り合う前記光照射ユニットが有する前記光学部材は、互いに接触していても構わない。また、隣り合う前記光照射ユニットが有する前記放熱部材は、互いに接触していても構わない。
【発明の効果】
【0018】
以上により、光照射ユニットを連接させて形成した照射エリアにおいて高い照度均一性を実現する光照射ユニット、及び当該光照射ユニットを連接させた光照射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第一実施形態の光照射ユニットを示す斜視図である。
【
図4】光照射ユニットを一方向に連接させた光照射装置の斜視図である。
【
図6】第二実施形態の光照射ユニットを示す斜視図である。
【
図8】第三実施形態の光照射装置における二つの光照射ユニットの隣り合う部分を、+Z側から-Z側に見た拡大図である。
【
図9】第四実施形態の光照射ユニットの斜視図である。
【
図10】第四実施形態の光照射ユニットを連接させた光照射装置における、YZ平面に平行な、光照射ユニットの連結領域の断面を示す。
【
図11】従来の光照射ユニットを連接させた光照射装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第一実施形態>
光照射ユニットの一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書に開示された各図面は、あくまで模式的に図示されたものである。すなわち、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しておらず、また、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。
【0021】
以下において、XYZ座標系を適宜参照して説明される。また、本明細書において、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0022】
図1を参照しながら光照射ユニットの一実施形態を説明する。
図1は、光照射ユニット100の斜視図である。本実施形態の光照射ユニット100は、Y軸(第一軸)を長手方向とする基板10と、Y軸に沿って並んで配置される複数の光源20と、放熱部材30と、筐体40と、取り外し可能な保護部材50と、光源20の射出光を透過する光学部材55と、光学部材55を支持する支持部材53と、を含む。なお、
図1では、基板10と光源20とを見やすく示すために、光学部材55を光照射ユニット100から取り外した状態で示している。また、放熱部材30を見やすく示すために、保護部材50を光照射ユニット100から取り外した状態で示している。
【0023】
図2は、
図1のXZ平面に平行なA1領域の断面を拡大した図である。
図3は、
図1のYZ平面に平行なA2領域の断面を拡大した図である。なお、
図2及び
図3では、光学部材55を光照射ユニット100に取り付けた状態で示している。
図1に加えて、
図2及び
図3を参照しながら、光照射ユニット100の説明を続ける。
【0024】
図2を参照して、基板10は、+Z側の第一面10aと、第一面10aの反対側である-Z側の第二面10bと、-Y方向に係る端部に位置し、Y軸と交差する(又は、直交する)端面10cと、を有する。また、基板10は、+Y方向に係る端部に位置し、Y軸と交差する(又は、直交する)、端面10cの反対側の端面(不図示)も有する。光源20は、基板10の第一面10a側に配置され、放熱部材30は第二面10b側に配置される。光源20と第一面10aとの間、及び、放熱部材30と第二面10bとの間には、他の部材(例えば熱伝導性を向上させるグリス)が配置されても構わない。
【0025】
光源20から+Z側へ出射された出射光が光学部材55を透過すると、光照射ユニット100からの出力光となる。本実施形態では、光源20として、紫外光を出射するLED21を使用している。
図3に示されるように、このLEDは、個々のLED21の上に、個々のレンズ22で覆われて構成される。本実施形態では、レンズ22は、Y軸方向にほぼ隙間なく並べられ、最も端に位置する光源20aのレンズの端は、基板10の端面10cから隙間がない。しかしながら、光源20の種類(LEDやLDなど)及び波長、各光源の部材(レンズを含む)構成、レンズ22間の間隔、基板10の端面10cから最も端に位置する光源20aのレンズの端までの隙間の大きさ、及び各光源20間の配置間隔は、一例を示すものであって、これに限定されない。
【0026】
放熱部材30は、光源20で発生する熱を取り除くために使用される。
図3を参照して、放熱部材30は、第二面10bに近い位置にある本体31と、本体31から-Z方向に突き出る複数のフィン32と、から構成される。複数のフィン32が配置される領域のY軸方向の長さは、本体31のY軸方向における長さより小さい。
【0027】
