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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】調理用丸棒
(51)【国際特許分類】
   A21C 3/02 20060101AFI20231221BHJP
   A47J 43/28 20060101ALI20231221BHJP
   A23L 7/109 20160101ALN20231221BHJP
【FI】
A21C3/02 Z
A47J43/28
A23L7/109 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020009292
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021114919
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】500529838
【氏名又は名称】ハセガワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 寿一
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】実公昭43-007034(JP,Y1)
【文献】英国特許出願公告第00023113(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0176565(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0018003(US,A1)
【文献】登録実用新案第3061459(JP,U)
【文献】特開2008-298233(JP,A)
【文献】特開2002-200372(JP,A)
【文献】タイガークラウン めん棒 シルバ ー 450×32mm ステンレス 金 属めん棒 大 樹脂柄 1623,[online],第1頁写真, 第3頁取り扱い開始日 ,<URL: https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%AC%E3%82%B9-%E9%87%91%E5%B1%9E%E3%82%81%E3%82%93%E6%A3%92-%E5%A4%A7-1623/dp/B0084Y08LK?th=1>,[令和5年9月23日検索]
【文献】KAI めん棒 Kai House Select アルミ 製 日本製 DL6391,[online],第1頁写真, 第3頁取り扱い開始日,<URL: https://www.amazon.co.jp/%E8%B2%9D%E5%8D%B0-Kai-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E8%A3%BD%E3%81%A7%E6%B4%97%E3%81%84%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84-%E7%94%9F%E5%9C%B0%E3%81%8C%E3%83%80%E3%83%AC%E3%81%AA%E3%81%84-DL-6391/dp/B01CODBA6I>,[令和5年9月23日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 3/02、11/00
A23L 7/109
A47J 43/20、43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理生地の延展作業に使用される調理用丸棒であって、
合成樹脂により形成され一定の長さを有するとともに内部に空間を有する管状体と、前記空間に間隙が生じるように挿入され前記管状体に剛性を付与する芯棒体と、を有する丸棒本体と、
前記丸棒本体の両端部のそれぞれを塞ぐ閉塞体と、
を備え、
前記管状体の内面と前記芯棒体の外面との間における前記間隙に充填された接着性樹脂をさらに備え、
前記管状体と前記芯棒体とが互いに前記接着性樹脂により接着一体化されてなる
ことを特徴とする調理用丸棒。
【請求項2】
前記合成樹脂は、光透過性を有し、
前記接着性樹脂は、着色されており、
前記接着性樹脂の色彩が前記管状体の外部から前記合成樹脂を通して視認可能とされてなることを特徴とする請求項1に記載の調理用丸棒。
【請求項3】
前記接着性樹脂は、食材毎に前記着色による前記色彩が別けられていることを特徴とする請求項2に記載の調理用丸棒。
【請求項4】
