(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ラベル貼付システム
(51)【国際特許分類】
B65C 9/40 20060101AFI20231221BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20231221BHJP
G01B 11/04 20060101ALI20231221BHJP
G01G 23/42 20060101ALI20231221BHJP
G01G 11/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B65C9/40
G01B11/06 101Z
G01B11/04 101Z
G01G23/42 D
G01G11/00 Z
(21)【出願番号】P 2019117069
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-06-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月11日 国際物流総合展2018にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】荻野 真奈美
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151956(JP,A)
【文献】特開2008-058251(JP,A)
【文献】特開2001-122234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00-11/06
G01B11/00-11/30
G01G 1/00-11/20
G01G21/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される物品
を光学的に検出する第一の物品検出センサと、
所定の印刷情報が印刷されたラベルを前記物品に貼付する貼付手段と、
前記物品を検出し、前記貼付手段の貼付動作の始動タイミングを測るための第二の物品検出センサと
、
所定の制御情報に基づいて前記貼付手段を制御する制御手段と、
前記
第一の物品検出センサによって検出した情報に基づいて前記所定の印刷情報を生成すると共
に前記始動タイミング
に基づいて前記所定の制御情報を生成する情報生成手段と、を備え、
前記貼付手段は、前記ラベルを吸着保持すると共に、前記ラベルを物品に貼付する回転可能なラベル貼付ヘッド、先端に取り付けられたラベル貼付ヘッドを所定の位置へ伸長させるアーム、アームを支持すると共に当該アームを任意の方向へ向ける支持部からな
り、
前記制御手段は、前記第一の物品検出センサが検出した前記物品が所定の高さ以上の場合には、前記第二の物品検出センサによって測られた始動タイミングで前記貼付手段を制御して前記物品にラベルを貼付し、前記第一の物品検出センサが検出した前記物品が所定の高さ未満の場合には、前記第一の物品検出センサによって物品を検出した時点から想定されるタイミングで前記貼付手段を制御して前記物品にラベルを貼付する、
ことを特徴とするラベル貼付システム。
【請求項2】
前記第一の物品検出センサによって検出された情報から算出された前記物品の寸法又は所定の計量手段により取得された前記物品の重量に係る情報を含む印刷情報をラベルに印刷する印刷手段、をさらに備える、
請求項1に記載のラベル貼付システム。
【請求項3】
前記第一の物品検出センサによって前記物品が検出された後、前記第二の物品検出センサによって前記物品が検出されたタイミングが予め想定されたタイミングと異なる場合に、ラベルの貼付の中止を判断し、前記貼付手段に前記ラベルの貼付の中止を指示する第一の判断処理手段、をさらに備える、
請求項
1又は2に記載のラベル貼付システム。
【請求項4】
前記第一の物品検出センサによって検出した前記物品の搬送方向における長さと、前記第二の物品検出センサによって検出した前記物品の搬送方向における長さが異なる場合に、ラベルの貼付の中止を判断し、前記貼付手段に前記ラベルの貼付の中止を指示する第二の判断処理手段、をさらに備える、
請求項
1又は2に記載のラベル貼付システム。
【請求項5】
前記第一の物品検出センサが前記物品から前記物品の姿勢を検出する位置と、前記貼付手段が前記物品にラベルを貼付する位置とが略同一搬送面上にある、
請求項1乃至
4いずれかの項に記載のラベル貼付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路上を搬送される物品に対し、ラベルを精度よく貼付する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムにおいては、搬送路上を搬送される物品に所定の情報が表示されたラベルを貼付することが行われている。ラベルの貼付においては、物品の所定の箇所に正確に貼付することが求められるが、物品に貼付するタイミングを的確に図ると共に、搬送路上を搬送される物品の姿勢を一定に保つことができなければ、物品に貼付するラベルの向きが均一にならないなど、貼付が不正確なものとなる。そこで、搬送路上に、物品の姿勢を検出するためのCCDカメラを設けたシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、流路を俯瞰するように設置されて流路の所定の範囲を撮像する撮像手段、前記撮像手段近傍に設置され、流路または流路上の被検出物までの距離を検出する距離センサ、前記撮像手段により撮像された流路上の被検出物のデジタル画像データにより、被検出物の形状を抽出する形状抽出手段、前記距離センサの検出値変化から被検出物の高さデータを演算するとともに、前記形状抽出手段により抽出された形状データの見かけ上の大きさを、撮像距離に応じた補正値を用いて補正して、被検出物の実際の大きさを演算する演算処理手段、演算処理手段の演算結果を外部に出力する出力手段、とからなる物流情報読取り装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、物品の姿勢を検出CCDカメラ撮像用のコンベアを用意すると、システム全体が長大になるし、これに伴うコストもかかるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、システムを長大にすることなく、ラベルを精度よく物品に貼付することのできるシステムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るラベル貼付システムは、搬送される物品から物品情報を取得する物品情報取得手段と、所定の印刷情報が印刷されたラベルを前記物品に貼付する貼付手段と、所定の制御情報に基づいて前記貼付手段を制御する制御手段と、前記物品情報に基づいて、前記所定の印刷情報と前記所定の制御情報とを生成する情報生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