図2を参照して、筐体40は、第一面10aに沿ってY軸に直交するX軸(第二軸)の方向に、放熱部材30を挟む一対の第一側面41を有する。すなわち、一対の第一側面41は、放熱部材30の全体を+X側及び-X側から挟む。本実施形態の第一側面41は、YZ平面に平行に構成されている。
【0028】
第一側面41には、フィン32の近くに放熱用の開口44(
図1参照)を配置している。開口44を介して、フィン32に溜まった熱を光照射ユニット100の外部へ排出する。光照射ユニット100の筐体40内にクーリングファン(不図示)を配置し、フィン32の排熱を促進させてもよい。
【0029】
図1及び
図3を参照して、筐体40は、Y軸の方向に、放熱部材30の一部分であるフィン32を挟む一対の第二側面42を有する。すなわち、一対の第二側面42は、放熱部材30のフィン32を+Y側及び-Y側から挟む。本実施形態の第二側面42は、XZ平面に平行に構成されている。
【0030】
筐体40は、XY平面に平行な底面43を有する(
図1参照)。底面43には、冷却のための空気を光照射ユニット100内に取り込むための開口(不図示)を設けてもよい。
【0031】
光学部材55は、本実施形態において矩形のガラス板で構成される、支持部材53は、矩形のガラス板の四辺を囲う枠形状であり、支持部材53が光学部材55の四辺を支持している。支持部材53のうち、Y軸方向における両端のX軸方向に延びる枠(
図3においてハッチングされた部分)は、出射光の妨げにならないように細く形成されていると好ましい。
図2に示されるように、支持部材53は、放熱部材30に接して固定されている。また、本実施形態において、支持部材53は、筐体40の第一側面41に接している。
【0032】
基板10の端面10cのY軸の方向における位置は、第二側面42の表面42s(
図3参照)又は第一側面41のY軸の方向に係る端縁41c(
図1参照)の近傍にある。つまり、基板10の端面10cが、表面42s又は端縁41cよりも近傍の範囲に位置するように、基板10を光照射ユニット100のY軸方向の端まで延ばすことができる。近傍とは、端面10cが端縁41cから10mm以下の範囲にあることを指し、好ましくは5mm以下の範囲にあることを指し、より好ましくは3mm以下の範囲にあることを指す。これは、光源20を光照射ユニット100の端部に配置することを表し、これにより、光照射ユニット100の端部領域における照度低下を抑制する。
【0033】
基板10の端面10cが、表面42s又は端縁41cよりも近傍の範囲に位置する範囲内で、基板10が筐体40から突き出るようにしてもよい。光源20を、光照射ユニット100のできるだけ端に配置し、光照射ユニット100の端部領域における照度低下を抑制しやすくする。
【0034】
基板10の端面10cが、表面42s又は端縁41cよりも近傍の範囲に位置する範囲内で、基板10が光照射ユニット100の内部に引っ込むようにしてもよい。光照射ユニット100を連接させるときに、不意な基板10への接触による破損を起こしにくくなる。
【0035】
本実施形態では、複数のフィン32が配置される領域のY軸方向の長さが、本体31のY軸方向における長さより小さいため、筐体40の第二側面42を、複数のフィン32のY軸方向外側に配置させた場合に、第二側面42の表面42sを、放熱部材30の端面31cとY軸方向において同じ位置になるように(面一となるように)形成できる。また、基板10の端面10c又は放熱部材30の端面31cのY軸方向における位置を、表面42s又は端縁41cのY軸方向における位置と一致させることができる。
【0036】
第二側面42は、放熱部材30の少なくとも一部分であるフィン32を覆い、放熱部材30の端面31c及び基板10の端面10cを覆っていない。そこで、光照射ユニット100を単体で使用又は運搬するとき、基板10の端面10cと、放熱部材30の端面31cとを覆い保護するための保護部材を、任意に設けてもよい。
図3のD1領域は、光照射ユニット100に保護部材50が取り付けられるときの、保護部材50の取り付け位置を表している。光照射ユニット100に保護部材50が取り付けられていないとき、又は保護部材50を設けないとき、基板10の端面10c及び放熱部材30の端面31cは、筐体40から露出する。
【0037】
上述したように、基板10の端面10cのY軸の方向における位置が、第一側面41のY軸の方向に係る端縁41cの近傍、又は、第二側面42の表面42sの近傍にあり、端面10cが筐体40から露出しているか、又は、取り外し可能な保護部材50で覆われている形態を有する光照射ユニット100は、光照射ユニット100を一方向に連接させて光照射装置を形成するときに、光照射装置の照射エリアの照度均一性を向上させる。その理由を、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
【0038】
図4は、光照射ユニット100を一方向(Y軸方向)に連接させた光照射装置150の斜視図である。-Y側に配置された光照射ユニット100を光照射ユニット100aと呼び、+Y側に配置された光照射ユニット100を光照射ユニット100bと呼ぶ。