前記閉塞体は、色分けして衛生管理されるように複数の食材に対応した着色により複数の色彩とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調理用丸棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そば、うどん等の麺生地、餃子生地、ピザ生地、パン生地、製菓生地、その他の調理生地等を延展する作業に使用される調理用丸棒に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、そば、うどん等の麺生地を延展する作業には、通常麺棒などと呼ばれる木製で直線状の調理用丸棒が使用される。調理用丸棒は、調理生地の塊の上から何度も転がされ、調理生地を一定厚さに仕上げる。そのため、調理用丸棒には真っ直ぐな直線状であることが求められる。しかし、木製の調理用丸棒においては、木目の方向が完全な等方性を有しているわけではない。そのため、木材が円形で直線状の丸棒に加工されても、使用中の気温、湿度の変化や、木材への水濡れや、木材の乾燥の繰り返し等で曲りや反り等が発生するという問題がある。
【0003】
また、調理用丸棒には、使用用途の観点から衛生的であることが求められる。しかし、木製の調理用丸棒が調理生地の延展作業に使用されると、食材への異物混入や、かび、細菌の繁殖等のおそれがある。そのため、木製の調理用丸棒には、衛生の観点において改善の余地がある。
【0004】
これに対して、特許文献1には、円筒状で合成樹脂製又はステンレス製である麺棒本体を有する麺棒が開示されている。特許文献1に記載された麺棒本体は、合成樹脂製又はステンレス製であるため、衛生の観点からすれば好ましい。しかし、長さが1mを超える麺棒が使用されることもある。そうすると、麺棒本体は軽量であっても中空体の形態を有するため、作業中の曲げ変形の繰り返しや、使用環境の温度変化による熱的伸縮の繰り返しで、やがては麺棒の直線性が失われ、曲りや反り等が発生するおそれがある。
【0005】
また、食品工場では、作業者等が長い調理用丸棒の取扱いで金属製の作業台の角部に調理用丸棒をぶつけたり、他の食品機械に誤って調理用丸棒をぶつけたりすることがある。そうすると、調理用丸棒の表面が凹んで曲がるなどの調理用丸棒の変形が生じ、調理生地を均一に延展し難くなるなどの使用上の不具合が生ずることがある。そのため、中空構造では、耐衝撃性の観点において改善の余地がある。
【0006】
さらに、特許文献1に記載された麺棒のように、ゴム製Oリング等を配したキャップ体が円筒状の麺棒本体の両端部より挿着されたとしても、使用後の洗浄作業の繰り返しや、麺棒本体の中空部での空気の膨張収縮で、やがては汚水等が麺棒本体の内部に侵入するおそれがある。そうすると、麺棒の衛生を保つことが困難になるという問題がある。また、作業者等は、食品工場において様々な種類の食材を扱うため、食材ごとに調理用丸棒を使い分ける必要がある。そのため、単なる食材の延展作業であっても高度な衛生管理が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】登録実用新案第3061459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、長期間に亘って直線性を維持することができ、耐衝撃性を向上させることができ、衛生を確保することができるとともに衛生管理を容易にすることができる調理用丸棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、調理生地の延展作業に使用される調理用丸棒であって、合成樹脂により形成され一定の長さを有するとともに内部に空間を有する管状体と、前記空間に間隙が生じるように挿入され前記管状体に剛性を付与する芯棒体と、を有する丸棒本体と、前記丸棒本体の両端部のそれぞれを塞ぐ閉塞体と、を備え、前記管状体の内面と前記芯棒体の外面との間における前記間隙に充填された接着性樹脂をさらに備え、前記管状体と前記芯棒体とが互いに前記接着性樹脂により接着一体化されてなることを特徴とする本発明に係る調理用丸棒により解決される。
【0010】
本発明に係る調理用丸棒によれば、丸棒本体は、合成樹脂により形成された管状体を有する。そのため、調理生地すなわち食材が丸棒本体に付着する量を抑えることができ、また、木製の調理用丸棒に見られるような木破片が食材に混入する虞もなく、丸棒本体は、洗浄性にも優れ衛生的になる。これにより、調理用丸棒の衛生を確保することができるとともに、調理用丸棒の衛生管理が容易になる。また、芯棒体が管状体の内部の空間挿入され管状体に剛性を付与するため、丸棒本体の剛性を高めることができ、丸棒本体の曲りや反り等の変形が生ずることを抑えることができる。さらに、閉塞体は、丸棒本体の両端部のそれぞれを塞ぎ、丸棒本体の両端部において良好な水密性を確保している。そのため、管状体の内部の空間に設けられた芯棒体が例えば木材のような吸湿性を有する材料で形成されている場合であっても温度や湿度の影響を受けることを抑え、丸棒本体の曲りや反り等の変形が生ずることをより一層抑えることができる。これにより、長期間に亘って調理用丸棒の直線性を維持することができ、外部からの衝撃により凹むなどの変形が容易に生ずることを抑えて調理用丸棒の耐衝撃性を向上させることができる。