なお、上記本発明に係るラベル貼付システムは、同様の構成を有する方法あるいはコンピュータプログラムに係る発明として構成することもできる。また、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、システムを長大にすることなく、ラベルを精度よく物品に貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムの全体を示した外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するセンサ群の配置構成を示した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するゲートセンサをA-A断面により示した模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムが備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムが備えるラベル発行機とラベル貼付装置を示した外観斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置のラベル貼付ヘッドを底面側から示した外観斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムを構成するラベル貼付装置の動作を説明する図であって、(a)ラベル発行機からラベルを取得している状態、(b)ラベルを物品に貼付している状態、(c)ラベルが物品に貼付された状態を示す。
【
図8】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係るラベル貼付システムにおいて、物品の姿勢の変化を説明する模式図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係るラベル貼付システムにおいて、ダストボックスを設けた場合の動作を説明する図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係るラベル貼付システムによって実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るラベル貼付システムについて、図を参照して説明する。
図1及び
図2に示されるように、本発明の実施形態に係るラベル貼付システム1は、ベルトコンベア10、センサ群20、ラベル発行機30、ラベル貼付装置40によって構成されたシステムであり、ベルトコンベア10上を搬送される物品Wにラベルを貼付する。
なお、ベルトコンベア10はベルトコンベア11、12、13、14、15を総称したものであり、センサ群20は物品検出センサ21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、22、及びゲートセンサ23を総称したものである。
【0012】
●ベルトコンベア10
ベルトコンベア10は、ラベルを貼付する物品Wの搬送路を構成すると共に、当該物品Wを搬送する搬送手段である。
このベルトコンベア10は、直列且つ隣接して一直線上に配置された複数のベルトコンベア11、12、13、14、15によって構成されている。
【0013】
このうち、ベルトコンベア11、12では、搬送される物品Wの通過が検出されると共に、物品Wの外形寸法の算出や計量などが行われる。また、ベルトコンベア14では、搬送されてきた物品Wにラベルが貼付される。
また、これら複数のベルトコンベア11、12、13、14、15の搬送面はいずれも、略同一平面上にあり、物品Wは持ち上げられたりすることなく搬送されると共にラベルが貼付されるため、物品Wの破損を防ぐことができる。
【0014】
●センサ群20
ベルトコンベア10には、ベルトコンベア10上を搬送される物品Wから物品情報を取得する物品情報取得手段として、センサ群20が設けられている。このセンサ群20は、物品検出センサ21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、22とゲートセンサ23によって構成される。
【0015】
センサ群20のうち、物品検出センサ21a~21hは、ベルトコンベア11、12の搬送方向に沿って一定間隔で連続的に設けられており、搬送される物品Wの移動を検出する。この物品検出センサ21a~21hは夫々、ベルトコンベア11、12の幅方向に対向して設けられた発光部と受光部からなるフォトセンサによって構成され、発光部と受光部の間に形成される光路の遮断を検出することにより、所定の位置における物品Wの移動を検出する。これらの物品検出センサ21a~21hによって検出された情報は、物品Wの寸法や形状などを算出ないしは計測するための物品情報となる。
【0016】
一方、物品検出センサ22は、ベルトコンベア13の搬送方向下流側の端部近傍に設けられている。この物品検出センサ22もまた、ベルトコンベア13の幅方向に対向して設けられた発光部と受光部からなるフォトセンサによって構成され、発光部と受光部の間に形成される光路の遮断を検出することにより、所定の位置における物品Wの移動を検出する。
この物品検出センサ22による物品Wの検出時点に係る情報は、ベルトコンベア13の下流側に隣接するベルトコンベア14上において、ラベル貼付装置40によって物品Wにラベルを貼付する動作を始動させるタイミング、即ち物品Wにラベルを貼付するタイミングを測るための情報となる。
【0017】
なお、物品検出センサ21a~21h、22はいずれも、ベルトコンベア11、12、13の搬送面から一定の高さだけ高い位置に設けられている。このような位置に設けられているのは、フォトセンサによって構成される物品検出センサ21a~21h、22において、発光部から発せられた光が搬送面に反射等して検出の感度や精度が低下するのを防ぐためである。もっとも、このような位置に設けられているために、物品Wが厚みのない薄物である場合には、当該物品Wを検出することができず、そのために後述の通り、物品Wが薄物であるか否かによって異なる処理が要求される。
【0018】
ゲートセンサ23は、