【0039】
図5は、
図4におけるC1領域の拡大図である。C1領域は、YZ平面に平行な、光照射ユニット100aと光照射ユニット100bとが連接された領域の断面を示す。
図5に参照されるように、保護部材50を有するときは保護部材50を取り外して互いの端面10cを接触又は近接して配置できる。よって、連接領域における光源20の間隔が開きすぎない。そして、基板10が筐体40の第二側面42から露出しているため、両光照射ユニット(100a,100b)の間に第二側面42が存在しない。よって、光源20からの出射光(例えば
図5における光束L
2)が第二側面42で遮られることがない。
【0040】
これにより、基板10の端部領域の光源からの出射光の光量と基板10の中央領域の光源からの出射光の光量との差が小さくなり、光照射装置150としての照射エリアの照度均一性が向上する。
【0041】
図3を参照して、本実施形態では、放熱部材30の端面31cのY軸方向における位置が、端面10cのY軸方向における位置と一致している。これにより、
図5に見られるように、隣り合う光照射ユニット(100a,100b)の放熱部材30の本体31間も接触できる。そうすると、光照射装置150において、光照射ユニット(100a,100b)それぞれの放熱部材30の間で、熱のばらつきが生じた場合に、温度の高い放熱部材から温度の低い放熱部材へ熱伝達されるため、放熱部材間の熱のばらつきが小さくなる。
【0042】
基板10の端面10cを、放熱部材30の端面31cよりも、光照射ユニット(100a,100b)の内側に配しても構わない。そうすると、光照射ユニット100を連接させるとき、放熱部材30の端面31c間が接触しても、基板10の端面10cの間が接触し難くなり、基板10間の不意な接触による破損を抑制できる。
【0043】
図3では、基板10の-Y側の端面10cについて説明したが、上述の説明は、端面10cと対になる+Y側の端面についても同様のことがいえる。
【0044】
上述したように、光照射ユニット100において任意に設けられる保護部材50は、光照射ユニット100を単体で使用又は運搬するときに、基板10の端面10cと、放熱部材30の端面31cとを保護できる。また、保護部材50をD1領域(
図3参照)に取り付けたとき、保護部材50が支持部材53から基板10までを覆うので、基板10の配置される空間を外部から分離することができる。よって、作業者が基板10を不意に触れて感電するリスクを低減できるとともに、基板10や光源20、光学部材55の内面にゴミ等の微粒子が付着することを防止できる。もちろん、基板10の端面10cを保護部材50で覆うことなく、光照射ユニット100を構成しても構わない。この場合には、保護部材50の取り外し作業を行うことなく、光照射ユニット100を連接できる。
【0045】
保護部材50は金属製でも樹脂製でも構わない。保護部材50を取り外し可能に固定する方法として、本実施形態では、
図1に示されるように、放熱部材30の本体31にねじ孔35を設け、ねじ51を使用して保護部材50を放熱部材30に固定している。これにより、保護部材50を高精度に位置決めして固定できる。また、本体31にあるねじ孔35にニップル等の連結可能なねじを挿入し、光照射ユニット100の連接に使用しても構わない。
【0046】
保護部材50の固定は、例えば、粘着テープなど、ねじ51以外の方法を採用しても構わない。また、保護部材50の固定先を筐体40にしても構わない。また、保護部材50自体が、粘着テープでも構わない。
【0047】
<第二実施形態>
第二実施形態の光照射ユニットを説明する。以下に説明する以外の事項は、第一実施形態と同様に実施できる。第三実施形態以降についても同様である。
図6は、光照射ユニット200の斜視図である。
図7は、
図6のYZ平面に平行なA3領域の断面を拡大した図である。
【0048】
光照射ユニット200において、第二側面46は、放熱部材30の全体、すなわち、本体31(端面31c)及びフィン32の両方を覆っている。D2領域は、保護部材60が固定される領域である。基板10の端面10cのY軸方向における位置と本体31の端面31cのY軸方向における位置は、一致している。この光照射ユニット200をY軸方向に連接するとき、基板10の端面10cは、第二側面46の厚み分だけ、光照射ユニット200の内側(第一側面41の端縁41cより+Y側)に位置する。ただし、第二側面46の厚みは薄いので、端面10cが、第二側面46の厚み分内側に位置した場合でも、端面10cはY軸の方向において第一側面41の端縁41cの近傍に位置している。基板10の端面10cが、光照射ユニット200の内側に位置することの効果は、上述したように、基板10間の不意な接触による破損を抑制できる。
【0049】
<第三実施形態>