また、本発明に係る調理用丸棒によれば、接着性樹脂が管状体の内面と芯棒体の外面との間における管状体の内部の間隙に充填されている。そのため、接着性樹脂は、管状体の内面と芯棒体の外面との隙間(間隙)を埋めることができる。そして、管状体と芯棒体とが互いに接着性樹脂により略隙間なく接着され一体化されている。そのため、管状体の内面と芯棒体の外面との間で面同士のずれが発生することが抑えられ、曲げ応力や伸縮応力が管状体および芯棒体に作用することを抑えることができる。また、接着性樹脂の硬化物が表面に被覆されることによって管状体および芯棒体の変形量を抑え、丸棒本体の剛性を高めることができる。これにより、曲げ応力の繰り返しや温度変化による伸縮の繰り返しによっても、丸棒本体の全体で応力を受容することになり、丸棒本体の剛性を高めることができる。以上のことから、調理用丸棒の直線性が失われることを抑えることができ、その結果調理用丸棒としての機能を耐久性よく維持することができる
【0013】
本発明に係る調理用丸棒において、好ましくは、前記合成樹脂は、光透過性を有し、前記接着性樹脂は、着色されており、前記接着性樹脂の色彩が前記管状体の外部から前記合成樹脂を通して視認可能とされてなることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る調理用丸棒によれば、調理用丸棒が同一の調理場において複数の食材に対して使用される場合において、食材毎に使用する調理用丸棒を接着性樹脂の着色別に専用化することができる。そのため、作業者等は、管状体の外部から管状体の合成樹脂を通して接着性樹脂の色彩を視認することにより、接着性樹脂の着色別に専用化された調理用丸棒を判別し、食材毎に調理用丸棒を容易に使い分けることができる。これにより、調理用丸棒に起因する衛生上の食材間汚染を可及的に減少させることができ、衛生管理が容易になる。また、接着性樹脂の色彩が管状体の外部から管状体の合成樹脂を通して視認可能であるため、調理用丸棒の意匠性を向上させることができる。
【0015】
本発明に係る調理用丸棒において、好ましくは、前記接着性樹脂は、食材毎に前記着色による前記色彩が別けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る調理用丸棒において、好ましくは、前記閉塞体は、色分けして衛生管理されるように複数の食材に対応した着色により複数の色彩とされていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る調理用丸棒によれば、調理用丸棒が同一の調理場において複数の食材に対して使用される場合の調理用丸棒の衛生上の管理について、閉塞体の複数の色彩による調理用丸棒の色分け管理により、衛生管理を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、長期間に亘って直線性を維持することができ、耐衝撃性を向上させることができ、衛生を確保することができるとともに衛生管理を容易にすることができる調理用丸棒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る調理用丸棒を表す平面図である。
図2図1に表した切断面A1-A1における断面図である。
図3図1に表した切断面A2-A2における断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る調理用丸棒を表す平面図である。
図5図4に表した切断面A3-A3における断面図である。
図6図4に表した切断面A4-A4における断面図である。
図7】本実施形態の変形例に係る調理用丸棒を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る調理用丸棒を表す平面図である。
図2は、図1に表した切断面A1-A1における断面図である。
図3は、図1に表した切断面A2-A2における断面図である。
なお、図2は、丸棒本体3の一方の端部36の近傍を拡大して表している。
【0023】
本実施形態に係る調理用丸棒2は、そば、うどん等の麺生地、餃子生地、ピザ生地、パン生地、製菓生地、その他の調理生地等を延展する作業に使用される。図1に表したように、調理用丸棒2は、丸棒本体3と、閉塞体4と、を備え、図1に表した長手方向Xに沿って延びている。調理用丸棒2の長手方向Xの長さは、例えば約30cm以上、120cm以下程度である。但し、調理用丸棒2の長手方向Xの長さは、これだけに限定されるわけではない。以下の説明では、調理用丸棒2の長手方向Xの長さが約60cm程度である場合を例に挙げる。
【0024】