図3にも示されるように、ベルトコンベア11、12上を搬送される物品Wについて、その寸法や端部を検出するためのセンサであり、ベルトコンベア11とベルトコンベア12の間に設けられている。このゲートセンサ23は、ベルトコンベア11、12の搬送面を跨ぐゲート型のフレーム231と、該フレーム231に備えられ、ベルトコンベア11、12の搬送面を挟んで上下に対向して配置された複数の発光部23aと受光部23bからなるフォトセンサ、及び搬送路の幅方向に対向して配置された複数の発光部23cと受光部23dからなるフォトセンサとによって構成される。フォトセンサは、発光部23a(23c)からの光を受光部23b(23d)が受けて信号としており、ベルトコンベア11、12上を搬送される物品Wが、発光部23a(23c)と受光部23b(23d)の間に形成される光路を遮ることで発生する信号の変化を読み取り、物品Wを検出することができる。さらには、信号をサンプリングし、順次のサンプル値が大きく変化するのを検知することにより、物品Wの端部(搬送方向に沿った先端あるいは後端)を判定することができる。また、発光部23cと受光部23dは、最も低い位置では搬送面上に配置されると共に、鉛直方向に順次配置されていることから、物品Wの高さ方向の端部が検出され、物品Wの高さを計測することができる。
【0019】
上述の通り、ゲートセンサ23を構成する発光部23aと受光部23bは、ベルトコンベア11、12の搬送面を挟んで上下に対向して配置されているため、物品Wの厚さによらず、どのような形状からなる場合でもその移動を検出することができる。他方、物品検出センサ21a~21hは、搬送面よりも一定の高さだけ高い位置にあるため、物品Wが薄物である場合には、その移動を検出できない場合がある。
【0020】
なお、センサ群20は、ベルトコンベア10の搬送方向に沿って、上流側と下流側に分かれて配されており、以下では、上流側にある物品検出センサ21a~21h、22とゲートセンサ23を第一センサと称し、下流側にある物品検出センサ22を第二センサと称することがある。
【0021】
また、図示省略しているが、ベルトコンベア11、12には物品情報取得手段として他に、搬送される物品Wの重量を計量する計量手段が備えられているほか、物品Wに貼付又は印字等されたバーコード等の情報を読み取るカメラなどが適宜に備え付けられている。
【0022】
●機能部
ラベル貼付システム1は、
図4に示されるように、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)101などの演算装置、RAM(Random Access Memory)102やROM(Read Only Memory)103などの記憶装置により、ソフトウェア資源として少なくとも情報生成部を備える。
【0023】
情報生成部は、センサ群20による検出情報から構成される物品情報に基づいて、ラベル発行機30がラベルに印刷する内容に係る印刷情報と、ラベル貼付装置40を制御するための制御情報とを生成する。
印刷情報には例えば、物品Wの外形寸法や重量、あるいは物品Wに貼付又は印字等されたバーコード等を読み取って得られた情報などが含まれる。なお、物品Wの外形寸法は、センサ群20によって検出された物品Wの端部間の距離などから算出される。
【0024】
物品Wにラベルを貼付すべくラベル貼付装置40を制御するための制御情報は、センサ群20による物品Wの検出結果に応じて、第一の制御情報あるいは第二の制御情報のいずれかによって構成される。
第一の制御情報は、物品検出センサ21a~21hによって物品Wの移動が検出された場合、即ち物品Wが一定の厚みを有するものである場合に生成される制御情報である。
【0025】
この第一の制御情報による制御では、
図2に示される物品検出センサ22において物品Wの通過が検出されたのに応じて、ラベル貼付装置40の制御を開始し、物品Wにラベルを貼付する。即ち、ラベル貼付装置40は、ラベル発行機30から発行されたラベルを保持すると共にアーム42をベルトコンベア14上に伸長させて待機する。そして、ラベルが貼付されるベルトコンベア14上に物品Wが到達するタイミングを物品検出センサ22で測り、物品検出センサ22において物品Wが検出されたのに合わせて物品Wの上面にラベルを貼付する。
【0026】
一方、第二の制御情報による制御では、物品検出センサ21a~21hによっては物品Wの移動が検出されず、ゲートセンサ23によってのみ物品Wの移動が検出された場合、即ち物品Wが厚みのない薄物である場合に、ゲートセンサ23において物品Wの通過が検出されたのに応じて、物品Wがラベルの貼付位置に到達する時間を予測してラベルの制御を開始し、物品Wにラベルを貼付する。即ち、ゲートセンサ23において物品Wが検出されたのに応じて、ゲートセンサ23からラベルの貼付位置に物品Wが到達する時間を搬送速度と距離から算出し、これと同時にラベル貼付装置40は、ラベル発行機30から発行されたラベルを保持すると共にアーム42をベルトコンベア14上に伸長させて待機する。そして、算出された時間からラベルを貼付するタイミングを測り、物品Wの上面にラベルを貼付する。
【0027】
ここで、上述の通り、物品検出センサ21a~21hは、搬送面よりも一定の高さだけ高い位置にあるため、物品Wが薄物である場合には、その移動を検出できない場合がある。他方、ゲートセンサ23を構成する発光部23aと受光部23bは、搬送面を挟んで上下に対向して配置されているため、物品Wがどのような形状からなる場合でも、その移動を検出することができる。
そのため、情報生成部は、物品検出センサ21a~21hによって物品Wが検出された場合には第一の制御情報を生成し、物品検出センサ21a~21hによって物品Wが検出されず、ゲートセンサ23によってしか物品Wの移動が検出されなかった場合には、物品Wは所謂薄物であるものと認識して第二の制御情報を生成する。
【0028】
●ラベル発行機30
図5に示されるラベル発行機30は、所定の印刷情報をラベルに印刷することにより、物品Wに貼付するラベルを発行するラベル発行手段である。
このラベル発行機30は例えば、ラベルロール、印刷機構、フィード機構等を備えている。
【0029】
ラベルロールは、長尺の帯状の台紙上にラベルを一定間隔で仮着させたラベル用紙をロール状に巻回させたものである。ラベルは、一面側が粘着材の付着した接着面、他面側が印刷される印刷面を構成しており、接着面を剥離紙からなる台紙に剥離可能に接着させている。
【0030】
印刷機構は、サーマルヘッドや、サーマルヘッドと対向した位置に配置された押えローラ等で構成されている。サーマルヘッドは、フィード機構によって送り出されたラベル用紙上のラベルに1ドットラインずつ印刷する。印刷内容は、上述した情報生成部によって生成された印刷情報に応じたものであり、物品Wの外形寸法や重量、これらの情報をコード化した情報などが含まれる。
【0031】