図8は、第三実施形態の光照射装置300における、二つの光照射ユニット(300a,300b)の連接部分のみを+Z側から-Z側に見た拡大図である。ただし、説明の都合上、光学部材55と、各々の光源20に設けられるレンズ22を描いていない。
【0050】
光照射装置300は、同じ仕様の光照射ユニット(300a,300b)の端面10cが接触するように配列されている。光照射ユニット内のLEDチップ(21a~21c,21d~21f)はY軸方向にa(mm)の一定間隔で配列される。端面10cと、LEDチップ(21a~21f)のうち端面10cから最も近いLEDチップ(21c,21d)の中心と、のY軸方向における間隔はb(mm)である。そして、b=a/2の関係を満たす。
【0051】
上述の関係を満たすように光照射ユニット(300a,300b)を連接させた光照射装置300は、光照射ユニット(300a,300b)が連接される場所においても、LEDチップ(21a~21f)の間隔がa(mm)の一定間隔を保つ。よって、光照射装置300として照射エリアの照度均一性が向上する。ただし、上述の関係を厳密に満たす必要はなく、設計誤差を許容するものである。
【0052】
<第四実施形態>
図9及び
図10を参照しながら、第四実施形態の光照射ユニットを説明する。
図9は光照射ユニット400の斜視図である。光照射ユニット400において、光学部材56を支持する支持部材54は、光学部材56の+X側と-X側それぞれから、光源20からの出射光を透過する光学部材56を支持する。しかしながら、支持部材54は、光学部材56のY軸方向の端面56cを支持しない。光学部材56のY軸方向の長さは、基板10のY軸方向の長さと同じである。なお、本実施形態において、光学部材56は、Y軸に平行な軸を中心とする円筒状のロッドレンズであるが、光学部材56はこの形状に限らない。
【0053】
図10は、光照射ユニット400と同じ光照射ユニット(400a,400b)を、Y軸方向に連接させた光照射装置500における、YZ平面に平行な、光照射ユニット400aと光照射ユニット400bとの連結領域の断面を示す。隣り合う光照射ユニット(400a,400b)が有するそれぞれの光学部材56は、互いの端面56cを突合せるように接触している。本実施形態の光照射装置500には、第一実施形態において連接部分に存在する、出射光を部分的に遮る支持部材53の枠(
図5のハッチング領域)が存在しない。よって、光照射装置500の照射エリアの照度均一性が向上する。
【0054】
以上で第一実施形態~第四実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、上述した各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上述の各実施形態を組み合わせることができる。さらに、各実施形態又は組み合わせた各実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変更又は改良を加えることができる。各実施形態又は組み合わせた各実施形態に変更又は改良した例を以下に示す。
【0055】
上記実施形態では、複数の光源20はY軸に沿って一列に並んで配置されているが、複数列に並んで配置しても構わない。また、光源20を複数列に配置するとき、列と列との間に隙間を有しても構わない。
【0056】
上述した第二側面42は、必ずしも必須の構成ではない。第二側面42自体が存在しない筐体でも構わないし、第二側面42全体が、取り外し可能な保護部材で構成されていても構わない。
【0057】
光照射ユニットが有するY軸に交差する一対の側面のうち、片方の側面を上述の第二側面42の構成を有する側面とし、もう一方の側面は、側面全体を覆い、取り外しが容易でない筐体で構成されても構わない。このような光照射ユニットは、例えば、光照射ユニットを連接した光照射装置において、端部配置専用の光照射ユニットとして使用できる。
【0058】
上記実施形態では、光照射ユニットを連接させる数が二つの例を説明したが、三つ以上の光照射ユニットを連接させてもよい。また、連接させる光照射ユニットは、同じ仕様の光照射ユニットだけでなく、異なる仕様の光照射ユニットを連接させても構わない。
【符号の説明】
【0059】
10 :基板
10a :(基板の)第一面
10b :(基板の)第二面
10c :(基板の)端面
20 :光源
21 :LEDチップ
22 :レンズ
30 :放熱部材
31 :(放熱部材の)本体
31c :(放熱部材の本体の)端面
32 :(放熱部材の)フィン
35 :ねじ孔
40 :筐体
41 :(筐体の)第一側面
41c :(筐体の第一側面の)端縁
42,46:(筐体の)第二側面
43 :(筐体の)底面
44 :(筐体の)開口
50,60:保護部材
51 :ねじ
53,54:支持部材
55,56:光学部材
56c :(光学部材の)端面
100,100a,100b,200,300a,300b,400,400a,400b:光照射ユニット
150,300,500 :光照射装置