丸棒本体3は、管状体31と、芯棒体32と、を有する。管状体31は、長手方向Xに沿って一定の長さを有し、内部に空間315を有する。空間315は、管状体31の長手方向Xに延びており、管状体31を貫通して形成されている。すなわち、管状体31は、筒状に形成された中空体である。図3に表したように、本実施形態の管状体31の外形状および内形状は、円形状である。すなわち、本実施形態の管状体31の横断面形状は、円筒形の横断面形状である。但し、管状体31の横断面形状は、円筒形に限定されるわけではない。例えば、管状体31の横断面の外形状および内形状の少なくともいずれかは、円形状であってもよく、多角形状であってもよい。なお、管状体31の外形状が多角形状である場合には、管状体31の外形状を円形状に加工する必要がある。管状体31の長手方向Xの長さは、例えば約56cm程度ある。管状体31の外径は、例えば約30mm程度である。管状体31の空間315の内径は、例えば約20mm程度である。
【0025】
管状体31は、合成樹脂により形成されている。管状体31を形成する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、超高分子量ポリエチレン、ウレタン等を含む合成樹脂や、食品に接触しても安全性の高い合成樹脂等が挙げられる。
【0026】
芯棒体32は、管状体31の内部の空間315に挿入されている。芯棒体32は、長手方向Xに沿って一定の長さを有し、管状体31の内部の空間315の略全領域に設けられている。本願明細書において「空間315の略全領域」とは、空間315の全ての領域だけをいうものではなく、管状体31と芯棒体32との嵌め合いのための狭い空間を空間315の全ての領域から除いた領域をもいうものとし、また、後述する接着性樹脂5(例えば図6参照)が充填される程度の狭い空間を空間315の全ての領域から除いた領域をもいうものとする。
【0027】
図3に表したように、本実施形態の芯棒体32は、木材による中実体である。また、本実施形態の芯棒体32の外形状は、円形の棒状体である。すなわち、本実施形態の芯棒体32の横断面形状は、円形状である。但し、芯棒体32の横断面形状は、円形状に限定されるわけではない。例えば、芯棒体32の横断面形状は、多角形状であってもよい。この詳細については、後述する。また、芯棒体32は、中実体に限定されるわけではなく、中空体であってもよい。芯棒体32の長手方向Xの長さは、例えば約55cm程度である。芯棒体32の外径は、例えば約19.5mm程度で管状体31の内部に強固に挿入可能な寸法である。本実施形態の丸棒本体3では、芯棒体32は、管状体31の内部の空間315に挿入され、管状体31に嵌合されている。具体的には、芯棒体32は、管状体31に機械的に嵌合され、管状体31と嵌合一体化している。なお、芯棒体32は、管状体31に嵌合されて管状体31と嵌合一体化していることに限定されるわけではなく、接着性樹脂により管状体31と接着一体化していてもよい。この詳細については、後述する。
【0028】
芯棒体32は、管状体31に剛性を付与する。芯棒体32の材料は、芯棒体32が管状体31に剛性を付与できる限りにおいて、特に限定されるわけではない。芯棒体32の材料としては、例えば、木材、プラスチック、繊維強化プラスチック材、金属材、軽量金属材等による中実体又は管状体などが挙げられる。芯棒体32を中実体とすることで丸棒本体3の耐衝撃性を向上させることができるが、同時に丸棒本体の重量を増加させる。そのため、調理用丸棒2の作業性を考慮すれば、合成樹脂の管状体31の内部に挿入されて水密性よく封じ込めることが可能であれば、芯棒体32は他と比較して軽量な木材による中実体とするのが好ましい。これによって、木材の欠点である水濡れ等の湿度変化による変形を極力抑え直進性を保持できるので、剛性と耐衝撃性に富み、軽量で使いやすく作業性がよく、長期間に亘って直進性が維持できる調理用丸棒とすることができる。
【0029】
閉塞体4は、丸棒本体3の両端部に設けられ、丸棒本体3の両端部を塞いでいる。具体的には、閉塞体4は、第1閉塞体41と、第2閉塞体42を有する。第1閉塞体41は、丸棒本体3の一方の端部36に設けられ、管状体31の一方の開口端部を塞いでいる。第2閉塞体42は、一方の端部36とは反対側の丸棒本体3の他方の端部37に設けられ、管状体31の他方の開口端部を塞いでいる。
【0030】
図2に表したように、閉塞体4のうち管状体31の空間315に挿入された部分の横断面形状は、管状体31の空間315の横断面形状と同じ形状である。本実施形態では、閉塞体4のうち管状体31の空間315に挿入された部分の横断面形状は、円形状である。閉塞体4のうち管状体31の空間315に挿入された部分の外径は、例えば約20mm弱程度で管状体31の内部に強固で水密性よく挿入可能な寸法である。閉塞体4は、管状体31の開口端部において管状体31に嵌合されている。具体的には、閉塞体4は、管状体31に機械的に嵌合され、管状体31と嵌合一体化している。
【0031】
なお、閉塞体4のうち管状体31の空間315に挿入された部分の横断面形状は、必ずしも、管状体31の空間315の横断面形状と同じ形状に限定されるわけではない。また、閉塞体4は、管状体31に嵌合されて管状体31と嵌合一体化していることに限定されるわけではなく、接着性樹脂により管状体31と接着一体化していてもよい。この詳細については、後述する。
【0032】