フィード機構は、モータによって駆動回転するローラ等を備え、ラベルロールからラベル用紙を引き出して印刷機構へ送り出したり、印刷機構によって印刷されたラベルを、ラベル貼付装置40がラベルを保持するための保持部31上に送り出したりする。
【0032】
このような構成を備えたラベル発行機30は、
図5に示されるように、ベルトコンベア14の脇において、ラベル貼付装置40が支持部43周りにアーム42を回転させるのを妨げないように配置されている。
また、ラベル発行機30は、下流側に配置されたラベル貼付装置40側に向けて保持部31を備えている。保持部31は網目状の部材であり、フィード機構によって送り出されたラベルをその上面に保持する。ラベルは、印刷面を上面側、接着面を下面側として保持部31上に保持されるところ、保持部31が網目状であることから、ラベル貼付装置40がラベルを上面側から吸着すると、ラベルは保持部31上から容易に離れてラベル貼付装置40のラベル貼付ヘッド41に吸着保持される。
【0033】
●ラベル貼付装置40
図5に示されるラベル貼付装置40は、所定の印刷情報が印刷されたラベルを物品Wに貼付するラベル貼付手段であり、ラベル発行機30で発行されたラベルを保持すると共に、当該保持したラベル5を接着面から物品Wに押し付けることにより、物品Wにラベルを貼付する。
【0034】
このラベル貼付装置40は、ラベル5を吸着保持すると共に、当該ラベル5を物W品に貼付するラベル貼付ヘッド41、先端に取り付けられたラベル貼付ヘッド41を所定の位置へ伸長させる略棒状のアーム42、アーム42を支持すると共に当該アーム42を任意の方向へ向ける支持部43から構成される。
【0035】
ラベル貼付ヘッド41は
図6に示されるように、平たい略直方体状の本体411を備えており、その底面側は、ラベルを印刷面側から吸着保持する吸着面4111を構成している。
吸着面4111には、吸付口412aから吸気することによってラベル5を吸着面4111に吸着させる吸着部412と、吸着面4111に吸着されたラベル5を、吸着方向とは逆向きに押し返す押返機構としての突起部413とが設けられている。
【0036】
横から見たラベル貼付ヘッド41の本体411は平面状の形態を有しているが、これに限られず、吸着部412でラベル5を保持できると共に、吸着面4111に吸着されたラベル5を本体411の形状自体や突起部413により吸着方向とは逆向きに押し返して反り返らせることができれば、本体411や吸着面4111の形状は他の形状であってもよい。
例えば、本体411の形状が円弧状であったり、湾曲状であったり、吸着面4111に凹凸の形状が施されていてもよい。
【0037】
吸着部412は、一端側に吸付口412aを備えると共に、他端側にエアチューブが接続される接続口を備えており、接続口に接続されるエアチューブには、吸付口412aから吸気するための真空ポンプが接続されている。また、この吸着部412は本例では二つ設けられており、それぞれ、吸着面4111において幅方向に並んで設けられた一対の貫通孔411aに収められている。この貫通孔411aからは、吸着面4111側において吸付口412aが露出し、吸着面4111とは反対の取付面側において接続口が露出している。
【0038】
吸付口412aはラベル5の一部を吸引することで、吸付口412aとラベル5の接着面を真空の状態とし、ラベルを確実に保持することができる。
吸着部412の個数や位置は、吸着面4111全体に複数設けられてもよく、ラベル5の大きさ、長さ、厚さに応じて適宜のものとすることができる。また、ラベル発行機30のラベル発行口の位置や形状、又はラベル発行機30から発行されたラベル5を貼付位置まで保持しておく時間やアーム42の回動によって受ける力に関わらず保持するのに必要な吸着力などによっても適宜に変えるとよい。さらに吸着部412の大きさ自体も変更できる。
【0039】
突起部413は、略棒状の部材であって、吸着面4111に設けられた貫通孔411b内に収められ、当該貫通孔411bから吸着面4111側へ突出している。この突起部413の基部には、突起部413を吸着面4111側へ付勢する付勢手段としてのバネが設けられている。これにより突起部413は、外力を受けていない状態においては、吸着面4111から突出した状態に保持される一方、物品Wにラベルを貼付すべくラベル貼付ヘッド41が物品Wに押し付けられた際には、バネによる付勢方向とは逆向きの外力(抗力)を物品Wから受け、バネの付勢力に抗して貫通孔411b内に没入する。
このようにラベル5の突起部413に接する部分から物品Wに貼付できるので、貼付後にラベル5に気泡がたまりにくく、皺のない貼付が可能となる。
【0040】
なお、突起部413は、ラベル5を吸着方向と反対の向きに押し返す押返機構を構成するものの一例であり、ラベル5を吸着方向と反対の向きに圧力を加えて押し返すものである限り、押返機構には、突起部413とは異なる形状あるいは部材によって構成されたものを用いることができる。即ち、吸着面4111から突出してラベル5に当接する部材のほか、ラベル5を空気圧で押し返すもの、ラベル5が帯びる電荷とは反対の電荷で押し返すものなど、ラベル5を反り返らせるための圧力を加えられるものであればよい。
【0041】
なお、本例において、一対の貫通孔411aは、本体411の幅方向に離間して設けられており、当該一対の貫通孔411aの間に貫通孔411bが設けられている。これにより、突起部413は一対の吸着部412の間に設けられている。
【0042】
一対の貫通孔411aと突起部413の位置関係は、ラベル5を吸着面とは反対の向きに部分的に押し返す、ないしは反り返らせる効果を奏する限り、他の位置をとることができる。
例えば、一対の貫通孔411aが吸着面4111の長手方向に平行な位置に設けられ、突起部413がその間の長手方向のいずれの位置に設けられてもよく、また、一対の貫通孔411aが吸着面4111の中心を挟んで向かい合う位置に設けられ、突起部413がその間の長手方向のいずれの位置に設けられもよい。
【0043】
ラベル貼付ヘッド41の本体411の上面側は、ラベル貼付ヘッド41をアーム42に取り付けるための取付面を構成している。一方、アーム42の先端の下面側は、ラベル貼付ヘッド41が取り付けられる取付面を構成している。このラベル貼付ヘッド41の取付面とアーム42の取付面の間には、ラベル貼付ヘッド41をアーム42の先端に連結する取付部材として、弾性部材414と抑制部材415が取り付けられる。
なお、抑制部材415は、弾性部材414の内側を通るように取り付けられていてもよいし、外側から被さるように取り付けられていてもよい。
【0044】
弾性部材414は、アーム42の先端から下方に垂下したバネであり、一端が、アーム42の取付面に取り付けられ、他端が、ラベル貼付ヘッド41の取付面(本体411の上面)に取り付けられている。