閉塞体4は、合成樹脂により形成されている。閉塞体4を形成する合成樹脂としては、管状体31に関して前述した合成樹脂と同様の合成樹脂が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係る調理用丸棒2によれば、丸棒本体3は、合成樹脂により形成された管状体31を有する。そのため、調理生地すなわち食材が丸棒本体3(具体的には管状体31)に付着する量を抑えることができ、また、木製の調理用丸棒に見られるような木破片が食材に混入する虞もなく、丸棒本体3は、洗浄性にも優れ衛生的になる。これにより、調理用丸棒2の衛生を確保することができるとともに、調理用丸棒2の衛生管理が容易になる。
【0034】
また、芯棒体32が管状体31の内部の空間315の略全領域に挿入され管状体31に剛性を付与するため、丸棒本体3の剛性を高めることができ、丸棒本体3の曲りや反り等の変形が生ずることを抑えることができる。さらに、閉塞体4は、丸棒本体3の一方の端部36および他方の端部37を塞ぎ、丸棒本体3の両端部36、37において良好な水密性を確保している。そのため、管状体31の内部の空間315に設けられた芯棒体32が例えば木材のような吸湿性を有する材料で形成されている場合であっても温度や湿度の影響を受けることを抑え、丸棒本体3の曲りや反り等の変形が生ずることをより一層抑えることができる。これにより、長期間に亘って調理用丸棒2の直線性を維持することができ、外部からの衝撃により凹むなどの変形が容易に生ずることを抑えて調理用丸棒2の耐衝撃性を向上させることができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態に係る調理用丸棒の構成要素が、図1図3に関して前述した第1実施形態に係る調理用丸棒2の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0036】
図4は、本発明の第2実施形態に係る調理用丸棒を表す平面図である。
図5は、図4に表した切断面A3-A3における断面図である。
図6は、図4に表した切断面A4-A4における断面図である。
なお、図5は、丸棒本体3の一方の端部36の近傍を拡大して表している。
【0037】
本実施形態に係る調理用丸棒2Aは、丸棒本体3Aと、閉塞体4と、接着性樹脂5と、を備える。本実施形態に係る調理用丸棒2Aは、接着性樹脂5を備えた点において、第1実施形態に係る調理用丸棒2とは相違する。
【0038】
丸棒本体3Aは、管状体31と、芯棒体32Aと、を有する。本実施形態の管状体31は、光透過性を有する合成樹脂により形成されている。光透過性を有する合成樹脂としては、例えば、第1実施形態に係る調理用丸棒2に関して前述したポリエチレン、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレンなどが挙げられる。管状体31のその他の構造等は、第1実施形態に係る調理用丸棒2に関して前述した管状体31の構造等と同じである。
【0039】
図6に表したように、本実施形態の芯棒体32Aの外形状は、多角形の棒状体である。すなわち、本実施形態の芯棒体32Aの横断面形状は、多角形状である。図6に表した例では、芯棒体32Aの横断面形状は、八角形の多角形状である。芯棒体32Aの横断面形状は、各辺の長さ又は角度が互いに等しい正八角形であってもよく、各辺の長さ又は角度が互いに等しいとは限らない八角形であってもよい。このように、芯棒体32Aの横断面形状が多角形状である一方で、管状体31の横断面形状が円形状であるため、図5および図6に表したように、管状体31の内面311と芯棒体32Aの外面321Aとの間には、空間315の一部として隙間(間隙)が生じている。芯棒体32Aのその他の構造、配置領域および材料等は、第1実施形態に係る調理用丸棒2に関して前述した芯棒体32の構造、配置領域および材料等と同じである。
【0040】
図5および図6に表したように、本実施形態に係る調理用丸棒2Aでは、管状体31の内面311と、芯棒体32Aの外面321Aと、の間における空間315(すなわち間隙)に接着性樹脂5が充填されている。また、図5に表したように、接着性樹脂5は、管状体31の内面311と、閉塞体4(図5では第1閉塞体41)のうち管状体31に挿入された部分の外面411と、の間における空間315に充填されている。さらに、図5に表したように、接着性樹脂5は、芯棒体32Aの端面322Aと、閉塞体4(図5では第1閉塞体41)のうち管状体31に挿入された部分の端面412と、の間における空間315に充填されている。管状体31と芯棒体32Aと閉塞体4とは、互いに接着性樹脂5により略隙間なく接着され一体化されている。
【0041】
なお、管状体31の端面313と、管状体31の端面313に当接する部分の閉塞体4の端面413と、の間にも、接着性樹脂5が介在していても構わない。これによって丸棒本体3Aと閉塞体4との水密性をより向上させると共に、特に衝撃を受ける閉塞体4の丸棒本体3Aとの取り付け強度をより向上させることができる。
【0042】
接着性樹脂5の材料としては、例えば、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、尿素系、ビニール系、エチレン・酢酸ビニール系等の接着性樹脂などが挙げられる。より好ましい接着性樹脂5の材料としては、取扱い時点では液状の樹脂であり、取扱い後の加熱、加圧、常温放置等の硬化条件により接着硬化可能な2液反応硬化型のエポキシ系、ウレタン系の接着性樹脂が挙げられる。
【0043】
接着性樹脂5の取扱方法や充填方法は、例えば、管状体31の内面311および芯棒体32Aの外面321Aの少なくともいずれかに接着性樹脂5を塗布または付着させた後、芯棒体32Aを管状体31の空間315に挿入する方法であってもよく、あるいは、芯棒体32Aを管状体31の空間315に挿入した後、管状体31の内面311と、芯棒体32Aの外面321Aと、の間における空間315(すなわち間隙)に接着性樹脂5を例えば加圧して注入する方法であってもよい。また、接着性樹脂5の取扱方法や充填方法としては、例えば、管状体31の内面311および閉塞体4(図5では第1閉塞体41)の外面411の少なくともいずれかに接着性樹脂5を塗布または付着させた後、閉塞体4を管状体31の空間315に挿入する方法が挙げられる。また、接着性樹脂5の取扱方法や充填方法としては、例えば、芯棒体32Aの端面322Aおよび閉塞体4(図5では第1閉塞体41)の端面412の少なくともいずれかに接着性樹脂5を塗布または付着させた後、閉塞体4を管状体31の空間315に挿入する方法が挙げられる。さらにまた、接着性樹脂5の取扱方法や充填方法としては、例えば、管状体31の端面313および閉塞体4(図5では第1閉塞体41)の端面413の少なくともいずれかに接着性樹脂5を塗布または付着させた後、閉塞体4を管状体31の空間315に挿入しても構わない。
【0044】
本実施形態の接着性樹脂5は、着色されている。すなわち、本実施形態に係る調理用丸棒2Aでは、着色顔料が接着性樹脂5の材料に練り込まれている。前述したように、管状体31が光透過性を有する合成樹脂により形成されているため、接着性樹脂5の色彩は、管状体31の外部から管状体31の合成樹脂を通して視認可能とされている。
【0045】
本実施形態の閉塞体4は、着色されている。すなわち、本実施形態に係る調理用丸棒2Aでは、着色顔料が閉塞体4の材料に混合され、閉塞体4の材料中に分散されている。閉塞体4は、丸棒本体3の両端部36、37に設けられ、調理用丸棒2Aの外部から視認可能とされている。そのため、閉塞体4の色彩は、調理用丸棒2Aの外部から視認可能とされている。このようにして、本実施形態の閉塞体4は、着色により複数の色彩でシリーズ化されている。閉塞体4のその他の構造および材料等は、第1実施形態に係る調理用丸棒2に関して前述した閉塞体4の構造および材料等と同じである。
【0046】
本実施形態に係る調理用丸棒2Aによれば、接着性樹脂5は、管状体31の内面311と芯棒体32Aの外面321Aとの間における空間315、管状体31の内面311と閉塞体4のうち管状体31に挿入された部分の外面411との間における空間315、および芯棒体32Aの端面322Aと閉塞体4のうち管状体31に挿入された部分の端面412との間における空間315に少なくとも充填されている。そのため、接着性樹脂5は、管状体31の内面311と芯棒体32Aの外面321Aとの隙間、管状体31の内面311と閉塞体4のうち管状体31に挿入された部分の外面411との間における隙間、および芯棒体32Aの端面322Aと閉塞体4のうち管状体31に挿入された部分の端面412との間における隙間を埋めることができる。そして、管状体31と芯棒体32Aと閉塞体4とが、互いに接着性樹脂5により略隙間なく接着され一体化されている。そのため、管状体31の内面311と芯棒体32Aの外面321Aとの間で面同士のずれが発生することが抑えられ、曲げ応力や伸縮応力が管状体31および芯棒体32Aに作用することを抑えることができる。また、接着性樹脂5の硬化物が表面に被覆されることによって管状体31および芯棒体32Aの変形量を抑え、丸棒本体3Aの剛性を高めることができる。これにより、曲げ応力の繰り返しや温度変化による伸縮の繰り返しによっても、丸棒本体3Aの全体で応力を受容することになり、丸棒本体3Aの剛性を高めることができる。さらに、丸棒本体3Aの両端では第1閉塞体41と第2閉塞体42とが接着性樹脂5によって略隙間なく閉塞され、丸棒本体3Aは優れた水密性を備えるため、芯棒体32Aが木製の場合でも水分、湿度による芯棒体32Aの変形を抑えることができる。以上のことから、調理用丸棒2Aの直線性が失われることを抑えることができ、その結果調理用丸棒としての機能を耐久性よく維持することができる。
【0047】