【0045】
この弾性部材414により、ラベル貼付ヘッド41に吸着保持されたラベル5が物品Wに押し付けられる際、反作用的に物品Wから受ける抗力を吸収することができる。
また、
図1に示すベルトコンベア10によって搬送路上を流れてくる物品Wに対してラベル5を貼付する場合には、弾性部材414は、上流から下流に流れるために物品Wにかかる慣性の力をその力の方向に逃がす効果も備えている。その結果、ラベル5の貼付に伴う物理的な負荷にかかわらず、ラベル貼付装置40の故障を防ぐことができる。
なお、本実施例では弾性部材414としてバネを例示しているが、これに限らず、外力が作用するのに応じて変形すると共に、当該外力の消失に応じて元の形状に戻る性質をもつ材質ないしは部材を用いることができる。
【0046】
抑制部材415は、ラベル貼付ヘッド41により物品Wにラベル5を貼付する方向と直交する方向にラベル貼付ヘッド41が揺動するのを抑制すると共に、本体411の重さによって弾性部材414が伸び切るのを防ぐ部材である。
本例において、この抑制部材415は、複数本(本例では6本)の金属製のワイヤーによって構成されている。各抑制部材415の一端は、円形の取付板4161の周縁に一定間隔で緊結されている。また、その他端は本体411の上面において、取付板4161における緊結位置から斜めに垂下した位置に緊結されている。これにより、取付板4161と本体411の上面は、抑制部材415で互い違いに緊結されており、また、複数の抑制部材415は、いずれも弛むことなく張った状態にありながら、外力を受けていない状態においては、いずれの抑制部材415にも等しい張力がかかっている。
【0047】
この抑制部材415により、アーム42を支持部43周りに回転させたり、ラベル5を貼付したりする際にラベル貼付ヘッド41が振られることになっても、いずれかの抑制部材415の張力が作用して、ラベル貼付ヘッド41を揺動する向きとは反対方向に戻す力が働く。その結果、ラベル貼付ヘッド41の揺動が抑えられ、ラベル貼付装置40の故障や、不正確なラベル5の貼付を防ぐことができる。また、抑制部材415により、鉛直方向にラベル貼付ヘッド41を支持することにもなるため、ラベル貼付ヘッド41の自重に引きずられて、弾性部材414が伸び切った状態にならないようになっている。
【0048】
また、ラベル貼付ヘッド41の略中心の上方には、検出物体からの反射光を受光して検出物体を検出する光反射型のセンサSが設けられている。このセンサSはラベル貼付ヘッド41側へ光を照射しており、当該センサSから照射される光の光路上には、当該照射される光を遮らずに下方へ照射させる貫通孔4161a、貫通孔411cが設けられている。これらの貫通孔4161aと貫通孔411cは夫々、取付板4161と本体411に設けられている。これにより、ラベル貼付ヘッド41がラベル5を吸着面4111に吸着させていない状態においては、センサSから照射された光はラベル貼付ヘッド41によって遮られることがない一方、ラベル5を吸着面4111に吸着させた状態においては、センサSから照射された光はラベル5によって遮られる。この結果、吸着面4111にラベル5が吸着されているか否かを判別することができる。
なお、ラベル5が吸着面4111に吸着されているか否かは、吸着面4111にセンサを設けることによっても検出できるが、吸着面4111は汚れやすく、柔軟性が必要な上、物品Wに押し当てられる。そのため、このような例では、センサからの光が減衰したり、電気配線のワイヤが切れたり、高い耐久性が求められる。よって、吸着面4111にセンサを設けるよりも、ラベル貼付ヘッド41の上方にセンサSを設け、光の反射を検出することによってラベル5の吸着有無を判別するほうが好ましい。
【0049】
ここで、
図7を参照して、ラベル発行機30とラベル貼付装置40が、物品Wにラベル5を貼付する際の動作について言及する。
ラベル発行機30において、所定の印刷情報がラベル5に印刷されると、印刷されたラベル5が保持部31上に送り出される。このときラベル5は、印刷面を上面、即ちラベル貼付ヘッド41がかざされる側に向けて保持部31上に送り出される。これに対してラベル貼付装置40は、アーム42をラベル発行機30のほうに伸長させてラベル貼付ヘッド41を保持部31上のラベル5にかざすと、吸付口412aから吸気して、ラベル5を印刷面側から吸着面4111に吸着させることにより、ラベル5を保持する。
【0050】
なお、アーム42は、支持部43を軸に自由自在に動き、どの位置でもラベル5を吸着することができる。また、ラベル貼付ヘッド41自体も回転可能であるので、保持部31がどのような向きで配置されていても貼付可能である。
さらに、ラベル5全体をラベル貼付ヘッド41で保持できるよう、保持部31をラベル貼付装置40の近傍に設けると共に、ラベル発行機30から発行されたラベル5を保持部31まで搬送させるようにした場合でも、保持部31の位置に合わせてアーム42を調整できる。
【0051】
このとき、吸着面に吸着させたラベル5は、吸付口412aによって吸い付けられる共に、突起部413によって吸着方向とは逆向きにその中央部が押し返され、突起部413を支点として、両端が吸着面4111側へ反り返った状態に保持される。このようにラベル5が反り返る結果、ラベル5は端部が垂れることなく、吸着面4111に吸着保持される。
ラベル5は吸付口412aとの接着面で真空の状態を保って保持されており、その状態で突起部413は本体411の内部に埋没しない付勢力をバネから受けながらラベル5を変形させ、ラベル5のはみ出した端部も垂れ下がらないように反り返らせている。
【0052】
なお、ラベル5の一端が吸着面4111からはみ出した形で吸着しても、はみだした部分は反り返り、ラベル5は全体として垂れ下がらないように保持される。
また、ラベル5が短い場合であっても吸着部412でラベル5を保持できるよう、吸着面4111の長手方向の一端側の偏った位置に吸着部412と突起部413が設けられ、本体411は吸着部412と突起部413が設けられている側をラベル発行機30に向けるようになっている。もっとも、本発明の実施上、上述したようにラベル5を反り返らせ、垂れ下がらないように保持することができれば、吸着部412と突起部413は他のいずれの位置に設けられてもよく、着部412と突起部413がラベル発行機30側に設けられていなくてもよい。
【0053】
ラベル貼付装置40は、ラベル貼付ヘッド41にラベル5を吸着保持したまま、ベルトコンベア14の搬送面上にアーム42を伸長させ、物品Wが搬送されてくるのを待機する。
所定の位置に物品Wが到達すると、ラベル貼付装置40は、ラベル5をラベル貼付ヘッド41ごと物品Wに押し当て、ラベル5を物品に貼付する。