また、接着性樹脂5の色彩が管状体31の外部から管状体31の合成樹脂を通して視認可能とされているため、調理用丸棒2Aが同一の調理場において複数の食材に対して使用される場合において、食材毎に使用する調理用丸棒2Aを接着性樹脂5の着色別に専用化することができる。そのため、作業者等は、管状体31の外部から管状体31の合成樹脂を通して接着性樹脂5の色彩を視認することにより、接着性樹脂5の着色別に専用化された調理用丸棒2Aを判別し、食材毎に調理用丸棒2Aを容易に使い分けることができる。これにより、調理用丸棒2Aに起因する衛生上の食材間汚染を可及的に減少させることができ、衛生管理が容易になる。また、接着性樹脂5の色彩が管状体31の外部から管状体31の合成樹脂を通して視認可能であるため、調理用丸棒2Aの意匠性を向上させることができる。
【0048】
また、芯棒体32Aの横断面形状が多角形状であるため、芯棒体32Aの加工工程において、芯棒体32Aが曲がったまま加工されることを抑えることができる。すなわち、例えば芯棒体32Aが木材により形成され円形の横断面形状を呈する場合には、芯棒体32Aが円形の横断面形状を呈するように原材料としての棒の外形を切削する過程で、刃物が棒の回りを回転しながら棒の長手方向に移動して棒を丸棒状に切削する。そのため、全体が曲がった棒材は、略曲がったままなりに丸棒状に加工される。これに対して、芯棒体32Aが木材により形成され多角形の横断面形状を呈する場合には、棒材に多少の曲りがあっても、曲りの頂点部分が絶えず削られる加工が繰り返されるため、最終的に曲りや反りが抑えられる加工が可能になる。そのため、横断面形状が正多角形ではなく、多角形の各辺の長さ又は角度が芯棒体32Aの長手方向において変化したり異なったりする場合であっても、芯棒体32Aは、全体として直線状になる。従って、多角形の角の数を多くするほど芯棒体32Aの直線性を高めることができる。これにより、芯棒体32Aが曲がったまま加工されることを抑えることができ、調理用丸棒2Aの直線性を確保することができる。
【0049】
また、閉塞体4が着色により複数の色彩でシリーズ化されているため、調理用丸棒2Aが同一の調理場において複数の食材に対して使用される場合の調理用丸棒2Aの衛生上の管理について、閉塞体4の複数の色彩による調理用丸棒2Aの色分け管理により、衛生管理を容易に行うことができる。また、その他の効果として、図1図3に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0050】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
なお、変形例に係る調理用丸棒の構成要素が、図1図3に関して前述した第1実施形態に係る調理用丸棒2および図4図6に関して前述した第2実施形態に係る調理用丸棒2Aの構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0051】
図7は、本実施形態の変形例に係る調理用丸棒を表す断面図である。
なお、図7は、図4に表した切断面A4-A4における断面図に相当する。具体的には、図7(a)は、本実施形態の第1変形例に係る調理用丸棒2Bを表す断面図である。図7(b)は、本実施形態の第2変形例に係る調理用丸棒2Cを表す断面図である。図7(c)は、本実施形態の第3変形例に係る調理用丸棒2Dを表す断面図である。図7(d)は、本実施形態の第4変形例に係る調理用丸棒2Eを表す断面図である。図7(e)は、参照のための断面図であり、図6に表した調理用丸棒2Aの断面図と同じである。
【0052】
図7(a)に表したように、第1変形例に係る調理用丸棒2Bは、丸棒本体3Bと、接着性樹脂5と、を備える。丸棒本体3Bは、管状体31と、芯棒体32Bと、を有する。本変形例の管状体31は、図4図6に関して前述した第2実施形態の管状体31と同じである。本変形例の芯棒体32Bの外形状は、四角形の棒状体である。すなわち、芯棒体32Bの横断面形状は、四角の多角形である。芯棒体32Bの横断面形状は、各辺の長さ又は角度が互いに等しい正四角形(正方形)であってもよく、各辺の長さ又は角度が互いに等しいとは限らない四角形であってもよい。接着性樹脂5は、管状体31の内面311と、芯棒体32Bの外面321Bと、の間における空間315(すなわち間隙)に充填されている。
【0053】
図7(b)に表したように、第2変形例に係る調理用丸棒2Cは、丸棒本体3Cと、接着性樹脂5と、を備える。丸棒本体3Cは、管状体31と、芯棒体32Cと、を有する。本変形例の管状体31は、図4図6に関して前述した第2実施形態の管状体31と同じである。本変形例の芯棒体32Cの外形状は、五角形の棒状体である。すなわち、芯棒体32Cの横断面形状は、五角の多角形である。芯棒体32Cの横断面形状は、各辺の長さ又は角度が互いに等しい正五角形であってもよく、各辺の長さ又は角度が互いに等しいとは限らない五角形であってもよい。接着性樹脂5は、管状体31の内面311と、芯棒体32Cの外面321Cと、の間における空間315(すなわち間隙)に充填されている。
【0054】
図7(c)に表したように、第3変形例に係る調理用丸棒2Dは、丸棒本体3Dと、接着性樹脂5と、を備える。丸棒本体3Dは、管状体31と、芯棒体32Dと、を有する。本変形例の管状体31は、図4図6に関して前述した第2実施形態の管状体31と同じである。本変形例の芯棒体32Dの外形状は、六角形の棒状体である。すなわち、芯棒体32Dの横断面形状は、六角の多角形である。芯棒体32Dの横断面形状は、各辺の長さ又は角度が互いに等しい正六角形であってもよく、各辺の長さ又は角度が互いに等しいとは限らない六角形であってもよい。接着性樹脂5は、管状体31の内面311と、芯棒体32Dの外面321Dと、の間における空間315(すなわち間隙)に充填されている。
【0055】
図7(d)に表したように、第4変形例に係る調理用丸棒2Eは、丸棒本体3Eと、接着性樹脂5と、を備える。丸棒本体3Eは、管状体31と、芯棒体32Eと、を有する。本変形例の管状体31は、図4図6に関して前述した第2実施形態の管状体31と同じである。本変形例の芯棒体32Eの外形状は、七角形の棒状体である。すなわち、芯棒体32Eの横断面形状は、七角の多角形である。芯棒体32Eの横断面形状は、各辺の長さ又は角度が互いに等しい正七角形であってもよく、各辺の長さ又は角度が互いに等しいとは限らない七角形であってもよい。接着性樹脂5は、管状体31の内面311と、芯棒体32Eの外面321Eと、の間における空間315(すなわち間隙)に充填されている。
【0056】
前述したように、図7(e)に表した調理用丸棒2Aは、図6に表した調理用丸棒2Aの断面図と同じ八角の多角形である。
なお、図7(a)~図7(d)では、閉塞体4が表されていないが、第1~4変形例に係る調理用丸棒2B、2C、2D、2Eは、図4図6に関して前述した調理用丸棒2Aと同様に閉塞体4を備える。
【0057】
第1~4変形例に係る調理用丸棒2B、2C、2D、2Eによれば、管状体31と芯棒体32B、32C、32D、32Eと閉塞体4とが、互いに接着性樹脂5により接着一体化されている。そのため、図4図6に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0058】
また、図7(a)~図7(e)に表したように、横断面形状が多角形の芯棒体32A、32B、32C、32D、32Eの横断面形状における角の数が相対的に多いと、管状体31の内面311と、芯棒体32A、32B、32C、32D、32Eの外面321A、321B、321C、321D、321Eと、の間における空間315は、相対的に狭い空間になっている。そのため、芯棒体が管状体31に剛性を付与するという観点においては、同一内径の管状体31に挿入される多角形の芯棒体の横断面形状の角の数が多いほど、芯棒体の断面2次モーメントが増加し丸棒本体の剛性をより高めることができる。
【0059】
一方、図7(a)~図7(e)に表したように、接着性樹脂5は、管状体31の内面311と、芯棒体32A、32B、32C、32D、32Eの外面321A、321B、321C、321D、321Eと、の間における空間315(すなわち間隙)に充填されている。通常の接着性樹脂5の比重は1以上であり、通常の木材の比重は1未満であるため、管状体31の内側に形成される上記空間315が狭いほど、即ち、同一内径の管状体31に挿入される多角形の芯棒体の横断面形状の角の数が多いほど、空間315に充填される接着性樹脂5の充填量が小さくなる。その結果、丸棒本体をより軽量にすることが可能となり調理用丸棒取扱いにおける作業性をより向上させることができる。
【0060】
以上説明したように、図7(a)~図7(e)の芯棒体32A、32B、32C、32D、32Eは、丸棒本体の剛性付与と軽量化の観点からと、芯棒体の直進性を確保する観点からも、木材により形成された芯棒体の横断面形状を多角形とする角の数を多くすることが好ましい。しかしながら、多角形の角の数をあまり多くすると、芯棒体の全長に亘る面取り切削加工数が増加し、多角形に加工するための製造コストを上昇させることに繋がる。従って、芯棒体の横断面形状における角の数は、丸棒本体の剛性付与と軽量化並びに芯棒体の直進性確保の観点から4以上が好ましく、製造コスト低減の観点から12以下であることが好ましく、同様に5以上、10以下であることがより好ましく、そして6以上、8以下であることがさらに好ましい。また、その他の効果として、図4図6に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0062】
2、2A、2B、2C、2D、2E:調理用丸棒、 3、3A、3B、3C、3D、3E:丸棒本体、 4:閉塞体、 5:接着性樹脂、 31:管状体、 32、32A、32B、32C、32D、32E:芯棒体、 36、37:端部、 41:第1閉塞体、 42:第2閉塞体、 311:内面(管状体)、 313:端面(管状体)、 315:空間、 321A、321B、321C、321D、321E:外面(芯棒体)、 322A:端面(芯棒体)、 411:外面(閉塞体)、 412、413:端面(閉塞体)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7