【0054】
ラベル5がラベル貼付ヘッド41ごと物品Wに押し付けられたとき、吸着面4111から突出していた突起部413は、物品Wから抗力を受ける結果、バネによる付勢力に抗して貫通孔411b内に没入する。また、吸着面4111から僅かに露出していた吸付口412aも貫通孔411a内に没入して吸着面4111は面一な状態となり、ラベル5は吸着面4111全体で物品Wに押し付けられる。
なお、ラベル5が物品Wに押し付けられる際には、ラベル5は突起部413によって最も下方、即ち物品W側に張り出していた中央部分から物品Wに貼りつき、当該中央部分から徐々にその周りが物品Wに貼りついて、最後に端部が貼り付く。そのため、ラベル5は捩れたり、皺になったりすることなく、きれいに物品Wに貼付される。
【0055】
このような構成からなるラベル貼付装置40は、ラベル5を物品Wに貼付するための制御部を有しており、上述した第一の制御情報による第一制御又は第二の制御情報による第二の制御を択一的に実行し、物品Wへのラベル5の貼付を行う。
即ち、物品Wが薄物ではない場合に行われる、第一の制御情報による制御ではまず、ラベル発行機30によって発行されたラベル5を吸着保持すると共に、当該ラベル5を物品Wにすぐ貼付できるよう、アーム42をベルトコンベア14の搬送面上に伸長させる。そして、物品検出センサ22において物品Wの通過が検出されると、ラベル貼付ヘッド41ごとラベル5を物品Wに押し当て、物品Wにラベル5を貼付する。
【0056】
一方、物品Wが薄物である場合に行われる、第二の制御情報による制御ではまず、第一の制御情報による制御の場合と同様、ラベル発行機30によって発行されたラベル5を吸着保持すると共に、当該ラベル5を物品Wにすぐ貼付できるよう、アーム42をベルトコンベア14の搬送面上に伸長させる。そして、第二の制御情報に含まれる、物品Wが所定の貼付位置に到達するタイミングに係る情報に基づき、ラベル貼付ヘッド41ごとラベル5を物品Wに押し当て、物品Wにラベル5を貼付する。
【0057】
●ラベルの貼付処理
続いて、
図8~
図10を参照して、本実施形態に係るラベル貼付システム1によって、物品Wにラベル5を貼付するまでの一連の処理の流れについて説明する。
【0058】
まず、
図8により、物品Wが物品検出センサ21a~21hやゲートセンサ23によって検出されてから、物品Wにラベルが貼付される前までの処理の流れについて説明する。
物品Wがベルトコンベア11、12上に搬送されてくると、第一センサ(物品検出センサ21a~21h及びゲートセンサ23)により物品Wが検出される(S101)。なお、ラベル貼付システム1においては、上述の通り、物品検出センサ21a~21hやゲートセンサ23のほかに、物品Wの重量を計量する計量手段が設けられると共に、物品Wに貼付又は印字等されたバーコード等の情報を読み取るカメラ等が適宜に設けられている。これらの計量手段やカメラ等によって取得された物品Wの重量等の情報は、物品検出センサ21a~21h及びゲートセンサ23により検出された情報と共に物品情報を構成する。
なお、物品Wには予め、物品Wに関する情報をバーコード等にコード化して貼付しておいてもよい。ここにいう物品Wに関する情報とは、荷主、送り先、内容物、料金、配送業者の情報、荷物重量、荷物サイズ等である。これらの情報があれば、このバーコードからカメラやスキャナなどにより物品情報を取得することができ、この場合には、必ずしもセンサ群20を必要としない。
【0059】
情報生成部は、物品情報から物品Wの外径寸法を算出等した上、ラベルに印刷する内容たる印刷情報を生成する(S102)。
さらに情報生成部は、物品Wが薄物であるか否かに応じて(S103)、ラベル貼付装置40を制御するための情報として第一の制御情報又は第二の制御情報を生成する。
【0060】
物品Wが薄物であるか否かは、物品検出センサ21a~21hにより物品Wが検出されたか否かによって判別される。即ち、ベルトコンベア11、12の搬送面よりも一定の高さだけ高い位置に設けられている物品検出センサ21a~21hによっては物品Wを検出できず、物品Wの厚みによらず物品Wを検出可能なゲートセンサ23によってしか物品Wを検出できなかった場合には、その物品Wは薄物であると判別される。
【0061】
物品Wが薄物ではなかった場合には、情報生成部は第一の制御情報を生成する(S104)。当該第一の制御情報は、物品検出センサ22において物品Wの通過が検出されたのに応じて制御を開始し、物品Wへのラベルの貼付を実行させる情報である。
そして、印刷情報がラベル発行機30に供給されると共に(S105)、第一の制御情報がラベル貼付装置40に対して供給される(S106)。
【0062】
一方、物品Wが薄物であった場合には、情報生成部は第二の制御情報を生成する(S107)。当該第二の制御情報は、ゲートセンサ23で物品Wが検出された後、物品Wがラベルの貼付位置に到達する時間を予測して制御を開始し、物品Wへのラベルの貼付を実行させる情報である。
なお、物品Wがゲートセンサ23からラベルの貼付位置、即ちベルトコンベア14上においてラベルの貼付が実行される位置に到達する時間は、ベルトコンベア10の搬送速度や、ゲートセンサ23からラベルの貼付位置までの距離から算出される。ベルトコンベア10の搬送速度や、ゲートセンサ23からラベルの貼付位置までの距離に係る情報は予め、所定の参照用テーブルに保持されている。
そして、印刷情報がラベル発行機30に供給されると共に(S108)、第二の制御情報がラベル貼付装置40に対して供給される(S109)。
【0063】
図9は、ラベル発行機30によってラベルが発行されると共に、ラベル貼付装置40が第一の制御情報に基づいて物品Wにラベルを貼付するまでの処理の流れを示している。
ラベル発行機30は、情報生成部から供給された印刷情報をラベル上に印刷し(S201)、印刷したラベルを保持部31上に送り出す(S202)。
【0064】
ラベル貼付装置40は、アーム42をラベル発行機30側へ伸長させると共に、保持部31上に送り出されたラベルにラベル貼付ヘッド41をかざし、ラベルを吸着保持する(S203)。そして、ラベルを吸着保持したまま、アーム42をベルトコンベア14の搬送面上に伸長させ、ラベルを貼付可能に待機する(S204)。
【0065】
物品検出センサ22によって物品Wが検出されると(S205)、これに応じて、ラベルを吸着保持しているラベル貼付ヘッド41をラベルごと物品Wに押し当て、物品Wにラベルを貼付する(S206)。これにより、物品Wへのラベルの貼付が完了する。
【0066】
図10は、ラベル発行機30によってラベルが発行されると共に、ラベル貼付装置40が第二の制御情報に基づいて物品Wにラベルを貼付するまでの処理の流れを示している。
ラベル発行機30は、情報生成部から供給された印刷情報をラベル上に印刷し(S301)、印刷したラベルを保持部31上に送り出す(S302)。
【0067】
ラベル貼付装置40は、アーム42をラベル発行機30側へ伸長させると共に、保持部31上に送り出されたラベルにラベル貼付ヘッド41をかざし、ラベルを吸着保持する(S303)。そして、ラベルを吸着保持したまま、アーム42をベルトコンベア14の搬送面上に伸長させ、ラベルを貼付可能に待機する(S304)。
【0068】
ラベル貼付装置40は、第二の制御情報に含まれる所定のタイミングに従い、貼付のタイミングが到来したと判断すると(S305)、ラベルを吸着保持しているラベル貼付ヘッド41をラベルごと物品Wに押し当て、物品Wにラベルを貼付する(S306)。これにより、物品Wへのラベルの貼付が完了する。
【0069】
以上の本実施形態に係るラベル貼付システム1によれば、物品の姿勢の変化を検出するCCDカメラやそのためのベルトコンベアを別途設けるなど、システムを長大にすることなく、ラベルを精度よく物品Wに貼付することができる。さらに、柔軟なレイアウト設計が可能となり物流センターのスペース効率において、格別の効果が発揮される 。
【0070】
●エラー検知時のラベル廃棄処理
次に、本発明の他の実施形態に係るラベル貼付システムについて説明する。
本実施形態に係るラベル貼付システムは、ベルトコンベア上を搬送される物品について、センサ群で認識された後に、抜き取りや想定外の姿勢の変化が生じた場合に、貼付予定であったラベルを貼付することなく廃棄等する機能を備えたものである。以下では、上述したラベル貼付システム1に当該機能を備えさせた例として説明することとし、ラベル貼付システム1と区別して「ラベル貼付システム6」と称する。また、ラベル貼付システム1と同様の機能部や構成については、同様の符号を用いている。
【0071】
ラベル貼付システム6は、ラベル貼付システム1と同様、ベルトコンベア10、センサ群20、ラベル発行機30、ラベル貼付装置40によって構成される。
また、
図4を参照して既述したのと同様に、情報処理を実行するためのCPU101などの演算装置、RAM102やROM103などの記憶装置を有し、これによりソフトウェア資源として上述した情報生成部を備えるほか、判断処理部を備える。
【0072】
本例においては、センサ群20により、ベルトコンベア10上で物品Wの搬送状態が検出される。ここにいう物品Wの搬送状態とは、搬送面上の物品Wの姿勢や搬送のタイミングを認識することのできる情報であり、具体的には物品Wの搬送方向の長さや物品Wを検出した時点に係る情報等である。
【0073】
物品Wの搬送方向の長さは、センサ群20によって検出された物品Wの端部間の距離などから算出される。具体的には、フォトセンサによって構成される物品検出センサ21a~21h、22やゲートセンサ23において、発光部と受光部を結ぶ光路が遮断されて物品Wが検出されている時間と、ベルトコンベア10の搬送速度などから算出される。
【0074】
ここで、物品Wの搬送方向の長さの算出は、ベルトコンベア10の上流と下流の二度のタイミングで行われる。即ち、物品検出センサ21a~21h及び/又はゲートセンサ23による検出値からは、上流に設けられているベルトコンベア11、12上を搬送されている際の物品Wの搬送方向の長さが算出される。一方、物品検出センサ22による検出値からは、下流、特に本例ではラベルを貼付する直前のベルトコンベア13上を搬送されている際の物品Wの搬送方向の長さが算出される。
【0075】
判断処理部は、ベルトコンベア10の上流に設けられた第一センサ(物品検出センサ21a~21h及び/又はゲートセンサ23)で検出された物品Wの搬送状態と、ベルトコンベア10の下流に設けられた第二センサ(物品検出センサ22)で検出された物品Wの搬送状態の差に基づき、物品Wへのラベルの貼付の中止を判断し、ラベル貼付装置40にラベルの貼付中止を指示する。
【0076】
具体的な判断の一つは、ベルトコンベア10の上流で算出された、物品Wの搬送方向の長さに係る第一の算出値と、ベルトコンベア10の下流で算出された、物品Wの搬送方向の長さに係る第二の算出値とに基づき、その差が所定の閾値を超える場合に、物品Wへのラベルの貼付の中止を判断し、ラベル貼付装置40にラベルの貼付中止を指示する。
また、他の判断では、ベルトコンベア10の上流において物品Wが検出された後、下流において物品Wが検出されるタイミングについて、距離と搬送速度から予め想定されたタイミングとの差が所定の閾値を超える場合に、物品Wへのラベルの貼付の中止を判断し、ラベル貼付装置40にラベルの貼付中止を指示する。
【0077】
ここで、搬送される物品Wの搬送方向の長さに関する第一の算出値と第二の算出値の差について、その差が所定の閾値を超えている場合に、物品Wへのラベルの貼付を中止すると判断するのは、第一の算出値と第二の算出値の差が所定の閾値を超えている場合には、物品Wの姿勢が大きく変化してしまっていたりすると推測されるからである。この際にラベルの貼付を中止しないと、想定していた箇所とは異なる箇所にラベルを貼付することになってラベルがはみ出したり、物品Wに貼付できなかったりしてしまう虞がある。
【0078】
なお、第一の算出値と第二の算出値の差は、その絶対値が所定の閾値を超えているか否かが判断される。これは、物品の形状や姿勢変化によっては、
図11(a)に示されるように、物品Wの第一の算出値x
1よりも第二の算出値x
2が大きくなる場合もあれば、
図11(b)に示されるように、物品Wの算出値x
1よりも第二の算出値x
3が小さくなる場合もあるためである。
【0079】
また、ベルトコンベア10の上流で物品が検出された後、下流で物品Wが検出されるタイミングについて、距離と搬送速度から想定されるタイミングとの差が所定の閾値を超える場合に、物品Wへのラベルの貼付を中止すると判断するのは、このようなタイミングのずれがある場合には、物品Wが抜き取られて、次の物品Wが搬送されてきてしまっていると推測されるからである。この際にラベルの貼付を中止しないと、本来貼付するはずの物品Wとは異なる物品Wにラベルを貼付することになってしまう虞がある。
【0080】
なお、ここにいうラベルの貼付の中止は、あくまで所定の物品Wに対してのみラベルの貼付をしないこととするものであり、ラベル貼付システム1自体の稼働を中止するなど、物品Wの搬送を中止したり、当該所定の物品Wとは異なる他の物品Wへのラベルの貼付を中止したりするものではない。
また、物品Wの搬送方向の長さに基づくラベルの貼付可否の判断処理と、物品Wの検出のタイミングに基づくラベルの貼付可否の判断処理は、いずれか一方のみを実行することもできるし、両者共に実行することもできる。
【0081】
ラベル貼付装置40は、ラベルを吸着保持していた状態でラベルの貼付中止の指示を受けると、ベルトコンベア14の搬送面の外にアーム42を伸長させ、エアーによる吸引を停止することによりラベルを保持した状態を解き、貼付が中止されたラベルを廃棄する。
【0082】
ラベルの廃棄においては例えば、
図12に示すように、ラベルの保持状態を解く位置を予め設定しておき、当該位置にラベル廃棄用のダストボックス44などを配設しておくとよい。また、ダストボックス44に廃棄するのみならず、廃棄するラベルを所定の物に貼付する貼付するようにしてもよい。
【0083】
なお、ラベル貼付装置40は、上流での物品Wの算出値と下流での物品Wの算出値について、その差が所定の閾値を超えていない場合であっても、差があるときは当該差に応じて貼付位置を調整するようにアーム42を制御してもよい。
【0084】
続いて、ラベル貼付システム6により、物品Wの姿勢の変化等に応じてラベルを廃棄する処理の流れについて、
図13を参照して説明する。
なお、本例においては言及を省略するが、通常通りに物品Wにラベルが貼付される場合の処理は上述したラベル貼付システム1による処理と同様に実行される。
【0085】
まず、ベルトコンベア10の上流、即ちベルトコンベア11、12において、搬送されてきた物品Wの搬送状態が検出される(S401)。ここでは、第一センサ(物品検出センサ21a~21h及び/又はゲートセンサ23)によって検出され、その検出値から、物品Wの搬送方向の長さが算出されると共に、物品Wの検出のタイミングが認識される(S402)。
そして、ベルトコンベア10の下流、即ちベルトコンベア13において、再び搬送されてきた物品Wの搬送状態が検出される(S403)。ここでは、第二センサ(物品検出センサ22)によって検出され、その検出値から、物品Wの搬送方向の長さが算出されると共に、物品Wの検出のタイミングが認識される(S404)。
【0086】
判断処理部は、ベルトコンベア10の上流における物品Wの搬送状態と下流における物品Wの搬送状態に基づき、ラベルの貼付の可否を判断する(S405)。本例においては、このような判断の処理二通りの処理によって実行されるところ、その一つの処理では、ベルトコンベア10の上流における検出値から算出された、物品Wの搬送方向の長さに係る第一の算出値と、ベルトコンベア10の下流における検出値から算出された、物品Wの搬送方向の長さに係る第二の算出値とに基づき、その差が所定の閾値を超えるか否かを判断する。また、他の処理では、ベルトコンベア10の上流で物品Wが検出された後、下流で物品Wが検出されるタイミングについて、距離と搬送速度から想定されるタイミングとの差が所定の閾値を超えるか否かを判断する。
【0087】
その結果、第一の算出値と第二の算出値の差が所定の閾値を超えている場合及び/又はタイミングの差が所定の閾値を超えている場合には、物品Wへのラベルの貼付の中止を判断し、ラベル貼付装置40にラベルの貼付中止を指示する(S406)。
これに応じて、ラベル貼付装置40はラベルの貼付を中止し、ラベルを廃棄する(S407)。
一方、第一の算出値と第二の算出値の差が所定の閾値を超えておらず、タイミングの差も所定の閾値を超えていない場合には、物品Wへのラベルの貼付を中止させることなく、次に搬送されてくる物品Wを対象として同様の処理を行う。
【0088】
なお、ラベル貼付装置40は、ラベルの廃棄が完了すると、そのまま次の物品Wに貼付するラベルをラベル発行機30から取得し、次の物品Wに当該取得したラベルを貼付すべく待機する。
また、ラベルを貼付しなかった物品Wは、さらに下流に設けられた仕分け装置により、ラベルが貼付されていない物品Wとして仕分けされ、正規のラインから外れる。このような物品Wについては別途、作業員等が異常の有無等を調べ、正規のラインに戻したり、排除したりする。この結果、緊急の対応は必要なくなり、余計な人員を割当る必要もなく、また復旧方法も至って簡単であるので、だれでも対応が可能となり、省人化や平準化にも貢献ができる 。
【0089】
以上のラベル貼付システム6によれば、本来貼付するはずの物品Wとは異なる物品Wにラベルを貼付してしまったり、想定していた箇所とは異なる箇所にラベルを貼付することになってラベルがはみ出したり、物品Wに貼付できなかったりしてしまうという、貼付のエラーを防ぐことができる。
さらに、貼ラベル貼付システム6自体の稼働を止めることなく、ラベルの貼付作業を継続させられるので、システム全体の作業効率が低下することもない。
【0090】
なお、このような物品Wの姿勢の変化に基づくラベルの廃棄処理は、食品工場等で商品にラベルを値付けする場面、物流センターにおいて取扱商品を入荷、出荷、あるいは保管する場面など、広く、物品Wが何かしらの搬送路を搬送される過程でラベルの貼付が行われる場合に適用することができる。また、本例では、物品Wの搬送方向の長さに基づいて物品Wの姿勢の変化を検出し、これに応じてラベルの廃棄を行ったが、これに限らず、カメラ映像などの画像から物品Wの姿勢の変化やラベルの貼付対象の間違いなどを検出し、これに応じてラベルの廃棄を行うように構成することもできる。
【0091】
また、以上により説明したラベル貼付システム1、6について、ソフトウェア資源は適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。これにより例えば、中央集権的な装置が印刷情報や制御情報を生成するように構成することもできるし、ラベル発行機30が印刷情報を生成し、ラベル貼付装置40が制御情報を生成するように構成することもできる。また、ラベル発行機30やラベル貼付装置40などを物理的に一体的に構成された装置として構成することもできるし、所定の通信網を介して接続されて協働する装置として構成することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1 ラベル貼付システム
101 CPU
102 RAM
103 ROM
10(11、12、13、14、15) ベルトコンベア
20 センサ群
21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、22 物品検出センサ
23 ゲートセンサ
30 ラベル発行機
31 保持部
40 ラベル貼付装置
41 ラベル貼付ヘッド
411 本体
4111 吸着面
4112 取付面
412 吸着部
412a 吸付口
412b 接続口
413 突起部
4131 バネ
414 弾性部材
415 抑制部材
42 アーム
43 支持部
5 ラベル
6 ラベル貼付システム
W 物品